JP4671541B2 - 難分解性ハロゲン化合物の含有量の測定方法。 - Google Patents

難分解性ハロゲン化合物の含有量の測定方法。 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、絶縁油中に含まれるポリ塩化ビフェニール類(以下、「PCB」と略す。)等の難分解性ハロゲン化合物の含有量をクロマトグラフィーの手法により、測定する難分解性ハロゲン化合物含有量の測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
PCB等に代表される難分解性ハロゲン化合物は、環境汚染物質として問題となっている。そのため、難分解性ハロゲン化合物を無害化処理する必要があり、近年においては、無害化処理(分解処理)方法も確立されつつある。
【0003】
難分解性ハロゲン化合物は環境中において様々な形態で存在するが、中でも環境汚染物質として問題となっているものの1つに、絶縁油中に含まれる難分解性ハロゲン化合物がある。このものは、絶縁油を含む混合物の状態で無害化処理されるが、無害化処理する前後において、例えば、ガスクロマトグラフィーの手法を用いて、難分解性ハロゲン化合物の含有量の測定を行なっている。
【0004】
ところで、難分解性ハロゲン化合物を無害化処理するためには、難分解ハロゲン化合物の含有量を予め把握しなければならない。また、処理後においては、難分解ハロゲン化合物が完全に分解させたことを確認するために、その残存量を測定する必要がある。難分解性ハロゲン化合物の含有量を測定するためには、絶縁油と難分解性ハロゲン化合物を含む混合物を予め分離する操作が必要である(クリーンアップ)。
【0005】
従来、難分解性ハロゲン化合物を含む混合物から難分解性ハロゲン化合物を分離精製する方法としては、例えば、
(1)ジメチルスルホキシドとn−ヘキサンの分配による方法、
(2)シリカゲルカラム処理、アルミナゲル処理、活性炭カラム処理、フロリージルカラム処理、多層シリカゲルカラム(硫酸、水酸化カリウム、硝酸銀をそれぞれ吸着させたシリカゲルを層状に充填したカラム)処理等の順相カラムクロマトグラフィーによる方法、
(3)ジメチルスルホキシド水溶液等を溶媒とした逆相クロマトグラフィーによる方法、
(4)硫酸処理等の化学的精製方法、等が知られている。
【0006】
しかしながら、これらの手法では絶縁油と難分解性ハロゲン化合物との分離が不十分であるため、上記(1)〜(4)の複数の操作を組み合わせて行なっているのが一般的であった。このため、工程が長く、操作が煩雑になり、その結果回収率が低下し、難分解性ハロゲン化合物を分離精製して分析するまでに長時間を要し、しかも分析するのに熟練した技術を要するという問題があった。
【0007】
本発明に関連して、特表平10−502107号公報には、所定のミクロ多孔度、メソ多孔度及び全多孔度を有するポロゲン変性のスチレン/ジビニルベンゼン吸着剤及びスチレン架橋のスチレン/ジビニルベンゼン吸着剤が、200〜1000原子質量単位(U)の分子量を持つ有機吸着物のクロマトグラフ分離に特に有用である旨が記載されている。しかしながら、実際に分離の対象としているのはトリプトファンやセファロスポリンであり、本発明のような絶縁油と難分解性ハロゲン化合物の分離に有用である旨は記載されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、絶縁油及び難分解性ハロゲン化合物を含む混合物中の難分解性ハロゲン化合物含有量を、正確、簡便且つ迅速に測定可能な難分解性ハロゲン化合物含有量の測定方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題の解決を図るべく鋭意検討した結果、適当な吸着剤を充填したカラムで前処理することで絶縁油と難分解性ハロゲン化合物を分離することができることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0010】
すなわち、本発明は、絶縁油及び難分解性ハロゲン化合物を含む混合物中の難分解性ハロゲン化合物含有量をクロマトグラフィーの手法により測定する方法であって、前記混合物中の難分解性ハロゲン化合物の含有量を測定する前に、吸着剤を充填してなるカラムを用いて、前記混合物から絶縁油と難分解性ハロゲン化合物とを分離する工程を設けたことを特徴とする難分解性ハロゲン化合物含有量の測定方法を提供するものである。
【0011】
本発明の測定方法において用いられる吸着剤としては、好適には合成樹脂であり、合成樹脂の中でも架橋型樹脂を用いるのが好ましく、ジビニルベンゼン架橋型樹脂又は架橋型スチレン系樹脂を用いるのがより好ましく、ジビニルベンゼン架橋型スチレン系樹脂を用いるのが特に好ましい。
また、前記吸着剤としては、10〜200メッシュの合成樹脂を用いるのが好ましい。
【0012】
本発明の測定方法は、前記吸着剤を充填してなるカラムを用いて、前記混合物から絶縁油と難分解性ハロゲン化合物とを飽和炭化水素系溶媒を溶離液として用いて分離する工程を有するのが好ましく、前記難分解性ハロゲン化合物の中でも、芳香族ハロゲン化合物、特にPCBの含有量を測定する場合に好適である。
また、本発明の測定方法において用いるクロマトグラフィーの手法としては、、ガスクロマトグラフィーの手法を用いるのが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の分析の対象となるハロゲン化合物としては、環境中で脱ハロゲン化されずに安定なハロゲン化合物が挙げられる。かかるハロゲン化合物としては、例えば、PCB、ダイオキシン類、ポリ塩素化ベンゾフラン類、ポリ塩素化ベンゼン、DDT等の芳香族ハロゲン化合物;BHC等の脂環族ハロゲン化合物;等が挙げられる。これらの中でも、特に絶縁油中に含まれるPCB等の芳香族ハロゲン化合物が好適である。
また、絶縁油としては、JIS C2320−1993に記載の電気絶縁油であるのが好ましい。
【0014】
本発明は、絶縁油中に含まれる難分解性ハロゲン化合物の含有量をクロマトグラフィーの手法を用いて測定する方法において、測定前に、絶縁油と難分解性ハロゲン化合物とを、吸着剤を充填したカラムを用いて分離する操作を設けたことを特徴とする。
【0015】
用いられる吸着剤としては、絶縁油と難分解性ハロゲン化合物とを分離する能力を有するものであれば、その材質等に特に制限はない。例えば、合成樹脂、活性アルミナ、シリカゲル、合成ゼオライト、活性白土、分子ふるい等が挙げられる。本発明においては、これらの中でも合成樹脂が好ましい。
【0016】
合成樹脂としては、重合性単量体の1種から得られる単独重合体や重合性単量体の2種以上から得られる共重合体を使用できる。重合性単量体としては、例えば、4−メチルスチレン、塩素化スチレン、臭素化スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸、アクリルアミド、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ブチル、アクリロニトリル等のアクリル類;メタクリル酸、メタクリルアミド、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリロニトリル等のメタクリル類;ジビニルベンゼン、ビニルアルコール、ビニルメチルケトン等のビニル化合物;エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等のα−オレフィン類;ブタジエン等のジエン類等が挙げられる。
【0017】
合成樹脂の具体例としては、スチレン類から得られるスチレン樹脂;アクリル類から得られるアクリル樹脂;メタクリル類から得られるメタクリル樹脂、α−オレフィン類から得られるポリオレフィン樹脂;ジエン類から得られるブタジエン樹脂;及び架橋型樹脂等が挙げられる。
【0018】
これらの中でも、本発明においては架橋型樹脂の使用が好ましい。架橋型樹脂は、例えば、上述の単独重合体の少なくとも1種と架橋剤の少なくとも1種とを共重合、又は上述の単独重合体又は共重合体を架橋剤により架橋させることにより得ることができる。架橋型樹脂は巨大網状構造を有する不溶性の多孔性ポリマーであり、表面積が大きく吸着能に優れている。
【0019】
架橋剤としては、分子内に架橋性二重結合を有する化合物を用いることができ、ビニル化合物、ポリオール、ビニルシラン等が例示できる。ビニル化合物としては、例えば、ジビニルベンゼン、ビニルメチルケトン、ビニルアルコール、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル等が挙げられる。ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール等が挙げられる。また、ビニルシランとしては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルエチルジエトキシシラン、ビニルエチルジエトキシシラン、イソプロペニルトリメトキシラン、イソプロペニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0020】
本発明においては、これらの中でも、絶縁油と難分解性ハロゲン化合物(特にPCB)との分離能に優れること、入手容易であること、飽和炭化水素系溶媒を使用できること等の理由から、架橋型樹脂の中でも、ジビニルベンゼン架橋型樹脂又は架橋型スチレン樹脂の使用が好ましい。
【0021】
ジビニルベンゼン架橋型樹脂は、前述の重合性単量体の1種又は2種以上とジビニルベンゼンとを共重合、又は前述の単独重合体又は共重合体をジビニルベンゼンにより架橋させることにより得られる。ジビニルベンゼンの種類には特に制限なく、例えば、1,2−ジビニルベンゼン、1,3−ジビニルベンゼン、1,4−ジビニルベンゼン、1,3−ジビニル−4−メチルベンゼン等を用いることができる。
【0022】
架橋型スチレン樹脂は、スチレン類の少なくとも1種と架橋剤の少なくとも1種を共重合、又はスチレン類の少なくとも1種以上から得られる単独重合体又は共重合体を架橋剤により架橋させて得られる樹脂である。ここで用いられる架橋剤としては、上記で例示したものと同様の化合物が挙げられる。また、スチレン類としては、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、2−ブロモスチレン、3−ブロモスチレン、4−ブロモスチレン、2,3−ジクロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、2,3−ジブロモスチレン、2,4−ジブロモスチレン等を用いることができる。
これらの中でも、本発明においては、ジビニルベンゼン架橋型スチレン樹脂の使用が特に好ましい。
【0023】
架橋型樹脂は、種類によって表面積、多孔性、孔径分布及び樹脂母体の官能基等を変化させることができる。本発明に用いられる架橋型樹脂としては、その表面積が通常10〜1,000cm/g、好ましくは150〜1,000cm/gの範囲であり、平均孔径は通常10〜1,500Å、好ましくは30〜200Åの範囲であり、ヘリウム気孔率は通常40〜60vol.%(0.6〜1.2cm/g)の範囲であり、また、水銀気孔率は通常30〜60vol.%(0.5〜1.2cm/g)の範囲である。
【0024】
本発明に好適に用いられる合成吸着剤の具体例としては、商品名:XAD−2、XAD−4、XAD−7、XAD−8、XAD−9、XAD−20、XAD−11、XAD−12、XAD−18、XAD−1180、XAD−2000、XAD−2010等のアンバーライトXAD(以上、ローム・アンド・ハース社製)、商品名:CG−71、CG−161、CG−151、CG−300、CG−1000(以上、チバ・ガイギー社製)等種々のタイプがある。
【0025】
吸着剤の粒子径には特に制限はないが、粒子径が小さいほど吸着能力が向上するため、より少ない樹脂量で分離することができる。本発明に用いる樹脂の粒子径は、好ましくは10〜200メッシュ、より好ましくは50〜200メッシュの範囲である。また、分離に用いる樹脂としては、より優れた分離効果を得ることができる観点から、粉砕し、篩分けした樹脂を用いることも好ましい。
【0026】
絶縁油と難分解性ハロゲン化合物とを分離する工程に用いられる方法としては、例えば、吸着剤を適当な大きさのカラム中に充填した分離用のカラムを用意し、そこへ、絶縁油と難分解性ハロゲン化合物を含む混合物を吸着剤表面に吸着させ、溶出溶媒を流して、溶出液を所定容量ずつに分けて集める方法等を用いることができる。用いるカラムの大きさには特に制限はなく、充填する樹脂の使用量に応じて適宜カラムの大きさを選択することができる。
【0027】
吸着剤をカラムに充填する方法としては、例えば、有機溶媒に吸着剤を懸濁させ、得られたスラリーをカラム中に充填後、展開溶媒に置換する方法、又は直接吸着剤の粒子をカラムに充填し、振動等を加えて最密充填する方法等が挙げられる。
【0028】
有機溶媒としては、吸着剤に対し安定な溶媒であれば特に制限はないが、このカラムを用いて絶縁油と難分解性ハロゲン化合物とを分離することができる溶媒の使用が好ましい。例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等の飽和炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミド、1,3−ジメチルイミダゾリノン、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール系溶媒;アクリロニトリル、ジメチルホルムアミド等の他の有機溶媒等を使用することができる。
【0029】
また、吸着剤を炭化水素系溶媒等の有機溶媒に懸濁する場合には、静電気除去の目的で、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒を炭化水素系溶媒に少量添加したものを使用するのが好ましい。吸着剤をカラムに充填後に溶出溶媒が白濁する場合があるが、白濁がなくなるまで十分にカラム中に溶媒を流し続けた後に、分離用に使用するのが好ましい。
【0030】
吸着剤の使用量は、絶縁油と難分解性ハロゲン化合物とを十分に分離できる量であれば特に制限はないが、通常、混合物1gに対し0.5g〜10g、好ましくは1g〜5gの範囲である。また、吸着剤をカラムに充填した後は、吸着剤がカラム中で十分均一且つ緊密に充填されるように、10分〜数時間放置した後に分離操作に用いるのが好ましい。
【0031】
また、絶縁油と難分解性ハロゲン化合物の混合物を吸着剤表面に吸着させる場合には、混合物をそのまま吸着させてもよいし、n−ヘキサン、ベンエン、トルエン等の溶媒で希釈した後に吸着させてもよい。
【0032】
用いられる溶出溶媒としては、絶縁油と難分解性ハロゲン化合物とを分離可能な溶媒であれば特に制限はないが、その後に濃縮操作等を行なうため、比較的低沸点のもの(沸点50〜150℃程度)の使用が好ましい。
【0033】
かかる溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等の飽和炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミド、1,3−ジメチルイミダゾリノン、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール系溶媒;アクリロニトリル、ジメチルホルムアミド等の他の有機溶媒等が挙げられる。
【0034】
本発明においては、これらの中でも、絶縁油と難分解性ハロゲン化合物との分離性及び取扱い性等の観点から、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等の飽和炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒等の炭化水素系溶媒の使用が好ましく、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘサン等の飽和炭化水素系溶媒の使用がより好ましい。溶出溶媒は、常圧又は加圧下でカラム上部より下部に向けて流すことも、また、カラム下部から吸引して減圧下に流すこともできる。
【0035】
溶出後は、所定量毎(例えば、5ml〜50ml毎)のフラクションに分けて分取し、ガスクロマトグラフィー等の検出手段により、難分解性ハロゲン化合物を含有するフラクションを全て集め、合わせた総量中の難分解性ハロゲン化合物の含有量を測定する。この場合、絶縁油と難分解性ハロゲン化合物とが完全に分離されているのが好ましいが、絶縁油と難分解性ハロゲン化合物とが完全に分離されていないフラクションが含まれていてもよい。
【0036】
また、吸着剤は、例えば、有機溶媒、塩基、酸、水、熱水等で処理することにより再生させて、再利用することができる。
【0037】
難分解性ハロゲン化合物の含有量を測定する手段としては、難分解性ハロゲン化合物の含有量を定量できる手段であれば特に制限はない。本発明においては、利便性、検出精度等の観点から、ガスクロマトグラフィーと質量分析計とを組み合わせたガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)を使用するのが好ましい。GC−MSとしては、低分解能GC−MS、中分解能GC−MS、高分解能GC−MS等、その性能等に特に制限はない。
【0038】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(測定試料の調製)
トランスオイル4gをn−ヘキサン10mlに溶解した溶液2mlと、2ppmPCB(KC300:KC400:KC500:KC600=1:1:1:1)のn−ヘキサン溶液2mlを混合した溶液を調製し、これを測定試料とした。
【0039】
(分離用カラムの作製)
市販のスチレン−ジビニルベンゼン共重合体樹脂(XAD−2樹脂、ローム・アンド・ハース社製)を未処理の状態で、又は粉砕し、篩分けして所定の大きさ(65〜150メッシュ)とした状態のものの所定量を、静電気除去の目的でトルエンに少量のエタノールを少量混合した混合溶媒に懸濁させ、得られた懸濁液を直径15mm×長さ30cmのガラスカラム中に充填した。樹脂充填後、n−ヘキサン100mlをカラム中に流し、溶媒置換を行なうことにより分離用カラムを作製した。なお、粉砕し、篩分けした樹脂を充填した場合には、充填直後に溶出溶媒が白濁したので、n−ヘキサンで溶出溶媒の白濁がなくなるまで十分に洗浄した。
【0040】
(前処理操作)
上記で調製した測定試料を分離用カラム上部より導入し、n−ヘキサンを溶離液として流した。測定試料は、一旦カラム下部より液を流出させて液面を下げ、カラム内壁を2mlのn−ヘキサンで2回洗浄した後、充填樹脂の上部表面に導入した。樹脂表面に測定試料を完全に吸着させた後、n−ヘキサンを一定量ずつ流して溶離を行なった。溶離液の流速はおよそ0.05ml/秒とした。カラム下部から溶出する液を、10mlずつ(No.1,2)、及び5mlずつ(No.3,4)のフラクションとして分取した。
【0041】
(トランスオイル及びPCBの検出・含有量の測定)
次いで、各フラクション中のトランスオイルの含有量とPCBの含有量を測定した。トランスオイルの含有量はFID−GCにより、PCBの含有量はECD−GCにより、それぞれ検出・測定した。
分離に用いた樹脂の詳細、トランスオイル(第1表では絶縁油と表記)の溶出範囲、PCBの溶出範囲を第1表にまとめて示す。また、第1表中のNo.1〜4の各分離カラムによる分離結果を図1の(a)〜(d)に示す。
【0042】
【表1】
Figure 0004671541
【0043】
第1表及び図1から、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体樹脂であるXAD−2を用いて、極めて簡便、かつ効率よくに絶縁油とPCBとが分離できることが分かった。また、未処理のXAD−2樹脂に比して、粉砕し、篩分けして65〜150メッシュとした樹脂の方が絶縁油とPCBとの分離能に優れていることもわかった。
【0044】
(PCBの回収率の測定)
次に、上記第1表のNo.4の分離カラムによる溶出液の各フラクションのうち、PCBを含むフラクションをすべて集めた溶液(全部で50ml)と、2ppmのPCB液を50mlにn−ヘキサンで希釈した溶液をECD−GCにより分析した。その結果、PCBの回収率は94.1%であった。
【0045】
本実施例により、トランスオイル中に低濃度(2ppm)のPCBが含まれる場合であっても、簡便な操作により容易にトランスオイルとPCBとを分離することができ、また、高い精度でPCB濃度を測定することができることが分かった。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の測定方法によれば、絶縁油及び特に低濃度の難分解性ハロゲン化合物を含む混合物中の難分解性ハロゲン化合物含有量を、正確、簡便且つ迅速に測定可能な難分解性ハロゲン化合物含有量の測定することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1表のNo.1の分離カラムを用いて分離した結果を表す図である。図中、横軸はフラクション(10ml毎)の番号であり、縦軸は、溶出液中に含まれるトランスオイル濃度(T.O濃度(ppm))又はPCB濃度(ppm)をそれぞれ表す。
【図2】第1表のNo.2の分離カラムを用いて分離した結果を表す図である。図中、横軸はフラクション(10ml毎)の番号であり、縦軸は、溶出液中に含まれるトランスオイル濃度(T.O濃度(ppm))又はPCB濃度(ppm)をそれぞれ表す。
【図3】第1表のNo.3の分離カラムを用いて分離した結果を表す図である。図中、横軸はフラクション(5ml毎)の番号であり、縦軸は、溶出液中に含まれるトランスオイル濃度(T.O濃度(ppm))又はPCB濃度(ppm)をそれぞれ表す。
【図4】第1表のNo.4の分離カラムを用いて分離した結果を表す図である。図中、横軸はフラクション(5ml毎)の番号であり、縦軸は、溶出液中に含まれるトランスオイル濃度(T.O濃度(ppm))又はPCB濃度(ppm)をそれぞれ表す。

Claims (3)

  1. 絶縁油、並びに芳香族ハロゲン化合物及び脂環族ハロゲン化合物から選ばれるハロゲン化合物を含む混合物中の前記ハロゲン化合物含有量をクロマトグラフィーの手法により測定する方法であって、
    前記混合物中の前記ハロゲン化合物の含有量を測定する前に、ジビニルベンゼン架橋型スチレン樹脂からなる吸着剤を充填してなるカラムを用いて、前記混合物から絶縁油と前記ハロゲン化合物とを飽和炭化水素溶媒を溶離液として用いて分離する工程を設けたことを特徴とする芳香族ハロゲン化合物及び脂環族ハロゲン化合物から選ばれるハロゲン化合物含有量の測定方法。
  2. 前記吸着剤として、10〜200メッシュの合成樹脂を用いる請求項1に記載の芳香族ハロゲン化合物及び脂環族ハロゲン化合物から選ばれるハロゲン化合物含有量の測定方法。
  3. 前記クロマトグラフィーの手法として、ガスクロマトグラフィーの手法を用いる請求項1または2に記載の難分解性ハロゲン化合物含有量の測定方法。
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