JP4669937B2 - 紙幣還流装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は紙幣還流装置に関し、特に収納搬送路と出金搬送路とを共通化した際に問題となる還流収納部における紙幣のさしみ状態を解消する手段に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動販売機を用いて飲食物等の商品販売が盛んに行われ、顧客は24時間いつでも手軽に希望商品を購入できるようになった。また、自動販売機は、駅の切符販売や食堂の食券販売にも券売機として利用されており、我々の社会生活において自動販売機を使用する機会は、今後さらに増加するものと思われる。
【0003】
このような自動販売機では、利用者により入金された紙幣の真贋判定と金種識別のための紙幣識別部と、入金された紙幣を額面毎に収納する紙幣収納部とを有し、前記紙幣収納部に保管されている低額面の紙幣を釣り銭として払い出す紙幣還流装置を備えたものが主流となっている。
図5は、紙幣還流装置の動作を説明するための機能ブロック図である。この図に示す紙幣還流装置は、顧客が一括して紙幣挿入口より入金した紙幣を1枚ずつ繰り出す繰り出し部31と、前記入金紙幣の真贋判定、金種識別を行う識別部32と、釣り銭として払い出さない高額面の紙幣(一万円札)を収納する非還流収納部33と、釣り銭として払い出す低額面の紙幣(五千円札、千円札)をそれぞれ収納する第1の還流収納部34及び第2の還流収納部35と、釣り銭払い出しの際に重なり紙幣など不都合な紙幣を収納するリジェクト部36と、識別不能紙幣や釣り銭を紙幣放出口に一括搬送するために紙幣を蓄積するプール部37と、前記各ブロックに対して所要の制御を行うCPU38とから構成される。
なお、同図において太い実線は、ベルトやローラなどからなる紙幣搬送経路であり、CPUから各ブロックに延びる細い実線は制御線を示している。
【0004】
この例に示される紙幣還流装置は、以下のように機能する。即ち、顧客が一括して紙幣挿入口から入金した紙幣は、繰り出し部31を介して一枚ずつ認識部32に搬送され真贋判定、金種判定が行われる。この判定結果に基づき、CPU38は、偽紙幣の可能性のある紙幣をプール部37を介して紙幣放出口へ、1万円札を非還流収納部33へ、5千円札を第1の還流収納部34へ、千円札を第2の還流収納部35にそれぞれ搬送するように所定の制御を行う。
【0005】
一方、釣り銭を払い出す際は、CPU38が払出に必要な紙幣を第1の還流収納部34および第2の還流収納部35から必要枚数だけ繰り出し、プール部37へ搬送するように制御を行うが、この際に図示を省略したセンサーを用いて2枚検知(紙幣が2枚重なった状態の検知)、異金種検知等を行い、払出に不適切な状態が見つかった場合はこれをリジェクト部36に収納して改めて還流収納部から必要な紙幣を繰り出すようにしている。
【0006】
ところで、上述した紙幣還流装置の小型化と低コスト化を図るためには、紙幣の収納搬送路と出金搬送路(釣り銭払出経路)とを共通化して構成部品を低減することが有効であり、このような紙幣還流装置を実現するための開発が行われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上述したような従来の収納搬送路と出金搬送路とを共通化した紙幣還流装置においては以下に示すような問題点があった。つまり、還流収納部から紙幣を出金した(払い出した)後には、後述する理由により当該出金した紙幣の下層に位置する紙幣が所定位置からずれる"さしみ状態"が発生し、この後で還流収納部に紙幣を収納する際に収納紙幣と上記さしみ状態の紙幣とがぶつかり合い、その結果、収納紙幣が正しく積層されずにトラブルの原因となっていた。
【0008】
図6は、紙幣のさしみ状態を説明するための還流収納部の構成例を示す模式断面図である。この例に示す還流収納部は、バックアッププレート41上に積層された複数の紙幣42a、42b、・・・・を外部へ繰り出すため(或いは、外部から紙幣を収納するため)、第1、第2、第3の駆動ゴムローラ43、44、45を有している。この例に示す還流収納部は以下のように機能する。即ち、釣り銭支払いのため紙幣を繰り出す出金時には同図(a)に示すように3つの駆動ゴムローラが所定方向に回転し、バックアッププレート41に印加される圧力に基づく最上部の紙幣と駆動ゴムローラ43,44,45との間に発生する摩擦力を利用して当該紙幣を外部へ繰り出すようにしている。ところが、この際には最上部から2番目の紙幣にも所定の摩擦力が発生して、この紙幣も最上部紙幣とともに外部方向へ少し移動する現象が発生する。
【0009】
従って、所定枚数の紙幣が繰り出された後の還流収納部において積層された紙幣の上部付近の状態は、最上部の紙幣から数枚程度(例えば、42a、42b)まで所定の位置からのずれが発生する。この状態は「さしみ状態」と呼ばれ当業者には周知の現象であるが、収納搬送路と出金搬送路とを共通化する場合には上記した問題が発生する。つまり、図6(b)に示すように、紙幣収納時には紙幣収納のためにバックアッププレート41が下方に下がり、紙幣が還流収納部に搬送されてくると、当該搬送紙幣とさしみ紙幣とがぶつかり合い、搬送紙幣が所定位置に積層(収納)されない問題が発生する。
本発明は、上述した従来の紙幣還流装置に関する問題を解決するためになされたもので、さしみ状態を解消しこれに起因する紙幣収納に係わる問題を解決した紙幣還流装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係わる紙幣還流装置の請求項1記載の発明は、紙幣を収納するとともにこれを釣り銭として出金する還流収納部を有し、前記紙幣の収納搬送路と出金搬送路とを共通化した紙幣還流装置であって、
前記還流収納部として少なくとも回転方向自在な複数の駆動ローラと、紙幣を押し込むための押し込み板と、前記収納紙幣を積層する際にその底部となるバックアッププレートと、前記押し込み板とバックアッププレートとに連接され前記押し込み板の上下方向への移動に伴いストローク長を可変するバネと、前記バックアッププレートの上方に位置し搬送紙幣を誘導する固定ガイドと、前記複数の駆動ローラの一つに固着したスイーパとを備えるようにした。
本発明に係わる紙幣還流装置の請求項2記載の発明は、請求項1記載の紙幣還流装置において、前記還流収納部からの紙幣出金時には、前記押し込み板を前記固定ガイドより上方に移動させるとともに、これに付随して前記バネのストローク長を延伸させることにより前記バックアッププレートに所定の圧力を印加して、前記駆動ローラによる紙幣の繰り出しを容易ならしめ、
前記還流収納部への紙幣収納時には、前記押し込み板を前記ガイドより下方へ移動させるとともに、これに付随して前記バネのストローク長を短縮させることにより前記バックアッププレートに印加する圧力を所定値に弱めるとともに、前記スイーパを回転させることにより、前記紙幣出金時に生じる紙幣のさしみ状態を解消して前記還流収納部への紙幣収納を開始するようにした。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図示した実施の形態例に基づいて本発明を詳細に説明する。図1は本発明に係わる紙幣還流装置における還流収納部の出金状態を説明する要部断面図である。この例に示す紙幣還流装置は、還流収納部として、回転方向が自在な第1から第4の4つの駆動ゴムローラ11、12、13、14と、前記第4の駆動ゴムローラに連接したベアリング15と、紙幣束16を押し込むための上下方向に移動可能な押し込み板17と、前記紙幣束16を所定位置に積層する際にその底部となるバックアッププレート18と、前記押し込み板17とバックアッププレート18に連接され前記押し込み板17の上下方向移動に伴いストローク長を可変するバネ19と、前記バックアッププレート18の上方に位置し搬送紙幣を誘導する固定ガイド20と、前記バックアッププレート18上に立設したストッパ21とを備えている。なお、第3の駆動ゴムローラ13には、スイーパ(ゴム状の羽)13aを固着するようにしている。
【0012】
図2は、図1に示した還流収納部における押し込み板17と固定ガイド20とストッパ21との関係を示すため、図1の図中矢印x方向から見た平面図である。同図に示すように押し込み板17はコの字型に形成され、固定ガイド20の上下方向を移動できるようになっている。
【0013】
図3は、図1に示した還流収納部において紙幣収納時の状態を説明する要部断面図である。各構成要素は図1に示したものと同一である。
【0014】
以下、図1、図2及び図3に基づき本発明に係わる紙幣還流装置の動作について説明する。まず、還流収納部に収納した紙幣を釣り銭として払い出す際は、図1に示すように押し込み板17を固定ガイド20の上方(Aの矢印で示す方向)に移動させると、バネ19を介して押し込み板17に連接したバックアッププレート18も同一方向に移動する。従って、バックアッププレート18は紙幣束16を介して固定ガイド20に押しつけられるので、さらに押し込み板17が上方へ移動することによりバックアッププレート18は下部から強い圧力(Pl)が印加されることになる。
【0015】
この状態において、各駆動ゴムローラ11〜14を図示を省略したモータを用いて所定方向に回転させると、紙幣束16の上部の紙幣と駆動ゴムローラとの間に摩擦力が生じるので、紙幣を所定方向に搬送(出金)できる。この出金が終了すると、上記図6において説明したように紙幣束16の上層部はさしみ状態となる。
【0016】
この状態において、還流収納部に収納紙幣が搬送されてくると、図3に示すようにまず押し込み板17を固定ガイド20よりも下方に位置するように矢印B方向に移動させ、収納紙幣が積層しやすい状態を作る。この際に、押し込み板17に連接したバネ19はストローク長が短くなるので弾力が弱くなり、従って、バックアッププレート18に下方から印加される圧力(Ps)は小さくなる。しかる後に、第3の駆動ゴムローラ13のみを時計方向に回転させると、スイーパ13aがさしみ状態の紙幣を上から叩くこととなる。このとき上記したようにバックアッププレート18に下方から印加される圧力(Ps)が弱くなっており、バックアッププレート18と押し込み板17とに挟持された紙幣を移動し易い状態にしてあるので、さしみ状態となっていた上層部の紙幣は押し込み板17の下面と整列積層されている紙幣束とのすき間に沿って移動し正常位置に戻される。
【0017】
この後に、還流収納部に収納紙幣を搬送させると、既に、さしみ状態は解消されているので、正常な収納(積層)を行うことができる。図4は、さしみ状態解消後の紙幣収納を説明する要部断面図((a)図)及び(a)図においてy方向から見た要部正面図((b)〜(d)図)である。同図(a)に示すように、既にさしみ状態は解消されているので、収納紙幣は所定位置に正常に蓄積(収納)される。新たな収納紙幣22は、まず押し込み板17上に蓄積されるが((b)図)、その後押し込み板17の上方への移動により固定ガイド20がこれを下方に押し付けるので((c)図)、最終的に従前の積層紙幣16の上部に蓄積されることになる((d)図)。
【0018】
要するに本発明に係わる紙幣還流装置は、その還流収納部に工夫をこらし、具体的には、押し込み板17とバックアッププレート18とをバネ19を介して連接し、押し込み板の上下移動に伴いバネ19の弾力を適切に可変してバックアッププレート18に印加する圧力を適宜所要値に調整するとともに、所定位置の駆動ゴムローラに固着したスイーパを回転させることにより、紙幣のさしみ状態を解消するようにしたものである。
【0019】
【発明の効果】
本発明は以上説明したように押し込み板とバックアッププレートとをバネを介して連接し、押し込み板の上下移動にともないこのバネの弾力を適切に可変してバックアッププレートに印加する圧力を適宜所要値に調整するとともに、所定位置の駆動ゴムローラにスイーパを固着するように構成したので、還流収納部から紙幣を出金した際に生じるさしみ状態を解消でき、従って、収納搬送路と出金搬送路とを共通化した小型、低コストの紙幣還流装置を実現する上で著効を奏す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる紙幣還流装置における還流収納部の出金状態を説明する要部断面図
【図2】本発明に係わる紙幣還流装置における還流収納部の押し込み板と固定ガイドとの関係を示す平面図
【図3】本発明に係わる紙幣還流装置における還流収納部の紙幣収納状態を説明する要部断面図
【図4】本発明に係わる紙幣還流装置における還流収納部のさしみ状態解消後の紙幣収納状態を説明する要部断面図及び正面図
【図5】従来の紙幣還流装置の動作を説明する機能ブロック図
【図6】紙幣のさしみ状態を説明するための還流収納部の模式断面図
【符号の説明】
11・・第1の駆動ゴムローラ
12・・第2の駆動ゴムローラ
13・・第3の駆動ゴムローラ
13a・・スイーパ
14・・第4の駆動ゴムローラ
15・・ベアリング
16・・紙幣束
17・・押し込み板17
18・・バックアッププレート
19・・バネ
20・・固定ガイド
21・・ストッパ

Claims (2)

  1. 紙幣を収納するとともにこれを釣り銭として出金する還流収納部を有し、前記紙幣の収納搬送路と出金搬送路とを共通化した紙幣還流装置であって、
    前記還流収納部として少なくとも回転方向自在な複数の駆動ローラと、紙幣を押し込むための押し込み板と、前記収納紙幣を積層する際にその底部となるバックアッププレートと、前記押し込み板とバックアッププレートとに連接され前記押し込み板の上下方向への移動に伴いストローク長を可変するバネと、前記バックアッププレートの上方に位置し搬送紙幣を誘導する固定ガイドと、前記複数の駆動ローラの一つに固着したスイーパとを備えたことを特徴とする紙幣還流装置。
  2. 前記還流収納部からの紙幣出金時には、前記押し込み板を前記固定ガイドより上方に移動させるとともに、これに付随して前記バネのストローク長を延伸させることにより前記バックアッププレートに所定の圧力を印加して、前記駆動ローラによる紙幣の繰り出しを容易ならしめ、
    前記還流収納部への紙幣収納時には、前記押し込み板を前記ガイドより下方へ移動させるとともに、これに付随して前記バネのストローク長を短縮させることにより前記バックアッププレートに印加する圧力を所定値に弱めるとともに、前記スイーパを回転させることにより、前記紙幣出金時に生じる紙幣のさしみ状態を解消して前記還流収納部への紙幣収納を開始するようにしたことを特徴とする請求項1記載の紙幣還流装置。
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