JP4669857B2 - 較正方法 - Google Patents

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Description

[0001] 本発明は、印刷されたフィーチャのサイズとリソグラフィ装置の動作パラメータの値との間の関係を較正するための較正方法およびコンピュータプログラム製品に関する。
[0002] リソグラフィ装置は、基板、一般的には基板のターゲット部分に所望のパターンを付与する機械である。リソグラフィ装置は、たとえば集積回路(IC)の製造に使用することができる。その場合、マスクまたはレチクルとも呼ばれているパターニングデバイスを使用して、ICの個々の層に形成すべき回路パターンが生成されてよい。生成されたパターンが、基板(たとえばシリコンウェーハ)上のターゲット部分(たとえば部分的に1つまたは複数のダイが含まれている)に転送されることができる。パターンの転送は、通常、基板の上に提供されている放射感応性材料(レジスト)の層へのイメージングを介して実施される。通常、1枚の基板には、順次パターン化される隣接するターゲット部分の回路網が含まれている。知られているリソグラフィ装置には、パターン全体を1回でターゲット部分に露光することによってターゲット部分の各々が照射されるいわゆるステッパと、パターンを放射ビームで所与の方向(「スキャンニング」方向)にスキャンし、かつ、基板をこの方向に平行または非平行に同期スキャンすることによってターゲット部分の各々が照射されるいわゆるスキャナがある。
[0003] リソグラフィ投影装置を使用した製造プロセスでは、パターン(たとえばマスクのパターン)が、少なくとも一部が放射感応性材料(レジスト)の層でコーティングされた基板上に画像化される。このイメージングステップに先立って、プライミング、レジストコーティングおよびソフトベークなどの様々な処理手順を基板に加えることができる。露光後、ポスト露光ベーク(PEB)、現像、ハードベークおよび画像化されたフィーチャの測定/検査などの他の処理手順を基板に加えることができる。この一連の処理手順は、デバイス、たとえばICの個々の層をパターン化するための基本として使用される。次に、パターン化されたこのような層に、エッチング、イオン注入(ドーピング)、メタライゼーション、酸化、化学機械研磨などの様々な処理を加えることができる。これらの処理はすべて、個々の層の仕上げを意図したものである。複数の層を必要とする場合、新しい層の各々に対してこれらのすべての処理手順またはそれらの変形手順を繰り返さなければならない。最終的には複数のデバイスのアレイが基板(ウェーハ)上に出現する。
[0004] 放射システムおよびリソグラフィ装置の投影システムは、通常、放射のビームを導き、整形し、あるいは制御するためのコンポーネントを備えている。通常、投影システムは、投影システムの開口数(一般に「NA」と呼ばれている)を設定するための手段を備えている。たとえば、投影システムの瞳に調整可能NA絞りを提供することができる。放射システムは、通常、パターニングデバイスの上流側の強度分布(放射システムの瞳内の強度分布)の外側および/または内側半径範囲(一般に、それぞれσ−outerおよびσ−innerと呼ばれている)を設定するための調整手段を備えている。
[0005] 集積回路パターンを製造するためには、パターンのフィーチャ間の空間公差の制御ならびにフィーチャ寸法公差の制御が必要である。詳細には、集積回路デバイスの製造に許容される最小寸法(たとえばコンタクトのサイズ、もしくは線の幅または密線空間パターンの2本の線の間の空間の幅など)の公差の制御が重要な制御である。これらの最も重要な寸法のサイズは、クリティカルディメンジョン(「CD」)と呼ばれている。以下、このようなクリティカルディメンジョンを有するフィーチャをCDサイズフィーチャと呼ぶ。
[0006] 1つのフィーチャまたは複数のフィーチャのレジストの断面プロファイル(「レジストプロファイル」)の測定を使用して、印刷されたCDの測定値または印刷されたCDの1組の測定値を得ることができる。このコンテキストにおいては、印刷されたCDは、露光済みのレジスト層に露光後の処理を施した後に得られるフィーチャの寸法を意味している。
[0007] 従来の投影リソグラフィ技法では、印刷されるCDが変化するため、場合によってはプロセス寛容度すなわちプロセスウィンドウ(つまりCDに対する所与の公差に対する、被照射ターゲット部分の露光ドーズ量の許容残留誤差量と関連する有効焦点深度)が制限されている。印刷されるCDの変化は、同じ公称クリティカルディメンジョンを有するパターニングデバイスのフィーチャが、ターゲット部分の、フィーチャが画像化される部分の、たとえば基板トポグラフィ、画像湾曲あるいは基板の非平面性による焦点外れ(最良焦点面外れ)の量に応じて別様に印刷され得ることによって生じる。
[0008] 投影リソグラフィ印刷プロセスの場合、CDに対する焦点の影響は、リソグラフィプロセスを理解し、かつ、制御する上で重要な部分をなしている。焦点が変化すると、フィーチャのレジストプロファイルが変化するだけでなく、結果として生じる、印刷されるCDの他の処理誤差に対する感度が敏感になる。たとえば、スキャナ装置のスキャン速度の変化によって、基板全体を露光している間に残留露光ドーズ量が変化することがある。焦点の影響は露光ドーズ量によって決まるため、印刷されるCDの焦点および線量の逸脱に対する応答を判定する従来の方法は、CDサイズフィーチャを試験基板の上に備えた試験パターンを多数回にわたって露光することであり、リソグラフィ装置の露光ドーズ量設定値Eおよび基板焦点位置設定値Fの対応する異なる組合せ{E、F}で異なる露光が実行される。
[0009] 異なる露光が完了すると、試験基板が処理され(たとえばポスト露光ベークステップおよびレジスト現像ステップが含まれている)、印刷されたCDの測定が露光ドーズ量および焦点の組合せ{E、F}毎に実施されることができる。得られた、リソグラフィ装置の露光ドーズ量設定値および焦点設定値に対する印刷されたCDの応答を表す測定データは、グラフで目に見える形にすることができる。以下、露光ドーズ量設定値および焦点設定値に対する印刷されたCDの応答を関数CD(E、F)で表す。露光ドーズ量設定値および焦点設定値に対する印刷されたCDのこのような依存性CD(E、F)を記述したデータは、通常、一定の露光ドーズ量Eに対する印刷されたCD(垂直軸に沿った)対焦点設定値F(水平軸に沿った)のプロットによって表される。対応する曲線またはプロットは、Bossung曲線またはプロットと呼ばれている。
[0010] 対応する一連の露光ドーズ量をパラメータとして備えた一連のBossungプロットから、リソグラフィ装置上で実行する場合に、リソグラフィプロセスを特性化するための重要なメトリクスを引き出すことができる。このようなメトリクスは、たとえば焦点深度(「DOF」)およびプロセスウィンドウである。また、密CDサイズフィーチャおよび孤立CDサイズフィーチャの両方を試験パターンに含めることにより、孤立−密バイアスの測度を得ることができる。孤立−密バイアスは、2つのそれぞれ異なるピッチで配置された線などの2つの類似したフィーチャとフィーチャの間の、印刷されたCDの差を意味している。
[0011] 通常、パターニングデバイスのパターンは、特定のフィーチャにサイズバイアスを適用することにより、印刷された孤立フィーチャと印刷された密フィーチャの寸法の差がある程度最小化されるように設計される。パターニングデバイスのパターンに対して、線などの特定のフィーチャにサイズバイアスを適用することは、フィーチャのバイアス化と呼ばれており、線の場合、線のバイアス化と呼ばれている。しかしながら、印刷されるCDの実際のピッチ依存性は、たとえば投影システムの光波面収差などのリソグラフィ装置の特定の特性で決まり、また、焦点設定値および露光ドーズ量設定値などの装置の設定値で決まる。したがって、フィーチャがバイアスされている場合であっても、残留孤立−密バイアスが存在していることがある。
[0012] 基板に提供されるフィーチャの領域当たりの数がますます多くなるリソグラフィ分野の傾向に鑑みると、CD公差のバジェットはますます減少している。したがって、CD変化および孤立−密バイアスの制御方法を改善しなければならない。
[0013] 従来、印刷されるCDの、予め選択済みの個々の露光ドーズ量設定値Eおよび焦点設定値Fの変化CHおよびCHに対する応答CD(E、F)は、変化CHおよびCHのベキ級数としてモデル化されている。このようなモデルでは、応答CD(E、F)は、
で与えられる。上式で、
CH=E−E
CH=F−F (2)
であり、Ca;ijはモデルパラメータである。ベキiおよびjは、ゼロから予め選択済みの個々の値IおよびJまでである。
[0014] Fは、たとえば、投影システムの光軸に沿った基板の最良焦点位置BFの第1の予測値であってもよいことを理解されたい。同様に、露光ドーズ量Eは、CDサイズフィーチャをその公称サイズで印刷するために必要な最良露光ドーズ量の第1の予測値であってもよい。式(1)によれば、印刷されるCDの露光ドーズ量および焦点位置を関数としたモデルは、モデルパラメータCa;ijのセットによって画定され、そのセットは、S{Ca;ij}で表される。
[0015] 印刷されるCDを制御するための知られている方法には、CDに影響を及ぼすためのリソグラフィ装置の設定可能動作パラメータとして、露光エネルギーEおよび焦点設定値Fを利用するステップが含まれている。たとえば、焦点オフセットをリソグラフィ装置に適用することによって焦点変動の影響を補償することができる。これらの技法は、印刷されるクリティカルディメンジョンに露光ドーズ量Eおよび焦点Fを関連付ける制御アルゴリズムに、上で説明したモデルを使用している。たとえば、明確に知られているモデルは、モデルパラメータのセットS{Ca;00、Ca;10、他のすべてのCa;ij=0}を使用したモデルである。
[0016] もう1つの知られているモデルには、CH の代わりに(1−E/E)のベキの展開が含まれている。たとえば米国特許第6,643,596号を参照されたい。
[0017] 知られている方法には、印刷されたCDの測定データへのモデルパラメータの当てはめが含まれている。この当てはめには、モデル化されたデータと測定データの差のリダクションが必要であり、そのために様々な技法およびアルゴリズムを利用することができる。たとえば、最小二乗当てはめを使用することができる。得られた「当てはめ」モデルパラメータは、適用すべき設定値の変化を計算するために、制御アルゴリズムによって記憶され、かつ、使用される。
[0018] しかしながら、当てはめCD応答モデルを使用したCDの制御の有効性は、そのモデルの信頼性および測定データの精度に著しく依存している。
[0019] したがって、たとえば、精度が改善されたCD応答モデルに基づいてCDを制御するための方法が提供されることが望ましい。
本発明の一態様によれば、印刷されたフィーチャのサイズと、基板の表面にフィーチャを印刷するために使用されるリソグラフィ装置の動作パラメータの値との間の関係を較正するための方法であって、リソグラフィ装置の動作パラメータの第1の複数の個々の異なる値が予め選択され、対応する第1の複数の相互に排他的な個々の位置のサブセットを備えた基板上の第2の複数の異なる位置が予め選択され、個々の位置のサブセットの各々の位置が、動作パラメータの対応する個々の値に関連付けられる方法が提供される。この方法には、第2の複数の位置の各々にフィーチャを印刷するステップであって、動作パラメータの値が、位置毎に、対応する関連値に設定されるステップと、印刷されたフィーチャの各々のサイズを測定するステップと、第1のセットの膨張係数によって特徴付けられた動作パラメータの値における膨張と、第2のセットの膨張係数によって特徴付けられた位置の座標における膨張の合計としてサイズをモデル化するステップと、係数の第1および第2のセットに基づいてモデル化されたフィーチャサイズを、係数の第1および第2のセットの係数を適合させることによって測定フィーチャサイズに当てはめるステップと、第1のセットの係数の適合済み係数を記憶媒体に記憶するステップが含まれている。
[0020] 本発明の一態様によれば、パターンをパターニングデバイスから基板の表面に転送し、それにより基板の上にフィーチャのパターンを提供するためにリソグラフィ装置を使用するステップを含むデバイス製造方法が提供される。この方法には、1つまたは複数の装置設定値のあらゆる設定値の変化に対するフィーチャ特性の応答モデルに基づいて、1つまたは複数の装置設定値のうちの少なくとも1つの設定値の変化を計算するステップと、少なくとも1つの設定値の変化をリソグラフィ装置に適用するステップが含まれており、モデルには、基板の表面に対するフィーチャ特性の応答の空間可変性を表す付加応答モデルの項が含まれている。
[0021] 本発明の一態様によれば、フィーチャ特性は、フィーチャのクリティカルディメンジョンであり、また、少なくとも1つの設定値の変化には、基板を露光するための露光ドーズ量設定値、基板の焦点設定値、または露光ドーズ量設定値と焦点設定値の設定値変化が含まれている。
[0022] 本発明の他の態様によれば、リソグラフィ装置を制御し、それにより、1つまたは複数の装置設定値のあらゆる設定値の変化に対するフィーチャ特性の応答モデルに基づいて、1つまたは複数の装置設定値のうちの少なくとも1つの設定値の変化を計算するステップと、少なくとも1つの設定値の変化をリソグラフィ装置に適用するステップとを含み、基板の表面に対するフィーチャ特性の応答の空間可変性を表す付加応答モデルの項がモデルに含まれている方法を実行するためのプログラムコードを備えたコンピュータプログラム製品が提供される。
[0023] 以下、本発明の実施形態について、単なる実施例にすぎないが、添付の略図を参照して説明する。図において、対応する参照記号は、対応する部品を表している。
本発明の一実施形態によれば、リソグラフィ装置を使用したリソグラフィプロセスのクリティカルディメンジョン制御方法は、精度が改善されたクリティカルディメンジョン応答モデルに基づいている。この方法には、基板の露光ドーズ量設定値および焦点位置設定値の1つまたは複数の変化を計算するステップが含まれている(たとえば基板テーブルの位置を装置の投影システムの光軸に沿って変化させることによって)。計算に先立って、クリティカルディメンジョンCDなどの印刷されたフィーチャのサイズと、基板の表面にフィーチャを印刷するために使用されるリソグラフィ装置の動作パラメータの値、たとえば露光ドーズ量E(または変化CH)を表す値、あるいは焦点設定値F(または変化CH)を表す値との間の関係が較正される。リソグラフィ装置の動作パラメータの値は、調整可能であることが仮定されており、以下、装置の設定値として参照することも可能である。
通常、較正は、クリティカルディメンジョンCDと、露光ドーズ量E(または変化CH)の値あるいは焦点設定値F(または変化CH)の値のうちのいずれか一方の値との間の関係に関しており、この2つの値のうちのもう一方の値はパラメータと見なされる。1組の較正は、パラメータの複数の値と結合される。
較正には、リソグラフィ装置の動作パラメータの第1の複数の個々の異なる値、たとえば3つの個々の露光ドーズ量値、E−CH、EおよびE+CHを画定するステップが含まれている。次に、図1に示すように、基板上の第2の複数の異なる位置FPが画定される。図1では、20個のフィールド100の各々が位置FPを備えている(図1には、FPが1つしか示されていない)。フィールド100内の位置FPは、対応する第1の複数の相互に排他的な個々の位置のサブセットを備えており(図1には示されていない)、個々の位置のサブセットの各々の位置と、動作パラメータの対応する個々の値とを関連付けている。たとえば、図100では、図に示されている位置FPは、露光ドーズ量値E−CHと関連付けることができ、左上隅のフィールド100の右側のフィールドでは、位置FPは、Eと関連付けることができる。その隣のフィールドでは、E+CHと関連付けることができ、また、その隣のフィールドでは、再度E−CHと関連付けることができ、以下同様である。次に、第2の複数の位置の各々にフィーチャがリソグラフィ印刷され、それにより、動作パラメータの値が、位置毎に、対応する関連値に設定される。したがって、この例では、図1の左上隅のフィールドは、エネルギーE−CHで露光され、その右隣のフィールドは、エネルギーEで露光され、以下同様である。印刷されたフィーチャの各々のサイズ、たとえばCDは、たとえばSEMを使用して測定することができ、あるいはフィーチャが類似したフィーチャのアレイの一部である場合は、スキャッタメトリを使用して測定することができる。較正には、さらに、第1のセットの膨張係数によって特徴付けられた動作パラメータの値における膨張と、第2のセットの膨張係数によって特徴付けられた位置の座標における膨張の合計としてサイズをモデル化するステップが含まれている。この方法は、以下、応答モデルとしても参照されており、また、上で言及した係数は、以下、モデルパラメータとしても参照されている。較正には、さらに、係数の第1および第2のセットに基づいて予測されたフィーチャサイズを測定フィーチャサイズに当てはめるステップと、当てはめられた第1の係数を記憶媒体に記憶するステップが含まれている。
[0033] 上の例では、較正には、測定した印刷CDデータへのモデルの当てはめが含まれている。当てはめ済みモデルパラメータ値は、モデルを当てはめることによって得られ、かつ、記憶される。設定値変化の計算は、記憶されている当てはめ済みモデルパラメータ値に基づいている。この方法には、さらに、1つまたは複数の設定値の変化をリソグラフィ装置に適用するステップが含まれている。応答モデルには、式(1)によって与えられる応答CD(E、F)以外に、印刷されるCDの図1に示す基板Wに対する空間可変性を表す付加応答が含まれている。改良型モデルは、CD(E、F、{X})として表される。{X}は、基板W上のフィールド(またはダイあるいはターゲット部分)100のレイアウトを示す図1に示されているX、Y軸に沿った基板W上の位置を画定している1組の空間座標を表している。付加応答はF({X})で表され、したがって、
が得られる。ここで、上記1組の座標{X}は、基板上の位置をフィールド100の位置には無関係に識別するために、基板内座標{x、y}からなっている(図1を参照されたい)。
[0034] 付加応答F({X})は、基板内の影響(たとえば基板表面のレジスト層の厚さの変化による影響)に対する特性である。したがって、付加応答F({X})は、モデルパラメータCw;uvが、
である座標x、yのベキuおよびvの級数展開(0から予め選択済みの個々の最大ベキUおよびYまでの級数展開)として表すことができる。したがって、本発明の一実施形態によるCD応答モデルは、
として表すことができる。
[0035] 一実施形態によれば、印刷されるCDは、露光前および露光後のプロセス特性ならびにリソグラフィ露光装置の特性の両方に応答することが分かっている。後者の特性には、たとえば、装置の物理的な特性、装置−製造公差および可変性、ならびにリソグラフィ露光プロセスを実行するための装置設定値が含まれている。露光前および露光後のプロセス特性に対する応答は、結果として生じる、印刷されるCDの基板に対する空間可変性によって支配されることを理解されたい。したがって、定義によれば装置の特性に関連しているモデルパラメータCa;ijとは対照的に、モデルパラメータCw;uvは、主として、印刷されるCDに対する、通常はリソグラフィ装置には起因せず、したがって、その代わりにリソグラフィ装置以外のCD逸脱源に起因する影響に関係している。以下、分かり易くするために、後者の影響をプロセスインパクトと呼び、また、印刷されるCDに対するリソグラフィ露光装置特性の影響を装置インパクトと呼ぶ。
[0036] 基板または試験基板上のレジストを(CDサイズのパターンフィーチャでパターン化されたビームに)露光している間、装置インパクトとプロセスインパクトの両方が同時に存在するため、印刷の際にCDが結合インパクトによって影響される。この結合インパクトによって、式(1)によってモデル化され(かつ、リソグラフィ単一ダイ露光プロセスまたは全基板露光プロセスの間、インサイチュウCD制御に使用される)Bossung曲線の従来の測定精度が低下することがある。
[0037] Bossung曲線を提示するためのCDデータの従来の測定には、いわゆる焦点露光マトリックスデータ(FEMデータ)を取得する必要があり、そのために試験基板がレジスト層でコーティングされ、かつ、露光ドーズ量設定値Eと基板焦点設定値Fの対応する一連の異なる組合せで一連の露光が施されている。図2に示すように、露光ドーズ量設定値および焦点設定値は、設定値変化CHおよびCHがそれぞれ等しい一連の増分として配置されており、したがって設定値の範囲は、予測公称露光ドーズ量E(「サイズに対するドーズ量」)および公称最良焦点設定値F=BFの周りに対称に配置されている。試験パターニングデバイスは、フィールドまたはダイに対応するフィールドサイズ試験パターン200を備えている。フィールドサイズ試験パターン200は、通常、試験パターンモジュールTPMのマトリックス様空間構造Aを含むことができる。試験パターンモジュールTPMの各々は、たとえば5×7基本試験パターンTPのアレイを備えることができる。基本試験パターンTPの各々は、1つまたは複数のCDサイズフィーチャの全く同じ構造を備えている(図2には示されていない)。基本試験パターンは、1組の専用試験パターン構造として具体化することができるが、基本試験パターンは、そのような実施形態に限定されない。また、パターンTPは、単純に、印刷されるICデバイス層の所望のパターンの一部であってもよい。
[0038] 単一基本試験パターンTPは、予め選択済みの露光ドーズ量設定値および焦点設定値{E、F}で露光される。この露光の間、パターニングデバイスマスキングブレードを使用して、隣接する他のすべての基本試験パターンTPの露光を回避することができる。試験パターンモジュールTPMの異なる基本試験パターンTPは、同じ増分設定値変化のシーケンスに従って、対応するシーケンスの{E、F}設定値で逐次露光される。たとえば、図2に示すように、x方向に沿って露光ドーズ量を増加させることができ、また、y方向に沿って焦点設定値を大きくすることができる。試験基板の露光後処理の後、1つのモジュールTPMの印刷フィーチャが測定され、図3に示すように、5つのBossungプロット300に対するCDデータが得られる。Bossungプロット300の各々は、焦点軸に沿った7つのポイントによって画定されている。したがって、35個の測定ポイントが5つのBossungプロット300を画定しており、印刷されるCDのF設定値およびE設定値に対する依存性を示している。印刷されたCDの測定は、異なる基本試験パターンTP毎に、また、モジュールTPM毎に実施することができるため、ダイ内のすべてのCDデータが得られる。
[0039] 一実施形態によれば、FEMデータの従来のセットは、試験パターン200を露光するために使用される1つまたは複数のフィールドの基板表面上の選択された空間位置または基板表面の構造に影響されることは明らかである。したがって、Bossung曲線表現から、あるいは式(1)によって与えられるCD(E、F)で表されるCD応答データから、このような空間可変性を分離する方法を提供する必要がある。本発明の一実施形態によれば、異なる露光ドーズ量設定値Eおよび焦点設定値Fで測定した印刷CD応答に対するモデル−パラメータ当てはめを使用して、式(6)によって与えられるモデルを当てはめ、それにより、試験パターンモジュールTPMの基板内(x、y)座標の値、または必要に応じて個々のダイ内の個々の基本試験パターンTPの基板内(x、y)座標の値を組み込むことによって(延いてはこれらの値を追跡し続けることによって)このような分離が可能である。したがって、Ca;ij係数ならびにCw;uv係数を、それらに従来のデータ当てはめ技法の1つを使用して変化させることにより、これらの係数の当てはめ値が見出される。以下、 a;ij係数および w;uv係数の当てはめ値は、それぞれCa;ijおよびCw;uvで表され、また、当てはめモデルに基づく予測印刷CDは、CD(E、F、{X})で表され、
である。当てはめモデルから、
であるCD(E、F)によって与えられる装置インパクト特性部分を使用して、Bossungプロットを一般化し、かつ、リソグラフィプロセス実行中におけるクリティカルディメンジョンの制御に必要な露光ドーズ量設定値および焦点設定値の変化を計算することができる。次に、少なくとも1つの計算設定値変化がリソグラフィ装置に適用される。
[0040] 本方法には、印刷されたCDを基板上の複数の位置で測定するステップが含まれており、上で説明したように個々の測定が実行されるため、印刷されたCDの個々の異なるターゲット部分またはダイ内の異なる位置における測定が含まれていることを理解されたい。
[0041] 本発明の一態様によれば、個々の異なるダイ内の同じ位置における異なるダイまたはフィールドに画像化される試験パターン200から得られるCD測定データにモデル係数の当てはめを適用することができる。したがって、たとえばパターニングデバイスのパターン誤差の空間分布に関連する寄与を分離することができる。
[0042] 以下のステップが実行される。モデルを当てはめるステップ(つまり予測クリティカルディメンジョン応答を測定クリティカルディメンジョン応答に当てはめるステップ)、式(8)によって与えられるようなクリティカルディメンジョン応答のモデルに基づいて、基板を露光するための露光ドーズ量設定値および基板の焦点設定値の少なくとも1つの変化を計算するステップ、および設定値の少なくとも1つの変化をリソグラフィ装置に適用するステップ、である。
[0043] 試験パターン200を印刷するための異なるターゲット部分またはダイ100を、基板Wの基板表面全体が実質的にカバーされるように予め選択することにより、印刷されるCDの実質的に基板の表面全体の空間可変性を考慮することができる。
[0044] 従来の技法に勝る本発明の実施形態の効果を実例を挙げて説明するために、本発明の一実施形態による、CDに対する露光ドーズ量の影響および焦点変化の影響の当てはめモデルを使用して得られた、CD(E、F)(式(8)参照)で与えられる予測CD(E、F)値と、式(1)による従来の当てはめモデルを使用して得られた、CD空間可変性を無視して、従来の全基板FEMデータ収集を使用して得られるCD(E、F)値が比較された。分かり易くするために、比較は、図4に示すように、それぞれ1つの基本試験パターンTPを備えた5つの試験パターンモジュールが配置された試験パターン200の使用に基づいている。この試験パターンが基板W上のダイ領域100に画像化され、個々のダイの画像が、露光ドーズ量設定値および基板焦点設定値の特定の単一セット{E、F}で捕獲される。露光ドーズ量Eおよび焦点Fの設定値は、
E=E+rCH
F=F+rCH (9)
に従って空間的に変化している。rおよびrは、基板W上のダイ位置の関数として、平均値ゼロの近辺でランダムに変化する整数である。図4では、試験パターンモジュールTPMが基板に印刷される領域全体のグレイトーン変化が、測定された様々な印刷CD値を概略的に示している。
[0045] 図5に示すBossungプロット510は、ダイ内の予め選択済みの単一位置に対する(つまり複数の基本試験パターンTPのうちの1つに対する)露光ドーズ量Eおよび焦点Fを関数としたクリティカルディメンジョンの予測値を示したものである。CD(E、F)データは、測定されたCDデータ(図4に示すグレイトーンによって概略的に表示されている)に従来のCD(E、F)モデルのパラメータ値を当てはめた結果を表している。CD値の範囲500は、基板上のフィールド内の典型的なCD変化を示している。図5に示す曲線510は、CDデータに対する従来の当てはめの結果を示したもので、最良適合Bossung曲線510を得るために一次最小二乗当てはめアルゴリズムが使用されており、印刷されるCDのプロセスインパクトによるあらゆる空間可変性の影響が解析されず、また、考慮されていない。
[0046] 図6は、本発明の一実施形態によるモデルにデータを当てはめた結果を示したものである。付加応答F({X})がCD応答モデルに含まれており、Bossung曲線610は、CD(E、F)(式(8)参照)によって与えられる装置インパクト特性部分によるBossung曲線を表している。Bossung曲線510と比較すると、プロセスインパクトが実質的であることが理解される。図5に示すBossung曲線510は、円形対称プロセス効果のため(たとえばレジスト厚さの半径方向の変化などのため)、比較的平らである。このようなプロセスフィンガプリントによって、一定の露光ドーズ量の実際のCD(E、F)曲線、すなわちBossung曲線610の実際の放物線形状が不鮮明になる。したがって、露光プロセスの間、CDを制御するための、曲線610によって表されるデータに基づくあらゆる露光ドーズ量設定値調整および焦点設定値調整の精度が、曲線510によって表されるデータに基づく同じ調整に対して改善される。
[0047] 図7AのBossungプロット710は、予め選択済みの露光ドーズ量Eに対する焦点Fを関数としたクリティカルディメンジョンの予測値、およびダイ内の予め選択済みの単一位置に対する(すなわち複数の基本試験パターンTPEのうちの1つに対する)焦点Fを関数としたクリティカルディメンジョンの予測値を示したものである。CD(E、F)データは、式(1)に従って測定されたCDデータにCD(E、F)モデルのパラメータ値を当てはめた結果を表しており、したがって印刷されるCDのプロセスインパクトによるあらゆる空間可変性の影響は無視されている。放物曲線の頂点の位置は、最良焦点の値に対する特性であり、式(1)の係数Ca;01およびCa;02の値によって決定される。
[0048] 図7Bは、本発明によるモデルにCDデータを当てはめた結果を示したものである。付加応答F({X})がCD応答モデルに含まれており、Bossung曲線720は、CD(E、F)によって与えられる装置インパクト特性部分によるBossung曲線を表している(式(8)を参照されたい)。放物曲線の頂点の位置は、式(8)の係数 a;01および a;02の値によって決定される。Bossung曲線710と比較すると、最良焦点の位置BFの予測値に対するプロセスインパクトが実質的であることが理解される。CDの空間可変性が考慮されていない場合、最良焦点BF(図7Aに示す放物曲線710の頂点)は35nmである。しかしながら、本発明によれば、空間プロセス変動によるCDの可能空間可変性がCD応答モデルに組み込まれているため、最良焦点BF(図7Bに示す放物曲線720の頂点)は7nmである。このような差は、装置の有効焦点深度との関連で重要であり、リソグラフィ装置を使用している間、考慮されることが好ましい。本発明の一態様によれば、係数の値が記憶される記憶媒体は、使用中、リソグラフィ装置を制御するためのコントローラによるアクセスが可能である。コントローラは、たとえば、少なくとも1つの第1の係数と当てはめられた第1の係数との差に基づいて、たとえば焦点位置などの動作パラメータの調整量を計算し、かつ、計算した調整量を動作パラメータに適用するように構築し、かつ、配置することができる。
[0049] たとえば、図7Aおよび7Bに示す最良焦点の差は、式(1)の係数Ca;01およびCa;02の値、および式(8)の当てはめ係数 a;01および a;02の値に基づいて計算することができる。基板の改善された設定値は、後続する露光の間、計算された最良焦点の差をz位置調整として基板テーブルに適用することによって得られる。
[0050] 公称クリティカルディメンジョンからの逸脱は、基板の特性、基板の露光前および露光後の処理、ならびにパターニングデバイスの特性に起因している場合がある。印刷されるCDに対するこれらの特性による影響は、基板内CD効果と呼ばれている。基板内CD効果は、従来、たとえば露光ドーズ量Eおよび最良焦点設定値Fの特定の単一設定値{E、F}で動作しているリソグラフィ投影露光装置を使用して印刷されたCDサイズフィーチャのレジストプロファイルから、印刷されたCDを測定することによって確立されている。式(6)のモデルのようなCD応答モデルCD({X})が使用されるが、係数Ca;ijを有する項は、存在していないか、あるいは乗法的方法でパターニングデバイス座標依存性を含むことができる(したがって係数Ca;ijは、パターニングデバイス座標の関数である)。本発明による一実施形態とは対照的に、測定データがこのような測定技法を使用して測定された、つまり得られた場合、CDに対する装置の影響を測定データから分離することはできない。しかしながら、得られた情報を使用して、プロセスインパクトによるCD誤差源を調査することができる。
[0051] 他の実施形態によれば、それぞれ露光ドーズ量設定値および焦点設定値の設定値変化CHおよびCHなどの選択された装置設定値変化のあらゆる摂動Pに対するCDの応答は、その前の実施形態のCD応答モデルに含まれている。たとえば、個々の露光ドーズ量設定値および焦点設定値、E=CH+EおよびF=CH+BFの可能有効摂動Pa;EおよびPa;Fを考慮するためのモデルCD(Pa;E、Pa;F、E、F、{X})が提供されている。このようなモデルは、
によって与えることができる。ベキpおよびqは、ゼロから予め選択済みの個々の値PおよびQまでである。装置モデルパラメータ pca;pqは、予めモデルパラメータに当てはめられており、測定したCDデータをモデルに当てはめるためには、他のモデルパラメータCaおよびCwを変化させ、かつ、係数 pca;pqの代わりに摂動Pa;EおよびPa;Fを変化させる必要がある。有効露光ドーズ量の摂動を組み込むことにより、露光の間、たとえばスキャナ装置のスキャン運動誤差に起因する露光ドーズ量の可能変化を考慮することができる。測定したCDデータへの式(10)によって与えられるモデルの当てはめを反復することにより、係数 pca;pqの改善された予測を得る。
[0052] さらに他の実施形態では、本方法は、クリティカルディメンジョンの制御およびクリティカルディメンジョンのモデル化に限定されていない。本方法は、特性に対する装置の影響を修正することにより、類似した方法で、他のあらゆるリソグラフィフィーチャ特性のモデル化、およびそれに続く特性の制御に適用することができることを理解されたい。たとえば、本方法は、CDサイズフィーチャの側壁角度のモデル化および制御に適用することができる。また、その場合、基板全体の変化は、定義済みオフセットに対する付加効果を有することになる。
[0053] 同様に、本方法は、露光ドーズ量設定値および焦点設定値の変化による影響のモデル化に限定されない。印刷されるフィーチャの特性に対する装置の影響は、たとえば、σ−outerおよびσ−innerなどの照明設定値、パターニングデバイスのパターンの画像を投影するために使用される放射のビームのスペクトル強度分布に影響する設定値、放射のパルスビームのパルス形状に影響する設定値、開口数NAなどの投影システム設定値、およびパターニングデバイス、投影システムの1つまたは複数の光学エレメントおよび基板の位置および配向設定値のグループの変化によって得ることができる。
[0054] この実施形態では、応答モデルFRは、対応する1組の装置設定値AS、...、ASの1組の変化CH、...、CHに対する印刷フィーチャ特性FRの応答を表している。Rは、リソグラフィ露光プロセスの間、フィーチャ特性FRを制御するために使用される設定値の総数を表している。その前の実施形態の場合と同様、装置インパクトを表す項を含み、かつ、プロセスインパクトを記述した項から分離することができる応答モデルを取得しなければならない。したがって、その前の実施形態の場合と同様、応答モデルには付加応答F({X})が含まれており、
によって与えられる。モデルは、さらに、式(10)と同様、選択された装置設定値および装置設定値変化における有効誤差の特性FRに対する影響を表す摂動項のベキ級数展開を含むことができる。
[0055] 次に、試験基板がレジスト層でコーティングされ、かつ、設定値変化CH、...、CHの対応する一連の任意の異なる組合せで一連の露光が施され、露光済み試験基板の処理の後、フィーチャ特性FRの測定データが収集され、記憶される。次に、異なる組合せの設定値変化に対して測定された印刷応答FRに対するモデルパラメータの当てはめを使用して、式(10)によって与えられるモデルが当てはめられる。その前の実施形態の場合と同様、測定のために使用される、基板上の試験パターンのx、y座標の値は、この当てはめに含まれている。式(11)のモデル係数の当てはめ値は、記憶され、リソグラフィプロセスの生産運転を実行している間、フィーチャ特性FRを制御するための設定値変化CH、...、CHの所望の値を計算する制御アルゴリズムの基本として機能する。
[0056] その前のすべての実施形態と同じであるさらに他の実施形態では、上で言及した変化CHおよびCHなどの装置設定値の個々の変化を、図4に概略的に示すように、フィーチャ応答データを測定するために試験パターン100または試験パターンモジュールTPMが露光される基板上の任意の位置に、ランダムまたは擬似ランダムの関係で配列することによって、測定した応答データにモデルを当てはめる手順が容易化されている。予め選択済みの設定値変化を使用して実行される露光のこのようなランダムまたは擬似ランダムの空間配置により、他のプロセスと関連するフィーチャ応答誤差源の存在との相関が回避または最小化される。したがって、当てはめ手順の精度を改善することができる。
[0057] 図8は、本発明の実施形態によるリソグラフィ装置を略図で示したものである。この装置は、
[0058] − 放射ビームB(たとえば193nmまたは157nmの波長で動作しているエキシマレーザによって生成されるようなUV放射またはDUV放射、あるいはたとえば13.6nmで動作しているレーザ生成プラズマ源によって生成されるEUV放射)を条件付けるように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、
[0059] − パターニングデバイス(たとえばマスク)MAを支持するように構築された、特定のパラメータに従って該パターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された支持構造(たとえばマスクテーブル)MTと、
[0060] − 基板(たとえばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構築された、特定のパラメータに従って該基板を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(たとえばウェーハテーブル)WTと、
[0061] − パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを基板Wのターゲット部分C(たとえば1つまたは複数のダイを備えている)に投影するように構成された投影システム(たとえば屈折型投影レンズシステム)PSと
を備えている。
[0062] 照明システムは、放射を導き、整形し、あるいは制御するための、屈折光学コンポーネント、反射光学コンポーネントまたは他のタイプの光学コンポーネント、あるいはそれらの任意の組合せなどの様々なタイプの光学コンポーネントを備えることができる。
[0063] 支持構造は、パターニングデバイスの配向、リソグラフィ装置の設計および他の条件、たとえばパターニングデバイスが真空環境中で保持されているか否か等に応じた方法でパターニングデバイスを保持している。支持構造には、パターニングデバイスを保持するための機械式クランプ技法、真空クランプ技法、静電クランプ技法または他のクランプ技法を使用することができる。支持構造は、たとえば必要に応じて固定または移動させることができるフレームまたはテーブルであってもよい。支持構造は、パターニングデバイスをたとえば投影システムに対して所望の位置に確実に配置することができる。本明細書における「レチクル」または「マスク」という用語の使用はすべて、より一般的な「パターニングデバイス」という用語の同義語と見なすことができる。
[0064] 本明細書に使用されている「パターニングデバイス」という用語は、放射ビームの断面にパターンを付与し、それにより基板のターゲット部分にパターンを生成するべく使用することができる任意のデバイスを意味するものとして広義に解釈されたい。放射ビームに付与されるパターンは、たとえばそのパターンに位相シフトフィーチャまたはいわゆるアシスト特徴が含まれている場合、基板のターゲット部分における所望のパターンに必ずしも厳密に対応している必要はないことに留意されたい。放射ビームに付与されるパターンは、通常、ターゲット部分に生成されるデバイス、たとえば集積回路などのデバイス中の特定の機能層に対応している。
[0065] パターニングデバイスは、透過型であってもあるいは反射型であってもよい。パターニングデバイスの実施例には、マスク、プログラマブルミラーアレイおよびプログラマブルLCDパネルがある。マスクについてはリソグラフィにおいては良く知られており、バイナリ、alternating位相シフトおよび減衰位相シフトなどのマスクタイプ、ならびに様々なハイブリッドマスクタイプが含まれる。プログラマブルミラーアレイの実施例には、マトリックスに配列された、入射する放射ビームが異なる方向に反射するよう個々に傾斜させることができる微小ミラーが使用されている。この傾斜したミラーによって、ミラーマトリックスで反射する放射ビームにパターンが付与される。
[0066] 本明細書に使用されている「投影システム」という用語は、たとえば使用する露光放射に適した、もしくは液浸液の使用または真空の使用などの他の要因に適した、屈折光学システム、反射光学システム、カタディオプトリック光学システム、磁気光学システム、電磁光学システムおよび静電光学システム、またはそれらの任意の組合せを始めとする任意のタイプの投影システムが包含されているものとして広義に解釈されたい。本明細書における「投影レンズ」という用語の使用はすべて、より一般的な「投影システム」という用語の同義語と見なすことができる。
[0067] 図に示すように、この装置は、透過型(たとえば透過型マスクを使用した)タイプの装置である。別法としては、この装置は、反射型(たとえば上で参照したタイプのプログラマブルミラーアレイを使用した、あるいは反射型マスクを使用した)タイプの装置であってもよい。
[0068] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル(および/または複数の支持構造)を有するタイプの装置であってもよい。このような「マルチステージ」マシンの場合、追加テーブルを並列に使用することができ、あるいは1つまたは複数の他のテーブルを露光のために使用している間、1つまたは複数のテーブルに対して予備ステップを実行することができる。
[0069] また、リソグラフィ装置は、基板の少なくとも一部が比較的屈折率の大きい液体、たとえば水によって覆われ、それにより投影システムと基板の間の空間が充填されるタイプの装置であってもよい。液浸技法は、当分野では、投影システムの開口数を大きくすることで良く知られている。本明細書に使用されている「液浸」という用語は、基板などの構造を液体に浸さなければならないことを意味しているのではなく、露光中、投影システムと基板の間に液体が配置されることを意味しているにすぎない。
[0070] 図8を参照すると、イルミネータILは、放射源SOから放射ビームを受け取っている。放射源がたとえばエキシマレーザである場合、放射源およびリソグラフィ装置は、個別の構成要素にすることができる。このような場合、放射源は、リソグラフィ装置の一部を形成しているとは見なされず、放射ビームは、たとえば適切な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを備えたビームデリバリシステムBDを使用して放射源SOからイルミネータILへ引き渡される。それ以外のたとえば放射源が水銀灯などの場合、放射源はリソグラフィ装置の一構成要素にすることができる。放射源SOおよびイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDと共に、放射システムと呼ぶことができる。
[0071] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するためのアジャスタADを備えることができる。通常、イルミネータの瞳面内における強度分布の少なくとも外側および/または内側半径範囲(一般に、それぞれσ−outerおよびσ−innerと呼ばれている)は調整が可能である。また、イルミネータILは、インテグレータINおよびコンデンサCOなどの他の様々なコンポーネントを備えることができる。イルミネータを使用して放射ビームを条件付け、所望する一様な強度分布をその断面に持たせることができる。
[0072] 支持構造(たとえばマスクテーブル)MTの上に保持されているパターニングデバイス(たとえばマスク)MAに放射ビームBが入射し、パターニングデバイスによってパターン化される。パターニングデバイスMAを透過した放射ビームBは、ビームを基板Wのターゲット部分Cに集束させる投影システムPSを通過する。基板テーブルWTは、第2のポジショナPWおよび位置センサIF(たとえば干渉計デバイス、リニアエンコーダまたは容量センサ)を使用して正確に移動させることができ、それによりたとえば異なるターゲット部分Cを放射ビームBの光路内に配置することができる。同様に、第1のポジショナPMおよびもう1つの位置センサ(図8には明確に示されていない)を使用して、たとえばマスクライブラリから機械的に検索した後、またはスキャン中に、パターニングデバイスMAを放射ビームBの光路に対して正確に配置することができる。通常、支持構造MTの移動は、第1のポジショナPMの一部を形成しているロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微動位置決め)を使用して実現することができる。同様に、基板テーブルWTの移動は、第2のポジショナPWの一部を形成しているロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールを使用して実現することができる。(スキャナに対して)ステッパの場合、支持構造MTは、ショートストロークアクチュエータのみに接続することができ、あるいは固定することも可能である。パターニングデバイスMAおよび基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1、M2および基板アライメントマークP1、P2を使用して整列させることができる。図には専用ターゲット部分を占有している基板アライメントマークが示されているが、基板アライメントマークは、ターゲット部分とターゲット部分の間の空間に配置することも可能である(このような基板アライメントマークは、スクライブレーンアライメントマークとして知られている)。同様に、複数のダイがパターニングデバイスMA上に提供される場合、ダイとダイの間にパターニングデバイスアライメントマークを配置することができる。
[0073] 図に示す装置は、以下に示すモードのうちの少なくとも1つのモードで使用することができる。
[0074] 1.ステップモード:支持構造MTおよび基板テーブルWTが基本的に静止状態に維持され、放射ビームに付与されたパターン全体がターゲット部分Cに1回で投影される(すなわち単一静止露光)。次に、基板テーブルWTがX方向および/またはY方向にシフトされ、異なるターゲット部分Cが露光される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一静止露光で画像化されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
[0075] 2.スキャンモード:放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影されている間、支持構造MTおよび基板テーブルWTが同期スキャンされる(すなわち単一動的露光)。支持構造MTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの倍率(縮小率)および画像反転特性によって決まる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光におけるターゲット部分の幅(非スキャン方向の幅)が制限され、また、スキャン運動の長さによってターゲット部分の高さ(スキャン方向の高さ)が決まる。
[0076] 3.その他のモード:プログラマブルパターニングデバイスを保持するべく支持構造MTが基本的に静止状態に維持され、放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影されている間、基板テーブルWTが移動またはスキャンされる。このモードでは、通常、パルス放射源が使用され、スキャン中、基板テーブルWTが移動する毎に、あるいは連続する放射パルスと放射パルスの間に、必要に応じてプログラマブルパターニングデバイスが更新される。この動作モードは、上で参照したタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを利用しているマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
[0077] 上で説明した使用モードの組合せおよび/またはその変形形態、あるいは全く異なる使用モードを使用することも可能である。
[0078] 本明細書においては、とりわけICの製造におけるリソグラフィ装置の使用が参照されているが、本明細書において説明したリソグラフィ装置は、集積光学システム、磁気ドメインメモリのための誘導および検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造などの他のアプリケーションを有していることを理解されたい。このような代替アプリケーションのコンテキストにおいては、本明細書における「ウェーハ」または「ダイ」という用語の使用はすべて、それぞれより一般的な「基板」または「ターゲット部分」という用語の同義語と見なすことができることは当業者には理解されよう。本明細書において参照されている基板は、たとえばトラック(通常、基板にレジストの層を塗布し、かつ、露光済みのレジストを現像するツール)、メトロロジーツールおよび/またはインスペクションツール中で、露光前または露光後に処理することができる。適用可能である場合、本明細書における開示は、このような基板処理ツールおよび他の基板処理ツールに適用することができる。また、基板は、たとえば多層ICを生成するために複数回にわたって処理することができるため、本明細書において使用されている基板という用語は、処理済みの複数の層が既に含まれている基板を指している場合もある。
[0079] 本明細書に使用されている「放射」および「ビーム」という用語には、紫外(UV)放射(たとえば365nm、355nm、248nm、193nm、157nmまたは126nmの波長あるいはその近辺の波長の放射)、および極端紫外(EUV)放射(たとえば波長の範囲が5〜20nmの放射)を含むあらゆるタイプの電磁放射が包含されている。
[0080] コンテキストが許容する場合、「レンズ」という用語は、屈折光学コンポーネントおよび反射光学コンポーネントを始めとする様々なタイプの光学コンポーネントのうちの任意の1つまたは組合せを意味している。
[0081] 以上、本発明の特定の実施形態について説明したが、説明した以外の方法で本発明を実践することができることは理解されよう。たとえば本発明は、上で開示した方法を記述した1つまたは複数の機械読取可能命令シーケンスを含んだコンピュータプログラムの形態を取ることができ、あるいはこのようなコンピュータプログラムを記憶したデータ記憶媒体(たとえば半導体記憶装置、磁気ディスクまたは光ディスク)の形態を取ることができる。
[0082] 以上の説明は例示を意図したものであり、本発明を制限するものではない。したがって、特許請求の範囲に示す各請求項の範囲を逸脱することなく、上で説明した本発明に改変を加えることができることは当業者には明らかであろう。
[0024]基板または試験基板および基板上のダイまたはフィールドの配置を示す図である。 [0025]焦点露光マトリックスとして配置された印刷パターンを得るために使用される試験パターンを示す図である。 [0026]露光ドーズ量によってパラメータ化された典型的なBossung曲線のセットを示すグラフである。 [0027] パターンが印刷される基板上の領域における、基板表面上の位置に関連し、かつ、露光ドーズ量設定値および焦点設定値に関連する個々の様々な測定クリティカルディメンジョンデータを概略的に表す様々なグレイトーンの空間分布を示す図である。 [0028] 従来の予測技法および図4に示すクリティカルディメンジョンデータを使用して得られた露光ドーズ量および焦点に対する予測クリティカルディメンジョン依存性を示す1組のBossung曲線を示すグラフである。 [0029] 本発明の一実施形態による予測技法および図4に示すクリティカルディメンジョンデータを使用して得られた露光ドーズ量および焦点に対する予測クリティカルディメンジョン依存性を示す1組のBossung曲線を示すグラフである。 [0030]予め選択済みの露光ドーズ量に対する焦点を関数としたクリティカルディメンジョンの予測値を示すグラフである。 [0031]クリティカルディメンジョンの空間可変性を考慮したモデルにクリティカルディメンジョンデータを当てはめた結果としての、予め選択済みの露光ドーズ量に対する焦点を関数としたクリティカルディメンジョンの予測値を示すグラフである。 [0032]本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を示す図である。

Claims (13)

  1. 印刷されたフィーチャのサイズと、基板の表面に前記フィーチャを印刷するために使用されるリソグラフィ装置の動作パラメータの値と、の間の関係を較正する方法であって、
    前記リソグラフィ装置の前記動作パラメータの第1の複数の個々の異なる値が予め選択され、対応する第1の複数の相互に排他的な個々の位置のサブセットを含む前記基板上の第2の複数の異なる位置が予め選択され、個々の位置のサブセットの各々の位置が、前記動作パラメータの対応する個々の値に関連付けられ、
    前記方法が、
    前記第2の複数の位置の各々に前記フィーチャを印刷するステップであって、前記動作パラメータの前記値が、位置毎に、対応する関連値に設定されるステップと、
    前記印刷されたフィーチャの各々の前記サイズを測定するステップと、
    第1のセットの係数によって特徴付けられた前記動作パラメータの前記値におけると、第2のセットの係数によって特徴付けられた位置の座標におけると、の合計として前記サイズをモデル化するステップと、
    前記係数の第1および第2のセットに基づいてモデル化されたフィーチャサイズを、前記係数の第1および第2のセットの係数を適合させることによって前記測定フィーチャサイズに当てはめるステップと、
    前記第1のセットの係数の適合済み係数を記憶媒体に記憶するステップとを含み、
    前記第2のセットの係数によって特徴付けられた位置の座標における項は、前記基板の表面に対するフィーチャサイズの空間可変性を表す付加応答モデルの項であり、
    使用中、前記リソグラフィ装置を制御するためのコントローラによる前記記憶媒体へのアクセスが可能であり、
    第1の係数と適合済みの第1の係数の差に基づいて前記動作パラメータの調整量を計算するステップと、
    前記調整量を前記動作パラメータに適用するステップと、をさらに含む、
    方法。
  2. 前記サイズが前記フィーチャのクリティカルディメンジョンである、
    請求項に記載の方法。
  3. 前記複数の異なる位置が、個々の異なるターゲット部分に異なる位置を含む、
    請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記複数の異なる位置が、単一のターゲット部分に異なる位置を含む、
    請求項1又は2に記載の方法。
  5. 前記個々の位置のサブセットのうちの少なくとも1つのサブセットの位置が、前記基板の領域全体のランダム分布または擬似ランダム分布によって特徴付けられた、
    請求項1から4の何れか一項に記載の方法。
  6. 前記動作パラメータが、前記基板を露光するための露光ドーズ量、前記基板の焦点設定値、または前記基板を露光するための露光ドーズ量と前記基板の焦点設定値を含む、
    請求項1から5の何れか一項に記載の方法。
  7. 前記動作パラメータが、照明設定値、σ−outer設定値、σ−inner設定値、パターンを前記基板に転送するための放射のビームのスペクトル強度分布設定値、投影レンズエレメント設定値、開口数NAの設定値、パターニングデバイスの位置設定値および前記基板の位置設定値を含む、
    請求項1から5の何れか一項に記載の方法。
  8. パターンをパターニングデバイスから基板の表面に転送し、それにより前記基板の上にフィーチャのパターンを提供するためにリソグラフィ装置を使用するステップを含むデバイス製造方法であって、
    1つまたは複数の装置設定値のあらゆる設定値の変化に対するフィーチャ特性の応答モデルに基づいて、前記1つまたは複数の装置設定値のうちの少なくとも1つの設定値の変化を計算するステップと、
    前記少なくとも1つの設定値の変化を前記リソグラフィ装置に適用するステップと、を含み、
    前記モデルには、前記基板の表面に対する前記フィーチャ特性の応答の空間可変性を表す付加応答モデルの項が含まれている、
    デバイス製造方法。
  9. 前記フィーチャ特性は、前記フィーチャのクリティカルディメンジョンである、
    請求項8に記載の方法。
  10. 前記少なくとも1つの設定値の変化には、前記基板を露光するための露光ドーズ量、前記基板の焦点設定値、または前記露光ドーズ量と前記焦点設定値の設定値変化が含まれている、
    請求項8又は9に記載の方法。
  11. リソグラフィ装置を制御し、それにより、1つまたは複数の装置設定値のあらゆる設定値の変化に対応するフィーチャ特性の応答モデルに基づいて、前記1つまたは複数の装置設定値のうちの少なくとも1つの設定値の変化を計算するステップと、
    前記少なくとも1つの設定値の変化を前記リソグラフィ装置に適用するステップと、を含み、
    前記モデルには、基板の表面に対する前記フィーチャ特性の応答の空間可変性を表す付加応答モデルの項が含まれている、
    方法を実行するためのプログラムコードを備えた、
    コンピュータプログラム。
  12. 前記フィーチャ特性は、前記フィーチャのクリティカルディメンジョンである、
    請求項11に記載のコンピュータプログラム。
  13. 前記少なくとも1つの設定値の変化には、前記基板を露光するための露光ドーズ量、前記基板の焦点設定値、または前記露光ドーズ量と前記焦点設定値の設定値変化が含まれている、
    請求項11又は12に記載のコンピュータプログラム。
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