JP4669103B2 - 光伝送システムにおける偏波分散補償装置および方法 - Google Patents

光伝送システムにおける偏波分散補償装置および方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学手段による信号伝送の領域にあり、また特に、光ファイバーを使用する遠距離リンクにおける高速伝送にある。
【0002】
本発明は、光ファイバー伝送システムで観察される偏波分散を少なくとも部分的かつダイナミックに補償するための装置に関する。
【0003】
【従来の技術】
光ファイバー伝送システムは一般に、
− 伝送情報に応じて、少なくとも1つの光搬送波の光パワーおよびまたは光周波数を変調する送信端末と、
− 送信端末から送信される信号を導く少なくとも1つのシングルモードファイバー区間からなる光伝送リンクと、
− ファイバーから伝送される光信号を受信する受信端末とを含む。
【0004】
特に信号の品質およびビットレートという観点から、光伝送システムの性能は、光信号を劣化する物理現象を受けるリンクのさまざまな光特性により特に制限される。確認されている全ての現象のなかで、光パワーの減衰および波長分散は、最も困難なものとして最初に出現する現象であり、こうした現象によって生じる劣化を少なくとも部分的に解消するための手段が提案された。
【0005】
所定のタイプのファイバーにおける減衰は、信号搬送波の波長に依存する。従って、「標準ファイバー」と呼ばれる最近10年間に設置されたシングルモードファイバーは、波長が約1.5μmであるとき減衰が最小になり、搬送波に対してこの値を選択することが有利である。
【0006】
また、伝送距離をさらに延ばすために、リンクの上流側または下流側あるいは全長に沿って配置された光増幅器により、減衰を補正可能であった。
【0007】
同様に、波長分散も波長に依存する。標準ファイバーの場合、波長分散は、1.3μmのときゼロであり、1.5μmでおよそ1.7ps/(km・nm)に相当する。1.5μmで減衰が小さいため、「分散シフトファイバー」と呼ばれる新しいファイバーが開発され、新ファイバーは、この波長で波長分散がゼロである。
【0008】
しかしながら、既に設置された標準ファイバーの性能を改善するために、標準ファイバーの1.5μmでの波長分散効果もまた修正する努力がなされた。
【0009】
1つの解決方法は、「分散補償ファイバー」またはDCF(「Dispersion Compensating Fiber」)と呼ばれる少なくとも1つの分散補償ファイバーを、リンクに挿入することからなる。これによって、波長分散を正確に補償するには、分散補償ファイバーの距離および分散特性を、こうした分散補償ファイバーに沿って累積される分散が、伝送リンクのファイバーに沿って形成される分散に等しく、かつ反対であるようにするだけでよい。
【0010】
1つまたは複数の分散補償ファイバーを含んだリンク全体の残留累積分散値DRを、1つまたは複数の分散補償ファイバーの累積分散DLと、伝送リンクのファイバーの累積分散DCとの代数的な和として、定義することができる。この値は、数学的には次の式によって表される。
【0011】
【数1】
Figure 0004669103
ここで、zは、分散補償ファイバーに沿って配置される点の横座標であり、またzは、結合されるリンクに沿って配置される点の横座標である。Dは、分散補償ファイバーの横座標zにおける波長分散パラメータであり、Dは、伝送リンクのファイバーの横座標zにおける波長分散パラメータである。累積分散DC、DLを表す積分は、それぞれ分散補償ファイバーに沿って、また結合される伝送リンクのファイバーに沿って計算され、光波の伝播方向を正の方向として考慮している。
【0012】
分散パラメータDは、以下の式による伝播定数βに関与する。
【0013】
【数2】
Figure 0004669103
ここで、ωは、光波の角周波数であり、cは、真空における光の速度である。
【0014】
従って、波長分散の正確な補償条件は、DR=DC+DL=0である。
【0015】
実際には、波長分散の正確な補償が常に最適であるとは限らない。何故なら、受信され補償された信号の品質はまた、伝送の他のパラメータ、特に伝送信号の変調のタイプに依存するからである。これは、送信信号が「chirp」すなわち、光周波数が任意の振幅変調を伴う場合に特にそうなる。
【0016】
事実、このような補償が課されるのは必要な場合だけであって、すなわち、商業的に許容可能な限界値、一般には補償なしにエラーレイトが10−15を越えるような幾つかの伝送条件(ファイバーのタイプ、変調のタイプ、伝送距離およびビットレート)に対してだけである。しかも、分散補償ファイバーを最低コストにするために、通常は、必要なエラーレイトと相容れる最低補償値を選択する。そのため、十分に短いリンクの場合は、波長分散を補償しようとする努力さえなされない。
【0017】
現在まで、上記の補償は独立して扱われ、「偏波モード分散」と呼ばれる好ましくない別の現象は考慮に入れてこなかった。実際、光伝送の現行の利用条件では、この現象は長い間、波長分散に対して無視できるものとみなされてきた。だが、更にリンクの距離を延ばそうとし、また特にビットレートを増やそうとする以上、もはやこの現象を無視することはできない。
【0018】
通常の意味における波長分散がなくても、また送信機のレベルでレーザダイオードから供給される搬送波が完全に偏波されていても、ファイバーは偏波分散を受け、たとえば送信端末から送られるパルスが、ファイバー内を伝播後に変形されて受信され、通常の時間よりも長い時間がかかるという結果をもたらす。
【0019】
こうした変形は、ファイバーの複屈折性によるものであり、伝送中に光信号の偏波が解消される結果になる。第一次近似では、リンクファイバーの端で受信した信号は、2個の直交成分から構成されるものとみなされ、一方の直交成分は、伝播速度が最高である偏波状態(最も速い主要偏波状態)に対応し、他方の直交成分は、伝播速度が最低である偏波状態(最も遅い主要偏波状態)に対応する。換言すれば、リンクファイバーの端で受信したパルス信号は、優先的な偏波状態に従って偏波されて最初に到着する第1のパルス信号と、遅延伝播状態に従って伝播されて、特にリンクファイバーの距離に依存する「群遅延時間差」またはDGD(「Differential Group Delay」)と呼ばれる遅延を伴って到着する第2のパルス信号とからなるものとみなすことができる。従って、この2つの主要偏波状態またはPSP(「Principal States of Polarisation」)が、リンクを特徴付ける。
【0020】
そのため、送信端末が、非常に短いパルスからなる光信号を送信する場合、受信端末が受信する光信号は、直交偏波されてDGDに等しい時間差を有する2個の連続パルスから構成される。端末による検出は、受信した光パワー全体の測定を電気的に供給することからなるので、検出されたパルスの時間幅は、DGDの値に応じて増加する。
【0021】
この遅延は、距離100キロメートルの標準ファイバーの場合、約50ピコセカンドとすることができる。受信端末が受信するパルスが変形していると、伝送データの復号化エラーを引き起こし、その結果として、偏波分散は、アナログおよびデジタルの光リンクの性能を制限するファクターになる。
【0022】
現在、偏波分散が小さい(約0.05ps/km)シングルモードファイバーを製造することが知られている。しかしながら、設置された「標準ファイバー」に対して問題は存続し、これらの標準ファイバーは偏波分散が非常に大きいことから、伝送されるビットレートが増加する場合に技術的に重大な妨げになる。一方で、この問題は、偏波分散の小さいファイバーに対しても、ビットレートをさらに増加したいときに発生する。
【0023】
さらに、偏波保持ファイバーまたはPMF(Polarisation Maintaining Fiber)とも称される偏波分散の大きいファイバーを、短い距離の区間の幾つかに使用することにより、主要偏波状態が不変である固定遅延時間差(fixed differential delay)を得ることができる。このような構成部品(あるいは2つの直交偏波モードの間で遅延時間差(differential delay)を発生するあらゆる装置)を、偏波分散を受ける伝送リンクと直列に適切に配置することによって、偏波分散を光学的に補償することができる。これは、リンクと同じ遅延時間差を有するが、低速と高速の主要偏波状態を交換する偏波保持ファイバーを使用することによって、あるいは、リンクおよび偏波保持ファイバーの組合せの主要偏波状態を、送信源の偏波状態と一致させることにより実現できる。このために偏波コントローラを使用し、これをリンクと偏波保持ファイバーとの間に設置する。
【0024】
偏波モード分散現象の重要な特徴は、遅延時間差の値DGDとリンクの主要偏波状態とが、振動や温度などの多数のファクターに応じて経時的に変化することにある。従って、波長分散とは反対に、偏波分散はランダム現象であるとみなさなければならない。特に、測定されたDGDの平均値として定義される「PMD」(「Polarisation Mode Dispersion Delay」、偏波モード分散遅延)の値によって、リンクの偏波分散を特徴付ける。より詳しくは、一般にポアンカレ球により偏光状態を示すストークスのベクトル空間で、ランダム回転ベクトルΩによって偏波分散を示すことができる。
【0025】
こうしたランダムの特徴がもたらす別の結果として、補償装置は、適応性のあるものでなくてはならず、また偏波保持ファイバーの遅延時間差は、補償されるべき遅延時間差の値に少なくとも等しくなるように選択しなければならない。このような補償装置は、欧州特許出願EP−A−853395(1997年12月30日出願、1998年7月15日公開)に記載されている。
【0026】
PMDの補償についての研究段階で出現した1つの問題は、偏波分散および波長分散を組み合わせた影響の問題である。実際には、PMDの補償は、リンクの全体としての残留波長分散値からきわめて影響を受けやすく、従って波長分散補償の存在と選択された値との影響を受けやすい。
【0027】
特に、PMDがない場合には、このような補償が不要であるようなリンクに対しても、同じ波長分散の正確な補償を導入する必要性が指摘されている。
【0028】
同様に、PMDが存在するときに、適用すべき波長分散の最適補償値が常に、PMDが存在しない場合に適用する最適補償値に対応するわけではないことも明らかになってきた。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、前述の検討事項を考慮することによって偏波分散の補償有効性を改善することにある。
【0030】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明は、偏波光信号を送信する送信端末と、伝送光ファイバーと、場合によっては光増幅器および受信端末とを含む、光伝送システム用の補償装置を目的とし、この装置は、偏波分散を補償する第1の補償手段を含み、この第1の補償手段が、
少なくとも1つの偏波コントローラと、
2つの直交偏波モードの間で遅延時間差(differential delay)を発生するための遅延時間差発生手段とを含み、偏波コントローラおよび遅延時間差発生手段が、伝送ファイバーと受信端末との間にこの順序で挿入され、
また、偏波コントローラの制御手段を含み、
補償装置が、さらに、前記送信および受信端末の間に挿入され波長分散を補償する第2の補償手段を含み、前記第2の補償手段は、受信端末が受信した信号のエラーレイトを最小化する固定値補償を実施することを特徴とする。
【0031】
だが、エラーレイトを最小化する波長分散補償値を直接決定することは容易ではない。事実、PMDのランダム特性により、このような方法は、実験およびシミュレーションによって多くの時間を要すると思われる。
【0032】
実際には、光特性は同じであるが偏波分散のないリンクで実施される波長分散補償に応じて、パワーペナルティ曲線を設定し、この曲線により固定値を間接的に決定することができる。所定の波長分散補償値に対するパワーペナルティは、受信機レベルで同一エラーレイトを維持するために受信信号が持たなければならない最低平均パワーと、こうした所定の波長分散補償値および最も弱い最低平均パワーを要する補償との比(dB)により表される。
【0033】
また、本発明の特徴によれば、補償装置は、前記固定値が、波長分散補償の最低値および最大値の平均に等しく、最低値および最大値では、実施される波長分散補償に応じて設定されるパワーペナルティが、約1dBであることを特徴とする。
【0034】
かくして、実施すべき補償値の収集は、PMDに固有のランダム性に関係なく行われるが、提案された解決方法は、波長分散システムの許容範囲を改善することにより、こうしたランダム性という側面を考慮に入れている。
【0035】
本発明はまた、上記の装置に対応する補償方法を目的とする。この方法は、偏波分散を補償する第1の補償を実施するものであり、前記送信および受信端末の間に挿入された波長分散補償手段を用いて波長分散を補償する第2の補償を含み、前記第2の補償は、受信端末による受信信号のエラーレイトを最小化する固定値を有することを特徴とする。
【0036】
さらに本発明は、上記の補償装置を組み込んだ光伝送システムを目的とする。システムは、単一チャンネルにして、すなわち単一の波長が支持する一つの信号を搬送するように構成するか、または波長分割多重化(「WDM」)にして、異なる複数の波長が支持する複数のチャンネルからなる一つの信号を搬送するように構成できる。後者の場合、各チャンネルに対して特定の補償を行わなければならない。そのために、本発明による装置は、少なくとも1つのチャンネルを抽出するための手段と、このチャンネルに結合する少なくとも1つの補償装置とを含む。
【0037】
本発明の他の特徴および長所は、添付図面に関する以下の説明により明らかになるだろう。
【0038】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明による補償装置を備えた光伝送システムを例として概略的に示している。
【0039】
図示された例は、波長λ、λ’、λ”によりそれぞれ支持される複数のチャンネルSλ、Sλ’、Sλ”を搬送するように構成された波長分割多重化システムである。各チャンネル、たとえばSλは、光信号を送信する送信端末TXから送られ、この光信号は、偏波搬送波の振幅(およびまたは光周波数)変調の形状を有する。チャンネルは、マルチプレクサ1で組み合わされ、マルチプレクサの出力が伝送光リンクに接続される。このリンクは、一般に、光ファイバーLFから構成され、ファイバーの前段およびまたは後段に配置された光増幅器(図示せず)を含むことができる。リンクはまた、光増幅器を間に配置する複数のファイバー区間から構成可能である。
【0040】
リンクの端は、受信機RXに送られたチャンネルを抽出する役割をするデマルチプレクサ2を介して、少なくとも1つの受信端末RXに接続される。
【0041】
システムは、デマルチプレクサ2と受信機RXとの間に配置される偏波分散補正手段CMを含み、この補正手段が、
少なくとも1つの偏波コントローラPCと、
2つの直交偏波モードの間の遅延時間差を発生するための遅延時間差発生手段DDGとを含み、偏波コントローラおよび遅延時間差発生手段が、伝送ファイバーと受信端末との間にこの順序で挿入され、
また、偏波コントローラPCの制御手段CUを含む。
【0042】
偏波分散補正手段CMの詳しい構成と、対応する説明は、上記の欧州特許出願EP−A−853395に記載されている。制御手段CUは、たとえば遅延時間差発生装置DDGから送られる信号の偏波度を最大化するように構成されており、遅延時間差発生装置は一般に、偏波保持ファイバーPMFから構成される。エラーレイトの最小化をめざす他の制御方法も使用可能であり、たとえば、遅延時間差発生装置DDGからの光信号を検出して得られる電気信号の変調のスペクトル幅を最小化するように制御を構成する。
【0043】
本発明によれば、補償装置は、波長分散補償手段DCMによって補完される。波長分散補償手段は、ここでは、デマルチプレクサ2の前段に伝送ファイバー(LF)と直列に配置された第1の分散補償ファイバーDCF0と、デマルチプレクサ2および受信機RXの間に配置される第2の分散補償ファイバーDCF1とからなる。このような配置により、第1の分散補償ファイバーDCF0によりチャンネル全体に対して共通の補償を実施し、第2の分散補償ファイバーDCF1により各チャンネルに対して特定の補償を実施することができる。
【0044】
さらに、分散補償ファイバーDCF0およびDCF1は、受信端末RXが受信する信号のエラーレイトを最小化する固定値DCxの補償を実施するように選択される。
【0045】
単一チャンネルシステムの場合は、マルチプレクサ1およびデマルチプレクサ2がないことで上記の場合と区別される。
【0046】
非線形効果などの他の現象を考慮しない場合、波長分散補償手段DCMを構成する1つまたは複数の分散補償ファイバーの場所は、決定的ではない。何故なら、リンクの全体としての残留波長分散値だけが重要であるからである。しかしながら、現実的な理由から、受信機の近傍に1つまたは複数の分散補償ファイバーを配置することが好ましいことがある。
【0047】
先に述べたように、エラーレイトを最小化する波長分散補償値を決定するには、PMDを受けるリンクによる伝送信号のエラーレイトを直接測定してきわめて簡単に行えるというわけではない。PMDのランダム性から、実験でもシミュレーションでも時間的に非常にコストがかかる統計方法が必要とされる。
【0048】
このような困難を回避するために、光特性は同じであるが偏波分散のないリンクで実施される波長分散補償に応じて、パワーペナルティ曲線を設定し、この曲線により波長分散補償値を決定することが提案されている。従って、このような解決方法は、PMDによるランダム性という側面をなくすという結果をもたらす。
【0049】
こうした状況において、所定の波長分散補償値に対するパワーペナルティは、PMDのないリンクの場合、受信機レベルで同一エラーレイトを維持するために、受信信号が持たなければならない最低平均パワーと、こうした所定の波長分散補償値および最も弱い最低平均パワーを要する補償との比(dB)により決定される。
【0050】
この曲線は、偏波分散がごく小さいが補償すべき実際のリンクと同等であるファイバーにより、シミュレーションまたは実験によって得られる。
【0051】
たとえば図2は、負の「CHIRP」を備え、100kmの標準ファイバー[D=17ps/(nm・km)]においてビットレート10Gbitの信号NRZを伝送する特定のケースに対して、このようなパワーペナルティ曲線を示している。
【0052】
パワーペナルティPPは、デシベルで表されており、波長分散補償DCは、ナノメートル当たりピコセカンドで表されている。
【0053】
DC1=−2210ps/nmと、DC2=−170ps/nmとの2個の値に対して、約1dBのパネルティーが得られる。DC1より低い側およびDC2を超えた側の曲線の勾配が大きいことを考慮すると、これらの値は限界値に相当し、この限界値の間に、PMDがない場合の受け入れ可能な補償値がある。
【0054】
従って、実施する補償を決定するための従来の方法は、経済的な理由から、必要なペナルティに対応する最低値を選択することから構成される。ところが、PMDを考慮する場合、一般には、この基準を受け入れることはできない。それとは反対に、波長分散補償が、PMDのランダム性に対して最大の許容性を確保するきわめて正確な値を取ることが必要である。
【0055】
これは、遅延時間差ならびにリンクの主要偏波状態が、光周波数(高次の効果)に依存することによって説明される。第一次近似では、PMDのランダム性の結果として、実際のリンクのペナルティ曲線が、補償平均点の周囲でランダムな移動を受ける。
【0056】
提案された解決方法は、パワーペナルティが約1dBである、波長分散補償の最低値DC1および最大値DC2の平均に等しい値DCxを補償値として選択することにより、この平均点を実際に見積もることを目指している。図示された例では、DCx=−1190ps/nmである。
【0057】
さらに、曲線は、補償値DC0=−850ps/nmに対応する最低ペナルティ点を通る垂線の周囲で一般に対称ではないことに気づく。これは、PMDがある場合もない場合も、リンクに対する最適補償値が一般に異なることを意味している。
【0058】
図3から図6に示された実験による曲線から、この解決方法の有効性を検証できる。各図は、遅延時間差装置DDGから送られる信号の偏波度DOPに応じた、ビットエラーレイトBERの測定値にそれぞれ対応する点の配置を示している。各図は、測定時間を制限するように一定レベルのノイズを信号に付加した、先行する伝送例に関係するものである。
【0059】
図3は、PMDも波長分散も補償しない場合に対応する。
【0060】
図4は、PMDだけを補償する場合に対応する。
【0061】
図5は、波長分散だけを補償する場合に対応する。
【0062】
図6は、本発明に従ってPMDおよび波長分散を同時に補償する場合に対応する。
【0063】
図6は、得られるエラーレイトが統計的に明らかに改善されることを示している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による補償装置を含む光伝送システムの概略図である。
【図2】偏波分散のないリンクで実施される波長分散補償に応じた、パワーペナルティ曲線を示すグラフである。
【図3】本発明による補償の有効性を見積もり可能なエラーレイト測定実験による曲線を示すグラフであり、PMDも波長分散も補償しない場合を示す。
【図4】PMDだけを補償する場合の、図3と同様のグラフである。
【図5】波長分散だけを補償する場合の、図3と同様のグラフである。
【図6】本発明に従ってPMDおよび波長分散を同時に補償する場合の、図3と同様のグラフである。
【符号の説明】
1 マルチプレクサ
2 デマルチプレクサ
S 偏波光信号
TX 送信端末
LF 伝送光ファイバー
RX 受信端末
PC 偏波コントローラ
DDG 遅延時間差発生手段
CU 制御手段
DCM 波長分散補償手段
DCF0 第1の分散補償ファイバー
DCF1 第2の分散補償ファイバー
DC 波長分散補償
DCx 固定値
DC1 波長分散補償の最低値
DC2 波長分散補償の最大値
Sλ、Sλ’、Sλ” 波長分割多重化チャンネル
PP パワーペナルティ

Claims (7)

  1. 偏波光信号(S)を送信する送信端末(TX)と、伝送光ファイバー(LF)と、受信端末(RX)とを含む光伝送システム用の補償装置であって、偏波分散を補償する第1の補償手段を含み、この第1の補償手段が、
    少なくとも1つの偏波コントローラ(PC)と、
    2つの直交偏波モードの間で遅延時間差を発生するための遅延時間差発生手段(DDG)とを含み、偏波コントローラおよび遅延時間差発生手段が、伝送ファイバーと受信端末との間にこの順序で挿入され、
    また、偏波コントローラ(PC)の制御手段(CU)を含み、
    補償装置が、さらに、前記送信および受信端末(TX、RX)の間に挿入された波長分散を補償する第2の補償手段(DCM、DCF0)を含み、前記第2の補償手段(DCM、DCF0)が、受信端末(RX)が受信した信号のエラーレイトを最小化する固定値(DCx)の補償を実施することを特徴とする補償装置。
  2. 前記固定値(DCx)は、波長分散補償の最低値(DC1)および最大値(DC2)の平均に等しく、最低値および最大値では、実施される波長分散補償に応じて設定されるパワーペナルティが、光パワーの減衰特性は同じであるが偏波分散のないリンクに対して約1dBであることを特徴とする請求項1に記載の補償装置。
  3. 偏波光信号(S)を送信する送信端末(TX)と、伝送光ファイバー(LF)と、受信端末(RX)とを含み、偏波分散を補償する第1の補償を実施する光伝送システム用の偏波分散補償方法であって、前記送信および受信端末(TX、RX)の間に挿入された波長分散補償手段(DCM、DCF0)を用いて波長分散(DC)を補償する第2の補償を含み、前記第2の補償は、受信端末(RX)による受信信号のエラーレイトを最小化する固定値(DCx)を有することを特徴とする補償方法。
  4. 前記固定値(DCx)は、波長分散補償の最低値(DC1)および最大値(DC2)の平均に等しく、最低値および最大値では、実施される波長分散補償に応じて設定されるパワーペナルティが、光パワーの減衰特性は同じであるが偏波分散のないリンクに対して約1dBであることを特徴とする請求項3に記載の補償方法。
  5. 請求項1または2に記載の補償装置を含むことを特徴とする光伝送システム。
  6. 複数の波長分割多重化チャンネル(Sλ、Sλ’、Sλ”)を備える信号のための光伝送システムであって、前記チャンネルの少なくとも1つ(Sλ)を抽出するための手段(2)と、抽出されたチャンネルに結合される少なくとも1つの請求項1または2に従った補償装置(CM、DCF0)とを含むことを特徴とするシステム。
  7. 前記波長分散補償手段(DCM、DCF0)は、前記抽出手段(2)の前段で前記伝送光ファイバー(LF)に直列に配置される第1の分散補償ファイバー(DCF0)と、前記抽出手段(2)および前記受信端末(RX)の間に配置される第2の分散補償ファイバー(DCF1)とを含むことを特徴とする請求項6に記載の光伝送システム。
JP2000094455A 1999-03-31 2000-03-30 光伝送システムにおける偏波分散補償装置および方法 Expired - Fee Related JP4669103B2 (ja)

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