JP4668774B2 - 増幅回路及びそれを用いた検波装置 - Google Patents
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Description
本願図5に、これらの従来の増幅回路の構成例を例示する。この増幅回路は、カレントミラー形式の能動負荷を有する差動増幅器(回路A及び回路B)を2段構成に連結したものであり、ここでは、1段目の回路Aの出力信号である信号sが、2段目の回路Bの入力信号になっている。
なお、本図6−A中の記号Vdsatは、ドレイン電流の飽和特性領域の入口点におけるニー電圧(:ソース・ドレイン間の飽和電圧)を示しており、例えば、符号Vdsat5は、トランジスタ5の上記のニー電圧を示している。
以下、この図6−Aが表す思想について、詳しく説明する。
(必要となるバイアス条件)
Vds ≧ Vdsat …(1)
Vgs ≧ Vdsat + Vt …(2)
ただし、ここで、電圧Vtは、そのFETのゲートの閾値電圧を示している。そして、この関係を図示したものが、図7−Aである。ただし、図中の矢印は、電位の低い点から電位の高い点に向って描かれている。また、図中に記載されているこれらの矢印の大きさ(電位差の絶対値)は、上記のバイアス条件を満たすためのドレイン電圧Vdsやゲート電圧Vgsの絶対値の下限値(即ち、上記式(1),(2)の右辺)を示している。
更にまた、Pチャネル型のFETについても、略同様に考えればよい。それらの関係を図8−A,−Bに示した。これらの図8−A,−Bにおいても、図7−A,−Bと同様にして、矢印の大きさは、必要とされるバイアス条件を満たすための各電位差(絶対値)の下限値を示している。ただし、ここでは、そのPチャネル型のFETのゲート電圧に関する閾値電圧を記号Vtpで示した。
また、図6−Bは、上記の関係を用いて上記の図6−Aと同様にして、図5の二段目の差動増幅器(回路B)の入力端子(トランジスタ6のゲート端子)に関する入力バイアス許容範囲を求めたものである。
(増幅回路の動作条件1)
(回路Aの出力バイアス許容範囲の上限値)=Vdd−Vdsat3−Vtp
>(回路Bの入力バイアス許容範囲の下限値)=Vdsat10+Vdsat6+Vt …(3)
(仮定条件1)Vdsat4=Vdsat6=Vdsat10=0.2v
(仮定条件2)Vtp=Vt
(増幅回路の動作条件2)
Vdd − 2Vt > 0.6v …(4)
したがって、図5の従来の増幅回路は、特に電池で駆動する場合などに、十分な動作環境が得易いものであるとは、必ずしも言い切れなかった。
即ち、本発明の第1の手段は、トランジスタを用いた増幅回路において、p型の主要トランジスタを含む第1直列回路と、直流電源とアースとの間において第1直列回路に対して並列に接続された第2直列回路とを設け、ゲート/ベース端子を当該増幅回路の入力端子とする主要トランジスタと、この主要トランジスタのソース/エミッタ端子と直流電源との間に接続された第1給電トランジスタと、その主要トランジスタのドレイン/コレクタ端子とアースとの間に接続されたトランジスタから成る第1負荷とから上記の第1直列回路を構成し、当該増幅回路の出力端子と直流電源との間に接続された第2給電トランジスタと、出力端子とアースとの間に接続されたトランジスタから成る第2負荷とから上記の第2直列回路を構成し、上記の第2給電トランジスタのゲート/ベース端子を上記の第1給電トランジスタのゲート/ベース端子に接続して、一定のバイアス電圧を印加し、上記の第1負荷のトランジスタのゲート/ベース端子と第2負荷のトランジスタのゲート/ベース端子とを接続し、第1負荷と第2負荷とを互いに同量の電流を流すカレントミラー形式の能動負荷から構成し、主要トランジスタのソース/エミッタ端子とアース間に、入力端子に印加される交流電圧に応じて、主要トランジスタを流れる交流電流を増減させるコンデンサを接続したことである。
ただし、上記の第1給電トランジスタと第2給電トランジスタとの対は、カレントミラー回路を構成するためのものであるので、互いに同一仕様のトランジスタで構成することが望ましい。また、上記の第1負荷と第2負荷についても同様に、同一仕様のトランジスタで構成することが望ましい。
以上の本発明の手段により、前記の課題を効果的、或いは合理的に解決することができる。
即ち、本発明の第1の手段によれば、直流電源とアースとの間において、上記の第1直列回路に対して並列に接続される上記の第2直列回路は、上記の第2給電トランジスタと上記の第2負荷との直列接続から構成される。このため、出力端子を備える第2直列回路上には、トランジスタを3個以上直列接続する必要がない。即ち、電源アース間をつなぐ上記の第2直列回路は、2つのトランジスタの直列接続で構成可能となる。
したがって、本発明の第1の手段によれば、当該増幅回路の出力バイアスの許容範囲が従来よりも大幅に広くなり、これによって、その後段に更に接続することが可能な2段目の増幅回路の入力バイアスの許容範囲に、当該増幅回路の出力バイアス許容範囲を重ね合わせることが非常に容易となる。
このため、本発明の第1の手段によれば、目的の増幅回路の回路構成に関する自由度が更に広がって、従来よりも低電圧駆動の増幅回路を構成する上で、入力側との接続構成についても出力側との接続構成についても、更に回路設計が容易となる。
また、本発明の第4の手段によれば、上記の増幅回路の特長をそのまま検波装置に活かすことができるので、環境変動に強い安定性と高い利得との双方に優れた、低電圧駆動が容易な検波装置を容易に構成することが可能となる。
ただし、本発明の実施形態は、以下に示す個々の実施例に限定されるものではない。
即ち、この第1直列回路は、ゲート端子を当該増幅回路100の入力端子とする主要トランジスタM1と、この主要トランジスタM1のソース端子と直流電源との間に接続された第1給電トランジスタM2と、主要トランジスタM1のドレイン端子とアースとの間に接続された第1負荷M3との直列接続によって構成されている。
また、主要トランジスタM1のソース端子は、第1給電トランジスタM2のドレイン端子に接続されると同時に、一端がアースされたコンデンサCaの他端にも接続されている。
(カレントミラー作用)
I2=I4=一定,
I3=I5 …(5)
(定常状態)
I2=I1=I3 …(6)
したがって、式(5),(6)より、定常状態においてはI5=I4=一定となるので、当該増幅回路100の出力端子からの電流の出入りは生じない。
即ち、この増幅回路100によって、増幅作用を伴う電圧電流変換を実現することができる。
(増幅回路100の出力バイアスの許容範囲の広さΔout100 )
Δout100 = Vdd−Vt−VdsatM3−VdsatM4 …(7)
(従来の回路Aの出力バイアスの許容範囲の広さΔoutA )
ΔoutA = Vdd−Vtp
−Vdsat2−Vdsat3−Vdsat5 …(8)
例えば、増幅回路100の次段に接続する回路として、図5の回路Bを採用する場合を以下では考える。この場合には、前述の式(3)を導いた場合と同様にして、次式(9)を良好な動作条件と考えることができる。
(増幅回路の動作条件1′)
Vdd−VdsatM4 > Vdsat10+Vdsat6+Vt …(9)
(増幅回路の動作条件2′)
Vdd − Vt > 0.6v …(10)
したがって、Vdd≒1.2v、Vt≒0.5v程度の場合においても、増幅回路100の出力バイアスは、図5の回路Bの入力バイアスに合わせることが可能なことが分かる。即ち、増幅回路100は、従来よりも大幅に低い駆動電圧で動作させることができることが分った。
(ニー電圧Vdsatとドレイン電流Idとの関係)
Vdsat = (2Id/β)1/2 …(11)
ただし、ここで、上記の定数βはそのFETのチャネルやゲートの構造によって一意に決まる正実数である。
したがって、例えば、上記のトランジスタTr1,Tr2のエミッタサイズを大きくすることによって、本検波装置110の利得を大きく確保しようとする場合には、上記の電圧降下量の減少にともなって、検波ダイオードTr2からの出力バイアス電位が増幅回路100の入力バイアス電位の許容範囲内に納まらなくなる恐れが生じる。
この様なカレントミラー形式の回路構成によれば、トランジスタTr10,Tr11,Tr12,M10には、何れもそれぞれ定電流路y2と同量の電流を流すことができるので、これによって、検波装置110に関する所望の低電流回路を具体的かつ効果的に実現することができる。
この様な差動形式の回路構成に従えば、接続点Aと接続点A′とを互いに同電位に維持することによって、無入力の待機時においては、接続点t1と接続点t2とが互いに同電位に維持されるので、この時は当該検波装置200の出力である出力電位Voutと参照電位Vrefも互いに同電位に維持される。
また、同様の目的で、入力側増幅回路100の第2給電トランジスタM4のゲート端子と、参照側増幅回路100′の第2給電トランジスタM4のゲート端子とは互いに接続する。
本発明の実施形態は、上記の形態に限定されるものではなく、その他にも以下に例示される様な変形を行っても良い。この様な変形や応用によっても、本発明の作用に基づいて本発明の効果を得ることができる。
例えば、上記の実施例2、3では、検波ダイオードTr2に対するバイアス回路を検波ダイオードTR1(ダイオード接続のトランジスタ)を用いて構成したが、倍電圧による検波方式を採らない場合には、検波ダイオードTR1に代えて、このバイアス回路を抵抗やインダクタで構成しても良い。本願発明における検波回路は、これらの任意性を有するものである。ただし、検波ダイオードTr1を用いる構成によって、マッチング回路中のコンデンサと共に倍電圧検波回路を構成することができるので、この場合には、倍電圧整流作用によって特に高い利得を得ることができる。
また、バイポーラ型のトランジスタとMOS型のトランジスタとは、回路設計の上では略等価な作用を供する半導体素子であるので、各実施例で例示したそれらの各半導体素子は、それぞれ他の型のトランジスタに置換することが可能である。ただし、第1給電トランジスタと第2給電トランジスタとの対は、カレントミラー回路を構成するものであるので、互いに同一仕様のトランジスタで構成することが望ましい。また、第1負荷と第2負荷についても同様に、同一仕様のトランジスタで構成することが望ましい。
このため、本発明は、例えば高周波信号を受信によりウェイクアップする起動信号出力回路などの任意の回路に応用することができ、例えば、ETC、RFID、DSRC、スマートプレートなどの移動体通信機などにも極めて有用となる。
M3,M5 : nチャネル型FET
Tr1,TR2 : ダイオード接続のトランジスタ
Vdsat : ニー電圧
Vt,Vtp : 閾値電圧
100 : 増幅回路
110,200 : 検波装置
Claims (6)
- トランジスタを用いた増幅回路において、
p型の主要トランジスタを含む第1直列回路と、
直流電源とアースとの間において前記第1直列回路に対して並列に接続された第2直列回路とを有し、
前記第1直列回路は、
ゲート/ベース端子を当該増幅回路の入力端子とする前記主要トランジスタと、
前記主要トランジスタのソース/エミッタ端子と前記直流電源との間に接続された第1給電トランジスタと、
前記主要トランジスタのドレイン/コレクタ端子と前記アースとの間に接続されたトランジスタから成る第1負荷と
から構成されており、
前記第2直列回路は、
当該増幅回路の出力端子と前記直流電源との間に接続された第2給電トランジスタと、 前記出力端子と前記アースとの間に接続されたトランジスタから成る第2負荷と
から構成されており、
前記第2給電トランジスタのゲート/ベース端子は、前記第1給電トランジスタのゲート/ベース端子に接続され、それらの両ゲート/ベース端子は、一定のバイアス電圧が印加されており、
前記第1負荷と前記第2負荷は、それらの両トランジスタのゲート/ベース端子が、相互に接続され、互いに同量の電流を流すカレントミラー形式の能動負荷から構成されており、
前記主要トランジスタの前記ソース/エミッタ端子と前記アース間には、前記入力端子に印加される交流電圧に応じて、前記主要トランジスタを流れる交流電流を増減させる、コンデンサが挿入されている
ことを特徴とする増幅回路。 - トランジスタを用いた増幅回路において、
1台の差動増幅器と、
前記差動増幅器の被増幅信号入力端子に前記出力端子が接続された請求項1に記載の一つの増幅回路からなる入力側増幅回路と、
前記差動増幅器の参照電位入力端子に前記出力端子が接続された請求項1に記載のもう一つの増幅回路からなる参照側増幅回路と
を有する
ことを特徴とする増幅回路。 - 半導体素子を用いて高周波電力を検出する検波装置において、
請求項1に記載の増幅回路と検波回路とを有し、
前記検波回路は、
前記主要トランジスタのゲート/ベース端子に接続されている
ことを特徴とする検波装置。 - 半導体素子を用いて高周波電力を検出する検波装置において、
請求項2に記載の増幅回路と検波回路とを有し、
前記検波回路は、
前記入力側増幅回路の前記主要トランジスタのゲート/ベース端子に接続されている
ことを特徴とする検波装置。 - 前記検波回路は、
直列接続された2つのダイオードを有する倍電圧検波回路から構成されており、
前記検波回路が接続された前記主要トランジスタのゲート/ベース端子は、
2つの前記ダイオードの直列接続を介して、前記直流電源に接続されている
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の検波装置。 - 前記検波回路が接続された前記主要トランジスタのゲート/ベース端子は、
一定の微小電流を流す定電流路を介してアースされている
ことを特徴とする請求項5に記載の検波装置。
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