JP4665350B2 - 測定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空間内に固定された立体チャートと可動式撮影装置の撮影位置との相対関係を特定するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
人物や物体の空間内における相対位置と相対姿勢を求める技術が、仮想現実(バーチャルリアリティ)の分野等において求められている。例えば、「L.Quan, Z.Lan, "Linear N-Point Camera Pose Determination", IEEE Trans.PAMI 21(8) 1999」、および「高橋、石井、牧野、中静、”人工現実感インターフェースのための単眼画像からのマーカの位置と姿勢の計測"、電子情報論文誌AJ79 1996」にそれらを求めるアルゴリズムが開示されている。これらの技術によれば、基準となる物体を撮影した場合、その撮影した画像を用いて撮影位置の空間に対する相対位置と相対姿勢を求めることができる。以下、ここで開示されているアルゴリズムを「多点解析アルゴリズム」と呼ぶことにする。
【0003】
また、立体的な被写体を複数の方向から撮影し、それによって得られた複数の画像データを組み合わせることによって、当該被写体の3次元画像モデルを得るという技術が知られている。すなわち、複数の方向から被写体を撮影したそれぞれの画像ごとに、カメラの外部パラメータ(カメラの位置や姿勢等)と内部パラメータ(焦点距離等)のデータを得ることができれば、シェープ・フロム・シルエット法によって、被写体のシルエット画像から3次元のモデルを再構成することができる。このシェープ・フロム・シルエット法についての詳細は、W.Niem, "Robust and Fast Modelling of 3D Natural Objects from Multiple Views" SPIE Proceedings Image and Video Proceeding II vol.2182,1994,pp.388-397に開示されている。以下、カメラの外部パラメータと内部パラメータとを「(カメラの)校正パラメータ」と総称するが、この校正パラメータのうち内部パラメータが既知であって内部パラメータによるカメラの校正が完了している場合には、カメラの外部パラメータが求まれば、被写体の3次元画像モデルの構築が可能となる。
【0004】
ところで、このように複数の方向から被写体を撮影するにあたっての1つの方法は、複数のカメラを異なる位置に固定配置して被写体を撮影する固定配置方式である。しかしながら、この固定配置方式では複数のカメラを撮影スタジオ内などに固定的に分散配置しておかねばならないために、撮影設備が大がかりになる。
【0005】
そこで、ユーザが1台の手持ちカメラを持って被写体の周りを移動しつつ、複数の方向から被写体を順次に撮影することによって被写体の全周囲の画像を得る移動撮影方式が提案されている。
【0006】
しかしながら、この移動撮影方式でカメラの外部パラメータを決定するには、それぞれの撮影に際してのカメラの位置および姿勢をそのつど特定することが必要となる。
【0007】
このような目的でカメラの外部パラメータを測定する方式について不均一マトリクスパターンが描かれた単一の平面チャートを所定位置に配置し、それをカメラで観測することによってその平面チャートとカメラとの位置や姿勢関係を、「多点解析アルゴリズム」を用いて特定する方式が特開2000−270343に開示されている。
【0008】
これによれば、平面チャートに固定された座標系に対するカメラの位置および姿勢の相対的関係がわかるため、平面チャートと被写体との位置および姿勢関係を固定しておけば、複数の方向から被写体を撮影するたびごとに、平面チャート上のパターンをカメラで観測することにより、その時点でのカメラの位置および姿勢が絶対座標系で特定できることになる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特開2000−270343公報の技術では、撮影している時点では、取得された画像が演算処理を行うための精度を有しているか否かが不明であるため、そのままの状態で撮影を続けることの可否判断ができず、無駄な撮影が行われるという問題があった。
【0010】
本発明は従来技術における上述の課題を解決するために成されたものであり、ユーザに負担をかけることなく、適切な画像データが得られないような無駄な撮影を防止することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、物体を測定する測定装置において、3次元上の既知の形状を有する基準物体を撮影するための第1の撮影装置と、前記第1の撮影装置で撮影された基準物体画像に基づいて前記測定装置の姿勢を算出する姿勢検出手段と、前記第1の撮影装置で撮影された画像を表示する表示手段と、物体の2次元画像を撮影する第2の撮影装置と、を備えており、前記表示手段は、前記第1の撮影装置で撮影された画像と、前記第2の撮影装置で撮影された画像とを選択的に表示する。
【0013】
請求項に記載の発明は、物体を測定する測定装置において、3次元上の既知の形状を有する基準物体を撮影するための第1の撮影装置と、前記第1の撮影装置で撮影された基準物体画像に基づいて前記測定装置の姿勢を算出する姿勢検出手段と、前記第1の撮影装置により、前記基準物体が撮影可能な状態であるかどうかを検出する検出手段と、前記検出手段による検出結果を告知する手段と、を備えている。
【0014】
請求項に記載の発明は、物体を測定する測定装置において、3次元上の既知の形状を有する基準物体を撮影するための第1の撮影装置と、前記第1の撮影装置で撮影された基準物体画像に基づいて前記測定装置の姿勢を算出する姿勢検出手段と、前記第1の撮影装置により、前記基準物体が撮影可能な状態であるかどうかを検出する検出手段と、前記検出手段により、前記基準物体の撮影が可能な状態でないことが検出されると、前記測定装置の測定動作を禁止する禁止手段と、を備えている。
【0015】
請求項に記載の発明は、請求項1乃至のいずれかに記載の測定装置において、前記第1の撮影装置は、撮影方向可変であることを特徴としている。
【0016】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の測定装置において、前記第1の撮影装置は、前記基準物体を自動追尾するように撮影方向を制御する制御手段を備えている。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0018】
<1. 実施の形態>
<システム構成の概要>
図1は、本発明の実施形態が適用された画像撮影システム1の構成を示す図であり、図2はこの画像撮影システム1のブロック図である。図1において、画像撮影システム1は、立体的な被写体30の画像を撮像可能な可搬性のカメラシステム10と、被写体30を収容した空間内において、被写体30の近傍に配置されたカメラ校正用の立体チャート2とを備えている。立体チャート2は、3次元上の既知の形状を有する基準物体であり、例えば後に詳述するように、略角錐状の本体の各側面にチャートパターンが施された立体物で形成される。この立体チャート2はチャート支持具250から吊り下げられている。チャート支持具250は台座251から伸びる逆L字状のアーム252を備え、立体チャート2はそのアーム252の先端付近に固定されている。好ましくは、立体チャート2は被写体30の略上方に吊り下げられる。
【0019】
カメラシステム10は物体を測定する測定装置として機能するものであり、デジタルカメラとしての機能を有する被写体撮影用カメラ(以下、「被写体用カメラ」と略す)13を備えている。この被写体用カメラ(第2の撮影装置)13は、後述する各種演算機能をも有する。また、この被写体用カメラ13の上部には、取付機構12を介して可動式カメラ(第1の撮影装置)11が姿勢変更自在に取り付けられている。可動式カメラ11は、立体チャート2の上のパターン(図3参照)に含まれる複数の単位図形UPを撮影することにより、立体チャート2と可動式カメラ11との相対的な位置姿勢関係を特定し、さらには立体チャート2に対して相対的に固定された絶対座標系における、被写体用カメラ13の位置および姿勢を検出するために使用される。
【0020】
図1には示されていないが、図2にあるように、この画像撮影システム1は、例えば、ノートブック型の可搬性コンピュータ15を備えていてもよい。コンピュータ15は通信インターフェイス15aを介した無線通信によってカメラシステム10との間でコマンドやデータの授受が可能である。
【0021】
<立体チャートの概要>
図3は立体チャート2の側面図である。立体チャート2は、立体チャート本体203と、この立体チャート本体203の表面上に形成されたチャートパターンCPとを有している。
【0022】
このうち立体チャート本体203は、多角錐形状の表示部204と、角錐台状の支持部205とが一体化されており、内部は中空となっている。チャートパターンCPは、表示部204の各側面T1〜Tn(nは3以上の整数)上に付されたパターンP1〜Pnの集合である。好ましくは、多角錐の側面の数nは、n=3〜36であり、より好ましくはn=6〜12である。各側面T1〜Tnに形成されたそれぞれのパターンP1〜Pnは平面的パターンであるが、パターンP1〜Pnが立体的に配置されることにより、このパターンP1〜Pnの集合としてのチャートパターンCPは立体的パターンとなっている。それぞれのパターンP1〜Pnは、それぞれが単位図形として機能する複数の台形の集合であり、その詳細は後述する。
【0023】
また、表示部204を構成する多角錐の頂点には、可動式カメラ11がチャートパターンCPを追尾(トラッキング)する際に基準点とするマーカ201として、発光ダイオード(LED)が取り付けられており、これによって容易かつ正確に立体チャート2の位置が可動式カメラ11で認識できるようになっている。図3では図示されていないが、立体チャート2の内部には、この発光ダイオードに発光電力を供給するためのマーカ用電源202(図2)が内蔵されている。
【0024】
<可動式カメラ11の概要>
図4は可動式カメラ11の正面図であり、図5は可動式カメラ11のブロック図である。図5に示すように、可動式カメラ11では、レンズユニット110と、このレンズユニット110によって結像した2次元画像を光電変換する2次元受光素子111とが一体となって球状ユニット116に納められている。2次元受光素子111はCCDアレイである。レンズユニット110は、固定レンズ110aとズームレンズ110bとの組み合わせであり、それらの間に絞り/シャッタ機構部110eが存在する。
【0025】
図4に示すように、球状ユニット116は姿勢装置113を介して固定部114に連結されており、球状ユニット116に内蔵された各要素とともに固定部114に対してパン方向の±約70°の旋回(θ回転)と、チルト方向への±約70°の俯仰(φ回転)とが可能になっている。そして、これらのパン方向の回転駆動とチルト方向の回転駆動とを行うために、複数のピエゾ素子を内蔵した姿勢装置113が球状ユニット116の基部に配置されている。また、ズームレンズ110bの駆動に相当するズーム操作も、上記とは別のピエゾ素子によって行われる。これらのピエゾ素子にノコギリ波信号を与えることにより、ピエゾ素子による駆動の対象要素が寸動し、その繰返しによって対象要素に所要の動きが与えられる。パン方向の旋回角とチルト方向の俯仰角とは、それぞれエンコーダなどの角度センサ126p、126tによって検出され、ズームレンズ110bの駆動量はやはりエンコーダで構成されたセンサ126zによって検出される。これらの駆動機構については、たとえば特開平11−18000や、特開平11−41504に開示されている。
【0026】
制御演算部120は、2次元受光素子111からの信号を入力して画像認識などの処理を行う画像処理部121と、この画像処理部121で得られた画像信号を記憶する画像メモリ122とを備えている。また、ズームレンズ110b、姿勢装置113、および絞り/シャッタ機構部110eの駆動信号を発生して、これらに出力するカメラ制御部123が設けられており、画像処理部121およびカメラ制御部123は、通信部124および通信デバイス112を介して、被写体用カメラ13と無線通信が可能である。この通信により画像データが被写体用カメラ13に送信されるほか、各種情報が可動式カメラ11と被写体用カメラ13との間で送受信される。この実施形態の可動式カメラ11では、通信デバイス112として、赤外線通信を行うためのIRDA(Infrared Data Association)インターフェイスに対応した赤外線素子が使用されている。
【0027】
図4に示すように、固定部114に設けられた第1取付溝115aおよび第2取付溝115bは、被写体用カメラ13に固定部114を取り付けるために用いられる。さらに、追尾ボタン117は、可動式カメラ11に立体チャート2を自動的に追尾させるモード(以下、「自動追尾モード」と略す)と被写体用カメラ13からのユーザの指示により追尾させるモード(以下、「手動モード」と略す)とを切り換えるためのボタンである。
【0028】
図6はハードウエア構成から見た可動式カメラ11の情報処理機能の要部を示す図であり、図7は可動式カメラ11におけるデータの流れを示す図である。図6において、可動式カメラ11の制御演算部120はCPU130、ROM131およびRAM132を備えており、後記の各種の動作を実現するプログラム131aはROM131に記憶されている。
【0029】
2次元受光素子111は、画素ごとにRGBのいずれかのフィルタが付設されており、2次元受光素子111上に結像した光は、この2次元受光素子111によってRGB3原色成分ごとに光電変換される。これによって得られた信号がA/D変換部141によってデジタル画像信号に変換され、画像補正部142においてホワイトバランス補正やγ補正等を受ける。補正後の画像信号は画像メモリ122に保存される。図7における第1画像データD1は、この補正後の画像信号に相当する。
【0030】
図7の認識部145、姿勢制御部146は、CPU130、ROM131、RAM132などの機能の一部として実現される。
【0031】
認識部145は、追尾ボタン117からのユーザの指示に応答して能動化され、可動式カメラ11が取得した第1画像データD1の中から、立体チャート2の画像を認識し、第1画像データD1における立体チャート2の画像を追尾するための、追尾データDFを作成する。
【0032】
姿勢制御部146は、手動モードにおいて被写体用カメラ13から受信したユーザの指示に基づき、姿勢装置113を制御する。追尾ボタン117が押下され、自動追尾モードに変更された後においては、後述の処理によって、立体チャート2の像が2次元受光素子111上に常に結像されるように、姿勢装置113は制御される。
【0033】
CPU130はさらに、後述する処理によって図7の回転角データDRを作成する機能をも有する。
【0034】
また、被写体用カメラ13のシャッタボタンが押下されると、第1画像データD1と回転角データDRとは、通信部124を介して被写体用カメラ13に送信され、各種演算に用いられる。すなわち、可動式カメラ11は、被写体用カメラ13のシャッタボタンに連動して第1画像データD1の取得を行うことができるよう制御されている。
【0035】
<被写体用カメラ13の概要>
図8は、ハードウエア構成から見た、被写体用カメラ13の情報処理機能の要部を示す図であり、図9は、被写体用カメラ13におけるデータの流れを示す図である。被写体用カメラ13はCPU150、RAM151およびROM152を備えており、後述する被写体用カメラ13の各種の動作を実現するプログラム152aは、ROM152に記憶されている。また、シャッタボタン161、フラッシュ162、背面に設置されたモニタ用カラーディスプレイ163、および操作ボタン類164などの要素も、CPU150と電気的に結合している。
【0036】
図8および図9に示すように、レンズユニット155を介して被写体30から入射した光は、画素ごとにRGBのいずれかのフィルタが付設された、CCDアレイなどの2次元受光素子156上に結像し、2次元受光素子156によってRGB3原色成分ごとに光電変換される。これによって得られた信号が、A/D変換部157によってデジタル画像信号に変換され、画像補正部158においてホワイトバランス補正やγ補正等を受ける。補正後の画像信号は画像メモリ159に記憶される。シャッタボタン161が押下されることにより撮影は実行され、画像メモリ159に記憶された画像信号が、第2画像データD2としてRAM151に保存される。
【0037】
通信部167は、通信デバイス168を介して、可動式カメラ11との間で、可動式カメラ11の各部の制御信号や、取得した画像データ等の各種情報を送受信する。たとえば、手動モードにおいて、ユーザが操作ボタン類164の一部を操作することにより得られた信号を、可動式カメラ11に送信することにより、可動式カメラ11の姿勢装置113を、ユーザの手動によって操作することが可能となる。また、被写体用カメラ13のシャッタボタン161の押下に応答して、被写体用カメラ13と可動式カメラ11の同時撮影を行うことも可能となる。
【0038】
通信デバイス168は、可動式カメラ11と赤外線通信を行うためのIRDA(Infrared Data Association)インターフェイスとしての赤外線素子であり、通信部167によって駆動される。
【0039】
カードスロット165は被写体用カメラ13にメモリカード166を装着するために使用され、このメモリカード166には撮影した画像データ等を保存可能である。また、スピーカ169は、ユーザに対して警告のためのビープ音を鳴らす場合等の音源としての機能を有する。
【0040】
図9の抽出部171、演算部173および表示制御部174は、図8のCPU150、RAM151、ROM152等により実現される機能である。
【0041】
抽出部171は、通信部167を介して可動式カメラ11から受信した第1画像データD1から、立体チャート2上の4点の抽出を行い、第1抽出点データDP1を作成する。また、抽出部171は、同様に、被写体用カメラ13により取得された第2画像データD2から立体チャート2上の4点の抽出を行い、第2抽出点データDP2を作成する。
【0042】
演算部173は、第1抽出点データDP1、回転角データDR、および第2抽出点データDP2から、可動式カメラ11と被写体用カメラ13との相対的な位置と姿勢を求め、相対位置データDPSを生成する。さらに、第1抽出点データDP1、回転角データDR、および相対位置データDPSから、被写体用カメラ13と立体チャート2との相対的な位置と姿勢を求め、撮影データDMを作成する。撮影データDMは、RAM151に保存される。
【0043】
表示制御部174は、操作ボタン類164からのユーザの指示に基づいて、第2画像データD2と、撮影データDMとを、RAM151から取得して、メモリカード166に保存する。また、表示制御部174は、可動式カメラ11および被写体用カメラの画像に必要な処理を行って切替えながらディスプレイ163に表示させたり、メモリカード166に保存されている各種データをRAM151上に読み出したりする機能をも有する。
【0044】
<カメラ校正の原理>
任意の方向から被写体用カメラ13で被写体30を撮影して画像を得たときには、その撮影を行った際の、立体チャート2またはそれに固定された絶対座標系に対する、被写体用カメラ13の相対的な位置および姿勢を、外部パラメータとして特定しておく必要がある。それは、複数の方向からの撮影で得た各画像を組み合わせて被写体30の3次元画像モデルを構築するあたっては、各画像の空間的相互関係が必要だからである。
【0045】
しかしながら、実際に被写体30を撮影するときには、被写体用カメラ13の画角内に立体チャート2を入れることが困難な場合がある。そこで、
0:立体チャート2に固定された座標系(絶対座標系);
1:可動式カメラ11に固定された座標系(第1ローカル座標系);
2:被写体用カメラ13に固定された座標系(第2ローカル座標系);
τ01:第1ローカル座標系X1から絶対座標系X0への変換関係;
τ02:第2ローカル座標系X2から絶対座標系X0への変換関係;
τ12:第2ローカル座標系X2から第1ローカル座標系X1への変換関係;
とするときに成り立つ、次の関係を利用する。(τ01、τ02、τ12および後述のQ0、Q2は図示していない)
τ02 = τ01・τ12 ・・・ (数1)
変換関係τ01、τ12が既知であれば、変換関係τ02が求められる。変換関係τ02が求められれば、2次元画像を撮影した被写体用カメラ13の第2ローカル座標系X2における位置・姿勢は、この変換関係τ02を作用させることにより、絶対座標系X0における位置・姿勢として求められる。絶対座標系における被写体用カメラ13の位置・姿勢を表す行列をQ0、第2ローカル座標系X2における被写体用カメラ13の位置・姿勢を表す行列をQ2とすると、
0 = {τ01・τ12}Q2 = τ02・Q2 ・・・ (数2)
のように求まることになる。
【0046】
したがって、被写体30に対して移動しつつ被写体用カメラ13で被写体30を撮影するつど、その撮影に対応する変換関係τ02を求めて、これを撮影画像に付随させれば、複数の方向で撮影した画像をX0で組み合わせて被写体30の3次元画像モデルを得ることができる。
【0047】
この原理を実現する具体的プロセス(詳細は後述)は、第1サブプロセスと第2サブプロセスとに大別される。
【0048】
※第1サブプロセス:
これは、2つのカメラ座標系間の変換関係τ12を特定するための、サブプロセスである。
【0049】
まず、立体チャート2を可動式カメラ11と被写体用カメラ13とで同時に撮影し、それらの撮影結果を用いて、それぞれのカメラの外部パラメータ、すなわち絶対座標系X0でのそれぞれのカメラの位置および姿勢を求める。
【0050】
これは、その状態での変換関係τ02、τ01を特定することに対応する。そして、数1から得られる、
τ12 = (τ01-1 τ02 ・・・ (数3)
の関係から、第1ローカル座標系X1と第2ローカル座標系X2との変換関係τ12を得る。
【0051】
また、可動式カメラ11の回転角θ,φの値は、それぞれ角度センサ126p、126tによって検出される既知の値であるから、変換関係τ12から回転角依存部分を分離して、可動式カメラ11が基準姿勢(θ = 0、φ = 0)にあるときの基準変換関係τ12(0,0)を求めることができる。この基準変換関係τ12(0,0)は、カメラシステム10を移動させたり、可動式カメラ11を回転させても不変なオペレータである。基準変換関係τ12(0,0)が定まると、変換関係τ12は、回転角θ,φを変数として持つことになる。
【0052】
このようにして得られた変換関係τ12は、絶対座標系X0におけるカメラシステム10全体の位置や姿勢に依存しないので、カメラシステム10を他の場所に移動させてもそこでの変換演算に利用できる。
【0053】
※第2サブプロセス:
これは、第1サブプロセスの結果を使用しつつ、被写体30を複数の方向から撮影して画像データを得るとともに、それらの画像データのそれぞれにつき、第2ローカル座標系X2から絶対座標系X0への変換関係τ02に相当する情報を付加していくサブプロセスである。
【0054】
第2サブプロセスでは、被写体用カメラ13で被写体30を撮影すると同時に、可動式カメラ11で立体チャート2を撮影する。可動式カメラ11で撮影した立体チャート2の画像データから、第1ローカル座標系X1から絶対座標系X0への変換関係τ01が特定される。
【0055】
一方、第1サブプロセスによって、第2ローカル座標系X2から第1ローカル座標系X1への変換関係τ12の回転角依存性は特定されているから、被写体30を撮影するときの回転角θ,φの値から、変換関係τ12の具体的内容が特定される。したがって、変換関係τ12およびτ01を合成した変換関係τ02を、数4から得ることができる。
【0056】
τ02 = τ01・τ12 ・・・ (数4)
そして、この変換関係τ02を表現する情報を、被写体用カメラ13で得た画像に付随させて記憶する。
【0057】
またこの第2サブプロセスは、複数の方向から被写体30を撮影するつど実行され、それによって、3次元画像モデルを得るための一群の情報が得られることになる。
【0058】
<撮影および校正プロセス>
図10および図11は、上記の原理にしたがった撮影および校正プロセスを示す図である。このうちステップS1からステップS8までは、可動式カメラ11と被写体用カメラ13とで立体チャート2を同時に撮影することによって、両者の相対位置・姿勢を求める、上記第1サブプロセスに対応する。また、ステップS11以後が、実際に被写体30の撮影を行う上記第2サブプロセスに対応する。
【0059】
(1) カメラ間の相対位置の決定(第1サブプロセス):
まず、可動式カメラ11と被写体用カメラ13とのそれぞれが、自身で保持している内部パラメータの情報を読み出す(ステップS1)。なお、内部パラメータは受光素子の各画素の視線方向を特定するためのパラメータであり、レンズシステムの焦点距離、レンズ光軸と受光素子の位置関係、画素ピッチなどである。これらのパラメータは予め校正されている。
【0060】
この後、自動追尾設定処理を行う(ステップS2)。図12は、自動追尾設定処理の詳細を示した流れ図である。まず、可動式カメラ11の動作モードを自動的に手動モードに切替え(ステップS31)、カメラ制御部123が、可動式カメラ11の第1画像データD1を被写体用カメラ13のディスプレイ163に表示させる(ステップS32)よう通信部124を介して被写体用カメラ13に指示を与える。ユーザの手動操作により可動式カメラ11を立体チャート2に向ける(ステップS33)。
【0061】
これにより、ユーザからの手動操作により可動式カメラ11による立体チャート2の撮影を可能とすることができるとともに、手動モードになった場合に可動式カメラ11の画像を表示するよう切替えることができ、自動追尾に失敗した場合等において、ユーザはディスプレイ163に表示される画像を見ながら、改めて立体チャート2を撮影できる状態に調整することができる。なお、ステップS31の手動モードへの切替えは、ユーザが追尾ボタン117を押下することにより指示されてもよい。また、手動操作はユーザが被写体用カメラ13の操作ボタン類164を操作することにより行われてもよい。その際には、ディスプレイ163には可動式カメラ11の姿勢装置113の回転角を示すインディケータが表示される等してもよい。
【0062】
立体チャート2を画角に捉えると、認識部145が第1画像データD1に画像認識を行い、マーカ201の位置を検出する(ステップS34)。さらに、可動式カメラ11が立体チャート2の撮影可能状態にあるか否かを判定し(ステップS35)、撮影可能状態でないと判定された場合には、被写体用カメラ13のスピーカ169に指示することによりビープ音を鳴らして警告を発し(ステップS36)、ステップS33からの処理を繰り返す。なお、撮影可能状態にあるとは、撮影した第1画像データD1から立体チャート2上の4点抽出(後述する)ができ、かつ検出したマーカ201の位置に基づいて生成される追尾データDFにより、可動式カメラ11が立体チャート2の自動追尾が可能であることをいう。また、警告はビープ音に限られるものではない。例えば、被写体用カメラ13のディスプレイ163に警告表示を行ってもよく、可動式カメラ11が立体チャート2の撮影をすることができない状態になっていることをユーザが知りうる方法であればなんでもよい。
【0063】
一方、撮影可能状態であると判定された場合は、認識部145は、被写体用カメラ13のディスプレイに撮影可能状態にあることを表示させる(ステップS37)よう通信部124を介して被写体用カメラ13に指示を与え、ユーザが追尾ボタン117を押下することにより、可動式カメラ11が自動追尾モードに切替えられる(ステップS38)。
【0064】
自動追尾モードに切替わると、まず、カメラ制御部123が被写体用カメラ13の第2画像データD2をディスプレイ163に表示する(ステップS39)よう通信部124を介して被写体用カメラ13に指示を与え、さらに、被写体用カメラ13による撮影を許可する(ステップS40)指示を与える。なお、ステップS38は、ステップS35において撮影可能状態と判定されたことにより、自動的に行われてもよい。
【0065】
図13は、被写体用カメラ13のディスプレイ163に撮影可能状態を表示する例を示した図である。ディスプレイ163には被写体用カメラ13が取得した第2画像データD2に基づいて、画像300が表示されている。それと同時に撮影可能状態を示すメッセージ301が表示され、ユーザは可動式カメラ11が自動追尾状態にあり、立体チャート2の撮影可能状態にあることを把握することができる。
【0066】
図14は、可動式カメラ11の自動追尾モードにおける動作の詳細を示す図である。可動式カメラ11は、図12に示す自動追尾設定処理が行われているとき以外は図14に示す自動追尾モードの動作を繰り返すようにされている。
【0067】
まず、画像補正部142から第1画像データD1が取得されると(ステップS41)、認識部145は、画像認識によりマーカ201の位置を検出する(ステップS42)。
【0068】
次に、認識部145は、直前のマーカ201の位置と比較し、マーカ201が第1画像データD1の中央に撮影されるように、変動量と移動方向とを求めて追尾データDFを生成する(ステップS43)。さらに、撮影可能状態であるか否かを判定し(ステップS44)、撮影可能状態でない場合はビープ音を鳴らして警告を発し(ステップS45)、被写体用カメラ13の撮影を禁止し(ステップS46)、自動追尾設定処理(ステップS47)を行い、自動的に可動式カメラ11を手動モードに切替える(図12:ステップS31)。
【0069】
これにより、自動追尾モードにおいて、取得した第1画像データD1から後述の処理に必要な立体チャート2の4点抽出ができない場合や、自動追尾に失敗した場合には、認識部145により撮影不可能状態であることが検出され、ユーザに警告を発するとともに、被写体用カメラ13による撮影を禁止して、自動追尾モードを手動モードに自動的に切替えることができ、画像撮影システム1の操作環境の向上を図ることができる。
【0070】
一方、撮影可能状態である場合は、被写体用カメラ13のディスプレイに撮影可能状態にあることを表示させる(ステップS48)よう通信部124を介して被写体用カメラ13に指示を与える。さらに、姿勢制御部146が追尾データDFに基づいて姿勢装置113を制御する(ステップS49)。
【0071】
これにより、可動式カメラ11が立体チャート2の画像を第1画像データD1として取得することができる。また、可動式カメラ11が移動した場合であっても可動式カメラ11が立体チャート2を撮影可能となるように姿勢装置113を制御することができ、後述の処理に必要な立体チャート2が常に画角の中央に撮影されている第1画像データD1を、ユーザが意識することなく撮影することができる。その際には、立体チャート2が撮影可能状態であることを被写体用カメラ13のディスプレイ163に表示することにより、ユーザにその旨を示すこともできる。
【0072】
可動式カメラ11が自動追尾モードになると、ユーザが被写体用カメラ13を立体チャート2に向けてシャッタボタン161を押すことにより、可動式カメラ11において第1画像データD1が、被写体用カメラ13において第2画像データD2が得られる(ステップS3)。図15に可動式カメラ11と被写体用カメラ13とで同時に得られた画像データの例を示す。このうち、図15(a)が可動式カメラ11の撮像画像例、図15(b)が被写体用カメラ13の撮像画像例である。図15(a)、(b)のいずれにおいても、画像平面をxy直交座標系で定義された平面とし、xy平面に垂直で、画像より手前に向かう方向をz軸としている。なお、第i層という呼び方については、後述する図21での定義に準じている。
【0073】
撮影が完了すると、第1画像データD1および姿勢装置113の回転角データDRが、通信によって可動式カメラ11から被写体用カメラ13に送られ、図15(a)、(b)で共通の4つの格子点C1〜C4の2次元座標値をそれぞれの画像平面上で特定し(第1抽出点データDP1および第2抽出点データDP2を作成することに相当する。)、それらの2次元座標値を前述の多点アルゴリズムで処理することによって、第1画像データD1および立体チャート2を撮影した第2画像データD2に基づいて、可動式カメラ11、および被写体用カメラ13の撮影位置と立体チャート2との相対位置および相対姿勢に依存するそれぞれのカメラの外部パラメータを計算することができる。
【0074】
この外部パラメータの算出は、
1) カメラの内部パラメータ、および
2) 絶対座標系に固定された同一平面上にある4点以上の点の3次元座標値、
が既知であり、かつ、
3) これらの点に対応する撮影画像上の点の2次元座標値が算出可能、
という条件の下で行うことができる。なお、可動式カメラ11の外部パラメータを外部パラメータPM1、立体チャート2を撮影したときの被写体用カメラ13の外部パラメータを外部パラメータPM2とする。
【0075】
外部パラメータPM2が算出できない場合(ステップS4においてNo)は、被写体用カメラ13による立体チャート2の再撮影の要求をディスプレイ163に表示し(ステップS5)、ステップS3を繰り返す。また、外部パラメータPM1が算出できない場合は、被写体用カメラ13の撮影を禁止して(ステップS7)、自動追尾設定処理(ステップS2)をやり直す。
【0076】
次に、ステップS4およびステップS6で得られた被写体用カメラ13および可動式カメラ11のそれぞれの外部パラメータと、可動式カメラ11の回転角データDRとから、可動式カメラ11と被写体用カメラ13との相対位置・姿勢(相対位置データDPS)が求められる(ステップS8)。
【0077】
ステップS8において用いられる座標変換の様子を図16に示す。図16における各座標系などの定義は以下の通りである。
【0078】
X0 …立体チャート2に対して相対的に固定された3次元直交座標系(絶対座標系);
θ …可動式カメラ11の旋回角;
φ …可動式カメラ11の俯仰角;
X1(θ,φ) …可動式カメラ11からの観測空間に相当する3次元直交座標系(第1ローカル座標系);
X1h …角度θ,φの双方がゼロの場合の第1ローカル座標系;
X2 …被写体用カメラ13からの観測空間に相当する3次元直交座標系(第2ローカル座標系)。
【0079】
ステップS4およびS6によって被写体用カメラ13および可動式カメラ11のそれぞれの外部パラメータが得られるため、絶対座標系X0における第1ローカル座標系X1(θ,φ)の位置および姿勢が決定され、したがって第1ローカル座標系X1(θ,φ)から絶対座標系X0 への座標変換が、回転行列RC1、および平行移動ベクトルTC1を用いて、
X0 = RC1X1(θ、φ)+TC1 ・・・ (数5)
のように定まる。同様に、第2ローカル座標系X2から絶対座標系X0への座標変換が、回転行列RC2、および平行移動ベクトルTC2を用いて、
X0 = RC2X2+TC2 ・・・ (数6)
のように定まる。これら数5、数6がそれぞれ、既述した変換関係τ01、τ02 に相当する。
【0080】
回転角θ,φがゼロでないことによる回転変換は、可動式カメラ11の姿勢装置113が有する回転機構の設計データから、回転行列RX(θ,φ)および平行移動ベクトルTX(θ,φ)を用いて、
X1 = RX(θ,φ)X1h+TX(θ,φ) ・・・ (数7)
の形式で得られる。第2ローカル座標系X2から、回転角θ,φがともにゼロのときの第1ローカル座標系X1hへの座標変換が、回転行列Rhおよび平行移動ベクトルThを用いて、
X1h = RhX2+Th ・・・ (数8)
と表されるとすると、数8が、変換関係τ12(0,0)に相当する。また、数8を数7に代入すると、
X1 = Rm(θ,φ)X2+Tm(θ,φ) ・・・ (数9)
が得られる。ただし、
Rm(θ,φ) = RX(θ,φ)Rh ・・・ (数10)
Tm(θ,φ) = RX(θ,φ)Th +TX(θ,φ) ・・・ (数11)
である。数9ないし数11が、変換関係τ12に相当する。
【0081】
したがって、立体チャート2上を可動式カメラ11と被写体用カメラ13とで同時に撮影したそれぞれの画像から、第1抽出点データDP1と第2抽出点データDP2とを求め、さらにそれぞれのカメラの外部パラメータを求めれば、既述した変換関係τ12 に相当するものとしての数9ないし数11の変換式が特定される。これが図8の相対位置データDPSである。また、角度θ、φの具体的な値は角度センサ126p、126tによって回転角データDRとして検出される。
【0082】
(2) 被写体の撮影とカメラの校正(第2サブプロセス):
ステップS8が終了すると、被写体30の撮影を行うため、カメラシステム10を適宜移動させつつ被写体30に向ける(ステップS11)。このとき、可動式カメラ11は、自動追尾により常に立体チャート2を画角に捉えている(図14)。
【0083】
被写体用カメラ13によって被写体30が、可動式カメラ11によって立体チャート2がそれぞれ撮影可能な状態になったところで、被写体用カメラ13のシャッタボタン161を押下すると、それぞれのカメラで同時に撮影が行われる(ステップS12)。図17に、可動式カメラ11および被写体用カメラ13で得られた画像例を示す。図17(a)が可動式カメラ11の撮像で得られる画像例であり、図17(b)が被写体用カメラ13の撮像画像例である(楕円によって被写体30の画像を単純化してある)。座標軸の取り方については図15と同様である。図17(a)の状態では、立体チャート2から可動式カメラ11までの距離や方向が図15(a)とは異なっているため、可動式カメラ11は立体チャート2のうち図15(a)とは異なる部分を撮影している。しかしながら、可動式カメラ11がマーカ201を自動追尾していることによって、マーカ201は常に可動式カメラ11の画角内の同一位置に写っている。
【0084】
このとき、可動式カメラ11で得られた画像から、ステップS6と同様に、可動式カメラ11の絶対座標系X0における位置および姿勢(外部パラメータPM1)が求められる(ステップS13)。
【0085】
外部パラメータPM1が算出できない場合(ステップS13においてNo)は、ビープ音による警告を発し(ステップS14)、被写体用カメラ13の撮影を禁止し(ステップS15)、自動追尾設定処理(図12)を再度行う(ステップS16)。
【0086】
これにより、第1画像データD1に基づいて可動式カメラ11の撮影位置と立体チャート2との相対位置および相対姿勢に依存する可動式カメラ11の校正用の外部パラメータPM1を計算することができない場合に、被写体用カメラ13の撮影を禁止することができ、外部パラメータPM1が算出不能であるために後述の処理ができない場合に、不要となる被写体30の撮影を行わないようにすることができる。
【0087】
この可動式カメラ11の外部パラメータPM1と、ステップS8で求めた相対位置データDPS、およびステップS51における可動式カメラ11回転角θ、φのそれぞれの値θ'、φ'から、被写体用カメラ13の、立体チャート2に対する相対位置・姿勢(すなわち被写体用カメラ13の外部パラメータ)が求められる(ステップS17)。
【0088】
上記のステップS17において用いられる座標変換の様子を、図18に示す。図18において、座標系X0、X1(θ,φ)、X2などの記号の定義は、図16と共通である。被写体撮影時の、可動式カメラ11のカメラ回転角をθ’、φ’とする。
【0089】
可動式カメラ11によって得られる立体チャート2の画像を、多点解析アルゴリズムで解析することにより、絶対座標系X0における可動式カメラ11の位置と姿勢(すなわち可動式カメラ11の外部パラメータPM1)が特定され、それによって可動式カメラ11の第1ローカル座標系X1(θ’,φ’)との変換関係:
X0 = RCP1X1(θ',φ')+TCP1 ・・・ (数12)
が定まる。
【0090】
また、第1ローカル座標系X1(θ’,φ’)と第2ローカル座標系X2との変換関係は、数9ないし数11によって、
X1(θ',φ') = Rm(θ',φ')X2+Tm(θ',φ') ・・・ (数13)
Rm(θ',φ') = RX(θ',φ')Rh ・・・ (数14)
Tm(θ',φ') = RX(θ',φ')Th +TX(θ',φ') ・・・ (数15)
で与えられる。
【0091】
よって、数12ないし数15により、第2ローカル座標系X2で表現された位置および姿勢から、絶対座標系X0での位置および姿勢に変換する変換関係が、
X0 = RCP1 Rm(θ',φ')X2+RCP1Tm(θ',φ')+TCP1 ・・・ (数16)
のように得られる。
【0092】
数16に現れている諸量のうち、回転行列RCP1および平行移動ベクトルTCP1は可動式カメラ11についてのものであって、可動式カメラ11の外部パラメータPM1から決定される。また、回転行列Rm(θ',φ')および平行移動ベクトルTm(θ',φ')は、あらかじめ特定しておいた関数形Rm(θ,φ)、Tm(θ,φ)に、角度センサ126p、126tによって検出された角度値θ',φ'を代入して決定される。
【0093】
したがって、数16を、
X0 = RCP2X2+TCP2 ・・・ (数17)
RCP2 = RCP1 Rm(θ',φ') ・・・ (数18)
TCP2 = RCP1Tm(θ',φ')+TCP1 ・・・ (数19)
の形に変形すると、回転行列RCP2および平行移動ベクトルTCP2は、被写体用カメラ13の外部パラメータ(以下、「撮影データDM」と称する。)を表現した内容となっている。
【0094】
これにより、被写体用カメラ13の撮影位置と立体チャート2との相対位置および相対姿勢に依存する被写体用カメラ13の校正用の撮影データDMを計算することができ、前述のシェープ・フロム・シルエット法によって被写体30の3次元画像モデルを構築することができる。この3次元画像モデルの構築は、コンピュータ15で行ってもよく、他の演算システムで行ってもよい。
【0095】
撮影データDMを生成することができない場合(ステップS18においてNo)は、被写体用カメラ13による再撮影を要求する表示をディスプレイ163に表示し(ステップS19)、ステップS12からの処理を繰り返す。
【0096】
これにより、撮影データDMの計算ができなかった場合に、ユーザに再撮影を要求することができ、必要なデータが得られなかったことをユーザが知得することにより、再度その位置からの撮影を行う等、効率的なデータ収集が可能となる。
【0097】
撮影データDMが求まると、被写体30の画像データD2とともに、撮影時の被写体用カメラ13の撮影データDMが、RAM151、あるいはメモリカード166に記録される(ステップS20)。
【0098】
その後、次の撮影を行うか否かの判定を行い(ステップS21)、必要な数の第2画像データD2、およびそれぞれについての撮影データDMが得られると、この第2サブプロセスは完了する。
【0099】
<複比のコーディングによるチャートの識別>
ここからは、立体チャート2の側面のコーディングの方法について説明する。図3に示すように、立体チャート本体203の表示部204は正多角錐であり、その各側面T1〜Tnは同一の二等辺三角形状をしている。その表面には、当該側面を構成する三角形の底面方向DR1(図19参照)に平行な複数の直線L1と、立体チャート2の頂点に相当する頂点x0を通る放射線状の複数の直線L2とが描画されている。これらの直線の交差によって作られる台形形状の単位図形UP(以下これを「単位台形」という)は、画像処理の際に直線の抽出が容易になるよう、交互に異なる明度の色で塗り分けられて高コントラストパターンとされている。典型的には第1の組の単位台形UP1が黒であり、第2の組の単位台形UP2が白である。
【0100】
そして、これらの単位台形UPのサイズが、複比によりコーディングされている。より具体的には、
1) これらの単位台形UPを成す直線群L1の相互間の間隔と、
2) 直線群L1と直線群L2との交点(格子点)の底面方向DR1における間隔と、
のそれぞれを、複比によりコーディングする。図20にこの複比の概念を示すが、複比は任意の視点を通した空間射影によって変化しない値であり、3次元空間に存在する直線上の4点P1〜P4から求められる複比DR:
DR=Va/Vb ・・・ (数20)
Va=dis(P0P1)・dis(P2P3) ・・・ (数21)
Vb=dis(P0P2)・dis(P1P3) ・・・ (数22)
ただし、記号dis(P0P1)は点P0と点P1との距離を示す:
は、その直線を視点Oを通して任意の平面上に射影したときに、それら4点P1〜P4に対応する4点P'1〜P'4から求まる複比DR':
DR'=Va'/Vb' ・・・ (数23)
Va’=dis(P'0P'1)・dis(P'2P'3) ・・・ (数24)
Vb’=dis(P'0P'2)・dis(P'1P'3) ・・・ (数25)
と等しいことが知られている。
【0101】
この性質を利用すると、図3および図19に示したような単位台形UPを成す直線群L1相互の間隔を、各単位台形UPを形成する層ごとに複比でコーディングし、かつ底面方向DR1での格子点相互の間隔を、各側面T1〜Tnごとに異なる複比でコーディングしておくと、立体チャート2を可動式カメラ11や被写体用カメラ13で撮影した画像に含まれている各単位台形UPが、立体チャート2の側面T1〜Tnのうちのどの側面に存在する、どの単位台形であるかを、一意的に識別できるようになる。以下にその一例を示す。
【0102】
図19では、底面に垂直な方向(頂点方向DR2)に配列する直線L1の間隔が、複比によってコーディングされた例を示している。複数の単位台形のうち、互いに連続する3つの単位台形の高さの複比が、3つの単位台形の組ごとに異なるようにコーディングされている。
【0103】
すなわち、立体チャート2の頂点x0を端点として、底辺に平行な直線x1、x2…が定義されており、「第i層」を、「直線xiと直線x(i+1)との間の領域」として定義するとき、第i層〜第(i+3)層(i=1,2,…)の、頂点方向DR2方向のそれぞれの位置の複比DRiが、
DRi=Vai/(Vbi・Vb(i+1)) ・・・ (数26)
Vai=dis(xix(i+1))・dis(x(i+2)x(i+3)) ・・・ (数27)
Vbi=dis(xix(i+1))+dis(x(i+1)x(i+2)) ・・・ (数28)
Vb(i+1)=dis(x(i+1)x(i+2))+dis(x(i+2)x(i+3)) ・・・ (数29)
ないしは、これを書き換えて、
DRi=Vai/VBi ・・・ (数30)
Vai=dis(xix(i+1))・dis(x(i+2)x(i+3)) ・・・ (数31)
VBi=dis(xix(i+2))+dis(x(i+1)x(i+3)) ・・・ (数32)
と定義され、それぞれの複比DRiが図21に示すような値とされている。それぞれの単位台形は、角錐体の底面に近いほどサイズ(幅および高さ)が増大している。
【0104】
また、この実施形態では、頂点方向DR2の直線x1、x2・・・の間隔の移動平均は、頂点からの距離に略比例するように決められている。すなわち、図21から各層の位置は、「17.000、22.500、31.000…」であって、それらの差は
5.500(=22.500−17.000)
8.500(=31.000−22.500)

となっており、これら一連の差のうち連続した4つの移動平均は図22のようになる。図22からわかるように、各層の位置の差(層の厚さ)の移動平均は漸増しているが、「移動平均/(頂点からの層の)位置」すなわち比例係数に相当する値の変動は、約20%以内である。したがって、移動平均は、頂点からの距離にほぼ比例している。
【0105】
一方、頂点を中心として放射状に伸びる直線y1、y2…と、上記直線x1、x2…の交点の、底面方向DR1についての間隔については、立体チャート2の各側面T1〜Tnが相互に識別できるように決定しておく。図22に、立体チャート2が六角錐である場合の例を示す。図19および図22においてa、b、c、dは底辺における直線y1、y2…間の間隔である。
【0106】
この例では、
DRα=(a・c)/{(a+b)・(b+c)} ・・・ (数33)
DRβ=(b・d)/{(b+c)・(c+d)} ・・・ (数34)
として定義される2種類の複比DRα、複比DRβのそれぞれが、
1) それぞれの側面Tj(j=1〜6)の中では、直線x1、x2…のいずれにおいても、直線y1、y2…とのそれぞれの交点の列について共通であり、かつ
2) 異なる側面の相互では互いに異なる、
ように、それらの値がコーディングされている。
【0107】
<撮影箇所の同定>
図24は、可動式カメラ11や被写体用カメラ13による立体チャート2の撮影において、立体チャート2のどの部分が撮影されているのかを同定するプロセスを示すフローチャートである。図25は、直線のグルーピングについての説明図である。
【0108】
※直線のグルーピング:
まず、撮像された画像の濃淡のエッジを抽出する(ステップS91)。エッジを抽出する方法は、Sobelオペレータなど様々な手法が知られており、たとえば、長尾真著「画像認識論」コロナ社,1983に開示されたアルゴリズムを使用する。図25(a)の画像について、エッジを抽出した例が図25(b)である。
【0109】
次に、抽出されたエッジから直線を抽出する(ステップS92)。直線を抽出する方法は、HOUGH変換が一般的な手法として知られており、たとえば上記長尾真の文献に記載された方法を用いてエッジ画像から複数の直線を抽出し、撮像上の2次元平面における直線の式を決定できる。図25の(b)について、エッジを抽出した例が図25(c)である。
【0110】
抽出された複数の直線は、直線の性質ごとに以下のような複数のグループにグルーピングされる(ステップS93)。
【0111】
・平行な直線群(以下これをαiとする。iは傾きが同じ直線群を表す);
・αiに属する各々の直線の端点を通る直線(これをβとする);
・αiに交差する直線群(以下これをγiとする。iは交差する直線群αiのiと対応している)。
【0112】
図25(c)の例では、各直線が、傾きの異なる2つの直線群α1、α2と、これらに対応する直線群γ1およびγ2、さらに交差直線βにグルーピングされることになる。
【0113】
さらに、交差直線βおよびγiは1点で交わっていることから、この交点が立体チャート2のマーカ201に相当する。これより、立体チャート2を成す錐の辺に相当する直線が直線β、底面に平行な直線が直線αi、錐の側面を通る直線が直線γiであると判断することができる。これにより、画像上の単位台形のそれぞれに関連する交点の複比を算出する。
【0114】
※撮影箇所の同定:
まず、撮影を行う前に、立体チャート2の各側面T1〜Tnにおける直線群について、絶対座標系X0で表した交点(格子点)の座標と、それらの交点の間隔から計算される複比のデータとを、RAM151(図8)にあらかじめ記憶しておく。そして、可動式カメラ11または被写体用カメラ13によって立体チャート2を撮影した際に、それによって得られた画像から、頂点方向DR2に連続する3つの層、ないしは単位台形を特定して、それらの高さから複比を算出する。
【0115】
図26に、立体チャート2の同じ側面を、異なる距離から撮影したときの画像例を示す。図26(a)は遠距離から、図26(b)は近距離から撮影した例である。単位台形の頂点方向DR2の間隔は、頂点からの距離に略比例している。
【0116】
直線の間隔についての複比を計算するには、同一直線上で連続する4点が観測できればよい。すなわち、画角内にあり、かつ複比を精度よく計算するのに十分な間隔で連続する4つの直線が、それらと交差する他の1直線との関係で観測できればよいことになる。多数の直線が画像中に存在する場合は、たとえば次の直線と所定の閾値間隔以上の間隔を持ち、かつ頂点(マーカ201)の直上側において、頂点に最も近い位置で配列している4直線を選択する。そしてその4本の直線と、頂点方向DR2に沿って伸びる1つの直線との4交点を抽出し、それらの間隔の複比を計算する。この抽出において得られるデータのうち、可動式カメラ11の撮影で得られるものが図8の第1抽出点データDP1であり、被写体用カメラ13の撮影で得られるものが第2抽出点データDP2である。
【0117】
図26(a)では、それぞれが底面方向DR1に伸び、かつ第7層から第9層のそれぞれの上下を規定する4直線x7〜x10を、また、図26(b)では第3層から第5層のそれぞれの上下を規定する4直線x3〜x6を、この4直線として選択できる。このようにして4直線を選択することにより、いずれの画像においても、十分に複比の算出が可能となる。複数の側面が撮影されていれば、たとえば最も画像中心に近い側面を選択する。
【0118】
また、立体チャート2が角錐形状であるため、種々の方向から立体チャート2の撮影を行っても、自動追尾によりマーカ201を検出していれば、少なくとも1つの側面を十分に観測することが可能である。
【0119】
このようにして選択された4直線で挟まれるエリアに存在する、複数の単位台形のうちの1つを、対象単位台形(対象単位図形)として選択する。対象単位台形は、たとえば上記の4直線の中の中間側の2直線で挟まれ、かつ画面の中央に最も近い単位台形を選択するというような選択規則によって選ぶことができる。図26の例では、たとえば単位台形UPA、UPBを対象単位台形として選択することができる。
【0120】
そして、上記4直線につき、頂点方向DR2について画像上の間隔から複比を対象複比として求め、RAM151にあらかじめ記憶しておいた各側面の直線間隔の複比の値(図21)を、対象複比と比較して照合する。これにより、その4直線が、立体チャート2の何層目から何層目を規定する4直線であり、かつ対象単位台形が、立体チャート2のどの単位台形であるかを特定することができる(ステップS94)。
【0121】
ところで、角錐体の底面に近いほど、単位台形の頂点方向のサイズを増大させていることによって、以下のような利点がある。
【0122】
まず、比較的近い距離から立体チャート2を撮影することによって、比較的少数の単位台形だけが画像内に存在する場合(図26(b))には、マーカ201に近い単位台形が比較的大きく撮影される。
【0123】
逆に、比較的遠い距離から立体チャート2を撮影することによって、各単位台形の撮影サイズが比較的小さくなる場合には、角錐の底面に近い、実サイズが大きな単位台形が画像内に存在するため(図26(a))、それは画像上の観測サイズとしてあまり小さくならない。
【0124】
したがって、近距離からの撮影の場合と、遠距離からの撮影の場合との双方において、常に画像処理における精度を確保するために十分なサイズを持つ単位図形が画像に含まれていることになり、その結果、撮影距離にあまり依存せずに演算精度を高くできる。これが、角錐体の底面に近いほど、単位台形の頂点方向のサイズを増大させていることの利点である。
【0125】
対照単位台形が同定されたことによって、立体チャート2に対するカメラの相対位置・姿勢、すなわち絶対座標系X0における外部パラメータの算出が可能となる(ステップS95)。以下にこれを説明する。
【0126】
まず、RAM151には、図23に示す角錐の側面T1〜Tnごとの距離a、b、c、dの複比と、角錐の各側面T1〜Tnが絶対座標系X0のどの方向に向いているかの情報とが、互いに関連づけられ、テーブルとしてあらかじめ記憶されている。したがって、上記4直線のうちの1つ(たとえば図26(a)の例では、対象単位台形の辺のうち頂点に近い辺が属する直線x7)上で底面方向DR1に連続する4交点の画像上の座標を特定し、それらの間隔の複比を計算して上記テーブルと照合することにより、対象単位台形が属する側面を、その時点でカメラにほぼ正対している観測側面として同定する。そして観測側面が側面T1〜Tnのうちのいずれかであるかによって、立体チャート2に対するカメラの相対姿勢を絶対座標系X0において知ることができる。
【0127】
立体チャート2に対するカメラの相対姿勢をさらに詳細に知るには、たとえば対象単位台形の4頂点の座標値から、その対象単位図形の外周を規定する4辺の長さの比を求める。この比は、絶対座標系における対象単位台形の法線方向からカメラの撮像軸線がどれだけ傾いているかによって変化する。したがって、この比から当該側面の法線方向からのカメラの撮像軸線の方向を特定できる。
【0128】
対象単位台形が特定され、立体チャート2に対するカメラの相対姿勢が求められると、あらかじめRAM151に記憶させておいた各単位台形の実サイズ情報のうち、その対象単位台形に対応する単位台形の実サイズ情報を読み出す。そしてその対象単位台形について、画像上のサイズとその実サイズとの比率rを求める。比率rは、立体チャート2とカメラとの距離L、および立体チャート2に対するカメラの相対姿勢の関数であるが、相対姿勢は上記のように求められることから、距離Lは結局、比率rの関数f(r)として表現できることになる。よって、この関数f(r)に相当する演算式または数値テーブルを記憶しておくことにより、比率rから距離Lが計算できる。距離Lと、立体チャート2に対するカメラの相対姿勢とから、立体チャート2に対するカメラの相対位置が求められる。
【0129】
以上のように、本実施形態に係る立体チャート2を被写体を撮影するカメラと別のカメラを用いて画角の中央に撮影することによって、カメラの位置および姿勢の校正のための校正パラメータのうち、外部パラメータを正確に取得することができる。また、取得した画像データから必要な演算ができない場合には、その都度、ユーザに知得されるよう警告等を行うとともに、表示の切替えや可動式カメラ11のモードの切替えを自動的に行うことにより、必要な操作をするようユーザに促し、ユーザの負担の軽減および無駄な撮影の防止をすることができる。
【0130】
<2. 変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0131】
例えば、1つの対象単位図形だけでなく、複数の対象単位図形を選択してそれぞれにつき外部パラメータを計算し、得られた複数の外部パラメータを平均化すれば外部パラメータの計算精度がさらに向上する。
【0132】
可動式カメラ11において画像データの演算処理を行って外部パラメータを算出し、コンピュータ15または被写体用カメラ13と通信する構成をとってもよい。これらの装置間の情報伝達を、通信ケーブルを介して行う、あるいはメモリカードのような記憶媒体を介してデータの転送を行ってもよい。
【0133】
上記実施の形態では、可動式カメラ11の外部パラメータの算出は、被写体用カメラ13が撮影を行った際にのみ実行されているが、可動式カメラ11がリアルタイムに捉えている立体チャート2の画像から、立体チャート2のどこを捉えているのかを逐次求めて、外部パラメータをリアルタイムで算出してもよい。この場合、画像上における立体チャート2の頂点の位置を、リアルタイムで把握することからマーカ201を省略できる。
【0134】
マーカ201に発光性を持たせず、蛍光塗料を塗布したものなどであってもよく、単なる頂点であっても追尾(トラッキング)に使用することができる。
【0135】
本実施の形態における可動式カメラ11と被写体用カメラ13とは、連結機構を介して間接的に連結してもよい。
【0136】
また、被写体用カメラ13の外部パラメータPM2が算出できなかった場合の再撮影の要求は、ディスプレイ163への表示に限られるものではなく、音声案内等によって行われてもよい。
【0137】
また、上記実施の形態に係る画像処理等をCPUに実行させるプログラムは、必ずしもROMに予め書き込まれていなくてもよい。例えば、事前に読取装置等を介して記録媒体からプログラムが読み出され、記憶された後、実行されてもよい。
【0138】
また、上記実施の形態では一連の画像処理が全てCPUによるソフトウェア的処理で実行されているが、それらの処理の一部または全部を専用の回路により実現することも可能である。
【0139】
また、上記の実施例では、チャートに描かれたパターン上の4点を検出することにより、カメラの姿勢を求めるようにしているが、これに限らず、以下のようにカメラ姿勢を検出するようにしてもよい。
【0140】
形状が既知である物体(例えば四角錐)を上記実施例のチャートの代わりに配置しておく。カメラには、カメラ座標系にその形状のモデルデータを有し、撮影された画像と撮像面に等価な面に投影したモデル画像とが一致するときのモデルの姿勢を求めることによりカメラ姿勢を検出する。
【0141】
また、上記説明においては、2次元画像を撮影する場合の構成について説明したが、それに限定するものでもなく、その他の測定装置(例えば、3次元測定装置)等にも上記の技術を適用することは可能である。
【0142】
【発明の効果】
請求項1、及びに記載の発明では、操作のために必要な画像を表示することができ、ユーザの操作性を向上することができる。
【0143】
請求項及びに記載の発明では、表示手段が、第1の撮影装置で撮影された画像と、第2の撮影装置で撮影された画像とを選択的に表示するため、ユーザの操作性がより向上する。
【0144】
請求項及びに記載の発明では、第1の撮影装置により、基準物体が撮影可能な状態であるかどうかを検出して、その検出結果を告知するように構成されるため、ユーザに必要な操作を知らせることができ、無駄な撮影が続けられることを防止することができる。
【0145】
請求項及びに記載の発明では、第1の撮影装置による基準物体の撮影が可能な状態でないことが検出されると、測定装置の測定動作を禁止するように構成されるため、測定動作が禁止されている間、ユーザに無駄な撮影を行わないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る校正用チャートを用いた画像撮影システムの構成例を示す図である。
【図2】図1の画像撮影システムのブロック図である。
【図3】本実施の形態に係る校正用立体チャートの側面の例を示す図である。
【図4】チャート撮影用可動式カメラの正面図である。
【図5】チャート撮影用可動式カメラのブロック図である。
【図6】チャート撮影用可動式カメラの情報処理機能の要部を示す図である。
【図7】チャート撮影用可動式カメラのデータの流れを示す図である。
【図8】被写体撮影用デジタルカメラの情報処理機能の要部を示す図である。
【図9】被写体撮影用カメラのデータの流れを示す図である。
【図10】本実施の形態に係るカメラ校正用チャートを用いた撮影および校正の手順のうち、第1サブプロセスに相当する手順を示す図である。
【図11】本実施の形態に係るカメラ校正用チャートを用いた撮影および校正の手順のうち、第2サブプロセスに相当する手順を示す図である。
【図12】自動追尾設定処理の動作を示す流れ図である。
【図13】被写体用カメラに表示される撮影可能状態の例を示した図である。
【図14】可動式カメラにおける自動追尾モードの動作を示す流れ図である。
【図15】チャート撮影用可動式カメラと被写体撮影デジタル用カメラが、同時に本発明に係るカメラ校正用チャートを撮影したときの、各々の撮像例を示す図である。
【図16】チャート撮影用可動式カメラに対する、被写体撮影用デジタルカメラの相対位置・姿勢を算出する際に用いる、座標変換の様子を示す図である。
【図17】被写体撮影用デジタルカメラが被写体を撮影するときの、チャート撮影用可動式カメラと被写体撮影用デジタルカメラの撮像例を示す図である。
【図18】チャート撮影用可動式カメラに対する、被写体撮影用デジタルカメラの相対位置・姿勢を算出する際に用いる、座標変換の様子を示す図である。
【図19】本実施の形態に係る立体チャートの側面において、単位台形のサイズが、複比によってコーディングされた例を示す図である。
【図20】複比が射影により変化しないことを説明する図である。
【図21】コーディングに用いられる複比の例を示す図である。
【図22】図21から得られる直線の間隔の移動平均が、頂点からの距離にほぼ比例していることを示す図である。
【図23】本実施の形態に係る立体チャートを六角錐とした場合に、各面に用いられるコーディングの例を示す図である。
【図24】本実施の形態に係る立体チャートを撮影した画像から、立体チャート上の撮影箇所を同定する手順を示す図である。
【図25】本実施の形態に係る立体チャートの撮像における、直線の抽出の例を示す図である。
【図26】本実施の形態に係る立体チャートの同じ側面を、異なる距離から撮影したときの撮像の例を示す図である。
【符号の説明】
1 画像撮影システム
10 カメラシステム(測定装置)
11 可動式カメラ(第1の撮影装置)
110 レンズユニット
110a 固定レンズ
110b ズームレンズ
110e 絞り/シャッタ機構部
111 2次元受光素子
112 通信デバイス
113 姿勢装置
114 固定部
115a 第1取付溝
115b 第2取付溝
116 球状ユニット
117 追尾ボタン
12 取付機構
126p,126t 角度センサ
126z センサ
13 被写体撮影用カメラ(第2の撮影装置)
15 コンピュータ
155 レンズユニット
156 2次元受光素子
2 立体チャート
201 マーカ
202 マーカ用電源
203 立体チャート本体
204 表示部
205 支持部
250 チャート支持具
251 台座
252 アーム
30 被写体
300 画像
301 メッセージ

Claims (5)

  1. 物体を測定する測定装置において、
    3次元上の既知の形状を有する基準物体を撮影するための第1の撮影装置と、
    前記第1の撮影装置で撮影された基準物体画像に基づいて前記測定装置の姿勢を算出する姿勢検出手段と、
    前記第1の撮影装置で撮影された画像を表示する表示手段と、
    物体の2次元画像を撮影する第2の撮影装置と、
    を備え
    前記表示手段は、前記第1の撮影装置で撮影された画像と、前記第2の撮影装置で撮影された画像とを選択的に表示することを特徴とする測定装置。
  2. 物体を測定する測定装置において、
    3次元上の既知の形状を有する基準物体を撮影するための第1の撮影装置と、
    前記第1の撮影装置で撮影された基準物体画像に基づいて前記測定装置の姿勢を算出する姿勢検出手段と、
    前記第1の撮影装置により、前記基準物体が撮影可能な状態であるかどうかを検出する検出手段と、
    前記検出手段による検出結果を告知する手段と、
    を備えることを特徴とする測定装置。
  3. 物体を測定する測定装置において、
    3次元上の既知の形状を有する基準物体を撮影するための第1の撮影装置と、
    前記第1の撮影装置で撮影された基準物体画像に基づいて前記測定装置の姿勢を算出する姿勢検出手段と、
    前記第1の撮影装置により、前記基準物体が撮影可能な状態であるかどうかを検出する検出手段と、
    前記検出手段により、前記基準物体の撮影が可能な状態でないことが検出されると、前記測定装置の測定動作を禁止する禁止手段と、
    を備えることを特徴とする測定装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の測定装置において、
    前記第1の撮影装置は、撮影方向可変であることを特徴とする測定装置。
  5. 請求項に記載の測定装置において、
    前記第1の撮影装置は、前記基準物体を自動追尾するように撮影方向を制御する制御手段を備えることを特徴とする測定装置。
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