JP4664653B2 - ガス濃度測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、被測定ガス中に含まれる特定ガスの濃度を測定するためのガス濃度測定装置に関する。
従来より、被測定ガス中に含まれる特定ガスの濃度を測定するためのガス濃度測定装置(ガス成分濃度検出器)が知られている(特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。なお、被測定ガスとしては、自動車の内燃機関やボイラ等の燃焼機器の排気ガスなどがあり、特定ガスとしてはNOxなどがある。
このガス濃度測定装置は、被測定ガス中の酸素濃度を検知する酸素濃度検知セル(酸素分圧検知セル)と、被測定ガス中から酸素を汲み出す第1酸素イオンポンプセル(ポンプセル)と、酸素が汲み出された後の被測定ガス特定ガス(NOx)を汲み出す第2酸素イオンポンプセル(センサセル)とを備えている。
なお、第1酸素イオンポンプセル(ポンプセル)は、酸素を解離する特性を有し、第2酸素イオンポンプセルは、酸素よりも解離電圧が高い特定ガス(例えば、NOxなど)を解離できる特性を有する。
なお、印加電圧を高く設定する、あるいは、電極材料としてガス解離能力(活性化能力)の高い材料を用いるなどにより、第2酸素イオンポンプセルの解離能力を第1酸素イオンポンプセルよりも高くすることも可能である。また、「Ptからなる材料」は、「PtおよびAuからなる材料」に比べて、ガス解離能力(活性化能力)の高い材料である。
そして、ガス濃度測定装置は、第2酸素イオンポンプセルに流れる電流値に基づき、被測定ガスにおける特定ガスの濃度を検出する。なお、特定ガスの濃度は、例えば、第2酸素イオンポンプセルに流れる電流値の積分値を測定し、その積分値に基づき特定ガス濃度の換算値を算出する演算手段を備えることで算出できる。
特開平10−090220号公報(請求項1、図3など) 特開平10−160703号公報(請求項1、図1など) 特開2003−232771号公報(請求項1、図2など)
しかし、上記従来のガス濃度測定装置は、第2酸素イオンポンプセルへの電圧印加を常時行い、第2酸素イオンポンプセルに流れる電流値を常時測定している。このため、被測定ガス中の特定ガス濃度が低い場合には、第2酸素イオンポンプセルに流れる電流値が微小となるため、ノイズなどの影響を受けやすく検出誤差が生じやすくなり、特定ガスの検出精度が低下する虞がある。
また、第2酸素イオンポンプセルに流れる電流値が微小であるために、電流値の変化を検出することが困難となり、特定ガスの濃度変化を適切に検出することができず、濃度変化の検出精度が低下してしまう。
そこで、本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、被測定ガス中の特定ガス濃度が低い場合においても、特定ガスの検出精度が低下し難いガス濃度測定装置を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、ガス拡散抵抗部を介して被測定ガスが導入される被測定ガス室と、一対の多孔質電極が表面に形成された酸素イオン伝導性固体電解質体を有し、被測定ガス室中の酸素濃度を測定する酸素濃度検知セルと、一対の多孔質電極が表面に形成された酸素イオン伝導性固体電解質体を有し、酸素濃度検知セルにより検出された酸素濃度に基づき、被測定ガス室に対して酸素を汲み入れまたは汲み出す第1酸素イオンポンプセルと、一対の多孔質電極が表面に形成された酸素イオン伝導性固体電解質体を有し、第1酸素イオンポンプセルにより酸素が汲み出された後の被測定ガスに含まれる特定ガスの濃度を測定する第2酸素イオンポンプセルと、第2酸素イオンポンプセルに電圧を印加する第2ポンプセル用電源手段と、を備えて、被測定ガス中における特定ガスの濃度を測定するガス濃度測定装置であって、特定ガスは、O2 よりも解離電圧が高いガスであり、第2ポンプセル用電源手段の電圧印加により第2酸素イオンポンプセルに流れる電流の通電経路となる第2通電経路を、接続状態または遮断状態に切り替える第2スイッチング手段と、特定ガスの濃度検出時は第2通電経路を接続状態に設定し、特定ガスの濃度検出時以外は第2通電経路を遮断状態に設定するように、第2スイッチング手段を駆動制御する制御手段と、を備えており、被測定ガス室は、1室で構成されており、第1酸素イオンポンプセルを形成する酸素イオン伝導性固体電解質体と、第2酸素イオンポンプセルを形成する酸素イオン伝導性固体電解質体とが、単一の酸素イオン伝導性固体電解質体を共有し、特定ガスは、NOxであること、を特徴とするガス濃度測定装置である。
このガス濃度測定装置は、第2スイッチング手段および制御手段を備えており、特定ガスの濃度検出時は第2通電経路を接続状態に設定し、特定ガスの濃度検出時以外は第2通電経路を遮断状態に設定することに特徴がある。
つまり、第2ポンプセル用電源手段による第2酸素イオンポンプセルへの電圧印加を常時行うのではなく、特定ガスの濃度検出時には第2酸素イオンポンプセルへの電圧印加を行い、特定ガスの濃度検出時以外には第2酸素イオンポンプセルへの電圧印加を行わないように構成されている。
これにより、第2酸素イオンポンプセルへの電圧印加を行わない時間帯(測定停止時間帯)においては、被測定ガス中の特定ガスが汲み出されることが無いため、被測定ガス室に存在する特定ガスが減少することがない。
なお、従来のように第2酸素イオンポンプセルへの電圧印加を常時行う場合には、被測定ガス室に存在する特定ガスが汲み出されると共に、ガス拡散抵抗部により外部から被測定ガス室への特定ガスの流入が制限されることから、被測定ガス室に存在する特定ガスの濃度は、外部の被測定ガスにおける特定ガスの濃度に比べて低くなる。
これに対して、本発明では、測定停止時間帯においては、被測定ガス室の中の特定ガスが汲み出されることが無い。よって、外部から被測定ガス室への特定ガスの流入がガス拡散抵抗部により制限されるものの、被測定ガス室における特定ガスの濃度は、第2酸素イオンポンプセルへの電圧印加を開始する時点までに、外部の被測定ガスにおける特定ガス(NOx)の濃度に近づくことになる。
そして、第2酸素イオンポンプセルへの電圧印加を行う時間帯(測定実行時間帯)においては、測定停止時間帯に被測定ガス室に蓄積された特定ガスの量に応じて、第2酸素イオンポンプセルに電流が流れることになる。
このとき、被測定ガス室における特定ガスは、従来のように第2酸素イオンポンプセルへの電圧印加を常時行う場合に比べて、濃度が高くなるため、特定ガスの濃度が低い被測定ガスであっても、従来に比べて被測定ガス室における特定ガスの濃度を高めることができ、第2酸素イオンポンプセルに流れる電流値を大きくすることができる。
このように、第2酸素イオンポンプセルに流れる電流値を大きくすることで、ノイズなどの影響による電流値の検出誤差を低減でき、特定ガスの検出精度の低下を抑制することができる。
なお、特定ガスの濃度は、例えば、第2酸素イオンポンプセルに流れる電流値の積分値を測定し、その積分値に基づき特定ガス濃度の換算値を算出する演算手段を備えることで算出できる。そして、従来のように常時第2酸素イオンポンプセルへの電圧印加を行う場合でも、本発明のように測定停止時間帯と測定実行時間帯とを有する場合でも、被測定ガスにおける特定ガスの濃度が同一であれば、理論的には、単位時間あたりに第2酸素イオンポンプセルに流れる電流値の積分値は同一値となる。
しかし、本発明のガス濃度測定装置は、従来に比べて、第2酸素イオンポンプセルに流れる電流値を大きくできることから、ノイズなどの影響による電流値の検出誤差を低減することができ、電流の積分値を精度良く演算することができる。
よって、本発明のガス濃度測定装置によれば、特定ガスを検出するタイミングを常時ではなく限られた時間に限定することで、特定ガスが微量ずつ消費されるのを防止でき、検出時の電流値を大きくできる。これにより、本発明のガス濃度測定装置は、特定ガス濃度が低い被測定ガスに対しても、ノイズの影響を抑えつつ特定ガスの濃度を測定することができ、特定ガスの検出精度を向上できる。
なお、本発明のガス濃度測定装置は、O2 よりも解離電圧が高い特定ガスを測定対象としており、特に、酸素イオンを含む組成の特定ガスを測定する際に有効である。
次に、本発明のガス濃度測定装置においては、被測定ガス室は、1室で構成されており、第1酸素イオンポンプセルを形成する酸素イオン伝導性固体電解質体と、第2酸素イオンポンプセルを形成する酸素イオン伝導性固体電解質体とが、単一の酸素イオン伝導性固体電解質体を共有している
つまり、第1酸素イオンポンプセルを形成する酸素イオン伝導性固体電解質体と、第2酸素イオンポンプセルを形成する酸素イオン伝導性固体電解質体とを、それぞれ別々の酸素イオン伝導性固体電解質体で形成するのではなく、同一の酸素イオン伝導性固体電解質体で形成するのである。
また、本発明は、被測定ガス室を2室備える複雑な構成ではなく、被測定ガス室を1室のみ備える構成であり、構成が簡略化されている。
このように、単一の酸素イオン伝導性固体電解質体を第1酸素イオンポンプセルと第2酸素イオンポンプセルとで共用すると共に、被測定ガス室を1室にする構成を採用することにより、装置の構成を簡略化できる。これにより、当該装置のうち、被測定ガス室、第1酸素イオンポンプセルおよび第2酸素イオンポンプセルを備える部分(センサ素子部)の小型化を図ることができ、センサ素子部の設置スペースに関する制約を少なくすることができる。
このようにセンサ素子部の設置に必要なスペースを小型化することで、従来の設置位置よりも被測定ガス室への被測定ガスの導入が良好となる位置に対して、センサ素子部を容易に配置することができ、より確実に特定ガスを被測定ガス室に導入することが可能となる。
よって、本発明によれば、より確実に特定ガスを被測定ガス室に導入できることから、第2酸素イオンポンプセルに流れる電流値を大きくすることができ、特定ガス濃度が低い被測定ガスに対しても、ノイズの影響を抑えつつ特定ガスの濃度を測定することができ、特定ガスの検出精度を向上できる。
次に、上述(請求項1)のガス濃度測定装置においては、請求項2に記載のように、第1酸素イオンポンプセルを形成する一対の多孔質電極と、第2酸素イオンポンプセルを形成する一対の多孔質電極とが、単一の一対の多孔質電極を共有しており、第1酸素イオンポンプセルに電圧を印加する第1ポンプセル用電源手段と、第1ポンプセル用電源手段の電圧印加により第1酸素イオンポンプセルに流れる電流の通電経路となる第1通電経路を、接続状態または遮断状態に切り替える第1スイッチング手段を備え、制御手段は、特定ガスの濃度検出時には、第2通電経路を接続状態に設定すると共に第1通電経路を遮断状態に設定し、特定ガスの濃度検出時以外には、第2通電経路を遮断状態に設定すると共に第1通電経路を通電状態に設定するように、第2スイッチング手段および第1スイッチング手段を制御するとよい。
つまり、このガス濃度測定装置は、第1酸素イオンポンプセルを形成する一対の多孔質電極と、第2酸素イオンポンプセルを形成する一対の多孔質電極とを、それぞれ別々の一対の多孔質電極で形成するのではなく、同一の一対の多孔質電極で形成することに特徴がある。
このように、単一の一対の多孔質電極を第1酸素イオンポンプセルと第2酸素イオンポンプセルとで共用することにより、装置の構成を簡略化でき、当該装置のうちセンサ素子部の小型化を図ることができ、センサ素子部の設置スペースに関する制約を少なくすることができる。
この結果、従来の設置位置よりも被測定ガス室への被測定ガスの導入が良好となる位置に対して、センサ素子部を容易に配置することができ、より確実に特定ガスを被測定ガス室に導入することが可能となる。
なお、このガス濃度測定装置は、第1スイッチング手段、第2スイッチング手段および制御手段を備えており、特定ガスの濃度検出時には第2通電経路を接続状態に設定すると共に第1通電経路を遮断状態に設定し、特定ガスの濃度検出時以外には第2通電経路を遮断状態に設定すると共に第1通電経路を通電状態に設定する。
これにより、単一の一対の多孔質電極を第1酸素イオンポンプセルと第2酸素イオンポンプセルとで共用する構成においても、被測定ガス室中の酸素を適切に汲み出しまたは汲み入れができると共に、特定ガスの濃度に応じた電流値を検出することができる。
よって、本発明によれば、より確実に特定ガスを被測定ガス室に導入できることから、第2酸素イオンポンプセルに流れる電流値を大きくすることができ、特定ガス濃度が低い被測定ガスに対しても、ノイズの影響を抑えつつ特定ガスの濃度を測定することができ、特定ガスの検出精度を向上できる。
次に、上述(請求項1)のガス濃度測定装置においては、請求項3に記載のように、第1酸素イオンポンプセルおよび第2酸素イオンポンプセルは、それぞれ一対の多孔質電極として、被測定ガス室に面する内側電極と、被測定ガス室に面しない外側電極とを備え、第1酸素イオンポンプセルを形成する外側電極と第2酸素イオンポンプセルを形成する外側電極とが単一の電極を共有し、第1酸素イオンポンプセルを形成する内側電極は酸素を解離する材料で形成され、第2酸素イオンポンプセルを形成する内側電極は特定ガスを解離する材料で形成されるとよい。
このガス濃度測定装置は、第1酸素イオンポンプセルを形成する外側電極と第2酸素イオンポンプセルを形成する外側電極とを同一の外側電極で形成し、また、第1酸素イオンポンプセルを形成する内側電極と第2酸素イオンポンプセルを形成する内側電極とをそれぞれ異なる材料で形成することに特徴がある。
まず、外側電極を第1酸素イオンポンプセルと第2酸素イオンポンプセルとで共用することにより、装置の構成を簡略化でき、当該装置のうちセンサ素子部の小型化を図ることができ、センサ素子部の設置スペースに関する制約を少なくすることができる。この結果、従来よりも被測定ガス室への被測定ガスの導入が良好となる位置に対して、センサ素子部を容易に配置することができ、より確実に特定ガスを被測定ガス室に導入することが可能となる。
また、第1酸素イオンポンプセルの内側電極と第2酸素イオンポンプセルの内側電極とをそれぞれ異なる材料で形成することで、第1酸素イオンポンプセルにて解離するガスと第2酸素イオンポンプセルにて解離するガスとを、それぞれ異なる種類のガスに設定することができる。つまり、第1酸素イオンポンプセルが被測定ガス中の酸素を汲み出すにあたり、特定ガスまでも汲み出してしまうのを抑制することができ、第1酸素イオンポンプセルによって被測定ガス室から特定ガスが汲み出されるのを抑制できる。
これにより、第1酸素イオンポンプセルにより被測定ガス中の酸素を適切に汲み出すと共に、第2酸素イオンポンプセルにより被測定ガス中の特定ガスを適切に検出できるため、特定ガスの測定時に第2酸素イオンポンプセルに流れる電流値を大きくすることができ、被測定ガス中の特定ガスの濃度を精度良く検出できる。
よって、本発明によれば、センサ素子部の小型化によりセンサ素子部の設置スペースに関する制約を少なくすることで、より確実に特定ガスを被測定ガス室に導入できると共に、第2酸素イオンポンプセルにより特定ガスを適切に検出できるため、第2酸素イオンポンプセルに流れる電流値を大きくすることができる。これにより、本発明のガス濃度測定装置は、特定ガス濃度が低い被測定ガスに対しても、ノイズの影響を抑えつつ特定ガスの濃度を測定することができ、特定ガスの検出精度を向上できる。
なお、上述(請求項3)のガス濃度測定装置においては、請求項4に記載のように、第1酸素イオンポンプセルに電圧を印加する第1ポンプセル用電源手段と、第1ポンプセル用電源手段の電圧印加により第1酸素イオンポンプセルに流れる電流の通電経路となる第1通電経路を、接続状態または遮断状態に切り替える第1スイッチング手段を備え、制御手段は、特定ガスの濃度検出時には、第2通電経路を接続状態に設定すると共に第1通電経路を遮断状態に設定し、特定ガスの濃度検出時以外には、第2通電経路を遮断状態に設定すると共に第1通電経路を通電状態に設定するように、第2スイッチング手段および第1スイッチング手段を制御するとよい。
このガス濃度測定装置は、第1スイッチング手段、第2スイッチング手段および制御手段を備えており、特定ガスの濃度検出時には第2通電経路を接続状態に設定すると共に第1通電経路を遮断状態に設定し、特定ガスの濃度検出時以外には第2通電経路を遮断状態に設定すると共に第1通電経路を通電状態に設定する。
これにより、単一の一対の多孔質電極を第1酸素イオンポンプセルと第2酸素イオンポンプセルとで共用する構成においても、被測定ガス室中の酸素を適切に汲み出しまたは汲み入れができると共に、特定ガスの濃度に応じた電流値を検出することができる。
よって、本発明によれば、より確実に特定ガスを被測定ガス室に導入できることから、第2酸素イオンポンプセルに流れる電流値を大きくすることができ、特定ガス濃度が低い被測定ガスに対しても、ノイズの影響を抑えつつ特定ガスの濃度を測定することができ、特定ガスの検出精度を向上できる。
ところで、一般に、内燃機関の排気ガス中のNOx濃度は低いことから、従来のように第2酸素イオンポンプセルに対する電圧印加を常時実行する場合には、第2酸素イオンポンプセルに流れる電流値としては微小な検出値(電流値)しか検出できないため、ノイズなどの影響を受けやすくなり、検出精度が低下する傾向がある。
そこで、上述(請求項1から請求項4のいずれか)のガス濃度測定装置においては、請求項5に記載のように、被測定ガスが内燃機関の排気ガスであるとよい。
つまり、被測定ガスが内燃機関の排気ガスであり、特定ガスがNOxである用途において、本発明を適用することにより、NOxを精度良く検出でき、NOx検出精度を向上できるという本発明に特有の作用効果をより一層発揮させることができる。
以下に、本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
まず、本発明のNOx濃度測定装置1について、図1に示す概略構成図を用いて説明する。なお、このNOx濃度測定装置1は、自動車の内燃機関やボイラ等の各種燃焼機器において、当該燃焼機器の排気ガス中のNOx濃度を検出する用途に用いられる。
なお、NOxは、O2 よりも解離電圧が高いという特性があり、また、酸素イオンを含む組成のガスである。
NOx濃度測定装置1は、NOxガスセンサ素子部2と、測定制御部3と、検知セル用電源部31と、第1ポンプセル用電源部33と、第2ポンプセル用電源部35と、第1スイッチング部37と、第2スイッチング部39と、を備えている。
測定制御部3は、マイクロコンピュータ(マイコン)や信号入出力部などを備えており、各種制御処理を実行することにより、NOxガスセンサ素子部2(具体的には、後述する第2抵抗素子63)に流れる電流値に基づいて、被測定ガス(排気ガス)中のNOxガス濃度を測定する。
NOxガスセンサ素子部2は、被測定ガス室11と、酸素濃度検知セル13と、共用酸素イオンポンプセル15と、ガス拡散抵抗部19と、絶縁層21と、基体層22と、を備えている。なお、図1では、NOxガスセンサ素子部2については、内部構成を表す概略構成図として示している。
共用酸素イオンポンプセル15は、酸素イオン伝導性を有するジルコニアからなる第1固体電解質層23と、第1固体電解質層23の表面に形成された一対の第1多孔質電極29と、を備えて形成されている。第1多孔質電極29は、第1固体電解質層23を挟み込むように配置された第1内側電極25および第1外側電極27からなり、第1内側電極25は白金(Pt)および金(Au)で形成されており、第1外側電極27は白金(Pt)で形成されている。なお、第1内側電極25は、第1固体電解質層23のうち被測定ガス室11に接する面に形成されている。
酸素濃度検知セル13は、酸素イオン伝導性を有するジルコニアからなる第2固体電解質層53と、第2固体電解質層53の表面に形成された一対の検知セル用多孔質電極59と、を備えて形成されている。一対の検知セル用多孔質電極59は、第2固体電解質層53を挟み込むように配置された検知電極55および基準電極57からなり、検知電極55は白金(Pt)および金(Au)で形成されており、基準電極57は白金(Pt)で形成されている。なお、検知電極55は、第2固体電解質層53のうち被測定ガス室11に接する面に形成されている。
被測定ガス室11は、第1固体電解質層23、第2固体電解質層53、ガス拡散抵抗部19、絶縁層21に囲まれて形成されており、多孔質物質からなるガス拡散抵抗部19を介して、排気ガス(被測定ガス)が導入される。
絶縁層21は、絶縁性材料(例えば、アルミナなど)を主体として形成されており、第1固体電解質層23と第2固体電解質層53との間に備えられる。
基体層22は、酸素イオン伝導性を有する材料(例えば、ジルコニアなど)からなり、基準電極57を覆うように形成されている。
また、NOx濃度測定装置1は、共用酸素イオンポンプセル15と第1ポンプセル用電源部33との間の第1通電経路に直列に接続された第1抵抗素子61と、共用酸素イオンポンプセル15と第2ポンプセル用電源部35との間の第2通電経路に直列に接続された第2抵抗素子63と、を備える。また、NOx濃度測定装置1は、第1内側電極25とグランドとの間に直列接続される第3抵抗素子65と、検知電極55とグランドとの間に直列接続される第4抵抗素子67と、基準電極57とグランドとの間に直列接続される第5抵抗素子69と、を備える。
なお、第1通電経路は、第1ポンプセル用電源部33の電圧印加により共用酸素イオンポンプセル15に流れる電流(第1電流Ip1)の通電経路であり、第2通電経路は、第2ポンプセル用電源部35の電圧印加により共用酸素イオンポンプセル15に流れる電流(第2電流Ip2)の通電経路である。
検知セル用電源部31は、第5抵抗素子69、酸素濃度検知セル13、第4抵抗素子67からなる電流経路に直列接続されており、第5抵抗素子69および第4抵抗素子67を介して酸素濃度検知セル13に対して電圧印加を行う。
第1ポンプセル用電源部33は、第1抵抗素子61、第1スイッチング部37、共用酸素イオンポンプセル15、第3抵抗素子65からなる電流経路に直列接続されており、被測定ガス室における酸素濃度に応じて定められる電圧値の電圧を、共用酸素イオンポンプセル15に対して印加する。なお、第1ポンプセル用電源部33は、比較回路71と基準電源73とを備えている。そして、比較回路71は、基準電源73の出力電圧値(目標電圧値)と酸素濃度検知セル13の基準電極57の電位Vsとを比較し、その比較結果に応じた電圧値の第1印加電圧Vp1を出力する。
なお、基準電源73の出力電圧値(目標電圧値)は、被測定ガス室11における酸素濃度が目標濃度であるときの基準電極57の電位と等しい電圧値が設定される。ここで、酸素濃度の目標濃度とは、被測定ガス(排気ガス)から特定ガス(NOx)を検出するのに適した酸素濃度である。
そして、第1ポンプセル用電源部33は、被測定ガス室11における酸素濃度を目標濃度に調整するために、第1印加電圧Vp1の電圧値を設定している。つまり、第1ポンプセル用電源部33は、基準電極57の電位Vsに基づき被測定ガス室11における酸素濃度が目標濃度よりも大きいと判定する場合には、被測定ガス室11から酸素を汲み出すことができる電圧値に第1印加電圧Vp1を設定し、基準電極57の電位Vsに基づき被測定ガス室11における酸素濃度が目標濃度よりも小さいと判定する場合には、被測定ガス室11に酸素を供給できる(汲み入れる)電圧値に第1印加電圧Vp1を設定する。
第2ポンプセル用電源部35は、第2抵抗素子63、第2スイッチング部39、共用酸素イオンポンプセル15、第3抵抗素子65からなる電流経路に直列接続されており、共用酸素イオンポンプセル15に対して電圧印加を行う。
なお、第1ポンプセル用電源部33が出力する第1印加電圧Vp1は、共用酸素イオンポンプセル15においてO2 を解離できる電圧値に設定され、第2ポンプセル用電源部35が出力する第2印加電圧Vp2は、共用酸素イオンポンプセル15においてNOxを解離できる電圧値に設定される。そして、O2 の解離に必要なエネルギは、NOxの解離に必要なエネルギよりも小さいことから、第1印加電圧Vp1は第2印加電圧Vp2よりも小さい電圧値に設定される。
第1スイッチング部37は、共用酸素イオンポンプセル15と第1ポンプセル用電源部33との間の第1通電経路に直列接続され、この第1通電経路を接続状態または遮断状態に切り替える。第2スイッチング部39は、共用酸素イオンポンプセル15と第2ポンプセル用電源部35との間の第2通電経路に直列接続され、この第2通電経路を接続状態または遮断状態に切り替える。
測定制御部3は、第1スイッチング部37、第2スイッチング部39を駆動制御して、共用酸素イオンポンプセル15に対して第1印加電圧Vp1または第2印加電圧Vp2を印加することで、被測定ガス室11における酸素濃度を調整する処理と、酸素が汲み出された(または、汲み入れられた)被測定ガス中の特定ガス(NOx)の濃度を測定する処理と、を実行する。
次に、NOx濃度測定装置1によるNOx濃度測定動作について、図2に示すフローチャートおよび図3に示す電流波形を用いて説明する。なお、図2は、NOx濃度測定動作の処理内容を表すフローチャートであり、図3は、第2印加電圧Vp2の印加時に共用酸素イオンポンプセル15に流れる電流(第2電流Ip2)の電流波形の一例である。
まず、NOx濃度測定装置1によるNOx濃度測定動作が開始されると、S110(Sはステップを表す)では、自己生成電流Icpを酸素濃度検知セル13に通電する処理を実行する。具体的には、検知セル用電源部31が出力する電圧を、第5抵抗素子69および第4抵抗素子67を介して酸素濃度検知セル13に印加する処理を行う。検知セル用電源部31の出力電圧を酸素濃度検知セル13に印加することにより、自己生成電流Icpが酸素濃度検知セル13に通電される。
次のS120では、基準電極57の電位Vsを測定する処理を実行する。具体的には、第1ポンプセル用電源部33が、基準電極57と第5抵抗素子69との接続点の電位(電位Vs)を測定する処理を実行する。
続くS130では、基準電極57の電位Vsと目標電圧値とを比較し、比較結果に基づいて第1印加電圧Vp1の電圧値を設定する処理を実行する。具体的には、第1ポンプセル用電源部33の比較回路71が、基準電極57の電位Vsと基準電源73の出力電圧値(目標電圧値)とを比較し、比較結果に基づき第1印加電圧Vp1の電圧値を設定し、設定された第1印加電圧Vp1を出力する処理を実行する。
つまり、第1ポンプセル用電源部33は、被測定ガス室11における酸素濃度を目標濃度に調整するように、第1印加電圧Vp1を設定している。
次のS140では、第1印加電圧Vp1の印加時期であるか否かを判断しており、肯定判定する場合にはS150に移行し、否定判定する場合にはS180に移行する。
なお、印加時期であるか否かの判断は、例えば、時間経過に基づいて判断することができる。具体例としては、第1印加電圧Vp1の印加時期(第1印加時期T1)と第2印加電圧Vp2の印加時期(第2印加時期T2)とを交互に繰り返すタイムスケジュールを予め別途設定しておき、タイムスケジュールに基づいて現在時刻が第1印加時期T1と判定される場合には肯定判定し、現在時刻が第1印加時期T1ではないと判定される場合には否定判定する処理を挙げることができる。
なお、S140からS220までの処理は、測定制御部3の内部で実行される演算処理として実現される。
S140で肯定判定されてS150に移行すると、S150では、第1スイッチング部37をオン状態(接続状態)に設定し、第2スイッチング部39をオフ状態(遮断状態)に設定する処理を行う。具体的には、測定制御部3が、第1スイッチング部37および第2スイッチング部39に対してそれぞれ駆動制御信号を出力して、各スイッチング部の状態を設定する。
これにより、第1ポンプセル用電源部33から出力される第1印加電圧Vp1が、第1抵抗素子61および第3抵抗素子65を介して、共用酸素イオンポンプセル15に印加される(S160)。これにより、共用酸素イオンポンプセル15は、印加される電圧値に応じて被測定ガス室11の酸素を汲み出し(または、汲み入れ)、被測定ガス室11の酸素濃度を目標濃度に近づける。
次のS170では、第1抵抗素子61に流れる電流(第1電流Ip1)を測定する処理を行う。具体的には、第1抵抗素子61の両端電圧を検出し、検出した両端電圧値と第1抵抗素子61の抵抗値に基づいて、第1電流Ip1を測定する。
なお、本実施形態では、補償のために、第1電流Ip1を測定して、被測定ガス室11の酸素の汲み出し(または汲み入れ)量を測定している。
なお、測定制御部3は、図示しない信号経路を介して、第1抵抗素子61の両端電圧および第2抵抗素子63の両端電圧が入力されている。
他方、S140で否定判定されてS180に移行すると、S180では、第1スイッチング部37をオフ状態(遮断状態)に設定し、第2スイッチング部39をオン状態(接続状態)に設定する処理を行う。具体的には、測定制御部3が、第1スイッチング部37および第2スイッチング部39に対してそれぞれ駆動制御信号を出力して、第1スイッチング部37および第2スイッチング部39の状態を設定する。
これにより、第2ポンプセル用電源部35から出力される第2印加電圧Vp2が、第2抵抗素子63および第3抵抗素子65を介して、共用酸素イオンポンプセル15に印加される(S190)。そして、共用酸素イオンポンプセル15には、被測定ガス室11のNOx濃度に応じた電流が流れる。
次のS200では、第2抵抗素子63に流れる電流(第2電流Ip2)を測定する処理を行う。具体的には、第2抵抗素子63の両端電圧を検出し、検出した両端電圧値と第2抵抗素子63の抵抗値に基づいて、第2電流Ip2を測定する。
続くS210では、第2電流Ip2の測定値を積分する処理を行う。
ここで、第2電流Ip2の測定波形の一例を、図3に示す。なお、図3では、第2印加時期T2を「NOx測定時間」と記載しており、第2印加時期T2以外の時間帯が第1印加時期T1に相当する。
そして、第2電流Ip2の積分値は、図3のうち電流波形と横軸(時間軸)とで囲まれる斜線部分の面積に相当しており、被測定ガス室11に存在するNOxの量に比例することから、被測定ガス(排気ガス)のNOx濃度に応じた値を示す。
次のS220では、S210で演算した第2電流Ip2の積分値を被測定ガス(排気ガス)のNOx濃度に換算する処理を行う。具体的には、第2電流Ip2の積分値と被測定ガス(排気ガス)のNOx濃度との対応関係を表すマップ、あるいは第2電流Ip2の積分値を代入することで被測定ガス(排気ガス)のNOx濃度を算出する計算式などを用いて、第2電流Ip2の積分値に基づいて被測定ガス(排気ガス)のNOx濃度を算出する処理を行う。
S170またはS220の処理が終了すると、再びS120に移行する。そして、S120からS220までの処理が繰り返し実行されることで、NOx濃度を測定する処理が実行される。
なお、NOx濃度測定装置1においては、共用酸素イオンポンプセル15が特許請求の範囲に記載の第1酸素イオンポンプセルおよび第2酸素イオンポンプセルに相当し、第1ポンプセル用電源部33が第1ポンプセル用電源手段に相当し、第2ポンプセル用電源部35が第2ポンプセル用電源手段に相当し、第1スイッチング部37が第1スイッチング手段に相当し、第2スイッチング部39が第2スイッチング手段に相当し、測定制御部3が制御手段に相当する。
以上説明したように、NOx濃度測定装置1は、第2スイッチング部39および測定制御部3を備えており、NOx濃度検出時は、共用酸素イオンポンプセル15と第2ポンプセル用電源部35との間の第2通電経路を接続状態に設定し、NOxの濃度検出時以外は第2通電経路を遮断状態に設定する。
つまり、NOx濃度測定装置1は、第2ポンプセル用電源部35による共用酸素イオンポンプセル15への電圧印加を常時行うのではなく、NOx濃度検出時には共用酸素イオンポンプセル15への第2印加電圧Vp2の電圧印加を行い、NOx濃度検出時以外には共用酸素イオンポンプセル15への第2印加電圧Vp2の電圧印加を行わないように構成されている。
これにより、第2印加電圧Vp2の電圧印加を行わない時間帯(測定停止時間帯)においては、被測定ガス室11の中の特定ガス(NOx)が汲み出されることが無いため、被測定ガス室11に存在する特定ガスが減少することがない。
なお、従来のように、第2印加電圧Vp2の電圧印加を常時行う場合には、被測定ガス室11に存在する特定ガス(NOx)が汲み出されると共に、ガス拡散抵抗部19により外部から被測定ガス室11への特定ガス(NOx)の流入が制限されることから、被測定ガス室11に存在する特定ガス(NOx)の濃度は、外部の被測定ガスにおける特定ガスの濃度に比べて低くなる。
これに対して、本実施形態では、測定停止時間帯においては、被測定ガス室11の中の特定ガス(NOx)が汲み出されることが無い。よって、外部から被測定ガス室11への特定ガス(NOx)の流入がガス拡散抵抗部19により制限されるものの、被測定ガス室11における特定ガス(NOx)の濃度は、第2印加電圧Vp2の電圧印加を開始する時点までに、外部の被測定ガスにおける特定ガス(NOx)の濃度に近づくことになる。
そして、第2印加電圧Vp2の電圧印加を行う時間帯(測定実行時間帯)においては、測定停止時間帯に被測定ガス室11に蓄積された特定ガスの量に応じて、共用酸素イオンポンプセル15に電流が流れることになる。
なお、従来のように、常時、第2電流Ip2を測定する場合には、被測定ガス室11に存在するNOxが微量となるため時間経過に伴う第2電流Ip2の変位量が小さくなり、時間経過に伴うNOx濃度の変化を検出する際にノイズの影響を受けやすく、検出精度が低下してしまう。
これに対して、本実施形態のNOx濃度測定装置1によれば、図3に示すように、時間経過に伴う第2電流Ip2の変位量が大きくなるため、時間経過に伴うNOx濃度の変化を精度良く検出することができる。つまり、被測定ガス室11における特定ガス(NOx)は、従来のように特定ガス濃度の測定を常時行う場合に比べて、濃度が高くなるため、NOx濃度が低い排気ガスであっても、従来に比べて被測定ガス室11におけるNOx濃度を高めることができ、共用酸素イオンポンプセル15に流れる電流値を大きくすることができる。
このように、NOx測定時に共用酸素イオンポンプセル15に流れる電流値を大きくすることで、ノイズなどの影響による第2電流Ip2の検出誤差を低減でき、特定ガス(NOx)の検出精度の低下を抑制することができる。
よって、NOx濃度測定装置1は、NOx測定時期を常時ではなく、限られた時間に限定することで、NOxが微量ずつ消費されるのを防止でき、検出時の電流値を大きくできることから、NOx濃度が低い排気ガスに対しても、ノイズの影響を抑えつつNOx濃度を測定することができ、特定ガス(NOx)の検出精度を向上できる。
また、NOx濃度測定装置1は、被測定ガス室11が1室で構成されており、被測定ガス室11から酸素を汲み出すためのポンプセルと被測定ガス室11からNOxを汲み出すためのポンプセルとが、同一の共用酸素イオンポンプセル15で構成されている。
つまり、酸素を汲み出すためのポンプセルを形成する酸素イオン伝導性固体電解質体と、NOxを汲み出すためのポンプセルを形成する酸素イオン伝導性固体電解質体とが、同一の酸素イオン伝導性固体電解質体(第1固体電解質層23)で形成されている。また、酸素を汲み出すためのポンプセルを形成する一対の多孔質電極と、NOxを汲み出すためのポンプセルを形成する一対の多孔質電極とが、同一の一対の第1多孔質電極29で形成されている。
このように、単一の共用酸素イオンポンプセル15を、酸素を汲み出すためのポンプセルおよびNOxを汲み出すためのポンプセルとして共用すると共に、被測定ガス室11を1室にすることにより、NOxガスセンサ素子部2の小型化を図ることができる。これにより、NOxガスセンサ素子部2の設置スペースに関する制約を少なくすることができ、従来の設置位置に比べて被測定ガス室11への排気ガスの導入が良好となる位置に対して、NOxガスセンサ素子部2を容易に配置することができ、より確実に特定ガス(NOx)を被測定ガス室11に導入することが可能となる。
よって、NOx濃度測定装置1は、より確実に特定ガス(NOx)を被測定ガス室11に導入できることから、NOx測定時に共用酸素イオンポンプセル15に流れる電流値を大きくすることができ、NOx濃度が低い排気ガスに対しても、ノイズの影響を抑えつつ特定ガスの濃度を測定することができ、特定ガス(NOx)の検出精度を向上できる。
また、NOx濃度測定装置1は、第1スイッチング部37、第2スイッチング部39および測定制御部3を備えており、NOx濃度検出時(S140で否定判定時)には第2通電経路を接続状態に設定すると共に第1通電経路を遮断状態に設定し、NOx濃度検出時以外(S140で肯定判定時)には第2通電経路を遮断状態に設定すると共に第1通電経路を通電状態に設定する。
これにより、単一の一対の第1多孔質電極29を酸素を汲み出すためのポンプセルおよびNOxを汲み出すためのポンプセルで共用する構成においても、排気ガス中の酸素を適切に汲み出すことができると共に、NOx濃度に応じた電流値を検出することができる。
また、一般に、内燃機関の排気ガス中のNOx濃度は低いが、本実施形態のNOx濃度測定装置1は、排気ガス中のNOx濃度に応じた第2電流Ip2を精度良く検出することができ、ノイズなどの影響を抑えて、NOx検出精度の向上を図ることができる。
さらに、単一の共用酸素イオンポンプセル15を、酸素を汲み出すためのポンプセルおよびNOxを汲み出すためのポンプセルとして共用することで、センサ素子部に備えられる電極数を削減でき、センサ素子部に接続するリード線の本数を削減できる。このようにリード線の本数を削減することで、センサ素子部に繋がるリード線の配設作業が容易となり、また、センサ素子の設置スペースの制約をさらに少なくすることができる。また、単一の共用酸素イオンポンプセル15を共用する構成とすることで、センサ素子部の構造を簡略化できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、種々の態様をとることができる。
例えば、上記の実施形態(以下、第1実施形態ともいう)では、酸素を汲み出すための内側電極と特定ガス(NOx)を検出するための内側電極とを単一の第1内側電極25を共用して備える構成であったが、酸素を汲み出すための内側電極と特定ガス(NOx)を検出するための内側電極とをそれぞれ別に備えてもよい。
そこで、第2実施形態として、酸素を汲み出すための第2内側電極125と、特定ガス(NOx)を検出するための第3内側電極126とを備える第2NOx濃度測定装置101について説明する。
図4に、第2NOx濃度測定装置101の概略構成図を示す。なお、第2実施形態は、第1実施形態と比べて、内側電極の個数、スイッチング部の個数、測定制御部3によるスイッチング駆動制御処理が異なり、その他の構成要素については同様であることから、異なる部分を中心に説明し、同一の構成については同一符号を用いて表す。
第2NOx濃度測定装置101は、第2NOxガスセンサ素子部102と、測定制御部3と、検知セル用電源部31と、第1ポンプセル用電源部33と、第2ポンプセル用電源部35と、第1スイッチング部37と、第2スイッチング部39と、第3スイッチング部137と、第4スイッチング部139と、を備えている。
第2NOxガスセンサ素子部102は、被測定ガス室11と、酸素濃度検知セル13と、第1酸素イオンポンプセル115と、第2酸素イオンポンプセル116と、ガス拡散抵抗部19と、絶縁層21と、基体層22と、を備えている。なお、図4では、第2NOxガスセンサ素子部102については、内部構成を表す概略構成図として示している。
第1酸素イオンポンプセル115は、酸素イオン伝導性を有するジルコニアからなる第1固体電解質層23と、第1固体電解質層23の表面に形成された一対の酸素用多孔質電極129と、を備えて形成されている。
酸素用多孔質電極129は、第1固体電解質層23を挟み込むように配置された第2内側電極125および共用外側電極127からなり、第2内側電極125は白金(Pt)および金(Au)で形成されており、共用外側電極127は白金(Pt)で形成されている。なお、第2内側電極125は、第1固体電解質層23のうち被測定ガス室11に接する面に形成されている。
第2酸素イオンポンプセル116は、酸素イオン伝導性を有するジルコニアからなる第1固体電解質層23と、第1固体電解質層23の表面に形成された一対の特定ガス用多孔質電極130と、を備えて形成されている。
特定ガス用多孔質電極130は、第1固体電解質層23を挟み込むように配置された第3内側電極126および共用外側電極127からなり、第3内側電極126は白金(Pt)で形成されており、共用外側電極127は白金(Pt)で形成されている。なお、第3内側電極126は、第1固体電解質層23のうち被測定ガス室11に接する面に形成されている。
また、第2NOx濃度測定装置101は、第2内側電極125からグランドに至る電流経路に直列接続される第6抵抗素子138と、第3内側電極126からグランドに至る電流経路に直列接続される第7抵抗素子140と、を備える。
第3スイッチング部137は、第1酸素イオンポンプセル115と第6抵抗素子138との間の第1通電経路に直列接続され、この第1通電経路を接続状態または遮断状態に切り替える。なお、第3スイッチング部137は、測定制御部3からの指令に基づき、第1スイッチング部37と同様に接続状態または遮断状態に駆動制御される。
第4スイッチング部139は、第2酸素イオンポンプセル116と第7抵抗素子140との間の第2通電経路に直列接続され、この第2通電経路を接続状態または遮断状態に切り替える。なお、第4スイッチング部139は、測定制御部3からの指令に基づき、第2スイッチング部39と同様に接続状態または遮断状態に駆動制御される。
なお、第1通電経路は、第1ポンプセル用電源部33の電圧印加により第1酸素イオンポンプセル115に流れる電流(第1電流Ip1)の通電経路であり、第2通電経路は、第2ポンプセル用電源部35の電圧印加により第2酸素イオンポンプセル116に流れる電流(第2電流Ip2)の通電経路である。
測定制御部3は、第1スイッチング部37、第2スイッチング部39、第3スイッチング部137、第4スイッチング部139を駆動制御して、第1酸素イオンポンプセル115に対して第1印加電圧Vp1を印加することで、被測定ガス室11における酸素濃度を調整する処理と、第2酸素イオンポンプセル116に対して第2印加電圧Vp2を印加することで、酸素が汲み出された被測定ガス中の特定ガス(NOx)の濃度を測定する処理と、を実行する。
次に、第2NOx濃度測定装置101によるNOx濃度測定動作について、図5に示すフローチャートを用いて説明する。
なお、第2NOx濃度測定装置101によるNOx濃度測定動作のうちフローチャートにおけるS510〜S540、S560〜S570、S590〜S620の各ステップは、第1実施形態(NOx濃度測定装置1)のフローチャートにおけるS110〜S140、S160〜S170、S190〜S220の各ステップにそれぞれ対応する。そこで、第1実施形態と処理内容が異なるステップであるS550およびS580を中心に説明する。
S540で肯定判定されてS550に移行すると、S550では、第1スイッチング部37および第3スイッチング部137をオン状態(接続状態)に設定し、第2スイッチング部39および第4スイッチング部139をオフ状態(遮断状態)に設定する処理を行う。具体的には、測定制御部3が、第1スイッチング部37、第2スイッチング部39、第3スイッチング部137および第4スイッチング部139に対してそれぞれ駆動制御信号を出力して、各スイッチング部の状態を設定する。
これにより、第1ポンプセル用電源部33から出力される第1印加電圧Vp1が、第1抵抗素子61および第6抵抗素子138を介して、第1酸素イオンポンプセル115に印加される(S560)。これにより、第1酸素イオンポンプセル115は、印加される電圧値に応じて被測定ガス室11の酸素を汲み出し(または汲み入れ)、被測定ガス室11の酸素濃度を目標濃度に近づける。
他方、S540で否定判定されてS580に移行すると、S580では、第1スイッチング部37および第3スイッチング部137をオフ状態(遮断状態)に設定し、第2スイッチング部39および第4スイッチング部139をオン状態(接続状態)に設定する処理を行う。具体的には、測定制御部3が、第1スイッチング部37、第2スイッチング部39、第3スイッチング部137および第4スイッチング部139に対してそれぞれ駆動制御信号を出力して、各スイッチング部の状態を設定する。
これにより、第2ポンプセル用電源部35から出力される第2印加電圧Vp2が、第2抵抗素子63および第3抵抗素子65を介して、第2酸素イオンポンプセル116に印加される(S590)。そして、第2酸素イオンポンプセル116には、被測定ガス室11のNOx濃度に応じた電流が流れる。
S570またはS620の処理が終了すると、再びS520に移行する。そして、S520からS620までの処理が繰り返し実行されることで、NOx濃度を測定する処理が実行される。
つまり、第2NOx濃度測定装置101は、4つのスイッチング部を駆動制御して、第1酸素イオンポンプセル115および第2酸素イオンポンプセル116に対して交互に電圧印加することで、酸素の汲み出し処理とNOx濃度の検出処理とを交互に行う動作(NOx濃度測定動作)を実行する。
以上説明したように、第2NOx濃度測定装置101は、第1酸素イオンポンプセル115を形成する外側電極と第2酸素イオンポンプセル116を形成する外側電極とが同一の共用外側電極127で形成され、第1酸素イオンポンプセル115を形成する第2内側電極125は酸素を解離する材料(白金(PT)および金(Au))で形成され、第2酸素イオンポンプセル116を形成する第3内側電極126は特定ガスを解離する材料(白金(Pt))で形成されている。
このように、共用外側電極127を第1酸素イオンポンプセル115と第2酸素イオンポンプセル116とで共用することにより、装置の構成を簡略化でき、当該装置のうち第2NOxガスセンサ素子部102の小型化を図ることができ、第2NOxガスセンサ素子部102の設置スペースに関する制約を少なくすることができる。この結果、従来よりも被測定ガス室11への被測定ガス(排気ガス)の導入が良好となる位置に対して、第2NOxガスセンサ素子部102を容易に配置することができ、より確実に特定ガス(NOx)を被測定ガス室11に導入することが可能となる。
また、第1酸素イオンポンプセル115の第2内側電極125と第2酸素イオンポンプセル116の第3内側電極126とをそれぞれ異なる材料で形成することで、第1酸素イオンポンプセル115にて解離するガスと第2酸素イオンポンプセル116にて解離するガスとを、それぞれ異なる種類のガスに設定することができる。つまり、第1酸素イオンポンプセル115が被測定ガス(排気ガス)中の酸素を汲み出すにあたり、特定ガス(NOx)までも汲み出してしまうのを抑制することができ、第1酸素イオンポンプセル115によって被測定ガス室11から特定ガス(NOx)が汲み出されるのを抑制することができる。
これにより、第1酸素イオンポンプセル115により被測定ガス(排気ガス)中の酸素を適切に汲み出すと共に、第2酸素イオンポンプセル116により被測定ガス(排気ガス)中の特定ガス(NOx)を適切に検出できるため、NOx測定時に第2酸素イオンポンプセル116に流れる電流値を大きくすることができ、排気ガス中のNOx濃度を精度良く検出できる。
よって、第2NOx濃度測定装置101は、第2NOxガスセンサ素子部102の小型化により第2NOxガスセンサ素子部102の設置スペースに関する制約を少なくすることで、より確実に特定ガス(NOx)を被測定ガス室11に導入できると共に、第2酸素イオンポンプセル116により特定ガス(NOx)を適切に検出できるため、第2酸素イオンポンプセル116に流れる電流値を大きくすることができる。これにより、第2NOx濃度測定装置101は、NOx濃度が低い排気ガスに対しても、ノイズの影響を抑えつつNOx濃度を測定することができ、NOxの検出精度を向上できる。
なお、第2NOx濃度測定装置101においては、第1酸素イオンポンプセル115が特許請求の範囲における第1酸素イオンポンプセルに相当し、第2酸素イオンポンプセル116が第2酸素イオンポンプセルに相当し、第1スイッチング部37および第3スイッチング部137が第1スイッチング手段に相当し、第2スイッチング部39および第4スイッチング部139が第2スイッチング手段に相当する。また、第2内側電極125が、特許請求の範囲における第1酸素イオンポンプセルの内側電極に相当し、第3内側電極126が第2酸素イオンポンプセルの内側電極に相当する。
次に、第3実施形態として、第1酸素イオンポンプセル115による酸素の汲み出しを常時行い、第2酸素イオンポンプセル116による特定ガス(NOx)の検出を濃度検出時に限定して行う構成の第3NOx濃度測定装置201について説明する。
第3NOx濃度測定装置201は、第2NOxガスセンサ素子部102と、測定制御部3と、検知セル用電源部31と、第1ポンプセル用電源部33と、第2ポンプセル用電源部35と、第2スイッチング部39と、を備えている。これらの構成要素は、第2実施形態の第2NOx濃度測定装置101に備えられる各構成要素と同様であることから説明を省略し、同一の構成要素については同一符号を用いて表す。
また、第3NOx濃度測定装置201は、基準電源部231と、基準電圧比較回路233と、第1電流比較回路237と、第2電流比較回路239と、を備えている。
基準電源部231は、負極がグランドに接続され、正極が基準電圧比較回路233に接続されている。基準電源部231の出力電圧値は、共用外側電極127を予め定められた基準電位に設定するための電圧値である。
基準電圧比較回路233は、オペアンプで構成され、出力端子が共用外側電極127に接続され、反転入力端子(−)が自己の出力端子に接続され、非反転入力端子(+)が基準電源部231の正極に接続されており、基準電源部231の出力電圧値(基準電圧値)と自己の出力電圧値とを比較して、その比較結果に応じた電圧値を出力する。つまり、基準電圧比較回路233は、共用外側電極127の電位を基準電源部231の出力電圧値(基準電圧値)と等しい電位に制御する。
第1電流比較回路237は、オペアンプで構成され、出力端子が第1抵抗素子61を介して第2内側電極125に接続され、反転入力端子(−)が第2内側電極125に接続され、非反転入力端子(+)が第1ポンプセル用電源部33の出力端子に接続されている。そして、第1電流比較回路237は、第2内側電極125の電位と第1ポンプセル用電源部33の第1印加電圧Vp1とを比較して、その比較結果に応じた電圧値を出力することにより、第2内側電極125の電位を第1ポンプセル用電源部33の第1印加電圧Vp1と等しい電位に制御する。このとき、第1抵抗素子61には、被測定ガス室11からの酸素の汲み出しに伴い電流(第1電流Ip1)が流れ、その第1電流Ip1の積分値が被測定ガス室11から汲み出した酸素量あるいは被測定ガス室11に供給した酸素量に比例した値を示す。なお、第1電流Ip1の通電方向によって、被測定ガス室11から酸素を汲み出したか、あるいは被測定ガス室11に酸素を汲み入れたかを判断することができる。
第2電流比較回路239は、出力端子が第2抵抗素子63および第2スイッチング部39を介して第3内側電極126に接続され、反転入力端子(−)が第2スイッチング部39を介して第3内側電極126に接続され、非反転入力端子(+)が第2ポンプセル用電源部35の出力端子に接続されている。そして、第2電流比較回路239は、第3内側電極126の電位と第2ポンプセル用電源部35の第2印加電圧Vp2とを比較して、その比較結果に応じた電圧値を出力することにより、第3内側電極126の電位を第2ポンプセル用電源部35の第2印加電圧Vp2と等しい電位に制御する。このとき、第2抵抗素子63には、被測定ガス室11からのNOxの汲み出しに伴い電流(第2電流Ip2)が流れ、その第2電流Ip2の積分値が被測定ガス室11から汲み出したNOx量に比例した値を示す。
第2スイッチング部39は、第2酸素イオンポンプセル116と第2電流比較回路239との間の第2通電経路に直列接続され、この第2通電経路を接続状態または遮断状態に切り替える。なお、第2通電経路は、電圧印加により第2酸素イオンポンプセル116に流れる電流(第2電流Ip2)の通電経路である。
測定制御部3は、第2スイッチング部39を駆動制御して、第2酸素イオンポンプセル116に対して第2印加電圧Vp2を印加することで、被測定ガス室11において酸素が汲み出された被測定ガス(排気ガス)中の特定ガス(NOx)の濃度を測定する処理を実行する。
次に、第3NOx濃度測定装置201によるNOx濃度測定動作について、図7に示すフローチャートを用いて説明する。
なお、第3NOx濃度測定装置201によるNOx濃度測定動作のうちフローチャートにおけるS710〜S730、S740〜S750、S780〜S810の各ステップは、第1実施形態(NOx濃度測定装置1)のフローチャートにおけるS110〜S130、S160〜S170、S190〜S220の各ステップにそれぞれ対応する。そこで、第1実施形態と処理内容が異なるステップであるS760およびS770を中心に説明する。
S760では、第2印加電圧Vp2の印加時期であるか否かを判断しており、肯定判定する場合にはS770に移行し、否定判定する場合にはS720に移行する。
なお、印加時期であるか否かの判断は、例えば、時間経過に基づいて判断することができる。具体例としては、第2印加電圧Vp2の印加停止時期(印加停止時期T3)と第2印加電圧Vp2の印加時期(第2印加時期T2)とを交互に繰り返すタイムスケジュールを予め設定しておき、タイムスケジュールに基づいて現在時刻が第2印加時期T2と判定される場合には肯定判定し、現在時刻が印加停止時期T3と判定される場合には否定判定する処理を挙げることができる。
なお、S760からS810までの処理は、測定制御部3の内部で実行される演算処理として実現される。
S770では、第2スイッチング部39をオン状態(接続状態)に設定する処理を行う。具体的には、測定制御部3が、第2スイッチング部39に対して駆動制御信号を出力して、スイッチング部の状態を設定する。
なお、S810での処理が終了するかS760で否定判定されると、再びS720に処理が移行する。そして、S720からS810までの処理が繰り返し実行されることで、NOx濃度を測定する処理が実行される。
つまり、第3NOx濃度測定装置201は、第1酸素イオンポンプセル115による酸素の汲み出しを常時行いつつ、第2スイッチング部39を駆動制御して、第2酸素イオンポンプセル116に対する電圧印加タイミングと電圧印加停止タイミングとを交互に設定することで、NOx検出時に限定して、第2酸素イオンポンプセル116に対する電圧印加を行うNOx濃度測定動作を実行する。
以上説明したように、第3NOx濃度測定装置201は、第1酸素イオンポンプセル115による被測定ガス室11からの酸素の汲み出しを常時実施しつつ、NOx検出時に限定して第2酸素イオンポンプセル116によるNOxの検出を行うように構成されている。
なお、被測定ガス室11への被測定ガス(排気ガス)の導入は常時行われるため、被測定ガス室11への酸素の供給は常時行われており、第1実施形態のように、酸素の汲み出し処理(換言すれば、第1印加電圧Vp1の印加処理)を断続的に行う場合には、第1印加電圧Vp1の印加時と未印加時とで被測定ガス室11における酸素濃度が異なる値となることがあり、NOxの検出誤差の要因になる虞ある。
これに対して、第3NOx濃度測定装置201は、被測定ガス室11からの酸素の汲み出しを常時行うことで酸素濃度の変動量を抑制でき、被測定ガス室11における酸素濃度の変動に起因してNOx濃度検出における検出精度が低下することを抑制できる。
なお、第3NOx濃度測定装置201においては、第1酸素イオンポンプセル115が特許請求の範囲に記載の第1酸素イオンポンプセルおよび第2酸素イオンポンプセルに相当し、第1ポンプセル用電源部33、基準電源部231、基準電圧比較回路233、第1電流比較回路237が第1ポンプセル用電源手段に相当し、第2ポンプセル用電源部35、基準電源部231、基準電圧比較回路233、第2電流比較回路239が第2ポンプセル用電源手段に相当する。
以上、3つの実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々の態様をとることができる。
例えば、センサ素子部は、被測定ガス室を1室のみ備える構成に限られることはなく、被測定ガス室を2室備える構成であってもよい。つまり、被測定ガス室が2室構造のセンサ素子部であっても、特定ガスを検出するための第2酸素イオンポンプセルへの通電時期と通電停止時期を交互に設定することで、特定ガス濃度の低い被測定ガスにおいても、精度良く特定ガス濃度を測定することができる。
また、基準電源73の出力電圧値(目標電圧値)は、固定値に限られることはなく、各種条件(被測定ガスの種類や被測定ガスの温度など)に応じて電圧値を設定してもよい。
さらに、酸素濃度検知セル13の基準電極57の電位Vsの検出処理と第1印加電圧Vp1の電圧値設定処理は、第1ポンプセル用電源部33のような電気回路で実行する場合に限られることはなく、各処理を測定制御部3で実行するように構成しても良い。つまり、第1ポンプセル用電源部33を取り除き、測定制御部3に対して基準電極57の電位Vsを入力すると共に、測定制御部3が第1印加電圧Vp1を出力するように構成して、測定制御部3の内部処理として、基準電極57の電位Vsの検出処理および第1印加電圧Vp1の電圧値設定処理を実行するのである。これにより、第1ポンプセル用電源部33の設置スペースを削減でき、NOx濃度測定装置の小型化を図ることができる。
また、第1実施形態および第2実施形態における第1印加電圧Vp1の印加時期であるか否かの判断ステップ(S140、S540)、および第3実施形態の第2印加電圧Vp2の印加時期であるか否かの判断ステップ(S760)は、予めタイムスケジュールを設定しておく態様に限られることはなく、第1電流Ip1に基づいて判断してもよい。
たとえば、被測定ガス室11の酸素濃度が所定濃度となるときの電流値を判定用閾値として設定し、第1電流Ip1がその判定用閾値以下になった時(酸素濃度が所定濃度以下となった時)に印加時期であると判断し、第2印加電圧Vp2を印加してもよい。
また、スイッチング部の駆動制御処理や電流検出処理などの各種制御処理は、測定制御部3での内部処理として実行されるものに限られることはなく、電気回路などで構築してもよい。つまり、NOx濃度測定装置は、一部の制御処理をマイコンで行い、その他の制御処理を電気回路で行う構成とすることも可能である。
NOxガス濃度測定装置の概略構成図である。 NOxガス濃度測定装置によるNOx濃度測定動作の処理内容を表すフローチャートである。 第2印加電圧Vp2の印加時に共用酸素イオンポンプセルに流れる第2電流Ip2の電流波形の一例である。 第2NOxガス濃度測定装置の概略構成図である。 第2NOxガス濃度測定装置によるNOx濃度測定動作の処理内容を表すフローチャートである。 第3NOxガス濃度測定装置の概略構成図である。 第3NOxガス濃度測定装置によるNOx濃度測定動作の処理内容を表すフローチャートである。
符号の説明
1…NOx濃度測定装置、2…NOxガスセンサ素子部、3…測定制御部、11…被測定ガス室、13…酸素濃度検知セル、15…共用酸素イオンポンプセル、23…第1固体電解質層、25…第1内側電極、27…第1外側電極、29…第1多孔質電極、31…検知セル用電源部、33…第1ポンプセル用電源部、35…第2ポンプセル用電源部、37…第1スイッチング部、39…第2スイッチング部、101…第2NOx濃度測定装置、102…第2NOxガスセンサ素子部、115…第1酸素イオンポンプセル、116…第2酸素イオンポンプセル、125…第2内側電極、126…第3内側電極、127…共用外側電極、129…酸素用多孔質電極、130…特定ガス用多孔質電極、137…第3スイッチング部、139…第4スイッチング部、201…第3NOx濃度測定装置、231…基準電源部、233…基準電圧比較回路、237…第1電流比較回路、239…第2電流比較回路。

Claims (5)

  1. ガス拡散抵抗部を介して被測定ガスが導入される被測定ガス室と、
    一対の多孔質電極が表面に形成された酸素イオン伝導性固体電解質体を有し、前記被測定ガス室中の酸素濃度を測定する酸素濃度検知セルと、
    一対の多孔質電極が表面に形成された酸素イオン伝導性固体電解質体を有し、前記酸素濃度検知セルにより検出された酸素濃度に基づき、前記被測定ガス室に対して酸素を汲み入れまたは汲み出す第1酸素イオンポンプセルと、
    一対の多孔質電極が表面に形成された酸素イオン伝導性固体電解質体を有し、前記第1酸素イオンポンプセルにより酸素が汲み出された後の前記被測定ガスに含まれる特定ガスの濃度を測定する第2酸素イオンポンプセルと、
    前記第2酸素イオンポンプセルに電圧を印加する第2ポンプセル用電源手段と、
    を備えて、前記被測定ガス中における前記特定ガスの濃度を測定するガス濃度測定装置であって、
    前記特定ガスは、O2 よりも解離電圧が高いガスであり、
    前記第2ポンプセル用電源手段の電圧印加により前記第2酸素イオンポンプセルに流れる電流の通電経路となる第2通電経路を、接続状態または遮断状態に切り替える第2スイッチング手段と、
    前記特定ガスの濃度検出時は前記第2通電経路を接続状態に設定し、前記特定ガスの濃度検出時以外は前記第2通電経路を遮断状態に設定するように、前記第2スイッチング手段を駆動制御する制御手段と、
    を備えており、
    前記被測定ガス室は、1室で構成されており、
    前記第1酸素イオンポンプセルを形成する前記酸素イオン伝導性固体電解質体と、前記第2酸素イオンポンプセルを形成する前記酸素イオン伝導性固体電解質体とが、単一の酸素イオン伝導性固体電解質体を共有し、
    前記特定ガスは、NOxであること、
    を特徴とするガス濃度測定装置。
  2. 前記第1酸素イオンポンプセルを形成する前記一対の多孔質電極と、前記第2酸素イオンポンプセルを形成する前記一対の多孔質電極とが、単一の一対の多孔質電極を共有しており、
    前記第1酸素イオンポンプセルに電圧を印加する第1ポンプセル用電源手段と、
    前記第1ポンプセル用電源手段の電圧印加により前記第1酸素イオンポンプセルに流れる電流の通電経路となる第1通電経路を、接続状態または遮断状態に切り替える第1スイッチング手段を備え、
    前記制御手段は、前記特定ガスの濃度検出時には、前記第2通電経路を接続状態に設定すると共に前記第1通電経路を遮断状態に設定し、前記特定ガスの濃度検出時以外には、前記第2通電経路を遮断状態に設定すると共に前記第1通電経路を通電状態に設定するように、前記第2スイッチング手段および前記第1スイッチング手段を制御すること、
    を特徴とする請求項1に記載のガス濃度測定装置。
  3. 前記第1酸素イオンポンプセルおよび前記第2酸素イオンポンプセルは、それぞれ前記一対の多孔質電極として、前記被測定ガス室に面する内側電極と、前記被測定ガス室に面しない外側電極とを備え、
    前記第1酸素イオンポンプセルを形成する前記外側電極と、前記第2酸素イオンポンプセルを形成する前記外側電極とが、単一の電極を共有し、
    前記第1酸素イオンポンプセルを形成する前記内側電極は、酸素を解離する材料で形成され、前記第2酸素イオンポンプセルを形成する前記内側電極は、特定ガスを解離する材料で形成されること、
    を特徴とする請求項1に記載のガス濃度測定装置。
  4. 前記第1酸素イオンポンプセルに電圧を印加する第1ポンプセル用電源手段と、
    前記第1ポンプセル用電源手段の電圧印加により前記第1酸素イオンポンプセルに流れる電流の通電経路となる第1通電経路を、接続状態または遮断状態に切り替える第1スイッチング手段を備え、
    前記制御手段は、前記特定ガスの濃度検出時には、前記第2通電経路を接続状態に設定すると共に前記第1通電経路を遮断状態に設定し、前記特定ガスの濃度検出時以外には、前記第2通電経路を遮断状態に設定すると共に前記第1通電経路を通電状態に設定するように、前記第2スイッチング手段および前記第1スイッチング手段を制御すること、
    を特徴とする請求項3に記載のガス濃度測定装置。
  5. 前記被測定ガスは、燃焼機器の排気ガスであり、
    前記特定ガスは、NOxであること、
    を特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のガス濃度測定装置。
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