JP4662323B2 - 電子ビーム物理蒸着被覆装置と該装置用のるつぼ - Google Patents
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Description
【発明の分野】
本発明は全体的に電子ビーム物理蒸着被覆装置に関する。更に具体的に言えば、本発明はガスタービン機関の超合金部品の上の熱障壁被覆のように、部品の上にセラミック被覆を堆積するのに適したこのような被覆装置を対象とする。
【0002】
【発明の背景】
ガスタービン機関では、その効率を高める為に、一層高い動作温度が常に求められている。しかし、動作温度が高くなると、機関の部品の高温耐久力もそれに対応して強くならなければならない。鉄、ニッケル及びコバルトをベースとした超合金を用いて、可成りの進歩が達成されたが、こういう合金の高温能力だけでは、タービン、燃焼器及び推力増強装置のようなガスタービン機関のある部分に配置される部品にとって不適切である場合が多い。共通の解決策は、その使用温度を最小限に抑える為に、こういう部品を熱絶縁することである。この目的の為、高温部品の露出面の上に形成される熱障壁被覆(TBC)が広く用いられている。
【0003】
有効である為には、熱障壁被覆はその熱伝導度が低く、部品の表面に対する接着が良くなければならない。種々のセラミック材料、特にイットリア(Y2O3)及びマグネシア(MgO)又はその他の酸化物によって安定化したジルコニア(ZrO2 )がTBCとして使われている。こういう特定の材料は溶射及び蒸着技術によって堆積が容易に出来る為に、この分野で広く用いられている。後者の例は、電子ビーム物理蒸着(EBPVD)であり、これは剥落を招くような損傷作用を持つ応力を発生せずに、その下にある基板と共に膨脹することが出来る柱状結晶状構造を持つ熱障壁被覆を作り、この為、応力に対する寛容度が高くなっている。拡散アルミナイド又は(Mを鉄、コバルト及びニッケルの少なくとも1つとして)MCrAlYのような耐酸化性合金のような金属結合被覆を存在させることにより、部品に対するTBCの接着力を高める場合が多い。
【0004】
EBPVDによってTBCを製造する方法は、一般的に部品を受容れることの出来る被覆温度まで予熱し、その後、約0.005ミリバールの圧力に保たれた加熱された被覆室内に部品を挿入することを含む。約0.005ミリバールより高い圧力では、電子ビームの制御が一層困難になり、0.010ミリバールより高い被覆室の圧力では、動作が散漫になることが報告されているので、これより高い圧力は避けられている。0.005ミリバールより高い圧力で運転すると、電子ビーム・ガンのフィラメントの寿命が短くなるか、或いはガンが汚染されると考えられてもいる。部品がセラミック被覆材料(例えばYSZ)のインゴットに接近して支持され、電子ビームをこのインゴットに対して投射して、インゴットの表面を溶融させ、被覆材料の蒸気を発生し、この蒸気が部品の上に堆積される。
【0005】
EBPVD方法を実施することが出来る温度範囲は、1つには、部品及び被覆材料の組成に関係する。一般的に、被覆材料が適当に蒸発して部品の上に堆積されるように最低のプロセス温度が設定され、これに対して、一般的に、物品に対する微細構造の損傷を避けるように最高プロセス温度が設定される。堆積過程全体を通じて、電子ビームの結果並びに被覆材料の溶融したプールが存在する結果として、被覆室内の温度が上昇し続ける。その結果、EBPVD被覆方法は、目標とする最低プロセス温度の近くで開始され、その後、被覆室が最高プロセス温度に近づいたときに終わらせ、そのとき、被覆室を冷却し、きれいにして、被覆室の内壁の上に堆積した被覆材料を取除くようにする場合が多い。高級EBPVD装置は、装置の運転を停止せずに、被覆室から被覆された部品を取出し、予熱されているまだ被覆されていない部品と交換することが出来るので、連続運転が達成される。この時間中の装置の連続運転は「キャンペーン」と呼ぶことが出来、キャンペーンの間、より多くの数の部品が首尾良く被覆され、これはより大きな処理効率及び経済効率に対応する。
【0006】
上に述べたことにかんがみ、1つのキャンペーンの内に被覆することが出来る部品の数を増やし、被覆室に部品を導入し、部品をそこから取出すのに必要な時間の長さを短縮し、キャンペーンの合間に装置の保守を行うのに必要な時間の長さを短縮しようとする機運が可成りある。しかし、従来の制約は、受容れることの出来る被覆温度の範囲が比較的狭く、極めて高温の部品を被覆室に出入れするのが複雑で、高級なEBPVD装置の保守をしようとするときに難点があった結果である場合が多い。その為、被覆、特にTBCのようなセラミック被覆を堆積する改良されたEBPVD装置及び方法が常に求められてきた。
【0007】
【発明の概要】
本発明は電子ビーム物理蒸着(EBPVD)装置、及びこの装置を使って、物品の上に被覆(例えば、セラミックの熱障壁被覆)を作る方法である。本発明のEBPVD装置は一般的に、高温(例えば、少なくとも800℃)及び大気圧未満の圧力(例えば10-3ミリバール乃至5×10-2ミリバール)で動作し得る被覆室を含む。電子ビーム・ガンを使って、被覆室の中並びに被覆室内にある被覆材料の上に電子ビームを投射する。電子ビーム・ガンを動作させることにより、被覆材料を溶融すると共に、それを蒸発させる。更に、被覆材料の蒸気を物品の上に堆積させることが出来るように、被覆室内に物品を支持する装置を設ける。
【0008】
本発明では、1つ又は更に多くの特徴並びに/又はプロセスの変更を含めることにより又は適応させることにより、EBPVD装置の動作を高めることが出来る。プロセス温度制御に関する本発明の一面では、被覆室が放射反射器を含んでおり、この放射反射器を被覆室内で移動して、被覆キャンペーンの間に、物品が溶融した被覆材料から受ける反射加熱の量を増減することが出来る。プロセス圧力制御も本発明の一面であり、この為、電子ビーム・ガンの動作及び信頼性に対する影響をごく小さくして又は全くなしに、且つプロセス圧力の変動をごく小さくして、発明者リグニ他による米国特許出願通し番号09/108201に従って、0.010ミリバールより高い処理圧力を実現することが出来る。本発明のこの一面に関係する機械的な改良及びプロセスの改良は、電子ビーム・ガン、被覆室並びにガスを装置に導入したり、それから取出したりするやり方の変更を含む。更に本発明では、被覆材料の上の電子ビーム・パターンが改善される。
【0009】
本発明の別の好ましい一面では、るつぼを使って被覆室内に被覆材料を支持する。るつぼは、少なくとも2つの部材で構成されることが好ましく、第1の部材は、溶融した被覆材料のプールを取囲むと共に保持し、第2の部材は第1の部材に固定されていて、溶融していない被覆材料の部分を取囲む。第1及び第2の部材の間に環状冷却通路が構成され、これが溶融したプールに密に隣接しており、この為、るつぼの効率の良い冷却を達成することが出来、プロセス温度が被覆室内で高くなる速度を抑える。
【0010】
本発明の別の好ましい一面は、被覆室の下に被覆材料の幾つかのインゴットを支持する回転自在のマガジンを用いる。マガジンを割出して、1つ又は更に多くのインゴットの幾つかの積重ねを、被覆室に対する開口に個別に整合させ、被覆材料の堆積を中断することなく、逐次的にインゴットを被覆室の中に送込む。
【0011】
本発明の別の好ましい一面では、被覆室内の溶融した被覆材料を観察する観察ポートを設ける。被覆室内で起こっている極めて高温のプロセスを見ることが出来るようにする為に、観察ポートは流体冷却にし、回転速度の高いストロボ・ドラムと、ストロボ・ドラムに対する高温真空封じとなる磁気粒子封じを持っている。別の好ましい一面は、観察ポートによって被覆室を立体的に観ることが出来ることであり、これによって立体的に観ることが出来るようにしながら、1人又は更に多くのオペレータが被覆室を同時に観察することが出来る。
【0012】
本発明のその他の目的及び利点は、以下詳しく説明するところから、更に良く理解されよう。
【0013】
【発明の詳しい説明】
本発明によるEBPVD装置10が全体的に図1及び図2に示されており、種々の部品及び特徴が図3乃至図14に示されている。装置10は、熱的に悪い環境内で動作しなければならない金属部品の上にセラミックの熱障壁被覆を堆積するのに特に良く適している。こういう部品の主な例を挙げれば、ガスタービン機関の高圧及び低圧タービンのノズル及び羽根、シュラウド、燃焼器の部品及び推力増強装置の部品がある。本発明の利点を、このような部品の上にセラミック被覆を堆積する場合について説明するが、本発明の考えは種々の被覆材料及び部品に一般的に用いることが出来る。
【0014】
本発明を例示する為、図1及び2に、EBPVD装置10が、被覆室12、1対の予熱室14及び2対の装填室16及び18を持っていて、対称的な構成を有するものとして示されている。前側の装填室16が、その予熱室14と夫々整合していることが示されており、左側の室16内のレーキ(rake)22の上に初めに部品20が装填されていたものが、予熱室14に移送され、図1に示すように、被覆室12の中に移送される。対称的な装置10を用いると、前側の左側の装填室16から装填された部品20が被覆室12内で被覆される間、前側の右側の装填室16内にある第2のバッチの部品を右側の予熱室14で予熱し、第3のバッチの部品を後側の左側の装填室18に装填し、第4のバッチの部品を後側の右側の装填室18から引出すことが出来る。この為、本発明の好ましいEBPVD装置10では、プロセスの4つの段階を同時に行うことが出来る。
【0015】
本発明の好ましい実施例では、装填室16及び18が、高さの低い可動プラットフォーム24に取付けられ、この為、装填室16及び18をその予熱室14と選択的に整合させることが出来る。例えば、前側の左側の装填室16を左側の予熱室14と整合させて、部品20を被覆室12に挿入することが出来るようにするとき、後側の左側の装填室18は左側の予熱室14から引っ込め、こうして後側の左側の装填室18のレーキ12に、部品を同時に装填したり又は取出したりすることが出来る。各々のプラットフォーム24は、どの装填室16及び18もその予熱室14と整合しない保守位置へ可動であって、掃除の為に、予熱室14並びに装填室16及び18の内部に対する出入りが出来るようにすることが好ましい。プラットフォーム24は、少なくとも部分的に、床に取付けられたローラ軸受44によって支持することが好ましいが、当然ながら、種々の軸受を使うことが出来る。各々のプラットフォーム24は、1吋(約2.5cm)以下の低い高さ(床より上方の突出)を持っていて、縁を(好ましくは、水平から30°)面取りし、その両方によって、オペレータがプラットフォーム24の縁をひっかける惧れを実質的になくす。装置10を取囲む不動の物体は、プラットフォームの位置を変えるときに、オペレータがプラットフォーム24に挟まれないようにする為に、プラットフォーム24の縁から離すことが好ましい。図示のプラットフォーム形の代わりとして、幾つかの重なり合う又は入れ子になる可動セグメントを持つプラットフォーム装置を使ってもよい。更に、可動セグメントが、プラットフォーム集成体を取囲む固定の高くしたプラットフォームの下に滑り込むようにしてもよい。最後に、装填室16及び18に対して別々に予熱室を設けて、装填室16及び18並びにその予熱室の両方が可動プラットフォーム装置によって取囲まれるようにしてもよい。
【0016】
図3乃至5に示すように、被覆室12の一部分は、被覆キャンペーンの合間に、室12の内部の掃除がし易くなるように、予熱室14に対して移動するように構成することが好ましい。図3に示す場合、被覆室12はその動作位置にあり、後で詳しく説明する観察ポート48が、室12の前側部分に取付けられている。図4では、被覆室12の前側部分(並びに後で説明するが、被覆室12に付設されたインゴット・マガジン102)が、図5の作業位置まで回転した状態を示す可動の作業プラットフォーム50に対する出入りが出来るようにする為に、被覆室12の他の部分から離した状態が示されている。この位置にあるとき、被覆室12の内部に作業プラットフォーム50が容易に出入りすることが出来る。プラットフォーム50が、蝶番52を用いて、被覆室12の底に結合されることが示されているが、勿論、この他の受容れられる構造を用いてもよい。プラットフォーム50は、蝶番結合したセグメント形の構造、キック・プレートを持つもの又はその他の安全性に関係する付属品を含めて、図3乃至5に示すものとは異なる形にすることが出来る。
【0017】
被覆室12、予熱室14並びに装填室16及び18が、これらの室の間の真空封じを作る弁(図に示していない)に接続される。これらの室12、14、16、18の間に装填することが出来る部品20の寸法及び数を最大する為、弁は約250mmの最小寸法を持つことが好ましいが、これは従来当業者が実用的と思っていた値より可成り大きい。被覆室、予熱室14並びに装填室16及び18をポンプによって色々な真空レベルにしなければならないし、場合によってはそれらが前に説明したように互いに移動することが要求されるから、弁は比較的高い圧力で多数のサイクルに耐えることが出来なければならない。この目的に適した封じの設計が公知であり、従ってここでは詳しく説明しない。
【0018】
図6及び7について説明すると、電子ビーム(EB)ガン30によって発生されて、インゴット26上に集束された電子ビーム28を用いて、セラミック材料のインゴット26を溶融すると共に蒸発させることにより、被覆室12内で被覆が行われる。電子ビーム28によるセラミック材料の強力な加熱により、各々のインゴット26の表面が溶融し、溶融したセラミックのプールを形成し、そこからセラミック材料の分子が蒸発し、上向きに移動し、その後、部品20の表面に堆積され、所望のセラミック被覆を作る。この被覆の厚さは、被覆過程の持続時間に関係する。これらの図には2つのインゴット26を示してあるが、任意の時点で、1つのインゴット又は2つより多くのインゴット26を用いて蒸発させてもよく、これは本発明の範囲内である。
【0019】
EBPVD被覆室は、典型的には約0.001ミリバール(約1×10-3トル)又はそれ以下の真空レベルに保つことが出来る。従来、被覆過程の間、被覆室12は精々0.010ミリバール、更に典型的には約0.005ミリバールの真空に引いていたが、その理由は、これより圧力を高くすると、EBガン30の動作が散漫になって、電子ビーム28を制御するのが困難になり、その為、劣った被覆になると考えられていたからである。更に、0.005ミリバールより高い被覆室の圧力で運転すると、ガンのフィラメントの寿命が短くなるか或いはガンが汚染されると考えられていた。しかし、本出願人に譲渡された発明者リグニ他による米国特許出願通し番号09/108201によると、被覆室12はこれより高い圧力で運転することが好ましく、そうすると、驚くべきことに、剥落抵抗及び衝撃抵抗が改善されたセラミック被覆が得られると共に、従来達成されていたよりも一層高いインゴット蒸発速度と共に、被覆堆積速度が促進された。
【0020】
機械的なポンプ31を用いて、被覆室12、予熱室14並びに装填室16及び18の大まかな減圧を行うことが出来る。堆積過程の前に、被覆室12を真空に引くことを助ける為に、従来公知の形式の極低温ポンプ32が使われることが図1及び2に示されている。図1、3、4及び5には、拡散ポンプ34も示されており、その動作は従来公知のものと同様であるが、本発明に従って、ポンプ34の動作を調整する為の絞り弁36を付けてある。更に具体的に言うと、絞り弁36は、開位置(図3)、閉位置(図4及び5)及びその中間の位置の間で作動される。被覆室12内の真空が本発明で用いられる比較的高い圧力に保たれるとき、絞り弁36の利点が活かされる。被覆室12を真空に引く為に、拡散ポンプ34の最大の動作容量を必要とするとき、絞り弁36は図3に示すように開く。ハードウエアを処理する為、被覆室12は目標圧力(例えば0.015ミリバール)に保たなければならないが、絞り弁36を、図4及び5の完全に閉じた位置からある距離の予め設定された絞り位置に移動することを必要とする。図1に見られるように、同じように絞り弁(図に示していない)を具えた別々の拡散ポンプ38を用いて、予熱室14を真空に引くことが好ましいが、これも本発明の被覆動作では比較的高い圧力が望ましいからである。機械的なポンプ31は洩れ検出用接続部33を持つことが好ましく、ここに洩れ検出器を接続して、室12、14、16、18又は関連した装置の洩れを介して導入しても安全なヘリウム又はその他のガスを使った装置の真空洩れの検出を行うことが出来る。
【0021】
図1及び2に戻って説明すると、装填室16及び18は全体的に細長い形であり、装填ドア40を具えていて、これを介して部品がレーキ22の上に装填される。装填室16及び18は、レーキ22の動作を制御する移動駆動部(図1の46に略図で示す)に対する出入ドア42をも具えている。更に具体的に言うと、レーキ22の上に支持されている部品20は、部品20の周りの被覆の所望の分布を促進する為に、被覆室12内で回転させ並びに/又は揺動させることが好ましい。出入ドア42は、装置10のオペレータが、装填室16及び18に対する部品の装填及び取出しを妨げずに、移動駆動部46の設定を素早く調節したり変更することが出来るようにする。
【0022】
図6及び7に戻って、被覆室12の内部を更に詳しく説明する。本発明で用いる一層高い被覆圧力での電子ビーム28の制御及びEBガン30の保護に関する前に述べた問題に対処する為、EBガン30及び被覆室12にはある改良が加えられている。図6に見られるように、インゴット26を被覆室12内に支持すると共に、電子ビーム28によって発生された溶融したセラミック材料のプールを保持するるつぼ56の近くに設けた入口54を介して、酸素及びアルゴン・ガスが被覆室12内に導入される。酸素及びアルゴンの流量は、目標プロセス圧力及び酸素の目標分圧に基づいて個別に制御される。被覆室12内での圧力の振動が発生するのを少なくする為、これらのガスに関する制御ループの応答時間は、図1及び6に示すように、被覆室12のすぐ外側で入口54のすぐ側に、これらのガスに対する制御弁58を物理的に配置することによって短くしている。制御弁58を被覆室12のこんなに近くに配置することは、圧力制御の上で、驚く程目覚ましい改良をもたらし、被覆室12内での圧力変動を少なくし、インゴット26に対する電子ビーム28の焦点及び位置の擾乱を少なくする。
【0023】
電子ビームの焦点及びパターンを更に改善する為に、EBガン30は、部品20の上に堆積されない余分のセラミック蒸気の大部分を捕捉する凝縮物フード52ににより、被覆室12内の一層高い被覆圧力から比較的隔離されている。フード52は、本発明に従って、被覆過程に希望する高い圧力が特に保たれるような、部品20の周りの被覆領域を定めるように構成されている、被覆キャンペーンの合間に掃除し易くする為、フード52がスクリーン76を具えていて、これを取外して、被覆室12の外部で掃除することが出来るようにすることが好ましい。スクリーン76は、キャンペーンの終わりまでに、被覆材料の層で被覆された状態にあるとき、スクリーン76を取外し易くする為に、ねじ結合部材ではなく、ばねピン78で抑えることが好ましい。一般的には更に複雑であるが、凝縮物フード52全体は、取外して、新品のフード52に交換することが出来る。
【0024】
フード52が図6に見られるように部品20を取囲んでいるから、フード52には各々のビーム28に対する開口62が必要である。EBガン30の周りの近くを含めて、被覆室12の他の部分に比べて、凝縮物フード52内に一層高い圧力を保つことが出来るようにすることを促進する為に、開口62は、電子ビーム28がフード52を通過することが出来るようにするのに必要以上の寸法を持たないように形成することが好ましい。この為、EBPVD装置10を設定する際、開口62を電子ビーム28で切取ってみて、各々の開口62が、フード52と交わるところでの電子ビームのパターンと大体等しい断面積を持つようにすることが好ましい。
【0025】
EBガン30を凝縮物フード52内の高い圧力から更に隔離する為、ビーム28が夫々のガン30から、被覆室12の内壁と凝縮物フード52の間に形成された室64を通って移動する。拡散ポンプ34が各々の室64の近くにあって、それと空気力学的に結合された入口を持つことが好ましい。開口62が最小限の寸法であるから、凝縮物フード52内の高い圧力(これは入口54から酸素及びアルゴンを導入することによって達成される)が、室64に分流する速度は十分低く、拡散ポンプ34が室64を凝縮物フード52の内部より一層低い圧力に保つことが出来るようにする。
【0026】
図6、8及び9は、本発明によってEBガン30に対して施される別の保護を示している。従来普通のように、EBガン30は、ガン30の内部に約8×10-5乃至約8×10-4ミリバールのレベルの圧力を保つ真空ポンプ66を具えており、この圧力はガン30の外側に存在する圧力、即ち、本発明のEBPVD被覆室12内の圧力並びに従来の典型的なEBPVD被覆室内の圧力よりも可成り低い。こういう低い圧力を保つ為に、電子ビーム28は、図6に略図で示すように、ガン30から出ていくのに、円筒形オリフィス68を通過しなければならない。図8は、従来のオリフィス168の形を示す。図8に示す電子ビーム128に対し、焦点位置A、B及びCで表すある範囲のビーム集束状態がとれるようにする為に、オリフィス168は比較的大きい直径及び長さ、例えば、夫々約30mm及び約120mmを有する。従来の欠点は、本発明の装置10の一層高い圧力環境で動作するEBガン30に対してこのようなオリフィス168が施す保護が低いことである。本発明が生まれる前の研究の際、処理条件の改良された制御により、ビーム焦点(図9のD)の最適位置を確認することが出来ることが、試験によって判った。そこで更に有効なオリフィスの設計が研究され、その結果、図6及び9に示す本発明のオリフィス68になったが、これが図9には、図8の従来のオリフィス168よりも直径及び長さが一層小さいものとして示されている。オリフィス68に対する好ましい直径及び長さは、夫々約15mm及び50mmであると考えられるが、こういう寸法の最適の値は、圧力、焦点、偏向コイル電流及び全体的な形状によって変わり得る。
【0027】
上に述べたように、凝縮物フード52が、被覆室12の内壁の上に堆積するセラミック材料を最小限に抑えるように、部品20の周りに位置ぎめされている。本発明では、凝縮物フード52も、被覆キャンペーンの間、適当な部品温度を保つのに必要なように、部品20の加熱作用を調整するように特に構成されている。更に具体的に言うと、フード52は、インゴット26の溶融した表面から部品20に向かって放出される熱を放射する可動の反射板72を具えている。キャンペーンの初期の始動のとき、このときは被覆室12の温度が比較的低いが、反射板72は、部品20の加熱を最大にする為に、アクチュエータ74を用いて、部品22に接近したところに位置ぎめされる。キャンペーンが続けられて、被覆室12内の温度が上昇するにつれて、反射板72を(図6に破線で示すように)部品20から遠ざけ、部品20に反射される放射熱量を小さくする。こうすることにより、部品20が、キャンペーンの始めに、適当な堆積温度(例えば約925℃)に更に容易に持ってくることが出来ると共に、最高許容被覆温度(例えば1140℃)に達するのが遅れて、被覆キャンペーンの長さを最大にすることが出来る。フード52及び板72は、羽根の被覆温度を一層一様で安定なものにすることを促進するが、これが部品上のセラミック被覆に対する所望の柱状結晶粒構造を促進する。反射板72が上昇した位置にある間に凝縮物フード52内を所望の比較的高い圧力に保つ為、板72を取囲む水冷シュラウド75が設けられ、この水冷シュラウド75は凝縮物フード52と板72との間のガスの流れを抑制して、フード52と板72の間の圧力損失を少なくする。
【0028】
図7には、室壁内の玉継手通抜け部79を介して被覆室12に入込むマニピュレータ77が示されている。マニピュレータ77を使って、被覆キャンペーンの間、セラミック又はセラミック被覆の反射器80(図10に粒状材料として示してある)をるつぼ56に近づく方向又は遠ざかる方向に移動することにより、部品20の加熱を調整する助けとする。更に具体的に言うと、るつぼ56に接近している為、反射器80は被覆過程の間、非常に高い温度にあり、その為、部品20に向かって上向きに熱を放射する。反射器80から放射される熱量は、一般的に、反射器80がるつぼ56に一番接近しているときに最大であり、反射器80をるつぼ56から遠ざけることによって減らすことが出来る。反射器80は、部品20に対してあまり熱を放射しない流体冷却の板81の上に支持することが好ましい。その結果、反射器80を反射板72と共に使って、キャンペーンが続く間、被覆室12内で被覆される部品20の温度を調整することが出来る。キャンペーンの始めに、反射器80はるつぼ56の近くに配置され、部品20の加熱を最大にし、その後マニピュレータ77を用いてるつぼ56から遠ざけられ、放射熱量を減らす。
【0029】
被覆室の環境に耐えられるように、マニピュレータ77の内、被覆室12内にある部分は、X−15のようなニッケルをベースとした合金のような高温合金で形成することが好ましい。粒状材料の代わりに、反射器80は実質的にどんな形であってもよい。例えば、反射材料で被覆した1つ又は更に多くの板を使うことが出来る。便宜上の問題として、反射器80は、堆積するのと同様な材料のインゴットから切出した比較的大きな切片にすることが出来るが、この他のセラミック材料を使うことが出来ることは言うまでもない。
【0030】
上に述べたように、セラミック材料のインゴット26が、るつぼ56によって被覆室12内に支持され、このるつぼが、電子ビーム28によって発生された溶融したセラミック材料のプールを保持する。1つのるつぼが3つの部分から成るものとして、図10に詳しく示されている。テーパつき上面84を持つ上側部材82が下側部材86と共に組立てられ、その間に冷却材通路88を形成し、水又は他の適当な冷却材がこの通路を流れて、るつぼ56の温度をその材料の融点より低く保つ。制限板90も図10に示されており、その厚さは、冷却材入口92と出口94の間の通路88の流れの断面積を変える、例えば減らすように選ぶことが出来る。熱伝導度の為、るつぼ56の好ましい材料は、銅又は銅合金であり、通路88を通る冷却材の流量が、インゴット26の溶融部分に最も近いるつぼの壁96を溶融したセラミックの温度より低く保つのに十分であることを必要とする。図10から判るように、後で図11及び12について説明するが、電子ビーム28をテーパつきの面84並びにインゴット26に投射することが好ましい。その為、上側部材82の外面が適切に冷却されるようにする為、壁96の厚さを最小限に抑えて、るつぼ56の機械的な強度を脅かすことなく、熱伝達を促進しなければならない。幾つかの部材から成る本発明のるつぼの形は、冷却材通路88の最適の形を作ることを容易にすると共に、きつい許容公差で壁96の厚さを作ることが出来るようにする。最適の形は種々の因子に関係するが、好ましい冷却材流量は、約400mm2 の断面積を持つ通路88に、約2乃至6気圧(約2乃至6バール)の圧力の水を使うとき、約5乃至50ガロン/分(約20乃至200リットル/分)であり、壁の最大の厚さは、面84に隣接しては約10mmであり、インゴット26に隣接しては約7mmである。
【0031】
図11及び12は、セラミック材料のプールを形成する為の、インゴット26上の電子ビーム28の好ましいパターンを示す。図10及び11に見られるように、ビーム28は、るつぼの面84の内、インゴット26のすぐ周りの部分にも投射され、ビーム28の周辺がるつぼの面84上にある。電子ビーム28の好ましいエネルギ分布98が、インゴットとるつぼとの界面の近くにピークを持つことが図12に示されており、インゴット26の中心に照準を合わせたエネルギは殆ど或いは全くない。本発明では、このような高強度のビームを溶融したプールの中心から遠ざける利点は、被覆の際、溶融したセラミックの滴がプールから放出されるときに一般的に起こるスピッティング(こぼれ)の傾向が小さくなることである。スピッティングは、部品20の上に作られる被覆の欠陥と関係しており、従って、避けることが好ましい。ビーム28をるつぼ56の上に投射することは、他の場合にはスピッティングの為にるつぼ56の上に積重なるかもしれないセラミックの量を減らすのに役立つと共に、赤外線作像で測定したとき、溶融したプールに互る一層均一な温度分布を作る。インゴット材料としてYSZを使うとき、図12のピークに於ける適当なビーム強度は、約0.1kW/mm2 程度であるが、これに比べてプールの中心に於ける最高レベルは約0.01kW/mm2 である。
【0032】
電子ビーム28が斜めの角度でインゴット26の面に入射して、ビーム・パターンの周縁においてるつぼ56と、夫々のEBガン30に対して近い方の交点100及び反対側にある遠い方の交点101を設定することも図10に示されている。図11に示すように、インゴット26及びるつぼ56上の好ましいビーム・パターン強度は、近い方及び遠い方の交点100及び101に対応するるつぼ56上の位置では、ビーム・パターンが残りの周縁に比べて、好ましくは約30%乃至70%だけ、幾分減少する。近い方の交点100に於けるビーム・パターンの強度を減らす目的は、ビーム26によるるつぼ56の侵食を減らすことであり、これに対して遠い方の交点101に対するビーム強度を減らすことは、ビーム28によって溶融したセラミック・プールに発生される波が、溶融したセラミックをるつぼ56の縁を超えて押し出すことを減らすことが判った。
【0033】
電子ビーム28に対する本発明の別の好ましい制御の特徴は、スピッティングの結果として、るつぼ56の上に堆積されるかもしれないセラミックを蒸発させる為に、るつぼ56の表面上のビーム・パターンを一時的に中断させて、別の一層高い強度のビーム・パターン97を小さな区域に互る一層速い蒸発速度を達成させることに専用にすることが出来ることである。本発明のこの特徴は、堆積過程に対する影響がごく小さいか又は全くないようにして、被覆動作の間に行うことが出来る。好ましい実施例では、オペレータがるつぼ56上のセラミックの積重なりを蒸発させる為に、別のパターン97の振れを開始するとき、パターン97が最初は自動的に既知の位置に位置が決め直され、そこからパターン97をオペレータの指示の下にセラミックの積重ねに向かって手作業で移動させることが出来る。パターン97を既知の位置へ自動的に戻すことにより、るつぼ56を損傷することに繋がるような誤りの惧れが小さくなる。この代わりに、パターン97の位置は、オペレータが、パターン97を投射すべきるつぼ56上の位置を入力することが出来るように、予めプログラムすることが出来る。パターン97を用いて容易に取除くことが出来ないような、るつぼ56上のセラミックの積重ねは、図7に示したマニピュレータを用いて取除くことが出来る場合が多い。
【0034】
インゴット26を収容すると共にそれを被覆室12の床を通してるつぼ56の中に送り込むマガジン102が図1乃至7に示されている。図2、6及び7に容易に認められるように、各々のマガジン102が多数の円筒形通路104を持ち、その中にインゴット26が保持されている。マガジン102が回転して、インゴット26をるつぼ56と整合するように割出す。マガジン102は、るつぼの隔たりを調節し、こうして、被覆の厚さの偏差が受け入れられるような被覆区域を最適にする為に、互いに近づくように又は離れるように(即ち被覆室12に対して横方向に)移動することが出来る。インゴット26を捕捉して、それをるつぼ56の中に送り込む為に使われる送り機構は、一般的にクランク・アーム60を含み、その各々が水平に対してある角度に配置されていて、マガジンを割出す間、蒸発するインゴット26を所定位置に保持するようになっている。各々のアーム60の上端が蒸発するインゴット26と係合するが、これは、送り機構の引っかかりの原因になると判ったことであるが、クランク・アーム60を水平位置に向かって下向きに摺動させることなく、エレベータ61を用いてインゴット26を上向きに送ることを容易にする。本発明では、各々のマガジン102が逐次的に次のインゴット26をるつぼ56内の蒸発するインゴット26の下端と整合させ、エレベータ61が次のインゴット26を蒸発するインゴット26の背後で、被覆室12内に送り込み、部品20に対するセラミック材料の堆積の途切れは殆ど或いは全くない。
【0035】
図3乃至5に認められる観察ポート48が図13に更に詳しく示されている。観察ポート48は、装置10のオペレータが、被覆される部品20、溶融したセラミックのプール、るつぼ56の周りの反射器80、及び反射器80を移動させるのに使われるマニピュレータ77を含めて、被覆動作を観察することが出来るように構成されている。図示のように、観察ポート48は、流体冷却の開口板106を含む外被であり、被覆過程に接近したところでの高温(大まかに言うと800℃又はそれ以上)に耐える為にサファイアで形成された随意選択の窓108を有する。遮蔽ガスがポート110を介して開口板106に送り込まれ、開口板106の背後の窓108又は装置に対する被覆の堆積を最小限にすることが示されている。観察ポート48の中では、回転するストロボ・ドラム112が、被覆室12からの放射熱、光及びその他の放射に対する観察窓114の露出を最小限に抑えるのに役立つ。公知のように、ドラム112がその壁にスロット116を持ち、高い速度で回転して、観察者の目のちらつきをなくす。窓114は石英硝子、鉛硝子及び/又は着色硝子の多重板であることが好ましい。石英硝子は物理的な強度を持ち、鉛硝子はX線からの保護になり、着色硝子は光強度を下げるのに役立つ。更に観察ポート48が、ストロボ・ドラムに対する高温真空封じとなる磁気粒子封じを含む。別の好ましい特徴は、観察ポート48が、被覆室12の内部を立体的に観ることが出来るようにしていることであり、これによって1人又は更に多くのオペレータが、奥行きを感知することが出来るようにしながら、同時に被覆室を観察することが出来る。
【0036】
図14には、本発明のEBPVD装置10を制御すると共に監視する為の好ましい制御パネル118が示されている。制御パネル118が、装置10の略図と共に、個々の部品(例えば被覆室12)に対する標識120を含む構成部品を持つことが示されている。更に、標識120の隣りに設けられていて、構成部品の動作状態を示す可視表示122と、対応する構成部品の動作を変える為のスイッチ124も示されている。パネル118は、圧力のようなプロセス・パラメータを定量化する為のゲージで囲まれていることが好ましい。パネル118により、EBPVD装置10の動作状態に関する情報を素早く且つ正確に読み取って、オペレータが装置10及び被覆過程に対する適切な調節を加えることが出来るようにすることが出来る。
【0037】
動作について説明すると、本発明の装置10は、最初は図1及び2に示す状態である。前に述べたように、被覆しようとする部品20が、装填室16及び18内のレーキ22に装填される。部品20は、部品20がガスタービン機関の羽根である場合、ニッケルをベースとした又はコバルトをベースとした超合金のような任意の適当な材料で形成されていてよい。ガスタービン機関の羽根の場合、装置10を用いて被覆する前に、部品の表面には、前に述べたような既知の組成の結合用被覆を設けるのが典型的である。更にセラミックTBCを堆積する前に、結合用被覆の表面をグリッド・ブラスティングにかけて、結合用被覆の表面をきれいにして、EBPVDによる柱状のセラミック被覆を堆積するのに必要な最適の表面仕上げにすることが好ましい。更にセラミック被覆を堆積する前に、高温で結合用被覆の上にアルミナ・スケールを形成して、被覆の接着をよくすることが好ましい。アルミナ・スケールは熱成長酸化物又はTGOと呼ばれる場合が多いが、セラミック被覆を堆積する前又は堆積の間、アルミナを含む結合用被覆を高い温度に対して露出することにより、又はこの目的の為に特に行われる高温処理によって出来る。本発明では、部品20はアルゴン雰囲気内で約1100℃に予熱することが好ましい。部品20を予熱する為に使われないとき、予熱室14は約600℃に保って、キャンペーンの間に室14がさらされる温度範囲を最低限に抑えることが好ましい。
【0038】
予熱室14内での予熱の後、レーキ22を更に被覆室12の中に伸ばす。前に述べたように、本発明の装置10は、リグニ他の教えるような高い圧力条件の下で、セラミック被覆を堆積するように特に構成されている。被覆過程を開始する前に、手早い真空検査を実施して、定められた期間内に、減圧速度と、被覆室12、予熱室14並びに装填室16及び18の各々の中に達成された圧力とを追跡することが好ましい。こうすることは、装置10の真空の完全さを判断することに役立つが、これは従来のEBPVD動作では、犠牲用標本に対して行われる酸化試験を通じて行われていた。室12、14、16、18は、大気圧から機械的なポンプ31を用いて真空に引き、その後、圧力が約20ミリバールに下がったとき、ブロワーを開始する。極低温ポンプ32は、約5×10-1ミリバールの圧力に達したときに始動することが好ましい。その後、約5×10-2ミリバールの圧力に達したとき、被覆室12及び予熱室14に対する拡散ポンプ32及び34を始動する。装填室16及び18並びに予熱室14内の適当なプロセス圧力は約10-3乃至10-1ミリバールであり、適当な被覆圧力は、フード52によって定められた被覆領域内で、約10-2乃至5×10-2ミリバールである。手動締切り弁51を具えた2重素子イオン・ゲージ55を使って、被覆室12内の真空圧力を測定することが好ましい。独立に作用し得る素子を持つゲージを使うことにより、被覆動作を中断せずに、どちらの素子も使う為に選ぶことが出来る。この代わりに、弁によって分離した2つのイオン・ゲージを設けて、被覆動作を中断せずに、何れかのゲージを使い又は切換えることが出来る。
【0039】
本発明の好ましい一面では、極低温ポンプ32は、極低温ポンプ32の上に氷が積重なるのを最小限に抑える為に、両方のポンプ32及び34を同時に始動させるのが典型的であった従来のやり方とは反対に、拡散ポンプ34より前に始動させることが好ましい。拡散ポンプ34より先に極低温ポンプ32を始動させることは、本発明に希望する被覆室の圧力に達するのに必要な時間の長さを可成り短くすることが判った。拡散ポンプ34より先に極低温ポンプ32を始動させると、極低温ポンプ32に対する氷の積重ねが促進されるが、この氷は、被覆キャンペーンが終わったとき又はその他の任意のときに取除くことが出来る。
【0040】
被覆動作の間、電子ビーム28がインゴット26に集束され、こうして溶融したセラミックのプール及び蒸気を形成し、この蒸気が部品20に堆積される。種々の被覆材料を使うことが出来るが、TBC(従ってインゴット26)に対する好ましいセラミック材料は、部分的に又は完全にイットリア(例えば3%−20%、好ましくは4%−8%のY2O3)によって安定化させたジルコニア(ZrO2 )であるが、イットリアで安定化したマグネシア、セリア、カルシア、スカンジア又はその他の酸化物を使うことも出来る。被覆動作は、部品20上の被覆に対する所望の厚さが得られるまで続けられ、その後、部品20を予熱室14を介して装填室16に移送し、その後、装填室16を大気に対して通気する。通気口は、通気速度を高める為に、少なくとも直径30mmであることが好ましいが、一般的には、室12、14、16、18内のごみ及びその他の考えられる汚染物質をかき乱すことを避ける為に、直径は約60mm未満にする。この理由で、最初は直径が一層小さい弁で通気し、その後直径が一層大きい弁で通気することが望ましいことがある。
【0041】
本発明を好ましい実施例について説明したが、当業者であれば、この他の形を採用することが出来ることは明らかである。従って、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって制限される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に従って被覆材料を堆積する為に使われる電子ビーム物理蒸着装置の簡略平面図。
【図2】 本発明に従って被覆材料を堆積する為に使われる電子ビーム物理蒸着装置の簡略正面図。
【図3】 図1の切断線3−3で切った断面図であり、本発明の一面に従って用いられる可動プラットフォームを示す。
【図4】 図1の切断線3−3で切った断面図であり、本発明の一面に従って用いられる可動プラットフォームを示す。
【図5】 図1の切断線3−3で切った断面図であり、本発明の一面に従って用いられる可動プラットフォームを示す。
【図6】 図1及び2の装置の被覆室に対する好ましい内部部品を示す更に詳しい正面断面図。
【図7】 図1及び2の装置の被覆室に対する好ましい内部部品を示す更に詳しい平面断面図。
【図8】 本発明の好ましい実施例に従って構成されたオリフィスと比較するための従来のEBガン・オリフィスの略図。
【図9】 本発明の好ましい実施例に従って構成されたオリフィスの略図。
【図10】 本発明の好ましい実施例に従って、被覆材料のインゴットを収容するるつぼ並びにるつぼ並びにインゴットの表面に投射される電子ビームを示す断面図。
【図11】 図10のるつぼの平面図であって、るつぼ及びインゴットに対する電子ビームの好ましいパターンを示す。
【図12】 図10及び11のインゴット及びるつぼの面に互る電子ビーム・パターンの好ましいエネルギ強度分布図。
【図13】 図1及び2に示した装置の被覆室内での過程を観察する為の好ましい観察ポートを示す略図。
【図14】 図1及び2の装置の動作を監視並びに制御する制御パネルの略図。
Claims (10)
- 高温及び大気圧未満の圧力で動作可能であって、被覆材料(26)を収容している被覆室(12)と、
前記被覆室(12)内の前記被覆材料(26)の上に電子ビーム(28)を投射して、前記被覆材料(26)を溶融させると共に溶融した被覆材料(26)を蒸発させるように動作し得る電子ビーム・ガン(30)と、
前記被覆室(12)内に被覆材料(26)を支持するるつぼ(56)であって、溶融した被覆材料(26)のプールを取囲むと共に保持する第1の部材(82)と、該第1の部材(82)に固定されていて、溶融していない被覆材料の部分を取囲む第2の部材(86)とを含み、これらの第1及び第2の部材(82,86)の間には環状冷却通路(88)が構成されている、るつぼ(56)と、
被覆材料(26)の蒸気が物品(20)の上に堆積されるように物品(20)を前記被覆室(12)内に支持する支持手段(22)と、
を有する電子ビーム物理蒸着被覆装置。 - 前記るつぼ(56)の第1の部材(82)は、電子ビーム(28)による加熱を受ける壁(96)を持ち、該壁(96)は前記冷却通路(88)の一部を形成すると共に、10mm以下の最小厚さを持っている、請求項1記載の電子ビーム物理蒸着被覆装置。
- 電子ビーム(28)が前記被覆材料(26)の上に所定の電子ビーム・パターンを定めるように前記被覆材料(26)の上に投射され、前記装置は更に、前記るつぼ(56)の上の溶融した被覆材料の液滴を蒸発させる為に前記るつぼ(56)の上に別の電子ビーム・パターン(97)を投射する手段を有し、該別の電子ビーム・パターン(97)は前記被覆材料(26)の上の前記電子ビーム・パターンよりも一層高い強度を有している、請求項1記載の電子ビーム物理蒸着被覆装置。
- 更に、前記被覆室(12)内に設けられ、少なくとも部分的に前記支持手段(22)を取囲む凝縮物フード(52)を有し、該凝縮物フード(52)は第1の反射部材(72)を持ち、前記第1の反射部材(72)は、前記支持手段(22)の上に支持された物品(20)が該第1の反射部材(72)と溶融した被覆材料(26)との間にあるように前記被覆室(12)内に配置されており、前記第1の反射部材(72)は溶融した被覆材料(26)に対して第1及び第2の位置の間で可動であり、前記第1の位置は前記第2の位置よりも前記支持手段(22)に一層接近していて、このため、前記第1の反射部材(72)が前記第2の位置にあるときよりも前記第1の位置にあるときに、前記支持手段(22)によって支持された物品(20)が、溶融した被覆材料(26)からの反射加熱をより強く受けるようになっている、請求項1記載の電子ビーム物理蒸着被覆装置。
- 更に、前記被覆室(12)内にガスを導入するために前記被覆室(12)内の溶融した被覆材料(26)の近くに設けた出口(54)と、前記出口(54)から前記被覆室(12)内へのガスの流量を制御する制御手段(58)とを有し、該制御手段(58)は、前記被覆室(12)の外に配置されるが、前記被覆室(12)内の前記出口(54)の直ぐ近くに配置されている、請求項1記載の電子ビーム物理蒸着被覆装置。
- 更に、物品(20)を前記被覆室(12)内に導入する前に前記支持手段(22)によって支持された物品(20)を予熱するために前記被覆室(12)に隣接して設けられた予熱室(14)と、
前記被覆室(12)とは反対側で前記予熱室(14)に隣接している装填室(16,18)と、
前記装填室(16,18)内にあって、物品(20)を前記支持手段(22)によって支持された状態で移動させる手段(46)と、
前記支持手段(22)に対して部品(20)の装填及び取出しを行うための、前記装填室(16,18)に対する第1のドア(40)と、
前記移動させる手段(46)に近づくための、前記装填室(16,18)に対する第2のドア(42)と、
を有する請求項1記載の電子ビーム物理蒸着被覆装置。 - 前記被覆室(12)の第1の部分が、前記被覆室(12)の第2の部分と係合する動作位置と、該第2の部分からから離れた保守位置との間で移動可能である、請求項1記載の電子ビーム物理蒸着被覆装置。
- 更に、前記被覆室(12)内の大気圧未満の圧力を検知する少なくとも2つのイオン検知装置(55)を有し、これらのイオン検知装置(55)は、それらの内の1つのイオン検知装置が部品(20)の被覆動作を中断することなく選択的に動作し得るように独立に動作可能である、請求項1記載の電子ビーム物理蒸着被覆装置。
- 更に、前記被覆室(12)の下で複数の被覆材料のインゴット(26)を支持すると共に、インゴットを前記被覆室の中に送込むために前記るつぼ(56)に少なくとも1つのインゴット(26)を整合させる少なくとも1つの回転自在のマガジン(102)を有する請求項1記載の電子ビーム物理蒸着被覆装置。
- 前記マガジン(102)は、前記被覆室(12)内に被覆材料(26)を横方向に位置決めするために前記被覆室(12)の下で直線経路に沿って移動可能である、請求項9記載の電子ビーム物理蒸着被覆装置。
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