JP4662002B2 - 電解コンデンサの気密検査方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
この発明は、発明は電解コンデンサの気密検査方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常の電解コンデンサ1は、図5に示したように、アルミニウム等の弁作用金属からなる陽極陰極箔3と陰極電極箔4とを、セパレータ5を介して巻回してコンデンサ素子2を形成し、このコンデンサ素子2に駆動用電解液を含浸するとともに、コンデンサ素子2を有底筒状の外装ケース7に収納している。外装ケース7の開口部は、弾性ゴムからなる封口部材や、弾性ゴムと硬質樹脂板とを貼り合わせた封口部材8を装着し、外装ケース7の開口部端面や開口部付近の側面に絞り加工を施して密封している。
【0003】
両極電極箔3、4にそれぞれ電気的に接続されたリード6は、コンデンサ素子2の端面から引き出され、封口部材8を貫通して外部に導出されている。比較的大きな電解コンデンサの場合、コンデンサ素子2の端面から引き出されたリード6は、弾性ゴムと硬質樹脂板とを貼り合わせた封口部材8に固着された端子部9に、リベット等を介して接続されている。
【0004】
あるいは、陽極電極箔3と陰極電極箔4とをセパレータ5を介して巻回したコンデンサ素子2に、加熱溶融したTCNQ錯塩を含浸したものや、3,4−エチレンジオキシチオフェンと酸化剤を含浸してコンデンサ素子2内での化学重合反応により生成したポリエチレンジオキシチオフェンを固体電解質層としてセパレータ5で保持したものなどの、いわゆる固体電解コンデンサがあり、この固体電解コンデンサも前記の電解コンデンサと同様に有底筒状の外装ケース7に収納して、外装ケース7の開口部を封口部材8で封止、密封したものがある。
【0005】
そしてこの電解コンデンサ1の気密を検査するには、熱湯を入れた容器の中に電解コンデンサ1を沈め、熱湯内に出てくる気泡を目視で確認する方法により行われていた。
【0006】
あるいは、特開平10−197389公報に記載された発明のように、電解コンデンサを収納する密閉容器と、この密閉容器に設けられ、かつ密閉容器内へ圧縮空気の注入を行わせる空気注入口と、この空気注入口を介して密閉容器内に注入された一定量の圧縮空気の規定時間経過後における密閉容器内の空気圧力の変化を検出する圧力計とを備えた気密検査装置により検査し、検査している電解コンデンサが気密不良品であれば、電解コンデンサ内に圧縮空気が入り込んで密閉容器内の空気圧力は変化することになるため、この空気圧力の変化を圧力計が検出して良品か、不良品かの良否判定を行うものが知られている。
【0007】
また、別の方法として、特開平10−281916公報や、特開平10−284356公報に記載された発明のように、貯留された液体中に電解コンデンサを没入させた液槽を密閉空間内に配置し、密閉空間内を空気引きして負圧とした際の電解コンデンサから発生する気泡の有無により、電解コンデンサの封口性能の良否を判別するものや、封口部が下面側に位置するようにして固定台上に仮固定させた1個以上の電解コンデンサを密閉空間内に配置した後、該密閉空間内を空気引きして負圧とした際の電解コンデンサから漏出する駆動用電解液の有無を目視して確認することにより、その良否を判別するものがしられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の気密検査方法においては次のような問題点を有していた。
【0009】
すなわち、熱湯を使用する方法においては、大量のアルミ電解コンデンサを熱湯に入れるとその温度コントロールが難しくなるほか、負圧とした密閉空間内の液漕を用いる方法や電解コンデンサから漏出する駆動用電解液の有無を目視して確認する方法と同様に、検出方法が目視に頼らざるを得ないところから、生産ラインに組み入れて全数検査するということは非常に難しいという問題点を有していた。
【0010】
また、電解コンデンサを収容した密閉容器内へ圧縮空気の注入し、一定量の圧縮空気の規定時間経過後における密閉容器内の空気圧力の変化を検出する方法では、電解コンデンサの封口部材の外部付近の欠損による気密不良は検出できるものの、図6に示したような、封口部材8の内部付近の欠損部10による径時的な気密不良の検出には不向きである。
【0011】
本発明は上記従来の問題点を解決するもので、生産ラインに組み入れて電解コンデンサの気密検査の全数検査を行うことができる電解コンデンサの気密検査方法の提供を目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、コンデンサ素子を外装ケースに収納し、この外装ケースの開口部を封口部材で封止した電解コンデンサの少なくとも開口部に、密閉手段を以て密閉空間を形成した後、この密閉手段に吸気口を介して接続された吸気装置により密閉空間の空気を吸引し、吸引した空気中の特定成分の有無を感知装置で確認して電解コンデンサの気密の良否を検査する電解コンデンサの気密検査方法に供するものである。
【0013】
ここで特定成分とは、電解コンデンサに用いられる駆動用電解液に含まれる成分や、電解コンデンサ内部の電気化学的反応により発生する水素ガス、あるいはTCNQ錯塩、ポリエチレンジオキシチオフェンなどの固体電解質自体に含まれる成分のほかこれらの生成過程で生じるガスなどが例示できるが、これらに限定されるものではなく、電解コンデンサの外装ケース内部で生じた気体全般をいう。
【0014】
この構成によれば、電解コンデンサが良品であれば、電解コンデンサを収容した密閉容器に吸気口を介して接続した吸気装置により密閉空間の空気を吸引し、密閉空間内が減圧されて相対的に電解コンデンサの外装ケース内の圧力を上昇させても、電解コンデンサ内部の成分が外部に漏洩することがなく、吸引した空気中に特定成分は感知されない。一方、電解コンデンサが気密不良品であれば、電解コンデンサ内部の特定成分が外部に漏出し、その特定成分が感知装置により検知され、不良品かの良否判定を短時間で行うため、この装置を生産ラインに組み入れることにより、電解コンデンサの気密検査の全数検査が実現できる。
【0015】
また、前記吸気装置は、真空ポンプを用い、この真空ポンプにより密閉容器内のを気圧を1〜5Torrに減圧すると好適である。これよりも高い真空度は装置として過剰であり、これよりも低い真空度では適正な検査ができなくなる。また、真空ポンプで密閉容器内を真空状態にした後、一旦気圧を常圧に戻し、その後、密閉空間の空気を再度吸引し、その時の特定成分を感知装置により検査してもよい。
【0018】
また、前記吸気口装置に、電解コンデンサの開口部に密接する弾性部材を備え、電解コンデンサの開口部と弾性部材を介して電解コンデンサの開口部に密接した吸気口装置とにより形成された密閉空間の空気を吸引する吸気装置を備えてもよい。
【0019】
この構成によれば、電解コンデンサを密閉容器に収容することなく気密検査を行うことができ、電解コンデンサが気密不良品であれば、電解コンデンサ内部の特定成分が外部に漏出し、その特定成分が感知装置により検知され、不良品かの良否判定を短時間で行うことができるほか、電解コンデンサの開口部と弾性部材を介して電解コンデンサの開口部に密接した吸気口装置とにより形成された密閉空間の空気を吸引するため、感知精度を向上させることができる。
【0020】
さらに、上記全ての発明について、電解コンデンサの開口部を一定の圧力で押す押圧治具を備えた電解コンデンサの気密検査装置を用い、電解コンデンサの封口部材を所定圧力で押圧して、電解コンデンサを収容した密閉容器の密閉空間の空気や、電解コンデンサの開口部付近の空気、電解コンデンサの開口部に密接した吸気口装置により形成された密閉空間の空気などを吸引し、吸引した空気中の特定成分の有無を感知装置で確認して電解コンデンサの気密の良否を検査してもよい。
【0021】
この構成によれば、押圧治具による外部からの圧力により、電解コンデンサが気密不良品であれば、電解コンデンサ内部の特定成分の漏出が促進され、吸引した空気中の特定成分の感知による良否判定の時間を更に短縮することができる。特に、請求項8に記載した電解コンデンサの気密検査方法による場合の電解コンデンサ内部の特定成分の漏出促進に好適である。
【0022】
さらに、上記全ての発明について、吸気装置を用いて、電解コンデンサを収容した密閉容器の密閉空間の空気や、電解コンデンサの開口部付近の空気、電解コンデンサの開口部に密接した吸気口装置により形成された密閉空間の空気などを吸引するにあたり、予め電解コンデンサに熱処理を施し、電解コンデンサ内部の圧力を上昇させておくこともできる。この構成によれば、熱処理により、電解コンデンサが気密不良品であれば、電解コンデンサ内部の特定成分の漏出が促進され、吸引した空気中の特定成分の感知による良否判定の時間を更に短縮することができる。
【0023】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1には、本発明の第1の実施例を示した。電解コンデンサ1は、図5に示したように、アルミニウム等の弁作用金属からなる陽極陰極箔3と陰極電極箔4とを、セパレータ5を介して巻回してコンデンサ素子2を形成し、このコンデンサ素子2に駆動用電解液を含浸するとともに、コンデンサ素子2を有底筒状の外装ケース7に収納している。外装ケース7は、アルミニウムからなり、この外装ケース7の開口部には、弾性ゴムと硬質樹脂板とを貼り合わせた封口部材8を装着している。外装ケース7の開口部は、その端面に絞り加工を施して密封し、電解コンデンサ1を構成している。
【0024】
第1の実施例の電解コンデンサ1の気密検査装置は、図1に示したように、密閉容器20を備えている。密閉容器20は、内部に密閉空間28を形成し一定の密閉性を確保できればよく、吸気口27を介して真空ポンプ(吸気装置)22と、真空ポンプ22で吸引された空気の特定成分を感知する感知装置21が取り付けられている。感知装置21は、電解コンデンサ1に用いられる駆動用電解液に含まれる成分や、電解コンデンサ1内部の電気化学的反応により発生する水素ガス、あるいはTCNQ錯塩、ポリエチレンジオキシチオフェンなどの固体電解質自体に含まれる成分のほかこれらの生成過程で生じるガスなどを感知する。この感知装置21は、単一の特定成分を感知する感知装置でも、複数の特定成分を感知する感知装置であってもよい。さらには、必要に応じて異なる特定成分を感知する感知装置を複数設置してもよい。第1の実施例においては、水素ガスセンサを用いている。
【0025】
そして、前記電解コンデンサ1を密閉容器20に収容し、調整弁23を操作して、真空ポンプ22により密閉容器20内の空気を吸引し、吸引した空気中における特定成分(この実施例では水素ガス)の有無を前記感知装置21により検出して行う。このとき、吸引した空気中に特定成分を感知した場合、検査対象となった電解コンデンサ1は、密閉容器20内の減圧により電解コンデンサ1内部の特定成分が外部の漏出したことになり、気密不良との判定をする。
【0026】
検査する電解コンデンサ1が良品である場合は、密閉容器20の気圧が減少し、相対的に電解コンデンサ1内部の圧力が上昇しても内部の特定成分が外部に漏出することはなく、密閉容器20から吸引した空気中に特定成分は感知されることはない。
【0027】
図2は、本発明の他の実施例を示したもので、第1の実施例のように、電解コンデンサ全体の気密検査をするものではなく、電解コンデンサ1の開口部のみを吸気口装置24で覆った状態で気密検査を行うものである。
【0028】
すなわち、電解コンデンサ1の開口部付近に、電解コンデンサ1の開口部を覆う吸気口装置24を配置し、この吸気口装置24による囲繞空間29の空気を、吸気口装置24に接続された吸気装置22により吸引する。そして、吸引された空気中の特定成分の有無を感知装置21で検査する。
【0029】
この実施例においても、第1の実施例と同様、吸気装置22で吸引した囲繞空間29の空気中に特定成分が検出されなければ、電解コンデンサ1内部の特定成分が外部に漏出していないことを確認することができる。そして、電解コンデンサ1を密閉容器に収容することなく気密検査を行うことができるため製造設備も簡便となる。
【0030】
この実施例においては、更に電解コンデンサ1に、吸気口装置24を配置する前後いずれかにおいて電解コンデンサ1に熱処理を施すこともできる。熱処理温度は50℃ないし120℃程度でよく、この熱処理により電解コンデンサ1内部の圧力が上昇し、この電解コンデンサ1が気密不良であれば、電解コンデンサ1内部の特定成分の漏出が促進され、第1の実施例のように吸気装置22は真空ポンプでなくともよい。
【0031】
図3は、本発明の他の実施例を示したもので、第1の実施例のように、電解コンデンサ1全体の気密検査をするものではなく、電解コンデンサ1の開口部のみを吸気口装置25で覆った状態で気密検査を行うものである。
【0032】
すなわち、電解コンデンサ1の開口部に、電解コンデンサ1の開口部に密接する弾性部材31を備えた吸気口装置25を配置し、一定の圧力を以て電解コンデンサ1に圧着し、電解コンデンサ1の開口部と吸気口装置25とで密閉された密閉空間28を形成し、この密閉空間28中の空気を吸気装置22で吸引し、吸引した空気中の特定成分の有無を感知装置21で検査する。
【0033】
この実施例においても、第1の実施例と同様、電解コンデンサ1の開口部と吸気口装置25とで密閉された密閉空間28を形成し、この密閉空間28中の空気を吸気装置22で吸引し、吸引した空気中に特定成分が検出されなければ、電解コンデンサ1内部の特定成分が外部に漏出していないことを確認することができる。そして、電解コンデンサ1を密閉容器に収容することなく気密検査を行うことができるため製造設備も簡便となるほか、密閉空間28から吸引した空気を感知装置21で検査するため、感知精度が向上する。
【0034】
図4には、本発明の他の実施例を示したもので、気密検査装置の吸気口装置26に、電解コンデンサ1の開口部を一定の圧力で押圧する押圧治具30を備えたものである。すなわち、電解コンデンサ1の開口部付近に、電解コンデンサ1の開口部を覆う吸気口装置26を配置し、この吸気口装置26に設置した押圧治具30によって電解コンデンサ1の開口部を一定の圧力(50〜80N)で押圧する。
【0035】
この実施例においても、ほかの実施例と同様、電解コンデンサ1の開口部と吸気口装置26とで囲繞された囲繞空間29内に特定成分が検出されなければ、電解コンデンサ1内部の特定成分が外部に漏出していないことを確認することができる。そして、電解コンデンサ1に気密不良がある場合、押圧治具30の押圧によってこれを強制的に強調させるため、より迅速な検査ができる。
【0036】
【発明の効果】
以上のように本発明は、コンデンサ素子を外装ケースに収納し、この外装ケースの開口部を封口部材で封止した電解コンデンサの気密検査装置および気密検査方法において、電解コンデンサを収容して密閉空間を形成する密閉容器や、電解コンデンサの開口部付近に設置される吸気口装置と、この密閉容器や吸気口装置に吸気口を介して接続され、密閉容器内の空気や、電解コンデンサの開口部付近の空気を吸引する吸気装置と、この吸気装置によって吸引した空気中の特定成分を感知する感知装置とを備えた電解コンデンサの気密検査装置により、電解コンデンサの少なくとも開口部に、前記のような密閉手段を以て密閉空間や囲繞空間を形成した後、この密閉手段に吸気口を介して接続された吸気装置により密閉空間や電解コンデンサの開口部付近の空気を吸引し、吸引した空気中の特定成分の有無を感知装置で確認して電解コンデンサの気密の良否を検査するもので、密閉容器や密閉空間、電解コンデンサの開口部付近の空気を吸引し、吸引した空気中に特定成分を感知した場合は、検査対象となった電解コンデンの内部の特定成分が外部の漏出したことになり、気密不良との判定をすることができる。一方で、検査する電解コンデンサが良品である場合は、特定成分が外部に漏出することはなく、特定成分は感知されることはなく、良品か、不良品かの良否判定を短時間で行うことができる。そのため、この装置を生産ラインに組み入れることにより、電解コンデンサの気密検査の全数検査ができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施例を示す電解コンデンサの気密検査装置を示す構成断面図
【図2】本発明による他の実施例を示す電解コンデンサの気密検査装置を示す構成断面図
【図3】本発明による他の実施例を示す電解コンデンサの気密検査装置を示す構成断面図
【図4】本発明による他の実施例を示す電解コンデンサの気密検査装置を示す構成断面図
【図5】一般の電解コンデンサを示す断面図
【図6】一般の電解コンデンサの気密不良となる原因を示す部分断面図
【符号の説明】
1 電解コンデンサ
2 コンデンサ素子
3 陽極電極箔
4 陰極電極箔
5 セパレータ
6 リード
7 外装ケース
8 封口部材
9 端子
10 欠損部
20 密閉容器
21 感知装置
22 吸気装置(真空ポンプ)
23 調整弁
24 吸気口装置
25 吸気口装置
26 吸気口装置
27 吸気口
28 密閉空間
29 囲繞空間
30 押圧治具
31 弾性部材
Claims (5)
- コンデンサ素子を外装ケースに収納し、この外装ケースの開口部を封口部材で封止した電解コンデンサの少なくとも開口部に、密閉手段を以て密閉空間を形成した後、この密閉手段に吸気口を介して接続された吸気装置により密閉空間の空気を真空状態に吸引した後、一旦気圧を常圧に戻し、その後密閉空間の空気を再度吸引し、吸引した空気中の特定成分の有無を感知装置で確認して電解コンデンサの気密の良否を検査する電解コンデンサの気密検査方法。
- 前記吸気装置が真空ポンプであり、真空ポンプで密閉空間を1〜5Torrに減圧する請求項1記載の電解コンデンサの気密検査方法。
- 前記電解コンデンサの開口部を押圧治具により一定の圧力で押すとともに空気を吸引する請求項1又は2に記載の電解コンデンサの気密検査方法。
- 前記電解コンデンサに、予め熱処理を施した後に吸気装置で空気を吸引する請求項1ないし3いずれかに記載の電解コンデンサの気密検査方法。
- 前記感知装置が、水素ガスセンサである請求項1ないし4いずれかに記載の電解コンデンサの気密検査方法。
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