JP4660640B2 - 藍植物からの藍染め法 - Google Patents

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本発明は、藍植物を冷凍処理することにより赤紫色または青紫色に被染物を染色する新規な藍染め法に関する。より詳しくは、藍植物の冷凍手段と、溶媒抽出手段と、溶媒濃縮・乾燥手段と、還元建て手段とからなる藍染め法に関するものである。
特開2003−192934(以下、特許文献1という)に、「収穫した含藍植物から、葉のみを採取し、新鮮なうちに冷凍庫等で完全に凍結させる。凍結した該葉を解凍させると、該葉は凍結によって組織が損傷を受けているため、融解する過程において、含有されるインジカンが該葉中の酵素と水分の作用で加水分解されてインドキシルとなり、更にインドキシルは空気中の酸素と化合してインジゴが生成される。(特許文献1の第0005段落)」の記載がある。
塩本哲哉、「リュウキュウ藍は島の色・語りの色・恋人の色」、染職α(以下、非特許文献1という)に、「幻の藍色−リュウキュウ藍淡紫色は、成熟したリュウキュウ藍の生葉を80〜90℃温水にて5〜6時間煮詰め、藍液の酸化の度合を追求しつつ染色作業を反復する。安定性は藍染液温度などに左右される。また藍葉の煮染めによる紫や茶色染めは絹糸などの染色は容易だが、木綿などには染まりにくい。」の記載がある。
アキヤマセイコ、「藍草の煮染め方法」、染職α(以下、非特許文献2という)に、「阿波の藍草を60Lの鍋の大きさで、煮出し始めてから2時間位経った頃、赤紫に染めることができる。また、経糸は、染色温度が高いため切れ、布の場合は斑になりやすい。」の記載がある。
牛田智、他1名、「藍の生葉染めにおける絹の赤紫染色の条件」(以下、非特許文献3という)に、「蓼藍の生葉を粉砕し濾過後1時間放置した溶液にアルカリ処理した絹布(炭酸ナトリウム水溶液等に浸して乾燥させた絹布)を入れて染色することで、赤紫に染色できる。」の記載がある。
特開2003−192934 塩本哲哉、「リュウキュウ藍は島の色・語りの色・恋人の色」、染職α、染織と生活社、平成元年12月、第105巻、P.47−52 アキヤマセイコ、「藍草の煮染め方法」、染職α、平成9年7月、染織と生活社、第196巻、P.46−49 牛田智、他1名、「藍の生葉染めにおける絹の赤紫染色の条件」、日本家政学会誌、日本家政学会、平成10年9月、第49巻、第9号、P.1033−1036
特許文献1は、凍結して青色の染料であるインジゴを製造する方法に関するものである。
非特許文献1、2には、高温での染色のため斑になりやすく、色が薄く、繊維の劣化をもたらすなどの問題がある。非特許文献1、2には、絹や毛等の動物繊維には染まりやすいが麻や綿等の植物繊維には染まりにくいなどの問題がある。非特許文献1、2には、藍植物からの高温での染料抽出に長時間(2〜6時間)を要するなどの問題がある。
また、非特許文献3には、被染物をアルカリ液に浸し、そのまま乾燥するため被染物の劣化をもたらすなどの問題点がある。
本発明は、非特許文献1、2の生葉の高温処理とは逆に生葉を冷凍処理することにより、青色の染色法でなく、赤紫色または青紫色に被染物を染色する新規な藍染め法を提供することを目的とする。また、赤紫色または青紫色の、抽出した染料を粉末化し、いつでも、どこでも、容易に還元建て染料として供することなどの課題を解決しようとするものである。
本願発明者は、鋭意研究の結果、これまでの常温処理で、藍植物中のインジカンが同植物中の酵素の加水分解作用によりインドキシルになり、インドキシルが酸化的に2分子結合してインジゴが生成されるので、逆に冷凍保存処理し、これらの作用機構を抑制すると同時に赤紫染料であるインジルビンなどを生成することにより発明を完成し、上記課題を解決した。
これまでの藍植物の染色は、タデアイから製造されるスクモ、リュウキュウアイから製造される泥藍のように、藍植物からインジゴを生成させ、この還元建てによる青色系統の染色が主である。常温では、藍植物中のインジカンが同植物中の酵素によりインドキシルになり、インドキシルが酸化的に2分子結合してインジゴが生成されるのが主反応であり、インジゴができる際の副反応として、インジルビンなどの赤系統の染料が僅かに生成する。
本願発明は、藍植物の冷凍保存処理、溶媒抽出による赤紫色染料液の、この染料液の溶媒を除去して得られる染料の還元建てによる藍の染色法を提供するものである。赤紫色を含む組成物は、液体組成物であっても、固体組成物であってもよい。
本発明は、藍植物を冷凍庫に2週間程度保存することで、インジゴ化の作用機構を抑制することによって、藍植物からの、赤紫色または青紫色の、新規の藍染め法を実現したものである。
本発明にいう藍植物とは、藍(配糖体のインジカン)を含む植物であり、キツネノマゴ科のリュウキュウアイ、タデ科のタデアイ、マメ科のナンバンコマツナギ、キアイ(インドアイ)、アブラナ科のタイセイである。
本発明にいう被染物は、インジルビンにより染色できる繊維であり、天然繊維として、繭、羊毛、木綿、麻、芭蕉、竹、ケナフ、コウゾ、ミツマタ、カジノキから得られる繊維であり、合成繊維として、ナイロン、アセテート、キュプラ、レーヨンであり、これらの繊維の少なくとも一つを紡いだ糸であり、編んだもしくは織った生地・布であり、または不織布や漉いた紙である。毛髪、動物の毛も被染物に含まれる。
本発明で使用する冷凍機器は、少なくとも−10℃まで冷却できる、好ましくは−25℃まで冷却できる家庭用冷蔵庫、業務用冷蔵庫または冷凍室が挙げられる。
本発明で使用する還元剤は、インジルビンを還元できる物質であり、たとえば、ハイドロサルファイトナトリウム、亜鉛末が挙げられる。
本発明で使用するPH調整剤は、アルカリ性、酸性を示す天然物質及び合成物質である。たとえば、天然物質として木灰、珊瑚灰、貝灰、天然酢、木酢液、芋焼酎、柑橘類の搾汁液、合成物質として水酸化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸、クエン酸、塩酸、硫酸が挙げられる。
本発明で使用する抽出溶媒は、藍植物からインジルビンを抽出できる物質である。たとえば、水、アルコール(メタノール、エタノール、ブタノールなど)の単独熱液、あるいは水とアルコールの混合熱液、アセトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシドが挙げられる。
本発明で使用する抽出濃縮法は、デカンテーション、濾別法、凍結乾燥法、遠心分離法が挙げられる。
本発明の藍染め法は、藍植物を冷凍保存処理工程を含む方法である。
本発明の藍染め法には、冷凍保存処理工程が、冷凍温度−7〜−37℃、好ましくは−15〜−25℃、保存期間7〜60日、好ましくは8〜28日である方法が含まれる。
本発明の藍染め法は、藍植物を冷凍保存処理工程、溶媒抽出工程を含む方法である。
本発明の藍染め法には、溶媒抽出工程が、抽出温度50〜130℃、好ましくは80〜100℃の溶媒であり、抽出時間3〜60分、好ましくは5〜15分である方法が含まれる。
本発明の赤紫色または青紫色の染料は、藍植物を冷凍保存処理工程、溶媒抽出工程により得られる。
本発明には、藍植物を冷凍保存処理工程、溶媒抽出工程、溶媒濃縮工程、溶媒除去のための乾燥工程により得られる赤紫色または青紫色の粉末の染料も含まれる。
これらの染料は、冷凍保存処理工程が、冷凍温度−7〜−37℃、好ましくは−15〜−25℃、保存期間7〜60日、好ましくは8〜28日であり、溶媒抽出工程が、抽出温度50〜130℃、好ましくは80〜100℃の溶媒であり、抽出時間3〜60分、好ましくは5〜15分であるものを含む。
本発明の藍染め法には、これらの染料を用いる還元建てによる藍染めの方法が含まれる。
本発明の藍染め法には、乾燥工程が、乾燥温度40〜120℃、好ましくは50〜80℃の熱風乾燥である方法が含まれる。
本発明の藍染め法には、還元建てにおいて、pH=10〜13、好ましくはpH=11.5〜12.5のアルカリ性還元建てである方法が含まれる。
本発明の赤紫色または青紫色の抽出染料液は、藍植物の生葉と茎とのみを冷凍温度−14±2℃〜−20±2℃、保存期間7〜35日の条件下で冷凍保存処理し、抽出温度50〜130℃、抽出時間3〜60分の条件下で抽出溶媒を用いて抽出し、得られる。
本発明の赤紫色または青紫色の粉末染料は、藍植物の生葉と茎とを冷凍温度−14±2℃〜−20±2℃、保存期間7〜35日の条件下で冷凍保存処理し、抽出温度50〜130℃、抽出時間3〜60分の条件下で抽出溶媒を用いて抽出し、得られた抽出液をデカンテーション、濾別法、凍結乾燥法、遠心分離法等の方法により濃縮又は濾過したものを乾燥温度40〜120℃で熱風乾燥し、得られる。
本発明の藍染め法は、前記の抽出染料液及び/又は色素粉末を単独又は混合し、還元剤を用いた還元建てによる染色法である。
本発明の藍染め法には、還元建てが、pH=10〜13のアルカリ性還元建てである方法が含まれる。
本発明の染物は、被染物を請求項3又は請求項4に記載の藍染め法を用いて染色したものである。
本発明の毛髪の染色法は、前記抽出染料液及び/又は色素粉末を単独又は混合し、還元剤を用いて還元し、還元された溶液を均一に髪に塗布して染毛後、毛髪を水で濯ぎ、乾燥する方法である。
以上説明したように本発明は、藍植物からの赤紫色または青紫色の染色法を実現することができる。例えば、藍植物の葉や茎を冷凍庫に2週間程度保存することで、手軽に、簡単・容易に被染物を赤紫色または青紫色に染色できる。また、熱抽出のため、溶媒抽出時間も短く、従来のようにミキサーなどでの粉砕が不要である。
溶媒抽出物はデカンテーションを繰り返して濃縮し、熱風乾燥することにより、粉末染料として保存し、いつでも染色に供することができる。また、溶媒抽出物の粉末化により、長期保存ができ、これまでの藍植物の高温での生葉染めによる赤紫色の染色法と異なり、5〜10月の生葉の採集時期に左右されないなど著しい効果を有する。
本発明の藍染め法について説明する。本発明の主な工程は、原料採取工程、冷凍保存処理工程、溶媒抽出工程、溶媒濃縮・乾燥工程、染色工程からなるものである。これらの工程の流れ図を図1に示す。
〔原料採取工程〕
藍植物の生葉と茎を採取する。藍植物の地上部を刈り取り、水洗し、茎の下部を10cm程度水に浸す。葉からの水分の蒸散を少なくするために、ビニールなどで葉全体を軽く覆って、直射日光を避けながら、保存する。萎れない状態の、採取後5日以内の新鮮な生葉と茎を含む地上部を原料とする。好ましくは生育期の、採取直後の生葉が原料に適している。
〔冷凍保存処理工程〕
採取した生葉と茎を冷凍機器に入れる。冷凍温度−7〜−37℃、好ましくは−15〜−25℃、保存期間7〜60日、好ましくは8〜28日間冷凍する。採取した生葉と茎を収集袋に入れても、入れなくてもよい。作業上の効率を考慮することで選択する。
例えば、冷凍に当たって、収集袋を用意する。収集袋は、プラスチック製、布製、金網製であって、藍植物の生葉を急冷できるものが好ましい。生葉を収集袋に入れ、家庭用冷蔵庫の冷凍庫を用いて、−20±2℃の条件下で2週間程度保存する。
〔溶媒抽出工程〕
冷凍保存処理した生葉と茎から染料を抽出する溶媒を容器に入れ、昇温する。溶液に冷凍保存処理した生葉と茎を投入する。抽出温度50〜130℃、好ましくは80〜100℃の溶媒であり、抽出時間3〜60分、好ましくは5〜15分である。溶媒抽出した染料を枝付きザルや晒の袋などで漉し、生葉と茎を分離し、常温まで放冷する。この抽出染料液を染色用に供する。
〔溶媒濃縮・乾燥工程〕
常温になった抽出染料液をそのまま、好ましくは酸性物質を添加し、PHを3〜5、好ましくは、3.5〜4.5に調整する。染料の凝集を促進できる。デカンテーションを数回繰り返して溶媒を濃縮する。溶媒を濃縮した染料液を乾燥機に入れ、乾燥温度40〜120℃、好ましくは50〜80℃で熱風乾燥する。このようにして赤紫色の粉末染料を得ることができる。この粉末染料を染色用に供する。
〔染色工程:抽出染料液〕
抽出染料液の染色法は、常温で、水酸化カルシウムとハイドロサルファイトナトリウムを添加し、還元を十分にするために2時間放置する。
次に被染物を5〜10分間浸漬し、時々ガラス棒で撹拌して染色する。斑染めを防止できる。染色終了後は、直ちに水洗による緩慢な酸化を5〜10分間行い、脱水して風乾する。この工程も斑染めを防止できる。また、染色終了後、空気による酸化を行っても良い。この染色工程を繰り返しても良い。目的の色目を得る。
〔染色工程:粉末染料〕
粉末染料の染色法は、常温で粉末染料を水に入れ、これに水酸化カルシウムとハイドロサルファイトナトリウムを添加し、還元を十分にするために、50℃〜70℃で、5〜20分間保温し、1〜3時間放置する。
次に被染物を5〜10分間浸漬し、時々ガラス棒で撹拌して染色する。斑染めを防止できる。染色終了後は、直ちに水洗による緩慢な酸化を5〜10分間行い、脱水して風乾する。この工程も染色斑を防止できる。また、染色終了後、空気による酸化を行っても良い。この染色工程を繰り返しても良い。目的の色目を得る。
また、還元された溶液を均一に髪に塗布して染毛後、毛髪を水で濯ぎ、乾燥することで毛髪の染色ができる。
〔測色方法〕
染色布の表面色の測色方法は、染色布を二重折りにし、ミノルタ製のCM−3600dを用い、L*a*b*表色系の数値を求める。測定条件として、10度視野で、第1光源(D65)を使用する。また、島津製作所製のUV−2500を使用して染料の吸光度を測定する。
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明する。
採取日のリュウキュウアイの生葉100gをチャック付ポリ袋(ユニパックJ−4)に入れた。これを家庭用冷蔵庫(NEC製)で−20±2℃の条件下で冷凍保存処理した。冷凍保存処理期間を4日、8日、14日、21日、28日、35日、42日とした。
次に2Lビーカーに水1Lを入れ、95〜100℃に昇温後、冷凍保存処理した生葉を入れ、10分間染料を抽出した。この抽出した染料を枝付きザル(ストレーナー)で漉し、生葉を分離し、2時間放置して常温(25〜27℃)まで放冷した。この溶液をアイボーイ広口ビン(1L)に移し、常温で水酸化カルシウム(和光純薬工業(株))5g、ハイドロサルファイトナトリウム(ナカライテスク(株))3gを添加し、2時間放置した。
次に常温で、JIS染色堅ろう度用(JIS L 0803)の絹2−2、14目付を1/8サイズ(約37cm×25cm、約5g)に裁断した被染布を10分間染色し、5分間水洗後脱水して風乾した。
染色布を測色計で測色し、L*a*b*表色系の数値を得た。色測値を表1に、色度図を図2に、色調図を図3に示した。
表1、図2から冷凍保存処理4日ではb*(−:青方向、+:黄方向)の値から青みをおびている。冷凍保存処理8日ではa*(−:緑方向、+:赤方向)の値が大きくなり赤みが増大し、14日で染色した染色布のa*の値が大きくなり更に赤みが増大し、b*の値が小さくなり青みが少なくなった。その後青みが減り、21日に赤みが最大になり、徐々に赤みが減り、黄色が増え、赤紫色が薄くなっていくことが分かった。また、図3から4日の青色に、次いで14日が赤紫色のL*(明度)が最小になり、C*(彩度)が最大になった。このようなことから冷凍保存処理14日が最も赤紫色が濃いことが分かった。
Figure 0004660640
採取後1日目のリュウキュウアイの生葉100gをチャック付ポリ袋に入れた。これを家庭用冷蔵庫で−20±2℃の条件下で15日間冷凍保存処理した。
次に2Lビーカーに水1Lを入れ、95〜100℃に昇温後、冷凍保存処理した生葉を入れ、染料を抽出した。染料の抽出時間を5分、10分、20分、30分とした。この後は、実施例1と同様に行い、冷凍保存処理した染料の抽出時間が染色に及ぼす影響を検討した。その結果を図4に示した。抽出時間10分以上で、L*、a*、b*の値に大きな差異が見られないことから抽出時間は、10分程度で良いことが分かった。
採集後3日目のリュウキュウアイの生葉100gをチャック付ポリ袋に入れ、家庭用冷蔵庫で14日間冷凍保存処理した。冷凍保存温度を0±1℃、−14±2℃、−20±2℃とした。この後は、実施例1と同様に行い、冷凍保存処理温度の染料生成に及ぼす影響を検討した。その結果を図5に示した。0±1℃では無色に近いが、−14℃±2℃以下では赤紫色に染色された。図5から−14±2℃と−20±2℃では、a*、b*の値に大きな差異が見られないが、L*の値が−20±2℃の方が小さくなり赤紫色が濃くなっていることが分かった。
採取日のリュウキュウアイの生葉2400gをチャック付ポリ袋に入れ、家庭用冷蔵庫で−20±2℃の条件下で14日間冷凍保存処理した。次に20Lステンレス容器に水10Lを入れ、95〜100℃に昇温後、冷凍保存処理したものを入れ、10分間染料抽出を行った。この抽出した染料液を枝付きザルで漉し、生葉を分離して酢酸(和光純薬工業(株))によりpH=4程度の酸性にした後、2時間放置して常温まで放冷した。
その後、デカンテーションを数回繰り返して濃縮し、70℃で熱風乾燥した。このようにして7.8gの粉末染料を得た。この粉末染料0.1gを水50mL(ビーカー)に入れ、水酸化カルシウム:0.25g、ハイドロサルファイトナトリウム:0.25gを添加し、60℃で10分間保温して2時間放置した。次に実施例1の絹布(約5cm×5cm、約0.21g)を10分間染色し、5分間水洗後脱水して風乾した。この染色布の色は、赤紫色であった。
また、この粉末染料のアセトニトリルでの吸収極大波長は536nmであり、インジルビン(文献値の吸収極大波長:538nm)の値とほぼ一致している。
採取後1日目のリュウキュウアイの生葉500gをチャック付ポリ袋に入れた。これを家庭用冷蔵庫で−20±2℃の条件下で14日間冷凍保存処理した。次に5Lビーカーに水5Lを入れ、95〜100℃に昇温後、冷凍保存処理した生葉を入れ、染料を抽出した。この後、界面活性剤のノイゲンHC(第一工業製薬(株))で糊抜きした市販の絹ハンカチ(54×51cm 7.1g)と綿ハンカチ(44×44cm 13.4g)を実施例1と同様に還元建てで染色を行った。染色は、染色時間を5分にし、染色工程を2回繰り返した。絹ハンカチは赤紫色に、綿ハンカチは薄い赤紫色に染まった。
界面活性剤のノイゲンHCで糊抜きした市販の晒(冨士晒 34×100cm 35.6g)を実施例5と同様に染色した結果、薄い赤紫色に染まった。
〔比較例1〕
採取日のリュウキュウアイの生葉100gを水300CC程度で4回に分けて家庭用ミキサー(サン(株):MODEL FM−50)で粉砕した。粉砕物をアイボーイ広口ビン1Lに入れ、溶液の全量を1Lにして2時間放置後、晒しで漉した。
次に水酸化カルシウム:5g、ハイドロサルファイトナトリウム:3gを添加し、2時間放置した。次に実施例1と同様に染色した。
この結果の測色値を表2、色度図を図6、分光反射率曲線を図7に示した。表2及び図6から分かるように実施例1に比べて青色であった。
また、図7から分かるように染色した染色布は、冷凍保存処理(14日)に比べて、青系統の光の反射率が大きく、赤系統の反射率が小さくなった。
すなわち、これまでの染色法に比較して冷凍保存処理による染色法は、染色布が赤紫色に染色されることが分かった。
Figure 0004660640
〔比較例2〕
採取日のリュウキュウアイの生葉200gを水2L入れた3Lビーカーに入れ、10分間で95℃以上に昇温した。その後、同温度で10分間染料抽出を行った。この抽出した染料を枝付きザルで漉し、95℃以上で、実施例1の染色布を10分間高温染色した。染色布は、薄い赤紫色の部分と薄い青紫色の部分からなり、濁った染色斑が見られた。
冷凍保存処理(14日)した染色布の染色堅ろう度の結果を表3に示した。 比較例1のものの測定結果も併せて示した。なお、染色堅ろう度試験方法として、日本工業規格の熱湯試験(JIS−L0845−1975)のビーカー法、洗濯試験(JIS−L0844−1997)のA−1法、汗試験(JIS−L0848−1996)、摩擦試験(JIS−L0849−1996)の摩擦試験機2形乾燥試験法、耐光試験(JIS−L0842−1996)のカーボンアーク灯光試験法に従った。表3から、これまでの染色法である比較例1と比べて、耐光堅ろう度は2級程度高く、熱湯試験、汗試験、摩擦試験で堅ろう度はほぼ同じであることが分かった。
Figure 0004660640
本発明の各工程の流れ図である。 本発明の冷凍保存処理期間が染色に及ぼす影響を示す色度図である。 本発明の冷凍保存処理期間が染色に及ぼす影響を示す色調図である。 本発明の冷凍保存処理した染料の抽出時間が染色に及ぼす影響を示すグラフである。 本発明の冷凍保存処理温度の染料生成に及ぼす影響を示すグラフである。 本発明の実施例1(14日)と比較例1の色度図である。 本発明の実施例1(14日)と比較例1の分光反射率曲線である。

Claims (5)

  1. 藍植物の生葉と茎とのみを冷凍温度−14±2℃〜−20±2℃、保存期間7〜35日の条件下で冷凍保存処理し、抽出温度50〜130℃、抽出時間3〜60分の条件下で抽出溶媒を用いて抽出した赤紫色の抽出染料液を得る方法。
  2. 藍植物の生葉と茎とを冷凍温度−14±2℃〜−20±2℃、保存期間7〜35日の条件下で冷凍保存処理し、抽出温度50〜130℃、抽出時間3〜60分の条件下で抽出溶媒を用いて抽出し、得られた抽出液を、デカンテーション、濾別法、凍結乾燥法、遠心分離法等の方法により濃縮又は濾過したものを乾燥温度40〜120℃で熱風乾燥した赤紫色の色素粉末を得る方法。
  3. 請求項1記載の方法により得られた赤紫色の抽出染料液又は請求項2記載の方法により得られた赤紫色の色素粉末を単独又は混合し、還元剤を用いた還元建てによる染色法。
  4. 還元建てが、pH=10〜13のアルカリ性還元建てである請求項3に記載の染色法。
  5. 請求項1記載の方法により得られた赤紫色の抽出染料液及び/又は請求項2記載の方法により得られた赤紫色の色素粉末を、還元剤を用いて還元し、還元された溶液を均一に髪に塗布して染毛後、毛髪を水で濯ぎ、乾燥する毛髪の染色法。
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