JP4658639B2 - 遠心圧縮機 - Google Patents
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Description
ケーシングには、圧縮対象の気体をケーシング内に取り込むための吸込口と、吸込口から吸い込まれた気体を羽根車に導入するための流入路と、羽根車によって圧縮された気体を吐出する吐出口とが設けられている。
流入路は、主軸の周囲を取り囲むようにして設けられており、吸込口から吸い込まれた気体は、流入路によって主軸の径方向外側から径方向内側に向けて案内されて、主軸に取り付けられた羽根車の径方向内側の領域に供給されるようになっている。
流量調節機構を有する遠心圧縮機としては、例えば、特許文献1に記載の遠心圧縮機が知られている。
特許文献1記載の遠心圧縮機では、流量調節機構として、流入路内に、主軸の軸線に略直交する面上で揺動可能な吸込ベーンが、主軸の周囲を取り囲むように複数配置されており、この吸込ベーンの主軸に対する角度を変えることで、流入路から羽根車に供給される気体の量(すなわち吸込口から吸い込む気体の量)を調節することができるようになっている。
主軸の回りには、第1のギアよりも主軸側に配置されて、各第1のギアと噛み合うとともに主軸の回りに回転自在である環状のリングギアと、第1のギアのうちの一つと噛み合う第2のギアとが設けられている。
第2ギアには、主軸と平行に延在してケーシングを貫通する駆動軸が接続されており、この駆動軸においてケーシングの外側の部分には、駆動軸を介して第2のギアを軸線回りに回転駆動するギア駆動部が接続されている。
この遠心圧縮機は、このように第1、第2のギア、リングギア、駆動軸、及びギア駆動部を用いて、第1のギアに接続された吸込ベーンの向きを調節する構成とされている。
このため、ケーシング内において流量調整機構が設けられる領域に、流入路内から隙間を通じて高圧の気体が流れ込む。
流入路から送り込まれた気体がケーシング外に漏出すると、遠心圧縮機の性能が低下する。また、その気体が可燃性である場合には非常に危険である。そのため、従来は、ギア駆動部と第2のギアとを接続する駆動軸とケーシングとの間に、複数の接触シールを設けて、駆動軸とケーシングとの間からのケーシング外への気体の漏出を防止していた。
そして、このように接触シールが高負荷条件下で駆動軸に対して摺動するので、遠心圧縮機を長期にわたって運転すると、接触シールのシール性能が低下してしまう。
また、従来の遠心圧縮機では、高圧の気体を封止するために、複数の接触シールを用いる必要があるため、駆動軸の摺動抵抗が大きい。そして、このように摺動抵抗が大きいために、接触シールがスティックしてしまう可能性も高い。
すなわち、本発明にかかる遠心圧縮機は、主軸と、該主軸に取り付けられた羽根車と、前記主軸及び前記羽根車を収容するケーシングとを有し、該ケーシングが、圧縮対象の気体を前記羽根車に供給する流入路を有しており、前記主軸を介して前記羽根車を回転駆動することで前記羽根車に供給された気体に遠心力を与えて該気体を圧縮する遠心圧縮機であって、前記流入路内に複数配置されてそれぞれ前記主軸の軸線に平行な揺動軸線回りに揺動することで前記流入路の断面積を調整する吸込ベーンと、該各吸込ベーンを前記揺動軸線回りに揺動させるベーン駆動装置とを有し、該ベーン駆動装置は、前記ケーシング外に設けられた駆動装置本体と、前記ケーシングに挿通されて前記駆動装置本体の駆動力を前記吸込ベーンに伝達する駆動軸とを有しており、前記ケーシングには、前記駆動軸との間に流れ込んだ気体を前記ケーシング内の前記流入路よりも低圧となる領域に供給するバイパス流路が設けられ、前記ケーシングと前記駆動軸との間には、前記バイパス流路の入口よりも前記ケーシングの外側の位置に、前記ケーシングと前記駆動軸との間を封止する接触シールが設けられていることを特徴とする。
このため、ケーシングと駆動軸との間のうち、バイパス流路の入口よりもケーシングの外側では、気体の圧力が著しく低減されるので、従来よりも少ない数の接触シールで十分な封止を行うことができ、ケーシング外への気体の漏出が効果的に防止される。
ここで、バイパス流路の設置数は任意であって、例えば流入路の内圧が大気圧に比べて非常に大きい場合には、駆動軸の軸線方向の位置を変えて複数のバイパス流路を設けることで、ケーシングと駆動軸との間に流入した気体の圧力を段階的に低減して、接触シールによる封止が十分可能な程度の圧力(例えば大気圧程度)にまで低減させることができる。
すなわち、圧力ポケットがバッファとして機能するので、圧力ポケットよりもケーシングの外側に気体が流入しにくくなり、接触シールによるケーシングと駆動軸との間の封止をより良好に行うことができる。
図1は、本実施形態の遠心圧縮機10の要部を示す側断面図である。
遠心圧縮機10は、主軸11と、主軸11に取り付けられた複数の羽根車12とを有している。
ケーシング17の胴部17aには、それぞれ主軸11と略直交する方向に延びる吸込口と吐出口(図示せず)とが設けられており、この吸込口を通じて流入路18に圧縮対象の気体が供給され、吐出口を通じて最後段の羽根車12によって圧縮された気体が外部に吐出されるようになっている。
これら案内羽根31の下流側には、吸込ベーン32が、流入路18を主軸11の軸線方向に横断するようにしてかつ主軸11の軸線Oに略平行な揺動軸線O1回りに揺動可能にして設けられている。これら各吸込ベーン32の揺動軸線O1回りの向きは、ベーン駆動装置33によって調整されるようになっている。
本実施形態では、これら案内羽根31及び吸込ベーン32は、それぞれ24体ずつ設けられている。
リングギア46は、主軸11よりも大径でかつ各取付軸41のなす円周よりも小径とされており、その外周面には、各従動ギア42と噛み合う第1歯車部47と、駆動ギア43と噛み合う第2歯車部48とが、揺動軸線O1方向に隣接して設けられている。
なお、各ギアが噛み合わせられている領域はグリースで満たされており、これにより、各ギアは滑らかに回転することができるようになっている。
これら圧力ポケット51には、それぞれ、圧力ポケット51内に流れ込んだ気体を流入路18よりも低圧となる領域に供給するバイパス流路(図示せず)が接続されている。
ケーシング17内において流入路18よりも低圧となる領域としては、例えば、遠心圧縮機10の吸込部や、主軸11との間を封止するガスシール方式の軸封部21のベント部等がある。
本実施形態では、バイパス流路は、軸封部21のベントに接続されている。
リテーナ56とこのリテーナ56のケーシング17内側に位置するスペーサースリーブ57との間には、これらの間を互いの摺動を可能にして封止するプライマリーリング58が設けられており、これらリテーナ56とスペーサースリーブ57の列のケーシング17内側及びケーシング17外側には、側蓋17bと主軸11との間を封止するラビリンスシール59が設けられている。これにより、側蓋17bと主軸11との間に、軸線O方向に沿って複数の空間Sが形成されている。
具体的には、空間S1には、流入路18の内圧よりもわずかに高い圧力でバッファガスが供給されており、これによって流入路18からこの空間S1への気体の流入が防止されている。
空間S2とこの空間S2のケーシング17外側に隣接する空間S3との間は、前記のようにラビリンスシール59によって封止されており、これによって空間S3の内圧は空間S2の内圧よりも低圧に保たれている。
空間S3とこの空間S3のケーシング17外側に隣接する空間S4との間は、前記のようにプライマリーリング58によって封止されており、これによって空間S4の内圧は空間S3の内圧よりも低圧(本実施形態では大気圧程度)に保たれている。本実施の形態では、前記バイパス流路は、空間S4に接続されている。
ここで、空間S3に空間S2の内圧に近い圧力でバッファガスを供給することで、空間S2から空間S3に流入する気体の流量を低減して、より確実な封止を行うことができる。
このため、側蓋17bと駆動軸45との間のうち、バイパス流路の入口よりもケーシング17の外側では、気体の圧力が著しく低減されるので、従来よりも少ない数の接触シール52で十分な封止を行うことができ、ケーシング17外への気体の漏出が効果的に防止される。
すなわち、圧力ポケット51がバッファとして機能するので、圧力ポケット51よりも側蓋17bの外側に気体が流入しにくくなり、接触シール52による側蓋17bと駆動軸45との間の封止をより良好に行うことができる。
11 主軸
12 羽根車
17 ケーシング
18 流入路
32 吸込ベーン
33 ベーン駆動装置
44 ギア駆動装置(駆動装置本体)
45 駆動軸
51 圧力ポケット
52 接触シール
O 主軸の軸線
O1 揺動軸線
Claims (2)
- 主軸と、該主軸に取り付けられた羽根車と、前記主軸及び前記羽根車を収容するケーシングとを有し、該ケーシングが、圧縮対象の気体を前記羽根車に供給する流入路を有しており、前記主軸を介して前記羽根車を回転駆動することで前記羽根車に供給された気体に遠心力を与えて該気体を圧縮する遠心圧縮機であって、
前記流入路内に複数配置されてそれぞれ前記主軸の軸線に平行な揺動軸線回りに揺動することで前記流入路の断面積を調整する吸込ベーンと、
該各吸込ベーンを前記揺動軸線回りに揺動させるベーン駆動装置とを有し、
該ベーン駆動装置は、前記ケーシング外に設けられた駆動装置本体と、
前記ケーシングに挿通されて前記駆動装置本体の駆動力を前記吸込ベーンに伝達する駆動軸とを有しており、
前記ケーシングには、前記駆動軸との間に流れ込んだ気体を前記ケーシング内の前記流入路よりも低圧となる領域に供給するバイパス流路が設けられ、
前記ケーシングと前記駆動軸との間には、前記バイパス流路の入口よりも前記ケーシングの外側の位置に、前記ケーシングと前記駆動軸との間を封止する接触シールが設けられている遠心圧縮機。 - 前記ケーシングには、前記駆動軸との間に流れ込んだ気体を一時貯留する圧力ポケットが設けられており、
前記バイパス流路の入口が、前記圧力ポケット内に開口している請求項1記載の遠心圧縮機。
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