JP4656910B2 - ニューキノロン剤を含有する超音波治療用活性酸素発生剤 - Google Patents
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Description
一方、ニューキノロン剤は非常に強力で広範囲の抗菌スペクトルを有する抗生物質であり、より少ない副作用を有するため、感染症の治療に臨床的に幅広く使用されてきた(非特許文献1)が、音響動力学化合物としての使用の可能性は現在まで記載も示唆もされていない。また、ニューキノロン剤が、感染症の治療のほかに、癌治療にも適応できることについては従来記載も示唆もされていない。
(1)ニューキノロン剤を含有することを特徴とする超音波治療用薬剤。
(2)前記ニューキノロン剤が、塩酸ロメフロキサシン(LFLX)、スパルフロキサシン(SPFX)、塩酸シプロフロキサシン(CPFX)、及びガチフロキサシン水和物(GFLX)からなる群から選ばれる上記(1)記載の薬剤。
(3)前記ニューキノロン剤が、LFLX、SPFX及びGFLXからなる群から選ばれる上記(2)記載の薬剤。
(4)前記ニューキノロン剤がSPFXである上記(3)記載の薬剤。
(5)前記ニューキノロン剤の4−キノロン骨格の8位にフッ素基又はメトキシ基を有する上記(1)記載の薬剤。
(6)前記超音波治療用薬剤が活性酸素発生剤である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の薬剤。
(7)前記超音波治療用薬剤が抗腫瘍剤である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の薬剤。
(8)腫瘍に罹患した被験体に上記(1)〜(7)のいずれかに記載の薬剤を、必要に応じて賦形剤又は担体と共に投与し、次いで被験体又はその腫瘍部に超音波を照射することからなる腫瘍の治療方法。
(9)超音波強度が2.0W以上である上記(8)記載の方法。
このことは、ニューキノロン剤が超音波照射下で活性酸素発生剤として一重項酸素を発生させ、これが抗腫瘍効果に寄与していることを示していると考えられる。従って、本発明の超音波治療用薬剤は活性酸素発生剤として用いることができる。
理論に束縛されることは本発明者らの意図するところではないが、フッ素基やメトキシ基など官能基をC8位に有するニューキノロン剤は、超音波を照射するとC8位でラジカルを形成し、その後、図6に示すように酸素と反応して一重項酸素の発生をもたらす不安定なペルヒドロキシル化合物を提供すると考えられる。
ニューキノロン剤は人に投与される時は、従来薬学的によく知られた形態及び経路が適用される。例えば散剤、錠剤、カプセル剤、軟膏、注射剤、シロップ剤、水剤等により経口的に又は非経口的に使用され、必要に応じて、賦形剤(例えば、乳糖、D−マンニトール、トウモロコシデンプン、結晶セルロース等)、崩壊剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム等)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク等)、コーティング剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、白糖、酸化チタン等)、可塑剤(例えば、ポリエチレングリコール等)、基剤(例えば、ポリエチレングリコール、ハードファット等)、溶解剤ないし溶解補助剤(例えば、注射用蒸留水、生理食塩水、プロピレングリコール等)、pH調節剤(例えば、無機又は有機の酸又は塩基)、等張化剤(例えば、食塩、ブドウ等、グリセリン等)、安定化剤等が使用される。
また、ニューキノロン剤は、製剤中に、例えば、0.1〜99.5重量%、好ましくは、0.5〜95重量%の量で使用されるのが適当である。症状や、年齢、体重等によって異なるが、通常成人1日当たり、体重1kgにつき、0.05〜100mg、好ましくは、0.1〜50mgの量で投与することができる。
この優れた薬物動態によって、SPFX等のニューキノロン剤は、有用な抗生物質であるだけでなく、音響動力学化合物としても有用であることがわかる。
(1)腫瘍細胞の調製
腹水肉腫180(ascitic sarcoma 180)を実験腫瘍として使用した。肉腫180の懸濁液(約1ml)を7週齢のICR雄マウス(日本エスエルシー株式会社(Shizuoka Laboratory Co.))に腹腔内注射し、約7〜10日後に採取した1.0〜2.0mlの腹水液を、細胞数が7.52×105個/ml(5.25×105個/0.7ml)に設定されるようにリン酸緩衝食塩水(PBS)で希釈した(以降、ストック溶液と呼ぶ)。対照溶液は、ストック溶液を100mlのPBSで2倍に希釈することによって調製した。腫瘍細胞生存率は、トリパンブルー色素排除法によって、光学顕微鏡(オリンパス株式会社 BH−210 ×400)下で血球計数器(萱垣医理科工業)を使用して評価した。腹水液中の腫瘍細胞の変性の影響を排除するために、2.5%未満の死亡率を有するストック溶液を以下の実験で使用した。
以下の5つの薬剤の、肉腫180に対する音響動力学化合物としての抗腫瘍性活性を検討した(図1)。
1)ピロキシカム(日本ロシュ株式会社、東京から供給)C15H13N3O4S、分子量331.35
2)LFLX(塩野義製薬株式会社、大阪から供給)C17H19F2N3O3・HCl、分子量387.81
3)SPFX(大日本製薬株式会社、大阪から供給)C19H22F2N4O3・HCl、分子量392.41
4)CPFX(バイエル薬品株式会社、大阪から供給)C17H18FN3O3・HCl・H2O、分子量385.82
5)GFLX(杏林製薬株式会社、東京から供給)C19H22F2N3O4・11/2H2O、分子量402.42。
本実施例で使用した超音波発生装置は、非特許文献2、4又は7で用いたものと同じである。
(4)超音波照射実験
1.4mlの対照溶液、及び各薬物の0.2mM溶液の0.7mlと混合した0.7mlのストック溶液(6群)を、径10mm、高さ40mm、底厚1mmのガラスセル(秋田大学医学部の機器センターで作成)に個別に投入した。既に言及したように、各ガラスセルに含まれる腫瘍細胞の数は約5.26×105個に設定した。まず、薬剤自体を加えることによってストック溶液中の腫瘍細胞生存率が変化するかどうかを経時的に検討した(n=10)。次に、対照溶液及び薬剤添加溶液に、周波数2MHzで1.5W、2.0W、3.0Wの超音波をそれぞれ30秒間及び60秒間照射した(n=10)。確実に圧電素子をガラスセルに密着させるために、超音波伝達ゲル(Parker、Aqusonic 100、ニュージャージー州フェアフィールド)を使用した。ガラスセル内の溶液の温度を室温(22〜26℃)に設定した。超音波照射によって破壊された細胞は死亡細胞として計数したので、この実験における細胞生存率は、(照射後の生存細胞数/照射前の生存細胞数)×100(%)として計算した。細胞の変性及び壊死の程度を見るために、超音波照射前及び後に、細胞懸濁液からメイギムザスメアを調製した。
一重項酸素とヒドロキシルラジカルの捕捉剤であるL−ヒスチジン塩酸塩一水和物(和光純薬工業株式会社)、及びヒドロキシルラジカルの捕捉剤であるD−マンニトール(半井化学薬品株式会社)を使用して、既に言及した超音波照射実験と同じ条件下で腫瘍細胞生存率を算出した(n=10)。この結果を、0.2mMのニューキノロン剤を加えたそれぞれの群の結果と比較した。L−ヒスチジン及びD−マンニトールの濃度は、それぞれ0.2Mに設定した。
腫瘍細胞生存率の平均及び標準偏差を各群について計算した。群の間の差は、ウィルコクソン検定による比較のP値が0.05以下の場合に有意であると見なした。
(1)腫瘍細胞生存率に対する薬剤の経時的な影響
対照群の腫瘍細胞生存率は、3時間以内では0.2mMの薬剤を加えた群と有意な差がなかった。3時間以内では、薬剤添加群の間の生存率で有意な差は観察されなかった。
30秒及び60秒の照射時間において、対照群と薬剤添加群のいずれも、超音波の強度を上げると腫瘍細胞生存率が下がった(図2A及び図2B)。
超音波強度が1.5Wの場合は、30秒及び60秒の照射時間で対照群と薬剤添加群との間に有意な差は見出されなかった(図2A及び図2B)。それに対して、超音波強度を2Wに上げた場合は、30秒(対照は78.72±12.25%;LFLXは49.46±14.62%、P=0.0011;SPFXは30.85±15.41%、P=0.0002;CPFXは66.47±11.27%、P=0.0233;GFLXは38.84±8.35%、P=0.0001;ピロキシカムは40.43±12.33%、P=0.0001)、及び60秒(対照は52.14±22.41%;LFLXは27.14±9.52%、P=0.028;SPFXは23.41±8.74%、P=0.0039;CPFXは38.31±8.99%、P=0.0016;GFLXは26.08±9.52%、P=0.0048;ピロキシカムは28.19±9.40%、P=0.0289)で、薬剤添加群の腫瘍細胞生存率は対照群に比べて有意に低かった(図2A及び図2B)。腫瘍細胞生存率は、30秒及び60秒で、C8位に官能基を有さないCPFX群に比べて、C8位にフッ素基及びメトキシ基を有するLFLX、SPFX及びGFLX、並びにピロキシカム群で有意に低かった(図2A及び図2B)。
照射後、青紫色に染まった肉腫180細胞が拡散して見られ、対照群では核及び細胞質のほとんどがよく維持されていた(図4A)。しかし、0.2mMのSPFX群では、腫瘍細胞は濃縮した核と明るい細胞質を示し、全細胞数は減少しており、ほとんどの細胞が損失又は小片に断片化されていた(図4B)。
腫瘍細胞生存率は、30秒(p<0.0001)及び60秒(p<0.0001)で、SPFXのみが存在する場合に比べて、0.2mMのSPFXと共に0.2MのL−ヒスチジンが存在する場合で有意に高かった。しかし、D−マンニトールを加えた群では、腫瘍細胞死の抑制は見られなかった(図5)。
以上の実験では、2Wの超音波照射における腫瘍細胞生存率は、30秒の照射では、対照78.72%に対して、LFLX49.46%、SPFX30.85%、CPFX66.47%、及びGFLX38.84%、並びにピロキシカム40.30%であり、また60秒の照射では、対照52.14%に対して、LFLX27.14%、SPFX23.41%、CPFX38.31%、及びGFLX26.08%、並びにピロキシカム28.19%であった。薬剤添加群では腫瘍細胞生存率は対照より有意に低かった。
Claims (5)
- 塩酸ロメフロキサシン(LFLX)、スパルフロキサシン(SPFX)、塩酸シプロフロキサシン(CPFX)、及びガチフロキサシン水和物(GFLX)からなる群から選ばれるニューキノロン剤を含有することを特徴とする超音波治療用薬剤。
- 前記ニューキノロン剤が、LFLX、SPFX、及びGFLXからなる群から選ばれる請求項1記載の薬剤。
- 前記ニューキノロン剤がSPFXである請求項2記載の薬剤。
- 前記超音波治療用薬剤が活性酸素発生剤である請求項1〜3のいずれか一項に記載の薬剤。
- 前記超音波治療用薬剤が抗腫瘍剤である請求項1〜3のいずれか一項に記載の薬剤。
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