以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。本実施例では、遊技機の一例として弾球遊技機の一種であるパチンコ機、特に、第1種パチンコ遊技機を用いて説明する。なお、本発明を第3種パチンコ遊技機や他の遊技機に用いることは、当然に可能である。
図1は、本実施例のパチンコ機1の遊技盤の正面図である。パチンコ機1の前面には前面枠2が配設されており、その略中央部分には略矩形状の開口2aが穿設され、かかる開口2aの内周には金枠3が周設されている。この金枠3の内側の上方には、2枚のガラス板が装着されたガラス扉枠4が開閉可能に配設されており、ガラス扉枠4の後方に遊技盤5が配置されている。
遊技盤5の前面には略円弧状の外レール6が植立され、その外レール6の内側位置には円弧状の内レール7が植立されている。この内レール7と外レール6とにより囲まれた遊技盤5の前面には、球が打ち込まれる遊技領域8が形成されており、その遊技領域8の周囲には、1の球が入賞することにより5個から15個の球が賞球として払い出される複数の入賞口9が配設されている。遊技領域8の略中央部分には、複数種類の識別情報としての図柄などを変動表示する液晶ディスプレイ(以下単に「LCD」と略す)10を備えた可変表示装置11が配設されている。なお、LCD10に代えて、例えば、リール等を用いて可変表示装置を構成するようにしても良い。
可変表示装置11の下方には、図柄作動口(第1種始動口)12が配設されている。この図柄作動口12へ球が入賞すると、第1種始動口スイッチ24(図2参照)がオンして、上述したLCD10で変動表示が開始されると共に、5個の球が賞球として払い出される。また、図柄作動口12の下方には可変入賞装置13が配設されており、その略中央部分に特定入賞口(大入賞口)13aが設けられている。この特定入賞口13aは、LCD10の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせの1つと一致する場合に大当たりとなって、球が入賞し易いように所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が所定個数10個入賞するまで)開放される入賞口である。
この特定入賞口13a内には、Vゾーン13bが設けられており、特定入賞口13aの開放中に、球がVゾーン13bを通過すると、継続権が成立して、特定入賞口13aの閉鎖後、再度、その特定入賞口13aが所定時間開放される。この特定入賞口13aの開閉動作は、最高で16回(16ラウンド)繰り返し可能にされており、開閉動作の行われ得る状態が、いわゆる所定の遊技価値が付与された状態(特別遊技状態)である。
尚、第3種パチンコ遊技機において所定の遊技価値が付与された状態(特別遊技状態)とは、LCD10の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせの1つと一致する場合に、特定入賞口が所定時間開放されることをいう。この特定入賞口の開放中に、球がその特定入賞口内へ入賞すると、特定入賞口とは別に設けられた大入賞口が所定時間、所定回数開放される。
かかる可変入賞装置13の下方であって、遊技領域8の最下方には、いずれの入賞口にも入賞しなかった球を遊技領域8外へ排出するためのアウト口14が形成されている。
アウト口14の下方、即ちガラス扉枠4の下方には、金枠3に開閉可能に取着された前面扉板(腰板)15が配設されている。この前面扉板15の前面(図1の紙面垂直方向手前側)には、球を貯留すると共に球発射装置(図示せず)へ球を供給するための上皿16が配設されている。
上皿16の左側端部には、正面視略矩形状に形成された上皿ボタン19が設けられている。この上皿ボタン19は、上皿16に対してパチンコ機1側(図1の紙面垂直方向奥側)へ移動可能に構成されており、通常時には、内蔵されたスプリングにより手前側(図1の紙面垂直方向手前側)へ付勢された状態となっている。また、この上皿ボタン19には、押しボタンタイプのスイッチ(上皿ボタンスイッチ40、図2参照)が内蔵されており、そのスイッチは、パチンコ機1側へ向けてボタン19が押下されることによりオンされる。
上皿16の下方であって、前面枠2の下側部分には上皿16に貯留しきれなかった球を貯留するための下皿17が配設されている。下皿17の右側には、球を遊技領域8へ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル18が配設され、かかる操作ハンドル18の内部には球発射装置の発射用モータを駆動させるためのハンドルスイッチ18aが内蔵されている。操作ハンドル18が遊技者によって右回りに回転操作されると、ハンドルスイッチ18aがオンされると共に図示しない発射用モータが駆動され、遊技領域8へ球が打ち込まれる。
図2は、パチンコ機1の電気的構成を示したブロック図である。パチンコ機1の主制御基板Cには、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU21が搭載されている。このMPU21には、MPU21により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM22と、そのROM22内に記憶される制御プログラムの実行に当たって各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM23と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。図4から図6に示すフローチャートのプログラムは、制御プログラムの一部としてROM22内に記憶されている。
RAM23は、乱数カウンタ23aと、バックアップエリア23bとを備えている。また、RAM23には、パチンコ機1の電源のオフ後においても、電源基板50からバックアップ電圧が供給されており、データを保持(バックアップ)できるように構成されている。
乱数カウンタ23aは、大当たりの発生を決定するためのカウンタであり、後述する乱数更新処理(図5、S16参照)によって、「0〜630」の範囲で2ms毎に1カウントずつ更新される。この乱数カウンタ23aの値は、パチンコ機1の遊技領域8に打ち込まれた球が図柄作動口12へ入賞して後述する第1種始動口スイッチ24で検出されたとき(始動入賞時)に取得され、このとき取得された乱数カウンタ23aの値が「7」または「315」であった場合に大当たりの発生が確定する。大当たりの発生が確定すると、主制御基板Cから後述する表示用制御基板Dへ大当たり情報が付加された制御用コマンドが送信され、表示用制御基板Dは、その大当たり情報に基づいて変動表示の演出が行われる。
バックアップエリア23bは、停電などの発生により電源が切断された場合、電源の再入時に、パチンコ機1の状態を電源切断前の状態に復帰させるため、電源切断時(停電発生時を含む。以下、同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアである。このバックアップエリア23bへの書き込みは、NMI割込処理(図4参照)によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア23bに書き込まれた各値の復帰は、電源入時(停電解消による電源入を含む。以下、同様)の初期化処理(図6参照)において実行される。なお、MPU21のNMI(Non Maskable Interrupt)端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源断時に、後述する停電監視回路50bから出力される停電信号51が入力されるように構成されており、停電の発生により、図4の停電時処理(NMI割込処理)が即座に実行される。
かかるROM22およびRAM23を内蔵したMPU21は入出力ポート25と接続されており、入出力ポート25は、電源基板50に設けられたクリアスイッチ50cと、払出モータ26によって賞球や貸球の払出制御を行う払出制御基板Hと、前記した図柄の変動表示等の制御を行う表示用制御基板Dと、スピーカ27から効果音の出力制御を行う効果音制御基板Sと、LEDや各種ランプ28の点灯制御を行うランプ制御基板Lと、第1種始動口スイッチ24と、そのほか、他の入出力装置29とにそれぞれ接続されている。
表示用制御基板Dは、MPU31、ビデオRAM34、キャラクタROM35、画像コントローラ36、入力ポート39、出力ポート37等を備えている。入力ポート39の入力には主制御基板Cの入出力ポート25と、上皿ボタンスイッチ40とが接続され、一方、入力ポート39の出力には、バスラインを介してMPU31が接続されている。また、出力ポート37の入力には画像コントローラ36が接続され、出力ポート37の出力にはLCD10が接続されている。
表示用制御基板DのMPU31は、主制御基板Cから送信される制御用コマンドに基づいて、LCD10の(変動)表示を制御するためのものであり、ROM32とRAM33とを備えている。ROM32には、MPU31により実行される各種の制御プログラムや固定値データが記憶されている。図3に示す第1テーブル32a及び第2テーブル32bは固定値データの一部としてROM32に記憶されており、図7に示すフローチャートのプログラムが制御プログラムの一部としてROM32に記憶されている。
ROM32内に記憶された第1テーブル32a及び第2テーブル32bは、大当たりが発生する変動表示の内容を決定するためのテーブルである。ここで、図3を参照して、第1テーブル32a及び第2テーブル32bについて説明する。
図3は、第1テーブル32a及び第2テーブル32bの内容を表した図である。各テーブル32a,32bには、大当たり発生時に行われる演出毎に設定されたデータがそれぞれ10個ずつ設けられている。表示用制御基板Dは、大当たりが発生する場合に「0」から「9」の範囲で更新される演出決定カウンタ33cの値に基づいて1個のデータを取得し、その取得したデータに応じた変動表示の演出を実行する。
第1テーブル32aのデータは、図3に示すように、「0」、「1」、「2」の3種類のデータで構成されており、その上段に表示された「0」から「9」までの各値に応じてそれぞれ1個ずつのデータが対応づけられている。この第1テーブル32aは、大当たりが発生する変動表示が開始された後、変動表示にリーチ表示が現出してから6秒が経過する迄に上皿ボタンスイッチ40がオンされた場合に参照される。第1テーブル32aに設定された10個のデータのうち、上皿ボタンスイッチ40がオンしたときにおける演出決定カウンタ33cの値(第1テーブル32aの上段に表示された値)番目のデータが、変動表示の演出用データとして後述する大当たり演出メモリ33eへ書き込まれて記憶される(図7、S68参照)。
ここで、各テーブル32a,32bに設定されたデータのうち、「0」のデータは、実行される演出が「ノーマル」の演出であることを示すものである。変動表示の演出用データとして「0」のデータが選択されると、変動開始後に示唆演出が実行されることなく、大当たりを示唆する図柄の組み合わせで変動表示が停止する。ここで、示唆演出とは、変動表示の途中でLCD10に所定の図柄が現出して大当たりとなり易い変動表示であることを遊技者に示唆するものである。
「1」のデータは、実行される演出が「魚群」の演出であることを示すものである。「1」のデータが選択されると、変動表示の開始後、リーチ状態となってから4秒から6秒が経過する間にLCD10の変動表示に複数の魚の群れ(魚群)が画面の右から左へと進行する演出が行われる。この演出が行われた場合には、変動後の表示結果がほぼ5割の確率で大当たりとなるようになっている。なお、リーチ状態とは、図柄の変動表示が開始された後、先に停止する図柄の組み合わせが大当たりの条件を満たした表示(リーチ表示)となっており、変動が続いている図柄が停止した後の組み合わせによっては大当たりとなることが遊技者に示唆された状態である。
「2」のデータは、「大魚群」の演出を示すものであり、「魚群」演出より大きな魚の群れが画面の右から左へと進行する演出がLCD10で行われるものである。この「大魚群」の演出は、第1テーブル32aが参照された場合に限って実行される演出であり、変動後の表示結果が必ず大当たりとなるようになっている。つまり、変動後の表示結果がハズレである場合及び上皿ボタンスイッチ40が所定のタイミングでオンされない場合には実行されることがないものである。よって、「大魚群」の演出が実行されることを遊技者に期待させて、積極的に上皿ボタン19を押下させることができる。
第1テーブル32aには、10個のデータのうち「大魚群」の演出が行われる「2」のデータが4個設けられており、第1テーブル32aが参照されると4割の確率で「大魚群」の演出が行われる。また、「1」のデータも4個設けられており、4割の確率で「魚群」の演出が行われる。「0」のデータは、2個設けられており、2割の確率で「ノーマル」の演出が行われる。つまり、第1テーブル32aが参照されて変動表示の演出用データが選択されると、「魚群」又は「大魚群」の演出が8割の確率で選択される、即ち、変動表示の途中で示唆演出が8割の確率で実行される。また、第1テーブル32aには「魚群」と「大魚群」との2つの示唆演出が設けられているので、それら示唆演出のうちいずれか一方の示唆演出のみが実行される場合に比べて、実行される示唆演出の内容を期待する興趣を遊技者に付与することができる。
第2テーブル32bのデータは、「0」又は「1」の2種類のデータで構成されており、その上段に表示された「0」から「9」までの各値に応じていずれか一方のデータが対応づけられている。また、「1」のデータは、10個のデータのうち4個設けられており、第2テーブル32bが参照されると4割の確率で「魚群」の演出が行われ、6割の確率で「ノーマル」の演出が行われる。この第2テーブル32bは、大当たりが発生する変動表示の開始後、上皿ボタンスイッチ40がオンすることなく、リーチ表示が現出してから6秒経過した場合に参照される。第2テーブル32bに設定された10個のデータのうち、演出決定カウンタ33cの値(第2テーブル32bの上段に表示された値)番目のデータが、変動表示の演出用データとして後述する大当たり演出メモリ33eへ書き込まれて記憶される(図7、S71参照)。
RAM33は、図2に示すように、MPU31による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグが記憶されるメモリであり、大当たりフラグ33aと、入力表示フラグ33bと、演出決定カウンタ33cと、タイマカウンタ33dと、大当たり演出メモリ33eとを備えている。
大当たりフラグ33aは、実行中の変動表示が大当たりを発生させるものであることを示唆するためのフラグである。この大当たりフラグ33aは、表示用制御基板Dが変動開始の制御用コマンドを主制御基板Cから受信したときに、その制御用コマンドに大当たり情報が付加されている場合にオンされる(図7、S56参照)。この大当たりフラグ33aがオンであれば、大当たりが発生する変動表示の演出を決定する時に、第1テーブル32a又は第2テーブル32bのデータが参照される。
入力表示フラグ33bは、LCD10に「たたけ!」の表示が現出した後の変動表示中であることを示すためのフラグである。この入力表示フラグ33bは、主制御基板Cから変動開始の制御用コマンドを受信した場合にオンされる。また、変動開始後、変動表示にリーチ表示が現出してから4秒以上経過した後であって6秒経過前に上皿ボタンスイッチ40がオンされるか(図7、S66:Yes)、或いは、変動表示にリーチ表示が現出した後6秒経過しても上皿ボタン19が押下されなければ(図7、S69:Yes)、オフされる。この入力表示フラグ33bがオフ状態では、変動表示にリーチ表示が現出して「たたけ!」の表示が現出した後の変動表示中であり、その後の変動表示の内容が決定された後であるので、変動表示の演出を決定する処理(図7、S62からS74の処理)がスキップされる。
演出決定カウンタ33cは、大当たりが発生する変動表示の内容を決定するためのカウンタである。大当たりが発生する変動表示の途中で「魚群」或いは「大魚群」の示唆演出を実行させるか、示唆演出を実行しない「ノーマル」の演出とするかは、演出決定カウンタ33cの値に基づいて決定される。この演出決定カウンタ33cの値は、後述する変動表示演出処理の演出決定カウンタ更新処理(図7、S58参照)によって「0〜9」の範囲内で2ms毎に1カウントずつ更新される。かかる演出決定カウンタ33cの値は、上皿ボタンスイッチ40がオンされるか、或いは、変動表示にリーチ表示が現出してから6秒が経過したときに参照される。このとき、参照された演出決定カウンタ33cの値に応じた演出が第1テーブル32a又は第2テーブル32bから取得され、大当たり演出メモリ33eに書き込まれて記憶される(図7、S68及びS71参照)。
タイマカウンタ33dは、変動表示にリーチ表示が現出してからの経過時間を計時するためのカウンタである。このタイマカウンタ33dの値は、主制御基板Cから送信される変動開始の制御用コマンドを表示用制御基板Dが受信したときに「0」クリアされる(図7、S54参照)。このタイマカウンタ33dの値は、変動表示の途中でリーチ表示が現出した後、変動表示演出処理が行われる毎に「1」ずつ加算されていく(図7、S63参照)。
ここで、変動表示演出処理は、表示用制御基板Dのメイン処理で2ms毎に行われるタイマ割込処理の一部として実行されるものであり、変動表示にリーチ表示が現出した後に2ms毎に繰り返して行われる。このため、タイマカウンタ33dの値が「2000」となったときには、変動表示にリーチ表示が現出してから4秒(2msに2000を乗じた時間)経過している。本実施例のパチンコ機1は、変動表示にリーチ表示が現出してから4秒経過するとLCD10に「たたけ!」の表示をして、上皿ボタン19への入力待ち状態であることが遊技者に示唆するものであり、タイマカウンタ33dの値が「2000」になることを契機として変動表示に「たたけ!」の表示が行われる(図7、S65参照)。
また、本実施例のパチンコ機1は、上皿ボタン19への入力待ち状態で上皿ボタン19への入力が行われるか、或いは、変動表示にリーチ表示が現出してから6秒が経過するとLCD10の「たたけ!」の表示が消去されて上皿ボタン19への入力待ちが解除される。このリーチ表示が現出してから6秒が経過したか否かもタイマカウンタ33dの値に基づいて判断される。即ち、このタイマカウンタ33dの値が「3000」以上になったときには、変動表示にリーチ表示が現出してから6秒(2msに3000を乗じた時間)が経過しているのである。
大当たり演出メモリ33eは、大当たりが発生する変動表示の内容を記憶するためのメモリである。大当たりが発生する変動表示の途中で、演出決定カウンタ33cの値に応じた演出が第1テーブル32a又は第2テーブル32bから選択されると、その選択された演出に対応した「0〜2」のいずれかのデータが大当たり演出メモリ33eに記憶される。この大当たり演出メモリ33eに記憶された値に基づいて図7に示すその他の処理(図7、S75参照)で変動表示に「魚群」或いは「大魚群」の示唆演出をLCD10に実行させる処理等が行われる。
ビデオRAM34は、LCD10に表示される表示データが記憶されるメモリであり、このビデオRAM34の内容を書き換えることにより、LCD10の表示内容が変更される。キャラクタROM35は、LCD10に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するためのメモリである。画像コントローラ36は、MPU31、ビデオRAM34、出力ポート37のそれぞれのタイミングを調整して、データの読み書きを介在するとともに、ビデオRAM34に記憶される表示データをキャラクタROM35を参照して所定のタイミングでLCD10に表示させるものである。
上皿ボタンスイッチ40は、上皿ボタン19が押下された場合にオンする押しボタンタイプのスイッチである。大当たりが発生する変動表示の途中であって、且つ、LCD10に「たたけ!」の表示がされている状態で、上皿ボタン19が遊技者によって押下されると、上皿ボタンスイッチ40がオンして、変動表示の演出の選択に第1テーブル32aが参照され、第2テーブル32bが参照される場合に比べて高確率で「魚群」又は「大魚群」の示唆演出が行われる。
第1種始動口スイッチ24は、図柄作動口(第1種始動口)12に入賞した球を検出するためのスイッチであり、図柄作動口12の近傍に設けられている。第1種始動口スイッチ24によって球が検出されると、図示しない払出装置によって5個の賞球が払い出される。また、第1種始動口スイッチ24によって球が検出された場合には、乱数カウンタ23aの値が取得され、その取得された値が「7」或いは「315」であれば大当たりの発生が確定する。
電源基板50は、パチンコ機1の各部に電力を供給するための電源部50aと、停電監視回路50bと、クリアスイッチ50cとを備えている。停電監視回路50bは、停電等の発生による電源断時に、主制御基板CのMPU21のNMI端子へ停電信号51を出力するための回路である。停電監視回路50bは、電源部50aから出力される最も大きい電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号51を主制御基板C及び払出制御基板Hへ出力するように構成されている。この停電信号51の出力によって、主制御基板C及び払出制御基板Hは、停電の発生を認識し、停電時処理(主制御基板Cの場合は図4のNMI割込処理)を実行する。なお、電源部50aは、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、かかる停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されているので、主制御基板C及び払出制御基板Hは、停電時処理を正常に実行することができるのである。
クリアスイッチ50cは、主制御基板CのRAM23および払出制御基板HのRAM(図示せず)にバックアップされるデータをクリアするためのスイッチであり、押しボタンタイプのスイッチで構成されている。このクリアスイッチ50cが押下された状態でパチンコ機1の電源が投入されると(停電解消による電源入を含む)、主制御基板Cおよび払出制御基板Hによって、それぞれのRAM23のデータがクリアされる。
次に、上記のように構成されたパチンコ機1で実行される各処理を、図4から図7の各フローチャートを参照して説明する。図4は、停電の発生等によるパチンコ機1の電源断時に、主制御基板Cで実行されるNMI割込処理のフローチャートである。このNMI割込処理により、停電の発生等による電源断時の主制御基板Cの状態がバックアップエリア23bに記憶される。
停電の発生等によりパチンコ機1の電源が断されると、停電監視回路50bから停電信号51が主制御基板CのMPU21のNMI(Non Maskable Interrupt)端子へ出力される。すると、MPU21は、実行中の制御を中断して、図4のNMI割込処理を開始する。停電信号51が出力された後所定時間は、主制御基板Cの処理が実行可能なように電源基板50の電源部50aから電力供給がなされており、この所定時間内にNMI割込処理が実行される。
NMI割込処理では、まず、各レジスタおよびI/O等の値をスタックエリアへ書き込み(S1)、次に、スタックポインタの値をバックアップエリア23bへ書き込んで退避する(S2)。更に、停電発生情報をバックアップエリア23bへ書き込んで(S3)、停電の発生等による電源断時の状態を記憶する。その後、その他停電処理を実行した後(S4)、電源が完全に断して処理が実行できなくなるまで、処理をループする。
図5は、パチンコ機1の主制御基板Cにおいて実行されるメイン処理のフローチャートである。パチンコ機1の主な制御は、このメイン処理によって実行される。メイン処理では、まず、割込を禁止した後(S11)、図6に示す初期化処理を実行する(S12)。ここで、図6のフローチャートを参照して、初期化処理について説明する。
図6は、パチンコ機1の電源入時に主制御基板Cのメイン処理の中で実行される初期化処理(S12)のフローチャートである。この処理では、バックアップが有効であれば、バックアップエリア23bに記憶された各データを元の状態に戻し、遊技の制御を電源が断される前の状態から続行する。一方、バックアップが有効でなかったり、或いは、バックアップが有効であっても電源入時にクリアスイッチ50cが押下された場合には、RAMクリア及び初期化処理を実行する。なお、この初期化処理(S12)は、サブルーチンの形式で記載されているが、スタックポインタの設定前に実行される処理なので、実際には、サブルーチンコールされずに、S11の処理後に順に実行される。
まず、スタックポインタを設定し(S41)、クリアスイッチ50cがオンされているか否かを確認する(S42)。クリアスイッチ50cがオンされていなければ(S42:No)、バックアップが有効であるか否かを確認する(S43)。この確認は、RAM23の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく記憶されているか否かにより判断する。キーワードが正しく記憶されていればバックアップは有効であり、逆に、キーワードが正しくなければバックアップデータは破壊されているので、そのバックアップは有効ではない。バックアップが有効であれば(S43:Yes)、処理をS45へ移行して、主制御基板Cの各状態を電源断前の状態に復帰させる。一方、バックアップが有効でなかったり(S43:No)、或いはクリアスイッチ50cがオンされていれば(S42:Yes)、RAMクリア及び初期化処理を実行して(S44)、RAM23及びI/O等の各値を初期化し、この初期化処理を終了する。このS44の処理の終了後は、図5のS13の処理が実行される。
S45からの復電処理では、まず、バックアップエリア23bからスタックポインタの値を読み出して、これをスタックポインタへ書き込み、電源断前(停電前)の状態、即ちNMI割込発生前の状態に戻す(S45)。次に、バックアップエリア23bへ退避した各レジスタやI/O等のデータをそのバックアップエリア23bから読み出して、これら各データを元のレジスタやI/O等へ書き込む(S46)。更に、割込状態を停電発生時に実行される図4の処理で記憶しておいた電源断前(停電前)の状態、即ちNMI割込発生前の状態に戻し(S47)、NMI割込リターンを実行して処理を電源断前に実行していたところへ戻して、制御を電源断前の状態から続行する。
図5のフローチャートに戻って説明する。S13の処理ではタイマ割込の設定を行う(S13)。ここで設定されるタイマ割込としては、LCD10の変動表示を制御する制御用コマンドを表示用制御基板Dへ送信するためのストローブ信号を発生させるタイマ割込などがある。タイマ割込の設定後は、各割込を許可状態とする(S14)。割込の許可後は、特別図柄変動処理(S25)や、表示データ作成処理(S27)、ランプ・情報処理(S28)などにより、前回の処理で更新された出力データを一度に各ポートへ出力するポート出力処理を実行する(S15)。
更に、大当たりを決定するための乱数カウンタ23aの値を「+1」更新する乱数更新処理(S16)を実行し、記憶タイマ減算処理を実行する(S17)。記憶タイマ減算処理は、大当たり判定の保留球が所定数以上あり、且つ、LCD10において図柄の変動表示中である場合に、図柄の変動表示の時間短縮を行うものである。
スイッチ監視処理(S18)は、INT割込で読み込まれた各スイッチの状態に応じて、遊技領域8へ打ち込まれた球の入賞口9や特定入賞口13a、図柄作動口12への入賞、更には賞球の払い出し等に関する処理を行うものである。図柄カウンタ更新処理(S20)では、LCD10で行われる変動表示の結果、停止表示される図柄を決定するためのカウンタの更新処理が行われる。また、図柄チェック処理(S21)では、図柄カウンタ更新処理(S20)で更新されたカウンタの値に基づいて、特別図柄変動処理(S25)で使用される大当たり図柄や、ハズレ図柄、更にはリーチ図柄などが決定される。
次いで、普通図柄変動処理(S23)によって、7セグメントLED(図示せず)の変動表示を行うと共に、その変動表示の結果、当たりが発生した場合には普通電動役物(図柄作動口)12を所定時間開放する当たり処理を実行する。その後、状態フラグをチェックし(S24)、LCD10において図柄の変動開始または変動表示中であれば(S24:図柄変動中)、特別図柄変動処理(S25)によって、球が図柄作動口12に入賞するタイミングで読み取った乱数カウンタ23aの値に基づいて、大当たりか否かの判定が行われると共に、LCD10において図柄の変動処理を実行する。一方、状態フラグをチェックした結果、大当たり中であれば(S24:大当り中)、特定入賞口13aを開放するなどの大当たり処理(S26)を実行する。更に、状態フラグをチェックした結果、図柄の変動中でも大当たり中でもなければ(S24:その他)、S25及びS26の処理をスキップして、S27の表示データ作成処理へ移行する。
表示データ作成処理(S27)では、図柄の変動表示以外にLCD10に表示されるデモデータや、7セグメントLEDの表示データなどが作成され、ランプ・情報処理(S28)では、保留球のランプデータをはじめ、各種のランプデータが作成される。効果音処理(S29)では、遊技の状況に応じた効果音データが作成される。なお、これらの表示データ及び効果音データは、前記したポート出力処理(S15)やタイマ割込処理によって各制御基板H,D,S,Lへ出力される。
効果音処理(S29)の終了後は、次のS15の処理の実行タイミングが到来するまでの残余時間の間、大当たりを決定するための乱数カウンタ23aの初期値を更新する乱数初期値更新処理(S30)を繰り返し実行する。S15〜S29の各処理は定期的に実行する必要があるので、S31の処理において前回のS15の処理の実行からの経過時間をチェックする(S31)。チェックの結果、前回のS15の処理の実行から2ms経過していれば(S31:Yes)、処理をS15へ移行する。一方、2ms経過していなければ(S31:No)、処理をS30へ移行して、乱数初期値更新処理(S30)の実行を繰り返す。ここで、S15〜S29の各処理の実行時間は、遊技の状態に応じて変化するので、次のS15の処理の実行タイミングが到来するまでの残余時間は、一定の時間ではない。よって、かかる残余時間を使用して乱数初期値更新処理(S30)を繰り返し実行することにより、乱数カウンタ23aの初期値をランダムに更新することができる。
次に、図7を参照して、表示用制御基板Dで実行される変動表示演出処理について説明する。図7は、変動表示演出処理のフローチャートである。変動表示演出処理は、上皿ボタン19への入力有無に基づいて参照するテーブル32a,32bを変更し、大当たりが発生する変動表示の途中で「魚群」や「大魚群」の示唆演出を行うか否かを設定するための処理である。
変動表示演出処理では、まず、変動開始の制御用コマンドを主制御基板Cから受信したか否かを確認する(S51)。変動開始の制御用コマンドを受信していれば(S51:Yes)、LCD10で図柄の変動表示を開始するタイミングであるので、図柄の変動表示を開始する(S52)。また、入力表示フラグ33bをオンし(S53)、タイマカウンタ33dの値を「0」クリアして(S54)、制御用コマンドに大当たり情報が付加されているか否かを確認する(S55)。大当たり情報が付加されていれば(S55:Yes)、変動後の表示結果が大当たりとなるので、大当たりフラグ33aをオンし(S56)、大当たり演出メモリ33eを「0」クリアして(S57)、処理をS58へ移行する。一方、S51の処理で変動開始の制御用コマンドを受信していない場合(S51:No)、又は、S55の処理で制御用コマンドに大当たり情報が付加されていない場合(S55:No)には、処理をS58へ移行する。
S58の処理では、演出決定カウンタ33cの値を更新する(S58)。演出決定カウンタ33cの値は「0〜9」の範囲で更新されるものである。具体的には、演出決定カウンタ33cの値が「8」以下であればその値に「1」が加算され、「9」であればその値が「0」クリアされる。
S61の処理では、入力表示フラグ33bがオンであるか否かを確認する(S61)。入力表示フラグ33bがオンであれば(S61:Yes)、変動表示にリーチ表示が現出したか否かを確認する(S62)。変動表示にリーチ表示が現出していれば(S62:Yes)、タイマカウンタ33dの値を「+1」し(S63)、タイマカウンタ33dの値が「2000」以上か否かを確認する(S64)。タイマカウンタ33dの値が「2000」以上であれば(S64:Yes)、変動表示にリーチ表示が現出してから4秒以上経過しているので、変動表示に「たたけ!」の表示をし(S65)、上皿ボタンスイッチ40がオンしたか否かを確認する(S66)。
S66の処理で上皿ボタンスイッチ40がオンしていなければ(S66:No)、タイマカウンタ33dの値が「3000」以上か否かを確認する(S69。タイマカウンタ33dの値が「3000」以上であれば(S69:Yes)、変動表示にリーチ表示が現出してから6秒が経過しているので、上皿ボタン19への入力待ち状態を解除する時期である。このため、大当たりフラグ33aがオンであるか否かを確認し(S70)、大当たりフラグ33aがオンであれば(S70:Yes)、変動後の表示結果が大当たりとなるので、演出決定カウンタ33cの値番目のデータを図3に示す第2テーブル32bから読み出して大当たり演出メモリ33eへ書き込み(S71)、大当たりフラグ33aをオフして(S72)、処理をS73へ移行する。一方、S70の処理で、大当たりフラグ33aがオンでなければ(S70:No)、変動後の表示結果がハズレであるので、大当たりが発生する場合の示唆演出を設定するS71の処理をスキップして、処理をS73へ移行する。
S73の処理からは、LCD10に表示された「たたけ!」の表示を消去し(S73)、入力表示フラグ33bをオフする(S74)。その後、大当たり演出メモリへ書き込まれた値に従った演出や、主制御基板Cから送信される変動表示に関するコマンドに従った演出を実行する等の他の処理を行って(S75)、この変動表示演出処理を終了する。ここで、S75の処理では、大当たり演出メモリ33eの値が変更されると、その値に応じた「魚群」や「大魚群」の示唆演出が即座にLCD10で実行されるものである。また、変動後の表示結果がハズレである場合には、主制御基板Cから送信される制御用コマンドに基づいて「魚群」や他の演出がS75の処理で設定されて、LCD10で実行されるようになっている。
一方、S66の処理で上皿ボタンスイッチ40がオンであれば(S66:Yes)、大当たりフラグ33aがオンであるか否かを確認し(S67)、大当たりフラグ33aがオンであれば(S67:Yes)、変動後の表示結果が大当たりとなるので、演出決定カウンタ33cの値番目のデータを図3に示す第1テーブル32aから読み出して大当たり演出メモリ33eへ書き込み(S68)、処理をS72へ移行する。S67の処理で、大当たりフラグ33aがオンでなければ(S67:No)、変動後の表示結果がハズレであるので、大当たり時の演出を設定するS68の処理をスキップして、処理をS73へ移行する。
また、S61の処理で入力表示フラグ33bがオンでない場合(S61:No)、S62の処理でリーチ表示の現出前であることが確認された場合(S62:No)、S64の処理でタイマカウンタ33dの値が「2000」未満であることが確認された場合(S64:No)、又は、S69の処理でタイマカウンタ33dの値が「3000」未満であることが確認された場合(S69:No)には、大当たりの演出を設定する処理をスキップして、処理をS75へ移行する。
以上説明したように、図7に示す変動表示演出処理では、S66の処理で上皿ボタンスイッチ40がオンされた場合に限って示唆演出が高確率で実行される第1テーブル32aが参照されるので、上皿ボタンスイッチ40の状態に基づいた示唆演出の設定を表示用制御基板Dに行わせることができる。つまり、遊技者による上皿ボタン19の入力操作に応じた示唆演出を設定し、その設定した示唆演出をLCD10に実行させることができるので、遊技者の遊技への参加意識を高めることができる。
また、S66の処理で上皿ボタンスイッチ40がオンされると、S68の処理で大当たり演出メモリ33eの値が変更され、S75の処理でその値に応じた示唆演出をLCD10で即座に実行させるので、遊技者が上皿ボタン19による入力操作を行ったタイミングで「魚群」や「大魚群」の示唆演出をLCD10に実行させることができ、遊技者自身がその示唆演出を引き当てて、ひいては変動後の大当たりを引き当てたと錯覚させることができる。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記実施例では、上皿ボタン19への入力操作に基づいて「魚群」等の示唆演出の設定が行われ、その設定に従ってLCD10で示唆演出が行われた。しかしながら、必ずしもLCD10で示唆演出を行わせる必要はなく、ランプ等の専用部材を設け、上皿ボタン19への入力操作に基づいてランプの点灯状態を変化させる、例えば、消灯状態から点灯状態に変化させて示唆演出を行うものであっても良く、スピーカ27から特定の効果音を出力させて示唆演出を行うものであっても良く、LCD10、ランプ又はスピーカ27等のうち2以上の装置を併用して示唆演出を行うものであっても良い。
また、上記実施例では、パチンコ機1の上皿16に設けられた上皿ボタン19への入力操作に基づいて示唆演出の設定を表示用制御基板Dに行わせたが、必ずしも示唆演出の設定に影響するボタンを上皿16に設ける必要は無く、操作ハンドル18へボタンを設けても良い。パチンコ機1を操作する遊技者は、常に操作ハンドル18を把持し続けなければならない。このため、操作ハンドル18へボタンを設けることにより、遊技者は、操作ハンドル18を把持した手で簡易にボタン操作を行うことができる。よって、示唆演出の設定に影響するボタン操作を簡易に行わせることができ、遊技者にかける負担を軽減しつつ遊技への参加意識を高めることができる。なお、上皿ボタン19を必ずしも1箇所に設ける必要は無く、例えば上皿16及び操作ハンドル18等、2箇所以上に設けても良い。
また、上記実施例では、遊技者の上皿ボタン19を押下する操作による上皿ボタンスイッチ40のオンに基づいて示唆演出の設定を表示用制御基板Dに行わせた。しかしながら、必ずしもボタンを押下する操作に基づいて示唆演出の設定を行わせる必要は無く、パチンコ機から棒状のレバー突出させて、そのレバーを叩く操作によりスイッチをオンさせて示唆演出の設定を行わせるものであっても良い。また、外部から音を入力するマイクを設け、そのマイクから遊技者の声を入力させ、その入力音に基づいて示唆演出の設定を行わせるものであっても良い。
また、上記実施例では、上皿ボタンスイッチ40のオンに基づいて表示用制御基板Dに示唆演出の設定を行わせたが、必ずしも表示用制御基板Dに示唆演出の設定を行わせる必要はなく、表示用制御基板Dにリーチ表示を現出させる設定を行わせても良い。即ち、表示用制御基板Dが受信した制御用コマンドがリーチ表示を現出させない図柄の組み合わせに対するものであっても、上皿ボタンスイッチ40がオンとなった場合には、所定の確率で変動表示の途中でリーチ表示を現出させるのである。遊技者は、ボタン操作を行うことによって大当たりに遷移する機会であるリーチ演出を引き当てることができ、遊技者の遊技への参加意識を高めることができる。
更に、上記実施例では、LCD10に「たたけ!」の表示が行われたときに遊技者が上皿ボタン19を1回押下すれば、その押下した操作により上皿ボタンスイッチ40がオンして示唆演出が高確率で実行される第1テーブル32aを参照して演出の設定が行われた。しかしながら、必ずしも上皿ボタン19を1回押下するだけで第1テーブル32aを参照させる必要は無く、所定の条件が達成した場合、例えば、1秒以内に3回のボタン押下が行われた場合に限って第1テーブル32aを参照して演出の設定を行わせても良い。遊技者が所定の条件を達成することによって示唆演出が実行されると示唆演出への期待が高められた中で示唆演出が実行されるので、遊技者の遊技への参加意識を一層高めることができる。
本発明を上記実施例とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄が特定図柄であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えたスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
なお、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に有利な大当たり状態が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。
以下に本発明の変形例を示す。請求項1記載の遊技機において、前記演出設定手段によって設定される演出は、前記動的表示が表示結果を現出する前に所定の遊技価値が付与されることを示唆する示唆演出であることを特徴とする遊技機1。遊技者によって入力手段から情報が入力されると、その入力手段によって入力された情報に基づいて演出設定手段による示唆演出の設定が行われるので、演出設定手段によって設定される示唆演出及びその示唆演出の後に付与される所定の遊技価値を遊技者自身が引き当てたと感じさせることができ、遊技者の遊技への参加意識を高めることができる。なお、示唆演出とは、動的表示の途中で、予め定めた図柄や文字などの識別情報が表示装置に現出したり、所定の効果音がスピーカ等から出力されたりして、所定の遊技価値が付与されることを前もって示唆する演出である。
請求項1記載の遊技機又は遊技機1において、前記演出設定手段によって設定される演出は、リーチ演出であることを特徴とする遊技機2。遊技者によって入力手段から情報が入力されると、その入力手段によって入力された情報に基づいて、演出設定手段がリーチ演出の設定を行うので、遊技者にとって所定の遊技価値が付与される機会となるリーチ演出を遊技者自身が引き当てることができ、遊技者の遊技への参加意識を高めることができる。なお、リーチ演出とは、複数の識別情報からなる複数の識別情報列が予め定めた識別情報の組み合わせで確定停止して特別遊技状態が付与される遊技機において、少なくとも1つの識別情報列を残して他の識別情報列の動的表示が停止したとき、その停止した識別情報が所定の遊技価値を付与する組み合わせの1部を構成し、動的表示中の表示結果如何によって所定の遊技価値が付与されることを示唆する演出である。
請求項1記載の遊技機又は遊技機1若しくは2において、前記演出装置は、前記入力手段によって情報が入力された時期に基づいて前記演出設定手段に設定された演出を行うものであることを特徴とする遊技機3。入力手段によって情報が入力された時期に基づいて演出装置は演出設定手段に設定された演出を行うので、演出設定手段に設定された演出を遊技者自身が引き当てたと錯覚させることができ、遊技への参加意識を一層高めることができる。
なお、演出装置は、入力手段によって情報が入力された時期と略同時に、演出設定手段に設定された演出を行うものであっても良い。入力手段による情報の入力に基づいて設定される演出を遊技者自身が引き当てたという錯覚が強調されて、遊技者の遊技への参加意識を更に高めることができる。また、演出装置は、入力手段によって情報が入力された後所定時間経過した後に、演出設定手段に設定された演出を行うものであっても良い。入力手段によって情報を入力してから演出設定手段に設定された演出が行われるまでの間、演出設定手段に設定される演出の実行に遊技者の意識を傾注させることができるので、入力手段による情報の入力と同時に演出設定手段に設定される演出が行われるよりも遊技への参加意識を長期的に持続させることができる。
請求項1記載の遊技機又は遊技機1から3のいずれかにおいて、前記演出設定手段は、所定のタイミングで更新される第1カウンタと、その第1カウンタの値を更新する更新手段と、前記第1カウンタの値に応じた演出が予め設定された第1テーブルと、前記入力手段へ情報が入力されると前記第1カウンタの値に応じた演出を前記第1テーブルから選定する第1選定手段とを備えていることを特徴とする遊技機4。入力手段によって情報が入力されると第1カウンタの値に応じた演出が第1選定手段によって第1テーブルから選定される。よって、演出設定手段による演出の設定を予め定めた確率でランダムに行わせることができる。なお、第1テーブルに予め設定される第1カウンタの値に応じた演出には、特定の演出(例えば示唆演出)を実行しないという演出(例えばノーマル演出)を含めても良い。
遊技機4において、前記演出設定手段は、所定条件下で前記入力手段へ情報が入力されるか否かを判断する判断手段と、所定のタイミングで更新される第2カウンタと、その第2カウンタの値を更新する更新手段と、前記第2カウンタの値に応じた演出が予め設定されたテーブルであって前記第1テーブルとは異なる第2テーブルと、前記判断手段により所定条件下で前記入力手段へ情報が入力されないと判断されると前記第2カウンタの値に応じた演出を前記第2テーブルから選定する第2選定手段とを備えていることを特徴とする遊技機5。入力手段から情報が所定条件下(例えば、動的表示が開始されてから6秒以内)で入力されなければ、第2選定手段によって前記第2カウンタの値に応じた演出が第2テーブルから選定される。よって、遊技者が入力手段から情報を入力しない場合であっても演出設定手段による演出の設定を予め定めた確率でランダムに行わせることができる。また、第2選定手段による演出の選定に使用する第2テーブルは、第1テーブルとは異なるものであるので、第1テーブルよりも第2テーブルを特定の演出(例えば示唆演出)の実行確率が低い設定としたり、所定の遊技価値が付与されることを期待しにくい演出(ノーマル演出)が高確率で選定される設定とすることができる。よって、入力手段へ情報を入力する遊技者に限定して興趣を高めることができ、入力手段への情報の入力を、より多くの遊技者に促すことができる。
なお、第2テーブルに予め設定される第2カウンタの値に応じた演出には、特定の演出(例えば示唆演出)を実行しないという演出(例えばノーマル演出)を含めても良い。また、遊技機4に設けられた第1カウンタと、遊技機5に設けられた第2カウンタとは、同一のカウンタを使用しても良く、それぞれ別々に設けられた専用のカウンタを使用しても良い。
請求項1記載の遊技機又は遊技機1から5のいずれかにおいて、前記演出装置の少なくとも一部分は、前記表示装置で構成されていることを特徴とする遊技機6。遊技者に付与される所定の遊技価値は、表示装置で行われる動的表示が予め定めた表示結果を現出した場合に付与される為、遊技者は動的表示が行われる表示装置に注意を払っている。遊技機6によれば、演出装置の少なくとも一部分が表示装置で構成されているので、遊技を行う遊技者に、演出設定手段によって設定された演出を認識させ易くすることができる。また、演出装置の少なくとも一部分が表示装置で構成されているので、ランプ等の専用部材を設けて演出設定手段によって設定された演出を行わせるよりも、遊技機全体のコストを低減することができると共に表示装置の大型化など別の部材の配置領域を広げることができる。
なお、表示装置としては、例えば、発光素子から構成される発光ダイオード(LED)や、光の透過、不透過により表示を行う液晶ディスプレイ(LCD)、円筒状に形成されると共にその外周面に複数の識別情報が表示された複数のドラム等が例示される。また、演出装置は、表示装置で構成されるものであっても良く、又は、表示装置と表示装置以外の装置とで構成されるものであっても良い。表示装置以外の装置としては、例えば、白熱電球や蛍光ランプ等に代表される所謂ランプ、グロー放電により発光する所謂ネオン菅、発光ダイオード(LED)、液晶ディスプレイ(LCD)、複数の態様を有するキャラクタ又は役物等、視覚を通じて演出を行う装置や、スピーカー等から音声を出力する等の聴覚を通じて演出を行う装置、或いは、操作ハンドルを振動させるモータ等の触覚を通じて演出を行う装置等が例示される。
請求項1記載の遊技機又は遊技機1から6のいずれかにおいて、前記制御手段は、遊技の制御を行う主制御手段と、その主制御手段から送信される制御用コマンドに基づいて前記表示装置に識別情報の動的表示を行わせる表示用制御手段とを備え、前記演出設定手段は、その表示用制御手段に設けられていることを特徴とする遊技機7。演出制御手段が表示用制御手段に設けられているので、遊技の制御を行う主制御手段の負担を軽くすることができると共に従来から使用されている主制御手段を流用することができる。よって、遊技機全体としての開発コストを低減すると共に遊技機の開発に必要な期間を短縮することができる。
請求項1記載の遊技機又は遊技機1から5のいずれかにおいて、前記演出装置は、前記表示装置とは別に設けられた装置で構成されていることを特徴とする遊技機8。演出装置は、動的表示を行う表示装置とは別に設けた装置で構成されているので、演出設定手段によって設定された演出が表示装置で行われる場合に比べて表示装置で動的表示の演出を行う領域が縮められず、表示装置に自由度の高い動的表示の演出を行わせることができる。
請求項1記載の遊技機又は遊技機1から8のいずれかにおいて、前記入力手段によって入力される情報の入力時期を示唆する入力時期情報を告知する告知手段を備えていることを特徴とする遊技機9。入力手段によって情報を入力する時期が告知手段によって告知されるので、入力手段による情報の入力時期を遊技者に解りやすく示唆することができ、遊技に不慣れな遊技者に対しても適切なタイミングで情報を入力させて遊技への参加意識を高めることができる。なお、告知手段としては、ランプ、ネオン菅、LED又はLCD等の表示態様を変更したり、複数の態様を有するキャラクタ又は役物等の態様を変更して入力時期情報を告知するものであっても良く、又は、スピーカー等から特定の効果音を出力して入力時期情報を告知するものであっても良く、或いは、操作ハンドルを振動させるモータ等遊技者の触覚を通じて入力時期情報を告知するものであっても良い。
請求項1記載の遊技機又は遊技機1から9のいずれかにおいて、前記演出設定手段によって設定される演出のうち少なくとも1の演出は、前記入力手段によって情報が入力された場合に限定して行われるものであることを特徴とする遊技機10。遊技者は、遊技機毎に設定された種々の演出が行われることを期待して遊技を行うものである。遊技機10によれば、少なくとも1の演出は、入力手段から情報が入力された場合に限定して行われるものであるので、遊技者には、限定して行われる演出の実行を期待させて積極的に入力手段へ情報を入力させることができ、遊技への参加意識を更に高めることができる。
請求項1記載の遊技機又は遊技機1から10のいずれかにおいて、複数種類の演出の中から1の演出を選択する選択手段を備え、前記演出装置は、その選択手段によって選択された1の演出を行うものであることを特徴とする遊技機11。入力手段から情報が入力されても単一の演出のみが実行されると、単純な演出となってしまって遊技者に飽きが生じやすい。遊技機11によれば、複数の演出の中から選択手段によって選択される1の演出が演出装置によって行われるので、実行される演出の種類を期待する興趣を遊技者に付与することができる。
請求項1記載の遊技機又は遊技機1から11のいずれかにおいて、前記演出設定手段によって設定される演出のうち少なくとも1の演出は、その演出が前記演出装置によって行われる毎に前記所定の遊技価値を付与する表示結果が現出する確定演出であることを特徴とする遊技機12。演出装置によって確定演出が行われると、所定の遊技価値を付与する表示結果の現出が確定する。よって、確定演出が行われることにより所定の遊技価値を付与する表示結果の現出が確定するので、所定の遊技価値を付与する表示結果が現出するまでの動的表示を遊技者に安心して視認させることができる。
請求項1記載の遊技機又は遊技機1から12のいずれかにおいて、前記演出設定手段によって設定される演出のうち少なくとも1の演出は、その演出が前記演出装置によって行われた後に前記所定の遊技価値を付与する表示結果が所定確率で現出する非確定演出であることを特徴とする遊技機13。演出装置によって非確定演出が行われると、所定の遊技価値を付与する動的表示の表示結果が所定確率で現出する。よって、非確定演出が行われた場合には、所定の遊技価値を付与する表示結果が現出することを期待する緊張感を遊技者に保持させつつ動的表示を視認させることができる。
請求項1記載の遊技機又は遊技機1から13のいずれかにおいて、前記入力手段は、所定の押圧が加えられた場合に(又は所定位置に配置された対象物を検出して)オンオフが切り替わるスイッチであることを特徴とする遊技機14。従来、動的表示の実行途中における所定のタイミングで遊技機を叩いて衝撃を加え、所望の表示結果や示唆演出の実行を期待する遊技者が存在する。しかしながら、この種の行為は、遊技場にとっては遊技機が破損する原因となる好ましくない行為であり、また、遊技者にとっても、動的表示の表示結果や示唆演出の実行は動的表示の開始前に決定されているので利益の無い行為であった。遊技機14によれば、入力手段は、所定の押圧が加えられた場合に(又は所定位置に配置された対象物を検出して)オンオフが切り替わるスイッチであるので、遊技者が入力手段を叩くことにより情報が入力され、その入力された情報に基づいて演出設定手段による演出の設定が行われる。よって、遊技者には、入力手段を叩くことにより設定される演出を遊技者自身が引き当てたものと錯覚させることができる。また、遊技者が遊技機を頻繁に叩く位置は、入力手段が設けられた特定の位置に限定されるので、その入力手段が設けられた位置を補強することで、遊技機が叩かれることによって生じる破損を容易に減少させることができる。
遊技機14において、遊技媒体を所定の遊技領域へ発射するための操作ハンドルを備えており、前記入力手段は、その操作ハンドルの一部に(或いはその操作ハンドルに近接して)設けられることを特徴とする遊技機15。操作ハンドルの一部に(或いは操作ハンドルに近接して)入力手段が設けられるので、遊技を行う遊技者は、操作ハンドルを把持した手で入力手段を操作することができ、遊技者にかける負担を軽減しつつ遊技への参加意識を持たせることができる。
遊技機14又は15において、遊技媒体を所定の遊技領域へ発射するための操作ハンドルを備えており、前記入力手段は、その操作ハンドルから離間して設けられていることを特徴とする遊技機16。操作ハンドルから離間して入力手段が設けられるので、遊技を実行中の遊技者は、操作ハンドルを把持した手とは別の手を使用するか、或いは、操作ハンドルから一旦手を離して入力手段を操作する。よって、遊技者が積極的に動作をしなければ入力手段から情報を入力することができず、遊技者の遊技への参加意識をより高めることができる。なお、入力手段は必ずしも1箇所に設けられる必要は無く、2箇所以上に設けられても良い。
請求項1記載の遊技機または遊技機1から16のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ機であることを特徴とする遊技機17。中でも、パチンコ機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動ゲートを通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。