JP4655548B2 - スローアウェイチップ - Google Patents

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Description

本発明は、スローアウェイチップに関し、特に逃げ面の表面を研磨によって仕上げられたスローアウェイチップに関する。
金属切削用のスローアウェイチップ(以下「チップ」という。)において、超硬合金、サーメット、セラミックス等の焼結合金をモールドで型押し焼結したチップ素材を、逃げ面の表面を研磨によって仕上げることにより、切れ刃の先端部にシャープエッジを形成したものがある。図6に例示したチップは、チップ素材(110)のすくい面の表面を、切削された材料が溶着しない程度に滑らかな表面粗さに仕上げた後、逃げ面の上部の切れ刃の先端部にシャープエッジ(s)が形成されるように、前記逃げ面の表面が研磨されてなるチップである。(例えば、特許文献1参照)
特開平4−304906号公報
上記の従来チップでは、切れ刃が非常に鋭利になるため切れ刃のチッピングが発生しやすいという問題があった。また、少なくとも切れ刃のだれを完全に除去できる程度に逃げ面を研磨しなければならず、チップ素材(110)の大型化及び研磨代の増大により製造コストが高騰する問題があった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、溶着しやすい材料を切削したときのすくい面の溶着を防止するとともに切れ刃の刃先強度が高く、さらに製造コストが高騰することのないチップを提供することにある。
本発明者は、アルミニウム合金のように溶着しやすい材料を切削するチップにおいて、切れ刃の耐溶着性、耐チッピング性に及ぼす切れ刃形状の影響について研究及び実験を行った結果、切れ刃の先端部にシャープエッジが形成されるとともに、すくい面には、切れ刃の先端から所定の範囲にわたってすくい角が小さくなる領域、別の言い方をすれば切れ刃のだれ、を形成することによって、切削された材料の溶着を防止することができるとともに、切れ刃の耐チッピング性を高めることができるという知見を得て本発明に至った。すなわち、本発明は、すくい面と逃げ面との交差稜線部に切れ刃が形成され、前記逃げ面の表面が研磨により仕上げられることにより、前記切れ刃の先端にシャープエッジが形成されたチップにおいて、前記すくい面には、少なくとも切削に関与する切れ刃に沿って、前記切れ刃の先端から該チップの中央部へ向かって順に第1すくい面と第2すくい面とが形成され、前記切れ刃に直交する断面において、前記第1すくい面は、そのすくい角が前記切れ刃の先端に近づくにしたがって漸次減少するように、直線及び/又は曲線から構成された上方へ凸の曲線状に形成され、さらに、切れ刃の先端の前記シャープエッジから該チップの中央部へ向かって0mmよりも大きく且つ0.07mm以下の範囲にわたって形成されていることを特徴とするものである。
上記の構成を有する本発明のチップによれば、逃げ面の表面を研磨することによって切れ刃の先端にシャープエッジを形成したことから良好な切れ味が得られ、切削された材料が切れ刃の先端及びすくい面に溶着するのを防止できる。さらに、第1すくい面のすくい角が切れ刃の先端に近づくにしたがって漸次減少するようにしたことから、切れ刃の先端近傍の断面における刃物角(くさび角)が増大し切れ刃強度が高められるので切れ刃の耐チッピング性が向上する。第1すくい面が形成される範囲を切れ刃の先端からチップの中央部へ向かって0.07mmよりも大きくした場合には、上記の溶着を防止する効果が得られなくなるおそれがあり、前記範囲を0mmとした場合には、切れ刃のチッピングが生じやすくなり短寿命となるおそれがある。より好ましくは前記範囲は0.03mm以上に設定される。そうすれば切れ刃のチッピングを防止する効果が確実に高まることから切れ刃への負荷が高い荒加工等において安定して長い切れ刃寿命が得られる。
本発明において、すくい面の表面が研磨により仕上げられた場合には、すくい面の表面が滑らかになるためすくい面の溶着を防止する効果がいっそう高くなる。すくい面の表面はラップ、ブラシ、又はバレル等の研磨方法のいずれかの方法によって、少なくとも第1すくい面の表面がRy1.5μm以下の表面粗さになるように仕上げられていることが好ましい。そうすれば、すくい面の溶着を防止する効果が絶大となる。
本発明において、第1すくい面と第2すくい面とが交差する接続部における第1すくい面の接線すくい角(αa)は0°〜35°の範囲に設定されるのが好ましい。そうすれば、切れ味がいっそう良好になり、すくい面の溶着を防止する効果がさらに高くなる。前記接線すくい角(αa)を上記の範囲に限定した理由は、前記接線すくい角(αa)が0°未満では、切れ味を高める効果が得られないおそれがあり、35°より大きくなると、切れ刃の断面形状が鋭利になりすぎてチッピングが生じやすくなるからである。特に切れ刃への負荷が高くなる荒加工では、切れ刃強度の点から前記接線すくい角(αa)は27°以下とするのがより好ましい。上記の構成において、第2すくい面は第1すくい面に対して角が生じないように滑らかに接続するのが好ましいことから、前記接続部における第1すくい面及び第2すくい面の接線すくい角は略同一に設定される。
また、本発明において、切れ刃の先端のシャープエッジにおける第1すくい面の接線すくい角(αb)は、前記接続部における第1すくい面の接線すくい角(αa)に対して3°〜30°の範囲の角度だけ小さくするのが好ましい。これは、上記の下限値未満になると、切れ刃強度を改善する効果が得られないおそれがあり、上記の上限値を超えると、切削された材料が第1すくい面の表面に溶着するおそれがあるからである。なお、切れ刃に直交する断面でみたとき、第1すくい面は一の円弧からなる曲線だけでなく、複数の円弧からなる曲線、複数の直線からなる近似曲線、又は、一以上の直線及び曲線からなる近似曲線であってもよい。
また、本発明において、切れ刃の先端のシャープエッジにおける第1すくい面の接線すくい角(αb)は、−15°以上且つ25°以下の範囲に設定されるのが好ましい。これは、前記接線すくい角(αb)が−15°よりも小さくなると切れ味が低下するため切削された材料が切れ刃の先端及びすくい面に溶着しやすくなり、25°よりも大きくなると切れ刃がチッピングしやすくなるからである。特に切れ刃への負荷が高くなる荒加工において切れ刃のチッピングを防止する点から前記接線すくい角(αb)は20°以下とするのがより好ましい。なお、第1すくい面及び第2すくい面の表面には、例えば切りくず処理を向上するためのブレーカ突起、チップ形状やコーナー位置等の識別を目的とした突起又は凹部が任意に設けられてもよい。
以下に、本発明を適用した一実施の形態について図を参照しながら説明する。図1は本実施の形態に係るチップの正面図である。図2は図1に示すチップの一部チップ素材形状を含む右側面図であり、図3の(a)及び(b)は図1に示すチップの切れ刃の先端近傍における断面拡大図である。図4は図1に示すチップの一部チップ素材形状を含む要部断面拡大図である。図5も図1に示すチップを示す図であり、(a)は型押し焼結したチップ素材の要部断面拡大図であり、(b)はすくい面を研磨によって仕上げたチップの一部チップ素材形状を含む要部断面拡大図であり、(c)はチップ素材の他の例を示す要部断面拡大図である。
本実施の形態に係るチップ(1)の基本的な構成について以下に説明する。まず、超硬合金又はサーメット等の硬質材料からなる型押し焼結後のチップ素材(1S)は、例えば図1に示すような略菱形平板状を呈する。そして、図2に示すように、このチップ素材(1S)の上面がすくい面(2)となり、このすくい面(2)に対向する下面は工具ホルダのチップ座の底面(図示しない)に当接する着座面(3)となる。すくい面(2)の中央部には、該チップ(1)をチップ座に固定する取付けネジを挿通するための取付け孔(10)が着座面に貫通している。チップ素材(1S)の外周面に形成する逃げ面は、その焼結肌の表面(4)(図2の二点鎖線)を研磨することによって仕上げ表面(4a)(図2の実線)とし、この仕上げ表面(4a)とすくい面(2)とが交差する稜線部に切れ刃(5)を形成するとともに、この切れ刃(5)の先端にシャープエッジ(s)を形成する。着座面(3)の表面は焼結肌(図2の二点鎖線)で構成するか又は研磨した仕上げ表面(3a)(図2の実線)とする。仕上げ表面(3a)とした場合にはチップ座への着座の安定性が向上する。
すくい面(2)には、少なくとも切削に関与する切れ刃(5)に沿って、前記切れ刃(5)先端のシャープエッジ(s)から該チップ(1)の中央部へ向かって順に第1すくい面(2A)と第2すくい面(2B)を形成する。上記の切削に関与する切れ刃(5)は、図1に示すように該チップ(1)の鋭角コーナー部に形成されるコーナー切れ刃(5a)及びこのコーナー切れ刃(5a)を挟んで隣接する辺稜部に形成される直線切れ刃(5b)である。そして、図3の(a)の切れ刃断面拡大図に示すように、切れ刃(5)に直交する断面でみたとき、第1すくい面(2A)は、切れ刃(5)先端のシャープエッジ(s)に接続し、該チップ(1)の中央部(図3の右側)へ向かって所定の範囲まで延びており、第2すくい面(2B)は前記第1すくい面(2A)の内方終端部となる接続部(2C)において滑らかに接続し、さらに中央部へ向かって延びている。なお、第2すくい面(2B)からさらに前記中央部へ向かっては、図示しないが、他のすくい面を連続的に設けてもよい。上記の第1すくい面(2A)と第2すくい面(2B)とを滑らかに接続するとは、角が生じないように滑らかにつながることである。したがって、前記接続部(2C)における第1すくい面(2A)及び第2すくい面(2B)のそれぞれの接線すくい角は略同一となる。
切れ刃(5)に直交する断面において、第1すくい面(2A)は、上方に向かって凸の曲線状をなし、第2すくい面(2B)と交差する接続部(2C)からシャープエッジ(s)に近づくにしたがって接線すくい角が漸次小さくなる。この接線すくい角とは、曲線状をなす第1すくい面(2A)を構成する曲線の接線又は直線と、着座面(3)とのなす角度のことである。また、第1すくい面(2A)は、一の円弧からなる曲線、複数の円弧からなる曲線、複数の直線からなる近似曲線、又は、一以上の直線及び一以上の曲線からなる近似曲線等のいずれかで構成する凸曲線であればよい。さらに、第1すくい面(2A)は、着座面(3)に平行な方向(図3の水平方向)において、切れ刃(5)先端のシャープエッジ(s)から該チップ(1)の中央部側(図3の右側)へ0mmよりも大きく且つ0.07mm以下の範囲(L)にわたって形成する。
以上の構成を有するチップ(1)によれば、切れ刃(5)の先端にシャープエッジ(s)を形成し、第1すくい面(2A)の接線すくい角を前記シャープエッジ(s)に近づくにしたがって漸次小さくし、さらに、着座面(3)に平行な方向において、第1すくい面(2A)を形成する範囲(L)を0mmよりも大きく且つ0.07mm以下の範囲としたことから、良好な切れ味を得ることができ且つ切削された材料が切れ刃(5)先端及びすくい面(2)に溶着することが防止できるほか、すくい面(2)に切れ刃(5)の先端近傍の断面における刃物角(くさび角)が増大し切れ刃強度が高められるため切れ刃(5)の耐チッピング性が向上する。上記の第1すくい面(2A)を形成する範囲(L)が、シャープエッジ(s)から0.07mmよりも広い範囲になると溶着を防止する効果が得られないおそれがあり、第1すくい面(2A)を形成しない場合には、切れ刃(5)のチッピングを生じるおそれがある。前記範囲(L)を0.03mm以上にした場合には、切れ刃(5)のチッピングを防止する効果が確実に高められることから、切れ刃(5)への負荷が高い荒加工において安定して長い切れ刃寿命が得られる。
図3の(a)に示すように、切れ刃(5)に直交する断面において、上方に凸の曲線状をなす第1すくい面(2A)の先端に形成したシャープエッジ(s)は、第1すくい面(2A)と第2すくい面(2B)の接続部(2C)における第1すくい面(2A)の接線(Le)と、この接線(Le)に対して着座面(3)側に30°の傾斜角度で前記接続部(2C)から直線的に延びる仮想線(Lk)とによって挟まれた範囲内に位置する。これは、シャープエッジ(s)が前記接線(Le)よりも上方にあると、切れ刃(5)の先端部が鋭利になることから切れ刃強度を改善する効果が得られないおそれがあり、シャープエッジ(s)が前記仮想線(Lk)よりも下方にあると、第1すくい面(2A)の表面に切削した材料が溶着するおそれがあるからである。
さらに、図3の(a)に示すように、前記接続部(2C)における第1すくい面(2A)の接線(Le)と着座面(3)とのなす角度で定義される第1すくい面の接線すくい角(αa)は0°〜35°の範囲に設定されるのが好ましい。前記接線すくい角(αa)を上記の範囲に設定すれば、切れ刃(5)の耐チッピング性と良好な切れ味が両立でき、さらにすくい面(2)の溶着を防止する効果が得られる。上記の範囲に限定した理由は、前記接線すくい角(αa)が0°未満になると、切れ刃(5)先端におけるすくい角が著しく負となり切れ味が低下するため、すくい面(2)の表面に溶着が発生するおそれがあり、前記接線すくい角(αa)が35°より大きくなると、切れ刃(5)の先端部の断面形状が鋭利になりすぎてチッピングを生じやすくなるからである。特に切れ刃(5)への負荷が高くなる荒加工では、切れ刃強度の点から前記接線すくい角(αa)は27°以下とするのがより好ましい。なお、第2すくい面(2B)は、第1すくい面(2A)と滑らかに接続することになるので、前記接続部(2C)における第2すくい面(2B)の接線と着座面とのなす角度で定義される接線すくい角は、第1すくい面の接線すくい角(αa)と略同一となる。一方、第2すくい面(2B)の断面形状は特に限定する必要はなく、直線状や曲線状等、任意の形状に設定可能である。さらに、第2すくい面(2B)の表面には、切りくずを切断するためのブレーカ突起又はチップ形状等の識別を目的とした突起や凹部が設けられてもよい。
また、図3の(b)に示すように、切れ刃(5)先端のシャープエッジ(s)における第1すくい面(2A)の接線と着座面(3)とのなす角度で定義される第1すくい面の接線すくい角(αb)は、前記接続部(2C)におけるすくい角(αa)に対して3°〜30°の範囲の角度だけ小さく設定するのが好ましい。これは、上記の下限値未満になると、切れ刃強度を改善する効果が得られないおそれがあり、上記の上限値を超えると、切削された材料がすくい面(2)の表面に溶着するおそれがあるからである。また切れ刃(5)の先端のシャープエッジ(s)における第1すくい面(2A)の接線すくい角(αb)は、−15°以上且つ25°以下の範囲に設定されるのが好ましい。これは、前記接線すくい角(αb)が−15°よりも小さくなると切れ味が低下するため切削された材料が切れ刃(5)の先端及びすくい面(2)に溶着しやすくなり、25°よりも大きくなると切れ刃(5)がチッピングしやすくなるからである。特に切れ刃(5)への負荷が高くなる荒加工において切れ刃(5)のチッピングを防止する点から前記接線すくい角(αb)は20°以下とするのがより好ましい。
次に、上記のすくい面(2)を形成する方法について以下に説明する。まず1つめの方法は型押し焼結によってすくい面(2)を形成する方法である。すなわち、図4に示されるように、切れ刃(5)に直交する断面でみたとき、型押し焼結されたチップ素材(1S)には、すくい面(2S)の辺稜部(sa)から該チップ素材(1S)の中央部側(図4の右側)へ所定の範囲(La)にわたって、すくい面(2S)の上方に向かって凸の曲線状をなす第1すくい面(2AS)と、この第1すくい面(2AS)の前記中央部側の終端部に滑らかにつながり前記中央部側へ延びる第2すくい面(2B)が予め形成してある。図1に参照されるように、これら第1すくい面(2AS)及び第2すくい面(2B)は少なくとも切削に関与するコーナー切れ刃(5a)及び直線切れ刃(5b)に形成してあればよい。そして、このチップ素材(1S)の逃げ面の表面(4)(図4の二点鎖線)を研磨で仕上げることにより、最終的なチップ(1)は、仕上げ表面とした逃げ面(4a)(図4の実線)と、型押し焼結された第1すくい面(2AS)の残存した部分で構成された第1すくい面(2A)との交差辺稜部にシャープエッジ(s)をもつ切れ刃(5)を有する。このとき、第1すくい面(2A)は、先述したように、着座面(3)に平行な方向においてシャープエッジ(s)から該チップ(1)の中央部側へ0mmよりも大きく且つ0.07mm以下の範囲(L)に存在する。なお、最終的なチップ(1)において第1すくい面(2A)を上記範囲(L)に形成するため、チップ素材(1S)においては、上記範囲(L)に研磨によって除去される量(いわゆる研磨代)を加えた範囲(La)に第1すくい面(2AS)を形成する必要がある。
2つめの方法は、型押し焼結したチップ素材(1S)のすくい面(2S)の表面を研磨で仕上げることによって仕上げ表面とした第1すくい面(2A)を形成する方法である。すなわち、型押し焼結したチップ素材(1S)は、図5の(a)に示すように、切れ刃に直交する断面において、チップ素材のすくい面(2S)の辺稜部(sa1)から該チップ素材(1S)の中央部(図5の右側)側へいくにしたがって漸次着座面(3)に近づく略一定勾配の傾斜面からなるすくい面(2S)を備え、このすくい面(2S)の表面をラップ、ブラシ、又はバレル等の研磨方法のいずれかの方法で仕上げると、前記辺稜部(sa1)近傍のすくい面(2S)が優先的に研磨されることから、図5の(b)に示すように、研磨後の辺稜部(sa2)から前記中央部側へ所定の範囲(La)にわたって、すくい面(2)の上方へ凸の曲線状を呈する第1すくい面(2AS)が形成できる。なお、上記のすくい面(2S)の具体的な研磨条件については、チップ素材(1S)を構成する材料の種類、すくい面(2S)の勾配、所望する第1すくい面(2AS)の断面形状等に応じて適宜変更することになる。この第1すくい面(2AS)の前記中央部側の終端部には、前記第1すくい面(2AS)に滑らかにつながり前記中央部側へ延びる第2すくい面(2B)を形成する。この第2すくい面(2B)も上記の研磨により仕上げ表面とするのが好ましい。そして、このチップ素材(1S)の逃げ面の表面(4)(図5の(b)の二点鎖線)を研磨によって仕上げることにより、最終的なチップ(1)は、仕上げ表面とした逃げ面(4a)(図5の(b)の実線)と、型押し焼結された第1すくい面(2AS)の残存した部分で構成された第1すくい面(2A)との交差辺稜部にシャープエッジ(s)をもつ切れ刃(5)を有する。このとき、第1すくい面(2A)は、先述したように、着座面(3)に平行な方向においてシャープエッジ(s)から該チップ(1)の中央部側へ0mmよりも大きく且つ0.07mm以下の範囲(L)に存在する。なお、最終的なチップ(1)において第1すくい面(2A)を上記範囲(L)に形成するため、チップ素材(1S)においては、上記範囲(L)に研磨によって除去される量(いわゆる研磨代)を加えた範囲(La)に第1すくい面(2AS)を形成する必要がある。このように、第1すくい面(2A)の表面を研磨により仕上げ表面とした場合には、その仕上げ表面が滑らかになるため、切削された材料がすくい面(2)の表面に溶着することを防止する効果がいっそう高くなる。少なくとも第1すくい面(2A)の仕上げ表面を1.5μm以下の表面粗さとした場合には、上記のすくい面(2)の溶着を防止する効果が絶大となる。
図5の(c)に示すように、チップ素材(1S)のすくい面(2S)の辺稜部に沿うように、例えば着座面(3)に平行な平坦なランド部(2Sa)を設けてもよい。このようにした場合、すくい面(2S)の研磨代が減少することから第1すくい面(2AS)を容易且つ短時間に形成できる。さらにいえば、前記ランド部(2Sa)の断面形状を所望する第1すくい面(2AS)の断面形状に略同一とすれば、前記ランド部(2Sa)の表面が滑らかになる程度の微少な研磨代でもって第1すくい面(2AS)を形成できるので特に好ましい。しかも、前記ランド部(2Sa)は、着座面(3)を研磨するときの加工基準面とした場合、研磨加工を安定させ加工精度を高めるほかチップ素材(1S)のすくい面(2S)の辺稜部の欠けを防止する。以上に説明したすくい面(2)を形成する方法のいずれにおいても、最終的なチップ(1)の第1すくい面(2A)の断面形状及び接線すくい角等は先述した範囲に設定してある。
図6に例示した従来チップ(110)においても、すくい面の表面を研磨によって仕上げた後、逃げ面の表面を研磨によって仕上げることによって切れ刃の先端にシャープエッジ(s)を形成しているが、この従来チップ(110)では、切れ刃のだれ、すなわち、本実施の形態のチップ(1)でいえば第1すくい面(2A)が形成された領域を完全に除去する程度に逃げ面の研磨代を大きくしなければならず、それに伴いチップ素材(G)の外形を大型化しなければならなかった。そのため、従来チップ(110)では製造コストが高騰する問題があった。一方、本実施の形態のチップ(1)では、最終的にチップのすくい面(2)には、先述したように切れ刃(5)の先端のシャープエッジ(s)から該チップ(1)の中央部側へ0mmよりも大きく且つ0.07mm以下の範囲(L)にわたって第1すくい面(2A)を形成するようにしているため、上記の切れ刃(5)のだれを完全に除去するほど大きな研磨代は必要なく、チップの素材(1S)外形が大型化しない。よって、チップ(1)の製造コストが高騰することがない。
以上に説明した構成を有するチップを用いた切削試験の結果について説明する。表1に示す本発明品A〜Eは本発明を適用したチップであり、切れ刃(5)の先端にシャープエッジ(s)を形成し、第1すくい面(2A)及び第2すくい面(2B)の表面をRy1.5μm以下の表面粗さになるように研磨により仕上げ、さらに、第1すくい面(2A)の形成範囲(L)、接続部(2C)及びシャープエッジ(s)における第1すくい面の接線すくい角(αa、αb)を本発明の範囲内に設定したものである。一方、比較品Aは、図6に例示したように、チップ素材(110)のすくい面の表面を、切削された材料が溶着しない程度に滑らかな表面粗さに仕上げた後、逃げ面の上部の切れ刃の先端にシャープエッジ(s)を形成するため前記逃げ面の表面(4)を研磨した従来チップである。その他の比較品Bは、本発明品と同様に切れ刃(5)の先端部のシャープエッジ(s)および第1すくい面(2A)を有するものの第1すくい面(2A)の形成範囲(L)を本発明の範囲外としたものである。
切削試験に用いた被削材はアルミニウム合金鋳物AC4C(JIS)の丸棒である。切削条件は、切削速度(Vc)を800m/min、切り込み(ap)を1.0mm、送り(f)を0.40mm/revに設定し、水溶性切削油剤を用い湿式旋削加工を行った。上記の条件で所定の時間切削加工した後、切れ刃に溶着した被削材の重量を測定した。その結果を表1に示す。また、加工面の外観品位及び切れ刃のチッピングについて、極めて良好、良好、不良の3段階評価をした。表1には上記の3段階評価を順に◎、○、×の記号で示している。
Figure 0004655548
表1からわかるように、本発明品A〜Eは、比較品A及びBにくらべ切れ刃近傍に溶着する被削材の重量が小さくなった。また、切れ刃の観察の結果チッピングを生じていないことも確認された。さらに、被削材の加工面についても溶着に起因する傷がなく外観品位は良好であった。このような結果となったのは、切れ刃(5)の先端に形成したシャープエッジ(s)により良好な切れ味が得られたとともに、第1すくい面(2A)の形成範囲(L)を本発明の範囲に設定したことから切削された材料がすくい面(2A)の表面に溶着することを抑止する効果と切れ刃強度を高める効果とが十分に高められたからである。
一方、比較品Aには顕著な溶着が発生した。これは、切削加工初期における切れ刃の溶着は非常に少ないものの、その後切れ刃にチッピングが生じ、このチッピングによって溶着が引き起こされたからである。この溶着によって加工面の外観も悪化した。比較品Bでは、切れ刃(5)のチッピングは生じなかったが、第1すくい面(2A)の形成範囲(L)が本発明の上限よりも大きいことから、切れ刃(5)及びすくい面(2)表面の溶着を防止する効果が得られず加工面の外観が悪化した。
本発明は、以上の実施の形態で説明した略菱形平板状のチップに限定されることはなく、その他の略多角形平板状又は略円形平板状のチップに適用可能であり、チップを構成する材料についても、切削工具の材料として公知の超硬合金、サーメット、セラミック、ダイヤモンド、cBN等に適用可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲内であれば種々の追加及び削除が可能であることはいうまでもない。
本発明の一実施の形態に係るチップの正面図である。 図1に示すチップの一部チップ素材形状を含む右側面図である。 (a)及び(b)は図1に示すチップの切れ刃の先端部近傍における断面拡大図である。 図1に示すチップの一部チップ素材形状を含む要部断面拡大図である。 図1に示すチップを示す図であり、(a)は型押し焼結したチップ素材の要部断面拡大図であり、(b)はすくい面を研磨によって仕上げたチップ素材の一部チップ素材形状を含む要部断面拡大図であり、(c)はチップ素材の他の例を示す要部断面拡大図である。 従来チップにおいて最終的に研磨加工によりシャープエッジを形成した状況を示す断面図である。
符号の説明
1 チップ
1S チップ素材
s シャープエッジ
sa、sa1、sa2 チップ素材のすくい面の辺稜部
2 すくい面
2S チップ素材のすくい面
2SA チップ素材の第1すくい面
2A 第1すくい面
2B 第2すくい面
2C 第1すくい面と第2すくい面との接続部
3、3a 着座面
4 チップ素材の逃げ面の表面
4a 逃げ面の仕上げ表面
5 切れ刃
L 第1すくい面の形成範囲
La チップ素材の第1すくい面の形成範囲
αa 接続部における第1すくい面の接線すくい角
αb 切れ刃先端のシャープエッジにおける第1すくい面の接線すくい角
Le 接続部における第1すくい面の接線
Lk 仮想線

Claims (2)

  1. すくい面と逃げ面との交差稜線部に切れ刃が形成され、前記逃げ面の表面が研磨により仕上げられることにより、前記切れ刃の先端にシャープエッジが形成されたスローアウェイチップにおいて、前記すくい面の表面が研磨により仕上げられており、前記すくい面には、少なくとも切削に関与する切れ刃に沿って、前記切れ刃の先端から該スローアウェイチップの中央部へ向かって順に第1すくい面と第2すくい面とが形成され、前記切れ刃に直交する断面において、前記第1すくい面は、そのすくい角が前記切れ刃の先端に近づくにしたがって漸次減少するように、直線及び/又は曲線から構成された上方へ凸の曲線状に形成され、さらに、切れ刃の先端の前記シャープエッジから該スローアウェイチップの中央部へ向かって0.00mmよりも大きく且つ0.07mm以下の範囲にわたって形成され、前記第1すくい面と前記第2すくい面とが交差する接続部において、前記第1すくい面の接線すくい角が、0°以上且つ35°以下の範囲に設定され、前記シャープエッヂにおける前記第1すくい面の接線すくい角が、−15°以上且つ25°以下の範囲に設定されていることを特徴とするスローアウェイチップ。
  2. 少なくとも前記第1すくい面の表面がRy1.5μm以下の表面粗さであることを特徴とする請求項1に記載のスローアウェイチップ。
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