JP4654450B2 - 有機化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面間の薄膜流体中での有機化合物の反応方法に関する。さらに詳しくは化学、生化学、農業、医薬、製薬工業などの分野、とりわけ有機化合物を用いた化学反応、化学合成に有効並びに有用な連続式反応装置を用いた反応方法及び有機化合物の製造方法に関する。
特開平4−214736号広報 特開2005−60281号広報 特開2007−50340号広報
一般的に2種類以上の物質もしくは1種類の物質そのもの同士を化学反応させて、新たな物質を得るための反応容器は、バッチ式と流通式(連続式)に大きく分類される。バッチ式反応容器は実験室においてフラスコに代表されるような容器の中に、溶媒と基質、反応剤などを入れ、攪拌機などで攪拌して反応を行う。流通式の場合には例えば特許文献1の装置のように、基質溶液を攪拌混合、さらに流通させながらその攪拌条件化に反応剤を投入する事で反応を行う。バッチ式と流通式のいずれも工業的に実用化されているが、当然ながらその反応場は容積を持つ。この反応容器における容積は、反応場における不均一性に影響する。例えば均一な基質溶液に反応剤を加えて化学反応を行う場合、反応剤の濃度が均一になるまでには一定の時間を要する。反応条件における濃度についても同様の事が考えられる。つまり、反応容器を外部乃至内部から、加熱冷却を行う場合、反応容器内全体が一定温度に到達するまでには一定の時間を要し、さらに、容器内反応場全体を完全に一定温度とすることは極困難であると考えられる。また、バッチ式の反応容器の場合において、容器中の溶媒と基質に反応剤を順に投入する場合、反応剤の投入開始時と終了時ではすでに異なる反応条件である。上記のような要因によって生じる反応場における反応条件の不均一性は、結果的に反応生成物に影響を与える。つまり一つの容器内に様々な反応条件が発生する事により、目的の反応を理想的には行えない。主反応と副反応を完全には選択できない事や、それに伴う副生成物の発生、また重合反応などの場合には得られる生成物の分子量分布が均一に成り難い事等が挙げられる。容器壁面への付着も含めると、反応物から生成物への収率は自ずと低くなる。反応場におけるそれらを解決するために、通常反応容器には攪拌機、タービンなどの動的攪拌装置やジェットミキサーのような静的攪拌装置が敷設される。攪拌装置により混合速度を向上することで、反応場の均一性を確保し、反応速度に対応せんとするものであった。しかし、対象とする混合反応流体の粘度が上昇する毎に再び上記反応場における不均一化の問題が浮上する。それでも尚瞬間的な混合を目標とする事によって、自然と攪拌所要動力は増大する一途である。また、温度勾配が大きいため短時間で加熱する場合には必要以上の熱エネルギーを必要とすることなどの問題もある。
上記のような問題は化学反応の中でも、特にフリーデルクラフツ反応、ニトロ化反応、付加反応、脱離反応、転移反応、重縮合、カップリング反応、アシル化、カルボニル化、アルデヒド合成、ペプチド合成、アルドール反応、インドール反応などに代表されるような有機化合物を出発原料とする反応、つまり有機反応のように主反応と副反応が極近い反応条件で進行する事や反応中間体を形成しなければならない特徴をもつ反応や中間体を得たい場合に特に問題となりやすい。濃度勾配や温度勾配などの反応条件を反応場全体で均一にしなければならない。
さらに上記のような有機反応は化学工業において頻繁に使用されるにも関わらず、安全性の問題および危険を伴う。多くの場合、比較的大量の高度に毒性の化学物質が用いられ、人および環境に相当な危険を示し、溶媒が種々の点で環境汚染物質であることから、格別の問題が現れる。また、例えば二硫化炭素を出発原料とした場合、その低い蒸気圧および引火点が、爆発性空気/二硫化炭素混合物を生成させるという追加の危険が存在することを意味する。もうひとつの例としてはフリーデル−クラフツアシル化の場合における反応の強力な発熱性や、ニトロ化の場合には発熱反応のみならず大きな爆発のリスクがある。さらにそれら危険性は実生産に向けてスケールアップを図ると同時に前面に出てくる。
上記の問題を解決するために、特許文献2や特許文献3に示されるような、微小反応器、微小流路式反応器であるマイクロミキサーやマイクロリアクターが提案され、微少量での合成が可能なことや温度制御の高効率化、界面反応の高効率化、効率的混合などの利点が提唱されている。しかし、一般的なマイクロリアクターを用いる場合にはマイクロデバイス及びシステムの利点は数あるとしても、実際にはマイクロ流路径が狭くなればなるほどその圧力損失は流路の4乗に反比例する事、つまり実際には流体を送り込むポンプが入手し難いくらい大きな送液圧力が必要となる事、また析出を伴う反応の場合、生成物が流路に詰まる現象や反応によって生じる泡によるマイクロ流路の閉鎖、さらに基本的には分子の拡散速度にその反応を期待するため、全ての反応に対してマイクロ空間が有効・適応可能と言う訳ではなく、現実的にはトライアルアンドエラー方式に反応を試行し、首尾良いものを選択する必要性があるなど、その問題も多い。そのため特許文献2のようにマイクロリアクター中に発生する堆積物の問題を超音波処理する事で回避する場合もあるが、超音波によって生じる流路内の不規則な乱流やキャビテーションは、目的の反応に対して常に都合良くは作用しない可能性が高い。さらにスケールアップについても、マイクロリアクターそのものの数を増やす方法、つまりナンバリングアップで解決されて来たが、実際には積層可能数は数十が限界であり、自ずと製品価値の高い製品に的が絞られやすく、また、装置が増えるという事は、その故障原因の絶対数も増えるという事であり、実際に詰まりなどの問題が発生した場合、その故障箇所など、問題箇所を検出する事が大変困難と成りうる可能性がある。
上記に鑑み本発明は、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面の間にできる強制薄膜流体中で有機化合物を反応させる事による有機化合物の製造方法であり、その薄膜流体中での温度の均一性が高く、反応容器の攪拌における均一性が高いことから、目的に応じて高い反応選択性及び目的物質の生成率を確保できる有機化合物の反応方法及び製造方法を提供する事を課題とする。さらに自己排出性により生成物の詰まりも無く、大きな圧力を必要としないため、有機反応において、析出系の反応と非析出系の反応を選ばず、生成物の分子量分布や選択的反応を制御できる有機化合物の反応方法及び製造方法を提供する事を課題とする。また、強制薄膜流体中での反応により、流体の粘度の影響が非常に小さいため、低粘度から高粘度まで、反応の均一性を確保でき、また生産性も高く、スケールアップが可能でありながら、薄膜中での反応であるため、有機反応特有の危険性を最小限に抑える事が可能である、有機化合物の反応方法及び製造方法を提供することを課題とする。
本願発明は、
少なくとも1種類の有機化合物を含有する流体を含む、少なくとも2種類の流体を用いるものであり、
近接・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面間にできる薄膜流体中で上記の各流体を合流させ、当該薄膜流体中において有機反応させる有機化合物の製造方法において、
第1処理用部と、この第1処理用部に対して相対的に接近・離反可能な第2処理用部との、少なくとも2つの処理用部と、
上記の第1処理用部と第2処理用部とを相対的に回転させる回転駆動機構とを備え、
上記の各処理用部において互いに対向する位置に、第1処理用面及び第2処理用面の少なくとも2つの処理用面が設けられており、
上記の各処理用面は、上記被処理流動体が流される流路の一部を構成するものであり、
接近離反可能、且つ相対的に回転する上記の第1処理用面と第2処理用面との間に上記被処理流動体が通されるものであり、
上記被処理流動体の供給圧によって上記少なくとも2つの処理用面を離反させる方向に移動させる力を発生させ、上記少なくとも2つの処理用面を接近させる方向に移動させる力とのバランスによって、上記第1処理用面と第2処理用面との間の距離を微小間隔に維持し、この微小間隔に維持された両処理用面間に上記被処理流動体が通されることにより、上記被処理流動体が上記薄膜流体を形成するものであり、
少なくとも1種類の上記流体が上記両処理用面間に通され、この1種類の流体の流路とは異なる独立した導入路を備え、この別途の導入路に通じる少なくとも一つの開口部が上記第1処理用面と第2処理用面の少なくとも何れか一方に設けられ、この導入路から少なくとも1種類の他の流体を上記両処理用面間に導入し、上記1種類の流体と上記他の1種類の流体とを上記薄膜流体中で混合することにより、上記薄膜流体中において上記の1種類の流体に含まれる成分と、上記の他の1種類の流体に含まれる成分とを、有機反応させるものであることを特徴とする有機化合物の製造方法を提供する。
その際、上記被処理流動体に圧力を付与する流体圧付与機構を備え、
上記第1処理用部と第2処理用部のうち、少なくとも第2処理用部は受圧面を備えるものであり、且つ、この受圧面の少なくとも一部が上記の第2処理用面により構成され、この受圧面は上記の流体圧付与機構が被処理流動体に付与する圧力を受けて第1処理用面から第2処理用面を離反させる方向に移動させる力を発生させ、この第1処理用面と第2処理用面との間に上記圧力の付与された被処理流動体が通されることにより、上記被処理流動体が薄膜流体を形成するものとしてもよい。
またその際、上記第1処理用面と上記第2処理用面との少なくもと何れか一方には径方向について伸びる溝状の凹部が形成され、上記溝状の凹部を備えた処理用面が回転することでマイクロポンプ効果により上記1種類の流体が上記第1処理用面と上記第2処理用面との間に導入されるものとしてもよい。
またその際、前記開口部は、上記第1処理用面に設けられた上記凹部からマイクロポンプ効果によって導入される際の流れ方向が処理用面間で形成されるスパイラル状で層流の流れ方向に変換される点よりも外径側に設置されたものとしてもよい。
またその際、前記開口部は、第1処理用面に設けられた上記凹部の最も処理用面径方向外側から径方向外側へ0.5Mm以上離れた位置に設置されたものとしてもよい。
上記両処理用面の少なくともいずれかを加熱(加温)すること、上記両処理用面の間に紫外線(UV)を照射すること、上記両処理用面の間に超音波エネルギーを与えることもでき、上記反応を減圧または真空状態を確保できる容器内で行い、少なくとも処理後流体が上記第1処理用面と第2処理用面との間から吐出される2次側を減圧または真空状態とする事で、上記反応中に発生するガス並びに上記被処理流動体中に含まれるガスの脱気、もしくは上記流体の脱溶剤を行うこともできる。
上記1種類の流体と他の1種類の流体と上記反応との組合せとしては、下記の第1〜第27の組合せを例示できる。
第1の組み合わせは、
有機化合物を少なくとも1種類含む流体と、
反応剤を少なくとも1種類含む流体との組合せであり
上記反応が上記有機化合物と上記反応剤との有機反応である組合せ。
第2の組合せは、
アシル化剤、強酸、有機化合物の三者から選択された一者あるいは二者を含んでいる流体と、
この三者から選択されなかったもののうち少なくとも一者を含んでいる流体との組合せであり、
上記被処理流動体としては上記の三者を全て含むものとされ、
上記反応がフリーデル−クラフツアシル化反応である組合せ。
第3の組合せは、
ニトロ化試薬を少なくとも1種類含む流体と、
有機化合物を少なくとも1種類含む流体との組合せであり、
上記反応がニトロ化反応である組合せ。
第4の組合せは、
臭素化試薬を少なくとも1種類含む流体と、
有機化合物を少なくとも1種類含む流体の組合せであり、
上記反応が臭素化反応である組合せ。
第5の組合せは、
酸化剤を少なくとも1種類含む流体と、
有機カルボニル化合物を少なくとも1種類含む流体の組合せであり、
上記反応がバイヤー−ヴィリガー酸化反応である組合せ。
第6の組合せは、
メタセシス触媒を少なくとも1種類含む流体と、
不飽和有機化合物を少なくとも1種類含む流体の組合せであり、
上記反応がメタセシス反応である組合せ。
第7の組合せは、
水素化物および/またはその誘導体を少なくとも1種類含む流体と、
有機化合物を少なくとも1種類含む流体の組合せであり、
上記反応が還元反応である組合せ。
第8の組合せは、
脱水剤を少なくとも1種類含む流体と、
有機化合物を少なくとも1種類含む流体の組合せであり、
上記反応が脱水反応である組合せ。
第9の組合せは、
転移試薬を少なくとも1種類含む流体と、
有機オキシムを少なくとも1種類含む流体の組合せであり、
上記反応が上記有機オキシムをベックマン転位させるものである組合せ。
第10の組合せは、
オキシム化試薬を少なくとも1種類含む流体と、
有機カルボニル化合物および/またはCH−酸性化合物を少なくとも1種類含む流体の組合せであり、
上記反応が上記有機カルボニル化合物および/またはCH−酸性化合物をオキシム化させるものである組合せ。
第11の組合せは、
双極子親和体を少なくとも1種類含む流体と、
有機化合物を少なくとも1種類含む流体の組合せであり、
上記反応が上記有機化合物を1,3−双極子付加環化させるものである組合せ。
第12の組合せは、
酸化剤を少なくとも1種類含む流体と、
第三アミンおよび/または少なくとも1種の窒素含有芳香族複素環式化合物を少なくとも1種類含む流体の組合せであり、
上記反応が第三アミンおよび/または窒素含有芳香族複素環式化合物を酸化アミンに酸化させるものである組合せ。
第13の組合せは、
酸化剤を少なくとも1種類含む流体と、
オレフィンを少なくとも1種類含む流体の組合せであり、
上記反応が上記オレフィンをエポキシ化させるものである組合せ。
第14の組合せは、
ホルミル化剤を少なくとも1種類含む流体と、
有機化合物を少なくとも1種類含む流体の組合せであり、
上記反応が上記有機化合物をホルミル化させるものである組合せ。
第15の組合せは、
触媒を少なくとも1種類含む流体と、
アリールヒドラゾンを少なくとも1種類含む流体の組合せであり、
上記反応がインドール化合物を得るものである組合せ。
第16の組合せは、
アリキリデン基移動試薬を少なくとも1種類含む流体と、
有機化合物を少なくとも1種類含む流体の組合せであり、
上記反応がアルキリデン基を上記有機化合物に移動させるものである組合せ。
第17の組合せは、
触媒、ビニル性またはアセチレン性水素原子を少なくとも一つ含む有機化合物、少なくとも一つの脱離基を含む有機化合物の三者から選択された一者あるいは二者を含む流体と、
この三者から選択されなかったもののうち少なくとも一者を含む流体の組合せであり、
上記被処理流動体としては上記の三者を全て含むものとされ、
上記反応がカップリング反応である組合せ。
第18の組合せは、
アルコール、チオール、アミンの内少なくとも一つの有機化合物、触媒、ジケテンの三者から選択された一者あるいは二者を含む流体と、
この三者から選択されなかったもののうち少なくとも一者を含む流体の組合せであり、
上記被処理流動体としては上記の三者を全て含むものとされ、
上記反応がアセトアセチル化反応である組合せ。
第19の組合せは、
強塩基、以下二つの一般式
−CN
2−CN
で表されたいずれかのニトリル(R、R2はそれぞれ未置換もしくは置換された同素環または複素環芳香族基)、これらニトリルの混合物、コハク酸ジエステルの三者から選択された一者あるいは二者を含む流体と、
この三者から選択されなかったもののうち少なくとも一者を含む流体の組合せであり、
上記被処理流動体としては上記の三者を全て含むものとされ、
上記反応が上記ニトリルと上記コハク酸ジエステルを反応させ、または前記反応と共に前記反応により生成された塩を加水分解させるものである組合せ。
第20の組合せは、
アルカリ金属を少なくとも1種類含む流体と、
アルコールを少なくとも一つ含む流体の組合せであり、
上記反応が上記アルカリ金属と上記アルコールを反応させるものである組合せ。
21の組合せは、
アルデヒド類および/またはケトン類を少なくとも1種類含む流体と、
液状または溶液状の触媒を少なくとも一つ含む流体の組合せであり、
上記反応がアルドール反応を行うものである組合せ。
22の組合せは、
リチウム芳香族および/またはリチウム化脂肪族化合物もしくはマグネシウム芳香族および/またはマグネシウム脂肪族化合物を少なくとも1種類含む流体と、
ホウ素化合物を少なくとも一つ含む流体の組合せであり、
上記反応がホウ素化反応である組合せ。
23の組合せは、
不飽和結合を有する有機化合物を少なくとも1種類含む流体と、
オゾンを少なくとも一つ含む流体の組合せであり、
上記反応が酸化反応である組合せ。
24の組合せは、
酸を少なくとも1種類含む流体と、
ビニル化合物又はビニリデン化合物を少なくとも一つ含む流体の組合せであり、
上記反応が二量化反応である組合せ。
25の組合せは、
カチオン重合単量体を少なくとも1種類含む流体と、
カチオンを少なくとも一つ含む流体の組合せであり、
上記反応がカチオン重合反応である組合せ。
26の組合せは、
メタル化試薬(リチウム、マグネシウム)を少なくとも1種類含む流体と、
ハロゲン化合物を少なくとも一つ含む流体の組合せであり、
上記反応がハロゲン−金属交換反応である組合せ。
27の組合せは、
アルキルエステル類を少なくとも1種類含む流体と、
金属水素化物系還元剤を少なくとも一つ含む流体の組合せであり、
上記反応が還元反応である組合せ。
本発明は、対向して配設された接近・離反可能な処理用面をもち、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面の間にできる強制薄膜流体中で少なくとも2種の流体中の成分を反応させる事による有機化合物の製造方法である。これまでの反応方法よりも反応選択性をより高次元で制御できるため、生成物の収率も高い有機化合物の製造方法である。また、続的で短時間の処理により、より安価な有機化合物を提供できる。また、薄膜中での反応のため、反応温度に関しても、これまでの方法で必要とされてきた温度条件よりも、常温に近い条件で反応が行える。また本発明は、必要な生産量に応じて一般的なスケールアップ概念を用いて機体の大型化が可能である。また、強制薄膜流体中での反応により、流体の粘度の影響が非常に小さいため、低粘度から高粘度まで、反応の均一性を確保でき、また生産性も高く、スケールアップが可能でありながら、薄膜中での反応であるため、有機反応特有の危険性を最小限に抑える事が可能である。
さらに、従来の方法に比べ、エネルギー効率が良いことも本発明の有益な特徴である。
以下、本発明の反応方法について、詳細を説明する。
本発明は、種々の反応を行うに際して、反応に用いる流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面の間にできる薄膜流体とするものであり、当該薄膜流体中における有機化合物と反応剤について、フリーデルクラフツ反応、ニトロ化反応、付加反応、脱離反応、転移反応、重合反応、縮合反応、カップリング反応、アシル化、カルボニル化、アルデヒド合成、ペプチド合成、アルドール反応、インドール反応、求電子置換反応、求核置換反応、Wittig反応、Michael付加反応、エナミン合成、エステル合成、酵素反応、ジアゾカップリング反応、酸化反応、還元反応、多段階反応、選択的添加反応、鈴木・宮浦カップリング反応、Kumada-Corriu反応、メタセシス反応、異性化反応、ラジカル重合反応、アニオン重合反応、カチオン重合反応、金属触媒重合反応、逐次反応、高分子合成、アセチレンカップリング反応、エピスルフィド合成、エピスルフィド合成、Bamberger転位、Chapman転位、Claisen縮合、キノリン合成、Paal-Knorrフラン合成、Paal-Knorrピロール合成、Passerini反応、Paterno-Buchi反応、カルボニル-エン反応(Prins反応)、Jacobsen転位、Koenigs-Knorrグリコシド化反応、Leuckart-Wallach反応、Horner-Wadsworth-Emmons反応、Gassman反応、野依不斉水素化反応、Perkin反応、Petasis反応、Tishchenko反応、Tishchenko反応、Ullmannカップリング、Nazarov環化、Tiffeneau-Demjanov転位、鋳型合成、二酸化セレンを用いる酸化、Reimer-Tiemann反応、 Grob開裂反応、ハロホルム反応、Malapradeグリコール酸化開裂、Hofmann脱離、Lawesson試薬によるチオカルボニル化反応、Lossen転位、FAMSOを利用する環状ケトン合成、Favorskii転位、Feist-Benaryフラン合成、Gabrielアミン合成、Glaser反応、Grignard反応、Cope脱離、Cope転位、アルキン類のジイミド還元、Eschenmoserアミノメチル化反応、[2+2]光環化反応、Appel反応、aza-Wittig反応、Bartoliインドール合成、Carroll転位、Chichibabin反応、Clemmensen還元、Combesキノリン合成 、辻-Trost反応、TEMPO酸化、四酸化オスミウムを用いるジヒドロキシル化、Fries転位、Neber転位、Barton-McCombie脱酸素化、Barton脱カルボキシル化、Seyferth-Gilbertアルキン合成、Pinnick(Kraus)酸化、伊藤-三枝酸化、Eschenmoser開裂反応、Eschenmoser-Claisen転位、Doering--LaFlammeアレン合成、Corey-Chaykovsky反応、アシロイン縮合、Wolff-Kishner還元、IBX酸化、Parikh-Doering酸化、Reissert反応、Jacobsen速度論的光学分割加水分解、ベンジル酸転位、檜山クロスカップリング、Luche還元、オキシ水銀化、Vilismeier-Haak反応、Wolff転位、KolbeSchmitt反応、Corey-Kim酸化、Cannizzaro反応、Henry反応、アルコールのアルカンへの変換、Arndt-Eistert合成、ヒドロホルミル化反応、Petersonオレフィン化、脱カルボニル化反応、Curtius転位、Wohl-Zieglarアリル位臭素化、Pfitzner-Moffatt酸化、McMurryカップリング、Barton反応、Balz-Schiemann反応、正宗−Bergman反応、Dieckmann縮合、ピナコールカップリング、Williamsonエーテル合成 、ヨードラクトン化反応、Harriesオゾン分解、、活性二酸化マンガンによる酸化、アルキンの環化三量化反応、熊田−玉尾-Corriuクロスカップリング、スルホキシドおよびセレノキシドのsyn−β脱離 、Fischerインドール合成、Oppenauer酸化、Darzens縮合反応、Alderエン反応、Sarett-Collins酸化、野崎-檜山-岸カップリング反応、Weinrebケトン合成、DASTフッ素化、Corey-Winterオレフィン合成、細見-桜井反応、PCC(PDC)を用いるアルコールの酸化、Jones酸化(Jones Oxidation)、Keckアリル化反応、永田試薬を用いるシアニド付加、根岸カップリング、Ireland-Claisen転位、Baeyer-Villiger酸化、p-メトキシベンジル(PMB or
MPM)、ジメトキシベンジル(DMB)保護、脱保護、Wacker酸化、Myers不斉アルキル化、山口マクロラクトン化、向山-Coreyマクロラクトン化 、Bodeペプチド合成、Lindlar還元、均一系水素化、オルトメタル化、Wagnar-Meerwein転位、Wurtz反応、1,3-ジチアンを利用するケトン合成、Michael付加、Storkエナミンによるケトン合成、Pauson-Khandシクロペンテン合成、Tebbe反応などの、有機化合物を出発原料とする各種反応剤との有機反応を行うことを特徴とする。
本発明で用いる、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面の間にできる、薄膜流体中で均一に攪拌・混合する方法としては、例えば本願出願人による、特開2004-49957号公報に記載されたものと同原理である装置を使用できる。
以下、この方法の実施に適した流体処理装置について説明する。
図1(A)へ示す通り、この装置は、対向する第1及び第2の、2つの処理用部10、20を備え、少なくとも一方の処理用部が回転する。両処理用部10、20の対向する面が、夫々処理用面1、2として、両処理用面間にて、被処理流動体の処理を行う。第1処理用部10は第1処理用面1を備え、第2処理用部20は第2処理用面2を備える。
両処理用面1、2は、被処理流動体の流路に接続され、被処理流動体の流路の一部を構成する。
より詳しくは、この装置は、少なくとも2つの被処理流動体の流路を構成すると共に、各流路を、合流させる。
即ち、この装置は、第1の被処理流動体の流路に接続され、当該第1被処理流動体の流路の一部を形成すると共に、第1被処理流動体とは別の、第2被処理流動体の流路の一部を形成する。そして、この装置は、両流路を合流させて、処理用面1、2間において、両流動体を混合し、反応を伴う場合においては反応させる。図1(A)へ示す実施の形態において、上記の各流路は、密閉されたものであり、液密(被処理流動体が液体の場合)・気密(被処理流動体が気体の場合)とされている。
具体的に説明すると、図1(A)に示す通り、この装置は、上記の第1処理用部10と、上記の第2処理用部20と、第1処理用部10を保持する第1ホルダ11と、第2処理用部20を保持する第2ホルダ21と、接面圧付与機構4と、回転駆動部と、第1導入部d1と、第2導入部d2と、流体圧付与機構p1と、第2流体供給部p2と、ケース3とを備える。
尚、回転駆動部は図示を省略する。
第1処理用部10と第2処理用部20とは、少なくとも何れか一方が、少なくとも何れか他方に、接近・離反可能となっており、両処理用面1、2は、接近・離反できる。
この実施の形態では、第1処理用部10に対して、第2処理用部20が接近・離反する。但し、これとは逆に、第1処理用部10が、第2処理用部20に対して接近・離反するものであってもよく、両処理用部10、20が互いに接近・離反するものであってもよい。
第2処理用部20は、第1処理用部10の上方に配置されており、第2処理用部20の、下方を臨む面即ち下面が、上記の第2処理用面2であり、第1処理用部10の、上方を臨む面即ち上面が、上記の第1処理用面1である。
図1(A)へ示す通り、この実施の形態において、第1処理用部10及び第2処理用部20は、夫々環状体、即ちリングである。以下、必要に応じて第1処理用部10を第1リング10と呼び、第2処理用部20を第2リング20と呼ぶ。
この実施の形態において、両リング10、20は、金属製の一端が鏡面研磨された部材であり、当該鏡面を第1処理用面1及び第2処理用面2とする。即ち、第1リング10の上端面が第1処理用面1として、鏡面研磨されており、第2リング20の下端面が第2処理用面2として、鏡面研磨されている。
少なくとも一方のホルダは、回転駆動部にて、他方のホルダに対して相対的に回転することができる。図1(A)の50は、回転駆動部の回転軸を示している。回転駆動部には電動機を採用することができる。回転駆動部にて、一方のリングの処理用面に対して、他方のリングの処理用面を相対的に回転させることができる。
この実施の形態において、第1ホルダ11は、回転軸50にて、回転駆動部から駆動力を受けて、第2ホルダ21に対して回転するものであり、これにて、第1ホルダ11と一体となっている第1リング10が第2リング20に対して回転する。第1リング10の内側において、回転軸50は、平面視、円形の第1リング10の中心と同心となるように、第1ホルダ11に設けられている。
第1リング10の回転は、第1リング10の軸心を中心とする。図示はしないが、軸心は、第1リング10の中心線を指し、仮想線である。
上記の通り、この実施の形態において、第1ホルダ11は、第1リング10の第1処理用面1を上方に向けて、第1リング10を保持し、第2ホルダ21は、第2リング20の第2処理用面2を下方に向けて、第2リング20を保持している。
具体的には、第1及び第2ホルダ11、21は、夫々は、凹状のリング収容部を備える。この実施の形態において、第1ホルダ11のリング収容部に、第1リング10が嵌合し、第1ホルダ11のリング収容部から出没しないように、第1リング10はリング収容部に固定されている。
即ち、上記の第1処理用面1は、第1ホルダ11から露出して、第2ホルダ21側を臨む。
第1リング10の材質は、金属の他、セラミックや焼結金属、耐磨耗鋼、その他金属に硬化処理を施したものや、硬質材をライニングやコーティング、メッキなどを施工したものを採用する。特に、回転するため、軽量な素材にて第1処理用部10を形成するのが望ましい。第2リング20の材質についても、第1リング10と同様のものを採用して実施すればよい。
一方、第2ホルダ21が備えるリング収容部41は、第2リング20の処理用面2を出没可能に収容する。
この第2ホルダ21が備えるリング収容部41は、第2リング20の、主として処理用面2側と反対側の部位を収容する凹部であり、平面視において、円を呈する、即ち環状に形成された、溝である。
リング収容部41は、第2リング20の寸法より大きく形成され、第2リング20との間に十分なクリアランスを持って、第2リング20を収容する。
このクリアランスにより、当該第2リング20は、このリング収容部41内にて、環状のリング収容部41の軸方向について、更に、当該軸方向と交差する方向について、変位することができる。言い換えれば、このクリアランスにより、当該第2リング20は、リング収容部41に対して、第2リング20の中心線を、上記リング収容部41の軸方向と平行の関係を崩すようにも変位できる。
以下、第2ホルダ21の、第2リング20に囲まれた部位を、中央部分22と呼ぶ。
上記について、換言すると、当該第2リング20は、このリング収容部41内にて、リング収容部41のスラスト方向即ち上記出没する方向について、更に、リング収容部41の中心に対して偏心する方向について、変位することが可能に収容されている。また、リング収容部41に対して、第2リング20の周方向の各位置にて、リング収容部41からの出没の幅が夫々異なるようにも変位可能に即ち芯振れ可能に、当該第2リング20は収容されている。
上記の3つの変位の自由度、即ち、リング収容部41に対する第2リング20の、軸方向、偏心方向、芯振れ方向についての自由度を備えつつも、第2リング20は、第1リング10の回転に追従しないように第2ホルダ21に保持される。図示しないが、この点については、リング収容部41と第2リング20との夫々に、リング収容部41に対してその周方向に対する回転を規制する適当な当たりを設けて実施すればよい。但し、当該当たりは、上記3つの変位の自由度を損なうものであってはならない。
上記の接面圧付与機構4は、第1処理用面1と第2処理用面2とを接近させる方向に作用させる力を、処理用部に付与する。この実施の形態では、接面圧付与機構4は、第2ホルダ21に設けられ、第2リング20を第1リング10に向けて付勢する。
接面圧付与機構4は、第2リング20の周方向の各位置即ち第2処理用面2の各位置を均等に、第1リング10へ向けて付勢する。接面圧付与機構4の具体的な構成については、後に詳述する。
図1(A)へ示す通り、上記のケース3は、両リング10、20外周面の外側に配置されたものであり、処理用面1、2間にて生成され、両リング10、20の外側に排出される生成物を収容する。ケース3は、図1(A)へ示すように、第1ホルダ11と第2ホルダ21を、収容する液密な容器である。但し、第2ホルダ21は、当該ケース3の一部としてケース3と一体に形成されたものとして実施することができる。
上記の通り、ケース3の一部とされる場合は勿論、ケース3と別体に形成される場合も、第2ホルダ21は、両リング10、20間の間隔、即ち、両処理用面1、2間の間隔に影響を与えるようには可動となっていない。言い換えると、第2ホルダ21は、両処理用面1、2間の間隔に影響を与えない。
ケース3には、ケース3の外側に生成物を排出するための排出口32が設けられている。
第1導入部d1は、両処理用面1、2間に、第1の被処理流動体を供給する。
上記の流体圧付与機構p1は、直接或いは間接的に、この第1導入部d1に接続されて、第1被処理流動体に、流体圧を付与する。流体圧付与機構p1には、コンプレッサやその他のポンプを採用することができる。
この実施の形態において、第1導入部d1は、第2ホルダ21の上記中央部分22の内部に設けられた流体の通路であり、その一端が、第2ホルダ21の、第2リング20が平面視において呈する円の中心位置にて、開口する。また、第1導入部d1の他の一端は、第2ホルダ21の外部即ちケース3の外部において、上記流体圧付与機構p1と接続されている。
第2導入部d2は、第1の被処理流動体と混合させる第2の流動体を処理用面1、2間へ供給する。この実施の形態において、第2導入部は、第2リング20の内部に設けられた流体の通路であり、その一端が、第2処理用面2にて開口し、他の一端に、第2流体供給部p2が接続されている。
第2流体供給部p2には、コンプレッサ、その他のポンプを採用することができる。
流体圧付与機構p1により、加圧されている、第1の被処理流動体は、第1導入部d1から、両リング10、20の内側の空間に導入され、第1処理用面1と第2処理用面2との間を通り、両リング10、20の外側に通り抜けようとする。
このとき、第1被処理流動体の送圧を受けた、第2リング20は、接面圧付与機構4の付勢に抗して、第1リング10から遠ざかり、両処理用面間に微小な間隔を開ける。両処理用面1、2の接近・離反による、両面1、2間の間隔について、後に詳述する。
両処理用面1、2間において、第2導入部d2から第2の被処理流動体が供給され、第1の被処理流動体と合流し、処理用面の回転により、混合(反応)が促進される。そして、両流動体の混合(反応)による生成物が両処理用面1、2から、両リング10、20の外側に排出される。両リング10、20の外側に排出された生成物は、最終的に、ケース3の排出口32からケース3の外部に排出される(自己排出)。
上記の被処理流動体の混合及び反応(反応を伴う場合)は、第2処理用部20に対する第1処理用部10の回転駆動部による回転にて、第1処理用面1と第2処理用面2とによって行われる。
第1及び第2の処理用面1、2間において、第2導入部d2の開口部m2の下流側が、上記の第1の被処理流動体と第2の被処理流動体とを混合させる処理室となる。具体的には、両処理用面1、2間において、第2リング20の底面を示す図11(C)にて、斜線で示す、第2リング20の径の内外方向r1について、第2導入部の開口部m2即ち第2開口部m2の外側の領域Hが、上記の処理室として機能する。従って、この処理室は、両処理用面1、2間において、第1導入部d1と第2導入部d2の両開口部m1、m2の下流側に位置する。
第1開口部m1からリングの内側の空間を経て両処理用面1、2間へ導入された第1の被処理流動体に対して、第2開口部m2から、両処理用面1、2間に導入された第2の被処理流動体が、上記処理室となる領域Hにて、混合され、反応を伴う場合においては両被処理流動体は反応する。流体圧付与機構p1により送圧を受けて、流動体は、両処理用面1、2間の微小な隙間にて、リングの外側に移動しようとするが、第1リング10は回転しているので、上記領域Hにおいて、混合された流動体は、リングの径の内外方向について内側から外側へ直線的に移動するのではなく、処理用面を平面視した状態において、リングの回転軸を中心として、渦巻き状にリングの内側から外側へ移動する。このように、混合(反応)を行う領域Hにて、渦巻状に内側から外側へ移動することによって、両処理用面1、2間の微小間隔にて、十分な混合(反応)に要する区間を確保することができ、均一な混合を促進することができる。
また、混合(反応)にて生ずる生成物は、上記の微小な第1及び第2の処理用面1、2間にて、均質な生成物となり、特に晶析や析出の場合微粒子となる。
少なくとも、上記の流体圧付与機構p1が負荷する送圧と、上記の接面圧付与機構4の付勢力と、リングの回転による遠心力のバランスの上に、両処理用面1、2間の間隔を好ましい微小な間隔にバランスさせることができ、更に、流体圧付与機構p1が負荷する送圧とリングの回転による遠心力を受けた被処理流動体が、上記の処理用面1、2間の微小な隙間を、渦巻き状に移動して、混合(反応)が促進される。
上記の混合(反応)は、流体圧付与機構p1が負荷する送圧やリングの回転により、強制的に行われる。即ち、混合(反応)は、接近・離反可能に互いに対向して配設され且つ少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1、2間で、強制的に、均一に起こる。
従って、特に、反応による生成物の晶出又は析出は、流体圧付与機構p1が負荷する送圧の調整や、リングの回転速度即ちリングの回転数の調整という、比較的コントロールし易い方法により、制御できる。
このように、この流体処理装置は、送圧や遠心力の調整にて、生成物の大きさに影響を与える処理用面1、2間の間隔の制御を行え、更に、生成物の均一な生成に影響を与える上記領域Hにて移動する距離の制御が行える点で優れたものである。
また、上記の処理は、生成物が析出するものに限らず、液体の場合も含む。また、生成物が微粒子などの微細な固まりである場合、生成物が処理後の流体中に沈殿するものであっても良く、また、連続相中に分散相が存在する分散液の状態にあるものであっても良い。
尚、回転軸50は、鉛直に配置されたものに限定されるものではなく、水平方向に配位されたものであってもよく、傾斜して配位されたものであってよい。処理中、両処理用面1、2間の微細な間隔にて混合(反応)がなされるものであり、実質的に重力の影響を排除できるからである。
図1(A)にあっては、第1導入部d1は、第2ホルダ21において、第2リング20の軸心と一致し、上下に鉛直に伸びたものを示している。但し、第1導入部d1は、第2リング20の軸心と一致しているものに限定されるものではなく、両リング10、20に囲まれた空間に、第1被処理流動体を供給できるものであれば、第2ホルダ21の中央部分22の他の位置に設けられていてもよく、更に、鉛直でなく、斜めに伸びるものであってもよい。
図12(A)へ、上記装置のより好ましい実施の形態を示す。図示の通り、第2処理用部20は、上記の第2処理用面2と共に、第2処理用面2の内側に位置して当該第2処理用面2に隣接する受圧面23とを備える。以下この受圧面23を離反用調整面23とも呼ぶ。図示の通り、この離反用調整面23は、傾斜面である。
前述の通り、第2ホルダ21の底部即ち下部には、リング収容部41が形成され、そのリング収容部41内に、第2処理用部20が受容されている。また、図示はしないが、回り止めにて、第2処理用部20は、第2ホルダ21に対して回転しないよう、受容されている。上記の第2処理用面2は、第2ホルダ21から露出する。
この実施の形態において、処理用面1、2間の、第1処理用部10及び第2処理用部20の内側が、被処理物の流入部であり、第1処理用部10及び第2処理用部20の外側が、被処理物の流出部である。
前記の接面圧力付与機構4は、第1処理用面1に対して第2処理用面2を、圧接又は近接した状態に押圧するものであり、この接面圧力と流体圧力などの両処理用面1、2間を離反させる力との均衡によって、所定厚みの薄膜流体を形成する。言い換えれば、上記力の均衡によって、両処理用面1、2間の間隔を所定の微小間隔に保つ。
具体的には、この実施の形態において、接面圧力付与機構4は、上記のリング収容部41と、リング収容部41の奥に即ちリング収容部41の最深部に設けられた発条受容部42と、スプリング43と、エア導入部44とにて構成されている。
但し、接面圧力付与機構4は、上記リング収容部41と、上記発条受容部42と、スプリング43と、エア導入部44の少なくとも、何れか1つを備えるものであればよい。
リング収容部41は、リング収容部41内の第2処理用部20の位置を深く或いは浅く、即ち上下に、変位することが可能なように、第2処理用部20を遊嵌している。
上記のスプリング43の一端は、発条受容部42の奥に当接し、スプリング43の他端は、リング収容部41内の第2処理用部20の前部即ち上部と当接する。図1において、スプリング43は、1つしか現れていないが、複数のスプリング43にて、第2処理用部20の各部を押圧するものとするのが好ましい。即ち、スプリング43の数を増やすことによって、より均等な押圧力を第2処理用部20に与えることができるからである。従って、第2ホルダ21については、スプリング43が数本から数十本取付けられたマルチ型とするのが好ましい。
この実施の形態において、上記エア導入部44にて他から、空気をリング収容部41内に導入することを可能としている。このような空気の導入により、リング収容部41と第2処理用部20との間を加圧室として、スプリング43と共に、空気圧を押圧力として第2処理用部20に与えることができる。従って、エア導入部44から導入する空気圧を調整することにて、運転中に第1処理用面1に対する第2処理用面2の接面圧力を調整することが可能である。尚空気圧を利用するエア導入部44の代わりに、油圧などの他の流体圧にて押圧力を発生させる機構を利用しても実施可能である。
接面圧力付与機構4は、上記の押圧力即ち接面圧力の一部を供給し調節する他、変位調整機構と、緩衝機構とを兼ねる。
詳しくは、接面圧力付与機構4は、変位調整機構として、始動時や運転中の軸方向への伸びや磨耗による軸方向変位にも、空気圧の調整によって追従し、当初の押圧力を維持できる。また、接面圧力付与機構4は、上記の通り、第2処理用部20を変位可能に保持するフローティング機構を採用することによって、微振動や回転アライメントの緩衝機構としても機能するのである。
次に、上記の構成を採る処理装置の使用の状態について、図1(A)に基づいて説明する。
まず、第1の被処理流動体が、流体圧付与機構p1からの送圧を受けて、密閉されたケースの内部空間へ、第1導入部d1より導入される。他方、回転駆動部による回転軸50の回転によって、第1処理用部10が回転する。これにより、第1処理用面1と第2処理用面2とは微小間隔を保った状態で相対的に回転する。
第1の被処理流動体は、微小間隔を保った両処理用面1、2間で、薄膜流体となり、第2導入部d2から導入された第2被処理流動体は、両処理用面1、2間において、当該薄膜流体と合流して、同様に薄膜流体の一部を構成する。この合流により、第1及び第2の被処理流動体が混合されて生成物が形成される。そして反応を伴う場合にあっては、両流動体が反応して、均一な反応が促進されて、その反応生成物が形成される。これにより、析出を伴う場合にあっては比較的均一で微細な粒子の生成が可能となり、析出を伴わない場合にあっても、均一な混合状態(反応を伴う場合にあっては均一な反応)が実現される。なお、析出した生成物は、第1処理用面1の回転により第2処理用面2との間で剪断を受けることにて、さらに微細化される場合もあると考えられる。ここで、第1処理用面1と第2処理用面2とは、1μmから1mm、特に1μmから10μmの微小間隔に調整されることにより、均一な混合状態(反応を伴う場合にあっては均一な反応)を実現すると共に、数nm単位の超微粒子の生成をも可能とする。
生成物は、両処理用面1、2間から出て、ケース3の排出口32からケース外部へ排出される。排出された生成物は、周知の減圧装置にて、真空或いは減圧された雰囲気内にて霧状にされ、雰囲気内の他に当たることによって流動体として流れ落ちたものが脱気後の液状物として回収することができる。
尚、この実施の形態において、処理装置は、ケースを備えるものとしたが、このようなケースを設けずに実施することもできる。例えば、脱気するための減圧タンク即ち真空タンクを設け、そのタンク内部に、処理装置を配置して、実施することが可能である。その場合、当然上記の排出口は、処理装置には備えられない。
上記のように、第1処理用面1と第2処理用面2とは、機械的なクリアランスの設定では不可能とされたμm単位の微小間隔に調整され得るものであるが、そのメカニズムを次に説明する。
第1処理用面1と第2処理用面2とは、相対的に接近離反可能であり、且つ相対的に回転する。この例では、第1処理用面1が回転し、第2処理用面2が軸方向に移動可能な構造(フローティング構造)を持って第1処理用面1に対して接近離反する。
よって、この例では、第2処理用面2の軸方向位置が、力即ち、前述の接面圧力と離反力のバランスによって、μm単位の精度で設定されることにより、両処理用面1、2間の微小間隔の設定がなされる。
図12(A)へ示す通り、接面圧力としては、接面圧力付与機構4において、エア導入部44から空気圧即ち正圧を付与した場合の当該圧力、スプリング43の押圧力を挙げることができる。
尚、図12〜15、17に示す実施の形態において、図面の煩雑を避けるため、第2導入部d2は、省略して描いてある。この点について、第2導入部d2が設けられていない位置の断面と考えればよい。また、図中、Uは上方を、Sは下方を、夫々示している。
他方、離反力としては、離反側の受圧面、即ち第2処理用面2及び離反用調整面23に作用する流体圧と、第1処理用部10の回転による遠心力と、エア導入部44に負圧を掛けた場合の当該負圧とを挙げることができる。
尚、装置を洗浄するに際して、上記のエア導入部44に掛ける負圧を大きくすることにより、両処理用面1、2を大きく離反させることができ、洗浄を容易に行うことができる。
そして、これらの力の均衡によって、第2処理用面2が第1処理用面1に対して所定の微小間隔を隔てた位置にて安定することにより、μm単位の精度での設定が実現する。
離反力をさらに詳しく説明する。
まず、流体圧に関しては、密閉された流路中にある第2処理用部20は、流体圧付与機構p1から被処理流動体の送り込み圧力即ち流体圧を受ける。その際、流路中の第1処理用面に対向する面、即ち第2処理用面2と離反用調整面23が離反側の受圧面となり、この受圧面に流体圧が作用して、流体圧による離反力が発生する。
次に、遠心力に関しては、第1処理用部10が高速に回転すると、流体に遠心力が作用し、この遠心力の一部は両処理用面1、2を互いに遠ざける方向に作用する離反力となる。
更に、上記のエア導入部44から負圧を第2処理用部20へ与えた場合には、当該負圧が離反力として作用する。
以上、本願の説明においては、第1第2の処理用面1、2を互いに離反させる力を離反力として説明するものであり、上記に示した力を離反力から排除するものではない。
上述のように、密閉された被処理流動体の流路において、処理用面1、2間の被処理流動体を介し、離反力と、接面圧力付与機構4が奏する接面圧力とが均衡した状態を形成することにより、両処理用面1、2間に、均一な混合状態を実現し、反応を伴う場合にあっては均一な反応を実現すると共に、微細な生成物の晶出・析出を行うのに適した薄膜流体を形成する。このように、この装置は、処理用面1、2間に強制的に薄膜流体を介することにより、従来の機械的な装置では不可能であった微小な間隔を、両処理用面1、2の間に維持することを可能として、生成物として微粒子を、高精度に生成することを実現したのである。
言い換えると処理用面1、2間における薄膜流体の厚みは、上述の離反力と接面圧力の調整により、所望の厚みに調整し、必要とする均一な混合状態(反応を伴う場合にあっては均一な反応)の実現と、微細な生成物の生成処理を行うことができる。従って、薄膜流体の厚みを小さくしようとする場合、離反力に対して相対的に接面圧力が大きくなるように、接面圧力或いは離反力を調整すればよく、逆に薄膜流体の厚みを大きくしようとすれば、接面圧力に対して相対的に離反力が大きくなるように、離反力或いは接面圧力を調整すればよい。
接面圧力を増加させる場合、接面圧力付与機構4において、エア導入部44から空気圧即ち正圧を付与し、又は、スプリング43を押圧力の大きなものに変更或いはその個数を増加させればよい。
離反力を増加させる場合、流体圧付与機構p1の送り込み圧力を増加させ、或いは第2処理用面2や離反用調整面23の面積を増加させ、またこれに加えて、第1処理用部10の回転を調整して遠心力を増加させ或いはエア導入部44からの圧力を低減すればよい。もしくは負圧を付与すればよい。スプリング43は、伸びる方向に押圧力を発する押し発条としたが、縮む方向に力を発する引き発条として、接面圧力付与機構4の構成の一部又は全部とすることが可能である。
離反力を減少させる場合、流体圧付与機構p1の送り込み圧力を減少させ、或いは第2処理用面2や離反用調整面23の面積を減少させ、またこれに加えて、第1処理用部10の回転を調整して遠心力を減少させ或いはエア導入部44からの圧力を増加させれば良い。もしくは負圧を低減すればよい。
さらに、接面圧力及び離反力の増加減少の要素として、上記の他に粘度などの被処理流動体の性状も加えることができ、このような被処理流動体の性状の調整も、上記の要素の調整として、行うことができる。
なお、離反力のうち、離反側の受圧面即ち、第2処理用面2及び離反用調整面23に作用する流体圧は、メカニカルシールにおけるオープニングフォースを構成する力として理解される。
メカニカルシールにあっては、第2処理用部20がコンプレッションリングに相当するが、この第2処理用部20に対して流体圧が加えられた場合に、第2処理用部20を第1処理用部10から離反する力が作用する場合、この力がオープニングフォースとされる。
より詳しくは、上記の第1の実施の形態のように、第2処理用部20に離反側の受圧面即ち、第2処理用面2及び離反用調整面23のみが設けられている場合には、送り込み圧力の全てがオープニングフォースを構成する。なお、第2処理用部20の背面側にも受圧面が設けられている場合、具体的には、後述する図12(B)及び図17の場合には、送り込み圧力のうち、離反力として働くものと接面圧力として働くものとの差が、オープニングフォースとなる。
ここで、図12(B)を用いて、第2処理用部20の他の実施の形態について説明する。
図12(B)に示す通り、この第2処理用部20のリング収容部41より露出する部位であり且つ内周面側に、第2処理用面2と反対側即ち上方側を臨む接近用調整面24が設けられている。
即ち、この実施の形態において、接面圧力付与機構4は、リング収容部41と、エア導入部44と、上記接近用調整面24とにて構成されている。但し、接面圧力付与機構4は、上記リング収容部41と、上記発条受容部42と、スプリング43と、エア導入部44と、上記接近用調整面24の少なくとも、何れか1つを備えるものであればよい。
この接近用調整面24は、被処理流動体に掛けた所定の圧力を受けて第1処理用面1に第2処理用面2を接近させる方向に移動させる力を発生させ、接近用接面圧力付与機構4の一部として、接面圧力の供給側の役目を担う。一方第2処理用面2と前述の離反用調整面23とは、被処理流動体に掛けた所定の圧力を受けて第1処理用面1から第2処理用面2を離反させる方向に移動させる力を発生させ、離反力の一部についての供給側の役目を担うものである。
接近用調整面24と、第2処理用面2及び離反用調整面23とは、共に前述の被処理流動体の送圧を受ける受圧面であり、その向きにより、上記接面圧力の発生と、離反力の発生という異なる作用を奏する。
処理用面の接近・離反の方向、即ち第2リング20の出没方向と直交する仮想平面上に投影した接近用調整面24の投影面積A1と、当該仮想平面に投影した第2処理用部20の第2処理用面2及び離反用調整面23との投影面積の合計面積A2との、面積比A1/A2は、バランス比Kと呼ばれ、上記のオープニングフォースの調整に重要である。
接近用調整面24の先端と離反用調整面23の先端とは、共に環状の第2処理用部20の内周面25即ち先端線L1に規定されている。このため、接近用調整面24の基端線L2をどこに置くかの決定で、バランス比Kの調整が行われる。
即ち、この実施の形態において、被処理用流動体の送り出しの圧力をオープニングフォースとして利用する場合、第2処理用面2及び離反用調整面23との合計投影面積を、接近用調整面24の投影面積より大きいものとすることによって、その面積比率に応じたオープニングフォースを発生させることができる。
上記のオープニングフォースについては、上記バランスライン、即ち接近用調整面24の面積A1を変更することで、被処理流動体の圧力、即ち流体圧により調整できる。
摺動面実面圧P、即ち、接面圧力のうち流体圧によるものは次式で計算される。
P=P1×(K−k)+Ps
ここでP1は、被処理流動体の圧力即ち流体圧を示し、Kは上記のバランス比を示し、kはオープニングフォース係数を示し、Psはスプリング及び背圧力を示す。
このバランスラインの調整により摺動面実面圧Pを調整することで処理用面1、2間を所望の微小隙間量にし被処理流動体による薄膜流体を形成させ、生成物を微細とし、また、均一な混合(反応)処理を行うのである。
通常、両処理用面1、2間の薄膜流体の厚みを小さくすれば、生成物をより細かくすることができる。逆に、当該薄膜流体の厚みを大きくすれば、処理が粗くなり単位時間あたりの処理量が増加する。従って、上記の摺動面実面圧Pの調整により、両処理用面1、2間の隙間を調整して、所望の均一な混合状態(反応を伴う場合にあっては均一な反応)を実現すると共に微細な生成物を得ることができる。以下、摺動面実面圧Pを面圧Pと呼ぶ。
この関係を纏めると、上記の生成物を粗くする場合、バランス比を小さくし、面圧Pを小さくし、上記隙間を大きくして、上記厚みを大きくすればよい。逆に、上記の生成物をより細かくする場合、バランス比Kを大きくし、面圧Pを大きくし、上記隙間を小さくし、上記厚みを小さくする。
このように、接面圧力付与機構4の一部として、接近用調整面24を形成して、そのバランスラインの位置にて、接面圧力の調整、即ち処理用面間の隙間を調整するものとしても実施できる。
上記の隙間の調整には、既述の通り、他に、前述のスプリング43の押圧力や、エア導入部44の空気圧を考慮して行う。また、流体圧即ち被処理流動体の送り圧力の調整や、更に、遠心力の調整となる、第1処理用部10即ち第1ホルダ11の回転の調整も、重要な調整の要素である。
上述の通り、この装置は、第2処理用部20と、第2処理用部20に対して回転する第1処理用部10とについて、被処理流動体の送り込み圧力と当該回転遠心力、また接面圧力で圧力バランスを取り両処理用面に所定の薄膜流体を形成させる構成にしている。またリングの少なくとも一方をフローティング構造とし芯振れなどのアライメントを吸収し接触による磨耗などの危険性を排除している。
この図12(B)の実施の形態においても、上記の調整用面を備える以外の構成については、図1(A)に示す実施の形態と同様である。
また、図12(B)に示す実施の形態において、図17に示すように、上記の離反用調整面23を設けずに実施することも可能である。
図12(B)や図17に示す実施の形態のように、接近用調整面24を設ける場合、接近用調整面24の面積A1を上記の面積A2よりも大きいものとすることにより、オープニングフォースを発生させずに、逆に、被処理流動体に掛けられた所定の圧力は、全て接面圧力として働くことになる。このような設定も可能であり、この場合、他の離反力を大きくすることにより、両処理用面1、2を均衡させることができる。
上記の面積比にて、流体から受ける力の合力として、第2処理用面2を第1処理用面1から離反させる方向へ作用させる力が定まる。
上記の実施の形態において、既述の通り、スプリング43は、摺動面即ち処理用面に均一な応力を与える為に、取付け本数は、多いほどよい。但し、このスプリング43については、図13へ示すように、シングルコイル型スプリングを採用することも可能である。これは、図示の通り、中心を環状の第2処理用部20と同心とする1本のコイル型スプリングである。
第2処理用部20と第2ホルダ21との間は、気密となるようにシールし、当該シールには、周知の手段を採用することができる。
図14に示すように、第2ホルダ21には、第2処理用部20を、冷却或いは加熱して、その温度を調整することが可能な温度調整用ジャケット46が設けられている。また、図14の3は、前述のケースを示しており、このケース3にも、同様の目的の温度調整用ジャケット35が設けられている。
第2ホルダ21の温度調整用ジャケット46は、第2ホルダ21内において、リング収容部41の側面に形成された水回り用の空間であり、第2ホルダ21の外部に通じる通路47、48と連絡している。通路47、48は、何れか一方が温度調整用ジャケット46に、冷却用或いは加熱用の媒体を導入し、何れか他方が当該媒体を排出する。
また、ケース3の温度調整用ジャケット35は、ケース3の外周を被覆する被覆部34にて、ケース3の外周面と当該被覆部34との間に設けられた、加熱用水或いは冷却水を通す通路である。
この実施の形態では、第2ホルダ21とケース3とが、上記の温度調整用のジャケットを備えるものとしたが、第1ホルダ11にも、このようなジャケットを設けて実施することが可能である。
接面圧力付与機構4の一部として、上記以外に、図15に示すシリンダ機構7を設けて実施することも可能である。
このシリンダ機構7は、第2ホルダ21内に設けられたシリンダ空間部70と、シリンダ空間部70をリング収容部41と連絡する連絡部71と、シリンダ空間部70内に収容され且つ連絡部71を通じて第2処理用部20と連結されたピストン体72と、シリンダ空間部70上部に連絡する第1ノズル73と、シリンダ空間部70下部に連絡する第2ノズル74と、シリンダ空間部70上部とピストン体72との間に介された発条などの押圧体75とを備えたものである。
ピストン体72は、シリンダ空間部70内にて上下に摺動可能であり、ピストン体72の当該摺動にて第2処理用部20が上下に摺動して、第1処理用面1と第2処理用面2との間の隙間を変更することができる。
図示はしないが、具体的には、コンプレッサなどの圧力源と第1ノズル73とを接続し、第1ノズル73からシリンダ空間部70内のピストン体72上方に空気圧即ち正圧を掛けることにて、ピストン体72を下方に摺動させ、第1及び第2処理用面1、2間の隙間を狭めることができる。また図示はしないが、コンプレッサなどの圧力源と第2ノズル74とを接続し、第2ノズル74からシリンダ空間部70内のピストン体72の下方に空気圧即ち正圧を掛けることにて、ピストン体72を上方に摺動させ、第2処理用部20を移動させて第1及び第2処理用面1、2間の隙間を広げる、即ち開く方向に移動させることができる。このように、ノズル73、74にて得た空気圧で、接面圧力を調整できるのである。
リング収容部41内における第2処理用部20の上部と、リング収容部41の最上部との間に余裕があっても、ピストン体72がシリンダ空間部70の最上部70aと当接するよう設定することにより、このシリンダ空間部70の最上部70aが、両処理用面1、2間の隙間の幅の上限を規定する。即ち、ピストン体72とシリンダ空間部70の最上部70aとが、両処理用面1、2の離反を抑止する離反抑止部として、更に言い換えると、両処理用面1、2間の隙間の最大開き量を規制する機構として機能する。
また、両処理用面1、2同士が当接していなくても、ピストン体72がシリンダ空間部70の最下部70bと当接するよう設定することにより、このシリンダ空間部70の最下部70bが、両処理用面1、2間の隙間の幅の下限を規定する。即ち、ピストン体72とシリンダ空間部70の最下部70bとが、両処理用面1、2の近接を抑止する近接抑止部として、更に言い換えると、両処理用面1、2間の隙間の最小開き量を規制する機構として機能する。
このように上記隙間の最大及び最小の開き量を規制しつつ、ピストン体72とシリンダ空間部70の最上部70aとの間隔z1、換言するとピストン体72とシリンダ空間部70の最下部70bとの間隔z2を上記ノズル73、74の空気圧にて調整する。
ノズル73、74は、別個の圧力源に接続されたものとしてもよく、一つの圧力源を切り換えて或いはつなぎ換えて接続するものとしてもよい。
また圧力源は、正圧を供給するものでも負圧を供給するものでも何れでも実施可能である。真空などの負圧源と、ノズル73、74とを接続する場合、上記の動作は反対になる。
前述の他の接面圧力付与機構4に代え或いは前述の接面圧力付与機構4の一部として、このようなシリンダ機構7を設けて、被処理流動体の粘度や性状によりノズル73、74に接続する圧力源の圧力や間隔z1、z2の設定を行い薄膜流体の厚みを所望値にしせん断力をかけて均一な混合状態(反応を伴う場合にあっては均一な反応)を実現し、微細な粒子を生成させることができる。特に、このようなシリンダ機構7にて、洗浄時や蒸気滅菌時など摺動部の強制開閉を行い洗浄や滅菌の確実性を上昇させることも可能とした。
図16(A)〜(C)に示すように、第1処理用部10の第1処理用面1に、第1処理用部10の中心側から外側に向けて、即ち径方向について伸びる溝状の凹部13...13を形成して実施してもよい。この場合、図16(A)へ示すように、凹部13...13は、第1処理用面1上をカーブして或いは渦巻き状に伸びるものとして実施可能であり、図16(B)へ示すように、個々の凹部13がL字状に屈曲するものであっても実施可能であり、また、図16(C)に示すように、凹部13...13が真っ直ぐ放射状に伸びるものであっても実施可能である。
また、図16(D)へ示すように、図16(A)〜(C)の凹部13は、第1処理用面1の中心側に向かう程深いものとなるように勾配をつけて実施するのが好ましい。また、溝状の凹部13は、連続したものの他、断続するものであっても実施可能である。
この様な凹部13を形成することにより被処理流動体の吐出量の増加または発熱量の減少への対応や、キャビテーションコントロールや流体軸受け効果などの効果がある。
上記の図16に示す各実施の形態において、凹部13は、第1処理用面1に形成するものとしたが、第2処理用面2に形成するものとしても実施可能であり、更には、第1及び第2の処理用面1、2の双方に形成するものとしても実施可能である。
処理用面に、上記の凹部13やテーパを設けない場合、若しくは、これらを処理用面の一部に偏在させた場合、処理用面1、2の面粗度が被処理流動体に与える影響は、上記凹部13を形成するものに比して、大きいものとなる。従って、このような場合、被処理流動体の粒子が小さくなればなるほど、面粗度を下げる、即ちきめの細かいものとする必要がある。特に均一な混合(反応)を目的とする場合、その処理用面の面粗度については、既述の鏡面即ち鏡面加工を施した面とするほうが均一な混合状態(反応を伴う場合にあっては均一な反応)を実現し、微粒子を得る事を目的とする場合には、微細で単分散な生成物の晶出・析出を実現する上で有利である。
図12乃至図17に示す実施の形態においても、特に明示した以外の構成については図1(A)又は図11(C)に示す実施の形態と同様である。
また、上記の各実施の形態において、ケース内は全て密封されたものとしたが、この他、第1処理用部10及び第2処理用部20の内側のみ密封され、その外側は開放されたものとしても実施可能である。即ち、第1処理用面1及び第2処理用面2との間を通過するまでは流路は密封され、被処理流動体は送圧を全て受けるものとするが、通過後は、流路は開放され処理後の被処理流動体は送圧を受けないものとしてもよい。
流体圧付与機構p1には、加圧装置として、既述のとおり、コンプレッサを用いて実施するのが好ましいが、常に被処理流動体に所定の圧力を掛けることが可能であれば、他の手段を用いて実施することもできる。例えば、被処理流動体の自重を利用して、常に一定の圧力を被処理流動体に付与するものとしても実施可能である。
上記の各実施の形態における処理装置について総括すると、被処理流動体に所定の圧力を付与し、この所定の圧力を受けた被処理流動体が流される密封された流体流路に、第1処理用面1及び第2処理用面2の少なくとも2つの接近離反可能な処理用面を接続し、両処理用面1、2を接近させる接面圧力を付与し、第1処理用面1と第2処理用面2とを相対的に回転させることにより、メカニカルシールにおいてシールに利用される薄膜流体を、被処理流動体を用いて発生させ、メカニカルシールと逆に(薄膜流体をシールに利用するのではなく)、当該薄膜流体を第1処理用面1及び第2処理用面2の間から敢えて漏らして、混合(反応)の処理を、両面間1、2にて膜とされた被処理流動体間にて実現し、回収することを特徴とするものである。
このような画期的な方法により、両処理用面1、2間の間隔を1μmから1mmとする調整、特に、1〜10μmとする調整を可能とした。
上記の実施の形態において、装置内は密閉された流体の流路を構成するものであり、処理装置の(第1被処理流動体の)導入部側に設けた流体圧付与機構p1にて、被処理流動体は加圧されたものであった。
この他、このような流体圧付与機構p1を用いて加圧するものではなく、被処理流動体の流路は開放されたものであっても実施可能である。
図18乃至図20へ、そのような処理装置の一実施の形態を示す。尚、この実施の形態において、処理装置として、生成されたものから、液体を除去し、目的とする固体(結晶)のみを最終的に確保する機能を備えた装置を例示する。
図18(A)は処理装置の略縦断面図であり、図18(B)はその一部切欠拡大断面図である。図19は、図18に示す処理装置が備える第1処理用部101の平面図である。図20は、上記処理装置の第1及び第2処理用部101、102の一部切欠要部略縦断面図である。
この図18乃至図20に示す装置は、上記の通り、大気圧下で、処理の対象となる流体即ち被処理流動体或いはこのような処理の対象物を搬送する流体が投入されるものである。
尚、図18(B)及び図20において、図面の煩雑を避けるため、第2導入部d2は、省略して描いてある(第2導入部d2が設けられていない位置の断面と考えればよい)。
図18(A)に示す通り、この流体処理装置は、混合装置Gと、減圧ポンプQとを備えたものである。この混合装置Gは、回転する部材である第1処理用部101と、当該処理用部101を保持する第1ホルダ111と、ケースに対して固定された部材である第2処理用部102と、当該第2処理用部102が固定された第2ホルダ121と、付勢機構103と、動圧発生機構104(図19(A))と、第1ホルダ111と共に第1処理用部101を回転させる駆動部と、ハウジング106と、第1被処理流動体を供給(投入する)する第1導入部d1と、流体を減圧ポンプQへ排出する排出部108とを備える。駆動部については図示を省略する。
上記の第1処理用部101と第2処理用部102は、夫々、円柱の中心をくり抜いた形状の環状体である。両処理用部101、102は、両処理用部101、102の夫々が呈する円柱の一底面を処理用面110、120とする部材である。
上記の処理用面110、120は、鏡面研磨された平坦部を有する。この実施の形態において、第2処理用部102の処理用面120は、面全体に鏡面研磨が施された平坦面である。また、第1処理用部101の処理用面110は、面全体を第2処理用部102と同様の平坦面とするが、図19(A)へ示す通り、平坦面中に、複数の溝112...112を有する。この溝112... 112は、第1処理用部101が呈する円柱の中心を中心側として円柱の外周方向へ、放射状に伸びる。
上記の第1及び第2の処理用部101、102の処理用面110、120についての、鏡面研磨は、面粗度Raを0.01〜1.0μmとするのが好ましい。この鏡面研磨については、Raを0.03〜0.3μmとするのがより好ましい。
処理用部101、102の材質については、硬質且つ鏡面研磨が可能なものを採用する。処理用部101、102のこの硬さについて、少なくともビッカース硬さ1500以上が好ましい。また、線膨張係数が小さい素材を、若しくは、熱伝導の高い素材を、採用するのが好ましい。処理にて熱を発する部分と他の部分との間で、膨張率の差が大きいと歪みが発生して、適正なクリアランスの確保に影響するからである。
このような処理用部101、102の素材として、特に、SIC即ちシリコンカーバイトでビッカース硬さ2000〜2500のもの、表面にDLC即ちダイヤモンドライクカーボンでビッカース硬さ3000〜4000のもの、コーティングが施されたSIC、WC即ちタングステンカーバイトでビッカース硬さ1800のもの、表面にDLCコーティングが施されたWC、ZrB2やBTC、B4Cに代表されるボロン系セラミックでビッカース硬さ4000〜5000のものなどを採用するのが好ましい。
図18に示されるハウジング106は、底部の図示は省略するが、有底の筒状体であり、上方が上記の第2ホルダ121に覆われている。第2ホルダ121は、下面に上記第2処理用部102が固定されており、上方に上記導入部d1が設けられている。導入部d1は、外部から流体や被処理物を投入するためのホッパ170を備える。
図示はしないが、上記の駆動部は、電動機などの動力源と、当該動力源から動力の供給を受けて回転するシャフト50とを備える。
図18(A)に示すように、シャフト50は、ハウジング106の内部に配され上下に伸びる。そして、シャフト50の上端部に上記の第1ホルダ111が、設けられている。第1ホルダ111は、第1処理用部101を保持するものであり、上記の通りシャフト50に設けられることにより、第1処理用部101の処理用面110を第2処理用部102の処理用面120に対応させる。
第1ホルダ111は、円柱状体であり、上面中央に、第1処理用部101が固定されている。第1処理用部101は、第1ホルダ111と一体となるように、固着され、第1ホルダ111に対してその位置を変えない。
一方、第2ホルダ121の上面中央には、第2処理用部102を受容する受容凹部124が形成されている。
上記の受容凹部124は、環状の横断面を有する。第2処理用部102は、受容凹部124と、同心となるように円柱状の受容凹部124内に収容される。
この受容凹部124の構成は、図1(A)に示す実施の形態と同様である(第1処理用部101は第1リング10と、第1ホルダ111は第1ホルダ11と、第2処理用部102は第2リング20と、第2ホルダ121は第2ホルダ21と対応する)。
そして、この第2ホルダ121が、上記の付勢機構103を備える。付勢機構103は、バネなどの弾性体を用いるのが好ましい。付勢機構103は、図1(A)の接面圧付与機構4と対応し、同様の構成を採る。即ち、付勢機構103は、第2処理用部102の処理用面120と反対側の面即ち底面を押圧し、第1処理用部101側即ち下方に第2処理用部102の各位置を均等に付勢する。
一方、受容凹部124の内径は、第2処理用部102の外径よりも大きく、これにて、上記の通り同心に配設した際、第2処理用部102の外周面102bと受容凹部124の内周面との間には、図18(B)に示すように、隙間t1が設定される。
同様に、第2処理用部102の内周面102aと受容凹部124の中心部分22の外周面との間には、図18(B)に示すように、隙間t2が設定される。
上記隙間t1、t2の夫々は、振動や偏芯挙動を吸収するためのものであり、動作寸法以上確保され且つシールが可能となる大きさに設定する。例えば、第1処理用部101の直径が100mmから400mmの場合、当該隙間t1、t2の夫々は、0.05〜0.3mmとするのが好ましい。
第1ホルダ111は、シャフト50へ一体に固定され、シャフト50と共に回転する。また、図示しないが、回り止めによって、第2ホルダ121に対して、第2処理用部102は回らない。しかし、両処理用面110、120間に、処理に必要な0.1〜10μmのクリアランス、即ち図20(B)に示す微小な間隔tを確保するため、図18(B)に示すように、受容凹部124の底面、即ち天部と、第2処理用部102の天部124a、即ち上面との間に隙間t3が設けられる。この隙間t3については、上記のクリアランスと共に、シャフト50の振れや伸びを考慮して設定する。
上記のように、隙間t1〜t3の設定により、第1処理用部101は、図18(B)に示すように、第2処理用部102に対して接近・離反する方向z1に可変であるのみならず、その処理用面110の傾き方向z2についても可変としている。
即ち、この実施の形態において、付勢機構103と、上記隙間t1〜t3とが、フローティング機構を構成し、このフローティング機構によって、少なくとも第2処理用部102の中心や傾きを、数μmから数mmの程度の僅かな量、可変としている。これにて、回転軸の芯振れ、軸膨張、第1処理用部101の面振れ、振動を吸収する。
第1処理用部101の処理用面110が備える前記の溝112について、更に詳しく説明する。溝112の後端は、第1処理用部101の内周面101aに達するものであり、その先端を第1処理用部101の外側y即ち外周面側に向けて伸ばす。この溝112は、図19(A)へ示すように、その横断面積を、環状の第1処理用部101の中心x側から、第1処理用部101の外側y即ち外周面側に向かうにつれて、漸次減少するものとしている。
溝112の左右両側面112a、112bの間隔w1は、第1処理用部101の中心x側から、第1処理用部101の外側y即ち外周面側に向かうにつれて小さくなる。また、溝112の深さw2は、図19(B)へ示すように、第1処理用部101の中心x側から、第1処理用部101の外側y即ち外周面側に向かうにつれて、小さくなる。即ち、溝112の底112cは、第1処理用部101の中心x側から、第1処理用部101の外側y即ち外周面側に向かうにつれて、浅くなる。
このように、溝112は、その幅及び深さの双方を、外側y即ち外周面側に向かうにつれて、漸次減少するものとして、その横断面積を外側yに向けて漸次減少させている。そして、溝112の先端即ちy側は、行き止まりとなっている。即ち、溝112の先端即ちy側は、第1処理用部101の外周面101bに達するものではなく、溝112の先端と外周面101bとの間には、外側平坦面113が介在する。この外側平坦面113は、処理用面110の一部である。
この図19へ示す実施の形態において、このような溝112の左右両側面112a、112bと底112cとが流路制限部を構成している。この流路制限部と、第1処理用部101の溝112周囲の平坦部と、第2処理用部102の平坦部とが、動圧発生機構104を構成している。
但し、溝112の幅及び深さの何れか一方についてのみ、上記の構成を採るものとして、断面積を減少させるものとしてよい。
上記の動圧発生機構104は、第1処理用部101の回転時、両処理用部101、102間を通り抜けようとする流体によって、両処理用部101、102の間に所望の微小間隔を確保することを可能とする、両処理用部101、102を離反させる方向に働く力を発生させる。このような動圧の発生により、両処理用面110、120間に、0.1〜10μmの微小間隔を発生させることができる。このような微小間隔は、処理の対象によって、調整し選択すればよいのであるが、1〜6μmとするのが好ましく、より好ましくは、1〜2μmである。この装置においては、上記のような微小間隔による従来にない均一な混合状態(反応を伴う場合にあっては均一な反応)の実現と微細な粒子の生成が可能である。
溝112...112の夫々は、真っ直ぐ、中心x側から外側yに伸びるものであっても実施可能である。但し、この実施の形態において、図19(A)に示すように、第1処理用部101の回転方向rについて、溝112の中心x側が、溝112の外側yよりも、先行するように即ち前方に位置するように、湾曲して溝112を伸びるものとしている。
このように溝112...112が湾曲して伸びることにより、動圧発生機構104による離反力の発生をより効果的に行うことができる。
次に、この装置の動作について説明する。
図18(A)に示すように、ホッパ170から投入され、第1導入部d1を通ってくる第1被処理流動体Rは、環状の第2処理用部102の中空部を通り、第1処理用部101の回転による遠心力を受け、両処理用部101、102間に入り、回転する第1処理用部101の処理用面110と、第2処理用部102の処理用面120との間にて、均一な混合(反応)と、場合により微細な粒子の生成が行われ、その後、両処理用部101、102の外側に出て、排出部108から減圧ポンプQ側へ排出される(以下必要に応じて第1被処理流動体Rを単に流体Rと呼ぶ)。
上記において、環状の第2処理用部102の中空部に入った流体Rは、図20(A)へ示すように、先ず、回転する第1処理用部101の溝112に入る。一方、鏡面研磨された、平坦部である両処理用面110、120は、空気や窒素などの気体を通しても気密性が保たれている。従って、回転による遠心力を受けても、そのままでは、付勢機構103によって押し合わされた両処理用面110、120の間に、溝112から流体Rは入り込むことはできない。しかし、流路制限部として形成された溝112の上記両側面112a、112bや底112cに、流体Rは徐々に突き当たり、両処理用面110、120を離反させる方向に働く動圧を発生させる。図20(B)へ示すように、これによって、流体Rが溝112から平坦面に滲み出し、両処理用面110、120の間に微小間隔t即ちクリアランスを確保することができる。そして、このような鏡面研磨された平坦面の間で、均一な混合(反応)と、場合により微細な粒子の生成が行われる。また上述の溝112の湾曲が、より確実に流体へ遠心力を作用させ、上記動圧の発生をより効果的にしている。
このように、この流体処理装置は、動圧と付勢機構103による付勢力との均衡にて、両鏡面即ち処理用面110、120間に、微細で均一な間隔即ちクリアランスを確保することを可能とした。そして、上記の構成により、当該微小間隔は、1μm以下の超微細なものとすることができる。
また、上記フローティング機構の採用により、処理用面110、120間のアライメントの自動調整が可能となり、回転や発生した熱による各部の物理的な変形に対して、処理用面110、120間の各位置における、クリアランスのばらつきを抑制し、当該各位置における上記の微小間隔の維持を可能とした。
尚、上記の実施の形態において、フローティング機構は、第2ホルダ121にのみ設けられた機構であった。この他、第2ホルダ121に代え、或いは第2ホルダ121と共に、フローティング機構を、第1ホルダ111にも設けるものとして実施することも可能である。
図21乃至図23に、上記の溝112について、他の実施の形態を示す。
図21(A)(B)に示すように、溝112は、流路制限部の一部として、先端に平らな壁面112dを備えるものとして実施することができる。また、この図21に示す実施の形態では、底112cにおいて、第1壁面112dと、内周面101aとの間に段差112eが設けられており、この段差112eも流路制限部の一部を構成する。
図22(A)(B)に示すように、溝112は、複数に分岐する枝部112f...112fを備えるものとし、各枝部112fがその幅を狭めることにより流路制限部を備えるものとしても実施可能である。
図21及び図22の実施の形態においても、特に示した以外の構成については、図1(A)、図11(C)、図18乃至図20に示す実施の形態と同様である。
また、上記の各実施の形態において、溝112の幅及び深さの少なくとも何れか一方について、第1処理用部101の内側から外側に向けてその寸法を漸次小さくすることにて、流路制限部を構成するものとした。この他、図23(A)や図23(B)へ示す通り、溝112の幅や深さを変化させずに、溝112に終端面112fを設けることによって、このような溝112の終端面112fを流路制限部とすることができる。図19、図21及び図22に示す実施の形態において示した通り、動圧発生は、溝112の幅及び深さを既述の通り変化させることによって溝112の底や両側面を傾斜面とすることで、この傾斜面が流体に対する受圧部になり動圧を発生させた。一方図23(A)(B)に示す実施の形態では、溝112の終端面が流体に対する受圧部になり動圧を発生させる。
また、この図23(A)(B)に示す場合、溝112の幅及び深さの少なくとも何れか一方の寸法を漸次小さくすることも併せて実施することができる。
尚、溝112の構成について、上記の図19、図21乃至図23に示すものに限定されるものではなく、他の形状の流路制限部を備えたものとして実施することが可能である。
例えば、図19、図21乃至図23に示すものでは、溝112は、第1処理用部101の外側に突き抜けるものではなかった。即ち、第1処理用部101の外周面と、溝112との間には、外側平坦面113が存在した。しかし、このような実施の形態に限定されるものではなく、上述の動圧を発生されることが可能であれば、溝112は、第1処理用部101の外周面側に達するものであっても実施可能である。
例えば、図23(B)に示す第1処理用部101の場合、点線で示すように、溝112の他の部位よりも断面積が小さな部分を、外側平坦面113に形成して実施することができる。
また、溝112を、上記の通り内側から外側へ向けて漸次断面積を小さくするように形成し、溝112の第1処理用部101の外周に達した部分(終端)を、最も断面積が小さいものとすればよい(図示せず)。但し、動圧を効果的に発生させる上で、図19、図21乃至図23に示すように、溝112は、第1処理用部101の外周面側に突き抜けないほうが好ましい。
ここで、上記図18乃至図23に示す各実施の形態について、総括する。
この流体処理装置は、平坦処理用面を有する回転部材と同じく平坦処理用面を有する固定部材とをそれらの平坦処理用面で同心的に相対向させ、回転部材の回転下に固定部材の開口部より被処理原料を供給しながら両部材の対向平面処理用面間にて処理する流体処理装置において機械的にクリアランスを調整するのではなく、回転部材に増圧機構を設けて、その圧力発生によりクリアランスを保持し、かつ、機械的クリアランス調整では不可能であった1〜6μmの微小クリアランスを可能とし、混合(反応)の均一化及び、場合により生成粒子の微細化の能力が著しく向上出来たものである。
即ち、この流体処理装置は、回転部材と固定部材がその外周部に平坦処理用面を有しその平坦処理用面において、面上の密封機能を有することで、流体静力学的な即ちハイドロスタティックな力、流体動力学的な即ちハイドロダイナミックな力、或いは、エアロスタティック−エアロダイナミックな力を発生させる高速回転式の流体処理装置を提供しようとするものである。上記の力は、上記密封面間に僅かな間隙を発生させ、また非接触で機械的に安全で高度な混合(反応)の均一化の機能を有した流体処理装置を提供することができる。この僅かな隙間が形成されうる要因は、一つは、回転部材の回転速度によるものであり、もう一つは、被処理物(流体)の投入側と排出側の圧力差によるものである。投入側に圧力付与機構が付設されていない場合即ち大気圧下で被処理物(流体)を投入される場合、圧力差が無いわけであるから回転部材の回転速度だけで密封面間の分離を生じさせる必要がある。これは、ハイドロダイナミックもしくはエアロダイナミック力として知られている。
図18(A)に示す装置において、減圧ポンプQを上記混合装置Gの排出部に接続したものを示したが、既述の通りハウジング106を設けず、また減圧ポンプQを設けずに、図24(A)に示すように処理装置を減圧用のタンクTとして、当該タンクTの中に、混合装置Gを配設することにて実施することが可能である。
この場合、タンクT内を真空或いは真空に近い状態に減圧することにて、混合装置Gにて生成された被処理物をタンクT内に霧状に噴射せしめ、タンクTの内壁にぶつかって流れ落ちる被処理物を回収すること、或いはこのような流れ落ちる被処理物に対して気体(蒸気)として分離されタンクT内上部に充満するものを回収することにて、処理後の目的物を得ることができる。
また、減圧ポンプQを用いる場合も、図24(B)へ示すように、混合装置Gに、減圧ポンプQを介して、気密なタンクTを接続することにより、当該タンクT内にて、処理後の被処理物を霧状にして、目的物の分離・抽出を行うことができる。
更に、図24(C)へ示すように、減圧ポンプQを直接タンクTに接続し、当該タンクTに、減圧ポンプQと、減圧ポンプQとは別の流体Rの排出部とを接続して、目的物の分離を行うことができる。この場合、気化部については、減圧ポンプQに吸いよせられ、液体R(液状部)は排出部より、気化部とは別に排出される。
上述してきた各実施の形態では、第1及び第2の2つの被処理流動体を、夫々第2ホルダ21、121及び第2リング20、102から、導入して、混合(反応)させるものを示した。
次に、装置への被処理流動体の導入に関する他の実施の形態について、順に説明する。
図1(B)へ示す通り、図1(A)へ示す処理装置に、第3導入部d3を設けて第3の被処理流動体を、両処理用面1、2間へ導入して、第2被処理流動体と同様第1被処理流動体へ混合(反応)させるものとしても実施できる。
第3導入部d3は、第1の被処理流動体と混合させる第3の被処理流動体を処理用面1、2間へ供給する。この実施の形態において、第3導入部d3は、第2リング20の内部に設けられた流体の通路であり、その一端が第2処理用面2にて開口し、他の一端に第3流体供給部p3が接続されている。
第3流体供給部p3には、コンプレッサ、その他のポンプを採用することができる。
第3導入部d3の第2処理用面2における開口部は、第2導入部d2の開口部よりも、第1処理用面1の回転の中心の外側に位置する。即ち、第2処理用面2において、第3導入部d3の開口部は、第2導入部d2の開口部よりも、下流側に位置する。第3導入部d3の開口部と第2導入部d2の開口部との間には、第2リング20の径の内外方向について、間隔が開けられている。
この図1(B)へ示す装置も、第3導入部d3以外の構成については、図1(A)へ示す実施の形態と同様である。尚、この図1(B)、更に、以下に説明する、図1(C)、図1(D)、図2〜図11において、図面の煩雑を避けるため、ケース3を省略する。尚、図9(B)(C)、図10、図11(A)(B)においては、ケース3の一部を描いてある。
更に、図1(C)へ示すように、図1(B)へ示す処理装置に、第4導入部d4を設けて第4の被処理流動体を、両処理用面1、2間へ導入して、第2及び第3の被処理流動体と同様第1被処理流動体へ混合(反応)させるものとしても実施できる。
第4導入部d4は、第1の被処理流動体と混合させる第4の被処理流動体を処理用面1、2間へ供給する。この実施の形態において、第4導入部d4は、第2リング20の内部に設けられた流体の通路であり、その一端が第2処理用面2にて開口し、他の一端に第4流体供給部p4が接続されている。
第4流体供給部p4には、コンプレッサ、その他のポンプを採用することができる。
第4導入部d4の第2処理用面2における開口部は、第3導入部d3の開口部よりも、第1処理用面1の回転の中心の外側に位置する。即ち、第2処理用面2において、第4導入部d4の開口部は、第3導入部d3の開口部よりも、下流側に位置する。
この図1(C)へ示す装置について、第4導入部d4以外の構成については、図1(B)へ示す実施の形態と同様である。
また、図示はしないが、更に、第5導入部や、第6導入部など、5つ以上の導入部を設けて、夫々5種以上の被処理流動体を、混合(反応)させるものとしても実施できる。
また、図1(D)へ示す通り、図1(A)の装置では、第2ホルダ21に設けられていた第1導入部d1を、第2ホルダ21に設ける代わりに、第2導入部d2同様、第2処理用面2に設けて実施することができる。この場合、第2処理用面2において、第1導入部d1の開口部は、第2導入部d2よりも、回転の中心側即ち上流側に位置する。
上記の図1(D)へ示す装置では、第2導入部d2の開口部と、第3導入部d3の開口部は、共に第2リング20の第2処理用面2に配置されるものであった。しかし、導入部の開口部は、このような処理用面に対する配置に限定されるものではない。特に、図2(A)へ示す通り、第2導入部d2の開口部を、第2リング20の内周面の、第2処理用面2に隣接する位置に設けて実施することもできる。この図2(A)へ示す装置において、第3導入部d3の開口部は、図1(B)へ示す装置と同様、第2処理用面2に配置されているが、第2導入部d2の開口部を、このように第2処理用面2の内側であって、第2処理用面2へ隣接する位置に配置することによって、第2の被処理流動体を処理用面に直ちに導入できる。
このように第1導入部d1の開口部を第2ホルダ21に設け、第2導入部d2の開口部を第2処理用面2の内側であって、第2処理用面2へ隣接する位置に配置することで(この場合、上記第3導入部d3を設けることは必須ではない)、特に複数の被処理流動体を反応させる場合において、第1導入部d1から導入される被処理流動体と第2導入部d2から導入される被処理流動体とを反応させない状態で両処理用面1、2間へ導入し、両処理用面1、2間において両者を初めて反応させることができる。よって、上記構成は、特に反応性の高い被処理流動体を用いる場合に適している。
なお、上記の「隣接」とは、第2導入部d2の開口部を、図2(A)に示すように第2リング20の内側側面に接するようにして設けた場合に限られるものではない。第2リング20から第2導入部d2の開口部までの距離が、複数の被処理流動体が両処理用面1、2間へ導入される前に混合(反応)が完全になされない程度とされていれば良く、例えば、第2ホルダ21の第2リング20に近い位置に設けたものであっても良い。また、第2導入部d2の開口部を第1リング10あるいは第1ホルダ11の側に設けても良い。
更に、上記の図1(B)へ示す装置において、第3導入部d3の開口部と第2導入部d2の開口部との間には、第2リング20の径の内外方向について、間隔が開けられていたが、図2(B)へ示す通り、そのような間隔を設けずに、両処理用面1、2間に第2及び第3の被処理流動体を導入されると直ちに両流動体が合流するものとしても実施できる。処理の対象によって、このような図2(B)へ示す装置を選択すればよい。
また、上記の図1(D)へ示す装置についても、第1導入部d1の開口部と第2導入部d2の開口部との間には、第2リング20の径の内外方向について、間隔が開けられていたが、そのような間隔を設けずに、両処理用面1、2間に第1及び第2の被処理流動体を導入すると直ちに両流動体が合流するものとしても実施できる(図示しない)。処理の対象によって、このような開口部の配置を選択すればよい。
上記の図1(B)及び図1(C)に示す実施の形態では、第2処理用面2において、第3導入部d3の開口部を、第2導入部d2の開口部の下流側、言い換えると、第2リング20の径の内外方向について第2導入部d2の開口部の外側に配置するものとした。この他、図2(C)及び図3(A)へ示す通り、第2処理用面2において、第3導入部d3の開口部を、第2導入部d2の開口部と、第2リング20の周方向r0について異なる位置に配置するものとしても実施できる。図3において、m1は第1導入部d1の開口部即ち第1開口部を、m2は第2導入部d2の開口部即ち第2開口部を、m3は第3導入部d3の開口部(第3開口部)を、r1はリングの径の内外方向を、夫々示している。
また、第1導入部d1を第2リング20に設ける場合も、図2(D)へ示す通り、第2処理用面2において、第1導入部d1の開口部を、第2導入部d2の開口部と、第2リング20の周方向について異なる位置に配置するものとしても実施できる。
上記の図3(A)へ示す装置では、第2リング20の処理用面2において、周方向r0の異なる位置に2つの導入部の開口部が配置されたものを示したが、図3(B)へ示す通り、リングの周方向r0の異なる位置に3つの導入部の開口部を配置し、或いは図3(C)へ示す通り、リングの周方向r0の異なる位置に4つの導入部の開口部を配置して実施することもできる。尚、図3(B)(C)において、m4は、第4導入部の開口部を示し、図3(C)においてm5は第5導入部の開口部を示している。また、図示はしないが、導入部の開口部を、リングの周方向r0の異なる位置に5つ以上設けて実施することもできる。
上記に示す装置において、第2導入部乃至第5導入部は、夫々異なる被処理流動体即ち、第2、第3、第4、第5の被処理流動体を、導入することができる。一方、第2〜第5の開口部m2〜m5から、全て同種の即ち、第2被処理流動体を処理用面間に導入するものとしても実施できる。図示はしないが、この場合、第2導入部乃至第5導入部は、リング内部にて連絡しており、一つの流体供給部、即ち第2流体供給部p2に接続されているものとして実施できる。
また、リングの周方向r0の異なる位置に導入部の開口部を複数設けたものと、リングの径方向即ち径の内外方向r1の異なる位置に導入部の開口部を複数設けたものを、複合して実施することもできる。
例えば、図3(D)へ示す通り、第2処理用面2に8つの導入部の開口部m2〜m9が設けられており、そのうち4つであるm2〜m5は、リングの周方向r0の異なる位置であり且つ径方向r1について同じ位置に設けられたものであり、他の4つであるm6〜m9はリングの周方向r0の異なる位置であり且つ径方向r1について同じ位置に設けられている。そして、当該他の開口部m6〜m9は、径方向r1について、上記4つの開口部m2〜m5の径方向の外側に配置されている。また、この外側の開口部は、夫々、内側の開口部と、リングの周方向r0について同じ位置に設けてもよいが、リングの回転を考慮して、図3(D)へ示すように、リングの周方向r0の異なる位置に設けて実施することもできる。また、その場合も、開口部について、図3(D)に示す配置や数に限定されるものではない。
例えば、図3(E)へ示す通り、径方向外側の開口部が多角形の頂点位置、即ちこの場合四角形の頂点位置に配置され、当該多角形の辺上に、径方向内側の開口部が位置するように配置することもできる。勿論この他の配置を採ることもできる。
また、第1開口部m1以外の開口部は、何れも第2被処理流動体を処理用面間に導入するものとした場合、各第2被処理流動体を導入する当該開口部を、処理用面の周方向r0について、点在させるのではなく、図3(F)へ示す通り、周方向r0について、連続する開口部として実施することもできる。
尚、処理の対象によっては、図4(A)へ示す通り、図1(A)に示す装置において、第2リング20に設けていた第2導入部d2を、第1導入部d1と同様、第2ホルダ21の中央部分22へ設けて実施することもできる。この場合、第2リング20の中心に位置する第1導入部d1の開口部に対し、その外側に、間隔を開けて、第2導入部d2の開口部が位置する。また、図4(B)へ示す通り、図4(A)へ示す装置について、第2リング20に第3導入部d3を設けて実施することもできる。図4(C)へ示す通り、図4(A)へ示す装置において、第1導入部d1の開口部と第2導入部d2の開口部との間に間隔を設けず、第2リング20の内側の空間へ第1及び第2の被処理流動体を導入されると直ちに両流動体が合流するものとしても実施できる。更にまた、処理の対象によっては、図4(D)へ示す通り、図4(A)へ示す装置において、第2導入部d2同様、第3導入部d3も第2ホルダ21に設けて実施することができる。図示はしないが、4つ以上の導入部を第2ホルダ21に設けて実施することもできる。
また、処理の対象によっては、図5(A)へ示す通り、図4(D)へ示す装置において、第2リング20に第4導入部d4を設けて第4の被処理流動体を両処理用面1、2間へ導入するものとしても実施できる。
図5(B)へ示す通り、図1(A)へ示す装置において、第2導入部d2を、第1リング10へ設け、第1処理用面1に第2導入部d2の開口部を備えるものとしても実施できる。
図5(C)へ示す通り、図5(B)へ示す装置において、第1リング10に第3導入部d3を設けて、第1処理用面1において、第3導入部d3の開口部を、第2導入部d2の開口部と、第1リング10の周方向について異なる位置に配置するものとしても実施できる。
図5(D)へ示す通り、図5(B)へ示す装置において、第2ホルダ21へ第1導入部d1を設ける代わりに、第2リング20へ第1導入部d1を設け、第2処理用面2に、第1導入部d1の開口部を配置するものとしても実施できる。この場合、第1及び第2の導入部d1、d2の両開口部は、リングの径の内外方向について、同じ位置に配置されている。
また、図6(A)へ示す通り、図1(A)へ示す装置において、第3導入部d3を、第1リング10へ設け、第1処理用面1へ第3導入部d3の開口部を配置するものとしても実施できる。この場合、第2及び第3の導入部d2、d3の両開口部は、リングの径の内外方向について、同じ位置に配置されている。但し、上記の両開口部を、リングの径の内外方向について、異なる位置に配置するものとしてもよい。
図5(C)へ示す装置において、第2及び第3の導入部d2、d3の両開口部を、第1リング10の径の内外方向について同じ位置に設けると共に、第1リング10の周方向即ち回転方向について異なる位置に設けたが、当該装置において、図6(B)へ示す通り、第2及び第3導入部d2、d3の両開口部を、第1リング10の周方向について同じ位置に設けると共に、第1リング10の径の内外方向について異なる位置に設けて実施することができる。この場合図6(B)へ示す通り、第2及び第3導入部d2、d3の両開口部の間には、第1リング10の径の内外方向に間隔を開けておくものとしても実施でき、または図示はしないが、当該間隔を開けずに直ちに、第2被処理流動体と第3被処理流動体とが合流するものとしても実施できる。
また、図6(C)へ示す通り、第2ホルダ21へ第1導入部d1を設ける代わりに、第2導入部d2と共に、第1リング10へ第1導入部d1を設けて実施することもできる。この場合、第1処理用面1において、第1導入部d1の開口部を、第2導入部d2の開口部の、上流側(第1リング10の径の内外方向について内側)に設ける。第1導入部d1の開口部と第2導入部d2の開口部との間には、第1リング10の径の内外方向について、間隔を開けておく。但し図示はしないが、このような間隔を開けずに実施することもできる。
また、図6(D)へ示す通り、図6(C)へ示す装置の第1処理用面1にあって、第1リング10の周方向の異なる位置に、第1導入部d1と第2導入部d2夫々の開口部を配置するものとして実施することができる。
また、図示はしないが、図6(C)(D)へ示す実施の形態において、第1リング10へ3つ以上の導入部を設けて、第2処理用面2において、周方向の異なる位置に、或いは、リングの径の内外方向の異なる位置に、各開口部を配置するものとして実施することもできる。例えば、第2処理用面2において採った、図3(B)〜図3(F)に示す開口部の配置を第1処理用面1においても採用することができる。
図7(A)へ示す通り、図1(A)へ示す装置において、第2導入部d2を第2リング20へ設ける代わりに、第1ホルダ11へ設けて実施することができる。この場合、第1ホルダ11上面の第1リング10に囲まれた部位において、第1リング10の回転の中心軸の中心に第2導入部d2の開口部を配置するのが好ましい。
図7(B)へ示す通り、図7(A)へ示す実施の形態において、第3導入部d3を、第2リング20へ設けて、第3導入部d3の開口部を第2処理用面2へ配置することができる。
また、図7(C)へ示す通り、第1導入部d1を第2ホルダ21へ設ける代わりに、第1ホルダ11へ設けて実施することができる。この場合、第1ホルダ11上面の第1リング10に囲まれた部位において、第1リング10の回転の中心軸に第1導入部d1の開口部を配置するのが好ましい。また、この場合、図示の通り、第2導入部d2を第1リング10へ設けて、第1処理用面1へ、その開口部を配置することができる。また、図示はしないが、この場合、第2導入部d2を第2リング20へ設けて、第2処理用面2へ、その開口部を配置することができる。
更に、図7(D)へ示す通り、図7(C)へ示す第2導入部d2を、第1導入部d1と共に、第1ホルダ11へ設けて実施することもできる。この場合、第1ホルダ11上面の第1リング10に囲まれた部位において、第2導入部d2の開口部を配置する。また、この場合、図7(C)において、第2リング20へ設けた第2導入部d2を、第3導入部d3とすればよい。
上記の図1〜図7に示す各実施の形態において、第1ホルダ11及び第1リング10が、第2ホルダ21及び第2リング20に対して回転するものとした。この他、図8(A)へ示す通り、図1(A)へ示す装置において、第2ホルダ2に、回転駆動部から回転力を受けて回転する回転軸51を設けて、第1ホルダ11とは逆方向に第2ホルダ21を回転させるものとしても実施できる。回転軸51についての回転駆動部は、第1ホルダ11の回転軸50を回転させるものと別に設けるものとしてもよく、或いはギアなどの動力伝達手段により、第1ホルダ11の回転軸50を回転させる駆動部から動力を受けるものとしても実施できる。この場合第2ホルダ21は、前述のケースと別体に形成されて、第1ホルダ11と同様、当該ケース内に回転可能に収容されたものとする。
また、図8(B)へ示す通り、図8(A)に示す装置において、第2リング20に第2導入部d2を設ける代わりに、図7(B)の装置と同様に第1ホルダ11に第2導入部d2を設けて実施することができる。
また、図示はしないが、図8(B)へ示す装置において、第2導入部d2を、第1ホルダ11に代え第2ホルダ21へ設けて実施することもできる。この場合、第2導入部d2は、図4(A)の装置と同様である。図8(C)へ示す通り、図8(B)へ示す装置において、第2リング20に第3導入部d3を設けて、当該導入部d3の開口部を、第2処理用面2に配置して実施することもできる。
更に、図8(D)へ示す通り、第1ホルダ11を回転させずに、第2ホルダ21のみを回転させるものとしても実施できる。図示はしないが、図1(B)〜図7に示す装置においても、第1ホルダ11と共に第2ホルダ21を回転させるものや、或いは第2ホルダ21のみ単独で回転させるものとしても実施できる。
図9(A)へ示すように、第2処理用部20はリングとし、第1処理用部10をリングでなく、他の実施の形態の第1ホルダ11と同様の、直接回転軸50を備えて回転する部材とすることができる。この場合、第1処理用部10の上面を第1処理用面1とし、当該処理用面は環状でなく、即ち中空部分を備えない、一様に平らな面とする。また、この図9(A)に示す装置において、図1(A)の装置と同様、第2導入部d2を、第2リング20に設け、その開口部を第2処理用面2に配置している。
図9(B)へ示す通り、図9(A)へ示す装置において、第2ホルダ21を、ケース3と独立したものとし、ケース3と当該第2ホルダ21との間に、第2リング20が設けられた第1処理用部10へ接近・離反させる弾性体などの接面圧付与機構4を設けて実施することもできる。この場合、図9(C)へ示すように、第2処理用部20をリングとするのではなく、上記の第2ホルダ21に相当する部材とし、当該部材の下面を第2処理用面2として形成することができる。更に、図10(A)へ示す通り、図9(C)へ示す装置において、第1処理用部10もリングとするのではなく、図9(A)(B)へ示す装置と同様他の実施の形態において第1ホルダ11に相当する部位を第1処理用部10とし、その上面を第1処理用面1として実施することができる。
上記の各実施の形態において、少なくとも第1の被処理流動体は、第1処理用部10と第2処理用部20即ち、第1リング10と第2リング20の中心部から供給され、他の被処理流動体による処理、即ち混合(反応)後、その径の内外方向について外側へ排出されるものとした。
この他、図10(B)へ示す通り、第1リング10及び第2リング20の外側から、内側に向けて、第1の被処理流動体を供給するものとしても実施できる。この場合、図示の通り、第1ホルダ11及び第2ホルダ21の外側をケース3にて密閉し、第1導入部d1を当該ケース3に直接設けて、ケースの内側であって、両リング10、20の突合せ位置と対応する部位に、当該導入部の開口部を配置する。そして、図1(A)の装置において第1導入部d1が設けられていた位置、即ち第1ホルダ11におけるリング1の中心となる位置に、排出部36を設ける。また、ホルダの回転の中心軸を挟んで、ケースの当該開口部の反対側に、第2導入部d2の開口部を配置する。但し、第2導入部d2の開口部は、第1導入部d1の開口部と同様、ケースの内側であって、両リング10、20の突合せ位置と対応する部位に配置するものであればよく、上記のように、第1導入部d1の開口部の反対側に形成するのに限定されるものではない。
この場合、両リング10、20の径の外側が、上流となり、両リング10、20の内側が下流側となる。
このように、被処理流動体の移動を外側から内側に向けて行う場合、図16(E)に示すように、第1処理用部10の第1処理用面1に、第1処理用部10の外側から中心側に向けて伸びる溝状の凹部13...13を形成して実施することも可能である。このような凹部13...13を形成することにより、前述のバランス比Kについては、100%以上のアンバランス型とするのが好ましい。この結果、回転時に、上記の溝状の凹部13...13に動圧が発生し、両処理用面1、2は確実に非接触で回転でき、接触による磨耗などの危険がなくなる。この図16(E)に示す実施の形態において、被処理流動体の圧力による離反力は、凹部13の内端13aにて発生する。
図10(C)に示す通り、図10(B)へ示す装置において、ケース3の側部に設けた第2導入部d2を、当該位置に代え、第1リング10に設けて、その開口部を第1処理用面1に配置するものとしても実施できる。この場合において、図10(D)に示す通り、第1処理用部10をリングとして形成するのでなく、図9(A)、図9(B)や図10(A)に示す装置と同様、他の実施の形態において第1ホルダ11に相当する部位を、第1処理用部10とし、その上面を第1処理用面1とし、更に、当該第1処理用部10内に第2導入部d2を設けて、その開口部を第1処理用面1に配置するものとして実施できる。
図11(A)へ示す通り、図10(D)へ示す装置において、第2処理用部20もリングとして形成するのではなく、他の実施の形態において第2ホルダ21に相当する部材を第2処理用部20とし、その下面を第2処理用面2として実施することができる。そして、第2処理用部20を、ケース3と独立した部材とし、ケース3と第2処理用部20との間に、図9(B)(C)、図10(A)に示す装置と同じ接面圧付与機構4を設けて実施することができる。
また、図11(B)へ示す通り、図11(A)に示す装置の第2導入部d2を第3導入部d3とし、別途第2導入部d2を設けるものとしても実施できる。この場合、第2処理用面2において第2導入部d2の開口部を第3導入部d3の開口部よりも下流側に配置する。
前述の図4に示す各装置、図5(A)、図7(A)(B)(D)、図8(B)(C)に示す装置は、処理用面1、2間に達する前に、第1の被処理流動体に対して、他の被処理流動体が合流するものであり、晶出や析出の反応の速いものには適さない。しかし、反応速度の遅いものについては、このような装置を採用することもできる。
本願発明に係る方法の発明の実施に適した流体処理装置について、以下に纏めておく。
前述の通り、この流体処理装置は、被処理流動体に所定の圧力を付与する流体圧付与機構と、この所定圧力の被処理流動体が流される密封された流体流路に設けられた第1処理用部10と第1処理用部10に対して相対的に接近離反可能な第2処理用部20の少なくとも2つの処理用部と、これらの処理用部10、20において互いに対向する位置に設けられた第1処理用面1及び第2処理用面2の少なくとも2つの処理用面と、第1処理用部10と第2処理用部20とを相対的に回転させる回転駆動機構とを備え、両処理用面1、2間にて、少なくとも2種の被処理流動体の混合の処理を行う(反応を伴う場合にあっては反応の処理も行う)ものである。第1処理用部10と第2処理用部20のうち少なくとも第2処理用部20は、受圧面を備えるものであり、且つ、この受圧面の少なくとも一部が第2処理用面2により構成され、受圧面は、流体圧付与機構が被処理流動体の少なくとも一方に付与する圧力を受けて第1処理用面1から第2処理用面2を離反させる方向に移動させる力を発生させる。そして、この装置にあって、接近離反可能且つ相対的に回転する第1処理用面1と第2処理用面2との間に上記の圧力を受けた被処理流動体が通されることにより、各被処理流動体が所定厚みの薄膜流体を形成しながら両処理用面1、2間を通過することで、当該被処理流動体間において、所望の混合状態(反応)が生じる。
また、この流体処理装置において、第1処理用面1及び第2処理用面2の少なくとも一方の、微振動やアライメントを調整する緩衝機構を備えたものを採用するのが好ましい。
また、この流体処理装置において、第1処理用面1及び第2処理用面2の一方又は双方の、磨耗などによる軸方向の変位を調整して、両処理用面1、2間の薄膜流体の厚みを維持することを可能とする変位調整機構を備えたものを採用するのが好ましい。
更に、この流体処理装置にあっては、上記の流体圧付与機構として、被処理流動体に対して一定の送り込み圧を掛けるコンプレッサなどの加圧装置を採用することができる。
尚、上記の加圧装置は、送り込み圧の増減の調整を行えるものを採用する。この加圧装置は、設定した圧力を一定に保つことができる必要があるが、処理用面間の間隔を調整するパラメータとして、調整を行える必要があるからである。
また、この流体処理装置には、上記の第1処理用面1と第2処理用面2との間の最大間隔を規定し、それ以上の両処理用面1、2の離反を抑止する離反抑止部を備えるものを採用することができる。
更にまた、この流体処理装置には、上記の第1処理用面1と第2処理用面2との間の最小間隔を規定し、それ以上の両処理用面1、2の近接を抑止する近接抑止部を備えたものを採用することができる。
更に、この流体処理装置には、第1処理用面1と第2処理用面2の双方が、互いに逆の方向に回転するものを採用することができる。
また、この流体処理装置には、上記第1処理用面1と第2処理用面2の一方或いは双方の温度を調整する、温度調整用のジャケットを備えたものを採用することができる。
また更に、この流体処理装置には、上記第1処理用面1及び第2処理用面2の一方或いは双方の少なくとも一部は、鏡面加工されたものを採用するのが好ましい。
この流体処理装置には、上記第1処理用面1及び第2処理用面2の一方或いは双方は、凹部を備えたものを採用することができる。
更に、この流体処理装置には、一方の被処理流動体に混合(反応)させる他方の被処理流動体の供給手段として、一方の被処理流動体の通路とは独立した別途の導入路を備え、上記第1処理用面と第2処理用面の少なくとも何れ一方に、上記の別途の導入路に通じる開口部を備え、当該別途の導入路から送られてきた他方の被処理流動体を、上記一方の被処理流動体に導入することができるものを採用するのが好ましい。
また、本願発明を実施する流体処理装置として、被処理流動体に所定の圧力を付与する流体圧付与機構と、この所定圧力の被処理流動体が流される密封された流体流路に接続された第1処理用面1及び第2処理用面2の少なくとも2つの相対的に接近離反可能な処理用面と、両処理用面1、2間に接面圧力を付与する接面圧力付与機構と、第1処理用面1と第2処理用面2とを相対的に回転させる回転駆動機構と、を備えることにより、両処理用面1、2
間にて、少なくとも2種の被処理流動体の混合(反応)処理を行うものであって、接面圧力が付与されつつ相対的に回転する第1処理用面1と第2処理用面2との間に、流体圧付与機構から圧力を付与された少なくとも一種の被処理流動体が通され、更に、他の一種の被処理流動体が通されることにより、流体圧付与機構から圧力を付与された上記一種の被処理流動体が所定厚みの薄膜流体を形成しながら両処理用面1、2間を通過する際に、当該他の一種の被処理流動体が混合され、被処理流動体間にて、所望の混合状態(反応)を生じさせるものを採用することができる。
この接面圧付与機構が、前述の装置における、微振動やアライメントを調整する緩衝機構や、変位調整機構を構成するものとして実施することができる。
更に、本願発明を実施する流体処理装置として、混合(反応)させる2種の被処理流動体のうち少なくとも一方の被処理流動体を当該装置に導入する第1導入部と、第1導入部に接続されて当該一方の被処理流動体に圧力を付与する流体圧付与機構pと、混合(反応)させる2種の被処理流動体のうち少なくとも他の一方を当該装置に導入する第2導入部と、当該一方の被処理流動体が流される密封された流体流路に設けられた第1処理用部10と第1処理用部10に対して相対的に接近離反可能な第2処理用部20の少なくとも2つの処理用部と、これらの処理用部10、20において互いに対向する位置に設けられた第1処理用面1及び第2処理用面2の少なくとも2つの処理用面と、第2処理用面2が露出するように第2処理用部20を受容するホルダ21と、第1処理用部10と第2処理用部20とを相対的に回転させる回転駆動機構と、第1処理用面1に対して第2処理用面2を圧接又は近接した状態に第2処理用部20を押圧する接面圧付与機構4とを備え、両処理用面1、2間にて、被処理流動体間の混合(反応)処理を行い、上記ホルダ21が、上記第1導入部の開口部を備えると共に、処理用面1、2間の隙間に影響を与えるようには可動でないものであり、第1処理用部10と第2導入部20の少なくとも一方が、上記第2導入部の開口部を備え、第2処理用部20が、環状体であり、第2処理用面2がホルダ21に対して摺動して第1処理用面1に接近離反するものであり、第2処理用部20が受圧面を備え、受圧面は、流体圧付与機構pが被処理流動体に付与する圧力を受けて第1処理用面1から第2処理用面2を離反させる方向に移動させる力を発生させ、上記受圧面の少なくとも一部は、第2処理用面2にて構成され、接近離反可能且つ相対的に回転する第1処理用面1と第2処理用面2との間に圧力が付与された一方の被処理流動体が通されると共に、他の一方の被処理流動体が、両処理用面1、2間に供給されることにより、両被処理流動体が所定厚みの薄膜流体を形成しながら両処理用面1、2間を通過し、通過中の被処理流動体が混合させることで、被処理流動体間における、所望の混合(反応)を促進させるものであり、接面圧力付与機構4の接面圧力と、流体圧付与機構pが付与する流体圧力の両処理用面1、2間を離反させる力との均衡によって、上記の所定厚みの薄膜流体を発生させる微小間隔を両処理用面1、2間に保つものを採用することができる。
この流体処理装置において、第2導入部も、第1導入部に接続されたのと同様の、別途の流体圧付与機構に接続されて、加圧されるものとしても実施できる。また、第2導入部から導入される被処理流動体は、別途の流体圧付与機構にて加圧されるのではなく、第1導入部にて導入される被処理流動体の流体圧にて第2導入部内に生じる負圧により、両処理用面1、2間に吸引されて供給されるものとしても実施できる。更に、当該他方の被処理流動体は、第2導入部内を、自重にて移動即ち上方より下方に流れて、処理用面1、2間に供給されるものとしても実施できる。
上記のように、一方の被処理流動体の装置内への供給口となる第1導入部の開口部を第2ホルダに設けるものに限定されるものではなく、第1導入部の当該開口部を第1ホルダに設けるものとしてもよい。また、第1導入部の当該開口部を、両処理用面の少なくとも一方に形成して実施することもできる。但し、反応によって、先に処理用面1、2間に導入しておく必要のある被処理流動体を、第1導入部から供給する必要がある場合において、他方の被処理流動体の装置内への供給口となる第2導入部の開口部は、何れかの処理用面において、上記第1導入部の開口部よりも、下流側に配置する必要がある。
更に、本願発明の実施に用いる流体処理装置として、次のものを採用することができる。
この流体処理装置は、混合(反応)させる2種以上の被処理流動体を別々に導入する複数の導入部と、当該2種以上の被処理流動体の少なくとも一つに圧力を付与する流体圧付与機構pと、この被処理流動体が流される密封された流体流路に設けられた第1処理用部10と第1処理用部10に対して相対的に接近離反可能な第2処理用部20の少なくとも2つの処理用部と、これらの処理用部10、20において互いに対向する位置に設けられた第1処理用面1及び第2処理用面2の少なくとも2つの処理用面1、2と、第1処理用部10と第2処理用部20とを相対的に回転させる回転駆動機構とを備え、両処理用面1、2間にて、被処理流動体間の混合(反応)処理を行うものであって、第1処理用部10と第2処理用部20のうち少なくとも第2処理用部20は、受圧面を備えるものであり、且つ、この受圧面の少なくとも一部が第2処理用面2により構成され、受圧面は、流体圧付与機構が被処理流動体に付与する圧力を受けて第1処理用面1から第2処理用面2を離反させる方向に移動させる力を発生させ、更に、第2処理用部20は、第2処理用面2と反対側を向く接近用調整面24を備えるものであり、接近用調整面24は、被処理流動体に掛けた所定の圧力を受けて第1処理用面1に第2処理用面2を接近させる方向に移動させる力を発生させ、上記接近用調整面24の接近離反方向の投影面積と、上記受圧面の接近離反方向の投影面積との面積比により、被処理流動体から受ける全圧力の合力として、第1処理用面1に対する第2処理用面2の離反方向へ移動する力が決まるものであり、接近離反可能且つ相対的に回転する第1処理用面1と第2処理用面2との間に圧力が付与された被処理流動体が通され、当該被処理流動体に混合(反応)させる他の被処理流動体が両処理用面間において混合され、混合された被処理流動体が所定厚みの薄膜流体を形成しながら両処理用面1、2間を通過することで、処理用面間の通過中に所望の生成物を得るものである。
また、本願発明に係る流体処理方法について纏めると、この流体処理方法は、第1の被処理流動体に所定の圧力を付与し、この所定の圧力を受けた被処理流動体が流される密封された流体流路へ、第1処理用面1及び第2処理用面2の少なくとも2つの相対的に接近離反可能な処理用面を接続し、両処理用面1、2を接近させる接面圧力を付与し、第1処理用面1と第2処理用面2とを相対的に回転させ且つこれらの処理用面1、2間に被処理流動体を導入するものであり、当該被処理流動体と混合(反応)する第2の被処理流動体を上記と別途の流路により、上記処理用面1、2間に導入し、両被処理流動体を混合(反応)させるものであり、少なくとも第1の被処理流動体に付与した上記の所定の圧力を両処理用面1、2を離反させる離反力とし、当該離反力と上記接面圧力とを、処理用面1、2間の被処理流動体を介して均衡させることにより、両処理用面1、2間を所定の微小間隔に維持し、被処理流動体を所定の厚みの薄膜流体として両処理用面1、2間を通過させて、この通過中に両被処理流動体の混合(反応)を均一に行い、析出を伴う反応の場合にあっては所望の反応生成物を晶出または析出させるものである。
以下、本願発明のその他の実施形態について説明する。図25は接近・離反可能な少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する処理用面の間で被処理物を処理する流体処理装置の略断面図である。図26の(A)は図25に示す装置の第1処理用面の略平面図であり、(B)は図25に示す装置の処理用面の要部拡大図である。図27の(A)は第2導入路の断面図であり、(B)は第2導入路を説明するための処理用面の要部拡大図である。
図25においてUは上方を、Sは下方をそれぞれ示している。図26(A)、図27(B)においてRは回転方向を示している。図27(B)においてCは遠心力方向(半径方向)を示している。
この装置は、少なくとも2種類の流体を用いるものであり、そのうちで少なくとも1種類の流体については被処理物を少なくとも1種類含むものであり、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面の間で上記の各流体を合流させて薄膜流体とするものであり、当該薄膜流体中において上記の被処理物を処理する装置である。なお、前記の「処理」とは、被処理物が反応する形態に限られず、反応を伴なわずに混合・分散のみがなされる形態も含む。
図25に示す通り、この装置は、第1ホルダ11と第1ホルダ11の上方に配置された第2ホルダ21と共に流体圧付与機構Pと接面圧付与機構とを備える。接面圧力付与機構は、スプリング43と、エア導入部44とにて構成されている。
第1ホルダ11には第1処理用部10と回転軸50が設けられている。第1処理用部10はメインティングリングと呼ばれる環状体であり鏡面加工された第1処理用面1を備える。回転軸50は第1ホルダ11の中心にボルトなどの固定具81にて固定されたものであり、その後端が電動機などの回転駆動装置82(回転駆動機構)と接続され、回転駆動装置82の駆動力を第1ホルダ11に伝えて当該第1ホルダ11を回転させる。第1処理用部10は上記第1ホルダ11と一体となって回転する。
第1ホルダ11の上部には、第1処理用部10を受容する事が可能な受容部が設けられており、当該受容部内にはめ込む事にて、第1ホルダ11への第1処理用部10の上記取り付けが行われている。さらに第1処理用部10は回り止めピン83にて第1ホルダ11に対して回転しないように固定されている。ただし、回り止めピン83に代え、焼き嵌めなどの方法にて回転しないように固定するものとしても良い。
上記の第1処理用面1は、第1ホルダ11から露出して、第2ホルダ21を臨む。第1処理用面の材質は、セラミックや焼結金属、対磨耗鋼、その他金属に硬化処理を施したものや、硬質材をライニングやコーティング、鍍金などを施工したものを採用する。
第2ホルダ21には、第2処理用部20と、処理用部内側より流体が導入する第1導入部d1と、上記の接面圧付与機構としてスプリング43と、エア導入部44とが設けられている。
第2処理用部20は、コンプレッションリングと呼ばれる環状体であり、鏡面加工された第2処理用面2と、第2処理用面2の内側に位置して当該第2処理用面2に隣接する受圧面23(以下離反用調整面23と呼ぶ。)とを備える。図示の通り、この離反用調整面23は傾斜面である。第2処理用面2に施す鏡面加工は、上記の第1処理用面1と同様の方法を採用する。また、第2処理用部20の素材についても、上記の第1処理用部10と同様のものを採用する。離反用調整面23は、環状の第2処理用部20の内周面25と隣接する。
第2ホルダ21の底部(下部)には、リング収容部41が形成され、そのリング収容部41内に、Oリングと共に第2処理用部20が受容されている。また、回り止め84にて、第2処理用部20は、第2ホルダ21に対して回転しないよう受容されている。上記の第2処理用面2は、第2ホルダ21から露出する。この状態において、第2処理用面2は、第1処理用部10の第1処理用面1と対面する。
この第2ホルダ21が備えるリング収容部41は、第2リング20の、主として処理用面2側と反対側の部位を収容する凹部であり、平面視において、環状に形成された溝である。
リング収容部41は、第2リング20の寸法より大きく形成され、第2リング20との間に十分なクリアランスを持って、第2リング20を収容する。
このクリアランスにより、当該第2処理用部20はこのリング収容部41内にて収容部41の軸方向について、さらに、当該軸方向と交差する方向について変位する事ができるように収容されている。またリング収容部41に対して第2処理用部20の中心線(軸方向)を上記リング収容部41の軸方向と平行ではなくなるように変位可能に当該第2処理用部20は収容されている。
少なくとも第2ホルダ21のリング収容部41には、処理用部付勢部としてスプリング43が設けられている。スプリング43は第2処理用部20を第1処理用部10に向けて付勢する。さらに他の付勢方法として、空気導入部44などの空気圧またはその他の流体圧を供給する加圧手段を用いて第2ホルダ21が保持する第2処理用部20を第1処理用部10へ近づける方向に付勢する方法でもよい。
スプリング43及び空気導入部44などの接面圧付与機構は第2処理用部20の周方向の各位置(処理用面の各位置)を均等に、第1処理用部10へ向けて付勢する。
この第2ホルダ21の中央に上記の第1導入部d1が設けられ、第1導入部d1から処理用部外周側へ圧送されてくる流体は、まず当該第2ホルダ21が保持する第2処理用部20と第1処理用部10と当該第1処理用部10を保持する第1ホルダ11とに囲まれた空間内に導かれる。そして第1処理用部10から第2処理用部20を付勢部の付勢に抗して離反させる方向に、第2処理用部20に設けられた受圧面23に流体圧付与機構Pによる上記流体の送圧(供給圧)を受ける。
なお、他の箇所においては説明を簡略にするため、受圧面23についてのみ説明をしているが、正確に言えば、図29(A)(B)に示すように、上記の受圧面23と共に、後述する溝状の凹部13の第2処理用部20に対する軸方向投影面のうちで、上記受圧面23が設けられていない部分23Xも受圧面として、流体圧付与機構Pによる上記流体の送圧(供給圧)を受ける。
上記受圧面23を設けずに実施する事もできる。その場合、図26(A)に示されたように、接面圧力付与機構が機能するように形成された溝状の凹部13を備えた第1処理用面1が回転する事によって得られる処理用面間への被処理流動体の導入効果(マイクロポンプ効果)を用いても良い。ここでのマイクロポンプ効果とは、第1処理用面1が回転する事で凹部内の流体が凹部13の外周方向先端へと速度を持って進み、次に凹部13の先端に送り込まれた流体がさらに凹部13の内周方向からの圧力を受け、最終的に処理用面を離反させる方向への圧力となり、同時に流体が処理用面間に導入される効果である。さらに回転していない場合であっても、第1処理用面1に設けられた凹部13内の流体が受けた圧力は最終的に離反側に作用する受圧面として第2処理用面2に作用する。
処理用面に設けられた凹部13については、被処理物及び生成物を含む流体の物性に対応してその深さ、処理用面に対して水平方向への総面積、本数、及び形状を実施できる。
なお、上記受圧面23と上記凹部13とを一装置内に共に設けても実施できる。
この凹部13は、深さについては1μm〜50μm、さらに好ましくは3μm〜20μmとし、前記処理用面に設けられた凹部であって、特に限定されないが、処理用面に対して水平方向への総面積が処理用面全体に対して5%〜50%、好ましくは15%〜25%とし、さらに、その本数が、特に限定されないが、3〜50本、好ましくは8〜24本とし、形状が処理用面上をカーブ、もしくは渦巻状で伸びるもの、またはL字状に屈曲するものとする。さらに深さに勾配を持たせる事で高粘度域から低粘度域まで、またマイクロポンプ効果を用いて導入する流体が固体を含む場合にも安定的に処理用面間に流体を導入できる。また、処理用面に設けられた凹部13は導入側つまり処理用面内側で各凹部同士がつながっていても良いし、分断されていても良い。
上記のように受圧面23は傾斜面とされている。この傾斜面(受圧面23)は、被処理流動体の流れ方向を基準とした上流側端部での、凹部13が設けられた処理用部の処理用面に対する軸方向における距離が、下流側端部での同距離に比べて大きくなるように形成される。そしてこの傾斜面は、被処理流動体の流れ方向を基準とした下流側端部が上記凹部13の軸方向投影面上に設置されたものとすることが好ましい。
具体的には図28(A)に示すように、上記傾斜面(受圧面23)の下流側端部60が上記凹部13の軸方向投影面上となるように設置する。上記傾斜面の第2処理用面2に対する角度θ1は0.1°から85°の範囲である事が好ましく、10°から55°の範囲がより好ましく、15°から45°の範囲がさらに好ましい。この角度θ1は、被処理物の処理前の性状によって適宜変更できる。また、上記傾斜面の下流側端部60は、第1処理用面1に設けられた凹部13の上流側端部13−bから下流側に0.01mm離れた位置より、下流側端部13−cから上流側に0.5mm離れた位置までの領域内に設けられる。より好ましくは、上流側端部13−bから下流側に0.05mm離れた位置より、下流側端部13−cから上流側に1.0mm離れた位置までの領域内に設けられる。上記傾斜面の角度と同様、この下流側端部60の位置についても、被処理物の性状に応じて適宜変更できる。また、図28(B)に示すように、傾斜面(受圧面23)をアール面としても実施できる。これにより、被処理物の導入をさらに均一に行うことができる。
凹部13は上記のように連続したものの他、断続するものであっても実施可能である。断続する場合にあっては、断続する凹部13の、第1処理用面1の最も内周側における上流側端部が上記13−bとなり、同じく第1処理用面1の最も外周側における上流側端部が上記13−cとなる。
また、上記では凹部13を第1処理用面1に形成するものとし、受圧面23を第2処理用面2に形成するものとしたが、逆に、凹部13を、第2処理用面2に形成するものとし、受圧面23を第1処理用面1に形成するものとしても実施可能である。
更には、凹部13を第1処理用面1と第2処理用面2の両方に形成し、凹部13と受圧面23を各処理用面1、2の周方向に交互に設けることによって、第1処理用面1に形成した凹部13と第2処理用面2に形成した受圧面23とが対向し、同時に、第1処理用面1に形成した受圧面23と第2処理用面2に形成した凹部13とが対向するものとすることも可能である。
処理用面に、凹部13とは異なる溝を施す事もできる。具体的な例としては図16(F)や図16(G)のように凹部13よりも径方向外側(図16(F))もしくは径方向内側(図16(G))に、放射状に伸びる新規な凹部14を施す事ができる。これは、処理用面間の滞留時間を延ばしたい場合や、高粘稠物の流体を処理する場合に有利である。
尚、凹部13とは異なる溝については、形状、面積、本数、深さに関しては特に限定されない。目的に応じて当該溝を施す事ができる。
上記の第2処理用部20には上記処理用面に導入された流体の流路とは独立し、処理用面間に通じる開口部d20を備える第2導入部d2が形成されている。
具体的には、第2導入部d2は、図27(A)に示すように、上記の第2処理用面2の開口部d20からの導入方向が、第2処理用面2に対して所定の仰角(θ1)で傾斜している。この仰角(θ1)は、0度を超えて90度未満に設定されており、さらに反応速度が速い反応の場合には1度以上45度以下で設置されるのが好ましい。
また、図27(B)に示すように、上記の第2処理用面2の開口部d20からの導入方向が、上記の第2処理用面2に沿う平面において、方向性を有するものである。この第2流体の導入方向は、処理用面の半径方向の成分にあっては中心から遠ざかる外方向であって、且つ、回転する処理用面間における流体の回転方向に対しての成分にあっては順方向である。言い換えると、開口部d20を通る半径方向であって外方向の線分を基準線gとして、この基準線gから回転方向Rへの所定の角度(θ2)を有するものである。
この角度(θ2)についても、0度を超えて90度未満に設定されており、図27(B)の網かけ部分に向けて開口部d20から吐出される。さらに反応速度が速い反応の場合には、当該角度(θ2)は小さいものであってもよく、反応速度が遅い場合には、当該角度(θ2)も大きく設定することが好ましい。また、この角度は、流体の種類、反応速度、粘度、処理用面の回転速度などの種々の条件に応じて、変更して実施することができる。
開口部d20の口径は、好ましくは0.2μm〜3000μm、より好ましくは10μm〜1000μmとする。また実質的には、開口部d20の径が流体の流れに影響を及ばさない場合には、第2導入部d2の径が当該範囲内に設定されればよい。また、直進性を求める場合と、拡散性を求める場合とで、開口部d20の形状などを変化させることも好ましく、これらは流体の種類、反応速度、粘度、処理用面の回転速度などの種々の条件に応じて、変更して実施することができる。
さらに、前記別流路における開口部d20は、第1処理用面1に設けられた凹部からマイクロポンプ効果によって導入される際の流れ方向が処理用面間で形成されるスパイラル状で層流の流れ方向に変換される点よりも外径側に設置すればよい。つまり図26(B)において、第1処理用面1に設けられた凹部13の最も処理用面径方向外側から径方向外側への距離nを0.5 mm以上とするのが好ましい。さらに開口部を同じ流体に対して複数個設ける場合には同心円上に設置するのが好ましい。また、開口部を異なる流体に対して複数個設ける場合には半径の異なる同心円上に設置するのが好ましい。(1) A+B→C (2) C+D→E のような反応が順番どおり実行され、A+B+C→F のような本来同時反応すべきでは無い反応が起こることや、被処理物が効率よく接触せず反応が実行されないというような問題を回避するのに効果的である。
また上記処理用部を流体中に浸し、上記処理用面間にて混合(反応)させて得られた流体を直接処理用部の外部にある液体、もしくは空気以外の気体に投入して実施できる。
さらに処理用面間もしくは処理用面から吐出された直後の被処理物に超音波エネルギーを付加する事もできる。
次に、上記第1処理用面1と第2処理用面2との間、つまり処理用面間に温度差を生じさせるために、第1処理用部10及び第2処理用部20の少なくとも一つに温調機構(温度調整機構)J1、J2を設けた場合について説明する。
この温調機構は特に限定されないが、冷却が目的の場合には処理用部10、20に冷却部を設ける。具体的には、温調用媒体としての氷水や各種の冷媒を通す配管、あるいはペルチェ素子などの、電気的もしくは化学的に冷却作用をなすことのできる冷却素子を処理用部10、20に取り付ける。
加熱が目的の場合には処理用部10、20に加熱部を設ける。具体的には、温調用媒体としてのスチームや各種の温媒を通す配管、あるいは電気ヒーターなどの、電気的もしくは化学的に発熱作用をなすことのできる発熱素子を処理用部10、20に取り付ける。
また、リング収容部に処理用部と直接接する事の出来る新たな温調用媒体用の収容部を設けても良い。それらにより、処理用部の熱伝導を用いて処理用面を温調する事ができる。また、処理用部10、20の中に冷却素子や発熱素子を埋め込んで通電させたり、冷温媒通過用通路を埋め込んでその通路に温調用媒体(冷温媒)を通す事で、内側より処理用面を温調する事もできる。なお、図25に示した温調機構J1、J2は、その一例であって、各処理用部10、20の内部に設けられた温調用媒体を通す配管(ジャケット)である。
上記温調機構J1、J2を利用して、一方の処理用面が他方の処理用面よりも温度が高いものとし、処理用面間に温度差を発生させる。例えば、第1処理用部10を上記いずれかの方法で60℃に加温し、第2処理用部20を上記いずれかの方法で15℃とする。この際、処理用面間に導入された流体の温度は第1処理用面1から第2処理用面2に向かって60℃から15℃に変化する。つまり、この処理用面間における流体に温度勾配が発生する。そして、処理用面間の流体はその温度勾配によって対流し始め、処理用面に対して垂直方向の流れが発生する事になる。なお、上記「垂直方向の流れ」とは、流れの方向成分に、少なくとも上記処理用面に対して垂直方向の成分が含まれるものを指す。
第1処理用面1もしくは第2処理用面2が回転している場合にも、その処理用面に対して垂直方向の流れは継続されるので、処理用面が回転する事による処理用面間のスパイラル状で層流の流れに、垂直方向の流れを付加する事ができる。この処理用面間の温度差は1〜400度、好ましくは5〜100度で実施できる。
尚、本装置における回転軸50は、鉛直に配置されたものに限定されるものではない。例えば斜めに配置されていてもよい。処理中、両処理用面1、2間に形成される流体の薄膜により、実質的に重力の影響を排除できるからである。図25に示す通り、第1導入部d1は、第2ホルダ21において、第2リング20の軸心と一致し、上下に鉛直に伸びる。但し、第1導入部d1は、第2リング20の軸心と一致しているものに限定されるものではなく、両リング10、20に囲まれた空間に、第1被処理流動体を供給できるものであれば、第2ホルダ21の中央部分22において、上記軸心以外の位置に設けられていてもよく、更に、鉛直でなく、斜めに伸びるものであってもよい。そのどの配置角度の場合であっても、処理用面間の温度勾配によって処理用面に対して垂直な流れを発生させる事を可能としている。
上記処理用面間における流体の温度勾配において、その温度勾配が小さければ流体に熱伝導が行われるだけであるが、温度勾配がある臨界値を越えると、流体中にベナール対流という現象が発生する。その現象は、処理用面間の距離をL、重力の加速度をg、流体の体積熱膨張率をβ、流体の動粘性率をν、流体の温度伝導率をα、処理用面間の温度差をΔTとするとき、
Ra=L3・g・β・ΔT/(α・ν)
で定義される無次元数であるレイリー数Raによって支配される。ベナール対流が生じ始める臨界レイリー数は処理用面と被処理物流体との境界面の性質によって異なるが約1700とされている。それより大きな値ではベナール対流が発生する。さらに、そのレイリー数Raが1010付近より大きな値の条件となると流体は乱流状態となる。つまり、その処理用面間の温度差ΔTもしくは処理用面の距離Lを、レイリー数Raが1700以上になるようにして本装置を調節する事で、処理用面間に処理用面に対して垂直方向の流れを発生する事ができ、上記混合(反応)操作を実施できる。
しかし上記ベナール対流は、1〜10μm程度の処理用面間の距離においては発生しにくい。厳密には10μm以下の間隔中の流体に上記レイリー数を適用し、ベナール対流発生条件を検討すると、水の場合でその温度差に数千℃以上を必要とする事になり、現実的には難しい。ベナール対流は流体の温度勾配における密度差による対流、つまり重力に関係する対流である。10μm以下の処理用面の間は微小重力場である可能性が高く、そのような場所では浮力対流は抑制される。つまり、この装置で現実的にベナール対流が発生するのは、処理用面間の距離が10μmを超える場合である。
処理用面間の距離が1〜10μm程度では、密度差による対流ではなく、温度勾配による流体の表面張力差によって対流が発生している。そのような対流がマランゴニ対流であり、処理用面間の距離をL、流体の動粘性率をν、流体の温度伝導率をα、処理用面間の温度差をΔT、流体の密度をρ、表面張力の温度係数(表面張力の温度勾配)をσとするとき、
Ma=σ・ΔT・L/(ρ・ν・α)
で定義される無次元数であるマランゴニ数によって支配される。マランゴニ対流が発生し始める臨界マランゴニ数は80付近であり、その値よりも大きな値となる条件ではマランゴニ対流が発生する。つまり、その処理用面間の温度差ΔTもしくは処理用面の距離Lを、マランゴニ数Ma が80以上になるようにして本装置を調節する事で、10μm以下の微小流路であっても処理用面間に処理用面に対して垂直方向の流れを発生させる事ができ、上記混合(反応)操作を実施できる。
レイリー数の計算には以下の式を用いた。
L:処理用面間の距離[m]、 β:体積熱膨張率[1/K]、 g:重力加速度[m/s2]
ν:動粘性率[m2/s]、 α:温度伝導率[(m2/s)]、 ΔT:処理用面間の温度差[K]
ρ:密度[kg/m3]、 Cp:定圧比熱[J/kg・K]、 k:熱伝導率[W/m・K]
T1:処理用面における高温側の温度[K]、 T0:処理用面における低温側の温度[K]
ベナール対流の発生し始めるときのレイリー数を臨界レイリー数Racとした場合、そのときの温度差ΔTc1は以下のように求められる。
マランゴニ数の計算には以下の式を用いた。
L:処理用面間の距離[m]、 ν:動粘性率[m2/s]、 α:温度伝導率[(m2/s)]
ΔT:処理用面間の温度差[K]、 ρ:密度[kg/m3]、 Cp:定圧比熱[J/kg・K]
k:熱伝導率[W/m・K]、 σt:表面張力温度係数[N/m・K]
T1:処理用面における高温側の温度[K]、 T0:処理用面における低温側の温度[K]
マランゴニ対流の発生し始めるマランゴニ数を臨界マランゴニ数Macとした場合、そのときの温度差ΔTc2は以下のように求められる。
接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1、2の材質は、特に制限されないが、セラミックや焼結金属、耐磨耗鋼、その他金属もしくは、金属に硬化処理を施したものや、硬質材をライニングやコーティング、メッキなどにより施工したもの等で作成することが出来る。本発明での、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1、2間の距離は、0.1μm〜100μmであり、特に1〜10μmが好ましい。
以下に、本発明をさらに具体的に、いくつかの化学反応を例としてより詳細に説明する。しかし、本発明はこの形態にとらわれるものではない。有機化合物を出発原料とする全ての有機反応における一例を列挙するに過ぎない。また、「第1流体、第1導入部d1」、「第2流体、第2導入部d2」についても、その投入順序を限定するものではなく、第1流体と第2流体が入れ替わってもなんら差し支えない。
本発明における有機反応は、図1(A)に示す装置の、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間で強制的に均一混合しながら起こる。
(1:フリーデル-クラフツアシル化反応)
まず、フリーデル-クラフツアシル化反応は一般的に以下の化学反応式で示される。
上記Xはハロゲン元素であり、特にCl、Brが好ましい。
本発明におけるフリーデル-クラフツアシル化反応は上記のように芳香環に対してアシル基が求電子置換する反応のことである。
上記フリーデル-クラフツアシル化反応の場合には、一つの流路である第1導入部d1より、第1流体としてアシル化剤及び強酸をそれぞれ少なくとも1種類含む流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間に導入して、この処理用面間に第1流体膜を作る。
上記フリーデル-クラフツアシル化反応に用いるアシル化剤として好ましいものは、脂肪族および芳香族カルボン酸、脂肪族および芳香族ハロカルボン酸、脂肪族および芳香族スルホン酸とそれらの混合酸無水物および対称酸無水物からなる群から選択された物質を用いた酸ハライド、ケテン類、エステル類、ラクトン類およびアミド類である。また、混合酸無水物および無水フェニル酪酸からなる群からの酸無水物を用いても実施できる。
上記フリーデル-クラフツアシル化反応に用いる強酸としては特に限定されないが、触媒的に活性な酸が好ましい。特にクロロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水トリフルオロメタンスルホン酸およびジハロゲン化リン酸、硫酸、スルホン酸、例えばアルキルスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸)またはアリールスルホン酸、鉄(III)ハロゲン化物、四塩化スズ、アルミニウムハロゲン化物、アルキルアルミニウムハロゲン化物、ホウ素三ハロゲン化物、BeCl、CdCl、ZnCl
、GaCl 、SbCl 、BiCl 、TiCl、ZrCl、VCl
、SbCl 、アルキル金属化合物、金属アルコキシド、錯体化合物(例えば、MeTiCl、Pd(PPh4、RuCl(PPh)、ルイス酸からなる群から選択される酸が好ましい。
次いで別流路である第2導入部d2より、第2流体として、有機化合物を少なくとも1種類含む流体を、上記処理用面1,2間に作られた第1流体膜に直接導入する。
上記フリーデル-クラフツアシル化反応に用いる有機化合物としては、芳香環を有するものであれば特に限定されないが、オレフィン類、芳香族化合物(例えば、アニソール)、ヘテロ芳香族化合物およびメタロセンからなる群から選択される化合物を用いて行うことができる。
上記フリーデル-クラフツアシル化反応で用いる有機化合物とアシル化剤と強酸とは液状または溶液状であることが好ましく、そのために用いることができる溶媒は、イオン交換水、精製水、水道水、超純水などの水や有機溶媒など、特に限定されないが、好ましくは塩素化炭化水素、パラフィン類、エーテル類、酸アミド類、ニトリル類、二硫化炭素、ニトロ脂肪族化合物、およびニトロ芳香族化合物からなる群から選択される溶媒である。
上記のように、流体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力との圧力バランスによって距離を制御された処理用面1,2間にて、薄膜流体中で第1流体と第2流体とが合流する。その薄膜流体中で第1流体と第2流体とが混合され、上記2種の物質を反応させる。より具体的には、フリーデル-クラフツアシル化反応を行うことが出来る。
また、有機化合物とアシル化剤と強酸の全てを処理用面間での反応に影響を与えない程度に混合した流体を第1流体若しくは第2流体として用いても実施できる。
(2:フリーデル-クラフツアルキル化反応)
次に、フリーデル-クラフツアルキル化反応は一般的に以下の化学反応式で示される。
上記Xはハロゲン元素であり、特にCl、Brが好ましい。
本発明におけるフリーデル-クラフツアルキル化反応は上記のように芳香環に対してアルキル基が求電子置換する反応のことである。
上記フリーデル-クラフツアルキル化反応の場合には、一つの流路である第1導入部d1より、第1流体として触媒を少なくとも1種類含む流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間に導入して、この処理用面間に第1流体膜を作る。
上記フリーデル-クラフツアルキル化反応に用いる触媒としては特に限定されないが、好ましくはルイス酸(所望するならばイオン性液体に溶解したもの)、プロトン酸(protic acid)、イオン性液体、有機金属触媒および/またはこれらの混合物である。特に好ましくはクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸無水物、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、二ハロゲン化リン酸、硫酸、塩化水素、リン酸、スルホン酸(極めて特に好ましくは、例えばメタンスルホン酸またはアリルスルホン酸などのアルキルスルホン酸)、三ハロゲン化鉄、四塩化スズ、ハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化アルキルアルミニウム、三ハロゲン化ホウ素、例えばテトラクロロアルミン酸N−ブチル−N−メチルイミダゾリウム、テトラクロロアルミン酸N−エチル−N−メチルイミダゾリウム、テトラフルオロホウ酸N−エチル−N−メチルイミダゾリウムまたはN−アルキル化ピリジニウムイミダゾリウム塩、特にこれらのテトラフルオロホウ酸塩および/またはヘキサフルオロリン酸塩などの室温で共晶液状であるイオン性液体、ハロゲン化アンチモン、BeCl、CdCl
、ZnCl 、GaCl 、BiCl 、TiCl、ZrCl
、VCl 、アルキル金属化合物、金属アルコキシド、TiCl (CH、Pd(PPh、RuCl(PPhまたはこれら触媒の混合物である。
次いで別流路である第2導入部d2より、第2流体として、アルキル化試薬および有機化合物を少なくとも1種類含む流体を、上記処理用面1,2間に作られた第1流体膜に直接導入する。
上記フリーデル-クラフツアルキル化反応に用いるアルキル化試薬として好ましいものは、オレフィン(特に好ましくはエテン、プロペン、ドデセンまたは20〜30個の炭素原子の鎖長を有する直鎖オレフィン)、ハロゲン化アルキル(特に好ましくは塩化メチル、ヨウ化メチル、塩化エチル、塩化イソプロピル、塩化tert−ブチル、塩化ベンジルまたは塩化シクロヘキシル)、アルコール、エーテル、無機および有機酸エステル、エポキシド、アルデヒド、ケトン、チオール、硫酸ジアルキル、p−トリルスルホン酸アルキル、トリフルオロメタンスルホン酸またはそのエステル、脂肪族ジアゾ化合物および/またはテトラフルオロホウ酸トリアルキルオキソニウムである。
上記フリーデル-クラフツアルキル化反応に用いる有機化合物としては、芳香環を有するものであれば特に限定されないが、好ましくは芳香族またはヘテロ芳香族化合物である。これらの芳香族またはヘテロ芳香族化合物は、単環式および多環式化合物だけでなく、単環式および/または多環式、ホモまたはヘテロ芳香族式基本構造、または、例えば置換基の形での部分構造を有する化合物を含む。使用する芳香族化合物は、特に好ましくはベンゼン、ナフタレン、アズレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、フルオレン、例えば、オルト−及びパラ−ベンゾキノンなどのキノン、ナフトキノン、フルオレノン、アントロン、フェナントロン、アントラキノン、および/または、これらの誘導体、特にこれらのアルキル誘導体である。
また、上記フリーデル-クラフツアルキル化反応に用いるヘテロ芳香族化合物は、好ましくは、酸素含有ヘテロ芳香族化合物および/またはその誘導体であり、特に好ましくは、例えばベンゾ縮合フラン、ジベンゾフランなどのフラン、ジベンゾジオキサン、ピリリウムカチオンおよびベンゾピラノンである。
同様に、窒素含有芳香族化合物および/またはそれらの誘導体であり、特に好ましくは、例えば、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリジニウム塩、トリアジン、テトラジン、ピリジンN−オキシド、例えばインドール、カルバゾール、ベンズイミダゾールまたはベンゾトリアゾールなどのベンゾ縮合ピロール、フェナジン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、フェナントロリン、ビピリジルおよびその高級同族体、アクリジン、アクリドンおよび/またはピレンである。
さらに、硫黄含有ヘテロ芳香族化合物および/またはその誘導体であり、特に好ましくは、例えば、チオフェン、ベンゾ縮合チオフェン、特にベンゾチオフェンまたはジベンゾチオフェン、および、アセナフチレン、チアゾール、イソチアゾール、ビフェニレン、プリン、ベンゾチアジアゾール、オキサゾールおよび/またはイソキサゾールである。
そして上記ヘテロ芳香族化合物の他に使用できる有機化合物は、同様に、その有機部分がフリーデル−クラフツアルキル化でアルキル化できる有機金属化合物が好ましい。特に好ましくは周期表の第4〜第8亜族に属する金属のメタロセン、極めて特に好ましくは、少なくとも1個のシクロペンタジエニルリガンドを有する周期表の第4〜第8亜族に属する金属のメタロセンである。
上記フリーデル-クラフツアルキル化反応で用いる触媒とアルキル化試薬と有機化合物とは液状または溶液状であることが好ましく、そのために用いることができる溶媒は用いることができる溶媒は、イオン交換水、精製水、水道水、超純水などの水や有機溶媒など、特に限定されないが、好ましくはハロゲン化炭化水素(特に好ましくはジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンまたは1,1,2,2−テトラクロロエタン)、パラフィン、ヘキサン、リグロイン、エーテル(特に好ましくはジエチルエーテル)、酸アミド(特に好ましくはN,N−ジメチルホルムアミド)、ニトリル(特に好ましくはアセトニトリル)、二硫化炭素、ニトロ脂肪族化合物(特に好ましくはニトロメタン)、ニトロ芳香族化合物、(特に好ましくはニトロベンゼン)、または、これらの混合物である。
使用する溶媒は上記に加えて、室温で共晶液状のイオン性液体が好ましい。使用するイオン性液体は、特に好ましくはテトラクロロアルミン酸N−ブチル−N−メチルイミダゾリウム、テトラクロロアルミン酸N−エチル−N−メチルイミダゾリウム、テトラフルオロホウ酸N−エチル−N−メチルイミダゾリウム、N−アルキル化ピリジニウムイミダゾリウム、特にこれらのテトラフルオロホウ酸塩および/またはヘキサフルオロリン酸塩、または、これらの混合物である。
上記のように、流体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力との圧力バランスによって距離を制御された処理用面1,2間にて、薄膜流体中で第1流体と第2流体とが合流する。その薄膜流体中で第1流体と第2流体とが混合され、上記2種の物質を反応させる。より具体的には、フリーデル-クラフツアルキル化反応を行うことが出来る。
また、触媒とアルキル化試薬と有機化合物の全てを処理用面間での反応に影響を与えない程度に混合した流体を第1流体若しくは第2流体として用いても実施できる。
(3:ニトロ化反応)
次に、ニトロ化反応は一般的に以下の化学反応式で示される。
本発明におけるニトロ化反応は上記のように硝酸を作用させ親電子置換反応でニトロ基を導入する事を含む。好ましくは硫酸酸性条件下で硝酸を作用させる。硫酸は硝酸より強い酸であり、硝酸をプロトン化し、脱水することによりニトロニウムイオン(NO2 +)を生成させ反応性を高める。
上記ニトロ化反応の場合には、一つの流路である第1導入部d1より、第1流体としてニトロ化試薬を少なくとも1種類含む流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間に導入して、この処理用面間に第1流体膜を作る。
上記ニトロ化反応に用いるニトロ化試薬として好ましいものは、希硝酸、100%硝酸、100%硫酸に溶かした硝酸カリウムなどの硝酸塩、硝酸と硫酸の混合物(ニトロ化酸)、一般的な硝酸エステル、無機の無水物および有機の無水物と硝酸との混合物、五酸化二窒素である。
次いで別流路である第2導入部d2より、第2流体として、有機化合物を少なくとも1種類含む流体を、上記処理用面1,2間に作られた第1流体膜に直接導入する。
上記ニトロ化反応に用いる有機化合物としては、特に限定されないが、好ましくはトルエン、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、N−メトキシカルボニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、ベンゾフランの誘導体、更に適当な有機化合物は全ての一環式および多環式の、ホモ芳香族またはヘテロ芳香族化合物、並びに一環式または多環式の、ホモ芳香族またはヘテロ芳香族の基本的な構造または例えば、置換基の形態の部分構造を有する化合物である。適当な芳香族化合物は特にベンゼンおよびその誘導体、ナフタレンおよびその誘導体、アズレンおよびその誘導体、アントラセンおよびその誘導体、フェナントレンおよびその誘導体、ピレンおよびその誘導体、フルオレンおよびその誘導体、例えば、オルト−およびパラ−ベンゾキノンなどのキノンおよびその誘導体、公知の全てのナフトキノンおよびその誘導体、フルオレノン、アントロン、フェナントロン、全ての公知のアントラキノンおよびその誘導体である。またその他使用可能なヘテロ芳香族化合物は例えば、ベンゾ縮合フランとその誘導体などの酸素含有ヘテロ芳香族システム(フラン)およびその誘導体、ジベンゾフランおよびその誘導体、ジベンゾジオキサンおよびその誘導体、ピリリウムカチオンおよびその誘導体、ベンゾピラノンおよびその誘導体、例えばピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリジニウム塩、トリアジン、テトラジン、ピリジン−N−オキシドおよびその誘導体、ベンゾ縮合ピロール(インドール、カルバゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール)およびその誘導体、フェナジンおよびその誘導体、キノリンおよびイソキノリン、キノリン、キナゾリン、キノキサリン、フェナントロリンおよびその誘導体、ビピリジルおよびその高い同族体、アクリジン、アクリドンおよびその誘導体、ピレンおよびその誘導体、などの窒素含有ヘテロ芳香族システムおよびその誘導体、適当な硫黄含有ヘテロ芳香族システムおよびその誘導体、例えば、チオフェンおよびその誘導体、ベンゾ縮合チオフェン(ベンゾチオフェンおよびジベンゾチオフェン)およびその誘導体である。さらにアセナフチレン、チアゾール、イソチアゾール、ビフェニレン、プリン、ベンゾチアジアゾール、オキサゾール、イソオキサゾールを使用することも可能である。
上記ニトロ化反応で用いるニトロ化試薬と有機化合物とは液状または溶液状であることが好ましく、そのために用いることができる溶媒は、イオン交換水、精製水、水道水、超純水などの水や有機溶媒など、特に限定されないが、例えば、硫酸、硝酸、酢酸、トリフルオロ酢酸などの希釈および濃厚酸、無水酢酸、トリフルオロ酢酸無水物などの酸無水物、濃硫酸とKNO3、その他の任意の組み合わせの酸と塩の混合物、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、テトラクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、エチルアセテートなどのエステル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、t-ブチルメチルエーテルなどのエーテル、全てのタイプの上記の溶媒の混合物、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミン酸塩、n−ブチルピリジウムテトラクロロアルミン酸塩または1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラヒドロ硼酸塩などのイオン性溶媒等である。
上記のように、流体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力との圧力バランスによって距離を制御された処理用面1,2間にて、薄膜流体中で第1流体と第2流体とが合流する。その薄膜流体中で第1流体と第2流体とが混合され、上記2種の物質を反応させる。より具体的には、ニトロ化反応を行うことが出来る。
また、ニトロ化試薬と有機化合物の全てを処理用面間での反応に影響を与えない程度に混合した流体を第1流体若しくは第2流体として用いても実施できる。
(4:臭素化反応)
次に、臭素化反応の場合には、一つの流路である第1導入部d1より、第1流体として臭素化試薬および必要に応じて触媒をそれぞれ少なくとも1種類含む流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間に導入して、この処理用面間に第1流体膜を作る。
上記臭素化反応に用いる臭素化試薬として好ましいものは、単体の臭素であり、ジブロモイソシアヌリックアシッド、N−ブロモサクシンイミド、次亜臭素酸、有機次亜臭素酸塩、特に好ましくはトリフルオロ次亜臭素酸塩、N−ブロモアセタミド、N−ブロモフタルイミド、ピリジニウム過ブロマイドおよび/またはジオキサンジブロマイドである。
上記臭素化反応に、必要に応じて用いる触媒としては特に限定されないが好ましくはヨウ素単体、無機酸(特に好ましくは硫酸または硝酸および/またはルイス酸)、特に好ましくはハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化鉄、ハロゲン化亜鉛、またはハロゲン化アンチモンである。また、触媒は第1流体もしくは第2流体の少なくともどちらか一方に用いればよい。触媒が不活性である流体に用いることが好ましい。
次いで別流路である第2導入部d2より、第2流体として、有機化合物を少なくとも1種類含む流体を、上記処理用面1,2間に作られた第1流体膜に直接導入する。
上記臭素化反応に用いる有機化合物としては、特に限定されないが、好ましくは芳香族または複素芳香族(heteroaromatic)化合物である。これらの芳香族化合物または複素芳香族化合物は単環式または多環式化合物並びに単環式および/または多環式の、ホモ芳香族(homoaromatic)または複素芳香族基本化合物、または例えば、置換基の形の部分構造を有する化合物を包含する。臭素化反応に用いる有機化合物は、有機部分が臭素化を受け入れる有機金属化合物も包含する。さらに、用いられる有機化合物は、同様に好ましくはカルボニル基に対してα位に少なくとも1個の水素を有するアルデヒドまたはケトンであり、更に不飽和の脂肪族化合物である。さらに、用いられる芳香族化合物は、好ましくはアルキル化芳香族化合物、極めて好ましくはトルエン、キシレン、またはメシチレン、ベンゼン、ナフタレン、アズレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、フルオレン、例えばオルトまたはパラベンゾキノン、ナフトキノンなどのキノン、フルオレノン、アントロン、フェナントロン、アントラキノンおよび/またはこれらの誘導体である。さらに、用いられる複素芳香族化合物は、特に好ましくは酸素含有の、複素芳香族化合物および/またはその誘導体であり、極めて特に好ましくは例えばベンゾ縮合フラン、ジベンゾフラン、ジベンゾジオキサンなどのフラン、ピリリウムカチオンまたはベンゾピラノンである。同様に例えば、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリジニウム塩、トリアジン、テトラジン、ピリジンN−オキサイドなどの窒素含有の、複素芳香族化合物および/またはその誘導体、例えば、インドール、カルバゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、フェナジン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、フェナントロリン、ビピリジル、更にそれ以上の同族体などのベンゾ縮合ピロール、アクリジン、アクリドンおよび/またはピレン等が好ましい。さらに、特に硫黄含有の複素化合物および/またはその誘導体、例えば、チオフェン、ベンゾ縮合チオフェン、特にベンゾチオフェンまたはジベンゾチオフェンなど、アセナフチレン、チアゾール、イソチアゾール、ビフェニレン、プリン、ベンゾチアジアゾール、オキサゾールおよび/またはイソキサゾールが特に好ましい。
上記臭素化反応で用いる臭素化試薬と触媒と有機化合物とは液状または溶液状であることが好ましく、そのために用いることができる溶媒は、イオン交換水、精製水、水道水、超純水などの水や有機溶媒など、特に限定されないが、好ましくはハロゲン化炭化水素(特に好ましくはジクロロメタン、クロロホルム、テトタクロロメタンまたはテトラクロロエタン)、エステル(特に好ましくは酢酸エチル)、エーテル(特に好ましくはテトラヒドロフラン、ジエチルエーテルまたはtert−ブチルメチルエーテル)、カルボン酸(特に好ましくは酢酸)、または、これらの混合物である。
上記のように、流体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力との圧力バランスによって距離を制御された処理用面1,2間にて、薄膜流体中で第1流体と第2流体とが合流する。その薄膜流体中で第1流体と第2流体とが混合され、上記2種の物質を反応させる。より具体的には、臭素化反応を行うことが出来る。
また、臭素化試薬と有機化合物の全て、もしくは、臭素化試薬と触媒と有機化合物の全てを処理用面間での反応に影響を与えない程度に混合した流体を第1流体若しくは第2流体として用いても実施できる。
(5:バイヤー−ヴィリガー酸化反応)
次に、バイヤー−ヴィリガー酸化反応の場合には、一つの流路である第1導入部d1より、第1流体として、酸化剤を少なくとも1種類含む流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間に導入して、この処理用面間に第1流体膜を作る。
上記バイヤー−ヴィリガー酸化反応に用いる酸化剤としては、特に限定されないが、好ましいものは、酸化剤を、純粋な形態または混合物の形態のいずれかで用いることができる。酸化剤は、より好ましくは純粋な形態で用いる。混合物の形態とする場合、好ましくは、無機または有機過酸化物、過酸化水素、過酸化水素および尿素の付加物、遷移金属のペルオキソ錯体、ペルオキソ化合物と有機酸および/または無機酸および/またはルイス酸、有機過酸、無機過酸、ジオキシランとの混合物、あるいはこれらの酸化剤の混合物でとして用いる。用いられる無機過酸化物は、特に好ましくは、過酸化アンモニウム、アルカリ金属過酸化物、過硫酸アンモニウム、アルカリ金属過硫酸塩、過ホウ酸アンモニウム、アルカリ金属過ホウ酸塩、過炭酸アンモニウム、アルカリ金属過炭酸塩、アルカリ土類金属過酸化物、過酸化亜鉛またはこれらの酸化剤の混合物である。用いられるアルカリ金属過酸化物は、好ましくは、過酸化ナトリウムである。用いられる有機過酸化物は、特に好ましくは、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、メンチルヒドロペルオキシド、1−メチルシクロヘキサンヒドロペルオキシドまたはこれらの化合物の混合物である。用いられる遷移金属のペルオキソ錯体は、特に好ましくは、遷移金属である鉄、マンガン、バナジウムまたはモリブデンのペルオキソ錯体あるいはこれらのペルオキソ錯体の混合物である。また、ここで、ペルオキソ錯体が、2種または3種以上の同一のまたは異なる遷移金属を含むことが可能である。無機酸を有するペルオキソ化合物は、特に好ましくは、硫酸を有するペルオキソ二硫酸カリウムであり、ルイス酸を有するペルオキソ化合物は、特に好ましくは、三フッ化ホウ素を有する過酸化水素である。用いられる有機過酸は、特に好ましくは、過安息香酸、m−クロロ過安息香酸、モノ過フタル酸マグネシウム、過酢酸、ペルオキシトリフルオロ酢酸またはこれらの過酸の混合物である。
次いで別流路である第2導入部d2より、第2流体として、有機カルボニル化合物を少なくとも1種類含む流体を、上記処理用面1,2間に作られた第1流体膜に直接導入する。
上記バイヤー−ヴィリガー酸化反応に用いる有機カルボニル化合物としては、特に限定されないが、好ましくは脂肪族、脂環式(cycloaliphatic)、芳香族または複素芳香族ケトンである。また、本発明のバイヤー−ヴィリガー酸化反応において、種々の有機カルボニル化合物の混合物を用いることが可能であるが、好ましくは、各々の場合において、1種のみのカルボニル化合物を用いる。用いられる有機カルボニル化合物は、特に好ましくは、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンまたはブタノンである。
上記バイヤー−ヴィリガー酸化反応で用いる酸化剤と有機カルボニル化合物とは液状または溶液状であることが好ましく、そのために用いることができる溶媒は、イオン交換水、精製水、水道水、超純水などの水や有機溶媒など、特に限定されないが、好ましくは、ハロゲン化炭化水素(特に好ましくは、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンまたは1,1,2,2−テトラクロロエタン)、パラフィン、ヘキサン、リグロイン、エーテル(特に好ましくはジエチルエーテル)、酸アミド(特に好ましくはN,N−ジメチルホルムアミド)、ニトリル(特に好ましくはアセトニトリル)、二硫化炭素、ニトロ脂肪族化合物(特に好ましくはニトロメタン)、ニトロ芳香族化合物(特に好ましくはニトロベンゼン)、あるいは前述の溶媒の混合物である。
上記のように、流体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力との圧力バランスによって距離を制御された処理用面1,2間にて、薄膜流体中で第1流体と第2流体とが合流する。その薄膜流体中で第1流体と第2流体とが混合され、上記2種の物質を反応させる。より具体的には、バイヤー−ヴィリガー酸化反応を行うことが出来る。
また、酸化剤と有機カルボニル化合物の全てを処理用面間での反応に影響を与えない程度に混合した流体を第1流体若しくは第2流体として用いても実施できる。
(6:メタセシス反応)
次に、メタセシス反応の場合には、一つの流路である第1導入部d1より、第1流体として、メタセシス触媒を少なくとも1種類含む流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間に導入して、この処理用面間に第1流体膜を作る。
上記メタセシス反応に用いるメタセシス触媒としては、特に限定されないが、メタセシス反応に適するすべてのメタセシス触媒または少なくとも2種の触媒の混合物である。好ましくは1種のみのメタセシス触媒を、本発明の方法において用いる。具体的には、カルベンまたはカルビン錯体あるいはこれらの錯体の混合物から選択された少なくとも1種のメタセシス触媒を用いる。特に好ましい態様において用いられるカルベン錯体は、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド(Cl2(Cy3P)2Ru=CHPh、「グラブス(Grubbs)」触媒)、「グラブス」触媒の改変体または誘導体、2,6−ジイソプロピルフェニルイミドネオフィリデンモリブデンビス(ヘキサフルオロ−tert−ブトキシド)(2,6−iPr2C6H3
N=Mo{OC(CF3 )2 Me}2 =CHCMe2 Ph、「シュロック(Schrock)」触媒)、「シュロック」触媒の改変体または誘導体、あるいは前述の錯体の混合物から選択された少なくとも1種の錯体である。
次いで別流路である第2導入部d2より、第2流体として、不飽和有機化合物を少なくとも1種類含む流体を、上記処理用面1,2間に作られた第1流体膜に直接導入する。
上記メタセシス反応に用いる不飽和有機化合物としては、特に限定されないが、好ましくは、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族アルケンから選択される。用いることができる脂肪族アルケンは、当業者に知られており、メタセシス反応のための基質として適するすべての脂肪族アルケンである。これはまた、直鎖状および分枝状アルケンを含む。用いることができる芳香族アルケンは、当業者に知られており、メタセシス反応のための基質として適する、すべての芳香族アルケンである。これは、単環式および/または多環式ホモ芳香族基本構造または対応する部分を、例えば置換基の形態で有する化合物および/または誘導体を含む。用いることができるヘテロ芳香族アルケンは、当業者に知られており、メタセシス反応のための基質として適し、少なくとも1個のヘテロ原子を含むすべてのヘテロ芳香族アルケンである。これは、少なくとも一つの単環式および/または多環式ヘテロ芳香族基本構造または対応する部分を、例えば置換基の形態で有するヘテロ芳香族化合物および/またはこれらの誘導体を含む。ヘテロ芳香族基本構造または部分は、特に好ましくは、少なくとも一つの酸素、窒素または硫黄原子を含む。
上記メタセシス反応で用いるメタセシス触媒と不飽和有機化合物とは液状または溶液状であることが好ましく、そのために用いることができる溶媒は、イオン交換水、精製水、水道水、超純水などの水や有機溶媒など、特に限定されないが、好ましい溶媒は、水、ハロゲン化溶媒(特に好ましくはジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンまたは1,1,2,2−テトラクロロエタン)、直鎖状、分枝状または環式パラフィン(特に好ましくはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘプタンまたはシクロオクタン)、あるいは直鎖状、分枝状または環式エーテル(特に好ましくはジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフランまたはジオキサン)、芳香族溶媒(特に好ましくはトルエン、キシレン、リグロインまたはフェニルエーテル)、または、これらの混合物である。
上記のように、流体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力との圧力バランスによって距離を制御された処理用面1,2間にて、薄膜流体中で第1流体と第2流体とが合流する。その薄膜流体中で第1流体と第2流体とが混合され、上記2種の物質を反応させる。より具体的には、メタセシス反応を行うことが出来る。
また、メタセシス触媒と不飽和有機化合物の全てを処理用面間での反応に影響を与えない程度に混合した流体を第1流体若しくは第2流体として用いても実施できる。
(7:還元反応)
次に、有機化合物の水素化物および/またはその誘導体を用いた有機化合物の還元反応の場合には、一つの流路である第1導入部d1より、第1流体として、水素化物および/またはその誘導体を少なくとも1種類含む流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間に導入して、この処理用面間に第1流体膜を作る。
上記還元反応に用いる水素化物および/またはその誘導体としては、特に限定されないが、好ましくは、水素化ホウ素(boron hydride)、水素化アルミニウム、水素化スズおよび水素化ケイ素、これらの誘導体およびこれらの混合物から選択された少なくとも1種である。好ましくは、各々の場合において、1種のみの水素化物またはこの誘導体を、本発明の方法における還元剤として用いる。水素化物の誘導体は、水素化物と構造的に類似する化合物であり、ここで、少なくとも1種の水素原子は、水素原子以外の基により置換されているが、少なくとも1個の水素原子は、依然として存在する。用いられる水素化ホウ素またはその誘導体は、好ましくは、ホウ化水素リチウム、ホウ化水素ナトリウム、ホウ化水素カリウム、ホウ化水素ルビジウム、ホウ化水素セシウム、ホウ化水素亜鉛、ホウ化水素カルシウム、ホウ化水素銅、ホウ化水素テトラアルキルアンモニウム、ホウ化水素トリアルキルホスホニウムまたはホウ化水素トリアリールホスホニウム、もしくはホウ化水素のアルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、シアノまたはヘテロアリール誘導体、または前記化合物の混合物である。用いられるホウ化水素(borohydride)またはその誘導体は、同様に、好ましくは、ボラン、特にジボラン、もしくはボランのアルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシまたはヘテロアリール誘導体、ボランあるいは前記誘導体のリガンドとしてのアミン、ホスフィン、エーテルまたはスルフィドとの錯体であって、(各々の場合において、同一であるかまたは異なっていることができる)、前記リガンド、または前記化合物の混合物である。用いられる水素化アルミニウムまたはこの誘導体は、好ましくは、アラン(alane)(AlH3)、錯体水素化アルミニウム、特に水素化リチウムアルミニウム、水素化ナトリウムアルミニウム、水素化カリウムアルミニウム、もしくはアランまたは水素化アルミニウムのアルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシまたはアシルオキシ誘導体、例えば水素化Naビス(2
−メトキシエトキシ)アルミニウムまたは水素化ジイソブチルアルミニウムである。同様に、好ましいのは、アラン、水素化アルミニウムまたは前記誘導体の、リガンドとしてのアミン、ホスフィン、エーテルもしくはスルフィドとの錯体であって、(各々の場合において、同一であるかまたは異なっていることができる)、前記錯体、または前記化合物の混合物である。好ましい水素化ケイ素またはこの誘導体は、シラン、特にモノシラン、およびシランのアルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、シアノもしくはヘテロアリール誘導体、または前記化合物の混合物を含む。好ましい水素化スズまたはこの誘導体の例は、スタンナン、特にモノスタンナン、およびスタンナンのアルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、シアノまたはヘテロアリール誘導体、あるいは前記化合物の混合物を含む。アルケンおよびアルキンは、ボランのB−H結合中に挿入することができる。これらのヒドロホウ素化反応における有機ボランの加水分解またはペルオキソ加水分解の結果、炭化水素またはアルコールが得られる。従って、適切な場合においては、これらのヒドロホウ素化が、同様に、ボランおよび/またはボランの誘導体を、還元剤として用いる場合には、本発明に従って還元されるべき不飽和化合物の場合において発生することができることを、考慮しなければならない。水素化誘導体の好適な置換基は、当業者に知られており、脂肪族、芳香族または複素環式化合物の還元において用いることができる、すべてのアルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシまたはヘテロアリール置換基である。
次いで別流路である第2導入部d2より、第2流体として、有機化合物を少なくとも1種類含む流体を、上記処理用面1,2間に作られた第1流体膜に直接導入する。
上記還元反応に用いる有機化合物としては、特に限定されないが、好ましい脂肪族、芳香族または複素環式有機化合物は、脂肪族、芳香族または複素環式カルボニル化合物、例えばアルデヒドおよびケトン、カルボン酸、カルボン酸ハロゲン化物、カルボン酸エステル、前記化合物の対応するチオまたはセレノ類縁体、ニトリル、ハロゲン化物またはアジ化物である。用いることができる脂肪族カルボニル化合物、カルボン酸、カルボン酸ハロゲン化物、カルボン酸エステル、前記化合物の対応するチオまたはセレノ類縁体、ニトリル、ハロゲン化物またはアジ化物は、当業者に知られており、水素化物および/またはその誘導体による還元のための基質として適する、前記群の物質からのすべての脂肪族化合物である。直鎖状、分枝状、飽和および不飽和化合物もまた、ここに含まれる。用いることができる芳香族カルボニル化合物、カルボン酸、カルボン酸ハロゲン化物、カルボン酸エステル、前記化合物の対応するチオまたはセレノ類縁体、ニトリル、ハロゲン化物またはアジ化物は、当業者に知られており、水素化物および/またはこの誘導体による還元のための基質として適する、前記群の物質からのすべての芳香族化合物である。これはまた、単環式および/または多環式ホモ芳香族基本構造または対応する部分を、例えば置換基の形態で有する化合物および/または誘導体を含む。用いることができる複素環式カルボニル化合物、カルボン酸、カルボン酸ハロゲン化物、カルボン酸エステル、前記化合物の対応するチオまたはセレノ類縁体、ニトリル、ハロゲン化物またはアジ化物は、当業者に知られており、水素化物および/またはその誘導体による還元のための基質として適し、少なくとも1個のヘテロ原子を含む、前記群の物質からのすべての複素環式化合物である。複素環式化合物はまた、少なくとも一つの単環式および/または多環式複素環式基本構造または対応する部分を、例えば置換基の形態で有する複素環式化合物および/またはこれらの誘導体を含む。ここで、用語「複素環式」はまた、飽和、不飽和およびヘテロ芳香族化合物を含む。複素環式基本構造または部分は、特に好ましくは、少なくとも一つの酸素、窒素または硫黄原子を含む。
上記還元反応で用いる水素化物および/またはその誘導体と有機化合物とは液状または溶液状であることが好ましく、そのために用いることができる溶媒は、イオン交換水、精製水、水道水、超純水などの水や有機溶媒など、特に限定されないが、好ましい溶媒は、芳香族溶媒(特に好ましくはトルエン、キシレン、リグロインまたはフェニルエーテル)、直鎖状、分枝状または環式炭化水素化合物(特に好ましくはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンまたはシクロオクタン)、あるいは直鎖状、分枝状または環式エーテル(特に好ましくはジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフランまたはジオキサン)、または、これらの混合物である。
上記のように、流体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力との圧力バランスによって距離を制御された処理用面1,2間にて、薄膜流体中で第1流体と第2流体とが合流する。その薄膜流体中で第1流体と第2流体とが混合され、上記2種の物質を反応させる。より具体的には、有機化合物の水素化物および/またはその誘導体を用いた有機化合物の還元反応を行うことが出来る。
また、水素化物および/またはその誘導体と有機化合物の全てを処理用面間での反応に影響を与えない程度に混合した流体を第1流体若しくは第2流体として用いても実施できる。
(8:脱水反応)
次に、有機化合物の脱水反応の場合には、一つの流路である第1導入部d1より、第1流体として、脱水剤を少なくとも1種類含む流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間に導入して、この処理用面間に第1流体膜を作る。
上記有機化合物の脱水反応に用いる脱水剤としては、特に限定されないが、酸、酸無水物、酸ハロゲン化物、カルボジイミドもしくはシアノホルメート(cyanoformate)、またはこれらの脱水剤の混合物から選択された少なくとも1種である。用いられる酸は、好ましくは、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、硫酸、塩酸、過塩素酸あるいはこれらの酸の2種または3種以上の混合物である。好ましい酸無水物は、無水酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水トリフルオロメタンスルホン酸またはこれらの混合物である。クロロスルホン酸、クロロスルホニルイソシアネート、塩化アセチル、塩化トリクロロアセチル、塩化p−トルエンスルホニル、塩化メタンスルホニル、ホスゲン、ジホスゲン、トリホスゲン、オキシ塩化リン、三塩化リン、三臭化リン、ヘキサクロロシクロホスファトリアジン、塩化チオニルおよびこれらの混合物は、好ましい酸ハロゲン化物である。さらに、シアノギ酸エチルは、好ましいシアノホルメートである。好ましいカルボジイミドの例には、ジシクロヘキシルカルボジイミド、カルボニルジイミダゾールおよびこれらの混合物が含まれる。
次いで別流路である第2導入部d2より、第2流体として、有機化合物を少なくとも1種類含む流体を、上記処理用面1,2間に作られた第1流体膜に直接導入する。
上記有機化合物の脱水反応に用いる有機化合物としては、特に限定されないが、好ましくは、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族アルコール、アミドまたはアルドキシムから選択される。ここで本願における脱水反応とは、脱水により、不飽和有機化合物の生成がなされること、または化合物がすでに不飽和である場合には、化合物の不飽和特性の増大がもたらされることを意味する。例えば、アルコールが脱水されてアルケンを生成すること、およびアミドまたはアルドキシムが脱水されてニトリルを生成することを含む。用いることができる脂肪族アルコール、アミドまたはアルドキシムは、当業者に知られており、不飽和化合物が生成する脱水のための基質として適する、前述の群の物質からのすべての脂肪族化合物である。これはまた、直鎖状、分枝状、飽和または不飽和化合物を含む。用いることができる芳香族アルコール、アミドまたはアルドキシムは、当業者に知られており、不飽和化合物が生成する脱水のための基質として適する、前述の群の物質からのすべての芳香族化合物である。従って、これは、単環式および/または多環式ホモ芳香族基本構造または対応する部分を、例えば置換基の形態で有する化合物および/または誘導体を含む。用いることができるヘテロ芳香族アルコール、アミドまたはアルドキシムは、当業者に知られており、不飽和化合物が生成する脱水のための基質として適し、少なくとも1個のヘテロ原子を含む前述の群の物質からのすべてのヘテロ芳香族化合物である。このヘテロ芳香族化合物は、少なくとも一つの単環式および/または多環式ヘテロ芳香族基本構造または対応する部分を、例えば置換基の形態で有するヘテロ芳香族化合物および/またはこれらの誘導体を含む。ヘテロ芳香族基本構造または部分は、好ましくは、少なくとも一つの酸素、窒素または硫黄原子を含む。
上記有機化合物の脱水反応で用いる脱水剤と有機化合物とは液状または溶液状であることが好ましく、そのために用いることができる溶媒は、イオン交換水、精製水、水道水、超純水などの水や有機溶媒など、特に限定されないが、好ましい溶媒は、ハロゲン化溶媒(特に好ましくはジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンまたは1,1,2,2−テトラクロロエタン)、直鎖状、分枝状または環式炭化水素化合物(特に好ましくはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘプタンまたはシクロオクタン)、あるいは直鎖状、分枝状または環式エーテル(特に好ましくはジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフランまたはジオキサン)、芳香族溶媒(特に好ましくはトルエン、キシレン、リグロインまたはフェニルエーテル)、N含有複素環式溶媒(特に好ましくはN−メチルピロリドン)、または、これらの混合物である。
上記のように、流体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力との圧力バランスによって距離を制御された処理用面1,2間にて、薄膜流体中で第1流体と第2流体とが合流する。その薄膜流体中で第1流体と第2流体とが混合され、上記2種の物質を反応させる。より具体的には、有機化合物の脱水反応を行うことが出来る。
また、脱水剤と有機化合物の全てを処理用面間での反応に影響を与えない程度に混合した流体を第1流体若しくは第2流体として用いても実施できる。
(9:ベックマン転位)
次に、ベックマン転位は一般的に以下の化学反応式で示される。
上記のようにベックマン転位は、ケトンのオキシムからN-置換アミドが得られる転位反応のことである。
上記ベックマン転位の場合には、一つの流路である第1導入部d1より、第1流体とし転位試薬を少なくとも1種類含む流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間に導入して、この処理用面間に第1流体膜を作る。
上記ベックマン転位に用いる転位試薬として好ましいものは、酸、酸無水物、酸ハロゲン化物、カルボジイミド、シアンギ酸エステル、ルイス酸またはこれらの転位試薬の混合物から選択された少なくとも1種である。用いられる酸は、好ましくは、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、硫酸、塩酸、過塩素酸またはこれらの酸の2種または3種以上の混合物である。好ましい酸無水物は、無水酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水トリフルオロメタンスルホン酸またはこれらの混合物である。クロロスルホン酸、イソシアン酸クロロスルホニル、塩化アセチル、塩化トリクロロアセチル、塩化p−トルエンスルホニル、塩化メタンスルホニル、ホスゲン、ジホスゲン、トリホスゲン、オキシ塩化リン、三塩化リン、三臭化リン、ヘキサクロロシクロホスファトリアジン、塩化チオニルまたはこれらの混合物が、好ましい酸ハロゲン化物である。さらに、シアンギ酸エチルが、好ましいシアンギ酸エステルであり、ジシクロヘキシルカルボジイミドおよび/またはカルボニルジイミダゾールが、好ましいカルボジイミドである。好ましいルイス酸はまた、アルミニウム化合物、好ましくは三塩化アルミニウム、二塩化メチルアルミニウム、塩化ジメチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、チタン化合物、好ましくはTiCl、スズ化合物、好ましくはSnCl
、亜鉛化合物、好ましくはZnCl 、ホウ素化合物、好ましくはBClまたは前述の化合物の少なくとも2種の混合物を含む。
次いで別流路である第2導入部d2より、第2流体として、有機オキシムを少なくとも1種類含む流体を、上記処理用面1,2間に作られた第1流体膜に直接導入する。
上記ベックマン転位に用いる有機オキシムとしては、特に限定されないが、脂肪族、芳香族または複素環式芳香族ケトキシムから選択される。用いることができる脂肪族ケトキシムは、ベックマン転位のための基質として適する、すべての脂肪族ケトキシムである。また、直鎖状、分枝状、環式、飽和および不飽和化合物が、ここに包含される。用いることができる芳香族ケトキシムは、ベックマン転位のための基質として適する、すべての芳香族ケトキシムである。従って、単環式および/または多環式ホモ芳香族基本構造として用いることができるヘテロ芳香族ケトキシムは、ベックマン転位のための基質として適し、少なくとも一つのヘテロ原子を含む、すべてのヘテロ芳香族ケトキシムである。そしてこのヘテロ芳香族ケトキシムは、少なくとも一つの単環式および/または多環式ヘテロ芳香族基本構造または対応する部分を、例えば置換基の形態で含むヘテロ芳香族化合物および/またはこれらの誘導体を含む。ヘテロ芳香族基本構造または部分は、特に好ましくは、少なくとも一つの酸素、窒素および/または硫黄原子を含む。
上記ベックマン転位で用いる転位試薬と有機オキシムとは液状または溶液状であることが好ましく、そのために用いることができる溶媒は、イオン交換水、精製水、水道水、超純水などの水や有機溶媒など、特に限定されないが、例えば、ハロゲン化溶媒(特に好ましくは、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンまたは1,1,2,2−テトラクロロエタン)、直鎖状、分枝状または環状炭化水素化合物(特に好ましくは、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘプタンまたはシクロオクタン)、あるいは直鎖状、分枝状または環状エーテル(特に好ましくはジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフランまたはジオキサン)、芳香族溶媒(特に好ましくは、トルエン、キシレン、リグロインまたはフェニルエーテル)、N含有複素環式溶媒(特に好ましくは、ピリジンまたはN−メチルピロリドン)、あるいはこれらの溶媒の混合物である。
上記のように、流体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力との圧力バランスによって距離を制御された処理用面1,2間にて、薄膜流体中で第1流体と第2流体とが合流する。その薄膜流体中で第1流体と第2流体とが混合され、上記2種の物質を反応させる。より具体的には、ベックマン転位を行うことが出来る。
また、転位試薬と有機オキシムの全てを処理用面間での反応に影響を与えない程度に混合した流体を第1流体若しくは第2流体として用いても実施できる。
(10:オキシム化)
次に、有機カルボニル化合物および/またはCH−酸性化合物のオキシム化の場合には、一つの流路である第1導入部d1より、第1流体として、オキシム化試薬を少なくとも1種類含む流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間に導入して、この処理用面間に第1流体膜を作る。
上記オキシム化反応に用いるオキシム化試薬としては、特に限定されないが、ヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミンOエーテル、亜硝酸の塩、有機亜硝酸塩またはこれらのオキシム化剤の少なくとも2種の混合物から選択された、少なくとも1種のオキシム化剤を用いる。好ましい有機亜硝酸塩の例は、亜硝酸tert−ブチル、亜硝酸n−ペンチル、亜硝酸イソペンチル、亜硝酸イソプロピルまたはこれらの亜硝酸塩の少なくとも2種の混合物を含む。
次いで別流路である第2導入部d2より、第2流体として、有機カルボニル化合物および/またはCH−酸性化合物を少なくとも1種類含む流体を、上記処理用面1,2間に作られた第1流体膜に直接導入する。
上記有機カルボニル化合物および/またはCH−酸性化合物のオキシム化に用いる有機カルボニル化合物またはCH−酸性化合物としては、特に限定されないが、好ましくは、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族アルデヒド、ケトンまたはCH−酸性化合物から選択される。用いられる脂肪族アルデヒド、ケトンまたはCH−酸性化合物は、オキシム化反応のための基質として適する、前述の群の物質からのすべての脂肪族化合物であることができる。これはまた、直鎖状、分枝状、環式、飽和および不飽和化合物を含む。用いられる芳香族アルデヒド、ケトンまたはCH−酸性化合物は、オキシム化反応のための基質として適する、前述の群の物質からのすべての芳香族化合物であることができる。従って、単環式および/または多環式ホモ芳香族基本構造または対応する部分を、例えば置換基の形態で有する化合物および/または誘導体を含む。用いられるヘテロ芳香族アルデヒド、ケトンまたはCH−酸性化合物は、オキシム化反応のための基質として適し、少なくとも一つのヘテロ原子を含む、前述の群の物質からのすべてのヘテロ芳香族化合物であることができる。そしてこのヘテロ芳香族化合物は、少なくとも一つの単環式および/または多環式ヘテロ芳香族基本構造または対応する部分を、例えば置換基の形態で有するヘテロ芳香族化合物および/またはこれらの誘導体を含む。ヘテロ芳香族基本構造または部分は、好ましくは、少なくとも一つの酸素、窒素および/または硫黄原子を含む。
上記有機カルボニル化合物および/またはCH−酸性化合物のオキシム化で用いるオキシム化試薬と有機カルボニル化合物および/またはCH−酸性化合物とは液状または溶液状であることが好ましく、そのために用いることができる溶媒は、イオン交換水、精製水、水道水、超純水などの水や有機溶媒など、特に限定されないが、好ましくは、水、エーテル(特に好ましくはジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフランまたはジオキサン)、芳香族溶媒(特に好ましくはトルエン、キシレン)、リグロインまたはフェニルエーテル、ハロゲン化溶媒(特に好ましくはジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンまたは1,1,2,2−テトラクロロエタン)、あるいはこれらの混合物である。
上記のように、流体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力との圧力バランスによって距離を制御された処理用面1,2間にて、薄膜流体中で第1流体と第2流体とが合流する。その薄膜流体中で第1流体と第2流体とが混合され、上記2種の物質を反応させる。より具体的には、有機カルボニル化合物および/またはCH−酸性化合物のオキシム化を行うことが出来る。
また、オキシム化試薬と有機カルボニル化合物および/またはCH−酸性化合物の全てを処理用面間での反応に影響を与えない程度に混合した流体を第1流体若しくは第2流体として用いても実施できる。
(11:1,3−双極子付加環化)
次に、有機化合物の1,3−双極付加環化の場合には、一つの流路である第1導入部d1より、第1流体として、双極子親和体を少なくとも1種類含む流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間に導入して、この処理用面間に第1流体膜を作る。
上記有機化合物の1,3−双極付加環化に用いる双極子親和体としては、特に限定されないが、1,3−双極付加環化に適するすべての双極子親和体または少なくとも2種の双極子親和体の混合物である。用いられる双極子親和体は、オレフィン、アセチレン、アルデヒド、ケトン、イミン、ニトリル、フラン、チオフェンまたはこれらの双極子親和体の混合物から選択された少なくとも1種である。1,3−双極付加環化において直接反応する、すべての双極子親和性官能基が、前述の種々の1,3−双極子有機化合物中に存在する。これらの化合物は、これが立体的に可能である場合には、分子内付加環化において反応する。ここで、各々の場合において同一であるかまたは異なる、一つのみの1,3−双極性官能基または少なくとも二つの1,3−双極性官能基の組み合わせおよび、一つのみの双極子親和性基または少なくとも二つの双極子親和性基の組み合わせが、当該有機化合物中に存在することが可能である。好ましくは、一つのみの1,3−双極性官能基および一つのみの双極子親和性官能基が、存在する。
次いで別流路である第2導入部d2より、第2流体として、有機化合物を少なくとも1種類含む流体を、上記処理用面1,2間に作られた第1流体膜に直接導入する。
上記有機化合物としては、特に限定されないが、好ましくは、脂肪族、芳香族または複素環式芳香族ニトリルイリド、ニトリルイミン、ニトリルオキシド、ジアゾアルカン、アジド、アゾメチンイリド、アゾメチンイミン、ニトロン、カルボニルイリド、カルボニルイミンまたはカルボニルオキシドから選択される。用いることができる脂肪族ニトリルイリド、ニトリルイミン、ニトリルオキシド、ジアゾアルカン、アジド、アゾメチンイリド、アゾメチンイミン、ニトロン、カルボニルイリド、カルボニルイミンまたはカルボニルオキシドは、当業者に知られており、1,3−双極付加環化のための基質として適する、前述の群の物質からのすべての脂肪族化合物である。また、直鎖状、分枝状、環式、飽和および不飽和化合物が、含まれる。用いることができる芳香族ニトリルイリド、ニトリルイミン、ニトリルオキシド、ジアゾアルカン、アジド、アゾメチンイリド、アゾメチンイミン、ニトロン、カルボニルイリド、カルボニルイミンまたはカルボニルオキシドは、1,3−双極付加環化のための基質として適する、前述の群の物質からのすべての芳香族化合物である。従って、単環式および/または多環式ホモ芳香族基本構造または対応する部分を、例えば置換基の形態で有する化合物および/または誘導体を含む。用いることができるヘテロ芳香族ニトリルイリド、ニトリルイミン、ニトリルオキシド、ジアゾアルカン、アジド、アゾメチンイリド、アゾメチンイミン、ニトロン、カルボニルイリド、カルボニルイミンまたはカルボニルオキシドは、1,3−双極付加環化のための基質として適し、少なくとも一つのヘテロ原子を含む、前述の群の物質からのすべてのヘテロ芳香族化合物である。ヘテロ芳香族化合物は、少なくとも一つの単環式および/または多環式ヘテロ芳香族基本構造または対応する部分を、例えば置換基の形態で含むヘテロ芳香族化合物および/またはこれらの誘導体を含む。ヘテロ芳香族基本構造または部分は、特に好ましくは、少なくとも一つの酸素、窒素および/または硫黄原子を含む。
上記有機化合物の1,3−双極付加環化で用いる双極子親和体と有機化合物とは液状または溶液状であることが好ましく、そのために用いることができる溶媒は、イオン交換水、精製水、水道水、超純水などの水や有機溶媒など、特に限定されないが、好ましくは、水、エーテル(特に好ましくはジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフランまたはジオキサン)、芳香族溶媒(特に好ましくはトルエン、キシレン、リグロインまたはフェニルエーテル)、ハロゲン化溶媒(特に好ましくはジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンまたは1,1,2,2−テトラクロロエタン)、あるいはこれらの混合物である。
上記のように、流体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力との圧力バランスによって距離を制御された処理用面1,2間にて、薄膜流体中で第1流体と第2流体とが合流する。その薄膜流体中で第1流体と第2流体とが混合され、上記2種の物質を反応させる。より具体的には、有機化合物の1,3−双極付加環化を行うことが出来る。
また、双極子親和体と有機化合物の全てを処理用面間での反応に影響を与えない程度に混合した流体を第1流体若しくは第2流体として用いても実施できる。
(12:第三アミンおよび/または窒素含有芳香族複素環式化合物の酸化アミンへの酸化)
次に、第三アミンおよび/または窒素含有芳香族複素環式化合物の酸化アミンへの酸化の場合には、一つの流路である第1導入部d1より、第1流体として、酸化剤を少なくとも1種類含む流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間に導入して、この処理用面間に第1流体膜を作る。
上記第三アミンおよび/または窒素含有芳香族複素環式化合物の酸化アミンへの酸化に用いる酸化剤としては、特に限定されないが、第三アミンおよび/または窒素含有芳香族複素環式化合物の酸化アミンへの酸化に適する酸化剤のすべて、またはこれらの酸化剤の少なくとも2種の混合物を、本発明の方法における酸化剤として用いることができる。酸化剤は、好ましくは、無機および有機過酸化物、過酸化水素、ペルオキソ化合物と有機酸および/または無機酸および/またはルイス酸との混合物、有機過酸、無機過酸およびジオキシランまたはこれらの酸化剤の少なくとも2種の混合物から選択された少なくとも1種である。用いられる無機過酸化物は、好ましくは、過酸化アンモニウム、アルカリ金属過酸化物、好ましくは過酸化ナトリウム、過硫酸アンモニウム、アルカリ金属過硫酸塩、過ホウ酸アンモニウム、アルカリ金属過ホウ酸塩、過炭酸アンモニウム、アルカリ金属過炭酸塩、アルカリ土類金属過酸化物、過酸化亜鉛またはこれらの過酸化物の少なくとも2種の混合物である。用いられる有機過酸化物は、好ましくは、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、メンチルヒドロペルオキシド、1−メチルシクロヘキサンヒドロペルオキシドまたはこれらの過酸化物の少なくとも2種の混合物である。硫酸を有するペルオキソ二硫酸カリウムを、無機酸を有するペルオキソ化合物として用い、三フッ化ホウ素を有する過酸化水素を、ルイス酸を有するペルオキソ化合物として用いる。好ましい有機過酸は、ペルオキシ安息香酸、m−クロロペルオキシ安息香酸、p−ニトロペルオキシ安息香酸、モノペルオキシフタル酸マグネシウム、ペルオキシ酢酸、ペルオキシマレイン酸またはペルオキシトリフルオロ酢酸である。また、これらの過酸の少なくとも2種の混合物を用いることが可能である。
次いで別流路である第2導入部d2より、第2流体として、第三アミンおよび/または窒素含有芳香族複素環式化合物を少なくとも1種類含む流体を、上記処理用面1,2間に作られた第1流体膜に直接導入する。
上記第三アミンおよび/または窒素含有芳香族複素環式化合物としては、特に限定されないが、好ましくは、脂肪族、環式脂肪族(cycloaliphatic)、芳香族または複素芳香族第三アミンである。窒素原子に結合した脂肪族、環式脂肪族、芳香族または複素芳香族基は、同一であるかまたは異なることができる。酸化アミンへの酸化のための基質として当業者に知られているすべての窒素含有芳香族複素環式化合物を、本発明の方法における窒素含有芳香族複素環式化合物として用いることができる。用いられる窒素含有複素環式化合物は、好ましくは5〜7個の原子、特に好ましくは5または6個の原子の環の大きさを有する。用いられる窒素含有芳香族複素環式化合物は、特に好ましくは、ピリジンおよび/またはピリミジンおよび/またはピラジンである。窒素含有芳香族複素環式化合物はまた、少なくとも一つの単環式および/または多環式窒素含有芳香族基本構造または対応する部分的構造を、例えば、置換基の形態で有する、芳香族化合物および/またはこの誘導体を含む。これらの窒素含有芳香族基本構造または部分的構造はまた、他のヘテロ原子、好ましくは酸素および/または硫黄を含むことができる。
上記第三アミンおよび/または窒素含有芳香族複素環式化合物の酸化アミンへの酸化で用いる酸化剤と第三アミンおよび/または窒素含有芳香族複素環式化合物とは液状または溶液状であることが好ましく、そのために用いることができる溶媒は、イオン交換水、精製水、水道水、超純水などの水や有機溶媒など、特に限定されないが、好ましくは、ハロゲン化溶媒(特に好ましくはジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンまたは1,1,2,2−テトラクロロエタン)、直鎖状、分枝状または環式炭化水素化合物(特に好ましくはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘプタンまたはシクロオクタン)、直鎖状、分枝状または環式エーテル(特に好ましくはジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフランまたはジオキサン)、芳香族溶媒(特に好ましくはトルエン、キシレン、リグロインまたはフェニルエーテル)、N含有複素環式溶媒(特に好ましくはピリジンまたはN−メチルピロリドン)、あるいはこれらの溶媒の混合物である。
上記のように、流体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力との圧力バランスによって距離を制御された処理用面1,2間にて、薄膜流体中で第1流体と第2流体とが合流する。その薄膜流体中で第1流体と第2流体とが混合され、上記2種の物質を反応させる。より具体的には、第三アミンおよび/または窒素含有芳香族複素環式化合物の酸化アミンへの酸化を行うことが出来る。
また、酸化剤と第三アミンおよび/または窒素含有芳香族複素環式化合物の全てを処理用面間での反応に影響を与えない程度に混合した流体を第1流体若しくは第2流体として用いても実施できる。
(13:エポキシ化)
次に、オレフィンのエポキシ化の場合には、一つの流路である第1導入部d1より、第1流体として、酸化剤を少なくとも1種類含む流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間に導入して、この処理用面間に第1流体膜を作る。
上記第オレフィンのエポキシ化に用いる酸化剤としては、特に限定されないが、酸化剤または少なくとも二つの酸化剤の混合物も本発明の方法に酸化剤として用いることができる。酸化剤は、好ましくは、無機および有機過酸化物、過酸化水素、クロミル化合物、酸化クロム、アルカリ金属次亜塩素酸塩、アルカリ土類金属次亜塩素酸塩、N−ブロモスクシンイミド、遷移金属ペルオキソ錯体、有機酸および/または無機酸および/またはルイス酸とのペルオキソ化合物の混合物、有機過酸、無機過酸およびジオキシランから選択される少なくとも一つの化合物、またはこれらの酸化剤の少なくとも二つの混合物である。用いる無機過酸化物は好ましくは、過酸化アンモニウム、アルカリ金属過酸化物(特に好ましくは過酸化ナトリウム)、過硫酸アンモニウム、アルカリ金属過硫酸塩、過ホウ酸アンモニウム、アルカリ金属過ホウ酸塩、過炭酸アンモニウム、アルカリ金属過炭酸塩、アルカリ土類金属過酸化物、過酸化亜鉛またはこれらの化合物の少なくとも二つの混合物である。用いる遷移金属ペルオキソ錯体が、好ましくは、鉄、マンガン、バナジウム、またはモリブデンのペルオキソ錯体またはこれらのペルオキソ錯体の少なくとも二つの混合物である。ペルオキソ錯体は、好ましくは、鉄、マンガン、バナジウムおよびモリブデンから選択される、2または3以上の同一のまたは異なる金属もまた含んでもよい。好ましくは、無機酸とのペルオキソ化合物として、硫酸とペルオキソ二硫酸カリウムを用い、ルイス酸とのペルオキソ化合物として三フッ化ホウ素と過酸化水素を用いる。用いる有機過酸が、好ましくは、ペルオキシ安息香酸、m−クロロペルオキシ安息香酸、p−ニトロペルオキシ安息香酸、モノペルオキシフタル酸マグネシウム、ペルオキシ酢酸、ペルオキシマレイン酸、ペルオキシトリフルオロ酢酸、ペルオキシフタル酸、ペルオキシラウリン酸またはこれらの過酸の少なくとも二つの混合物である。好ましいジオキシランは、ジメチルジオキシラン、メチル(トリフルオロメチル)ジオキシランおよびこれらのジオキシランの混合物である。用いる有機過酸化物は、好ましくは、tert-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、メンチルヒドロペルオキシド、1−メチルシクロヘキサンヒドロペルオキシドまたは有機過酸化物の少なくとも二つの混合物である。
次いで別流路である第2導入部d2より、第2流体として、オレフィンを少なくとも1種類含む流体を、上記処理用面1,2間に作られた第1流体膜に直接導入する。
上記オレフィンとしては、特に限定されないが、好ましくは、脂肪族、芳香族および複素環式芳香族オレフィン、特に好ましくは1 −フェニルシクロヘキセン、シクロヘキセンまたはスチレンである。適するエポキシ化の基質として、いずれの脂肪族オレフィンも脂肪族オレフィンとして用いることができる。これらは、直鎖、分枝および環状オレフィンである。適するエポキシ化の基質として、いずれの芳香族オレフィンも芳香族オレフィンとして用いることができる。本発明においては、これらは、単環式および/または多環式ホモ芳香族母核構造または対応する一部構造を有する、例えば、置換基の形態で有する化合物および/または誘導体を含む。適するエポキシ化の基質として、少なくとも一つのヘテロ原子を含むいずれの複素環式芳香族オレフィンも複素環式オレフィンとして用いることができる。本発明においては、複素環式芳香族オレフィンは、少なくとも一つの単環式および/または多環式複素環式芳香族母核構造または対応する一部構造を、例えば置換基の形態で有する、複素環式芳香族化合物および/またはその誘導体を含む。複素環式芳香族母核構造または一部構造は、特に好ましくは、少なくとも一つの酸素、窒素および/または硫黄原子を含む。
上記オレフィンのエポキシ化で用いる酸化剤とオレフィンとは液状または溶液状であることが好ましく、そのために用いることができる溶媒は、イオン交換水、精製水、水道水、超純水などの水や有機溶媒など、特に限定されないが、好ましくは、ハロゲン化溶媒(特に好ましくは、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンまたは1,1,2,2−テトラクロロエタン)、直鎖、分枝または環状炭化水素化合物(特に好ましくは、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘプタンまたはシクロオクタン)、直鎖、分枝または環状エーテル(特に好ましくは、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフランまたはジオキサン)、芳香族溶媒(特に好ましくは、トルエン、キシレン、リグロインまたはフェニルエーテル)、N−含有複素環式溶媒(特に好ましくは、ピリジンまたはN−メチルピロリドン)、または上記溶媒の少なくとも二つの混合物である。
上記オレフィンのエポキシ化につき、光学活性エポキシドを得るために、光学活性酸化剤とまたは光学活性化合物の存在下で酸化することもまたできる。この場合オレフィンは、光学活性エポキシドを得るために、好ましくは、キラル試薬、好ましくは、チタンテトライソプロポキシド、(R、R)−酒石酸ジエチルおよび/または(S、S)−酒石酸ジエチルの存在下でtert-ブチルヒドロペルオキシドと酸化する。光学活性(R、R)−トランス−1,2−ビス[(2−ヒドロキシ−3
,5−ditert−ブチルベンジリデン)アミノ]シクロヘキサンマンガン二塩化物または(S、S)−トランス−1,2−ビス[(2−ヒドロキシ−3,5−ditert−ブチルベンジリデン)アミノ]シクロヘキサンマンガン二塩化物(Jacobsenの触媒)およびジメチルジオキシランおよび/または次亜塩素酸ナトリウムとオレフィンを酸化させることもまた好ましい。
上記のように、流体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力との圧力バランスによって距離を制御された処理用面1,2間にて、薄膜流体中で第1流体と第2流体とが合流する。その薄膜流体中で第1流体と第2流体とが混合され、上記2種の物質を反応させる。より具体的には、オレフィンのエポキシ化を行うことが出来る。
また、酸化剤とオレフィンの全てを処理用面間での反応に影響を与えない程度に混合した流体を第1流体若しくは第2流体として用いても実施できる。
(14:ホルミル化)
次に、有機化合物のホルミル化の場合には、一つの流路である第1導入部d1より、第1流体として、ホルミル化剤を少なくとも1種類含む流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間に導入して、この処理用面間に第1流体膜を作る。
上記有機化合物のホルミル化に用いるホルミル化剤としては、特に限定されないが、本発明の方法において用いることができるホルミル化剤は、当業者に知られ、ホルミル化に適切であるものおよびこれらのホルミル化剤の少なくとも2種の混合物である。なお、単一のホルミル化剤が好ましい。ホルミル化剤は、原位置で形成されるもの、すなわちホルミル化反応の直前または最中に形成されるホルミル化剤も包含する。好ましく用いられるホルミル化剤はN,N−ジ置換ホルムアミド、N−アルキルホルムアニリド、N,N−ジ置換アミドまたはこれらの化合物の少なくとも2種の混合物であって、無機酸塩化物、無機エステル、酸無水物、トリフェニルホスフィンおよび臭素のアダクト、塩化シアヌール、ヘキサクロロシクロトリホスファザンまたは上記化合物の少なくとも2種の混合物の存在下のものである。N,N−ジ置換ホルムアミドとしては、N−アリール−N−アルキルホルムアミド(特に好ましくはN−フェニル−N−メチルホルムアミド)、N
,N −ジアルキルホルムアミド(特に好ましくはN ,N −ジメチルホルムアミド)、N ,N −ジアルキルホルムアミドビニルまたはこれらの化合物の少なくとも2種の混合物の使用が好ましい。N−アルキルホルムアニリドとしては、N−メチルホルムアニリドの使用が好ましい。N,N−ジ置換アミドとしては、N,N
−ジアルキルアセトアミド(特に好ましくはN,N−ジメチルアセトアミド)、N ,N−ジアルキルプロピオンアミド(特に好ましくはN,N−ジメチルプロピオンアミド)、N,N
−ジアルキルベンズアミド(特に好ましくはN,N−ジメチルベンズアミド)、またはこれらの化合物の少なくとも2種の混合物の使用が好ましい。無機酸塩化物としては、オキシ塩化リン、塩化チオニル、ホスゲン、ホスゲン置換体、特にジホスゲンまたはトリホスゲン、塩化ピロホスホリル、塩化オキサリル、塩化スルフリル、臭化ベンゾイルまたはこれらの化合物の少なくとも2種の混合物の使用が好ましい。酸無水物としては、無水トリフルオロメタンスルホン酸の使用が好ましい。無機エステルとしては、ジアルキル硫酸、特に好ましくはジメチル硫酸の使用が好ましい。N,N−ジ置換ホルムアミドおよび/またはN−アルキルホルムアニリドおよび/またはN,N
−ジ置換アミドの無機酸塩化物および/または無機エステルおよび/または酸無水物に対するモル比は、好ましくは等モルである。さらに、酸塩化物および/または無機エステルおよび/または酸無水物は、N,N−ジ置換ホルムアミドおよび/またはN
−アルキルホルムアニリドおよび/またはN,N−ジ置換アミドを基準にして、好ましくは2倍〜10倍モル過剰で存在し、特に好ましくは3倍〜5倍モル過剰で存在する。本発明の方法の、さらなる好ましい態様においては、用いられるホルミル化剤はシアン化亜鉛(II)であって、プロトン性の酸(proticacid)、好ましくは塩酸の存在下のものである。
次いで別流路である第2導入部d2より、第2流体として、有機化合物を少なくとも1種類含む流体を、上記処理用面1,2間に作られた第1流体膜に直接導入する。
上記有機化合物としては、特に限定されないが、有機化合物としては、全ての有機化合物を本発明の方法においてホルミル化のために用いることができる。有機化合物は、好ましくはオレフィン、アルキン、芳香族化合物、ヘテロ芳香族化合物、遷移金属錯体、CH−酸化合物、エナミドおよびこれらの化合物の少なくとも2種の混合物から選択される。オレフィンとしては、ホルミル化の基質として適切なものであれば、全てのオレフィンを用いることができる。これらには、直鎖、分枝および環状のオレフィンが含まれる。無置換または置換のエチレンのオレフィンとしての使用は好ましい。アルキンとしては、ホルミル化の基質として適切なものであれば、全てのアルキンを用いることができる。これらには、直鎖、分枝および環状のアルキンが含まれる。置換アセチレンのアルキンとしての使用は好ましい。芳香族化合物としては、ホルミル化の基質として適切なものであれば、全ての芳香族化合物を用いることができる。それらには、単環および/または多環のホモ芳香族骨格またはそれに相当する下部構造を、例えば置換基の形態で有する化合物および/または誘導体を包含する。芳香族化合物としては、置換または無置換であってよく、好ましくはアズレン、インドール、フェノール、芳香族アミンまたはこれらの化合物の少なくとも2種の混合物は好ましい。ヘテロ芳香族化合物としては、ホルミル化の基質として適切であり、かつ少なくとも一つのヘテロ原子を有しているものであれば、全てのヘテロ芳香族化合物を用いることができる。ヘテロ芳香族化合物には、単環および/または多環のヘテロ芳香族骨格またはそれに相当する下部構造を、例えば置換基の形態で有するヘテロ芳香族化合物および/またはそれらの誘導体を包含する。これらのヘテロ芳香族骨格または下部構造には、好ましくは少なくとも酸素、窒素および/または硫黄原子を含有する。ヘテロ芳香族化合物としては、置換または無置換であってよく、特にフラン、チオフェン、ピロール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、チアゾール、オキサゾール、ピリミジン、ポルフィリン、ヒダントイン、チオヒダントイン、イミダゾロン、ピラゾロンまたはこれらの化合物の少なくとも2種の混合物の使用が好ましい。遷移金属錯体としては、ホルミル化の基質として適切であるものであれば、全ての遷移金属錯体を用いることができる。遷移金属錯体としては、特に、メタロセン化合物、好ましくはフェロセン、および遷移金属のカルボニル化合物、好ましくは鉄、クロムまたはマンガンのカルボニル化合物およびこれらの化合物の少なくとも2種の混合物が好ましい。CH−酸化合物としては、ホルミル化の基質として適切であり、カルボニル基に対するα位に少なくとも一つの酸プロトンを有するものであれば、全てのCH−酸化合物を用いることができる。CH−酸化合物としては、エノール、エノールエーテル、β−ケト化合物が好ましく、特に好ましくはピラゾール3,5 −ジオン、またはこれらの化合物の少なくとも2種の混合物が好ましい。エナミドとしては、ホルミル化の基質として適切であるものであれば、全てのエナミドを用いることができる。エナミドには、ビニルホルムアミドの使用が好ましい、特に好ましくは3−ジメチルアミノプロペナールの使用が好ましい。
上記有機化合物のホルミル化で用いるホルミル化剤と有機化合物とは液状または溶液状であることが好ましく、そのために用いることができる溶媒は、イオン交換水、精製水、水道水、超純水などの水や有機溶媒など、特に限定されないが、好ましくは、ハロゲン化溶媒(特に好ましくは、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンまたは1,1,2,2−テトラクロロエタン)、直鎖状、分枝状または環状炭化水素化合物(特に好ましくは、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンまたはシクロオクタン)、直鎖状、分枝状または環状エーテル(特に好ましくは、ジエチルエーテル、メチルtert −ブチルエーテル、テトラヒドロフランまたはジオキサン)、芳香族溶媒(特に好ましくは、トルエン、キシレン、リグロインまたはフェニルエーテル)、N−含有溶媒(特に好ましくは、N,N−ジメチルホルムアミドまたはN−メチルピロリドン)、または上記溶媒の少なくとも2種の混合物である。
上記のように、流体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力との圧力バランスによって距離を制御された処理用面1,2間にて、薄膜流体中で第1流体と第2流体とが合流する。その薄膜流体中で第1流体と第2流体とが混合され、上記2種の物質を反応させる。より具体的には、有機化合物のホルミル化を行うことが出来る。
また、ホルミル化剤と有機化合物の全てを処理用面間での反応に影響を与えない程度に混合した流体を第1流体若しくは第2流体として用いても実施できる。
(15:インドール)
次に、インドール化合物を得る場合には、一つの流路である第1導入部d1より、第1流体として、触媒を少なくとも1種類含む流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間に導入して、この処理用面間に第1流体膜を作る。
上記インドール化合物を得る場合に用いる触媒としては、特に限定されないが、インドールの製造に適切である全ての触媒、またはこれらの触媒の少なくとも2種以上の混合物である。好ましくは、単一の触媒が用いられる。本発明の方法のさらなる好ましい態様において、用いられる触媒は無機酸、有機酸、ルイス酸、またはこれらの触媒の少なくとも2種以上の混合物である。用いられる無機酸は、好ましくは、硫酸、塩酸、過塩素酸、(ポリ)リン酸、トリフルオロ酢酸、硝酸またはこれらの無機酸の少なくとも2種以上の混合物であることができる。用いられる有機酸は、好ましくは、クロロスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸またはこれらの有機酸の少なくとも2種以上の混合物であることができる。用いられるルイス酸は、好ましくは、ホウ素/ハロゲン化合物、特に好ましくはBF3、金属ハロゲン化物、特に好ましくはZnCl2、SnCl4
、AlCl3 、FeCl3 、TiCl4 またはMgCl2 、極めて特に好ましくはZnCl2 、またはこれらのルイス酸の少なくとも2種以上の混合物であることができる。本発明の方法のさらなる好ましい態様において、用いられる1種または2種以上のアリールヒドラゾンの量に対して、0.1および110モル%の範囲、特に好ましくは1および100モル%の範囲、極めて特に好ましくは10および50モル%の範囲の1種または2種以上の触媒が用いられる。
次いで別流路である第2導入部d2より、第2流体として、アリールヒドラゾンを少なくとも1種類含む流体を、上記処理用面1,2間に作られた第1流体膜に直接導入する。
上記インドール化合物を得る場合に用いるアリールヒドラゾンとしては、特に限定されないが、インドールの製造の基質として知られている全てのアリールヒドラゾンである。本発明の方法の好ましい態様においては、アリールヒドラゾンは、少なくとも一つの有機ケトンまたは有機アルデヒドのアリールヒドラゾン、特に好ましくは脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族ケトンまたは脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族アルデヒドのアリールヒドラゾンが用いられる。適切な脂肪族ケトンまたは脂肪族アルデヒドのアリールヒドラゾンは、インドールの製造のため基質として適切な全ての脂肪族ケトンまたは脂肪族アルデヒドのアリールヒドラゾンである。これは、直鎖、分枝および環状の、飽和および不飽和ケトンのアリールヒドラゾンおよび/または直鎖、分枝および環状の、飽和および不飽和アルデヒドのアリールヒドラゾンを包含する。適切な芳香族ケトンまたは芳香族アルデヒドのアリールヒドラゾンは、インドールの製造のため基質として適切な全ての芳香族ケトンまたは芳香族アルデヒドのアリールヒドラゾンである。これは芳香族アルデヒドおよびケトンであって、単環および/または多環のホモ芳香族基本構造または対応する部分を、例えば置換基の形で有するものを包含する。適切なヘテロ芳香族ケトンまたはヘテロ芳香族アルデヒドのアリールヒドラゾンは、インドールの製造のため基質として適切であり、少なくとも一つのヘテロ原子を含有する全てのヘテロ芳香族ケトンまたはヘテロ芳香族アルデヒドのアリールヒドラゾンである。ヘテロ芳香族ケトンまたはヘテロ芳香族アルデヒドのアリールヒドラゾンは、ヘテロ芳香族ケトンまたはヘテロ芳香族アルデヒドのアリールヒドラゾンであって、単環および/または多環の少なくとも一つのヘテロ芳香族基本構造または対応する部分を、例えば置換基の形で有するものを包含する。これらのヘテロ芳香族基本構造または部分は、好ましくは少なくとも一つの酸素、窒素および/または硫黄原子を有する。脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族ケトンおよびアルデヒドのアリールヒドラゾンは、当業者に自体公知の従来の方法によって製造される。前記アリールヒドラゾンは、好ましくは対応するアリールヒドラジンの対応する脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族ケトンまたはアルデヒドとの縮合によって製造される。本発明の方法のさらなる好ましい態様において、用いられるアリールヒドラゾンは、フェニルヒドラゾンであり、特に好ましくは脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族ケトンまたはアルデヒドのフェニルヒドラゾンである。本発明の方法のさらなる好ましい態様において、脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族ケトンおよび/または脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族アルデヒドのアリールヒドラゾンは、少なくとも一つの微小反応器内において原位置で生成され、好ましくは対応するアリールヒドラジンおよび対応する脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族ケトンおよび/または対応する脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族アルデヒドから生成される。原位置における生成は、アリールヒドラゾンが、対応するインドールへの変換の直前に生成されることを意味する。前記アリールヒドラゾンは、同様に、好ましく生成することが可能であり、好ましくは対応するアリールヒドラジンおよび対応する脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族ケトンおよび/または対応する脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族アルデヒドから、少なくとも一つの微小反応器内において生成され、対応するインドールへの変換の前に単離される。
上記インドール化合物を得る場合に用いる触媒とアリールヒドラゾンとは液状または溶液状であることが好ましく、そのために用いることができる溶媒は、イオン交換水、精製水、水道水、超純水などの水や有機溶媒など、特に限定されないが、好ましくは、ハロゲン化溶媒(特に好ましくは、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンまたは1,1,2,2−テトラクロロエタン)、直鎖状、分枝状または環状炭化水素化合物(特に好ましくは、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンまたはシクロオクタン)、または直鎖状、分枝状または環状エーテル(特に好ましくは、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフランまたはジオキサン)、芳香族溶媒(特に好ましくは、トルエン、キシレン、リグロインまたはフェニルエーテル)、N−含有複素環式溶媒(特に好ましくは、ピリジンまたはN−メチルピロリドン)、または上記溶媒の少なくとも2種の混合物である。
上記のように、流体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力との圧力バランスによって距離を制御された処理用面1,2間にて、薄膜流体中で第1流体と第2流体とが合流する。その薄膜流体中で第1流体と第2流体とが混合され、上記2種の物質を反応させる。より具体的には、インドール化合物を得ることが出来る。
また、触媒とアリールヒドラゾンの全てを処理用面間での反応に影響を与えない程度に混合した流体を第1流体若しくは第2流体として用いても実施できる。
(16:アルキリデン基転位)
次に、アルキリデン基を有機化合物に移動させる場合には、一つの流路である第1導入部d1より、第1流体として、アルキリデン基移動試薬を少なくとも1種類含む流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間に導入して、この処理用面間に第1流体膜を作る。
上記アルキリデン基を有機化合物に移動させる場合に用いるアルキリデン基移動試薬としては、特に限定されないが、アルキリデン基移動反応に適するすべてのアルキリデン基移動試薬またはこれらの試薬の少なくとも2種の混合物である。好ましくは、1種のみのアルキリデン基移動試薬を用いる。アルキリデン基移動試薬はまた、インサイチュで生成したアルキリデン基移動試薬、即ちアルキリデン基移動反応の直前または反応中に生成したアルキリデン基移動試薬を含む。本発明の他の好ましい態様において、用いられるアルキリデン基移動試薬は、アルキリデン基として、メチレン(=CH2)、エチリデン(=CH−CH3)またはイソプロピリデン(=C(CH3)2)基、好ましくはメチレン(=CH2)基を移動させる試薬である。本発明の他の好ましい態様において、用いられるアルキリデン基移動試薬は、[(シクロペンタジエニル)2−Ti(CH2)−(Cl)−Al−(CH3)2](「テッベ(Tebbe)試薬」)、ビスシクロペンタジエニルチタナジアルキル(biscyclope
ntadienyltitanadialkyl )化合物、遷移金属のアルキル化合物、遷移金属のアルキリデン化合物またはこれらの化合物の少なくとも2種の混合物である。用いられるビスシクロペンタジエニルチタナジアルキル化合物は、好ましくは、ジメチルチタノセン(dimethyltitanocene)であることができる。随意にまたインサイチュで生成することができる、遷移金属のアルキリデン化合物は、好ましくは、一般式(I)CR=MLn(I)式中、n=1〜9、好ましくは1〜6、特に好ましくは1または2の整数であり、1または2以上のリガンドLおよび遷移金属Mに依存し、基R
は、同一であるかまたは異なっており、有機基、好ましくは随意に置換されたアルキルまたはアリール基であり、Mは、遷移金属、好ましくはチタン、ジルコニウムまたはハフニウム、特に好ましくはチタンであり、および基Lは、同一であるかまたは異なっており、有機または無機リガンド、好ましくはシクロペンタジエニル基またはペンタメチルシクロペンタジエニル基である、で表される少なくとも1種の化合物であることができる。アルキリデン基移動試薬をインサイチュで生成する場合には、好ましくは、一般式R1−CH2−Xで表される化合物であって、R1が有機基またはハロゲン基であり、Xがハロゲン基である前記化合物と、亜鉛および四塩化チタンとの混合物により、特に好ましくは、臭化メチレン、亜鉛および四塩化チタンの混合物により生成することができる。
次いで別流路である第2導入部d2より、第2流体として、有機化合物を少なくとも1種類含む流体を、上記処理用面1,2間に作られた第1流体膜に直接導入する。
上記アルキリデン基を有機化合物に移動させる場合に用いる有機化合物としては、特に限定されないが、アルキリデン基移動反応の基質として知られているすべての有機化合物である。有機化合物は、好ましくは、ケトン、ラクトン、カルボン酸エステル、カルボン酸アミドまたはこれらの化合物の少なくとも2種の混合物からなる群から選択される。用いることができるケトンは、アルキリデン基移動反応のための基質として適する、すべてのケトンである。これはまた、脂肪族、ビニローグ形成性(vinylogenic)、芳香族およびヘテロ芳香族ケトンを含む。用いることができるラクトンは、アルキリデン基移動反応のための基質として適する、すべてのラクトンである。これはまた、脂肪族、ビニローグ形成性、芳香族およびヘテロ芳香族ラクトンを含む。用いることができるカルボン酸エステルは、アルキリデン基移動反応のための基質として適する、当業者に知られているすべてのカルボン酸エステルである。これはまた、脂肪族、ビニローグ形成性、芳香族およびヘテロ芳香族カルボン酸エステルを含む。用いることができるカルボン酸アミドは、アルキリデン基移動反応のための基質として適する、当業者に知られているすべてのカルボン酸アミドである。これはまた、脂肪族、ビニローグ形成性、芳香族およびヘテロ芳香族カルボン酸アミドを含む。脂肪族ケトン、ラクトン、カルボン酸エステルおよびカルボン酸アミドはまた、随意に置換されていることができる、飽和、不飽和および分枝状ケトン、ラクトン、カルボン酸エステルおよびカルボン酸アミド並びに環式ケトン、カルボン酸エステルおよびカルボン酸アミドを意味すると解釈される。ビニローグ形成性ケトン、ラクトン、カルボン酸エステルおよびカルボン酸アミドは、カルボニル基に対してα位において二重結合を有するケトン、ラクトン、カルボン酸エステルおよびカルボン酸アミドを意味すると解釈される。芳香族ケトン、ラクトン、カルボン酸エステルおよびカルボン酸アミドはまた、単環式および/または多環式ホモ芳香族基本構造または対応する部位を、例えば置換基の形態で有する、ケトン、ラクトン、カルボン酸エステルおよびカルボン酸アミドおよび/またはこれらの誘導体を含む。ヘテロ芳香族ケトン、ラクトン、カルボン酸エステルおよびカルボン酸アミドはまた、少なくとも一つの単環式および/または多環式ヘテロ芳香族基本構造または対応する部位を、例えば置換基の形態で有する、ケトン、ラクトン、カルボン酸エステルおよびカルボン酸アミドおよび/またはこれらの誘導体を含む。これらのヘテロ芳香族基本構造または部分的な部位は、特に好ましくは、少なくとも一つの酸素および/または窒素および/または硫黄原子を含む。
上記アルキリデン基を有機化合物に移動させる場合に用いるアルキリデン基移動試薬と有機化合物とは液状または溶液状であることが好ましく、そのために用いることができる溶媒は、イオン交換水、精製水、水道水、超純水などの水や有機溶媒など、特に限定されないが、好ましくは、ハロゲン化溶媒(特に好ましくはジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンまたは1,1,2,2−テトラクロロエタン)、直鎖状、分枝状または環状炭化水素化合物(特に好ましくはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンまたはシクロオクタン)、あるいは直鎖状、分枝状または環式エーテル(特に好ましくはジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフランまたはジオキサン)、芳香族溶媒(特に好ましくはトルエン、キシレン、リグロインまたはフェニルエーテル)、N含有複素環式溶媒(特に好ましくはピリジンまたはN−メチルピロリドン)、あるいは前述の溶媒の少なくとも2種の混合物である。
上記のように、流体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力との圧力バランスによって距離を制御された処理用面1,2間にて、薄膜流体中で第1流体と第2流体とが合流する。その薄膜流体中で第1流体と第2流体とが混合され、上記2種の物質を反応させる。より具体的には、アルキリデン基を有機化合物に移動させることが出来る。
また、アルキリデン基移動試薬と有機化合物の全てを処理用面間での反応に影響を与えない程度に混合した流体を第1流体若しくは第2流体として用いても実施できる。
(17:カップリング反応)
次に、カップリング反応は一般的に以下の化学反応式で示される。
ホモカップリング: R-X + R-X → R-R
クロスカップリング: R-X + R'-Y → R-R'
なお、結合する二つのユニットの構造が等しい場合はホモカップリング、異なる場合はクロスカップリング(またはヘテロカップリング)という。
本発明におけるカップリング反応は上記のように二つの化学物質を選択的に結合させる反応のことを言う。
例えばカップリング反応の場合には、一つの流路である第1導入部d1より、第1流体として少なくとも一つの脱離基を含む有機化合物及び触媒をそれぞれ少なくとも1種類含む流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間に導入して、この処理用面間に第1流体膜を作る。
上記カップリング反応に用いる少なくとも一つの脱離基を含む有機化合物は、カップリング反応の基質として当業者に知られている、少なくとも一つの脱離基を含むすべての有機化合物である。本発明の方法において用いられる、少なくとも一つの脱離基を含む有機化合物は、好ましくは、ハロゲン化アリール(特に好ましくは臭化アリールまたはヨウ化アリール、極めて特に好ましくはヨウ化アリール)、ハロゲン化ヘテロアリール(特に好ましくは臭化ヘテロアリールまたはヨウ化ヘテロアリール、極めて特に好ましくはヨウ化ヘテロアリール)、ハロゲン化ビニル(特に好ましくは臭化ビニルまたはヨウ化ビニル、極めて特に好ましくはヨウ化ビニル)、あるいは上記の化合物の少なくとも2種の混合物であることができる。本発明の方法において用いられる、少なくとも一つの脱離基を含む化合物は、同様に、好ましくは、有機フルオロアルキルスルホネート(好ましくはアリールフルオロアルキルスルホネート、ヘテロアリールフルオロアルキルスルホネートまたはビニルフルオロアルキルスルホネート)、あるいは有機ペルフルオロアルキルスルホネート(好ましくはアリールペルフルオロアルキルスルホネート、ヘテロアリールペルフルオロアルキルスルホネートまたはビニルペルフルオロアルキルスルホネート)、あるいは上記の化合物の少なくとも2種の混合物であることができる。本発明の方法において用いられるペルフルオロアルキルスルホネートは、特に好ましくは、アリールトリフルオロメタンスルホネート、ヘテロアリールトリフルオロメタンスルホネート、ビニルトリフルオロメタンスルホネートまたは上記の化合物の少なくとも2種の混合物であることができる。本発明の方法の他の特に好ましい態様において、用いられるペルフルオロアルキルスルホネートは、アリールノナフルオロブタンスルホネート、ヘテロアリールノナフルオロブタンスルホネート、ビニルノナフルオロブタンスルホネートまたは上記の化合物の少なくとも2種の混合物であることができる。ハロゲン化アリール、アリールフルオロアルキルスルホネートおよびアリールペルフルオロアルキルスルホネートには、芳香族有機化合物であって、ハロゲン、フルオロアルキルスルホネートまたはペルフルオロアルキルスルホネート基が、アリール基の芳香環に直接結合しておらず、代わりに、例えばハロゲン化ベンジル、ベンジルトリフルオロメタンスルホネートまたはベンジルノナフルオロブタンスルホネートにおいて、これに、例えばアルキレン基を介して結合しているものも包含する。ハロゲン化ヘテロアリール、ヘテロアリールフルオロアルキルスルホネートおよびヘテロアリールペルフルオロアルキルスルホネートには、芳香族有機化合物であって、ハロゲン、フルオロアルキルスルホネートまたはペルフルオロアルキルスルホネート基が、ヘテロアリール基の芳香環に直接結合しておらず、代わりに、これに、例えばアルキレン基を介して結合しているものも包含する。これらのヘテロアリール基は、好ましくは、ヘテロ原子として、少なくとも1個の酸素および/または窒素および/または硫黄原子を含む。
上記カップリング反応に用いる触媒としては特に限定されないが、有機化合物のカップリング反応に適するすべての触媒またはこれらの触媒の少なくとも2種の混合物である。好ましくは、1種のみの触媒を、各々の場合において用いる。触媒はまた、インサイチュ(insitu)で生成した触媒、即ちカップリング反応の直前または反応中に生成した触媒を含む。本発明の他の好ましい態様において、用いられる触媒は、酸化状態0にあるパラジウムを含む少なくとも1種の化合物である。酸化状態0にあるパラジウムを含む化合物は、好ましくは、トリス(ジベンジリデンアセトン)ビスパラジウムであることができる。本発明の方法において用いられる触媒は、同様に、好ましくは、少なくとも1種の塩基の存在下で、所望により少なくとも1種の無機塩の存在下で、および所望により少なくとも1種のリガンドの存在下で、酸化状態(+II)にあるパラジウムを含む少なくとも1種の化合物である。本発明の方法において用いられる、酸化状態(II)にあるパラジウムを含むパラジウム化合物は、好ましくは、塩化パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリドまたはこれらの化合物の少なくとも2種の混合物であることができる。本発明の方法において用いられる塩基は、当業者に知られており、有機化合物のカップリング反応に適する、すべての塩基であることができる。用いられる塩基は、好ましくは、有機アミン、特に好ましくはトリエチルアミン、ジエチルアミンまたはトリ−n−ブチルアミン、窒素を含む、随意に芳香族の複素環式化合物、特に好ましくはピリジンまたはN−メチルピロリドンあるいは上記の化合物の少なくとも2種の混合物であることができる。本発明の方法において用いられる無機塩は、当業者に知られており、有機化合物のカップリング反応に適する、すべての無機塩であることができる。用いられる無機塩は、好ましくは、ヨウ化銅(I)である。
次いで別流路である第2導入部d2より、第2流体として、少なくとも一つのビニル性またはアセチレン性水素原子を含む有機化合物を少なくとも1種類含む流体を、上記処理用面1,2間に作られた第1流体膜に直接導入する。
上記カップリング反応に用いる少なくとも一つのビニル性またはアセチレン性水素原子を含む有機化合物としては、特に限定されないが、カップリング反応のための基質として適する、少なくとも一つのビニル性またはアセチレン性水素原子を含むすべての有機化合物である。好ましいのは、本発明の方法において、少なくとも1種の非分枝状、分枝状、環式、芳香族またはヘテロ芳香族アルケンまたはアルキン、特に好ましくは、少なくとも1種の非分枝状、分枝状、環式、芳香族またはヘテロ芳香族アルケンである。少なくとも一つのビニル性またはアセチレン性水素原子を含む芳香族化合物には、単環式および/または多環式ホモ芳香族基本構造または対応する部分的構造を、例えば置換基の形態で含み、そしてビニル性またはアセチレン性水素原子を含む、有機化合物および/またはこれらの誘導体も包含する。少なくとも一つのビニル性またはアセチレン性水素原子を含むヘテロ芳香族化合物には、単環式および/または多環式ヘテロ芳香族基本構造または対応する部分的構造を、例えば置換基の形態で含み、そして少なくとも一つのビニル性またはアセチレン性水素原子を含む、有機化合物および/またはこれらの誘導体も包含する。これらのヘテロ芳香族基本構造または部分的構造は、特に好ましくは、少なくとも1個の酸素および/または窒素および/または硫黄原子を含む。
上記カップリング反応で用いる少なくとも一つのビニル性またはアセチレン性水素原子を含む有機化合物と、少なくとも一つの脱離基を含む有機化合物と、触媒とは液状または溶液状であることが好ましく、そのために用いることができる溶媒は、イオン交換水、精製水、水道水、超純水などの水や有機溶媒など、特に限定されないが、好ましい溶媒は、ハロゲン化溶媒(特に好ましくはジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンまたは1,1,2,2−テトラクロロエタン)、直鎖状、分枝状または環状炭化水素化合物(特に好ましくはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンまたはシクロオクタン)、あるいは直鎖状、分枝状または環式エーテル(特に好ましくはジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフランまたはジオキサン)、芳香族溶媒(特に好ましくはトルエン、キシレン、リグロインまたはフェニルエーテル)、N含有複素環式溶媒(特に好ましくはピリジンまたはN−メチルピロリドン)、あるいは上記の溶媒の少なくとも2種の混合物である。
上記のように、流体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力との圧力バランスによって距離を制御された処理用面1,2間にて、薄膜流体中で第1流体と第2流体とが合流する。その薄膜流体中で第1流体と第2流体とが混合され、上記2種の物質を反応させる。より具体的には、カップリング反応を行うことが出来る。少なくとも一つの脱離基を含む少なくとも1種の有機化合物を、少なくとも一つのビニル性またはアセチレン性水素原子とを含む少なくとも1種の有機化合物と反応させるか、あるいは、用いられる有機化合物が、少なくとも一つの脱離基および少なくとも一つのビニル性またはアセチレン性水素原子とを同時に含むものであっても良い。このことから、本発明のカップリング反応は、分子間および分子内カップリング反応を共に包含することになる。
また、少なくとも一つのビニル性またはアセチレン性水素原子を含む有機化合物と、少なくとも一つの脱離基を含む有機化合物と、触媒の全てを処理用面間での反応に影響を与えない程度に混合した流体を第1流体若しくは第2流体として用いても実施できる。
(18:アセトアセチル化反応)
例えばアセトアセチル化反応の場合には、一つの流路である第1導入部d1より、第1流体としてアルコール、アミン、チオールの内少なくとも一つの有機化合物及び必要に応じて触媒を少なくとも1種類含む流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間に導入して、この処理用面間に第1流体膜を作る。
上記アセトアセチル化反応に用いるアルコール、アミン、チオールは、化学式ROH、NHRR’、RSHで示されるすべての活性水素含有化合物である。
上記アセトアセチル化反応に必要に応じて用いる触媒としては特に限定されないが、例えばアミン、特に第三アミン、またはこれらのアンモニウム塩が挙げられる。例えば立体障害第三アミンが、触媒として適切である。適切な触媒の例は、ジメチルステアリルアミン、トリブチルメチルアンモニム塩化物、NH4アセテート、および1,4−ジアゾビシクロ[2,2,2]−オクタン(=DABCO)である。
次いで別流路である第2導入部d2より、第2流体として、少なくとも一つのジケテンを少なくとも1種類含む流体を、上記処理用面1,2間に作られた第1流体膜に直接導入する。
上記アセトアセチル化反応に用いる少なくとも一つのジケテンは、下記の式である。
上記アセトアセチル化反応において、ジケテンおよび/または活性水素を含有する化合物が、反応温度において液体または気体形態にあるとき、これらは実質的に、または溶液の形態で供給されてもよい。これらが反応温度において固体であるとき、これらは適切には、縣濁液または溶液の形態で第1及び第2流体として供給される。適切な希釈剤および溶媒は、当業者に知られており、したがって詳細には例示されない。好ましい実施態様において、ジケテンまたは/および活性水素を含有する化合物は、水溶液または水性縣濁液の形態で、供給される。
上記アセトアセチル化反応における式中:Xは、NR ’、O 、またはS であり;R 、R ’は各々独立して、Hであるか、1から18個の炭素原子を有する直鎖、枝分かれ、または環状アルキルまたはアルケニル、アリールまたはヘテロアリールであり、ここにおいて、前記アルキル、アルケニル、アリールおよびヘテロアルキル基中の一つまたはそれ以上の水素が、不活性置換基によって置換されていてもよく、R1、R2、R3およびR4は、各々独立してHであるか、1から18個の炭素原子を有する直鎖、枝分かれまたは環状アルキルまたはアルケニル、アリールまたはヘテロアリールであり、ここにおいて、前記アルキル、アルケニル、アリールおよびヘテロアルキル基中の一つまたはそれ以上の水素が、不活性置換基によって置換されていてもよく、またはR1およびR2および/またはR3およびR4は、互いに結合し、シクロアルカン環−CH2−(CH2)k−CH2−(式中、k=0、1、2、3、または4である。)のメチレン単位を形成する。アルケニルは、少なくとも一つのC=C二重結合を有する脂肪族炭素基である。複数の二重結合が存在してもよく、共役していてもよい。不活性置換基とは、ジケテンと、活性水素を含有する化合物との反応のために用いられる反応条件下に実質的に非反応性の置換基である。不活性置換基の典型例は、アルキル、アラルキル、アルコキシ、ハロゲン、特にF、Cl、およびBr、−CN、−NO2であり、この場合、アルキルおよびアルコキシ基は好ましくは、1から6個の炭素原子であり、アラルキルは好ましくは、例えばベンジルを包含するC6−C10−アリール−C1−C6−アルキルである。さらに不活性置換基は、それ自体反応性であるような基、例えば−OHまたは−NHであってもよいが、保護基によって保護されている。アリールは、少なくとも一つの芳香族環を含む基であると理解される。このようなアリールの例は、フェニル、スルホフェニル、ナフチル、およびもう一つの多環芳香族、例えばピレンであり、これらは不活性置換基によって置換されていてもよい。ヘテロアリールは、少なくとも一つのヘテロ原子、場合によっては複数のヘテロ原子、例えばN、O、S、または/およびPを、芳香族環構造中に含んでいる。ヘテロアリールの例は、ピリジル、ピリミジル、チアゾリル、キノリニル、インドリルである。またR1、R2、R3およびR4は、各々独立して、Hであるか、1から18個、一般的には1から12個、例えば1から6個の炭素原子を有する直鎖または枝分かれアルキルである。このようなアルキルは、場合により不活性置換基によって置換されている。また、Rはアリールまたはヘテロアリールでもよく、R’はH、アリールまたはヘテロアリールでもよい。好ましくは、Rは、次の式(I)、(II)、(III)いずれかの基から選択され、R’は、H 、または次の式(I)、(II)、(III)いずれかの基から選択される。
上記の各式中、M は、水素またはアルカリ金属、特にNaまたはKであり;Yはハロゲン、特にClであり、R5およびR6は、各々独立して、水素であるか、1から6個の炭素原子を有する直鎖または枝分かれアルキル、特にメチルまたは/およびエチルであり、R7およびR8は、各々独立して、1から18個の炭素原子を有する直鎖、枝分かれまたは環状アルキルまたはアルケニルであり、ここにおいて、一つまたはそれ以上の水素はまた、不活性置換基によって置換されていてもよく、l、m、およびnは、各々0から5の整数であり、l+m+n≦5である。
上記アセトアセチル化反応による方法の特定の場合において、対応アミン、すなわち式HNRR’(式中、Rは、式(I)、(II)、(III)いずれかの化合物であり、R ’は、H であるか、または式(I)、(II)、(III)いずれかの化合物であり、R’は、より好ましくはHである)の化合物が用いられる。
特定の場合において、Rは、式(II)の化合物であり、R5およびR6は、各々Hであり、R’はHである。すなわち、活性水素を含有する化合物は、5−アミノベンズイミダゾロン−2である。
上記アセトアセチル化反応においてさらにもう一つの場合において、活性水素を含有する化合物は、脂肪族アルコールである。すなわちXはOであり、Rは、場合により不活性置換基によって置換されている直鎖または枝分かれアルキルである。一般に、1から12個、特に1から6個の炭素原子を有する脂肪族アルコールが用いられる。特に、活性水素を含有する化合物は、メタノール、エタノール、(イソ)プロパノールまたは第三ブタノールであってもよい。
上記のように、流体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力との圧力バランスによって距離を制御された処理用面1,2間にて、薄膜流体中で第1流体と第2流体とが合流する。その薄膜流体中で第1流体と第2流体とが混合され、上記2種の物質を反応させる。より具体的には、アセトアセチル化反応を行うことが出来る。
さらに具体的には下記式のβ−ケトカルボン酸誘導体またはこれらの塩を得ることができる。特に好ましい生成物は、メチル3−オキソブタノエート、エチル3−オキソブタノエート、イソプロピル3−オキソブタノエート、イソブチル3−オキソブタノエート、第三ブチル3−オキソブタノエート、4−アセトアセチルアミノベンゼンスルホン酸、5−アセトアセチルアミノ−2−ベンズイミダゾロン、アセトアセチルアミノベンゼン、4−アセトアセトアミノ−1,3−ジメチルベンゼン、2−アセトアセチルメトキシベンゼン、2−クロロアセトアセトアミノベンゼン、3−アセトアセトアミノ−4−メトキシトルエン−スルホン酸、またはこれらの塩である。R、R、R、R、R及びXについては上記に示したものと同様である。
(19:コハク酸ジエステルとニトリルの反応)
次に、コハク酸ジエステルとニトリルの反応の場合には、一つの流路である第1導入部d1より、第1流体として、強塩基存在下に溶解した形態のR−CNと表されるニトリル、またはR−CNと表されるニトリル、あるいはこれらニトリルの混合物を少なくとも1種類含む流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間に導入して、この処理用面間に第1流体膜を作る。
上記コハク酸ジエステルとニトリルの反応の場合の式中、RおよびRは同一であるか異なっており、それぞれ未置換もしくは置換された同素環または複素環芳香族基である。好ましい同素環式芳香族RおよびR基は、単環式ないし4環式であり、特には単環式または4環式の基であって、例えばフェニル、ビフェニルおよびナフチルである。好ましい複素環式芳香族RおよびR基は、単環式ないし3環式であり、さらに1以上の縮合ベンゼン環を有することができる。前記シアノ基は、複素環上だけでなく同素環上にあっても良い。複素環基の例としては、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、トリアジニル、フリル、ピロリル、チオフェニル、キノリル、クマリニル、ベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ジベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ジベンゾチオフェニル、インドリル、カルバゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、インダゾリル、ベンゾチアゾリル、ピリダジニル、シノリル、キナゾリル、キノキザリル、フタラジニル、フタラジンジオニル、フタルアミジル、クロモニル、ナフトラクタミル、キノロニル、オルトスルホベンズイミジル、マレイミジル、ナフタリジニル、ベンズイミダゾロニル、ベンゾオキサゾロニル、ベンゾチアゾロニル、ベンゾチアゾチオニル、キナゾロニル、キノキザロニル、フタラゾニル、ジオキソピリミジニル、ピリドニル、イソキノロニル、イソキノリニル、イソチアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、インダゾロニル、アクリドニル、キナゾリンジオニル、キノキザリンジオニル、ベンゾオキサジンジオニル、ベンゾオキサジノニルおよびナフタルイミジルがある。前記の同素環式および複素環式芳香族基は、例えば以下のような通常の置換基を有することができる。(1)塩素、臭素またはフッ素原子などのハロゲン原子。(2)炭素数1〜18、好ましくは1〜12、特には1〜8、さらに好ましくは1〜4の分岐または未分岐のアルキル基。これらのアルキル基は、F,OH
、CN 、−OCOR16,OR17、COOR16、CONR1718およびR16−O−CONHR16からなる群から選択される1以上の、例えば1、2、3
、4 または5 個の置換基によって置換されていても良く;R16はアルキル、例えばナフチル、ベンジル、ハロベンジル、フェニル、ハロフェニル、アルコキシフェニルまたはアルキルフェニルなどのアリール、または複素環基であり;R17およびR18は同一でも異なっていても良く、水素もしくはアルキルを表し、そのアルキルはシアノ、水酸基もしくはC〜C−シクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールで、特にはフェニルまたはハロゲン−,アルキル−もしくはアルコキシ−置換されたフェニルで置換されていても良く;あるいはR17とR18が窒素原子と一体となって、例えばモルホリン、ピペリジンまたはフタルイミドなどの5員もしくは6員の複素環を形成している。前記アルキル基上のさらに別の可能な置換基は、モノまたはジアルキル化アミノ基、ナフチル、フェニル、ハロフェニル、アルキルフェニルもしくはアルコキシフェニルなどのアリール基、ならびに2−チエニル、2−ベンゾオキサゾリル、2−ベンゾチアゾリル、2−ベンズイミダゾリル、6−ベンズイミダゾロニル、2−,3−もしくは4−ピリジル、2−,4−もしくは6−キノリルなどのヘテロ芳香族基である。アルキルは(2)の冒頭で言及した意味を有する。未置換および置換アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、tert−アミル、n−ペンチル、n−ヘキシル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、n−ヘプチル、n−オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、ヒドロキシメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、シアノメチル、メトキシカルボニルメチル、アセトキシメチルおよびベンジルなどがある。(3)アルコキシ基−OR19。R19は、水素、上記で定義のアルキルまたはアリール、C〜C−シクロアルキル、アラルキルまたは複素環基である。好ましいR19基はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、トリフルオロエチル、フェニル、o−,m−もしくはp−クロロフェニル、o−,m−もしくはp−メチルフェニル、α−もしくはβ−ナフチル、シクロヘキシル、ベンジル、チエニルまたはピラニルメチルである。(4)−SR19基。R19
は(3)で定義した通りである。R19 の具体例には、メチル、エチル、n −プロピル、イソプロピル、フェニル、o−,m−もしくはp−クロロフェニル、o−,m−もしくはp−メチルフェニル、α−もしくはβ−ナフチル、シクロヘキシル、ベンジル、チエニルまたはピラニルメチルがある。(5)シアノ基。(6)式−NR1718の基。R17およびR18はそれぞれ(2)で定義した通りである。例としては、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、イソプロピルアミノ、β−ヒドロキシエチルアミノ、β−ヒドロキシプロピルアミノ、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)アミノ、N ,N −ビス(β−シアノエチル)アミノ、シクロヘキシルアミノ、フェニルアミノ、N−メチルフェニルアミノ、ベンジルアミノ、ジベンジルアミノ、ピペリジルまたはモルホリルがある。(7)式−COOR16の基。R16
は(2)で定義した通りである。例としては、メチル、エチル、tert −ブチル、フェニル、o −,m −もしくはp−クロロフェニル、o−,m−もしくはp−メチルフェニルまたはα−もしくはβ−ナフチルがある。(8)式−COR19の基。R19
は(3)で定義した通りである。例としては、メチル、エチル、tert −ブチル、フェニル、o−,m−もしくはp−クロロフェニル、o−,m−もしくはp−メチルフェニルまたはα−もしくはβ−ナフチルがある。(9)式−NR20COR16
の基。R16 は(2)で定義した通りであり、R20 は水素、アルキル、アリール(例えば、ナフチルあるいは特には未置換またはハロゲン−,アルキル−もしくは−O−アルキル−置換フェニル)、C〜C−シクロアルキル、アラルキルまたは−COR16であり、2個のCOR16が窒素原子と一体となって複素環を形成していても良い。アルキルR20
は例えば、(2)で好ましいものと記載された数の炭素原子を有することができる。例としては、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ブチリルアミノ、ベンゾイルアミノ、p−クロロベンゾイルアミノ、p−メチルベンゾイルアミノ、N−メチルアセチルアミノ、N−メチルベンゾイルアミノ、N−コハク酸イミドまたはN−フタルイミドがある。(10)式−NR19
COOR16の基。R19およびR16 はそれぞれ(2)または(3)で定義された通りである。例としては、−NHCOOCH
、NHCOOC またはNHCOOC の基がある。(11)式−NR19CONR1718の基。R19、R17およびR18はそれぞれ(3)または(2)で定義された通りである。例としては、ウレイド、N−メチルウレイド、N−フェニルウレイドまたはN,N’−2’,4’−ジメチルフェニルウレイドがある。(12)式−NHSO16の基。R16は(2)で定義した通りである。例としては、メタンスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、p−トリルスルホニルアミノまたはβ−ナフチルスルホニルアミノがある。(13)式−SO16または−SOR16の基。R16は(2)で定義した通りである。例としては、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、2−ナフチルスルホニル、フェニルスルホキシジルがある。(14)式−SOOR16の基。R16は(2)で定義した通りである。R16の例としては、メチル、エチル、フェニル、o−,m−もしくはp−クロロフェニル、o−,m−もしくはp−メチルフェニル、α−もしくはβ−ナフチルがある。(15)式−CONR1718の基。R17およびR18
はそれぞれ(2)で定義した通りである。例としては、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N −フェニルカルバモイル、N ,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−フェニルカルバモイル、N−α−ナフチルカルバモイルまたはN−ピペリジルカルバモイルがある。(16)式−SONR1718の基。R17およびR18はそれぞれ(2)で定義した通りである。例としては、スルファモイル、N−メチルスルファモイル、N−エチルスルファモイル、N
−フェニルスルファモイル、N −メチル−N −フェニルスルファモイルまたはN −モルホリルスルファモイルがある。(17)式−N=N−R21の基。R21は、カップリング要素の基あるいは未置換またはハロゲン−,アルキル−もしくは−O−アルキル−置換フェニル基である。アルキルのR21は例えば、(2)で好ましいものとして記載されている炭素原子数を有することができる。R21の例としては、アセトアセトアリーリド、ピラゾリル、ピリドニル、o−もしくはp−ヒドロキシフェニル、o−ヒドロキシナフチル、p−アミノフェニルまたはp−N,N−ジメチルアミノフェニル基がある。(18)式−OCOR16
の基。R16 は(2)で定義した通りである。R16の例としては、メチル、エチル、フェニル、o−,m−もしくはp−クロロフェニルがある。(19)式−OCONHR16の基。R16は(2)で定義した通りである。R16の例としては、メチル、エチル、フェニル、o−,m−もしくはp−クロロフェニルがある。上記コハク酸ジエステルとニトリルの反応の場合において好ましい実施態様では、RおよびRは独立に、フェニル;1個もしくは2個の塩素原子、1個もしくは2
個のメチル基、メトキシ、トリフルオロメチル、シアノ、メトキシカルボニル、tert −ブチル、ジメチルアミノまたはシアノフェニルで置換されたフェニル;ナフチル;ビフェニル;ピリジル;アミルオキシで置換されたピリジル;フリルまたはチエニルである。特に好ましくはR1およびR2はそれぞれ、フェニル、3または4
−クロロフェニル、3 ,5−ジクロロフェニル、4−メチルフェニル、4−メトキシフェニル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、3−シアノフェニル、4−シアノフェニル、4−メトキシカルボニルフェニル、4−メチルフェニル、4−tert−ブチルフェニル、4−ジメチルアミノフェニル、4−(p−シアノフェニル)フェニル、1−もしくは2
−ナフチル、4 −ビフェニリル、2 −ピリジル、6−アミルオキシ−3 −ピリジル、2 −フリルまたは2−チエニルである。
特に下記式のニトリルが好ましい。
上記の式中、R22 、R23 およびR24 は独立に、水素、フッ素、塩素、臭素、カルバモイル、シアノ、トリフルオロメチル、C〜C13−アルキルカルバモイル、C〜C12−アルキル、C
〜C12−アルコキシ、C〜C12−アルキルメルカプト、C〜C13−アルコキシカルボニル、C
〜C13−アルカノイルアミノ、C〜C12−モノアルキルアミノ、C〜C24−ジアルキルアミノ、未置換またはハロゲン−,C〜C12−アルキル−もしくはC〜C12−アルコキシ−置換フェニル、フェニルメルカプト、フェノキシカルボニル、フェニルカルバモイルまたはベンゾイルアミノであり、前記のアルキルおよびフェニル基は未置換であるかハロゲン、C〜C12−アルキルまたはC〜C12−アルコキシによって置換されており、R22、R23およびR24のうちの1以上が水素である。
さらに詳細には、下記式のニトリルである。
式中、R25およびR26のうちの一方は水素、塩素、臭素、C〜C−アルキル、シアノ、C〜C−アルコキシ、未置換または塩素−,メチル−もしくはC〜C
−アルコキシ−置換フェニル、カルバモイル、C〜C−アルキルカルバモイル、未置換または塩素−,メチル−もしくはC〜C−アルコキシ−置換フェニルカルバモイルであり、他方は水素である。
上記コハク酸ジエステルとニトリルの反応の場合に用いられる強塩基は特に限定されないが、好ましくはリチウムアミド、ナトリウムアミドまたはカリウムアミドなどのアルカリ金属アミド;あるいは水素化リチウム、水素化ナトリウムまたは水素化カリウムなどのアルカリ金属水素化物;あるいはリチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、リチウムn−プロポキシド、ナトリウムn−プロポキシド、カリウムn−プロポキシド、リチウムイソプロポキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムイソプロポキシド、リチウムn−ブトキシド、ナトリウムn−ブトキシド、カリウムn−ブトキシド、リチウムsec−ブトキシド、ナトリウムsec−ブトキシド、カリウムsec−ブトキシド、リチウムtert
−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド、リチウム2−メチル−2−ブトキシド、ナトリウム2−メチル−2−ブトキシド、カリウム2−メチル−2−ブトキシド、リチウム2−メチル−2−ペントキシド、ナトリウム2−メチル−2−ペントキシド、カリウム2−メチル−2−ペントキシド、リチウム3−メチル−3−ペントキシド、ナトリウム3−メチル−3−ペントキシド、カリウム3−メチル−3−ペントキシド、リチウム3−エチル−3−ペントキシド、ナトリウム3−エチル−3−ペントキシドもしくはカリウム3−エチル−3−ペントキシドなどの、特に炭素原子数1〜10の1級、2級または3級脂肪族アルコールから誘導されるアルカリ土類またはアルカリ金属アルコキシドがある。上記塩基の混合物も用いることができる。上記コハク酸ジエステルとニトリルの反応の場合に用いられる強塩基は好ましくはアルカリ金属アルコキシであり、その場合のアルカリ金属は詳細にはナトリウムまたはカリウムであり、前記アルコキシドは、2級もしくは3級アルコールから誘導される。従って、特に好ましい強塩基は例えば、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムイソプロポキシド、ナトリウムsec−ブトキシド、カリウムsec−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド、ナトリウム、tert−アミルオキシドおよびカリウムtert−アミルオキシドである。
また、上記強塩基は次のコハク酸ジエステルを含む流体に用いても実施できる。
次いで別流路である第2導入部d2より、第2流体として、コハク酸ジエステルを少なくとも1種類含む流体を、上記処理用面1,2間に作られた第1流体膜に直接導入する。
上記コハク酸ジエステルとニトリルの反応の場合に用いるコハク酸ジエステルとしては、特に限定されないが、ジアルキル、ジアリールまたはモノアルキルモノアリールエステルであることができ、その中でもコハク酸ジアルキルおよびジアリールは非対称であることもできる。しかしながら、対称のコハク酸ジエステル、特に対称のコハク酸ジアルキルを用いることが好ましい。コハク酸ジアリールまたはモノアリールモノアルキルが存在する場合、アリールは詳細には、未置換フェニルあるいは塩素のようなハロゲン、メチル,エチル,イソプロピルもしくはtert−ブチルのようなC〜C−アルキルまたはメトキシもしくはエトキシのようなC〜Cアルコキシによって置換されたフェニルである。コハク酸ジアルキルまたはモノアルキルモノアリールの場合、アルキルは未分岐または分岐であることができ、好ましくは分岐であり、好ましくは炭素原子数1〜18、特には1〜12、より好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜5である。分岐アルキルは好ましくは、イソプロピル、sec−ブチル、tert−ブチル、tert−アミルまたはシクロヘキシルなどのsec−もしくはtert−アルキルである。コハク酸ジエステルの例としては、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジプロピル、コハク酸ジブチル、コハク酸ジペンチル、コハク酸ジヘキシル、コハク酸ジフェニル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソプロピル、コハク酸ジ−sec−ブチル、コハク酸ジ−tert−ブチル、コハク酸ジ−tert−アミル、コハク酸ジ−[1,1−ジメチルブチル]、コハク酸ジ−[1,1,3,3−テトラメチルブチル]、コハク酸ジ−[1,1−ジメチルペンチル]、コハク酸ジ−[1−メチル−1−エチルブチル]、コハク酸ジ−[1,1−ジエチルプロピル]、コハク酸ジフェニル、コハク酸ジ−[4−メチルフェニル]、コハク酸ジ−[2−メチルフェニル]、コハク酸ジ−[4−クロロフェニル]、コハク酸モノエチルモノフェニル、コハク酸ジシクロヘキシルがある。特に好ましいものは、コハク酸ジイソプロピルである。
上記コハク酸ジエステルとニトリルの反応の場合に用いる強塩基と、R−CNと表されるニトリル、またはR−CNと表されるニトリル、あるいはこれらニトリルの混合物と、コハク酸ジエステルとは液状または溶液状であることが好ましく、そのために用いることができる溶媒は、イオン交換水、精製水、水道水、超純水などの水や有機溶媒など、特に限定されないが、好適な有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n
−ブタノール、sec −ブタノール、tert −ブタノール、n −ペンタノール、2−メチル−2 −ブタノール、2 −メチル−2−ペンタノール、3 −メチル−3
−ペンタノール、2 −メチル−2−ヘキサノール、3 −エチル−3 −ペンタノール、2 ,4 ,4 −トリメチル−2 −ペンタノールなどの炭素原子数1〜10の1級、2級または3級アルコール類;あるいはエチレングリコールまたはジエチレングリコールなどのグリコール類;あるいはテトラヒドロフランまたはジオキサンなどのエーテル類;あるいはエチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルまたはジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ニトロベンゼン、N−メチルピロリドンなどの極性非プロトン性溶媒;あるいはベンゼンまたはトルエン、キシレン、アニソールもしくはクロロベンゼンのようなアルキル−,アルコキシ−もしくはハロゲン−置換ベンゼンなどの脂肪族もしくは芳香族炭化水素;あるいはピリジン、ピコリンまたはキノリンなどの芳香族複素環がある。さらに、式(VI)もしくは(VII)の反応物ニトリルあるいは反応物コハク酸ジエステルを、それらが反応を行う温度範囲で液体である場合に溶媒としても用いることが可能である。上記の溶媒は混合物として用いることもできる。上記コハク酸ジエステルとニトリルの反応は好ましくは、溶媒としてのアルコール、特には2級もしくは3級アルコール中で行う。好ましい3級アルコールには、tert−ブタノールおよびtert−アミルアルコールがある。この関係で興味深いものとしては、これら好ましい溶媒と、トルエンもしくはキシレンなどの芳香族炭化水素あるいはクロロベンゼンなどのハロゲン置換ベンゼンとの混合物もある。
上記のように、流体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力との圧力バランスによって距離を制御された処理用面1,2間にて、薄膜流体中で第1流体と第2流体とが合流する。その薄膜流体中で第1流体と第2流体とが混合され、上記2種の物質を反応させる。より具体的には、コハク酸ジエステルとニトリルを反応させることが出来る。
また、強塩基と、R−CNと表されるニトリル、またはR−CNと表されるニトリル、あるいはこれらニトリルの混合物と、コハク酸ジエステルの全てを処理用面間での反応に影響を与えない程度に混合した流体を第1流体若しくは第2流体として用いても実施できる。
さらに具体的にはジケトピロロピロール顔料を合成でき、その場合には上記コハク酸ジエステルとニトリルの反応を顔料分散剤、好ましくはジケトピロロピロール類およびキナクリドン類に基づく分散剤の存在下に行うことができる。そのような分散剤には例えば、下記式の化合物が挙げられる。
上記の式中、R30、R40およびR50は独立であるか異なっており、それぞれ水素、塩素、臭素、フッ素、ニトロ、C
1 〜C 6 アルキル、C 1 〜C6アルコキシ、ベンゾイルアミノ、同素環もしくは複素環芳香族基であり、特には水素またはメチルであり;Q はキナクリドン基またはジケトピロロピロール基、好ましくはF、Cl、Br
、C 1 〜C 4 −アルキル、C 1 〜C 4 −アルコキシ、C 1 〜C 6 −アルキル基によって置換されていても良いカルボキサミドおよびフェノキシから選択される1、2、3もしくは4個の置換基によって置換されていても良いキナクリドン基あるいは上記のように置換されていても良いジケトピロロピロール基であり、mは0.1〜4である。
また、分散剤として下記式の化合物が挙げられる。式中、R30、R40、R50、m、およびQはそれぞれ上記で定義した通りである。
また、分散剤として下記式の化合物が挙げられる。式中、R30、R40、R50、m、およびQはそれぞれ上記で定義した通りであり、R60はR30、R40またはR50の意味のいずれかであり、好ましくはR30〜R60はそれぞれ、水素、メチル基または塩素である。
また、分散剤として下記式の化合物が挙げられる。
上記の式中、Q は上記で定義した通りであり;s およびn は独立に0 〜4 であるが、両方がゼロであることはなく;Eは、Hあるいは例えばLi1+、Na1+、K1+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Mn2+、Cu2+、Ni2+、Co2+、Zn2+、Fe2+、Al3+、Cr3+またはFe3+などの、化学元素の周期律表の主要な1〜5族または1
もしくは2 または4 〜8 の遷移族からの金属カチオンMf+の相当するMf+/f(fは1、2または3である);アンモニウムイオンN+R9R10R11R12であり;R9、R10、R11およびR12はそれぞれ独立に、水素原子、C1〜C30−アルキル、C2〜C30−アルケニル、C5〜C30−シクロアルキル、フェニル、(C1〜C8)−アルキル−フェニル、(C1〜C4)−アルキレン−フェニル(例:ベンジル)または式−[CH(R80)−CH(R80)−O]k−H(kは1〜30であり、2個のR80は独立に、水素、C1〜C4−アルキルまたはk>1の場合にはそれらの組合せである)の(ポリ)アルキレンオキシ基であり;アルキル、アルケニル、シクロアルキル、フェニルまたはアルキルフェニルであるR9、R10、R11および/またはR12はアミノ、水酸基および/またはカルボキシルによって置換されていても良く;あるいはR9とR10が4級窒素原子と一体となって、例えばピロリドン、イミダゾリジン、ヘキサメチレンイミン、ピペリジン、ピペラジンまたはモルホリン型のように、所望に応じてO、SおよびNからなる群から選択されるさらに別のヘテロ原子を有する5〜7員の飽和環系を形成していても良く;あるいはR9、R10およびR11が4
級窒素原子と一体となって、例えばピロール、イミダゾール、ピリジン、ピコリン、ピラジン、キノリンまたはイソキノリン型のように、所望に応じてO、SおよびN からなる群から選択されるさらに別のヘテロ原子を有し、しかも所望に応じて別の環に縮合していても良い5〜7員の芳香環系を形成していても良く;あるいはE+は下記式のアンモニウムイオンを規定するものである。
上記の式中、R15、R16、R17およびR18は独立に、水素または式−[CH (R80)−CH(R80)O]k−H の(ポリ)アルキレンオキシ基であり;kは1〜30であり、2個のR80は独立に、水素、C1〜C4−アルキルまたはk>1
の場合にはそれらの組合せであり;q は1〜10 、好ましくは1 、2 、3 、4または5であり;pは1〜5 であり、ただしp≦q+1であり;Tは分岐または未分岐のC2〜C6 −アルキレン基であり;あるいはq>1の場合には、Tは分岐または未分岐のC2〜C6−アルキレン基の組合せであることもでき;2個のZ基は同一であるか異なっており、ZはZ1またはZ4の定義を有し;Z1は -[X-Y]qR91 と表される基である。
-[X-Y]qR91 の式中、XはC2〜C6−アルキレン基、C5〜C7−シクロアルキレン基またはそれらの組合せであり;それらの基は1〜4個のC1〜C4−アルキル基、水酸基、(C1〜C4)−ヒドロキシアルキル基および/または1〜2個のさらに別のC5〜C7−シクロアルキル基によって置換されていても良く;あるいはq>1
の場合には、X は上記の意味の組合せであっても良い。
Yは、−O−、または下記式の基、または−NR90基であり;あるいはq>1の場合には、Yは上記の意味の組合せであることができ;qは1〜10、好ましくは1、2、3、4または5であり;R90およびR91は独立に、水素原子、置換または未置換またはフッ素化またはパーフルオロ化した分岐もしくは未分岐の(C1〜C20)−アルキル基、置換もしくは未置換のC5〜C7−シクロアルキル基または置換もしくは未置換もしくはフッ素化もしくはパーフルオロ化(C2〜C20)−アルケニル基であり;それらの置換基は、水酸基、フェニル、シアノ、塩素、臭素、アミノ、C2〜C4−アシルまたはC1〜C4−アルコキシであることができ、好ましくは1〜4個であり;あるいはR90とR91は窒素原子と一体となって、飽和、不飽和または芳香族の5〜7員の複素環を形成しており;それらの環は1個もしくは2個のさらに別の窒素、酸素もしくは硫黄原子を有していても良く、OH、フェニル、CN、Cl、Br、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、C2〜C4−アシルおよびカルバモイルからなる群から選択される1個、2個もしくは3個の置換基によって置換されていても良く、1個もしくは2個のベンゾ縮合した飽和、不飽和または芳香族の炭素環または複素環を有していても良く;Z4は水素、水酸基、アミノ、フェニル、(C1〜C4)−アルキレン−フェニル、C5〜C7−シクロアルキルまたはC1〜C20−アルキルであり;そのフェニル環、(C1〜C4)−アルキレン−フェニル基およびアルキル基は、Cl、Br、CN、NH2、OH、C6H5
、モノ−,ジ−もしくはトリ−C1〜C4 −アルコキシ置換C6H5、カルバモイル、C2〜C4 −アシルおよびC1〜C4−アルコキシ(例:メトキシまたはエトキシ)からなる群からの1以上、例えば1、2、3もしくは4個の置換基によって置換されていても良く;前記フェニル環および(C1〜C4)−アルキレン−フェニル基はNR90R91(R90およびR91は上記で定義の通りである)によって置換されていても良く;あるいは前記アルキル基はパーフルオロ化またはフッ素化されている。
また、分散剤として下記式の化合物が挙げられる。
上記の式中、R15は水素、塩素、臭素、フッ素、C1 〜C6 −アルキル、C1〜C6−アルコキシ、フェニル、ジ−(C1〜C6−アルキル)アミノ、C1
〜C6−アルキルチオ、フェニルチオまたはフェノキシであり;好ましくはR15は4位でフェニル基に結合しており;Qは上記で定義した通りであり;式(IX)の化合物は0〜6個のSO3−E+基を有しており;Eは上記で定義した通りである。
また、分散剤として下記式の化合物が挙げられる。式中、R30、R40、mおよびQはそれぞれ上記で定義した通りである。
本発明の方法はさらに、好ましくはキナクリドン類およびジケトピロロピロール類に基づいたサッカリン含有顔料分散剤を用いて行うことができる。
上記コハク酸ジエステルとニトリルの反応の場合には、界面活性剤、充填剤、標準化剤、樹脂、消泡剤、防塵剤、展着剤、遮光着色剤、保存剤、乾燥遅延剤、レオロジー調節添加剤またはそれらの組合せからなる群から選択される補助剤を用いることもできる。有用な界面活性剤には、アニオン系、カチオン系およびノニオン系の物質またはそれらの混合物などがある。有用なアニオン系物質には例えば、脂肪酸タウリド類、脂肪酸N−メチルタウリド類、脂肪酸イセチオン酸類、アルキルフェニルスルホン酸類、アルキルナフタレンスルホン酸類、アルキルフェノールポリグリコールエーテル硫酸類、脂肪族アルコールポリグリコールエーテル硫酸類、脂肪酸アミドポリグリコールエーテル硫酸類、アルキルスルホスクシナメート類、アルケニルコハク酸モノエステル類、脂肪族アルコールポリグリコールエーテルスルホコハク酸類、アルカンスルホン酸類、脂肪酸グルタミン酸類、アルキルスルホコハク酸類、脂肪酸サルコシド類;例えばパルミチン酸、ステアリン酸およびオレイン酸などの脂肪酸類;例えば脂肪族樹脂、ナフテン酸類およびアビエチン酸などの樹脂酸、ロジン変性マレイン酸樹脂などのアルカリ可溶性樹脂、ならびにシアヌルクロライド、タウリン、N,N’−ジエチルアミノプロピルアミンおよびp−フェニレンジアミンに基づく縮合生成物のアルカリ金属塩のような石鹸などがある。特に好ましいものとしては、樹脂酸のアルカリ金属塩である樹脂石鹸である。有用なカチオン系物質には例えば、4級アンモニウム塩類、脂肪族アミンアルコキシレート類、アルコキシ化ポリアミン類、脂肪族アミノポリグリコールエーテル類、脂肪族アミン類、脂肪族アミン類または脂肪族アルコール類から誘導されるジ−およびポリアミン類、それらのジ−およびポリアミン類から誘導されるアルコキシレート類、脂肪酸から誘導されるイミダゾリン類、ならびにこれらカチオン系物質の塩などがある。有用なノニオン系物質には例えば、アミンオキサイド類、脂肪族アルコールポリグリコールエーテル類、脂肪酸ポリグリコールエステル類、脂肪族アミドN−プロピルベタイン類などのベタイン類、脂肪族アルコール類もしくは脂肪族アルコールポリグリコールエーテル類のホスホン酸エステル類、脂肪酸アミドエトキシレート類、脂肪族アルコール−アルキレンオキサイド付加物ならびにアルキルフェノールポリグリコールエーテル類などがある。
上記分散剤及び補助剤の両方、または、分散剤若しくは補助剤のいずれかのみが第一流体と第二流体のどちらに存在しても実施できるし、前記第一流体、第二流体と異なる、新たな第三流体に存在しても実施できる。
また、上記コハク酸ジエステルとニトリルの反応にて得られた塩を加水分解することもできる。前記加水分解を実施する場合には、前記ニトリルおよび前記コハク酸エステルの反応から形成された物質を含む流体と加水分解剤とを少なくとも1種類含む流体を処理用面間で合流させる。合流の方法としては、前記ニトリルおよび前記コハク酸エステルの反応から形成された物質を含む流体を再度、第一流体とし、加水分解剤を少なくとも1種類含む流体を第二流体として、第一流体と第二流体を処理用面間にて合流させて実施できる。実施の他の形態としては上記コハク酸ジエステルとニトリルとの反応を処理用面間の上流で行い、得られた反応物を含む流体と加水分解剤との反応を処理用面間の下流で行っても実施できる。また、加水分解剤を処理用面間での反応に影響を与えない程度にコハク酸ジエステルもしくはニトリルを含む流体に混合した流体を用いても実施できる。
上記コハク酸ジエステルとニトリルの反応にて得られた塩に用いられる加水分解剤は特に限定されないが、好ましくは、水、アルコール類及び酸類、またはアルコール若しくは酸類並びにそれらの混合物、そして適宜に選択された、上記とはさらに別の溶媒である。有用なアルコールには例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、tert−ブタノールおよびtert−アミルアルコールなどがある。酸は例えば、塩酸、リン酸および好ましくは硫酸などの無機酸;あるいはギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ヘキサン酸、シュウ酸、安息香酸、フェニル酢酸、ベンゼンスルホン酸またはp−トルエンスルホン酸、好ましくは酢酸およびギ酸または酸混合物などの脂肪族もしくは芳香のカルボン酸類またはスルホン酸類である。
(20:アルコキシド)
次に、アルカリ金属をアルコールと反応させる場合には、一つの流路である第1導入部d1より、第1流体として、アルコールを少なくとも1種類含む流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間に導入して、この処理用面間に第1流体膜を作る。
上記アルカリ金属をアルコールと反応させる場合のアルコールとしては、特に限定されないが、好ましくはs−ブタノール、t−ブタノール、t−アミルアルコール、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン−3−オール(リナロール)、3,7,11−トリメチル−3,6,10−ドデカトリエン−3−オール、3,7,11,15−テトラメチル−1−ヘキサデセン−3−オール及びテトラヒドロリナロールである。更に好ましい使用は、比較的長鎖のアルコール、例えばステアリルアルコール又は多価アルコールである。
次いで別流路である第2導入部d2より、第2流体として、アルカリ金属を少なくとも1種類含む流体を、上記処理用面1,2間に作られた第1流体膜に直接導入する。
上記アルカリ金属としては、特に限定されないが、好ましくはリチウム、ナトリウム、カリウム、又はリチウム、ナトリウムもしくはカリウムの合金であり、特に好ましくはナトリウムもしくはカリウム、更に好ましくはナトリウムである。
上記アルカリ金属とアルコールの反応の場合に用いるアルコールとアルカリ金属とは液状または溶液状であることが好ましく、そのために用いることができる溶媒は、特に限定されない。
上記のように、流体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力との圧力バランスによって距離を制御された処理用面1,2間にて、薄膜流体中で第1流体と第2流体とが合流する。その薄膜流体中で第1流体と第2流体とが混合され、上記2種の物質を反応させる。より具体的には、アルカリ金属とアルコールを反応させることが出来る。
また、強アルコールとアルカリ金属とを処理用面間での反応に影響を与えない程度に混合した流体を第1流体若しくは第2流体として用いても実施できる。
(21:アルドール反応)
次に、アルドール反応の場合には、一つの流路である第1導入部d1より、第1流体として触媒を少なくとも1種類含む流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間に導入して、この処理用面間に第1流体膜を作る。
上記アルドール反応に用いる触媒としては特に限定されないが、不均一系の塩基性アニオン交換体、Mo,W,Ca,Mg および Alの金属酸化物、塩基性ゼオライトであるなどが挙げられる。またこれらは上記のように流体に含むことも可能であるし、処理用面1,2のうち少なくとも一方に蒸着などにより付着させて使用しても良い。また、処理用面中間で上記触媒を析出させる手段を用いることもできる。
次いで別流路である第2導入部d2より、第2流体として、アルデヒド類および/またはケトン類を少なくとも1種類含む流体を、上記処理用面1,2間に作られた第1流体膜に直接導入する。
上記アルドール反応に用いるアルデヒド類および/またはケトン類として好ましいものは、アルデヒドR1CHO(R1=C1-C12-アルキル、C5-C12-シクロアルキル、アリール、C(14アラルキル))もしくは第二アルデヒドR2CHO(R2=H,C1-C12-アルキル、C5-C12-シクロアルキル、アリール、C(14アラルキル))、またはケトンR1R2CO(R1,R2=C1-C12-アルキル、C5-C12-シクロアルキル、アリール、C(14アラルキル))、または別のケトンR3R4CO
(R3,R4 =C1-C12-アルキル、C5-C12-シクロアルキル、アリール、C(14アラルキル))である。記載したすべてのアルデヒドおよびケトンは、各々、独立して、未置換または同一もしくは異なる置換基により置換されることができる。
上記アルドール反応の場合に用いる触媒とアルデヒド類および/またはケトン類とは液状または溶液状であることが好ましく、そのために用いることができる溶媒は、特に限定されない。
上記のように、流体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力との圧力バランスによって距離を制御された処理用面1,2間にて、薄膜流体中で第1流体と第2流体とが合流する。その薄膜流体中で第1流体と第2流体とが混合され、上記2種の物質を反応させる。より具体的には、アルドール反応を行うことが出来る。
また、触媒とアルデヒド類および/またはケトン類の全てを処理用面間での反応に影響を与えない程度に混合した流体を第1流体若しくは第2流体として用いても実施できる。
(22:ホウ素化反応)
次に、ホウ素化反応の場合には、一つの流路である第1導入部d1より、第1流体として、ホウ素化合物を少なくとも1種類含む流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間に導入して、この処理用面間に第1流体膜を作る。
上記ホウ素化反応に、必要に応じて用いるホウ素化合物としては特に限定されないが、BXの式で示される化合物である。
上記式中、Xは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C〜C−アルコキシ、N,N−ジ(C〜C−アルキル)アミノおよび(C〜C−アルキル)チオからなる群から選択される同一または異なる基である。
次いで別流路である第2導入部d2より、第2流体として、リチウム芳香族および/またはリチウム化脂肪族化合物もしくはマグネシウム芳香族および/またはマグネシウム脂肪族化合物を少なくとも1種類含む流体を、上記処理用面1,2間に作られた第1流体膜に直接導入する。
上記ホウ素化反応に用いるリチウム芳香族およびリチウム化脂肪族化合物は、nR−Li の式で示される化合物である。
上記式中、nは1、2または3であり、Rは、直鎖または分岐状のC〜C−アルキル、RO、R′N、フェニル、置換フェニル、フッ素およびRSからなる群から選択される基によって置換されたC〜C−アルキル(ここでR、R’は直鎖または分岐状のC〜C−アルキル)、フェニル、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、C〜C−チオエーテル、シリル、フッ素、塩素、ジアルキルアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノからなる群から選択される基によって置換されたフェニル、1または2個の窒素原子を含む6員のヘテロアリール、N、OおよびSからなる群から選択される1または2個のヘテロ原子を含む5員のヘテロアリール、または置換または未置換二環式または三環式芳香族である。
上記ホウ素化反応に用いるマグネシウム芳香族および/またはマグネシウム脂肪族化合物は、nR−Metの式で示されるグリニャール化合物である。
上記式中、n及び、Rについては、上記リチウム芳香族及びリチウム化脂肪族化合物と同様、MetはMgYであり、Yはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。
上記ホウ素化反応の場合に用いるホウ素化合物とリチウム芳香族および/またはリチウム化脂肪族化合物もしくはマグネシウム芳香族および/またはマグネシウム脂肪族化合物とは液状または溶液状であることが好ましく、そのために用いることができる溶媒は、イオン交換水、精製水、水道水、超純水などの水や有機溶媒など、特に限定されないが脂肪族および芳香族エーテルおよび炭化水素および窒素上に水素を持たないアミン、好ましくはトリエチルアミン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、トルエン、トルエン/THF混合物、アニソールおよびジイソプロピルエーテル、特に好ましくはトルエン、THFまたはジイソプロピルエーテル、である。
上記のように、流体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力との圧力バランスによって距離を制御された処理用面1,2間にて、薄膜流体中で第1流体と第2流体とが合流する。その薄膜流体中で第1流体と第2流体とが混合され、上記2種の物質を反応させる。より具体的には、ホウ素化反応を行うことが出来る。さらにより具体的にはアルキル化またはアリール化したホウ素化合物を合成する事ができる。
また、ホウ素化合物とリチウム芳香族および/またはリチウム化脂肪族化合物もしくはマグネシウム芳香族および/またはマグネシウム脂肪族化合物の全てを処理用面間での反応に影響を与えない程度に混合した流体を第1流体若しくは第2流体として用いても実施できる。
(23:酸化反応)
次に、酸化反応の場合には、一つの流路である第1導入部d1より、第1流体として、不飽和結合を有する有機化合物を少なくとも1種類含む流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間に導入して、この処理用面間に第1流体膜を作る。
上記酸化反応に用いる不飽和結合を有する有機化合物は、その分子内に、炭素−炭素二重結合等の不飽和結合を一つ以上有するものであればよく、前記不飽和結合の他に、オゾンに対して不活性な官能基を有していてもよい。かかる有機化合物としては、例えば1−ヘキセン、1−ヘプテン、2−ヘプテン、1−オクテン、2−オクテン、イソオクテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、1,5−シクロオクタジエン、カレン、リモネン、ピネン等の炭素数5〜20の不飽和脂肪族炭化水素、例えばテルピネオール、ゲラニオール等の炭素数5〜20の不飽和アルコール、例えば菊酸、シトロネル酸、リノール酸、リノレン酸、マレイン酸等の不飽和脂肪族カルボン酸およびそれらのエステル誘導体等が挙げられる。
次いで別流路である第2導入部d2より、第2流体として、オゾンを含む流体を、上記処理用面1,2間に作られた第1流体膜に直接導入する。
上記酸化反応に用いるオゾンとしては通常オゾン発生装置により発生させたオゾン含有ガスを、流量、オゾン濃度等を調節しながら供給される。例えば窒素等の反応に不活性な気体を前記オゾン含有ガスと混合して供給してもよい。
上記酸化反応の場合に用いる不飽和結合を有する有機化合物は液状または溶液状であることが好ましく、そのために用いることができる溶媒は、有機化合物を、溶媒に溶解させて溶液として、処理用面間に供給できれば、特に限定されない。かかる溶媒としては、有機化合物を溶解可能で、反応に不活性なものであれば特に限定されず、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒、例えばトルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、例えばn−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、石油エーテル等の飽和脂肪族炭化水素系溶媒、例えばジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、水等の単独または混合溶媒が挙げられる。
上記のように、流体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力との圧力バランスによって距離を制御された処理用面1,2間にて、薄膜流体中で第1流体と第2流体とが合流する。その薄膜流体中で第1流体と第2流体とが混合され、上記2種の物質を反応させる。より具体的には、酸化反応を行うことが出来る。
また、不飽和結合を有する有機化合物とオゾンの全てを処理用面間での反応に影響を与えない程度に混合した流体を第1流体若しくは第2流体として用いても実施できる。
また、不飽和結合を有する有機化合物とオゾンを、処理用面間で反応させた後、通常得られる反応液を分解処理することにより、含酸素化合物が取り出される。分解処理としては、還元的もしくは酸化的分解処理が挙げられる。かかる分解処理は、処理用面間で行ってもよいし、反応液を処理用面間から取り出して行ってもよい。
還元的分解処理としては、例えば反応液と還元剤を接触させることにより実施される。還元剤としては、例えばジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、ジフェニルスルフィド、β−チオジグリコール等のスルフィド化合物、例えばトリフェニルホスフィン、トリo−トリルホスフィン、トリn−ブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等のホスフィン化合物、例えば亜硫酸アトリウム、亜硫酸カリウム等のアルカリ金属亜硫酸塩、例えばヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム等のアルカリ金属ヨウ化物、チオ尿素、グリオキシル酸等が挙げられ、含酸素化合物として、アルデヒドまたはケトンが得られる。また、反応液を、例えば亜鉛等の金属で還元処理してもよいし、例えばパラジウム炭素、酸化白金、ラネーニッケル等の金属触媒の存在下、水素と反応させてもよい。この場合も、アルデヒドやケトンが得られる。また、還元剤として、例えば水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナトリウム等の金属水素化物も用いられ、この場合には、含酸素化合物として、アルコールが得られる。
酸化的分解処理は、通常反応液と酸化剤を接触させることにより実施され、酸化剤としては、例えばアルカリ性過酸化水素、ギ酸−過酸化水素、クロム酸−硫酸等が挙げられ、含酸素化合物として、カルボン酸、カルボン酸エステル、ケトンが得られる。
(24:二量化反応)
次に、二量化反応の場合には、一つの流路である第1導入部d1より、第1流体として、酸を少なくとも1種類含む流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間に導入して、この処理用面間に第1流体膜を作る。
上記二量化反応に用いる酸は、特に限定されないが、ルイス酸が好ましい。好ましいルイス酸としてはTiCl4、SnCl4、BF3の各種錯体(エーテル、アルコール、フェノール、水錯体等)等が挙げられる。このうち、好ましくはBF3−Et2O、SnCl4である。
次いで別流路である第2導入部d2より、第2流体として、ビニル化合物又はビニリデン化合物を含む流体を、上記処理用面1,2間に作られた第1流体膜に直接導入する。
上記二量化反応に用いるビニル化合物又はビニリデン化合物としては特に限定されないが、ビニル化合物(原料油)であれば、例えば、ビニルシクロヘキセン、スチレン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン等のシクロヘキサン環を持つもの、ベンゼン環を持つもの、α−オレフィン等が挙げられる。ここで、α−オレフィンとして鎖状のものを挙げたが、決してそれに限定されるものではなく、側鎖に置換基を持っていてもよい。また、ビニリデン化合物(原料油)であれば、α−メチルスチレン等のベンゼン環を有するもののほか、下記一般式で表される化合物が好適である。
上記一般式で表される化合物の具体例としては、置換基を持ってもよいメチレン環状化合物が挙げられる。メチレン環状化合物の例としては、メチレンシクロプロパン、メチレンシクロブタン、メチレンシクロペンタン、メチレンシクロヘキサン、メチレンシクロヘプタン、メチレンシクロオクタン、メチレンシクロノナン、メチレンシクロデカン、メチレンビシクロ[3.1.0]ヘキサン、メチレンビシクロ[2.2.1]ヘプタン、メチレンビシクロ[3.1.1]ヘプタン、メチレンビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。これらのメチレン環状化合物は置換基を持ってもよい。置換基の側としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の鎖状アルキル基(C1〜C6程度)、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基(C1〜C6程度)、これらの置換基を持ってもよいフェニル基、これらの置換基を持ってもよいヘテロ環等が挙げられる。ヘテロ環の例としては、オキシラン環、オキセタン環、ピラン環、フラン環、チイラン環、チオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、オキサゾリン環等が挙げられる。メチレン環状化合物として好ましいものは、メチレンビシクロ[2.2.1]ヘプタンである。
上記酸化反応の場合に用いる酸とビニル化合物又はビニリデン化合物とは液状または溶液状であることが好ましく、そのために用いることができる溶媒は、イオン交換水、精製水、水道水、超純水などの水や有機溶媒など、ビニル化合物又はビニリデン化合物や触媒を溶解するための溶媒であれば特に限定されない。また、用いられる溶媒は、反応時のビニル化合物又はビニリデン化合物や触媒の取り扱い上、あるいは反応の進行を調節する上で用いることができるものであれば特に制限されない。具体的には、各種ペンタン、各種ヘキサン、各種オクタン、各種ノナン、各種デカン等の飽和炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン等の脂環式炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル化合物、塩化メチレン、ジクロルエタン、ハイドロフロロカーボン等のハロゲン含有化合物、ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物が挙げられる。このうち、好ましくはハロゲン含有化合物、ニトロメタンである。
上記のように、流体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力との圧力バランスによって距離を制御された処理用面1,2間にて、薄膜流体中で第1流体と第2流体とが合流する。その薄膜流体中で第1流体と第2流体とが混合され、上記2種の物質を反応させる。より具体的には、二量化反応を行うことが出来る。
また、酸とビニル化合物又はビニリデン化合物の全てを処理用面間での反応に影響を与えない程度に混合した流体を第1流体若しくは第2流体として用いても実施できる。
(25:カチオン重合)
次に、カチオン重合反応の場合には、一つの流路である第1導入部d1より、第1流体として、カチオンを少なくとも1種類含む流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間に導入して、この処理用面間に第1流体膜を作る。
上記カチオン重合反応に用いるカチオンは、特に限定されないが、カチオン前駆体の電解酸化により生じたものが、良好な安定性を有し好ましい。前記カチオン前駆体としては、例えば下記の化合物(IV)〜(VII)のようなトリメチルシリル基を有する化合物などが好ましく用いられる。式中のMeはメチル基であり、Buはn−ブチル基である。
これらのカチオン前駆体を電解酸化することにより、カチオンプールを発生させることができ、カチオン重合には、このカチオンプールを用いることが好ましい。例えば、前記化合物(IV)及び(VII)の電解酸化により、それぞれ下記のカチオンプール(VIII) 及び(IX)を発生させることができる。
カチオン前駆体の電解酸化によりカチオンプールを発生させる方法としては、例えば以下に示す方法を用いることができる。なおこの方法は、本願の発明者が実際に実験した内容である。
陽極室にカーボンフェルト、陰極室に白金板を取り付けた、グラスフィルターを隔膜とする2室型の電解装置を用意した。陽極室に0.3Mテトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート(Bu4NBF4)の塩化メチレン溶液8.0
mL および化合物(4)(90.0 mg,0.414 mmol)、陰極室に0.3M Bu4NBF4の塩化メチレン溶液8.0
mLおよびトリフルオロメタンスルホン酸(144.6mg ,0.964 mmol)を加えた後、マグネティックスターラーで撹拌しながら、−78℃で定電流電解(5.0 mA)
を行った。2.5F/molの電気量を流すことで、陽極室にカチオンプール(6)が生成した。
カチオンプールのその他の例としては(X)〜(XII)のものが挙げられる。式中のMeはメチル基である。
次いで別流路である第2導入部d2より、第2流体として、カチオン重合性単量体を少なくとも1種含む流体を、上記処理用面1,2間に作られた第1流体膜に直接導入する。
上記カチオン重合反応に用いるカチオン重合性単量体としては、カチオン重合が可能な単量体であればよく、特に制限はないが、電子供与性の置換基を有するビニル誘導体が、高いカチオン重合性を有するので好ましい。このような電子供与性の置換基を有するビニル誘導体の代表的なものとしては、エチレン骨格がアルキル基やアリール基により置換されたイソブチレン、スチレン、α−メチルスチレンを始めとする誘導体、ヘテロ原子を介して置換されたビニルエーテル類、ビニルスルフィド類、N−ビニルカルバゾールなどの誘導体を挙げることができる。これらの中で、特にカチオン重合性の高い単量体としては、イソブチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、メチルビニルスルフィド、N−ビニルカルバゾール、α−メチルスチレンなどが挙げられる。
上記カチオン重合反応の場合に用いるカチオン重合性単量体とカチオンとは液状または溶液状であることが好ましく、そのために用いることができる溶媒は、特に限定されない。
上記のように、流体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力との圧力バランスによって距離を制御された処理用面1,2間にて、薄膜流体中で第1流体と第2流体とが合流する。その薄膜流体中で第1流体と第2流体とが混合され、上記2種の物質を反応させる。より具体的には、カチオン重合反応を行うことが出来る。
また、カチオン重合性単量体とカチオンの全てを処理用面間での反応に影響を与えない程度に混合した流体を第1流体若しくは第2流体として用いても実施できる。
(26:ハロゲン−金属交換反応、金属―求電子基交換反応)
次に、ハロゲン−金属交換反応の場合には、一つの流路である第1導入部d1より、第1流体として、メタル化試薬を少なくとも1種類含む流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間に導入して、この処理用面間に第1流体膜を作る。
上記ハロゲン−金属交換反応に用いるメタル化試薬は、特に限定されないが、グリニヤール試薬、リチウムマグネシウムアート錯体やリチウム銅アート錯体、及び有機リチウム試薬等が挙げられる。グリニヤール試薬としては、例えばアリールクロリドやアリールブロミド、アリールヨージドが挙げられる。有機リチウム試薬は、従来公知の有機リチウム化合物を使用することができる。例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、ブチルリチウム、ペンチルリチウム、ヘキシルリチウム、メトキシメチルリチウム、エトキシメチルリチウム等のアルキルリチウム;ビニルリチウム、アリルリチウム、プロペニルリチウム、ブテニルリチウム等のアルケニルリチウム;
エチニルリチウム、ブチニルリチウム、ペンチニルリチウム、ヘキシニルリチウム等のアルキニルリチウム;ベンジルリチウム、フェニルエチルリチウム等のアラルキルリチウム等が挙げられる。この中で好ましくはアルキルリチウム、アルケニルリチウム、アルキニルリチウムであり、その中でもメチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、iso−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、n−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、ビニルリチウム、アリルリチウム、メトキシメチルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、2−チエニルリチウム、トリ(n−ブチル)マグネシウムリチウムが好ましく、更にはn−ブチルリチウムが好ましい。
次いで別流路である第2導入部d2より、第2流体として、ハロゲン化合物を少なくとも1種含む流体を、上記処理用面1,2間に作られた第1流体膜に直接導入する。
上記ハロゲン−金属交換反応に用いるハロゲン化合物としては、特に制限はないが、塩素化合物、臭素化合物、ヨウ素化合物等が挙げられるが、その中でも臭素化合物、ヨウ素化合物の反応性が高く好ましい。
具体的には、上記一般式(Xはハロゲン元素)で表されるハロゲン化合物において、Aで表される環は具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の単環式または多環式の6〜10員の芳香環;シクロプロパン、シクロブタン、シクロヘプタン、シクロヘキサン、シクロオクタン等の単環式または多環式の3〜10員の飽和環;
シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、インダン等の単環式または多環式の3〜10員の部分飽和環;チオフェン、フラン、ピラン、ピリジン、ピロール、ピラジン、アゼピン、アゾシン、アゾニン、アゼシン、オキサゾール、チアゾール、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、トリアゾール、テトラゾール、イミダゾール、ピラゾール、モルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、ピペラジン、キノリン、イソキノリン、インドール、イソインドール、キノキサリン、フタラジン、キノリジン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、クロメン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン等の5〜10員の単環式または多環式の窒素、酸素および硫黄から選択される1〜4個の原子を含有するヘテロ環を表す。好ましくはフェニル基、ヘテロ環であり、より好ましくはヘテロ環であり、更に好ましくは5または6員環のヘテロ環であり、特に好ましくはピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、フラン、オキサゾール、チオフェン、チアゾールである。
また、Aで表される環は更に置換基を有していても良く、置換基の数や種類は特に制限されない。置換基は具体的には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル等の直鎖、分岐または環状の炭素数1〜20のアルキル基(シクロアルキルによって置換されたアルキルも含む);ビニル、アリル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、イコセニル、ヘキサジエニル、ドデカトリエニル等の直鎖、分岐、または環状の炭素数2〜20のアルケニル基;エチニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、シクロオクチニル、シクロノニニル、シクロデシニル等の直鎖、分岐または環状の炭素数2〜20のアルキニル基;フェニル、ナフチル、アントラニル等の5〜10員の単環式または複環式アリール基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、オクタデシルオキシ等の炭素数1〜20のアルコキシ基;フェノキシ、ナフチルオキシ等のアリールオキシ基;メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオ、ヘプチルチオ、オクチルチオ、ノニルチオ、デシルチオ、ドデシルチオ、ヘキサデシルチオ、オクタデシルチオ等の炭素数1〜20のアルキルチオ基;フェニルチオ、ナフチルチオ等のアリールチオ基;アセチル、プロパノイル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル等の炭素数2〜20のアシル、およびベンゾイル、ナフトイル等の置換カルボニル基;メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、n−デシルオキシカルボニル、フェノキシカルボニル等の置換オキシカルボニル基;
アセチルオキシ、プロパノイルオキシ、ブタノイルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、ヘプタノイルオキシ等の炭素数2〜20のアシルオキシ、およびベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ等の置換カルボニルオキシ基;メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、ヘキシルスルホニル、ヘプチルスルホニル、オクチルスルホニル、フェニルスルホニル、ナフチルスルホニル等の置換スルホニル基;N−メチルカルバモイル、N,N−ジフェニルカルバモイル等のアルキル、アルケニルおよびアリールから選択される1または2個の基によって置換されたカルバモイル基;N−フェニルスルファモイル、N,N−ジエチルカルバモイル等のアルキル、アルケニルおよびアリールから選択される1または2個の基によって置換されたスルファモイル基;アセチルアミノ、tert−ブチルカルボニルアミノ、n−ヘキシルカルボニルアミノ等の炭素数2〜20のアシルアミノ、およびベンゾイルアミノ、ナフトイルアミノ等の置換カルボニルアミノ基;N−メチルウレイド、N,N−ジエチルウレイド等のアルキル、アルケニルおよびアリールから選択される1または2個の基によって置換されたウレイド基;メチルスルホニルアミノ、tert−ブチルスルホニルアミノ、n−オクチルスルホニルアミノ等の炭素数1〜20のスルホニルアミノ、およびフェニルスルホニルアミノ、ナフチルスルホニルアミノ等の置換スルホニルアミノ基;メチルアミノ、フェニルアミノ、tert−ブトキシカルボニルアミノ、ピバロイルアミノ、ベンジルアミノ、フタロイルアミノ、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基等のモノ置換またはジ置換アミノ基;ニトロ基;シアノ基;トリメチルシリル、トリエチルシリル等の置換シリル基;フッ素、臭素、塩素、ヨウ素等のハロゲン原子;チオフェン、フラン、ピラン、ピリジン、ピロール、ピラジン、アゼピン、アゾシン、アゾニン、アゼシン、オキサゾール、チアゾール、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、トリアゾール、テトラゾール、イミダゾール、ピラゾール、モルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、ピペラジン、キノリン、イソキノリン、インドール、イソインドール、キノキサリン、フタラジン、キノリジン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、クロメン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン等の5〜10員の単環式または多環式の窒素、酸素および硫黄から選択される1〜4個の原子を含有するヘテロ環残基等が挙げられる。好ましくは、炭素数2〜16のアルキル基、炭素数2〜16のアルケニル基、炭素数2〜16のアルキニル基、アリール基、炭素数2〜16のアルコキシ基、アリールオキシ基、炭素数2〜16のアルキルチオ基、アリールチオ基、炭素数2〜17の置換カルボニル基、炭素数2〜17の置換オキシカルボニル基、炭素数2〜17の置換カルボニルオキシ基、炭素数1〜16の置換スルホニル基、炭素数2〜17のモノ置換またはジ置換カルバモイル基、炭素数1〜16のモノ置換またはジ置換スルファモイル基、炭素数2〜17の置換カルボニルアミノ基;炭素数2〜17のモノ置換またはジ置換ウレイド基;炭素数1〜16の置換スルホニルアミノ基;炭素数1〜16のモノ置換またはジ置換アミノ基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜16の置換シリル基、ハロゲン原子、ヘテロ環残基が挙げられる。より好ましくは、炭素数2〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基、アリール基、炭素数2〜8のアルコキシ基、アリールオキシ基、炭素数2〜8のアルキルチオ基、アリールチオ基、炭素数2〜9の置換カルボニル基、炭素数2〜9の置換オキシカルボニル基、炭素数2〜9の置換カルボニルオキシ基、炭素数1〜8の置換スルホニル基;炭素数2〜9のモノ置換またはジ置換カルバモイル基、炭素数1〜8のモノ置換またはジ置換スルファモイル基、炭素数2〜9の置換カルボニルアミノ基、炭素数2〜9のモノ置換またはジ置換ウレイド基、炭素数1〜8の置換スルホニルアミノ基、炭素数1〜8のモノ置換またはジ置換アミノ基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜8の置換シリル基、ハロゲン原子、ヘテロ環残基等が挙げられる。特に好ましくは、炭素数2〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基、アリール基、炭素数2〜8のアルコキシ基、アリールオキシ基、炭素数2〜8のアルキルチオ基、アリールチオ基、炭素数5〜9の置換カルボニル基、炭素数5〜9の置換オキシカルボニル基、炭素数5〜9の置換カルボニルオキシ基、炭素数4〜8の置換スルホニル基、炭素数5〜9のモノ置換またはジ置換カルバモイル基、炭素数4〜8のモノ置換またはジ置換スルファモイル基、炭素数5〜9の置換カルボニルアミノ基;
炭素数5〜9のモノ置換またはジ置換ウレイド基、炭素数4〜8の置換スルホニルアミノ基、炭素数4〜8のモノ置換またはジ置換アミノ基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜8の置換シリル基、ハロゲン原子、ヘテロ環残基である。
なお、アリール基に直接結合したメチル基、メトキシ基、メチルチオ基等の炭素数1の炭化水素は、ブチルリチウム等の強塩基によってプロトンを引き抜く反応が生じ易く、副生成物が生成する恐れがある。また、メトキシ基はラジカル反応を引き起こし易く、炭素ラジカルの生成によるビスアリール等の副生成物を生じる恐れがある。このため、Aで表される環が芳香環であり且つその置換基がアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基等である場合は、その置換基は炭素数2以上であるのが好ましい。また、Aで表される環の置換基がカルボニル基の場合、リチウム試薬との反応の際に副反応の進行を防止できることから、tert−ブチル基の如き炭素数4以上の嵩高い、立体障害が大きい基が置換していることが好ましい。これらの置換基は更に置換基を有していてもよく、反応に関与しないものであれば特に制限されない。更なる置換基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル等の低級アルキル基やフェニル、ナフチル等のアリール基、塩素、フッ素等のハロゲン原子が挙げられる。
上記のように、流体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力との圧力バランスによって距離を制御された処理用面1,2間にて、薄膜流体中で第1流体と第2流体とが合流する。その薄膜流体中で第1流体と第2流体とが混合され、上記2種の物質を反応させる。より具体的には、ハロゲン−金属交換反応を行うことが出来る。
また、メタル化試薬とハロゲン化合物の全てを処理用面間での反応に影響を与えない程度に混合した流体を第1流体若しくは第2流体として用いても実施できる。
さらに目的に応じて、上記ハロゲン−金属交換反応にて得られた一般式(XIII)のような化合物を、処理用面間でハロゲン−金属交換反応と連続して求電子化合物と反応させ、一般式(XIV)のような化合物を得る事も出来る。なお、下記式(XIII)のLiはMgなどの金属でも良い。また、下記式(XIV)のYは求電子基である。
上記求電子化合物としては電子受容能を有する官能基をもつ化合物であれば特に制限されないが、電子密度の大きい官能基や非共有電子対と反応する化合物が好ましい。また当該化合物には既知の有機リチウム試薬を使用したハロゲン−金属交換反応で使用される求電子化合物が全て含まれる。具体的には、塩素分子、臭素分子、ヨウ素分子等のハロゲン分子;固体状硫黄、二酸化硫黄、酸素等の無機物類;
二酸化炭素; アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類; ベンゾフェノンイミン、アセトフェノンイミン等のイミン類;クロロトリメチルシラン、クロロトリエチルシラン等のハロゲン化シリコン類;
ニ塩化ジブチルスズ、ニ臭化ジフェニルスズ等のスズ化合物類; パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アクリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、ニコチンアルデヒド等のアルデヒド類;アセトン、2
−ブタノン、ベンゾフェノン、アセトフェノン、DMF、tert−ブチル−4−オキソ−1−ピペリジンカルボキシレート等のケトン類; クロロ蟻酸エチル、クロロ蟻酸フェニル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸オクチル、酢酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸フェニル等のエステル類;無水酢酸、無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等の酸無水物類;
アセチルクロライド、ベンゾイルクロライド、2−ピリジンカルボニルクロライド等のハロゲン化アシル類;オキシラン、2−メチル−オキシラン等のオキシラン類; 6−アザビシクロ[3,1,0]ヘキサン、7−アザビシクロ[4,1,0]ヘプタン等のアジリジン類;
3−オキソ−1,3−ジフェニル−1−プロペン、2−メチル−3−オキソ−3−ジフェニル−1−プロペン等のα、β−不飽和ケトン類;ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化ブチル、臭化メチル、臭化エチル、臭化ヘキシル、臭化オクチル、1,2−ジヨードエタン、1,2−ジブロモエタン、1,6−ジヨードヘキサン、1,8−ジブロモオクタン、1,2−ジブロモシクロペンテン等のハロゲン化アルキル類;N−ブロモコハク酸イミド、N−ヨードコハク酸イミド、N−クロロコハク酸イミド、N−ブロモフタル酸イミド等の酸イミド類;
ジメチルジスルフィド、ジフェニルジスルフィド等のジスルフィド類;クロロジフェニルホスフィン、クロロジメチルホスフィン等のホスフィン類; クロロジフェニルホスフィンオキシド、クロロジメチルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシド類が挙げられる。これらの中で好ましくは、クロロトリメチルシラン、ベンズアルデヒド、DMFである。
上記ハロゲン−金属交換反応及び求電子反応の場合に用いるメタル化試薬とハロゲン化合物とは液状または溶液状であることが好ましく、そのために用いることができる溶媒は、イオン交換水、精製水、水道水、超純水などの水や有機溶媒など、使用するハロゲン化合物、メタル化試薬及び求電子化合物が液体で無い場合に、溶解でき、さらに反応に不活性であれば特に限定されない。具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、デュレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン、ジフェニルメタン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン等の芳香族炭化水素化合物類;ピリジン、アセトニトリル、DMF、N
, N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の極性溶媒; 酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、デカン、パラフィン等のアルカン類、及びパーフルオロアルカン類;
ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン、石油エーテル、テトラヒドロフラン(THFと略記する)、ジオキサン、トリオキサン、ジグリム等のエーテル類;N,N−ジメチルイミダゾリジノン等のウレア類;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N,N‘ ,N ’−テトラメチルエチレンジアミン等の3級アミン類; 塩化メチレン、ジクロロエタン等のハロゲン化アルカン類等、極性、非極性溶媒を問わずいずれも利用し得る。好ましくは、THF、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン、トルエン、キシレン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンであり、より好ましくはTHF、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン、トルエンである。これらの溶媒は単独または2種以上の溶媒を混合して用いることができ、混合使用の際の混合比は任意に定めることができる。
上記ハロゲン−金属交換反応及び求電子反応を用いる事により、代表的に以下のような化合物が得られる。
(27:還元反応アルデヒド合成)
次に、アルキルエステル類と金属水素化物系還元剤との還元反応の場合には、一つの流路である第1導入部d1より、第1流体として、金属水素化物系還元剤を少なくとも1種類含む流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1,2間に導入して、この処理用面間に第1流体膜を作る。
上記還元反応に用いる金属水素化物系還元剤は、特に限定されないが、アルミニウム系のものが好ましい。アルミニウム系のものの例としては、水素化リチウムアルミニウム、水素化ナトリウムアルミニウム、水素化カリウムアルミニウム、又は、水素化アルミニウムの、アルキル(例:イソブチル)、アリール、アルコキシ、アリールオキシ若しくはアシルオキシ誘導体、又は水素化アルミニウム若しくはその前記誘導体のリガンドとしてのアミン、ホスフィン、エーテル若しくはスルフィドとの錯体が挙げられる。これらの還元剤は、1種を単独で用いても、2種以上を混合して使用してもよい。これらのうち特に好ましい一例は、水素化ジイソブチルアルミニウムである。
次いで別流路である第2導入部d2より、第2流体として、アルキルエステル類を少なくとも1種含む流体を、上記処理用面1,2間に作られた第1流体膜に直接導入する。
上記還元反応に用いるアルキルエステル類(ここに、「エステル」とは、カルボン酸エステルをいう。)としては特に限定されないが、式R1−CO2−R2(式中、R1は、置換されていてよいアルキル基、置換されていてよいアラルキル基、置換されていてよいシクロアルキル基若しくは該アルキル若しくはシクロアルキル基のα位以外において環構成炭素原子の一つ又は二つ以上をヘテロ原子に置き換えてなる、置換されていてよいヘテロ環基、又は、エステルのカルボニル基が結合している部位以外の芳香環構成原子の一つ又は二つ以上がヘテロ原子であってよい、置換されていてよいアリール基を表し、R2は、アルキル基を表す。)で示されるものが挙げられる。ヘテロ原子の好ましい例としては、窒素及び酸素が挙げられる。R1の例としては、アルキル基としては、好ましくはC1〜20の、より好ましくはC1〜10の、更に好ましくはC1〜8の、特に好ましくはC1〜C4のアルキル基が挙げられ具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ペンタデシル、エイコサニル等の基が挙げられる。アラルキル基の例としては、ヘテロ原子を含んでよい6〜10員環アリール基(フェニル、ナフチル、ピリジル、インドリル、キノリル、イソキノリル等)とC1〜4アルキルとから構成されるものが挙げられ、特に好ましい具体例としては、ベンジル基、フェニルエチル基、ピリジルメチル基が挙げられる。シクロアルキル基の例としてはC5〜C7のものが挙げられ、好ましい具体例としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルの各基が、ヘテロ環基の例としては、ピペリジル、テトラヒドリフラニル、テトラヒドロピラニル、ジオキサニルの各基が挙げられる。アリール基の例としては、ヘテロ原子を含んでよい6〜10員環アリール基が挙げられ、具体例としては、フェニル、ナフチル、ピリジル、インドリル、キノリル、イソキノリルの各基が挙げられる。上記の各基は、何れも置換されていてよく、置換基の例としては、ベンジル、フェニル、C1〜C6アルキル、アミノ、アルコキシカルボニルアミノ(ボック化アミノ等)、アルキルカルボニルアミノの各基が挙げられる。R1の特に好ましい具体例としては、ペンチル、シクロヘキシル、ベンジル、N−ベンジルピペリジル、ピリジル、1−ボック化アミノ−2−フェニルエチルの各基が挙げられる。但し、R1の具体例は上記に限定されない。本発明において使用される処理装置は混合効率を高めるものであり、R1が金属水素化物系還元剤によるアルキルエステルの還元を妨害しないものである限り本発明を適用できるからである。R2の例としては、C1〜20のアルキル基が挙げられ、より好ましくはC1〜10のアルキル、更に好ましくはC1〜6、特に好ましくはC1〜C4のアルキル基が挙げられる。それらの具体例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ペンタデシル、エイコサニル等の基である。
上記還元反応の場合に用いる金属水素化物系還元剤とアルキルエステル類とは液状または溶液状であることが好ましく、そのために用いることができる溶媒は、イオン交換水、精製水、水道水、超純水などの水や有機溶媒など、アルキルエステル類及び金属水素化物系還元剤を溶解するための溶媒であれば特に限定されない。また、用いられる溶媒は、反応時のアルキルエステル類及び金属水素化物系還元剤の取り扱い上、あるいは反応の進行を調節する上で用いることができるものであれば特に制限されない。
上記のように、流体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力との圧力バランスによって距離を制御された処理用面1,2間にて、薄膜流体中で第1流体と第2流体とが合流する。その薄膜流体中で第1流体と第2流体とが混合され、上記2種の物質を反応させる。より具体的には、還元反応を行うことが出来る。さらに具体的にはアルキルエステルを還元してアルデヒドが得られる。
また、金属水素化物系還元剤とアルキルエステル類の全てを処理用面間での反応に影響を与えない程度に混合した流体を第1流体若しくは第2流体として用いても実施できる。
なお、上記に種々説明した反応に関しては、処理用面1,2間にて上記反応を行うことが出来れば良いので、上記とは逆に、第1導入部d1より第2流体を導入し、第2導入部d2より第1流体を導入するものであっても良い。つまり、各流体における第1、第2という表現は、複数存在する流体の第n番目であるという、識別のための意味合いを持つに過ぎないものであり、第3以上の流体も存在し得る。
また、第1流体と第2流体の両方に同一の有機化合物並びに反応剤が含まれたものであっても良いし、反応に関わるすべての物質の内、各物質を1種類ずつ含んだ流体を複数用いても実施できる。
得られる有機化合物の生成率や、析出により微粒子が得られる場合には粒子径や単分散度、又は結晶型の制御は、処理用面1,2の回転数や処理用面1,2間の距離、及び、薄膜流体の流速や温度又は原料濃度等を変えることにより調節することができる。
さらに、処理用面間を加熱(加温)したり、処理用面間に紫外線(UV)を照射したりしてもかまわない。特に、第1処理用面1と第2処理用面2とで温度差を設けた場合は、薄膜流体中で対流を発生させることができるため、これにより反応を促進させることができるという利点がある。
より具体的に加熱(加温)については、例えば各処理用部10,20の少なくとも一方にヒーターや熱媒を通すジャケットを設けることにより、薄膜流体を加熱(加温)できるようにする。また、紫外線(UV)を照射することについては、例えば各処理用部10,20の少なくとも一方に紫外線を照射するランプなどの素子を設け、対応する処理用面から薄膜流体に紫外線(UV)を照射できるようにする。また、超音波エネルギーを与えることについては、例えば各処理用部10,20の少なくとも一方に超音波発振体を設けることができる。
また、上記中和反応を減圧・真空状態を確保できる容器内で行い、処理後流体が吐出される2次側を減圧、真空状態とする事で、反応中に発生するガス並びに処理用部より吐出されたガスの脱気、もしくは脱溶剤を行える。それにより、有機反応処理とほぼ同時に脱溶剤処理を行う場合にも、処理用面間で有機反応が行われて得られた有機化合物を含む流体が、処理用面より、噴霧状態で吐出するため、その流体の表面積が増大し、脱溶剤効率が非常に高い利点がある。
このように、これまでの反応方法よりも反応選択性をより高次元で制御できるため、本願発明は、生成物の収率も高い有機化合物の製造方法を提供できる。また、必要な生産量に応じて一般的なスケールアップ概念を用いて機体の大型化が可能である。また、強制薄膜流体中での反応により、流体の粘度の影響が非常に小さいため、低粘度から高粘度まで、反応の均一性を確保でき、また生産性も高く、スケールアップが可能でありながら、薄膜中での反応であるため、有機反応特有の危険性を最小限に抑える事が可能である、有機化合物の反応方法及び製造方法を提供できる。さらに製造工程におけるコンタミが少なく、結晶を析出させる場合にはその結晶化度を高くコントロールできる製造方法である。
また、前述のように、第1導入部d1、第2導入部d2以外に第3導入部d3を処理装置に設けることもできるが、この場合にあっては、例えば各導入部から、有機化合物、反応剤を含む溶液、また他の前記有機化合物とは異なる有機化合物や分散剤をそれぞれ別々に処理装置に導入することが可能である。そうすると、各溶液の濃度や圧力を個々に管理することができ、有機化合物が生成する反応をより精密に制御することができる。第4以上の導入部を設けた場合も同様であって、このように処理装置へ導入する流体を細分化できる。
以下本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
尚、以下の実施例において、「中央から」というのは、前述した、図1(A)に示す処理装置の「第1導入部d1から」という意味であり、第1流体は、前述の第1被処理流動体を指し、第2流体は、前述した、図1(A)に示す処理装置の「第2導入部d2」から導入される、前述の第2被処理流動体を指す。さらに、第3流体を用いる場合には図1(B)に示す処理装置の「第3導入部d3」から導入される、前述の第3被処理流動体を指す。
(実施例1:フリーデルクラフツアシル化反応)
中央から第1流体として酪酸及び無水トリフルオロ酢酸を1:1.44で混合した混合物を、供給圧力/背圧力=0.02MPa/0.01MPa、回転数500rpm、送液温度45℃で送液し、純粋ベンゾ[b]フラノンを第2流体として10mL/minで処理用面間に導入した。第1流体と第2流体は薄膜内で混合され、処理後溶液が処理用面より20mL/minで吐出された。HPLC分析より2−ブチリルベンゾフラノンが76%の収率で得られた事を確認した。尚、本実施例には、マグネットカップリングを用いたシールレスの処理装置を使用した。
(比較例1:フリーデルクラフツアシル化反応(バッチ式))
窒素置換された200mLの容器に、酪酸及び無水トリフルオロ酢酸を1:1.44で混合した混合物を入れた。これに、純粋ベンゾ[b]フラノンを、クレアミックス(エム・テクニック社製)で20000rpmで撹拌しつつ滴下した。HPLC分析より2−ブチリルベンゾフラノンが32%の収率で得られた事を確認した。
(実施例2:フリーデルクラフツアルキル化反応)
中央から第1流体として96%濃硫酸を、供給圧力/背圧力=0.08MPa/0.05MPa、回転数1000rpm、送液温度25℃で送液し、ベンゼンとシクロヘキセンを体積比でベンゼン/シクロヘキセン=4/5で混合した液を第2流体として17mL/minで処理用面間に導入した。第1流体と第2流体は薄膜内で混合され、処理後溶液が処理用面より32mL/minで吐出された。抽出、溶媒除去後のGC/MS混合分析よりシクロヘキシルベンゼンがクロマトグラムの面積百分率で64%であった。
(比較例2:フリーデルクラフツアルキル化反応(バッチ式))
窒素置換された200mLの容器に、96%濃硫酸を入れた。これに、容器内液温を25℃に保ちながらベンゼンとシクロヘキセンを体積比でベンゼン/シクロヘキセン=4/5で混合した液を、クレアミックス(エム・テクニック社製)で20000rpmで撹拌しつつ滴下した。抽出、溶媒除去後のGC/MS混合分析よりシクロヘキシルベンゼンがクロマトグラムの面積百分率で18%であった。
(実施例3:ニトロ化反応)
中央から第1流体として100 %硝酸を、供給圧力/背圧力=0.05MPa/0.03MPa、回転数1000rpm、送液温度10℃で送液し、トルエンと無水酢酸の1:1混合溶液を第2流体として10mL/minで処理用面間に導入した。第1流体と第2流体は薄膜内で混合され、処理後溶液が処理用面より20mL/minで吐出された。抽出、溶媒除去後のGC/MS混合分析よりO-ニトロトルエンが82%であった。尚、本実施例には、マグネットカップリングを用いたシールレスの処理装置を使用した。
(比較例3:ニトロ化反応(バッチ式))
窒素置換された200mLの容器に、100 %硝酸を入れた。これに、容器内液温を10℃に保ちながらトルエンと無水酢酸の1:1混合溶液を、クレアミックス(エム・テクニック社製)で20000rpmで撹拌しつつ滴下した。抽出、溶媒除去後のGC/MS混合分析よりO-ニトロトルエンが38%であった。
(実施例4:臭素化反応)
中央から第1流体として5.5mol/L臭素/テトラクロロメタン溶液を、供給圧力/背圧力=0.10MPa/0.03MPa、回転数500rpm、送液温度15℃で送液し、5.0mol/L メシチレン/テトラクロロメタン溶液を第2流体として15mL/minで処理用面間に導入した。第1流体と第2流体は薄膜内で混合され、処理後溶液が処理用面より33mL/minで吐出された。GC/MS分析より1ブロム化したメシチレンがクロマトグラムの93面積%であった。
(比較例4:臭素化反応(バッチ式))
窒素置換された200mLの容器に、5.5mol/L臭素/テトラクロロメタン溶液を入れた。これに、容器内液温を15℃に保ちながら5.0mol/L メシチレン/テトラクロロメタン溶液を、クレアミックス(エム・テクニック社製)で20000rpmで撹拌しつつ滴下した。GC/MS分析より1ブロム化したメシチレンがクロマトグラムの44面積%であった。
(実施例5:バイヤー−ヴィリガー酸化反応)
中央から第1流体として0.625mol/L m−クロロ過安息香酸/0.25mol/L トリフルオロ酢酸/ジクロロメタン溶液を、供給圧力/背圧力=0.13MPa/0.04MPa、回転数2000rpm、送液温度30℃で送液し、0.25Mol/Lシクロヘキサノン/ジクロロメタン溶液を第2流体として23mL/minで処理用面間に導入した。第1流体と第2流体は薄膜内で混合され、処理後溶液が処理用面より43mL/minで吐出された。GC/MS分析よりカプロラクトンの収量が100%であった。
(比較例5:バイヤー−ヴィリガー酸化反応(バッチ式))
窒素置換された200mLの容器に、0.625mol/L m−クロロ過安息香酸/0.25mol/L トリフルオロ酢酸/ジクロロメタン溶液を入れた。これに、容器内液温を30℃に保ちながら0.25Mol/Lシクロヘキサノン/ジクロロメタン溶液を、クレアミックス(エム・テクニック社製)で20000rpmで撹拌しつつ滴下した。GC/MS分析よりカプロラクトンの収量が54%であった。
(実施例6:メタセシス反応)
中央から第1流体として0.01mol/L ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド(「グラブス」触媒)/ジクロロメタン溶液を、供給圧力/背圧力=0.05MPa/0.01MPa、回転数500rpm、送液温度25℃で送液し、0.2mol/L 1 ,7 −オクタジエン/ジクロロメタン溶液を第2流体として10mL/minで処理用面間に導入した。第1流体と第2流体は薄膜内で混合され、処理後溶液が処理用面より21mL/minで吐出された。GC/MS分析より用いて分析したところ、1 ,7−オクタジエンの完全な転化が確立され、シクロヘキセンの生成率は90%以上であった。
(比較例6:メタセシス反応(バッチ式))
窒素置換された200mLの容器に、0.01mol/L ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド(「グラブス」触媒)/ジクロロメタン溶液を入れた。これに、容器内液温を25℃に保ちながら0.2mol/L 1 ,7 −オクタジエン/ジクロロメタン溶液を、クレアミックス(エム・テクニック社製)で20000rpmで撹拌しつつ滴下した。GC/MS分析より用いて分析したところ、シクロヘキセンの生成率は34%以下であった。
(実施例7:還元反応)
中央から第1流体として20 %水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL−H )/ヘキサン溶液を、供給圧力/背圧力=0.11MPa/0.06MPa、回転数1000rpm、送液温度25℃で送液し、5.0mol/L メチル3−(3−メチル−3H−イミダゾール−4−イル)アクリレート/トルエン溶液を第2流体として8mL/minで処理用面間に導入した。第1流体と第2流体は薄膜内で混合され、処理後溶液が処理用面より23mL/minで吐出された。抽出、溶媒除去後、GC/MS分析を用いて分析したところ、3−(3−メチル−3H−イミダゾール−4−イル)プロプ−2−エン−1−オールの生成率は90%以上であった。
(比較例7:還元反応(バッチ式))
窒素置換された200mLの容器に、20%水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL−H)/ヘキサン溶液を入れた。これに、容器内液温を25℃に保ちながら5.0mol/L メチル3−(3−メチル−3H−イミダゾール−4−イル)アクリレート/トルエン溶液を、クレアミックス(エム・テクニック社製)で20000rpmで撹拌しつつ滴下した。抽出、溶媒除去後、GC/MS分析を用いて分析したところ、3−(3−メチル−3H−イミダゾール−4−イル)プロプ−2−エン−1−オールの生成率は22%以下であった。
(実施例8:脱水反応)
中央から第1流体として1.5 mol/L 塩化メタンスルホニル/N −メチルピロリドン溶液を、供給圧力/背圧力=0.10MPa/0.03MPa、回転数1000rpm、送液温度25℃で送液し、1.0mol/L ベンズアルドキシム/のN−メチルピロリドン溶液を第2流体として20mL/minで処理用面間に導入した。第1流体と第2流体は薄膜内で混合され、処理後溶液が処理用面より44mL/minで吐出された。HPLC分析により、ベンズアルドキシムのベンゾニトリルへのほぼ完全な転化が観察された。
(比較例8:脱水反応(バッチ式))
窒素置換された200mLの容器に、21.5 mol/L 塩化メタンスルホニル/N −メチルピロリドン溶液を入れた。これに、容器内液温を25℃に保ちながら1.0mol/L ベンズアルドキシム/のN−メチルピロリドン溶液を、クレアミックス(エム・テクニック社製)で20000rpmで撹拌しつつ滴下した。HPLC分析により、ベンズアルドキシムのベンゾニトリルへの転化が不十分であることが観察された。
(実施例9:ベックマン転位)
中央から第1流体として0.15 mol/L 塩化メタンスルホニル/ピリジン溶液を、供給圧力/背圧力=0.15MPa/0.07MPa、回転数500rpm、送液温度25℃で送液し、0.1mol/L アセトフェノンオキシム/ピリジン溶液を第2流体として30mL/minで処理用面間に導入した。第1流体と第2流体は薄膜内で混合され、処理後溶液が処理用面より58mL/minで吐出された。HPLC分析により、アセトアニリドへのほぼ完全な変化が観察された。
(比較例9:ベックマン転位(バッチ式))
窒素置換された200mLの容器に、0.15 mol/L 塩化メタンスルホニル/ピリジン溶液を入れた。これに、容器内液温を25℃に保ちながら0.1mol/L アセトフェノンオキシム/ピリジン溶液を、クレアミックス(エム・テクニック社製)で20000rpmで撹拌しつつ滴下した。HPLC分析により、アセトアニリドへの変化が不十分である事が観察された。
(実施例10:オキシム化)
中央から第1流体として0.16
mol/Lヒドロキシルアミン塩酸塩/1N 水酸化ナトリウム溶液を、供給圧力/背圧力=0.15MPa/0.07MPa、回転数500rpm、送液温度15℃で送液し、0.12 mol/L 5−ブロモ−2 −アリルオキシベンズアルデヒドを/ジオキサンを第2流体として15mL/minで処理用面間に導入した。第1流体と第2流体は薄膜内で混合され、処理後溶液が処理用面より30mL/minで吐出された。HPLC分析により、5−ブロモ−2−アリルオキシベンズアルドキシムへのほぼ完全な変化が観察された。
(比較例10:オキシム化(バッチ式))
窒素置換された200mLの容器に、0.16 mol/Lヒドロキシルアミン塩酸塩/1N 水酸化ナトリウム溶液を入れた。これに、容器内液温を15℃に保ちながら0.12 mol/L5−ブロモ−2 −アリルオキシベンズアルデヒドを/ジオキサンを、クレアミックス(エム・テクニック社製)で20000rpmで撹拌しつつ滴下した。HPLC分析により、5−ブロモ−2−アリルオキシベンズアルドキシムへの変化が、不十分である事が観察された。
(実施例11:1,3−双極子付加環化)
中央から第1流体として約10 %の水性次亜塩素酸ナトリウム溶液を、供給圧力/背圧力=0.10MPa/0.07MPa、回転数500rpm、送液温度15℃で送液し、0.2mol/L 5−ブロモ−2−アリルオキシベンズアルドキシム/ジクロロメタン溶液を第2流体として15mL/minで処理用面間に導入した。第1流体と第2流体は薄膜内で混合され、処理後溶液が処理用面より30mL/minで吐出された。反応流路、反応経路の全てを洗浄後、0.1mol/Lシクロペンタジエン/ジクロロメタン溶液を再び中央から新規に第1流体として給圧力/背圧力=0.10MPa/0.07MPa、回転数500rpm、送液温度15℃で送液し、先の吐出液(第1、第2混合流体)を新規に第2流体として13mL/minで処理用面間に導入した。HPLC分析により、8 −ブロモ−3α,4−ジヒドロ−3H−[1]−ベンゾピラノ[4,3−c]−2−イソオキサゾールへのほぼ完全な変化が観察された。
(比較例11:1,3−双極子付加環化(バッチ式))
窒素置換された200mLの容器に、約10%の水性次亜塩素酸ナトリウム溶液を入れた。これに、容器内液温を15℃に保ちながら0.2 mol/L 5−ブロモ−2−アリルオキシベンズアルドキシム/ジクロロメタン溶液および0.1mol/L シクロペンタジエン/ジクロロメタン溶液を、クレアミックス(エム・テクニック社製)で20000rpmで撹拌しつつ滴下した。HPLC分析により、8 −ブロモ−3α,4−ジヒドロ−3H−[1]−ベンゾピラノ[4,3−c]−2−イソオキサゾールへの変化が不十分である事が観察された。
(実施例12:第三アミンおよび/または窒素含有芳香族複素環式化合物の酸化アミンへの酸化)
中央から第1流体として0.0058
mol/L
、m−クロロ過安息香酸/飽和水性炭酸水素ナトリウム混合溶液を、供給圧力/背圧力=0.05MPa/0.02MPa、回転数1000rpm、送液温度5℃で送液し、0.008 mol/L 1−[3−(4−アミジノフェニル)−2−オキソ−5−オキサゾリジニルメチル]ピペラジン−4−酢酸/飽和炭酸水素ナトリウム溶液を第2流体として10mL/minで処理用面間に導入した。第1流体と第2流体は薄膜内で混合され、処理後溶液が処理用面より19mL/minで吐出された。HPLC分析により、1−[3−4−アミジノフェニル)−2−オキソ−5−オキサゾリジニルメチル]−4−オキソピペラジン−4−酢酸の生成率は60%であった。
(比較例12:第三アミンおよび/または窒素含有芳香族複素環式化合物の酸化アミンへの酸化(バッチ式))
窒素置換された200mLの容器に、0.0058 mol/L 、m−クロロ過安息香酸/飽和水性炭酸水素ナトリウム混合溶液を入れた。これに、容器内液温を5℃に保ちながら0.008 mol/L 1−[3−(4−アミジノフェニル)−2−オキソ−5−オキサゾリジニルメチル]ピペラジン−4−酢酸/飽和炭酸水素ナトリウム溶液を、クレアミックス(エム・テクニック社製)で20000rpmで撹拌しつつ滴下した。HPLC分析により、1−[3−4−アミジノフェニル)−2−オキソ−5−オキサゾリジニルメチル]−4−オキソピペラジン−4−酢酸の生成率は12%であった。
(実施例13:エポキシ化)
中央から第1流体として0.25
mol/L
、m−クロロ過安息香酸/ジクロロメタン溶液を、供給圧力/背圧力=0.10MPa/0.03MPa、回転数500rpm、送液温度25℃で送液し、0.2 mol/L 1−フェニルシクロヘキセン/ジクロロメタン溶液を第2流体として30mL/minで処理用面間に導入した。第1流体と第2流体は薄膜内で混合され、処理後溶液が処理用面より72mL/minで吐出された。HPLC分析により、エポキシ化生成物である1,2−エポキシ−1−フェニルシクロヘキサン生成率は70%以上であった。
(比較例13:エポキシ化(バッチ式))
窒素置換された200mLの容器に、0.25 mol/L 、m−クロロ過安息香酸/ジクロロメタン溶液を入れた。これに、容器内液温を25℃に保ちながら0.2 mol/L 1−フェニルシクロヘキセン/ジクロロメタン溶液を、クレアミックス(エム・テクニック社製)で20000rpmで撹拌しつつ滴下した。HPLC分析により、エポキシ化生成物である1,2−エポキシ−1−フェニルシクロヘキサン生成率は24%以下であった。
(実施例14:ホルミル化)
中央から第1流体として0.25
mol/L
、インドール/N ,N−ジメチルホルムアミド溶液を、供給圧力/背圧力=0.07MPa/0.02MPa、回転数500rpm、送液温度25℃で送液し、0.425 mol/L オキシ塩化リン溶液/N ,N−ジメチルホルムアミドを第2流体として10mL/minで処理用面間に導入した。第1流体と第2流体は薄膜内で混合され、処理後溶液が処理用面より24ml/minで吐出された。HPLC分析により、インドール−3−カルボキサルデヒド生成率は70%以上であった。
(比較例14:ホルミル化(バッチ式))
窒素置換された200mLの容器に、0.25 mol/L 、インドール/N ,N−ジメチルホルムアミド溶液を入れた。これに、容器内液温を25℃に保ちながら0.425 mol/L オキシ塩化リン溶液/N ,N−ジメチルホルムアミドを、クレアミックス(エム・テクニック社製)で20000rpmで撹拌しつつ滴下した。HPLC分析により、HPLC分析により、インドール−3−カルボキサルデヒド生成率は19%以下であった。
(実施例15:インド−ル反応)
中央から第1流体として1 ,3−シクロヘキサンジオン0.25mol/L /50%硫酸溶液を、供給圧力/背圧力=0.07MPa/0.02MPa、回転数500rpm、送液温度25℃で送液し、0.25mol/Lフェニルヒドラジン/50%硫酸溶液を第2流体として18mL/minで処理用面間に導入した。第1流体と第2流体は薄膜内で混合され、処理後溶液が処理用面より29ml/minで吐出された。HPLC分析により、1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール−4−オン生成率は80%以上であった。
(比較例15:インド−ル反応(バッチ式))
窒素置換された200mLの容器に、1,3−シクロヘキサンジオン0.25mol/L /50%硫酸溶液を入れた。これに、容器内液温を25℃に保ちながら0.25mol/Lフェニルヒドラジン/50%硫酸溶液を、クレアミックス(エム・テクニック社製)で20000rpmで撹拌しつつ滴下した。HPLC分析により、。HPLC分析により、1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール−4−オン生成率は24%以下であった。
(実施例16:アルキリデン基転位)
中央から第1流体として5mol/Lベンゾフェノンテトラヒドロフラン溶液を、供給圧力/背圧力=0.07MPa/0.02MPa、回転数500rpm、送液温度0℃で送液し、0.5M[(シクロペンタジエニル)Ti(CH)(Cl)Al(CH](「テッベ試薬」)/トルエン溶液を第2流体として18mL/minで処理用面間に導入した。第1流体と第2流体は薄膜内で混合され、処理後溶液が処理用面より29ml/minで吐出された。HPLC分析により、ベンゾフェノンの1 , 1 − ジフェニルエチレンへの完全な転化を確認した。
(比較例16:アルキリデン基転位(バッチ式))
窒素置換された200mLの容器に、0.5mol/Lベンゾフェノンテトラヒドロフラン溶液を入れた。これに、容器内液温を0℃に保ちながら0.5M[(シクロペンタジエニル)Ti(CH)(Cl)Al(CH](「テッベ試薬」)/トルエン溶液を、クレアミックス(エム・テクニック社製)で20000rpmで撹拌しつつ滴下した。HPLC分析により、ベンゾフェノンの1 , 1 − ジフェニルエチレンへの転化が不十分であることを確認した。
(実施例17:カップリング)
中央から第1流体として0.13 mol/L ヨウ化フェニル、0.01 mol/L トリフェニルホスフィン0.0025 mol/L 酢酸パラジウム(II)/N−メチルピロリドン溶液を、供給圧力/背圧力=0.15MPa/0.10MPa、回転数1000rpm、送液温度75℃で送液し、0.16mol/L スチレン/0.16 mol/L トリ−n −ブチルアミン/N−メチルピロリドン溶液を第2流体として10mL/minで処理用面間に導入した。第1流体と第2流体は薄膜内で混合され、処理後溶液が処理用面より24ml/minで吐出された。HPLC分析により、トランススチルベン生成率は90%以上であった。
(比較例17:カップリング(バッチ式))
窒素置換された200mLの容器に、0.13 mol/L ヨウ化フェニル、0.01 mol/L トリフェニルホスフィン0.0025 mol/L 酢酸パラジウム(II)/N −メチルピロリドン溶液を入れた。これに、容器内液温を75℃に保ちながら0.16 mol/L スチレン/0.16 mol/L トリ−n −ブチルアミン/N −メチルピロリドン溶液を、クレアミックス(エム・テクニック社製)で20000rpmで撹拌しつつ滴下した。HPLC分析により、。HPLC分析により、トランススチルベン生成率は54%以下であった。
(実施例18:アセトアセチル反応)
中央から第1流体としてジケテンを、供給圧力/背圧力=0.15MPa/0.10MPa、回転数1000rpm、送液温度45℃で送液し、1mmol/L1 ,4 −ジアザビシクロ[2 ,2 ,2]オクタンと/イソプロパノール溶液を第2流体として10mL/minで処理用面間に導入した。第1流体と第2流体は薄膜内で混合され、処理後溶液が処理用面より24ml/minで吐出された。GC/MS分析より、イソプロピル3 −オキソブタノエート生成率は98%以上であった。
(比較例18:アセトアセチル反応(バッチ式))
窒素置換された200mLの容器に、ジケテンを入れた。これに、容器内液温を45℃に保ちながら1,4−ジアザビシクロ[2 ,2 ,2 ]オクタンと/イソプロパノール溶液を、クレアミックス(エム・テクニック社製)で20000rpmで撹拌しつつ滴下した。GC/MS分析より、イソプロピル3 −オキソブタノエート生成率は56%以下であった。
(実施例19:ジケトピロロピロール)
a)アミルオキサイド溶液(原料A)
100 ℃で無水tert−アミルアルコール1365gにナトリウム124gを導入した。ナトリウムが全て反応するまで混合物を高撹拌下に還流させ、次に冷却して100 ℃とした。アミルオキサイド溶液を得た。
b)原料B
p−クロロベンゾニトリル300gおよびコハク酸ジイソプロピル328
.6g を脱水tert−アミルアルコール800g に導入し、そこで90 ℃にて溶解させた。
c)顔料の合成
中央から第1流体として原料Bを、供給圧力/背圧力=0.05MPa/0.01MPa、回転数1000rpm、送液温度90℃で送液し、原料Aを第2流体として30mL/minで処理用面間に導入した。第1流体と第2流体は薄膜内で混合され、処理後溶液が処理用面より54ml/minで吐出された。吐出液を80 ℃の水に投入して、顔料塩の加水分解を行い、顔料懸濁液を吸引によって濾過し、メタノールで洗浄し、次に水で中性洗浄した。含水C.I.ピグメントレッド(C.I.Pigment Red )が得られた。
(比較例19:ジケトピロロピロール(バッチ式))
窒素置換された200mLの容器に、上記の原料Bを入れた。これに、容器内液温を90℃に保ちながら上記の原料Aを、クレアミックス(エム・テクニック社製)で20000rpmで撹拌しつつ滴下した。吐出液を80 ℃の水に投入して、顔料塩の加水分解を行い、顔料懸濁液を吸引によって濾過し、メタノールで洗浄し、次に水で中性洗浄した。含水C.I.ピグメントレッド(C.I.Pigment Red )を完全に得ることはできなかった。
(実施例20:アルコキシド)
中央から第1流体としてt−アミルアルコールを、供給圧力/背圧力=0.40MPa/0.25MPa、回転数1000rpm、送液温度120℃で送液し、103℃のナトリウムを第2流体として10mL/minで処理用面間に導入した。第1流体と第2流体は薄膜内で混合され、処理後溶液が処理用面より19ml/minで吐出された。ナトリウムt −アミルオキシドとt−アミルアルコールの溶液が得られた。
(実施例21:ホウ素化)
中央から第1流体として0 .5 mol トリメチルボレートのTHF溶液を、供給圧力/背圧力=0.15MPa/0.04MPa、回転数500rpm、送液温度0℃で送液し、0.5 mol フェニルマグネシウムクロライドの/THF溶液を第2流体として34mL/minで処理用面間に導入した。第1流体と第2流体は薄膜内で混合され、処理後溶液が処理用面より71ml/minで吐出された。HPLC分析の結果、フェニルボロン酸の生成率は96%以上であった。
(比較例20:ホウ素化(バッチ式))
窒素置換された200mLの容器に、0.5 mol トリメチルボレートのTHF溶液を入れた。これに、容器内液温を0℃に保ちながら0.5 mol フェニルマグネシウムクロライドの/THF溶液を、クレアミックス(エム・テクニック社製)で20000rpmで撹拌しつつ滴下した。HPLC分析の結果、フェニルボロン酸の生成率は44%以下であった。
(実施例22:オゾン)
中央から第1流体として10% トランス−3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1 −プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチルのメタノール溶液を、供給圧力/背圧力=0.52MPa/0.31MPa、回転数1000rpm、送液温度0℃で送液し、オゾンガス(オゾン濃度:65g/m3、酸素濃度:90 重量%以上)を第2流体として130mL/minで処理用面間に導入した。第1流体と第2流体は薄膜内で混合され、処理後溶液が処理用面より吐出された。GC分析の結果、トランス−3,3−ジメチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチルの転化率:98.7%であり、含酸素化合物のトータル収率:97.4%であった。(3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチル:2.3%、3,3−ジメチル−2−(ジメトキシメチル)シクロプロパンカルボン酸メチル:95.1%)
(実施例23:二量化)
中央から第1流体としてBF3−Et2Oのハロゲン化溶液(ハイドロフロロカーボン(HFC)を、供給圧力/背圧力=0.07MPa/0.01MPa、回転数1000rpm、送液温度18℃で送液し、メチレンビシクロ[2.2.1]ヘプタンを第2流体として30mL/minで処理用面間に導入した。第1流体と第2流体は薄膜内で混合され、処理後溶液が処理用面より54ml/minで吐出された。GC−FID分析の結果、目的の二量体の生成率は87%以上であり、未反応原料は1%以下であった。
(比較例21:二量化(バッチ式))
窒素置換された200mLの容器に、BF3−Et2Oのハロゲン化溶液(ハイドロフロロカーボン(HFC)を入れた。これに、容器内液温を18℃に保ちながらメチレンビシクロ[2.2.1]ヘプタンを、クレアミックス(エム・テクニック社製)で20000rpmで撹拌しつつ滴下した。GC−FID分析の結果、目的の二量体の生成率は42%以下であり、未反応原料は17%であった。
(実施例24:カチオン重合)
中央から第1流体として化合物(XX)の0 .05mol/L ジクロロメタン溶液から発生させたカチオンプール(XXII)を、供給圧力/背圧力=0.07MPa/0.01MPa、回転数1000rpm、送液温度−78℃で送液し、−78℃において、1.25mol/L のn−ブチルビニルエーテルのジクロロメタン溶液を第2流体として50mL/minで処理用面間に導入した。第1流体と第2流体は薄膜内で混合され、処理後溶液が処理用面より108ml/minで吐出された。吐出液は25 質量%アンモニア水溶液をメタノールで20倍に希釈した溶液に直接採取し、反応を終結させた。溶媒除去、抽出、乾燥、カチオンプール由来のBu4NBF4を除去し、得られた溶液を乾固して重合体を得た。この重合体の数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)はゲルパーミエーションクロマトグラフィ−(GPC)測定により決定した。Mn=5400、Mw/Mn=1.15
であった。
(比較例22:カチオン重合(バッチ式))
窒素置換された200mLの容器に、化合物(XX)の0 .05mol/L ジクロロメタン溶液から発生させたカチオンプール(XXII)を入れた。これに、容器内液温を−78℃に保ちながら1.25mol/Lのn−ブチルビニルエーテルのジクロロメタン溶液を、クレアミックス(エム・テクニック社製)で20000rpmで撹拌しつつ滴下した。25質量%アンモニア水溶液をメタノールで20倍に希釈した溶液を用いて、反応を終結させた。溶媒除去、抽出、乾燥、カチオンプール由来のBu4NBF4を除去し、得られた溶液を乾固して重合体を得た。この重合体の数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)はゲルパーミエーションクロマトグラフィ−(GPC)測定により決定した。Mn=3820、Mw/Mn=3.56であった。
(実施例25:ハロゲン−金属交換反応)
中央から第1流体として1.58 mol/l n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液を、供給圧力/背圧力=0.15MPa/0.04MPa、回転数2000rpm、送液温度25℃で送液し、0.316 mol/l 2,6−ジブロモピリジン/THF溶液を第2流体として20mL/minで処理用面間に導入した。さらに3.16mol/l DMF/THF溶液を第3流体として20mL/minで処理用面間に導入した。第1流体、第2流体、及び第3流体は薄膜内で混合され、処理後溶液が処理用面より153ml/minで吐出された。HPLC分析の結果、目的反応率は93%であった。
(比較例23:ハロゲン−金属交換反応(バッチ式))
窒素置換された200mLの容器に、1.58mol/l n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液を入れた。これに、容器内液温を25℃に保ちながら0.316 mol/l 2,6−ジブロモピリジン/THF溶液および3.16mol/lDMF/THF溶液を、クレアミックス(エム・テクニック社製)で20000rpmで撹拌しつつ滴下した。HPLC分析の結果、目的反応率は33%であった。
(実施例26:還元反応アルデヒド合成)
中央から第1流体として1mol/l 水素化ジイソブチルアルミニウムのトルエン溶液を、供給圧力/背圧力=0.10MPa/0.08MPa、回転数2000rpm、送液温度−30℃で送液し、0 .92mol/l N −ベンジルイソニペコチン酸エチル/トルエン溶液を第2流体として15mL/minで処理用面間に導入した。第1流体と第2流体は薄膜内で混合され、処理後溶液が処理用面より30ml/minで吐出された。吐出液はメタノール中に採取した。得られたスラリー液を減圧濾過し、濾液をガスクロマトグラフィー分析した。その結果、反応率は89%であり、反応生成物のうち目的物であるN−ベンジルイソニペコチニルアルデヒド(2)が97%を占め、副生成物のN−ベンジル−4−ピペリジルメタノール(3)は3%に過ぎなかった。
(比較例24:N−ベンジルイソニペコチニルアルデヒドの製造(−30 ℃:バッチ式))
窒素置換された200mLの容器に、1.0mol/l 水素化ジイソブチルアルミニウム/トルエン溶液を入れ、−30℃まで冷却した。これに、温度を−30 ℃に保った状態で、0 .92mol/l N−ベンジルイソニペコチン酸エチルのトルエン溶液20mLを、クレアミックス(エム・テクニック社製)で20000rpmで撹拌しつつ滴下した。滴下終了後、−30 ℃にて1時間撹拌を行い、メタノールを添加した。得られたスラリー状の不溶物を減圧濾過で取り除き、濾液をガスクロマトグラフィーで分析した。その結果、反応率は、84%であったが、反応生成物のうち目的物であるN
−ベンジルイソニペコチニルアルデヒドは42%しかなく、副生成物のN−ベンジル−4−ピペリジルメタノールが58%を占めていた。
以上のすべての実施例において、反応生成物を得る為に要したエネルギー量は、比較例に比べて本発明の実施例の方が生成効率が向上しているにもかかわらず全て十分の一以下となった。これより実施例の製造方法がエネルギー効率に優れている事がわかった。
(A)は本願発明の実施に用いる装置の概念を示す略縦断面図であり、(B)は上記装置の他の実施の形態の概念を示す略縦断面図であり、(C)は上記装置のまた他の実施の形態の概念を示す略縦断面図であり、(D)は上記装置の更に他の実施の形態の概念を示す略縦断面図である。 (A)〜(D)は、夫々、図1に示す装置の更に他の実施の形態の概念を示す略縦断面図である。 (A)は図2(C)に示す装置の要部略底面図であり、(B)は上記装置の他の実施の形態の要部略底面図であり、(C)はまた他の実施の形態の要部略底面図であり、(D)は上記装置の更に他の実施の形態の概念を示す略底面図であり、(E)は上記装置のまた更に他の実施の形態の概念を示す略底面図であり、(F)は上記装置の更にまた他の実施の形態の概念を示す略底面図である。 (A)〜(D)は、夫々、図1に示す装置の更に他の実施の形態の概念を示す略縦断面図である。 (A)〜(D)は、夫々、図1に示す装置の更に他の実施の形態の概念を示す略縦断面図である。 (A)〜(D)は、夫々、図1に示す装置の更に他の実施の形態の概念を示す略縦断面図である。 (A)〜(D)は、夫々、図1に示す装置の更に他の実施の形態の概念を示す略縦断面図である。 (A)〜(D)は、夫々、図1に示す装置の更に他の実施の形態の概念を示す略縦断面図である。 (A)〜(C)は、夫々、図1に示す装置の更に他の実施の形態の概念を示す略縦断面図である。 (A)〜(D)は、夫々、図1に示す装置の更に他の実施の形態の概念を示す略縦断面図である。 (A)及び(B)は、夫々、図1に示す装置の更に他の実施の形態の概念を示す略縦断面図であり、(C)は図1(A)に示す装置の要部略底面図である。 (A)は図1(A)に示す装置の受圧面について、他の実施の形態を示す要部略縦断面図であり、(B)は当該装置の更に他の実施の形態の要部略縦断面図である。 図12(A)に示す装置の接面圧付与機構4について、他の実施の形態の要部略縦断面である。 図12(A)に示す装置に、温度調整用ジャケットを設けた、他の実施の形態の要部略縦断面図である。 図12(A)に示す装置の接面圧付与機構4について、更に他の実施の形態の要部略縦断面図である。 (A)は図12(A)に示す装置の更に他の実施の形態の要部略横断面であり、(B)(C)(E)〜(G)は当該装置のまた他の実施の形態の要部略横断面図であり、(D)は当該装置のまた他の実施の形態の一部切欠要部略縦断面図である。 図12(A)に示す装置の更に他の実施の形態の要部略縦断面図である。 (A)は本願発明の実施に用いる装置の更に他の実施の形態の概念を示す略縦断面図であり、(B)は当該装置の一部切欠要部説明図である。 (A)は図12(A)に示す装置の第1処理用部の平面図であり、(B)はその要部縦断面図である。 (A)は図12(A)に示す装置の第1及び第2処理用部の要部縦断面図であり、(B)は微小間隔が開けられた上記第1及び第2処理用部の要部縦断面図である。 (A)は上記第1処理用部の他の実施の形態の平面図であり、(B)はその要部略縦断面図である。 (A)は上記第1処理用部の更に他の実施の形態の平面図であり、(B)はその要部略縦断面図である。 (A)は第1処理用部のまた他の実施の形態の平面図であり、(B)は第1処理用部の更にまた他の実施の形態の平面図である。 (A)(B)(C)は、夫々、処理後の被処理物の分離方法について、上記以外の実施の形態を示す説明図である。 本願発明の装置の概要を説明するための縦断面の概略図である。 (A)は図25に示す装置の第1処理用面の略平面図であり、(B)は図25に示す装置の第1処理用面の要部拡大図である。 (A)は第2導入路の断面図であり、(B)は第2導入路を説明するための処理用面の要部拡大図である。 (A)及び(B)は、夫々、処理用部に設けられた傾斜面を説明するための要部拡大断面図である。 処理用部に設けられた受圧面を説明するための図であり、(A)は第2処理用部の底面図、(B)は第1及び第2処理用部の要部拡大断面図である。
1 第1処理用面
2 第2処理用面
10 第1処理用部
11 第1ホルダ
20 第2処理用部
21 第2ホルダ

Claims (8)

  1. 少なくとも1種類の有機化合物を含有する流体を含む、少なくとも2種類の流体を用いるものであり、
    近接・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面間にできる薄膜流体中で上記の各流体を合流させ、当該薄膜流体中において有機反応させる有機化合物の製造方法において、
    第1処理用部と、この第1処理用部に対して相対的に接近・離反可能な第2処理用部との、少なくとも2つの処理用部と、
    上記の第1処理用部と第2処理用部とを相対的に回転させる回転駆動機構とを備え、
    上記の各処理用部において互いに対向する位置に、第1処理用面及び第2処理用面の少なくとも2つの処理用面が設けられており、
    上記の各処理用面は、上記被処理流動体が流される流路の一部を構成するものであり、
    接近離反可能、且つ相対的に回転する上記の第1処理用面と第2処理用面との間に上記被処理流動体が通されるものであり、
    上記被処理流動体の供給圧によって上記少なくとも2つの処理用面を離反させる方向に移動させる力を発生させ、上記少なくとも2つの処理用面を接近させる方向に移動させる力とのバランスによって、上記第1処理用面と第2処理用面との間の距離を微小間隔に維持し、この微小間隔に維持された両処理用面間に上記被処理流動体が通されることにより、上記被処理流動体が上記薄膜流体を形成するものであり、
    少なくとも1種類の上記流体が上記両処理用面間に通され、この1種類の流体の流路とは異なる独立した導入路を備え、この別途の導入路に通じる少なくとも一つの開口部が上記第1処理用面と第2処理用面の少なくとも何れか一方に設けられ、この導入路から少なくとも1種類の他の流体を上記両処理用面間に導入し、上記1種類の流体と上記他の1種類の流体とを上記薄膜流体中で混合することにより、上記薄膜流体中において上記の1種類の流体に含まれる成分と、上記の他の1種類の流体に含まれる成分とを、有機反応させるものであることを特徴とする有機化合物の製造方法。
  2. 上記被処理流動体に圧力を付与する流体圧付与機構を備え、
    上記第1処理用部と第2処理用部のうち、少なくとも第2処理用部は受圧面を備えるものであり、且つ、この受圧面の少なくとも一部が上記の第2処理用面により構成され、この受圧面は上記の流体圧付与機構が被処理流動体に付与する圧力を受けて第1処理用面から第2処理用面を離反させる方向に移動させる力を発生させ、この第1処理用面と第2処理用面との間に上記圧力の付与された被処理流動体が通されることにより、上記被処理流動体が薄膜流体を形成するものであることを特徴とする請求項1記載の有機化合物の製造方法。
  3. 上記第1処理用面と上記第2処理用面との少なくもと何れか一方には径方向について伸びる溝状の凹部が形成され、上記溝状の凹部を備えた処理用面が回転することでマイクロポンプ効果により上記1種類の流体が上記第1処理用面と上記第2処理用面との間に導入されるものであることを特徴とする請求項1又は2記載の有機化合物の製造方法。
  4. 前記開口部は、上記第1処理用面に設けられた上記凹部からマイクロポンプ効果によって導入される際の流れ方向が処理用面間で形成されるスパイラル状で層流の流れ方向に変換される点よりも外径側に設置されたことを特徴とする請求項3記載の有機化合物の製造方法。
  5. 前記開口部は、第1処理用面に設けられた上記凹部の最も処理用面径方向外側から径方向外側へ0.5mm以上離れた位置に設置されたことを特徴とする請求項3又は4記載の有機化合物の製造方法。
  6. 上記両処理用面の少なくともいずれかを加熱(加温)すること、上記両処理用面の間に紫外線(UV)を照射すること、上記両処理用面の間に超音波エネルギーを与えることの、少なくともいずれか1つがなされることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の有機化合物の製造方法。
  7. 上記反応を減圧または真空状態を確保できる容器内で行い、少なくとも処理後流体が上記第1処理用面と第2処理用面との間から吐出される2次側を減圧または真空状態とする事で、上記反応中に発生するガス並びに上記被処理流動体中に含まれるガスの脱気、もしくは上記流体の脱溶剤を行うことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の有機化合物の製造方法。
  8. 上記1種類の流体と他の1種類の流体と上記反応との組合せが、下記の第1〜第27の組合せからなる群から選択された少なくとも1種類の組合せであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の有機化合物の製造方法。
    第1の組み合わせは、
    有機化合物を少なくとも1種類含む流体と、
    反応剤を少なくとも1種類含む流体との組合せであり
    上記反応が上記有機化合物と上記反応剤との有機反応である組合せ。
    第2の組合せは、
    アシル化剤、強酸、有機化合物の三者から選択された一者あるいは二者を含んでいる流体と、
    この三者から選択されなかったもののうち少なくとも一者を含んでいる流体との組合せであり、
    上記被処理流動体としては上記の三者を全て含むものとされ、
    上記反応がフリーデル−クラフツアシル化反応である組合せ。
    第3の組合せは、
    ニトロ化試薬を少なくとも1種類含む流体と、
    有機化合物を少なくとも1種類含む流体との組合せであり、
    上記反応がニトロ化反応である組合せ。
    第4の組合せは、
    臭素化試薬を少なくとも1種類含む流体と、
    有機化合物を少なくとも1種類含む流体の組合せであり、
    上記反応が臭素化反応である組合せ。
    第5の組合せは、
    酸化剤を少なくとも1種類含む流体と、
    有機カルボニル化合物を少なくとも1種類含む流体の組合せであり、
    上記反応がバイヤー−ヴィリガー酸化反応である組合せ。
    第6の組合せは、
    メタセシス触媒を少なくとも1種類含む流体と、
    不飽和有機化合物を少なくとも1種類含む流体の組合せであり、
    上記反応がメタセシス反応である組合せ。
    第7の組合せは、
    水素化物および/またはその誘導体を少なくとも1種類含む流体と、
    有機化合物を少なくとも1種類含む流体の組合せであり、
    上記反応が還元反応である組合せ。
    第8の組合せは、
    脱水剤を少なくとも1種類含む流体と、
    有機化合物を少なくとも1種類含む流体の組合せであり、
    上記反応が脱水反応である組合せ。
    第9の組合せは、
    転移試薬を少なくとも1種類含む流体と、
    有機オキシムを少なくとも1種類含む流体の組合せであり、
    上記反応が上記有機オキシムをベックマン転位させるものである組合せ。
    第10の組合せは、
    オキシム化試薬を少なくとも1種類含む流体と、
    有機カルボニル化合物および/またはCH−酸性化合物を少なくとも1種類含む流体の組合せであり、
    上記反応が上記有機カルボニル化合物および/またはCH−酸性化合物をオキシム化させるものである組合せ。
    第11の組合せは、
    双極子親和体を少なくとも1種類含む流体と、
    有機化合物を少なくとも1種類含む流体の組合せであり、
    上記反応が上記有機化合物を1,3−双極子付加環化させるものである組合せ。
    第12の組合せは、
    酸化剤を少なくとも1種類含む流体と、
    第三アミンおよび/または少なくとも1種の窒素含有芳香族複素環式化合物を少なくとも1種類含む流体の組合せであり、
    上記反応が第三アミンおよび/または窒素含有芳香族複素環式化合物を酸化アミンに酸化させるものである組合せ。
    第13の組合せは、
    酸化剤を少なくとも1種類含む流体と、
    オレフィンを少なくとも1種類含む流体の組合せであり、
    上記反応が上記オレフィンをエポキシ化させるものである組合せ。
    第14の組合せは、
    ホルミル化剤を少なくとも1種類含む流体と、
    有機化合物を少なくとも1種類含む流体の組合せであり、
    上記反応が上記有機化合物をホルミル化させるものである組合せ。
    第15の組合せは、
    触媒を少なくとも1種類含む流体と、
    アリールヒドラゾンを少なくとも1種類含む流体の組合せであり、
    上記反応がインドール化合物を得るものである組合せ。
    第16の組合せは、
    アリキリデン基移動試薬を少なくとも1種類含む流体と、
    有機化合物を少なくとも1種類含む流体の組合せであり、
    上記反応がアルキリデン基を上記有機化合物に移動させるものである組合せ。
    第17の組合せは、
    触媒、ビニル性またはアセチレン性水素原子を少なくとも一つ含む有機化合物、少なくとも一つの脱離基を含む有機化合物の三者から選択された一者あるいは二者を含む流体と、
    この三者から選択されなかったもののうち少なくとも一者を含む流体の組合せであり、
    上記被処理流動体としては上記の三者を全て含むものとされ、
    上記反応がカップリング反応である組合せ。
    第18の組合せは、
    アルコール、チオール、アミンの内少なくとも一つの有機化合物、触媒、ジケテンの三者から選択された一者あるいは二者を含む流体と、
    この三者から選択されなかったもののうち少なくとも一者を含む流体の組合せであり、
    上記被処理流動体としては上記の三者を全て含むものとされ、
    上記反応がアセトアセチル化反応である組合せ。
    第19の組合せは、
    強塩基、以下二つの一般式
    −CN
    2−CN
    で表されたいずれかのニトリル(R、R2はそれぞれ未置換もしくは置換された同素環または複素環芳香族基)、これらニトリルの混合物、コハク酸ジエステルの三者から選択された一者あるいは二者を含む流体と、
    この三者から選択されなかったもののうち少なくとも一者を含む流体の組合せであり、
    上記被処理流動体としては上記の三者を全て含むものとされ、
    上記反応が上記ニトリルと上記コハク酸ジエステルを反応させ、または前記反応と共に前記反応により生成された塩を加水分解させるものである組合せ。
    第20の組合せは、
    アルカリ金属を少なくとも1種類含む流体と、
    アルコールを少なくとも一つ含む流体の組合せであり、
    上記反応が上記アルカリ金属と上記アルコールを反応させるものである組合せ。
    第21の組合せは、
    アルデヒド類および/またはケトン類を少なくとも1種類含む流体と、
    液状または溶液状の触媒を少なくとも一つ含む流体の組合せであり、
    上記反応がアルドール反応を行うものである組合せ。
    第22の組合せは、
    リチウム芳香族および/またはリチウム化脂肪族化合物もしくはマグネシウム芳香族および/またはマグネシウム脂肪族化合物を少なくとも1種類含む流体と、
    ホウ素化合物を少なくとも一つ含む流体の組合せであり、
    上記反応がホウ素化反応である組合せ。
    第23の組合せは、
    不飽和結合を有する有機化合物を少なくとも1種類含む流体と、
    オゾンを少なくとも一つ含む流体の組合せであり、
    上記反応が酸化反応である組合せ。
    第24の組合せは、
    酸を少なくとも1種類含む流体と、
    ビニル化合物又はビニリデン化合物を少なくとも一つ含む流体の組合せであり、
    上記反応が二量化反応である組合せ。
    第25の組合せは、
    カチオン重合単量体を少なくとも1種類含む流体と、
    カチオンを少なくとも一つ含む流体の組合せであり、
    上記反応がカチオン重合反応である組合せ。
    第26の組合せは、
    メタル化試薬(リチウム、マグネシウム)を少なくとも1種類含む流体と、
    ハロゲン化合物を少なくとも一つ含む流体の組合せであり、
    上記反応がハロゲン−金属交換反応である組合せ。
    第27の組合せは、
    アルキルエステル類を少なくとも1種類含む流体と、
    金属水素化物系還元剤を少なくとも一つ含む流体の組合せであり、
    上記反応が還元反応である組合せ。
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