JP4653319B2 - ガスセンサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスの検出を高感度で行なうことができるガスセンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ガスセンサは一般的にはセラミックス等からなる絶縁性の基板に感ガス材料を成膜して感ガス体を形成し、この感ガス体に検知用の電極を設けたり、あるいはバルク状に形成された感ガス体の内部に電極を埋設したりすることにより形成され、電極間の電気抵抗値の変化等に基づいてガス検知を行なっていた。
【0003】
しかし、このようにして形成されるガスセンサでは、電極間の間隔が限定されてしまい、また電極と感ガス体との接触面積も限定されしまうために、ガス検知を感度良く行なうためには感ガス材料としてある程度の電気伝導性を有するものを使用する必要があり、電気伝導性が低い材料を感ガス材料として用いることは困難であった。また通常、充分な検知感度を得るためにはヒータ等を設けて感ガス体を加熱した状態でガスの検知を行なわなければならなかった。
【0004】
一方、近年、ダイヤモンド、グラファイトに次ぐ第3の結晶炭素としてC60に代表されるフラーレンの存在が明らかにされ、また炭素電極のアーク放電によるフラーレンの合成方法も確立されるようになってきた。
【0005】
フラーレンは、炭素60個からなるC60及びそれ以上の炭素からなる巨大篭状分子の総称であり、幾何学的に球形構造を構成するC60、C70、C76、C78、C80、C82、C84等やそれ以上の炭素数を有する巨大フラーレンが存在し、また球形に閉じていない炭素の篭状分子も含む場合がある。
【0006】
またこれらのフラーレンの内部に金属原子が内包されたり、あるいはフラーレンの外側において炭素原子と金属原子とが結合された、金属含有フラーレンの存在も見出されている。
【0007】
このようなフラーレンは、アンモニア、アルデヒド、カルボン酸、NOX等のように、主として分子内に極性を有するガスが吸着すると電気伝導率が増大するため、室温で動作する感ガス材料として期待されるものである。
【0008】
しかし、このフラーレンは電気伝導率が低く、上記のような従来のセンサ構造においてフラーレンを感ガス材料として用いても充分なセンサ感度が得られにくいものであった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑みて為されたものであり、電気伝導率が低く、従来のセンサ構造では充分な感度が得られない材料を感ガス材料として適用しても、ガスの検知を高感度に行なうことができるガスセンサを提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係るガスセンサは、感ガス材料としてフラーレンが含浸された多孔質のシート材2と、シート材2の両面にそれぞれ設けられた電極3とから成ることを特徴とするものである。
【0011】
また請求項2の発明は、請求項1において、多孔質のシート材2を樹脂、天然繊維又はセラミックスにて形成して成ることを特徴とするものである。
【0013】
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、感ガス材料として複数種のフラーレンの混合物を用いることを特徴とするものである。
【0014】
また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、感ガス材料として金属含有フラーレンを用いることを特徴とするものである。
【0015】
また請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかにおいて、電極3を真空蒸着又はスパッタリングにて形成して成ることを特徴とするものである。
【0016】
また請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかにおいて、ガス検知結果を電極3間の電気抵抗値の変化として出力することを特徴とするものである。
【0017】
また請求項7の発明は、請求項1乃至5のいずれかにおいて、ガス検知結果を電極3間の電気容量の変化として出力することを特徴とするものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
多孔質のシート材2は、絶縁性の薄肉材料で、かつ一面から他面側に連通する多数の通孔を有するものであれば、適宜のものを使用することができ、例えば、抄紙により得られる天然繊維からなる紙や、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等からなる多孔質の樹脂シート、あるいはアルミナゾルを乾燥又は焼成して得られる多孔質アルミナ成形体のような多孔質セラミックスを用いることができる。このシート材2の平面視寸法や厚みは、使用する感ガス材料の種類、シート材2の多孔質の程度、要求されるガスセンサ1の性能等に応じて、適宜設定されるものであり、特に電気伝導性の低い感ガス材料を用いる場合にはシート材2の厚みを薄くするほど良好な感度が得られるものであるが、あまりにも薄すぎると電極3間のショートが発生するおそれがあるために、厚みは20μm以上とすることが好ましい。
【0020】
シート材2の両面にはそれぞれ、検知用の電極3が形成される。電極3の材質としては金等が用いられ、この電極3はシート材2の両面の全面に形成しても良く、またシート材2の両面それぞれの特定の領域のみに形成しても良い。電極3はシート材2の表面に金属のスパッタリングや真空蒸着等により形成することができ、この場合は、電極3をシート材2の表面に密着性良く形成することができるものであり、またこのように多孔質のシート材2の表面に密着性良く形成されることから、電極3とシート材2との接触面積が大きくなるものである。
【0021】
また、シート材2としてアルミナゾルの乾燥又は焼成等にて得られる多孔質アルミナ成形体のような、多孔質セラミック成形体を用いる場合には、まず基板上に電極3を真空蒸着等にて形成し、この電極3上にアルミナゾル等を塗布した後、乾燥又は焼成して多孔質セラミック成形体からなるシート材2を成形し、この多孔質シート材2の表面に真空蒸着等にて電極3を形成することもできる。
【0022】
感ガス材料は、電極3間においてシート材2に含浸されている。感ガス材料の含浸量は、感ガス材料の種類、シート材2の材質、要求されるガスセンサ1の特性等に応じて、適宜設定されるが、少なくとも感ガス材料がシート材2の一面側から他面側にかけて連続的に存在するようにする。感ガス材料をシート材2に含浸させるにあたっては、例えば感ガス材料が分散された溶剤をシート材2に滴下したり、あるいはこの溶剤中にシート材2を浸漬したりして、シート材2中に感ガス材料が分散された溶剤を含浸させた後、溶剤を揮散させるものである。
【0023】
このようして形成されるガスセンサ1は、検知用の電極3が両面に一体に形成されていることから、ガスセンサ1からの検知出力の取り出しは、図1(b)に示すように両面の検知用の電極3に信号取り出し用の端子電極4を接触させてガスセンサ1を二つの端子電極4にて挟持するようにするだけで行なうことができ、検知出力取り出し用のリード線をガスセンサ1に接続しなくても良く、簡便な構成にて検知出力の取り出しを行なうことができる。尚、図1(c)に示すようにガスセンサ1の両面の検知用の電極3にそれぞれリード線5を接続して、このリード線5にて検知出力の取り出しを行なっても良い。
【0024】
このガスセンサ1によるガスの検知は、検知対象であるガス中にこのガスセンサ1を配置した際の検知出力に基づいて行なうことができる。この検知出力は、電極3間の電気抵抗値の変化(導電性の変化)として取り出すことができる。すなわち、電極3間の電気抵抗値を検出し、シート材2中の感ガス材料に検知対象であるガスが吸着することにより、感ガス材料の電気伝導率が変化して電極3間の電気抵抗値が変化した際に、この電気抵抗値の変化量に基づいてガスの検知を行なうものである。また検知出力は、電極3間の電気容量の変化として取り出すこともできる。すなわち、上記のガスセンサ1はコンデンサと同様の構造を有しており、電極3間の電気容量を検出し、シート材2中の感ガス材料に検知対象であるガスが吸着することによって感ガス材料の誘電率が変化して電極3間の電気容量が変化した際に、この電気容量の変化量に基づいてガスの検知を行なうものである。
【0025】
このように構成されるガスセンサ1は、シート材2の厚みを適宜設定することにより電極3間の寸法を容易に制御することができ、使用する感ガス材料の種類や測定対象であるガスの種類等に応じて、所望の特性を有するガスセンサ1を容易に構成することができる。更にはこのガスセンサ1は多孔質のシート材2の表面に電極3が形成されることから、電極3とシート材2との接触面積が大きくなり、特に電極3を真空蒸着やスパッタリングにて形成すると電極3面積が著しく大きくなるものであり、このため、電極3間の電気抵抗値を低減することが容易なものである。このため、フラーレンのような電気伝導性の低い材料を感ガス材料として用いる場合であっても、シート材2の厚みを薄く形成することにより電極3間の寸法を小さくすると共に電極3とシート材2との接触面積を大きく形成して、電極3間の電気抵抗値を低減し、検知感度の高いガスセンサ1を得ることができるものである。
【0026】
また特に感ガス材料としてフラーレンを用いると、アンモニア、アルデヒド、カルボン酸、NOX等のように、主として分子内に極性を有するガスの検知を室温で行なうことができるガスセンサ1を得ることができるものである。
【0027】
感ガス材料として用いることができるフラーレンは、既に確立された公知の製造方法によって得ることができる。このフラーレンの製造方法の一例を挙げる。
【0028】
図2はフラーレンの製造装置を示すものであり、図中の符号のうち6はガラス製の真空容器(ガラスベルジャー)、7はヘリウムガスが充填されたガスボンベ、8は真空ポンプをそれぞれ示す。真空容器6にはガスボンベ7と真空ポンプ8とが接続されており、ガスボンベ7から真空容器6にヘリウムガスが供給されると共に、真空ポンプ8を作動させることにより真空容器6内が減圧されるようになっている。
【0029】
真空容器6内には二つの電極10,11が配設されており、各電極10,11にはそれぞれ炭素棒12,13が接続されている。炭素棒12,13は真空容器6内において互いに端面同士が対向するように配設されており、少なくとも一方の炭素棒13は、他方の炭素棒12に対して近接離間自在に移動可能に形成されている。また電極10,11間には直流電源9が接続されている。
【0030】
フラーレンを合成するにあたっては、まずガスボンベ7から真空容器6内にヘリウムガスを供給すると共に真空ポンプ8を作動させて、真空ポンプ8内の雰囲気を10〜100Torr(1.33×103〜1.33×104Pa)のヘリウムガス雰囲気に維持する。
【0031】
この状態で、炭素棒12,13を移動させて炭素棒12,13同士を近接させると共に、直流電源9によって電極3間に20〜25Vの電圧を印加して50〜100A程度の電流を通電させ、炭素棒12,13間にアーク放電を生じさせる。このようにすると、アーク放電によって、高電位側の炭素棒13から煤が生成し、この煤中には10〜20%程度のフラーレンが含有される。
【0032】
この煤をトルエン等のような無極性溶媒中に分散させ、ソックスレー抽出器等を用いて溶媒抽出することにより、C60、C70、C76等の各種のフラーレンの混合物が得られる。
【0033】
またこのフラーレンの混合物をカラムクロマトグラフィー等にて分離すると、単一種のフラーレンを得ることができる。
【0034】
更に、上記のようにしてフラーレンを生成するにあたって、少なくともアーク放電時に高電位側となる炭素棒13として白金、ニッケル、バリウム等の金属を含有するものを用いると、金属含有フラーレンを得ることができる。
【0035】
このようにして得られるフラーレンをシート材2に含浸させる際には、例えばこのフラーレンをトルエン等の無極性溶剤中に溶解させて、この溶剤をシート材2に滴下したり、あるいはこの溶剤中にシート材2を浸漬したりしてシート材2中にフラーレンが分散された溶剤を含浸させた後、溶剤を揮散させるものである。
【0036】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって詳述する。
【0037】
(実施例1)
シート材2としては、平面視が直径8mmの円形状に形成された厚み180μmの紙(ワットマン製濾紙NO44)を用いた。また、感ガス材料としては、純度99.8%以上のC60を用いた。
【0038】
まずシート材2の両面に真空蒸着により厚み5μm以下の金電極3を形成した。
【0039】
一方、トルエン20cm3に対してC60フラーレンを100mg分散させた溶液を調製し、この溶液を電極3が形成されたシート材2に、電極3間の隙間から含浸させた後、トルエンを揮散させることにより、シート材2にC60フラーレンを含浸させて、ガスセンサ1を作製した。
【0040】
ここで、C60フラーレンのトルエン溶液は1回につきシート材2に0.1cm3含浸させるものとして、C60フラーレンのトルエン溶液をシート材2に1回、2回及び3回含浸させたガスセンサ1をそれぞれ形成した。
【0041】
各ガスセンサ1を空気中と、空気中にアセトアルデヒドが100ppm混入された雰囲気中とに配置し、それぞれにおける電極3間の電気容量を検知出力として測定した。
【0042】
この結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
このように、電極3間の電気容量は空気中とアセトアルデヒド混入雰囲気中とで変化したものであり、このガスセンサ1によって、電気容量の変化からアセトアルデヒドが検出できることが確認できる。
【0045】
(実施例2)
シート材2としては、平面視が直径8mmの円形状に形成された厚み250μmの紙(アドバンテック東洋製濾紙NO131)を用いた。
【0046】
また、感ガス材料としては、図2に示すようなフラーレンの製造装置を用いて製造された、複数種のフラーレンの混合物を用いた。フラーレンの生成条件は、真空容器6内を1.0×104Paのヘリウムガス雰囲気とし、一方の炭素棒12の直径を30cm、他方の炭素棒13の直径を6cmとし、小径の炭素棒13が高電位側となるように20Vの電圧を印加したものであり、このとき得られる煤をトルエンに分散してソックスレー抽出器にて溶媒抽出したものである。
【0047】
ガスセンサ1を作製するにあたっては、まずシート材2の両面に真空蒸着により厚み5μm以下の金電極3を形成した。
【0048】
一方、トルエン20cm3に対して上記の複数種のフラーレンの混合物を100mg分散させた溶液を調製し、この溶液を電極3が形成されたシート材2に、電極3間の隙間から含浸させた後、トルエンを揮散させることにより、シート材2に複数種のフラーレンの混合物を含浸させて、ガスセンサ1を作製した。
【0049】
ここで、複数種のフラーレンの混合物のトルエン溶液は1回につきシート材2に0.1cm3含浸させるものとして、この溶液をシート材2に5回含浸させたガスセンサ1を形成した。
【0050】
このように形成されたガスセンサ1を、アセトアルデヒドが混入された雰囲気中に配置して、ガスセンサ1によるアセトアルデヒドの検知感度を調査した。ここで、空気雰囲気中におけるガスセンサ1の電極3間の電気抵抗値をRa、アセトアルデヒドが混入された雰囲気中における電極3間の電気抵抗値をRsとしたときの、Ra/Rsの値を検知感度とした。また電気抵抗値の測定は、ガスセンサ1の両面の電極3にそれぞれ端子電極4としてニッケル板を配置してガスセンサ1をニッケル板にて挟持した状態で行なった。この結果を表2及び図3に示す。
【0051】
【表2】
【0052】
このように、アセトアルデヒド濃度が上昇するに従って高い検知感度が得られ、このガスセンサ1の電極3間の電気抵抗値を検知出力としてアセトアルデヒド濃度の検知を行なうことができることが確認される。
【0053】
(比較例1)
平面視2mm×2mmの寸法の平板状のアルミナ基板の上面に検知電極として電極間の間隔が90μmの櫛形電極を形成し、更にその上面に実施例2と同様の複数種のフラーレンの混合物のトルエン溶液を塗布した後、溶剤を揮散させることにより、アルミナ基板上に膜状の感ガス体を形成した。
【0054】
ここで、複数種のフラーレンの混合物のトルエン溶液は1回につき基板上に5×10-6cm3塗布するものとして、この溶液を基板に1〜5回塗布したものをそれぞれ形成した。
【0055】
このように形成されたガスセンサ1を、空気雰囲気中と100ppmのアセトアルデヒドが混入された雰囲気中に配置して、ガスセンサ1の電極3間の電気抵抗値を検知出力として測定し、空気雰囲気中における電極3間の電気抵抗値と、アセトアルデヒドが混入された雰囲気中における検知感度とを調査した。この結果を表3に示す。
【0056】
【表3】
【0057】
このように、感ガス体に検知電極3として櫛形電極3を形成したものでは、電極3間の電気抵抗値が大きく、またアセトアルデヒドの検知感度が小さいものであった。
【0058】
(実施例3)
実施例2と同様に形成されたガスセンサ1につき、比較例1と同様の測定を行なった結果を表4に示す。
【0059】
ここで、複数種のフラーレンの混合物のトルエン溶液は1回につきシート材2に0.1cm3含浸させるものとして、この溶液をシート材2に1〜8回含浸させたガスセンサ1をそれぞれ形成した。
【0060】
また、表4には参考として、シート材2にフラーレンを含浸させなかったものについての空気雰囲気中における電極3間の電気抵抗値の測定結果も併せて示す。
【0061】
【表4】
【0062】
このように、実施例3では、比較例1の場合よりも電極3間の電気抵抗値が遙かに小さくなり、またアセトアルデヒドの検知感度も大きく向上した。
【0063】
(実施例4)
平面視2mm×2mmの寸法の平板状のアルミナ基板上に真空蒸着にて厚み5μm以下の膜状の金電極3を形成した。この電極3上に、アルミナゾル(多木化学製)を塗布した後、500℃で焼成して、平面視寸法が直径1.5mmの円形状で、厚み20μmの多孔質アルミナ成形体(シート材2)を形成した。
【0064】
このシート材2の上面に、真空蒸着により厚み5μm以下の膜状の金電極3を形成した。
【0065】
次に、実施例2と同様の複数種のフラーレンの混合物のトルエン溶液を電極3が形成されたシート材2に、電極3間の隙間から含浸させた後、トルエンを揮散させることにより、シート材2に複数種のフラーレンの混合物を含浸させて、ガスセンサ1を作製した。
【0066】
ここで、複数種のフラーレンの混合物のトルエン溶液は1回につきシート材2に0.1cm3含浸させるものとして、この溶液をシート材2に1〜8回含浸させたガスセンサ1をそれぞれ形成した。
【0067】
これらのガスセンサ1につき、比較例1と同様の測定を行なった結果を表5に示す。
【0068】
また、表5には参考として、シート材2にフラーレンを含浸させなかったものについての空気雰囲気中における電極3間の電気抵抗値の測定結果も併せて示す。
【0069】
【表5】
【0070】
このように、実施例4では、比較例1の場合よりも電極3間の電気抵抗値が遙かに小さくなり、またアセトアルデヒドの検知感度も大きく向上した。
【0071】
(実施例5)
シート材2としてはポリテトラフルオロエチレン製のメンブレンフィルターにて形成された平面視寸法が直径8mmの円形状で膜厚が80μmのものを用いた。
【0072】
それ以外の条件は実施例3と同様にして、複数種のフラーレンの混合物のトルエン溶液をシート材2に1〜7回含浸させたガスセンサ1をそれぞれ形成し、これらのガスセンサ1につき、比較例1と同様の測定を行なった。この結果を表6に示す。
【0073】
【表6】
【0074】
このように、実施例6では、比較例1の場合よりも電極3間の電気抵抗値が遙かに小さくなり、またアセトアルデヒドの検知感度も大きく向上した。
【0075】
(実施例6〜9)
感ガス材料として、図2に示すフラーレンの生成装置において、アーク放電時の高電位側となる小径の炭素棒13として炭素のみからなるもの、2%の白金が混入されているもの、2%のバリウムが混入されているもの、2%のニッケルが混入されているものをそれぞれ用い、それ以外の条件は実施例2と同様にして得られる複数種のフラーレンの混合物を用いた。
【0076】
これらの各感ガス材料を用いて、それぞれ実施例2と同様の条件で、ガスセンサ1を形成した。
【0077】
ここで、複数種のフラーレンの混合物のトルエン溶液は1回につきシート材2に0.1cm3含浸させるものとして、この溶液をシート材2に3回含浸させたガスセンサ1を形成した。
【0078】
このように形成された各ガスセンサ1を、空気雰囲気中と100ppmのアセトアルデヒドが混入された雰囲気中に配置して、ガスセンサ1の電極3間の電気抵抗値を検知出力として測定し、空気雰囲気中における電極3間の電気抵抗値と、アセトアルデヒドが混入された雰囲気中における検知感度とを調査した。この結果を表7に示す。
【0079】
【表7】
【0080】
このように、感ガス材料として、金属含有フラーレンを用いた実施例7〜9でも、金属を含有していないフラーレンを用いた実施例6と同様に、電極3間の電気抵抗値が遙かに小さくなり、またアセトアルデヒドの検知感度も大きく向上した。
【0081】
【発明の効果】
以上のように本発明に係るガスセンサは、感ガス材料が含浸された多孔質のシート材と、シート材の両面にそれぞれ設けられた電極とから構成されるため、電極の面積が大きくなると共に電極間の寸法はシート材の厚みを適宜設定することにより任意の寸法に形成することができ、感ガス材料として電気伝導性の低い材料を用いる場合であっても、電極間の電気抵抗値を低減して、検知感度を向上して、高感度なガスセンサを得ることができるものである。またシート材の両面の電極に検知出力測定用の端子電極を接触させるだけで、検知出力を容易に検出することができ、ガスセンサに検知用のリード線を設けなくても検知出力の測定を容易に行なうことができるものである。更には、センサ構造が非常に簡便となって、低コストでガスセンサを得ることができ、使い捨てタイプのガスセンサとして用いることもできるものである。
【0082】
多孔質のシート材は樹脂、天然繊維又はセラミックスにて形成することが好ましく、このような多孔質のシート材には感ガス材料を容易に含浸させると共にその両面に電極を形成することができる。
【0083】
感ガス材料としては、フラーレンを用いることができ、これにより、アンモニア、アルデヒド、カルボン酸、NOX等のように、主として分子内に極性を有するガスの検知を室温で行なうことができるガスセンサを得ることができ、例えば悪臭源となる物質や、環境汚染物質等を選択的に測定するために好適に用いることができるものである。
【0084】
このようなフラーレンとしては、複数種のフラーレンの混合物を用いることもでき、この場合はフラーレンの生成過程において単一種のフラーレンを分離することなく、感ガス材料として用いることができ、感ガス材料であるフラーレンを簡易な工程で得ることができるものである。
【0085】
またこのようなフラーレンとしては、金属含有フラーレンを用いることもでき、このような金属含有フラーレンを用いる場合であっても、アンモニア、アルデヒド、カルボン酸、NOX等のように、主として分子内に極性を有するガスの検知を室温で行なうことができるガスセンサを得ることができるものである。
【0086】
また、シート材の両面に形成される電極は、真空蒸着又はスパッタリングにて形成することが好ましく、このようにすると電極をシート材に対して密着性良く形成することができ、しかもこのように多孔質のシート材の表面に密着性良く形成されることから電極面積を著しく増大させることができて、電極間の電気抵抗値を更に低減し、更に高感度なガスセンサを得ることができるものである。
【0087】
このようなガスセンサにおいて、検知出力は、電極間の電気抵抗値の変化として出力するようにすることができ、このようにすると、上記のように電極間の電気抵抗値が低減されていることから、検知対象であるガスが感ガス材料に吸着した場合の感ガス材料の電気伝導率の変化に基づく電極間の電気抵抗値の変化によって、検知出力を高感度かつ高精度で得ることができるものである。
【0088】
また、検知出力を、電極間の電気容量の変化として出力するようにすることもでき、この場合は検知対象であるガスが感ガス材料に吸着した場合の感ガス材料の誘電率の変化に基づく電極間の電気容量の変化から、ガスの検知を行なうことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(c)はそれぞれ本発明の実施の形態の例を示す断面図である。
【図2】フラーレンの生成装置の一例を示す概略図である。
【図3】実施例2における、アセトアルデヒド濃度とガスセンサの検知感度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ガスセンサ
2 シート材
3 電極
Claims (7)
- 感ガス材料としてフラーレンが含浸された多孔質のシート材と、シート材の両面にそれぞれ設けられた電極とから成ることを特徴とするガスセンサ。
- 多孔質のシート材を樹脂、天然繊維又はセラミックスにて形成して成ることを特徴とする請求項1に記載のガスセンサ。
- 感ガス材料として複数種のフラーレンの混合物を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスセンサ。
- 感ガス材料として金属含有フラーレンを用いることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のガスセンサ。
- 電極を真空蒸着又はスパッタリングにて形成して成ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のガスセンサ。
- ガス検知結果を電極間の電気抵抗値の変化として出力することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のガスセンサ。
- ガス検知結果を電極間の電気容量の変化として出力することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のガスセンサ。
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