JP4651873B2 - 多孔管の調整管端末固定部材 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は多孔管の調整管端末固定部材に関し、特にたとえば外管内に複数の内管が収納された多孔管の調整管の端末において前記内管の管端を固定するための固定部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ケーブル保護管等として用いられる多孔管の配管工事において、一施工区間であるハンドホール等の構造物間の長さは、定尺管の有効長で割り切れないため、区間の最終段階では残りの施工長さを有する調整管が必要となる。この残りの施工長さは区間ごとに異なるため、調整管は、通常、定尺管を所望の長さに切断することによって製作される。
【0003】
一方、多孔管としては、本願出願人によって平成13年4月19日付で出願された特願2001−120608号に開示されるような構造の管が適用され得る。この多孔管1では、たとえば図22に示すように、複数(たとえば4つ)の内管2が外管3内に収納され、両端部の支持部材4および5によって所定配列に位置決めされて固定されている。そして、このような多孔管1を用いて配管する場合も、多孔管1(定尺管)を所望の長さ(図22中の長破線位置等)で切断することによって調整管を製作することになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、切断された多孔管1では、内管2の一方端部のみが支持部材4によって固定された状態であり、図23に示すように、複数の内管2は切断位置である他方端部(端末)では配列が崩れてばらばらとなってしまう。そこで、端末においても内管2の管端を所定配列に固定する必要がある。
【0005】
内管2を固定するために、たとえば、図24に示すような多孔管1の支持部材4または5と同様な構造の固定部材6を適用することが考えられる。この固定部材6は外管3の内面に嵌合される略円板状の本体6aを含み、本体6aには複数の内管2を受容するための複数の孔6bが設けられる。しかし、このような固定部材6を適用する場合、切断された多孔管1の端末において外管3と複数の内管2の端面がほぼ同一面内にあるため、すべての内管2の位置決めを同時に行うとともに、固定部材6の本体6aの外面と外管3との接続(嵌合)および固定部材6の孔6bの内面6cとすべての内管2との接続を一度に行わねばならず、固定部材の取付が極めて困難になってしまう。このように、調整管端末において内管の管端を固定するのに非常に手間がかかってしまうおそれがあった。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、内管の管端を簡単に固定することができる、多孔管の調整管端末固定部材を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、外管内に複数の内管が収納された多孔管の調整管の端末において内管の管端を固定するための固定部材であって、外管の内面に嵌まり合う外面、および複数の内管の各々を受容する複数の内管受容部を備え、内管受容部の長さを異ならせた、多孔管の調整管端末固定部材である。
【0008】
また、第1の発明の固定部材は内管の各々に対応する複数の孔を備えて、内管受容部はその孔に取り付けられたさや管を含んでもよい。さらに、さや管の先端に突出部を設けてもよい。
【0010】
第2の発明は、外管内に複数の内管が収納された多孔管の調整管の端末において内管の管端を固定するための固定部材であって、外管の内面に嵌まり合う外面、複数の内管の各々を受容する複数の内管受容部、複数の内管受容部の先方に設けられる頂部、および頂部から複数の内管受容部の各々の先端に連続するかつ複数の内管の各々を複数の内管受容部の各々に導く複数のガイド面を備える、多孔管の調整管端末固定部材である。
【0011】
【作用】
第1の発明では、内管受容部の長さを異ならせたので、長い内管受容部から順に内管との接続を行い、その後、外管の内面との嵌合を行うようにすることができる。つまり、複数の接続作業を分けて行うことができ、接続作業のすべてを一度に行わなくてよい。したがって、固定部材の取付が簡単である。
【0013】
第2の発明では、頂部から複数の内管受容部の各々の先端に連続する複数のガイド面が形成される。配列の崩れた各内管の間の隙間に頂部を差し込んでいくと、各内管は各ガイド面によって各内管受容部に導かれる。つまり、固定部材を差し込んでいくことによって、すべての内管の内管受容部に対する位置決めおよび挿入が一度にかつ連続的になされる。したがって、固定部材の取付が簡単である。
【0014】
【発明の効果】
この発明によれば、調整管の端末において内管の管端を所定配列に簡単に固定することができる。
【0015】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0016】
【実施例】
図1および図2に示すこの実施例の多孔管の調整管端末固定部材(以下単に「固定部材」ともいう。)10は、たとえば図22に示す多孔管1から調整管を製作する際に、切断された多孔管1の端末において複数の内管2の管端を固定するためのものであり、本体12および複数(この実施例では4つ)の内管受容部14を含む。
【0017】
ここで、多孔管1は、図22に示すように、外管3,複数(この実施例では4つ)の内管2,2つの支持部材4および5を含む。たとえば、外管3は一端に拡径受口3a、他端に差口3bを有するリブ付管であり、内管2は一端に拡径受口7、他端に差口8を有するプレーン管である。内管2は、一方端部で支持部材4によって固定的に支持され、かつ、他方端部で支持部材5によって軸方向に摺動自在に支持されることによって、外管3内に収納され、所定配列(この実施例では2段2列)に位置決めされて固定されている。また、外管3の差口3bのリブ間にはゴム輪9が装着されている。
【0018】
なお、このような多孔管1は、本願出願人による特願2001−120608号に詳述されるので参照されたい。
【0019】
図1および図2に戻って、本体12は、略円板状に形成され、外管3の内面に嵌まり合う外面12aを有する。本体12の軸方向一方端部外面には、外管3の切断面に係止される鍔状の係止部16が全周にわたって形成される。本体12は、たとえば塩化ビニル等のような合成樹脂等からなり、射出成型等により成形される。なお、係止部16を周方向に間隔を隔てた複数の突起として形成し、接続時に本体12の位置決めのための目印としてもよい。
【0020】
本体12には、内管2の各々に対応する複数(この実施例では4つ)の孔18が形成される。すなわち、各孔18は、本体12を貫通し、内管2の配列に合わせて配置される。各孔18の内面には、図2から分かるように、他方の開口端から順に取付面20,ストッパ22およびR部26が形成される。取付面20の内径はさや管24の外径とほぼ同じに設定される。ストッパ22は、挿入される内管2の先端との間に所定長の隙間(伸び代)が確保されるように取付面20の奥部の所定位置に形成される。この隙間によって内管2の熱等による伸長が吸収される。ストッパ22の最小内径は内管2の内径とほぼ同じに設定されており、内管2が想定以上に伸長した場合でも、内管2の先端がストッパ22に係止されることにより、内管2が開口から突き出るのが防止される。また、ストッパ22にはさや管24の端面が当接される。R部26はストッパ22から一方の開口端へ向かってR形状で拡径して形成される。このR部26によって、内管2に挿通されるケーブル(図示せず)の引っ掛かりによる傷等が防止される。なお、R部26は形成されなくてもよい。
【0021】
内管受容部14は、複数の内管2の各々を受容するためのものであり、この実施例では略円筒状のさや管24を含む。さや管24は、たとえば塩化ビニル等の合成樹脂等からなる。複数(この実施例では4つ)のさや管24の長さは、各々互いに異ならされて適宜に設定される。なお、この実施例では、4つのさや管24の符号を、最長のものから最短ものへ順に24a,24b,24cおよび24dとする。また、さや管24の内径は内管2の外径とほぼ同じかやや大きく設定される。なお、さや管24の先端(内管2側)の形状は任意であるが、この実施例ではその軸に直交して形成される。
【0022】
各さや管24は、その長さに応じて規則的に配置され、それぞれ本体12の各孔18に取り付けられる。たとえば、各さや管24は、その長さに応じて一方の段の一方の列から順に配置され、孔18の取付面20に接着される。つまり、4つのさや管24のうち長い方のさや管24aおよび24bは、図1から分かるように、第1段(下段)に配置され、短い方のさや管24cおよび24dは第2段(上段)に配置される。また、各段においては、長い方のさや管24aまたは24cが第1列(図2で右列)に配置され、短い方のさや管24bまたは24dが第2列(図2で左列)に配置される。このように、各さや管24をその長さに応じて規則的に配置することにより、内管2のさや管24(内管受容部14)への接続作業を規則的に行うことができる。なお、各さや管24は不規則に配置されてもよいが、たとえばその周囲が囲まれる内管2を有する配列の場合等には、接続を困難にしないために、その囲まれる内管2に対応するさや管24(内管受容部14)の長さが周囲中で最短とならないようにする必要がある。
【0023】
調整管を製作する際には、多孔管(定尺管)1を所望の長さ(図22中の長破線位置のガイド溝等)で切断する。すると、切断された多孔管1では、図23に示すように、複数の内管2は切断位置である端末では配列が崩れてばらばらになる。そこで、固定部材10を切断された多孔管1すなわち調整管28の端末に取り付ける。なお、この実施例では、4つの内管2の符号を、図23(B)から分かるように、元の所定配列に従って、第1段(下段)第1列(右列),第1段第2列(左列),第2段(上段)第1列および第2段第2列の順に、2a,2b,2cおよび2dとする。
【0024】
この固定部材10を調整管28に取り付ける際には、図3(A)に示すように、まず、最長のさや管24aとこれに対応する内管2aとを接続(嵌合)する。つまり、さや管24aを内管2aに位置決めするとともに被せる。このとき、他のさや管24b,24cおよび24dはさや管24aよりも短いので、接続が行われる調整管28の端末にはさや管24aの先端部のみが存在する。したがって、他のさや管24b−24dと他の内管2b−2dおよび本体12と外管3が接触したりすることもなく、さや管24aと内管2aとの接続だけを行えるので、内管2aはさや管24a内に容易に挿入され得る。
【0025】
次に、2番目に長いさや管24bとこれに対応する内管2bとを接続する。つまり、内管2bを適宜に移動させてさや管24bに位置決めするとともに、さや管24bを内管2bに被せる。このときも、上述のさや管24aの接続と同様に、さや管24bと内管2bとの接続のみを行えばよいので、内管2bはさや管24b内に容易に挿入される。
【0026】
続いて、3番目に長いさや管24cとこれに対応する内管2cとを接続する。
つまり、図3(B)に示すように、内管2cを上方に持ち上げる等して適宜に移動させてさや管24cに位置決めし、さや管24cを内管2cに被せる。このときも、上述のさや管24bの接続と同様にして、内管2cはさや管24c内に容易に挿入される。
【0027】
そして、最短のさや管24dとこれに対応する内管2dとを接続する。このときも、上述のさや管24cの接続と同様にして、内管2dはさや管24d内に容易に挿入される。
【0028】
最後に、本体12と調整管28の外管3とを接続(嵌合)する。つまり、本体12の係止部16が外管3の端面に当接するまで、本体12を外管3の内面に挿入する。なお、本体12の外面12aに予め接着剤を塗布しておき、固定部材10と外管3とを固定する。このときも、本体12と外管3との接続のみを行えばよいので、接続作業が容易である。
【0029】
このようにして、図4に示すように、この固定部材10が簡単に取り付けられることによって、調整管28の端末において複数の内管2の管端が所定配列に位置決めされて固定され、調整管28が製作される。なお、この調整管28では、内管2の一方端部の拡径受口7が支持部材4に固定されているので、内管2は固定部材10の内管受容部14(さや管24)内面に固定(接着)されず、端末側では軸方向に摺動可能にされる。したがって、ストッパ22との間に伸び代が設けられていることとあいまって、内管2の熱等による伸縮が許容される。ただし、内管2の一方端部が支持部材4に固定されていない場合には、内管2の離脱を防止するために、端末側で固定部材10の内管受容部14に接着等により固定する必要がある。
【0030】
その後、調整管28は、図6に示すように、一方のハンドホール等の構造物(図示せず)から延びる定尺管1と接続されるとともに、他方の構造物30と接続される。具体的には、まず、図5に示すように、調整管28の端末側において外管3の差口28bの所定のリブ間に予めゴム輪32を装着しておき、構造物30の開口34にモルタル等で固定された継手36内に調整管28を差し込んでおく。次に、調整管28の外管3の差口28aを定尺管1の外管3の拡径受口3aに挿入し、かつ、調整管28の各内管2の拡径受口7に定尺管1の各内管2の差口8を挿入するとともに、調整管28の差口28bと構造物30の継手36とを接合する(図6)。そして、内管2内には図示しないケーブルが挿通される。
【0031】
この実施例によれば、さや管24すなわち内管受容部14の長さをすべて異ならせたので、長い内管受容部14から順に内管2との接続を1つずつ行い、最後に外管3と本体12とを接続すればよい。つまり、複数の接続作業を1つ1つに分けて行うことができ、接続作業のすべてを一度に行わなくてよい。したがって、固定部材の取付が簡単に行え、内管2の管端を調整管端末において簡単に固定することができる。
【0032】
また、各内管受容部14を、その長さに応じて規則的に配置するようにしているので、内管2との接続の際には、規則的に作業を行えばよく、したがって、さらに簡単に内管2を固定することができる。
【0033】
なお、上述の実施例では、さや管24の長さをすべて異ならせるようにしているが、たとえば図7に示す他の実施例の固定部材10のように、さや管24の2つずつを同じ長さに設定するようにしてもよい。この場合には、同じ長さの2つのさや管24aおよび24b(24cおよび24d)に対する接続を一度に行うことになるが、このような2つの内管2の同時接続はそれ程困難性を伴うものではなく可能である。したがって、この場合にも、複数の接続作業を分けて行うことができ、接続作業のすべてを一度に行わなくてもよいので、比較的簡単に内管2を固定することができる。
【0034】
また、たとえば図8,図9および図10にそれぞれ示す他の実施例の固定部材10のように、さや管24の先端には突出部38を形成するようにしてもよい。
【0035】
突出部38は、図8〜図10から分かるように、たとえばさや管24の先端がその軸に直線状に斜めに形成されることによって形成される。つまり、先端斜め形成によって、さや管24の先端面には、短い部分よりも先端へ延びる部分が形成される。このように、突出部38とは、短い部分よりも先端方向へ延びる部分をいう。また、突出部38の配置は任意であるが、これらの実施例では、底側(下側)に配置される。
【0036】
これら図8〜図10実施例のように、突出部38が設けられる場合には、接続時に、突出部38に内管2の先端部を当接することによって、簡単に内管2をさや管24に対して位置決めすることができる。さらに、突出部38が底側に配置されるときは、突出部38に内管2の先端部を載置しておくことができるので、さらに簡単に位置決めできる。つまり、内管2とさや管24とを接続する際には、図11(A)に示すように、まず、内管2の先端部を突出部38に当接または載置する。その後、図11(B)に示すように、内管2をさや管24内に挿入させる。このように、突出部38が設けられる場合には、接続作業を位置決めと挿入の2段階に分けて行うことができる。したがって、固定部材10の取付が簡単に行え、内管2の管端を調整管端末において簡単に固定することができる。
【0037】
具体的には、図8実施例では、各さや管24の長さが、図1実施例と同様に、すべて異なって設定されている。したがって、この実施例では、2段階に分かれた接続作業を長いさや管24から順に1つずつ行えばよい。
【0038】
また、図9実施例では、所定数(図9実施例では2つ)ずつのさや管24が同じ長さに設定され、図10実施例では、すべてのさや管24が同じ長さに設定されている。これらの実施例では、まず、内管2の先端部を同じ長さの各さや管24の突出部38に載置していく。そして、載置した内管2を各さや管24に一括して挿入させることができる。この図10実施例のように、さや管24の先端の底側に突出部38が形成される場合には、内管2の先端部を載置しておくことで位置決めできるので、さや管24すなわち内管受容部14の長さを異ならせなくても簡単に接続できる。
【0039】
また、上述の図8から図10実施例では、突出部38は、さや管24の先端を直線状に斜め形成することで形成されたが、曲線状に斜め形成することで形成するようにしてもよい。また、突出部38は、内管2の先端部を当接または載置できるのであれば、その形状は任意であり、突出部38を設ける方法はさや管24の先端を斜めに形成することに限定されるものではない。たとえば、突出部38は、図21に示すように、さや管24の先端部において、少なくとも上半分の管壁が適宜に切欠かれること等によって形成されてもよい。
【0040】
また、突出部38は、上述の各実施例のようにさや管24と一体に形成されてもよいし、さや管24とは別個に形成されたものをさや管24の先端に接合して形成されてもよい。
【0041】
また、たとえば図12および図13に示すように、固定部材10には、複数の内管2の各々を複数の内管受容部14の各々に導くガイド面42が設けられてもよい。
【0042】
すなわち、図12および図13に示す他の実施例の固定部材10は、上述の各実施例と同様に、本体12および複数(この実施例では4つ)のさや管24を含む。また、各さや管24の先端が斜めに形成されることによって突出部38が設けられ、各さや管24はすべて同じ長さに設定される。各さや管24は、突出部38が所定配列の中心部に集まるようにして、本体12の孔18に取り付けられる。そして、各さや管24の間において、各内管2を対応するさや管24に導くためのガイド部材40が設けられる。
【0043】
ガイド部材40は、たとえば略錐体状等に形成され、各内管2に対応する複数(この実施例では4つ)のガイド面42を含む。ガイド部材40は、たとえば塩化ビニル等の合成樹脂等からなり、射出成型等によって形成される。また、ガイド部材40には、各さや管24の外面に沿う取付面44が形成される。ガイド部材40は、その頂部46がさや管24の先方に配置され、取付面44でさや管24の外面にたとえば接着されることによってさや管24に取り付けられる。
【0044】
ガイド面42は、たとえば中央部が凹むように湾曲され、頂部46からさや管24の先端へ連続するように形成される。したがって、このガイド面42によって、接続時に内管2が頂部46からさや管24の先端(突出部38)へ案内される。
【0045】
この固定部材10を調整管28に取り付ける際には、端末において配列が崩れた各内管2の間に形成された隙間48(図23(B)参照。)にガイド部材40の頂部46を差し込む。ガイド面42は頂部46からさや管24の先端に連続するように形成されており、また、先端斜め形成により突出部38の先端面はテーパ状に形成されているので、固定部材10を差し込んでいくと、各内管2の先端は頂部46から各ガイド面42に沿って進み、各さや管24の先端の突出部38へ導かれる。つまり、固定部材10を差し込んでいくことによって内管2が位置決めされる。そして、さらに差し込むと、各内管2は各さや管24内に挿入される。このように、各内管2の間の隙間48に頂部46を差し込んでいくだけで、すべての内管2の位置決めおよび挿入が一度にかつ連続的になされる。したがって、この実施例によれば、簡単に内管2を端末において固定することができる。
【0046】
なお、上述の図12実施例では、先端斜め形成によりさや管24の先端に突出部38が設けられたが、突出部38は設けられなくてもよい。ただし、たとえばさや管24(内管受容部14)の先端面をテーパ状に面取りする等して、ガイド面42とさや管24の内面とが連続するようにする。
【0047】
また、上述の各実施例では、内管受容部14は孔18に取り付けられたさや管24を含んでいたが、たとえば図14および図15にそれぞれ示す他の実施例の固定部材10のように、内管受容部14はさや管24を含まずに構成されてもよい。
【0048】
図14実施例の固定部材10では、本体12は、一方端部に外管3の内面に嵌まり合う外面12aを有して、他方端(先端)が軸に対して斜めにされた略円柱状に形成される。そして、複数(この実施例では4つ)の内管受容部14は、内管2の各々に対応して配置され、本体12の軸方向一方端から他方端に貫通する孔として形成される。内管受容部14の内径は内管2の外径とほぼ同じかやや大きく設定される。なお、内管受容部14の一方端部には、図1実施例と同様にして、ストッパ22およびR部26(図示せず)が形成されている。
【0049】
この図14実施例では、本体12の先端が斜めに形成されるので、内管受容部14の先端も斜めに形成されて突出部38が底側に形成される。さらに、第1段(下段)の2つの内管受容部14と第2段(上段)の2つの内管受容部14とでは、長さが異ならされるものとなる。つまり、この図14実施例は、さや管24を用いた図9実施例を一体的に形成したもので、これと同様の機能を奏するものであって、内管受容部14の先端の底部すなわち突出部38に内管2の先端部を載置することによって簡単に位置決めすることができる。そして、載置された内管2が内管受容部14に挿入される。したがって、簡単に内管2を端末において固定することができる。
【0050】
なお、上述の図14実施例でも、図8実施例等と同様に、突出部38の形状は任意であり、突出部38を設ける方法はさや管24の先端を斜めに形成することに限定されるものではない。また、突出部38は、内管受容部14とは別個に形成されたものを内管受容部14の先端に接合して形成されてもよい。
【0051】
図15実施例の固定部材10では、本体12は、一方端部に外管3の内面に嵌まり合う外面12aを有して、他方端部(先端部)がたとえば略錐体状等に形成される。複数(この実施例では4つ)の内管受容部14は、図14実施例と同様に、本体12を貫通する孔として形成されている(図16も参照)。なお、内管受容部14の一方端部には、図1実施例と同様にして、ストッパ22およびR部26(図示せず)が形成されている。
【0052】
本体12の先端部には、内管2の各々に対応する複数(この実施例では4つ)のガイド面48が形成される。ガイド面48は、たとえば中央部が凹むように湾曲され、内管受容部14の先方に設けられた頂部50から内管受容部14の先端へ連続するように形成される。また、内管受容部14の先端は斜めに形成されるとともに、その突出部38が所定配列の中心部に集まるように形成される。したがって、接続時には、各内管2の先端部は頂部50から各ガイド面48に沿って進み、各内管受容部14の先端の突出部38へ導かれ、各内管受容部14内に挿入される。
【0053】
つまり、この図15実施例は、さや管24を用いた図12実施例を一体に形成したもので、これと同様の機能を奏するものであって、各内管2の間の隙間48(図23(B))に頂部50を差し込んでいくだけで、すべての内管2の位置決めおよび挿入が一度にかつ連続的になされる。したがって、簡単に内管2を端末において固定することができる。
【0054】
なお、上述の図15実施例でも、図12実施例の場合と同様に、突出部38は設けられなくてもよい。
【0055】
また、上述の各実施例では、接着することにより固定部材10を外管3の内面に固定するようにしているが、固定部材10の外管3に対する固定方法は接着に限定されず適宜変更され得る。
【0056】
たとえば図17および図18にそれぞれ示す他の実施例の固定部材10ように機械的な固定手段によって外管3に固定するようにしてもよい。
【0057】
図17に示す固定部材10では、本体12の外面に周方向に間隔を隔てて複数(たとえば4つ)の溝52が形成されており、各溝52に機械的な固定手段として接合部材54が設けられる。接合部材54は、ボルト56,ナット58およびゴム等からなる弾性部材60を含む。ボルト56は本体12を貫通し、ナット58はボルト56に螺合され、弾性部材60はたとえばナット58と溝52の壁部52aとの間でボルト56に貫通されて保持される。この接合部材54では、ボルト56を締めることによりナット58が弾性部材60側へ引き寄せられて弾性部材60が圧縮される。すると、弾性部材60はナット58および溝52の壁部52aに挟まれているため外方向に膨張する。このようにして、膨張した弾性部材60が外管3の内面を押圧するので、固定部材10は外管12に固定される。
【0058】
図18に示す固定部材10では、図17実施例における弾性部材60に代えて止着部材62が用いられ、ナット58の外面が止着部材62側に向かって厚小となるテーパ状に形成される。止着部材62の内面は、ナット58のテーパ外面に沿うテーパ状に形成され、止着部材62の外面には、たとえば複数の突条により粗面64が形成される。この接合部材54では、ボルト56を締めることによりナット58が止着部材62側へ引き寄せられ、止着部材62はナット58のテーパ外面に沿って外方向へ持ち上げられる。そして、止着部材62の粗面64(突条)が外管3の内面に食い込む。したがって、固定部材10が外管3に固定される。
【0059】
また、図19および図20にそれぞれ示す他の実施例の固定部材10のように、たとえば本体12をゴムまたは発泡ポリエチレン等のような反発性または復元性の良い弾性を有する弾性材料で構成し、復元力によって外管3の内面に固定するようにしてもよい。
【0060】
図19に示す固定部材10では、弾性材料からなる本体12の外径が外管3の内径よりもやや大きく設定され、嵌合によって圧縮された本体12の外面が外管3の内面を押圧することにより固定部材10が外管3に固定される。なお、このような弾性による復元力で固定する場合には、一定以上の外力を加えると本体12が外管3に対して摺動可能である。したがって、軸方向の位置決めを厳密に行わなくてもよいで、本体12の外面に係止部16は設けられなくてもよい。
【0061】
図20に示す固定部材10では、本体12の外径が外管3の内径とほぼ同じに設定されており、本体12の外面には、軸方向への延びる複数(この実施例では4つ)の凸部66が周方向へ間隔を隔てて形成される。凸部66の軸方向の両端面および両側面は、軸方向および軸回りの摺動を考慮してテーパ状に形成される。この凸部66の復元力によって、固定部材10は外管3に固定にされる。
【0062】
また、上述の各実施例では、外管3および内管2の断面形状が円形であり、内管2の配列が2段2列である多孔管1(図22)に対応するようにしているが、図22に示す多孔管1は一例であって、たとえば内管2の形態,数および配列,外管3の形態ならびに支持部材4および5の形態等の多孔管1の形態は適宜に変更される。したがって、この発明の固定部材10は、適用される多孔管1の形態に対応して適宜に変更されることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示す斜視図である。
【図2】図1実施例を示す図解図であり、(A)は正面図、(B)は(A)におけるIIB−IIB線断面図である。
【図3】図1実施例を調整管の端末に接続する方法を示す図解図である。
【図4】図1実施例を用いて調整管の端末において内管を固定した状態を示す図解図である。
【図5】調整管を構造物と定尺管に接続する方法を示す図解図である。
【図6】調整管の使用状態を示す図解図である。
【図7】この発明の他の実施例を示す斜視図である。
【図8】この発明の他の実施例を示す斜視図である。
【図9】この発明の他の実施例を示す斜視図である。
【図10】この発明の他の実施例を示す斜視図である。
【図11】内管をさや管に接続する方法を示す図解図である。
【図12】この発明の他の実施例を示す斜視図である。
【図13】図12実施例の正面図である。
【図14】この発明の他の実施例を示す斜視図である。
【図15】この発明の他の実施例を示す斜視図である。
【図16】図15実施例の正面図である。
【図17】この発明の他の実施例を示す図解図である。
【図18】この発明の他の実施例を示す図解図である。
【図19】この発明の他の実施例を示す斜視図である。
【図20】この発明の他の実施例を示す斜視図である。
【図21】突出部の変形例を示す図解図である。
【図22】多孔管の一例を示す図解図である。
【図23】切断された多孔管の端末の状態を示す図解図である。
【図24】多孔管の支持部材と同様な構造の固定部材を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 …多孔管
2 …内管
3 …外管
10 …多孔管の調整管端末固定部材
12 …本体
12a …外面
14 …内管受容部
18 …孔
24 …さや管
28 …調整管
38 …突出部
42,48 …ガイド面
46,50 …頂部
Claims (4)
- 外管内に複数の内管が収納された多孔管の調整管の端末において前記内管の管端を固定するための固定部材であって、
前記外管の内面に嵌まり合う外面、および
前記複数の内管の各々を受容する複数の内管受容部を備え、
前記内管受容部の長さを異ならせた、多孔管の調整管端末固定部材。 - 前記内管の各々に対応する複数の孔を備え、
前記内管受容部は前記孔に取り付けられたさや管を含む、請求項1記載の多孔管の調整管端末固定部材。 - 前記さや管の先端に突出部を設けた、請求項2記載の多孔管の調整管端末固定部材。
- 外管内に複数の内管が収納された多孔管の調整管の端末において前記内管の管端を固定するための固定部材であって、
前記外管の内面に嵌まり合う外面、
前記複数の内管の各々を受容する複数の内管受容部、
前記複数の内管受容部の先方に設けられる頂部、および
前記頂部から前記複数の内管受容部の各々の先端に連続するかつ前記複数の内管の各々を前記複数の内管受容部の各々に導く複数のガイド面を備える、多孔管の調整管端末固定部材。
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