スロットマシンや弾球遊技機等の遊技機における出玉に関する制御は、メイン制御基板と呼ばれる制御基板によって行われている。また、近年の遊技機では、メイン制御基板以外に、出玉に関する制御を実質的に行うサブ制御基板と呼ばれる制御基板が設けられている場合もある。
そして、このような遊技機において、メイン制御基板又はサブ制御基板の制御プログラムを改ざんしたり、メイン制御基板又はサブ制御基板の入出力信号等に対して外部から不正な信号を付与等することにより、本来の遊技と異なる適正でない遊技を実行させるという不正行為が問題となっている。
すなわち、メイン制御基板等の制御基板は、遊技機の開閉可能な本体カバーの背面に取り付けられているので、本体カバーを開けた際に、制御基板がそのまま外部に露出した状態であると、制御基板に対して不正な操作を実行することが可能となる。そのため、例えば、メイン制御基板に実装されている遊技プログラムを記憶したROM等の電子部品が正規品以外のものに交換された場合には、適正でない遊技が実行されることとなり、遊技店等で大きな被害が出ることが考えられる。
そこで、背面ケースと正面ケースとからなる基板ケースの内部にメイン制御基板を収容し、背面ケースに装着した正面ケースを容易に開放できないようにして不正開放を防止する技術が知られている。すなわち、遊技機の基板ケースに不正開放防止手段等を設けてメイン制御基板アセンブリとし、このメイン制御基板アセンブリを遊技機の本体カバーの背面に取り付けることにより、基板ケース内のメイン制御基板に対する不正な操作の実行を防止できるようにした技術である。
このような不正開放防止手段を備えるメイン制御基板アセンブリとしては、例えば、基板ケースを構成する背面ケースと正面ケースとを締結部材によって離脱不能に締結して不正開放防止手段とし、この基板ケースを用いてメイン制御基板アセンブリとするものがある。具体的には、背面ケース及び正面ケースに、互いに対向する一対の開口部を設け、この開口部内に締結部材を挿入すると、締結部材の両端側に形成された各締結凸部が背面ケース及び正面ケースのそれぞれの開口部内に形成された嵌合凹部と嵌まり合うようにすることにより、背面ケースと正面ケースとを離脱不能とする技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−209238号公報
図10は、このような上記の特許文献1に開示された従来の遊技機の基板ケースを用いたメイン制御基板アセンブリ130を示す分解斜視図である。
図10に示すように、メイン制御基板アセンブリ130は、メイン制御基板(図示せず)を収容する透明樹脂からなる背面ケース150と、背面ケース150に装着される透明樹脂からなる正面ケース160と、背面ケース150に装着した正面ケース160を離脱不能に締結する締結部材170とを備える基板ケースを用いたものである。
そして、この基板ケースと、遊技機の本体カバー(図示せず)の背面に取り付けられる一対のブラケット140とにより、メイン制御基板アセンブリ130が構成されることとなる。なお、図10に示すメイン制御基板アセンブリ130においては、ブラケット140と正面ケース160との間も、背面ケース150と正面ケース160との間と同様に、締結部材170によって締結される。
このように、図10に示すメイン制御基板アセンブリ130は、締結部材170によって背面ケース150と正面ケース160とが離脱不能に締結される基板ケースを用いたものである。そのため、背面ケース150は、正面ケース160の装着方向に開口する円筒状の4つの背面開口部154を有しており、各背面開口部154に締結部材170が嵌まり込むようになっている。
一方、正面ケース160も、その装着方向であって、背面ケース150の各背面開口部154と対向して開口する円筒状の4つの正面開口部165を有しており、各正面開口部165に締結部材170が嵌まり込むようになっている。そのため、締結部材170の両端側が背面開口部154及び正面開口部165に嵌まり込むと、背面ケース150と正面ケース160とが締結部材170を介して離脱不能に締結されることとなり、基板ケースとなる。
なお、背面ケース150及び正面ケース160は、どちらも透明樹脂からなっている。そのため、背面ケース150の内部にメイン制御基板(図示せず)を収容し、背面ケース150に正面ケース160を離脱不能に締結した状態であっても、正面ケース160を通して内部のメイン制御基板を見透かすことができる。
また、一対のブラケット140のうちの一方は、正面ケース160の装着方向に開口する円筒状の4つのブラケット開口部149を有しており、各ブラケット開口部149に締結部材170が嵌まり込むようになっている。そして、各ブラケット開口部149は、背面ケース150が干渉しない場所に配置されている。
一方、正面ケース160も、その装着方向であって、ブラケット140の各ブラケット開口部149と対向して開口する円筒状の4つの固定開口部166を有しており、各固定開口部166に締結部材170が嵌まり込むようになっている。そのため、締結部材170の両端側がブラケット開口部149及び固定開口部166に嵌まり込むと、背面ケース150と離脱不能に締結された状態の正面ケース160とブラケット140とが締結部材170を介して離脱不能に締結されることとなり、メイン制御基板アセンブリ130となる。
図11は、このような従来の遊技機の基板ケースにおける背面ケースの背面開口部154及び正面ケースの正面開口部165を示す断面図であり、図11(a)に示す背面開口部154の縦断面は、図10に示す背面開口部154のA断面(垂直方向の断面)を示し、図11(b)に示す正面開口部165の縦断面は、図10に示す正面開口部165のB断面(水平方向の断面)を示している。なお、背面開口部154の断面は、図10に示すブラケット開口部149の断面と同様であり、正面開口部165の断面は、図10に示す固定開口部166の断面と同様であるので、背面開口部154及び固定開口部166に関する符号をそれぞれ図11にカッコ書きで追加している。
背面開口部154(ブラケット開口部149)は、図11(a)に示すように、その内面に、締結部材170(図10参照)との背面嵌合凹部154a(ブラケット嵌合凹部149a)が形成されたものである。すなわち、締結部材170は、背面嵌合凹部154a(ブラケット嵌合凹部149a)に嵌まり込むようになっている。また、背面開口部154(ブラケット開口部149)には、締結部材170の背面位置決め突起154b(ブラケット位置決め突起149b)も形成されている。
また、正面開口部165(固定開口部166)は、図11(b)に示すように、その内面に、締結部材170(図10参照)との正面嵌合凹部165a(固定嵌合凹部166a)が形成されたものである。すなわち、締結部材170は、正面嵌合凹部165a(固定嵌合凹部166a)に嵌まり込むようになっている。また、正面開口部165(固定開口部166)には、締結部材170の正面位置決め突起165b(固定位置決め突起166b)も形成されている。
図12は、このような従来の遊技機の基板ケースにおける締結部材170を示す図であり、図12(a)は、その斜視図、図12(b)は、その正面図、図12(c)は、その側面の断面図(縦断面図)である。
図12に示すように、締結部材170は、図11に示す背面開口部154(ブラケット開口部149)及び正面開口部165(固定開口部166)に挿入可能なように、円筒形状となっている。
そして、締結部材170の両端側には、仕切り174を境として、それぞれ一対の背面締結凸部171及び正面締結凸部172が形成されている。また、締結部材170の両端部には、それぞれ一対の位置決め溝173が形成されている。なお、各背面締結凸部171と各正面締結凸部172とは、図12(b)に示すように、締結部材170の円周方向に90°ずれた位置に形成されている。
ここで、各背面締結凸部171は、図11(a)に示す一対の背面嵌合凹部154a(ブラケット嵌合凹部149a)と嵌まり合い、各正面締結凸部172は、図11(b)に示す一対の正面嵌合凹部165a(固定嵌合凹部166a)と嵌まり合うものである。そのため、各背面締結凸部171及び各正面締結凸部172は、どちらも弾性変形が可能であり、傾斜した凸部分が押されると、円筒形状の締結部材170の内面側に曲がって凸部分が平坦となるように引っ込むようになっている。
また、背面締結凸部171側の位置決め溝173を図11(a)に示す一対の背面位置決め突起154b(ブラケット位置決め突起149b)に合わせれば、各背面締結凸部171と図11(a)に示す一対の背面嵌合凹部154a(ブラケット嵌合凹部149a)との位置が合い、正面締結凸部172側の位置決め溝173を図11(b)に示す一対の正面位置決め突起165b(固定位置決め突起166b)に合わせれば、各正面締結凸部172と図11(b)に示す一対の正面嵌合凹部165a(固定嵌合凹部166a)との位置が合う。
図13は、このような従来の遊技機の基板ケースの締結状態を示す部分断面図であり、図13(a)は、その締結途中の状態を示し、図13(b)は、その締結完了後の状態を示している。なお、図10に示す背面ケース150と正面ケース160との締結状態と、図10に示すブラケット140と正面ケース160との締結状態とは、まったく同一であるので、図13においては、背面ケース150の背面開口部154と正面ケース160の正面開口部165との締結状態を主体として表示し、ブラケット140のブラケット開口部149及び正面ケース160の固定開口部166に関する符号をそれぞれ図13にカッコ書きで追加している。
図13(a)に示すように、締結部材170の位置決め溝173を背面開口部154内の背面位置決め突起154bに合わせ、背面開口部154に締結部材170の背面締結凸部171側を挿入すると、締結部材170の各背面締結凸部171と背面開口部154内の各背面嵌合凹部154aとが嵌まり合う。
すなわち、締結部材170の背面締結凸部171側を背面開口部154に挿入することにより、各背面締結凸部171が一度内側に引っ込むように作用する。そして、各背面締結凸部171が各背面嵌合凹部154aの位置まで到達した時点で、引っ込んでいた各背面締結凸部171が再び元の状態に戻り、各背面嵌合凹部154aに嵌まり込む。そのため、締結部材170を背面開口部154に一度挿入すると、二度と締結部材170が抜けなくなる。
次に、背面開口部154と対向する正面開口部165を締結部材170に挿入する。すなわち、図13(a)に示すように、背面開口部154に嵌め込まれた状態の締結部材170に対して、図13(b)に示すように、正面開口部165を挿入する。なお、各正面締結凸部172の状態が明らかになるように、図13(b)においては、図13(a)を締結部材170の円周方向に90°回転させた断面で図示している。
そして、締結部材170の露出した正面締結凸部172側に正面開口部165を挿入すると、図13(b)に示すように、正面開口部165内の正面位置決め突起165bが締結部材170の位置決め溝173に嵌まり込むとともに、正面開口部165内の各正面嵌合凹部165aと締結部材170の各正面締結凸部172とが嵌まり合う。
すなわち、正面開口部165を締結部材170の正面締結凸部172側に挿入することにより、各正面締結凸部172が一度内側に引っ込むように作用する。そして、各正面締結凸部172が各正面嵌合凹部165aの位置まで到達した時点で、引っ込んでいた各正面締結凸部172が再び元の状態に戻り、各正面嵌合凹部165aに嵌まり込む。そのため、正面開口部165を締結部材170に一度挿入すると、二度と正面開口部165が抜けなくなる。
このように、背面開口部154と背面締結凸部171及び正面開口部165と正面締結凸部172とがそれぞれ嵌まり合うことにより、背面開口部154と正面開口部165とが締結部材170を介して離脱不能に締結される。そのため、図10に示す背面ケース150と正面ケース160とが締結状態となる。
また、背面ケース150と正面ケース160との締結とまったく同様にして、ブラケット140と正面ケース160とが締結状態となり、メイン制御基板アセンブリ130が組み立てられる。すなわち、図13のカッコ書きの符号で示すように、図13(a)において、締結部材170の位置決め溝173がブラケット開口部149のブラケット位置決め突起149bに嵌まり込むようにして、ブラケット開口部149に締結部材170を挿入する。すると、各背面締結凸部171とブラケット嵌合凹部149aとが嵌まり合い、二度と締結部材170が抜けなくなる。
次に、ブラケット開口部149と対向する固定開口部166を締結部材170に挿入すると、図13(b)に示すように、固定位置決め突起166bが位置決め溝173に嵌まり込むとともに、各固定嵌合凹部166aと各正面締結凸部172とが嵌まり合う。そのため、固定開口部166を締結部材170に一度挿入すると、二度と固定開口部166が抜けなくなる。
このように、ブラケット開口部149と背面締結凸部171及び固定開口部166と正面締結凸部172とがそれぞれ嵌まり合うことにより、ブラケット開口部149と固定開口部166とが締結部材170を介して離脱不能に締結される。そのため、図10に示すブラケット140と正面ケース160とが締結状態となる。したがって、背面ケース150に装着した正面ケース160をブラケット140に締結することにより、メイン制御基板アセンブリ130が組み立てられることとなる。
ところで、背面ケース150と正面ケース160とが締結されてしまうと、締結部材170は、図13(b)に示すように、背面開口部154及び正面開口部165の内部に隠れることとなる。そのため、背面嵌合凹部154aと嵌まり合った背面締結凸部171や、正面嵌合凹部165aと嵌まり合った正面締結凸部172を、背面開口部154及び正面開口部165の外部から解除することは、基本的に不可能となる。
その結果、メイン制御基板(図示せず)は、背面ケース150と正面ケース160との間に密閉されることとなり、上記の特許文献1に開示された従来の遊技機の基板ケースによれば、メイン制御基板に実装されているROMを正規品以外のものに交換する等の不正行為が防止されるようになる。
しかし、上記の特許文献1に開示された従来の遊技機の基板ケースでは、仮に、正面ケース160が背面ケース150から不正に分離された場合に、その事実を発見することが困難であるという問題がある。そのため、不正行為の防止効果が不十分となり、さらなる改善が求められている。
すなわち、背面ケース150の背面開口部154にドリル等で穴を開け、棒等で締結部材170の背面締結凸部171を押し込めるようにすれば、背面開口部154から締結部材170を取り外すことができるようになる。すると、背面ケース150から正面ケース160を分離することが可能となるのである。
図14は、このような従来の遊技機の基板ケースに対する不正行為の方法を説明する部分断面図であり、図14(a)は、その第1段階を示し、図14(b)は、その第2段階を示している。
上記した通り、図10に示す背面ケース150及び正面ケース160は、ともに透明樹脂からなっているので、図14に示す背面開口部154及び正面開口部165も透明であり、背面開口部154及び正面開口部165の内部に隠れた締結部材170であっても、その外部から見透かすことができる。
すなわち、背面嵌合凹部154aと嵌まり合った背面締結凸部171の位置を、背面開口部154の外部から把握することができるのである。そのため、図14(a)に示すように、背面締結凸部171に向けて、背面開口部154にドリル201で穴開けすることができてしまう。すると、背面嵌合凹部154aに背面締結凸部171が嵌まり合った位置に、穴202を形成することができる。
そして、図14(b)に示すように、背面開口部154の穴202に棒203を差し込めば、背面開口部154の外部から背面締結凸部171の傾斜した凸部分を押し込むことができる。すると、背面締結凸部171が締結部材170の内面側に曲がって凸部分が平坦となるように引っ込むので、背面嵌合凹部154aと背面締結凸部171との一方の嵌合状態を解除することが可能となる。
このように、背面開口部154に穴202を形成することにより、背面嵌合凹部154aから背面締結凸部171を外すことができ、その結果、背面開口部154から締結部材170ごと正面開口部165を分離することができるようになる。しかも、背面開口部154に穴202を設けただけなので、再度、背面開口部154に締結部材170を嵌め込むこともできてしまう。
図15は、このような従来の遊技機の基板ケースに不正行為が行われた状態を説明する部分断面図であり、図15(a)は、不正な分離状態を示し、図15(b)は、不正な締結状態を示している。
図15(a)に示すように、背面開口部154に穴202が形成されていると、棒203(図14参照)を用いることにより、背面開口部154に対して締結部材170を自由に抜き差しできるようになる。
そのため、背面開口部154から締結部材170ごと正面開口部165を分離した後、例えば、メイン制御基板(図示せず)に実装されているROMを正規品以外のものに交換し、遊技プログラムを変更して、背面開口部154に再び締結部材170を締結することができるようになる。すなわち、不正行為を行った後に、正面開口部165と嵌まり合っている締結部材170を背面開口部154に挿入すれば、各背面嵌合凹部154aと各背面締結凸部171とが嵌まり合い、図15(b)に示すように、元と同じような状態に復帰する。
そして、背面開口部154に締結部材170が再び締結されると、メイン制御基板(図示せず)に対して不正行為が行われたことを発見することが困難となる。すなわち、背面開口部154及び正面開口部165がともに同じ大きさの円筒形状で、互いに合致した位置にあるために、背面開口部154に設けられた穴202が見えにくく、図15(b)に示すように、正面側から背面開口部154の方向を見ても、正面開口部165が邪魔になってしまい、通常の視線で、背面開口部154の穴202を発見することが困難なのである。
このように、従来の遊技機の基板ケースは、一見しただけでは、基板ケースが不正に開放され、メイン制御基板等の制御基板に対して不正行為が行われたか否かを判別することができないので、結果的に、不正行為の横行を許すこととなる。そして、このような事態を放置することは、制御基板を収容し、不正行為を未然に防止するという基板ケースの本質的な機能を損なう結果となる。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、基板ケースが不正な方法で開放された場合には、その事実を容易に発見できるようにすることで不正行為の抑止力とし、制御基板に対する不正行為を効果的に防止できるようにした遊技機の基板ケースを提供することである。
本発明は、以下の解決手段によって上述の課題を解決する。
(請求項1)
請求項1の発明は、背面側に位置して遊技機の制御基板を収容する透明樹脂からなる背面ケースと、前記背面ケースの正面側に装着される透明樹脂からなる正面ケースと、前記背面ケースに装着した前記正面ケースを離脱不能に締結する締結部材とを備える遊技機の基板ケースであって、前記背面ケースは、前記正面ケースと装着される正面側が開口する背面開口部と、前記背面開口部の内面に形成された前記締結部材との背面嵌合凹部とを有し、前記正面ケースは、前記背面ケースと装着される背面側が開口し、前記背面ケースの前記背面開口部から前記正面ケースの装着方向と直交する方向にずれて位置する正面開口部と、前記正面開口部の内面に形成された前記締結部材との正面嵌合凹部とを有し、前記締結部材は、前記背面ケースの前記背面開口部内で前記背面嵌合凹部と嵌まり合う弾性変形が可能な背面締結凸部と、前記正面ケースの前記正面開口部内で前記正面嵌合凹部と嵌まり合う弾性変形が可能な正面締結凸部とを有しており、前記背面ケースの前記背面嵌合凹部と前記締結部材の前記背面締結凸部とが嵌まり合い、前記正面ケースの前記正面嵌合凹部と前記締結部材の前記正面締結凸部とが嵌まり合うことにより、前記背面ケースと前記正面ケースとが離脱不能に締結されて締結状態となるとともに、前記背面ケースと前記正面ケースとの締結状態では、前記正面開口部のずれ方向の外面が前記背面開口部の内面よりも内側にずれて位置し、正面側から前記背面開口部を見たとき、前記正面開口部に邪魔されることなく、前記背面開口部の内外面間の状態を透視可能であり、前記背面ケースの前記背面開口部又は前記正面ケースの前記正面開口部の少なくとも一方は、前記締結部材による締結状態を保持しつつ破断可能に構成され、前記背面開口部又は前記正面開口部を破断することにより、前記背面ケースと前記正面ケースとが分離可能であることを特徴とする。
請求項1の発明においては、背面ケースの背面開口部と正面ケースの正面開口部とが正面ケースの装着方向と直交する方向にずれて位置していることから、背面ケースに正面ケースを装着しても、背面開口部と正面開口部との位置が合致せず、ずれることとなる。そして、背面ケースと正面ケースとの締結状態では、正面開口部のずれ方向の外面が背面開口部の内面よりも内側にずれて位置し、正面側から背面開口部を見たとき、正面開口部に邪魔されることなく、背面開口部の内外面間の状態を透視可能である。そのため、仮に、背面開口部に不正に穴が開けられていた場合には、一見しただけでその事実を発見することができる。
(請求項2)
請求項2の発明は、請求項1に記載の遊技機の基板ケースにおいて、前記背面ケースの前記背面開口部は、円筒形状であり、前記正面ケースの前記正面開口部は、円筒形状であり、前記締結部材は、前記背面ケースの前記背面開口部及び前記正面ケースの前記正面開口部と合致する形状であることを特徴とする。
請求項2の発明においては、背面ケースの背面開口部及び正面ケースの正面開口部がともに円筒形状となっている。そのため、締結部材の形状も単純な円筒形状とすることができ、背面開口部及び正面開口部に対する締結部材の挿入が容易なものとなる。そして、特に、背面開口部及び正面開口部がともに同じ大きさの円筒形状であるならば、締結部材において、背面開口部側と正面開口部側との区別が不要となり、締結部材の挿入が一層容易なものとなる。
(請求項3)
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の遊技機の基板ケースにおいて、前記締結部材は、前記背面ケースの開口側から前記正面ケースの装着方向に差し込むと前記背面開口部内で前記背面嵌合凹部と嵌まり合うことを特徴とする。
請求項3の発明においては、締結部材を背面ケースの開口側から正面ケースの装着方向に差し込むだけで締結部材が背面嵌合凹部と嵌まり合う。すなわち、締結部材を背面開口部に挿入すれば、締結部材の背面締結凸部が弾性変形し、背面開口部内に形成された背面嵌合凹部に自動的に嵌まり合う。そのため、背面開口部に対する締結部材の嵌め込みが容易なものとなる。
(請求項4)
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の遊技機の基板ケースにおいて、前記背面ケースと前記正面ケースとは、一辺側が回転可能に連結され、対向する他辺側が前記締結部材で締結されることを特徴とする。
請求項4の発明においては、背面ケースと正面ケースとが回転可能に連結されている。そのため、連結されている一辺側を支点として正面ケースを回転させるだけで簡単に、正面ケースを背面ケースの正面側に装着することができる。また、締結部材は、他辺側だけに使用すれば良いので、締結部材の数を少なくすることができる。
(請求項5)
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の遊技機の基板ケースにおいて、前記遊技機は、図柄を表示したリールを有するスロットマシンであり、前記制御基板は、前記リールの回転を制御することを特徴とする。
(請求項6)
請求項6の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の遊技機の基板ケースにおいて、前記遊技機は、図柄変動表示装置を有する弾球遊技機であり、前記制御基板は、前記図柄変動表示装置に表示された図柄の変動を制御することを特徴とする。
請求項5の発明においては、基板ケースがスロットマシンに適用される。そのため、スロットマシンに対する不正行為を効果的に防止することができる。
また、請求項6の発明においては、基板ケースが弾球遊技機に適用される。そのため、弾球遊技機に対する不正行為を効果的に防止することができる。
(請求項1)
請求項1の発明によれば、通常の視線で、正面側から背面ケースの背面開口部を見た場合であっても、正面ケースの正面開口部が邪魔になることはない。そのため、背面ケースの背面開口部に不正に穴が開けられていた場合には、その事実を容易に発見することができる。したがって、背面ケースと正面ケースとからなる基板ケースに収容された制御基板に対する不正行為を効果的に防止することができる。
(請求項2)
請求項2の発明によれば、締結部材の形状を単純な円筒形状とすることができるので、背面ケースの背面開口部及び正面ケースの正面開口部に対する締結部材の挿入が容易なものとなる。そのため、背面ケースに対して正面ケースを容易に装着することができ、背面ケースと正面ケースとからなる基板ケースの組立性が向上する。
(請求項3)
請求項3の発明によれば、締結部材を背面ケースの背面開口部を挿入すれば、締結部材が背面開口部内の背面嵌合凹部に自動的に嵌まり合うので、背面開口部に対する締結部材の嵌め込みが容易なものとなる。そのため、締結部材による背面ケースと正面ケースとの締結が容易になり、背面ケースと正面ケースとからなる基板ケースの組立性が大幅に向上する。
(請求項4)
請求項4の発明によれば、正面ケースを回転させるだけで簡単に、正面ケースを背面ケースの正面側に装着することができるので、背面ケースと正面ケースとからなる基板ケースの組立性が向上する。また、締結部材の数を少なくすることができるので、生産性及び経済性に優れた遊技機の基板ケースとすることができる。
(請求項5)
請求項5の発明によれば、スロットマシンのリールの回転を制御する制御基板に対する不正行為を効果的に防止することができるので、スロットマシンにおいて、適正でない遊技が実行される事態を回避できる。その結果、スロットマシンを設置した遊技店等における被害の発生を未然に防ぐことができる。
(請求項6)
請求項6の発明によれば、弾球遊技機の図柄変動表示装置に表示された図柄の変動を制御する制御基板に対する不正行為を効果的に防止することができるので、弾球遊技機において、適正でない遊技が実行される事態を回避できる。その結果、弾球遊技機を設置した遊技店等における被害の発生を未然に防ぐことができる。
以下、図面を参照して、本発明の遊技機の基板ケースの一実施形態について説明する。
なお、以下の実施形態では、本発明の遊技機の基板ケースを適用する遊技機として、図柄を表示した3つのリールを有するスロットマシンを一例にして説明する。そして、本実施形態の遊技機の基板ケースに収容される制御基板は、スロットマシンの各リールの回転を制御するメイン制御基板であるとする。
(スロットマシン)
図1は、本実施形態の遊技機の基板ケースを適用したスロットマシン10を示す正面図であり、図1(a)は、本体カバー11を閉じた表面側(遊技者側)を示し、図1(b)は、開けた本体カバー11の背面側を示している。
図1に示すように、スロットマシン10には、その表面側(遊技者側)を開閉自在に覆う本体カバー11が取り付けられている。
そして、図1(a)に示すように、本体カバー11の前面には、図1(b)に示す3つのリール20に表示された図柄を目視するための透明な表示窓12と、遊技を行うためのメダルを投入するメダル投入口13と、各リール20のスタートレバー14と、個々のリール20の停止ボタン15とがそれぞれ設けられている。また、メダル払出口16や、払い出されたメダルを受けるメダル受け皿17等も設けられている。
一方、図1(b)に示すように、開けた本体カバー11の背面側には、スロットマシン10の電源基板18、メイン制御基板19を含むメイン制御基板アセンブリ30、メイン制御基板19によって制御される3つのリール20、入賞の際のメダル払出装置21、メダル補助収納庫22等が配置されている。
ここで、3つのリール20は、それぞれリング状のものであり、各リール20の外周面には、複数の入賞図柄(入賞役を構成する図柄)を印刷したリールテープが貼り付けられている。また、各リール20の中心部には、それぞれステッピングモーター(図示せず)が連結されている。そして、メイン制御基板19の指令に基づく各ステッピングモーターの駆動により、各リール20がそれぞれ回転する。なお、リールテープの貼付けにより、各リール20には、21個の複数種類の図柄が等間隔で配列されることとなるが、その図柄配列は、各リール20ごとに異なっている。
図1に示すスロットマシン10において、遊技者は、投入口13にメダルを投入し、スタートレバー14を操作する。すると、3つのリール20がメイン制御基板19の指令に基づいて同時に回転し、各リール20に配列された図柄が表示窓12内で上下方向に移動する。次に、遊技者が各停止ボタン15を個別に押すと、その停止ボタン15に対応するリール20の回転が停止する。そして、遊技者が回転する各リール20をすべて停止させると、遊技者は、表示窓12を通して、停止した各リール20の外周面にある一部の図柄を見ることができるようになり、図柄の組合せが確認可能となる。
ここで、停止した各リール20の図柄の組合せが予め定められた何らかの役の図柄の組合せと一致した場合には、入賞となる。そして、入賞した場合、成立役に応じたメダルの払出しが行われる。すなわち、入賞によってメダル払出口16からメダルが払い出されることとなり、このような入賞が繰り返されるごとに、メダル受け皿17内にメダルが堆積する。
このように、図1に示すスロットマシン10における各リール20の回転は、メイン制御基板19によって制御され、入賞が左右されることとなる。そのため、メイン制御基板19は、厳重に管理される必要があり、メイン制御基板19に実装された遊技プログラムを記憶したROM等の電子部品が正規品以外のものに交換される事態を防止できるようにしておかなければならない。そこで、図1(b)に示すように、メイン制御基板19は、本実施形態の遊技機の基板ケースに収容され、この基板ケースを用いたメイン制御基板アセンブリ30により、本体カバー11の背面側に配置される。
(メイン制御基板アセンブリ)
図2は、本実施形態の遊技機の基板ケースを用いたメイン制御基板アセンブリ30を示す斜視図である。
図2に示すように、メイン制御基板アセンブリ30は、本体カバー11(図1参照)の背面側に取り付けられる一対のブラケット40と、ブラケット40側(背面側)に位置してメイン制御基板19(図1参照)を収容する背面ケース50と、背面ケース50の正面側に装着される正面ケース60とを備えている。
ここで、背面ケース50及び正面ケース60は、ともに透明樹脂からなっており、内部に収容したメイン制御基板19(図1参照)を見透かすことができる。また、正面ケース60は、封印シール31によって封印されている。さらに、正面ケース60の表面には、メイン制御基板アセンブリ30の検査年月日等を記入するための使用記録用紙32が貼り付けられている。
図3は、本実施形態の遊技機の基板ケースを用いたメイン制御基板アセンブリ30を示す分解斜視図である。
図3に示すように、ブラケット40は、第1ブラケット部材41と、第2ブラケット部材44とから構成されている。ここで、第1ブラケット部材41は、L字状の平板部42と、この平板部42の左端部及び下端部で垂直方向に形成されたL字状のリブ部43とを有している。そして、平板部42には、本体カバー11(図1参照)との固定ネジ(図示せず)を挿入するためのネジ挿入孔42aが形成され、リブ部43の内面側には、上下一対の嵌合凹部43aが形成されている。
一方、第2ブラケット部材44は、逆L字状の平板部45と、この平板部45の下端部で垂直方向に形成されたリブ部46と、平板部45の上端部及び下端部から対向するように突出する一対の保持アーム47と、平板部45の右端部に形成された支持台部48と、この支持台部48から突出する支持突起部48aとを有している。そして、支持台部48の内側に、締結部材170を嵌め込むための4つのブラケット開口部49が設けられている。
なお、第1ブラケット部材41のネジ挿入孔42aと同様のネジ挿入孔は、第2ブラケット部材44にも形成されている。また、第1ブラケット部材41の平板部42と、第2ブラケット部材44の平板部45とを一体化することにより、第1ブラケット部材41及び第2ブラケット部材44を一体的に形成することもできる。
また、背面ケース50は、正面側が開口する矩形箱状に形成されたケース筐体51と、締結部材70を嵌め込むための4つの背面開口部54とから構成されている。ここで、ケース筐体51は、開口側にメイン制御基板19(図1参照)を収容できるようになっている。そして、ケース筐体51の上側壁には、等間隔で3ヶ所にヒンジ軸52が形成され、下側壁には、正面側に向けて突出する一対の閉鎖アーム53が形成されている。
さらに、正面ケース60は、背面ケース50のケース筐体51と合致するように背面側が開口する矩形箱状のカバー筐体61と、このカバー筐体61の右側壁から一体的に伸びる矩形枠部64と、締結部材70を嵌め込むための4つの正面開口部65と、締結部材170を嵌め込むための4つの固定開口部66とから構成されている。ここで、カバー筐体61は、メイン制御基板19(図1参照)を収容したケース筐体51の正面側を密閉するものであり、カバー筐体61の上側壁には、ケース筐体51に形成されたヒンジ軸52に対応するように、等間隔で3ヶ所にヒンジアーム62が形成され、下側壁には、閉鎖アーム53に対応するように、一対の閉鎖突起63が形成されている。また、カバー筐体61の左側壁には、第1ブラケット部材41のリブ部43に形成された嵌合凹部43aと対応する上下一対の嵌合突起67が形成されている。
図4は、本実施形態の遊技機の基板ケースを用いたメイン制御基板アセンブリ30を示す部分斜視図である。
図4に示すように、カバー筐体61のヒンジアーム62をケース筐体51のヒンジ軸52に引っかけると、カバー筐体61の上側壁がケース筐体51の上側壁に回転可能に連結される。
そして、カバー筐体61をケース筐体51の正面側に重ねると、ケース筐体51の閉鎖アーム53が弾性変形してカバー筐体61の閉鎖突起63に嵌まり込み、カバー筐体61の下側壁とケース筐体51の下側壁とが連結されて開かなくなる。そのため、メイン制御基板19(図1参照)は、ケース筐体51とカバー筐体61との間に形成された空間内に閉じ込められることとなる。
また、図3に示すカバー筐体61の各嵌合突起67を第1ブラケット部材41のリブ部43に形成された嵌合凹部43aに嵌め込み、図4に示すように、矩形枠部64を第2ブラケット部材44の支持台部48に重ねると、矩形枠部64内に支持突起部48aが挿入されるとともに、上下一対の保持アーム47が弾性変形して矩形枠部64を保持する。そのため、カバー筐体61は、第1ブラケット部材41(図3参照)と第2ブラケット部材44とによって保持されることとなる。
ところが、矩形枠部64を第2ブラケット部材44に重ねた状態では、一対の保持アーム47が弾性変形して矩形枠部64を保持しているだけである。そのため、それぞれの保持アーム47を上下に弾性変形させれば、各保持アーム47が矩形枠部64から外れるので、ブラケット40(図3参照)からカバー筐体61及びケース筐体51を簡単に取り外すことができる。
また、ケース筐体51にカバー筐体61を装着した状態では、一対の閉鎖アーム53が弾性変形して閉鎖突起63に嵌まり込んでいるだけである。そのため、ブラケット40(図3参照)から取り外したケース筐体51の各閉鎖アーム53を下に弾性変形させれば、各閉鎖アーム53が閉鎖突起63から外れるので、ケース筐体51に装着されたカバー筐体61を簡単に開けることができる。その結果、メイン制御基板19(図1参照)に実装されたROMを交換等することが可能となってしまう。
そこで、カバー筐体61を簡単に開けられないようにしてメイン制御基板19(図1参照)に対する不正行為を防止するために、図3に示す締結部材70及び締結部材170が使用されている。すなわち、図3に示すように、背面ケース50の背面開口部54(右端)に嵌め込まれた締結部材70に、正面ケース60の正面開口部65(右端)を嵌め込むことにより、背面ケース50と正面ケース60とが離脱不能に締結される。また、ブラケット40のブラケット開口部49(下端)に嵌め込まれた締結部材170に、正面ケース60の固定開口部66(下端)を嵌め込むことにより、ブラケット40と正面ケース60とが離脱不能に締結される。
なお、背面ケース50と正面ケース60とを離脱不能に締結するために、すべての背面開口部54及び正面開口部65に締結部材70を嵌め込む必要はない。同様に、ブラケット40と正面ケース60とを離脱不能に締結するために、すべてのブラケット開口部49及び固定開口部66に締結部材170を嵌め込む必要はない。すなわち、ブラケット開口部49、背面開口部54、正面開口部65及び固定開口部66がそれぞれ4つずつあるのは、メイン制御基板アセンブリ30の検査等を考慮して、背面ケース50と正面ケース60及びブラケット40と正面ケース60との締結又は分離を4回繰り返して行えるようにしたものである。
以上、説明したように、図2から図4に示すメイン制御基板アセンブリ30は、ブラケット40、背面ケース50、正面ケース60、締結部材70及び締結部材170を備えるものである。そして、このようなメイン制御基板アセンブリ30において、本実施形態の遊技機の基板ケースは、背面ケース50と、正面ケース60と、締結部材70とによって構成される。すなわち、メイン制御基板アセンブリ30は、本実施形態の遊技機の基板ケースにメイン制御基板19(図1参照)を収容し、締結部材170を用いて、ブラケット40に離脱不能に締結したものである。
したがって、締結部材170によるブラケット40と正面ケース60との締結は、本実施形態の遊技機の基板ケースとは無関係であり、限定されるものではない。すなわち、図2から図4に示すメイン制御基板アセンブリ30においては、図12に示す締結部材170により、図10に示す従来の遊技機の基板ケースを用いたメイン制御基板アセンブリ130におけるブラケット140と正面ケース160との締結と同様にして、ブラケット40と正面ケース60とを締結している。
ここで、図10に示すように、ブラケット140と正面ケース160との締結は、ブラケット開口部149と固定開口部166との間に締結部材170を介在させるものであるが、図3に示すブラケット40のブラケット開口部49は、図10に示すブラケット140のブラケット開口部149と同一であり、図3に示す正面ケース60の固定開口部66は、図10に示す正面ケース160の固定開口部166と同一となっている。すなわち、図3に示すブラケット開口部49のA断面(垂直方向の断面)は、図11(a)のカッコ書きの符号で示すブラケット開口部149の縦断面と同一であり、図3に示す固定開口部66のB断面(水平方向の断面)は、図11(b)のカッコ書きの符号で示す固定開口部166の縦断面と同一である。
そのため、図3に示すメイン制御基板アセンブリ30において、締結部材170によるブラケット40と正面ケース60との締結の詳細は、すでに、図13を用いて上述した通りである。すなわち、図13のカッコ書きの符号で示すように、図13(a)において、締結部材170の位置決め溝173がブラケット開口部149(図3に示すブラケット開口部49と同一)のブラケット位置決め突起149bに嵌まり込むようにして、ブラケット開口部149(ブラケット開口部49)に締結部材170を挿入すれば、各背面締結凸部171とブラケット嵌合凹部149aとが嵌まり合って、締結部材170が抜けなくなる。
また、ブラケット開口部149(ブラケット開口部49)と対向する固定開口部166(図3に示す固定開口部66と同一)を締結部材170に挿入すると、図13(b)に示すように、固定位置決め突起166bが位置決め溝173に嵌まり込むとともに、各固定嵌合凹部166aと各正面締結凸部172とが嵌まり合って、固定開口部166(固定開口部66)が抜けなくなる。
このように、ブラケット開口部49と締結部材170の背面締結凸部171、固定開口部66と締結部材170の正面締結凸部172とがそれぞれ嵌まり合うことにより、ブラケット開口部49と固定開口部66とが締結部材170を介して離脱不能に締結される。そのため、図3に示すブラケット40と正面ケース60とは、締結部材170によって締結されることとなる。
一方、図3に示す背面ケース50と正面ケース60との締結に際しては、図12に示す締結部材170と異なる締結部材70を用いている。そして、背面ケース50の背面開口部54に嵌め込まれた締結部材70に、正面ケース60の正面開口部65を嵌め込むことにより、背面ケース50と正面ケース60とを離脱不能に締結している。そこで、以下、背面ケース50の背面開口部54、正面ケース60の正面開口部65、締結部材70についてそれぞれ説明する。
(背面ケース)
図5は、本実施形態の遊技機の基板ケースにおける背面ケース50の一部を拡大して示す図であり、図5(a)は、その正面図、図5(b)は、その断面図である。なお、図5(b)に示す背面開口部54の縦断面は、図3に示す背面開口部54のA断面(垂直方向の断面)を示している。
図5に示すように、背面ケース50のケース筐体51には、固定アーム55を介して背面開口部54が吊り下げられている。そして、この背面開口部54は、正面ケース60(図3参照)と装着される正面側が開口する円筒形状のものであり、背面開口部54の内面には、締結部材70(図3参照)との背面嵌合凹部54aと、締結部材70の背面位置決め突起54bとが形成されている。
(正面ケース)
図6は、本実施形態の遊技機の基板ケースにおける正面ケース60の一部を拡大して示す図であり、図6(a)は、その背面側の正面図、図6(b)は、その断面図である。なお、図6(b)に示す正面開口部65の縦断面は、図3に示す正面開口部65のB断面(水平方向の断面)を示している。
図6に示すように、正面ケース60のカバー筐体61には、連結アーム68を介して正面開口部65が吊り下げられている。また、正面ケース60の矩形枠部64内に、固定開口部66が連結されている。そして、この正面開口部65及び固定開口部66は、背面ケース50と装着される背面側が開口する円筒形状のものであり、正面開口部65の内面には、締結部材70(図3参照)との正面嵌合凹部65aと、締結部材70の正面位置決め突起65bとが形成されている。なお、固定開口部66の断面は、上記した通り、図11(b)のカッコ書きの符号で示す固定開口部166と同一である。
ここで、カバー筐体61は、ケース筐体51(図5参照)と合致する形状となっているが、正面開口部65の連結アーム68の長さは、図5に示す背面開口部54の固定アーム55よりも短くなっている。そのため、カバー筐体61とケース筐体51とを重ね合わせると、正面開口部65と背面開口部54とは、正面ケース60の装着方向と直交する方向(垂直方向)にずれて位置するようになる。
(締結部材)
図7は、本実施形態の遊技機の基板ケースにおける締結部材70を示す図であり、図7(a)は、その斜視図、図7(b)は、その正面図、図7(c)は、その側面の断面図(縦断面図)である。
図7に示すように、締結部材70は、図5に示す背面開口部54及び図6に示す正面開口部65に挿入可能なように、円筒形状となっている。
そして、締結部材70の両端側には、仕切り74を境として、それぞれ一対の背面締結凸部71及び正面締結凸部72が形成されている。また、締結部材70の両端部には、それぞれ一対の位置決め溝73が形成されている。なお、各背面締結凸部71と各正面締結凸部72とは、図7(b)に示すように、締結部材70の円周方向に90°ずれた位置に形成されている。
ここで、各背面締結凸部71は、図5に示す一対の背面嵌合凹部54aと嵌まり合い、各正面締結凸部72は、図6に示す一対の正面嵌合凹部65aと嵌まり合うものである。そのため、各背面締結凸部71及び各正面締結凸部72は、どちらも弾性変形が可能であり、傾斜した凸部分が押されると、円筒形状の締結部材70の内面側に曲がって凸部分が平坦となるように引っ込むようになっている。
また、背面締結凸部71側の位置決め溝73を図5に示す一対の背面位置決め突起54bに合わせれば、各背面締結凸部71と図5に示す一対の背面嵌合凹部54aとの位置が合い、正面締結凸部72側の位置決め溝73を図6に示す一対の正面位置決め突起65bに合わせれば、各正面締結凸部72と図6に示す一対の正面嵌合凹部65aとの位置が合う。
さらに、上記した通り、図5に示すケース筐体51と図6に示すカバー筐体61とを重ね合わせると、図5に示す背面開口部54と図6に示す正面開口部65とが垂直方向にずれて位置することとなる。そのため、図7に示すように、締結部材70は、仕切り74を境として、背面締結凸部71側と正面締結凸部72側とが垂直方向にずれた形状となっており、締結部材70の背面締結凸部71側を図5に示す背面開口部54に挿入するとともに、締結部材70の正面締結凸部72側を図6に示す正面開口部65に挿入することができるようにしている。
なお、不正行為を効果的に防止するため、締結部材70に、例えば、図7に示すようなICチップ75を埋め込むようにすることもできる。すなわち、ICチップ75に所定のデータを登録しておき、リーダー又はライターによって非接触でデータの読み取り及び書き込みを行い、基板ケースを管理するのである。
具体的には、ICチップ75に、締結部材70のシリアル番号、遊技機の型式名、遊技機の製造日、製造メーカー、納入販社名等の納入者情報、遊技機が導入されたホールの情報(ホール名、住所、納入日等)、封印シール番号、すべての封印履歴とその情報(開封履歴情報、封印者氏名、遊技機取扱主任者登録番号等)、暗証コード等を登録しておき、遊技機の製造出荷時、メイン制御基板の封印時、ホールの開店納入時、基板ケースの開封確認時、遊技機が中古となった場合の移動時、遊技機の撤去時等において、ICチップ75に覚え込ませた上記の情報を読み出したり更新したりする。そして、読み取りや書き込みが正規の機械で行われているか否か等を確認する。
(基板ケース)
図8は、本実施形態の遊技機の基板ケースの締結状態を示す部分断面図であり、図8(a)は、その締結途中の状態を示し、図8(b)は、その締結完了後の状態を示している。
図8(a)に示すように、締結部材70の位置決め溝73を背面開口部54内の背面位置決め突起54bに合わせ、背面開口部54に締結部材70の背面締結凸部71側を挿入すると、締結部材70の各背面締結凸部71と背面開口部54内の各背面嵌合凹部54aとが嵌まり合う。
すなわち、締結部材70の背面締結凸部71側を背面開口部54に挿入することにより、各背面締結凸部71が一度内側に引っ込むように作用する。そして、各背面締結凸部71が各背面嵌合凹部54aの位置まで到達した時点で、引っ込んでいた各背面締結凸部71が再び元の状態に戻り、各背面嵌合凹部54aに嵌まり込む。そのため、締結部材70を背面開口部54に一度挿入すると、二度と締結部材70が抜けなくなる。
次に、背面開口部54と対向する正面開口部65を締結部材70に挿入する。すなわち、図8(a)に示すように、背面開口部54に嵌め込まれた状態の締結部材70に対して、図8(b)に示すように、正面開口部65を挿入する。なお、各正面締結凸部72の状態が明らかになるように、図8(b)においては、図8(a)を締結部材70の円周方向に90°回転させた断面で図示している。
ここで、正面開口部65の連結アーム68の長さは、背面開口部54の固定アーム55よりも短くなっているため、図8(a)に示すように、正面開口部65と背面開口部54とが垂直方向にずれて位置している。しかしながら、締結部材70の正面締結凸部72側と背面締結凸部71側とは、正面開口部65と背面開口部54とのずれに対応してずれているので、図8(b)に示すように、締結部材70の露出した正面締結凸部72側に問題なく正面開口部65を挿入することができる。
そして、締結部材70に正面開口部65を挿入すると、図8(b)に示すように、正面開口部65内の正面位置決め突起65bが締結部材70の位置決め溝73に嵌まり込むとともに、正面開口部65内の各正面嵌合凹部65aと締結部材70の各正面締結凸部72とが嵌まり合う。
すなわち、正面開口部65を締結部材70の正面締結凸部72側に挿入することにより、各正面締結凸部72が一度内側に引っ込むように作用する。そして、各正面締結凸部72が各正面嵌合凹部65aの位置まで到達した時点で、引っ込んでいた各正面締結凸部72が再び元の状態に戻り、各正面嵌合凹部65aに嵌まり込む。そのため、正面開口部65を締結部材70に一度挿入すると、二度と正面開口部65が抜けなくなる。
このように、背面開口部54と背面締結凸部71及び正面開口部65と正面締結凸部72とがそれぞれ嵌まり合うことにより、背面開口部54と正面開口部65とが締結部材70を介して離脱不能に締結される。そのため、図5に示す背面ケース50と図6に示す正面ケース60とが締結状態となる。
ところで、従来の遊技機の基板ケースでは、図14に示すように、背面開口部154にドリル201で不正に穴202を開け、棒203で締結部材170の背面締結凸部171を押し込むことにより、図15に示すように、背面開口部154から締結部材170を不正に分離させることが可能であった。
そして、背面開口部154に締結部材170が再び締結されると、背面開口部154と正面開口部165とが互いに合致した位置にあるために、背面開口部154に設けられた穴202が見えにくく、図15(b)に示すように、正面側から背面開口部154の方向を見ても、正面開口部165が邪魔になってしまい、通常の視線で、背面開口部154の穴202を発見することが困難であった。
本実施形態の遊技機の基板ケースにおいても、図8に示すように、背面開口部54と締結部材70の背面締結凸部71との締結状態は、従来の遊技機の基板ケースにおける背面開口部154と締結部材170の背面締結凸部171との締結状態と同一であるために、図14に示すドリル201で背面開口部54に穴を開ければ、背面開口部54から締結部材70を不正に分離させることが可能である。そのため、本実施形態の遊技機の基板ケースを用いたとしても、従来の遊技機の基板ケースと同様の不正行為が行われることが懸念される。
しかし、本実施形態の遊技機の基板ケースの場合には、背面開口部54に不正に穴開けされたとしても、従来の遊技機の基板ケースと異なり、その発見が容易となっている。そのため、不正行為を未然に防止することができる。
また、検査時等においては、図3に示すように、背面ケース50と正面ケース60とを正当に分離させる必要があるが、本実施形態の遊技機の基板ケースは、このような正当な分離にも対応できるものである。
図9は、本実施形態の遊技機の基板ケースの効果を説明する部分断面図であり、図9(a)は、不正行為の発見を示し、図9(b)は、正当な分離を示している。
図9(a)に示すように、背面開口部54に不正に穴202が設けられている場合、棒(図示せず)を用いて背面締結凸部71を押し込むことにより、締結部材70ごと正面開口部65を背面開口部54から不正に分離させ、その後、背面開口部54に締結部材70を再び締結することにより、何事もなかったかのように、図9(a)に示す元の状態に復帰させることが可能である。
しかし、本実施形態の遊技機の基板ケースでは、図9(a)に示すように、背面開口部54と正面開口部65とが、正面開口部65の連結アーム68の長さが背面開口部54の固定アーム55よりも短い分だけ、垂直方向にずれて位置している。そのため、背面開口部54に不正に開けられた穴202が外部から見えやすくなっており、正面側から通常の視線で背面開口部54を見れば、正面開口部65に邪魔されることなく、不正な穴202を容易に発見することができる。したがって、不正の発見の容易性が不正行為の抑止力となる結果、不正行為を未然に防止することができる。
次に、検査時等における正当な分離について説明する。
本実施形態の遊技機の基板ケースは、図6に示すように、正面開口部65が連結アーム68を介してカバー筐体61に吊り下げられている。また、この連結アーム68は、図9(b)に示すように、締結部材70による締結状態を保持しつつ破断可能に構成されている。そのため、検査時等の正当な分離に際しては、ニッパ等の切断工具を用いて連結アーム68を破断させれば良い。そして、図2に示す封印シール31をカッター等で切り離せば、背面ケース50と正面ケース60とを正当に分離させることができる。
なお、図9(b)に示すように、検査時等の正当な分離に際しては、連結アーム68を破断させてしまうので、その連結アーム68によって保持された正面開口部65は、二度と使用することができない。しかしながら、図3に示すように、正面開口部65は、4つある。そのため、次に締結する際には、連結アーム68が破断していない他の正面開口部65を使用すれば良い。そして、このような検査を行った場合には、図2に示す使用記録用紙32に検査年月日等を記入しておく。
以上、本発明の遊技機の基板ケースの一実施形態について説明したが、本発明の遊技機の基板ケースは、上述した実施形態に限定されることなく、例えば、以下のような種々の変形が可能である。
(1)上述した実施形態の遊技機の基板ケースは、遊技機の1つとして、図柄を表示した3つのリール20を有するスロットマシン10に適用した例を示したが、このようなスロットマシン10には限られない。すなわち、図柄変動表示装置を有する弾球遊技機、アレンジボール、雀球遊技機等の種々の遊技機にも広く適用することができる。
(2)上述した実施形態では、背面ケース50の背面開口部54及び正面ケース60の正面開口部65を円筒形状としているが、これに限ることなく、角筒形状等、他の形状であっても良い。なお、締結部材の形状は、背面開口部54及び正面開口部65の形状と合致させておく。
(3)上述した実施形態では、正面開口部65の連結アーム68を破断可能に構成することにより、背面ケース50と正面ケース60とを正当に分離できるようにしているが、これに限ることなく、背面開口部54の固定アーム55を破断可能に構成することもできる。