JP4650714B2 - カルボニル化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ルテニウム化合物を酸化触媒としてN−ハロイミド化合物またはN−ハロアミド化合物を共酸化剤として用いてアルコールの酸化を行なう、カルボニル化合物の製造方法に関する。
アルコールの酸化によりカルボン酸、アルデヒドなどのカルボニル化合物を得る方法は古くから知られている。このようなアルコールの酸化反応は、一般的であるばかりでなく、最も重要な反応の1つである。これまでにこのようなアルコールの酸化に用いられ得る様々な酸化剤および酸化方法が開発されている。例えば、非特許文献1では、ピリジニウムクロロクロメート(PCC)、非特許文献2では、Dess−Martin試薬、非特許文献3では、テトラプロピルアンモニウムペルルテネート(TPAP)を酸化剤として使用している。しかし、PCC自体がクロムという有害金属を含有する;Dess−Martin試薬やTPAPは非常に高価であるなど、工業化の障害になることも多い。非特許文献4では、ジメチルスルホキシドとオキサリルクロリドとの付加反応物[DMSO‐(COCl)]を酸化剤としてアルコールを酸化するSwern酸化が開示されているが、この反応は、−78〜−40℃のような低温を必要とする。非特許文献5には、タングステン酸ナトリウムと硫酸水素メチルトリオクチルアンモニウムとを触媒とし、Hを用いた二層系でのアルコールの酸化反応が開示されている。しかし、反応系が酸性に偏るため、出発物質となるアルコールが限定される。非特許文献6には、DMSO−酸無水物を酸化剤とするアルコールの酸化反応が、非特許文献7には、SO−ピリジン錯体を酸化剤とするDMSO中でのアルコールの酸化反応が開示されている。しかし、これらのように、溶媒にDMSOを用いる反応では、DMSOからの生成物の単離が困難になることもある。このように、用いる酸化剤や反応系により、種々の制約が加えられるという欠点がある。さらに、上記酸化においては、ハロゲン溶媒が用いられることが多く(非特許文献1〜4)、このような溶媒は、人や環境への配慮からその使用が好ましくない。
アルコールからカルボニル化合物への酸化を行なうための強力な酸化剤として、ルテニウム化合物が知られており、これまで、数多くの報告がなされている。例えば、非特許文献8では、四塩化炭素−アセトニトリル−水系溶媒中、RuClを触媒として過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO)を共酸化剤に用いた酸化を報告しているが、四塩化炭素を使用していることから実用的ではない。非特許文献9〜14においては、酢酸水溶液中、過塩素酸の存在下、RuClを酸化触媒としてトリクロロイソシアルヌル酸(TCCA)を共酸化剤に用いた酸化を報告している。この場合、ハロゲン溶媒を使用しておらず、共酸化剤として用いられるTCCAも安価であるが、反応系内が強酸性になっているため、酸化できる化合物が限定されるという欠点がある。
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本発明は、上記課題を解決するためになされ、その目的は、アルコールの酸化によるカルボニル化合物の簡便で効果的な製造方法を提供することにある。本発明の他の目的は、強力な酸化剤であるルテニウム化合物を酸化触媒としてアルコールからカルボニル化合物を効果的に製造する方法であって、種々の出発物質となるアルコール化合物に適用可能であり、該アルコールおよび生成するカルボニル化合物が分解することなく、高収率で該カルボニル化合物を製造することの可能な方法を提供することにある。本発明のさらに他の目的は、上記効果的なカルボニル化合物の製造方法であって、用いる溶媒や試薬が環境に影響を与えない方法を提供することにある。
本発明のカルボニル化合物の製造方法は、触媒量のルテニウム化合物の存在下、有機溶媒を含む溶媒中でN−ハロイミド化合物またはN−ハロアミド化合物を用いてアルコールの酸化反応を行なう工程を包含し、該有機溶媒は、該ルテニウム化合物により実質的に酸化されず、かつカルボン酸以外の有機溶媒である。
本発明のカルボニル化合物の製造方法は、触媒量のルテニウム化合物の存在下、N−ハロイミド化合物またはN−ハロアミド化合物を用いてアルコールの酸化反応を行なう工程を包含し、該酸化反応は、有機溶媒および水を含むpH5〜14の混合溶媒中で行なわれ、該有機溶媒は、該ルテニウム化合物により実質的に酸化されない有機溶媒である。
本発明のカルボニル化合物の製造方法は、触媒量のルテニウム化合物の存在下、N−ハロイミド化合物またはN−ハロアミド化合物を用いてアルコールの酸化反応を行なう工程を包含し、該酸化反応は、塩基の存在下、有機溶媒中で行なわれ、該有機溶媒は、該ルテニウム化合物により実質的に酸化されない有機溶媒である。
好適な実施態様においては、上記アルコールは第1級アルコールであり、上記カルボニル化合物はカルボン酸またはアルデヒドである。
好適な実施態様においては、上記アルコールは第2級アルコールであり、上記カルボニル化合物はケトンである。
好適な実施態様においては、上記ルテニウム化合物は塩化ルテニウム(III)である。
好適な実施態様においては、上記N−ハロイミド化合物は、トリクロロイソシアヌル酸である。
好適な実施態様においては、上記酸化反応は、有機溶媒と水とを含む反応系において、相間移動触媒として4級アンモニウム塩を用いて行なわれる。
好適な実施態様においては、上記酸化反応は、有機溶媒中において相間移動触媒として4級アンモニウム塩を用いて行なわれる。
好適な実施態様においては、上記溶媒はアセトニトリルと水とを含む溶媒であり、上記アルコールはアリール基で置換されたメタノールであり、上記カルボニル化合物はアリール基で置換されたギ酸である。
好適な実施態様においては、上記アリール基で置換されたメタノールはベンジルアルコールであり、上記アリール基で置換されたギ酸は安息香酸である。
好適な実施態様においては、上記溶媒は酢酸エチルと水とを含む溶媒であり、上記アルコールはアリール基で置換されたメタノールであり、上記カルボニル化合物はアリール基で置換されたホルムアルデヒドである。
好適な実施態様においては、上記アリール基で置換されたメタノールはベンジルアルコールであり、前記アリール基で置換されたホルムアルデヒドはベンズアルデヒドである。
好適な実施態様においては、上記溶媒は酢酸エチルと水とを含む溶媒であり、上記アルコールは1個から3個のアリール基で置換された第1級のアリルアルコールであり、上記カルボニル化合物は1個から3個のアリール基で置換されたアクロレインである。
好適な実施態様においては、上記第1級のアリルアルコールはけい皮アルコールであり、上記1個から3個のアリール基で置換されたアクロレインはけい皮アルデヒドである。
本発明によれば、ルテニウム化合物を酸化触媒としてアルコールからカルボニル化合物を効果的に製造する方法が提供される。この方法においては、溶媒として、酢酸などの強酸性溶媒を用いず、中性条件で反応を進めることが可能であるため、出発物質のアルコールおよび生成するカルボニル化合物を分解させることなく高収率で該カルボニル化合物を製造することが可能である。従って、種々のアルコール化合物の酸化反応に適用可能である。さらに、特定の溶媒を選択することにより、第1級アルコールからカルボン酸およびアルデヒドのいずれかを選択的に製造することが可能である。用いられる溶媒や試薬も環境に影響を与えない。
本発明のカルボニル化合物の製造方法は、上述のようにいくつかの態様を包含するが、いずれもアルコールを出発物質とし、ルテニウム化合物を酸化触媒とし、N−ハロイミド化合物またはN−ハロアミド化合物を共酸化剤として、該アルコールの酸化反応を行なう工程を包含する。用いられる溶媒は、有機溶媒を含む溶媒であり、該有機溶媒は、該ルテニウム化合物により実質的に酸化されない化合物である。
出発物質のアルコールが第1級アルコールの場合は、下記(1)式または(2)式のように、カルボン酸またはアルデヒドが、第2級アルコールの場合は、下記(3)式のようにケトンが生じる。(1)式のカルボン酸および(2)式のアルデヒドのうちのいずれが生じるかは、用いる出発物質のアルコールの種類、溶媒、反応条件などにより異なる(後述)。
Figure 0004650714
Figure 0004650714
上記(1)および(2)式において、Rは、水素、炭素数1〜20の直鎖あるいは分岐アルキル基、炭素数5〜14のアリール基、または炭素数3〜10の脂環式基であり、該アルキル基の炭素鎖の一部には不飽和結合が含まれていてもよく、該アリール基の芳香環の1個あるいはそれ以上の炭素はヘテロ原子で置換されていてもよく、該へテロ原子は、好ましくはN、OまたはSである。上記脂環式基の環を構成する1個あるいはそれ以上の炭素は、ヘテロ原子で置換されていてもよく、該へテロ原子は、好ましくは、N、OまたはSである。上記直鎖あるいは分岐アルキル基、アリール基、および脂環式基には、置換基が存在してもよい。
Figure 0004650714
上記(3)式において、RおよびRは、各々独立して、炭素数1〜20の直鎖あるいは分岐アルキル基、炭素数5〜14のアリール基、または炭素数3〜10の脂環式基であり、該RおよびRは炭素数3〜10の炭素鎖で連結されて環を形成していてもよい。上記アルキル基の炭素鎖の一部には不飽和結合が含まれていてもよく、上記アリール基の芳香環の1個あるいはそれ以上の炭素はヘテロ原子で置換されていてもよく、該へテロ原子は、好ましくはN、OまたはSである。上記脂環式基の環を構成する1個あるいはそれ以上の炭素は、ヘテロ原子で置換されていてもよく、該へテロ原子は、好ましくは、N、OまたはSである。上記RおよびRが環を形成する場合には、該環を形成する炭素はヘテロ原子で置換されていてもよく、該へテロ原子は、好ましくはN、OまたはSである。上記直鎖あるいは分岐アルキル基、アリール基、および脂環式基には、置換基が存在してもよい。
以下、本発明の方法において用いられる材料、および該材料を用いて行なわれる本発明の方法について、順次説明する。各材料は、各々2種以上を組合せて用いることも可能である。
(I)アルコール
出発物質のアルコールとしては、第1級アルコールまたは第2級アルコールが用いられる。この第1級アルコールは、上記(1)式または(2)式において、RCHOHで示される化合物であり、第2級アルコールは、上記(3)式においてR(R)CHOHで示される化合物である。
上記第1級アルコールにおいて、Rは、(i)水素、(ii) 炭素数1〜20の直鎖あるいは分岐アルキル基、(iii) 炭素数5〜14のアリール基、または(iv) 炭素数3〜10の脂環式基であり;上記アルキル基の炭素鎖の一部には不飽和結合が含まれていてもよく;上記アリール基の芳香環の1個あるいはそれ以上の炭素はヘテロ原子で置換されていてもよく、上記脂環式基の環を構成する1個あるいはそれ以上の炭素は、ヘテロ原子で置換されていてもよく;上記直鎖あるいは分岐アルキル基、アリール基、および脂環式基には、各々置換基が存在してもよい。上記へテロ原子は、好ましくは、N、OまたはSであり、上記置換基の例としては、アリール基、脂環式基、ハロゲン(F、Cl、Br、またはI)、ニトロ基、シアノ基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シロキシ基、アミノ基、イミド基、アミド基、などが挙げられる。
上記(ii)の炭素数1〜20の直鎖あるいは分岐アルキル基(芳香族置換基を含む基を包含する)としては、次の基が挙げられる:メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘプチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ペンタデシル基、n−オクタデシル基、n−エイコサニル基、イソブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、イソへキシル基、2−メチル−1−ペンチル基、2−メチル−1−ヘキシル基、3−メチル−1−ヘキシル基、4−メチル−1−ヘキシル基、5−メチル−1−ヘキシル基、2−エチル−1−ヘキシル基、3−エチル−1−ヘキシル基、4−エチル−1−ヘキシル基、2,2−ジメチル−1−プロピル基、ベンジル基、フェネチル基、2−フルオロベンジル基、3−フルオロベンジル基、4−フルオロベンジル基、2−クロロベンジル基、4−クロロベンジル基、4−ブロモベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−アセチルベンジル基、2−フェニルエテニル基など。
上記(iii) の炭素数5〜14のアリール基(ヘテロ環を含む基を包含する)としては、次の基が挙げられる:フェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基、ピリジル基、チアゾリル基、フラニル基、ピラニル基、インドリル基、イミダゾリル基、キノリル基、4−メトキシフェニル基、4−アセチルフェニル基、4−ビフェニル基、4−ニトロフェニル基など。
上記(iv) の炭素数3〜10の脂環式基(ヘテロ環を含む基を包含する)としては、次の基が挙げられる:シクロプロピル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、テトラヒドロフラニル基、1,3−ジオキソラニル基、ピペリジニル基、テトラヒドロチオフラニル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、オキシラニル基、オキセタニル基など。
上記アルキル基、アリール基、脂環式基に存在していてもよい置換基のうち、アリール基および脂環式基としては、上述の基が挙げられる。アシル基としては、アセチル基、ベンゾイル基、ピバロイル基、トリフルオロアセチル基など;アシロキシ基としては、アセトキシ基、アセチルアセトキシ基など;アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基、テトラヒドロピラニルオキシ基、ベンジルオキシ基、4−メトキシベンシルオキシ基など;アリールオキシ基としては、フェノキシ基、4−メトキシフェニルオキシ基など;アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基など;アリールオキシカルボニル基としては、フェニルオキシカルボニル基、4−メトキシフェニルオキシカルボニル基など;シロキシ基としては、トリメチルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基、t−ブチルジフェニルシリルオキシ基など;アミノ基としては、ジメチルアミノ基などが;イミド基としては、マレイミド基などが挙げられる。
第1級アルコールとしては、次の化合物が挙げられる:メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、1−ノナノール、1−デカノール、1−トリデカノール、1−エイコサノール、2−メチル−1−ヘキサノール、3−メチル−1−ヘキサノール、4−メチル−1−ヘキサノール、5−メチル−1−ヘキサノール、2−エチル−1−ヘキサノール、3−エチル−1−ヘキサノール、4−エチル−1−ヘキサノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、アリルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、けい皮アルコール、2−フルオロベンジルアルコール、3−フルオロベンジルアルコール、4−フルオロベンジルアルコール、2−クロロベンジルアルコール、4−クロロベンジルアルコール、4−ブロモベンジルアルコール、4−メトキシベンジルアルコール、4−アセチルベンジルアルコール、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール、2−メチルブタノール、シクロヘキシルメタノールなど。これらのなかで、アリール基で置換されたメタノールであるベンジルアルコール、1個から3個のアリール基で置換された第1級のアリルアルコールであるけい皮アルコールなどが好適である。
第2級アルコールは、上記(3)式においてR(R)CHOHで示される化合物であり、RおよびRとしては、各々独立して、上述のRと同様の基が挙げられる。このRおよびRは炭素数3〜10の炭素鎖で連結されて環を形成していてもよい。RおよびRが環を形成する場合には、該環を形成する炭素はヘテロ原子で置換されていてもよく、該へテロ原子は、好ましくはN、OまたはSである。
第2級アルコールの具体例としては、次の化合物が挙げられる:2−プロパノール、2−ブタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、2−ノナノール、3−ノナノール、4−ノナノール、5−ノナノール、2−デカノール、3−デカノール、4−デカノール、5−デカノール、2−トリデカノール、2−エイコサノール、シクロブタノール、シクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、シクロヘプタノール、ベンソヒドロール、パントラクトン、シクロオクタノール、シクロドデカノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、2−tert−ブチルシクロヘキサノール、3−tert−ブチルシクロヘキサノール、4−tert−ブチルシクロヘキサノール、1−フェニルエタノール、1−(2−フルオロフェニル)エタノール、1−(3−フルオロフェニル)エタノール、1−(4−フルオロフェニル)エタノール、1−(2−クロロフェニル)エタノール、1−(2−ブロモフェニル)エタノール、1−(4−メトキシフェニル)エタノール、1−(4−アセチルフェニル)エタノール、ベンゾイン、1,3,5−トリ−O−ベンゾイル−α−D−リボフラノース、2,3:4,5−ジ−O−イソプロピリデン−α−D−マンノフラノース、メントール、2−アダマンタノールなど。
(II)ルテニウム化合物
ルテニウム化合物は、酸化触媒(酸化剤)として用いられる。ルテニウム化合物としては、塩化ルテニウム、酸化ルテニウム、塩化ルテニウム、臭化ルテニウム、ヨウ化ルテニウム、水酸化ルテニウム、硫化ルテニウム、硫酸ルテニウムなどがある。ルテニウム化合物は、出発物質となるアルコールの水酸基1当量に対して、0.0001〜0.5当量、好ましくは0.002〜0.04当量の割合で用いられる。
(III)N−ハロイミド化合物またはN−ハロアミド化合物
これらの化合物はルテニウム化合物を用いたアルコールの酸化反応において、共酸化剤として用いられる。N−ハロイミド化合物としては、イソシアヌル酸誘導体、ジメチルヒダントイン誘導体、スクシンイミド誘導体、フタルイミド誘導体などが好適に用いられる。そのような化合物としては、トリクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸カリウム、1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジメチルヒダントイン、N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド、N−ヨードスクシンイミド、N−クロロフタルイミド、N−ブロモフタルイミド、N−ヨードフタルイミドなどがある。N−ハロアミド化合物としては、ベンゼンスルホンクロロアミドナトリウム、4−トルエンスルホンクロロアミドナトリウム、ジクロロアミノスルホニルベンゼン、4−ジクロロアミノスルホニルトルエン、4−ジクロロアミノスルホニル安息香酸、N−ブロモアセトアミド、N−ジクロロアセトアミドなどがある。N−ハロイミド化合物またはN−ハロアミド化合物は、出発物質のアルコールの水酸基1当量に対して、0.33〜20当量、好ましくは0.33〜5.0当量の割合で用いられる。
(IV)溶媒
本発明の方法において用いられる溶媒は、上述のように、有機溶媒を含む溶媒であり、該有機溶媒は該ルテニウム化合物により実質的に酸化されない化合物である。
本発明の1つの態様においては、このような溶媒は、有機溶媒と水との混合液であるか、有機溶媒単独の溶媒であり得、該有機溶媒は、カルボン酸以外の有機溶媒である。有機溶媒としては、一般の有機溶媒のうち、エーテル系溶媒などの酸化を受けやすい溶媒およびカルボン酸溶媒を除くいずれもが利用され得る。ニトリル系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、アミド系溶媒、3級アルコール系溶媒系溶媒などが用いられる。特に、ニトリル系溶媒、エステル系溶媒、およびケトン系溶媒が好適であり、具体的には酢酸エチル、アセトニトリル、メチルイソブチルケトン、ヘプタン、トルエン、キシレン、t−ブタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸イソブチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−プロピル、エチルシクロヘキサンなどが好適である。このような有機溶媒、あるいは該有機溶媒と水との混合液のいずれもが用いられ得る。第1級および第2級アルコール系溶媒は酸化されやすいため、通常使用しないが、出発物質となるアルコールを大過剰に用い、溶媒の役割を兼ねて使用することも可能である。
本発明の他の態様においては、溶媒は、有機溶媒および水を含むpH5〜14の混合溶媒である。含有される有機溶媒の具体例としては、上記態様において用いられる溶媒が挙げられる。この態様においては、pHが5〜14である限り、溶媒は酢酸などのカルボン酸溶媒であってもよい。この態様においては、反応系のpHが5〜14、好ましくは7付近に設定される。pHを調整するために、必要に応じて塩基が反応系に加えられる。そのような塩基としては、次の化合物が挙げられる:水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、ピリジンなど。
本発明のさらに他の態様においては、塩基を含む有機溶媒が用いられる。このような有機溶媒としては、上述の有機溶媒のいずれもが用いられ得る。この態様において用いられる塩基としては、上述の塩基のいずれもが用いられ得る。特に有機溶媒に比較的溶解性の良好である酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムなどが好適である。
(V)相間移動触媒
本発明のカルボニル化合物の製造方法においては、必要に応じて相間移動触媒が用いられる。そのような触媒としては、4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩などがある、例えば次の化合物が挙げられる:臭素化テトラ−n−ブチルアンモニウム(TBAB)、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、硫酸水素テトラメチルアンモニウム、p−トルエンスルホン酸テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、硫酸水素テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラn−ブチルアンモニウム、硫酸水素テトラn−ブチルアンモニウム、水酸化テトラn−ブチルアンモニウム、塩化フェニルトリメチルアンモニウム、臭化フェニルトリメチルアンモニウム、硫酸水素フェニルトリメチルアンモニウム、水酸化フェニルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、臭化ベンジルトリエチルアンモニウム、硫酸水素ベンジルトリエチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリエチルアンモニウム、塩化ベンジルセチルジメチルアンモニウム、臭化ベンジルセチルジメチルアンモニウム、硫酸水素ベンジルセチルジメチルアンモニウム、水酸化ベンジルセチルジメチルアンモニウム、塩化n−デシルトリメチルアンモニウム、臭化n−デシルトリメチルアンモニウム、硫酸水素n−デシルトリメチルアンモニウム、水酸化n−デシルトリメチルアンモニウム、塩化アセチルコリン、臭化アセチルコリン、塩化−1−ヘキサデシルピリジニウム、臭化−1−ヘキサデシルピリジニウム、塩化−1−ドデシルピリジニウム、臭化−1−ドデシルピリジニウム、塩化−1−エチルピリジニウムなど。相間移動触媒は、出発物質となるアルコールの水酸基1当量に対して0.0005〜1.0当量の割合で、好ましくは0.002〜0.08当量の割合で用いられる。
(VI)カルボニル化合物の製造
(VI.1)第1級アルコールの酸化によるカルボニル化合物の製造
本発明の方法により、第1級アルコールを出発物質として反応を行なうことにより、カルボン酸またはアルデヒドが製造される。例えば、共酸化剤として、N−ハロイミド化合物であるトリクロロイソシアヌル酸を用いて酸化反応を行なうと、次式(1)または(2)に示すように、対応するカルボン酸またはアルデヒドが生じる。
Figure 0004650714
Figure 0004650714
ここで、Rは、前出の式(1)および(2)において定義したのと同様である。
上記式(1)および(2)のいずれの場合においても、溶媒として、有機溶媒と水とを含む溶媒を用いる場合には、反応系のpHを5〜14、好ましくは5〜11、より好ましくは7付近に設定することが好ましい。そのためには、上述の塩基を適宜添加してpHの調整を行なうのが好適である。反応系のpHは、反応開始から終了時まで上記範囲に維持することが好ましい。溶媒として有機溶媒を単独で用いる場合には、塩基を存在させることが好ましい。この塩基は、通常、出発物質のアルコールの水酸基1当量に対して、1.0〜20当量、好ましくは1.0〜6.0当量の割合で用いられる。このように反応系を中性〜塩基性の範囲に維持することにより、出発物質のアルコールおよび生じたカルボニル化合物が分解されないという利点がある。反応に際しては、上述のように、必要に応じて、相間移動触媒などが用いられる。
上記(1)および(2)式で示されるカルボン酸およびアルデヒドのいずれが生じるかは、用いられる溶媒、出発物質となるアルコールの種類、反応条件などに依存する。
例えば、出発物質のアルコールがアリール基で置換されたメタノールである場合に、溶媒としてニトリル系溶媒と水との混合液(例えば、アセトニトリルと水との混合液)を用いることにより、対応するカルボン酸(アリール基で置換されたギ酸)が選択的に得られる((1)式)。具体例を挙げれば、ベンジルアルコールから安息香酸が93%以上の割合で生成する。溶媒として、エステル系溶媒と水との混合液(例えば、酢酸エチルと水との混合液)を用いることにより、対応するアルデヒド(アリール基で置換されたホルムアルデヒド)が選択的に得られる((2)式)。具体例を挙げれば、ベンジルアルコールからベンズアルデヒドが86%以上の割合で生成する。
あるいはまた、出発物質のアルコールが1個から3個のアリール基で置換された第1級のアリルアルコールである場合には、溶媒としてエステル系溶媒と水との混合液(例えば、酢酸エチルと水との混合液)を用いることにより、対応するアルデヒド(1個から3個のアリール基で置換されたアクロレイン)が生じる。具体例を挙げれば、けい皮アルコールからけい皮アルデヒドが98%以上の割合で生成する。このような反応をニトリル系溶媒と水との混合液(例えば、アセトニトリルと水との混合液)を用いて行なうと、けい皮アルデヒドとけい皮酸とが約2:1の割合で生成する。このように、特にエステル系溶媒と水との混合液を用いることにより、アルデヒドが選択的に、あるいはカルボン酸に優先して生成する。
このように、溶媒、出発物質となるアルコールなどを適宜選択することにより、所望のカルボニル化合物を効果的に製造することが可能である。生成したカルボン酸またはアルデヒドは、常法により単離される。
(VI.2)第2級アルコールの酸化によるカルボニル化合物の製造
本発明の方法により、第2級アルコールを用いて反応を行なうことにより、ケトンが製造される。例えば、共酸化剤として、N−ハロイミド化合物であるトリクロロイソシアヌル酸を用いて酸化反応を行なうと、次に示すように、対応するケトンが生じる。
Figure 0004650714
ここで、RおよびRは、前出の式(3)において定義したのと同様である。
この反応によりケトンを製造する場合にも、溶媒としては、上記第1級アルコールを用いた反応の場合と同様の溶媒がいずれも使用され得る。この場合においても上記と同様に溶媒として、有機溶媒と水とを含む溶媒を用いる場合には、反応系のpHを5〜14、好ましくは5〜11、より好ましくは7付近に設定することが好ましい。溶媒として有機溶媒を単独で用いる場合には、塩基を存在させることが好ましい。反応に際しては、上述のように、必要に応じて、相間移動触媒などが用いられる。生成したケトンは、常法により単離される。
(作用)
本発明によれば、このように、ルテニウム化合物の存在下でN−ハロイミド化合物またはN−ハロアミド化合物を共酸化剤として用い、アルコールの酸化反応を行なうことにより、カルボン酸、アルデヒド、またはケトンというカルボニル化合物が効果的に製造される。この方法においては、上述のように、特定の有機溶媒を含む溶媒(有機溶媒と水との混合液または有機溶媒単独の溶媒)、特定のpHの混合溶媒、もしくは塩基を含む有機溶媒が用いられる。溶媒として、酢酸などの強酸性溶媒を用いず、中性条件で反応を進めることが可能であるため、出発物質のアルコールおよび生成したカルボニル化合物のいずれもが安定であり、目的とするカルボニル化合物が高純度かつ高収率で得られる。さらに、溶媒の種類を変えることにより、第1級アルコールからカルボン酸およびアルデヒドのいずれかを選択的に製造することが可能である。本発明の方法は、上記各種カルボニル化合物の製造方法として、好適に利用され得る。
以下に本発明を実施例につき説明する。
本実施例におけるガスクロマトグラフィー分析は、出発物質のアルコールとして1−オクタノールまたは2−オクタノールを用いた場合には、以下の分析条件1により行なった。出発物質のアルコールとして2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール、シクロペンタノール、またはベンズヒドロールを用いた場合には、分析条件2により行なった。カルボン酸を分析する場合には、該カルボン酸をトリメチルシリルジアゾメタンでメチルエステルに変換し、これを分析することにより行なった。
分析条件1:島津製作所GC−14A分析機,Reoplex 400(15% Chemosorb AWCS 2m,3mmφ),キャリアーガス He,流速 50mL/分,試料注入口 250℃,カラム温度 120℃(2分間),10℃/分,220℃(8分間),検出器 FID 250℃
分析条件2:島津製作所 GC−17A分析機,J&W Scientific DB−624(30m, 0.53mmφ),キャリアーガス He,線速度 27cm/s,試料注入口 260℃,カラム温度 130℃(3分間),10℃/分,210℃(4分間),検出器 FID 300℃。
(実施例1A)
1−オクタノールのアセトニトリル−水(1:1)溶液(0.5M)に、RuCl・3HO(1−オクタノールの水酸基1当量に対して0.01当量)、臭素化テトラ−n−ブチルアンモニウム(TBAB)(1−オクタノールの水酸基1当量に対して0.02当量)、および塩基として水酸化ナトリウム(1−オクタノールの水酸基1当量に対して3.0当量)を加え攪拌した。次いで、TCCAの1Mアセトニトリル溶液を、該TCCAの量が1−オクタノールの水酸基1当量に対して1.0当量となるように滴下した。このとき発熱が起こるので、水冷にて内温を室温〜45℃に保った。同温度範囲で3時間攪拌した。反応系のpHは、初期値が14、終了時が5であった。次いで、内部標準としてトリデカンを用いて、ガスクロマトグラフィ(GC)分析を行なった。1−オクタノールは全て消失しており(変換率100%)、1−オクタン酸が80.6%の割合で生じたことが確認された。反応による変換率、生じた化合物およびその収率(%)を表1に示す。後述の実施例1B〜1Eの結果も併せて表1に示す。
(実施例1B〜1D)
塩基として表1に示す化合物を表1に示す割合で用いたこと以外は実施例1Aと同様である。
(実施例1E)
塩基を用いなかったこと以外は、実施例1Aと同様である。このときの反応液のpHは、初期値が7、終了時は1であった。
Figure 0004650714
表1から、種々の塩基の存在下で、第1級アルコールである1−オクタノールから対応するカルボン酸である1−オクタン酸が得られることが明らかである。塩基として、NaOH、KCO、またはNaHCOのような無機塩基を用いた場合には、80%以上の高い選択率でカルボン酸が得られることが明らかである。特に、KCOを用いると93.0%という高い割合でカルボン酸が得られた。塩基がピリジンである場合、および塩基を含まない場合は、カルボン酸の収率は約70%程度となり、カルボン酸以外にアルデヒドも生成することがわかる。
(実施例2A)
アセトニトリルと1Mリン酸緩衝液(pH5)とを1:1で含有する混合溶媒中に1−オクタノールを0.5Mの割合で含有する溶液を調製した。これにRuCl・3HO(1−オクタノールの水酸基1当量に対して0.01当量)およびTBAB(1−オクタノールの水酸基1当量に対して0.02当量)を加えた。次いで、TCCAの1Mアセトニトリル溶液を、該TCCAの量が1−オクタノールの水酸基1当量に対して1.0当量となるに滴下した。このとき発熱が起こるので、水冷にて内温を室温〜45℃に保った。同温度範囲で3時間攪拌した。上記反応時において、適宜3.0M炭酸カリウム水溶液を加えて、反応系をpHを5±0.2の範囲内に維持した。次いで、内部標準としてトリデカンを用いてガスクロマトグラフィ(GC)分析を行なった。その結果、1−オクタン酸が、82.5%の割合で生じたことが確認された。反応による変換率、生じた化合物およびその収率(%)を表2に示す。後述の実施例2Bおよび2Cの結果も併せて表2に示す。
(実施例2Bおよび2C)
反応液のpHを表2に示す値に設定したこと以外は実施例2Aと同様である。
Figure 0004650714
表2から明らかなように、pH5以上の条件下、特にpH9においては、第1級アルコールから高い割合で対応するカルボン酸が生成する。
(実施例3A)
1−オクタノールのアセトニトリル−水(1:1)溶液(0.5M)に、RuCl・3HO(1−オクタノールの水酸基1当量に対して0.01当量)、TBAB(1−オクタノールの水酸基1当量に対して0.02当量)、炭酸カリウム(1−オクタノールの水酸基1当量に対して3.0当量)を加え攪拌した。次いで、TCCAの1.0Mアセトニトリル溶液を、該TCCAの量が1−オクタノールの水酸基1当量に対して1.0当量となるように滴下した。このとき発熱が起こるので、水冷にて内温を室温〜45℃に保った。同温度範囲で3時間攪拌した。次いで、内部標準としてトリデカンを用いて、ガスクロマトグラフィ(GC)分析を行なった。その結果、1−オクタン酸が、93.0%の割合で生じたことが確認された。反応による変換率、生じた化合物およびその収率(%)を表3に示す。後述の実施例3B〜3Eの結果も併せて表3に示す。
(実施例3B〜3E)
アセトニトリルの代わりに表3に示す溶媒を各々利用したこと以外は、実施例3Aと同様である。
Figure 0004650714
表3から明らかなように、種々の有機溶媒−水混合液が溶媒として使用可能であり、特に、アセトニトリル、酢酸エチル、またはメチルイソブチルケトン(MIBK)と水との混合液を用いた場合に、変換率が高くかつ対応するアルデヒドまたはカルボン酸が効果的に製造されることがわかる。
(実施例4A)
1−オクタノールのアセトニトリル−水(1:1)溶液(0.5M)に、RuCl・3HO(1−オクタノールの水酸基1当量に対して0.01当量)、TBAB(1−オクタノールの水酸基1当量に対して0.02当量)、炭酸カリウム(1−オクタノールの水酸基1当量に対して3.0当量)を加え攪拌した。次いで、TCCAの1.0Mアセトニトリル溶液を、該TCCAの量が1−オクタノールの水酸基1当量に対して1.0当量となるように、滴下した。このとき発熱が起こるので、水冷にて内温を室温〜45℃に保った。同温度範囲で3時間攪拌した後、2−プロパノールを加えて、さらに1時間攪拌して、未反応の酸化剤(TCCA)を分解した。
反応液をハイフロスーパーセル(登録商標)を通してろ過することにより不溶物を除いた後、5%塩酸を加えてpH2として、ろ液の有機層を分取した。水層に酢酸エチルを加えて、有機層を分取した。2つの有機層を合わせて、飽和食塩水で洗浄して、無水MgSOで乾燥後、ろ過した。ろ液を減圧濃縮して、1−オクタン酸を得た。生成物の収率を表4に示す。
(実施例4B)
1−オクタノールの代わりに2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノールを用いたこと以外は、実施例4Aと同様にして反応を行なった。反応液に2−プロパノールを加えて、さらに1時間攪拌して、未反応の酸化剤を分解した後、反応液の一部を0.5%塩酸でpH4とした。その溶液にテトラメチルシリルジアゾメタンとメタノールを加えて、反応液中に存在するカルボン酸をメチルエステルに誘導した。内部標準にトリデカンを用いて、反応液をGC分析した結果、ソルケタールは100%消費されており、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−カルボン酸メチルエステルが生成していた。この化合物の収率を表4に示す。
Figure 0004650714
表4から明らかなように、実施例4Aの脂肪族直鎖第1級アルコールのみならず、実施例4Bのようなアセタール構造を有する、酸に対して不安定なアルコールも官能基を分解させることなく酸化することが可能であることがわかる。
(実施例5A)
ベンジルアルコールのアセトニトリル−水(1:1)溶液(0.5M)に、RuCl・3HO(ベンジルアルコールの水酸基1当量に対して0.01当量)、TBAB(ベンジルアルコールの水酸基1当量に対して0.02当量)、炭酸カリウム(ベンジルアルコールの水酸基1当量に対して3.0当量)を加え攪拌した。次いで、TCCAの1.0Mアセトニトリル溶液を、該TCCAの量がベンジルアルコールの水酸基1当量に対して1.0当量となるように、滴下した。このとき発熱が起こるので、水冷にて内温を室温〜45℃に保った。同温度範囲で3時間攪拌した。反応液に2−プロパノールを加えて、さらに1時間攪拌して、未反応の酸化剤を分解した。
反応液をハイフロスーパーセル(登録商標)を通してろ過することにより不溶物を除いた後、5%塩酸を加えて水層をpH2とし、有機層を分取した。水層に酢酸エチルを加えて、有機層を分取した。2つの有機層を合わせて、飽和食塩水で洗浄し、無水MgSOで乾燥後、ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、生成物として安息香酸を得た。この生成物、およびその収率を表5に示す。後述の実施例5B〜5Dの結果も併せて表5に示す。
(実施例5B)
溶媒としてアセトニトリル/水(1:1)の代わりに酢酸エチル/水(2:1)を用いたこと、およびTCCAの1.0Mアセトニトリル溶液の代わりにTCCAの0.67M酢酸エチル溶液を用い、該TCCAの量がベンジルアルコールの水酸基1当量に対して0.67当量となるように滴下したこと以外は、実施例5Aと同様である。
(実施例5C)
ベンジルアルコールの代わりにけい皮アルコールを用いたこと以外は、実施例5Aと同様である。
(実施例5D)
ベンジルアルコールの代わりにけい皮アルコールを用い、かつ溶媒としてアセトニトリル/水(1:1)の代わりに酢酸エチル/水(2:1)を用いたこと、およびTCCAの1.0Mアセトニトリル溶液の代わりにTCCAの0.67M酢酸エチル溶液を用い、該TCCAの量がベンジルアルコールの水酸基1当量に対して0.67当量となるように滴下したこと以外は、実施例5Aと同様である。
Figure 0004650714
表5から明らかなように、ベンジルアルコールを出発物質とし、溶媒としてアセトニトリル−水混液を用いたとき(実施例5A)には、対応するカルボン酸である安息香酸が優先的に生成し、溶媒として酢酸エチル−水混液を用いたとき(実施例5B)には、対応するアルデヒドであるベンズアルデヒドが選択的に生成することがわかる。これに対して、けい皮アルコールを出発物質とし、溶媒としてアセトニトリル−水混液を用いたとき(実施例5C)には、対応するアルデヒドであるけい皮アルデヒドと対応するカルボン酸であるけい皮酸とが約2:1の割合で生成し、溶媒として酢酸エチル−水混液を用いたとき(実施例5D)には、けい皮アルデヒドが選択的に生成することがわかる。
(実施例6A)
アセトニトリルと1Mリン酸緩衝液(pH5)とを1:1で含有する混合溶媒中に2−オクタノールを0.5Mの割合で含有する溶液を調製した。これに、RuCl・3HO(2−オクタノールの水酸基1当量に対して0.01当量)、TBAB(2−オクタノールの水酸基1当量に対して0.02当量)を加え攪拌した。次いで、TCCAの1Mアセトニトリル溶液を、該TCCAの量が2−オクタノールの水酸基1当量に対して1.0当量となるように滴下した。このとき発熱が起こるので、水冷にて内温を室温〜45℃に保った。同温度範囲で3時間攪拌した。上記反応時において、適宜3.0M炭酸カリウム水溶液を加えて、反応系のpHを5±0.2の範囲内に維持した。次いで、内部標準として、トリデカンを用いたガスクロマトグラフィ(GC)分析を行なった。その結果、メチルへキシルケトンが、定量的に得られた。反応による変換率、生じた化合物およびその収率(%)を表6に示す。後述の実施例6Bおよび6Cの結果も併せて表6に示す。
(実施例6Bおよび6C)
反応系のpHを表6に示す値に設定・維持したこと以外は実施例6Aと同様である。
Figure 0004650714
表6から明らかなように、出発物質として第2級アルコールを用いた場合にも、pH5以上の反応条件において、対応するケトンが効果的に製造される。
(実施例6D)
溶媒のアセトニトリル−1Mリン酸緩衝液(1:1)の代わりに、酢酸エチル−水混合液、MIBK−水混合液、またはヘプタン−水混合液(いずれも2−オクタノールの水酸基1当量に対して3.0当量の炭酸カリウムを含む)を用いたこと以外は、実施例6Aと同様に反応を行なった。その結果、溶媒が酢酸エチル−水混合液およびMIBK−水混合液の場合は、実施例6Aと同様に3時間で出発物質の2−オクタノールがすべて消費された。溶媒がヘプタン−水混合液の場合は、2−オクタノールがすべて消費されるのに40時間を要した。
次に、溶媒として、酢酸エチルまたはMIBK(いずれも2−オクタノールの水酸基1当量に対して3.0当量の炭酸カリウムを含む)を単独で用い、同様に反応を行なったところ、ほぼ同様の結果が得られた。
(実施例7A)
第2級アルコールとして2−オクタノールを用いた。このアルコールのアセトニトリル−水(1:1)溶液(0.5M)に、RuCl・3HO(2−オクタノールの水酸基1当量に対して0.01当量)、TBAB(2−オクタノールの水酸基1当量に対して0.02当量)、および炭酸カリウム(2−オクタノールの水酸基1当量に対して3.0当量)を加え攪拌した。次いで、TCCAの1.0Mアセトニトリル溶液を、該TCCAの量が該2−オクタノールの水酸基1当量に対して1.0当量となるように滴下した。このとき発熱が起こるので、水冷にて内温を室温〜45℃に保った。同温度範囲で3時間攪拌した。次いで、内部標準としてトリデカンを用いてガスクロマトグラフィ(GC)分析を行なった。その結果、メチルヘキシルケトンが表7に示す割合で生じたことが確認された。表7に、出発物質のアルコール、生成物および収率を示す。後述の実施例7B〜7Gについても併せて表7に示す。
(実施例7B〜7D)
表7に示す第2級アルコールを出発物質とし、溶媒として酢酸エチル−水(1:1)を用いたこと、およびTCCAの0.67M酢酸エチル溶液を、該TCCAの量が該アルコールの水酸基1当量に対して0.67当量となるように滴下したこと以外は実施例7Aと同様に反応を行なった。実施例7Bおよび7Cの収率はガスクロマトグラフィーにより決定された収率であり、実施例7Bの内部標準はノナンであり、実施例7Cの内部標準はトリデカンである。実施例7Dの収率は単離収率である。
(実施例7E)
表7に示す第2級アルコールを出発物質とし、溶媒としてアセトニトリルを単独で用い、炭酸カリウムの代わりに酢酸ナトリウム(該アルコールの水酸基1当量に対して5.0当量)を用いたこと以外は実施例7Aと同様にして反応を行なった。表7における実施例7Eの収率は単離収率である。
(実施例7F)
表7に示す第2級アルコールを出発物質とし、溶媒として酢酸エチル−水(1:1)を用いたことおよびTCCAの酢酸エチル溶液を用いたこと以外は、実施例7Aと同様にして反応を行なった。表7における実施例7Fの収率は単離収率である。
(実施例7G)
表7に示す第2級アルコールを出発物質とし、溶媒としてアセトニトリルを単独で用い、炭酸カリウムの代わりに酢酸ナトリウム(該アルコールの水酸基1当量に対して5.0当量)を用いたこと以外は実施例7Aと同様にして反応を行なった。表7における実施例7Gの収率は単離収率である。
Figure 0004650714
表7から明らかなように、実施例7Dのケトアルコールおよび実施例7Eのα−ヒドロキシエステルのように分解しやすい化合物の場合も対応するケトンに酸化することが可能であった。実施例7Fのように、酸性条件で不安定なアセタール構造を有し、しかも分解しやすいラクトール構造を有する化合物の場合も分解することなく、対応するケトンに酸化された。さらに、実施例7Gのように、生成物のケトンが塩基性条件で不安定なエステル構造を有し、しかも立体障害が大きい場合も、対応するケトンが高収率で得られた。
(実施例8)1−オクタン酸の製造
1−オクタノール(390mg,2.99mmol)の50%アセトニトリル/水(6.0mL)溶液に、RuCl・3HO(7.80mg,30.0μmol)、TBAB(19.3mg,59.9μmol)およびKCO(1.24g,9.00mmol)を加え攪拌した。次いで、TCCA(700mg,3.01mmol)のアセトニトリル(3.0mL)溶液を滴下した。このとき発熱が起こるので、水冷にて内温を25〜45℃に保った。同温度範囲で1時間攪拌した後、2−プロパノール(150μL,1.97mmol)を加えて、さらに1時間攪拌して、未反応の酸化剤(TCCA)を分解した。
反応液をハイフロスーパーセル(登録商標)を通してろ過することにより不溶物を除いた後、5%塩酸を加えてpH2として、ろ液の有機層を分取した。水層に酢酸エチル(1.5ml)を加えて、有機層を分取した。2つの有機層を合わせて、飽和食塩水(2ml×2)で洗浄して、無水MgSOで乾燥後、ろ過した。ろ液を減圧濃縮して、1−オクタン酸(410mg,94.9%)を得た。
(実施例9)2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−カルボン酸の製造
2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール(2.64g,20.0mmol)の50%アセトニトリル/水(40mL)溶液に、RuCl・3HO(52.3mg,0.200mmol)、TBAB(129mg,0.400mmol)、およびKCO(8.29g,60.0mmol)を加え攪拌した。次いで、TCCA(4.64g,20.0mmol)のアセトニトリル(20mL)溶液を滴下した。このとき発熱が起こるので、水冷にて内温を25〜45℃に保った。同温度範囲で2時間攪拌した後、2−プロパノール(1.00mL,13.1mmol)を加えて、さらに1時間攪拌して、未反応の酸化剤を分解した。
反応液の一部を0.5%塩酸でpH4とした。その溶液にテトラメチルシリルジアゾメタンとメタノールを加えて、反応液中に存在するカルボン酸をメチルエステルに誘導した。内部標準にトリデカンを用いて、反応液をGC分析した結果、ソルケタールは100%消費されており、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−カルボン酸メチルエステル(96.2%)が生成していた。GC(分析条件2):t9.0分(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−カルボン酸メチルエステル),13.3分(トリデカン)
(実施例10)安息香酸の製造
ベンジルアルコール(2.16g,20mmol)の50%アセトニトリル/水(40mL)溶液に、RuCl・3HO(52.3mg,0.200mmol)、TBAB(129mg,0.400mmol)、およびKCO(8.29g,60.0mmol)を加え攪拌した。次いで、還流下にTCCA(4.64g,20.0mmol)のアセトニトリル(20mL)溶液を滴下した。1時間攪拌した後、2−プロパノール(1.00mL,13.1mmol)を加えて、さらに1時間攪拌して、未反応の酸化剤を分解した。
反応液をハイフロスーパーセル(登録商標)を通してろ過することにより不溶物を除いた後、5%塩酸を加えて水層をpH2とし、有機層を分取した。水層に酢酸エチル(10ml)を加えて、有機層を分取した。2つの有機層を合わせて、飽和食塩水(10ml×2)で洗浄し、無水MgSOで乾燥後、ろ過した。ろ液を減圧濃縮して、安息香酸(2.29g,93.9%)を得た。HPLC含量:99.9%(面積%)。HPLC:YMC−Pack ODS AM−302(4.6mmφ×150mm),水/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸70/30/0.1,流速1.0ml/分,254nm,t5.0分
(実施例11)ベンズアルデヒドの製造
ベンジルアルコール(2.16g,20mmol)の50%酢酸エチル/水(40mL)溶液に、RuCl・3HO(52.3mg,0.200mmol)、TBAB(129mg,0.400mmol)およびKCO(8.29g,60.0mmol)を加え攪拌した。次いで、TCCA(3.09g,13.3mmol)の酢酸エチル(20mL)溶液を滴下した。このとき発熱が起こるので、水冷にて内温を25〜45℃に保った。同温度範囲で1時間攪拌した後、2−プロパノール(1.00mL,13.1mmol)を加えて、さらに1時間攪拌して、未反応の酸化剤を分解した。
反応液をハイフロスーパーセル(登録商標)を通してろ過することにより不溶物を除いた後、ろ液の有機層を分取した。水層に酢酸エチル(10ml)を加えて、有機層を分取した。2つの有機層を合わせて、飽和食塩水(10ml×2)で洗浄して、無水MgSOで乾燥、ろ過した。ろ液を減圧濃縮して、ベンズアルデヒド(1.84g,86.8%)を得た。HPLC含量:99.6%(面積%)。HPLC:YMC−Pack ODS AM−302(4.6mmφ×150mm),水/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸70/30/0.1,流速1.0ml/分,254nm,t 8.0分
(実施例12)けい皮アルデヒドの製造
けい皮アルコール(2.68g,20.0mmol)の50%酢酸エチル/水(40mL)溶液、RuCl・3HO(52.3mg,0.200mmol)、TBAB(129mg,0.400mmol)およびKCO(8.29g,60.0mmol)を加え攪拌した。次いで、TCCA(3.09g,13.3mmol)の酢酸エチル(20mL)溶液を滴下した。このとき発熱が起こるので、水冷にて内温を25〜45℃に保った。同温度範囲で1時間攪拌した後、2−プロパノール(1.00mL,13.1mmol)を加えて、さらに1時間攪拌して、未反応の酸化剤を分解した。
反応液をハイフロスーパーセル(登録商標)を通してろ過することにより不溶物を除いた後、ろ液の有機層を分取した。水層に酢酸エチル(10ml)を加えて、有機層を分取した。2つの有機層を合わせて、飽和食塩水(10ml×2)で洗浄して、無水MgSOで乾燥、ろ過した。ろ液を減圧濃縮して、けい皮アルデヒド(2.60g,98.5%)を得た。HPLC含量:95.5%(面積%)。HPLC:YMC−Pack ODS AM−302(4.6mmφ×150mm),水/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸70/30/0.1,流速 1.0ml/分,254nm,t12.0分
(実施例13)2−オクタノンの製造
2−オクタノール(390mg,2.99mmol)の50%アセトニトリル/水(6.0mL)溶液に、RuCl・3HO(7.8mg,30.0μmol)、TBAB(19.3mg,59.9μmol)、およびKCO(1.24g,9.00mmol)を加え攪拌した。次いで、TCCA(700mg,3.01mmol)のアセトニトリル(3mL)溶液を滴下した。このとき発熱が起こるので、水冷にて内温を25〜45℃に保った。同温度範囲で1時間攪拌した後、2−プロパノール(150μL,1.97mmol)を加えて、さらに1時間攪拌して、未反応の酸化剤を分解した。
内部標準にトリデカンを用いて、反応液をGC分析した結果、2−オクタノールは100%消費されており、2−オクタノン(98.4%)が生成していた。GC(分析条件1):t4.3分(トリデカン),4.8分(2−オクタノン)
(実施例14)シクロペンタノンの製造
シクロペンタノール(860mg,9.98mmol)の50%酢酸エチル/水(20mL)溶液に、RuCl・3HO(26.2mg,0.100mol)、TBAB(64.4mg,0.200mmol)、およびKCO(4.15g,30.0mmol)を加え攪拌した。次いで、TCCA(1.56g,6.71mmol)の酢酸エチル(10mL)溶液を滴下した。このとき発熱が起こるので、水冷にて内温を25〜45℃に保った。同温度範囲で1時間攪拌した後、2−プロパノール(500μL,6.57mmol)を加えて、さらに1時間攪拌して、未反応の酸化剤を分解した。
内部標準にノナンを用いて、反応液をGC分析した結果、シクロペンタノールは100%消費されており、シクロペンタノン(89.9%)が生成していた。GC:分析条件2,t8.8分(シクロペンタノン),10.4分(ノナン)
(実施例15)ベンゾフェノンの製造
ベンゾヒドロール(3.68g,20.0mmol)の50%酢酸エチル/水(40mL)溶液に、RuCl・3HO(52.3mg,0.200mmol)、TBAB(129mg,0.400mmol)およびKCO(8.29g,60.0mmol)を加え攪拌した。次いで、TCCA(3.09g,13.3mmol)の酢酸エチル(20mL)溶液を滴下した。このとき発熱が起こるので、水冷にて内温を25〜45℃に保った。同温度範囲で1時間攪拌した後、2−プロパノール(1.00mL,13.1mmol)を加えて、さらに1時間攪拌して、未反応の酸化剤を分解した。
内部標準にトリデカンを用いて、反応液をGC分析した結果、ベンゾヒドロールは100%消費されており、ベンゾフェノン(95.4%)が生成していた。GC:分析条件2,t6.8分(ベンゾフェノン),21.5分(トリデカン)
(実施例16)ベンジルの製造
ベンゾイン(4.25g,20.0mmol)の50%酢酸エチル/水(40 mL)溶液に、RuCl・3HO(52.3mg,0.200mmol)、TBAB(129 mg,0.400mmol)およびKCO(8.29g,60.0mmol)を加え攪拌した。次いで、TCCA(3.09g,13.3mmol)の酢酸エチル(20mL)溶液を滴下した。このとき発熱が起こるので、水冷にて内温を25〜45℃に保った。同温度範囲で1時間攪拌した後、2−プロパノール(1.00mL,13.1mmol)を加えて、さらに1時間攪拌して、未反応の酸化剤を分解した。
不溶物をハイフロスーパーセル(登録商標)を通して、ろ過した後、ろ液の有機層を分取した。水層に酢酸エチル(10ml)を加えて、有機層を分取した。2つの有機層を合わせて、飽和食塩水(10ml×2)で洗浄して、無水MgSOで乾燥、ろ過した。ろ液を減圧濃縮して、ベンジル(3.27g,77.7%)を得た。HPLC含量:98.7%(面積%)。HPLC:YMC−Pack ODS AM−302(4.6mmφ×150mm),アセトニトリル/水 60/40,流速 1.0 ml/分,254nm,t8.0分
mp 96‐98 ℃; 400 MHz 1H-NMR (CDCl3) δ7.99‐7.96(m, 4H), 7.67‐7.63(m, 2H), 7.53‐7.49(m, 4H); 13C-NMR (CDCl3) δ194.5, 134.8, 132.9, 129.8, 129.0; IRνmax(KBr)3317, 3064, 3029, 3007, 1660, 1594, 1577, 1450, 1325, 1211, 876, 795, 718, 696, 681, 642 cm-1
(実施例17)ケトパントラクトンの製造
パントラクトン(2.60g,20.0mmol)のアセトニトリル(40 mL)溶液に、RuCl・3HO(52.3mg,0.200mmol)、TBAB(129mg,0.400mmol)、および酢酸ナトリウム(8.20g,100mmol)を加え攪拌した。次いで、TCCA(4.64g,20mmol)のアセトニトリル(20mL)溶液を滴下した。このとき発熱が起こるので、水冷にて内温を25〜45℃に保った。同温度範囲で1時間攪拌した後、2−プロパノール(1.00mL,13.1mmol)を加えて、さらに1時間攪拌して、未反応の酸化剤を分解した。
反応混合物を水に注ぎ、これをハイフロスーパーセル(登録商標)を通してろ過し不溶物を濾去した後、ろ液の有機層を分取した。水層に酢酸エチル(10ml)を加えて、有機層を分取した。2つの有機層を合わせて、飽和食塩水(10ml×2)で洗浄して、無水MgSOで乾燥、ろ過した。ろ液を減圧濃縮して、ケトパントラクトン(2.50g,97.7 %)を得た。
mp 68‐70 ℃; 400 MHz 1H-NMR (CDCl3) δ4.48(s, 2H), 1.33(s, 6H); 13C-NMR (CDCl3) δ198.1, 160.4, 77.0, 41.8, 22.0; IRνmax(KBr) 3526, 2988, 2971, 2937, 1764, 1460, 1395, 1280, 1043, 1009, 991, 952, 940, 732 cm-1
(実施例18)1,3,5−トリ−O−ベンゾイル−α−D−2−ケトリボフラノースの製造
1,3,5−トリ−O−ベンゾイル−α−D−リボフラノース(1.30g,2.81mmol)の50%酢酸エチル/水(5.6mL)溶液に、RuCl・3HO(7.3mg,27.9μmol)、TBAB(18.1mg,56.1μmol)、およびKCO 4.15g(30mmol)を加え攪拌した。次いで、室温でTCCA(653mg,2.81mmol)の酢酸エチル(2.8mL)溶液を滴下した。このとき発熱が起こるので、水冷にて内温を25〜45 ℃に保った。同温度範囲で1時間攪拌した後、2−プロパノール(140μL,1.84mmol)を加えて、さらに1時間攪拌して、未反応の酸化剤を分解した。
反応液をハイフロスーパーセル(登録商標)を通してろ過することにより不溶物を除いた後、ろ液の有機層を分取した。水層に酢酸エチル(1.5ml)を加えて、有機層を分取した。2つの有機層を合わせて、飽和食塩水(1.5ml×2)で洗浄して、無水MgSOで乾燥、ろ過した。ろ液を減圧濃縮して、1,3,5−トリ−O−ベンゾイル−α−D−2−ケトリボフラノース(0.93g,71.9%)を得た。
mp 101‐102 ℃; 400 MHz 1H-NMR (CDCl3) δ8.09‐7.94(m, 6H), 7.63‐7.36(m, 9H), 6.17(d, J = 6.0 Hz, 1H), 5.94(d, J = 6.4 Hz, 1H), 5.10‐5.08(m, 1H), 4.80(d, J = 2.8 Hz 1H), 4.73(d, J = 3.2 Hz 1H); 13C-NMR (CDCl3) δ165.6, 165.3, 164.9, 134.0, 133.9, 133.8, 130.1, 129.9, 129.7, 128.8, 128.6, 128.5, 128.3, 128.0, 80.6, 70.4, 67.1, 63.4 ; IRνmax(KBr) 3443, 3064, 3034, 2976, 1770, 1732, 1601, 1584, 1452, 1317, 1272,1118, 1065, 1024, 982, 706 cm-1; LC-MS(ESI) m/z C26H20O8 460[M], 483[M + Na]。
(実施例19)2,3:5,6−ジ−O−イソプロピリデン−D−マンノ−γ−ラクトンの製造
2,3:4,5−ジ−O−イソプロピリデン−α−D−マンノフラノース(2.60g,9.99mmol)のアセトニトリル(20mL)溶液に、RuCl・3HO(26.2mg,0.100mol)、TBAB(64.4mg,0.200mmol)および酢酸ナトリウム(4.10g,50.0mmol)を加え攪拌した。次いでTCCA(2.32g,9.98mmol)の酢酸エチル(10mL)溶液を滴下した。このとき発熱が起こるので、水冷にて内温を25〜45℃に保った。同温度範囲で1時間攪拌した後、2−プロパノール(500μL,6.57mmol)を加えて、さらに1時間攪拌して、未反応の酸化剤を分解した。
反応混合物を水に注ぎ、これをハイフロスーパーセル(登録商標)を通してろ過し不溶物を濾去した後、ろ液の有機層を分取した。水層に酢酸エチル(5ml)を加えて、有機層を分取した。2つの有機層を合わせて、飽和食塩水(5ml×2)で洗浄して、無水MgSOで乾燥、ろ過した。ろ液を減圧濃縮して、2,3:5,6−ジ−O−イソプロピリデン−D−マンノ−γ−ラクトン(1.35g,52.3%)を得た。
mp 124‐125 ℃; 400 MHz 1H-NMR (CDCl3) δ4.90‐4.84(m, 2H), 4.44‐4.37(m, 2H), 4.15(dd, J = 5.6 Hz, 9.2 Hz, 1H), 4.07(dd, J = 4.1 Hz, 9.2 Hz, 1H), 1.49(s, 3H), 1.47(s, 3H), 1.43(s, 3H), 1.40(s, 3H); 13C-NMR (CDCl3) δ173.4, 114.4, 109.8, 78.1, 76.0, 75.8, 72.5, 66.4, 26.9, 26.7, 25.7, 25.1; IRνmax(KBr) 2991, 2939, 2893, 1784, 1382, 1259, 1216, 1153, 1121, 1084, 1042, 977, 856 cm-1; LC-MS(ESI) m/z C12H18O6Na 281[M + Na]。
本発明によれば、ルテニウム化合物を酸化触媒としてアルコールからカルボニル化合物を効果的に製造する方法が提供される。本発明の方法は、各種カルボニル化合物の簡便かつ効果的な製造方法として、医薬、農薬、電子材料を中心としたファインケミカルなどの広い分野で好適に利用され得る。

Claims (14)

  1. 触媒量のルテニウム化合物の存在下、有機溶媒を含む溶媒中でトリクロロイソシアヌル酸を用いてアルコールの酸化反応を行なう工程を包含する、カルボニル化合物の製造方法であって、
    該有機溶媒が、該ルテニウム化合物により実質的に酸化されず、かつカルボン酸以外の有機溶媒である、製造方法。
  2. 触媒量のルテニウム化合物の存在下、トリクロロイソシアヌル酸を用いてアルコールの酸化反応を行なう工程を包含する、カルボニル化合物の製造方法であって、
    該酸化反応が、有機溶媒および水を含むpH5〜14の混合溶媒中で行なわれ、該有機溶媒が、該ルテニウム化合物により実質的に酸化されない有機溶媒である、製造方法。
  3. 触媒量のルテニウム化合物の存在下、トリクロロイソシアヌル酸を用いてアルコールの酸化反応を行なう工程を包含する、カルボニル化合物の製造方法であって、
    該酸化反応が、塩基の存在下、有機溶媒中で行なわれ、該有機溶媒が、該ルテニウム化合物により実質的に酸化されない有機溶媒である、製造方法。
  4. 前記アルコールが第1級アルコールであり、前記カルボニル化合物がカルボン酸またはアルデヒドである、請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記アルコールが第2級アルコールであり、前記カルボニル化合物がケトンである、請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記ルテニウム化合物が塩化ルテニウム(III)である、請求項1から5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 前記酸化反応が、有機溶媒と水とを含む反応系において、相間移動触媒として4級アンモニウム塩を用いて行なわれる、請求項1、2、および4からのいずれかに記載の製造方法。
  8. 前記酸化反応が、有機溶媒中において、相間移動触媒として4級アンモニウム塩を用いて行なわれる、請求項1、および3からのいずれかに記載の製造方法。
  9. 前記溶媒がアセトニトリルと水とを含む溶媒であり、前記アルコールがアリール基で置換されたメタノールであり、前記カルボニル化合物がアリール基で置換されたギ酸である、請求項1、2、4、6および7のいずれかに記載の製造方法。
  10. 前記アリール基で置換されたメタノールがベンジルアルコールであり、前記アリール基で置換されたギ酸が安息香酸である請求項に記載の製造方法。
  11. 前記溶媒が酢酸エチルと水とを含む溶媒であり、前記アルコールがアリール基で置換されたメタノールであり、前記カルボニル化合物がアリール基で置換されたホルムアルデヒドである、請求項1、2、4、6および7のいずれかに記載の製造方法。
  12. 前記アリール基で置換されたメタノールがベンジルアルコールであり、前記アリール基で置換されたホルムアルデヒドがベンズアルデヒドである、請求項11に記載の製造方法。
  13. 前記溶媒が酢酸エチルと水とを含む溶媒であり、前記アルコールが1個から3個のアリール基で置換された第1級のアリルアルコールであり、前記カルボニル化合物が1個から3個のアリール基で置換されたアクロレインである、請求項1、2、4、6および7のいずれかに記載の製造方法。
  14. 前記第1級のアリルアルコールがけい皮アルコールであり、前記1個から3個のアリール基で置換されたアクロレインがけい皮アルデヒドである、請求項13に記載の製造方法。
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