JP2005075784A - カルボニル化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 触媒量のルテニウム化合物の存在下、該ルテニウム化合物により実質的に酸化されない有機溶媒を含む溶媒中でN−ハロイミド化合物またはN−ハロアミド化合物を用いてアルコールの酸化反応を行なう工程を包含する、カルボニル化合物の製造方法。使用される溶媒は、カルボン酸以外の有機溶媒を含む溶媒;有機溶媒および水を含むpH5〜14の混合溶媒;もしくは、塩基を含む有機溶媒である。
【選択図】 なし
Description
E. J. コーリー (E. J. Corey), J. W. サグス (J. W. Suggs), テトラヘドロン レターズ (Tetrahedron Lett.), 1975, 16, 2647 D. B. デス (D. B. Dess), J. C. マーチン (J. C. Martin), ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー (J. Org. Chem)., 1983, 48, 4155 S. V. レイ (S. V. Ley), J. ノーマン (J. Norman), シンセシス (Synthesis), 1994, 639 A. J. マンキュソ (A. J. Mancuso), S.- L. フアング (S. −L. Huang), D. スウェーン (D. Swern), ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー (J. Org. Chem)., 1978, 43, 2480 K. サトウ (K. Sato), R. ノヨリ (R. Noyori), ジャーナル オブ ジ アメリカン ケミカル ソサエティー (J. Am. Chem. Soc.), 1997, 119, 12386 J. D. アルブライト (J. D. Albright), L. ゴールドマン(L. Goldman), ジャーナル オブ ジ アメリカン ケミカル ソサエティー (J. Am. Chem. Soc.), 1965, 87, 4214 J. R. パリック (J. R. Parikh), W. v. E. ドーエリング (W. v. E. Doering), ジャーナル オブ ジ アメリカン ケミカル ソサエティー (J. Am. Chem. Soc.), 1967, 89, 5505 P. H. J. カールセン (P. H. J. Carlsen), K. B. シャープレス (K. B. Sharpless), ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー (J. Org. Chem.), 1981, 46, 3936 S. C. パティ (S. C. Pati), A. K. サフ (A. K. Sahu), オキシデーション コミュニケーションズ (Oxidation Communications), 1986, 8, 243 S. C. パティ (S. C. Pati), H. P. パシィ (H. P. Pathy), オキシデーション コミュニケーションズ (Oxidation Communications), 1987, 10, 19 S. C. パティ (S. C. Pati), A. K. サフ (A. K. Sahu), カレント サイエンス (Current Science), 1988, 57, 325 S. C. パティ (S. C. Pat), A. K. サフ (A. K. Sahu), レビュー ルーマニー デ シミ (Revue Roumaine de Chimi), 1988, 157 S. C. パティ (S. C. Pati), P. S. C. パトロ (P. S. C. Patro), プロシーディングス オブ ザ インデアン ナショナル サイエンス アカデミー (Proc. Indian natn. Sci. Acad.), 1989, 75 R. V. G. K. モハン (R. V. G. K. Mohan), S. ソンディュ (S. Sondu), リアクション カイネティクス アンド キャタリシス レターズ (React. Kinet. Catal. Lett.), 1997, 61, 167
出発物質のアルコールとしては、第1級アルコールまたは第2級アルコールが用いられる。この第1級アルコールは、上記(1)式または(2)式において、R1CH2OHで示される化合物であり、第2級アルコールは、上記(3)式においてR2(R3)CHOHで示される化合物である。
ルテニウム化合物は、酸化触媒(酸化剤)として用いられる。ルテニウム化合物としては、塩化ルテニウム、酸化ルテニウム、塩化ルテニウム、臭化ルテニウム、ヨウ化ルテニウム、水酸化ルテニウム、硫化ルテニウム、硫酸ルテニウムなどがある。ルテニウム化合物は、出発物質となるアルコールの水酸基1当量に対して、0.0001〜0.5当量、好ましくは0.002〜0.04当量の割合で用いられる。
これらの化合物はルテニウム化合物を用いたアルコールの酸化反応において、共酸化剤として用いられる。N−ハロイミド化合物としては、イソシアヌル酸誘導体、ジメチルヒダントイン誘導体、スクシンイミド誘導体、フタルイミド誘導体などが好適に用いられる。そのような化合物としては、トリクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸カリウム、1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジメチルヒダントイン、N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド、N−ヨードスクシンイミド、N−クロロフタルイミド、N−ブロモフタルイミド、N−ヨードフタルイミドなどがある。N−ハロアミド化合物としては、ベンゼンスルホンクロロアミドナトリウム、4−トルエンスルホンクロロアミドナトリウム、ジクロロアミノスルホニルベンゼン、4−ジクロロアミノスルホニルトルエン、4−ジクロロアミノスルホニル安息香酸、N−ブロモアセトアミド、N−ジクロロアセトアミドなどがある。N−ハロイミド化合物またはN−ハロアミド化合物は、出発物質のアルコールの水酸基1当量に対して、0.33〜20当量、好ましくは0.33〜5.0当量の割合で用いられる。
本発明の方法において用いられる溶媒は、上述のように、有機溶媒を含む溶媒であり、該有機溶媒は該ルテニウム化合物により実質的に酸化されない化合物である。
本発明のカルボニル化合物の製造方法においては、必要に応じて相間移動触媒が用いられる。そのような触媒としては、4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩などがある、例えば次の化合物が挙げられる:臭素化テトラ−n−ブチルアンモニウム(TBAB)、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、硫酸水素テトラメチルアンモニウム、p−トルエンスルホン酸テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、硫酸水素テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラn−ブチルアンモニウム、硫酸水素テトラn−ブチルアンモニウム、水酸化テトラn−ブチルアンモニウム、塩化フェニルトリメチルアンモニウム、臭化フェニルトリメチルアンモニウム、硫酸水素フェニルトリメチルアンモニウム、水酸化フェニルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、臭化ベンジルトリエチルアンモニウム、硫酸水素ベンジルトリエチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリエチルアンモニウム、塩化ベンジルセチルジメチルアンモニウム、臭化ベンジルセチルジメチルアンモニウム、硫酸水素ベンジルセチルジメチルアンモニウム、水酸化ベンジルセチルジメチルアンモニウム、塩化n−デシルトリメチルアンモニウム、臭化n−デシルトリメチルアンモニウム、硫酸水素n−デシルトリメチルアンモニウム、水酸化n−デシルトリメチルアンモニウム、塩化アセチルコリン、臭化アセチルコリン、塩化−1−ヘキサデシルピリジニウム、臭化−1−ヘキサデシルピリジニウム、塩化−1−ドデシルピリジニウム、臭化−1−ドデシルピリジニウム、塩化−1−エチルピリジニウムなど。相間移動触媒は、出発物質となるアルコールの水酸基1当量に対して0.0005〜1.0当量の割合で、好ましくは0.002〜0.08当量の割合で用いられる。
(VI.1)第1級アルコールの酸化によるカルボニル化合物の製造
本発明の方法により、第1級アルコールを出発物質として反応を行なうことにより、カルボン酸またはアルデヒドが製造される。例えば、共酸化剤として、N−ハロイミド化合物であるトリクロロイソシアヌル酸を用いて酸化反応を行なうと、次式(1)または(2)に示すように、対応するカルボン酸またはアルデヒドが生じる。
本発明の方法により、第2級アルコールを用いて反応を行なうことにより、ケトンが製造される。例えば、共酸化剤として、N−ハロイミド化合物であるトリクロロイソシアヌル酸を用いて酸化反応を行なうと、次に示すように、対応するケトンが生じる。
本発明によれば、このように、ルテニウム化合物の存在下でN−ハロイミド化合物またはN−ハロアミド化合物を共酸化剤として用い、アルコールの酸化反応を行なうことにより、カルボン酸、アルデヒド、またはケトンというカルボニル化合物が効果的に製造される。この方法においては、上述のように、特定の有機溶媒を含む溶媒(有機溶媒と水との混合液または有機溶媒単独の溶媒)、特定のpHの混合溶媒、もしくは塩基を含む有機溶媒が用いられる。溶媒として、酢酸などの強酸性溶媒を用いず、中性条件で反応を進めることが可能であるため、出発物質のアルコールおよび生成したカルボニル化合物のいずれもが安定であり、目的とするカルボニル化合物が高純度かつ高収率で得られる。さらに、溶媒の種類を変えることにより、第1級アルコールからカルボン酸およびアルデヒドのいずれかを選択的に製造することが可能である。本発明の方法は、上記各種カルボニル化合物の製造方法として、好適に利用され得る。
分析条件2:島津製作所 GC−17A分析機,J&W Scientific DB−624(30m, 0.53mmφ),キャリアーガス He,線速度 27cm/s,試料注入口 260℃,カラム温度 130℃(3分間),10℃/分,210℃(4分間),検出器 FID 300℃。
1−オクタノールのアセトニトリル−水(1:1)溶液(0.5M)に、RuCl3・3H2O(1−オクタノールの水酸基1当量に対して0.01当量)、臭素化テトラ−n−ブチルアンモニウム(TBAB)(1−オクタノールの水酸基1当量に対して0.02当量)、および塩基として水酸化ナトリウム(1−オクタノールの水酸基1当量に対して3.0当量)を加え攪拌した。次いで、TCCAの1Mアセトニトリル溶液を、該TCCAの量が1−オクタノールの水酸基1当量に対して1.0当量となるように滴下した。このとき発熱が起こるので、水冷にて内温を室温〜45℃に保った。同温度範囲で3時間攪拌した。反応系のpHは、初期値が14、終了時が5であった。次いで、内部標準としてトリデカンを用いて、ガスクロマトグラフィ(GC)分析を行なった。1−オクタノールは全て消失しており(変換率100%)、1−オクタン酸が80.6%の割合で生じたことが確認された。反応による変換率、生じた化合物およびその収率(%)を表1に示す。後述の実施例1B〜1Eの結果も併せて表1に示す。
塩基として表1に示す化合物を表1に示す割合で用いたこと以外は実施例1Aと同様である。
塩基を用いなかったこと以外は、実施例1Aと同様である。このときの反応液のpHは、初期値が7、終了時は1であった。
アセトニトリルと1Mリン酸緩衝液(pH5)とを1:1で含有する混合溶媒中に1−オクタノールを0.5Mの割合で含有する溶液を調製した。これにRuCl3・3H2O(1−オクタノールの水酸基1当量に対して0.01当量)およびTBAB(1−オクタノールの水酸基1当量に対して0.02当量)を加えた。次いで、TCCAの1Mアセトニトリル溶液を、該TCCAの量が1−オクタノールの水酸基1当量に対して1.0当量となるに滴下した。このとき発熱が起こるので、水冷にて内温を室温〜45℃に保った。同温度範囲で3時間攪拌した。上記反応時において、適宜3.0M炭酸カリウム水溶液を加えて、反応系をpHを5±0.2の範囲内に維持した。次いで、内部標準としてトリデカンを用いてガスクロマトグラフィ(GC)分析を行なった。その結果、1−オクタン酸が、82.5%の割合で生じたことが確認された。反応による変換率、生じた化合物およびその収率(%)を表2に示す。後述の実施例2Bおよび2Cの結果も併せて表2に示す。
反応液のpHを表2に示す値に設定したこと以外は実施例2Aと同様である。
1−オクタノールのアセトニトリル−水(1:1)溶液(0.5M)に、RuCl3・3H2O(1−オクタノールの水酸基1当量に対して0.01当量)、TBAB(1−オクタノールの水酸基1当量に対して0.02当量)、炭酸カリウム(1−オクタノールの水酸基1当量に対して3.0当量)を加え攪拌した。次いで、TCCAの1.0Mアセトニトリル溶液を、該TCCAの量が1−オクタノールの水酸基1当量に対して1.0当量となるように滴下した。このとき発熱が起こるので、水冷にて内温を室温〜45℃に保った。同温度範囲で3時間攪拌した。次いで、内部標準としてトリデカンを用いて、ガスクロマトグラフィ(GC)分析を行なった。その結果、1−オクタン酸が、93.0%の割合で生じたことが確認された。反応による変換率、生じた化合物およびその収率(%)を表3に示す。後述の実施例3B〜3Eの結果も併せて表3に示す。
アセトニトリルの代わりに表3に示す溶媒を各々利用したこと以外は、実施例3Aと同様である。
1−オクタノールのアセトニトリル−水(1:1)溶液(0.5M)に、RuCl3・3H2O(1−オクタノールの水酸基1当量に対して0.01当量)、TBAB(1−オクタノールの水酸基1当量に対して0.02当量)、炭酸カリウム(1−オクタノールの水酸基1当量に対して3.0当量)を加え攪拌した。次いで、TCCAの1.0Mアセトニトリル溶液を、該TCCAの量が1−オクタノールの水酸基1当量に対して1.0当量となるように、滴下した。このとき発熱が起こるので、水冷にて内温を室温〜45℃に保った。同温度範囲で3時間攪拌した後、2−プロパノールを加えて、さらに1時間攪拌して、未反応の酸化剤(TCCA)を分解した。
1−オクタノールの代わりに2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノールを用いたこと以外は、実施例4Aと同様にして反応を行なった。反応液に2−プロパノールを加えて、さらに1時間攪拌して、未反応の酸化剤を分解した後、反応液の一部を0.5%塩酸でpH4とした。その溶液にテトラメチルシリルジアゾメタンとメタノールを加えて、反応液中に存在するカルボン酸をメチルエステルに誘導した。内部標準にトリデカンを用いて、反応液をGC分析した結果、ソルケタールは100%消費されており、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−カルボン酸メチルエステルが生成していた。この化合物の収率を表4に示す。
ベンジルアルコールのアセトニトリル−水(1:1)溶液(0.5M)に、RuCl3・3H2O(ベンジルアルコールの水酸基1当量に対して0.01当量)、TBAB(ベンジルアルコールの水酸基1当量に対して0.02当量)、炭酸カリウム(ベンジルアルコールの水酸基1当量に対して3.0当量)を加え攪拌した。次いで、TCCAの1.0Mアセトニトリル溶液を、該TCCAの量がベンジルアルコールの水酸基1当量に対して1.0当量となるように、滴下した。このとき発熱が起こるので、水冷にて内温を室温〜45℃に保った。同温度範囲で3時間攪拌した。反応液に2−プロパノールを加えて、さらに1時間攪拌して、未反応の酸化剤を分解した。
溶媒としてアセトニトリル/水(1:1)の代わりに酢酸エチル/水(2:1)を用いたこと、およびTCCAの1.0Mアセトニトリル溶液の代わりにTCCAの0.67M酢酸エチル溶液を用い、該TCCAの量がベンジルアルコールの水酸基1当量に対して0.67当量となるように滴下したこと以外は、実施例5Aと同様である。
ベンジルアルコールの代わりにけい皮アルコールを用いたこと以外は、実施例5Aと同様である。
ベンジルアルコールの代わりにけい皮アルコールを用い、かつ溶媒としてアセトニトリル/水(1:1)の代わりに酢酸エチル/水(2:1)を用いたこと、およびTCCAの1.0Mアセトニトリル溶液の代わりにTCCAの0.67M酢酸エチル溶液を用い、該TCCAの量がベンジルアルコールの水酸基1当量に対して0.67当量となるように滴下したこと以外は、実施例5Aと同様である。
アセトニトリルと1Mリン酸緩衝液(pH5)とを1:1で含有する混合溶媒中に2−オクタノールを0.5Mの割合で含有する溶液を調製した。これに、RuCl3・3H2O(2−オクタノールの水酸基1当量に対して0.01当量)、TBAB(2−オクタノールの水酸基1当量に対して0.02当量)を加え攪拌した。次いで、TCCAの1Mアセトニトリル溶液を、該TCCAの量が2−オクタノールの水酸基1当量に対して1.0当量となるように滴下した。このとき発熱が起こるので、水冷にて内温を室温〜45℃に保った。同温度範囲で3時間攪拌した。上記反応時において、適宜3.0M炭酸カリウム水溶液を加えて、反応系のpHを5±0.2の範囲内に維持した。次いで、内部標準として、トリデカンを用いたガスクロマトグラフィ(GC)分析を行なった。その結果、メチルへキシルケトンが、定量的に得られた。反応による変換率、生じた化合物およびその収率(%)を表6に示す。後述の実施例6Bおよび6Cの結果も併せて表6に示す。
反応系のpHを表6に示す値に設定・維持したこと以外は実施例6Aと同様である。
溶媒のアセトニトリル−1Mリン酸緩衝液(1:1)の代わりに、酢酸エチル−水混合液、MIBK−水混合液、またはヘプタン−水混合液(いずれも2−オクタノールの水酸基1当量に対して3.0当量の炭酸カリウムを含む)を用いたこと以外は、実施例6Aと同様に反応を行なった。その結果、溶媒が酢酸エチル−水混合液およびMIBK−水混合液の場合は、実施例6Aと同様に3時間で出発物質の2−オクタノールがすべて消費された。溶媒がヘプタン−水混合液の場合は、2−オクタノールがすべて消費されるのに40時間を要した。
第2級アルコールとして2−オクタノールを用いた。このアルコールのアセトニトリル−水(1:1)溶液(0.5M)に、RuCl3・3H2O(2−オクタノールの水酸基1当量に対して0.01当量)、TBAB(2−オクタノールの水酸基1当量に対して0.02当量)、および炭酸カリウム(2−オクタノールの水酸基1当量に対して3.0当量)を加え攪拌した。次いで、TCCAの1.0Mアセトニトリル溶液を、該TCCAの量が該2−オクタノールの水酸基1当量に対して1.0当量となるように滴下した。このとき発熱が起こるので、水冷にて内温を室温〜45℃に保った。同温度範囲で3時間攪拌した。次いで、内部標準としてトリデカンを用いてガスクロマトグラフィ(GC)分析を行なった。その結果、メチルヘキシルケトンが表7に示す割合で生じたことが確認された。表7に、出発物質のアルコール、生成物および収率を示す。後述の実施例7B〜7Gについても併せて表7に示す。
表7に示す第2級アルコールを出発物質とし、溶媒として酢酸エチル−水(1:1)を用いたこと、およびTCCAの0.67M酢酸エチル溶液を、該TCCAの量が該アルコールの水酸基1当量に対して0.67当量となるように滴下したこと以外は実施例7Aと同様に反応を行なった。実施例7Bおよび7Cの収率はガスクロマトグラフィーにより決定された収率であり、実施例7Bの内部標準はノナンであり、実施例7Cの内部標準はトリデカンである。実施例7Dの収率は単離収率である。
表7に示す第2級アルコールを出発物質とし、溶媒としてアセトニトリルを単独で用い、炭酸カリウムの代わりに酢酸ナトリウム(該アルコールの水酸基1当量に対して5.0当量)を用いたこと以外は実施例7Aと同様にして反応を行なった。表7における実施例7Eの収率は単離収率である。
表7に示す第2級アルコールを出発物質とし、溶媒として酢酸エチル−水(1:1)を用いたことおよびTCCAの酢酸エチル溶液を用いたこと以外は、実施例7Aと同様にして反応を行なった。表7における実施例7Fの収率は単離収率である。
表7に示す第2級アルコールを出発物質とし、溶媒としてアセトニトリルを単独で用い、炭酸カリウムの代わりに酢酸ナトリウム(該アルコールの水酸基1当量に対して5.0当量)を用いたこと以外は実施例7Aと同様にして反応を行なった。表7における実施例7Gの収率は単離収率である。
1−オクタノール(390mg,2.99mmol)の50%アセトニトリル/水(6.0mL)溶液に、RuCl3・3H2O(7.80mg,30.0μmol)、TBAB(19.3mg,59.9μmol)およびK2CO3(1.24g,9.00mmol)を加え攪拌した。次いで、TCCA(700mg,3.01mmol)のアセトニトリル(3.0mL)溶液を滴下した。このとき発熱が起こるので、水冷にて内温を25〜45℃に保った。同温度範囲で1時間攪拌した後、2−プロパノール(150μL,1.97mmol)を加えて、さらに1時間攪拌して、未反応の酸化剤(TCCA)を分解した。
2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール(2.64g,20.0mmol)の50%アセトニトリル/水(40mL)溶液に、RuCl3・3H2O(52.3mg,0.200mmol)、TBAB(129mg,0.400mmol)、およびK2CO3(8.29g,60.0mmol)を加え攪拌した。次いで、TCCA(4.64g,20.0mmol)のアセトニトリル(20mL)溶液を滴下した。このとき発熱が起こるので、水冷にて内温を25〜45℃に保った。同温度範囲で2時間攪拌した後、2−プロパノール(1.00mL,13.1mmol)を加えて、さらに1時間攪拌して、未反応の酸化剤を分解した。
ベンジルアルコール(2.16g,20mmol)の50%アセトニトリル/水(40mL)溶液に、RuCl3・3H2O(52.3mg,0.200mmol)、TBAB(129mg,0.400mmol)、およびK2CO3(8.29g,60.0mmol)を加え攪拌した。次いで、還流下にTCCA(4.64g,20.0mmol)のアセトニトリル(20mL)溶液を滴下した。1時間攪拌した後、2−プロパノール(1.00mL,13.1mmol)を加えて、さらに1時間攪拌して、未反応の酸化剤を分解した。
ベンジルアルコール(2.16g,20mmol)の50%酢酸エチル/水(40mL)溶液に、RuCl3・3H2O(52.3mg,0.200mmol)、TBAB(129mg,0.400mmol)およびK2CO3(8.29g,60.0mmol)を加え攪拌した。次いで、TCCA(3.09g,13.3mmol)の酢酸エチル(20mL)溶液を滴下した。このとき発熱が起こるので、水冷にて内温を25〜45℃に保った。同温度範囲で1時間攪拌した後、2−プロパノール(1.00mL,13.1mmol)を加えて、さらに1時間攪拌して、未反応の酸化剤を分解した。
けい皮アルコール(2.68g,20.0mmol)の50%酢酸エチル/水(40mL)溶液、RuCl3・3H2O(52.3mg,0.200mmol)、TBAB(129mg,0.400mmol)およびK2CO3(8.29g,60.0mmol)を加え攪拌した。次いで、TCCA(3.09g,13.3mmol)の酢酸エチル(20mL)溶液を滴下した。このとき発熱が起こるので、水冷にて内温を25〜45℃に保った。同温度範囲で1時間攪拌した後、2−プロパノール(1.00mL,13.1mmol)を加えて、さらに1時間攪拌して、未反応の酸化剤を分解した。
2−オクタノール(390mg,2.99mmol)の50%アセトニトリル/水(6.0mL)溶液に、RuCl3・3H2O(7.8mg,30.0μmol)、TBAB(19.3mg,59.9μmol)、およびK2CO3(1.24g,9.00mmol)を加え攪拌した。次いで、TCCA(700mg,3.01mmol)のアセトニトリル(3mL)溶液を滴下した。このとき発熱が起こるので、水冷にて内温を25〜45℃に保った。同温度範囲で1時間攪拌した後、2−プロパノール(150μL,1.97mmol)を加えて、さらに1時間攪拌して、未反応の酸化剤を分解した。
シクロペンタノール(860mg,9.98mmol)の50%酢酸エチル/水(20mL)溶液に、RuCl3・3H2O(26.2mg,0.100mol)、TBAB(64.4mg,0.200mmol)、およびK2CO3(4.15g,30.0mmol)を加え攪拌した。次いで、TCCA(1.56g,6.71mmol)の酢酸エチル(10mL)溶液を滴下した。このとき発熱が起こるので、水冷にて内温を25〜45℃に保った。同温度範囲で1時間攪拌した後、2−プロパノール(500μL,6.57mmol)を加えて、さらに1時間攪拌して、未反応の酸化剤を分解した。
ベンゾヒドロール(3.68g,20.0mmol)の50%酢酸エチル/水(40mL)溶液に、RuCl3・3H2O(52.3mg,0.200mmol)、TBAB(129mg,0.400mmol)およびK2CO3(8.29g,60.0mmol)を加え攪拌した。次いで、TCCA(3.09g,13.3mmol)の酢酸エチル(20mL)溶液を滴下した。このとき発熱が起こるので、水冷にて内温を25〜45℃に保った。同温度範囲で1時間攪拌した後、2−プロパノール(1.00mL,13.1mmol)を加えて、さらに1時間攪拌して、未反応の酸化剤を分解した。
ベンゾイン(4.25g,20.0mmol)の50%酢酸エチル/水(40 mL)溶液に、RuCl3・3H2O(52.3mg,0.200mmol)、TBAB(129 mg,0.400mmol)およびK2CO3(8.29g,60.0mmol)を加え攪拌した。次いで、TCCA(3.09g,13.3mmol)の酢酸エチル(20mL)溶液を滴下した。このとき発熱が起こるので、水冷にて内温を25〜45℃に保った。同温度範囲で1時間攪拌した後、2−プロパノール(1.00mL,13.1mmol)を加えて、さらに1時間攪拌して、未反応の酸化剤を分解した。
mp 96‐98 ℃; 400 MHz 1H-NMR (CDCl3) δ7.99‐7.96(m, 4H), 7.67‐7.63(m, 2H), 7.53‐7.49(m, 4H); 13C-NMR (CDCl3) δ194.5, 134.8, 132.9, 129.8, 129.0; IRνmax(KBr)3317, 3064, 3029, 3007, 1660, 1594, 1577, 1450, 1325, 1211, 876, 795, 718, 696, 681, 642 cm-1
パントラクトン(2.60g,20.0mmol)のアセトニトリル(40 mL)溶液に、RuCl3・3H2O(52.3mg,0.200mmol)、TBAB(129mg,0.400mmol)、および酢酸ナトリウム(8.20g,100mmol)を加え攪拌した。次いで、TCCA(4.64g,20mmol)のアセトニトリル(20mL)溶液を滴下した。このとき発熱が起こるので、水冷にて内温を25〜45℃に保った。同温度範囲で1時間攪拌した後、2−プロパノール(1.00mL,13.1mmol)を加えて、さらに1時間攪拌して、未反応の酸化剤を分解した。
mp 68‐70 ℃; 400 MHz 1H-NMR (CDCl3) δ4.48(s, 2H), 1.33(s, 6H); 13C-NMR (CDCl3) δ198.1, 160.4, 77.0, 41.8, 22.0; IRνmax(KBr) 3526, 2988, 2971, 2937, 1764, 1460, 1395, 1280, 1043, 1009, 991, 952, 940, 732 cm-1
1,3,5−トリ−O−ベンゾイル−α−D−リボフラノース(1.30g,2.81mmol)の50%酢酸エチル/水(5.6mL)溶液に、RuCl3・3H2O(7.3mg,27.9μmol)、TBAB(18.1mg,56.1μmol)、およびK2CO3 4.15g(30mmol)を加え攪拌した。次いで、室温でTCCA(653mg,2.81mmol)の酢酸エチル(2.8mL)溶液を滴下した。このとき発熱が起こるので、水冷にて内温を25〜45 ℃に保った。同温度範囲で1時間攪拌した後、2−プロパノール(140μL,1.84mmol)を加えて、さらに1時間攪拌して、未反応の酸化剤を分解した。
mp 101‐102 ℃; 400 MHz 1H-NMR (CDCl3) δ8.09‐7.94(m, 6H), 7.63‐7.36(m, 9H), 6.17(d, J = 6.0 Hz, 1H), 5.94(d, J = 6.4 Hz, 1H), 5.10‐5.08(m, 1H), 4.80(d, J = 2.8 Hz 1H), 4.73(d, J = 3.2 Hz 1H); 13C-NMR (CDCl3) δ165.6, 165.3, 164.9, 134.0, 133.9, 133.8, 130.1, 129.9, 129.7, 128.8, 128.6, 128.5, 128.3, 128.0, 80.6, 70.4, 67.1, 63.4 ; IRνmax(KBr) 3443, 3064, 3034, 2976, 1770, 1732, 1601, 1584, 1452, 1317, 1272,1118, 1065, 1024, 982, 706 cm-1; LC-MS(ESI) m/z C26H20O8 460[M], 483[M + Na]。
2,3:4,5−ジ−O−イソプロピリデン−α−D−マンノフラノース(2.60g,9.99mmol)のアセトニトリル(20mL)溶液に、RuCl3・3H2O(26.2mg,0.100mol)、TBAB(64.4mg,0.200mmol)および酢酸ナトリウム(4.10g,50.0mmol)を加え攪拌した。次いでTCCA(2.32g,9.98mmol)の酢酸エチル(10mL)溶液を滴下した。このとき発熱が起こるので、水冷にて内温を25〜45℃に保った。同温度範囲で1時間攪拌した後、2−プロパノール(500μL,6.57mmol)を加えて、さらに1時間攪拌して、未反応の酸化剤を分解した。
mp 124‐125 ℃; 400 MHz 1H-NMR (CDCl3) δ4.90‐4.84(m, 2H), 4.44‐4.37(m, 2H), 4.15(dd, J = 5.6 Hz, 9.2 Hz, 1H), 4.07(dd, J = 4.1 Hz, 9.2 Hz, 1H), 1.49(s, 3H), 1.47(s, 3H), 1.43(s, 3H), 1.40(s, 3H); 13C-NMR (CDCl3) δ173.4, 114.4, 109.8, 78.1, 76.0, 75.8, 72.5, 66.4, 26.9, 26.7, 25.7, 25.1; IRνmax(KBr) 2991, 2939, 2893, 1784, 1382, 1259, 1216, 1153, 1121, 1084, 1042, 977, 856 cm-1; LC-MS(ESI) m/z C12H18O6Na 281[M + Na]。
Claims (15)
- 触媒量のルテニウム化合物の存在下、有機溶媒を含む溶媒中でN−ハロイミド化合物またはN−ハロアミド化合物を用いてアルコールの酸化反応を行なう工程を包含する、カルボニル化合物の製造方法であって、
該有機溶媒が、該ルテニウム化合物により実質的に酸化されず、かつカルボン酸以外の有機溶媒である、製造方法。 - 触媒量のルテニウム化合物の存在下、N−ハロイミド化合物またはN−ハロアミド化合物を用いてアルコールの酸化反応を行なう工程を包含する、カルボニル化合物の製造方法であって、
該酸化反応が、有機溶媒および水を含むpH5〜14の混合溶媒中で行なわれ、該有機溶媒が、該ルテニウム化合物により実質的に酸化されない有機溶媒である、製造方法。 - 触媒量のルテニウム化合物の存在下、N−ハロイミド化合物またはN−ハロアミド化合物を用いてアルコールの酸化反応を行なう工程を包含する、カルボニル化合物の製造方法であって、
該酸化反応が、塩基の存在下、有機溶媒中で行なわれ、該有機溶媒が、該ルテニウム化合物により実質的に酸化されない有機溶媒である、製造方法。 - 前記アルコールが第1級アルコールであり、前記カルボニル化合物がカルボン酸またはアルデヒドである、請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。
- 前記アルコールが第2級アルコールであり、前記カルボニル化合物がケトンである、請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。
- 前記ルテニウム化合物が塩化ルテニウム(III)である、請求項1から5のいずれかに記載の製造方法。
- 前記N−ハロイミド化合物が、トリクロロイソシアヌル酸である、請求項1から6のいずれかに記載の製造方法。
- 前記酸化反応が、有機溶媒と水とを含む反応系において、相間移動触媒として4級アンモニウム塩を用いて行なわれる、請求項1、2、および4から7のいずれかに記載の製造方法。
- 前記酸化反応が、有機溶媒中において、相間移動触媒として4級アンモニウム塩を用いて行なわれる、請求項1、および3から7のいずれかに記載の製造方法。
- 前記溶媒がアセトニトリルと水とを含む溶媒であり、前記アルコールがアリール基で置換されたメタノールであり、前記カルボニル化合物がアリール基で置換されたギ酸である、請求項1、2、4、および6から8のいずれかに記載の製造方法。
- 前記アリール基で置換されたメタノールがベンジルアルコールであり、前記アリール基で置換されたギ酸が安息香酸である請求項10に記載の製造方法。
- 前記溶媒が酢酸エチルと水とを含む溶媒であり、前記アルコールがアリール基で置換されたメタノールであり、前記カルボニル化合物がアリール基で置換されたホルムアルデヒドである、請求項1、2、4、および6から8のいずれかに記載の製造方法。
- 前記アリール基で置換されたメタノールがベンジルアルコールであり、前記アリール基で置換されたホルムアルデヒドがベンズアルデヒドである、請求項12に記載の製造方法。
- 前記溶媒が酢酸エチルと水とを含む溶媒であり、前記アルコールが1個から3個のアリール基で置換された第1級のアリルアルコールであり、前記カルボニル化合物が1個から3個のアリール基で置換されたアクロレインである、請求項1、2、4、および6から8のいずれかに記載の製造方法。
- 前記第1級のアリルアルコールがけい皮アルコールであり、前記1個から3個のアリール基で置換されたアクロレインがけい皮アルデヒドである、請求項14に記載の製造方法。
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