JP4649003B2 - 電動工具の配線構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動工具の配線構造、及び、電気素子の配線構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ディスクグラインダ等の電動工具は、その内部の直流モータを駆動源として砥石等を回転させている。この場合に、交流電源から直流モータへのプラグコードや、電源をON/OFFするためのスイッチが必要である。そして、これら部品と直流モータのステータコイルと配線を行うためには、リード線や端子等を従来利用していた。
【0003】
また、電気回路中にコンデンサや抵抗が必要な場合には、これらコンデンサや抵抗等の電気素子を、配線基板に半田付け及び圧着端子を使用して接続していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように配線においてリード線や端子等を使用するとその構成が複雑となり組み立てに時間がかかる。また、電気素子の半田付けは、電動工具の振動等による脚折れが発生して断線が発生する場合があった。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、電気配線を容易に行うことができる電動工具の配線構造及び電気素子の配線構造を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の電動工具の配線構造は、フレーム内部に直流モータを組込んだ電動工具の配線構造において、電源をON/OFFするためのスイッチと前記直流モータの第1のステータコイルとを接続する金属製の第1接続プレートと、電源プラグコードと前記直流モータの第2のステータコイルとを接続する金属製の第2接続プレートと、前記第1の接続プレートと前記第2の接続プレートとに接触したコンデンサや抵抗等の電気素子とを有し、前記電気素子をケースに取り付け、前記ケースは、分割された一対の第1ケース部と第2ケース部とを組み合わすものであり、前記ケース内部には、前記第1の接続プレートと第2の接続プレートが設けられ、前記第1ケース部には、前記電気素子の本体から突出する一対の脚を差し込むための差込孔が開口し、前記第1ケース部の裏面における前記差込孔近傍には一対の第1ケース部側突出部が突出し、前記第2ケース部の裏面には前記一対の第1ケース部側突出部の内側に嵌合するように一対の第2ケース部側突出部が突出し、前記電気素子の一対の脚を前記差込孔に差込んで、前記一対の第1ケース部側突出部に沿ってU字状に折曲し、前記第1ケース部と前記第2ケース部とを組み合わせることにより、前記電気素子の一対の脚は、前記第1ケース部側突出部、前記第2ケース部側突出部、前記第1の接続プレート、前記第2の接続プレートとにより押圧されて、それぞれ接触固定されるものである。
【0007】
請求項1の電動工具の配線構造であると、電気素子の一対の脚が突出部に固定されているために、第1の接続プレートと第2の接続プレートに確実に接触させことができるので、その配線を容易に行うことができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。
【0009】
図1は本発明の一実施形態を示す電動工具の1つであるディスクグラインダ10の斜視図であり、図2はその分解斜視図である。
【0010】
まず、図1及び図2に基づいてディスクグラインダ10の構造について説明する。
【0011】
ディスクグラインダ10の本体は左右一対のフレーム12,14よりなり、フレーム12,14のほぼ中央部に直流モータのステータ16が内蔵されている。また、このステータ16の内部にはアマチュア18が内蔵され、アマチュア18の出力軸には減速機構20が接続され、この減速機構20の一部であるスピンドル22が回転する。スピンドル22の下端には砥石24がネジ止めされている。なお、この砥石24はディスクグラインダ10とは別体のスパナ26によって取り外し可能となっている。
【0012】
ステータ16の後方には、電気配線を行うための配線ケース28がフレーム12,14の内部に収納されている。以下、この配線ケース28の構造について図2〜図7に基づいて説明する。
【0013】
アマチュア18の後部には、後述する上下一対のブラシ部80,88が接触する円筒形のコンミテータ19が同軸に設けられている。そして、アマチュア18及びコンミテータ19は、一対のベアリング30,32によって回動自在に支持されている。
【0014】
配線ケース28は合成樹脂製であり、一対の左ケース34と右ケース36とよりなる。
配線ケース28の形状は、後部がディスクグラインダ10の電源をON/OFFするためのスイッチ38と電源プラグコード40が取り付け可能なようにほぼ立方体の形状となっており、中央部はその後部よりやや細くなった形状となっている。そして、前部は上下一対の上腕部42と下腕部44が突出している。この上腕部42と下腕部44はステータ16の4つの接続部46,48,50,52と接続可能となっている(図6参照)。
【0015】
以下、順番にその配線構造について説明する。
【0016】
交流電源39に差し込まれる電源プラグコード40の内部にはそれぞれ2本のコード54,56が収納され、コード54の先端には金具58が設けられ、コード56の先端には金具60が設けられている。そして、金具58はスイッチ38の第1端子62に差し込まれる。
【0017】
スイッチ38の第2端子64には、黄銅よりなる長い板状の上接続プレート66が差し込まれる。この上接続プレート66は、その後部が前記したようにスイッチ38の第2端子64と差込み可能なように筒状であり、この筒状の部分が第2端子64に差込まれる。一方、上接続プレート66の前端部は、ステータ16の接続部46に差込まれる。なお、この差込可能なようにするために、上接続プレート66の先端は2つに分かれ、かつ、先端は丸みを帯びた形状となっている。また、上接続プレート66の中央部には、コンデンサ68の第1の脚68aが接続可能なように突片70が設けられている。なお、この接続構造については後から詳しく説明する。
【0018】
一方、コード56の先端にある金具60は、黄銅よりなる長い板状の下接続プレート72の後部にある突出部75に差込まれる。この下接続プレート72の前端部は、ステータ16の接続部52に差込可能となっている。さらに、下接続プレート72の中央部には突片74が設けられ、前記したコンデンサ68の第2の脚68bが接続可能となっている。
なお、この接続構造については後から詳しく説明する。
【0019】
配線ケース28の上腕部42のほぼ中央部には四角柱状の上ブラシ部材76が取り付けられている。この上ブラシ部材76は、上基部78と上ブラシ部80とよりなり、上ブラシ部80が上基部78に対し不図示のスプリングによって挿入可能となっている。そして、この上ブラシ部80と電気的に接続されている上ブラシ端子82がステータ16の接続部48に差込まれる(図6参照)。
【0020】
配線ケース28の下腕部44にも同じく下ブラシ部材84が設けられている。この下ブラシ部材84も同様に下基部86と下ブラシ部88とよりなり、下ブラシ部88と電気的に接続された下ブラシ端子90がステータ16の接続部50に差込まれる(図6参照)。
【0021】
そして、上接続プレート66、下接続プレート72、スイッチ38、電源プラグコード40の端部、上ブラシ部材76、下ブラシ部材84は左右一対の左ケース34及び右ケース36の内部に収納される(図3,4参照)。
【0022】
具体的には、図3において、スイッチ38は配線ケース28の後部上に配置され、電源プラグコード40は後部下に配置される。上接続プレート66は、配線ケース28の上部に沿って配され、その前端部近傍に上ブラシ部材76が配置される。一方、下接続プレート72は配線ケース28の下部に沿って配され、その前端部近傍に下ブラシ部材84が配される。上接続プレート66と下接続プレート72と上ブラシ部材76の上ブラシ端子82と下ブラシ部材84の下ブラシ端子90と、ステータ16の接続部46,48,50,52の接続関係は図6に示すような構造となっている。
【0023】
次に、配線ケース28の中央部に配されるコンデンサ68の取り付け方法について図5に基づいて説明する。
【0024】
図5は配線ケース28のほぼ中央部の縦断面図であり、すなわち、図4におけるA−A断面図である。なお、図4は、前から後を見る状態であるために、左右が逆になっている点に注意されたい。
【0025】
左ケース34の表面には、コンデンサ68の本体68cを収納するための収納部95が設けられ、収納部95の底部には、コンデンサ68の一対の脚68a,68bを差し込むための一対の差込孔35,35が開口し、左ケース34の裏面の一対の差込孔35,35の位置から左突出部34a.34bが一対突出している。
【0026】
左ケース34と係合する右ケース36の裏面には、前記左突出部34a,34bの内側に嵌合する一対の右突出部36a,36bが突出している。また、右ケース36の内側における右突出部36a,36bの中程には、固定部96a.96bが設けられている。
【0027】
配線ケース28にコンデンサ68を取付ける場合を詳しく説明する。
【0028】
コンデンサ68の一対の脚68a,68bを一対の差込孔35,35に差し込んで、コンデンサ68の本体68cを収納部95に収納する。一方、一対の脚68a,68bはその先端部を、左突出部34a.34bに沿ってU字状に折曲する。そして、左ケース34と右ケース36とを係合すると、右ケース36の固定部96a.96bに一対の脚68a,68bの折曲部があてがわれる。また、折曲された第1の脚68aには上接続プレート66の突片70が押圧され、第2の脚68bには下接続プレート72の突片74が押圧されている。この場合に、第1の脚68aは、左突出部34aと右突出部36aに固定されているために第1の脚68aを突片70に押圧して確実に接触させる。さらに、第2の脚68bは、左突出部34bと右突出部36bに固定されているために第2の脚68bを突片74に押圧して確実に接触させる。そして、ディスクグラインダ10がその作業により振動しても電気的接触が外れたりする恐れがない。
【0029】
これにより、コンデンサ68を取り付ける場合には、コンデンサ68を収納部95に収納しつつ、収納部95から突出した一対の脚68a,68bを、上接続プレート66,72に接触させればよい。この接触も左ケース34に右ケース36をはめ込むだけで行うことができる。
【0030】
上記構成の電気配線の状態を電気回路図に示したものが図7であり、これにより、スイッチ38をON状態にするとアマチュア18が回転する。すなわち、接続部50と接続部46との間には第1のステータコイル94が接続され、接続部48と接続部52との間には第2のステータコイル92が接続されている。
【0031】
最後に上記構成の部品を組み立てる場合を簡単に説明する。
【0032】
上記したように、一対の左右ケース34,36の内部に上接続プレート66、下接続プレート72、スイッチ38、電源プラグコード40の端部、上ブラシ部材76、下ブラシ部材84を収納して配線ケース28を組み立て、この場合にコンデンサ68も同時に取り付ける。そして、配線ケース28から突出している上腕部42と下腕部44とをステータ16につなげると電気配線が完了する。また、上下一対のブラシ部80,88にコンミテータ19を接触させれば、その組立は完了する。
【0033】
上記構造の電気配線構造であると、従来必要とされたリード線が不要となり、その組立が容易となる。また、コンデンサ68も、その脚68a,68bを上下接続プレート66,72にそれぞれ接触させるだけであるため、半田付け等が不要となり、ディスクグラインダ10がその作業により振動しても電気的接触が外れたりすることがない。
【0034】
なお、上記回路構成ではコンデンサ68を接続する必要があったが、この接続方法はこれ以外に抵抗素子等においても使用することができる。また、電動工具としては、ディスクグラインダ以外のものでもよく、たとえば、振動ドリル装置でもよい。
【0035】
【発明の効果】
以上により本発明の電動工具の配線構造であると、その配線を行うための組立作業が容易となり、また、電動工具の作業による振動によってもその配線構造が外れたりすることがない。
【0036】
また、本発明の電気素子の配線構造であると、その配線を行うための組立作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を示すディスクグラインダの斜視図である。
【図2】 同じく分解斜視図である。
【図3】 配線ケース内部の構造を示す図面である。
【図4】 配線ケースの構造を示す図面である。
【図5】 図4におけるA−A線断面図である。
【図6】 ステータの接続部と配線ケースの接続関係を示す図面である。
【図7】 ディスクグラインダの電気回路図である。
【符号の説明】
10 ディスクグラインダ
16 ステータ
18 アマチュア
19 コンミテータ
28 配線ケース
34 左ケース
36 右ケース
38 スイッチ
40 電源プラグコード
66 上接続プレート
68 コンデンサ
70 突片
72 下接続プレート
74 突片
Claims (1)
- フレーム内部に直流モータを組込んだ電動工具の配線構造において、
電源をON/OFFするためのスイッチと前記直流モータの第1のステータコイルとを接続する金属製の第1接続プレートと、
電源プラグコードと前記直流モータの第2のステータコイルとを接続する金属製の第2接続プレートと、
前記第1の接続プレートと前記第2の接続プレートとに接触したコンデンサや抵抗等の電気素子と、
を有し、
前記電気素子をケースに取り付け、
前記ケースは、分割された一対の第1ケース部と第2ケース部とを組み合わすものであり、
前記ケース内部には、前記第1の接続プレートと第2の接続プレートが設けられ、
前記第1ケース部には、前記電気素子の本体から突出する一対の脚を差し込むための差込孔が開口し、
前記第1ケース部の裏面における前記差込孔近傍には一対の第1ケース部側突出部が突出し、
前記第2ケース部の裏面には前記一対の第1ケース部側突出部の内側に嵌合するように一対の第2ケース部側突出部が突出し、
前記電気素子の一対の脚を前記差込孔に差込んで、前記一対の第1ケース部側突出部に沿ってU字状に折曲し、
前記第1ケース部と前記第2ケース部とを組み合わせることにより、前記電気素子の一対の脚は、前記第1ケース部側突出部、前記第2ケース部側突出部、前記第1の接続プレート、前記第2の接続プレートとにより押圧されて、それぞれ接触固定される
ことを特徴とする電動工具の配線構造。
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