JP4648536B2 - ポリマーを含有するセルラーゼ調製物及び繊維処理方法 - Google Patents

ポリマーを含有するセルラーゼ調製物及び繊維処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水可溶性又は水懸濁性ポリマーを含有させることによってエンドグルカナーゼの効果を向上させたセルラーゼ調製物、当該セルラーゼ調製物を含有する洗剤、当該セルラーゼ調製物を用いる繊維の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
セルラーゼには、セルロースの固い結晶領域を非還元末端からエキソ型に加水分解しセロビオースを生成するセロビオヒドロラーゼ活性、セルロースの非結晶領域をエンド型に加水分解しセルロース分子の低分子化と各種のセロオリゴ糖を生成するエンドグルカナーゼ活性、セロビオースやセロオリゴ糖をグルコースに分解するβ−グルコシダーゼ活性、の3種の酵素活性が含まれている。このうち、エンドグルカナーゼが高活性を発揮すると繊維処理に有利である。
【0003】
従来より、セルロース含有繊維に所望の特性を与えるために、それをセルラーゼで処理することが行われている。例えば、繊維業界においては、セルロース含有繊維の肌触り及び外観を改善するために、あるいは着色されたセルロース含有繊維にその色の局所的な変化を提供する「ストーンウオッシュ」の外観を与えるために、セルラーゼによる処理が行われている(ヨーロッパ特許第307,564号)。
また、着色されたセルロース含有繊維は繰り返し洗濯をすることによって毛羽が生じ、着色生地の色を不鮮明にすることが知られている。そこで、洗剤中にセルラーゼを含ませることによって、毛羽を除去し、着色生地の色を鮮明にする(色の澄明化)ことから(ヨーロッパ特許第220,016号)、セルラーゼを含んだ洗剤が欧米を中心に市販されている。
【0004】
かかる繊維加工においては、主に木材腐朽菌であるトリコデルマ(Trichoderma)やフミコーラ(Humicola)由来のセルラーゼが使用されている。従来、セルラーゼはセルロース分解能を有する微生物を培養した培養ろ液を加工した複数のセルラーゼ成分を含む状態で利用されていた。最近では経済性を高めるために、これらセルラーゼ成分から繊維処理に高活性を有するエンドグルカナーゼのみを単離し、遺伝子工学的に増強したセルラーゼ調製物が使用されている。例えば、繊維加工用途においては、トリコデルマ・ロンジブラシアトゥム(Trichoderma longibrachiatum)由来のEGIII(特表平8−507695号)、トリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)由来のSCE3(国際公開第WO98/54332)、フミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)由来のEGIII(特表平5−509223号)やNCE4(WO98/03640)、リゾプス・オリゼー(Rhizopus oryzae)由来のRCEI、RCEII、RCEIII、ムコール・サーシネロイデス(Mucor circinelloides)由来のMCEI、MCEII、ファイコマイセス・ニテンス(Phycomyces nitens)由来のPCEI(国際公開第WO00/24879)などがある。
【0005】
一方、セルラーゼの効果を向上させるため、添加剤を併用することも今までに行われており、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアマイドなどの水溶性高分子がフミコーラ・インソレンス由来のセルラーゼの効果を増強し、着色生地の毛羽除去活性を向上させることが示されている(特表平5−507615号)。また、トリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)の培養液のCMCアーゼ活性は、Tween20の添加によって向上することが知られている(Ooshima, H. et al., Biotechnology and Bioengineering 28:1727-1734, 1986)。
しかしながら、上記用途に使用されるセルラーゼはいずれもコストが高いため、工業的実用化レベルに見合うには、そのエンドグルカーゼ活性をさらに向上させ、セルラーゼの有する上記効果を効率的に発揮できる手段を提供することが望まれるところである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、エンドグルカナーゼ活性を向上させ、毛羽立ち除去などのセルロース含有繊維改善を目的とした繊維処理を効率よくかつ安価に行うために好適に使用されうるセルラーゼ調製物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、テレフタロイル基などの芳香環を有する疎水基を分子内に有する水可溶性又は水懸濁性ポリマーが、セルラーゼの効果向上作用を有することが従来から知られていたポリエチレングリコールよりもその効果が優れていることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(3)の発明に関する。
(1) セルロースバインディングドメイン(CBD)を有するエンドグルカナーゼと共に、一般式(I):
【0009】
【化2】
Figure 0004648536
【0010】
(式中、n,pは2から10、mは0から10、oは、1から10の整数を表す。)
で示されるテレフタル酸−アルキレングリコールコポリマー又はテレフタル酸−オリゴアルキレングリコールコポリマーの単独又は複数を含有させてなることを特徴とする、セルラーゼ調製物。
(2) 上記セルラーゼ調製物を、洗剤成分に配合してなる、洗剤組成物。
(3) 上記セルラーゼ調製物を、セルロース含有繊維に作用させ、該繊維の性質を改善させることを特徴とする、繊維の処理方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
[1] セルラーゼ調製物
本発明のセルラーゼ調製物は、セルロースバインディングドメイン(CBD)を有するエンドグルカナーゼと、テレフタル酸−アルキレングリコールコポリマー又はテレフタル酸−オリゴアルキレングリコールコポリマーの単独又は複数を含んでなる。
【0012】
本発明において、エンドグルカナーゼとしては、セルラーゼ生産微生物により生産されるものであればいずれも用いることが出来るが、これまでに明らかにされているエンドグルカナーゼの一般的分子構造を元に定義すれば、エンドグルカナーゼは反応に当りセルロースと特異的に結合する部位であるセルロースバインディングドメイン(CBDと略記する)、セルロース分子を加水分解する活性ドメイン(CADと略記する)、CBDとCADをつなぐリンカー部分より構成される。糸状菌のエンドグルカナーゼはCBDを有するものとCBDの無いものに分類することができる。本発明は、上記CBDを有するエンドグルカナーゼを対象とし、トリコデルマ・ロンジブラシアトゥム由来のEGIIIと称されるエンドグルカナーゼに代表されるCBDの無いセルラーゼには適用できない。本発明が適用されるセルラーゼの例としては、フミコーラ・インソレンス由来のNCE4、EGV、トリコデルマ・レーセイ由来のEGII、トリコデルマ・ビリデ由来のSCE3を挙げることが出来る。
【0013】
一方、本発明のセルラーゼ調製物に含有させるテレフタル酸−アルキレングリコールコポリマー又はテレフタル酸−オリゴアルキレングリコールコポリマーとしては、具体的には、テレフタル酸ジエチレングリコールコポリマー、テレフタル酸トリエチレングリコールコポリマー又はテレフタル酸テトラエチレングリコールコポリマーで、平均分子量が500から10,000、好ましくは1,000から5,000のものが挙げられる。かかるコポリマーは、単独で用いてもよいが、複数を混合して用いてもよい。複数のコポリマーを用いる場合、コポリマーの分子量、鎖長は異なってもよい。アルキレンとしては、代表的にはエチレン、プロピレンが挙げられる。また、コポリマーの末端は、部分的又は全てスルフォン酸化されていてもよい。
【0014】
本発明のセルラーゼ調製物には、さらに無機塩を5〜40%添加してもよい。無機塩としては、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0015】
また、本発明のセルラーゼ調製物には、従来からのセルラーゼ調製物に一般的に含まれている成分、例えば賦形剤、防腐剤等を含有させることができる。また、セルラーゼ調製物の形態は、固形状であっても液状であってもよく、具体的には粉剤、粒剤、顆粒剤、非粉塵化顆粒剤、又は液体製剤が挙げられる。
【0016】
セルラーゼ調製物のひとつである非粉塵化顆粒は、通常の乾式造粒法を用い製造することが可能である。すなわち、粉末状態のセルラーゼ酵素を、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどの無機塩、ベントナイト、モンモリナイトなどに代表される鉱物、及び澱粉、粒状セルロースなどに代表される中性の有機物から選ばれる1種又は複数に混合した後、上記のエンドグルカナーゼの効果を向上させるテレフタル酸−アルキレングリコールコポリマー又はテレフタル酸−オリゴアルキレングリコールコポリマーの単独又は複数の粉末、あるいは微細に懸濁された懸濁液を加え十分に混合又は混錬する。状況に応じ、固形物を結着させるポリエチレングリコールに代表される合成高分子やスターチなどの天然高分子を適宜添加し更に混錬したのち、ディスクペレッターなどの押し出し成形造粒を行い、成形物をマルメライザーにより球状に成形後、乾燥させることで非粉塵化顆粒を製造することが可能である。もちろん、顆粒表面をポリマーなどでコーティングし酸素透過や水分透過をコントロールすることも可能である。このとき、エンドグルカナーゼの効果を向上させるテレフタル酸−アルキレングリコールコポリマー又はテレフタル酸−オリゴアルキレングリコールコポリマーの単独又は複数は、上記セルラーゼ調製物に0.005〜10重量%、より好ましくは、0.1〜5重量%添加する。
【0017】
一方、液状製剤は、セルラーゼ酵素溶液に合成高分子や天然高分子などのエンドグルカナーゼ酵素の安定化剤を配合し、必要に応じ無機塩類や合成防腐剤を添加し調製することが可能である。このとき、エンドグルカナーゼの効果を向上させるテレフタル酸−アルキレングリコールコポリマー又はテレフタル酸−オリゴアルキレングリコールコポリマーの単独又は複数を混合し用いることが可能である。非粉塵化顆粒剤同様に、エンドグルカナーゼの効果を向上させるテレフタル酸−アルキレングリコールコポリマー又はテレフタル酸−オリゴアルキレングリコールコポリマーの単独又は複数は上記セルラーゼ調製物に0.005〜10重量%、より好ましくは、0.1〜5重量%を添加する。
【0018】
[2] 洗剤組成物
上記の本発明によるセルラーゼ調製物は、公知の洗剤成分、例えば、ビルダー、漂白剤、漂白活性剤、腐食防止剤、金属イオン封鎖剤、汚れ解離ポリマー、香料、他の酵素、酵素安定剤、製剤化補助剤、蛍光増白剤、発砲促進剤等に配合して洗剤組成物とすることができる。
本洗剤組成物は、粒質土壌除去、色彩澄明化、脱毛羽立ち、脱ピリング及び手粗さ軽減に関し、それらを改善することができる。
【0019】
[3] 繊維処理方法
本発明の繊維処理方法は、セルロースバインディングドメイン(CBD)を有するエンドグルカナーゼを、上記のテレフタル酸−アルキレングリコールコポリマー又はテレフタル酸−オリゴアルキレングリコールコポリマーの存在下でセルロース含有繊維に作用させることにより行う。
本処理方法により改善されうる、セルロース含有繊維の性質としては、以下のものが含まれる。
(1)毛羽の除去(毛羽立ち始める速度の低減、毛羽立ちの低減)
(2)着色セルロース含有繊維の色の局所的な変化の付与、すなわち、着色セルロース含有繊維、代表的にはジーンズへのストーンウオッシュ様の外観や風合いの付与
(3)着色セルロース含有繊維の色の澄明化
【0020】
上記の繊維処理方法は、典型的には洗濯中に実施できるが、ソーキング又はすすぎ中に実施することもできる。本発明の繊維処理方法は、具体的には、繊維が浸漬されているか又は浸漬されうる水に、本発明のセルラーゼ調製物を添加することに行うことができる。
【0021】
接触温度、エンドグルカナーゼ活性を有する酵素の量などの条件は、他の種々の条件を勘案して適宜決定されてよいが、例えばセルロース含有繊維の毛羽立ち始める速度を低減するか又は毛羽立ちを低減する場合、30〜60℃程度の温度で、1〜1,000 mg/Lのテレフタル酸−アルキレングリコールコポリマー又はテレフタル酸−オリゴアルキレングリコールコポリマーと0.05〜20mg/Lのタンパク濃度のエンドグルカナーゼ酵素を使用することにより処理することができる。
【0022】
更に、着色セルロース含有繊維の色の局所的な変化をもたらす場合、30〜60℃程度の温度で、1〜1,000 mg/Lのテレフタル酸−アルキレングリコールコポリマー又はテレフタル酸−オリゴアルキレングリコールコポリマーと0.1〜20 mg/Lのタンパク濃度のエンドグルカナーゼを使用することにより処理することができる。
【0023】
上記いずれの場合も、テレフタル酸−アルキレングリコールコポリマー又はテレフタル酸−オリゴアルキレングリコールコポリマーの単独あるいは複数は、水に溶解または懸濁した形で反応系に導入される。ポリマーは水に完全に溶解されている必要はなく、部分的に懸濁されていても効果を発揮できる。
また、ポリマーを添加した反応液に1〜100 mMの無機塩を添加することによりさらにセルラーゼ酵素の効果を増強できる。
【0024】
【実施例】
本発明を以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下において、「エンドグルカナーゼ活性」とは、CMCアーゼ活性を意味する。さらに、「CMCアーゼ活性」は、セルラーゼ酵素とカルボキシメチルセルロース(CMC、東京化成工業株式会社製)溶液を一定時間インキュベーション後、遊離してくる還元糖量を測定し、1分間に1μmolのグルコース相当の還元糖を生成する酵素量を1単位と定義する。
【0025】
〔実施例1〕 (ポリマーによるセルラーゼのジーンズ脱色活性向上効果)
NCE4エンドグルカナーゼを、国際公開第WO98/03640の記載に従い、フミコーラ・インソレンスMN200−1に発現プラスミドpEGD01(図1)を導入することによって得られた形質転換体を培養し、その培養上清液を用いて、糊抜きした 12オンスのブルージーンズパンツの脱色処理を下記の条件にて行った。
なお、上記プラスミドpEGD01を導入した大腸菌(Escherichia coli/pEGD01)はFERM BP−5973(原寄託:FERM P−15729、原寄託日:1996年7月12日)の受託番号のもと通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されている。また、上記フミコーラ・インソレンスMN200−1は、FERM BP−5977(原寄託:FERM P−15736、原寄託日:1996年7月15日)の受託番号のもと通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されている。
【0026】
(試験条件)
処理液:水道水を用いて調製した6.7mMリン酸緩衝液(pH6.2)15Lに、フミコーラ・インソレンス培養液(NCE4)、各種ポリマー、およびゴムボールを適当量加えた。
試験機械:20kgワッシャー(三洋電機株式会社製 全自動洗濯機 SCW5101)
温度:55℃
時間:60分
pH:6.2
ポリマー添加量:各0.5g
ポリマーの種類:ポリエチレングリコール(分子量4000、市販名:PEG4000、和光純薬製)、ポリエステル(テレフタル酸−テトラエチレングリコール共重合体、市販名:FR550、互応化学社製)、ポリエーテル(アルキルポリエチレングリコールエーテル、市販名:ルテンソール、BASF社製)
【0027】
(ジーンズ脱色活性評価方法)
脱色度は分光測色計(ミノルタ社製 CM−5251)を用い、Lab表示系のL値(明度)で評価した。コントロール(脱色処理をしていない糊抜きブルージーンズパンツ)に対する脱色処理後のブルージーンズパンツのL値の増加(白色度の増加)=ΔL値を求め、このΔL値により脱色の度合いを評価した。すなわち、各試験区につき10点のΔL値を測定し(n=10)、その平均値を算出した。そして、ΔL値=7となるのに必要なセルラーゼの溶液量を基準に、セルラーゼ活性の向上率%を次のようにして算出した。まず、ポリマーを添加した場合としない場合について、ΔL値=7となるために要するセルラーゼ溶液量をそれぞれ求めた。次に、ポリマーを添加しない場合にΔL値=7となるために要するセルラーゼ溶液量を、ポリマーを添加した場合にΔL値=7となるために要するセルラーゼ溶液量で割った値に100を乗じた値を、ポリマーによる脱色活性向上率とした。結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
Figure 0004648536
【0029】
表1に示されるように、NCE4を用いたジーンズ脱色加工において、従来の知見でセルラーゼの活性向上効果を示すとされているポリエチレングリコール(PEG4000)とポリエーテル(ルテンソール)を添加した試験区では脱色活性向上効果はほとんどみられなかったが、ポリエステル(テレフタル酸−テトラエチレングリコール共重合体)に顕著なセルラーゼの脱色活性向上効果が認められた。
【0030】
〔実施例2〕(ポリマーと無機塩併用によるセルラーゼのジーンズ脱色活性向上効果)
実施例1のデニム脱色活性測定において、ポリエステル(テレフタル酸−テトラエチレングリコール共重合体、市販名:FR550)を添加した反応液に無機塩として20 mMリン酸ナトリウム(pH 6.2)、又は20 mM硫酸ナトリウムを添加し、ジーンズ脱色活性への活性向上効果を調べた。結果を表2に示す。
【0031】
【表2】
Figure 0004648536
【0032】
表2に示されるように、ジーンズ脱色加工において、ポリエステル(テレフタル酸−テトラエチレングリコール共重合体)を添加した反応液に無機塩を加えると、さらにセルラーゼの脱色活性が向上することが示された。
【0033】
〔実施例3〕(ポリマーによるセルラーゼのリヨセル毛羽除去活性効果)
NCE4エンドグルカナーゼを、国際公開第WO98/03640の記載に従ってフミコーラ・インソレンスにて発現させた。その培養上清液を用いて、大型ワッシャー内で毛羽立たせたリヨセルニットの生地(豊島株式会社製 染色生地 9cm×10cm、重量2g)の毛羽除去処理を下記の条件にて行った。
(試験条件)
試験機械:洗濯堅牢度試験機 L-12(株式会社大栄科学精器製作所製)
温度:55℃
時間:60分
反応液量:40ml
反応pH:6(10mMリン酸緩衝液、脱イオン水を用いて調製)
ポリマーの種類及び添加量: ポリエチレングリコール(分子量4000、市販名:PEG4000、和光純薬製)、ポリエステル(テレフタル酸−テトラエチレングリコール共重合体、市販名:FR550、互応化学社製)、ポリエーテル(アルキルポリエチレングリコールエーテル、市販名:ルテンソール、BASF社製)各4mg
処理液には、酵素溶液とともに、ゴムボールを適当量加えた。
【0034】
ポリマーを添加した場合としない場合について、形成された毛羽が目視で完全に除去されるために要するセルラーゼ溶液量をそれぞれ求めた。次に、ポリマーを添加しない場合に毛羽が完全に除去されるために要するセルラーゼ溶液量を、ポリマーを添加した場合に毛羽が完全に除去されるために要するセルラーゼ溶液量で割った値に100を乗じた値を、ポリマーによる毛羽除去活性向上率とした。結果を表3に示す。
【0035】
【表3】
Figure 0004648536
【0036】
表3に示すように、リヨセルの毛羽取り加工において、ポリエステル(テレフタル酸−テトラエチレングリコール共重合体)に顕著な毛羽除去活性向上効果が認められた。
【0037】
〔実施例4〕 (ポリマーによる各種セルラーゼの活性向上効果)
(1)セルロースバインディングドメイン(CBD)がないエンドグルカナーゼEGIIIの精製
市販セルラーゼ製剤であるSuperGX(Genencor社製)よりEGIII成分の分画精製を行った。SuperGX製剤10gを200 mlの脱イオン水に懸濁し30分間攪拌した。懸濁液全量を10,000 r.p.m.、30分間遠心分離し、水不溶物を除去した。得られた水溶液に最終濃度80 %(V/V)となる様エタノールを添加し、析出した沈殿物を10,000 r.p.m、30分間遠心分離することにより集めた。沈殿全量を10 mlの50mM酢酸緩衝液(pH 4.5)、1M硫酸アンモニウム溶液に溶解し、このうち0.5 mlを50mM酢酸緩衝液(pH 4.5)、1M硫酸アンモニウム溶液で平衡化したButyl‐Toyopearl 650M(10 mm×10 cm)に供し、流速4.0 ml/min、50mM酢酸緩衝液(pH 4.5)、脱イオン水、20 %エタノールの順に溶離した。20 %エタノール溶離液に溶出した活性画分を集め凍結乾燥し、1mgの蛋白を得た。活性画分は、以下に記載の綿毛羽取り活性によって評価した。N末端近傍残基分析、リシルエンドフラグメントの配列分析より、得られた蛋白をEGIIIと同定した。
【0038】
(2)セルロースバインディングドメイン(CBD)があるエンドグルカナーゼ国際公開第WO98/54322の方法に従い、トリコデルマ・ビリデMC300−1〔FERM BP−6047(原寄託:FERM P−15842、原寄託日:1996年9月9日の受託番号のもと通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されている〕にて発現させ、精製したSCE3、および国際公開第WO98/03640の記載に従い、フミコーラ・インソレンスMN200−1に発現プラスミドpEGD01(図1)を導入することによって得られた形質転換体にて発現させ、精製したNCE4を用いた。
なお、SCE3をコードする塩基配列を配列番号1に、またNCE4をコードする塩基配列を配列番号2にそれぞれ示す。
【0039】
(3) 綿毛羽除去活性測定
上記の各種精製エンドグルカナーゼ(SCE3、EGIII、NCE4)を用い、ポリエステル(テレフタル酸−テトラエチレングリコール共重合体、市販名:FR550 (互応化学社製))によるセルラーゼ活性向上効果を無染色の綿ニット生地(日東紡績株式会社製 綿スムースニットNo.3900を大型ワッシャー中で毛羽立たせたもの、9cm×10cm)の毛羽除去処理を下記条件で行うことによって評価した。
(試験条件)
試験機械:洗濯堅牢度試験機 L-12(株式会社大栄科学精器製作所製)
温度:55℃
時間:120分
反応液量:40ml
反応pH:NCE4、EGIIIはpH6(50mM酢酸緩衝液)、
SCE3はpH 4.5(50mM酢酸緩衝液)
緩衝液は、いずれも脱イオン水を用いて調製した。
ポリマーの種類と添加量:FR550(互応化学社製)4mg
精製エンドグルカナーゼ酵素液とともにゴムボールを適当量加えた。
【0040】
FR550を添加した場合としない場合について、形成された毛羽が目視で完全に除去されるために要するセルラーゼ溶液量をそれぞれ求めた。次に、FR550を添加しない場合に毛羽が完全に除去されるために要するセルラーゼ溶液量を、FR550を添加した場合に毛羽が完全に除去されるために要するセルラーゼ溶液量で割った値に100を乗じた値を、FR550による毛羽除去活性向上率とした。結果を表4に示す。
【0041】
【表4】
Figure 0004648536
【0042】
表4に示されように、CBDを有するSCE3、 NCE4に関してはポリエステル(テレフタル酸−テトラエチレングリコール共重合体)による活性向上効果を観察できたが、CBDがないEGIIIでは逆効果であることが判明した。
【0043】
〔実施例5〕 (テレフタル酸−エチレングリコールコポリマー又はテレフタル酸−オリゴエチレングリコールコポリマーを効果量含有する非粉塵性粒剤セルラーゼ調製物の製造)
下記表5に示す原材料を混合後、10 %の水を添加し混錬する。混錬物をディスクペレッターに送り成形加工した。得られた射出物をマルメライザー(不二パウダル社製)を用い粒状とし、乾燥、篩かけし造粒物を得た。
【0044】
【表5】
Figure 0004648536
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、テレフタル酸−アルキレングリコールコポリマー又はテレフタル酸−オリゴアルキレングリコールコポリマーを含有させることによって、セルロースバインディングドメイン(CBD)を有するエンドグルカナーゼ活性を飛躍的に向上させたセルラーゼ調製物が提供される。当該セルラーゼ調製物をセルロース含有繊維の毛羽立ちの低減、色の澄明化、色の局所的変化などの繊維加工処理に用いることにより、より少ない酵素量で各処理の実施が可能になり、大幅にコストが低減化される。
【0046】
【配列表】
Figure 0004648536
Figure 0004648536
Figure 0004648536
【0047】
【図面の簡単な説明】
【図1】プラスミドpEGD01の構造を示す。

Claims (13)

  1. セルロースバインディングドメイン(CBD)を有するエンドグルカナーゼと共に、一般式(I):
    Figure 0004648536
    (式中、n,pは2から10、mは0から10、oは、1から10の整数を表す。)で示される、テレフタル酸−アルキレングリコールコポリマー又はテレフタル酸−オリゴアルキレングリコールコポリマーの単独又は複数を含有させてなることを特徴とする、セルロース含有繊維の色の澄明化、毛羽の除去、またはストーンウォッシュ様外観や風合の付与用の繊維処理剤。
  2. コポリマーが、テレフタル酸−ジエチレングリコールコポリマー、テレフタル酸−トリエチレングリコールコポリマー又はテレフタル酸−テトラエチレングリコールコポリマーである請求項1に記載の繊維処理剤
  3. 無機塩をさらに添加することを特徴とする、請求項1又は2に記載の繊維処理剤
  4. コポリマーの末端が、部分的又は全てスルフォン酸化されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の繊維処理剤
  5. コポリマーの平均分子量が500から10,000である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の繊維処理剤
  6. コポリマーを繊維処理剤に、0.1〜50重量%含有させる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の繊維処理剤
  7. 飛散性のない顆粒状又は安定化された液体状である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の繊維処理剤
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の繊維処理剤を、洗剤成分に配合してなる、洗剤組成物。
  9. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の繊維処理剤を、セルロース含有繊維に作用させ、該繊維の色を澄明化させることを特徴とする、繊維の処理方法。
  10. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の繊維処理剤を、セルロース含有繊維に作用させ、該繊維の毛羽を除去させることを特徴とする、繊維の処理方法。
  11. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の繊維処理剤を、セルロース含有繊維に作用させ、該繊維にストーンウオッシュ様外観や風合いを付与することを特徴とする、繊維の処理方法。
  12. テレフタル酸−アルキレングリコールコポリマー又はテレフタル酸−オリゴアルキレングリコールコポリマーの単独あるいは複数を、反応系において1〜1,000 mg/Lの濃度で存在させる、請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法
  13. 繊維の浸漬、洗濯、又はすすぎ工程で行うことを特徴とする、請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
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