JP4648414B2 - 動力伝達装置 - Google Patents
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Description
この種の動力伝達装置のなかでも、エピサイクロイド曲線に沿って案内溝を形成した第一の動板とハイポサイクロイド曲線に沿って案内溝を形成した第二の動板とを転動ボールを介して重ね合わせ、第一の動板に対する第二の動板の回転駆動によりトルクを出力として伝達する転動ボール式差動減速機構が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このものでは、転動ボールを介して第一の動板と第二の動板とを重ね合わせるだけで済むため、全体の厚みが小さくてコンパクトになりながらも、バックラッシュがなくて伝達効率が高く、低騒音で大きなトルク伝達容量を確保できるようになっている。
また、第一の動板52および第二の動板53に平行な軸Sの周りに転動ボール51が転動する低負荷時、転動ボール51は接触点Q1、Q2に対して、差の大きな回転半径r1、r2となるため、回転に対する進み距離が異なるようになり、差動すべりに起因する摩擦が発生する。
また、第一の動板52が点P2で転動ボール51に働く伝達力Fが軸Sと成す接触角αが大きくなるため、軸Sに沿う水平力Eが生じるとともに、第二の動板53に加わるスラストThも大きくなり、動力伝達上の機械効率が低下する。
入力側の第1動力部は、所定の曲線に沿って形成され、深さ方向に幅狭となる第1溝部を形成している。出力側の第2動力部は、第1動力部と近接状態に並列配置されて、第1溝部に対応する第2溝部を有する。第1溝部と第2溝部とに転動ボールを配置し、第1動力部の回転時、転動ボールが第1溝部と第2溝部とに沿って転走することにより、第1動力部の回転運動を第2動力部に伝達する。
第1溝部の内壁部および第2溝部の内壁部は、各内壁部の開口縁部で転動ボールの半径またはその近傍値による円弧面を形成するとともに、円弧面の終端部で円弧面に接する平坦面を連続形成している。
高負荷時の転動ボールは、第1溝部および第2溝部の各内壁の他方の円弧面に、僅かな隙間を介して対向しているだけなので、すべり摩擦が全体的に低減して伝達効率が向上する。
転動ボールは、第1溝部および第2溝部の開口縁部の円弧面に当接しているため、第1動力部および第2動力部に沿う方向に対して、円弧面から転動ボールへ作用する伝達力の方向と成す接触角が小さくなり、第1動力部および第2動力部へのスラストが低下して動力伝達上の機械効率が高くなる。
第1溝部および第2溝部の各内壁部は、平坦面に代わって、円弧面の終端部で円弧面に外接する曲面部を連続形成している。
平坦面の代わりに、円弧面に外接する曲面部を設けても、請求項1と同様な効果が得られる。
第1溝部および第2溝部は、サイクロイド系曲線に沿って形成され、第1動力部に公転成分および自転成分からなる複合運動を付与し、第2動力部が複合運動から自転成分のみを受けて回転するボール式減速機を構成する。
動力伝達装置をボール式減速機に適用しても、請求項1と同様な効果が得られる。
動力伝達装置は、出力軸に同心的に取り付けられ、外周部の下面に形成された滑動溝を第1溝部として設けた円盤状のフォロアホイールと、出力軸に直交するように設けられ、転動ボールに噛合する噛合面を内壁部とする第2溝部を複数条に形成したカム突条部を有する入力軸とを備えたリブカム式ボール減速機を構成する。
動力伝達装置をリブカム式ボール減速機に適用しても、請求項1と同様な効果が得られる。
動力伝達装置は、出力軸に同心的に取り付けられ、外周部の下面に形成された滑動溝を第1溝部として設けた円盤状のフォロアホイールと、出力軸に直交する入力軸に設けられ、螺旋状の突条歯の内壁部を第2溝部とするウォーム歯車とを備えたウォーム式ボール減速機を構成する。
動力伝達装置をウォーム式ボール減速機に適用しても、請求項1と同様な効果が得られる。
実施例1では、特に溝部の構造を詳述するため、溝部の形状を中心にして模式的に示した図1および図2を用いる。このため、動力伝達装置1は、入力側の第1動力部2に与えられた回転力は、後述する第1溝部3、転動ボール7および第2溝部5を介して出力側の第2動力部6に伝わることを前提とする。
第2動力部6は、図2(a)、(b)に示すように、第1動力部2と近接状態に並列配置されていて、第2動力部6の外表面には、第1溝部3に対応する第2溝部5を有する。第1溝部3および第2溝部5は、所定の曲線に沿って刻設形成されている。
第2溝部5の内壁部にも、その内壁部の開口縁部5Aで転動ボール7の半径R3またはその近傍値による円弧面5aを弧長t1にわたって形成している。円弧面5aの終端部5Bにおいて、直線Mに垂直で円弧面5aに接する平坦面5bを底部5cまで線長t2にわたって連続形成している。
高負荷時に第1溝部3および第2溝部5に沿う方向の動力Kが転動ボール7に働くと、図2(b)に示すように、転動ボール7は僅かに変位し、第1溝部3の両内壁における一方の円弧面3aと第2溝部5の両内壁における一方の円弧面5aとへ当接する。
精密な位置決めを行う場合、動力伝達装置の停止時に転動ボール7への負荷を減少させる使用例が多いため、停止時にバックラッシュが発生しないことは重要視されており、大きな利点である。
高負荷時の転動ボール7は、第1溝部3および第2溝部5の各内壁の他方の円弧面3a、5aに、僅かな隙間Gpを介して対向しているだけなので、すべり摩擦が全体的に低減して伝達効率が向上する。
ちなみに、後述する実施例2のボール式減速機Aでは、1/20の減速比で従来の二倍のトルクを適用した場合、温度上昇は23°となり、伝達効率は98%の高さを達成したことが実験により判明している。
図5(a)に示すボール式減速機Aにおいて、偏平で矩形のケーシング11の左側壁に挿通口12、右側壁に挿通口13を対向状態に形成している。ケーシング11の左側壁内面には、挿通口12と連通する透孔15を有する円盤状の第1動力部14が固定されている。円盤状の第2動力部16は、中央部に透孔17を形成し、ケーシング11内で第1動力部14と近接・対向状態に取り付けられている。
第1動力部14の表面には、図6に示すように、第1案内溝25が第1溝部として周方向に形成されている。第1案内溝25は、エピサイクロイド曲線に沿って、例えば10個の波数で所定の基礎円に沿って連続刻設したものである。エピサイクロイド曲線の波高長に相当する寸法を偏心量としている。
偏心回転力を受けた第2動力部16は、転動ボール27を第1案内溝25および第2案内溝26に沿って転走させて、第2動力部16を第1動力部14に対して公転成分と自転成分からなる複合運動を行わせる。
リブカム式ボール減速機Bは、実施例2のボール式減速機Aと同様にDVDなどの生産工程で種々の部品などを搬送するロボット技術に応用されるもので、図7(a)に示すようにハウジング32内に段付き状の出力軸33を回転可能に設けている。出力軸33には、円盤状のフォロアホイール34が一体的に回転するように同心的に嵌め込まれている。フォロアホイール34における外周部の下面には、複数の転動ボール35がスチールボールとして滑動溝36に等角度間隔で設けられている。この滑動溝36は、実施例1の第1溝部として形成している。
滑動溝36は、図7(b)に示すように、円弧面36aおよび平坦面36bを有し、カム突条部40は、その両内壁部間に円弧面40aおよび平坦面40bを備えているため、実施例1の動力伝達装置1と同様な効果が得られる。
滑動溝36は、図8(b)に示すように、両内壁部に円弧面36aおよび平坦面36bを有している。ウォーム歯車41は、入力シャフト42の外表面に突条歯41Aを螺旋状に形成したもので、突条歯41Aの両内壁部には、円弧面41aおよび平坦面41bを備えている。このため、実施例1の動力伝達装置1と同様な効果が得られる。
2、14 第1動力部
3 第1溝部
3a 円弧面
3b 平坦面
3d、5d 曲面部
3A 開口縁部
3B 終端部
5 第2溝部
5a 円弧面
5b 平坦面
5A 開口縁部
5B 終端部
6、16 第2動力部
7、27、35 転動ボール
25 第1案内溝(第1溝部)
25a 円弧面
25b 平坦面
26 第2案内溝(第2溝部)
26a 円弧面
26b 平坦面
36 滑動溝(第1溝部)
36a 円弧面
36b 平坦面
40 カム突条部
40a 円弧面
40b 平坦面
41 ウォーム歯車
41A ウォーム歯車の突条歯
41a 円弧面
41b 平坦面
Claims (5)
- 所定の曲線に沿って形成され、深さ方向に幅狭となる第1溝部を形成した入力側の第1動力部と、
前記第1動力部と近接状態に並列配置されて、前記第1溝部に対応する第2溝部を有する出力側の第2動力部とを備え、
前記第1溝部と前記第2溝部とに転動ボールを配置し、前記第1動力部の回転時、前記転動ボールが前記第1溝部と前記第2溝部とに沿って転走することにより、前記第1動力部の回転運動を前記第2動力部に伝達する動力伝達装置において、
前記第1溝部の内壁部および前記第2溝部の内壁部は、各内壁部の開口縁部で前記転動ボールの半径またはその近傍値による円弧面を形成するとともに、前記円弧面の終端部で前記円弧面に接する平坦面を連続形成したことを特徴とする動力伝達装置。 - 前記第1溝部および前記第2溝部の各内壁部は、前記平坦面に代わって、前記円弧面の終端部で前記円弧面に外接する曲面部を連続形成していることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
- 前記第1溝部および前記第2溝部は、サイクロイド系曲線に沿って形成され、前記第1動力部に公転成分および自転成分からなる複合運動を付与し、前記第2動力部が前記複合運動から前記自転成分のみを受けて回転するボール式減速機を構成することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の動力伝達装置。
- 出力軸に同心的に取り付けられ、外周部の下面に形成された滑動溝を前記第1溝部として設けた円盤状のフォロアホイールと、
前記出力軸に直交するように設けられ、前記転動ボールに噛合する噛合面を内壁部とする前記第2溝部を複数条に形成したカム突条部を有する入力軸とを備えたリブカム式ボール減速機を構成することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の動力伝達装置。 - 出力軸に同心的に取り付けられ、外周部の下面に形成された滑動溝を前記第1溝部として設けた円盤状のフォロアホイールと、
前記出力軸に直交する入力軸に設けられ、螺旋状の突条歯の内壁部を前記第2溝部とするウォーム歯車とを備えたウォーム式ボール減速機を構成することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の動力伝達装置。
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