JP4648344B2 - 攪拌機 - Google Patents

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本発明は、攪拌機に関し、特に、攪拌槽内を浮力変化にて昇降するようにした攪拌体の下部に、その伸縮作用にて攪拌槽内の流体を吸排するようにした伸縮体を配設し、攪拌体の昇降に追従して伸縮体を伸縮させることで攪拌槽内全体の流体を小動力で、槽内底部における固形物の沈殿堆積を防止して、均一に効率的に攪拌できるようにした攪拌機に関するものである。
従来、下水処理、工事用排水の処理等において、土砂、汚泥などの固形不純物が含まれた汚水等の流体(攪拌流体)を処理、例えば、汚泥水を処理する場合、この汚泥水に凝集剤、殺菌剤等の薬剤を、汚泥水を供給した攪拌槽内に投入し、攪拌機により攪拌して、所要の凝集、殺菌などの処理を行うようにしている。
ところで、攪拌機は、外部からのエネルギを得てモータなどの駆動体を介して攪拌羽根を回転させ、これにより発生する水流を利用して槽内の攪拌流体を循環するようにして槽内全体を強制的に攪拌するようにしている。
このため、この攪拌機における攪拌動力が大となるため、外部から商用電力を給電しているのでその電力費が嵩むとともに、また高深度槽においてはさらに電力費が嵩み、ランニングコストが高くなるという問題があった。
また、攪拌機における攪拌羽根は、通常1種のみ突設するように配設しているため、槽内における攪拌流体の緩速攪拌時において、比較的比重の重い固形物の汚泥などが槽内定部に沈殿し、堆積するという問題があった。
本発明は、上記従来の攪拌機の有する問題点に鑑み、摩耗や故障しやすい回転機構をなくして攪拌槽内全体を高い効率で、均一な攪拌が小動力で行えるようにした攪拌機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の攪拌機は、内部へ流体を吸排可能としたタンク形とし、攪拌槽内において該攪拌槽内の流体の一部を吸排することで浮力を変化させてガイド機構に沿って昇降するようにした攪拌体と、該攪拌体の下部に配設し、その伸縮作用にて攪拌槽内の流体を吸排するようにした伸縮体と、伸縮体の上下部に形成した吸排口に配設して流体を吸入或いは排出するようにした弁とより構成したことを特徴とする。
この場合において、伸縮体を、蛇腹形に形成し、その上端を攪拌体に、下端を槽底にそれぞれ固定するよう構成することができる。
また、伸縮体の上部に配設する弁を伸縮体の伸張時に吸水のみ可能で逆流を防止し、かつ下部に配設する弁を伸縮体の縮小時に排水のみ可能で逆流を防止するように構成することができる。
また、伸縮体の下部に形成した吸排口に配設した弁の開弁作用にて該吸排口より排出される流体の噴流を槽底に向かうように構成することができる。
本発明の攪拌機によれば流体中に回転部分がないため、装置が故障しにくく、攪拌流体の攪拌が小動力で、槽内全体にて高い効率にて均一に行え、かつ攪拌槽内底部に固形物の沈殿堆積するのを防止することができる。
また、弱い攪拌流で攪拌することができるので、汚水に凝固剤を添加して攪拌する場合に、凝集フロックを破砕することなく攪拌することができる。
そして、攪拌体を、内部へ流体を吸排可能としたタンク形とし、攪拌槽内の流体の一部を吸排することで浮力を変化させて昇降するように構成することにより、攪拌体の昇降が簡易に確実に行うことができる。
また、伸縮体を、蛇腹形に形成し、その上端を攪拌体に、下端を槽底にそれぞれ固定するよう構成することにより、攪拌体の昇降動作に追従して確実に伸縮させることができる。
また、伸縮体の上部に配設する弁を伸縮体の伸張時に吸水のみ可能で逆流を防止し、かつ下部に配設する弁を伸縮体の縮小時に排水のみ可能で逆流を防止するように構成することにより、常に槽内の攪拌流水の吸い込み、排出方向が一定となり、攪拌を確実に効率的に行うことができる。
また、伸縮体の下部に形成した吸排口に配設した弁の開弁作用にて該吸排口より排出される流体の噴流を槽底に向かうように構成することにより、攪拌槽内底部に固形物の沈殿堆積するのを確実に防止することができる。
以下、本発明の攪拌機の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1〜図3に、本発明の攪拌機の一実施例を示す。
一般に、下水処理、工事用排水等の処理において、土砂、汚泥などの固形不純物が含まれた汚泥水等(以下、「攪拌流体W」という。)を処理する場合、汚泥水を供給した攪拌槽内に凝集剤、殺菌剤等の薬剤を投入し、該攪拌槽内に配設した攪拌機Aを駆動することにより攪拌流体Wを攪拌して、所要の凝集、殺菌などの処理を行うようにしている。
ところで、このような凝集フロックを破砕することなく、確実に槽内全体を攪拌するには、攪拌羽根を用いて強力に攪拌するよりも弱い攪拌流で攪拌する方が望ましいが、本発明はこのような攪拌に適したものである。
攪拌機Aは、攪拌流体Wを充填するようにした攪拌槽1内に配設するもので、攪拌槽1内に、望ましくは攪拌槽1内中央部にほぼ垂直になるように配設したガイド機構としてのガイド棒5に導かれ、かつ内部の比重を変化させることでそれ自体で昇降するよう構成した内部が空洞の円筒タンク形の攪拌体2と、この攪拌体2の下部に配設し、その伸縮作用にて攪拌槽内の流体を吸排するようにした伸縮体3と、伸縮体3の上下部に形成する吸排口31、32に開閉可能に配設して流体を吸入或いは排出するようにした弁41、42とより構成する。
この攪拌体2は、図1〜3に示すように、攪拌体本体の中央部に透孔21を穿設し、この透孔21内にガイド棒5を貫通するように形成する。
このガイド棒5により、攪拌体2の上下方向(昇降方向)以外の動きを拘束するが、これは攪拌槽1の上部に配設したガイド棒支持枠体(図示省略)にて吊垂、或いはその他の方法で支持するようにする。
攪拌体2を攪拌槽内を昇降させる手段としては、攪拌体2の比重を変化させるもので、これは、特に限定されるものではないが、例えば、攪拌槽内に充填した攪拌流体Wの一部を攪拌体2内に出し入れして行う。即ち攪拌流体Wの一部をタンク形の攪拌体2内に吸引するようにして供給することで攪拌機Aの比重を大として攪拌槽1内をその自重により自然と降下するように、また反対に攪拌体2内から攪拌流体Wを排出することで攪拌機Aの比重を小となるようにして上昇動作を行うよう制御する。
このタンク形の攪拌体2内への攪拌流体Wの吸排は槽外に配設、或いは攪拌体2に配設のポンプと電磁弁(いずれも図示省略)との組み合わせにて行うことができる。
このように、攪拌流体Wの吸排制御にて攪拌体2の比重を変化させて昇降するようにすることで、高深度槽においても小動力で、攪拌流体Wの均一攪拌を効率的に、確実に行えるようにすることができるものとなる。
この攪拌槽1は、特に限定されるものではないが、例えば、図1に示すように、所要の内容積を有する立方体、矩形のほか、円形など、充填する攪拌流体Wの攪拌が行える形状を備え、図示省略したが必要に応じて該攪拌槽1内に攪拌する攪拌流体Wを供給し、かつ攪拌後の処理水を排水できるように構成する。
タンク形をした攪拌体2の下部に配設する伸縮体3は、可撓性の材質を用いて蛇腹形に形成し、その上端を攪拌体2の下端に固定し、またその下端を槽底にそれぞれ固定し、これにより攪拌体2の昇降に追従して伸縮体3が伸縮、即ち攪拌体2の上昇時伸縮体3が伸張し、攪拌体2の下降時縮小するようにし、この伸縮作用にて攪拌槽内の攪拌流体の一部を吸排口31、32より吸入或いは排出するようにする。
また、この伸縮体3の上部と下部には、望ましくは上部外周部と下部外周部に、それぞれ吸排口31、32を形成し、かつ該吸排口31、32には攪拌流体の一部を吸入或いは排出する際、開閉するようにした弁41、42を開閉可能に配設する。
この伸縮体3の上部の吸排口31に配設する弁41は、伸縮体3の伸張時に吸水のみ可能でその逆流(排出)を防止する構成とし、また伸縮体3の下部の吸排口32に配設する弁42を伸縮体の縮小時に排水のみ可能でその逆流(吸入)を防止する構成とする。
この場合、伸縮体の下部に形成する吸排口32に配設する弁42は、開弁時において該吸排口32より排出される攪拌流体の噴流を槽底に向かうように構成することができる。これにより、槽底に向かう噴流圧にて槽底付近の攪拌流体を攪拌して槽底に固形物の沈殿を抑制することができる。
次に、この攪拌機Aの作用について説明する。
攪拌槽1内に攪拌流体Wを供給し、攪拌体2内に攪拌槽1内に攪拌流体Wの一部を吸引或いは給水することで、この攪拌体内に吸引した流体の量に応じて攪拌体内に閉じこめられた空気は圧縮される。この攪拌体2内の空気を収縮することで、空気(気体)と攪拌流体との重量混入比率を変化させる。これにより、攪拌流体の重量比が高くなり、平均比重が減少することで、攪拌体2の比重が重くなり、攪拌体2は攪拌槽1内をガイド棒5に導かれて降下するようになる。この際、攪拌体2の下部に配設された伸縮体3も攪拌体2の降下に追従して縮小するようになる。
これにより、伸縮体内圧が上昇するので、下部の排出側の弁42が開き、吸排口32より伸縮体内の攪拌流体が排出される。なお、上部の弁41は伸縮体内圧にて閉じられた状態である。
下部の開弁作用にて吸排口32より排出される伸縮体内の攪拌流体の噴流は槽底に向かうようになって槽底付近の攪拌流体を攪拌するようになるので、固形物の沈殿を防止することができ、かつ槽底に吹き出された噴流は槽底から槽内壁に沿って上昇流となり、槽内全体の攪拌が行われる。
反対に、攪拌体2が所定位置まで下降した後、攪拌体内の攪拌流体を槽内に吐出或いは排出することで、攪拌体2内で圧縮収縮されていた空気は再び膨張するようになり、攪拌体2の比重が変化、即ち比重が軽くなる。このため攪拌体2に浮力が作用するようになって攪拌体2は攪拌槽1内をガイド棒5に導かれて再び上昇するようになる。
この攪拌体2の上昇に追従して伸縮体3は縮小状態から伸張するようになる。この伸縮体3の伸張時、下部側の弁42は閉じられるとともに、上部側の弁41は開弁されるため、この上部側の吸排口31から攪拌槽内の攪拌流体を再び吸い込むようになる。
このように、攪拌体2をガイド棒5に沿って昇降させるとき、伸縮体3がそれに追従して伸縮する際、上部側弁41と下部側弁42とが交互に開閉して上部側の吸排口31からは攪拌槽内の攪拌流体を吸い込み、下部側の吸排口32からは攪拌体内の攪拌流体を吐出するようになって攪拌槽内の攪拌流体を攪拌するようになる。
なお、攪拌体2の上昇位置と降下位置とを、例えば、センサー等にて検出して攪拌体2への攪拌流体の吸排を切り替えるようにして、攪拌体2の昇降動作を繰り返すことにより、攪拌流体を攪拌し、槽底に固形物を沈殿させることなく、槽内全体を高い効率で均一攪拌することができる。
以上、本発明の攪拌機について、実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
本発明の攪拌機は、攪拌体の比重を変化させることにより攪拌槽内流体中を昇降させることで、この昇降に追従して伸縮体を伸縮させて、攪拌槽内の攪拌流体の一部を吸入、排出させるようにして槽内全体を高い効率で均一攪拌するという特性を有していることから、下水処理場の反応槽(嫌気槽又は無酸素槽)の攪拌や浄水のフロック形成池の攪拌の用途に好適に用いることができるほか、例えば、化学反応槽の攪拌、食品の攪拌、染料の攪拌等の用途にも用いることができる。
本発明の攪拌機の一実施例を示す外観斜視図である。 本発明の攪拌機を攪拌槽内に設置し、攪拌体の上昇時を示す実施例の縦断正面図である。 本発明の攪拌機を攪拌槽内に設置し、攪拌体の下降時を示す実施例の縦断正面図である。
1 攪拌槽
2 攪拌体
3 伸縮体
31 吸排口
32 吸排口
41 弁
42 弁
5 ガイド棒
A 攪拌機
W 攪拌流体

Claims (4)

  1. 内部へ流体を吸排可能としたタンク形とし、攪拌槽内において該攪拌槽内の流体の一部を吸排することで浮力を変化させてガイド機構に沿って昇降するようにした攪拌体と、該攪拌体の下部に配設し、その伸縮作用にて攪拌槽内の流体を吸排するようにした伸縮体と、伸縮体の上下部に形成した吸排口に配設して流体を吸入或いは排出するようにした弁とより構成したことを特徴とする攪拌機
  2. 伸縮体を、蛇腹形に形成し、その上端を攪拌体に、下端を槽底にそれぞれ固定するよう構成したことを特徴とする請求項記載の攪拌機。
  3. 伸縮体の上部に配設する弁を伸縮体の伸張時に吸水のみ可能で逆流を防止し、かつ下部に配設する弁を伸縮体の縮小時に排水のみ可能で逆流を防止するように構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の攪拌機。
  4. 伸縮体の下部に形成した吸排口に配設した弁の開弁作用にて該吸排口より排出される流体の噴流を槽底に向かうように構成したことを特徴とする請求項1、2又は3記載の攪拌機。
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