JP4648040B2 - 生体機能改善空気の生成方法 - Google Patents
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Description
また、前記方法において、芳香剤容器と、該芳香剤容器を密閉する開閉蓋とを有する発香ユニットと、送風ユニットと、前記発香ユニットの開閉蓋の開閉及び前記送風ユニットの送風量を制御する制御ユニットとを備える発香装置を使用し、1,3−ジメトキシ−5−メチルベンゼンを前記芳香剤容器中に充填し、前記制御ユニットにより前記開閉蓋及び前記送風ユニットを制御することによって、生成時点において1,3−ジメトキシ−5−メチルベンゼンを空間濃度で0.03〜0.2ppm含有する空気を生成することが好適である。
本発明にかかる生体機能改善空気は、1,3−ジメトキシ−5−メチルベンゼンを空間濃度で0.03〜0.2ppm含有することを特徴とするものである。なお、本発明において、空間濃度(ppm)は気体の容積比の百万分率で示す。
すなわち、本発明にかかる生体機能改善空気をヒトに吸引させることにより、実質的に1,3−ジメトキシ−5−メチルベンゼンの香りを認識し得ないにもかかわらず、該ヒトに対してリラックス効果、及び肌荒れ改善効果といった生体機能改善効果を付与することができる。ここで、本発明における前記リラックス効果は、ヒトの自律神経系に作用し、副交感神経系が優位な状態に改善することにより、該ヒトをリラックスさせるものである。また、本発明における前記肌荒れ改善効果は、ヒトが本来有している皮膚バリアー機能を回復することにより、該ヒトの肌荒れを改善するものである。そして、本発明において生体機能改善効果とは、具体的には、前記リラックス効果及び肌荒れ改善効果のことをいう。
1,3−ジメトキシ−5−メチルベンゼンの構造を下記一般式化1に示す。
(1)気相中の1,3−ジメトキシ−5−メチルベンゼンの検知閾値
気相中における検知閾値の決定は、悪臭防止法において定められている三点比較式臭袋法に基づいて行なった(社団法人臭気対策研究協会編,「臭気の嗅覚測定法」参照)。すなわち、無臭空気を満たした臭い袋を三袋用意し、そのうちの一つに所定の希釈倍数となるように1,3−ジメトキシ−5−メチルベンゼンを注入し、6名の被験者に臭いのついた袋を、希釈倍数を上げて順次回答させた。結果を下記表1に示す。なお、最終的に6名の結果のうちで結果の最も高い値と最も低い値をカットし(下記表1の×印)、残り4名の結果の平均値を1,3−ジメトキシ−5−メチルベンゼンの気相中検知閾値とした。
液相中における検知閾値の決定は、三肢強制選択法(極限法)に基づいて行なった(Koster E. P., Human psychophysics in olfaction method in olfactory research.(1975)参照)。1,3−ジメトキシ−5−メチルベンゼンを各種濃度に調整したエタノール溶液5μLをコットンの先端に添付し、1分間放置してエタノール臭を除去した後、被験者6名に臭いのついたコットンを提示し、希釈倍数を上げて順次回答させた。なお、提示するサンプルは、1回の試験につき、1,3−ジメトキシ−5−メチルベンゼン−エタノール溶液1品とエタノール2品として、3品を提示する順序はランダマイズし、1品ずつ順に提示して嗅ぎ直しはできないものとした。濃度の薄いサンプルから順に試験を行ない、3回連続して正解した際の最も薄い濃度を液相中検知閾値とした。なお、最終的に6名の結果のうちで、結果の最も高い値と最も低い値をカットし(表2×印)、残り4名の結果の平均値を1,3−ジメトキシ−5−メチルベンゼンの液相中検知閾値とした。結果を表2に示す。
本発明者らは最初に、DMMB濃度とリラックス効果との関係について検討を行なった。リラックス効果を評価する方法としては、心理質問紙法や脳波測定法、唾液中生理活性物質測定法など様々な方法が知られている。ここでは、副交感神経活性を指標に測定した例をあげる。すなわち、自律神経系は交感神経系と副交感神経系の2系統に大別され、一般的に交感神経が優位の場合には緊張状態にあり、副交感神経が優位の場合にはリラックス状態にあると言われており、リラックス作用を生理的に評価する方法として、副交感神経系の活性度を指標とする評価法が広く用いられている。そこで本発明者らは、下記に示す試験方法により、検知閾値以下のDMMB溶液を提示した際の副交感神経活性の測定を行ない、DMMBを提示しない場合と比較することによって、香りを知覚しないDMMB濃度におけるリラックス効果を検討した。結果を図1に示す。
副交感神経活性の測定は、心拍測定結果を解析することにより行なった。副交感神経活性は心拍間隔を周波数解析することにより算出することができ、例えば心電R波間隔の変動の高周波成分(HF成分)が副交感神経活性を示すことが知られている。被験者を消灯した恒温室内に毎試験午後1時に入室させ、上半身を25度の角度に起こしたベッドに足を水平にして横にさせて測定装置を装着し20分間安静にした後、連続的に心電心拍測定装置(COLIN BP−508、日本コーリン社製)を用い心電心拍の測定を行なった。得られた心電心拍測定値をもとに、R波間隔の変動を自律神経系活性解析システム(フラクレット、大日本製薬株式会社製)を用いて周波数解析を行ない、副交感神経活性値を算出した。DMMBはエタノールに溶解したものをコットンにしみ込ませ、鼻下に貼付して、被験者に提示した。DMMB濃度は、前述の方法により決定した液相中での検知閾値を元に、被験者の吸気中において検知閾値以下となるように0.05質量%のDMMB−エタノール溶液を用いた。この溶液5μLを染み込ませたコットンを被験者の鼻下に添付し、5分間自然の呼吸とともに吸引させた後で心電心拍の測定を開始した。また、比較としてコットンのみ(ブランク)及び2質量%のDMMMB溶液(検知閾値以上)を用いて同様の測定を行なった。DMMB溶液提示時の副交感神経活性値をブランクの値と比較することによりリラックス効果を評価した。
つづいて、本発明者らはDMMB濃度と肌荒れ改善効果との関係について検討を行なった。肌荒れ改善作用の生理的評価方法としては、表皮の各種生理指標の測定や肌表面のキメ解析あるいは経皮水分蒸散量を指標とする評価法などが知られているおり、いずれの方法で測定してもよいが、ここでは経皮水分蒸散量を指標に測定した例を示す。すなわち、本発明者らは、下記に示す試験方法により、検知閾値以下のDMMB溶液を提示した場合の経皮水分蒸散量の測定を行ない、DMMBを提示しない場合と比較することによって、香りを検知しないDMMB濃度における肌荒れ改善効果について検討した。結果を図2に示す。
皮膚バリアー機能回復効果試験は伝田らの方法を参照して行なった(M. Denda, et.al., British Journal of Dermatology 2000:142: 1007-1010参照)。被験者を恒湿室に入室後1時間安静にして内腕部を室内環境に馴化させた後、STAI心理質問紙によりストレス状態を測定した。その後、0.05質量%(検知閾値以下)又は0.5質量%(検知閾値以上)のDMMB−エタノール溶液5μLを染み込ませたコットン、あるいはコットンのみ(ブランク)を被験者の鼻下に添付し、内腕部2cm×2cmにテープストリッピング法によって実験的肌荒れをおこし、引き続きストループカラーワードテストによるストレス負荷を実施した。ストループカラーワードテストを1時間実施した後、再度STAI心理質問紙によるストレス状態を評価し、水分蒸散量測定装置(ミーコメーター、ミーコ社製)により、1.5時間後及び3時間後の経皮水分蒸散量を測定した。測定結果から下記式に従って皮膚バリアー機能回復率を算出して、皮膚バリアー機能回復効果を評価した。
皮膚バリアー機能回復率(%)=(B−C)/(B−A)×100
A:皮膚バリアー機能低下処理(テープストリッピング)直前の経皮水分蒸散量
B:皮膚バリアー機能低下処理(テープストリッピング)直後の経皮水分蒸散量
C:皮膚バリアー機能低下処理(テープストリッピング)から一定時間経過後の経皮水分蒸散量
10 発香装置
15 開閉蓋
16 蓋外枠
17 芳香剤容器
18 制御部
19 発香ユニット
20 送風ユニット
21 制御ユニット
22 開口部
Claims (2)
- 1,3−ジメトキシ−5−メチルベンゼンを自然状態(常温,常圧)により揮発、加熱により揮発、送風により揮発、又は超音波照射処理により揮発、あるいは1,3−ジメトキシ−5−メチルベンゼンを噴霧により散布する方法であって、
1,3−ジメトキシ−5−メチルベンゼンの揮発量又は散布量を調整することによって、生成時点において1,3−ジメトキシ−5−メチルベンゼンを空間濃度で0.03〜0.2ppm含有する空気を生成することを特徴とする生体機能改善空気の生成方法。 - 請求項1に記載の生体機能改善空気の生成方法において、
芳香剤容器と、該芳香剤容器を密閉する開閉蓋とを有する発香ユニットと、
送風ユニットと、
前記発香ユニットの開閉蓋の開閉及び前記送風ユニットの送風量を制御する制御ユニットと
を備える発香装置を使用し、
1,3−ジメトキシ−5−メチルベンゼンを前記芳香剤容器中に充填し、前記制御ユニットにより前記開閉蓋及び前記送風ユニットを制御することによって、
生成時点において1,3−ジメトキシ−5−メチルベンゼンを空間濃度で0.03〜0.2ppm含有する空気を生成することを特徴とする生体機能改善空気の生成方法。
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JP2006246943A JP2006246943A (ja) | 2006-09-21 |
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JPH06172781A (ja) * | 1992-09-25 | 1994-06-21 | Takasago Internatl Corp | 鎮静効果を与える香料改質剤 |
JP2000086478A (ja) * | 1998-09-11 | 2000-03-28 | Shiseido Co Ltd | 気化吸引用鎮静剤及びそれを有効成分とする鎮静香料組成物 |
JP2000159666A (ja) * | 1998-09-25 | 2000-06-13 | Shiseido Co Ltd | 皮膚バリア―機能回復促進剤、およびその評価方法 |
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