JP4647403B2 - 熱交換装置 - Google Patents

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Description

本発明は、異なる温度の第1流体と第2流体の間で熱交換する熱交換装置に関する。特に、熱交換効率が高くて流体の圧力損失が低い熱交換装置に関する。
異なる温度の流体間で熱交換する熱交換装置に、ヘリンボーンタイプと呼ばれる熱交換装置と、コルゲートフィンタイプと呼ばれる熱交換装置が知られている。特許文献1にはコルゲートフィンタイプの熱交換装置の構造が開示されている。特許文献2にはヘリンボーンタイプの熱交換装置の構造が開示されている。
特開平11−094477号公報(図30、図31) 特表2000−515957号公報
コルゲートフィンタイプの熱交換装置では、流体ケース内に波板が配設されている。波板は、その波面が扁平な流路の上流側と下流側を結ぶ方向(以下では主流方向という)と平行になるように配置されている。流体ケース内を流れる流体は波板の波面に平行に流れる。
ヘリンボーンタイプの熱交換装置では、2枚の波板を用いる。2枚の波板の波面が交差する角度で2枚の波板を積層する。2枚の波板は、下面の波板の頂部と上面の波板の底部が交差する点で固着されている。上下の波板の固着部は点状に分布することになる。点状に分布した固着点の間には空間が形成される。流体はこの空間を上流側から下流側に流れる。
コルゲートフィンタイプの熱交換装置の波板は、流路の上流側と下流側を結ぶ主流方向から見ると波打っているものの、主流方向に沿った断面で観測すると波打たずに直線的に伸びている。このために、流体は直線的に流れ、主流方向に直交する方向には流れない。流体が直線的にスムーズに流れるために、流体ケース内での圧力損失を小さくすることができる。しかしながら、流体が直線的にスムーズに流れるために、流体の波板との間で熱交換されにくい。コルゲートフィンタイプの熱交換装置では、熱交換効率を向上させることが難しい。
ヘリンボーンタイプの熱交換装置では、2枚の波板の波面が交差する角度で積層されており、2枚の波板の間に形成される流路は、主流方向に交差する方向成分を持っている。
扁平な流路の扁平面に略平行な面内で流路の上流側と下流側を結ぶ主流方向に交差する方向を横断方向ということにすると、流路は主流方向成分と横断方向成分を持つ方向に伸びている。流体は波板の波面にぶつかりながら流れる。流体の波板の間で活発に熱交換することができる。ヘリンボーンタイプの熱交換装置では、高い熱交換効率を得ることができる。
しかしながら、ヘリンボーンタイプの熱交換装置では、主流方向成分と横断方向成分を持つ流路を有しているため、扁平な流路内での流速分布を均一に分布させることが難しい。主流方向成分の流路では流体の流路抵抗が小さい。横断方向成分の流路では流体の流路抵抗が大きい。そのため流体は、流入口と流出口の間の流路抵抗が小さい部分を優先的に流れる。流動抵抗が大きい部分では流体が流れにくい。ヘリンボーンタイプの熱交換装置では、流路抵抗が小さい部分での流路抵抗と流路抵抗が大きい部分での流路抵抗の差を小さくすることが難しい。ヘリンボーンタイプの熱交換装置では、流動抵抗が大きい部分では流体が流れにくいために、圧力損失を低減させることが困難となる。熱交換装置内での圧力損失が大きい場合、熱交換装置に流入させる流体の圧力を高くしないと熱交換装置内で流体の流速が低下する。熱交換装置内での流体の流速が低下することは熱交換効率の面からも不利である。
現状の熱交換技術では、熱交換効率が高くて圧力損失が低い熱交換装置を得ることができない。本発明では、扁平な流路内での流速分布を均一に分布させることによって、熱交換効率が高くて圧力損失が低い熱交換装置を得る。
本発明の熱交換装置は、異なる温度の第1流体と第2流体の間で熱交換する。本発明の熱交換装置は、第1流体が流れる扁平流路が内部に形成されている第1流体ケースと、第2流体が流れる扁平流路が内部に形成されている第2流体ケースを備えており、第1流体ケースと第2流体ケースは扁平流路の扁平面に垂直な方向に積層されている。
本発明の熱交換装置では、各々の流体ケースの内部に、遮蔽壁と流体通路が形成されている。遮蔽壁は、隣接する流体ケースとの境界板に接しているとともに積層方向の最外側に位置する流体ケース外壁板からは離間しており、扁平流路の上流側と下流側を結ぶ主流方向に交差する横断方向に伸びている。流体通路は、遮蔽壁の横断方向の側方に設けられており、流体が上流側から下流側へ通過することを許容する。
上記構成によると、遮蔽壁が流体の横断方向の流れを作り出す。これにより扁平流路の横断方向に流体を広がらせることができ、扁平流路の横断方向の流速分布を均一化することができる。扁平流路の全体を均一に利用して流体を流すことが可能となる。それと同時に、流体通路によって流体を主流方向に流すための流路も十分に確保できる。扁平流路の全体を利用できるのと、主流方向に流すための流路を十分に確保できることが相俟って、圧力損失が低減することができる。
また流体は、主流方向に流れた後に横断方向に流れる動きを繰返し、遮蔽壁に活発にぶつかる。流体と遮蔽壁の間で活発に熱交換される。高い熱交換効率を実現することもできる。
なお、本願発明において、「隣接する流体ケースとの境界板」とは各流体ケースを構成する外壁板のうち、隣接する流体ケースが存在する側の外壁板をいう。従って、「隣接する流体ケースとの境界板」とは、隣接する流体ケースとの境界板が1枚の板で形成されている場合のみならず、複数の板によって構成されている場合を含めた概念として用いる。例えば隣接する流体ケースの間に他の板が配設されている場合にあっては、各流体ケースにおいて、隣接する流体ケースが存在する面の外壁板が「隣接する流体ケースとの境界板」に相当する。
本発明の熱交換装置では、少なくとも1個の第1流体ケースと、少なくとも1個の第2流体ケースが積層されていればよく、さらに多段に積層されていてもよい。また、第1流体ケースの個数と第2流体ケースの個数は、等しくても相違してもよい。
なかでも、第1流体ケースが積層方向の両外側に位置するように流体ケースが3層以上積層されていることが好ましい。
この場合、環境温度よりも大きく相違する流体を第2流体ケースに導き、環境温度に近い流体を第1流体ケースに導くと、環境に放熱する熱量を減少させることができる。
あるいは、圧力が高い流体を第2流体ケースに導き、圧力が低い流体を第1流体ケースに導いてもよい。
この場合、両外側に位置する第1流体ケースが、中間に位置する第2流体ケースの両面を補強することになる。圧力が高い流体を使って熱交換する熱交換装置を実現することができる。
各々の流体ケースの各々の扁平面を一対の板によって閉じておいてもよい。この場合、流体ケースを積層すると、隣接する扁平流路が2枚の板で分離される。それに代わって、積層前の流体ケースの一方の扁平面は解放されており、流体ケース積層することによって他方の流体ケース扁平流路を閉じている板によって開放されていた扁平流路が閉じられるようにしてもよい。この場合、1枚の板が、隣接する流体ケースの扁平流路の積層方向の境界板となる。
勿論、各々の流体ケースが、扁平流路の積層方向の両境界を画定する一対の板によって閉じられていてもよい。流体ケース毎に気密な構造を完成しておくことができる。
各々の流体ケースが一対の板によって閉じられている場合、遮蔽壁が、一対の板の両者に接していることが好ましい。伝熱効率を高めることができる。
具体的な一つの態様では、各々の流体ケースの内部に波板が収容されていることが好ましい。この場合の波板は、主流方向に沿った断面で観測すると、主流方向に沿って波の頂部と波の底部が繰返して形成されており、頂部は一方の板に接しており、底部は他方の板に接していることが好ましい。波板の頂部と底部の間を伸びる部分によって遮蔽壁が形成されており、遮蔽壁の一部に流体通路となる開口が形成されていることが好ましい。
なお、ここで「接している」とは接着や融着等により接合されることを含む概念として用いている。
遮蔽壁と流体通路が、主流方向に沿って複数段に設けられていることが好ましい。この場合、主流方向から透視したときに、遮蔽壁と流体通路の少なくとも一部が、重畳する位置関係に配置されていることが好ましい。
流体は、主流方向に流れてから横断方向に流れる動きを繰返し、遮蔽壁との間で活発に熱交換する。
遮蔽壁が、積層方向から透視したときに、主流方向に略直交する方向に伸びていることが好ましい。この場合、流体は扁平流路の横断方向に広く分布し、均一に流れやすい。
遮蔽壁は、主流方向に沿った断面で観測したときに、主流方向に対して傾斜していてもよい。傾斜していても、流体が扁平流路の横断方向に広く分布して均一に流れることを邪魔しない。
本願発明によれば、流体を扁平流路の横断方向に広く分布させ、均質な流速分布を得ることができる。扁平流路を効率的に活用することができ、圧力損失を低減することができる。また、流体は遮蔽壁に活発にぶつかりながら流れる。流体と遮蔽壁の間で活発に熱交換することができる。
熱交換効率が高くしかも圧力損失が小さな熱交換装置を実現することができる。
実施例の主要な特徴を列記する。
(第1形態) 遮蔽壁と流体通路は、横断方向にも主流方向にも交互に配置されている。これにより、扁平流路の全体で流体の乱れを促進することができる。横断方向に分布する流体の温度差を小さくできる。熱交換効率を一層向上させることができる。
(第2形態) 夫々の流体ケースは、上面が開放された蓋のない箱状ケースとすることができる。それらを積層すると、上方の箱状ケースの底板(下面板)で下方の箱状ケースの上面が閉じられる。最上層の流体ケースには別途上面閉鎖部品を用意する。逆に、夫々の流体ケースは、下面が開放された底のない箱状ケースとすることができる。それらを積層すると、下方の箱状ケースの上面板で上方の箱状ケースの下面が閉じられる。最下層の流体ケースには別途下面閉鎖部品を用意する。このように構成することで熱交換装置の部品点数を少なくすることができる。熱交換装置を低コストで実現できる。
以下、図面を参照して実施例を詳細に説明する。
<実施例1>
図1と図2を用いて実施例1の熱交換装置10の構造を説明する。図1は、実施例1の熱交換装置10の模式的斜視図である。図2(A)は、熱交換装置10の平面図である。図2(B)は、図2(A)に示すB−B線に対応する縦断面図である。
図1に示す熱交換装置10は、上から順に、上側の第1流体ケース12、第2流体ケース14、下側の第1流体ケース16が積層された3層構造となっている。各流体ケース12、14、16の内部に扁平流路が形成されている。図1では流体ケースの内部構造を理解しやすくするために、上側の第1流体ケース12の上面板と手前左側の側面板は図示を省略してある。
また図2(A)に示す熱交換装置10の平面図では、流体ケースの内部構造を理解しやすくするために、熱交換装置10の上面板の図示を省略してある。さらに図2(B)の縦断面図では、第2流体ケース14および下側の第1流体ケース16は図示を省略してある。
上側の第1流体ケース12では、第1流体が第1流体流入口18から流入し、第1流体ケース12内を通って第1流体流出口20から流出する。
第2流体ケース14では、第2流体が第2流体流入口22から流入し、第2流体ケース14を通って第2流体流出口24から流出する。
下側の第1流体ケース16では、第1流体が第3流体流入口26から流入し、下側の第1流体ケース16内を通って第3流体流出口28から流出する。
即ち隣り合う流体ケース(上側の第1流体ケース12と第2流体ケース14、および第2流体ケース14と下側の第1流体ケース16)では流体は互いに反対方向に流れる。
なお、各流体ケース12、14、16において、流体流入口が設けられている側面の側を上流側と呼び、流体流出口が設けられている側面の側を下流側と呼ぶ。また流れの上流側と下流側を結ぶ方向を主流方向と呼ぶことにする。即ち図1に示すX軸の方向が主流方向となる。ここで、X軸の方向を「主流方向」と呼ぶのは、流体ケース内を流れる流体は局所的には図1に示す座標系でY軸方向やZ軸方向にも流れるが、流体を包括的に見ると流体は上流側から下流側へ向かって(即ちX軸に平行に)流れることによる。
また主流方向(図1に示すX軸方向)と流体ケースの積層方向(図1に示すZ軸方向)の両方向に直交する方向(図1に示すY軸方向)を横断方向と称する。
各流体ケース12、14、16の内部構造は同じであるので、以下では上側の第1流体ケース12の内部構造について説明する。なお、以下では各図に示した座標系において、各軸の矢印の方向をその軸の正方向と称し、矢印の方向と反対の方向をその軸の負方向と称する。
上側の第1流体ケース12の内部には波板30が配設されている。波板30には4つの波部が形成されている。夫々の波部の上流側(X軸の負方向)に面する波面を図1の右側から順に波面38a、波面38b、波面38c、波面38dと称する。また4つの波面38a、38b、38c、38dを総称する場合には符号38で表す。同様に夫々の波部の下流側(X軸の正方向)に面する波面を図2の右側から波面39a、波面39b、波面39c、波面39dと称する。また4つの波面39a、39b、39c、39dを総称する場合には符号39で表す。
波板30は、その波面38と39が、主流方向に略直交する横断方向に沿って伸びる向きに配設されている。換言すれば、波板30は主流方向(X軸方向)に沿った断面において主流方向に沿って波面の頂部32と底部34が繰り返して形成されている。
図2(B)に示すように、波板30の底部34は流体ケース12の内部で下面板42に固着されている。また波板30の頂部32は流体ケース12の内部で上面板40に固着されている。ここで流体ケース12の上面板40と下面板42は、扁平な流体ケース12の扁平面に平行な面を形成しており、扁平流路を閉じている。
波板30の各波面38、39には、波面38、39を貫通する貫通孔36が設けられている。貫通孔36は波面38、39の各面に複数設けられている。貫通孔36が流体通路を形成する。また主流方向から見た波面38、39のうち、貫通孔36以外の面が遮蔽壁を形成する。換言すれば、波板30の頂部32と底部34の間を伸びる部分(波面38、39)によって遮蔽壁が形成されている。
波面38a、39a、38c、39cに設けられた貫通孔36と、波面38b、39b、38d、39dに設けられた貫通孔36は、主流方向から見て、横断方向にずれた位置に設けられている。よって主流方向から見ると、波面38a、39aを貫通する貫通孔と波面38b、39bの波面は重なって見える。図2(A)のB−B線に対応する縦断面を示す図2(B)で説明すると、波面38a、39a、38c、39cに形成された貫通孔36と、波面38b、39b、38d、39dによる遮蔽壁の断面が図2(B)に示されている。主流方向から見た波面38、39が遮蔽壁を形成する。また貫通孔36が流体通路を形成する。さらに図2(A)のB−B線は主流方向に平行である。よって上記の構造は、主流方向から透視したときに、遮蔽壁と流体通路の少なくとも一部が重畳する位置関係に配置されている。
次に熱交換装置10の上側の第1流体ケース12内を通る流体の流れについて図2(A)を用いて説明する。図2(A)の上側の第1流体ケース12内に示す矢印は、流体の流れを示す。なお、上側の流路ケース12内が流路を形成している。
第1流体流入口18から流入した流体は波板30の波面38a(遮蔽壁)にぶつかる。これにより流入した流体はその流れの方向が流体ケース12内の横断方向に変えられる。第1流体流入口18からは継続的に流体が流入する。これにより横断方向に流れた流体は波面38aに設けられた貫通孔36(流体通路)を通過する。即ち流体は上流から下流へと流れる。図2(A)では波面38aに設けられた貫通孔36を通過した流体はそのまま波面39aに設けられた貫通孔36へと流れるように描いてある。しかし波面38aに設けられた貫通孔36を通過した流体の一部は波面38aと39aの間でも横方向に流れる。従って波面38aと39aの間に位置する空間でも、流体に横断方向の流れが生じる。
流体が上流から下流へと流れる間に、流体は波面38b、39b、38c、39c、38d、39dにもぶつかって横断方向にその流れの方向が変えられる。横断方向に流れた流体は貫通孔36を通ってさらに下流へと流れる。最後の波面39dの貫通孔を通過した流体は、第1流体流出口20から上側の流体ケース12の外部(即ち熱交換装置10の外部)へと流出する。
上記説明したように、上側の第1流体ケース12内を流れる流体は主流方向と交差する横断方向に伸びる波面38、39にぶつかって横断方向へと流れる。これにより流体は上側の流体ケース12内を横断方向へも速やかに広がる。上側の流体ケース12内の扁平流路の横断方向の全域に速やかに広がることによって、流体ケース12内の流速分布が均一となる。その結果、上側の第1流体ケース12内を流れる圧力損失は低下する。
波板30の波面38、39によって形成された遮蔽壁と貫通孔36によって形成された流体通路は、同一の面内(流路の扁平面に平行な面内)に設けられている。従って、一旦横断方向に流れた流体はスムーズに貫通孔36を通って下流へと流れる。これにより圧力損失をさらに抑制することができる。
上側の第1流体ケース12内を流れる流体は波面38、39にぶつかりながら流れる。流体と波板30の間で活発に熱交換される。波板30に伝えられた熱は、下面板42を経て第2流体ケース14に伝えられ、第2流体に伝熱される。上側の第1流体ケース12を流れる第1流体と、第2流体ケース14を流れる第2流体との間で、活発に熱交換される。
従来のヘリンボーンタイプの熱交換装置では、2枚の波板がその波面を交差させる角度で積層されており、2枚の波板の間に流路が形成されている。流体は横断方向に伸びる波面にぶつかりながら流れることによって流体ケース内を横断方向に広がる。一方流体は主流方向と平行に伸びる波面の間を、横断方向に伸びる波面を超えるようにして下流へと流れる。即ち、従来のヘリンボーンタイプの熱交換装置では、流体は横断方向に流れることで扁平な流路内に広がり、横断方向と主流方向に垂直な方向に流れることで下流へと移動する。換言すれば、従来のヘリンボーンタイプの熱交換装置では流体の3次元的な流れによって流体を横断方向に分布させつつ下流へと流す構造となっている。
これに対し本願発明の熱交換装置では、遮蔽壁と流体通路が、同一の面内(流路の扁平面に平行な面内)に設けられている。従って、流体は平面的な(2次元的な)流れによって横断方向に分布しつつ下流へと流れる構造となっている。2次元的な流れによって流体を横断方向と下流方向へと流す構造とすることで、流体ケース内の圧力損失を抑制しつつ横断方向の分布を向上させることができる。
なお、遮蔽壁と通過部の横断方向の長さや総数および配置を適切に設定することで横断方向への流体の速やかな分布と圧力損失の抑制とをバランスさせるように設計することができる。即ち、流体の横断方向へ速やかに分布させつつ、上流側から下流側へと通過させる流路を十分に確保することができる。
さらに流体は上流から下流へと流れる間に複数の波面38、39と複数の貫通孔36を通過する。流体は波面38、39にぶつかる毎に横断方向にその流れの方向が変えられる。流体ケース12内の流体は攪拌される。よって流体の温度分布が平準化される。その結果、隣接する第2流体ケース14を流れる流体との間の熱伝達効率がさらに向上する。
また遮蔽壁(波板30の波面38、39)と流体通路(貫通孔36)を一体成形した波板30はその頂部32と底部34が夫々上側第1流体ケース12の内側で上面板40と下面板42に固着されている。実施例1の熱交換装置10では、波板30と上側第1流体ケース12の上面板40および下面板42は夫々連続した平面で固着される。波板30は第1流体ケースの上面板40と下面板42を強固に連結する。これにより第1流体ケース12の耐圧を向上させることができる。
さらに遮蔽壁が上側第1流体ケース12の内側で上面板40と下面板42に固着されていることによって、流体ケース12内の流体と隣接する流体ケース内の流体との間の熱交換の効率を向上させることができる。
なお、波板30の波面の数や貫通孔の数は上記実施例1に示した数に限定されるものではない。また実施例1では流体ケースが3層に積層された熱交換装置を例示した。積層する流体ケースの数もいくつでもよい。
また実施例1では、波板30におけるひとつの波部を形成する波面、例えば波面38aと39aには主流方向から見て同一の位置に貫通孔36が設けられている。ひとつの波部を形成する両側の波面(波面38aと39a)に設ける貫通孔の位置を主流方向から見て横断方向にずらして配置してもよい。
さらに主流方向に並ぶ貫通孔を横断方向に同一の位置に設けてもよい。主流方向に並ぶ貫通孔を横断方向に同一の位置に設けても貫通孔がオリフィスの役目を果たし、貫通孔を通過した流体は横断方向へも流れるようになるからである。
また、実施例1では図2(A)に示すように上側第1流体ケース12は略矩形に形成されている。そして第1流体流入口18と第1流体流出口20は流体ケース12の略対角の位置に設けてある。本願発明の熱交換装置では、扁平な流路内に流体を速やかに分布させることができるので、流体の流入口と流出口を流体ケースの対角の位置に設けなくともよい。例えば流体の流入口と流出口を、流体ケースの上流側の側面と下流側の側面に夫々設ける際に主流方向から見て略一致する位置に配置してもよい。
さらに実施例1では、遮蔽壁を形成する波面38、39が主流方向と略直交する方向となるように波板30が配設されている。遮蔽壁は主流方向に交差する横断方向に伸びていれば良く、遮蔽壁は必ずしも主流方向と直交していなくともよい。
また実施例1では、図2(B)に示すように上側の第1流体ケース12は扁平な流路流路の積層方向の両側に上面板40と下面板42を備えている。実施例1では、流体ケース12、14、16は同じ構造を有する。即ち各流路ケース12、14、16は、隣接する流路ケースの扁平な流路の積層方向の両側を1対の板(上面板と下面板)によって閉じた流路が形成されている。これにより流路ケース毎に気密な構造を完成しておくことができる。
上記構成の他にも、隣接する流体ケースの扁平流路の境界板が一枚の板で構成されていてもよい。例えば、各流体ケースは上面の無い箱状ケースを積層することにより形成する。下層の箱状ケースの上面を上層の箱状ケースの下面板が覆うように積層する。即ち積層された各箱状ケースの上面を形成する上面板がその上層に積層された箱状ケースの下面板で兼用されているように構成する。上面の無い箱状ケースとその上部に積層された箱状ケースの下面板で流体ケースが形成できる。このように構成することで、一枚の板が隣接する流体ケースの扁平流路の境界板を形成することができる。これにより第1流体ケースを流れる第1流体と第2流体ケースを流れる第2流体との間の熱交換効率を向上することができる。また熱交換装置全体の部品点数を少なくすることができる。熱交換装置を低コストで実現できる。但し最上層の流体ケースには別途上面部品を用意する。
次に3層構造をした熱交換装置10全体について説明する。熱交換装置10では、外側の流体ケースである上側の第1流体ケース12と下側の第1流体ケース16に流す流体の圧力よりも高い圧力の流体を中間にある第2流体ケース14に流す。即ち、3層に積層された流体ケース12、14、16のうちの中間の第2流体ケース14に高圧の流体を流す。高圧の流体を流す中間の第2流体ケース14は扁平な面に垂直な方向でその両側を上側の第1流体ケース12と下側の第1流体ケース16に挟まれることになる。上側第1流体ケース12と下側の第1流体ケース16が中間の第2流体ケース14の扁平面に平行な両面の耐圧性能を補強する。熱交換装置10は耐圧性能の高い熱交換装置となる。
さらに環境温度よりも大きく相違する流体を中間の第2流体ケース14に導き、環境温度に近い流体を上側の第1流体ケース12と下側の第1流体ケース16に導くことも好適である。これにより環境に放熱する熱量を減少させることができる。
<実施例2>
次に実施例2について説明する。この実施例2では実施例1の波板30の代わりに複数の折り曲げ部を有する平板を利用する。図3にその平板の斜視図を示す。この平板44は、図3に示す座標系でY軸方向に伸びる折り曲げ部46が複数設けてある。折り曲げ部46はその平面が平板44に略直角となるように折り曲げられている。
Y軸方向に複数設けられた折り曲げ部46の間には隙間48が設けられている。折り曲げ部46は図3の座標系でX軸方向にも複数設けられている。X軸方向に設けられた複数の折り曲げ部46のうち一部の折り曲げ部は、X軸方向から見て他の折り曲げ部の間に設けられた隙間48と重なるように配置されている。換言すればX軸方向に設けられた複数の折り曲げ部46と隙間48はY軸方向にピッチをずらして配設されている。
図4に実施例2の熱交換装置10bの平面図と断面図を示す。図4(A)は実施例2の熱交換装置10bの平面図である。図4(B)は図4(A)のB−B線に対応する縦断面図を示す。但し図4(A)では内部構造を理解しやすくするために上面板を省略して描いてある。
この熱交換器10bは、実施例1の熱交換装置10の各流体ケース12、14、16内に配設した波板30の代わりに上述した平板44を配設したものである。平板44を配設する際の向きは図3に示す座標系と図4に示す座標系とが一致するように配設する。即ち、図3のX軸方向が主流方向に一致するように平板44は各流体ケース12b、14b、16c内に配設する。
まず熱交換器10bの上側の第1流体ケース12b、第2流体ケース14b、下側の第1流体ケース16bの構造について説明する。各流体ケース12b、14b、16bは上部に開口を有する箱状に形成されている。上部に開口を有する流体ケース12b、14b、16bが積層されている。上部に開口を有する流体ケース12b、14b、16bが積層されることによって、第2流体ケース14bの下面板42bが下側の第1流体ケース16bの上面板を兼ねている。同様に上側の第1流体ケース12bの下面板42aが第2流体ケース14bの上面板を兼ねている。上側の第1流体ケース12bの上面には別途上面板40aが備えられている。
即ち、上記熱交換装置10bでは、隣接する流体ケースの扁平流路の積層方向の境界板が一枚の板で構成されている。隣接する流体ケースの境界板を一枚の板で構成することによって、隣接する流体ケースの内部を夫々流れる流体間の熱交換効率を向上させることができる。
次に熱交換装置10bの各流体ケース12b、14b、16bの内部に配設された平板44について説明する。
図4(B)に示すように、上側の第1流体ケース12bの内部には平板44aが配設されている。上側の第1流体ケース12bの内部では、平板44aに設けられた折り曲げ部46aが遮蔽部を形成する。平板44aに設けられた隙間48aが流体通路を形成する。また第2流体ケース14bの内部には平板44bが配設されている。第2流体ケース14bの内部では、平板44bに設けられた折り曲げ部46bが遮蔽部を形成する。平板44bに設けられた隙間48bが流体通路を形成する。さらに下側の第1流体ケース16bの内部には平板44cが配設されている。下側の第1流体ケース16bの内部では、平板44cに設けられた折り曲げ部46cが遮蔽部を形成する。平板44cに設けられた隙間48cが流体通路を形成する。
上側の第1流体ケース12bに配設された平板44aは、上側の第1流体ケース12bとこれに隣接する第2流体ケース14bとの間の境界板(即ち上側第1流体ケース12bの下面板42a)に接するように配置されている。一方、遮蔽部を形成する折り曲げ部46aの上部52aは、上側第1流体ケース12bの上側板40aには接していない。
また下側の第1流体ケース16bに配設された平板44cは、下側の第1流体ケース16bとこれに隣接する第2流体ケース14bとの間の境界板(即ち下側第1流体ケース16bの上面板を兼ねる第2流体ケース14bの下面板42b)に接するように配置されている。一方、遮蔽部を形成する折り曲げ部46cの上部52cは、下側第1流体ケース16bの下側板42cには接していない。
一方、第2流体ケース14bに配設された平板44bは、下側の第1流体ケース16bとの境界板(即ち第2流体ケース14bの下面板42b)に接するように配置されている。「接するように配置されている」とはロウ付け等により接合されていてもよい。
一方、遮蔽部を形成する折り曲げ部46bの上部52bは、上側第1流体ケース12bとの境界板(即ち上側の第1流体ケース12bの下側板42a)に接している。折り曲げ部46bの上部52bは、上側第1流体ケース12bとの境界板に接着や融着等により接合されていてもよい。
即ち、熱交換装置10bでは、上側の第1流体ケース12bの下側面42aと第2流体ケース14bの下側面42bが流体ケース間の境界板を形成する。一方、上側の第1流体ケース12bの上側面40aと下側の第1流体ケース16bの下側面42cは流体ケース間の境界板とはならない。熱交換器10bでは、各流体ケース内に設けられた遮蔽部が隣接する流体ケースとの境界板にのみに接している。逆にいえば、熱交換器10bでは、各流体ケース内に設けられた遮蔽部は隣接する流体ケースとの境界板ではない面板には接していない。上記構造により、境界板の両側の流体ケース間では熱交換が活発に行われ、熱交換装置の外側に面する板(流体ケースの積層方向に直交する面板であって、隣接する流体ケースが存在しない側の面板)から熱が熱交換器10bの外部へ拡散していくことを低減できる。
次に実施例2の熱交換装置10b内の流体の流れについて説明する。但し流体の流れは上側の第1流体ケース12bと、第2流体ケース14bと、下側の第1流体ケース16bの内部で同様に流れるので、上側の第1流体ケース12bについてのみ説明する。
図4(A)に示す矢印は流体の流れを示す。また符号54で示す部分は、折り曲げ部46を折り曲げた際に平板44に形成される孔である。
図4(A)に示すように、平板44に設けられた折り曲げ部46が流路の主流方向と略直交する方向で流路の横断方向に伸びる遮蔽壁を形成する。また平板44に設けられた隙間48が遮蔽壁の横断方向の側方を流体が通過することを許容する流体通路を形成する。
本実施例2でも実施例1と同様に、流体流入口18から流入した流体は、遮蔽壁を形成する平板44の折り曲げ部46にぶつかって流れの方向が横断方向に変えられる。これによって流体は上側の第1流体ケース12の横断方向にも速やかに広がる。流体が上側の第1流体ケース12の横断方向にも速やかに広がることで隣接する第2流体ケースを流れる流体間での熱交換効率が向上する。また横断方向に流れを変えられた流体は流体通路を形成する隙間48を通って上流から下流へと流れる。これにより流路内での圧力損失を抑制することができる。
本実施例では、遮蔽壁と流体通路を一枚の平板で一体成形できるので低コストで熱交換装置を実現することが可能となる。
また平板44では、主流方向(X軸方向)に設けられた複数の折り曲げ部46(遮蔽壁)と隙間48(流体通路)は横断方向(Y軸方向)にピッチをずらして配設されている。換言すれば、遮蔽壁と流体通路は、上側第1流体ケース12内の横断方向に交互に配置されており、主流方向にも交互に配置されている。これにより、扁平な流路内全体で流体の乱れを促進することができる。横断方向に分布した流体の温度差を小さくできる。熱交換効率を一層向上させることができる。
上記実施例2では、折り曲げ部46の平面は、扁平な流路ケース12、14、16に配置した状態で主流方向と直交するように配置した。しかし折り曲げ部46の平面は、扁平な流路ケース12、14、16に配置した状態で主流方向と交差するように配置されていればよい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
実施例1の熱交換装置の模式的な斜視図である。 図2(A)は実施例1の熱交換装置の平面図である。図2(B)は図2(A)のB−B線に対応する縦断面図である。 実施例2の熱交換装置に配設する遮蔽壁と流体通路を一体成形した平板を示す図である。 図4(A)は実施例2の熱交換器の平面図である。図4(B)は図4(A)のB−B線に対応する縦断面図である。
符号の説明
10、10b:熱交換装置
12:上側の第1流体ケース
14:第2流体ケース
16:下側の第1流体ケース
18:第1流体流入口
20:第1流体流出口
22:第2流体流入口
24:第2流体流出口
26:第1流体流入口
28:第1流体流出口
30:波板
32:波板の頂部
34:波板の底部
36:貫通孔
38、39:波板の波面
40:第1流体ケースの上面板
42:第1流体ケースの下面板
44:平板
46:折り曲げ部
48:隙間
52:折り曲げ部の上部

Claims (9)

  1. 異なる温度の第1流体と第2流体の間で熱交換する熱交換装置であり、
    第1流体が流れる扁平流路が内部に形成されている第1流体ケースと、
    第2流体が流れる扁平流路が内部に形成されている第2流体ケースを備えており、
    第1流体ケースと第2流体ケースは扁平流路の扁平面に垂直な方向に積層されており、
    各々の流体ケースの内部に、
    隣接する流体ケースとの境界板に接しているとともに積層方向の最外側に位置する流体ケース外壁板からは離間しており、扁平流路の上流側と下流側を結ぶ主流方向に交差する横断方向に伸びている遮蔽壁と、
    遮蔽壁の横断方向の側方に設けられており、流体が上流側から下流側へ通過することを許容する流体通路が形成されていることを特徴とする熱交換装置。
  2. 第1流体ケースが積層方向の両外側に位置するように流体ケースが3層以上積層されており、第1流体ケースに流す第1流体の温度が、第2流体ケースに流す第2流体の温度よりも周囲の温度に近いことを特徴とする請求項1の熱交換装置。
  3. 第2流体ケースを流れる第2流体の圧力が第1流体ケースを流れる第1流体の圧力よりも高いことを特徴とする請求項2の熱交換装置。
  4. 1枚の板が、隣接する流体ケースの扁平流路の積層方向の境界板となっていることを特徴とする請求項1から3のいずれかの熱交換装置。
  5. 各々の流体ケースが、扁平流路の積層方向の両境界を画定する一対の板によって閉じられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかの熱交換装置。
  6. 遮蔽壁が、前記一対の板の両者に接していることを特徴とする請求項5の熱交換装置。
  7. 各々の流体ケースの内部に波板が収容されており、
    その波板は、主流方向に沿った断面において主流方向に沿って波の頂部と波の底部が繰返して形成されており、頂部は一方の板に接しており、底部は他方の板に接しており、
    波板の頂部と底部の間を伸びる部分によって遮蔽壁が形成されており、
    遮蔽壁の一部に流体通路となる開口が形成されていることを特徴とする請求項6の熱交換装置。
  8. 遮蔽壁と流体通路が、主流方向に沿って複数段に設けられており、
    主流方向から透視したときに、遮蔽壁と流体通路の少なくとも一部が、重畳する位置関係に配置されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかの熱交換装置。
  9. 遮蔽壁が、積層方向から透視したときに、主流方向に略直交する方向に伸びていることを特徴とする請求項1から8のいずれかの熱交換装置。
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