JP4647373B2 - 組紐の製造方法及び組紐からなる釣糸 - Google Patents

組紐の製造方法及び組紐からなる釣糸 Download PDF

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Description

本発明は、釣糸やラケット用ガットのコード類などとして用いられる組紐の製造方法と組紐からなる釣糸に関し、さらに詳しくは、組紐を構成する右巻きのストランドと左巻きのストランドとのテンションの差異を少なくして、組紐の物性を向上できる組紐の製造方法と、右巻きのストランドと左巻きのストランドが発揮する物性をバランス良く有効に利用できる釣糸に関する。
複数のストランドを互いに交錯させて組上げた組紐は、高い強力・強度や低い伸度など優れた物性を発揮できることから、釣糸やテニスラケットのガット、アーチェリーのサービングなど、直径が例えば4mm程度以下の細いコード類にも用いられている。
これらの組紐は、一般に製紐機を用いて製造される。この製紐機は、右回りと左回りの環状軌道を備えており、複数のボビンをそれぞれボビンキャリヤに搭載して上記の両環状軌道に周回させ、一方の環状軌道を周回するボビンを、他方の環状軌道を周回するボビンの外側と内側とに通過させるように構成してある。そして上記のボビンから引き取られたストランドを交錯させながら組上げることにより、上記の組紐が製造される。
上記の各ボビンから引き取られたストランドは、例えば平面視で環状軌道の略中心に位置する口金に集束される。上記の環状軌道は、他方の環状軌道の内側と外側を通過するように、例えば繭形などに形成されて蛇行しており、この環状軌道上を周回するボビンは、上記の口金との距離が最も近い近距離点と最も離れた遠距離点とを交互に通過する。そこで、このボビンと口金との間で上記のストランドに弛みが生じないように、ボビンキャリヤにはテンション装置が設けてある。
上記のテンション装置には、例えばボビンと平行に配置した繰出杆へ上下移動可能に遊嵌された重錘と、ボビン上部に設けたラチェットと、上記の重錘の上方で繰出杆の上部に遊嵌された爪レバーとを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。ボビンから巻き戻すように引き取られたストランドは、繰出杆の略中央部に穿設された透孔と、重錘に設けた透孔を通過したのち、繰出杆の上部に設けたガイド孔を経て前記の口金に案内される。
ボビンキャリヤが環状軌道を周回して上記の近距離点に近づいていくと、ストランドに弛みを生じるので上記の重錘が繰出杆に沿って下降し、ストランドの繰出経路に折返し部が形成されて上記の弛みが吸収される。一方、ボビンキャリヤが近距離点から離れていくと、ストランドが引っ張られて上記の重錘が上昇し、吸収されていた弛み分がガイド孔から繰出される。上記の吸収されていた弛み分が繰出される間は、ラチェットに爪レバーが係合しているので、ボビンがストランドの引き取りにより回転することはない。そしてこの間、ストランドには重錘により常に一定の荷重が加えられており、一定のテンションが付与されている。
しかし上記の弛み分が不足すると、重錘がさらに上昇して爪レバーを押し上げ、これにより爪レバーがラチェットから外れるのでボビンが回転可能となり、ストランドがボビンから巻き戻されて引き取られる。このとき、ストランドにはボビンを回動させる分だけ強い引張力が加わるので、このストランドのテンションが高くなる。このストランドの引き取りによるボビンの回動は、上記の吸収されていた弛み分が不足し易い遠距離点の近傍で生じる。
そして、上記のボビンからの巻き戻しによりストランドが繰出されると、上記の重錘は下降し、爪レバーがラチェットに係合してボビンの回転が停止される。
一方、上記の環状軌道は、口金から最も離れた遠距離点の近傍を通過するボビンキャリヤとこれに載置されたボビンは、周回方向へ回動する。この周回による回動方向が上記のストランドの引き取りによる回動方向と一致する場合は、ストランドの引き取りの際にボビンを一層素速く回動させる必要があるので、ストランドに強い引張力が加わり、ストランドのテンションがより高くなる。これに対し周回による回動方向が上記のストランドの引き取りによる回動方向と異なる場合は、ストランドの引き取りによる回動が周回による回動と相殺されるので、ストランドに加わる引張力が弱く済み、ストランドのテンションの上昇が抑えられる。
特開平6−235152号公報
上記従来の製紐機にあっては、右回りと左回りの各環状軌道を周回する各ボビンには、それぞれ同じ構造のボビンが採用されており、このボビンの上部に設けたラチェットの構造から、いずれの環状軌道を周回するボビンも同一方向に、即ち、例えば平面視で左回り(反時計回り)に回動することで、ボビンからストランドが引き取られていた。このため、環状軌道を周回するボビンの遠距離点近傍での周回による回動方向が、ストランドの引き取りによるボビンの回動方向と、一方の環状軌道では一致しており、他方の環状軌道では異なっていた。この結果、従来の組紐の製造方法では、組紐を構成する右巻きのストランドと左巻きのストランドとでテンションが異なることとなり、所謂左右のバランスが崩れた組紐になって、組紐全体の強力や強度、伸度などの物性の向上が容易でない問題があった。
また例えば釣糸のように高強力・低伸度のストランドを用いる場合、各ストランドのテンションや撚りが異なると、釣糸全体に加わった荷重を全部のストランドで均一に受け止める前に、一部のストランドがこの荷重を受け止めて伸びきり、破断してしまうことになる。この結果、釣糸全体として各ストランドの強力を有効に利用することができず、全ストランドの強力を合計した高い強力を充分に発揮できない問題があった。
本発明の課題は上記の問題点を解消し、組紐を構成する右巻きのストランドと左巻きのストランドとのテンションの差異を少なくして組紐の物性を向上できる、組紐の製造方法を提供すること、及び、右巻きのストランドと左巻きのストランドが発揮する物性をバランス良く有効に利用できる組紐からなる釣糸を提供することにある。
本発明は上記の課題を解決するために、例えば本発明の実施の形態を示す図1から図6に基づいて説明すると、次のように構成したものである。
即ち、本発明1は組紐の製造方法に関し、左回りの環状軌道(10a)と右周りの環状軌道(10b)にそれぞれ複数のボビン(6)を周回させ、一方の環状軌道(10a)を周回する各ボビン(6)を、他方の環状軌道(10b)を周回するボビン(6)の外側と内側とに通過させることにより、これらのボビン(6)から引き取られたストランド(7)を交錯させて組上げる、組紐の製造方法であって、一方の環状軌道(10a)を周回するボビン(6)からストランド(7)を引き取る際のボビン(6)の回動方向を、他方の環状軌道(10b)を周回するボビン(6)からストランド(7)を引き取る際のボビン(6)の回動方向と異ならせたことを特徴とする。
一方の環状軌道を周回するボビンの、遠距離点近傍での周回による回動方向とストランドを引き取る際の回動方向は、いずれも他方の環状軌道を周回するボビンと異なる。
このため、一方の環状軌道を周回するボビンの、ストランドの引き取りによる回動方向が、遠距離点近傍での周回による回動方向と一致する場合、他方の環状軌道を周回するボビンにおいてもストランドの引き取りによる回動方向が、遠距離点近傍での周回による回動方向と一致する。また、一方の環状軌道を周回するボビンの、ストランドの引き取りによる回動方向が、遠距離点近傍での周回による回動方向と異なる場合、他方の環状軌道を周回するボビンにおいてもストランドの引き取りによる回動方向が、遠距離点近傍での周回による回動方向と異なる。
即ち、上記の遠距離点近傍での周回によるボビンの回動方向とストランドの引き取りによるボビンの回動方向との関係が、右回りの環状軌道を周回するボビンと左周りの環状軌道を周回するボビンとで一致する。
ここで、上記のボビンからストランドを引き取る際のボビンの回動方向を、このボビンの環状軌道での周回方向と異ならせることができる。即ち、上記の右回りの環状軌道を周回するボビンからは、このボビンが左回転するように巻き戻すことでストランドを引き取り、左回りの環状軌道を周回するボビンからは、このボビンが右回転するように巻き戻すことでストランドを引き取る。これにより、ストランドを引き取る際にボビンを回動させるための引張力を低減でき、ストランドのテンションの上昇を抑制できるので、組紐を構成するストランドにテンションのムラの発生が抑制され、より好ましい。
また、一方の環状軌道を周回するボビンに捲回したストランドの撚り方向を、他方の環状軌道を周回するボビンに捲回したストランドの撚り方向と異ならせることができる。即ち、組紐を構成する各ストランドには、ボビンが環状軌道を周回することで周回方向に応じた撚りが加わるが、右回りに周回するボビンと左回りに周回するボビンの各ストランドの撚り方向を異ならせておくことにより、上記の周回による撚りがストランドに加わっても、右巻きのストランドと左巻きのストランドとが等しい撚りに維持されるので、より好ましい。
また本発明2は組紐からなる釣糸に関し、左回りの環状軌道(10a)と右周りの環状軌道(10b)にそれぞれ複数のボビン(6)を周回させ、一方の環状軌道(10a)を周回する各ボビン(6)を、他方の環状軌道(10b)を周回するボビン(6)の外側と内側とに通過させることにより、これらのボビン(6)から引き取られたストランド(7)を交錯させて組上げた組紐からなる釣糸であって、上記の一方の環状軌道(10a)を周回するボビン(6)に捲回したストランド(7a)の撚り方向を、他方の環状軌道(10b)を周回するボビン(6)に捲回したストランド(7b)の撚り方向と異ならせたことを特徴とする。
上記の釣糸は、組紐を構成する右巻きのストランドと左巻きのストランドが組紐の長さ方向(軸心方向)に対し等しい撚りに維持されるので、釣糸全体に加わった荷重は全てのストランドが同時に受け止めることになり、各ストランドが発揮する強力が有効に利用されて、釣糸全体としての強力や強度が高くなる。
特に、上記の組紐を上記の本発明1の製造方法により組上げた場合は、右巻きのストランドと左巻きのストランドとでテンションの差異が少なくなり、左右のバランスが一層よくなるので、釣糸全体の強力や強度をさらに高くすることができる。
なお、この釣糸は特定の材質に限定されないが、超高分子量ポリエチレン繊維やアラミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維などの、伸度7%以下の低伸度繊維を用いる場合に適用すると、各ストランドの強力を一層有効に利用できて好ましく、より好ましくは、伸度5%以下の低伸度繊維を用いた釣糸に適用される。
本発明は上記のように構成され作用することから、次の効果を奏する。
(1)本発明1では、一方の環状軌道を周回するボビンの、遠距離点近傍での周回による回動方向とストランドを引き取る際の回動方向は、いずれも他方の環状軌道を周回するボビンと異なるので、上記の遠距離点近傍での周回によるボビンの回動方向とストランドの引き取りによるボビンの回動方向との関係が、右回りの環状軌道を周回するボビンと左周りの環状軌道を周回するボビンとで一致する。この結果、組紐を構成する左巻きのストランドと右巻きのストランドとのテンションの差異を少なくして、いわゆる左右のバランスがとれた組紐を製造でき、組紐全体の強力や強度、伸度などの物性を向上させることができる。
(2)本発明2では、組紐を構成する右巻きのストランドと左巻きのストランドとが組紐の長さ方向(軸心方向)に対し等しい撚りに維持されるので、各ストランドが発揮する強力を有効に利用することができ、釣糸全体の強力や強度を高くすることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1から図5は本発明の実施形態に用いる製紐機を示し、図1は製紐機の概略正面図、図2は製紐機の概略平面図、図3はボビンキャリヤの一部破断正面図、図4はボビンの動作説明図であり、図4(a)は左回りの環状軌道での遠距離点近傍の要部拡大図、図4(b)は右回りの環状軌道での遠距離点近傍の要部拡大図、図5は組紐の概略構造を示す要部拡大図である。
図1に示すように、組紐(1)を製造するこの製紐機(2)は、駆動部(3)の上板(4)に複数のボビンキャリヤ(5…)を移動可能に載置してあり、各ボビンキャリヤ(5)にはそれぞれボビン(6)が搭載してある。各ボビン(6)から繰出されたストランド(7)は、上方に配置した口金(8)に集束され、互いに交錯させることで組紐(1)に組上げられる。なお、この口金(8)には、図1の仮想線に示すように下方から芯材(9)を供給して、この芯材(9)の周囲にストランド(7…)同士を交錯させても良い。
上記のストランド(7)は、例えばアラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、PBO繊維、ポリアリレート繊維などの高強力繊維や、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、フッ素樹脂繊維などの合成繊維、ガラス繊維などの無機繊維など、任意の材料からなるマルチフィラメントやモノフィラメントを用いることができ、金属線などの線条体を用いることも可能である。なお、上記の繊維束を用いる場合は、この繊維束に任意の撚数をかけたものであってもよい。また、上記の芯材(9)はこれらの糸状体や繊維束、線条体のほか、予め調製した組紐を用いることも可能である。
図2に示すように、上記の上板(4)には2つの環状軌道(10)が形成してある。各環状軌道(10)にはそれぞれ2個のボビンキャリヤ(5)を配置してあり、一方の環状軌道(10a)は平面視でボビンキャリヤ(5)が左回りに周回し、他方の環状軌道(10b)はボビンキャリヤ(5)が右回りに周回する。この周回により、上記のボビン(6)から上記のストランド(7)が繰出されて引き取られ、平面視で略中央に配置された上記の口金(8)に集束される。
上記の各環状軌道(10)はそれぞれ繭形に形成され、一方の環状軌道(10a)が他方の環状軌道(10b)の外側と内側を交互に通過するように蛇行している。従ってこの環状軌道(10)を周回する上記のボビン(6)は、上記の口金(8)から最も離れた遠距離点(11)と、この口金(8)に最も近接した近距離点(12)とを交互に通過する。
なお、この実施形態では上記の環状軌道(10)を、他方の環状軌道(10)の外側と内側を2回ずつ通過する繭形とし、各環状軌道(10)に2個のボビンキャリヤ(5)を周回させているので、いわゆる4つ打ちの組紐が形成される。しかし、本発明では、上記の環状軌道が3回以上他方の環状軌道の外側と内側を通過するものであってもよく、ボビンの数も各環状軌道に3個以上周回させてもよい。
図3に示すように、上記のボビンキャリヤ(5)は、下部に形成したガイド部(13)が前記の上板(4)に形成された環状軌道(10)内に配置されており、上部フランジ(14)と下部フランジ(15)とでこの上板(4)を挟持してある。この上部フランジ(14)の上面にはスピンドル(16)と繰出杆(17)とが互いに平行に立設してあり、このスピンドル(16)にボビン(6)が外嵌してある。
上記のボビン(6)は、環状軌道(10)を周回することで口金(8)との距離が変化する。このため、このボビン(6)と口金(8)との間でストランド(7)に弛みが生じないように、上記のボビンキャリヤ(5)にはテンション装置(18)が設けてある。このテンション装置(18)は、上記の繰出杆(17)へ上下移動可能に遊嵌された重錘(19)と、ボビン(6)の上部に設けたラチェット(20)と、重錘(19)の上方で繰出杆(17)の上部に遊嵌された爪レバー(21)とを備えており、この爪レバー(21)に形成した爪部(22)が上記のラチェット(20)へ離脱可能に係止してある。
なお、この実施形態は重錘の重量を利用したテンション装置を用いたが、本発明ではこれに代えて、バネの弾圧力を利用したテンション装置など、他の構造のテンション装置を用いてもよい。
上記の繰出杆(17)には、上下方向の略中央部に透孔(23)が穿設してあり、上端部にガイド孔(24)が設けてある。上記のボビン(6)から巻き戻すように繰出されたストランド(7)は、この透孔(23)と、重錘(19)に設けた掛部(25)を通過したのち、上記のガイド孔(24)を経て前記の口金(8)に案内される。これにより、この透孔(23)とガイド孔(24)との間の繰出経路に折返し部(26)が形成されている。
上記のボビンキャリヤ(5)が環状軌道(10)を周回して前記の遠距離点(11)から近距離点(12)に近づいていくと、ストランド(7)に弛みを生じるので上記の重錘(19)が繰出杆(17)に沿って下降し、上記の折返し部(26)にこの弛み分が吸収される。一方、ボビンキャリヤ(5)が近距離点(12)から遠距離点(11)側へ離れていくと、ストランド(7)が引っ張られて上記の重錘(19)が上昇し、吸収されていた弛み分がガイド孔(24)から繰出される。
上記の吸収された弛み分が充分にある間は、上記のラチェット(20)には爪レバー(21)の爪部(22)が係合しているので、ボビン(6)がストランド(7)の引き取りにより回転することはない。このため、ストランド(7)には重錘(19)により常に一定の荷重が加えられ、一定のテンションが付与される。
上記のストランド(7)の引き取りにより上記の弛み分が不足すると、重錘(19)がさらに上昇して、図3の仮想線に示すように爪レバー(21)を押し上げるので、爪部(22)がラチェット(20)から外される。これによりボビン(6)が回動可能となり、ストランド(7)がボビン(6)から巻き戻されて引き取られる。このボビン(6)からの巻き戻しが生じると上記の重錘(19)は下降し、爪レバー(21)が下降してラチェット(20)に爪部(22)が係合するので、ボビン(6)の回動が停止される。
上記のボビン(6)からストランド(7)を巻き戻す際、このボビン(6)を回動させる分だけストランド(7)には強い引張力が加わるので、このストランド(7)のテンションが高くなる。このストランド(7)の引き取りによるボビン(6)の回動は、上記の吸収されていた弛み分が不足し易い、前記の遠距離点(11)の近傍で生じる。
図4(a)及び図4(b)に示すように、この遠距離点(11)の近傍を通過するボビンキャリヤ(5)とこれに搭載されたボビン(6)は、周回方向へ回動する。一方、各ボビン(6)からストランド(7)を引き取って巻き戻す際にこのボビン(6)が回動する方向は、それぞれ上記の周回方向とは逆方向に設定してある。
即ち、図4(a)に示す左回りの環状軌道(10a)では、上記のボビン(6)が右回転するように巻き戻すことでストランド(7)が引き取られる。一方、図4(b)に示す右回りの環状軌道(10b)では、上記のボビン(6)が左回転するように巻き戻すことでストランド(7)が引き取られる。これにより、ボビン(6)を回転させて引き取る際のストランド(7)のテンションの上昇が、左周りの環状軌道(10a)を周回するボビン(6)からのストランド(7a)と右周りの環状軌道(10b)を周回するボビン(6)からのストランド(7b)とで等しくなる。さらに、各ストランド(7)の引き取りによるボビン(6)の回動がボビン(6)の周回による回動と相殺されるので、ストランド(7)に加わる引張力が弱く済み、各ストランド(7)のテンションの上昇が抑えられる。この結果、このストランド(7)により、左右のバランスがとれ、しかもテンションのムラの発生を抑えた組紐(1)を製造することができる。
上記の各ボビン(6)に捲回されたストランド(7)は、左回りの環状軌道(10a)を周回するボビン(6)と右回りの環状軌道(10b)を周回するボビン(6)とで撚り方向を逆にしてある。即ち、左回りの環状軌道(10a)を周回するボビン(6)から供給されるストランド(7a)はZ撚りにされ、右回りの環状軌道(10b)を周回するボビン(6)から供給されるストランド(7b)はS撚りにしてある。このため、図5に示すように組紐(1)の軸心(1a)方向に対して、左巻きのストランド(7a)と右巻きのストランド(7b)とが等しい撚りに維持される。
次に、各ストランドの撚りとボビンへの捲回方向を変えて釣糸用の組紐を組上げて、それぞれの強力を測定した。なお、用いたストランドの材質は、超高分子量ポリエチレン繊維(東洋紡績株式会社製、商品名:ダイニーマ)又はポリアリレート繊維(株式会社クラレ製、商品名:ベクトラン)であり、各ストランドの太さは110、440、又は550デシテックスであり、ストランドの本数は4本又は8本とした。
・実施例1a〜6a
右回りのボビンにはS撚りの糸を、ボビンが左回転するように巻き戻すことでストランドが引き取られるように捲回し、左回りのボビンにはZ撚りの糸を、ボビンが右回転するように巻き戻すことでストランドが引き取られるように捲回した。
・実施例1b〜6b
右回りのボビンにはS撚りの糸を、左回りのボビンにはZ撚りの糸を用いて、それぞれボビンが左回転するように巻き戻すことでストランドが引き取られるように捲回した。
・比較例1〜6
右回りのボビンと左回りのボビンの両方に、それぞれZ撚りの糸を、ボビンが左回転するように巻き戻すことでストランドが引き取られるように捲回した。
上記の各ストランドから組上げた組紐の、強力の測定結果を図6の対比表に示す。
この測定結果対比表から明らかなように、いずれの種類と太さ、本数のストランドを用いた場合も、右巻きのストランドの撚り方向と左巻きのストランドの撚り方向とを異ならせることにより、組紐全体の強力が向上し、さらに、ストランドを引き取る際のボビンの回動方向を右回りのボビンと左回りのボビンとで異ならせることにより、組紐全体の強力が一層向上した。またこれらの強力の向上は、ストランドの太さ(単糸デシテックス)が太い場合に一層顕著であった。
即ち、各ストランドの太さが110デシテックスの場合、右巻きのストランドの撚り方向と左巻きのストランドの撚り方向とを異ならせること(実施例1b〜3b)により、同じストランドを用いた各比較例1〜3に比べて強力が6.5〜16.8%向上し、さらに、ストランドを引き取る際のボビンの回動方向を右回りのボビンと左回りのボビンとで異ならせること(実施例1a〜3a)により、各比較例1〜3に比べて強力が22.2〜32.8%向上した。
一方、各ストランドの太さが440または550デシテックスの場合、右巻きのストランドの撚り方向と左巻きのストランドの撚り方向とを異ならせること(実施例4b〜6b)により、同じストランドを用いた各比較例4〜6に比べて強力が22.7〜28.4%向上し、さらに、ストランドを引き取る際のボビンの回動方向を右回りのボビンと左回りのボビンとで異ならせること(実施例4a〜6a)により、それぞれ比較例4〜6に比べて強力が40.9〜60.0%向上した。
上記の実施形態や実施例で説明した組紐の製造方法は、本発明の技術的思想を具体化するために例示したものであり、本発明方法をこの実施形態等に限定するものではなく、本発明の特許請求の範囲内において種々の変更を加え得るものである。
また、上記の実施形態で用いた製紐機も、ボビンキャリヤやボビンの数、環状軌道の形状、テンション装置の構造などは例示したものであり、これらの実施形態のものに限定されない。さらに、ストランドや組紐の太さ、材質、芯材の有無、芯材の種類、組紐の断面形状等は、組紐の用途などに応じて適宜選定され設定される。
本発明は、組紐を構成する右巻きのストランドと左巻きのストランドのテンションの差異を少なくして組紐の物性を向上できるので、釣糸やテニスラケット等のガット、アーチェリーのサービングなどの製造に特に好適であるが、他の用途の組紐の製造にも好適に用いられる。
本発明の実施形態に用いる、製紐機の概略正面図である。 製紐機の概略平面図である。 ボビンキャリヤの一部破断正面図である。 ボビンの動作説明図であり、図4(a)は左回りの環状軌道での遠距離点近傍の要部拡大図、図4(b)は右回りの環状軌道での遠距離点近傍の要部拡大図である。 組紐の概略構造を示す、要部拡大図である。 各種ストランドを用いた組紐の強力の測定結果対比表である。
符号の説明
1…組紐
6…ボビン
7…ストランド
7a…左巻きのストランド
7b…右巻きのストランド
10…環状軌道
10a…左回りの環状軌道
10b…右回りの環状軌道

Claims (6)

  1. 左回りの環状軌道(10a)と右周りの環状軌道(10b)にそれぞれ複数のボビン(6)を周回させ、一方の環状軌道(10a)を周回する各ボビン(6)を、他方の環状軌道(10b)を周回するボビン(6)の外側と内側とに通過させることにより、これらのボビン(6)から引き取られたストランド(7)を交錯させて組上げる、組紐の製造方法であって、
    一方の環状軌道(10a)を周回するボビン(6)からストランド(7)を引き取る際のボビン(6)の回動方向を、他方の環状軌道(10b)を周回するボビン(6)からストランド(7)を引き取る際のボビン(6)の回動方向と異ならせたことを特徴とする、組紐の製造方法。
  2. 上記の各環状軌道(10)を周回するボビン(6)からストランド(7)を引き取る際のボビン(6)の回動方向を、この環状軌道(10)での周回方向と異ならせた、請求項1に記載の組紐の製造方法。
  3. 上記の一方の環状軌道(10a)を周回するボビン(6)に捲回したストランド(7a)の撚り方向を、他方の環状軌道(10b)を周回するボビン(6)に捲回したストランド(7b)の撚り方向と異ならせた、請求項1または請求項2に記載の組紐の製造方法。
  4. 左回りの環状軌道(10a)と右周りの環状軌道(10b)にそれぞれ複数のボビン(6)を周回させ、一方の環状軌道(10a)を周回する各ボビン(6)を、他方の環状軌道(10b)を周回するボビン(6)の外側と内側とに通過させることにより、これらのボビン(6)から引き取られたストランド(7)を交錯させて組上げた組紐からなる釣糸であって、
    上記の一方の環状軌道(10a)を周回するボビン(6)に捲回したストランド(7a)の撚り方向を、他方の環状軌道(10b)を周回するボビン(6)に捲回したストランド(7b)の撚り方向と異ならせたことを特徴とする、組紐からなる釣糸。
  5. 上記の請求項1または請求項2の製造方法により組上げた、請求項4に記載の組紐からなる釣糸。
  6. 上記のストランド(7)が、伸度7%以下の低伸度繊維である、請求項4または請求項5に記載の組紐からなる釣糸。
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