JP4646593B2 - ホットメルト接着剤の搬送装置および方法 - Google Patents

ホットメルト接着剤の搬送装置および方法 Download PDF

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Description

本発明は、ホットメルト接着剤の搬送装置および方法に関し、詳しくは、ホットメルト接着剤を製造後に輸送保管したり使用したりするために搬送する装置と、このような搬送装置を用いるホットメルト接着剤の搬送方法とを対象にしている。
ホットメルト接着剤は、各種製品の製造組立および包装などに広く利用されている。
製造組立ラインや包装ラインで継続的にホットメルト接着剤を使用するには、ホットメルト接着剤を溶融させて物品の接着個所に供給し接着する接着装置に、ホットメルト接着剤を継続的に供給する装置が必要になる。例えば、ホットメルト接着剤は、小さな球形あるいは棒状、板状などのペレットで供給され、ホッパなどの貯留槽に貯えられている。貯留槽から取り出したホットメルト接着剤を、各種の搬送装置を経由して、ホットメルト接着剤を使用する機器まで搬送する。
ホットメルト接着剤のペレットは、表面の粘着性あるいは付着性が強い物質である。ペレット同士を接触させて圧力を加えると、比較的に簡単に、互いに接合されてしまう。大量のペレットを堆積させると、堆積されたペレットの下部では上方のペレットの重さによる圧力で、ペレット同士が接合されてしまうことがある。このようなペレット同士の接合を「互着」と呼ぶことがある。
ホットメルト接着剤ペレットの搬送は、上記のような互着現象を起こさないようにしなければならない。
そこで、空気輸送による搬送が提案されている。空気輸送は、輸送配管内に空気流を作り出し、この空気流とともに粉粒状の物体を搬送することができる。空気輸送には、上流側から空気を圧送して空気流を作り出す圧送式の空気輸送と、下流側から真空吸引して吸引力を作用させることで空気流を作り出す吸引式の空気輸送とが知られている。
ホッパなどの貯留槽におけるペレットの互着や詰まりを防ぐ技術として、貯留槽の内壁面から内部空間に向かって空気を吹き込む技術が知られている。
特許文献1には、空気輸送による搬送に利用され、ゴム配合ペレットなどの粘着性を有するペレットを収容したホッパなどの貯蔵容器において、貯蔵容器の内壁から内部空間に圧縮空気を噴射して、ペレット同士の互着を解除する技術が提案されている。但し、圧縮空気を噴射すると、貯留槽内に吹き込まれた空気が、ペレットを、壁側やペレットの取出口に設けられた排出弁などに押し付ける作用が生じる。ペレットが、壁固着したり、ペレット同士が圧着されたりしてしまうという問題がある。そこで、この技術では、貯蔵容器からペレットを取り出す排出弁が開いたときだけ圧縮空気を噴射する。排出弁が開いていれば、圧縮空気で押されたペレットは排出弁から送り出されるので、壁側に押し付けられたり、ペレット同士が圧着されたりすることが少なくなる。
特公平7−86032号公報
空気輸送によるホットメルト接着剤ペレットの搬送では、空気輸送路におけるペレット同士の接合や空気輸送路内壁へのペレットの付着は少なくできても、空気輸送を開始するホッパ等からペレットの取り出しを行う段階で、ペレットの互着による詰まりや障害が生じ易い。
ホッパに堆積されたペレットの下方部分には、上方に存在するペレット全体の重量が加わっている。ペレットが取り出されるホッパ下端の取出口では、上方の広い範囲のペレットが取出口の狭い面積部分に集まってくる。そのため、取出口を通過する段階のペレットは、互いに強い圧力で押しつけられて、互着が起こり易い。
吸引式の空気輸送路では、ホッパの取出口からペレットを吸い出そうとするが、取出口付近で互着を起こしたペレットは、容易に吸い出すことができない。吸引力を強くしても、それだけペレット同士が取出口で互いに圧接されて強く接合してしまい、却ってスムーズな吸出しが困難になることがある。
特に、ホッパに大量のペレットが蓄積されている場合に大きな問題になる。ホットメルト接着剤ペレットを使用する製造ラインを、長時間にわたって連続稼動させたり、24時間連続稼動させたりする場合、ホットメルト接着剤ペレットの供給が途絶えないようにしたり、ホッパへのホットメルト接着剤ペレットの追加供給作業を出来るだけ少なくするために、大容量のホッパを設置することが行われる。
大容量のホッパに大量のホットメルト接着剤ペレットが貯留されていると、当然、下端にある取出口の近くでは、ペレット同士に大きな押圧力が作用し、ペレット同士の互着が発生し易くなる。空気輸送路から強い吸引力を加えても、ペレットを吸い出すことができなくなる。
ホッパの取出口に詰まったペレットは、工具などで機械的に衝撃力を加えて分離すれば、空気輸送路で吸い出して搬送できるようになる。そのために、作業者が絶えず、ホッパの取出口を監視していたり、頻繁な間隔で点検を行ったりしなければならず、管理コストや作業コストが増大してしまう。
特許文献に記載された技術のように、ホッパの内壁から圧縮空気を噴射して、ホッパ内でのペレット同士の互着を解消するだけでは、ホッパの取出口で互着して詰まってしまったペレットを解きほぐすことができ難い。取出口よりも上方空間に噴射された圧縮空気は、ペレットを余計に取出口に押し込んでしまい、ペレットが詰まったままになることがある。また、取出口の近辺に詰まったペレットの塊が、塊のままで1度に押し出されて空気輸送パイプが詰まってしまうこともある。ホッパの全体でペレットの互着を解消するには、圧縮空気の噴射口を全体に均等に設置する必要があり、設備が大掛りになる。
本発明の課題は、前記したようなホットメルト接着剤ペレットの空気輸送による搬送技術において、ホッパなどの貯留槽から空気輸送路へとペレットを取り出す段階でのペレットの互着による詰まりを、作業の手間をかけずに、確実かつ簡単に解消することである。
本発明にかかるホットメルト接着剤の搬送装置は、ホットメルト接着剤のペレットを吸引式の空気輸送により搬送する装置であって、前記ペレットが蓄積され、下端に取出口が開口する貯留槽と、前記取出口の下方に配置され前記貯留槽から前記ペレットが落下供給される吸引室と、前記吸引室の内壁に開口する吸引口を有し、吸引室内の空気とともに前記ペレットを吸引して搬送する空気輸送路と、前記吸引室の内壁に開口する噴射口を有し、噴射口から吸引室内に間欠的に圧力空気を噴射する間欠空気噴射手段とを備え、前記吸引室において、前記間欠空気噴射手段による圧力空気の噴射方向と、前記空気輸送路による空気およびペレットの吸引方向とが、同一直線方向に設定されており、前記空気輸送路が、前記吸引室の近傍に空気輸送路の内外で空気を流通させる空気流通口を有するものであり、前記貯留槽が、容量0.5〜2.0m であり、前記取出口の開口寸法が、150〜300mmであり、前記空気輸送路による吸引圧力が、−0.01〜−0.03MPaGであり、前記間欠空気噴射手段による前記吸引室への圧力空気噴射が、圧力0.05〜0.3MPaG、噴射時間0.1〜0.3秒、噴射量0.3〜0.9リットル、噴射間隔5〜30秒である、ことを特徴とする。
〔ホットメルト接着剤ペレット〕
各種産業分野で利用されているホットメルト接着剤ペレットが使用できる。
ホットメルト接着剤として、EVA系接着剤やエラストマー系接着剤、ウレタン系接着剤などが挙げられる。
ペレットの形状や構造、寸法などは、通常のホットメルト接着剤ペレットと同様の条件が採用できる。
ペレットの形状は、一般的には球状であるが、楕円球状、円柱状、角柱状、角板状、燐片状などもある。本発明の搬送装置および方法では、形状の異なるペレットを輸送するときでも、同じ搬送装置のままで対応でき、輸送するペレットの切り替えが容易である。
ペレットの寸法は、使用目的や製造条件などによって変わるが、例えば、球状の場合、通常、外径7〜9mmの範囲が採用される。角板状の場合、辺長10〜15mm、厚さ3〜5mmの範囲が採用できる。
ペレットとして、互着性の強いもの、表面に粘着性や付着性を有するものほど、本発明の効果が顕著に発揮できる。
〔貯留槽〕
基本的には、通常の空気輸送装置に使用されている貯留層と同様の材料や構造を有するものが使用される。ホッパ、サイロなどと呼ばれる構造物が使用できる。
貯留槽の構造は、通常、円筒状で下端が逆円錐形に狭くなっている。角筒状や球状、長円球状、多面体状の貯留槽なども使用される。
貯留槽は、必要量のホットメルト接着剤ペレットが収容できる容量を備えておく。容量が大きな貯留槽を使用するほど、互着の問題が起き易くなり、本発明による互着防止の効果が大きい。通常、容量0.5〜2.0mの貯留槽に適用できる。好ましくは、容量0.5〜1.0mである。
貯留槽の下端には、取出口を備えている。取出口の形状は、通常、円形あるいは貯留槽の水平断面形状と相似形である。角形や長円形などの取出口もある。取出口の寸法は、ペレットの寸法および取出量に合わせて設定される。通常、取出口の開口寸法を150〜300mmに設定する。ここで、開口寸法は、取出口が円形の場合は直径で規定し、取出口が角形の場合は辺長で規定する。
取出口は常に開口している。開閉弁やロータリー弁などは設けないか、設けてあっても稼動中は常に開放した状態にしておく。
〔吸引室〕
貯留槽の取出口の下方に配置され、貯留槽からペレットが落下供給される。
吸引室は、比較的に少量のペレットが収容でき、空気輸送路へのペレットの移動がスムーズに行え、間欠空気噴射手段から噴射された圧力空気が効率的に取出口周辺におけるペレットの互着を解消できる形状や構造のものが好ましい。例えば、吸引室の形状を、取出口の同じ平面形状で、底のある筒状に構成できる。取出口よりも広い平面形状を有していてもよい。
〔空気輸送路〕
吸引室の内壁に開口する吸引口を有し、吸引室内の空気とともにペレットを吸引して搬送する。
基本的には通常の空気輸送装置における空気輸送路の材料や構造が採用できる。通常は、圧力空気用の配管やホースが用いられる。空気輸送路の口径は、ペレットの形状および寸法、輸送量などの条件によって決められる。例えば、吸引口の口径で規定される空気輸送路の口径を40〜60mmの範囲に設定できる。吸引口の内径と空気輸送路の内径が異なる場合もある。
空気輸送路には、空気輸送路内の空気を吸引して空気輸送路内に空気流を発生させる真空吸引装置が設置される。真空吸引装置の構造は通常の空気輸送装置と同様でよい。空気輸送路の下流側には、空気流と分離されたペレットを受け取る機構や、ペレットを使用して目的の処理を行う装置などが設置される。
吸引口は、吸引室の内壁のうち、ペレットを吸い込むのに適した位置に設けられる。吸引室の側壁あるいは底壁に設けることができる。通常は、底部近くの側壁に設けられる。吸引口が底部近くにあるほうが、底部近くに落下したペレットを吸い込み易い。後述する間欠空気噴射手段の噴射口との関係を適切に設定することで、ペレットの互着解除および空気輸送の機能や性能が向上できる。
吸引口につながる部分の空気輸送路は、吸引室の垂直中心軸に対して直交する方向に延ばしておくことで、吸引室の中心から放射方向に効率的にペレットを吸い出すことができる。吸引口から十分に離れた位置から先では、空気輸送路が曲がっていたり傾斜していたりしても影響は少ない。水平方向に対して傾斜する方向に延ばすこともできる。
<空気流通口>
空気輸送路には、吸引室の近傍に空気輸送路の内外で空気を流通させる空気流通口を有することができる。
空気流通口は、吸引室側から空気が流れ込み難くなったときに、空気流通口から外気を取り入れて、空気輸送路を流通する空気量を確保するのに有用である。
また、間欠空気噴射手段からの圧力空気の噴射によって、空気輸送路内における空気の圧力が急激に変化したときに、それに対応して外気の取り入れ量を調整したり過剰の圧力を逃がしたりすることで、空気輸送路内の圧力変動を緩和する機能も果たす。
空気流通口は、上記のような機能を果たすのに適した位置および形状で設けられる。
〔間欠空気噴射手段〕
吸引室の内壁に開口する噴射口を有し、噴射口から吸引室内に間欠的に圧力空気を噴射する。
基本的には、通常の圧力空気の供給技術や制御技術を組み合わせて構成される。
噴射口に連通し、圧力空気を供給する圧力空気路を設けておくことができる。圧力空気路は、通常の圧力空気用の配管やホースが使用される。
圧力空気路には、圧力空気を供給する圧力空気供給源が設けられる。圧力空気供給源は、コンプレッサーなどが使用される。通常、圧力空気供給源から供給される圧力空気は一定の圧力で連続して供給される。圧力空気路の途中に、圧力調整弁や流量調整弁を設けておくことができる。
圧力空気路の途中に、間欠的に開閉制御されるダイアフラム弁を設けることで、圧力空気を間欠的に噴射できる。ダイアフラム弁を駆動する電磁弁を電気的に制御すれば、噴射する圧力空気の噴射時間や噴射圧力、噴射間隔などを正確に制御できる。
圧力空気路の途中でダイアフラム弁よりも上流側で圧力空気供給源との間に、空気溜まりタンクを設けることができる。空気溜まりタンクは、圧力空気供給源から供給される圧力空気を、噴射空気の量を充分にまかなえる程度の容量で、一時的に溜めておき、ダイアフラム弁の開閉制御によって、間欠的に圧力空気を送り出す。ダイアフラム弁で、瞬時に高圧の空気を放出させたり遮断したりしたときに、空気溜まりタンクが緩衝作用を発揮し、圧力空気供給源側に過大な負荷を与えないようにできる。
圧力空気路の先端に設けられる噴射口は、吸引室の内壁のうち、吸引室内および取出口の周辺のペレットに圧力空気を効率的に吹き付けてペレットの互着を解除し易い位置および構造で設けておく。噴射口を複数個所に設けることもできる。噴射口が複数の場合、1本の圧力空気路を分岐させて複数の噴射口に連結しておくことができる。
噴射口につながる圧力空気路が延びる方向によって、噴射口から噴射される圧力空気の方向を変えることができる。噴射口にガイド板を設けたり絞りノズルを設けたり、ラッパ状の拡大管を設けたり可変ノズルを設けたりすることで、噴射口から噴射される圧力空気の速度や圧力、噴射方向、噴射範囲などを制御することができる。
噴射口は、吸引室の内壁のうち、何れの位置に設けることもできる。通常は、吸引室の側壁に設けられる。吸引室の中心に対して、空気輸送路の吸引口と対称位置に設けることができる。
吸引室において、間欠空気噴射手段による圧力空気の噴射方向と、空気輸送路による空気およびペレットの吸引方向とを、同一直線方向に設定しておけば、間欠空気噴射手段から噴射された圧力空気が、ペレットを空気輸送路の吸引方向へ効率的に送り込むことができる。
〔搬送方法〕
以上に説明した構造を有する搬送装置を用いて、ホットメルト接着剤のペレットを吸引式の空気輸送により搬送する。
吸引式の空気輸送は、ホットメルト接着剤ペレットのように熱に弱い被搬送物に適した空気輸送技術である。圧送式の空気輸送の場合、輸送用の空気が圧縮されることで温度が高くなり、輸送中のペレットに熱による悪影響が生じる。吸引式の場合は、輸送空気の温度が大気温度(室温)を超えることはない。しかも、間欠空気噴射手段を作動させたときに、間欠的に供給される少量の噴射空気が加圧によって昇温しても、断熱膨張によって温度は下がるので、空気輸送路を送られる圧力空気の全体の温度およびペレットに悪影響を及ぼす心配は全くない。
貯留槽に貯留され、取出口から吸引室に落下供給されたペレットを、吸引口から空気輸送路に吸引して搬送する工程(a)と、工程(a)を行いながら、間欠空気噴射手段の噴射口から吸引室に間欠的に圧力空気を噴射する工程(b)とを含むことができる。
空気輸送路によるペレットの搬送は、通常の空気輸送と同様の作業条件で行うことができる。例えば、空気輸送路による吸引圧力を、−0.01〜−0.03MPaGに設定できる。空気輸送路を流通する空気量を、2〜4.5m/minに設定できる。
間欠空気噴射手段による吸引室への圧力空気噴射を、圧力0.05〜0.3MPaG、噴射時間0.1〜0.3秒、噴射量0.3〜0.9リットル、噴射間隔5〜30秒に設定できる。好ましくは、圧力0.1〜0.2MPaG、噴射時間0.1〜0.2秒、噴射量0.3〜0.6リットル、噴射間隔5〜15秒である。圧力が高いほど、噴射口から遠い範囲までに圧力空気によるペレットの互着解消作用を及ぼすことができる。圧力が高過ぎても、目的の機能はそれほど発揮できず、エネルギーの無駄になる。圧力空気の噴射量については、一般的には噴射量が多いほど大きな力を作用できるが、過剰な噴射量は無駄になる。噴射時間は、取出口などにおけるペレットの互着を解除できるだけの力あるいはエネルギーを作用させられるように設定する。ペレットの互着解除は、噴射時の圧力作用と噴射終了時の圧力開放作用の両方で果たされる。噴射開始と噴射終了の時間間隔を適切に設定することで、ペレットの互着解除機能が高まる。噴射圧力と噴射時間および噴射量は、互いに関連するので、それぞれの数値が適切になるように互いの数値条件を設定する。
通常、噴射間隔が短いほど、ペレットに短い時間で繰り返し力を作用させて互着の解除機能を高めることができる。但し、噴射間隔が短過ぎても、ペレットが十分に動いたり離れたりする時間がなくなって、互着の解除が十分に行えなくなる。
間欠空気噴射手段は、空気輸送路によるペレットの搬送を行っている間は、継続的に作動させて、間欠的に圧力空気を噴射しておくことが望ましい。特に、ペレットの搬送を自動化して連続的に行っている場合は、間欠空気噴射手段も連続稼動させておくことで、作業員がペレットの詰まりを監視したり、ペレットの詰まり解除作業を手作業で行ったりする手間が省ける。無人稼動を可能にする。
但し、間欠空気噴射手段を作動させなくても、ペレットの互着や詰まりが生じないような作業条件であれば、間欠空気噴射手段を休止させておいてもよい。例えば、貯留槽におけるペレットの貯留量が少ない場合や、ペレットの互着が発生し難い環境条件である場合などである。
貯留槽の取出口や吸引室、空気輸送路などに、ペレットの搬送状態、詰まり状態を検知するセンサや測定器を設置しておき、これらの検知測定情報をもとにして、間欠空気噴射手段の作動を制御することができる。噴射圧力や時間、間隔を制御することもできる。
本発明にかかるホットメルト接着剤の搬送装置および方法では、貯留槽の取出口と空気輸送路とをつなぐ吸引室に、間欠空気噴射手段から間欠的に圧力空気を噴射することで、取出口付近に詰まったホットメルト接着剤ペレットに、間欠的なパルス状の圧力波による衝撃力を断続的に繰り返し加えるとともに、ペレット同士の間にクサビ状に圧力空気を吹き込んで、ペレットの互着を効果的に解消させることができる。
吸引室からその上方の取出口へと圧力空気を送るので、取出口に詰まったペレットを取出口よりも広い上方側に持ち上げるように動かすことができ、圧力空気が却って取出口にペレットを押し込んで詰まらせるような問題が生じない。1パルスの噴射が終わると、ペレットを持ち上げる力が無くなり、ペレットが自重で落下し、互いに衝突したり貯留槽の内壁に衝突したりして、さらに互着を解消する作用が発生する。間欠的な圧力空気噴射で、取出口周辺のペレットが上下等に激しく運動させられることになり、効率的にペレットの互着解除作用が働く。
間欠空気噴射手段からの間欠的な圧力空気の噴射は、自動制御装置などを利用して、自動的かつ継続的に行うことができる。圧力空気の噴射条件を適切に設定しておけば、ホットメルト接着剤ペレットの搬送を長時間あるいは24時間連続して実施する場合でも、作業員が常時監視したり短い間隔で点検を行ったりする手間がかからない。
その結果、ホットメルト接着剤ペレットを使用する各種生産ラインにおける保守管理の手間が省け、生産性や稼動率の向上にも大きく貢献することができる。
図1、2に示す実施形態は、ホットメルト接着剤の空気輸送経路において、ホッパ周辺の装置構造を示している。
〔搬送装置〕
図1に示すように、ホットメルト接着剤ペレットPは、小さな球状をなしていて、貯留槽であるホッパ10に蓄積されて収容されている。ホッパ10は、全体が円筒状をなすとともに、下方は逆円錐形に狭まっている。下端には、断面円形の取出口12が開口している。
取出口12の下方には、底のある円筒状の吸引室14が設けられている。
図2に水平断面形状を示すように、吸引室14の周側壁には、空気輸送路20の吸引口21が開口している。周側壁のうち、吸引口21の中心軸に対して直径方向の反対側になる位置には、間欠空気噴射手段を構成する圧力空気路30の噴射口31が開口している。圧力空気路30から吸引室14を介して空気輸送路20までが、吸引室14の中心を通る直径線Cの延長線上に配置されている。
図1に示すように、圧力空気路30には、噴射口31に近い側にダイアフラム弁32が設置されている。ダイアフラム弁32は、膜状のダイアフラムを駆動することで、弁の開閉動作を行う。ダイアフラムの駆動は、電磁制御弁33などを介して空気圧で駆動して、ダイアフラム弁32を所望の間隔パターンで間欠的に開閉させる。
圧力空気路30のうち、ダイアフラム弁32の上流側には、空気溜まりタンク34が設けられている。空気溜まりタンク34には、圧力空気源39から圧力空気路30を経て圧力空気が供給される。圧力空気源39は、コンプレッサーなどで生成された圧力空気を供給する。工場などにおいて、常に圧力空気が供給されているエアー配管系であってもよい。空気溜まりタンク34と圧力空気源39の間には、圧力空気の供給圧力を調整する圧力調整弁38が設けられている。空気溜まりタンク34には、常に一定圧力の圧力空気が供給されることになる。圧力空気路30には、圧力計36が取り付けられていて、圧力値を監視できるようになっている。
空気輸送路20のうち、噴射口21に近いところには、空気流通口22があいている。図示を省略したが、空気輸送路20の下流側には、吸引ポンプなどの真空吸引力を生成する装置が設けられている。図示を省略したが、空気輸送路20の先には、輸送用空気と被輸送物であるホットメルト接着剤ペレットPとを分離する装置としてバグフィルターなどを設け、その下に、ペレットPを使用する接着作業装置などが設置されている。
〔搬送装置の作動〕
空気輸送路20には、絶えず下流側に向かう吸引力が加わっている。空気輸送路20の吸引力は、吸引室14内からホッパ10の取出口12に加わり、ホッパ10内のペレットPが取出口12から吸引室14を経て空気輸送路20へと吸い出され、空気とともに空気輸送路20の下流側へと搬送されていく。
空気輸送路20からの吸引力および上方に堆積されたペレットPの重量によって、ホッパ10の取出口12周辺にペレットPが密集してくる。上方から加わるペレットPの重量による負荷、および、狭い取出口12を大量のペレットPが通過しようとして互いに押圧されることで、ペレットP同士が強く圧接されて、互いに接合する互着を起こす。ペレットP同士が互着を起こすと、余計に狭い取出口12を通過し難くなるため、互着が益々甚だしくなってしまう。取出口12でペレットPが詰まり、吸引室14に落ちてこなくなる。空気輸送路20による吸引力では、ペレットPを吸い出すことができなくなる。
このように、取出口12がペレットPで詰まると、空気輸送路20の真空吸引装置に過大な負荷がかかることになる。また、空気輸送路20を空気が流れなくなるので、空気輸送路20を搬送中のペレットPも動かなくなってしまう。しかし、空気輸送路20に空気流通口22を設けていれば、空気流通口22から空気が流入するので、空気輸送路20の真空吸引装置に過大な負荷が加わることが防止できる。空気輸送路20内に空気流が途絶えることはなく、空気輸送路20内のペレットPは問題なく搬送される。しかし、取出口12および吸引室14にはペレットPが溜まったままである。
〔間欠空気噴射手段の作動〕
取出口12におけるペレットPの詰まりを解除するために、間欠空気噴射手段を作動させる。
圧力空気供給源39から圧力調整弁38を経て空気溜まりタンク34に蓄積された圧力空気は、ダイアフラム弁32の作動によって、噴射口31から吸引室14内に噴射される。ダイアフラム弁32は、急激に開き、短い時間で再び急激に閉じる。その結果、吸引室14に噴射される圧力空気は、圧力が急激に高くなった塊状の空気が、大きな運動エネルギーを持った状態で、吸引室14に入り、爆発的に吸引室14に拡がる。爆発的に膨張する圧力空気は、取出口12で詰まっているペレットPに対して、上向きに衝撃的な力を加える。衝撃力が加わったペレットP同士は互着が解除されて分離される。ペレットP同士の間を圧力空気がこじ開けるように浸入するので、少しでも隙間があいたペレットP同士は、さらに解き離されることになる。個々に分離されたペレットPは、自重で落下して吸引室14に送られる。
噴射口31から噴射される空気の圧力あるいは衝撃エネルギーは、短い時間でなくなる。そうすると、圧力で上方側に持ち上げられたペレットPの塊が、圧力が無くなると同時に自重によって落下し、取出口12やホッパ10の内壁に衝撃的に衝突したり、ペレットPの塊同士が衝突したりする。このような作用によっても、互着したペレットP同士が分解されることになる。
吸引室14内のペレットPは、空気輸送路20からの吸引力で吸い出され、空気輸送路20を搬送されていく。噴射口31から吸引室14内に噴射されて爆発的に拡がる圧力空気は、吸引室14内のペレットPを、噴射口31の延長方向に存在する空気輸送路20の吸引口21の方向に強力に送り込む作用も果たす。
間欠空気噴射手段から吸引室14に噴射される圧力空気は、圧力は高いが空気量としては多くない。また、吸引室14で爆発的に拡がり、ペレットPの互着を解除する作用を果たすことで、圧力エネルギーは直ぐに弱くなる。したがって、間欠空気噴射手段の作動によって、空気輸送路20における吸引作用や流通空気量が、極端に変化することはない。空気輸送路20の下流側では、ほぼ一定の圧力あるいは流量で、空気とともにペレットPが搬送される。また、間欠空気噴射手段からの圧力空気が急激に空気輸送路20に浸入して、空気輸送路20の内圧が急上昇すれば、外部から空気流通口22を通じて空気輸送路20に取り入れている空気量が減少するので、空気輸送路20の下流側には大きな悪影響を及ぼさない。空気輸送路20の下流端に存在するペレットPの使用装置などに、間欠的な圧力空気による悪影響を与えることがない。
間欠空気噴射手段では、一定の時間をおいて間欠的に短い時間だけ圧力空気を噴射させる。圧力空気の塊が一定時間毎に、吸引室14で爆発的に拡がって、取出口12におけるペレットPの互着を解除する。ペレットPは、取出口12から吸引室14を経て空気輸送路20へと、実質的に均一な割合で搬送されていくことになる。圧力空気路30に空気溜まりタンク34を設けておくことで、ダイアフラム弁32の開閉時間が変わっても、一定の圧力で圧力空気を噴射させることができる。
取出口12におけるペレットPの詰まり具合に合わせて、間欠空気噴射手段で吸引室14に噴射する圧力空気の噴射圧力および時間とその間隔を調整することができる。噴射時間と間隔はダイアフラム弁32で制御でき、噴射圧力は、圧力調整弁38で空気溜まりタンク34の圧力を制御することで調整できる。
ペレットPの詰まりが少なければ、噴射圧力および時間を短くし間隔を長くすることができる。ペレットPが詰まり易い場合は、噴射圧力を高くしたり時間を長くして噴射空気量を増やしたり、間隔を短くしたりすることが有効である。ホッパ10に貯留されたペレットPの量によって、噴射条件を適切に調整することができる。例えば、ホッパ10にペレットPの貯留重量や貯留高さを検知するセンサを設けておき、これらのセンサからの検知情報に基づいて、間欠空気噴射手段を自動制御することもできる。空気輸送路20を搬送されるペレットP量を検知することで、間欠空気噴射手段の作動あるいは噴射条件を自動制御することもできる。
本発明の搬送装置を構築し、ホットメルト接着剤の搬送を行った具体例について説明する。
〔装置構造〕
図1、2に示す基本構造を備えている。ホッパー10は、容量0.5mである。取出口12は、200mm角の開口を有する。吸引室14は、上部200mm角×下部200mm丸×高さ300mmの角丸しぼり形状である。空気輸送路20は、口径40mm、長さ65mで、経路中に8個所の曲がり部を有する。空気流通口22は、口径25mmで手動弁およびエアーフィルターが取り付けられている。圧力空気路30および噴射口31は、口径25mmである。ダイアフラム弁32は、口径25mmで電磁弁付きである。空気溜まりタンク34は、約2リットルの容量を有する。圧力調整弁38は、口径25mmでフィルターおよび圧力計が取り付けられている。圧力空気供給源39は、設置工場内の圧力空気系から分岐して使用した。
〔搬送ペレット〕
EVA系ホットメルト接着剤ペレットを使用した。ペレットAおよびペレットBの何れかを搬送した。
ペレットA:外径7〜9mmの球状
ペレットB:10〜15mm×13mmで厚み4mmの角板状
〔稼動条件〕
空気輸送路20による吸引圧力を、−0.02MPaGに設定した。間欠空気噴射手段による吸引室14への圧力空気噴射を、圧力0.1MPaG、噴射量0.5リットル、噴射間隔20秒に設定した。
〔稼動状態〕
ペレットAの場合、2.5t/hrの搬送量であった。ペレットBの場合、1.5t/hrの搬送量であった。何れの場合も、2年間を超えて継続稼動させたが、ペレットの互着に起因するトラブルは発生していない。
本発明は、例えば、ホットメルト接着剤を用いて包装材を接着する自動作業ラインにおけるホットメルト接着剤ペレットの搬送に適用できる。ペレットの搬送が途絶えたり搬送量が大きく変動したりすることなく、適切な量のペレットを確実に安定して供給することが可能になる。
本発明の実施形態を表すペレット搬送装置の模式的断面構造図 吸引室の水平断面図
符号の説明
10 ホッパ
12 取出口
14 吸引室
20 空気輸送路
22 空気流通口
30 圧力空気路
31 噴射口
32 ダイアフラム弁
34 空気溜まりタンク
38 圧力調整弁
39 圧力空気供給源
P ペレット

Claims (4)

  1. ホットメルト接着剤のペレットを吸引式の空気輸送により搬送する装置であって、
    前記ペレットが蓄積され、下端に取出口が開口する貯留槽と、
    前記取出口の下方につながり、前記貯留槽から前記ペレットが落下供給される吸引室と、
    前記吸引室の内壁に開口する吸引口を有し、吸引室内の空気とともに前記ペレットを吸引して搬送する空気輸送路と、
    前記吸引室の内壁に開口する噴射口を有し、噴射口から吸引室内に間欠的に圧力空気を噴射する間欠空気噴射手段と
    を備え
    前記吸引室において、前記間欠空気噴射手段による圧力空気の噴射方向と、前記空気輸送路による空気およびペレットの吸引方向とが、同一直線方向に設定されており、
    前記空気輸送路が、前記吸引室の近傍に空気輸送路の内外で空気を流通させる空気流通口を有するものであり、
    前記貯留槽が、容量0.5〜2.0m であり、
    前記取出口の開口寸法が、150〜300mmであり、
    前記空気輸送路による吸引圧力が、−0.01〜−0.03MPaGであり、
    前記間欠空気噴射手段による前記吸引室への圧力空気噴射が、圧力0.05〜0.3MPaG、噴射時間0.1〜0.3秒、噴射量0.3〜0.9リットル、噴射間隔5〜30秒である、
    ホットメルト接着剤の搬送装置。
  2. 前記間欠空気噴射手段が、
    前記噴射口に連通し、圧力空気を供給する圧力空気路と、
    前記圧力空気路の途中に配置され、間欠的に開閉制御されるダイアフラム弁と、
    前記圧力空気路の途中で前記ダイアフラム弁よりも上流側に配置される空気溜まりタンクと、
    前記空気溜まりタンクよりも上流側で前記圧力空気路に接続され、圧力空気を供給する圧力空気供給源と
    を備える
    請求項1に記載のホットメルト接着剤の搬送装置。
  3. ホットメルト接着剤のペレットを吸引式の空気輸送により搬送する方法であって、
    請求項1または2に記載の搬送装置を用い、
    前記貯留槽に貯留され、前記取出口から前記吸引室に落下供給された前記ペレットを、前記吸引口から前記空気輸送路に吸引して搬送する工程(a)と、
    前記工程(a)を行いながら、前記間欠空気噴射手段の噴射口から前記吸引室に間欠的に圧力空気を噴射する工程(b)と
    を含むホットメルト接着剤の搬送方法。
  4. 前記ペレットが、外径7〜9mmの球形をなす、EVA系ホットメルト接着剤である
    請求項に記載のホットメルト接着剤の搬送方法。
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