JP4646125B2 - マイクロチップとこれを用いた気泡分離方法 - Google Patents

マイクロチップとこれを用いた気泡分離方法 Download PDF

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Description

本発明は、マイクロチップに関し、特に気泡分離部を備えるマイクロチップに関する。
例えば、化学反応に用いる溶液あるいは細胞培養に用いる培養液などの液体には、微量ながら空気や炭酸ガスなどの気体が含まれている。これら溶液や培養液などの液体に含まれている気体は、反応槽、培養槽あるいは流体通路において気泡となって液体から分離する。また、液体は、流体通路や貯留槽などに液体を注入する際、外部の気体とともに形成された気泡を含むことがある。また、細胞などを扱う場合、呼吸あるいは代謝により生成する物質が気泡を形成することがある。発生した気泡は、流体通路を塞いだり、反応槽、培養槽などに付着し、化学反応、培養あるいは観察などの妨げとなる。そこで、流体通路から気泡を分離する必要がある。
例えば、実験室レベルの反応装置の場合、反応装置の入口側に液体を満たしたフラスコを設置し、このフラスコに液体を通すことにより、フラスコ内で液体からある程度の気体を分離することができる。また、流体通路に電場あるいは磁場を形成することにより液体に含まれる気泡を分離することが提案されている(特許文献1、2)参照。
特許第3079687号明細書 特許第2615431号明細書
しかしながら、反応装置の入口側にフラスコを設置して気泡を分離する場合、フラスコと反応装置との間は距離が大きくなる。すなわち、このような気泡分離装置をマイクロチップに適用する場合、フラスコからマイクロチップまでの距離が大きくなる。そのため、フラスコからマイクロチップへ至る流体通路において、液体に含まれる気体がさらに気泡となって生じるおそれがある。また、例えば細胞などを扱う場合、呼吸あるいは代謝により生成する物質が気泡を形成する。このように発生した気泡はマイクロチップに付着し、マイクロチップにおける反応や培養の観察の妨げとなる。さらに、フラスコは、マイクロチップに比較して大型である。そのため、機器が大型化し、気泡分離部とマイクロチップとの一体化は困難である。
また、特許文献1に開示されている気泡除去装置の場合、心線を絶縁体で被覆した電線を網状に編んだメッシュ状の電極を用いて電場を形成している。これにより、流体には電場の強度の極小部分が形成され、液体に含まれる気泡は形成された電場の強度の極小部分に収集、捕捉される。しかしながら、特許文献1に開示されている気泡除去装置では、マクロな構造を有している。そのため、例えばμ−TAS(micro-Total Analysis System)のようなミクロな構造への応用は困難である。また、特許文献1では、直流電場を形成している。そのため、気泡の収集に適した電場の調整は困難であるとともに、電圧が高くなると流体の電気分解を招きやすくなる。
さらに、特許文献2に開示されている気泡移動装置では、液体とこれに含まれる気泡の体積磁化率の違いを利用し、磁場の強度の極小部分に気泡が収集、捕捉される。しかしながら、磁場の形成に永久磁石または電磁石のいずれを用いても、磁石の体格は大型化する。そのため、例えばμ−TASのようなミクロな構造への応用は困難である。
そこで、本発明の目的は、体格の大型化を招くことなく、簡単な構造で液体に含まれる気泡が分離されるマイクロチップを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、電場の調整が容易であり、流体の電気分解を招くことのないマイクロチップの気泡分離方法を提供することにある。
(1)本発明のマイクロチップによると、流体が流れる流体通路、および前記流体通路から流体が供給される流体槽を形成しているチップ本体と、前記流体槽の入口側において前記チップ本体に設置され、前記流体通路を流れる流体に不均一な電場を形成する電極を有する気泡分離部と、を備える。前記流体通路を含む平面をx軸と前記x軸に直交するy軸とによるxy平面とし、前記気泡分離部の略中心を前記x軸と前記y軸とが直交する原点とすると、前記電極はxy=±k、x 4 −6x 2 2 +y 4 =±k、x 8 −28x 6 2 +70x 4 4 −28x 2 6 +y 8 =±kのいずれか1つで示される曲線群形状であることを特徴とする。ただし、kは定数とする。
気泡分離部は、電極によって流体通路を流れる流体に不均一な電場を形成する。流体に不均一な電場を形成すると、電場とこの電場により誘起された電気双極子との間の相互作用によって、液体に含まれる気泡に力が働く。この力によって、液体に含まれる気泡は電場の強度が弱い方向に移動し、電場の強度の極小部分に収集、捕捉される。これにより、気泡分離部では、流体通路を流れる液体と、この液体に含まれる気泡とが分離される。また、気泡分離部は、チップ本体の流体槽の入口側に設置される。そのため、気泡分離部はチップ本体と一体に形成される。したがって、体格の大型化を招くことなく、簡単な構造で液体に含まれる気泡を分離することができる。
また、気泡分離部に前述した数式で表される曲線形状で設置される電極は鋭角形状を有していることから、電極に囲まれる弱い電場領域を局在化することができる。これにより、流体中に分散している気泡を1箇所に集めやすくすることができる。
(2)本発明のマイクロチップによると、前記気泡分離部は、薄膜状の電極を有する。
電極は薄膜状であるため、チップ本体に電極を設置しても、チップ本体の体格の大型化は招かない。したがって、体格の大型化を招くことなく、簡単な構造で液体に含まれる気泡を分離、収集、捕捉することができる。
(3)本発明のマイクロチップによると、前記電極は、前記流体通路の上方に設置されている。
流体通路を流れる液体から分離した気泡は自身の浮力によって液体の上方に浮遊する。そのため、電極を流体通路の上方に設置することにより、液体に浮遊する気泡は形成された電場により収集される。したがって、簡単な構造で液体に含まれる気泡を分離、収集、捕捉することができる。
(4)本発明のマイクロチップによると、前記気泡分離部は、前記流体通路に設置され前記流体通路を流れる液体から分離された気泡を前記流体通路の外部へ排出する排出部を有し、前記排出部は、撥水性の表面を有し、前記流体通路と反対側の端部が大気に開放している。
排出部は、孔の流体通路反対側の端部が大気に開放している。そのため、電極へ通電することにより形成された電場によって分離、収集、捕捉された気泡は、気泡を形成する気体が排出部の孔を経由して大気中へ放出される。一方、流体通路を流れる液体は、排出部の撥水性の表面によってはじかれ、排出部の孔へ浸入しない。これにより、気泡は電場によって分離および収集されるとともに、収集された気泡を形成する気体は排出部から大気中へ排出される。したがって、簡単な構造で液体に含まれる気泡を分離するとともに、気泡を形成する気体を大気中に排出することができる。
(5)本発明のマイクロチップの気泡分離方法によると、流体が流れる流体通路、および前記流体通路から流体が供給される流体槽を形成しているチップ本体と、前記流体槽の入口側において前記チップ本体に設置され、前記流体通路を流れる流体に不均一な電場を形成する電極を有する気泡分離部と、を備えるマイクロチップにおいて、前記流体通路を流れる液体からこの液体に含まれる気泡を分離するマイクロチップの気泡分離方法であって、前記流体槽の入口側において前記流体通路を流れる流体に交流により不均一な電場を形成し、前記流体通路を流れる液体からこの液体に含まれる気泡を分離する段階を含むことを特徴とする。また、前記流体通路を含む平面をx軸と前記x軸に直交するy軸とによるxy平面とし、前記気泡分離部の略中心を前記x軸と前記y軸とが直交する原点とすると、前記電極はxy=±k、x 4 −6x 2 2 +y 4 =±k、x 8 −28x 6 2 +70x 4 4 −28x 2 6 +y 8 =±kのいずれか1つで示される曲線群形状であることを特徴とする。ただし、kは定数とする。
流体に交流による電場を形成すると、液体から分離された気泡は所定の周波数のとき電場の強度の弱い方向に移動し、電場の強度の極小部分に収集、捕捉される。これにより、液体に含まれる気泡は、電場を形成する交流の周波数を調整することにより、電圧を高めることなく収集される。したがって、気泡の分離に適した電場を容易に調整することができるとともに、流体の電気分解を防止することができる。
(6)本発明のマイクロチップの気泡分離方法によると、前記流体通路を流れる液体からこの液体に含まれる気泡を分離した後、気泡を形成する気体を撥水性の表面を有する排出部から排出する段階を含む。
電極へ通電することにより形成された電場によって分離、収集、捕捉された気泡は、気泡を形成する気体が排出部を経由して排出される。一方、流体通路を流れる液体は、排出部の撥水性の表面によってはじかれ、排出部へ浸入しない。これにより、気泡は電場によって分離および収集されるとともに、収集された気泡を形成する気体は排出部から排出される。したがって、簡単な構造で液体に含まれる気泡を分離するとともに、気泡を形成する気体を排出することができる。
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施例)
図1は、本発明の第1実施例によるマイクロチップを示す概略図である。マイクロチップ10は、μ−TASに適用可能である。マイクロチップ10は、ベース11、気泡分離部30およびカバー12を備えている。図1(A)は、マイクロチップ10のカバー12を取り外した状態でベース11をカバー12側から見た概略図であり、図1(B)はカバー12を取り付けた状態でマイクロチップ10をカバー12側から見た概略図であり、図1(C)は図1(B)のC−C線における断面図である。
チップ本体は、ベース11およびカバー12から構成されている。ベース11は、例えばガラス、樹脂あるいはセラミックスなどから形成されている。ベース11およびカバー12は、貯留槽21、流体槽としての観察槽22、および排出槽23を形成している。また、ベース11およびカバー12は、流体通路としての供給通路24、および排出通路25を形成している。供給通路24は、貯留槽21と観察槽22とを接続している。排出通路25は、観察槽22と排出槽23とを接続している。貯留槽21、観察槽22、排出槽23、供給通路24および排出通路25は、ベース11のカバー12側の端面からカバー12とは反対側へ窪んで形成されている。ベース11は、例えばガラスや樹脂などの透明な材料で形成してもよい。この場合、観察槽22はカバー12とは反対側の端面から観察可能である。
貯留槽21には、観察槽22へ供給される液体が蓄えられる。また、排出槽23には、排出通路25を経由して観察槽22から排出された液体が蓄えられる。貯留槽21から観察槽22へ供給される液体、および観察槽22から排出槽23へ排出される液体は、例えば細胞の培養液、および化学反応の反応物あるいは生成物などを含む水を主成分とする溶液である。なお、ベース11およびカバー12が形成する観察槽22および供給通路24などの形状は、上記の構成に限らず任意に設定可能である。
カバー12は、ベース11の上方を覆うように被せられている。カバー12は、例えばガラスまたは樹脂などで形成される。カバー12を透明な材料で形成する場合、観察槽22はカバー12を通して観察可能である。
気泡分離部30は、四つの電極31、32、33、34を有している。電極31、32、33、34は、カバー12のベース11側の端面に設置されている。なお、図1(C)では、電極31、32、33、34は説明の簡単のためカバー12に埋め込んだ状態で示しているが、カバー12のベース11側の面に積層してもよい。電極31、32、33、34は、供給通路24において観察槽22の入口側に設置されている。電極31、32、33、34は、供給通路24のカバー12側を覆うように設置されている。本実施例の場合、90°間隔で四つの電極31、32、33、34が設置されている。電極31、32、33、34は、例えば白金、金、銀、銅あるいはアルミニウムなどの金属、または金属以外の導電性の材料などにより薄膜状に形成されている。電極31、32、33、34は、例えばスパッタリングおよびフォトリソグラフィなどによりカバー12のベース11側の端面に形成されている。
気泡分離部30の電極31、32、33、34は、不均一な電場を形成する形状で配置されている。電極は、それぞれ図2に示すような曲線群形状に配置される。本実施例では、電極31、32、33、34は、図2(A)に示すようにxy=±k(kは定数)で示される双曲線形状に配置されている。これにより、図1および図3に示すように90°間隔で四つの電極31、32、33、34が配置される。また、気泡分離部30の電極は、例えば図2(B)に示すようにx4−6x22+y2=±kで示される曲線群形状、または図2(C)に示すようにx8−28x62+70x44−28x26+y8=±kで示される曲線群形状であってもよい。
図3に示す四つの電極31、32、33、34は、隣り合う電極同士が互いに逆位相であって、同一の振幅の交流が供給される。例えば、電極31に対し電極32および電極33には、電極31と逆位相であって同一の振幅の交流が供給される。同様に、電極34には、電極32および電極33と逆位相であって同一の振幅の交流が供給される。したがって、本実施例の場合、対向する二つの電極は同位相となる。すなわち、電極31と電極34とが同位相となり、電極32と電極33とが同位相となる。これにより、四つの各電極31、32、33、34は、他の電極と対向する先端部分に形成される強い電場sと、各電極31、32、33、34に囲まれた中心部分に形成される弱い電場tとからなる不均一な電場を形成する。各電極31、32、33、34に囲まれた弱い電場tの領域は、例えば電極31、32、33、34の形状などを変更することにより、任意に調整される。図2に示すように、電極の数が増加するほど、各電極に囲まれた中心部分に形成される弱い電場tの領域は局在化する。そのため、電極の数を増加するほど、局所的に弱い電場tを形成することができる。なお、各電極に交流に限らず、直流を供給してもよい。また、例えば電極の一方を接地し、他方に周期的に電圧が変化する交流を供給する場合のように、電極間で相対的に交流となっていればよい。
次に、上記の構成によるマイクロチップ10の気泡分離方法について説明する。
貯留槽21には水を主成分とする液体が蓄えられている。貯留槽21に蓄えられている液体は、例えば供給通路24と排出通路25との間に温度差が生じると、対流により観察槽22へ供給される。また、例えば貯留槽21に外部から液体を注入し排出槽23から外部へ液体を排出することにより、貯留槽21から供給通路24、観察槽22および排出通路25を経由して排出槽23へ流体の流れを形成し、貯留槽21から観察槽22へ液体を供給してもよい。さらに、例えばポンプなどの動力を用いて圧力差を生じさせ、貯留槽21から観察槽22へ液体を供給してもよい。
貯留槽21から観察槽22へ供給される液体には、空気や炭酸ガスなどからなる気泡が含まれている。液体に含まれる気泡は、貯留槽21から観察槽22へ供給通路24を流れるとき、液体から分離する。液体から分離した気泡は、自身の浮力により供給通路24を流れる液体の上方すなわちカバー12側に浮遊する。液体に浮遊した気泡は、貯留槽21から観察槽22への液体の流れによって運搬されて、気泡分離部30に到達する。
気泡分離部30では、電極31、32、33、34によって供給通路24を流れる液体に不均一な電場が形成されている。供給通路24の液体に不均一な電場が形成されると、不均一な電場とこれにより誘起された電気双極子との間の相互作用による「誘電泳動(Dielectrophorsis)」によって、気泡には「誘電泳動力」が加わる。このとき、気泡が電場から受ける誘電泳動力F(ω)は、次の式(1)の通りである。
Figure 0004646125
ここで、εmは溶液の誘電率、rは気泡の半径、Eは電場、∇はナブラ演算子、ωは角周波数であり、Re(fCM)はfCMの実数部分である。なお、∇|E|2は電場の絶対値の2乗の勾配を表す。
CMは、Clausius-Mossotti factorであり、以下の式(2)で示される。
Figure 0004646125
ここで、添字mは溶液を示し、添字pは気泡を示す。また、ε*は複素誘電率であり、以下の式(3)で示される。
ε*=ε−j×(σ/ω) (3)
ここで、εはε*の実数部分であり、jは虚数単位であり、σは導電率である。
上記の式において、Re(fCM)の符号が負すなわちマイナスのとき、気泡は電場の強度が弱い領域に移動する、いわゆる負の誘電泳動となる。一方、Re(fCM)の符号が正すなわちプラスのとき、気泡は電場の強度が強い領域に移動する、いわゆる正の誘電泳動となる。気泡の誘電率は液体に比べて小さい。fCMにおいては、一般に溶液の導電率を考慮する必要がある。ここで、適切な周波数を設定することにより、Re(fCM)は負とすることができ、気泡は電場の強度が弱い方向へ移動する。
上記の原理により、交流によって電場を形成する場合、適切な周波数において、気泡は負の誘電泳動力を受け、電場がより弱い方向へ移動する。その結果、気泡は、電場の強度が極小となる領域に収集、捕捉される。
以上、説明したように、第1実施例では、気泡分離部30の電極31、32、33、34は供給通路24を流れる液体に不均一な電場を形成する。そのため、供給通路24を流れる液体に含まれる気泡は、電場の弱い方向へ移動し、電場の強度の極小部分に収集、捕捉される。これにより、液体から分離された気泡は観察槽22には気泡が流入せず、観察槽22を形成するベース11の内壁あるいはカバー12に気泡が付着することはない。したがって、簡単な構造で液体に含まれる気泡を分離することができ、観察槽22における反応や培養の観察などを容易に行うことができる。
また、第1実施例では、電極31、32、33、34は例えばフォトリソグラフィなどの薄膜形成技術によって薄膜状に形成されている。そのため、電極31、32、33、34はカバー12と一体に形成される。また、電極31、32、33、34は薄膜状であるため、電極31、32、33、34をカバー12と一体に形成しても、カバー12の体格の大型化を招かない。したがって、マイクロチップ10は体格が小型化され、μ−TASへ容易に適用することができる。
(第2実施例)
本発明の第2実施例によるマイクロチップを図4に示す。マイクロチップ10は、第1実施例と同様に、μ−TASに適用される。なお、第1実施例と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
マイクロチップ10は、ベース11、カバー12および気泡分離部30を有している。図4(A)はマイクロチップ10のカバー12を取り外した状態でベース11をカバー12側から見た概略図であり、図4(B)はカバー12を取り付けた状態でマイクロチップ10をカバー12側から見た概略図であり、図4(C)は図4(B)のC−C線における断面図である。
第2実施例によるマイクロチップ10のカバー12は、気泡分離部30に対応する位置に開口部13を有している。開口部13は、カバー12を貫いてベース11側の面とベース11とは反対側の面とを連通している。カバー12は、開口部13を除いた部分がベース11の上方を覆っている。
気泡分離部30は、網状部材35を有している。網状部材35は、観察槽22の入口側すなわち貯留槽21側の供給通路24に設置されている。網状部材35は、ベース11とカバー12との間において供給通路24を覆っている。そのため、網状部材35は、電極31、32、33、34のベース11側に設置される。網状部材35は、繊維が絡まって網目状に複数の孔を形成している。網状部材35が形成する孔は、一方の端部が供給通路24に面しているとともに、他方の端部がカバー12の開口部13を経由して大気に開放している。これにより、網状部材35およびカバー12の開口部13は、特許請求の範囲の排出部を構成している。
第2実施例の場合、マイクロチップ10は上述のように網状部材35の孔および開口部13を介して大気に開放している。そのため、マイクロチップ10は、例えば細胞などを扱う場合、滅菌または炭酸ガス濃度を調整した雰囲気中に設置することが望ましい。
網状部材35の表面は撥水性を有している。網状部材35を構成する繊維は、例えばフッ素樹脂などのように撥水性を有する材料で形成されている。また、網状部材35を構成する繊維は、撥水性の樹脂に限らず、金属あるいはその他の樹脂などで形成してもよい。この場合、網状部材35を構成する繊維の表面に撥水層を形成する。撥水層は、例えばフッ素樹脂などにより網状部材35を構成する繊維の表面に形成されている。
網状部材35、または網状部材35に形成される撥水層の撥水性は、水の接触角度で140°以上であることが望ましい。水の接触角度は、撥水性を示す尺度として一般に用いられている。網状部材35または撥水層の撥水性が、接触角度で140°以下であるとき、網状部材35から供給通路24を流れる液体の一部が染み出すおそれがあり、気泡分離部30における気泡の分離は困難となる。一方、網状部材35または撥水層の撥水性が接触角度で160°以上であるとき、液体に含まれる気泡の分離はさらに促進される。その結果、接触角度が160°以上の撥水性を有するとき、供給通路24を流れる液体の圧力および流速の増大、および網状部材35の網目を拡大可能となる。
第2実施例では、撥水性の表面を有する網状部材35について説明した。しかし、気泡分離部30には、網状部材35に代えて例えば小さな複数の孔を形成したフッ素樹脂からなるシートを設置してもよい。
次に、上記の構成によるマイクロチップ10の気泡分離方法について説明する。
気泡分離部30の電極31、32、33、34により液体に含まれる気泡を分離する方法については、上述の第1実施例と同一である。第2実施例の場合、網状部材35の近傍には電極31、32、33、34によって電場の強度の極小となる領域が形成される。そのため、供給通路24を流れる液体に含まれる気泡は、電極31、32、33、34によって形成された電場により、網状部材35の近傍に収集される。このとき、電極31、32、33、34の近傍に収集された気泡は、網状部材35と接触する。供給通路24を流れる液体は水を主成分とする。そのため、供給通路24を流れる液体は、撥水性の表面を有する網状部材35からはじかれ、網状部材35が形成する孔へ浸入することなく、供給通路24に沿って観察槽22へ流入する。一方、電極31、32、33、34が形成する電場によって収集された気泡は、撥水性の表面を有する網状部材35と接触してもはじかれることがない。そのため、気泡を形成していた気体は、網状部材35の孔を通して開口部13へ通過する。その結果、供給通路24を流れる液体に含まれる気泡は、電極31、32、33、34によって形成される電場により液体から分離および収集された後、網状部材35および開口部13を経由して大気中へ排出される。
第2実施例では、気泡分離部30の網状部材35は撥水性の表面を有している。そのため、液体は、網状部材35の孔を通過することができない。一方、電極31、32、33、34によって形成された電場により網状部材35の近傍に収集された気泡は、網状部材35の孔を通過することができる。これにより、供給通路24を流れる液体から分離された気泡を形成する気体は、網状部材35の孔および開口部13を経由して大気中へ排出される。その結果、観察槽22には気泡が流入せず、観察槽22を形成するベース11の内壁あるいはカバー12に気泡が付着することはない。したがって、簡単な構造で液体に含まれる気泡を分離することができ、観察槽22における反応や培養の観察などを容易に行うことができる。
(第3実施例)
本発明の第3実施例によるマイクロチップを図5に示す。マイクロチップ10は、第1実施例と同様にμ−TASに適用される。なお、第1実施例と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
マイクロチップ10は、ベース11、カバー12および気泡分離部30を有している。図5(A)はマイクロチップ10のカバー12を取り外した状態でベース11をカバー12側から見た概略図であり、図5(B)はカバー12を取り付けた状態でマイクロチップ10をカバー12側から見た概略図であり、図5(C)は図5(B)のC−C線における断面図である。
第3実施例によるマイクロチップ10のカバー12は、排出部を構成する多孔部14を有している。多孔部14は、観察槽22の入口側すなわち貯留槽21側の供給通路24に設置されている。多孔部14は、図5(C)に示すように供給通路24に設置されている。多孔部14は、カバー12を板厚方向に貫く複数の孔を有している。カバー12を貫く孔は、一方の端部が供給通路24に面しているととともに、他方の端部がカバー12のベース11と反対側の端面に開口している。そのため、多孔部14の孔は、供給通路24と反対側の端部が大気に開放している。
カバー12が形成する多孔部14の孔の内壁には、撥水層が形成されている。撥水層は、例えばフッ素樹脂からなる粒子を含む分散めっき、スプレーによる塗布またはコーティングなどによりカバー12に形成されている。
次に、上記の構成によるマイクロチップ10の気泡分離方法について説明する。
多孔部14の近傍には電極31、32、33、34によって電場の強度の極小となる領域が形成される。そのため、供給通路24を流れる液体に含まれる気泡は、電極31、32、33、34によって形成された電場により、多孔部14の近傍に収集される。このとき、多孔部14の近傍に収集された気泡は、多孔部14を形成するカバー12と接触する。供給通路24を流れる液体は水を主成分とする。そのため、多孔部14を形成するカバー12と接触した液体は、撥水性の表面を有する多孔部14の撥水層ではじかれ、多孔部14の孔へ浸入することなく、供給通路24に沿って観察槽22へ流入する。一方、気泡は、撥水性の表面を有する多孔部14を形成するカバー12と接触してもはじかれることがない。そのため、気泡を形成していた気体は、多孔部14の孔を通過する。その結果、供給通路24を流れる液体に含まれる気泡は、電極31、32、33、34によって液体から分離および収集された後、多孔部14から大気中へ排出される。
以上説明したように、第3実施例では、多孔部14の孔を形成するカバー12は内壁に撥水性の撥水層を有している。そのため、液体は多孔部14の孔を通過することができない。一方、電極31、32、33、34によって形成された電場により多孔部14の近傍に収集された気泡は、多孔部14の孔を通過することができる。これにより、液体から分離された気泡を形成する気体は、多孔部14の孔を経由して大気中へ排出される。その結果、観察槽22には気泡が流入せず、観察槽22を形成するベース11およびカバー12に気泡が付着することはない。したがって、簡単な構造で液体に含まれる気泡を分離することができ、観察槽22における反応や培養の観察などを容易に行うことができる。
(第4実施例)
本発明の第4実施例によるマイクロチップを図6に示す。マイクロチップ50は、第1実施例と同様にμ−TASに適用される。なお、第1実施例と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
マイクロチップ50は、ベース51、カバー52および気泡分離部30を有している。図6はカバー52を取り付けた状態でマイクロチップ50をカバー52側から見た概略図である。
第4実施例によるマイクロチップ50のベース51およびカバー52は、供給通路24から分岐し気泡分離部30を構成する気泡通路36を形成している。気泡通路36は、電極31、32、33、34の近傍において供給通路24から分岐し、供給通路24と反対側の端部が気泡排出槽37に接続している。ベース51は、カバー52により上方が覆われている。カバー52は開口部53を有しており、気泡排出槽37はカバー52の開口部53に連通している。これにより、気泡通路36は、供給通路24と反対側の端部が気泡排出槽37およびカバー52の開口部53を経由して大気に開放している。すなわち、気泡通路36、気泡排出槽37およびカバー52の開口部53は、特許請求の範囲の排出部を構成している。
図7は、供給通路24から分岐する気泡通路36の構造を示す模式図である。図7に示すように供給通路24は、カバー52と反対側の底部26が凹曲面状に形成されている。気泡通路36は、深さが供給通路24よりも浅く形成されている。そのため、供給通路24と気泡通路36とは、供給通路24における液体の流れを安定化させるガイド条27を形成している。また、気泡通路36は、内壁の表面に撥水層361が形成されている。撥水層361は、第3実施例で説明した撥水層と同様に例えばフッ素を含む樹脂などにより形成されている。
次に、上記の構成によるマイクロチップ50の気泡分離方法について説明する。
貯留槽21には水を主成分とする液体が蓄えられている。貯留槽21に蓄えられている液体は、第1実施例と同様に観察槽22へ供給される。このとき、供給通路24を流れる液体には、電極31、32、33、34により電場が形成される。これにより、第1実施例と同様に供給通路24を流れる液体からは、気泡が分離される。
供給通路24を流れる液体から分離された気泡は、電極31、32、33、34によって形成される電場により、供給通路24と気泡通路36との分岐部に形成されるガイド条27の上方に収集される。このとき、ガイド条27の上方に収集された気泡は、供給通路24における液体の流れによって撥水層361を有する気泡通路36へ押し出される。気泡通路36には撥水層が形成されているため、供給通路24を流れる液体は気泡通路36に浸入しない。また、供給通路24と気泡通路36との間にはガイド条27が形成されているため、供給通路24を流れる液体はガイド条27に案内されて供給通路24と気泡通路36との分岐部を供給通路24側へ流れる。これにより、供給通路24を流れる液体から分離された気泡は、気泡通路36へ押し出されるとともに、気泡通路36および気泡排出槽37を経由して大気中へ排出される。
以上説明したように、第4実施例では、気泡分離部30の気泡通路36は撥水性の撥水層361を有している。そのため、供給通路24を流れる液体は気泡通路36を通過することができない。一方、供給通路24を流れる液体から分離された気泡は気泡通路36を通過することができる。これにより、電極31、32、33、34が形成する電場によって供給通路24を流れる液体から分離された気泡は、気泡通路36を経由して大気中へ排出される。その結果、観察槽22には気泡が流入せず、観察槽22を形成するベース51またはカバー52に気泡が付着することはない。したがって、簡単な構造で液体に含まれる気泡を分離することができ、観察槽22における反応、培養および観察を容易に行うことができる。
以下、上述した実施例によるマイクロチップを用いた複数の実験例を説明する。
(実験例1)
実験例1では、上述の図1に示す第1実施例によるマイクロチップ10を用いて、細胞の培養および観察を行い、マイクロチップ10の性能を評価した。
(1)チップ本体の構成
実験例1では、ベース11はガラスにより矩形状に形成した。ベース11に形成する貯留槽21、観察槽22および排出槽23は、直径を1mmとし、深さを1mmとした。また、供給通路24および排出通路25は、幅を0.5mmとし、深さを1mmとした。
(2)電極
ベース11にはカバー12を設置した。カバー12は、ベース11と同様にガラスで形成した。カバー12のベース11側の端面には、電極31、32、33、34を形成した。電極31、32、33、34は、厚さ20nmのCr層、および厚さ100nmのAu層を順にスパッタリングした後、フォトリソグラフィにより所定の形状に成形した。これにより、電極31、32、33、34の供給通路24側の面はAu層となる。電極31、32、33、34は、図3に示すように先端がxy=kおよびxy=−k(kは定数)で示される曲線状に形成した。
四つの電極31、32、33、34は、図3に示すようにすべての電極31、32、33、34に接する仮想円ciの直径が200μmとなるように配置した。また、四つの電極31、32、33、34に接する仮想円ciの中心と観察槽22の貯留槽21側の端部との距離は、800μmに設定した。さらに、四つの電極31、32、33、34は、いずれも観察槽22に重ならないように配置した。
(3)培養条件
ベース11の貯留槽21、観察槽22、排出槽23、供給通路24および排出通路25には、液体の培養液として毛乳頭細胞増殖培地を充填した。培養液で満たされた観察槽22には、ラット髭毛乳頭細胞を約2000セル/ウェルの割合で播種した。貯留槽21から観察槽22には、5μl/minの流速で培養液を供給した。培養液およびマイクロチップ10は、滅菌された恒温室において37℃に制御した。これらの条件により観察槽22に播種された細胞の培養を開始した。
(4)培養および観察
培養開始から5日間培養を行った後、観察槽22の観察を行う1時間前から電極31、32、33、34に交流を供給した。供給した交流は、電圧を±5Vとし、周波数を1MHzとした。貯留槽21から観察槽22へ流入する気泡、および液体から分離される気泡は、四つの電極31、32、33、34の中心付近、すなわち電場の強度の極小となる領域に収集された。収集された気泡は、四つの電極31、32、33、34の中心付近に保持された。このとき観察された気泡は、直径が50μmから100μm程度であった。観察は、同仁化学株式会社製のWST−1セルカウンティングキットを用いて観察槽22の細胞数を計測することにより行った。その結果、405nmの吸光度が増加するとともに、観察槽22における吸光度のばらつきはほとんどなかった。培養開始時における吸光度を25としたとき、培養開始から5日後の相対吸光度は300であった。これにより、細胞は観察槽22において良好に増殖していることが明らかになった。
(比較例)
上記実験例の比較例について説明する。比較例は、実験例1において観察槽22の入口側に気泡分離部30の電極31、32、33、34を備えていない構成である。なお、実験例1と同一の構成部位には同一の符号を付している。
(1)チップ本体の構成
比較例1では、ベース11およびカバー12はガラスにより形成した。ベース11に形成する貯留槽21、観察槽22および排出槽23は、直径を1mmとし、深さを1mmとした。また、供給通路24および排出通路25は、幅を0.5mmとし、深さを1mmとした。観察槽22の入口側には、電極は設置されていない。
(2)培養条件
ベース11の貯留槽21、観察槽22、排出槽23、供給通路24および排出通路25には、培養液として毛乳頭細胞増殖培地を充填した。培養液で満たされた観察槽22には、ラット髭毛乳頭細胞を約2000セル/ウェルの割合で播種した。貯留槽21から観察槽22には、5μm/minの流速で培養液を供給した。培養液およびマイクロチップ10は、滅菌された恒温室において37℃に制御した。これらの条件により観察槽22に播種された細胞の培養を開始した。
(3)培養および観察
細胞の培養開始から5日後、観察槽22を観察したところ、観察槽22を覆うカバー12には気泡が付着していた。そのため、観察槽22は十分な視界が得られず、観察槽22の内部の観察は困難であった。また、実験例1と同様のセルカウンティングキットを用いて観察槽22の細胞数の計測を試みたところ、観察槽22に付着した気泡によって吸光度にばらつきが生じた。その結果、正確な吸光度の測定はできなかった。
以上のように、実験例1では、第1実施例のマイクロチップ10の気泡分離部30は観察槽22の入口側で培養液に含まれる気泡を分離できることが検証できた。また、第1実施例のマイクロチップ10を用いて細胞の培養および観察が良好に行えることが検証できた。
(実験例2)
実験例2では、上述の図6および図7に示す第4実施例によるマイクロチップ50を用いて、細胞の培養および観察を行い、マイクロチップ50の性能を評価した。
(1)ベース51の構成
実験例2では、ベース51はガラスにより矩形状に形成した。ベース51に形成する貯留槽21、観察槽22および排出槽23は、直径を0.5mmとし、深さを0.5mmとした。また、供給通路24および排出通路25は、幅を0.3mmとし、深さを0.5mmとした。気泡通路36は、幅を0.5mmとし、深さを0.45mmとした。供給通路24は、底部26を凹曲面に形成するとともに、気泡通路36との間のガイド条27の高さを0.1mmとした。気泡通路36は、観察槽22の入口側の直前において供給通路24から分岐する構成とした。
(2)気泡通路36の処理
気泡通路36の内壁には、平均粒径4μmのポリテトラフルオロエチレン微粒子をフッ素系ワニスに均一に混合したものを塗布した。その結果、気泡通路36の内壁は、撥水層361が形成され、水の接触角度が50°から150°に変化した。
(3)電極
ベース51にはカバー52を設置した。カバー52は、ベース51と同様にガラスで形成した。カバー52のベース51側の端面には、電極31、32、33、34を形成した。電極31、32、33、34は、厚さ20nmのCr層、および厚さ100nmのAu層を順にスパッタリングした後、フォトリソグラフィにより所定の形状に成形した。これにより、電極31、32、33、34の供給通路24側の面はAu層となる。電極31、32、33、34は、図3に示すように先端がxy=kおよびxy=−k(kは定数)で示される曲線状に形成した。
四つの電極31、32、33、34は、図3に示すようにすべての電極31、32、33、34に接する仮想円ciの直径が200μmとなるように配置した。また、四つの電極31、32、33、34が観察槽22に重ならないように配置した。なお、電極31、32、33、34の中心と、ガイド条27との位置関係は特に限定されない。
(3)培養条件
ベース51の貯留槽21、観察槽22、排出槽23、供給通路24および排出通路25には、液体の培養液として毛乳頭細胞増殖培地を充填した。培養液で満たされた観察槽22には、ラット髭毛乳頭細胞を約1000セル/ウェルの割合で播種した。貯留槽21から観察槽22には、2μl/minの流速で培養液を供給した。培養液およびマイクロチップ50は、滅菌された恒温室において37℃に制御した。これらの条件により観察槽22に播種された細胞の培養を開始した。
(4)培養および観察
培養開始から観察槽22の観察を行うまで継続して電極31、32、33、34に交流を供給した。供給した交流は、電圧を±5Vとし、周波数を1MHzとした。貯留槽21から観察槽22へ流入する気泡、および液体から分離される気泡は、四つの電極31、32、33、34の中心付近、すなわち電場の強度の極小となる領域に収集されるとともに、供給通路24から気泡通路36へ排出され続けた。培養開始から5日後に、観察槽22を顕微鏡で観察した。その結果、観察槽22には気泡がなく、良好な視界が得られた。これにより、細胞の培養状況は良好であることが確認された。
以上のように、実験例2では、第4実施例のマイクロチップ50の気泡分離部30の電極によって培養液から分離された気泡は気泡通路36から排出可能であることが検証できた。また、第4実施例のマイクロチップ50を用いて細胞の培養および観察が良好に行えることが検証できた。
(その他の実施例)
以上説明した複数の実施例では、供給通路24の上方に電極31、32、33、34を設置する例について説明した。しかし、電極31、32、33、34は、供給通路24の上方に限らず、供給通路24の側方あるいは下方に設置、またはこれらのすべてに設置してもよい。
また、気泡排出部37についても、供給通路24の上方、側方、下方のいずれに設置してもよく、またはこれらのすべてに設置してもよい。
本発明の第1実施例によるマイクロチップを示す概略図である。 気泡分離部における電極の配置を例示する曲線群を示す概略図である。 本発明の第1実施例によるマイクロチップの電極の近傍を拡大した概略図である。 本発明の第2実施例によるマイクロチップを示す概略図である。 本発明の第3実施例によるマイクロチップを示す概略図である。 本発明の第4実施例によるマイクロチップを示す概略図である。 本発明の第4実施例によるマイクロチップの供給通路と気泡通路との分岐部分を示す模式図である。
符号の説明
10、50 マイクロチップ、11、51 ベース(チップ本体)、12、52 カバー(チップ本体)、13 開口部(排出部)、14 多孔部(排出部)、22 観察槽(流体槽)、24 供給通路、30 気泡分離部、31、32、33、34 電極、35 網状部材(排出部)、36 気泡通路(排出部)、37 気泡排出槽(排出部)、53 開口部(排出部)

Claims (6)

  1. 流体が流れる流体通路、および前記流体通路から流体が供給される流体槽を形成しているチップ本体と、
    前記流体槽の入口側において前記チップ本体に設置され、前記流体通路を流れる流体に不均一な電場を形成する電極を有する気泡分離部と、
    を備え、
    前記流体通路を含む平面をx軸と前記x軸に直交するy軸とによるxy平面とし、前記気泡分離部の略中心を前記x軸と前記y軸とが直交する原点とすると、前記電極は次式のうちいずれか1つで表される曲線形状であることを特徴とするマイクロチップ。
    xy=±k
    4 −6x 2 2 +y 4 =±k
    8 −28x 6 2 +70x 4 4 −28x 2 6 +y 8 =±k
    但し、k:定数。
  2. 前記気泡分離部は、薄膜状の電極を有することを特徴とする請求項1記載のマイクロチップ。
  3. 前記電極は、前記流体通路の上方に設置されていることを特徴とする請求項1または2記載のマイクロチップ。
  4. 前記気泡分離部は、前記流体通路に設置され前記流体通路を流れる液体から分離された気泡を前記流体通路の外部へ排出する排出部を有し、
    前記排出部は、撥水性の表面を有し、前記流体通路と反対側の端部が大気に開放していることを特徴とする請求項1、2または3記載のマイクロチップ。
  5. 流体が流れる流体通路、および前記流体通路から流体が供給される流体槽を形成しているチップ本体と前記流体槽の入口側において前記チップ本体に設置され、前記流体通路を流れる流体に不均一な電場を形成する電極を有する気泡分離部とを備えるマイクロチップにおいて、前記流体通路を流れる液体からこの液体に含まれる気泡を分離するマイクロチップの気泡分離方法であって、
    前記流体槽の入口側において前記流体通路を流れる流体に交流により不均一な電場を形成し、前記流体通路を流れる液体からこの液体に含まれる気泡を分離する段階を含み、
    前記流体通路を含む平面をx軸と前記x軸に直交するy軸とによるxy平面とし、前記気泡分離部の略中心を前記x軸と前記y軸とが直交する原点とすると、前記電極は次式のうちいずれか1つで表される曲線形状であることを特徴とするマイクロチップの気泡分離方法。
    xy=±k
    4 −6x 2 2 +y 4 =±k
    8 −28x 6 2 +70x 4 4 −28x 2 6 +y 8 =±k
    ただし、k:定数。
  6. 前記流体通路を流れる液体からこの液体に含まれる気泡を分離した後、気泡を形成する気体を撥水性の表面を有する排出部から排出する段階を含むことを特徴とする請求項5記載のマイクロチップの気泡分離方法。
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