JP4645351B2 - 周期構造を有するアンテナ - Google Patents
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Description
本発明は、周期構造を有するアンテナの小形化に大いに有用なものである。
L.Lei,C.Caloz,T.Itoらの"Dominant mode leaky wave antenna with backfire to endfire scanning capability ",Electron.Lett.,vol.38,no.23,pp.1414-1416,Nov.2002.
また、例えば100MHzでは、自由空間に置かれた半波長ダイポール(n=1)の長さは1. 5mとなるが、この時、従来技術に基づいて半波長ダイポールのアンテナ長を短縮させるためには、誘電率が高く、かつ10〜50cm程度の厚さの誘電体基板が必要となってしまう。
そして、このような誘電体基板を低コストで製造することは必ずしも容易ではないし、また、その様なアンテナは配設可能な場所も制限される。
即ち、本発明の第1の手段は、略平行な複数の金属配線を基本構造として、同一または類似の複数の単位回路を金属配線の方向に、1列に配列して互いに接続することによって構成されたダイポールアンテナにおいて、その各単位回路に、上記の金属配線どうしを少なくとも1つの第1のインダクタを介して互いに接続する連絡部と、上記の金属配線の内の少なくとも何れか1本の金属配線上に挿入された少なくとも1つの第1のキャパシタとを備えることである。
また、アンテナの給電部や極(端部)などの部位に接したり、その部位を含んだりする、アンテナの中央付近または端に配置される単位回路では、他の単位回路に対して、入出力の境界条件が異なってくる場合がある。その様な特異点における境界条件の特異性を調整するために、若干の変形や素子の容量調整などを施した回路もまた、上記の類似の単位回路の中に含むものとする。したがって、その場合の類似の単位回路は、ダイポールアンテナの中央または端に配置される。
また、上記の基本構造を構成する金属配線自身に伴う浮遊インダクタンスや、それらの金属配線間に生成される浮遊キャパシタンスも、上記の単位回路を構成する回路要素になる。要するに、本発明のダイポールアンテナの等価回路は、直列接続のインダクタとキャパシタ、並びに並列接続のインダクタとキャパシタから構成される単位回路をアンテナの長手方向(即ち、双極子方向)に縦1列に配列して接続したものである。
したがって、本発明のダイポールアンテナは、これらの金属配線に伴う浮遊成分をも加味した各値(キャパシタンスやキャパシタンス)の調整や最適化などによって、設計することができる。
以上の本発明の手段により、前記の課題を効果的、或いは合理的に解決することができる。
即ち、本発明の第1の手段によれば、ダイポールアンテナに配置された上記の第1のインダクタと第1のキャパシタの各値(インダクタンスとキャパシタンス)の選び方により、アンテナの長さを任意に設定することが可能となる。その作用原理は、以下の通りである。
一方、回路上を伝搬する信号の波長λとその回路の位相定数βとの間には、次の関係がある。
(λとβとの関係)
λ=2π/|β| …(1)
また、ダイポールアンテナのアンテナ長は、|n|λ/2で与えられるので、本発明の第1の手段によれば、取り扱う信号の周波数fが小さな領域において、ダイポールアンテナの長さを効果的に短くすることができる。
また、上記の本発明の第1の手段によれば、金属配線とインダクタとキャパシタとで所望のダイポールアンテナを製造することができるため、高価な誘電体基板を必ずしも用意する必要がなく、したがって本発明の第1の手段によれば、所望のダイポールアンテナを低コストに製造することもできる。
なお、この本発明の第7の手段は、次の本発明の第8の手段と組み合わせて用いることが、更により望ましい。
ただし、本発明の実施形態は、以下に示す個々の実施例に限定されるものではない。
また、この単位回路U1は、1 つのインダクタ素子LSH1(第1のインダクタ)、1つのキャパシタ素子CSH1(第2のキャパシタ)、4 つのインダクタ素子LSE1(第2のインダクタ)、および4 つのキャパシタ素子CSE1(第1のキャパシタ)からなる。
また、単位回路U1を構成する上記の金属配線p1の一部と金属配線q1の一部の各線上においては、この単位回路U1の4つ端BR、BR′、CR、CR′と上記の各中点との各間(計4箇所)に、互いに直列に接続されたインダクタ素子LSE1(第2のインダクタ)とキャパシタ素子CSE1(第1のキャパシタ)との組が、1組ずつそれぞれ挿入されている。
(規格化波長λ0 とf0 との関係)
c=f0 λ0 …(2)
(アンテナ長LLとλ0 との関係)
LL=λ0 /2 …(3)
また、図1では、構造を分かり易く説明するために、アンテナAN1がもつ単位回路U1の配設数を6としたが、図2の周波数特性は、単位回路U1の配設数を合計10個としたときのものである。この事情は、後述の図3、図4、図6についても同様である。
また、グラフ内の実線が理論による値(設計値)であり、*印で示した点がアンテナAN1の近傍電磁界分布から読み取った値である。βが負となる領域(図3−A)では、周波数fが下がると波長λが短くなると言う、従来の右手系では見られなかった特徴が見られる。
以上に示した様に、上記の本発明の実施例1の構成(アンテナAN1)によれば、従来よりも小形のアンテナを安価に製造することができる。
例えば、アンテナAN1を構成する金属配線p1とq1に流れる電流は大きさが異なっている(I)。これを金属配線p1とq1に流れる電流が同方向となる放射モード(II)と逆方向になる伝送モード(III )に分解することができる。放射モードはさらに、一本の金属導体と等価となる(II’)。従って、指向性を考えるときには、放射モード(II、またはII’)を考えればよい。
また、図6には、アンテナAN1のn=−1、周波数0.343f0 のときのxy平面上における指向性を示す。y軸方向に最大放射方向をもつ8の字形の指向性となっている。これは、図5の放射モード(II、またはII’)の電流分布が正弦波分布となるためである。
しかしながら、この様な構成(アンテナAN2)によっても、従来よりも小形のアンテナを安価に製造することができる。
例えば、この様にして単位回路中の上下関係が、対称的に交互に入れ替わる周期構造を導入しても、本発明手段に基づいて本発明の作用・効果が得られる場合がある。
そして、この様にダイポールアンテナ(アンテナAN3)を構成しも、本発明の手段に基づいて本発明の作用・効果を得ることができる。
また、このアンテナAN4の単位回路U4の金属配線p1、q1上の浮遊インダクタンスが、アンテナAN1の単位回路U1の第2のインダクタLSE1に相当し、単位回路U4の金属配線p1、q1間の浮遊キャパシタンスが、アンテナAN1の単位回路U1の第2のキャパシタCSH1に相当している。
また、上記の様にダイポールアンテナの両端を開放端にすることにより、給電点Fに定在波の山が生成されるため、給電点Fにおける電力の反射量が効果的に削減できる。このため、本実施例5のアンテナAN21では、給電点Fにおける入力インピーダンスやアンテナの感度を効果的に改善することができる。
この構成によれば、シャントインダクタLSH22と直列インダクタLSE22と直列キャパシタCSE22の各値を適切に選ぶことにより、給電点Fでのインピーダンスを最適に制御することができ、また、上記で説明したアンテナAN21の作用に基づいて更にアンテナからの放射量をも増大させることができる。従って、この構成によれば、給電点Fでの反射量が極めて小さいアンテナを実現することが可能となる。
このアンテナAN23は、n=0の共振モードで動作し、その動作周波数を以下では周波数fn0と書く。ここで用いられる左手系の単位回路ULは、インダクタLSHLとキャパシタCSELを用いて構成されており、この単位回路UL単独では、その動作周波数がfn0+Δfとなる様に、インダクタLSHLとキャパシタCSELの各値が決定されている。
また、同様に、右手系の単位回路URは、インダクタLSHRとキャパシタCSERを用いて構成されており、この単位回路UR単独では、その動作周波数がfn0−Δfとなる様に、インダクタLSHRとキャパシタCSERの各値が決定されている。
図14は、本実施例8のアンテナAN24の平面図である。このアンテナAN24は、図10のアンテナAN21を誘電体基板d24の上に構成したものである。各インダクタとキャパシタは、例えば上記の図13−A,−Bに例示したのと同様にして、それぞれ、メアンダ状のインダクタパターンLp24とインタデジタルキャパシタパターンCp24によって構成されている。また、各金属配線は、ストリップパターンp24とq24によって構成されている。
この様な構成に従えば、安価な低誘電率の基板(誘電体基板d24)の上に本発明のアンテナを形成することができ、これにより、数GHz帯で利用するアンテナでも小型化や低価格化が可能となる。
この構成により、例えばRF回路のグランドにこのアンテナAN25を形成すれば、コンパクトなRFタグ等を構成することも可能になる。
通常、ループアンテナの1周の長さが1波長の場合、ループを含む面の指向性は8の字型の指向性となる。しかしながら、上記の様にアンテナAN26を構成して、かつ、n=0の共振モードが励振される様に、インダクタLSH26とキャパシタCSE26の各値を選べば、アンテナのループ長が略1波長となっても、そのループを含む面の指向性を無指向性とすることができる。
本発明の実施形態は、上記の形態に限定されるものではなく、その他にも以下に例示される様な変形を行っても良い。この様な変形や応用によっても、本発明の作用に基づいて本発明の効果を得ることができる。
図17のアンテナAN27は、図1のアンテナAN1の両端を開放端にすることによって得られたものである。そして、この様な変形によっても、先の実施例5で示した作用・効果と同様にして、アンテナの給電点における入力インピーダンスを改善することができる。
なお、上記の変形例(即ち、アンテナAN27,AN28,AN29,AN30)などについては、アンテナの端部付近の構成を一部分削除することによって、両端がインダクタで終わる構造にしても良い。また、インダクタを用いてこれらアンテナ(即ち、アンテナAN27,AN28,AN29,AN30)の両端をクローズさせることによって、疑似的なフォールデッド構造のダイポールアンテナを構成する様にしても良い。
また、図14のアンテナAN24においては、誘電体基板d24の裏面に導体パターンの一部を形成する様にしても良い。例えば、導体パターンから成るストリップ線路q24は、裏面に形成することもできる。
LL:アンテナのx方向の長さ
F:給電部
pj、qk:金属配線(j,kは線番号)
CSEi:第1のキャパシタ素子(iは実施例番号)
LSHi:第1のインダクタ素子(iは実施例番号)
CSHi:第2のキャパシタ素子(iは実施例番号)
LSEi:第2のインダクタ素子(iは実施例番号)
Lp:インダクタパターン
Cp1、Cp2:キャパシタパターン
Claims (12)
- 略平行な複数の金属配線を基本構造として、同一または類似の複数の単位回路を前記金属配線の方向に、1列に配列して互いに接続することによって構成されたダイポールアンテナであって、
前記単位回路は、
前記金属配線どうしを少なくとも1つの第1のインダクタを介して互いに接続する連絡部と、
前記金属配線の内の少なくとも何れか1本の金属配線上に挿入された少なくとも1つの第1のキャパシタと
を有する
ことを特徴とするダイポールアンテナ。 - 同一の複数の前記単位回路から成り、
各前記単位回路はそれぞれ何れも、
前記金属配線の方向に周期的に配列されて互いに接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載のダイポールアンテナ。 - 右手系で動作する前記単位回路と、左手系で動作する前記単位回路とが混在されて1列に配列されて互いに接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載のダイポールアンテナ。 - 各前記金属配線の両端が、
それぞれ開放端となっている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のダイポールアンテナ。 - 前記単位回路は、
前記第1のキャパシタに対して直列に接続された第2のインダクタを有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のダイポールアンテナ。 - 前記単位回路の前記連絡部は、
前記第1のインダクタに対して並列に接続された第2のキャパシタを有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載のダイポールアンテナ。 - 前記インダクタは、
メアンダ状のインダクタパターンで構成されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載のダイポールアンテナ。 - 前記キャパシタは、
櫛形状のインタディジタルキャパシタパターンで構成されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載のダイポールアンテナ。 - 前記キャパシタ及び前記インダクタは、
集中定数素子から構成されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載のダイポールアンテナ。 - 誘電体基板の表面上に導体パターンを積層して形成したダイポールアンテナであって、
前記インダクタは、
前記導体パターンからなるメアンダ状のインダクタパターンで構成されており、
前記キャパシタは、
前記導体パターンからなる櫛形状のインタディジタルキャパシタパターンで構成されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載のダイポールアンテナ。 - 請求項10に記載のダイポールアンテナを変形して得られる平面アンテナであって、
前記誘電体基板の表面上において、
前記誘電体基板の露出面の露出パターンと前記導体パターンとを相互に入れ換えることによって構成した
ことを特徴とする平面アンテナ。 - 請求項1乃至請求項11の何れか1項に記載のダイポールアンテナを変形して得られるループアンテナであって、
各前記金属配線の両端をそれぞれ互いに接続することによって、前記単位回路をループ状に配列して接続した
ことを特徴とするループアンテナ。
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