JP4643132B2 - プロトン伝導性膜、その製造方法およびこれを用いた燃料電池 - Google Patents
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Description
そして、プロトン伝導は水を伴って行われるため、膜中に連続した空孔を形成し、そこに水を補給して伝導路とする。しかし、プロトンは周囲の水分子と伴に移動することから、高温下でプロトン伝導が継続すると、前記空孔中の水分が減少し、プロトン伝導度が落ちるという問題が生じる。また、アノードに供給された水素が空孔を通じてリークするという問題も生じる。
この組成物は、例えばカチオン交換樹脂およびまたはアニオン交換樹脂から選ばれた固体高分子電解質に、白金、金、パラジウム、ルビジウム、イリジウムおよびルテニウムの金属触媒の中から少なくとも1つ以上を前記固体高分子電解質に対して0.01〜80重量%含有させるとともに、シリカやチタニアなどの金属酸化物の微細粒子およびまたは繊維を前記固体高分子電解質の重量に対して0.01〜5.0重量%含有してなるものである。
この固体高分子電解質としてはパーフルオロカーボンスルホン酸(ナフィオン(Nafion:登録商標))が用いられる。
これにより、ケイ素−酸素架橋構造体を骨格とするプロトン伝導性膜のプロトン伝導路に沿って金属触媒粒子が分散した状態となり、高度の耐熱性を有すると伴に、水分減少時においてリークした水素をこの金属触媒粒子によって酸素との反応が促進され、水を生成し、プロトン伝導度を確保すると伴に水素のリークを防止することができる。
特に、上記架橋構造体を粒子構造とした場合、粒子間の空隙を利用してプロトン伝導路の設計を簡易かつ確実に行うことができ、また、緻密な架橋を形成する粒子であることから機械的強度も良好に維持することができる。
さらに、金属触媒イオンをスルホン酸等の酸基のプロトンと一旦置換させてから還元析出させることにより、金属触媒粒子は、プロトン伝導路となる架橋構造体粒子の表面に形成される。従ってリークしてきた水素と接触しやすく金属触媒粒子の利用効率が極めて高い。
一方、架橋構造体粒子のパッキングが粗な部分(空隙の大きい部分)は、特に水素のリークを生じ易いと考えられるが、架橋構造体を形成した後に金属イオンを浸透させ、還元するため、金属触媒粒子も架橋構造体の粒子のパッキングが粗な部分に存在しやすくなる。したがって、水素のリークが生じ易い部分に金属触媒粒子が存在することになり、充分な自己加湿を可能とし、プロトン伝導性に優れたプロトン伝導性膜を提供することができる。
前記前記架橋構造体が粒子の連続体を形成すると共に、
前記粒子によって形成される間隙にプロトン伝導路が形成され、前記金属触媒粒子は前記粒子の表面に担持されたものであり、
前記架橋構造体が、下式(1)で表される酸基含有架橋構造体を含むものである。
(式中、Xは架橋に関与する−O−結合又はOH基であり、R 1 は炭素数20以下の炭化
水素基を表し、R 2 はメチル、エチル、プロピル又はフェニル基のいずれかの基を表し、
nは1〜3の整数を表す。nが1のとき、R 2 は異なる置換基の混合体でも良い。)
キル基を表し、nは2〜4の整数を表す。)
原子含有分子鎖を表し、R4はメチル、エチル、プロピル、ブチル又はフェニル基のいず
れかの基を表し、nは0〜2の整数を表す。)
水素基を表し、R 2 はメチル、エチル、プロピル又はフェニル基のいずれかの基を表し、
nは1〜3の整数を表す。nが1のとき、R 2 は異なる置換基の混合体でも良い。)
本実施の形態の燃料電池は、カソード(空気極)とアノード(燃料極)と、これら2つの燃料電池用電極の間に介在せしめられたプロトン伝導性膜とを備え、この燃料電池用プロトン伝導性膜の構造に特徴を有するものである。この燃料電池のプロトン伝導性膜は、例えば、図1に示すように、少なくとも一部に酸基の結合されたケイ素−酸素結合を含み粒子1の連続体を形成する架橋構造体と、前記架橋構造体の粒子1表面に析出せしめられた白金粒子などの金属触媒粒子3とを含み、かつ、前記粒子が連続体を構成したことを特徴とするもので、乾燥によりガスリークが生じても、ガスリークの生じる可能性のある経路に金属触媒粒子3が存在していることにより水の生成反応が促進されるとともに、生成された水の近傍に酸基が存在することにより有効にプロトン伝導がなされ、極めて効率よく自己加湿を実現するとともに耐熱構造を得ることができる。
本発明の燃料電池用プロトン伝導性膜において、触媒の量、大きさ、分布は、架橋構造とともに重要な構成要素であり、反応の安定性、高度の反応性等を担う役割を果たす。
本発明の燃料電池用プロトン伝導性膜では、金属触媒粒子は、スルホン酸などの酸基を有する架橋構造体望ましくは架橋構造体粒子の表面に、金属イオンの還元によって析出せしめられて担持されており、大表面積の領域に分布しているため、凝集することなく金属触媒粒子(超微粒子)として安定して析出し、分布する。一方、ガスのリークは緻密な架橋構造体を形成する粒子と粒子との間である空隙を通って起こると考えられる。
このようにガスの伝導路に金属触媒粒子が存在するため、この金属触媒粒子によって効率よく、水の生成のための化学反応が促進される。そしてこの架橋構造体の耐熱性、機械的強度、などの安定的な特性によって活発な反応が維持される。この金属触媒粒子の粒径については特に限定しないが0.5nm〜10nmが望ましい。これは、小さすぎると触媒活性が低くなり、大きすぎると反応に寄与する表面積が小さくなるためである。特に望ましくは1nm〜5nmである。
酸基を含む架橋構造体、触媒、ガスが存在しているのが望ましい。すなわち、湿度が低下すると、プロトン伝導路を形成する酸基を含む架橋構造体の空孔に充填されていた水が消失し空孔がガスを通過させ易い状態になるが、このプロトン伝導路に触媒が存在すると、通過してくるガスと触媒とが接触し水が生成される。そしてこの水がプロトン伝導経路の空孔を埋めるとともに良好にプロトン伝導に用いられることになる。
上記金属イオンとしては、白金、金、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、イリジウム、銀、モリブデン、鉄、クロム、コバルト、マンガン、ニッケルのうちいずれかの金属イオン含むイオンを少なくとも一種類以上含有するようにするのが望ましい。特に望ましくは、白金を含む陽イオンであり、特に、[Pt(NH3)4]2+、[Pt(NH3)6]4+などが好適に用いられる。また本発明において触媒は架橋構造体の酸基の近傍に担持されて金属触媒粒子として存在しているのが望ましいが、プロトン伝導性膜表面に触媒層として形成するなど、粒子状をなさないものを含んでいてもよい。さらにまた上記金属イオンはおおむね触媒として作用するが触媒作用を生起しないものを含んでいても良い。
ここで、イオン的に結合していないイオンを洗い落とす工程を加えても良い。
また、置換されたイオンを金属に還元する方法としては、特に限定しないが、水素雰囲気にさらしたり、NaBH4溶液により還元する方法、加熱により還元する方法、紫外光
を照射することで還元する方法、あるいはこれらの組み合わせにより実現可能である。
架橋構造体の硬化は最終的には使用温度よりも高い温度で加熱硬化する。例えば、使用温度が120から150℃である場合には、最終的な加熱硬化温度としては200〜250℃が望ましい。なお、高温硬化工程に先立ち、それよりも低い温度(たとえば室温)で硬化過程を経るようにしてもよい。ここで金属触媒イオンの置換と金属への還元工程は最終加熱の前であっても後であってもよい。金属触媒イオンの置換と金属への還元工程とを最終加熱の前に行うと、イオンの浸透が容易で多量の金属イオンを短時間に担持することができる。また、金属触媒イオンの置換と金属への還元工程とを最終加熱の後に行うと、金属触媒粒子が析出される部位は、空隙が比較的大きくなっており、外部と連続した箇所であるため実使用時に水素および酸素ガスが浸透する箇所と一致するので、効率よく金属触媒粒子を使用することができる。
本発明のプロトン伝導性膜(電解質膜)において、架橋構造は、触媒の量、大きさ、分布とともに重要な構成要素であり、膜の機械的強度、耐熱性、耐久性、寸法安定性等を担う役割を果たす。
本実施の形態のプロトン伝導性膜は、このようにケイ素−酸素結合を含む架橋構造をもつことにより、空孔を含みながらも強固な骨格構造を備え、機械的強度、耐熱性、耐久性、寸法安定性を得ることができる。即ち、十分な密度の架橋構造となるようにすると、湿潤状態であっても、乾燥状態であっても、大きな寸法変化が見られなくなり、強度変化も生じなくなる。
このように、本発明のプロトン伝導性膜は、乾燥時と湿潤時の膜の寸法に大きな変化がないため、プロトン伝導性膜と電極とを一体化した膜−電極接合体(MEA)の製造が容易であるばかりではなく、燃料電池作動時にも作動状態変化による燃料電池内部の温湿度変化に応じて常に膜が伸び縮みすることがない。従って、膜の破断やMEAの破壊が生じることはない。さらに、膨潤により膜が弱くなることはないため、前述の寸法変化だけではなく、燃料電池内で差圧が発生した場合などに膜の破れなどが生じる危険性を回避することができる。
一方、従来のNafion(:登録商標)などのフッ素系樹脂膜や、芳香族分子構造を主鎖に有する高分子材料からなるプロトン伝導性膜は、いずれも架橋構造を有していない。このため、高温ではクリープ現象などにより、膜の構造が大きく変化し、その結果、高温における燃料電池の動作が不安定となる。
本発明のプロトン伝導性膜は次の要件を具備することにより、低湿度下においても、高プロトン伝導性を達成することができる。
1)酸基が高濃度に存在。
2)連続的に酸が存在するプロトン伝導経路の形成。
3)自己加湿構造をもつ。
燃料電池動作時にはアノードで生じたプロトンが膜に供給され、一方、カソードでは膜中のプロトンが消費される。プロトン伝導性膜中にはあらかじめある程度のプロトンが存在し、アノードではプロトン供給によりプロトン濃度が高まり、カソードではプロトン消費によりプロトン濃度が低くなる。このようにして膜中に生じるプロトン濃度勾配が、アノードからカソードへのプロトン拡散の駆動力である。膜中にプロトンが十分に存在しない場合、カソード側のプロトンが不足し、安定した燃料電池作動が望めない。従って、膜中には十分なプロトン濃度が必要となる。
そこで、酸基が高濃度に存在するようにし、膜中のプロトン濃度を上昇せしめることにより、安定した燃料電池作動を達成する。
図1および図2は、本発明のプロトン伝導性膜の要部模式図およびその一部拡大説明図である。本発明のプロトン伝導性膜においては、図1および図2に示すように、金属触媒粒子3を含むケイ素−酸素架橋構造体からなる粒子1が膜中に多数存在し、これが密集して連続的に存在している。このような構造をとると、幾何学的に完全に密な構造をとることは困難であり、粒子間に空隙(粒子の間隙)2が生じる。その場合、粒子間には結合があっても良く、この粒子間の結合は、粒子1の表面に存在する未反応ケイ素−酸素架橋基が相互に反応したケイ素−酸素結合であることが好ましい。このようにケイ素―酸素架橋基が相互に反応した粒子間結合をもつことにより、膜の強度がさらに向上する。
さらに、粒子の表面には酸基が導入されているため、この粒子の間隙の壁面(即ち粒子と粒子の間隙の境界部)には酸基が多数存在する。即ち、この粒子の間隙は酸基が集積したプロトン伝導経路としての役割を果たす。そしてこの粒子の間隙に金属触媒粒子3が存在しているため、この金属触媒粒子が、架橋構造体の粒子と粒子との間隙に漏れてきた水素から水を生成する反応を促進し、生成された水はプロトン伝導経路に存在することになり、有効にプロトン伝導に寄与することになる。
本発明の燃料電池用プロトン伝導性膜としては、表面に酸基が導入されるとともに金属触媒粒子を析出せしめられたプロトン伝導性膜において、酸基を有するケイ素−酸素架橋構造体からなる粒子とで構成されるのが望ましい。
なお、粒子の形態に関しては、球形である場合、若干強度が大きいという利点があるが、必ずしも真球に近い球形である必要はなく、扁平な粒状、柱状など非球形であっても良い。粒子は、明確な構造境界を有するものであれば特に制限はない。
ケイ素−酸素結合からなる架橋構造体は、いわゆるガラス構造体であり、前述したように高温でも安定であるために、耐熱性を必要とする燃料電池用プロトン伝導性膜の基本構造として適している。
スルホン酸基が粒子表面に固定化された構造には特に制限はないが、好ましい構造として、次式(1)で示される酸基含有構造(A)があげられる。
化水素基を表し、R2はCH3、C2H5、C3H7、またはC6H5のいずれかの基を表し、nは1〜3の整数を表す。nが1のとき、R2は異なる置換基の混合体でもよい。)
粒子は、酸含有構造(A)以外のケイ素−酸素架橋体(例えば後述する架橋剤)を有していても良いが、この場合、酸含有構造(A)中のケイ素原子は、粒子中のケイ素原子全体の3%以上であることが好ましい。3%以下であると表面に存在する酸基の量が少なくなり、十分な伝導度を発現することが出来ない。一方、上限は特になく、出来るだけ多量の酸基を導入することが好ましいが、一方、酸含有構造(A)を多くするとプロトン伝導性膜が脆くなる傾向があるため、適度な含量とすることが望ましく、一例としては80%以下である。
しては、式(4)で表される飽和アルキレン基であることが好ましい。
又はOH基を表し、nは2〜4の整数である。)
ここで、架橋構造(B)は、基本的なシリカ架橋構造であり、耐熱性、耐酸化性に対して非常に安定である。また、原料入手も容易であり、安価な燃料電池用プロトン伝導性膜を実現することが出来る。
素原子含有分子鎖基を表し、R4はCH3、C2H5、C3H7、C4H9、又はC6H5から選ばれたいずれかの基であり、nは0、1又は2のいずれかの整数である。)
有する。このような橋かけ状架橋構造(C)は、極めて架橋反応性が高く、強固な架橋構造を形成することが出来、粒子の安定性向上に寄与する。また、橋かけ構造部の分子鎖種類、分子鎖長、あるいは架橋基Xの数(3−n)などにより可撓性などの物性調整も可能であり、好ましく用いることが出来る。
膜とすることが出来る。
さらに、橋かけ状架橋構造(C)を用いる場合、式(3)中のR5が次式(5)で表さ
れる構造を有することが好ましい。
(式中、nは1〜30の整数を表す)
またさらに、上述した組成物以外にも、例えばチタン酸化物、ジルコニウム酸化物、アルミニウム酸化物などの金属酸化物を含んでいても良い。
前述したように、本発明の燃料電池用プロトン伝導性膜は、ケイ素−酸素架橋構造からなる粒子を有し、当該粒子は表面に酸基を有し、かつ当該粒子が連続体を構成している。粒子の連続体は、前述のように幾何学的に粒子の間隙を生じる。特に、この粒子の間隙が、燃料電池用プロトン伝導性膜の外側主表面から相対向する面に連通している場合、粒子の間隙はプロトンが効率的に拡散・移動するプロトン伝導経路となる。
次に本実施の形態の燃料電池用プロトン伝導性膜の製造方法について説明する。
例えば、ケイ素−酸素架橋構造からなる粒子であって、当該粒子の表面に酸基が導入されるとともに白金などの金属触媒粒子が析出せしめられ、かつ当該粒子が連続体を構成している燃料電池用プロトン伝導性膜の製造方法は、特に限定されることはないが、例えば以下のような方法で製造することが出来る。
メルカプト基をスルホン酸基に置換する際、白金の存在下では、過酸化水素などの酸化剤を用いるため、爆発などの危険が伴うが、メルカプト基をスルホン酸基に置換した後、
白金を含む陽イオンに置換するようにすれば、爆発の危険性もない。
6.1 第1の工程
第1の工程では、メルカプト基を有し、かつ、メルカプト基と共有結合した縮合反応可能な加水分解性シリル基と、及び/又はシラノール基を有するメルカプト基含有化合物(D)と、極性制御剤(E)とを含有する混合物を調製する。
メルカプト基含有化合物(D)はメルカプト基を有し、かつ、メルカプト基と共有結合した縮合反応可能な加水分解性シリル基、及び/又はシラノール基を有していれば特に制限はない。
このメルカプト基含有化合物(D)として、以下に例示するが、本発明はこれに限定されるものではない。
メルカプト基含有化合物(D)として、例えば、次式(6)で示されるメルカプト基含有化合物(G)があげられる。
素数20以下の炭化水素基を表し、R2はCH3、C2H5、C3H7、又はC6H5のいずれかの基を表し、nは1〜3の整数を表す。nが1のとき、R2は異なる置換基の混合体でも
よい。)
分岐を含まないメチレン鎖(−CH2−の連鎖)が酸や酸化に対して安定であり好ましく
用いることが出来る。特に、炭素数が3(即ち、R1が−CH2CH2CH2−)のものは安価かつ入手が容易で好ましく用いることが出来る。R1に分岐構造や芳香族環が含まれて
いても、燃料電池作動条件下で安定であれば特に問題はない。
R7がアルキル基の場合には、ポットライフも長く、反応制御も容易であり、好適に用い
ることが出来る。とくに、R7はCH3、C2H5のものが安価かつ入手も容易であり、好適に用いることが出来る。
架橋基(OR7)とアルキル基(R2)の比率は、架橋基が多い程粒子に安定して固定可能であるが、一方、アルキル基を導入することにより、燃料電池用プロトン伝導性膜の可撓性が付与できる。他の架橋剤との組み合わせも含め、物性と安定性のバランスの上で、架橋基とアルキル基の比率は適宜選択可能であるが、好ましくは架橋基の数は2、又は3で有り、架橋基が3あるものがより好ましい。
ラン、3−メルカプトプロピルトリブトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリプロポキシシラン、2−メルカプトエチルトリブトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジブトキシシラン、3−メルカプトプロピルエチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルブチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルフェニルジメトキシシラン、メルカプトメチルメチルジエトキシシラン等が例示されるが、本発明はこれに限定されるものではない。
この中でも3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(サイラエースS-810:商品名
:チッソ製)、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランとテトラエトキシシランとの共重合物(X41−1805:商品名:信越化学工業(株)社製)を原料としたもの、あ
るいはこれらを任意の分子量に重縮合したものを原料としたもの、が大量且つ安価に入手することが出来、好ましく用いることが出来る。
素数20以下の炭化水素基を表し、R2はOH、OCH3、OC2H5、OC3H6、OC4H9、CH3、C2H5、C3H7、C4H9、C6H5のいずれかの基を表し、mは1〜100の整
数を表す。また、R7が−Si、またはR2がO−Si結合となった連鎖構造、環状構造となっても良い)
また、重合度(m+1)は2以下であると縮合による酸の連続化、架橋基増加等の効果が見られず、101を超えるとゲル化等が起こり、原料として用いることが困難となる。
素数20以下の炭化水素基を表し、R2、R8、R9はそれぞれ独立にOH、OCH3、OC2H5、OC3H6、OC4H9、CH3、C2H5、C3H7、C4H9、C6H5のいずれかの基を
表し、n、mはそれぞれ独立に1〜100の整数を表す。また、R7が−Si結合、また
はR2、R8、R9が−O−Si結合となった連鎖構造、環状構造となっても良い)
の基本構造に準ずるが、このうち、R7が−Si結合、またはR2、R8、R9が−O−Si結合となった連鎖構造、環状構造を含んでいても良い。
また、重合度(m+n)は2以下であると縮合による酸の連続化、架橋基増加等の効果が見られず、200を超えるとゲル化等が起こり、原料として用いることが困難となる。メルカプト基含有縮合体(I)は、メルカプト基含有縮合体(H)にくらべて置換基の調整範囲が大であるため、より高重合度までゲル化せずに原料化できる。
リマーケミストリ(Journal of Polymer Science:PartA:Polymer Chemistry、第33巻、第751−754頁、1995)、ジャーナルオブポリマーサイエンス パートA:ポリマーケミストリ(Journal
of Polymer Science:PartA:Polymer Chemistry、第37巻、第1017−1026頁、1999)などに開示されている。
これらメルカプト基含有化合物(D)は、あらかじめ後述の第3の工程で用いる酸化剤によりあらかじめ酸化してから用いても良い。この場合には、第3の工程の酸化工程を省略することが可能となる。
又更に、この第1の工程における調製工程において、更に、次式(11)で表される橋かけ架橋剤(K)を加えても良い。
C3H7、C4H9、又はC6H5から選ばれたいずれかの基であり、nは0、1又は2のいずれかの整数である。)
鎖状のアルキレン基が好ましい。
式(11)の構造を有する架橋剤(K)の具体例としては、例えば、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリエトキシシリル)オクタン、ビス(トリエトキシシリル)ノナンが該当するが、これらはゲレスト(Gelest)社より市販されている。これ以外の鎖長のもの、あるいはこれ以外の加水分解性基を有する有機無機複合架橋剤(F)も、両末端が不飽和結合となっている直鎖状炭化水素、例えば、1,3−ブタジエンや1,9−デカジエン、1,12−ドデカジエン、1,13−テトラデカジエン、1,21―ドコサジエンなどに白金錯体触媒を用いて各種アルコキシシランとヒドロシリル化反応を行うことにより、対応する架橋性化合物である化合物を得ることができる。
極性制御剤(E)は、粒子を形成するための構造制御剤であって、本発明において好適に用いることが出来る。
本発明の燃料電池用プロトン伝導性膜においては、物質(水素イオンあるいはその水和体)が拡散、移動できることが必須であるため、膜の内部にイオンを輸送するプロトン伝導経路を形成することが好ましく、粒子の間隙がその役割を担うことは、前述した。
通常、テトラエトキシシランのような無機材料などを同様にして加水分解・縮合し、十分な加熱(例えば800℃)を行えば、ガラス状の緻密な架橋体が得られ、イオンチャネルに相当する微細孔は形成されない。このようなアルコキシシランの加水分解、縮合、ゲル化過程(sol−gel反応)は詳細に検討されており、例えばブリンカー(Brinker)らのゾルゲルサイエンス(SOL−GEL SCIENCE)(Academic press,Inc.,1990)、作花の「ゾル−ゲル法の科学」(アグネ承風社、1988)等に記載がある。ゾルゲル反応では粒子成長、粒子結合、緻密化が順に起こる。典型的なアルコキシシラン材料についてはそれらの詳細な解析がなされ、反応条件等も明らかになっている。
が必要であり、これを達成するために種々の検討を行った結果、極性制御剤(E)を加えることにより、粒子の連続体形成とそれに伴う粒子の間隙制御が可能となる。
極性制御剤(E)の沸点が低すぎると、膜を形成する際に行う縮合反応時(主として加熱条件にて行う)に揮発してしまい、粒子の粒径制御、及び粒子の間隙制御が不十分になって十分な伝導度が確保できない。従って、極性制御剤(E)の沸点としては、最低でも第1の工程における調製工程で溶媒が用いられる場合には溶媒の沸点以上であることが好ましく、特に沸点100℃以上が好ましく、より好ましくは150℃以上、更に好ましくは200℃以上である。
また、極性制御剤(E)の分子間相互作用が大きすぎる場合には極性制御剤(E)が固化して粒子の間隙以外に大きなドメインを形成する可能性があり、この場合、膜の強度が低下したり、膜の燃料ガスバリア性が低下する可能性がある。極性制御剤(E)の分子間相互作用の大きさは、融点とほぼ相関があり、融点を指標とすることが出来る。本発明で用いる極性制御剤(E)の融点は、25℃以下であることが好ましい。融点25℃以下であると適度な分子間相互作用が期待でき、好ましく用いることが出来、より好ましくは15℃以下である。
できる。この例としては、前記エチレングリコール類のモノメチルエーテル、ジメチルエーテル、モノエチル エーテル、ジエチルエーテル、モノプロピルエーテル、 ジプロピルエーテル、モノブチルエーテル、ジブチルエーテル、モノペンチルエーテル、ジペンチルエーテル、モノジシクロペンテニルエーテル、モノグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、モノフェニルエーテル、ジフェニルエーテル、モノビニルエーテル、ジビニルエーテルがあげられる。また、エチレングリコール類の末端OHの一部又は全部がエステル
となっていても良い。この例としては、前記エチレングリコール類のモノアセテート、ジアセテートがあげられる。
(式中、nは2〜14の整数である。)
物(D)100重量部に対して3〜150重量部添加する。3重量部未満では、粒子径、及び粒子の間隙制御の効果がほとんど認められず、150重量部を超えると粒子の間隙が大きくなりすぎ、膜が脆くなったり、ガス透過が顕著になる可能性が高い。
今まで述べてきたように、メルカプト基含有化合物(D)、極性制御剤(E)、さらに任意成分である架橋剤(J)、(K)を適宜調整して用いることにより、プロトン伝導性、耐熱性、耐久性、膜強度など、種々の物性を調整することが可能である。
ここで、任意成分である架橋剤(J)、(K)を加える場合、その添加量は各材料の配合、プロセスにより変動するため一概に言えないが、代表的な値としては、メルカプト基含有化合物(D)100重量部に対して(J)、(K)の合計添加量は900重量部以下である。
これらの混合物を調製する場合には、溶媒を用いてもよい。用いる溶媒は、それぞれの材料が均一に混合可能であれば良く、特に制限はない。一般的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、t−ブタノールなどのアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒などが好適に用いることができる。
溶媒の比率については特に制限はないが、通常、固形分濃度が90〜10質量%程度の濃度が好ましく用いることができる。
更に、後述するが、触媒(F)をこの工程で同時に混合してもよい。
混合には、撹拌、振動など公知の方法を用いて良く、十分な混合が可能であれば特に限定されない。また、必要に応じて加熱や加圧、脱泡、脱気等を行ってもよい。
本発明の燃料電池用プロトン伝導性膜の製造方法において、調製工程で得た混合物を膜状に成形(成膜)する。
前記工程で得られた混合物を膜状に成形するためには、キャスト、コート、注型など、公知の方法を用いることができる。膜状に成形する方法としては、均一な膜を得ることができる方法であれば特に制限はない。膜の厚みは特に制限されないが、10μmから1mmの間の任意の厚みとなるように形成することができる。燃料電池用のプロトン伝導性膜は、プロトン伝導性、燃料バリア性、膜の機械的強度から膜厚は適宜決定され、通常、膜厚が20〜300μmのものが好ましく用いることができるため、本発明のプロトン伝導性膜の膜厚もこれに準じて製造する。
本発明の燃料電池用プロトン伝導性膜の製造方法において、この第1の工程における縮
合工程は、成膜工程を経て成膜した膜状物に含まれる加水分解性シリル基を加水分解及び縮合、及び/又はシラノール基を縮合させることにより、ケイ素−酸素架橋構造からなる粒子の連続体を有する膜を形成する工程である。
本発明における燃料電池用プロトン伝導性膜は、アルコキシシリル基等の加水分解、縮合により、架橋構造を形成し、高温においても安定的にプロトン伝導性を発揮し、形状変化等も少ないことを特徴とする。このようなアルコキシシリル基等の加水分解、縮合によるケイ素−酸素−ケイ素結合の生成はゾルゲル反応としてよく知られている。
ゾルゲル反応においては、反応加速及び制御のために、触媒が用いられるのが普通である。触媒は、通常、酸又は塩基が用いられる。
本発明の燃料電池用プロトン伝導性膜の製造方法において用いる触媒(F)は、酸であっても塩基であってもよい。
酸触媒を用いる場合には、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸などのブレンステッド酸を用いる。酸の種類、濃度等は特に限定されず、入手可能な範囲のものであればよい。この中でも塩酸は反応後、酸の残留等が比較的少なく、好適に用いることができる。塩酸を用いた場合、特に濃度等には制限はないが、通常0.01〜12Nのものが用いられる。
一般的に、酸を用いた場合には加水分解と縮合が競争することにより、分岐の少ない直鎖状の架橋構造となることが知られている。
触媒の添加量は、任意に設定することが可能で、反応速度、膜原料との相溶性などを勘
案して適宜決定する。
縮合反応は室温でも可能であるが、反応時間を短縮し、より効率的な硬化を行うためには加熱を行う方がよい。加熱は公知の方法で良く、オーブンによる加熱やオートクレーブによる加圧加熱、遠赤外線加熱、電磁誘導加熱、マイクロ波加熱などが使用できる。加熱は室温から300℃までの任意の温度で行うことが出来、100〜250℃で行うことが好ましい。この際、減圧下、窒素下、あるいはアルゴン下等、不活性ガス等の元で加熱しても良い。
また、加水分解で必要な水を補給するために水蒸気下で行っても良く、また、急激な膜の乾燥を防ぐため、溶媒蒸気下で行ってもよい。
この縮合工程を経た膜は、必要に応じて水洗により未反応物や効果触媒を取り除き、更に硫酸などでイオン交換を行ってもよい。
本発明の燃料電池用プロトン伝導性膜の製造方法において、第2の工程は、膜中の前記メルカプト基を酸化してスルホン酸基とし、前記粒子の表面にスルホン酸基を導入された架橋構造体のスルホン酸基を、触媒を含む金属イオンと置換する工程である。
前述したように、酸化に先立ち、膜を水洗してもよく、又更に、触媒として有機アミン類を用いた場合には、酸化に先立って、塩酸、硫酸等の酸に膜を接触させ、触媒を取り除いてもよい。
この中でも過酸化水素及び有機過酸(過酢酸、過安息香酸類)が比較的取り扱いが容易で酸化収率も良好であることから好適に用いる事ができる。
ここで、イオン的に結合していないイオンを洗い落とす工程を加えても良い。
上記金属触媒粒子を構成する金属イオンとしては、前記触媒の項で示したとおりである。
本発明の燃料電池用プロトン伝導性膜の製造方法において、第3の工程は、第2の工程で、スルホン酸基のプロトンを金属触媒のイオンを含む少なくとも1種類以上の陽イオン
に置換させ、この後、この金属イオンを還元し、前記粒子の表面に金属触媒粒子として析出せしめる工程である。
を照射することで還元する方法、あるいはこれらの組み合わせにより実現可能である。
[実施例]
[評価法]
クトロケム(Electrochem)社製単セル(膜面積5.25cm2)に導入して
、単セル燃料電池を作製した。このようにして得られた燃料電池に対し、アノード側に水素、カソード側に酸素を導入し、出力に電子負荷を接続して、0〜120℃で、電圧−電流曲線を測定した。
なお、測定時にはバブラーを用いて水素を加湿し、湿度は95%RHとした。必要に応じてバブラー温度を変化させて湿度を調整し、低湿度の測定としては60%RHを採用した。また120℃の測定においては加圧を行った。120℃の測定においては加圧を行った。
第2の工程: 更に前記工程で得られた膜を、酢酸125mL、30質量%過酸化水素水
100mlを混合して作製した過酢酸に浸せきし、80℃で1時間加熱し、更に120℃
オーブンにて12時間、更に200℃オーブンにて12時間加熱した。得られたシートを過酢酸溶液から取り出し、80℃水で各1時間、3回浸せきして過酢酸溶液を十分に抽出し、このシートをPt(NH3)4(OH)2水溶液に室温で12時間浸漬してイオン置換を行った。
第3の工程: 第2の工程で得られたシートを、蒸留水で洗浄、乾燥後、150℃で水素により還元を行い、白金粒子を析出させた。さらに、1N硫酸に50℃で1時間浸漬したのち、蒸留水で洗浄し、室温で乾燥後、プロトン伝導性膜を得た。このとき、白金の坦持量は、0.5mg/1cm2であった。
第1の工程: 3−メルカプトプロピルトリメトキシシランとテトラエトキシシランの共重合物(信越化学社製、商品名「X41-1805」)2.4g、テトラエトキシシラン0.6g、ポリエチレングリコール♯200 0.8g、トリエチルアミン2.0g、1質量%フッ化カリウムメタノール溶液を0.2g、水0.75gを2.7mLのテトラヒドロフランに溶解し、10分間室温で激しく撹拌した。
第2の工程: 更に前記工程で得られた膜を、酢酸125mL、30質量%過酸化水素水
100mlを混合して作製した過酢酸に浸せきし、80℃で1時間加熱した。得られたシートを過酢酸溶液から取り出し、80℃水で各1時間、3回浸せきして過酢酸溶液を十分に抽出し、このシートをPt(NH3)4(OH)2水溶液に室温で12時間浸漬してイオン置換を行った。
第3の工程: 第2の工程で得られたシートを、蒸留水で洗浄、乾燥後、150℃で水素により還元を行い、白金粒子を析出させた。さらに、1N硫酸に50℃で1時間浸漬したのち、蒸留水で洗浄し、室温で乾燥後、更に120℃オーブンにて12時間、更に200℃オーブンにて12時間加熱し、プロトン伝導性膜を得た。このとき、白金の坦持量は、0.5mg/1cm2であった。
度:1.4A/cm2であった。このとき、白金の坦持量は、0.5mg/1cm2であった。
Nafion(:登録商標)溶液(5質量% アルドリッチ社製)をPt(NH3)4(OH)2水
溶液に室温で12時間浸漬してイオン置換を行った。その後蒸留水で洗浄、乾燥後、150℃で水素により還元を行い、白金微粒子を析出させた.更に、1N硫酸に50℃で1時
間浸漬した後、蒸留水で洗浄し、室温で乾燥し、プロトン伝導性膜を得た。このとき白金の坦持量は、0.5mg/1cm2であった。
そして単セル燃料電池を形成し、前述した評価方法に基づき評価した。
その結果、120℃での発電結果は、最大出力密度:25mW/cm2、電流密度:0
.22A/cm2であった。
ここで膜は変形しており、電極からのはがれがみられた。60%RHでは出力は16mW/cm2、限界電流密度:1.4A/cm2
前記実施例1および2と比較例との比較から、本発明によれば、高温下で高効率の特性を得ることができる。
2 間隙(プロトン伝導路)
3 金属触媒粒子
Claims (9)
- 少なくとも一部に酸基の結合されたケイ素−酸素結合を含む架橋構造体と、
前記架橋構造体の前記酸基の近傍に担持された金属触媒粒子とを含み、
前記架橋構造体が粒子の連続体を形成すると共に、
前記粒子によって形成される間隙にプロトン伝導路が形成され、前記金属触媒粒子は前記粒子の表面に担持されたものであり、
前記架橋構造体が、下式(1)で表される酸基含有架橋構造体を含むことを特徴とする燃料電池用プロトン伝導性膜。
水素基を表し、R2はメチル、エチル、プロピル又はフェニル基のいずれかの基を表し、
nは1〜3の整数を表す。nが1のとき、R2は異なる置換基の混合体でも良い。) - 前記架橋構造体が、下式(2)で表される架橋構造体を含むことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用プロトン伝導性膜。
キル基を表し、nは2〜4の整数を表す。) - 前記架橋構造体が、下式(3)で表される架橋構造体を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池用プロトン伝導性膜。
原子含有分子鎖を表し、R4はメチル、エチル、プロピル、ブチル又はフェニル基のいず
れかの基を表し、nは0〜2の整数を表す。) - 前記粒子が、ケイ素−酸素結合からなる3次元架橋構造と、前記式(1)で示される構造とを有し、前記式(1)で示される構造を有するケイ素原子が、粒子中の全ケイ素原子中の3%以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の燃料電池用プロトン伝導性膜。
- 少なくとも一部に酸基の結合されたケイ素−酸素結合を含む下式(1)で表される酸基含有架橋構造体を作成する第1の工程と、
前記酸基のプロトンを金属触媒のイオンを含む少なくとも一種類の陽イオンに置換する第2の工程と、
前記金属イオンを還元して前記架橋構造体中に金属触媒粒子を析出させ、金属触媒粒子を担持した架橋構造体を形成する第3の工程とを含むことを特徴とする燃料電池用プロトン伝導性膜の製造方法。
水素基を表し、R 2 はメチル、エチル、プロピル又はフェニル基のいずれかの基を表し、
nは1〜3の整数を表す。nが1のとき、R 2 は異なる置換基の混合体でも良い。) - 前記第1の工程は、ゾルゲル反応によるケイ素−酸素結合からなる架橋構造体と該構造と共有結合で結合した酸基を有する酸基含有構造体を形成する工程を含むことを特徴とする請求項5に記載の燃料電池用プロトン伝導性膜の製造方法。
- 前記酸基を有する架橋構造体は、メルカプト基を含有する架橋構造体を含み、
前記第2の工程に先立ち、前記架橋構造体のメルカプト基を酸化する工程を含むことを特徴とする請求項5または6に記載の燃料電池用プロトン伝導性膜の製造方法。 - 前記第1の工程は、メルカプト基を有し、かつ、メルカプト基と共有結合した縮合反応可能な加水分解性シリル基と、及び/又はシラノール基を有するメルカプト基含有化合物(D)と、極性制御剤(E)とを含有する混合物を調製する調製工程と、
前記混合物に含まれる加水分解性シリル基を加水分解及び縮合、及び/又はシラノール基を縮合させることにより、ケイ素−酸素架橋構造からなる粒子の連続体を有する膜を形成する工程とを含み、
前記第2の工程に先立ち、更に前記膜中の前記メルカプト基を酸化してスルホン酸基とし、前記粒子の表面にスルホン酸基を導入し、
前記スルホン酸基のプロトンの少なくとも一部を、金属イオンを含む陽イオンに置換する第2の工程と、
前記金属イオンを還元して前記架橋構造体中に金属触媒粒子を析出させ、金属触媒粒子を担持した架橋構造体を形成する第3の工程とを含むことを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の燃料電池用プロトン伝導性膜の製造方法。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載の燃料電池用プロトン伝導性膜または請求項5乃至8のいずれかに記載の燃料電池用プロトン伝導性膜の製造方法により形成されたプロトン伝導性膜を用いてなることを特徴とする燃料電池。
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