JP4642193B2 - コーン傾斜並列サンプリング及び再構成の方法及び装置 - Google Patents

コーン傾斜並列サンプリング及び再構成の方法及び装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の背景】
本発明は一般的には、計算機式断層撮影イメージングに関し、より具体的には、ディジタル式X線パネルから収集されるデータを用いて立体画像を形成することに関する。
【0002】
少なくとも1つの公知の計算機式断層撮影(CT)イメージング・システム構成においては、X線源がファン(扇形)形状のビームを投射し、ビームは、デカルト座標系のXY平面であって、一般に「イメージング(撮像)平面」と呼ばれる平面内に位置するようにコリメートされる。X線ビームは、患者等のイメージングされている物体を通過する。ビームは、物体によって減弱された後に、放射線検出器の配列(アレイ)に入射する。検出器アレイの所で受け取られる減弱したビーム放射線の強度は、物体によるX線ビームの減弱量に依存している。アレイ内の各々の検出器素子が、検出器の位置におけるビーム減弱の測定値である別個の電気信号を発生する。すべての検出器からの減弱測定値が別個に取得されて、透過プロファイルを形成する。
【0003】
公知の第3世代CTシステムでは、X線源及び検出器アレイは、X線ビームが物体と交差する角度が定常的に変化するように、イメージング平面内でイメージングされるべき物体の周りをガントリと共に回転する。1つのガントリ角度における検出器アレイからの一群のX線減弱測定値すなわち投影データを「ビュー」と呼ぶ。物体の「走査(スキャン)」は、X線源及び検出器が1回転する間に様々なガントリ角度すなわちビュー角度において形成される1組のビューで構成されている。アキシャル・スキャン(軸方向走査)の場合には、投影データを処理して、物体を通して得られる2次元スライスに対応する画像を構成する。
【0004】
1組の投影データから画像を再構成する1つの方法に、当業界でフィルタ補正逆投影(filtered backprojection)法と呼ばれるものがある。この処理は、走査からの減弱測定値を、「CT数」又は「ハンスフィールド(Hounsfield)単位」と呼ばれる整数へ変換し、これらの整数を用いて、陰極線管表示器上の対応するピクセルの輝度を制御する。
【0005】
40cm×40cmの面積を単一の投影としてサンプリングすることが可能なディジタル式X線パネルが公知である。これらのようなパネルを用いる場合には、トリガ信号を起動することにより検出器信号が一度に1行ずつサンプリングされる。行1乃至行N用の起動信号は順次起動される一方で、各々の行についての全てのセル信号が同時に読み出される。典型的なセル・サイズは200μm×200μmである。40cm×40cmの領域を網羅するパネルの場合には、得られる画像サイズは約2000×2000ピクセルである。
【0006】
パネルがX線源に対向する側に配置されて、線源及びパネルの両方が患者の周りを回転して様々な角度からの投影データを収集する場合には、立体(volumetric)CTデータが得られる。全X線はX線源から検出器へ3次元で発散するので、各々の投影毎に1組のコーン(円錐)形状のサンプルが得られる。この形式のスキャナをコーン・ビームCTと呼ぶ。
【0007】
サンプリング射線はxy方向及びz方向の両方に発散しているため、典型的にはコーン・ビーム再構成アルゴリズムが要求される。J. Opt. Soc. Am.誌、A分冊、第1巻、第6号、第612頁〜第619頁のFeldkamp等による「実用コーン・ビーム・アルゴリズム(Practical Cone Beam Algorithm)」には公知のコーン・ビーム再構成アルゴリズムが記載されている。このアルゴリズムは、所定の加重関数に従って投影に対して予め重みを加える。次いで、加重された投影はフィルタ処理されると共に逆投影されて、再構成画像を形成する。逆投影処理はコーン・ビーム幾何形状で行われるので、拡大率に依存する(従って、位置に依存する)スケーリング・ファクタが必要である。スケーリング・ファクタが要求されることからアルゴリズムの計算の複雑さが大幅に増大し、再構成処理が極めて遅くなっている。
【0008】
【発明の概要】
一側面では、本発明は、ディジタル式フラット・パネル型検出器を用いて画像を形成する方法であり、この方法においては、予め画定されている遅延トリガ系列を用いて1組の並列サンプル及び傾斜並列(tilted parallel) サンプルを取得する。次いで、傾斜並列ビーム再構成アルゴリズムを用いて画像を形成する。より明確に述べると、物体f(x,y,z)は、
【0009】
【数7】
【0010】
であり、ここで、
【0011】
【数8】
【0012】
であり、Pβ (t,Z)は点(x,y,z)に交差する投影である。
【0013】
上述の方法は、拡大率に依存するスケーリング・ファクタを必要としないので、スケーリング・ファクタの利用を要求する公知のアルゴリズムよりもアルゴリズムが遥かに単純になる。加えて、上述の方法を用いると、スケーリング・ファクタの利用を要求する公知のアルゴリズムよりも再構成処理が遥かに高速になる。
【0014】
【発明の詳しい説明】
図1及び図2について説明する。同図には、計算機式断層撮影(CT)イメージング・システム10が、「第3世代」CTスキャナにおいて典型的なガントリ12を含んでいるものとして示されている。ガントリ12はX線源14を有しており、X線源14は、X線ビーム16をガントリ12の対向する側に設けられている検出器アレイ18に向かって投射する。検出器アレイ18は検出器素子20によって形成されており、検出器素子20は一括で、物体22、例えば患者を通過する投射されたX線を感知する。検出器アレイ18は、シングル・スライス構成として作製されていてもよいし、又はマルチ・スライス構成として作製されていてもよい。各々の検出器素子20が、入射したX線ビームの強度を表す、従って患者22を通過する間でのビームの減弱を表す電気信号を発生する。X線投影データを取得するための1回の走査の間に、ガントリ12及びガントリ12に装着されている構成部品は、回転中心24の周りを回転する。
【0015】
ガントリ12の回転及びX線源14の動作は、CTシステム10の制御機構26によって制御されている。制御機構26は、X線制御器28と、ガントリ・モータ制御器30とを含んでおり、X線制御器28は、X線源14に対して電力信号及びタイミング信号を供給し、ガントリ・モータ制御器30は、ガントリ12の回転速度及び位置を制御する。制御機構26内に設けられているデータ取得システム(DAS)32が、検出器素子20からのアナログ・データをサンプリングし、後続の処理のためにこのデータをディジタル信号へ変換する。画像再構成器34が、サンプリングされてディジタル化されたX線データをDAS32から受け取って、高速画像再構成を実行する。再構成された画像は、コンピュータ36への入力として印加され、コンピュータ36は、大容量記憶装置38に画像を記憶させる。
【0016】
コンピュータ36は又、キーボードを有しているコンソール40を介して、操作者からコマンド(命令)及び走査用パラメータを受け取る。付設されている陰極線管表示器42によって、操作者は、再構成された画像、及びコンピュータ36からのその他のデータを観測することができる。操作者が供給したコマンド及びパラメータは、コンピュータ36によって用いられて、DAS32、X線制御器28及びガントリ・モータ制御器30に制御信号及び情報を供給する。加えて、コンピュータ36は、モータ式テーブル46を制御するテーブル・モータ制御器44を動作させて、患者22をガントリ12内で配置する。具体的には、テーブル46は、患者22の各部分をガントリ開口48を通して移動させる。
【0017】
図3は、ディジタル式X線パネル100の上面図である。パネル100は、行104を成して配列した複数の検出器セル102を含んでいる。検出器信号は、トリガ信号を起動することにより一度に1行ずつサンプリングされる。行1乃至行N用の起動信号は順次起動される一方で、各々の行についての全てのセル信号が同時に読み出される。
【0018】
ここで図4について説明する。回転軸はz軸であり、回転座標tは、検出器パネルの水平軸に常に平行になっている。検出器100に関しては、パネル起動線(行)はz軸に垂直(t軸に平行)であり、パネル読み出し線はz軸に平行となっている。この構成で各々の行からの信号が同時に読み出される。
【0019】
本発明の一実施例では、図5を参照しながら述べると、各々の検出器行104内の全てのチャネルすなわち全ての検出器セル102を同時にサンプリングするのではなく、検出器パネル100を90°回転させて、一定のt値を有する全ての信号が(z軸を横断して)同時に読み出されるようにする。tを横断して読み出される信号の系列は、ファン・並列サンプリング構成の場合と同様の態様で制御される。
【0020】
より明確に述べると、パネル100上の信号起動線を起動するために、予め画定されている遅延トリガ系列が用いられる。遅延系列は、1組の並列サンプル及び傾斜並列サンプルを提供する。図6は、z軸に平行にトップ・ダウン方式で見たサンプリング・パターンを示している。サンプリング・トリガを適当に遅延させることにより、1組の傾斜並列幾何形状が得られる。
【0021】
一旦、投影が1組の傾斜並列ビーム幾何形状で収集されたら、走査されている物体の密度を新たな傾斜並列ビーム再構成アルゴリズムによって再構成することができる。傾斜並列ビーム再構成式の導出は、Feldkampのコーン・ビーム再構成アルゴリズムに用いられた導出と同様の態様で行うことができる。物体f(x,y,z)の再構成用の結果的な方程式は、
【0022】
【数9】
【0023】
であり、ここで、
【0024】
【数10】
【0025】
である。Pβ(t,Z)は点(x,y,z)に交差する投影である。
【0026】
並列ビーム再構成とは異なり、積分の限度は0乃至2πとなっており、この理由は主に、傾斜並列の場合にはπだけ離れた投影が最早相補的な射線とはならないためである。しかしながら、データ収集がπ+ファン角度で完了し得るように、部分的に走査されたサンプリングについて同様の加重関数を導出することができる。
【0027】
本発明の様々な実施例についての以上の記載から、本発明の目的が達せられたことは明らかである。本発明を詳細に記述すると共に図解したが、これらは説明及び例示のみを意図したものであり、限定のためのものであると解釈してはならないことを明瞭に理解されたい。加えて、ここに記載したCTシステムは、X線源と検出器との両方がガントリと共に回転する「第3世代」システムである。所与のX線ビームに対して実質的に一様の応答を与えるように個々の検出器素子を補正すれば、検出器がフル・リング型の静止式検出器であり、X線源のみがガントリと共に回転するような「第4世代」システムを含めた他の多くのCTシステムを用いることができる。更に、ここに記載したシステムはアキシャル・スキャンを行っているが、本発明は、360°を越える角度のデータが要求されるがヘリカル・スキャンと共に用いることもできる。従って、本発明の要旨及び範囲は、特許請求の範囲によって限定されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】CTイメージング・システムの見取り図である。
【図2】図1に示すシステムのブロック概略図である。
【図3】例示的なディジタル式X線パネルの上面図である。
【図4】コーン・ビームのサンプリング幾何形状を示す図である。
【図5】傾斜並列ビームのサンプリング幾何形状を示す図である。
【図6】コーン・ビームから傾斜並列ビームへのサンプリング・パターンを示す図である。
【符号一覧】
参照符号 説 明
10 計算機式断層撮影(CT)イメージング・システム
12 ガントリ
14 X線源
16 X線ビーム
18 検出器アレイ
20 検出器素子
22 患者
24 回転中心
26 制御機構
28 X線制御器
30 ガントリ・モータ制御器
32 データ取得システム(DAS)
34 画像再構成器
36 コンピュータ
38 記憶装置
40 コンソール
42 陰極線管表示器
44 テーブル・モータ制御器
46 モータ式テーブル
48 ガントリ開口
100 ディジタル式X線パネル
102 検出器セル
104 検出器セル行

Claims (10)

  1. 複数の検出器セル(102)と、各々のセル行(104)に設けられて、各々のセル行内の各々のセルを起動する信号起動線とを含み、撮影対象の周りを回転するディジタル式フラット・パネル型検出器(100)を用いて、画像を形成する方法であって、
    前記検出器(100)の回転軸(z軸)の方向に発散するX線を前記検出器が受け取る工程と、
    前記回転軸に垂直な検出器パネルの水平軸(t軸)において一定のt値を有する全ての信号が前記回転軸を横断して同時に読み出されるように予め画定されている遅延トリガ系列を用いて前記検出器からデータを取得する工程と、
    該取得されたデータを用いて画像を形成する工程と、を有している前記方法。
  2. 前記遅延トリガ系列は、1組の並列サンプル及び傾斜並列サンプルを結果として与える請求項1に記載の方法。
  3. 前記画像は、傾斜並列ビーム再構成アルゴリズムを用いて形成される請求項1に記載の方法。
  4. 物体f(x,y,z)が、
    であり、ここで、
    であり、Pβ(t,Z)は点(x,y,z)に交差する投影である請求項3に記載の方法。
  5. 複数の検出器セル(102)と、各々のセル行(104)に設けられて、各々のセル行内の各々のセルを起動する信号起動線とを含み、撮影対象の周りを回転するディジタル式フラット・パネル型検出器(100)から収集されるデータを用いて画像を再構成するプロセッサであって、
    前記検出器(100)の回転軸(z軸)の方向に発散するX線を前記検出器が受け取り、前記回転軸に垂直な検出器パネルの水平軸(t軸)において一定のt値を有する全ての信号が前記回転軸を横断して同時に読み出されるように予め画定されている遅延トリガ系列を用いて前記検出器からデータを取得し、該取得されたデータを用いて画像を形成するようにプログラムされていることを特徴とするプロセッサ。
  6. 前記遅延トリガ系列は、1組の並列サンプル及び傾斜並列サンプルを結果として与える請求項5に記載のプロセッサ。
  7. 前記プロセッサは、傾斜並列ビーム再構成アルゴリズムを用いて画像を形成するようにプログラムされている請求項5に記載のプロセッサ。
  8. 物体f(x,y,z)が、
    であり、ここで、
    であり、Pβ(t,Z)は点(x,y,z)に交差する投影である請求項7に記載のプロセッサ。
  9. 複数の検出器セル(102)と、該セルから成る各々の行(104)に設けられており各々の該行内の各々の前記セルを起動する行それぞれの信号起動線とを含んでいるディジタル式フラット・パネル型検出器(100)と、請求項5乃至8のいずれかにに記載のプロセッサと、を有している計算機式断層撮影機械(10)。
  10. 前記回転軸の方向に発散するX線ビームを投射するX線源を有している請求項9に記載の計算機式断層撮影機械(10)。
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