JP4641331B2 - ナノ構造体及びその製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ナノ構造体及びその製造方法に関し、特に電子デバイスや光デバイス、マイクロデバイスなどの機能材料や、構造材料などとして、広い範囲で利用可能なナノ構造体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属及び半導体の薄膜、細線、ドットなどでは、ある特徴的な長さより小さいサイズにおいて、電子の動きが閉じ込められることにより、特異な電気的、光学的、化学的性質を示すことがある。このような観点から、機能性材料として、数100nmより微細な構造を有する材料(ナノ構造体)ヘの関心が高まつている。
【0003】
こうしたナノ構造体の作製方法としては、例えば、フォトリソグラフィーをはじめ、電子線露光、X線露光などの微細パターン形成技術をはじめとする半導体加工技術によつて直接的にナノ構造体を作製する方法が挙げられる。
【0004】
また、このような作製方法のほかに、自然に形成される規則的な構造、すなわち、自己規則的に形成される構造をベースに、新規なナノ構造体を実現しようとする試みがある。これらの手法は、ベースとして用いる微細構造によっては、従来の方法を上まわる微細で特殊な構造を作製できる可能性があるため、多くの研究が行われ始めている。
【0005】
このような自己規則的手法として、ナノサイズの細孔を有するナノ構造体を容易に、制御よく作製することができる陽極酸化が挙げられる。たとえば、アルミニウム及びその合金を酸性浴中で陽極酸化することで作製する陽極酸化アルミナが知られている。
【0006】
Al板を酸性電解質中で陽極酸化すると、多孔質酸化皮膜(陽極酸化アルミナ)が形成される(たとえばR.C.Furneaux,W.R.Rigby&A.P.Davids “NATURE”,Vol.337、Pl47(1989)等参照)。この多孔質酸化皮膜は、柱状のアルミナセルを単位構造として、アルミナセルが集合、配列した特異的な幾何学的構造を有する。各アルミナセルの中心には、直径が数nm〜数百nmの極めて微細な円柱状細孔(ナノホール)を有する。細孔の間隔はアルミナセルの径であるセルサイズに対応し、数nm〜数百nmの間隔の範囲である。この円柱状の細孔は、高いアスペクト比を有し、断面の径の一様性にも優れている。またこの細孔の径及び間隔は、陽極酸化の際の電流、電圧を調整することにより、また酸化皮膜の厚さ、細孔の深さは陽極酸化の時間を制御することで、ある程度の制御が可能である。
【0007】
また、陽極酸化アルミナの細孔の垂直性、直線性及び独立性を改善するために、2段階の陽極酸化を行なう方法、すなわち、陽極酸化を行つて形成した多孔質酸化皮膜を一旦除去した後に再び陽極酸化を行なって、より良い垂直性、直線性、独立性を示す細孔を有する陽極酸化アルミナ(規則化ナノホール)を作製する方法が提案されている(“Jpn.Journal of Applied Phisics”.Vol.35,Part2,No.lB,pp.Ll26〜Ll29,15 January 1996)。ここで、この方法は最初の陽極酸化により形成した陽極酸化皮膜を除去するときにできるアルミニウム板の表面の窪みが、2度目の陽極酸化の細孔開始点となることを用いている。
【0008】
他にも、プレスパターニングを用いて細孔開始点を形成する方法、すなわち、複数の突起を表面に備えた基板をアルミニウム板の表面に押しつけてできる窪みを細孔開始点として形成した後に陽極酸化を行なつて、より良い形状、間隔及びパターンの制御性を示す細孔を有する多孔質酸化皮膜を作製する方法も提案されている(特開平10−121292号公報)。
【0009】
この陽極酸化アルミナの特異的な幾何学構造に着目した、さまざまな応用が試みられている。益田による解説が詳しいが、以下、応用例を列記する。たとえば、陽極酸化膜の耐摩耗性、耐絶縁性を利用した皮膜としての応用や、皮膜を剥離してフィルターヘの応用がある。さらには、ナノホール内に金属や半導体等を充填する技術や、ナノホールのレプリカ技術を用いることより、着色、磁気記録媒体、EL発光素子、エレクトロクロミック素子、光学素子、太陽電池、ガスセンサをはじめとするさまざまな応用が試みられている。さらには、量子細線、MIM素子などの量子効果デバイス、ナノホールを化学反応場として用いる分子センサーなど多方面への応用が期待されている。(益田“固体物理”31,493(1996))
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
先に述べた半導体加工技術による直接的なナノ構造体の作製は、歩留まりの悪さや装置のコストが高いなどの問題があり、簡易な手法で再現性よく作製できる手法が望まれている。このような観点から自己規則的手法、特に陽極酸化の手法は、ナノ構造体を容易に、制御よく作製することができ、また、大面積のナノ構造体を作製することが可能であることから望まれている。特に、陽極酸化アルミナの細孔配列を、2段階陽極酸化やプレスパターニングを用いた手法により作成した陽極酸化アルミナは、細孔が規則的に配列した構造を有し、細孔の垂直性、直線性、配列性に優れており好ましい。
【0011】
さらに、陽極酸化アルミナをデバイスとして利用することを考えると、パターニング形成を行うことが必要になる。その手法としては、リソグラフィー技術によりレジストパターニング及びエッチングを行うことが挙げられるが、ナノメーターサイズのパターン形成及び位置あわせは容易ではない。特に、陽極酸化アルミナはアルミナセルを単位構造とする周期構造を有するため、パターン境界をアルミナセル端面に一致させることが好ましいが、このようにパターンを高度に位置をあわせすることは困難であつた。
【0012】
このような課題は、アルミナセルの有無をアルミナセルごとに制御することで解決できるが、このような技術は知られていなかつた。このような、アルミナセルを単位とした領域形成技術は、単一アルミナセル構造や、アルミナセル数(細孔数)が制御された陽極酸化アルミナの作製を可能にする。基板上に、アルミナセルの有無をアルミナセル単位で領域形成できれば、電子デバイス、光デバイスにおいて、さらに多くの応用展開が期待できる。
【0013】
本発明の目的はこれらの課題を解決することにある。
すなわち、本発明の目的は、陽極酸化アルミナをセルサイズのレベルで高度に領域形成したナノ構造体を開示することであり、基体上にアルミナセルを単位として陽極酸化アルミナを領域形成する技術を開示することである。
【0014】
さらには、領域形成された陽極酸化アルミナををベースとし、新規なナノ構造体、ナノ構造デバイスを開示し、ナノホールを機能材料として多様な方向で使用を可能とすることである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、本発明の以下の構成および製法により解決できる。
すなわち、基体上に領域形成された陽極酸化アルミナを具備するナノ構造体において、陽極酸化アルミナは細孔を有するアルミナセルを単位構造として、該アルミナセルの単一または該アルミナセルの複数が集合した構造からなり、該陽極酸化アルミナは該基体上に領域形成されており、且つ該領域形成された陽極酸化アルミナの領域端面が該陽極酸化アルミナを形成しているアルミナセルの端面と一致していることを特徴とするナノ構造体である。
【0017】
上記のナノ構造体の好ましい実施態様を下記に示す。
該陽極酸化アルミナの存在領域もしくは非存在領域が、該アルミナセルを単位構造とした2次元格子座標で指定できることを特徴とするナノ構造体が好ましい。
該陽極酸化アルミナの存在領域もしくは非存在領域が、該アルミナセルを単位構造とした2次元六方格子座標で指定できることを特徴とするナノ構造体が好ましい。
【0018】
該基体上に単一のアルミナセルからなる領域形成された陽極酸化アルミナを具備することを特徴とするナノ構造体が好ましい。
該基体上に一列に並んだ複数のアルミナセルからなる領域形成された陽極酸化アルミナを具備することを特徴とするナノ構造体が好ましい。
該細孔内に充填物を有することを特徴とするナノ構造体が好ましい。
該アルミナセル底部に該細孔内の充填物と電気的に接続された電極を具備することを特徴とするナノ構造体が好ましい。
【0019】
さらには、前記ナノ構造体の細孔内に充填物を具備し、該充填物が発光機能を有することを特徴とする発光デバイス、該充填物が細孔体と異なる誘電率を有することを特徴とする光学デバイス、該充填物が磁性体であることを特徴とする磁性デバイスである。
【0020】
また、本発明は、基体上に領域形成された陽極酸化アルミナを具備するナノ構造体の製造方法であって、基体上のアルミニウムを主とする部位に少なくとも2種類以上の細孔開始点を形成する第一の工程と、該アルミニウムを主とする部位を陽極酸化して、細孔を有するアルミナセルを単位構造として、該アルミナセルの単一または該アルミナセルの複数が集合した構造からなる陽極酸化アルミナを形成する第二の工程と、該細孔開始点の種類に応じて陽極酸化アルミナの一部を消失せしめることにより、消失により領域形成される陽極酸化アルミナの領域端面が該陽極酸化アルミナを形成しているアルミナセルの端面と一致している陽極酸化アルミナの領域形成を行う第三の工程を有することを特徴とするナノ構造体の製造方法である。
【0021】
その中でも、特に、該細孔開始点は周囲に比べて凹み形状を有し、該細孔開始点を形成する第一の工程は、該凹み形状の異なる少なくとも2種類以上の細孔開始点を形成する工程であることを特徴とするナノ構造体の製造方法である。
【0022】
該細孔開始点を形成する第一の工程は、該凹み形状の深さの異なる少なくとも2種類以上の細孔開始点を形成する工程であることを特徴とするナノ構造体の製造方法である。
【0023】
また、本発明は、基体上に領域形成された陽極酸化アルミナを具備するナノ構造体の製造方法であって、基体上のアルミニウムを主とする部位に少なくとも2種類以上の細孔開始点配列の異なる領域を形成する第一の工程と、該アルミニウムを主とする部位を陽極酸化して、細孔を有するアルミナセルを単位構造として、該アルミナセルの単一または該アルミナセルの複数が集合した構造からなる陽極酸化アルミナを形成する第二の工程と、該細孔開始点配列の異なる領域に応じて陽極酸化アルミナの一部を消失せしめることにより、消失により領域形成される陽極酸化アルミナの領域端面が該陽極酸化アルミナを形成しているアルミナセルの端面と一致している陽極酸化アルミナの領域形成を行う第三の工程を有することを特徴とするナノ構造体の製造方法である。
【0024】
その中でも該第一の工程は、少なくとも2種類以上の細孔開始点間隔の異なる領域を形成する工程であり、該第三の工程は、該細孔開始点間隔の異なる領域に応じて陽極酸化アルミナの一部を消失せしめる工程であることを特徴とするナノ構造体の製造方法である。
【0025】
さらに前記ナノ構造体の製造方法において該細孔開始点は、集東イオンビームを照射により作製されるすことを特徴とするナノ構造体の製造方法である。
さらに、前記製造方法により作成されたことを特徴とするナノ構造体である。
【0026】
本発明により、基体上にアルミナセルを単位として、アルミナセルの有無を領域形成した陽極酸化アルミナを具備するナノ構造体を提供することができる。
特に、図11(a)のように領域の端面63をアルミナセル端面に一致した構造を提供できる。特に、厚い陽極酸化アルミナに対しても、端面63の垂直性に優れたパターンを作製することができる。
【0027】
さらには、アルミナセルの有無領域を、アルミナセルを単位構造とした2次元格子座標で指定可能な構造とすることができる。
さらには、基体上に、図1(a)のような単一アルミナセルや図l(b)のような一列に並んだアルミナセルの様な構造とすることができる。
【0028】
このように、基体上に高度に領域形成された陽極酸化アルミナは、量子細線、MIM素子、分子センサー、着色、磁気記録媒体、EL発光素子、エレクトロクロミック素子、フォトニック結晶素子、電子放出素子、太陽電池、ガスセンサ、耐摩耗性、耐絶縁性皮膜、フィルターをはじめとするさまざまな形態で応用することを可能とするものであり、その応用範囲を著しく広げる作用を有する。
【0029】
特に、光の波長程度の長さで誘電率の異なる周期構造を有する材料は、フォトニック結晶となり、高度な光の制御を可能な材料となる可能性がある。もつとも効果的には、ある波長範囲で光の存在が禁止されるフォトニックバンドギャップが現われる。基体上に高度に領域形成された陽極酸化アルミナは、陽極酸化の周期的構造を利用し、フォトニック結晶としての利用が挙げられる。本発明の領域形成する技術は、フォトニック結晶の構造、フォトニックバンド構造の制御を可能とし、さらには、導波路形成や欠陥形成が可能となる。特に、フォトニック結晶において、欠陥が導入された場合には、光の局在状態を得ることができるため、アルミナセルのパターン形成により、光局在状態を得ることが知られる。これらの特徴を利用して光記録媒体などへの応用が考えられる。また、フォトニック結晶中に発光体が存在し励起状態から自然放出による発光の波長がフォトニックバンド内に相当すると、自然放出ができなくなり励起状態の寿命を長くできることから、本発明の陽極酸化アルミナの細孔内に発光体を充填することで、低閾値の発光素子、発光スペクトル幅の狭い発光素子、低閾値レーザーなどの実現が期待できる。
【0030】
他にも、陽極酸化アルミナの細孔内に、磁性材料を充填した場合には、磁性ナノ細線がえり得られる。アルミナセル単位でパターニングされた陽極酸化アルミナに磁性材料を充填すること、磁場センサ、磁気抵抗素子、磁気記録媒体などの磁性デバイスとしての応用が期待できる。
【0031】
本発明のナノ構造体の製造方法は、高度にナノ構造を制御して作製できるという作用を有する。
本発明のナノ構造体は、被加工物の所望の位置に細孔開始点を形成した後に、被加工物を陽極酸化することで作成するが、この細孔開始点を形成する際に、それぞれの細孔開始点の配列、形状もしくは組成を制御することにより、陽極酸化後の処理により、それぞれの細孔開始点に対応したアルミナセルの有無を、アルミナセル毎に独立に制御することができる。この手法により、基体上の所望の位置にのみ、アルミナセル及び細孔が配列形成した陽極酸化アルミナを実現することができる。
【0032】
さらに、本発明におけるアルミナセルを単位とした領域形成は、リソグラフィー技術によるレジスト塗布、パターン形成などを必要とせずに領域形成可能である。特に、陽極酸化前の細孔開始点形成の段階で直描でアルミナセルの有無をパターニング潜像をするため、リソグラフィーの際に必要なアルミナセルとパタ−ンの位置あわせが必要ない。
【0033】
さらには、リソグラフィー技術を用いると、パタ−ン領域は図11(b)のようになり、アルミナセルの境界とパターン境界を一致させることは難しいが、この手法で領域形成は、アルミナセルを単位としてパターニングするため、図11(a)のようにパターン境界をアルミナセル端面に一致した構造を容易に作製できる。特に、厚い陽極酸化アルミナに対しても、端面の垂直性に優れたパターンを作製することができる。さらには、開始点の位置を2次元格子状にすることで、アルミナセルの有無領域を、アルミナセルを単位構造とした2次元格子座標で指定可能な構造とすることができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のナノ構造体は、基体上に領域形成された陽極酸化アルミナを具備するナノ構造体において、該陽極酸化アルミナは、細孔を有するアルミナセルを単位構造とした構造を有し、該アルミナセルを単位として該基体上に領域形成されていることを特徴とする。
【0035】
また、本発明のナノ構造体の製造方法は、基体上に領域形成された陽極酸化アルミナを具備するナノ構造体の製造方法に関し、該ナノ構造体の製造方法は、基体上のアルミニウムを主とする部位に細孔開始点を形成する第一の工程と、該アルミニウムを主とする部位を陽極酸化し、陽極酸化アルミナを形成する第二の工程と、該陽極酸化アルミナの一部を消失せしめることで領域形成を行う第三の工程を有し、さらに、該第一の工程は、少なくとも2種類以上の細孔開始点を形成する工程であり、該第三の工程は、該細孔開始点の種類に応じて陽極酸化アルミナの一部を消失せしめる工程であることを特徴とする。
【0036】
また、本発明のナノ他の構造体の製造方法は、基体上に領域形成された陽極酸化アルミナを具備するナノ構造体の製造方法に関し、該ナノ構造体の製造方法は、基体上のアルミニウムを主とする部位に細孔開始点を形成する第一の工程と、該アルミニウムを主とする部位を陽極酸化し、陽極酸化アルミナを形成する第二の工程と、該陽極酸化アルミナの一部を消失せしめることで領域形成を行う第三の工程を有し、さらに、該第一の工程は、少なくとも2種類以上の細孔開始点配列の異なる領域を形成する工程であり、該第三の工程は、該細孔開始点配列の異なる領域に応じて陽極酸化アルミナの一部を消失せしめる工程であることを特徴とする。
【0037】
<ナノ構造体の構成>
図1および図2に本発明のナノ構造体の構成の一例を示す。図1において9は陽極酸化アルミナ、5はアルミナセル、3は細孔(ナノホール)、8は基体である。
【0038】
本発明のナノ構造体は、基体8上のアルミニウムもしくはアルミニウム合金を陽極酸化することで作成される陽極酸化アルミナ9を有し、さらに陽極酸化アルミナの有無が、アルミナセル5を単位構造として領域形成されていることを特徴とする。
【0039】
陽極酸化アルミナ9は、図2(d)に示すように、柱状のアルミナセルを単位構造として、アルミナセル5が集合、配列した構造を有する。各アルミナセルの中心には柱状の細孔3(ナノホール)を有し、それぞれの細孔3は互いにほぼ平行かつ等間隔に配置することができる。細孔の間隔はアルミナセルのセルサイズ2Rに対応し、数nm〜500nmの間隔であり、細孔3の直径2rは数nm〜500nmである(図4(b)参照)。また陽極酸化アルミナの厚さは、すなわちアルミナセルの高さであり、細孔3の深さ(長さ)は、陽極酸化時間、Alの厚さ等で制御することができ、たとえば10nm〜100μmの間である。図において、アルミナセルは六角柱、細孔は円柱に描かれているが、アルミナセルの配列、細孔開始点の配列によっては、これに限られるものでなく、楕円柱、角柱など任意の柱状形状をとることができる。この柱状の細孔は、高いアスペクト比を有し、断面の径の一様性にも優れている。
【0040】
本発明は、領域形成としては、たとえば図2(d)に示すように、アルミナセルを単位とした領域形成が挙げられる。他にも、たとえば図1(a)や図2(c)のような孤立したアルミナセルや、図l(b)のようにアルミナセルが一列に並んだ構造などが構成できる。また、作製条件によつては、陽極酸化アルミナ領域の端面63を、図11(a)に示すようにアルミナセル端面に一致させることができる。
【0041】
また、アルミナセル5及び細孔3の配列は、図4のように、アルミナセルを2次元格子状の配列形成することができる。図4(a)は正方格子配列、図4(b)は六方格子配列であるが、他にも、任意の格子配列が挙げられる。さらに、このような配列において、アルミナセルを単位構造として陽極酸化アルミナを領域形成を行うことで、図4の矢印を単位ベクトルとする2次元格子座標の指定でアルミナセルの有無を指定できるように、領域形成することができる。たとえば、図11(a)は、陽極酸化アルミナの存在領域及び非存在領域が、アルミナセルを単位構造とした2次元六方格子座標で指定できる例である。
【0042】
さらに、このようなナノ構造体の細孔内に、金属、半導体等の機能材料を埋め込むことも可能である。
【0043】
<ナノ構造体の製造方法>
本発明のナノ構造体の製造方法は、基体上のアルミニウムを主とする部位に細孔開始点を形成する第一の工程と、該アルミニウムを主とする部位を陽極酸化し、細孔開始点に細孔が形成された陽極酸化アルミナを形成する第二の工程と、該陽極酸化アルミナの一部を消失せしめることで領域形成を行う第三の工程を有する。
【0044】
特に、第一の工程において、2種類以上の細孔開始点を形成することで、第三の工程で、細孔開始点の種類に応じて陽極酸化アルミナの一部を消失せしめることができる。
【0045】
他にも、第一の工程において、2種類以上の細孔開始点配列の異なる領域を形成することで、第三の工程で、細孔開始点配列の種類に応じて陽極酸化アルミナの一部を消失せしめることができる。
【0046】
以下、図3を用いて、本発明のナノ構造体の作製方法について説明する。図3の(a)〜(e)順に追って説明する。以下の工程(a)〜(e)は、図3の(a)〜(e)に対応する。
【0047】
(a)被加工物準備
被加工物7を準備する。本発明の被加工物はアルミニウムを主とする部位を有する。
【0048】
本発明の被加工物の第一の形態の例としては、アルミ板やアルミ線などの、Alを主成分とするバルクが挙げられる。他にも、図3(a)に示すように、基体13上にAlを主成分とする膜12を形成したものも挙げられる。このとき基体としては、石英ガラスをはじめとする絶縁体基板やシリコンやガリウム砥素をはじめとする半導体基板などの基板や、これらの基板の上に1層以上の膜を形成したものが挙げられる。例えば基体として基板上にTiやNb、Cuなどの導電性膜を形成したものを用いれば、細孔の深さの均一性を上げることも可能になる。またAlを主成分をする膜の成膜方法は、抵抗加熱蒸着、EB蒸着、スパッタ、CVD、メッキをはじめとする任意の成膜方法が適用可能である。
【0049】
(b)細孔開始点の形成工程
この工程により、被加工物のAlを主成分とする部位の所望の位置に細孔開始点2を形成する。
【0050】
細孔開始点は、周囲に比べて、形状、組成、結晶性などの物理もしくは化学的性質が異なる。細孔開始点の形成方法としては、集束イオンビーム(FIB)を照射する手法、AFM(原子間力顕微鏡)を始めとするSPM(走査プローブ顕微鏡)を用いて行う手法、特開平10−121292号公報で開示されたプレスパターニングを用いて凹みを作成する手法、レジストパターン作成後エッチングにより凹みを作る手法などを用いることが挙げられる。
【0051】
さらに、本発明においては、本工程において、細孔開始点の配列、形状もしくは組成などを制御して形成する。この細孔開始点の制御により、アルミナセル及び細孔の配列、間隔、位置等の制御、さらには領域形成の制御が可能となる。
【0052】
本発明は領域形成のために、具体的には、2種類以上の細孔開始点、もしくは細孔開始点配列の異なる領域を形成する。最終的には、これらの細孔開始点の種類や配列に対応して、アルミナセルを単位構造として、陽極酸化アルミナセルを領域形成することが可能となる。
【0053】
たとえば図7(a)に示すように、2種類の細孔開始点を形成することで、図7(a’)のようなアルミナセルの領域形成が可能である。他にも図8〜10(b),(c),(d)のような開始点の配置により、それぞれ図8〜10(b’),(c’),(d’)のようなアルミナセル領域形成が可能である。
【0054】
また、この細孔開始点の位置、配列を制御することで、アルミナセル5及び細孔3の配列を制御することができる。たとえば、図4のように、アルミナセルを2次元格子状に配列形成することが挙げられる。図4(a)は正方格子配列、図4(b)は六方格子配列であるが、他にも、任意の格子配列が挙げられる。この場合には、細孔開始点を同様に2次元格子状に形成する。このように規則的な開始点配置とそれに適応した陽極酸化条件を適用することにより、規則的なアルミナセルの2次元配列を実現できる。このような場合は、アルミナセルの有無のパターニングもこの開始点配列に従うため、アルミナセルのパターンニングを2次元配列の座標で指定することができる。すなわち、このようにして作製したナノ構造体は、陽極酸化アルミナの存在領域及び非存在領域が、アルミナセルを単位構造とした2次元格子座標で指定できる。
【0055】
特に、陽極酸化時の自己組織化によりアルミナセル及び細孔の配列は六方格子状に配列する傾向があるので、あらかじめ細孔開始点を六方格子状に形成することが好ましい。この際、陽極酸化の電圧と細孔の間隔には相関を有するため、細孔開始点もこの間隔を考慮して設定しておくことが好ましい。
【0056】
このようにして作製した場合には、図11(a)に示すように、陽極酸化アルミナの存在領域及び非存在領域が、アルミナセルを単位構造とした2次元六方格子座標で指定できる。陽極酸化アルミナの存在領域の端面63は、図11(a)に示すようにアルミナセル端面に一致する場合や、他にも端面がアルミナセル中心に一致する場合などがある。
【0057】
上述、2種類以上の異なる細孔開始点を作製するためには、集束イオンビームを用いる手法においては、集束イオンビームの照射量、ビーム径、イオン照射エネルギーなどの集束イオンビームの照射条件を制御することで、細孔開始点の凹み形状や組成を制御することができる。プレスパターニングを用いる手法においては、あらかじめプレスパターニングの形状を所望のものとすることで、細孔開始点の凹み形状の深さ、面積を制御することができる。SPMを用いる手法においては、短針をアルミに押し付ける力を制御することや短針の形状を変えることなどにより細孔開始点の凹み形状、たとえば深さや大きさを、制御することができる。他にも、短針に電圧を印加することでアルミ表面を局所的に酸化させる手法を適用することもでき、この場合には電圧、時間などで細孔開始点の形状、組成を制御できる。
【0058】
これらの中でも、集束イオンビーム照射を用いる手法は、レジスト塗布、電子ビーム露光、レジスト除去といったような手間のかかる工程は不必要であり、短時間で細孔開始点を形成することが可能であることや、被加工物に圧力をかける必要がないので、機械的強度が強くない被加工物に対しても適用可能であるなどの観点から特に好ましい。
【0059】
以下に集束イオンビームを用いた細孔開始点の形成についてさらに説明する。
集束イオンビームのイオン種としては、液体金属イオン源である、Ga、Si、Ge、Cs、Nb、Cuなどや、電界電離ガスイオン源であるO、N、H、He、Arなどが挙げられるが、陽極酸化による細孔形成に不都合がなければ、集束イオンビームのイオン種は特に制限されるものではない。集束イオンビームのビーム径は5〜100Onm程度の範囲のものが挙げられる。
【0060】
集束イオンビームを用いた細孔開始点形成には、図5(a)のように加工物にドット状に集束イオンビームを照射する方法が挙げられる。この方法では、あるドット位置31に集束イオンビームを滞在させた後に、次のドット位置31に移動して集束イオンビームを滞在させることを繰り返し行なう。他にも、図5(b)のように被加工物に集束イオンビームを方向の異なる平行なライン位置32に照射する方法が挙げられる。この方法においては、ラインの交点33においてはその周囲に比べて集束イオンビームが多く照射されるので、ラインの交点33に細孔開始点を形成できる。
【0061】
ここで集束イオンビーム照射の多い位置が細孔開始点になる理由であるが、イオン注入及びまたはイオンエッチングによって周囲と異なる状態が被加工部表面に形成され、それが陽極酸化の際の特異点となり陽極酸化が進行すると推定される。また、先に述べたように、細孔開始点の形状や組成は、イオン照射量、イオン照射エネルギー、ビーム径などを制御することで制御可能である。
【0062】
(c)細孔形成工程
図3(c)に示すように、上記被加工物を陽極酸化処理を行うことで、アルミを主成分とする部位を陽極酸化アルミナヘ変換する。
【0063】
本工程に用いる陽極酸化装置の概略を図6に示す。
図6中、7は被加工物、41は恒温槽、42はPt板のカソード、43は電解液、44は反応容器、45は陽極酸化電圧を印加する電源、46は陽極酸化電流を測定する電流計である。図では省略してあるが、このほか電圧、電流を自動制御、測定するコンピュータなどが組み込まれている。
【0064】
被加工物7およびカソード42は、恒温水槽により温度を一定に保たれた電解液中に配置され、電源より被加工物、カソード間に電圧を印加することで陽極酸化が行われる。
【0065】
陽極酸化に用いる電解液は、たとえば、シュウ酸、りん酸、硫酸、クロム酸溶液などが挙げられるが、陽極酸化による細孔形成に不都合がなければ特に限定されるものではない。また各電解液に応じた陽極酸化電圧、温度などの諸条件は、作製するナノ構造体に応じて、適宜設定することができる。
【0066】
先に述べたように、陽極酸化の電圧と細孔の間隔は相関を有するため、細孔開始点の配列に応じて、適当な陽極酸化条件を用いることで、工程(b)で形成した細孔開始点2を反映した位置に、細孔3が形成することができる。
【0067】
引き続き、陽極酸化アルミナの細孔径制御は、陽極酸化後に酸溶液に浸すポアワイド処理の条件で行うことができる。ナノ構造体を酸溶液(たとえばリン酸溶液)中に浸すポアワイド処理により、適宜、細孔径を広げることができる。酸濃度、処理時間、温度などにより所望の径の細孔を有するナノ構造体とすることができる。
【0068】
(d)領域形成工程
さらに(c)工程で作製したナノ構造体を適当な溶液、たとえばリン酸などの酸溶液中に浸す処理により、図3(d)のように、先の細孔開始点の配列及び種類に対応してアルミナセルを選択的にエッチングすることができる。たとえば、細孔開始点の凹形状が深い部位のアルミナセルは消失し、浅い部位ではアルミナセルが残存、領域形成される。
【0069】
このように、工程(b)で行つた細孔開始点の形状や組成の制御によって、細孔、アルミナセルの有無をセルサイズのレベルで領域形成したナノ構造体を作製できる。たとえば図7(a)に示すように、2種類の細孔開始点を形成することで、図7(a’)のようなアルミナセルの領域形成が可能である。他にも図8〜10(b),(c),(d)のような開始点の配置により、それぞれ図8〜10(b’),(c’),(d’)のようなアルミナセル領域形成が可能である。
【0070】
細孔開始点の形状や組成に応じて、エッチングレートが異なる理由については定かでないが、細孔形成過程における各細孔底部の位置や反応速度が関与し、アルミナセルの形状や組成に寄与していると思われる。
【0071】
引き続き工程(e)として、さらに電着、CVD、真空溶融導入などの手法で細孔内に機能性材料を充填することができる。
また、陽極酸化アルミナの下地材料に適当な材料を選ぶことで下地と充填物の間で、さまざまな電気的な接続が可能である。
【0072】
たとえば、アルミを途中まで陽極酸化した場合には、図12(a)に示すように細孔底部と下地アルミとの間に絶縁性のバリア層を有するために、この絶縁層を介した電気的接続がなされる。
【0073】
他にも下地として、TiやNbを用い、アルミ膜を全膜厚にわたり陽極酸化した場合には、図12(b)に示すように細孔底部バリア層内に導電性パスを有し、この導電性パスを介した電気的接続がなされる。
【0074】
他にも下地として、Cu、Pt、n−Siなどを用いた場合には、図12(c)に示すように細孔底部が貫通するため、直接的な電気的接続がなされる。
【0075】
【実施例】
以下に実施例をあげて、本発明を説明する。
図3の(a)〜(d)を用いて、以下の工程(a)〜(d)を説明する。図3の(a)〜(d)はそれぞれ工程(a)〜(d)に対応する。図3は、本発明のナノ構造体の製造方法を示す断面図である。
【0076】
実施例1
本実施例においては、集束イオンビーム(FIB)による細孔開始点形成手法を用いて、アルミナセルが六方格子状に配列したナノ構造体を作製した例である。
【0077】
(a)被加工物準備
図3(a)に示すように、Si基板に厚さ100nmのNb膜を電子線蒸着法で成膜した基体13上に、さらに500nmのAl膜12をスパッタ法で成膜したものを被加工物7として準備した。
【0078】
(b)細孔開始点の形成工程
図3(b)に示すように、被加工物のアルミ表面に集束イオンビームをドット状に照射し、細孔開始点を形成した。細孔開始点は、図7(a)に示すように、間隔100nmの六方格子配列とし、FIB照射条件の異なる2種類の細孔開始点の形成を行なつた。ここで集束イオンビーム加工のイオン種はGa,加速電圧は30kV、イオンビーム径は30nm、イオン電流は3pAとした。このとき、細孔開始点の種類は、集束イオンビームの照射時間で制御した。第一の細孔開始点、第二の細孔開始点の形成には、それぞれFIB照射時間を10msec、100msecとした。
【0079】
(c)細孔の形成工程
図6の陽極酸化装置を用い、被加工物に陽極酸化処理を施し、陽極酸化アルミナを形成した。酸電解液は0.3mol/lシュウ酸水溶液を用い、恒温水槽により溶液を3℃に保持し、陽極酸化電圧は40Vとした。陽極酸化電流をモニタし、陽極酸化電流の減少により、アルミが全膜厚にわたりアルミナに置換されたことを確認した。
【0080】
(d)領域形成工程
次に、細孔開始点の種類に対応し、陽極酸化アルミナを部分的に溶出させることで、図3(c)に示すように、領域形成した。すなわち、5wt%リン酸溶液中に70min間浸すことにより、第二の開始点を形成した領域のアルミナセルをエッチングした。この処理は、ポアワイド処理を兼ねており、第一の開始点に対応した陽極酸化アルミナの領域の細孔径が大きくなる。
【0081】
評価(構造観察)
FE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)にて観察したところ、第二の開始点に対応したアルミナセルは消失し、第一の開始点に対応したアルミナセルのみが残存していた。すなわち図7(a’)のように、細孔開始点の種類を反映し、六方配列で規則的に配列した陽極酸化アルミナが所望のパターンに領域形成されていた。細孔間隔は100nm、細孔径約60nm、高さは500nmであつた。
【0082】
また、第一の開始点に対応して残存した陽極酸化アルミナの端面は、アルミナセルの端面とほぽ一致していた。
陽極酸化前の状態で、細孔開始点をAFMで観察したところ、アルミ膜表面に、凹形状の細孔開始点が配列形成されていた。集束イオンビームの照射時間により、第一の領域の開始点に比ベて、第二の領域の開始点は凹形状の深さが深かつた。
【0083】
これにより、細孔開始点を集束イオンビーム量を制御して、すなわち細孔開始点の形状を制御することによりアルミナセルの有無を制御し、陽極酸化アルミナをアルミナセルを単位として領域形成できることが分かる。
【0084】
実施例2
本実施例は、プレスパターニングの手法を用いて六方配列の陽極酸化アルミナを作製した例である。
まず、以下のようにして、2種類の突起が交互に周期的に六方格子上に配列したプレスパターン用基板を作成した。
【0085】
電子ビーム露光装置を用い、シリコン基板上に六方格子状に0.2μmの周期で約20nm径と約40nm径の開口を有するレジストパターンを形成した。約20nm径の開口と約40nmの開口とは、図9(c)の第一及び第二の細孔開始点の配列と同様に配列している。この上に、蒸着装置を用いてクロムを蒸着し、レジスト上のクロムをレジストと共に除去することにより、約20nm径と約40nm径、高さ40nmの2種類のクロムの突起を形成した。さらに、このクロムをマスクとして、CF4 ガスを用いた反応性ドライエッチング法によりシリコン基板をエッチングし、さらに酸素プラズマでクロムを除去して、径がそれぞれ約25nmと約40nmで高さ60nmの2種類の突起が、0.2μm周期で規則的に配列したプレスパターン用基板を作製した。
【0086】
(a)被加工物準備
被加工物として純度99.99%、厚さ2mmのアルミニウム板を過塩素酸とエタノールの混合溶液中での電界研磨を行なったものを準備した。
【0087】
(b)細孔開始点の形成工程
上述の突起を形成したプレスパターン用基板を、工程(a)を経たアルミニウム板上に置き、油圧プレス機を用いて3×108Pa(3トン/cm2 )の圧力を加えることにより、アルミニウム板表面に細孔開始点を形成した。細孔開始点のパターンは、プレスパターン基板の形状を反映し、図9(c)に示すように、200nmの六方格子状に2種類の細孔開始点が配列形成したものとなる。
【0088】
(c)細孔の形成工程
実施例1と同様に陽極酸化をおこなった。但し陽極酸化電圧は80Vとした。
(d)領域形成工程
5wt%リン酸溶液中に140min間、陽極酸化アルミナを部分的に溶出させ、領域形成した。
【0089】
評価(構造観察)
FE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)にて観察したところ、図9(c’)に示すように、第二の開始点に対応したアルミナセルは消失し、第一の開始点に対応したアルミナセルは細孔開始点を反映して形成されていた。すなわち、アルミナセルの列が、等間隔に並んだ構造をしていた。また、細孔の細孔径は約140nmであつた。
【0090】
陽極酸化前の状態で、細孔開始点をAFM(原子間力顕微鏡)で観察したところ、アルミ膜表面に、凹形状の細孔開始点が配列形成されていた。第一の領域の開始点に比べて、第二の領域の開始点は凹形状の大きさが大きかつた。
【0091】
これにより、細孔開始点の形状を制御することによりアルミナセルの有無を制御し、陽極酸化アルミナをアルミナセルを単位として領域形成することができた。
このような、細孔体が等間隔に配列した構造は、周期構造を光の波長と同程度にすることで、光学的性質を制御することができる。すなわち、フォトニック結晶としての応用が期待できる。
【0092】
実施例3
本実施例は、細線の先端に孤立した単一アルミナセルの陽極酸化アルミナを作製した例である
(a)被加工物準備
被加工物として純度99.99%、太さ25μm径のAl細線の表面を過塩素酸とエタノールの混合溶液中での電界研磨により鏡面加工を行なつたものを準備した。
【0093】
(b)細孔開始点の形成工程
集束イオンビーム加工装置を用い、Al細線端部断面にドット状に集束イオンビーム照射を行ない、細孔開始点を形成した。細孔開始点の配列は、間隔300nmの六方格子配列とし、特異細孔開始点として第一の細孔開始点と、その周囲を含めその他すべての第二の細孔開始点を配した。
【0094】
ここで集束イオンビーム加工のイオン種はGa,加速電圧を25kV、滞在時間は30msec、イオンビーム径は100nmとし、第一の細孔開始点、第二の細孔開始点の形成には、それぞれの第一の照射条件としてイオン電流は50pA、及び第二の照射条件としてイオン電流は200pAを用いた。
【0095】
(c)細孔の形成工程
図6の陽極酸化装置を用い被加工物に陽極酸化処理を施し、図2(c)に示すように細孔体を形成した。酸電解液は0.3mol/lリン水溶液を用い、恒温水槽により溶液を3℃に保持し、陽極酸化電圧は120Vとし、5minとした。
【0096】
(d)領域形成工程
5wt%リン酸溶液中に250min間、陽極酸化アルミナを部分的に溶出させ、領域形成した。
【0097】
評価(構造観察)
FE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)にて細線の先端を観察したところ、第一の細孔開始点に対応したアルミナセルのみが残存し、他のアルミナセルは消失した。すなわち図1(a)のように、アルミ細線先端に単一アルミナセルが孤立して存在した。アルミナセルの外径は約300nm、細孔径は約150nm、高さは800nmであつた。
【0098】
これにより、細孔開始点の形成条件であるイオンビームの電流値加の制御によって、基板上に孤立したアルミナセルをパターニング形成できた。
このような単一アルミナセルは、細孔内に金属や誘電体を充填することで、STMやSN0Mのプローブとして利用することができる。
【0099】
実施例4
本実施例においては、FIBによる細孔開始点形成手法を用いて正方格子配列した陽極酸化アルミナを作成した例である。
【0100】
(a)被加工物準備
被加工物として石英基板上に厚さ500nmのAl膜を抵抗加熱法にて成膜したものを準備した。
【0101】
(b)細孔開始点の形成工程
Al膜に、集束イオンビームをスキャンし、75nm間隔で平行なライン状の照射パターンを形成した。さらに、この横ラインパターン形成に続いて、90度異なる方向に、100nm間隔でライン状に照射することで、縦ラインパターンを形成した。正方格子に配列した2つの縦横ラインの交点を細孔開始点として用いた。
【0102】
ここで集束イオンビームのイオン種はGa,加速電圧は25kV、イオンビーム径30nm、イオン電流4pAとした。また縦ラインパターン形成時には、10行ごとに同一ラインの重ねスキャン回数を制御した。すなわち、10行ごとに、1回スキャンの行と、10回重ねスキャンの行を繰り返し形成した。
【0103】
(c)細孔の形成工程
実施例1と同様に陽極酸化、ポアワイド処理をおこなった。ただし、酸電解液は0.3mol/l硫酸水溶液を用い、恒温水槽により溶液を3℃に保持し、陽極酸化電圧は25Vとした。
【0104】
(d)領域形成工程
5wt%リン酸溶液中に40min間、陽極酸化アルミナを部分的に溶出させ、領域形成した。
【0105】
評価(構造観察)
FE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)にて細線の先端を観察したところ、スキャン回数の少ない縦ラインに対応するアルミナセルのみが残存した。
これにより、正方配列に配列した陽極酸化アルミナをアルミナセルを単位として領域形成することができた。
【0106】
実施例5
本実施例は、細孔開始点間隔の異なる領域により、陽極酸化アルミナの領域形成を行つた例である。
【0107】
(a)被加工物準備
実施例1に準じた。
【0108】
(b)細孔開始点の形成工程
図5(b)に示すように、被加工物のアルミ表面にドット状に集束イオンビームを照射し、細孔開始点を形成した。細孔開始点の配列は、図7(a)に示すように間隔100nmの六方格子配列とし、被加工物に集束イオンビームをドット状に照射することにより細孔開始点の形成を行なった。また、集束イオンビームの照射パターンの異なる2領域を形成した。第一の領域は開始点間隔を100nm、第二の領域は開始点間隔を80nmとした。ここで集束イオンビーム加工のイオン種はGa,加速電圧は30kV、イオンビーム径は30nm、イオン電流は3pA、滞在時間を100msecとした。
【0109】
(c)細孔の形成工程
図6の陽極酸化装置を用い被加工物に陽極酸化処理を施し、陽極酸化アルミナを形成した。酸電解液は0.3mol/lシュウ酸水溶液を用い、恒温水槽により溶液を3℃に保持し、陽極酸化電圧は40Vとした。陽極酸化電流をモニタし、陽極酸化電流の減少により、アルミが全膜厚にわたりアルミナに置換されたこと確認した。
【0110】
(d)領域形成工程
次に、陽極酸化アルミナを部分的に溶出させることで、領域形成した。5wt%リン酸溶液中に70min間浸すことにより、第二の領域のアルミナセルをエッチングした。この処理は、ポアワイド処理を兼ねており、第一の開始点に対応した陽極酸化アルミナの領域の細孔径が大きくなる。
【0111】
評価(構造観察)
FE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)にて観察したところ、第二の領域に対応したアルミナセルは消失し、第一の領域のアルミナセルのみが残存した。すなわち、細孔開始点のパターンを反映し、六方配列で規則的に配列した陽極酸化アルミナを領域形成することができた。細孔間隔は100nm、細孔径約60nm、高さは500nmであつた。
【0112】
また、第一の領域に対応して残存した陽極酸化アルミナの端面は、アルミナセルの中央付近と一致していた。
これにより、細孔開始点パターン(配列)を制御して、すなわち細孔開始点の形状を制御することによりアルミナセルの有無を制御し、陽極酸化アルミナをアルミナセルを単位として領域形成できる事が分かる。
【0113】
実施例6
本実施例は、細孔内に磁性体を充填したナノ構造体を作製した例である。
実施例1の(a)〜(d)工程と同様にして領域形成された陽極酸化アルミナを準備した。但し、実施例1で記した細孔開始点の照射量の制御により、陽極酸化アルミナは、細孔の数が10000個になるような領域とした。
【0114】
(e)細孔内への金属充填工程
次にNi金属電着を行うことにより、細孔内に充填材6を充填した(図3(e)参照)。Ni充填は、0.14mol/lNiSO4 、0.5mol/lH3 BO3 からなる電解液中で、Niの対向電極と共に浸して電着することでナノホール内にNiを析出させた。
【0115】
評価
FE−SEMにて観察したところ、領域内すべての細孔はNiで充填されており、太さ50nmのNiからなる磁性ナノ細線が形成されていた。さらに、陽極酸化アルミナは所望のパターン、すなわち所望のアルミナセル数で領域形成されていた。
また、各ホール内の電着物は上部にまで達し、互いに接続していた。
【0116】
また、本実施例においては、細孔体底部に電極(導電性膜)を有し、電極と充填物が電気的に接続されている。そこで、ホール上まであふれて互いに接続した電着物と、下地導電性膜を電極として、液体ヘリウム温度において、磁気抵抗を測定したところ、磁場の強さと方向に対して、磁気抵抗の変化が見られた。
【0117】
本実施例の手法により、アルミナセルさらには磁性細線の数や配列を厳密に制御できたため、所望の感度、抵抗値を有する磁気抵抗素子として用いることができる。
【0118】
実施例7
本実施例は、細孔内に誘電体としてPMMAを充填してナノ構造体を作製した例である。
【0119】
本実施例においては、実施例1と同様な作製方法により、100μm周期で陽極酸化アルミナが領域形成されたナノ構造体を作製した。細孔配列は、300nm間隔の六方配列であり、陽極酸化アルミナの厚さは4μmとした。陽極酸化の条件は、電解質は0.3mol/lのリン酸溶液とし、電圧は120Vに設定した。
【0120】
引き続き、陽極酸化アルミナの細孔内及び領域形成された陽極酸化アルミナの間隙にメタクリル酸モノマーを導入し、60℃で焼成、重合することで、細孔内にPMMAを充填した。
【0121】
試料を断面方向に厚さ約50μm程度まで薄片化し、透過スペクトルを測定したところ、陽極酸化アルミナが消失した部分では可視域で十分な透過率を有する一方で、陽極酸化アルミナが領域形成されている部分では500〜600nmの波長付近に透過率の減少が見られ、フォトニック結晶としての性質を示していることがわかつた。
これにより、本発明が導波路や光記録媒体を始めとする光デバイスに利用可能なことが分かる。
【0122】
実施例8
本実施例においては、ナノホール内に発光体の充填を行つた例である。
本実施例のナノ構造体は、実施例1と同様な手法で作製した。
【0123】
細孔配列は、250nm間隔の六方配列であり、10μm□に領域形成を行つた。
また、下地導電性膜にはCuを用いた。陽極酸化の条件としては、電解質は0.3mol/lのリン酸溶液とし、電圧は100Vに設定した。
【0124】
細孔形成工程を終えた試料を、60℃に保持した硝酸亜鉛0.1mol/lの水溶液中で、白金の対向電極と共に浸してAg/AgCl標準電極に対して−0.8Vの電圧を印加することでナノホール内にZnOを堆積させた。
【0125】
そしてFE−SEMでこの試料の表面を観察したところ、陽極酸化アルミナナノホールは規則的に配列しており、陽極酸化アルミナナノホール内にはZnOが堆積していることが分つた。
【0126】
比較例として、ナノホールの存在しないCu上に同様の条件でZnOを堆積した。
本実施例のナノ構造体をHe−Cdレーザー(波長325nm)を照射したところ、比較例に比べて波長400nm付近に、強度が大きく、スペクトル幅の狭い発光が観測された。
本実施例の結果より、細孔内に発光材料を充填することで発光デバイスに利用可能なことが分かる。
【0127】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明には以下のような効果がある。
(1)本発明により、細孔開始点を制御して形成する手法により、基体上にアルミナセルを単位として、アルミナセルの有無をアルミナセル毎に独立に制御することができるため、任意のアルミナセル配列を領域形成することができる。
(2)本発明の領域形成は、リソグラフィー技術によるにレジスト塗布、パターン形成などを必要とせずに領域形成可能である。さらに、陽極酸化前の細孔開始点形成の段階で直描でアルミナセルの有無をパターニング潜像をするため、リソグラフィーで必要なパターンとアルミナセルの位置あわせをする必要がない。
【0128】
(3)本発明の領域形成は、アルミナセルを単位としてパターニングするため、パターン境界をアルミナセル側面に一致した構造を容易に作製できる。
(4)本発明のナノ構造体の細孔に誘電率の異なる材料を充填することで光学材料として応用することができる。特に、細孔開始点の形状に記憶情報を対応させることで、光記録媒体として用いることができる。
【0129】
(5)本発明のナノ構造体の細孔に、磁性材料を充填することで磁性細線、磁場センサ、磁気記録媒体などとして応用することができる。
(6)本発明のナノ構造体の細孔に、発光材料を充填することで発光スペクトル幅の小さい発光素子、さらには閾値の小さいレーザー素子などが実現できる。
【0130】
また本発明は、陽極酸化アルミナの細孔体をさまざまな形態で応用することを可能とするものであり、その応用範囲を著しく広げるものである。
本発明のナノ構造体は、それ自体機能材料として使用可能であるが、さらなる新規なナノ構造体の母材、鋳型などとして用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のナノ構造体の例を示す斜視図であり、(a)は孤立アルミナセル、(b)はライン状アルミナセルを示す。
【図2】本発明のナノ構造体の例を示す斜視図であり、(c)は分散孤立アルミナセル、(d)は領域形成陽極酸化アルミナを示す。
【図3】本発明のナノ構造体の作製方法の一例を示す断面図であり、(a)は被加工物準備、(b)は細孔開始点形成、(c)は細孔形成、(d)は領域形成、(e)は充填物充填を示す。
【図4】本発明のアルミナセル及び細孔の2次元配列を示す図であり、(a)は正方配列、(b)は六方配列を示す。
【図5】本発明の集束イオンビーム照射による細孔開始点の形成の一例を示す図であり、(a)はドット状形成、(b)はライン交差による形成を示す。
【図6】陽極酸化装置を示す概略図である。
【図7】本発明の細孔開始点配列と陽極酸化アルミナの領域形成を示す図であり、(a)は細孔開始点配列、(a’)はアルミナセル配列を示す。
【図8】本発明の細孔開始点配列と陽極酸化アルミナの領域形成を示す図であり、(b)は細孔開始点配列、(b’)はアルミナセル配列を示す。
【図9】本発明の細孔開始点配列と陽極酸化アルミナの領域形成を示す図であり、(c)は細孔開始点配列、(c’)はアルミナセル配列を示す。
【図10】本発明の細孔開始点配列と陽極酸化アルミナの領域形成を示す図であり、(d)は細孔開始点配列、(d’)はアルミナセル配列を示す。
【図11】陽極酸化アルミナの領域形成を示す図であり、(a)は本発明の領域形成、(b)はソグラフィーによる領域形成を示す。
【図12】本発明の陽極酸化アルミナの下地材料に細孔底部を示す断面図であり、(a)バリア層からなる細孔底部、(b)は導電パスを有する細孔底部、(c)は貫通した細孔底部を示す。
【符号の説明】
1 アルミ
2 細孔開始点
3 細孔
4 バリア層
5 アルミナセル
6 充填物
7 被加工物
8 基体
9 陽極酸化アルミナ
10 集束イオンビーム
11 アルミナセルの端面
12 Al膜
13 基体
14 開始点間隔
15 下地材料
18 導電パス
33 単位ベクトル
34 第一の細孔開始点
35 第二の細孔開始点
41 恒温槽
42 カソード
43 電解液
44 反応容器
45 電源
46 電流計
61 アルミナセルの非存在領域
62 リソグラフィーにより作製した陽極酸化アルミナ非存在領域
63 陽極酸化アルミナ領域の端面

Claims (18)

  1. 基体上に領域形成された陽極酸化アルミナを具備するナノ構造体において、陽極酸化アルミナは細孔を有するアルミナセルを単位構造として、該アルミナセルの単一または該アルミナセルの複数が集合した構造からなり、該陽極酸化アルミナは該基体上に領域形成されており、且つ該領域形成された陽極酸化アルミナの領域端面が該陽極酸化アルミナを形成しているアルミナセルの端面と一致していることを特徴とするナノ構造体。
  2. 該陽極酸化アルミナの存在領域もしくは非存在領域が、該アルミナセルを単位構造とした2次元格子座標で指定できることを特徴とする請求項に記載のナノ構造体。
  3. 該陽極酸化アルミナの存在領域もしくは非存在領域が、該アルミナセルを単位構造とした2次元六方格子座標で指定できることを特徴とする請求項に記載のナノ構造体。
  4. 該基体上に単一のアルミナセルからなる領域形成された陽極酸化アルミナを具備することを特徴とする請求項に記載のナノ構造体。
  5. 該基体上に一列に並んだ複数のアルミナセルからなる領域形成された陽極酸化アルミナを具備することを特徴とする請求項に記載のナノ構造体。
  6. 該細孔内に充填物を有することを特徴とする請求項に記載のナノ構造体。
  7. 該アルミナセル底部に該細孔内の充填物と電気的に接続された電極を具備することを特徴とする請求項またはに記載のナノ構造体。
  8. 請求項1乃至のいずれかに記載のナノ構造体の細孔内に充填物を有し、該充填物が発光機能を有することを特徴とする発光デバイス。
  9. 請求項1乃至のいずれかに記載のナノ構造体の細孔内に充填物を有し、該充填物が細孔体と異なる誘電率を有することを特徴とする光学デバイス。
  10. 請求項1乃至のいずれかに記載のナノ構造体の細孔内に充填物を有し、該充填物が磁性体であることを特徴とする磁性デバイス。
  11. 基体上に領域形成された陽極酸化アルミナを具備するナノ構造体の製造方法であって、基体上のアルミニウムを主とする部位に少なくとも2種類以上の細孔開始点を形成する第一の工程と、該アルミニウムを主とする部位を陽極酸化して、細孔を有するアルミナセルを単位構造として、該アルミナセルの単一または該アルミナセルの複数が集合した構造からなる陽極酸化アルミナを形成する第二の工程と、該細孔開始点の種類に応じて陽極酸化アルミナの一部を消失せしめることにより、消失により領域形成される陽極酸化アルミナの領域端面が該陽極酸化アルミナを形成しているアルミナセルの端面と一致している陽極酸化アルミナの領域形成を行う第三の工程を有することを特徴とするナノ構造体の製造方法。
  12. 該細孔開始点は周囲に比べて凹み形状を有し、該細孔開始点を形成する第一の工程は該凹み形状の異なる少なくとも2種類以上の細孔開始点を形成する工程であることを特徴とする請求項11に記載のナノ構造体の製造方法。
  13. 該細孔開始点を形成する第一の工程は、該凹み形状の深さの異なる少なくとも2種類以上の細孔開始点を形成する工程であることを特徴とする請求項11または12に記載のナノ構造体の製造方法。
  14. 該細孔開始点は集東イオンビームを照射により作製されることを特徴とする請求項11乃至13のいずれかの項に記載のナノ構造体の製造方法。
  15. 基体上に領域形成された陽極酸化アルミナを具備するナノ構造体の製造方法であって、基体上のアルミニウムを主とする部位に少なくとも2種類以上の細孔開始点配列の異なる領域を形成する第一の工程と、該アルミニウムを主とする部位を陽極酸化して、細孔を有するアルミナセルを単位構造として、該アルミナセルの単一または該アルミナセルの複数が集合した構造からなる陽極酸化アルミナを形成する第二の工程と、該細孔開始点配列の異なる領域に応じて陽極酸化アルミナの一部を消失せしめることにより、消失により領域形成される陽極酸化アルミナの領域端面が該陽極酸化アルミナを形成しているアルミナセルの端面と一致している陽極酸化アルミナの領域形成を行う第三の工程を有することを特徴とするナノ構造体の製造方法。
  16. 該第一の工程は少なくとも2種類以上の細孔開始点間隔の異なる領域を形成する工程であり、該第三の工程は該細孔開始点間隔の異なる領域に応じて陽極酸化アルミナの一部を消失せしめる工程であることを特徴とする請求項15に記載のナノ構造体の製造方法。
  17. 該細孔開始点は集東イオンビームを照射により作製されることを特徴とする請求項15または16に記載のナノ構造体の製造方法。
  18. 請求項11乃至17のいずれかに記載の製造方法により作成されたことを特徴とするナノ構造体。
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