JP6148821B2 - 表面処理アルミニウム材及びその製造方法 - Google Patents

表面処理アルミニウム材及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、表面処理を施したアルミニウム材に関し、詳細には、表面にアルミニウム陽極酸化皮膜を有する耐食性及び樹脂密着性に優れた表面処理アルミニウム材、ならびに、その製造方法に関する。
アルミニウム又はアルミニウム合金(以下、「アルミニウム材」と記す)は、軽量で適度な機械的特性を有し、かつ、美感、成形加工性、耐食性等に優れた特徴を有しているため、各種容器類、構造材、機械部品等に広く使用されている。これらのアルミニウム材は、そのまま用いられることもある一方、各種表面処理を施すことで、耐食性、耐摩耗性、樹脂密着性、親水性、撥水性、抗菌性、意匠性、赤外放射性、高反射性等の機能を付加及び向上させて使用されることも多い。
例えば、耐食性及び耐摩耗性を向上させる表面処理法として、陽極酸化処理(いわゆるアルマイト処理)が広く用いられている。具体的には、非特許文献1及び2に記載されているように、アルミニウム材を酸性の電解液に浸漬し、直流電流によって電解処理を行うものである。これにより、アルミニウム材表面に厚さ数〜数十μmの陽極酸化皮膜を形成させる。この他にも、用途に応じて種々の処理方法が提案されている。
また、特に樹脂密着性を向上させる表面処理法として、特許文献1には、アルカリ交流電解法を用いた缶蓋用アルミニウム合金塗装用板とその製造方法が記載されている。具体的には、浴温40〜90℃のアルカリ性溶液を用いて、電流密度4〜50A/dmにて電気量が80C/dmを超えることとなる時間、交流電解処理を行い、膜厚500〜5000オングストロームの陽極酸化皮膜を形成するものである。
アルミニウムハンドブック第7版(一般社団法人 日本アルミニウム協会)、p.179〜190 日本工業規格JIS H8601:1999「アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜」
特開平03−229895号公報
ところで、近年になってアルミニウム材とそれ以外の素材(例えば、ポリオレフィン類やポリエステル類等の各種樹脂や、鉄、チタン及びマグネシウム等の各種金属)を組み合わせ、新たな特性を得るという、アルミニウム複合材の検討が数多くなされている。アルミニウム材と他素材を接合させる手段として、機械的方法(ボルト締結、リベット接合、ヘム曲げ接合、嵌め合せ接合等)、溶接、接着樹脂による接合などが挙げられるが、中でも接着樹脂による接合は、施工が比較的容易で寸法安定性に優れることから、接合手段として広く採用されている
このような複合材に用いるアルミニウム材に対して要求される特性として、耐食性(特に、鉄等の異種金属と接合される場合)及び樹脂密着性が挙げられる。これらを同時に満たすためには、アルミニウム材に表面処理を施し、アルミニウム材表面の機能を向上させる必要がある。
しかしながら、上述のアルマイト処理やアルカリ交流電解法では対応が困難であった。すなわち、アルマイト処理では、耐食性については十分な能力を発揮するものの、接着樹脂に対する密着性は未処理アルミニウム材と同等のものしか得ることができないという問題点があった。一方、アルカリ交流電解法では、接着樹脂に対する密着性は極めて高いものが得られるものの、表面の皮膜が極めて薄いことから耐食性の点において不十分であるという問題点があった。
上記従来技術の問題点に鑑み、本発明は、耐食性及び樹脂密着性に優れた表面処理アルミニウム材を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために検討を重ねた結果、まずアルミニウム材に陽極酸化処理を施して十分な厚さの陽極酸化皮膜を形成した後、その表層を、微細な柱状構造体の集合体に変化させることによって、優れた耐食性と樹脂密着性を両立することができることを見出して本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は請求項1において、表面に陽極酸化皮膜を有する表面処理アルミニウム材であって、陽極酸化皮膜の表層が、当該陽極酸化皮膜上に縦向きに互いに間隔を隔てて形成された複数の柱状構造体の集合体からなり、前記各柱状構造体の高さが50nm以上500nm以下であり、底面積が200nm以上10000nm以下であり、各柱状構造体同士の間隔が20nm以上200nm以下であり、前記複数の柱状構造体の集合体を含む陽極酸化皮膜全体の厚さが0.6μm以上60μm以下であることを特徴とする耐食性及び樹脂密着性に優れた表面処理アルミニウム材とした。
本発明は請求項2では請求項1において、陽極酸化皮膜が封孔処理されているものとした。
本発明は請求項において、請求項1又は2に記載の表面処理アルミニウム材の製造方法であって、陽極酸化処理されたアルミニウム材を一方の電極とし、pH9〜13で液温35〜80℃のアルカリ性水溶液を電解溶液とし、周波数20〜100Hz、電流密度4〜50A/dm及び電解時間5〜60秒間の条件で交流電解処理することを特徴とする表面処理アルミニウム材の製造方法とした。
本発明は請求項では請求項において、陽極酸化皮膜が封孔処理されているものとした。
本発明に係る表面処理アルミニウム材は、陽極酸化皮膜に由来する高い耐食性と、皮膜表面の微小な凹凸構造に由来する高い樹脂密着性を備える。また、本発明に係る表面処理アルミニウム材の製造方法により、上記表面処理アルミニウム材を容易かつ廉価に製造することができる。
以下、本発明の詳細を順に説明する。
A.アルミニウム材
アルミニウム材としては、純アルミニウム又はアルミニウム合金が用いられる。アルミニウム合金の成分には特に制限無く、JISに規定される合金をはじめとする各種合金を使用することができる。形状としては、板材が好適に用いられる。用途に応じて、板厚を適宜選択することができるが、軽量化と成形性の観点から、0.05〜2mmが好ましく、0.1〜1.0mmが更に好ましい。
B.陽極酸化皮膜
アルミニウム材の表面には、耐食性を付与し、また柱状構造体を確実かつ安定に形成するための土台とするため、陽極酸化処理(いわゆるアルマイト処理)によるアルミニウム陽極酸化皮膜が形成される。具体的には、従来技術に基づく陽極酸化処理方法、例えば硫酸、蓚酸、クロム酸及びほう酸のような酸性溶液を用いる方法や、アンモニア−ふっ化物、アルカリ−過酸化物及びりん酸ナトリウムのようなアルカリ性溶液を用いる方法、更には、ほう酸−ホルムアミド及び各種溶融塩のような非水溶媒を用いる方法等を用いることができる。
B−1.陽極酸化皮膜の表層
アルミニウム陽極酸化皮膜の表層は、複数の柱状構造体の集合体からなる。これら各柱状構造体の高さは、50nm以上500nm以下とするのが好ましく、より好ましくは55nm以上490nm以下である。各柱状構造体の底面積は、200nm以上10000nm以下とするのが好ましく、より好ましくは300nm以上9500nm以下である。各柱状構造体同士の間隔は、20nm以上200nm以下とするのが好ましく、より好ましくは30nm以上180nm以下である。ここで、各柱状構造体の高さ、各柱状構造体の底面積、ならびに、各柱状構造体同士の間隔は、複数の測定(10箇所)の平均値である。
複数の柱状構造体の高さが50nm未満では、柱状構造体の側面部の表面積が小さく、接着剤等に接する面積も制限されるため十分な密着性が得られない場合がある。一方、複数の柱状構造体の高さが500nmを超えると、柱状構造体が細長過ぎるため長さ方向の途中で破損してしまい、やはり十分な密着性が得られない場合がある。
各柱状構造体の底面積が200nm未満では、柱状構造体が細過ぎて折れ易く、密着性が十分な密着性が得られない場合がある。一方、各柱状構造体の底面積が10000nmを超えると、柱状構造体の側面部の表面積が相対的に小さくなり、接着剤等に接する面積が制限されるため、やはり十分な密着性が得られない場合がある。
さらに、隣り合う各柱状構造体の間隔が20nm未満では、間隔が狭過ぎるので接着剤等が浸入できなくなり、十分な密着性が得られない場合がある。一方、間隔が200nmを超えると、柱状構造体の分布密度が小さ過ぎて一つ一つの柱状構造体に加わる応力が増大して長さ方向の途中で破損してしまい、やはり十分な密着性が得られない場合がある。
アルミニウム陽極酸化皮膜の表層における柱状構造体の分布密度については、上記の間隔についての条件を満たす限りにおいて特に制限されるものではない。しかしながら、陽極酸化皮膜の表層における見かけ上の表面積(表面の凹凸等を考慮せず、長さと幅の乗算で表される面積)に対する全柱状構造体の底面積の和の比として、25〜75%となるのが更に好ましい。
B−2.陽極酸化皮膜の全体厚さ
柱状構造体の集合体を含むアルミニウム陽極酸化皮膜の全体厚さは、0.3μm以上60μm以下とするのが好ましく、より好ましくは0.3μm以上56μm以下である。陽極酸化皮膜層全体の厚さが0.3μm未満では、皮膜が薄過ぎるため必ずしも耐食性が十分でなくなる場合がある。一方、60μmを超えると、性能的には問題ないものの陽極酸化処理に膨大な電力及び処理時間が必要になるためコストが増加するという問題が残る。このアルミニウム陽極酸化皮膜の全体厚さもまた、複数の測定(10箇所)の平均値である。
B−3.封孔処理
さらに本発明において、用いる陽極酸化処理皮膜が封孔処理されたものであると、耐食性が顕著に向上する。これは、封孔処理によって水分がアルミニウム素地に到達するのがほぼ完全に阻止されるためである。このように、封孔処理により、陽極酸化皮膜が本来有する耐食性が更に向上する。なお、封孔処理の方法については従来技術がそのまま適用可能であり、具体的には、蒸気法、純水沸騰水法、酢酸ニッケル法、重クロム酸法及びけい酸ナトリウム法等の各種封孔処理法を用いることができる。
C.製造方法
以上のような条件を満たした各柱状構造体の集合体を表層に有するアルミニウム陽極酸化皮膜を備えた表面処理アルミニウム材を製造するための一つの方法として、従来技術に基づき陽極酸化処理を施して表面にアルミニウム陽極酸化皮膜を備えたアルミニウム材に対し、更にアルカリ交流電解処理を行う方法を挙げることができる。
具体的には、陽極酸化処理されたアルミニウム材を一方の電極とし、pH9〜13で液温35〜80℃のアルカリ性水溶液を電解溶液とし、周波数20〜100Hz、電流密度4〜50A/dm及び電解時間5〜60秒間の条件で交流電解処理することにより、上記柱状構造体の集合体を有するアルミニウム陽極酸化皮膜が得られるものである。
上記の交流電解処理工程においては、他方の電極として黒鉛電極等が用いられる。電解溶液として用いるアルカリ性水溶液は、りん酸ナトリウム、りん酸水素カリウム、ピロりん酸ナトリウム、ピロりん酸カリウム及びメタりん酸ナトリウム等のりん酸塩や;水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物や;水酸化アンモニウム溶液;或いは、これらの混合物の水溶液を用いることができる。後述するように電解溶液のpHを特定の範囲に保つ必要があることから、バッファー効果の期待できるりん酸塩系物質を含有するアルカリ水溶液を用いるのが好ましい。このようなアルカリ成分の濃度は、電解溶液のpHが所望の値になるように調整されるが、通常、1×10−4〜1モル/リットルである。なお、これらのアルカリ性水溶液には、汚れ成分に対する除去能力の向上のために界面活性剤を添加してもよい。
電解溶液のpHは9〜13とする必要があり、9.5〜12.5とするのが好ましい。pHが9未満の場合には、電解溶液のアルカリエッチング力が不足するため、柱状構造体が太くなり過ぎ、かつ、隣接する柱状構造体同士の間隔も狭くなり過ぎる。一方、pHが13を超えると、アルカリエッチング力が過剰になるため、柱状構造体が細くなり過ぎ、かつ、隣接する柱状構造体同士の間隔も広くなり過ぎる。
電解溶液温度は35〜80℃とする必要があり、40〜70℃とするのが好ましい。電解溶液温度が35℃未満では、アルカリエッチング力が不足するため、柱状構造体が太くなり過ぎ、かつ柱状構造体同士の間隔も狭くなり過ぎる。一方、80℃を超えると、アルカリエッチング力が過剰になるため、柱状構造体が細くなり過ぎ、かつ、柱状構造体同士の間隔も広くなり過ぎる。
また、電解に用いる周波数は20〜100Hzであり、25〜95Hzとするのが好ましい。20Hz未満では、電気分解としては直流的要素が高まる結果、柱状構造体の形成が進行せず、陽極酸化皮膜の表層全体が均一な緻密構造となってしまう。一方、100Hzを超えると、陽極と陰極の反転が速過ぎるため、柱状構造体の形成が極端に遅くなり、所定の高さを得るには極めて長時間を要することになる。
電流密度は4〜50A/dmとする必要があり、5〜45A/dmが好ましい。電流密度が4A/dm未満では、陽極酸化皮膜表層の均一な緻密構造が優先的に形成されるために柱状構造体が得られない。一方、50A/dmを超えると、電流が過大になるためアルミニウム陽極酸化皮膜表面でスパークが発生し、陽極酸化皮膜自体が破壊され易くなる。
電解時間は5〜60秒とする必要があり、7〜60秒が好ましい。5秒未満の処理時間では、柱状構造体が十分に形成されず、60秒を超えると、柱状構造体が高くなり過ぎたり再溶解するおそれがあるだけでなく、生産性も低下する。
なお、本発明に係るアルミニウム陽極酸化皮膜の構造の測定には、TEMによる断面観察が好適に用いられる。具体的には、陽極酸化皮膜表層の柱状構造体の平均高さ、各柱状構造体の底面積及び各柱状構造体同士の間隔と、柱状構造体の集合体を含む陽極酸化皮膜全体の厚さは、ウルトラミクロトームにより薄片試料を作製し、TEM観察することによって測定できる。なお、陽極酸化皮膜全体の厚さに関しては、観察対象がサブミクロンオーダーとなるので、TEM観察に代えてSEM観察とすることもできる。また、上述のように、それぞれの測定値は、その観察視野における平均値によって得ることができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。
実施例1〜15、17及び比較例1〜12、16
アルミニウム材として、JIS5052−O材(長さ:100mm、幅:50mm、板厚:1.0mm)を用意した。これに対し、表1のA〜Gに示した通り、従来技術に基づいた陽極酸化処理(処理方法:硫酸アルマイト処理および蓚酸アルマイト処理)を施してアルミニウム陽極酸化皮膜を表面に形成した。なお、表中のHは、比較のため陽極酸化処理を行わないものである。また、表中のGにおいて要した陽極酸化処理時間は、Bの約30倍であった。ここで、GとBの陽極酸化処理条件は、要した時間以外は同じであった。
Figure 0006148821
このようにして得られた陽極処理材料を一方の電極に用い、他方の対電極には黒鉛電極を用いた。アルミニウム材の陽極酸化皮膜側の片面を対電極に対面させ、この対面した陽極酸化皮膜の表層に、柱状構造体の集合体が形成されるように両電極を配置した。ピロりん酸ナトリウムを主成分とするアルカリ水溶液を、電解溶液として用いた。これらのアルカリ成分の濃度は、0.5モル/リットルとするとともに、塩酸及び水酸化ナトリウム水溶液(いずれも濃度0.1モル/リットル)によってpHの調製を行なった。表2に示す電解条件にて、交流電解処理を実施してアルミニウム陽極酸化皮膜の表層に、柱状構造体の集合体を形成した。
Figure 0006148821
このようにして得られた供試材に対し、各柱状構造体の平均高さ、各柱状構造体の底面積、各柱状構造体同士の間隔を断面TEMにて、また、陽極酸化皮膜全体厚さを断面SEMにて、それぞれ観察した。結果を表3に示す。
Figure 0006148821
以上の供試材に対し、以下の方法にて、耐食性及び樹脂密着性を評価した。
〔樹脂密着性試験〕
上記供試材を長さ50mm、25mm幅に切断し、その供試材同士を長さ方向において10mm重ね合わせ、市販の2液型エポキシ接着剤(主剤=変性エポキシ樹脂、硬化剤=変性ポリイミド、重量混合比=主剤100/硬化剤100)によって接着し、せん断試験片を作製した。その長さ方向の両端部を引張試験機により100mm/分の速度にて180度方向に引張り、その荷重と剥離状態によって樹脂密着性を下記の基準で評価した。
○:せん断応力が20N/mm以上で、かつ、接着剤層自身が凝集破壊した状態
△:せん断応力が20N/mm以上であるものの、接着剤とアルミニウム材表面が界面剥離した状態
×:せん断応力が20N/mm未満で、かつ、接着剤とアルミニウム材表面が界面剥離した状態
○を合格とし、△と×を不合格とした。本発明に係る表面処理アルミニウム材は、24N/mm以上36N/mm以下のせん断応力を有しているのが好ましい。
〔耐食性試験〕
無塗装の上記供試材に対し、JIS−Z2371:2000 塩水噴霧試験方法 付属書1に準拠した中性塩水噴霧試験を実施した。1000時間経過後に取り出した供試材の腐食をレーティングナンバーで評価し、評価点が9を超えるものを○とし、9以下を×とした。○を合格とし、×を不合格とした。
樹脂密着性試験及び耐食性試験の結果を、表4に示す。また、樹脂密着性試験及び耐食性試験の結果がいずれも合格の場合を総合判定が○(合格)とし、それ以外を総合判定が×(不合格)とした。
Figure 0006148821
実施例1〜15、17ではいずれも、樹脂密着性と耐食性がともに合格であった。これに対して比較例1〜12、16では、樹脂密着性と耐食性の一方又はいずれもが不合格であった。
具体的には、比較例1では、交流電解処理に先立つ陽極酸化処理がなされず陽極酸化皮膜全体の厚さが薄過ぎたため、アルミニウム素地に水分が到達してしまい、耐食性が不合格となり総合判定が不合格となった。
比較例2では、交流電解処理における電解溶液のpHが低過ぎたため、アルカリエッチング力が不足した。そのため、柱状構造体が太くなって底面積が大きくなり、柱状構造体同士の間隔も狭くなった。その結果、樹脂密着性が不合格となり総合判定が不合格となった。
比較例3では、交流電解処理における電解溶液のpHが高過ぎたため、アルカリエッチング力が過剰になった。そのため、柱状構造体が細くなって底面積が小さくなり、かつ、柱状構造体同士の間隔も広くなった。その結果、樹脂密着性が不合格となり総合判定が不合格となった。
比較例4では、交流電解処理における電解溶液の温度が低過ぎたため、アルカリエッチング力が不足した。そのため、柱状構造体が太くなって底面積が大きくなり、柱状構造体同士の間隔も狭くなった。その結果、樹脂密着性が不合格となり総合判定が不合格となった。
比較例5では、交流電解処理における電解溶液の温度が高過ぎたため、アルカリエッチング力が過剰になった。そのため、柱状構造体同士の間隔が広くなった。その結果、樹脂密着性が不合格となり総合判定が不合格となった。
比較例6では、交流電解処理における周波数が低過ぎたため、柱状構造体の形成が進行せず、陽極酸化皮膜表面全体が均一な緻密構造となってしまった。その結果、樹脂密着性が不合格となり総合判定が不合格となった。
比較例7では、交流電解処理における周波数が高過ぎたため、陽極と陰極の反転が速過ぎ、柱状構造体の形成速度が極端に遅くなった。そのため、柱状構造体の高さが低くなり、かつ、柱状構造体同士の間隔も広くなった。その結果、樹脂密着性が不合格となり総合判定が不合格となった。
比較例8では、交流電解処理における電流密度が低過ぎたため、陽極酸化皮膜表面の均一な緻密構造が優先的に形成され、柱状構造体の形成が進行しなかった。その結果、樹脂密着性が不合格となり総合判定が不合格となった。
比較例9では、交流電解処理における電流密度が高過ぎたため、電解処理において電解溶液中にスパークが発生し、処理不良となり柱状構造体の形状や陽極酸化皮膜厚さが測定できなかった。その結果、樹脂密着性及び耐食性が共に不合格となり、総合判定が不合格となった。
比較例10では、交流電解処理における電解処理時間が短過ぎたため、柱状構造体の高さが低くなり、かつ、柱状構造体同士の間隔も広くなった。その結果、樹脂密着性が不合格となり総合判定が不合格となった。
比較例11では、交流電解処理における電解処理時間が長過ぎたため、柱状構造体の高さが高くなり、かつ、柱状構造体同士の間隔も広くなった。その結果、樹脂密着性が不合格となり総合判定が不合格となった。
比較例12では、交流電解処理を行わなかったため、柱状構造体が形成されなかった。その結果、樹脂密着性が不合格となり、総合判定が不合格となった。
比較例16では、陽極酸化皮膜全体の厚さが薄過ぎたため、耐食性が不合格となり、総合判定が不合格となった。
以上に記載したとおり、本発明によれば、アルミニウム材表面に耐食性及び樹脂密着性に優れた陽極酸化皮膜を設けることができ、その陽極酸化皮膜の作用によって、耐食性及び樹脂密着性に優れたアルミニウム材を得ることができる。

Claims (4)

  1. 表面に陽極酸化皮膜を有する表面処理アルミニウム材であって、陽極酸化皮膜の表層が、当該陽極酸化皮膜上に縦向きに互いに間隔を隔てて形成された複数の柱状構造体の集合体からなり、
    前記各柱状構造体の高さが50nm以上500nm以下であり、底面積が200nm以上10000nm以下であり、各柱状構造体同士の間隔が20nm以上200nm以下であり、前記複数の柱状構造体の集合体を含む陽極酸化皮膜全体の厚さが0.6μm以上60μm以下であることを特徴とする耐食性及び樹脂密着性に優れた表面処理アルミニウム材。
  2. 前記陽極酸化皮膜が封孔処理されている、請求項1に記載の表面処理アルミニウム材。
  3. 請求項1又は2に記載の表面処理アルミニウム材の製造方法であって、陽極酸化処理されたアルミニウム材を一方の電極とし、pH9〜13で液温35〜80℃のアルカリ性水溶液を電解溶液とし、周波数20〜100Hz、電流密度4〜50A/dm及び電解時間5〜60秒間の条件で交流電解処理することを特徴とする表面処理アルミニウム材の製造方法。
  4. 陽極酸化皮膜が封孔処理されている、請求項に記載の表面処理アルミニウム材の製造方法。
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