以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
<画像形成装置の全体構成;第1実施形態>
図1は、電子写真方式やインクジェット方式などの印刷装置における2値化処理に関わる画像処理部(画像処理装置)と画像記録部とに着目して示した画像形成装置の第1実施形態の全体概要を示す図である。図示するように、第1実施形態の画像形成装置1は、色分解信号生成部10と、2値化処理部20と、2値データ記憶部30と、画像記録部40と、プロファイル切替指令部50とを備えている。色分解信号生成部10と2値化処理部20と2値データ記憶部30とで、2値化処理に関わる画像処理部(画像処理装置)が構成される。
色分解信号生成部10は、その前段側に設けられる図示しない画像読取部や通信インタフェースを介して接続されたパーソナルコンピュータなどの画像入力端末から比較的高ビット数(たとえば8〜10ビット)の画像データDinを、たとえばR(赤),G(緑),B(青)などの色成分ごとに取得し、この色成分ごとの画像データDin_R,Din_G,Din_Bを画像記録部40が処理対象とするたとえばトナー色に対応したC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)などの各色成分ごとの色分解データ(以下多値画像データDMVと呼ぶ)に変換する。たとえば、数ビットの多値デジタルデータR,G,Bを、同じく数ビットの多値デジタルデータC,M,Y,Kに変換する。このような色変換処理に当たっては、たとえばRGBデータ→Labデータ→YMCKデータといった処理ステップが採られる。
なお、色分解信号生成処理の前段あるいは後段(2値化処理の前段まで)においては、詳細な説明を割愛するが、下地除去処理、変倍処理、コントラスト調整(濃度調整)処理、色補正処理、フィルタ処理、TRC(Tone Reproduction Control)補正処理(階調補正処理とも呼ばれる)などの所定の画像処理(前処理)が施される。これら各処理自体の詳細については、従来のものと同様であるため、ここではその説明を割愛する。
2値化処理部20は、入力された色成分ごとの多値画像データDMV_C,DMV_M,DMV_Y,DMV_Kの各々にスクリーン処理をかけた2値化データ(1ビットのデータ)を生成する。このとき、トナー色ごとに適当な2値化処理パラメータをプロファイル切替指令部50から取得する。たとえば、濃度階調を有する多値画像情報である多値デジタルデータC,M,Y,Kを、網点と呼ばれる着色ドットの大きさによって擬似的に中間調画像の濃度を表わす2値化記録信号Dout を生成し、2値データ記憶部30に記憶する。
画像記録部40は、2値化処理部20で生成される2値化記録信号Dout を2値データ記憶部30から読み出し画像記録処理を行なうマーキングエンジン部44を有している。マーキングエンジン部44は、たとえばトナーを色材に使用し、露光による静電潜像形成とその後の現像、転写、定着を行なう電子写真方式を利用したものであってもよいし、インクを色材に使用するインクジェット方式を利用したものであってもよいし、あるいは刷版製作を行ない、その版を用いてインクを記録紙に転写する製版印刷方式(たとえばリソグラフィ方式)のもの、など様々なものが使用できる。
<2値化処理部の構成;第1実施形態>
図2は、第1実施形態の画像形成装置1に使用される2値化処理部20(第1実施形態の2値化処理部20)の構成を示す図である。また、図3および図4は、第1実施形態の2値化処理部20における空隙形成処理の基本的な特性を説明する図である。
ここで、図3は、本実施形態の空隙形成処理において使用する空隙形成用の閾値データの特性を示す空隙サイズプロファイルの一例を示す図である。また、図4は通常の2値化処理によって生成される画像(A)と、本実施形態の処理において図3に示す空隙サイズプロファイルを使用して生成される画像(B),(C)の一例を示す図である。
図3(A)および図3(B)における濃度C1,C3は低濃度側の空隙形成開始点を与える濃度であり、濃度C2,C4は高濃度側の空隙形成開始点を与える濃度である。また図3(B)における濃度Ccnt は空隙数の最大値を与える濃度、換言すれば、空隙数が増加から減少に転ずる濃度である。特に、入力画像を表わす多値画像データDMVの強度(入力画像の濃度に対応)を低強度側から推移させたときに、網点を表わす2値化データが全て出力ドット(“1”)となる最初の値にする。
低濃度側の空隙形成開始点を与える濃度C1,C3を設定するのは、黒ドット(出力ドット)の集合で形成される網点の外郭を黒ドット(出力ドット)に維持しながら、その内部に白ドット(無出力ドット)を配するためには必然的なものと考えてよい。一方、高濃度側の空隙形成開始点を与える濃度C2,C4に関しては、中間濃度域でのみ網点内に白ドット(無出力ドット)を配するためのものであり、第1実施形態としては必須のものではない。画像濃度が低濃度側の空隙形成開始点を与える濃度C1,C3を超え最大濃度Cmax までの範囲を網点内部に白ドット(無出力ドット)を配する処理対象の濃度範囲としてもよい。
この第1実施形態の2値化処理部20は、従来例との対比においては、2値化のための比較器と閾値マトリクスの組を複数用意する点と、各比較器から出力された2値データを論理演算する演算処理器を複数設ける点に特徴を有している。また、比較器と閾値マトリクスの組は、それぞれ同じ網点構造を生成可能なモジュールであるが、閾値マトリクスの値に特徴を持たせてある。
具体的には、図示するように、第1実施形態の2値化処理部20は、処理対象の多値データと閾値マトリクスとを参照して2値化のための比較処理を行なう3つの比較処理部21,22,23と、比較処理部21,22,23から出力された2値データを論理演算する2つの2値演算処理部26,27と、閾値マトリクス記憶部(プロファイルデータ記憶部の一例)29とを備えて構成されている。
第1の比較処理部21は、第1の網点画像生成部に相当する。また、第2および第3の比較処理部22,23と第1の2値演算処理部26とで、第2の網点画像生成部が構成される。また、第2および第3の比較処理部22,23と第1および第2の2値演算処理部26,27とで、第1の比較処理部21により生成される網点内に、その網点の輪郭を維持するように、その網点の中央部に空隙を形成する空隙形成処理部28が構成される。
なお、第2および第3の比較処理部22,23と第1の2値演算処理部26とで構成される第2の網点画像生成部における網点画像を生成するアルゴリズムは、参照する閾値マトリクスMTX1が異なるものの、何れも、基本的には、第1の比較処理部21(すなわち第2の網点画像生成部)と同じ網点画像(黒ドット)を生成するアルゴリズムと同様のものである。
閾値マトリクス記憶部29は、マトリクス内の各座標値に対応する閾値を出力する。一例として、閾値マトリクス記憶部29は、網点プロファイル記憶部29aと空隙プロファイル記憶部29bとを有している。
網点プロファイル記憶部29aは、網点ドットを形成するための基本となるプロファイルデータを記憶するものである。具体的には、入力画像の濃度に対応する網点サイズ、換言すれば網点を発生させる入力画像の濃度を規定するプロファイルデータであって、網点形成処理において使用する網点形成用の閾値データの集合でなる網点サイズプロファイルを与える第1の閾値マトリクスMTX1を記憶する。基本的には、従来の網点成長に類似したドットパターンを出力することができるようにするが、入力画像の濃度が“0”から遷移点濃度Ccnt に達するまで、単位網点領域内で、漸次出力ドットの数が増加するようにし、遷移点濃度Ccnt 以降は、単位網点領域内の全体ドットが出力ドットとなるようにする点が異なる。
空隙プロファイル記憶部29bは、入力画像の濃度に対応する空隙サイズ、換言すれば空隙を発生させる入力画像の濃度を規定するプロファイルデータを記憶するものである。具体的には、本実施形態の空隙形成処理において使用する空隙形成用の閾値データの集合でなる空隙サイズプロファイルを与える第2および第3の閾値マトリクスMTX2,MTX3を記憶する。
ここで、空隙プロファイル記憶部29bに記憶される空隙サイズプロファイルのデータ(すなわち閾値データ)は、空隙形成処理部28において、この空隙サイズプロファイルデータに従うサイズの空隙を持つ網点を生成できるようにするためのものである。
たとえば第2の閾値マトリクスMTX2は、主に、多値画像データDMVの中間濃度域での低濃度側における空隙サイズを規定するものであり、また第3の閾値マトリクスMTX3は、主に、多値画像データDMVの中間濃度域での高濃度側における空隙サイズを規定するものであり、両者の合成によって、多値画像データDMVの中間濃度域全体における空隙サイズを規定するようにしている。なお、“両者の合成”とは、この第1実施形態においては、実際には、各閾値マトリクスMTX2,MTX3を参照した比較処理結果の論理合成を意味する。
基本的な空隙サイズプロファイルの特性としては、入力濃度が所定濃度を超えたときに網点をなす網点ドット(黒ドット)の一部を白ドットにして空隙を形成することで、網点部分の全体の着色材の量を低下させることができるようなものとする。換言すれば、入力濃度が所定濃度を超えるまでは空隙を形成しないようにすることで、集積(クラスター化)した微小な網点内に空隙を形成しないような特性とする。ドットサイズが小さいハイライト部で空隙を発生させると網点の再現性が悪くなるが、空隙形成開始点の濃度をある程度高めに指定して空隙を生成することで、この問題を解消するようにする。
特に、図3(A)の右上に示したように、単位網点領域内において、網点の輪郭を維持して、すなわち網点の外郭形成に寄与する縦・横・斜めの最外部の出力ドット(以下外郭ドットともいう)をそのまま出力ドットに維持しつつ、その外郭ドットの内部の一部のドットを真の無出力ドットにすることで空隙を形成する。つまり、網点の輪郭部分の着色材の量を所定量に維持しつつ、その内部の着色材の量を所定量よりも適度に低下させることができるようなものとする。この際には、網点の生成と空隙ドットの生成とを同期させることで、確実に網点内部に空隙ドットを形成できるようにする際の制御を簡単にする。
また、外郭ドットの内部に複数の無出力ドットを形成する場合に、外郭ドット内で無出力ドットを孤立させると、網点内部で間引く画素が散在し、網点の着色材を薄層化する効果が薄れる可能性がある。これを避けるには、複数の無出力ドットを孤立させずに、できるだけ一塊に集合するように連結させて纏めるのが好ましい。また、無出力ドットの塊の中に網点の出力ドットが存在すると、出力ドットが散在することとなるので、無出力ドットだけで塊を形成するのが好ましい。さらに、輪郭を維持するという観点では、無出力ドットの塊の形状が、できるだけ網点の外郭形状と相似形となるようにするのが好ましい。
一例としては、通常は、黒ドット(出力ドット)の集合が略円形状を呈するように出力ドットを増加させて濃度に応じたサイズの網点を形成するので、その略円形状の網点内部の記録信号(出力ドット)を略円形状に間引く、すなわち無出力ドットの集合が略円形状を呈するように無出力ドットの数を網点の中心から漸次増加させるのがよい。たとえば、4つの無出力ドットを網点内に形成する場合、縦、横、あるいは斜めに4つの無出力ドットを一列に並べるのではなく、縦および横に各2つの無出力ドットを並べるのがよい。最終結果物である“空隙を持つ網点”の全体を見たときには、略リング状に出力ドットが配されるように、内部の出力ドットを無出力ドットに変換する(間引く)。
たとえば、空隙プロファイル記憶部29bは、図3(A)に示す空隙サイズ固定方式もしくは図3(B)に示す空隙サイズ可変方式の何れか一方もしくは双方に応じたプロファイルデータを記憶する。
ここで、図3(A)における空隙サイズ対応閾値bとは、空隙の大小と対応する数値であるが、空隙の大小(すなわち空隙サイズ)そのものを示すものではない。さらに詳しく説明すると、空隙サイズ対応閾値bは、“ある濃度Dと閾値Thを持つ画素が空隙であるかどうかを判断するための閾値”である。たとえば、b=128(50%)の場合、空隙となるドット数は閾値マトリクスのサイズが10×10ならば50、16×16なら128となる。
なお、図3(A)における空隙サイズ対応閾値bの値は一例であって、この空隙サイズ対応閾値bの値を種々変えた複数のプロファイルを用意してもよい。同様に、図3(B)における特性線は一例であって、この特性線の変化度合い(最大値を含む)を種々変えた複数のプロファイルを用意してもよい。何れにしても、入力画像濃度と空隙サイズとの間に、ある一定の対応関係を持たすことができればよい。
また、これらの各プロファイルを複数記憶する場合には、実際には、プロファイル切替指令部50を介したユーザ指示に基づき、用途に応じて、何れか1つを選択して使用するようにする。使用するプロファイルを変更することで、容易に、異なる特性の空隙を持つ網点画像を生成することができるようになる。
ここで、空隙サイズ固定方式とは、多値画像データDMVの濃度値の中間濃度域の一定範囲(C1〜C2)で、網点内のほぼ中心に一定サイズb0の空隙を形成する方式である。一方、空隙サイズ可変方式とは、多値画像データDMVの濃度値の中間濃度域の一定範囲(C3〜C4)で、空隙サイズが漸次大きくなり最大値に達した後には漸次小さくなるように、図3(B)中に実線で示すように、空隙サイズを濃度に応じて動的に(ほぼ連続的に)変化させる方式である。
空隙サイズ固定方式の場合、中間濃度域の一定範囲(C1〜C2)に対して1種類の空隙サイズ対応閾値b0を指定するだけでよいので簡単なプロフィルになる一方、その発生メカニズムは定かではないが、空隙発生位置に疑似輪郭が生じる場合がある。この問題を解消する一手法として、濃度ごとに異なる空隙サイズを指定する空隙サイズ可変方式を採用する。
また、比較的小さな網点内に比較的大きな(網点よりは小さい)空隙を形成すると、つまり網点内部に間引く画素が過度に多い場合には網点部分の着色材を薄層化する働きが強くなりすぎる。この問題を避けるには、低高濃度側の空隙形成開始点を与える濃度C1,C3以降から遷移点濃度Ccnt までの空隙サイズの変化特性に関しては、立上り時には空隙サイズを緩やかに増加させるのがよい。このような特性を与えるには、空隙サイズ可変方式を採ることになるのはいうまでもない。
なお、図3(B)中の実線では、その特性線をほぼ連続的に変化するように滑らかな曲線で示しているが、実際に網点内に空隙を形成するに際しては、所定サイズの閾値マトリクス内のあるドットを打つか打たないかになるので、多段階の特性になる。
また、図3(B)中に点線で示すように、空隙サイズ固定方式と空隙サイズ可変方式の中間的なものとして、多値画像データDMVの濃度値の中間濃度域の一定範囲で、空隙サイズが漸次大きくなり最大値に達した後には漸次小さくなるように、空隙サイズを濃度に応じて数段階で変化させる方式とすることもできる。
各比較処理部21,22,23は、濃度/閾値比較部の一例であって、入力画像の濃度を表わす多値画像データDMVすなわち入力多値画像の濃度と、閾値マトリクス記憶部29に保持されている各閾値マトリクスMTX1,MTX2,MTX3の各閾値とを比較して2値画像を出力する。
たとえば、第1の比較処理部21は、処理対象の多値画像データDMV(Multiple Value)と第1の閾値マトリクスMTX1とを比較する。第2の比較処理部22は、処理対象の多値画像データDMVと第2の閾値マトリクスMTX2とを比較する。第3の比較処理部23は、処理対象の多値画像データDMVと第3の閾値マトリクスMTX3とを比較する。
第1の2値演算処理部26は、第2の比較処理部22から出力された第2の2値データDo2と、第3の比較処理部22から出力された第3の2値データDo3との間で所定の論理演算(具体的には差分処理)を行なう。
第2の2値演算処理部27は、第1の比較処理部21から出力された第1の2値データDo1を第1ビットマップデータBM1として取り扱うとともに、第1の2値演算処理部26から出力された論理演算結果を第2ビットマップデータBM2として取り扱い、これらの間で所定の論理演算(具体的には差分処理)を行なう。
その論理演算結果は、2値化記録信号Dout として一旦2値データ記憶部30に保持された後、画像記録部40のマーキングエンジン部44にて画像記録処理に使用される。つまり、マーキングエンジン部74は、第2の2値演算処理部27で生成される外郭ドットの内部の一部のドットを事実上の無出力ドットにする2値化データである2値化記録信号Dout に基づいて画像記録を行なう記録エネルギ制御部として機能する。
<網点処理手順;第1実施形態>
図5および図6は、第1実施形態の2値化処理部20における2値化処理(具体的には網点処理)を説明する図である。なお、空隙プロファイル記憶部29bには、図3(B)に示す空隙サイズ可変方式の空隙サイズプロファイルデータを記憶するものとして説明する。
ここで、図5は、第1実施形態の2値化処理部20による網点処理手順の概要を示すフローチャートである。また、図6は、第1実施形態の2値化処理部20による網点処理によるリング状網点の生成の様子を示す図である。たとえば、図6(A)は、第1の比較処理部21から出力される第1の2値データDo1すなわち第1ビットマップデータBM1の一例である。図6(B)は、第2の比較処理部22から出力される第2の2値データDo2の一例である。図6(C)は、第3の比較処理部23から出力される第3の2値データDo3の一例である。図6(D)は第1の2値演算処理部26から出力される第2ビットマップデータBM2の一例である。図6(E)は第2の2値演算処理部27から出力される2値化記録信号Dout の一例である。
第1実施形態の2値化処理部20においては、濃度階調を有する多値画像データDMVを、網点と呼ばれる着色ドットの大きさによって擬似的に再現する際に、入力濃度が低濃度側および高濃度側の空隙形成開始点を与える濃度の範囲内にある場合に網点内部に空隙を形成するなどして着色材の量を低下させるようにする点に第1の特徴を有する。
また、網点内部の着色材の量を低下させるようにする手法として、2値化記録信号Dout 上で網点内部の情報間引く手法、すなわち網点内に空隙を形成する際に、通常の網点画像と空隙を表わす画像の2つを先ず生成し、これら2つの画像を論理合成する手法を採る点に第2の特徴を有する。
また、2つの画像を生成することで指定される濃度域でドット中心部に空隙を形成するなどして着色材の量を低下させるに当たって、濃度ごとの網点サイズと空隙サイズのそれぞれを記録したプロファイルデータを参照してプロファイルに従う網点サイズと空隙サイズを持つ網点ドットを生成する点に第3の特徴を有する。以下、具体的に説明する。
第1の網点処理部である第1の比較処理部21は、従来の網点成長に類似したドットパターン(たとえば図4Aのような)を出力するように第1の閾値マトリクスMTX1と多値画像データDMVとを比較した図6(A)に示す第1ビットマップデータBM1を配置する。すなわち、多値の入力画像情報(多値画像データDMV)の濃度に応じた大きさの網点ドットを形成する第1ビットマップデータBM1を生成する(S10)。
第2の比較処理部22は、多値画像データDMVが低濃度側の空隙形成開始点を与える濃度(第1濃度)C3から遷移点濃度Ccnt までは、第1の2値データDo1(=第1ビットマップデータBM1)のドットの内部から外側に追いかけるようなパターンでドット成長するように、第2の閾値マトリクスMTX2と多値画像データDMVとを比較した図6(B)に示す第2の2値データDo2を配置する。遷移点濃度Ccnt 以降は、遷移点濃度Ccnt の状態を維持する。換言すれば、多値画像データDMVが低濃度側の空隙形成開始点を与える第1濃度C3を超えると、第1ビットマップデータBM1のオンドット数に応じてドットを成長させる。
第3の比較処理部23は、多値画像データDMVが空隙数の最大値を与える濃度(遷移点濃度)Ccnt を超えると、第2の2値データDo2のドットの内部を外側から内側に埋めるようなパターンでドット成長するよう、第3の閾値マトリクスMTX3と多値画像データDMVとを比較した図6(C)に示す第3の2値データDo3を配置する。
第1の2値演算処理部26は、第2の比較処理部22から出力された第2の2値データDo2と、第3の比較処理部22から出力された第3の2値データDo3との間で、“Do2−Do3”なる2値論理演算(論理減算処理)を行なうことで、図6(D)に示す第2ビットマップデータBM2を生成する。
この第2の比較処理部22と第3の比較処理部23と第1の2値演算処理部26とで構成される第2の網点処理部による一連の処理は、入力濃度が中間濃度域C3〜C4にあるときに網点に空隙を形成する際に、空隙サイズ可変方式(本例の場合)もしくは空隙サイズ固定方式に従って網点内に空隙を形成するためのもので、空隙サイズを入力画像の濃度に対応させるための処理である。その処理目的の観点から纏めると以下の通りである。
たとえば、空隙サイズ可変方式に従う場合、多値の入力画像情報(多値画像データDMV)が第1濃度C3未満のときには第2ビットマップデータBM2の出力を全てオフ(0;ゼロ→白ドット/無出力ドット)とし(S20−NO,S30)、第1濃度C3超過で遷移点濃度Ccnt 未満までは、第1濃度C3を超えた濃度値に応じてドットをオン(1→黒ドット/出力ドット)とする第2ビットマップデータBM2を生成する(S20−YES,S22−NO,S32)。
また、第1ビットマップデータBM1の信号が全てオン(1→黒ドット/出力ドット)となる遷移点濃度Ccnt 超過で第2濃度C4未満のときには、遷移点濃度Ccnt を超えた濃度値に応じて第2ビットマップデータBM2のオン(1→黒ドット/出力ドット)の画素を順にオフ(0;ゼロ→白ドット/無出力ドット)に転ずる(S22−YES,S24−NO,S34)。さらに、多値の入力画像情報(多値画像データDMV)が第2濃度C4を超えると、第2ビットマップデータBM2の出力を全てオフ(0;ゼロ→白ドット/無出力ドット)とする(S24−YES,S36)。
こうすることで、第2の網点画像生成部の出力結果である第2ビットマップデータBM2としては、図6(D)に示すように、多値画像データDMVの濃度値の中間濃度域の一定範囲(C3〜C4)で、黒ドットが漸次増加し、遷移点濃度Ccnt にて最大値に達した後には、黒ドットが漸次減少するように網点画像が生成される。すなわち、後の(第2の2値演算処理部27における処理結果のこと)空隙(無出力ドット)に対応する網点を濃度に応じて動的に変化させることができる。
つまり、第2の比較処理部22と第3の比較処理部23と第1の2値演算処理部26とで構成される第2の網点処理部においては、第1濃度C3を超え第2濃度C4までの多値画像データDMVの強度(入力画像の濃度に相当)に対応して、複数の出力ドットの集合で表わされる無出力ドットを表わす2値化データとして、第2ビットマップデータBM2を生成している。
特に、この例では、空隙サイズ可変方式を採用しつつ、中間濃度域でのみ空隙を網点内に形成するため、第1ビットマップデータBM1が全て“1”となる遷移点濃度Ccnt で無出力ドットの数が最大となるようにし、遷移点濃度Ccnt の前後(C3を超えCcnt まで、Ccnt を超えC4まで)では無出力ドットの数が漸次減少するようにしている。
この後、第2の2値演算処理部27は、第1の比較処理部21から出力された第1ビットマップデータBM1(=第1の2値データDo1)と、第1の2値演算処理部26から出力された第2ビットマップデータBM2との間で、“BM1−BM2=Do1−(Do2−Do3)”なる2値論理演算(論理減算処理)を行なうことで、図6(E)に示す2値化記録信号Dout を生成する。
図6(E)に示すように、第2の2値演算処理部27から出力される2値化記録信号Dout は、中間濃度域で網点ドットの内部に空隙を持つ2値データなる。また、本例では、空隙サイズ可変方式を採用しており、中間濃度域の略中心で空隙サイズが最大となり、その前後の濃度域では空隙サイズが漸次小さくなるように、濃度に応じて動的に空隙サイズが変化する、図3(B)に示すプロファイルが得られていることが分かる。
なお、図示を割愛するが、空隙サイズ固定方式に従う場合には、空隙サイズ可変方式における遷移点濃度Ccnt に関する判定処理とその判定結果に応じた処理はなく、多値の入力画像情報(多値画像データDMV)が第1濃度C1未満のときには第2ビットマップデータBM2の出力を全てオフ(0;ゼロ→白ドット)とし、第1濃度C1以上で第2濃度C2未満のときには、空隙サイズ対応閾値bに相当する数のドットをオン(1→黒ドット)とする第2ビットマップデータBM2を生成する。さらに、多値の入力画像情報(多値画像データDMV)が第2濃度C2を超えると、第2ビットマップデータBM2の出力を全てオフ(0;ゼロ→白ドット)とする。
このような第1実施形態の2値化処理部20による網点処理手順によれば、網点の輪郭形状を崩さずに、網点内部に空隙を持つ2値化記録信号Dout を確実に生成することができ、その網点内部のデータ上の空隙により、出力画像においては、網点内部の着色材を無くする、もしくは層厚を薄くすることができる。これにより、着色材の転写性をよくすることができ、画質を向上させることができる。また、光吸収に寄与する着色材量の割合を増加させることができるので、着色材の消費量を低減することもできる。
また、通常の網点画像と空隙を表わす画像の2つを先ず生成し、これら2つの画像を論理合成することで網点内に空隙を形成し、網点内部の着色材の量を低下させるようにしており、デジタル信号処理で比較的簡単に空隙を網点内に形成できる利点がある。
また、入力画像の濃度に対応する空隙サイズを規定するプロファイルデータ(すなわち閾値データ)を空隙プロファイル記憶部29bに記憶しておき、その閾値データと多値画像データDMVを比較して空隙を生成しているので、1つの処理装置において、プロファイルを変更することで、容易に異なる特性の空隙を持つ網点画像を生成することができ、空隙サイズや空隙発生濃度が変更されても、2値化処理のパラメータを設計しなおす必要がない。よって、空隙生成のパラメータ設計を効率的に行なうことができる。
<第1実施形態の変形例>
なお、第1実施形態では、図6(D)に示す空隙を表わす画像を生成する際に、主に低濃度側における空隙サイズを規定する第2の閾値マトリクスMTX2と高濃度側における空隙サイズを規定する第3の閾値マトリクスMTX3とを用意し、両者の合成によって多値画像データDMVの中間濃度域全体における空隙サイズを規定するようにしていたが、図7に示す変形例1のように、予め、多値画像データDMVの中間濃度域全体における空隙サイズを規定する図6(D)の網点パターンを与える空隙閾値マトリクスMTX4を空隙プロファイル記憶部29bに用意し、この空隙閾値マトリクスMTX4を使って第1の2値演算処理部26にて2値化処理を行なうようにしてもよい。このような構成とすれば、使用する閾値マトリクス数を少なくすることができる。なお、図6(D)の網点パターンを与える空隙閾値マトリクスMTX4の一例としては、1つの座標に低濃度側と高濃度側の2つの閾値を入れるようにすればよい。
また、第1実施形態では、図6(A)に示す通常の網点画像と、図6(D)に示す空隙を表わす網点画像の2つを先ず生成し、これら2つの画像を論理合成することで網点内に空隙を形成していたが、予め、図6(E)に示す空隙を持つ網点画像となるように閾値もしくは入力画像濃度を変換してから2値化処理を行なう手法(変形例2という)を採ることもできる。構成としては、図示を割愛するが、後述する第2実施形態や第3実施形態における空隙ドットの補充を行なわない仕組みにすればよい。
このような変形例2の構成とすれば、基本となる網点画像(2値画像の一例)と網点内に空隙を形成するための空隙画像(2値画像の一例)に対応する網点画像(2値画像の一例;図6(D)に相当)とを生成する複数の2値化処理部と、これら2つの2値画像を合成する機能部とを省略でき、効率よく空隙を持つ網点画像を生成することができる。
また、図示を割愛するが、2値化処理部20で生成される第1ビットマップデータBM1と第2ビットマップデータBM2とに基づいて、網点外郭ドット内部の無出力ドットの記録エネルギを着色材が低下するように変調する手法(変形例3という)を採ることもできる。つまり、上記第1実施形態では、網点を表わす電子データである2値化記録信号Dout 上で外郭ドットの内部の一部のドットを無出力ドットにする純電子的な処理であるのに対して、この変形例3は、画像記録部70における記録エネルギの制御も利用する構成とする。
この場合、画像記録部40には、マーキングエンジン部44の前段に、第1の比較処理部21から出力された第1ビットマップデータBM1(=第1の2値データDo1)をオン/オフ制御入力端子に、また第1の2値演算処理部26から出力された第2ビットマップデータBM2を変調制御端子72bにて受け取る変調制御部を設けるのがよい。
変調制御部は、第1ビットマップデータBM1を露光のオン/オフ制御信号とし、第2ビットマップデータBM2を出力変調制御データとして用いて、出力変調データDEXを生成する。マーキングエンジン部44は、網点内部の着色材が低下するように、出力変調データDEXに基づいて網点ドットの記録エネルギを制御する。
具体的には、第1ビットマップデータBM1(=オン/オフ制御信号)がオン(図6(A)におけるハッチングドット部分)のときに露光を行なうようにする。またこの際には、第2ビットマップデータBM2(=出力変調データ)が“0;ゼロ(図6(D)におけるハッチングドット部分)”のときには100%露光とし、第2ビットマップデータBM2(=出力変調データ)が“1(図6(D)における白ドット部分)”のときには少ない光量(たとえば50%以下)で露光するようにする。
こうすることで、第2ビットマップデータBM2(=出力変調データ)が“1”のドットを、実質的に無出力ドットにすることができる。なお、第1実施形態の真の無出力ドットと第2実施形態の実質的な無出力ドットとを纏めて事実上の無出力ドットと称する。
第2ビットマップデータBM2(=出力変調データ)は、第1実施形態における処理と同様の処理により求められ、これを第1ビットマップデータBM1(=オン/オフ制御信号)がオンのときにのみ露光を行なうようにすれば、結果的には、図6(E)に示したような、中間濃度域で網点ドットの内部に空隙を持つ印字パターンが得られる。
よって、変形例3においても、実質的には、第1実施形態と同様の網点出力画像を得ることができ、網点画像の内部の露光量を低減することで、出力画像においては、網点内部の着色材を無くする、もしくは層厚を薄くすることができる。これにより、着色材の転写性をよくすることができ、画質を向上させることができる。また、光吸収に寄与する着色材量の割合を増加させることができるので、着色材の消費量を低減することもできる。
また、第1実施形態では、通常の網点画像と空隙を表わす画像の2つを先ず生成し、これら2つの画像を論理合成することで網点内に空隙を形成しているので、デジタル信号処理で比較的簡単に空隙を網点内に形成できる利点があるものの、電子データ(2値化記録信号Dout )上の空隙濃度は“0;ゼロ”になり、空隙の濃度を自由に調整することが基本的にはできない。よって、網点内の着色材を薄層化する際に、その薄層化の程度を調整するには、網点内部に間引く画素の数を調整する必要が生じる。
これに対して、変形例3では、第2ビットマップデータBM2(=出力変調データ)が“1(図6(D)における白ドット部分)”のときの光量を調整して露光することができるので、変調制御部を必要とはするものの、空隙の濃度を自由に調整することができる利点がある。網点内の着色材を薄層化する際に、網点内部に間引く画素の数を同じにしつつ、薄層化の程度を調整することができる。
<2値化処理部の構成;第2実施形態>
図8は、第2実施形態の画像形成装置1に使用される2値化処理部20(第2実施形態の2値化処理部20)の構成を示す図である。この第2実施形態の2値化処理部20は、通常の網点画像を形成するための網点プロファイル記憶部29aに記憶してある第1の閾値マトリクスMTX1の閾値を、予め、空隙プロファイル記憶部29bに記憶してある空隙サイズに基づいて空隙数が補正されるように変換し、変換後の閾値を2値化処理に使用することで所定サイズの空隙を持つ網点画像を生成する点に特徴を有する。構成としては、第1実施形態の変形例2に類似しているが、閾値の変換手法に特徴を持っている。
具体的には、第2実施形態の2値化処理部20においては、先ず、網点プロファイル記憶部29aは、従来の網点成長と同様のドットパターンを出力することができる第1の閾値マトリクスMTX1の変形パターン(閾値マトリクスMTX1aと記す)を記憶するようにする。具体的には、入力画像の濃度が“0”から最大濃度Cmax に達するまで、単位網点領域内で、中央を起点として出力ドットを形成し、漸次出力ドットの数が外側に向けて増加する(外側に向けてドット成長する)ようにする。たとえば、最低濃度(“0”)時には、単位網点領域内の全てのドットが無出力ドットとなり、最大濃度Cmax 時に単位網点領域内の全てのドットが出力ドットとなるようにする。
また、第2実施形態の2値化処理部20は、網点プロファイル記憶部29aから読み出した閾値を、空隙プロファイル記憶部29bに記憶してある空隙サイズ対応閾値bを参照して変換する閾値変換部250と、閾値変換部250の変換結果を用いて2値化処理する第4の比較処理部24とを備えている。
閾値変換部250は生成される空隙を補うように、網点に出力ドットを補充する空隙ドット補正部の機能を持つ。特に、空隙プロファイル記憶部29bに保持されている空隙サイズプロファイルデータにおける処理対象の画像信号の強度に対応する空隙サイズを参照して、網点プロファイル記憶部29aに保持されている網点プロファイルデータ(第1の閾値マトリクスMTX1)における処理対象画像信号の強度(入力画像濃度を表わす多値画像データDMV)に対応する閾値を、無出力ドットが得られるように修正する閾値修正部の機能を持つ。本実施形態においては、閾値変換部250が、空隙ドット補正部と閾値修正部の両機能を兼用する構成となる。
たとえば閾値変換部250は、網点プロファイル記憶部29aに記憶してある第1の閾値マトリクスMTX1における処理対象座標値の閾値th1と、空隙プロファイル記憶部29bに記憶してある空隙サイズプロファイルにおける処理対象濃度値に対応する空隙サイズ対応閾値bとを参照して、元の処理対象座標値の閾値th1を閾値th6に変換する。閾値変換部250は、生成した閾値th6を、網点生成部兼空隙形成処理部すなわち入力された画像信号の強度に対応する数の無出力ドットで表わされる空隙を持つ、入力された画像信号の強度に対応する数の出力ドットで表わされる網点を生成可能な2値化記録信号Dout を生成する演算部の機能を持つ第4の比較処理部24に出力する。
ここで、閾値変換部250は、閾値変換処理に際して、空隙サイズ対応閾値bに応じて閾値の減少量を決定し、決定された減少量に従って空隙部以外の閾値th1を減少して閾値th6にする閾値変換処理を行なう。
このような第2実施形態の構成とすれば、詳細は後述するが、空隙を持つとともに、その空隙の数に対応した数の出力ドットが網点の外側に接着された網点画像を生成することができる。また、基本となる網点画像(2値画像の一例)と、網点内に空隙を形成するための空隙画像(2値画像の一例)に対応する網点画像(2値画像の一例;図6(D)に相当)とを生成する複数の2値化処理部と、これら2つの2値画像を合成する機能部とを省略でき、効率よく空隙を持つ網点画像を生成することができる。
加えて、網点部分(本例では網点外郭部よりも内側)に形成される空隙(無出力ドット)に対応する数の出力ドット(黒ドット)を網点の外郭部分に接着するように補充することができ、空隙サイズに対応させて、網点の外側へ出力ドットを成長させることができるようになる。
なお、この第2実施形態において、“空隙に対応する数の出力ドット”とは、両者の数が必ずしも同数であることを意味するものではない。後述する第3実施形態においても同様である。たとえば、単位網点領域が入力画像において濃度が大きく変化する位置と合致する場合には、空隙サイズと網点の外側への成長サイズが等しくならない場合もある。この結果、空隙サイズ可変方式を採用しても、空隙発生位置に疑似輪郭が生じる現象が現われる可能性が生じる。
<網点処理手順;第2実施形態>
図9および図10は、第2実施形態の2値化処理部20における2値化処理(具体的には網点処理)を説明する図である。なお、空隙プロファイル記憶部29bには、図3(B)に示す空隙サイズ可変方式の空隙サイズプロファイルデータを記憶するものとして説明する。
ここで、図9は、第2実施形態の2値化処理部20による網点処理手順の概要を示すフローチャートである。また、図10は、第2実施形態の2値化処理部20による網点処理手順によって画像記録処理を行なう場合における網点の出力例を示す図である。特に、形成された空隙に応じて網点の外側に黒ドットを補正する閾値変換部250の機能を示している。
閾値変換部250は、網点プロファイル記憶部29aから読み出した第1の閾値マトリクスMTX1の各閾値th1と、空隙プロファイル記憶部29bから読み出した処理対象の多値画像データDMVの値(入力画像濃度)と対応する空隙サイズ対応閾値bとを参照して、閾値th1を変換し、変換済みの閾値th6を第4の比較処理部24に渡す。
ここで、空隙サイズ対応閾値bを規定する入力濃度値c0は、空隙サイズ対応閾値bに応じて決定される閾値の減少量pに対応するものである。多値画像データDMVの濃度階調数と閾値マトリクスMTX1aの閾値ステップ(濃度階調数分のドットを持つ単位網点領域にする必要がある)を同じにする場合には、両者を同値にすることができる。もちろん、減少量pは、閾値マトリクスMTX1aのパラメータ設定との兼ね合いで決めればよく、空隙サイズ対応閾値bを規定する入力濃度値c0と、空隙サイズ対応閾値bに応じて決定される閾値の減少量pとを異なる値に設定してもよい。
また、空隙サイズ対応閾値bを規定する入力濃度値c0とは、空隙サイズ対応閾値bの空隙に関していえば、網点内の閾値b未満のドットを無出力ドットにする必要がある。
閾値変換部250は、具体的には、先ず、第1の閾値マトリクスMTX1の閾値th1が空隙サイズ対応閾値bを規定する入力濃度値c0より小さい(未満の)ときは空隙を発生させるために、修正後の閾値th6を、第1の閾値マトリクスMTX1を構成する各閾値th1の最大値thmax にする(S40−YES,S42)。つまり、空隙部分の閾値データを空隙ドット形成に資するように修正する。
また、第1の閾値マトリクスMTX1の閾値th1が空隙サイズ対応閾値bを規定する入力濃度値c0以上のときは、元の閾値th1を、空隙サイズ対応閾値bを規定する入力濃度値c0に対応する減少量p(本例では空隙サイズ対応閾値bを規定する入力濃度値c0と同値)分だけ小さくした値を修正後の閾値th6とする(S40−NO,S44)。このような閾値変換処理を式で示すと下記式(1)のように示すことができる。
第4の比較処理部24は、多値画像データDMVと変換済みの閾値th6とを比較し、入力画像濃度に応じた大きさの空隙を持つ、入力画像濃度に応じた大きさの網点を形成する2値化記録信号Dout を生成する(S48)。
このような第2実施形態の閾値変換処理によれば、空隙ドットの外側の閾値が一様に減少量p(=c0)分だけ小さくなり、網点輪郭内部への空隙形成処理によって空隙が発生する代わりに、出力ドット(黒ドット)が網点の輪郭の外側に向かって大きくなり易くなる。これにより、第4の比較処理部24による2値化処理によって形成される空隙の数に対応して、網点の外側に接着するように黒ドットを補正することができる。
たとえば、図10(A)に示す原理図から分かるように、網点輪郭内部への空隙形成処理によって空隙が発生する代わりに、出力ドット(黒ドット)が網点の輪郭の外側に向かって大きくなり易くなる。もちろん、図10(B)に示すように、低濃度時〜最大濃度Cmax 近傍までは単位網点領域内で空隙ドットの分を網点輪郭の外側に補充できる。また、図10(C)に示すように、最大濃度Cmax 近傍でも、単位網点領域の最外周部分に無出力ドットが存在するので、空隙ドットの分を網点輪郭の外側に補充できる。さらに、図10(D)に示すように、略最大濃度Cmax 時には、単位網点領域の最外周部分に1つの無出力ドットが存在し、これに応じて空隙ドットを1つ形成することにすれば、その空隙ドットの分を網点輪郭の外側に補充できる。
逆に言えば、入力画像濃度に応じた網点をなす出力ドットの成長具合と、入力画像濃度に対応した空隙サイズを適正化しないと、網点の外側に余っている無出力ドットの数が足りず、補正仕切れないことが起きる。第2実施形態において、このような観点で空隙サイズを適正化するには、図6において、画像濃度が低濃度側の空隙形成開始点を与える濃度C1,C3を超え最大濃度Cmax までの範囲を網点内部に白ドット(無出力ドット)を配する処理対象の濃度範囲とするのではなく、中間濃度域(C1〜C2あるいはC3〜C4)でのみ網点内に白ドット(無出力ドット)を配するようにするとよい。
この結果、電子画像上の黒ドットの面積率はほぼ維持される。つまり、空隙発生によって変化するオン/オフ画素の面積率の変化を抑制することができる。網点内に空隙を形成することで画質維持やトナー消費低減を図る際に、出力画像のエリアカバレッジを保持でき、異常な濃度変化(トーンジャンプ)が起きないようにすることができる。
また、複数の2値化処理装置と2値画像を合成する装置を省略することができ、効率よく空隙型網点画像を生成することができる。また、1つの処理装置において、プロファイルを変更することで、容易に異なる特性の空隙型網点画像を生成することができる。
<2値化処理部の構成;第3実施形態>
図11は、第3実施形態の画像形成装置1に使用される2値化処理部20(第3実施形態の2値化処理部20)の構成を示す図である。この第3実施形態の2値化処理部20は、入力画像の濃度値を、予め、空隙サイズに基づいて空隙数が補正されるように調整し、この濃度調整済みの入力画像を第4の比較処理部24の比較処理に使用する点に特徴を有する。
具体的には、第3実施形態の2値化処理部20においては、先ず、網点プロファイル記憶部29aは、第2実施形態と同様に、従来の網点成長と同様のドットパターンを出力することができる第1の閾値マトリクスMTX1の変形パターン(閾値マトリクスMTX1aと記す)を記憶するようにする。
また、第3実施形態の2値化処理部20は、入力される多値画像データDMVを、空隙プロファイル記憶部29bに記憶してある空隙サイズを参照して変換することで、多値画像データDMV2 を生成する濃度値変換部260と、濃度値変換部260の変換結果を用いて2値化処理する第4の比較処理部24とを備えている。濃度値変換部260は、変換済みの多値画像データDMV2 を、網点生成部兼空隙形成処理部の機能を持つ第4の比較処理部24に供給する。
濃度値変換部260は、生成される空隙を補うように、網点に出力ドットを補充する空隙ドット補正部の機能を持つ。特に、空隙プロファイル記憶部29bに保持されている空隙サイズプロファイルデータにおける処理対象記画像信号強度(入力画像濃度を表わす多値画像データDMV)に対応する空隙サイズを参照して、処理対象記画像信号強度を、無出力ドットが形成される方向に修正する信号強度修正部の機能を持つ。本実施形態においては、濃度値変換部260が、空隙ドット補正部と信号強度修正部の両機能を兼用する構成となる。
ここで、濃度値変換部260は、濃度変換処理に際して、空隙サイズに応じて濃度の増加量を決定し、決定された増加量に従って空隙部以外の濃度を増加させるように濃度変換処理を行なう。こうすることで、詳細は後述するが、実質的に、第2実施形態において、閾値変換部250を利用した閾値変換処理と同様に、網点部分(本例では網点内)に形成される空隙に対応する数の黒ドットを網点の外郭部分に接着するように補充することができるようになる。
<網点処理手順;第3実施形態>
図12は、第3実施形態の2値化処理部20における2値化処理(具体的には網点処理)手順の概要を示すフローチャートである。
濃度値変換部260は、色分解信号生成部10から受け取った多値画像データDMVと、空隙プロファイル記憶部29bから読み出した空隙サイズプロファイルデータとを比較して、濃度データを変換することで多値画像データDMV2 を生成し、変換済みの多値画像データDMV2 を第4の比較処理部24に渡す。
ここで、空隙サイズ対応閾値bを規定する入力濃度値c0は、空隙サイズ対応閾値bに応じて決定される濃度値の増加量qに対応するものである。多値画像データDMVの濃度階調数と閾値マトリクスMTX1aの閾値ステップ(濃度階調数分のドットを持つ単位網点領域にする必要がある)を同じにする場合には、両者を同値にすることができる。もちろん、増加量qは、閾値マトリクスMTX1aのパラメータ設定との兼ね合いで決めればよく、空隙サイズ対応閾値bを規定する入力濃度値c0と、空隙サイズ対応閾値bに応じて決定される濃度値の増加量qとを異なる値に設定してもよい。
濃度値変換部260は、具体的には、先ず、入力濃度値c1が空隙サイズ対応閾値bを規定する入力濃度値c0より大きいときは、空隙を発生させるために、多値画像データDMV2 の濃度値c2を、最低濃度値Cmin (≒0)にする(S50−NO,S52)。また、入力濃度値c1が空隙サイズ対応閾値bを規定する入力濃度値c0以下のときは、元の濃度値c1を空隙サイズに対応する増加量q(本例では空隙サイズ対応閾値bと同値)分だけ大きくした値を多値画像データDMV2 の濃度値c2とする(S50−YES,S54)。このような濃度値変換処理を式で示すと下記式(2)のように示すことができる。
第4の比較処理部24は、変換済みの多値画像データDMV2 の濃度値c2と網点プロファイル記憶部29aから読み出した閾値th1とを比較し、入力画像濃度に応じた大きさの空隙を持つ、入力画像濃度に応じた大きさの網点を形成する2値化記録信号Dout を生成する(S58)。
このような第3実施形態の濃度変換処理によれば、空隙ドットの外側の濃度値が一様に増加量q(=c0)分だけ大きくなり、網点輪郭内部への空隙形成処理によって空隙が発生する代わりに、出力ドット(黒ドット)が網点の輪郭の外側に向かって大きくなり易くなる。
よって、この第3実施形態においても、第4の比較処理部24による2値化処理によって形成される空隙の数に対応して、網点の外側に接着するように黒ドットを補正することができ、この結果、空隙発生によって変化するオン/オフ画素の面積率の変化を抑制することができる。
なお、第2実施形態と同様に、元々の網点成長の具合と濃度に対応した空隙サイズを適正化する上では、中間濃度域(C1〜C2あるいはC3〜C4)でのみ網点内に白ドット(無出力ドット)を配するようにするとよい。
また、第2実施形態と同様に、複数の2値化処理装置と2値画像を合成する装置を省略することができ、効率よく空隙型網点画像を生成することができる。また、1つの処理装置において、プロファイルを変更することで、容易に異なる特性の空隙型網点画像を生成することができる。
<2値化処理部の構成;第4実施形態>
図13は、第4実施形態の画像形成装置1に使用される2値化処理部20(第4実施形態の2値化処理部20)の構成を示す図である。この第4実施形態の2値化処理部20は、空隙の形成による出力画像の濃度誤差の積算値を算出し、この算出結果が所定の閾値以内となるように空隙形成を制御する点に特徴を有する。より詳しくは、網点内部に空隙ドットを形成することで削減される出力ドットによって生じる出力画像における濃度誤差を積算し、その誤差の積算値が所定の閾値を超えたときに、網点内部への空隙ドットの形成を止め、再度、濃度誤差の積算値が所定の閾値を超えるまで網点内部への空隙ドットの形成を行なう点に特徴を有する。
第2や第3実施形態では、網点内部に空隙を形成する都度、その網点の外側に出力ドットを補充していたが、この第4実施形態では、空隙形成で生じる濃度誤差の積算値が一定量(所定の閾値)を超えた時点で、空隙ドットの形成を止めることで、網点内部に出力ドットを補充する点が異なる。
ここでは、第2実施形態の構成に対しての変形例で説明する。第4実施形態の2値化処理部20においては、先ず、閾値変換部250は、第2実施形態における閾値変換処理のうち、空隙形成のための閾値変換を示す式(1−1)に従った処理のみを行ない、空隙ドット分を補うための閾値変換を示す式(1−2)に従った処理は行なわない。
また、第4実施形態の2値化処理部20は、第2実施形態の構成に加えて、第4の比較処理部24による2値化処理結果において、網点内部の出力ドットの削減によって生じる出力画像の濃度誤差を監視し、濃度誤差の積算値が所定範囲に収まるように閾値変換部250における閾値変換処理を制御する濃度誤差抑制処理部270を備えている。閾値変換部250と濃度誤差抑制処理部270とで、生成される空隙を補うように、網点に出力ドットを補充する空隙ドット補正部が構成される。
また、第1の閾値マトリクスMTX1の閾値th1が空隙サイズ対応閾値bを規定する入力濃度値c0以上のときは、元の閾値th1を、空隙サイズ対応閾値bを規定する入力濃度値c0に対応する減少量p(本例では空隙サイズ対応閾値bを規定する入力濃度値c0と同値)分だけ小さくした値を修正後の閾値th6とする(S40−NO,S44)。このような閾値変換処理を式で示すと下記式(1)のように示すことができる。
濃度誤差抑制処理部270は、網点内部に空隙ドットを形成することで削減される出力ドットによって生じる出力画像における濃度誤差ΔDを計算する濃度誤差演算部272と、濃度誤差演算部272により算出された濃度誤差ΔDを積算する積算部274とを備えている。
網点内に空隙を形成すれば必ず濃度誤差が生じるので、濃度誤差演算部272は、たとえば、網点内に生成する空隙数をカウントして、そのカウント値(空隙サイズと等価)を濃度誤差ΔDとする。
また、濃度誤差抑制処理部270は、積算部274により積算された濃度誤差の積算値(蓄積値)ΔDadd と所定の閾値Dthとを比較する比較部276と、比較部276による比較結果を監視しつつ、積算値ΔDadd が閾値Dthを超えたときに、網点内部への空隙ドットの形成を止め、再度、濃度誤差の積算値ΔDadd が所定の閾値Dthを超えるまで網点内部への空隙ドットの形成を行なうことができるように閾値変換部250を制御する制御部278とを備えている。
閾値変換部250は、制御部278からの変換処理停止指示を受け付けると、変換処理開始指示を受け付けるまで、第2実施形態で説明した閾値変換処理を停止する。これにより、変換処理停止期間の間は、第4の比較処理部24は、従来の2値化処理と同様に、内部に空隙のない網点を表わす2値化記録信号Dout を生成することができる。つまり、2値化処理部20全体としては、濃度誤差の積算値ΔDadd が閾値Dthを超えたときには空隙形成用の無出力ドットを出力ドットに変換する。
なお、この第4実施形態の構成は、第3実施形態の構成と組み合わせることもできる。この場合、濃度値変換部260は、第3実施形態における濃度値変換処理のうち、空隙形成のための濃度値変換を示す式(2−1)に従った処理のみを行ない、空隙ドット分を補うための濃度値変換を示す式(2−2)に従った処理は行なわない。
<網点処理手順;第4実施形態>
図14は、第4実施形態の2値化処理部20における2値化処理(具体的には網点処理)手順の概要を示すフローチャートである。
先ず、閾値変換部250は、多値画像から濃度DMV、閾値マトリクス記憶部29から閾値th1と空隙サイズc0を受け取ると、第1の閾値マトリクスMTX1の閾値th1が空隙サイズ対応閾値bを規定する入力濃度値c0より小さい(未満の)ときは、空隙を発生させるために、修正後の閾値th6を、第1の閾値マトリクスMTX1を構成する各閾値th1の最大値thmax にする。
第1の閾値マトリクスMTX1の閾値th1が空隙サイズ対応閾値bを規定する入力濃度値c0と等しい場合は濃度誤差の積算値(蓄積値)ΔDaddにDMVを加算し、ΔDaddが閾値Dthを超えた場合は空隙発生を中止し、DthからDmaxを引く。第1の閾値マトリクスMTX1の閾値th1が空隙サイズ対応閾値bを規定する入力濃度値c0以上のときは元の閾値th1をそのまま修正後の閾値th6とする。このような閾値変換処理を式で示すと下記式(3)のように示すことができる。式の意味としては、空隙と出力ドットの境界で誤差拡散法を用いることを示している。
第4の比較処理部24は、変換済みの多値画像データDMV2 の濃度値c2と網点プロファイル記憶部29aから読み出した閾値th6とを比較し、入力画像濃度に応じた大きさの空隙を持つ、入力画像濃度に応じた大きさの網点を形成する2値化記録信号Dout を生成する。
これと並行して、閾値変換部250において、注目画素が空隙、出力ドット、あるいはその境界であるかを判断する。境界と判断された場合は誤差拡散処理によってドットのオン/オフを決定する。ここで、空隙の境界部でのみ誤差拡散処理を使うのは、空隙内部に孤立ドットが発生することを防ぐためである。
図15は、出力ドット、空隙、境界部の分類を示す図である。
図16は、閾値変換部250における閾値変換処理の概要を示すフローチャートである。なお、ここでは、閾値変換部250の詳細構成例をも含めて示しており、閾値変換部250は、入力画像の濃度誤差を蓄積する誤差加算部252と、修正された蓄積誤差を蓄積する蓄積誤差記憶部254とを有している。
境界と判断されない場合(c0≠th1)は前述の空隙発生処理を行なう。境界と判断された場合(c0=th1)は、誤差加算部252は、蓄積誤差記憶部254に蓄積されている修正済の蓄積誤差ΔDaddに入力画像の濃度を誤差としてさらに蓄積する。この誤差加算部252による蓄積誤差ΔDaddが閾値Dthを超えた場合はth6を最小値とし、ΔDaddを修正する。蓄積誤差ΔDaddが閾値Dthを超えない場合はth6を最大値とする。修正されたΔDaddは蓄積誤差記憶部254に記憶される。
図17は、空隙サイズにバラツキが有る場合と無い場合の2値画像の例を示す図である。なお、(B)は(A)の部分拡大図である。空隙サイズにバラツキを持たせずに網点を形成すると、網点構造が一斉に変化して疑似輪郭が発生し易くなる。一方、空隙サイズにバラツキを持たせると、微かに構造の異なる網点が形成されるため、濃度の変わり目を知覚し難くなる。つまり、疑似輪郭が発生し難くなる。
なお、上述した第4実施形態の手法は、第2や第3実施形態の構成を採った場合において生じ得る問題を解消する手法に利用することができる。すなわち、空隙サイズと網点の外側への成長サイズが等しくならない場合における、網点外側への出力ドットを補うことができなかった分を、その積算値が閾値を超えたときに網点内部の無出力(空隙)ドットを出力ドットに変換することで、空隙発生によって変化するオン/オフ画素の面積率の変化を抑制することができる。
<2値化処理部の構成;第5実施形態>
図18は、第5実施形態の画像形成装置1に使用される2値化処理部20(第5実施形態の2値化処理部20)の構成を示す図である。また図19は、第5実施形態の2値化処理部20における2値化処理(具体的には網点処理)手順の概要を示すフローチャートである。
この第5実施形態の2値化処理部20は、網点内部に形成する空隙ドットの分をそのまま網点の外側に補充する点に特徴を有する。第2や第3実施形態と同様に、網点内部に空隙を形成する都度、その網点の外側に出力ドットを補充する点では同様であるが、形成される網点内部の空隙ドットの数と同数の出力ドットを網点の外側に補充する点が異なる。
ここでは、第2実施形態の構成に対しての変形例で説明する。第5実施形態の2値化処理部20においては、先ず、閾値変換部250は、第2実施形態における閾値変換処理のうち、空隙形成のための閾値変換を示す式(1−1)に従った処理のみを行ない、空隙ドット分を補うための閾値変換を示す式(1−2)に従った処理は行なわない。
すなわち、閾値変換部250は、式(3)に示したと同様に、第1の閾値マトリクスMTX1の閾値th1が空隙サイズ対応閾値bを規定する入力濃度値c0より小さい(未満の)ときは空隙を発生させるために、修正後の閾値th6を、第1の閾値マトリクスMTX1を構成する各閾値th1の最大値thmax にする(S100−YES,S102)。第1の閾値マトリクスMTX1の閾値th1が空隙サイズ対応閾値bを規定する入力濃度値c0以上のときは元の閾値th1をそのまま修正後の閾値th6とする(S100−NO,S104)。
第4の比較処理部24は、多値画像データDMVと変換済みの閾値th6とを比較し、入力画像濃度に応じた大きさの空隙を持つ、入力画像濃度に応じた大きさの網点を形成する2値化記録信号Dout を生成する(S108)。
また、第5実施形態の2値化処理部20は、第2実施形態の構成に加えて、空隙ドット計数部282と出力ドット補充部284と有する空隙ドット補正部280を備えている。
空隙ドット計数部282は、削減される網点内部の出力ドットの数(つまり空隙ドットの数)を記憶する(S110)。出力ドット補充部284は、空隙ドット計数部282による計数結果に基づいて、第4の比較処理部24の出力結果である2値化記録信号Dout に対して、削減される出力ドットの数と同数の出力ドットを空隙部以外(具体的には網点の外郭ドットの外側)に付加することで、空隙サイズに対応して網点の外側へ補充された出力ドット有する網点画像を示す2値化記録信号Dout2を生成する(S114)。
なお、この第5実施形態の構成は、第3実施形態の構成と組み合わせることもできる。この場合、濃度値変換部260は、第3実施形態における濃度値変換処理のうち、空隙形成のための濃度値変換を示す式(2−1)に従った処理のみを行ない、空隙ドット分を補うための濃度値変換を示す式(2−2)に従った処理は行なわない。
このような第5実施形態による網点処理によれば、網点部分(本例では網点内)に形成される空隙に対応する数の黒ドットを、網点の外郭部分に補充することができ、かつ両者の数を確実に同数とすることができる。これにより、単位網点領域が入力画像において濃度が大きく変化する位置と合致する場合にも、空隙サイズと網点の外側への成長サイズを確実に等しくすることができる。空隙サイズ可変方式との併用により、空隙発生位置に疑似輪郭が生じる現象を確実に防止しつつ、空隙発生によって変化するオン/オフ画素の面積率の変化を抑制することができる。
<2値化処理部の構成;第6実施形態>
図20は、第6実施形態の画像形成装置1に使用される網点処理手順の概要を示すフローチャートである。
閾値変換部250は、具体的には、先ず、乱数発生部290で発生させた乱数rdを取得する。第1の閾値マトリクスMTX1の閾値th1が空隙サイズ対応閾値bを規定する入力濃度値c0と乱数rdの合計より小さい(未満の)ときは空隙を発生させるために、修正後の閾値th6を、第1の閾値マトリクスMTX1を構成する各閾値th1の最大値thmax にする(S40−YES,S42)。つまり、空隙部分の閾値データを空隙ドット形成に資するように修正する。
また、第1の閾値マトリクスMTX1の閾値th1が空隙サイズ対応閾値bを規定する入力濃度値c0と乱数rdの合計以上のときは、元の閾値th1を、空隙サイズ対応閾値bに対応する減少量p(本例では空隙サイズ対応閾値bを規定する入力濃度値c0と同値)分だけ小さくした値を修正後の閾値th6とする(S40−NO,S44)。このような閾値変換処理を式で示すと下記式(4)のように示すことができる。
このような第6実施形態による網点処理によれば、空隙サイズを任意の範囲でばらつかせることができる。これにより、擬似輪郭を生じさせないために付加するノイズを必要最低限に抑えることができる。
<2値化処理部の構成;第7実施形態>
図21は、第7実施形態の画像形成装置1に使用される2値化処理部20(第6実施形態の2値化処理部20)の構成を示す図である。
閾値変換部250は、具体的には、先ず、第1の閾値マトリクスMTX1の閾値th1が空隙サイズ対応閾値bを規定する入力濃度値c0より小さい(未満の)ときは空隙を発生させるために、修正後の閾値th6を、第1の閾値マトリクスMTX1を構成する各閾値th1の最大値thmax にする(S40−YES,S42)。つまり、空隙部分の閾値データを空隙ドット形成に資するように修正する。
また、第1の閾値マトリクスMTX1の閾値th1が空隙サイズ対応閾値bを規定する入力濃度値c0以上のときは、元の閾値th1を、空隙サイズ対応閾値bに対応する減少量p(本例では空隙サイズ対応閾値bを規定する入力濃度値c0と乱数rdの合計)分だけ小さくした値を修正後の閾値th6とする(S40−NO,S44)。このような閾値変換処理を式で示すと下記式(5)のように示すことができる。
このような第7実施形態による網点処理によれば、補充サイズを任意の範囲でばらつかせることができる。これにより、擬似輪郭を生じさせないために付加するノイズを必要最低限に抑えることができる。
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
また、上記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
たとえば、第2〜第7実施形態は、生成される網点の内部に空隙ドットを形成する仕組み、すなわち、網点の生成と空隙ドットの生成とを同期式にする仕組みを前提に、空隙ドットの形成に起因する出力濃度誤差を補正する仕組みついて説明したが、この出力濃度誤差を補正する仕組みに関しては、網点の生成と空隙ドットの生成とを非同期にする仕組みにも適用することができる。ただし、網点の生成と空隙ドットの生成とが非同期の場合、空隙ドットの分を補充するための制御が複雑になる。この点では、網点の生成と空隙ドットの生成とを同期させることの効果が高い。
<電子計算機を利用した構成に関して>
また、上述した網点処理を行なう仕組みは、ハードウェア処理回路により構成することに限らず、その機能を実現するプログラムコードに基づいて電子計算機(コンピュータ)を用いてソフトウェア的に実現することも可能である。
よって、本発明に係る画像処理方法や画像処理装置あるいは画像形成装置を、電子計算機(コンピュータ)を用いてソフトウェアで実現するために好適なプログラムあるいはこのプログラムを格納したコンピュータ読取可能な記憶媒体を発明として抽出することもできる。ソフトウェアにより実行させる仕組みとすることで、ハードウェアの変更を伴うことなく、処理手順などを容易に変更できる利点を享受できるようになる。
電子計算機に一連の網点処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ(組込マイコンなど)、あるいは、CPU(Central Processing Unit )、論理回路、記憶装置などの機能を1つのチップ上に搭載して所望のシステムを実現するSOC(System On a Chip:システムオンチップ)、または、各種のプログラムをインストールすることで各種の機能を実行することが可能な汎用のパーソナルコンピュータなどに、記録媒体からインストールされる。
記録媒体は、コンピュータのハードウェア資源に備えられている読取装置に対して、プログラムの記述内容に応じて、磁気、光、電気などのエネルギの変化状態を引き起こして、それに対応する信号の形式で、読取装置にプログラムの記述内容を伝達できるものである。
たとえば、コンピュータとは別に、ユーザにプログラムを提供するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フレキシブルディスクFDを含む)、光ディスク(CD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory )、DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini Disc )を含む)、または半導体メモリなどよりなるパッケージメディア(可搬型の記憶媒体)により構成されるだけでなく、コンピュータに予め組み込まれた状態でユーザに提供される、プログラムが記録されているROMやハードディスクなどで構成されてもよい。または、ソフトウェアを構成するプログラムが、有線あるいは無線などの通信網を介して提供されてもよい。
たとえば、網点処理機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、ハードウェア処理回路にて構成する場合と同様の効果は達成される。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が網点処理の機能を実現する。
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することで、網点処理を行なう機能が実現されるだけでなく、プログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(Operating Systems ;基本ソフト)などが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によって網点処理を行なう機能が実現される場合であってもよい。
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によって網点処理を行なう機能が実現される場合であってもよい。
なお、網点処理を行なう機能を実現するプログラムコードを記述したファイルとしてプログラムが提供されるが、この場合、一括のプログラムファイルとして提供されることに限らず、コンピュータで構成されるシステムのハードウェア構成に応じて、個別のプログラムモジュールとして提供されてもよい。
1…画像形成装置、10…色分解信号生成部、20,60…2値化処理部、21,22,23,24…比較処理部、26,27…2値演算処理部、28…空隙形成処理部、29…閾値マトリクス記憶部、29a…網点プロファイル記憶部、29b…空隙プロファイル記憶部、30…2値データ記憶部、40…画像記録部、44…マーキングエンジン部、50…プロファイル切替指令部、250…閾値変換部、252…誤差加算部、254…蓄積誤差記憶部、260…濃度値変換部、270…濃度誤差抑制処理部、272…濃度誤差演算部、274…積算部、276…比較部、278…制御部、280…空隙ドット補正部、282…空隙ドット計数部、284…出力ドット補充部、290…乱数発生部