JP4639892B2 - 衝撃吸収式ステアリングコラム装置 - Google Patents
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Description
このような衝撃吸収式ステアリングコラム装置として、インナーチューブをアウターチューブに嵌合させてなるステアリングコラムを備え、アウターチューブ内に衝撃吸収用突起を設け、車両の衝突時に、衝撃吸収用突起がインナーチューブと当接して変形することで、乗員の二次衝突エネルギを吸収する構造(例えば、特許文献1)や、インナーチューブに設けた溝にアウターチューブを貫通するボルトを通し、ボルトの締め付け力でインナーチューブ及びアウターチューブの軸方向移動を規制した状態で、車両の衝突時にボルトとインナーチューブの溝の間で摩擦力を発生させることで、乗員の二次衝突エネルギを吸収する構造(例えば、特許文献2)等がある。
また、前記アウターチューブ及び前記インナーチューブの軸方向の相対位置が前記テレスコピック調整機構の調整範囲外に位置しているときには、前記第2衝突吸収手段が二次衝突エネルギを吸収するので、さらに二次衝突エネルギを効率的に吸収することができる。
図1から図11は、本発明に係る第1実施形態の衝撃吸収式ステアリングコラム装置を示すものである。
図1に示すように、本実施形態の衝撃吸収式ステアリングコラム装置は、ステアリングホイール2の操舵を車輪(図示せず)に伝達するステアリングシャフト4と、ステアリングシャフト4を内部に通して回転自在に支持するステアリングコラム6と、ステアリングホイール2の前後方向位置を調整するテレスコピック調節機構8とを備えている。
ステアリングコラム6は、ステアリングホイール2側の第1シャフト4aの外周を覆っている一端側から他端側まで同一径のアウターチューブ10と、第1シャフト4b側の外周を覆いながらアウターチューブ10内に挿入されているインナーチューブ12とを備えており、インナーチューブ12は、固定ブラケット14を介して車体側部材16に取り付けられ、アウターチューブ10は、テレスコピック調節機構8を介して車体側部材16に取り付けられている。
また、アウターチューブ10のスリット28を設けた位置に対して逆側の位置には、径方向内方に延在する回転規制ピン46が一体に設けられているとともに、この回転規制ピン46は、インナーチューブ12に軸方向に延在して形成したピン挿通溝48内に挿通されている。
テレスコピック調節機構8によりステアリングホイール2の前後方向位置を調整するには、先ず、操作レバー40のロック解除操作を行なうことで、一対のカム部材38a,38bの軸方向寸法を減少させ、一対のブラケット30a,30bの間隔を広げてアウターチューブ10を拡径させる。アウターチューブ10が拡径することで、インナーチューブ溝24(第1溝24a)に嵌まり込んでいたアウターチューブ突起26が径方向外方に移動し、インナーチューブ溝24aとの間に隙間が設けられる。
この二次衝突の初期には、アウターチューブ突起26がテレスコピックストローク範囲E内に位置しており、図5(a)に示すように、アウターチューブ突起26がインナーチューブ溝24の第1溝24aに嵌まり込んでいるので、アウターチューブ突起26のテーパ面26a,26b及び第1溝24aの溝面間で摺動抵抗が発生する。そして、このアウターチューブ突起26及び第1溝24aの間で発生する摺動抵抗により二次衝突エネルギが吸収されていく。
ところが、アウターチューブ突起26がコプラスストローク範囲Fまで移動していくと、インナーチューブ12の端部に一体化した小径チューブ20が、アウターチューブ10の内周面に設けた衝撃吸収突起22に当接し、この衝撃吸収突起22が変形することで二次衝突エネルギを吸収する。
また、図12に示すものは、図2で示したスリット28を設けてアウターチューブ10を拡径、縮径させるテレスコピック調節機構に対して異なる構造を示すものである。
上記構成のテレスコピック調節機構8は、操作レバー40のロック操作を行なうことで一対のカム部材38a,38bの軸方向寸法を増大させ、ブラケット30のU字形状の間隔を狭めると、アウターチューブ10が支持軸36a,36bの軸線を結ぶ線上で締め付けられている。
アウターチューブ10が支持軸36a,36bの軸線を結ぶ線上で締め付けられていくと、支持軸36a,36bの軸線を結ぶ側に近接して配置されているアウターチューブ突起26が径方向内方へ移動していき、インナーチューブ溝24(第1溝24a)内に向けて押し付け力が増大しながら嵌まり込んでいく。
本実施形態のインナーチューブ12は、一端側から他端側まで同一径のチューブである。
アウターチューブ10の端部にはテーパーチューブ50が同軸に連結され、開口端側に小径チューブ52が同軸に連結されている。
そして、本実施形態では、図13に示すように、インナーチューブ突起56がアウターチューブ溝54の第1溝54aを軸方向に移動する範囲を、テレスコピックストローク範囲Eとし、インナーチューブ突起56がアウターチューブ溝54の第2溝54b及び第3溝54c内を軸方向に移動する範囲を、コプラスストローク範囲Fとしている。
ここで、本実施形態のアウターチューブ溝54及びインナーチューブ突起56が本発明の第1衝突吸収手段に相当する。
これにより、本実施形態は、テレスコピック調整機構8により調整したステアリングホイール2の前後方向位置の調整スロトークが最大、或いは最小であっても、テレスコピックストローク範囲E内(アウターチューブ溝54の第1溝54a内)にインナーチューブ突起56が位置することで発生する摺動抵抗により、二次衝突の初期でエアバック反力を吸収するような衝撃吸収特性を得ることができる。そして、コプラスストロークFの範囲ではインナーチューブ12が衝撃吸収突起22に当接し、衝撃吸収突起22が変形することで、従来と同等の二次衝突エネルギを吸収するような衝撃吸収特性を得ることができる。
なお、本実施形態のインナーチューブ突起56も、例えば図7に示した円錐台形状や、図11に示した球体形状であってもよい。
本実施形態のアウターチューブ10及びインナーチューブ12は、一端側から他端側までの径が同一のチューブである。
インナーチューブ12には、インナーチューブ溝58が軸方向に設けられており、図示しないが、インナーチューブ12の軸線に対して対称となる位置に2本設けられている。このインナーチューブ溝58は、テレスコピックストローク範囲Eの溝幅を狭く(以下、第1溝58aと称する)、コプラスストローク範囲Fの溝幅を広くしている(以下、第2溝58bと称する)。
ここで、本実施形態のインナーチューブ溝58及びアウターチューブ突起60が本発明の第1衝突吸収手段に相当する。
本実施形態のアウターチューブ突起60も、例えば図7に示した円錐台形状や、図11に示した球体形状であってもよい。
本実施形態のアウターチューブ10及びインナーチューブ12も、一端側から他端側までの径が同一のチューブである。
アウターチューブ10には、アウターチューブ溝62が軸方向に設けられており、図示しないが、アウターチューブ10の軸線に対して対称となる位置に2本設けられている。
このアウターチューブ溝62は、テレスコピックストローク範囲Eの溝幅を狭く(以下、第1溝62aと称する)、コプラスストローク範囲Fの溝幅を広くしている(以下、第2溝62bと称する)。
ここで、本実施形態のアウターチューブ溝62及びインナーチューブ突起64が本発明の第1衝突吸収手段に相当する。
さらに、図17及び図18に示すものは、本発明に係る第5実施形態の衝撃吸収式ステアリングコラム装置の要部を示すものである。
本実施形態のアウターチューブ10及びインナーチューブ12も、一端側から他端側までの径が同一のチューブである。
また、アウターチューブ10の内周面には、テレスコピックストローク範囲Eにおいて前記複数の突起66の何れかに嵌まり込む1つの突起68が形成されている。この突起68は、横断面三角形状に形成されて周方向に延在している。
ここで、本実施形態のインナーチューブ12の外周面に形成した複数の突起66と、アウターチューブ10の内周面に形成した突起68とが、本発明の第1衝突吸収手段に相当する。
なお、図示しないが、テレスコピックストローク範囲E内で、アウターチューブ10の内周面に複数の突起68を軸方向に連続して形成し、インナーチューブ12の外周面に1つの突起68を形成してアウターチューブ10の複数の突起68に嵌まり込むようにしても、同様の効果を奏することができる。
3 ステアリングシャフト
4a 第1シャフト
4b 第2シャフト
6 ステアリングコラム
8 テレスコピック調節機構
10 アウターチューブ
12 インナーチューブ
16 車体側部材
18 テーパーチューブ
20 小径チューブ
22 衝撃吸収突起
24 インナーチューブ溝
24a 第1溝
24b 第2溝
24c 第3溝
26 アウターチューブ突起
28 スリット
30,30a,30b ブラケット
34 ロック機構
36,36a,36b 支持軸
38a,38b カム部材
40 操作レバー
46 回転規制ピン
48 ピン挿通溝
50 テーパーチューブ
52 小径チューブ
54 アウターチューブ溝
54a 第1溝
54b 第2溝
54c 第3溝
56 インナーチューブ突起
58 インナーチューブ溝
58a 第1溝
58b 第2溝
60 アウターチューブ突起
62 アウターチューブ溝
62a 第1溝
62b 第2溝
64 インナーチューブ突起
66,68 突起
E テレスコピックストローク範囲
F コプラスストローク範囲
Claims (11)
- ステアリングホイールの操舵を車輪に伝達するステアリングシャフトと、インナーチューブ及びアウターチューブが互いに軸方向に相対変位自在に嵌合してなり、前記ステアリングシャフトを回転自在に支持するステアリングコラムと、前記インナーチューブ及び前記アウターチューブを軸方向に相対変位させて前記ステアリングホイールの軸方向位置を調整するテレスコピック調整機構と、前記インナーチューブ及び前記アウターチューブの軸方向の相対位置が前記テレスコピック調整機構の調整範囲内に位置しているときに、車両の衝突時による乗員の二次衝突エネルギを吸収する第1衝突吸収手段と、前記アウターチューブ及び前記インナーチューブの軸方向の相対位置が前記テレスコピック調整機構の調整範囲外に位置しているときに、前記二次衝突エネルギを吸収する第2衝突吸収手段と、を備え、
前記第2衝突吸収手段の前記二次衝突エネルギを吸収する量が増加するに従って、前記当該第1衝突吸収手段の前記二次衝突エネルギを吸収する量が減少するようにしたことを特徴とする衝撃吸収式ステアリングコラム装置。 - 前記アウターチューブ及び前記インナーチューブの軸方向の相対変位を規制するテレスコピック規制手段を設け、
前記第1衝突吸収手段は、テレスコピック規制手段の規制状態のときに、前記二次衝突エネルギを吸収することを特徴とする請求項1記載の衝撃吸収式ステアリングコラム装置。 - 前記第1衝突吸収手段は、前記アウターチューブに形成した第1嵌合部材と、前記インナーチューブに形成した第2嵌合部材とを備えており、
前記第1嵌合部材及び前記第2嵌合部材は、前記テレスコピック規制手段の規制状態のときに、互いが嵌合することで発生する摺動抵抗により前記二次衝突エネルギを吸収することを特徴とする請求項2記載の衝撃吸収式ステアリングコラム装置。 - 前記第1嵌合部材は、前記アウターチューブの内面から前記インナーチューブの外周に向けて突出する突起形状を有し、前記第2嵌合部材は、前記インナーチューブの外周に、少なくとも前記テレスコピック調整機構の調整範囲内で軸方向に連続して形成され、前記テレスコピック規制手段の規制状態のときに、前記第1嵌合部材が嵌合する溝形状を有していることを特徴とする請求項3記載の衝撃吸収式ステアリングコラム装置。
- 前記第2嵌合部材は、前記インナーチューブの外面から前記アウターチューブに突出する突起形状を有し、前記第1嵌合部材は、前記テレスコピック規制手段の規制状態のときに、前記第2嵌合部材と嵌合する前記アウターチューブの表面に形成された、少なくとも前記テレスコピック調整機構の調整範囲内で軸方向に連続した溝形状を有していることを特徴とする請求項3記載の衝撃吸収式ステアリングコラム装置。
- 前記第1嵌合部材は、前記アウターチューブの内面から前記インナーチューブに突出する突起形状を有し、前記第2嵌合部材は、前記インナーチューブの外面から前記アウターチューブに突出する突起形状を有し、前記第1嵌合部材と前記第2嵌合部材のどちらか一方は、少なくとも前記テレスコピック調整機構の調整範囲内で軸方向に連続した突起を有していることを特徴とする請求項3記載の衝撃吸収式ステアリングコラム装置。
- 前記テレスコピック規制手段は、前記アウターチューブの円周上を締め付けて縮径することで前記アウターチューブ及び前記インナーチューブの軸方向の相対変位を規制し、前記第1衝突吸収手段は、前記テレスコピック規制手段の規制状態のときに、前記アウターチューブと前記インナーチューブとが近接する範囲に、前記第1嵌合部材及び前記第2嵌合部材を配置したことを特徴とする請求項3乃至6の何れかに記載の衝撃吸収式ステアリングコラム装置。
- 前記テレスコピック規制手段は、前記アウターチューブの直径方向を締め付けることで前記アウターチューブ及び前記インナーチューブの軸方向の相対変位を規制し、前記第1衝突吸収手段は、前記テレスコピック規制手段の規制状態のときに、前記締め付け方向で前記アウターチューブと前記インナーチューブとが近接する範囲に、前記第1嵌合部材及び前記第2嵌合部材を配置したことを特徴とする請求項3乃至6の何れかに記載の衝撃吸収式ステアリングコラム装置。
- 前記第1嵌合部材及び前記第2嵌合部材は、前記アウターチューブ及び前記インナーチューブの軸方向の相対位置が前記テレスコピック調整機構の調整範囲外のときに、前記摺動抵抗が減少するように互いの嵌合力が弱まるようにしたことを特徴とする請求項3乃至8の何れかに記載の衝撃吸収式ステアリングコラム装置。
- 前記インナーチューブと前記アウターチューブは、これらアウターチューブ及びインナーチューブの軸方向の相対位置が前記テレスコピック調整機構の調整範囲外のときに、前記第1衝突吸収手段が配置されている部分の前記インナーチューブと前記アウターチューブとの隙間が広がるように形成したことを特徴とする請求項4乃至9の何れかに記載の衝撃吸収式ステアリングコラム装置。
- 溝形状とした前記第1嵌合部材及び前記第2嵌合部材の一方は、前記アウターチューブ及び前記インナーチューブの軸方向の相対位置が前記テレスコピック調整機構の調整範囲外のときに、突起形状とした前記第1嵌合部材及び前記第2嵌合部材の他方との嵌合位置の溝幅が広がるように形成したことを特徴とする請求項4乃至10の何れかに記載の衝撃吸収式ステアリングコラム装置。
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