しかしながら、上記の如く対向基板の外側領域に、駆動回路部を構成することは、これら駆動回路部以外にも、外部回路接続端子群からの配線領域の形成、マザー基板からの切断時のマージン領域の形成等が必要となる。これらの結果、画像表示領域の面積をそのままにして電気光学装置の小型化ができないという技術的問題点がある。
本発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであり、画像表示領域の面積をそのまま確保しながら小型化可能である電気光学装置及びこれを備えた各種電子機器を提供することを課題とする。
本発明の電気光学装置は、一対の第1及び第2基板と、前記第1基板に、画像表示領域に配列されており画素電極を夫々有する複数の画素部と、前記第1基板の第1辺に沿って配列された複数の外部回路接続端子と、前記第1基板の前記第1辺に隣接する少なくとも一つの第2辺に沿って配置されており走査線を介して前記画素部を駆動するための走査線駆動回路と、を備え、前記第2基板に、前記画素電極に対向する対向電極を備え、前記第1基板に、前記複数の外部回路接続端子のうちの対向電極用端子から引き回された対向電極用引回配線と、平面的に見て前記第2辺と前記走査線駆動回路との間の領域に配置された上下導通端子と、前記外部回路接続端子から前記走査線駆動回路へ引き回される走査線駆動回路用引回配線とを更に備え、前記第1及び第2基板間に、前記上下導通端子と前記対向電極とを電気的に相互接続する上下導通材と、前記第1及び第2基板を貼り合せるシール材とを備え、前記走査線駆動回路は、平面的に見て前記シール材が配置されたシール領域と前記画像表示領域との間の領域に配置されており、前記対向電極用引回配線は、前記第1基板上で平面的に見て前記上下導通端子と前記走査線駆動回路用引回配線との間の前記シール領域内に前記第2辺に沿って配置されると共に前記上下導通端子と重なる部分で前記上下導通端子と電気的に接続される第1配線部分を含むことを特徴とする。
また、本発明の第1電気光学装置は上記課題を解決するために、一対の第1及び第2基板間に電気光学物質が挟持されてなり、前記第1基板は、その第1辺において平面的に見て前記第2基板より張り出した張出部を有する電気光学装置であって、前記第1基板に、画像表示領域に配列されており画素電極を夫々有する複数の画素部と、前記画像表示領域の周辺に位置する周辺領域において前記第1基板の前記第1辺に隣接する少なくとも一つの第2辺に沿って配置されており走査線を介して前記画素部を駆動するための走査線駆動回路と、前記周辺領域において前記第1辺に沿って配置されておりデータ線を介して前記画素部を駆動するためのデータ線駆動回路と、前記周辺領域のうち前記張出部上にある領域において前記第1辺に沿って配列された複数の外部回路接続端子とを備え、前記走査線駆動回路と前記複数の外部回路接続端子の一部から前記走査線駆動回路へ引き回される走査線駆動回路用引回配線とは、前記張出部上を除く前記周辺領域では、前記第1基板上で平面的に見て前記第2基板が存在する領域内に配置されている。
本発明の第1電気光学装置によれば、その動作時には、走査線駆動回路により走査線を介して走査信号が画素部に供給され、データ線駆動回路によりデータ線を介して画像信号が画素部に供給され、例えば液晶等の電気光学物質を各画素部で駆動することで、アクティブマトリクス駆動が行なわれる。尚、このような走査線及びデータ線は、例えば、第1基板上に相互に交差するように且つ夫々複数配線される。また、このような画素部は、例えば、画素電極と、走査線にゲートが接続され且つデータ線から供給される画像信号を走査線から供給される走査信号に応じて画素電極へ選択的に供給する画素スイッチング用のTFTとを有する。
本発明の第1電気光学装置では特に、第1基板は、その第1辺において平面的に見て第2基板より張り出した張出部を有し、周辺領域のうち、この張出部上にある領域に、第1辺に沿って複数の外部回路接続端子を備える。走査線駆動回路は、第2辺に沿って配置されており、データ線駆動回路は、第1辺に沿って配置されている。ここで、走査線駆動回路と走査線駆動回路用引回配線とは、張出部上を除く周辺領域では、第2基板が存在する領域内に配置されているので、張出部を除く周辺領域、即ち第1辺を除く各辺については、第1及び第2基板を、ほぼ又は完全に面一にすることが可能となる。言い換えれば、外部回路接続端子が配列された張出部位外については、第1及び第2基板の平面形状を、ほぼ又は完全に同一にすることが可能となる。
以上の結果、本発明の第1電気光学装置によれば、電気光学装置における周辺領域を画像表示領域に対して狭めることが可能となり、画像表示領域を狭めることなく当該電気光学装置を小型化することが可能となる。そして特に、このような構成とすれば、複数の第1基板となるマザー基板上に複数の電気光学装置を形成した後に切断して個々の電気光学装置にするという汎用的な製造工程において、同一面積内により多くの電気光学装置を形成することが可能となる。同一マザー基板上に当該電気光学装置を数枚や十数枚或いは数十枚配列して製造する場合、例えば第1基板のサイズをコンマ数mmや数mm程度に僅かに小さくできるだけでも、同一マザー基板上に一列や複数列だけ多く、或いは一行や複数行だけ多く、当該電気光学装置を形成することも可能となり得る。よって、このように第1基板のサイズを僅かに小さくできるだけでも、実用上は、極めて有益であり、その効果は絶大であると言える。
尚、走査線駆動回路は、第1辺の両端において隣接する二つの第2辺に沿って、二つの又は分割された回路として設けられてもよい。この場合、二つの第2辺の夫々について又はいずれか一方のみについて、上述した走査線駆動回路についての平面レイアウトを採ることで、上述した本発明独自の効果が得られる。
本発明の第1電気光学装置の一態様では、前記第1及び第2基板間に、前記周辺領域の一部において前記電気光学物質を封止するシール材を更に備え、前記走査線駆動回路は、前記周辺領域のうち前記シール材が配置されたシール領域よりも前記画像表示領域に近い側の領域に配置されている。
この態様によれば、走査線駆動回路は、シール領域よりも画像表示領域に近い側の領域、即ちシール領域の内側に配置されているので、第2辺におけるシール領域やその外側には、例えば、引回配線等のみを配線すればよい。或いは、何らの引回配線も配線しなくてもよい。よって、シール領域から、第2辺における第1基板の縁までの距離を狭めることが可能となる。従って、第1及び第2基板を、ほぼ又は完全に面一にしつつ、画像表示領域を狭めることなく第1基板のサイズを狭めることが可能となるので、一層有利である。
本発明の第1電気光学装置の他の態様では、前記第1基板に、前記複数の外部回路接続端子のうち前記データ線駆動回路及び前記走査線駆動回路に接続された端子よりも前記第1辺の端寄りに設けられた対向電極用端子から引き回された対向電極用引回配線と、該対向電極用引回配線に接続されており前記周辺領域に配置された上下導通端子とを更に備え、前記第2基板に、前記画素電極に対向する対向電極を備え、前記第1及び第2基板間に、前記上下導通端子と前記対向電極とを電気的に相互接続する上下導通材を備え、前記対向電極用引回配線は、前記第1基板上で平面的に見て前記上下導通端子よりも前記画像表示領域に近い側を通過する第1配線部分を含む。
この態様によれば、画素電極及び対向電極間に縦電界を発生させることで、電気光学物質を画素毎に縦電界駆動することが可能となる。この態様では特に、このような対向電極との上下導通をとる上下導通端子を、第1基板の縁近くに寄せて配置しつつ、その内側に対向電極用引回配線を、他の引回配線と交差することなく引き回すことが可能となる。これにより、第1基板上における、張出部から第2基板に対向する部分にかけて、効率良く引回配線を平面レイアウトすることができる。そして特に、対向電極用引回配線を上下導通端子よりも内側を通過するので、複数の第1基板となるマザー基板上に複数の電気光学装置を形成した後に切断して個々の電気光学装置にするという汎用的な製造工程において、例えばスクライビング、ダイシング、カッティング等の切断工程を施した際に、対向電極用引回配線が断線する可能性を低減できる。よって、第1及び第2基板を、ほぼ又は完全に面一にしつつ、製造不良を低減する観点から、実用上大変有利である。
本発明の第2電気光学装置は上記課題を解決するために、一対の第1及び第2基板間に電気光学物質が挟持されてなり、前記第1基板は、その第1辺において平面的に見て前記第2基板より張り出した張出部を有する電気光学装置であって、前記第1基板に、画像表示領域に配列されており画素電極を夫々有する複数の画素部と、前記画像表示領域の周辺に位置する周辺領域において前記第1基板の前記第1辺に隣接する少なくとも一つの第2辺に沿って配置されており走査線を介して前記画素部を駆動するための走査線駆動回路と、前記周辺領域において前記第1辺に沿って配置されておりデータ線を介して前記画素部を駆動するためのデータ線駆動回路と、前記周辺領域のうち前記張出部上にある領域において前記第1辺に沿って配列された複数の外部回路接続端子とを備え、前記第2基板に、前記画素電極に対向する対向電極を備え、前記第1基板に、前記複数の外部回路接続端子のうち前記データ線駆動回路及び前記走査線駆動回路に接続された端子よりも前記第1辺の端寄りに設けられた対向電極用端子から引き回された対向電極用引回配線と、該対向電極用引回配線に接続されており前記周辺領域に配置された上下導通端子とを更に備え、前記第1及び第2基板間に、前記上下導通端子と前記対向電極とを電気的に相互接続する上下導通材を備え、前記対向電極用引回配線は、前記第1基板上で平面的に見て前記上下導通端子よりも前記画像表示領域に近い側を通過する第1配線部分を含む。
本発明の第2電気光学装置によれば、上述した第1電気光学装置の場合と概ね同様に動作し、特に、画素電極及び対向電極間に縦電界を発生させることで、電気光学物質を画素毎に縦電界駆動することが可能となる。
本発明の第2電気光学装置では特に、第1基板は、その第1辺において平面的に見て第2基板より張り出した張出部を有し、周辺領域のうち、この張出部上にある領域に、第1辺に沿って複数の外部回路接続端子を備える。走査線駆動回路は、第2辺に沿って配置されており、データ線駆動回路は、第1辺に沿って配置されている。ここで、このような対向電極との上下導通をとる上下導通端子を、第1基板の縁近くに寄せて配置しつつ、その内側に対向電極用引回配線を、他の引回配線と交差することなく引き回すことが可能となる。これにより、第1基板上における、張出部から第2基板に対向する部分にかけて、効率良く引回配線を平面レイアウトすることができる。そして特に、対向電極用引回配線を上下導通端子よりも内側を通過するので、マザー基板上に複数の電気光学装置を形成した後に切断して個々の電気光学装置にするという汎用的な製造工程において、例えばスクライビング、ダイシング、カッティング等の切断工程を施した際に、対向電極用引回配線が断線する可能性を低減できる。よって、第1及び第2基板を、ほぼ又は完全に面一にしつつ、製造不良を低減する観点から、実用上大変有利である。従って、張り出し部を除く周辺領域、即ち第1辺を除く各辺については、第1及び第2基板を、ほぼ又は完全に面一にすることも可能となる。
以上の結果、本発明の第2電気光学装置によれば、電気光学装置における周辺領域を画像表示領域に対して狭めることが可能となり、画像表示領域を狭めることなく当該電気光学装置を小型化することが可能となる。そして特に、このような構成とすれば、マザー基板上に複数の電気光学装置を形成した後に切断して個々の電気光学装置にするという汎用的な製造工程において、同一面積内により多くの電気光学装置を形成することが可能となる。
尚、走査線駆動回路は、第1辺の両端において隣接する二つの第2辺に沿って、二つの又は分割された回路として設けられてもよく、これに対応して、上下導通端子及び対向電極用引回配線についても、第1辺の両端に夫々、設けられてもよい。この場合、二つの第2辺の夫々について又はいずれか一方のみについて、上述した対向電極用引回配線についての平面レイアウトを採ることで、上述した本発明独自の効果が得られる。
本発明の第1電気光学装置における上下導通端子等を備えた態様に係る更なる態様又は第2電気光学装置の一態様では、前記第1配線部分は、前記第1基板上で平面的に見て前記走査線駆動回路よりも前記画像表示領域から遠い側を通過する。
この態様によれば、第1基板上の周辺領域において、対向電極用引回配線は、その第1配線部分において、上下導通端子の内側を通過し且つ走査線駆動回路よりも外側を通過するので、第1基板上における、張出部から第2基板に対向する部分にかけて、一層効率良く引回配線を平面レイアウトすることができる。これにより、画像表示領域から第2辺における第1基板の縁までの距離を一層狭めることも可能となる。
本発明の第1電気光学装置における上下導通端子等を備えた態様に係る更なる態様又は第2電気光学装置の他の態様では、前記上下導通端子は、前記第2基板のコーナー部に配置されており、前記第1配線部分及び前記外部回路接続端子から前記走査線駆動回路へ引き回される走査線駆動回路用引回配線は、前記第1基板上で平面的に見て、前記上下導通端子のうち前記第1辺の端に位置するコーナー部に配置されたものと前記データ線駆動回路との間を通過するように配置されている。
この態様によれば、例えば、第2基板の4つのコーナー部、即ち四隅に上下導通端子が配置される。或いは、例えば、第2基板の第1辺の両端に位置する2つのコーナー部、即ちニ隅に上下導通端子が配置される。ここで、対向電極用引回配線は、その第1配線部分において、コーナー部で上下導通端子の内側を通過し且つ第2辺に沿って走査線駆動回路よりも外側を通過する。従って、一層効率良く引回配線を平面レイアウトすることができる。これにより、画像表示領域から第2辺等における第1基板の縁までの距離を一層狭めることも可能となる。
本発明の第1電気光学装置における上下導通端子等を備えた態様に係る更なる態様又は第2電気光学装置の他の態様では、前記対向電極用引回配線は、前記周辺領域のうち、前記第1基板上で平面的に見て前記上下導通端子よりも前記画像表示領域から遠い側の領域を通過する第2配線部分を更に含み、前記第1及び第2配線部分を含んでなる冗長配線構造を有する。
この態様によれば、対向電極用引回配線は、第1基板上において、上下導通端子の内側を通過する第1配線部分と上下導通端子の外側を通過する第2配線部分とを含み、冗長配線として構成されている。従って、第1配線部分のみから構成する場合と比べて、対向電極用引回配線の配線抵抗を顕著に下げることが可能となり、表示画像の品位向上につながる。加えて特に、マザー基板上に複数の電気光学装置を形成した後に切断して個々の電気光学装置にするという汎用的な製造工程において、例えばスクライビング、ダイシング、カッティング等の切断工程を施した際に、仮に第2配線部分が仮に断線したとしても、第1配線部分により、対向電極用引回配線としての機能は維持される。即ち、第2配線部分のみから構成する場合と比べて、対向電極用引回配線の信頼性を顕著に高めることが可能となる。
この態様では、前記第1及び第2基板間に、前記周辺領域の一部において前記電気光学物質を封止するシール材を更に備え、前記走査線駆動回路は、前記周辺領域のうち前記シール材が配置されたシール領域よりも前記画像表示領域に近い側の領域に配置されており、前記第1及び第2配線部分のうち少なくとも一方は、前記シール領域内に少なくとも部分的に配線されているように構成してもよい。
このように構成すれば、走査線駆動回路を、第1基板上でシール領域よりも内側に配置すると共に、第1及び第2配線部分のうち少なくとも一方をシール領域内に配置するので、シール領域から第1及び第2基板の縁までの距離を短くすることが可能となる。即ち、シール領域を第2基板の縁に近接させつつ、張り出し部を除く周辺領域については、第1及び第2基板を、ほぼ又は完全に面一にする構成を、比較的容易に構築することが可能となる。しかも、走査線駆動回路の回路素子をシール領域に設けないことで、製造工程中に第1及び第2基板を張り合わせる際に、シール材に対して作用する圧縮力によって、該回路素子にダメージを与える事態を未然防止できる。従って、実用上も大変有利である。
或いはこの態様では、前記第1及び第2基板間に、前記周辺領域の一部において前記電気光学物質を封止するシール材を更に備え、前記走査線駆動回路は、前記周辺領域のうち前記シール材が配置されたシール領域よりも前記画像表示領域に近い側の領域に配置されており、前記対向電極用引回配線は、前記第1及び第2配線部分の間を接続する短冊状又は櫛歯状の第3配線部分を更に含み、該第3配線部分は、前記シール領域内に少なくとも部分的に配線されているように構成してもよい。
このように構成すれば、対向電極用引回配線における冗長配線構造を、第3配線部分の存在により実現できる。特に、第3配線部分は、短冊状又は櫛歯状であるので、第1基板の縁寄りに位置すると共に製造中や製品完成後に、相対的にダメージをより受けやすい第2配線部分に断線が生じても、冗長配線構造を維持することができ、非常に小さいダメージとして済ませることも可能となる。即ち、短冊状又は櫛歯状の第3配線部分によって、第2配線部分の欠陥によって装置全体が不良化するのを効率的に防ぐことが可能となる。加えて特に、シール材を紫外線硬化性樹脂等の光硬化性樹脂から形成する場合に、短冊状又は櫛歯状の第3配線部分の隙間或いはストライプ状の間隙を介して、光を通過させることも可能である。従って、第1基板側から、係る隙間或いは間隙を介して、紫外線等の光を照射することで、シール材を適切に硬化させることができる。更に加えて、走査線駆動回路を、第1基板上でシール領域よりも内側に配置すると共に、第3配線部分をシール領域内に配置するので、シール領域から第1及び第2基板の縁までの距離を短くすることが可能となる。よって、走査線駆動回路の回路素子をシール領域に設けないことで、製造工程中に第1及び第2基板を張り合わせる際に、シール材に対して作用する圧縮力によって、該回路素子にダメージを与える事態を未然防止できる。尚、第3配線部分は、シール材を介して仮に対向基板側の対向電極とショートしたとしても、これは、元々対向電極の電位を供給するための配線であるから、何ら問題は生じない。
以上の結果、基板サイズの小型化、冗長配線構造、光硬化及び製造中におけるダメージ防止という複数の観点から優れており、このような優れた点が有機的に結合されてなる本構成は、実用上極めて有利である。
この場合更に、前記シール材には、前記第1及び第2基板間の基板間ギャップを制御するためのギャップ材が混入されており、前記第3配線部分は、前記シール領域内に配線されたシール領域内配線に対し前記基板間ギャップを合わせるためのダミー配線として機能するように構成してもよい。
このように構成すれば、シール材に混入された、例えばビーズ状やファイバー状のギャップ材により、基板間ギャップを制御する際に、例えば画像信号線或いはその引き出し配線、サンプリング回路駆動信号線等のシール領域内配線が存在する、第1辺に沿ったシール領域部分における第1基板の表面高さと、第3配線部分が存在する第2辺に沿ったシール領域部分における第1基板の表面高さとを、ダミー配線として機能する第3配線部分が存在しなかった場合と比較して、近付けることが可能となる。好ましくは、このような第3配線部分のダミー配線機能によって、両方の第1基板の表面高さを一致させることも可能となる。尚、ここにいう「第1基板の表面の高さ」とは、例えば基板の裏面など、基準面を基準とする高さであり、例えば、積層構造中に配線が存在すれば、その個所では、その厚みだけ、基板の表面は高くなる、即ち凸状に盛り上る訳である。ダミー配線は、シール領域内配線の存在により、第1辺に沿ったシール領域部分における凸状に盛り上げられた表面状態と同じ又は類似の表面状態を、第2辺に沿ったシール領域部分にも作り出すことを可能としている。
よって、このような表面上に配置されるギャップ材によって、シール領域の第1辺及び第2辺、更に好ましくは全辺或いは全周に渡って、基板間ギャップを高精度で制御することが可能となる。
以上の結果、基板サイズの小型化、冗長配線構造、光硬化及び製造中におけるダメージ防止という複数の観点に加えて、基板間ギャップの制御の観点からも優れており、このような優れた点が有機的に結合されてなる本構成は、実用上極めて有利である。
この場合更に、前記データ線駆動回路は、前記周辺領域のうち、前記シール領域よりも前記画像表示領域から遠い側の領域に配置されており、前記第1基板に、前記周辺領域のうち前記シール領域よりも前記画像表示領域に近い側の領域に、前記複数の外部回路接続端子のうち前記対向電極用端子よりも前記第1辺の中央寄りに設けられた画像信号用端子から、画像信号用引回配線を介して供給される画像信号を、前記データ線駆動回路からサンプリング回路駆動信号線を介して供給されるサンプリング回路駆動信号に応じてサンプリングして前記データ線に供給するサンプリング回路を更に備え、前記シール領域内配線は、前記画像信号用引回配線及び前記サンプリング回路駆動信号線の前記シール領域を通過する配線部分を含むように構成してもよい。
このように構成すれば、その動作時には、データ線駆動回路からサンプリング回路駆動信号線を介してサンプリング回路駆動信号をサンプリング回路に供給しつつ、画像信号用引回配線を介して画像信号をサンプリング回路に供給することで、データ線に対する画像信号の提供を所定タイミングで行うことが可能となり、高周駆動によるアクティブマトリクス駆動が可能となる。ここで特に、第1辺に沿ったシール領域部分を通過する画像信号用引回配線及びサンプリング回路駆動信号線は、シール領域内配線であり、第2辺に沿ったシール領域部分を通過する第3配線部分は、これらのシール領域内配線に対するダミー配線として機能する。従って、アクティブマトリクス駆動における駆動周波数を高めつつ基板間ギャップを高精度で制御することで、より一層高品位の画像表示が可能となる
この場合更に、前記第1及び第2基板の少なくとも一方に、前記画像表示領域の額縁を規定する額縁遮光膜を更に備え、前記走査線駆動回路及び前記サンプリング回路は、前記周辺領域のうち、前記額縁遮光膜が形成された額縁領域内に少なくとも部分的に配置されているように構成されてもよい。
このように構成すれば、第1基板上でシール領域の内側に位置する額縁領域を利用して、走査線駆動回路及びサンプリング回路を形成する領域を確保可能となる。よって、シール領域の内側に配置された走査線駆動回路及びサンプリング回路画像表示領域の存在によって、画像表示領域が小さくなることを効果的に防止できる。尚、走査線駆動回路又はサンプリング回路は、その全体が、額縁領域内に配置されてもよいし、その画像表示領域に近い側の一部のみが、額縁領域内に配置されてもよい。後者の場合には、画像表示領域から遠い側の他の部分については、額縁領域とシール領域の間の領域や、シール領域内に配置されることになる。
或いは、本発明の第1電気光学装置における上下導通端子等を備えた態様に係る更なる態様又は第2電気光学装置の他の態様では、前記対向電極用引回配線は、前記外部回路接続端子から引き回される他の引回配線よりも配線幅が広く、前記上下導通端子の下を通過すると共に前記上下導通端子の下を通過する個所において前記上下導通端子に接続されている。
この態様によれば、対向電極用引回配線は、幅広の配線幅を持つので、その配線抵抗を配線幅に応じて下げることが可能となり、表示画像の品位向上につながる。加えて特に、対向電極用引回配線は、上下導通端子の下を通過するので、幅広の対向電極用引回配線が第1基板上で占める領域と、上下導通端子が第1基板上で占める領域とを重ねることが可能となり、これら両者が、有限の第1基板上の領域に示す面積を不必要に大きくしないことが可能となり、最終的には、第1基板のサイズの小型化に寄与する。加えて特に、上下導通端子の下を通過する個所において、対向電極用引回配線は、上下導通端子に接続されているので、両者間の電気的な接続は、コンタクトホールを開孔する等、比較的簡単に実施できるという利点も得られる。
尚、このような構成において、光硬化性のシール材を用いる場合には、片側からの照射によって、即ち第2基板側からの光の照射によって、これを硬化させればよい。
本発明の第1又は第2電気光学装置の他の態様では、前記第1基板は、平面的に見て、前記第1辺を除く辺については、前記第2基板に対して張り出していない。
この態様によれば、画像表示領域の大きさに対して第1基板を小さくするという、本発明の効果を極めて有効に発揮させることが可能となる。
或いは、本発明の第1又は第2電気光学装置に係る、対向電極用引回配線を備えた態様では、当該電気光学装置は、マザー基板上に複数形成された後に切断工程によって切断されてなり、前記対向電極用端子は、前記第1辺の最端に配置されており、前記対向電極用引回配線は、前記第2辺における前記第1基板の縁から前記切断工程における切断マージンだけ離間して、前記第2辺に沿って配線されている部分を含む。
この態様によれば、対向電極用端子は、前記第1辺の最端に配置されているので、他の引回配線と交差しない平面レイアウトを採ることが容易となる。加えて特に、前記対向電極用引回配線のうち第1基板の縁に沿って配置される部分は、この縁から切断工程における切断マージンだけ離間している。よって、例えばスクライビング、ダイシング、カッティング等の切断工程を施した際に、前記対向電極用引回配線が断線する可能性を低減できる。
本発明の電子機器は、上述した本発明の電気光学装置を具備してなるので、高品位の画像を表示可能な、テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなど、更には電気光学装置を露光用ヘッドとして用いたプリンタ、コピー、ファクシミリ等の画像形成装置など、各種電子機器を実現できる。また、本発明の電子機器として、例えば、電子ペーパなどの電気泳動装置、電子放出装置(Field Emission Display及びConduction Electron-Emitter Display)等を実現することも可能である。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、本発明の電気光学装置の一例である駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例にとる。
<第1実施形態>
第1実施形態に係る電気光学装置について、図1から図6を参照して説明する。
先ず、図1及び図2を参照して、本実施形態に係る電気光学装置の全体構成について、説明する。ここに図1は、本実施形態に係る電気光学装置の構成を示す平面図であり、図2は、図1のH−H´線での断面図である。
図1及び図2において、本実施形態に係る電気光学装置では、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
図1において、シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。この一辺に沿ったシール領域よりも内側に、サンプリング回路301が額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。また、走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿ったシール領域の内側に、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。更に、このように画像表示領域10aの両側に設けられた二つの走査線駆動回路104間をつなぐため、TFTアレイ基板10の残る一辺に沿い、且つ、前記額縁遮光膜53に覆われるようにして複数の配線105が設けられている。また、TFTアレイ基板10上には、対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域に、両基板間を上下導通材107で接続するための上下導通端子106が配置されている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
図2において、TFTアレイ基板10上には、駆動素子である画素スイッチング用のTFT(Thin Film Transistor)や走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成される。画像表示領域10aには、画素スイッチング用TFTや走査線、データ線等の配線の上層に画素電極9aが設けられている。他方、対向基板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上に、遮光膜23が形成されている。そして、遮光膜23上に、ITO等の透明材料からなる対向電極21が複数の画素電極9aと対向して形成される。
次に図3から図5を参照して、走査線駆動回路104と、外部回路接続端子102から上下導通端子106へと引き回される引回配線との平面レイアウトの詳細について説明する。ここに図3は、本実施形態に係る電気光学装置のうち図1の円領域L12を拡大して示した部分平面図である。図4は、データ線駆動回路及びサンプリング回路に係る回路構成の概略を引回配線と共に示す回路図である。図5は、上下導通端子から共通電位(LCCOM)が供給される対向電極と画素回路とに係る回路構成の概略を示す回路図である。
図3に示すように、本実施形態では特に、TFTアレイ基板10は、その第1辺(図3中、下辺)において、平面的に見て対向基板20より張り出した張出部10eを有し、張出部10e上にある領域に、第1辺に沿って複数の外部回路接続端子102を備える。複数の外部回路接続端子102は、画像信号を供給するための画像信号用端子102a、走査線駆動回路104に、クロック信号、反転クロック信号、スタートパルス信号、走査方向制御信号、電源信号、その他の特殊制御信号等の各種信号を供給するための走査線駆動回路用端子102b、及び上下導通端子106に共通電位LCCOMを供給するための対向電極電位用端子102cとを含む。尚、複数の外部回路接続端子102は、その他にも、データ線駆動回路101に、クロック信号、反転クロック信号、スタートパルス信号、走査方向制御信号、電源信号、その他の特殊制御信号等の各種信号を供給するための、不図示のデータ線駆動回路用端子、検査用の端子等も含む。
走査線駆動回路104は、第2辺(図3中、左辺)に沿って配置されており、走査線駆動回路用端子102bからは、走査線駆動回路用引回配線118が走査線駆動回路104まで引き回されている。
対向電極用端子102cからは、対向電極用引回配線71が上下導通端子106まで引き回されており、更に、第2辺にそって他の上下導通端子106まで引き回されている。
データ線駆動回路101は、第1辺に沿って配置されており、不図示のデータ線駆動回路用端子からデータ線駆動回路用引回配線がデータ線駆動回路101まで引き回されている。
画像信号用端子102aからは、画像信号線115が、データ線駆動回路101の周囲に沿って引き回されている。画像信号線115からは、分岐配線116がサンプリング回路301へと配線されている。他方、データ線駆動回路101からは、サンプリング回路駆動信号線117が、サンプリング回路301へと配線されている。
これらデータ線駆動回路101及びサンプリング回路301に係る回路構成や、引回配線等による電気的な接続関係は、図4に示した通りである。
即ち図4に示すように、画像信号線115からの分岐配線116は、サンプリング回路301を構成するTFT等からなるサンプリングスイッチ302のソースに接続されており、データ線駆動回路101からのサンプリング回路駆動信号線117は、サンプリングスイッチ302のゲートに接続されている。よって、電気光学装置の動作時には、外部回路から画像信号用端子102aに印加される画像信号は、画像信号線115からの分岐配線116を経てサンプリング回路301へ供給され、ここで、データ線駆動回路101からサンプリング回路駆動信号線117を経て供給される、シフトレジスタ出力に基づくサンプリング回路駆動信号に応じたタイミングで、サンプリングされる。そして、サンプリングされた画像信号は、各データ線6aに供給されることになる。
画像信号線115からの分岐配線116を経てサンプリング回路301へ供給される画像信号は、線順次に供給されても構わないが、本実施形態においては、画像信号は、6相にシリアル−パラレル展開された画像信号の夫々に対応して、6本のデータ線6aの組に対してグループ毎に供給されるよう構成されている。尚、画像信号の相展開数に関しては、6相に限られるものでなく、例えば、9相、12相、24相など、複数相に展開された画像信号が、その展開数に対応した数を一組としたデータ線6aの組に対して供給されるよう構成してもよい。
また、このような動作時には、外部回路から対向電極用端子102cに印加される共通電位LCCOMは、対向電極用引回配線71及び上下導通端子106を介して、対向電極21へと供給されることになる。
図5に示すように、上述のように共通電位LCCOMが供給される対向電極21は、液晶層50を挟んで画素電極9aと対向配置されており、液晶容量50aを構築している。ここで、各画素部には、上述のように画像信号が供給されるデータ線6aが、そのソースに接続された画素スイッチング用TFT30を有する。このTFT30のゲートには、走査線駆動回路104(図1から図3参照)から走査信号が供給される走査線3aが接続されている。従って、走査線3aを介して走査信号が供給されるタイミングで、TFT30が導通状態とされることで、データ線6a及びTFT30のソースドレイン間を介して画素電極9aに画像信号が書き込まれることになる。尚、液晶容量50aにおける電位の保持特性を高めるために、液晶容量50aと並列に蓄積容量70が構築されている。
このような蓄積容量70は、所定電位を供給する容量線300の一部又はこれに接続された固定電位側容量電極と、画素電極9aに接続された画素電位側容量電極とが誘電体膜を介して対向配置されることで、構築される。
このように構成されているため、本実施形態に係る電気光学装置は、その動作時には、走査線駆動回路104により走査線3aを介して走査信号が画素部に供給され、データ線駆動回路101によりデータ線6aを介して画像信号が画素部に供給され、各画素部におけるアクティブマトリクス駆動が行なわれるのである。
再び図3において、走査線駆動回路104と対向電極用引回配線71とは、張出部10e上を除く周辺領域では、対向基板20が存在する領域内に配置されている。このため、張出部10eを除く周辺領域、即ち第2辺については、TFTアレイ基板10及び対向基板20を、ほぼ面一にすることが可能となる。
更に、本実施例では特に、走査線駆動回路104は、シール材52が配置されたシール領域よりも画像表示領域に近い側の領域に配置されているので、シール領域から、第2辺におけるTFTアレイ基板10の縁までの距離を狭めることが可能となる。
しかも、本実施形態では、対向電極用引回配線71は、上下導通端子106よりも画像表示領域に近い側を通過するので、上下導通端子106を、TFTアレイ基板10の縁近くに寄せて配置しつつ、その内側に対向電極用引回配線71を、他の引回配線と交差することなく引き回すことが可能とされている。加えて、本実施形態では、対向電極用引回配線71は、走査線駆動回路104よりも画像表示領域から遠い側を通過する。より具体的には、対向電極用引回配線71は、対向基板20のコーナー部で上下導通端子106の内側を通過し且つ第2辺に沿って走査線駆動回路104よりも外側を通過する。
これらにより、図3から分かるように、TFTアレイ基板10上における、張出部10eから対向基板20に対向する部分にかけて、対向電極用引回配線71を含む引回配線を、極めて効率良く平面レイアウトすることが可能とされている。
ここで図6に示した本実施形態に係る比較例と比較することで、上述の如く構成された本実施形態の作用効果について検討する。ここに図6は、本実施形態の比較例における図3と同趣旨の部分平面図である。
図6に示す比較例では、走査線駆動回路104と走査線駆動回路用引回配線71cとは、張出部10e上を除く周辺領域において、対向基板20が存在しない領域内に配置されている。その他の構成については、図3に示した実施形態と概ね同様である。このため、比較例においては、張出部10eを除く周辺領域、即ち第2辺についても、TFTアレイ基板10及び対向基板20を、面一にすることができていない。
図3に示した本実施形態の電気光学装置では、図6の比較例に比べて、TFTアレイ基板10の幅をΔWだけ狭めることができ、これにより、第2辺については、TFTアレイ基板10及び対向基板20を、ほぼ面一にすることが可能となるのである。
以上詳細に説明したように、本実施形態によれば、電気光学装置における周辺領域を画像表示領域に対して狭めることが可能となり、画像表示領域を狭めることなく当該電気光学装置を小型化することが可能となる。そして特に、このような構成とすれば、複数の第1基板となるマザー基板上に複数の電気光学装置を形成した後に切断して個々の電気光学装置にするという汎用的な製造工程において、同一面積内により多くの電気光学装置を形成することが可能となる。
加えて、対向電極用引回配線71を上下導通端子106よりも内側を通過するので、複数のTFTアレイ基板10となるマザー基板上に、複数の電気光学装置を形成した後に切断して個々の電気光学装置にするという汎用的な製造工程において、例えばスクライビング、ダイシング、カッティング等の切断工程を施した際に、対向電極用引回配線71が断線する可能性を低減できる。このようにマザー基板上に複数形成後に切断工程によって切断して当該電気光学装置を製造する場合には、対向電極用端子102cを図3に示したように、第1辺の最端に配置すると共に、対向電極用引回配線71を第2辺におけるTFTアレイ基板10の縁から切断工程における切断マージンだけ離間して、前記第2辺に沿って配線するとよい。これにより、切断工程を施した際に、対向電極用引回配線71が断線する可能性を低減できる。
<第2実施形態>
第2実施形態に係る電気光学装置について、図7を参照して説明する。ここに図6は、第2実施形態における図3と同趣旨の部分平面図である。尚、図6において、図1から図6に示した第1実施形態に係る構成要素と同様の構成要素に同一の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
図7に示すように第2実施形態は、対向電極用引回配線72が、上下導通端子106の外側を通過している。その他の構成については、上述した第1実施形態の場合と同様である。
このように構成された第2実施形態によれば、複数のTFTアレイ基板10となるマザー基板上に、複数の電気光学装置を形成した後に切断して個々の電気光学装置にするという汎用的な製造工程において、例えばスクライビング、ダイシング、カッティング等の切断工程を施した際に、対向電極用引回配線72が断線する可能性が高くなり得るが、それ以外については、第1実施形態の場合と同様又は類似の効果が相応に得られる。尚、第2実施形態において対向電極用引回配線72が断線する可能性が低めるためには、第1実施形態の場合と比較して、TTFTアレイ基板10の幅を、多少幅広にとるとよい。
<第3実施形態>
第3実施形態に係る電気光学装置について、図8を参照して説明する。ここに図8は、第3実施形態における図3と同趣旨の部分平面図である。尚、図8において、図1から図6に示した第1実施形態に係る構成要素と同様の構成要素に同一の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
図8に示すように第3実施形態は、対向電極用引回配線73が、上下導通端子106の内側を通過する第1配線部分73a、上下導通端子106の外側を通過する第2配線部分73b、シール領域内で第1配線部分73a及び第2配線部分73b間に短冊状或いは櫛馬状に形成された第3配線部分73c、並びに、対向電極用端子102cから第1配線部分73a及び第2配線部分73bに引き回された幅広の第4配線部分73dを含む。その他の構成については、上述した第1実施形態の場合と同様である。
このように構成された第3実施形態によれば、対向電極用引回配線73は、第1配線部分73a及び第2配線部分73bが並列の配線であることから、低抵抗化が図られている。しかも両者は第3配線部分73cにより接続されているので、冗長構造を有する。特に、マザー基板上に複数の電気光学装置を形成した後に切断して個々の電気光学装置にするという汎用的な製造工程において、第2配線部分73bが一箇所又は複数箇所において仮に断線したとしても、第1配線部分73aにより、対向電極用引回配線73としての機能は維持される。
更に、第1配線部分73aをシール領域内に配置するので、シール領域からTFTアレイ基板10の縁までの距離を短くすることが可能となる。しかも、走査線駆動回路104をシール領域に設けないことで、製造工程中に第1及び第2基板を張り合わせる際に、シール材52に対して作用する圧縮力によって、該回路素子にダメージを与えることもない。
しかも、第3配線部分73cは、短冊状又は櫛歯状であるので、シール材52を紫外線硬化性樹脂から形成する場合に、短冊状又は櫛歯状の第3配線部分の隙間73Sを介して、光を通過させることで、紫外線硬化を実施できる。これに対して、第4配線部分73dについては、シール領域になく、その光硬化とは無関係であるので、幅広に形成することで、対向電極用引回配線73の低抵抗化を図るようにしている。
尚、シール領域に配線された第1配線部分73aや第3配線部分73cが、シール材52を介して対向電極21とショートしても、これは同電位であるので支障はない。
本実施形態では特に、シール材52に混入されたギャップ材により、基板間ギャップを制御する際に、図4の如くに電気的に接続された、本発明に係る「シール領域内配線」の一例としてのサンプリング回路駆動信号線117及び分岐配線116が配線された、第1辺に沿ったシール領域部分におけるTFTアレイ基板10の表面高さと、第3配線部分73cが存在する第2辺に沿ったシール領域部分におけるTFTアレイ基板10の表面高さとを、近付けることが可能となる。好ましくは、第3配線部分73cが配線された個所におけるTFTアレイ基板10上における積層構造を、サンプリング回路駆動信号線117及び分岐配線116が配線された個所における積層構造と同一にすることで、両表面高さを殆ど同一にすることも可能である。これにより、シール材52に混入されたギャップ材によって、シール領域全周に渡って、基板間ギャップを高精度で制御することが可能となる。
<第4実施形態>
第4実施形態に係る電気光学装置について、図9を参照して説明する。ここに図9は、第4実施形態における図3と同趣旨の部分平面図である。尚、図9において、図1から図6に示した第1実施形態に係る構成要素と同様の構成要素に同一の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
図9に示すように第4実施形態は、対向電極用引回配線74が、幅広に形成されており、上下導通端子106の下側を通過する。その他の構成については、上述した第1実施形態の場合と同様である。
このように構成された第4実施形態によれば、対向電極用引回配線74を幅広に形成することで、その低抵抗化を図っている。また、対向電極用引回配線74は、上下導通端子106の下を通過するので、幅広の対向電極用引回配線74が第1基板上で占める領域と、上下導通端子106がTFTアレイ基板10上で占める領域とを重ねることが可能となり、限られた基板上領域を節約できる。加えて、上下導通端子106の下を通過する個所において、対向電極用引回配線74は、上下導通端子にコンタクトホールにより容易に接続可能である。
尚、このような構成において、光硬化性のシール材52を用いる場合には、対向基板20側からの光照射によって、これを硬化させればよい。
<電子機器>
次に、上述した電気光学装置である液晶装置を各種の電子機器に適用する場合について説明する。
まず、この液晶装置をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。図10は、プロジェクタの構成例を示す平面図である。この図10に示されるように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106および2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gに入射される。
液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等であり、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、RおよびBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。したがって、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
ここで、各液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gによる表示像について着目すると、液晶パネル1110Gによる表示像は、液晶パネル1110R、1110Bによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
なお、液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。
次に、液晶装置を、モバイル型のパーソナルコンピュータに適用した例について説明する。図11は、このパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。図11において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、液晶表示ユニット1206とから構成されている。この液晶表示ユニット1206は、先に述べた液晶装置1005の背面にバックライトを付加することにより構成されている。
さらに、液晶装置を、携帯電話に適用した例について説明する。図12は、この携帯電話の構成を示す斜視図である。図12において、携帯電話1300は、複数の操作ボタン1302とともに、反射型の液晶装置1005を備えるものである。この反射型の液晶装置1005にあっては、必要に応じてその前面にフロントライトが設けられる。
尚、図10から図12を参照して説明した電子機器の他にも、液晶テレビや、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置及び該電気光学装置を備えてなる電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
9a…画素電極、10…TFTアレイ基板、10a…画像表示領域、10e…張出部、20…対向基板、21…対向電極、23…遮光膜、50…液晶層、52…シール材、53…額縁遮光膜、71〜74…対向電極用引回配線、101…データ線駆動回路、102…外部回路接続端子、104…走査線駆動回路、105…複数の配線、106…上下導通端子