以下に、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図6は第1実施形態を示していて、図1は本発明によるタイヤ空気圧制御装置を備えた4輪自動車を概略的に示している。本発明によるタイヤ空気圧制御装置は、図1に示したように、左右前輪FL,FRに対応してそれぞれ設けられた左右一対の空気圧生成ユニットFLA,FRAを備えるとともに、左右後輪RL,RRに対応してそれぞれ設けられた左右一対の空気圧生成ユニットRLA,RRAを備えている。
また、本発明によるタイヤ空気圧制御装置は、図1に示したように、車両に装備されている既存の油圧ブレーキ装置における各ホイールブレーキWfl,Wfr,Wrl,WrrとブレーキアクチュエータBAをアクチュエータとして利用し、これらの作動を制御する電気制御装置ECUを制御ユニットとして利用し、各車輪速センサSflw,Sfrw,Srlw,Srrwを各空気圧生成ユニットFLA,FRA,RLA,RRAの駆動によって生じる車両の挙動量(車両の偏向に関連する動作量)を検出する挙動量検出手段として利用する形態で構成されている。
各空気圧生成ユニットFLA,FRA,RLA,RRAは、その一つ(右前輪FRに装着されている空気圧生成ユニットFRA)を例として図2および図3に示したように、各車輪FL,FR,RL,RRの回転によって駆動可能で各車輪FL,FR,RL,RRのタイヤ空気室Rb(図2に例示したようにホイールB1とタイヤB2によって形成されている)に供給される加圧空気をそれぞれ生成可能なエアーポンプAPと、タイヤ空気室RbとエアーポンプAPを接続する空気圧回路に介装されてタイヤ空気室RbとエアーポンプAPと大気間のそれぞれの連通を制御する制御弁装置VAを備えていて、各車輪FL,FR,RL,RRのタイヤ空気圧を下限設定値P1から上限設定値P2(P1<P2)間に維持可能である。
エアーポンプAPと制御弁装置VAは、図2および図3にて例示したように、車輪FRとともに回転する車軸ハブ11に組付けられていて、車軸ハブ11の車両内側端には駆動車軸12がスプライン嵌合されていてトルク伝達可能に連結されている。なお、車軸ハブ11と駆動車軸12の連結は、ロックナット13によって固定されている。
エアーポンプAP(エアーコンプレッサと謂われることもある)は、大気を断熱圧縮して加圧空気を生成するものであり、車輪FRの回転に伴って駆動され車輪FRの回転停止に伴って駆動を停止されるように構成されていて、車輪FRの回転に基づいて圧力制御バルブ30を通して車輪FRのタイヤ空気室Rbに加圧空気を供給可能であり、回転不能な円筒部材21と、車軸ハブ11の軸部11aに形成した回転可能なシリンダ22と、往復動体としてのピストン23を備えるとともに、カム部材24と一対のカムフォロア25を備えている。
円筒部材21は、支持部材(図示省略)に回転不能に支持されるものであり、その内部にシリンダ22が一対の軸受Br1とBr2と一対の環状シール部材26,27を介して車輪FRの回転中心回りに回転可能かつ液密的に支持されている。一対の軸受Br1とBr2は、軸方向に所定量離れて配置されていて、カム部材24を軸方向にて挟むようにして円筒部材21とシリンダ22間に介装されており、シリンダ22を円筒部材21に対して回転可能としている。一対の環状シール部材26,27は、軸方向に所定量離れて配置されていて、カム部材24と両軸受Br1とBr2を軸方向にて挟むようにして円筒部材21とシリンダ22間に介装されており、円筒部材21とシリンダ22間を液密的にシールしている。
シリンダ22は、シリンダ本体22Aと、このシリンダ本体22Aの車両外側端部に気密的かつ脱着可能に螺着されたシリンダヘッド22Bによって構成されている。シリンダ本体22Aは、車軸ハブ11の軸部11aに一体的に形成されていて、一対の軸方向長孔22aと、シリンダ軸方向に延びるシリンダ内孔22bを有している。シリンダヘッド22Bは、車軸ハブ11に気密的かつ脱着可能に組付けた有底筒状の栓部材であり、吸入兼吐出通路22cと吐出通路22dを有するとともに、導圧通路22eと吸入通路22fを有している。
一対の軸方向長孔22aは、ピストン23と各カムフォロア25をシリンダ22と一体回転可能かつピストン軸方向に往復動可能にガイドするガイド手段であり、シリンダ22の周方向にて180度の間隔で形成されている。シリンダ内孔22bは、ピストン23を収容していて、シリンダヘッド22Bによって車両外側端部を閉塞されており、シリンダヘッド22Bとピストン23とによりポンプ室Roを形成している。
吸入兼吐出通路22cは、圧力制御バルブ30の弁体31に設けた連通路31aに常時連通していて、シリンダヘッド22Bに組付けた吸入チェック弁Vi(断面がV字状の環状シール部材で構成されている)を通してポンプ室Roに空気を導入可能であるとともに、圧力制御バルブ30の弁体31に組付けた吐出チェック弁Vo(断面がV字状の環状シール部材で構成されている)を通してポンプ室Roから空気を導出可能である。
吐出通路22dは、吐出チェック弁Voを通して空気室Ra1に吐出された加圧空気を車軸ハブ11に設けた吐出通路11bに導く通路であり、シリンダヘッド22Bに設けた径方向の連通孔22d1と、シリンダヘッド22Bの外周に設けた連通溝22d2によって構成されている。なお、車軸ハブ11に設けた吐出通路11bは、図2に示したように、車輪FRに設けた連通路Baを通してタイヤ空気室Rbに連通している。
導圧通路22eは、シリンダヘッド22Bに設けたシリンダ径方向の連通孔であり、圧力制御バルブ30の弁体31とストッパ32間に形成されている空気室Ra2に吐出通路22d内の加圧空気の圧力を導入可能である。吸入通路22fは圧力制御バルブ30の弁体31に設けた大気連通路31bに常時連通していて、圧力制御バルブ30の弁体31に設けた連通路31aに対しては連通・遮断可能である。なお、弁体31に設けた大気連通路31bは、調整装置40の調整ネジ42に形成した大気連通路42bを通して常時大気に連通している。
ピストン23は、シリンダ22のシリンダ内孔22bに一対の環状シール部材28,29を介して挿入されていて、シリンダ22に対して一体回転可能かつピストン軸方向に往復動可能に組付けられている。また、ピストン23には、環状溝23aとピストン径方向に延びる貫通孔23bが形成されている。一対の環状シール部材28,29は、軸方向に所定量離れて配置されていて、ピストン23の軸方向端部にてピストン23とシリンダ22間に介装されており、ピストン23とシリンダ22間を気密的かつ液密的にシールしている。
環状溝23aは、一対の環状シール部材28,29間にてピストン23の外周に形成されていて、シリンダ22間に環状空間R1を形成している。この環状空間R1は、シリンダ22の各軸方向長孔22aを通して、一対の環状シール部材26,27間に形成された環状空間R2に連通している。各環状空間R1,R2は、ピストン23がピストン軸方向に往復動しても容積が変化しないものであり、4個のシール部材26,27,28,29によって密封されている。また、環状空間R1,R2等は、所要量の潤滑油を収容するオイル室であって、このオイル室には、軸受Br1,Br2、カム部材24、カムフォロア25および圧縮コイルスプリングSp等が収容されている。
カム部材24は、ピストン軸方向にて連接した一対のカムスリーブ24A,24Bによって構成されていて、円筒部材21に一体的に(軸方向に移動不能かつ回転不能に)設けられており、シリンダ22に対して同軸的に配置されている。また、カム部材24は、環状で軸方向に変動のあるカム部24aを有していて、同カム部24aはカム溝であり、各カムフォロア25のボール25cが係合している。カム部24aは、各カムフォロア25のボール25cからピストン軸方向の荷重(図示左右方向の荷重)とピストン径方向の荷重(図示上下方向の荷重)を受けるカム面を有していて、このカム面は断面形状がV字形状であり、シリンダ22の周方向にて偶数周期(例えば、2周期)で形成されている。
各カムフォロア25は、ピストン23内にて二分割されたシャフト25aと、これら各シャフト25aに組付けられたローラー25bおよびボール25cによって構成されていて、シャフト25aにてピストン23の貫通孔23bにピストン23の径方向へ移動可能に設けられている。また、各カムフォロア25は、ピストン径方向に延出する端部、すなわち、ボール25cにてカム部材24のカム部(カム溝)24aに係合していて、カム部材24に対して相対回転することによりピストン軸方向に移動する。
各シャフト25aは、ピストン23の貫通孔23bにピストン23の径方向(貫通孔23bの軸方向)にて移動可能に組付けられた荷重伝達子であり、その内部に介装した圧縮コイルスプリングSpによってピストン23の径外方に付勢されている。また、各シャフト25aは、ローラー25bを回転可能に支持する支持体であって、ピストン23の貫通孔23bから突出する小径端部にてローラー25bを回転可能に支持している。
各ローラー25bは、シャフト25aの小径端部に回転可能に嵌合された状態にてシリンダ22の軸方向長孔22aに転動可能に嵌合されていて、カムフォロア25のシリンダ軸方向移動に伴ってシリンダ22の軸方向長孔22aに沿って転がることが可能である。また、各ローラー25bは、外端に半球凹状の受承部を有していて、この受承部にてボール25cを転動可能に支持している。
各ボール25cは、ローラー25bに転動可能に支持されてカム部材24のカム部(カム溝)24aに対して転動可能に係合するカムフォロア25の凸部であり、シャフト25aとローラー25bを介して圧縮コイルスプリングSpの弾撥力を受けてカム部材24のカム部(カム溝)24aに隙間なく弾撥的に係合している。
圧縮コイルスプリングSpは、各カムフォロア25のボール25cをカム部材24のカム部(カム溝)24aに向けてピストン23の径方向に押圧する押圧手段であって、各カムフォロア25のシャフト25aに設けた有底の取付孔に所定の予備荷重を付与した状態で組付けられている。
このエアーポンプAPにおいては、圧力制御バルブ30の弁体31が図2および図3の図示位置に保持されている状態でシリンダ22(車軸ハブ11)が回転すると、ピストン23とカムフォロア25がシリンダ22と一体的に回転してカム部材24に対して相対回転し軸方向に移動する。このため、シリンダ22の回転運動をピストン23の往復動に変換可能であり、ピストン23の往復動によりポンプ室Roの容積を増大・減少させることができて、常時大気に連通している大気連通路31bと吸入通路22fと吸入チェック弁Viと連通路31aと吸入兼吐出通路22cを通して空気をポンプ室Roに吸入し、ポンプ室Roから吸入兼吐出通路22cと連通路31aと吐出チェック弁Voを通して空気を吐出することが可能である。
制御弁装置VAは、タイヤ空気室Rb内のタイヤ空気圧に応じて作動する機械式の制御弁装置であり、圧力制御バルブ30および調整装置40を備えるとともに、圧力制御バルブ30の内部に同軸的に配置したリリーフバルブ50を備えていて、エアーポンプAPとともに車軸ハブ11の軸部(回転軸)11aに同軸的に配置されている。
圧力制御バルブ30は、シリンダヘッド22B内に組付けられていて、弁体31とストッパ32を備えるとともに、スプリングリテーナ33を介して弁体31に係合していて弁体31の移動タイミングと移動位置を制御可能で弁体31への付勢力(ばね力)を調整装置40によって調整可能な圧縮コイルスプリング34を備えている。この圧力制御バルブ30は、タイヤ空気室Rbの空気圧(P)が下限設定値P1に低下したときに作動状態(弁体31が圧縮コイルスプリング34,52の付勢力に抗して図示位置から所定量移動した状態)から図示状態に切り換ってポンプ室Roからタイヤ空気室Rbに加圧空気を供給可能であり、ポンプ室Roからタイヤ空気室Rbに供給される加圧空気の圧力が上限設定値P2に上昇したときに図示状態から作動状態に切り換ってポンプ室Roからタイヤ空気室Rbへの加圧空気の供給を制限(停止)可能である。
弁体31は、外周に組付けた吐出チェック弁Voと環状のシール部材35を介して、シリンダヘッド22B内に気密的かつシリンダ軸方向に移動可能に組付けられていて、シリンダヘッド22Bとの間に吐出通路22dに連通する空気室Ra1を形成するとともに、ストッパ32との間に吐出通路22dに導圧通路22eを通して連通する空気室Ra2を形成している。ストッパ32は、内周に環状のシール部材36を組付けられるとともに、外周に環状のシール部材37を組付けられていて、シリンダヘッド22Bと弁体31間に気密的に介装されており、外周の車両外側端部にてシリンダヘッド22Bに一体的に螺着されている。
空気室Ra1は、吐出通路22dと吐出通路11bと連通路Baを通してタイヤ空気室Rbに常時連通している。空気室Ra2は、導圧通路22eと吐出通路22dと吐出通路11bと連通路Baを通してタイヤ空気室Rbに常時連通している。空気室Ra1に露呈する弁体31の受圧面積は、空気室Ra2に露呈する弁体31の受圧面積より所定量大きく設定されている。
この圧力制御バルブ30においては、タイヤ空気室Rbの空気圧(P)が下限設定値P1に低下してから上限設定値P2に上昇するまでのときに、弁体31が図示位置に保持されていて、連通路31aと吸入通路22fの連通が吸入チェック弁Viによって遮断されている。このため、吸入チェック弁Viが大気からポンプ室Roへの空気流れを許容し、かつ吐出チェック弁Voがポンプ室Roからタイヤ空気室Rbへの空気流れを許容した状態(図示状態)で、吸入チェック弁Viが連通路31aと吸入通路22f間の連通を遮断してポンプ室Roから大気への空気流れを規制し、かつ吐出チェック弁Voがタイヤ空気室Rbからポンプ室Roへの空気流れを規制する。
したがって、この状態(圧力制御バルブ30がエアーポンプAPからタイヤ空気室Rbへの加圧空気の供給を許容する許容状態)では、車輪FRの回転に伴うピストン23の往復動により、大気がポンプ室Roに吸入されるとともに、加圧空気がポンプ室Roからタイヤ空気室Rbに向けて吐出される。この状態は、エアーポンプAPが加圧空気を生成する状態(空気圧生成ユニットFRAの駆動状態)であり、エアーポンプAPを駆動することにより生じる負荷(車輪FRに作用する回転抵抗)は大である。
また、この圧力制御バルブ30においては、タイヤ空気室Rbの空気圧(P)が上限設定値P2に上昇してから下限設定値P1に低下するまでのときに、弁体31が圧縮コイルスプリング34,52の付勢力に抗して図示位置から所定量軸方向に移動していて、連通路31aが吸入チェック弁Viに拘わらず吸入通路22fに連通している。このため、吸入チェック弁Viがその機能(逆流阻止機能)を消失しており、連通路31aが吸入通路22fに連通してポンプ室Roと大気間での空気流れを許容し、かつ吐出チェック弁Voが吐出通路22dと連通路31a間、すなわち、ポンプ室Roとタイヤ空気室Rb間での空気流れを規制する。なお、弁体31が圧縮コイルスプリング34,52の付勢力に抗して図示位置から所定量移動した状態(作動状態)では、弁体31の段部がストッパ32の内周に組付けた環状のシール部材36に当接している。
したがって、この状態(圧力制御バルブ30がエアーポンプAPからタイヤ空気室Rbへの加圧空気の供給を禁止する禁止状態)では、車輪FRの回転に伴ってピストン23が往復動しても、ポンプ室Roに吸入された空気が大気に向けて押し戻されて、ポンプ室Roからタイヤ空気室Rbに向けて吐出されることはない。この状態は、エアーポンプAPが加圧空気を生成しない状態(空気圧生成ユニットFRAの非駆動状態)であり、エアーポンプAPを駆動することにより生じる負荷(車輪FRに作用する回転抵抗)は小である。
調整装置40は、圧力制御バルブ30における圧縮コイルスプリング34の他端部(弁体31の移動時に移動しない固定側端部)を支持するスプリングサポート41と、このスプリングサポート41の位置を調整可能な調整ネジ42を備えている。スプリングサポート41は、調整ネジ42の移動に伴って移動可能であり、半球状の凸部41aにて調整ネジ42に回転可能に係合している。
調整ネジ42は、スプリングサポート41とは別体で構成されていて、雄ネジ部42aと大気連通路42bを有しており、雄ネジ部42aにてシリンダヘッド22Bの雌ネジ部22gに進退可能に螺着されている。また、調整ネジ42は、キャップを兼ねていて、車両外方から回転操作可能であり、外側端部には手動で操作可能な調整工具(図示省略)を脱着可能に取付けるための六角ヘッド部42cが形成されている。なお、大気連通路42bには、フィルタ43が装着されている。
リリーフバルブ50は、ポンプ室Roからタイヤ空気室Rbに供給される加圧空気の圧力すなわち空気室Ra1内の空気圧(P)が上限設定値P2より高いリリーフ設定値P3以上のときに、加圧空気を大気に逃がすためのものであり、弁体31に設けたリリーフ通路31cを開放・遮断可能な弁体51と、この弁体51に一端部(可動側端部)にて係合していて同弁体51の移動タイミング(リリーフ通路31cの開放タイミング)を規定する圧縮コイルスプリング52を備えている。
弁体51は、圧力制御バルブ30の弁体31内にてシリンダ軸方向に移動可能に組付けられていて、ストロークセンサS1のロッド部44(スプリングサポート41が調整ネジ42によって位置を調整される時に殆ど抵抗なくシリンダ軸方向に相対移動可能なロッド部)と当接している。圧縮コイルスプリング52は、他端部(固定側端部)にて上述したスプリングサポート41に係合していて、弁体51に作用する付勢力を調整装置40によって調整可能である。この調整装置40による調整時には、圧力制御バルブ30の弁体31に作用する圧縮コイルスプリング34の付勢力も同時に調整され、上記した上限設定値P2とリリーフ設定値P3が同時に調整可能である。
このリリーフバルブ50においては、圧力制御バルブ30の弁体31に設けたリリーフ通路31cが弁体31に組付けた環状のシール部材38によって空気室Ra1に対して連通・遮断可能である。このため、圧力制御バルブ30の弁体31が圧縮コイルスプリング34,52の付勢力に抗してシリンダ軸方向に移動して、空気室Ra1とリリーフ通路31cがシール部材38を通して連通するようになった状態でのみ、リリーフ通路31cに空気室Ra1内の圧力が付与されて、リリーフバルブ50が作動可能となるように設定されている。
ストロークセンサS1は、圧力制御バルブ30が許容状態(図示状態)にあるか禁止状態(作動状態)にあるかを検出してエアーポンプAPが加圧空気を生成する状態にあるかエアーポンプAPが加圧空気を生成しない状態にあるかを検出するユニット状態検出センサであり、圧力制御バルブ30における弁体31の動きをリリーフバルブ50における弁体51を介して検出するロッド部44と、スプリングサポート41内に組付けられてロッド部44によってON・OFFされる内蔵スイッチ(図示省略)を備えている。
このストロークセンサS1においては、圧力制御バルブ30が許容状態にあるとき(エアーポンプAPが加圧空気を生成する状態にあるとき)内蔵スイッチはOFF状態に維持されてLow信号が出力されるとともに、圧力制御バルブ30が禁止状態にあるとき(エアーポンプAPが加圧空気を生成しない状態にあるとき)内蔵スイッチはON状態に維持されてHigh信号が出力される。なお、ストロークセンサS1から出力される信号は、図1に示した電気制御装置ECUに無線で入力されるように構成されている。
ブレーキアクチュエータBAは、図1および図4に示したように、ブレーキマスタシリンダMCの一方の油室と左右前輪FL,FRのホイールブレーキWfl,Wfrを接続するフロント系油圧回路に介装されたマスタシリンダカットソレノイドバルブMCVf、一対の保持ソレノイドバルブPUfl,PUfr、一対の減圧ソレノイドバルブPDfl,PDfr、一対の圧力センサPfl,Pfr、電動ポンプHPfおよびリザーバRSfを備えていて、リザーバRSfを除いて図1に示した電気制御装置ECUに電気的に接続されている。
マスタシリンダカットソレノイドバルブMCVf、一対の保持ソレノイドバルブPUfl,PUfr、一対の減圧ソレノイドバルブPDfl,PDfrおよび電動ポンプHPfは、電気制御装置ECUから出力される指示信号によって各作動がそれぞれ制御されるように構成されている。このため、マスタシリンダカットソレノイドバルブMCVfが閉状態とされ電動ポンプHPfが駆動状態とされた状態にて、各保持ソレノイドバルブPUfl,PUfrと各減圧ソレノイドバルブPDfl,PDfrの開閉作動がそれぞれ制御されることにより、各ホイールブレーキWfl,Wfrに付与される制動油圧がそれぞれ制御される。
また、ブレーキアクチュエータBAは、ブレーキマスタシリンダMCの他方の油室と左右後輪RL,RRのホイールブレーキWrl,Wrrを接続するリヤ系油圧回路に介装されたマスタシリンダカットソレノイドバルブMCVr、一対の保持ソレノイドバルブPUrl,PUrr、一対の減圧ソレノイドバルブPDrl,PDrr、一対の圧力センサPrl,Prr、電動ポンプHPrおよびリザーバRSrを備えていて、リザーバRSrを除いて図1に示した電気制御装置ECUに電気的に接続されている。
マスタシリンダカットソレノイドバルブMCVr、一対の保持ソレノイドバルブPUrl,PUrr、一対の減圧ソレノイドバルブPDrl,PDrrおよび電動ポンプHPrは、電気制御装置ECUから出力される指示信号によって各作動がそれぞれ制御されるように構成されている。このため、マスタシリンダカットソレノイドバルブMCVrが閉状態とされ電動ポンプHPrが駆動状態とされた状態にて、各保持ソレノイドバルブPUrl,PUrrと各減圧ソレノイドバルブPDrl,PDrrの開閉作動がそれぞれ制御されることにより、各ホイールブレーキWrl,Wrrに付与される制動油圧がそれぞれ制御される。
電気制御装置ECUは、図1に示したように、操舵角を検出する舵角センサSSと、ブレーキペダルBPの踏み込みに応答して作動するペダルスイッチBPSにも電気的に接続され、各空気圧生成ユニットFLA,FRA,RLA,RRAの「正常作動」と「異常作動」等をそれぞれ表示可能なインパネ表示部IDにも電気的に接続されている。
また、電気制御装置ECUは、車両の走行状態に応じてブレーキアクチュエータBAの作動を制御して、各ホイールブレーキWfl,Wfr,Wrl,Wrrに付与される制動油圧を制御する周知のプログラム(図示省略)を所定の演算周期(例えば、5msec)毎に繰り返し実行するとともに、各空気圧生成ユニットFLA,FRA,RLA,RRAのストロークセンサS1と各車輪速センサSflw,Sfrw,Srlw,Srrwと各圧力センサPfl,Pfr,Prl,Prrと舵角センサSSの出力に基づいて図5および図6のフローチャートに対応したプログラムを所定の演算周期(例えば、5msec)毎に繰り返し実行するマイクロコンピュータを備えていて、各空気圧生成ユニットFLA,FRA,RLA,RRAの駆動によって生じる車両の挙動を抑制することが可能である。
図5のフローチャートに対応したプログラムは、左右前輪FL,FRにそれぞれ装着した左右一対の空気圧生成ユニットFLA,FRAの駆動によって生じる車両の挙動を抑制するためのものであり、図6のフローチャートに対応したプログラムは、左右後輪RL,RRにそれぞれ装着した左右一対の空気圧生成ユニットRLA,RRAの駆動によって生じる車両の挙動を抑制するためのものである。
上記のように構成した第1実施形態においては、当該車両のイグニッションスイッチ等のメインスイッチ(図示省略)がON状態とされているとき、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが周知のプログラム(図示省略)と図5および図6のフローチャートに対応したプログラムをそれぞれ所定の演算周期(例えば、5msec)毎に繰り返し実行して、ブレーキアクチュエータBAの作動を制御する。
このため、車両の走行状態に応じて周知の作動(例えば、ABS作動、ブレーキアシスト作動、TRC作動等)が得られるとともに、車両の直進走行中における各空気圧生成ユニットFLA,FRA,RLA,RRAの駆動によって生じる車両の挙動を抑制する作動等が得られる。なお、周知の作動(例えば、ABS作動、ブレーキアシスト作動、TRC作動等)の説明は省略する。
(図5のフローチャートに対応したプログラムの実行)
ところで、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが図5のフローチャートに対応したプログラムを実行するときに、車両が直進走行状態にあり、右前輪FRに装着した空気圧生成ユニットFRAのみが駆動状態(圧力制御バルブ30が許容状態にあってエアーポンプAPが加圧空気を生成する状態)であると、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータは、図5のステップ101にて処理を開始し、ステップ102にて、舵角センサSSの出力に基づいて「Yes」と判定し、ステップ103にて、右前輪FRに装着した空気圧生成ユニットFRAのストロークセンサS1の出力に基づいて「Yes」と判定する。
その後に、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータは、ステップ105にて、左右前輪FL,FR間の回転速度差Rdfを演算する。この演算は、右前輪FRの回転速度Rfr(右前輪FRの車輪速センサSfrwからの出力に基づいて演算される)から左前輪FLの回転速度Rfl(左前輪FLの車輪速センサSflwからの出力に基づいて演算される)を減算することにより実行される。このときには、右前輪FRに装着した空気圧生成ユニットFRAのみが駆動状態であり、この空気圧生成ユニットFRAの駆動による負荷が右前輪FRに作用していて、右前輪FRの回転速度が左前輪FLの回転速度に比して低下しているため、回転速度差Rdfは負の値となる。
このため、ステップ105の演算後には、ステップ106にて「Yes」と判定されてステップ107とステップ109が実行される。ステップ107では、左前輪FLに装着したホイールブレーキWflに上記した回転速度差Rdfをゼロとする制動油圧が付与されるように、ブレーキアクチュエータBAに左前輪のホイールブレーキWflを回転速度差Rdfに応じて作動させる指示信号が出力される。この結果、回転速度差Rdfに応じた制動油圧が左前輪のホイールブレーキWflに付与されて、左前輪FLが制動され、これに伴って回転速度差Rdfが小さくされる。これによって、空気圧生成ユニットFRAの駆動に伴う車両の偏向を抑えて、当該車両の走行安定性を向上させることが可能である。
また、ステップ109では、左前輪用の圧力センサPflにて検出される油圧、すなわち、左前輪のホイールブレーキWflに付与される制動油圧PHflが規定値Poより大きいか否かが判定される。この規定値Poは、右前輪FRに装着した空気圧生成ユニットFRAの駆動が異常か正常か(空気圧生成ユニットFRAの駆動によって右前輪FRに作用する負荷が基準値を超えるか否か)を判定する基準値である。
このため、右前輪FRに装着した空気圧生成ユニットFRAの駆動が異常であって、空気圧生成ユニットFRAの駆動によって右前輪FRに作用する負荷が基準値を超える場合には、ステップ109にて「Yes」と判定されてステップ111が実行され、ステップ111にて「右前輪の空気圧生成ユニットFRAの異常作動」の表示が指示されて、インパネ表示部IDに「右前輪の空気圧生成ユニット異常作動」が表示される。これによって、乗員は、右前輪の空気圧生成ユニットFRAが駆動されていて、これに起因する車両の偏向が左前輪のホイールブレーキWflの作動によって抑制されていることを知ることができるとともに、右前輪FRに装着した空気圧生成ユニットFRAが異常状態にて駆動されていることを知ることができる。
また、右前輪FRに装着した空気圧生成ユニットFRAの駆動が正常である場合には、ステップ109とステップ110にてそれぞれ「No」と判定されてステップ113が実行され、ステップ113にて「左右前輪の空気圧生成ユニットFRA,FLAの正常作動」の表示が指示されて、インパネ表示部IDに「左右前輪の空気圧生成ユニット正常作動」が表示される。これによって、乗員は、左右前輪の空気圧生成ユニットFRA,FLAの少なくとも一方が駆動されていて、これに起因する車両の偏向が左右前輪の何れか一方のホイールブレーキWflまたはWfrの作動によって抑制されていることを知ることができるとともに、左右前輪の空気圧生成ユニットFRA,FLAの少なくとも一方が正常状態にて駆動されていることを知ることができる。なお、ステップ111とステップ113の実行後にはステップ114が実行されて図5に示したプログラムの実行が終了する。
一方、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが図5のフローチャートに対応したプログラムを実行するときに、車両が直進走行状態にあり、左前輪FLに装着した空気圧生成ユニットFLAのみが駆動状態であると、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータは、図5のステップ101にて処理を開始し、ステップ102にて、舵角センサSSの出力に基づいて「Yes」と判定し、ステップ103にて、右前輪FRに装着した空気圧生成ユニットFRAのストロークセンサS1の出力に基づいて「No」と判定し、ステップ104にて、左前輪FLに装着した空気圧生成ユニットFLAのストロークセンサS1の出力に基づいて「Yes」と判定する。
その後に、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータは、ステップ105にて、左右前輪FL,FR間の回転速度差Rdfを演算する。この演算は、右前輪FRの回転速度Rfrから左前輪FLの回転速度Rflを減算することにより実行される。このときには、左前輪FLに装着した空気圧生成ユニットFLAのみが駆動状態であり、この空気圧生成ユニットFLAの駆動による負荷が左前輪FLに作用していて、左前輪FLの回転速度が右前輪FRの回転速度に比して低下しているため、回転速度差Rdfは正の値となる。
このため、ステップ105の演算後には、ステップ106にて「No」と判定されてステップ108が実行されるとともに、ステップ109にて「No」と判定されてステップ110が実行される。ステップ108では、右前輪FRに装着したホイールブレーキWfrに上記した回転速度差Rdfをゼロとする制動油圧が付与されるように、ブレーキアクチュエータBAに右前輪のホイールブレーキWfrを回転速度差Rdfに応じて作動させる指示信号が出力される。この結果、回転速度差Rdfに応じた制動油圧が右前輪のホイールブレーキWfrに付与されて、右前輪FRが制動され、これに伴って回転速度差Rdfが小さくされる。これによって、空気圧生成ユニットFLAの駆動に伴う車両の偏向を抑えて、当該車両の走行安定性を向上させることが可能である。
また、ステップ110では、右前輪用の圧力センサPfrにて検出される油圧、すなわち、右前輪のホイールブレーキWfrに付与される制動油圧PHfrが規定値Poより大きいか否かが判定される。この規定値Poは、左前輪FLに装着した空気圧生成ユニットFLAの駆動が異常か正常か(空気圧生成ユニットFLAの駆動によって左前輪FLに作用する負荷が基準値を超えるか否か)を判定する基準値である。
このため、左前輪FLに装着した空気圧生成ユニットFLAの駆動が異常であって、空気圧生成ユニットFLAの駆動によって左前輪FLに作用する負荷が基準値を超える場合には、ステップ110にて「Yes」と判定されてステップ112が実行され、ステップ112にて「左前輪の空気圧生成ユニットFLAの異常作動」の表示が指示されて、インパネ表示部IDに「左前輪の空気圧生成ユニット異常作動」が表示される。これによって、乗員は、左前輪の空気圧生成ユニットFLAが駆動されていて、これに起因する車両の偏向が右前輪のホイールブレーキWfrの作動によって抑制されていることを知ることができるとともに、左前輪FLに装着した空気圧生成ユニットFLAが異常状態にて駆動されていることを知ることができる。
また、左前輪FLに装着した空気圧生成ユニットFLAの駆動が正常である場合には、ステップ109とステップ110にてそれぞれ「No」と判定されてステップ113が実行され、ステップ111にて「左右前輪の空気圧生成ユニットFRA,FLAの正常作動」の表示が指示されて、インパネ表示部IDに「左右前輪の空気圧生成ユニット正常作動」が表示される。これによって、乗員は、左右前輪の空気圧生成ユニットFRA,FLAの少なくとも一方が駆動されていて、これに起因する車両の偏向が左右前輪の何れか一方のホイールブレーキWflまたはWfrの作動によって抑制されていることを知ることができるとともに、左右前輪の空気圧生成ユニットFRA,FLAの少なくとも一方が正常状態にて駆動されていることを知ることができる。なお、ステップ112とステップ113の実行後にはステップ114が実行されて図5に示したプログラムの実行が終了する。
また、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが図5のフローチャートに対応したプログラムを実行するときに、車両が直進走行状態にあり、左右前輪の両空気圧生成ユニットFRA,FLAが駆動状態であると、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータは、図5のステップ101にて処理を開始し、ステップ102にて、舵角センサSSの出力に基づいて「Yes」と判定し、ステップ103にて、右前輪FRに装着した空気圧生成ユニットFRAのストロークセンサS1の出力に基づいて「Yes」と判定する。
その後に、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータは、ステップ105にて、左右前輪FL,FR間の回転速度差Rdfを演算する。この演算は、右前輪FRの回転速度Rfrから左前輪FLの回転速度Rflを減算することにより実行される。このときには、左右前輪の両空気圧生成ユニットFRA,FLAが駆動状態であるため、右前輪FRの回転速度と左前輪FLの回転速度の何れが大きいかはそのときの状況によって異なる。したがって、ステップ105の実行後は回転速度差Rdfに応じて順次実行される。この場合の作動は、上記した各場合の作動から容易に理解されると思われるため、その説明は省略する。
なお、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが図5のフローチャートに対応したプログラムを実行するときに、車両が直進走行状態にないと、ステップ102にて「No」と判定され、ステップ114が実行されて図5に示したプログラムの実行が終了する。また、車両が直進走行状態にあっても、左右一対の空気圧生成ユニットFLA,FRAが共に駆動されていない場合には、ステップ102にて「Yes」と判定され、ステップ103にて「No」と判定され、ステップ104にて「No」と判定された後に、ステップ115が実行され、その後にステップ114が実行されて図5に示したプログラムの実行が終了する。ステップ115では、「左右前輪の空気圧生成ユニットFRA,FLAの非駆動」の表示が指示されて、インパネ表示部IDに「左右前輪の空気圧生成ユニット非駆動」が表示される。これによって、乗員は、左右前輪の両空気圧生成ユニットFRA,FLAが非駆動状態(圧力制御バルブ30が禁止状態にあってエアーポンプAPが加圧空気を生成しない状態)であることを知ることができる。
(図6のフローチャートに対応したプログラムの実行)
また、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが図6のフローチャートに対応したプログラムを実行するときに、車両が直進走行状態にあり、右後輪RRに装着した空気圧生成ユニットRRAのみが駆動状態(圧力制御バルブ30が許容状態にあってエアーポンプAPが加圧空気を生成する状態)であると、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータは、図6のステップ201にて処理を開始し、ステップ202にて、舵角センサSSの出力に基づいて「Yes」と判定し、ステップ203にて、右後輪RRに装着した空気圧生成ユニットRRAのストロークセンサS1の出力に基づいて「Yes」と判定する。
その後に、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータは、ステップ205にて、左右後輪RL,RR間の回転速度差Rdrを演算する。この演算は、右後輪RRの回転速度Rrr(右後輪RRの車輪速センサSrrwからの出力に基づいて演算される)から左後輪RLの回転速度Rrl(左後輪RLの車輪速センサSrlwからの出力に基づいて演算される)を減算することにより実行される。このときには、右後輪RRに装着した空気圧生成ユニットRRAのみが駆動状態であり、この空気圧生成ユニットRRAの駆動による負荷が右後輪RRに作用していて、右後輪RRの回転速度が左後輪RLの回転速度に比して低下しているため、回転速度差Rdrは負の値となる。
このため、ステップ205の演算後には、ステップ206にて「Yes」と判定されてステップ207とステップ209が実行される。ステップ207では、左後輪RLに装着したホイールブレーキWrlに上記した回転速度差Rdrをゼロとする制動油圧が付与されるように、ブレーキアクチュエータBAに左後輪のホイールブレーキWrlを回転速度差Rdrに応じて作動させる指示信号が出力される。この結果、回転速度差Rdrに応じた制動油圧が左後輪のホイールブレーキWrlに付与されて、左後輪RLが制動され、これに伴って回転速度差Rdrが小さくされる。これによって、空気圧生成ユニットRRAの駆動に伴う車両の偏向を抑えて、当該車両の走行安定性を向上させることが可能である。
また、ステップ209では、左後輪用の圧力センサPrlにて検出される油圧、すなわち、左後輪のホイールブレーキWrlに付与される制動油圧PHrlが規定値Poより大きいか否かが判定される。この規定値Poは、右後輪RRに装着した空気圧生成ユニットRRAの駆動が異常か正常か(空気圧生成ユニットRRAの駆動によって右後輪RRに作用する負荷が基準値を超えるか否か)を判定する基準値である。
このため、右後輪RRに装着した空気圧生成ユニットRRAの駆動が異常であって、空気圧生成ユニットRRAの駆動によって右後輪RRに作用する負荷が基準値を超える場合には、ステップ209にて「Yes」と判定されてステップ211が実行され、ステップ211にて「右後輪の空気圧生成ユニットRRAの異常作動」の表示が指示されて、インパネ表示部IDに「右後輪の空気圧生成ユニット異常作動」が表示される。これによって、乗員は、右後輪の空気圧生成ユニットRRAが駆動されていて、これに起因する車両の偏向が左後輪のホイールブレーキWrlの作動によって抑制されていることを知ることができるとともに、右後輪RRに装着した空気圧生成ユニットRRAが異常状態にて駆動されていることを知ることができる。
また、右後輪RRに装着した空気圧生成ユニットRRAの駆動が正常である場合には、ステップ209とステップ210にてそれぞれ「No」と判定されてステップ213が実行され、ステップ213にて「左右後輪の空気圧生成ユニットRRA,RLAの正常作動」の表示が指示されて、インパネ表示部IDに「左右後輪の空気圧生成ユニット正常作動」が表示される。これによって、乗員は、左右後輪の空気圧生成ユニットRRA,RLAの少なくとも一方が駆動されていて、これに起因する車両の偏向が左右後輪の何れか一方のホイールブレーキWrlまたはWrrの作動によって抑制されていることを知ることができるとともに、左右後輪の空気圧生成ユニットRRA,RLAの少なくとも一方が正常状態にて駆動されていることを知ることができる。なお、ステップ211とステップ213の実行後にはステップ214が実行されて図6に示したプログラムの実行が終了する。
一方、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが図6のフローチャートに対応したプログラムを実行するときに、車両が直進走行状態にあり、左後輪RLに装着した空気圧生成ユニットRLAのみが駆動状態であると、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータは、図6のステップ201にて処理を開始し、ステップ202にて、舵角センサSSの出力に基づいて「Yes」と判定し、ステップ203にて、右後輪RRに装着した空気圧生成ユニットRRAのストロークセンサS1の出力に基づいて「No」と判定し、ステップ204にて、左後輪RLに装着した空気圧生成ユニットRLAのストロークセンサS1の出力に基づいて「Yes」と判定する。
その後に、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータは、ステップ205にて、左右後輪RL,RR間の回転速度差Rdrを演算する。この演算は、右後輪RRの回転速度Rrrから左後輪RLの回転速度Rrlを減算することにより実行される。このときには、左後輪RLに装着した空気圧生成ユニットRLAのみが駆動状態であり、この空気圧生成ユニットRLAの駆動による負荷が左後輪RLに作用していて、左後輪RLの回転速度が右後輪RRの回転速度に比して低下しているため、回転速度差Rdrは正の値となる。
このため、ステップ205の演算後には、ステップ206にて「No」と判定されてステップ208が実行されるとともに、ステップ209にて「No」と判定されてステップ210が実行される。ステップ208では、右後輪RRに装着したホイールブレーキWrrに上記した回転速度差Rdrをゼロとする制動油圧が付与されるように、ブレーキアクチュエータBAに右後輪のホイールブレーキWrrを回転速度差Rdrに応じて作動させる指示信号が出力される。この結果、回転速度差Rdrに応じた制動油圧が右後輪のホイールブレーキWrrに付与されて、右後輪RRが制動され、これに伴って回転速度差Rdrが小さくされる。これによって、空気圧生成ユニットRLAの駆動に伴う車両の偏向を抑えて、当該車両の走行安定性を向上させることが可能である。
また、ステップ210では、右後輪用の圧力センサPrrにて検出される油圧、すなわち、右後輪のホイールブレーキWrrに付与される制動油圧PHrrが規定値Poより大きいか否かが判定される。この規定値Poは、左後輪RLに装着した空気圧生成ユニットRLAの駆動が異常か正常か(空気圧生成ユニットRLAの駆動によって左後輪RLに作用する負荷が基準値を超えるか否か)を判定する基準値である。
このため、左後輪RLに装着した空気圧生成ユニットRLAの駆動が異常であって、空気圧生成ユニットRLAの駆動によって左後輪RLに作用する負荷が基準値を超える場合には、ステップ210にて「Yes」と判定されてステップ212が実行され、ステップ212にて「左後輪の空気圧生成ユニットRLAの異常作動」の表示が指示されて、インパネ表示部IDに「左後輪の空気圧生成ユニット異常作動」が表示される。これによって、乗員は、左後輪の空気圧生成ユニットRLAが駆動されていて、これに起因する車両の偏向が右後輪のホイールブレーキWrrの作動によって抑制されていることを知ることができるとともに、左後輪RLに装着した空気圧生成ユニットRLAが異常状態にて駆動されていることを知ることができる。
また、左後輪RLに装着した空気圧生成ユニットRLAの駆動が正常である場合には、ステップ209とステップ210にてそれぞれ「No」と判定されてステップ213が実行され、ステップ211にて「左右後輪の空気圧生成ユニットRRA,RLAの正常作動」の表示が指示されて、インパネ表示部IDに「左右後輪の空気圧生成ユニット正常作動」が表示される。これによって、乗員は、左右後輪の空気圧生成ユニットRRA,RLAの少なくとも一方が駆動されていて、これに起因する車両の偏向が左右後輪の何れか一方のホイールブレーキWrlまたはWrrの作動によって抑制されていることを知ることができるとともに、左右後輪の空気圧生成ユニットRRA,RLAの少なくとも一方が正常状態にて駆動されていることを知ることができる。なお、ステップ212とステップ213の実行後にはステップ214が実行されて図6に示したプログラムの実行が終了する。
また、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが図6のフローチャートに対応したプログラムを実行するときに、車両が直進走行状態にあり、左右後輪の両空気圧生成ユニットRRA,RLAが駆動状態であると、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータは、図6のステップ201にて処理を開始し、ステップ202にて、舵角センサSSの出力に基づいて「Yes」と判定し、ステップ203にて、右後輪RRに装着した空気圧生成ユニットRRAのストロークセンサS1の出力に基づいて「Yes」と判定する。
その後に、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータは、ステップ205にて、左右後輪RL,RR間の回転速度差Rdrを演算する。この演算は、右後輪RRの回転速度Rrrから左後輪RLの回転速度Rrlを減算することにより実行される。このときには、左右後輪の両空気圧生成ユニットRRA,RLAが駆動状態であるため、右後輪RRの回転速度と左後輪RLの回転速度の何れが大きいかはそのときの状況によって異なる。したがって、ステップ205の実行後は回転速度差Rdrに応じて順次実行される。この場合の作動は、上記した各場合の作動から容易に理解されると思われるため、その説明は省略する。
なお、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが図6のフローチャートに対応したプログラムを実行するときに、車両が直進走行状態にないと、ステップ202にて「No」と判定され、ステップ214が実行されて図6に示したプログラムの実行が終了する。また、車両が直進走行状態にあっても、左右一対の空気圧生成ユニットRLA,RRAが共に駆動されていない場合には、ステップ202にて「Yes」と判定され、ステップ203にて「No」と判定され、ステップ204にて「No」と判定された後に、ステップ215が実行され、その後にステップ214が実行されて図6に示したプログラムの実行が終了する。ステップ215では、「左右後輪の空気圧生成ユニットRRA,RLAの非駆動」の表示が指示されて、インパネ表示部IDに「左右後輪の空気圧生成ユニット非駆動」が表示される。これによって、乗員は、左右後輪の両空気圧生成ユニットRRA,RLAが非駆動状態(圧力制御バルブ30が禁止状態にあってエアーポンプAPが加圧空気を生成しない状態)であることを知ることができる。
(第2実施形態)
上記した第1実施形態においては、各空気圧生成ユニットFRA,FLAまたはRRA,RLAの駆動開始と同時(図5のステップ103,104または図6のステップ203,204にて「Yes」と判定された直後)に各ホイールブレーキWfl,WfrまたはWrl,Wrrの作動制御が開始する(図5のステップ105〜108または図6のステップ205〜208が実行される)ように設定して実施したが、図7にて前輪側を例として示した第2実施形態のように、ステップ303,304とステップ305間に、ステップ320を設けて実施することも可能である。
図7のステップ320では、各空気圧生成ユニットFRA,FLAの駆動開始(各空気圧生成ユニットFRA,FLAが非駆動状態から駆動状態に切り換ったとき)からの時間t(電気制御装置ECUが内蔵するタイマによって計時される時間)が所定時間ta経過したか否かが判定され、「Yes」と判定されたときにはステップ305が実施され、「No」と判定されたときにはステップ314が実行される。このため、ステップ305の実行を各空気圧生成ユニットFRA,FLAの駆動開始から所定時間ta遅延させることができて、各空気圧生成ユニットFRA,FLAの駆動開始(図7のステップ303,304の実行)から所定時間ta遅れて各ホイールブレーキWfl,Wfrの作動制御が開始する(図7のステップ305〜308が実行される)ように設定することが可能である。なお、図7のステップ320以外の各ステップ301〜315は図5の各ステップ101〜115と実質的に同じであるため、説明は省略する。
上記した所定時間taは、各空気圧生成ユニットFRA,FLAが駆動を開始してから左右前輪間の回転速度差Rdf(車両の挙動量)が所定値となるまでの作動応答遅れを考慮した時間である。このため、図7のステップ320を設定した第2実施形態では、第1実施形態に比して無用な制御を少なくすることが可能である。
(第3実施形態)
また、上記した第1実施形態においては、各空気圧生成ユニットFRA,FLAまたはRRA,RLAのストロークセンサS1によって、各空気圧生成ユニットFRA,FLAまたはRRA,RLAの駆動状態が検出されたとき(図5のステップ103,104または図6のステップ203,204にて「Yes」と判定されたとき)に、左右の車輪速センサSflw,SfrwまたはSrlw,Srrwからの出力に基づいて演算される左右輪間の回転速度差RdfまたはRdr(車両の挙動量)に応じて各ホイールブレーキWfl,WfrまたはWrl,Wrrの作動が制御(フィードバック制御)されるように構成して実施したが、図8と図9にて前輪側を例として示した第3実施形態のように、右前輪の空気圧生成ユニットFRAまたは左前輪の空気圧生成ユニットFLAが非駆動状態から駆動状態に切り換ったときに、図8または図9に示したフローチャートに対応したプログラムが実行されるように設定して実施することも可能である。
図8は、右前輪の空気圧生成ユニットFRAが非駆動状態から駆動状態に切り換ったとき(空気圧生成ユニットFRAに設けたストロークセンサS1の内蔵スイッチがON状態からOFF状態に切り換ったとき)に実行されるプログラムのフローチャートであり、ステップ401にてプログラムの実行が開始され、ステップ402ではブレーキアクチュエータBAに左前輪のホイールブレーキWflをステップ401が実行された後の経過時間に応じて作動させる(予め設定した制御モードにて左前輪のホイールブレーキWflの作動をフィードフォワード制御する)指示信号が出力される。
また、ステップ403にて舵角センサSSの出力に基づいて車両が直進走行中か否かが判定され、「Yes」と判定されたときにはステップ404とステップ405とステップ406または407が実行された後にステップ408が実行され、またステップ403にて「No」と判定されたときにはステップ408が実行される。ステップ408では、右前輪の空気圧生成ユニットFRAが駆動状態であるか否かが判定され、「Yes」と判定されたときにはステップ402に戻って上記した各ステップが繰り返し実行され、「No」と判定されたときにはステップ409が実行されて、プログラムの実行が終了する。
ステップ404では、右前輪FRの回転速度Rfr(右前輪FRの車輪速センサSfrwからの出力に基づいて演算される)から左前輪FLの回転速度Rfl(左前輪FLの車輪速センサSflwからの出力に基づいて演算される)が減算されて、左右前輪FL,FR間の回転速度差Rdfaが演算される。ステップ405では、回転速度差Rdfaの絶対値が規定値Rdoより大きいか否かが判定される。この規定値Rdoは、右前輪FRに装着した空気圧生成ユニットFRAの駆動が異常か正常か(空気圧生成ユニットFRAの駆動によって右前輪FRに作用する負荷が基準値を超えるか否か)を判定する基準値である。
このため、右前輪FRに装着した空気圧生成ユニットFRAの駆動が異常であって、空気圧生成ユニットFRAの駆動によって右前輪FRに作用する負荷が基準値を超える場合には、ステップ405にて「Yes」と判定されてステップ406が実行され、ステップ406にて「右前輪の空気圧生成ユニットFRAの異常作動」の表示が指示されて、インパネ表示部IDに「右前輪の空気圧生成ユニット異常作動」が表示される。これによって、乗員は、空気圧生成ユニットFRAが駆動されていて、これに起因する車両の偏向が左前輪のホイールブレーキWflの作動によって抑制されていることを知ることができるとともに、右前輪FRに装着した空気圧生成ユニットFRAが異常状態にて駆動されていることを知ることができる。
また、右前輪FRに装着した空気圧生成ユニットFRAの駆動が正常である場合には、ステップ405にて「No」と判定されてステップ407が実行され、ステップ407にて「右前輪の空気圧生成ユニットFRAの正常作動」の表示が指示されて、インパネ表示部IDに「右前輪の空気圧生成ユニット正常作動」が表示される。これによって、乗員は、右前輪の空気圧生成ユニットFRAが駆動されていて、これに起因する車両の偏向が左前輪のホイールブレーキWflの作動によって抑制されていることを知ることができるとともに、右前輪の空気圧生成ユニットFRAが正常状態にて駆動されていることを知ることができる。
一方、図9は、左前輪の空気圧生成ユニットFLAが非駆動状態から駆動状態に切り換ったときに実行されるプログラムのフローチャートであり、ステップ501にてプログラムの実行が開始され、ステップ502ではブレーキアクチュエータBAに右前輪のホイールブレーキWfrをステップ501が実行された後の経過時間に応じて作動させる(予め設定した制御モードにて右前輪のホイールブレーキWfrの作動をフィードフォワード制御する)指示信号が出力される。
また、ステップ503にて舵角センサSSの出力に基づいて車両が直進走行中か否かが判定され、「Yes」と判定されたときにはステップ504とステップ505とステップ506または507が実行された後にステップ508が実行され、またステップ503にて「No」と判定されたときにはステップ508が実行される。ステップ508では、左前輪の空気圧生成ユニットFLAが駆動状態であるか否かが判定され、「Yes」と判定されたときにはステップ502に戻って上記した各ステップが繰り返し実行され、「No」と判定されたときにはステップ509が実行されて、プログラムの実行が終了する。
ステップ504では、左前輪FLの回転速度Rflから右前輪FRの回転速度Rfrが減算されて、左右前輪FL,FR間の回転速度差Rdfbが演算される。ステップ505では、回転速度差Rdfbの絶対値が規定値Rdoより大きいか否かが判定される。この規定値Rdoは、左前輪FLに装着した空気圧生成ユニットFLAの駆動が異常か正常か(空気圧生成ユニットFLAの駆動によって左前輪FLに作用する負荷が基準値を超えるか否か)を判定する基準値である。
このため、左前輪FLに装着した空気圧生成ユニットFLAの駆動が異常であって、空気圧生成ユニットFLAの駆動によって左前輪FLに作用する負荷が基準値を超える場合には、ステップ505にて「Yes」と判定されてステップ506が実行され、ステップ506にて「左前輪の空気圧生成ユニットFLAの異常作動」の表示が指示されて、インパネ表示部IDに「左前輪の空気圧生成ユニット異常作動」が表示される。これによって、乗員は、空気圧生成ユニットFLAが駆動されていて、これに起因する車両の偏向が右前輪のホイールブレーキWfrの作動によって抑制されていることを知ることができるとともに、左前輪FLに装着した空気圧生成ユニットFLAが異常状態にて駆動されていることを知ることができる。
また、左前輪FLに装着した空気圧生成ユニットFLAの駆動が正常である場合には、ステップ505にて「No」と判定されてステップ507が実行され、ステップ507にて「左前輪の空気圧生成ユニットFLAの正常作動」の表示が指示されて、インパネ表示部IDに「左前輪の空気圧生成ユニット正常作動」が表示される。これによって、乗員は、左前輪の空気圧生成ユニットFLAが駆動されていて、これに起因する車両の偏向が右前輪のホイールブレーキWfrの作動によって抑制されていることを知ることができるとともに、左前輪の空気圧生成ユニットFLAが正常状態にて駆動されていることを知ることができる。
(第4実施形態)
また、上記した第1実施形態においては、ブレーキペダルBPを踏み込まないで各ホイールブレーキWfl,Wfr,Wrl,Wrrに制動油圧を付与することが可能なブレーキアクチュエータBAを備えた車両において、図5および図6のフローチャートに対応したプログラムを採用して、各空気圧生成ユニットFLA,FRA,RLA,RRAの駆動状態に応じて、各ホイールブレーキWfl,Wfr,Wrl,Wrrに制動油圧が付与されて、車両の偏向が抑制されるとともに、車両の偏向に関連する動作量に応じて各空気圧生成ユニットFLA,FRA,RLA,RRAの作動が正常か異常かを乗員に知らせることを可能としたが、図5および図6のフローチャートに対応したプログラムに代えて、図10と図11および図12と図13の各フローチャートに対応したプログラムを採用して、第4実施形態を実施することも可能である。
図10と図11および図12と図13の各フローチャートに対応したプログラムを採用した第4実施形態では、各空気圧生成ユニットFLA,FRA,RLA,RRAの駆動状態に応じて、各ホイールブレーキWfl,Wfr,Wrl,Wrrに制動油圧が付与されなくて、車両の偏向が抑制されないが、車両の偏向に関連する動作量に応じて各空気圧生成ユニットFLA,FRA,RLA,RRAの作動が正常か異常かを乗員に知らせることを可能である。このため、ブレーキペダルBPを踏み込まないで各ホイールブレーキWfl,Wfr,Wrl,Wrrに制動油圧を付与することが不能でTRC作動を得ることができないがABS作動を得ることが可能な周知のブレーキアクチュエータを備えた車両においても実施可能である。
ところで、図10と図11および図12と図13の各フローチャートに対応したプログラムは所定の演算周期(例えば、5msec)毎に繰り返し実行されるように設定されている。このため、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが図10のフローチャートに対応したプログラムを実行するときに、右前輪FRに装着した空気圧生成ユニットFRAのみが駆動状態(圧力制御バルブ30が許容状態にあってエアーポンプAPが加圧空気を生成する状態)であり、車両が直進走行状態にあると、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータは、図10のステップ601にて処理を開始し、ステップ602,603,604にてそれぞれ「Yes」と判定する。
また、ステップ604の実行後には、ステップ605とステップ606とステップ607または608が実行された後にステップ609が実行されて、プログラムの実行が終了する。なお、ステップ602、ステップ603またはステップ604にて「No」と判定されたときにはステップ609が実行されて、プログラムの実行が終了する。
ステップ605では、右前輪FRの回転速度Rfr(右前輪FRの車輪速センサSfrwからの出力に基づいて演算される)から左前輪FLの回転速度Rfl(左前輪FLの車輪速センサSflwからの出力に基づいて演算される)が減算されて、左右前輪FL,FR間の回転速度差Rdfaが演算される。ステップ606では、回転速度差Rdfaが規定値Rdoより大きいか否かが判定される。この規定値Rdoは、右前輪FRに装着した空気圧生成ユニットFRAの駆動が異常か正常か(空気圧生成ユニットFRAの駆動によって右前輪FRに作用する負荷が基準値を超えるか否か)を判定する基準値である。
このため、右前輪FRに装着した空気圧生成ユニットFRAの駆動が異常であって、空気圧生成ユニットFRAの駆動によって右前輪FRに作用する負荷が基準値を超える場合には、ステップ606にて「Yes」と判定されてステップ607が実行され、ステップ607にて「右前輪の空気圧生成ユニットFRAの異常作動」の表示が指示されて、インパネ表示部IDに「右前輪の空気圧生成ユニット異常作動」が表示される。これによって、乗員は、右前輪FRに装着した空気圧生成ユニットFRAが異常状態にて駆動されていることを知ることができる。
また、右前輪FRに装着した空気圧生成ユニットFRAの駆動が正常である場合には、ステップ606にて「No」と判定されてステップ608が実行され、ステップ608にて「右前輪の空気圧生成ユニットFRAの正常作動」の表示が指示されて、インパネ表示部IDに「右前輪の空気圧生成ユニット正常作動」が表示される。これによって、乗員は、右前輪の空気圧生成ユニットFRAが正常状態にて駆動されていることを知ることができる。
また、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが図11のフローチャートに対応したプログラムを実行するときに、左前輪FLに装着した空気圧生成ユニットFLAのみが駆動状態であり、車両が直進走行状態にあると、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータは、図11のステップ701にて処理を開始し、ステップ702,703,704にてそれぞれ「Yes」と判定する。
また、ステップ704の実行後には、ステップ705とステップ706とステップ707または708が実行された後にステップ709が実行されて、プログラムの実行が終了する。なお、ステップ702、ステップ703またはステップ704にて「No」と判定されたときにはステップ709が実行されて、プログラムの実行が終了する。
ステップ705では、左前輪FLの回転速度Rflから右前輪FRの回転速度Rfrが減算されて、左右前輪FL,FR間の回転速度差Rdfbが演算される。ステップ706では、回転速度差Rdfbが規定値Rdoより大きいか否かが判定される。この規定値Rdoは、左前輪FLに装着した空気圧生成ユニットFLAの駆動が異常か正常か(空気圧生成ユニットFLAの駆動によって左前輪FLに作用する負荷が基準値を超えるか否か)を判定する基準値である。
このため、左前輪FLに装着した空気圧生成ユニットFLAの駆動が異常であって、空気圧生成ユニットFLAの駆動によって左前輪FLに作用する負荷が基準値を超える場合には、ステップ706にて「Yes」と判定されてステップ707が実行され、ステップ707にて「左前輪の空気圧生成ユニットFLAの異常作動」の表示が指示されて、インパネ表示部IDに「左前輪の空気圧生成ユニット異常作動」が表示される。これによって、乗員は、左前輪FLに装着した空気圧生成ユニットFLAが異常状態にて駆動されていることを知ることができる。
また、左前輪FLに装着した空気圧生成ユニットFLAの駆動が正常である場合には、ステップ706にて「No」と判定されてステップ708が実行され、ステップ708にて「左前輪の空気圧生成ユニットFLAの正常作動」の表示が指示されて、インパネ表示部IDに「左前輪の空気圧生成ユニット正常作動」が表示される。これによって、乗員は、左前輪の空気圧生成ユニットFLAが正常状態にて駆動されていることを知ることができる。
一方、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが図12のフローチャートに対応したプログラムを実行するときに、右後輪RRに装着した空気圧生成ユニットRRAのみが駆動状態(圧力制御バルブ30が許容状態にあってエアーポンプAPが加圧空気を生成する状態)であり、車両が直進走行状態にあると、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータは、図12のステップ801にて処理を開始し、ステップ802,803,804にてそれぞれ「Yes」と判定する。
また、ステップ804の実行後には、ステップ805とステップ806とステップ807または808が実行された後にステップ809が実行されて、プログラムの実行が終了する。なお、ステップ802、ステップ803またはステップ804にて「No」と判定されたときにはステップ809が実行されて、プログラムの実行が終了する。
ステップ805では、右後輪RRの回転速度Rrr(右後輪RRの車輪速センサSrrwからの出力に基づいて演算される)から左後輪RLの回転速度Rrl(左後輪RLの車輪速センサSrlwからの出力に基づいて演算される)が減算されて、左右後輪RL,RR間の回転速度差Rdraが演算される。ステップ806では、回転速度差Rdraが規定値Rdoより大きいか否かが判定される。この規定値Rdoは、右後輪RRに装着した空気圧生成ユニットRRAの駆動が異常か正常か(空気圧生成ユニットRRAの駆動によって右後輪RRに作用する負荷が基準値を超えるか否か)を判定する基準値である。
このため、右後輪RRに装着した空気圧生成ユニットRRAの駆動が異常であって、空気圧生成ユニットRRAの駆動によって右後輪RRに作用する負荷が基準値を超える場合には、ステップ806にて「Yes」と判定されてステップ807が実行され、ステップ807にて「右後輪の空気圧生成ユニットRRAの異常作動」の表示が指示されて、インパネ表示部IDに「右後輪の空気圧生成ユニット異常作動」が表示される。これによって、乗員は、右後輪RRに装着した空気圧生成ユニットRRAが異常状態にて駆動されていることを知ることができる。
また、右後輪RRに装着した空気圧生成ユニットRRAの駆動が正常である場合には、ステップ806にて「No」と判定されてステップ808が実行され、ステップ808にて「右後輪の空気圧生成ユニットRRAの正常作動」の表示が指示されて、インパネ表示部IDに「右後輪の空気圧生成ユニット正常作動」が表示される。これによって、乗員は、右後輪の空気圧生成ユニットRRAが正常状態にて駆動されていることを知ることができる。
また、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータが図13のフローチャートに対応したプログラムを実行するときに、左後輪RLに装着した空気圧生成ユニットRLAのみが駆動状態であり、車両が直進走行状態にあると、電気制御装置ECUのマイクロコンピュータは、図13のステップ901にて処理を開始し、ステップ902,903,904にてそれぞれ「Yes」と判定する。
また、ステップ904の実行後には、ステップ905とステップ906とステップ907または908が実行された後にステップ909が実行されて、プログラムの実行が終了する。なお、ステップ902、ステップ903またはステップ904にて「No」と判定されたときにはステップ909が実行されて、プログラムの実行が終了する。
ステップ905では、左後輪RLの回転速度Rrlから右後輪RRの回転速度Rrrが減算されて、左右後輪RL,RR間の回転速度差Rdrbが演算される。ステップ906では、回転速度差Rdrbが規定値Rdoより大きいか否かが判定される。この規定値Rdoは、左後輪RLに装着した空気圧生成ユニットRLAの駆動が異常か正常か(空気圧生成ユニットRLAの駆動によって左後輪RLに作用する負荷が基準値を超えるか否か)を判定する基準値である。
このため、左後輪RLに装着した空気圧生成ユニットRLAの駆動が異常であって、空気圧生成ユニットRLAの駆動によって左前輪RLに作用する負荷が基準値を超える場合には、ステップ906にて「Yes」と判定されてステップ907が実行され、ステップ907にて「左後輪の空気圧生成ユニットRLAの異常作動」の表示が指示されて、インパネ表示部IDに「左後輪の空気圧生成ユニット異常作動」が表示される。これによって、乗員は、左後輪RLに装着した空気圧生成ユニットRLAが異常状態にて駆動されていることを知ることができる。
また、左後輪RLに装着した空気圧生成ユニットRLAの駆動が正常である場合には、ステップ906にて「No」と判定されてステップ908が実行され、ステップ908にて「左後輪の空気圧生成ユニットRLAの正常作動」の表示が指示されて、インパネ表示部IDに「左後輪の空気圧生成ユニット正常作動」が表示される。これによって、乗員は、左後輪の空気圧生成ユニットRLAが正常状態にて駆動されていることを知ることができる。
(アクチュエータの変形実施形態)
また、上記した第1実施形態においては、左右一対の空気圧生成ユニットFLA,FRAまたはRLA,RRAの駆動によって生じる車両の挙動量(車両の偏向に関連する動作量)を作動によって抑制するアクチュエータとして、左右輪に制動力を発生させるアクチュエータを採用して実施したが、このアクチュエータとして、各車輪に駆動力または操舵力を発生させるアクチュエータを採用して実施することも可能である。
(挙動量検出手段の変形実施形態)
また、上記した第1実施形態においては、左右一対の空気圧生成ユニットFLA,FRAまたはRLA,RRAの駆動によって生じる車両の挙動量(車両の偏向に関連する動作量)を検出する挙動量検出手段として、左右一対の車輪速センサSflw,SfrwまたはSrlw,Srrwを採用して、車両の挙動量として左右輪の回転速度差が検出されるように構成して実施したが、挙動量検出手段として、例えば、車両のヨーレイトを検出するヨーレイトセンサや、左右一対の車輪駆動トルクセンサ等を採用して、車両の挙動量として車両のヨーレイトや左右輪の回転トルク差が検出されるように構成して実施することも可能である。
(報知手段の変形実施形態)
また、上記した第1実施形態においては、図5のステップ111,112,113,115または図6のステップ211,212,213,215での判定結果をインパネ表示部IDに表示することにより乗員に知らせるように構成して実施したが、上記した各判定結果をスピーカにて報知音で乗員に知らせるように構成して実施することも可能である。
FLA,FRA,RLA,RRA…空気圧生成ユニット、AP…エアーポンプ、VA…制御弁装置、30…圧力制御バルブ、31…弁体、34…圧縮コイルスプリング、40…調整装置、50…リリーフバルブ、FL…左前輪、FR…右前輪、RL…左後輪、RR…右後輪、B1…ホイール、B2…タイヤ、Rb…タイヤ空気室、S1…ストロークセンサ、Sflw,Sfrw,Srlw,Srrw…車輪速センサ、BA…ブレーキアクチュエータ、Wfl,Wfr,Wrl,Wrr…ホイールブレーキ、Pfl,Pfr,Prl,Prr…圧力センサ、ECU…電気制御装置、ID…インパネ表示部、