JP4635967B2 - 時系列信号を用いた物品の良否判定装置及び良否判定方法 - Google Patents
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さらに、物品(2)は、複数の部品(110、120)からなり、時系列信号の少なくとも一つは、複数の部品(110、120)を組み付ける際に生じる音声信号であることが好ましい。
部品組み付け時の音声信号を用いることにより、組み付けが正常に行われたか否かを判定することができるので、部品組み付けが正常か否かに基づく物品の良否判定を正確に行うことができる。
さらに、センサ部は、部品(110、120)の組み付けの際に前記部品(110、120)同士の接触によって生じる接触圧を測定する接触圧検知センサ(11)をさらに含み、時系列信号は、接触圧検知センサ(11)によって取得される圧力信号を含み、判定部(19)は、音声信号及び圧力信号に基づいて良否判定を行うことが好ましい。部品組み付けの際に生じる音声信号の変動要因も考慮されるので、より正確に検査対象物品の良否を判定することができる。
さらに、物品(2)は、複数の部品(110、120)からなり、時系列信号の少なくとも一つは、複数の部品(110、120)を組み付ける際に生じる音声信号であることが好ましい。
部品組み付け時の音声信号を用いることにより、組み付けが正常に行われたか否かを判定することができるので、部品組み付けが正常か否かに基づく物品の良否判定を正確に行うことができる。
また時系列信号は、部品(110、120)の組み付けの際に部品(110、120)同士の接触によって生じる接触圧を測定した圧力信号を含み、第1及び第2の良否判定ステップ(S104)は、音声信号及び圧力信号に基づいて良否判定を行うことが好ましい。
統計解析的手法を用いることにより、良品と不良品の識別境界が複雑な場合でも、正確に物品の良否を判定することができる。
同様に、請求項6に記載のように、本発明に係る良否判定方法は、音声信号から複数の周波数帯域ごとの時系列スペクトルを算出するステップ(S103)をさらに有し、第1及び第2の判定ステップ(S104)は、少なくとも複数の周波数帯域ごとの時系列スペクトルに基づいて良否判定を行うことが好ましい。
本発明に係る良否判定装置は、複数のスナップフィット機構を有する組み立て品の組み付け時の嵌合音を比較的短時間集音した時点で良否判定を行い、良品と判定すると処理を終了し、良品と判定されなかった場合のみ、嵌合音の集音を継続し、再度判定を行うものである。したがって、短時間で組み付けが終了するものについては、短時間で判定を終了することができるので、1個当たりの検査に要する平均時間を短縮することができる。また、本発明に係る良否判定装置は、組み付け時の部品同士の接触圧など、嵌合音の変動要因となるパラメータも考慮して統計解析的に良否を判定するので、嵌合音が変動する場合であっても、正確に良否を判定することができる。
良否判定装置1は、マイクロフォン10、接触圧検知センサ11、増幅器12、A/D変換器13、記憶部14、操作表示部15及び制御部16を有する。そして、検査対象物である組み立て品2の組み付け時に発生する音をマイクロフォン10で集音し、電気信号として取得する。その電気信号は、マイクロフォン10と電気的に接続された増幅器12で増幅される。さらに、その増幅された信号は、増幅器12と電気的に接続されたA/D変換器13によりアナログ信号からデジタル信号に変換される。そしてそのデジタル信号は、A/D変換器13と電気的に接続された制御部16に送られる。同様に、接触圧検知センサ11は、組み付け時に組み立て品2の部品同士が接触する際の接触圧を検知し、その圧力を増幅器12及びA/D変換器13を介してデジタル信号に変換して制御部16に送る。制御部16は、それらのデジタル信号を記憶部14に記録するとともに、それらのデジタル信号に基づいて組み立て品2の良否を判定する。その良否判定結果は、操作表示部15により表示される。
図2(a)〜図2(d)の各図に示すように、検査対象である組み立て品2は、二つの部品110及び120から構成される。部品110の中央部には、溝108が形成される。そして、部品110は溝108に沿って屈曲可能となっている。また、部品110の溝108を境界とした左側のA部と、右側のB部には、それぞれ3箇所ずつ下方に伸びた脚部が設けられており、各脚部には、嵌合孔101A及び101Bが形成されている。一方、部品120には、各嵌合孔101A及び101Bと対応する突起104A及び104Bが形成されている。そして、これら各嵌合孔と対応する突起とで、部品110と部品120を組み付けるスナップフィット機構が構成される。
この組み付け時において、A部及びB部のそれぞれを組み付ける時に嵌合音が発生する。しかし、A部を組み付けてから、B部の組み付けが終わるまでのインターバル期間の長さは、組み付け時の様々な条件によって変動する。
マイクロフォン10は、組み立て品2の組み付けによって生じた嵌合音を集音し、その測定信号を時系列信号として出力するものである。本実施形態では、周波数帯域20Hz〜20kHzのコンデンサ型マイクロフォンを用いた。しかし、マイクロフォン10としては、圧電型マイクロフォンなどの他の方式のマイクロフォンを使用してもよい。また、集音可能な音の周波数帯域も、上記に限られず、例えば100Hz〜18kHzのものを使用してもよい。マイクロフォンの方式、及び測定可能な周波数帯域は、検査対象物の種類、大きさ、スナップフィット機構の構造などによって、適宜最適なものを選択することが可能である。
デジタル化された測定信号は、制御部16に送られる。
なお、操作表示部15は、CRTなど液晶ディスプレイ以外の表示用デバイスと、マウスなどのポインティングデバイスで構成してもよい。
図3に、制御部16の機能ブロック図を示す。制御部16は、周波数解析部17、信号補正部18、判定部19及び計時部20を有し、デジタル化された時系列信号に基づいて、組み立て品2の良否を判定する。なお、これらの各部は、CPU上で動作するプログラムによる機能モジュールとして実装される。あるいは、各部の機能を実現する専用の演算回路で実装してもよい。
ここで、周波数解析部17は、音声の時系列信号について、ウェーブレット変換に基づいて、計測開始からの経過時間の関数として、周波数帯域ごとの時系列信号のスペクトル強度を算出する。ウェーブレット変換は、周知のように以下の式に基づいて行われる。
算出された各周波数帯域ごとの時系列スペクトルは、信号補正部18へ送られる。
信号補正された各時系列スペクトルは、判定部19へ送られる。
図4(a)〜図4(e)を用いて、部品110と部品120の接触圧と嵌合音の関係を説明する。図4(a)及び図4(b)は、組み付け時における経過時間と圧力の関係を示すグラフであり、図4(a)は比較的圧力が大きい場合、図4(b)は比較的圧力が小さい場合に相当する。なお、図4(a)及び図4(b)において、横軸は経過時間tを表し、縦軸は圧力pを表す。図4(a)及び図4(b)において、それぞれ点線で囲った領域31、32で、部品3と部品4のスナップフィット機構が嵌合される。
なお、t0は、上記の特定の周波数帯域の何れかにおいて、時系列スペクトルの振幅が所定値を超えた時点とすることができる。あるいは、制御部16が、組み立て装置から組み付け開始の制御信号を取得するように構成される場合、嵌合音と無関係な組み立て装置の作動音を除外するために、t0をその組み付け開始の制御信号を受信した時点に基づいて決定してもよい。
判定部19は、計時部20から判定実施許可信号の通知を受けると、上記のt0から、判定許可信号の通知を受けるまでの期間、接触圧検知センサ11から取得された圧力測定値を読み込む。同様に、時間t0からt1までの間で、マイクロフォン10から取得した嵌合音のデジタル信号に基づいて求められた特定周波数帯域の時系列スペクトルから、スペクトル面積を算出する。なお、t0から判定実施許可信号の通知までの期間は、上記の判定基準の作成時と同様に、Δt1に設定される。
あるいは、ニューラルネットワークなどの学習系が判定基準として与えられている場合には、判定部19は、算出した圧力測定値や各スペクトル面積などの入力パラメータをその学習系に入力し、得られた出力値を調べる。その出力値が良品を表す値か、不良品を表す値よりも良品を表す値に近い場合、判定部19は、組み立て品2を良品と判定し、そうでない場合、組み立て品2を良品でない可能性があると判定する。
判定部19は、組み立て品2を良品と判定した場合、計時部20に対して、計時停止信号を送信する。
良否判定の再実行時において、判定部19は、良否判定に使用する上記の圧力測定値及び各スペクトル面積を、t1をt2と置き換えて再計算する。すなわち、圧力に関しては、時間t0からt2までの期間における、圧力測定値の平均値または最大値を入力パラメータとする。また、スペクトル面積に関しては、積分期間をt0からt2として算出する。
また計時部20は、判定部19が組み立て品2を良品と判定し、判定部19より計時停止信号を受信すると計時を中止し、計時中の経過時間tを0に戻して初期化する。一方、計時停止信号を受信しない場合、計時部20は、経過時間tが、Δt1からさらに時間Δt2が経過した時点で、判定部19に対して判定実施許可信号を通知する。そして、計時部20は、計時を停止し、経過時間tを初期化する。
また、ステップS106において、良否判定回数が判定可能回数に到達していない場合、制御部16は、良否判定回数を1インクリメントし、制御をステップS102の前に戻す。そして、再度ステップS102以降の処理を繰り返す。
例えば、上記の実施形態では、本発明に係る良否判定装置は、複数のスナップフィット機構を有する組み立て品の良品、不良品を判定するものとして記述されたが、本発明に係る良否判定装置は、一定期間にわたって所定の動作を行い、その動作において複数の音を生じるものの良否判定に用いることもできる。
なお、良否判定装置は、検査対象の組み立て品が不良品と判定された場合に、音声でその判定結果を報知する警報器をさらに有してもよい。
2 組み立て品
10 マイクロフォン(センサ部)
11 接触圧検知センサ(センサ部)
12 増幅器
13 A/D変換器
14 記憶部
15 操作表示部
16 制御部
17 周波数解析部
18 信号補正部
19 判定部
20 計時部
110、120 部品
Claims (6)
- 複数の部品(110、120)からなる物品(2)から生じる、該複数の部品(110、120)を組み付ける際に生じる音声信号を取得するマイクロフォン(10)と、前記部品(110、120)の組み付けの際に前記部品(110、120)同士の接触によって生じる接触圧を測定して圧力信号を出力する接触圧検知センサ(11)とを含み、前記音声信号と前記圧力信号を含む時系列信号を出力するセンサ部(10、11)と、
所定時点からの経過時間を計時し、該経過時間が第1の期間及び該第1の期間より長い第2の期間になったことを通知する計時部(20)と、
前記計時部(20)から経過時間が前記第1の期間となったことを通知されると、前記時系列信号に含まれる前記音声信号及び前記圧力信号に基づいて前記物品(2)の良否を判定し、且つ前記物品(2)が良品でないと判定した場合、前記計時部(20)から経過時間が前記第2の期間となったことを通知されると、前記時系列信号に含まれる前記音声信号及び前記圧力信号に基づいて前記物品(2)の良否を再度判定する判定部(19)と、
を有することを特徴とする良否判定装置。 - 前記判定部(19)は、良品である物品について測定された第1の時系列信号と不良品である物品について測定された第2の時系列信号に基づいて、統計解析的手法により予め設定された判定基準を有し、該判定基準を用いて前記物品(2)の良否を判定する、請求項1に記載の良否判定装置。
- 前記音声信号から複数の周波数帯域ごとの時系列スペクトルを算出する周波数解析部(17)を有し、
前記判定部(19)は、少なくとも前記複数の周波数帯域ごとの時系列スペクトルに基づいて良否判定を行う、請求項1に記載の良否判定装置。 - 物品(2)の良否判定方法であって、
複数の部品(110、120)からなる物品(2)から生じる、該複数の部品(110、120)を組み付ける際に生じる音声信号と、前記部品(110、120)の組み付けの際に前記部品(110、120)同士の接触によって生じる接触圧を測定した圧力信号とを含む時系列信号を取得するステップ(S101)と、
所定時点からの経過時間を計時し、該経過時間が第1の期間に到達したか否か判定するステップ(S102)と、
前記経過時間が第1の期間に到達した場合、前記時系列信号に含まれる前記音声信号及び前記圧力信号に基づいて前記物品の良否を判定する第1の良否判定ステップ(S104)と、
前記経過時間が第2の期間に到達したか否か判定するステップ(S102)と、
前記第1の良否判定ステップにおいて、前記物品(2)が良品と判定されず、且つ前記経過時間が第2の期間に到達した場合、前記時系列信号に含まれる前記音声信号及び前記圧力信号に基づいて再度前記物品(2)の良否を判定する第2の良否判定ステップ(S104)と、
を有することを特徴とする良否判定方法。 - 前記第1及び前記第2の判定ステップ(S104)は、良品である物品について測定された第1の時系列信号と不良品である物品について測定された第2の時系列信号に基づいて、統計解析的手法により予め設定された判定基準を用いて、前記物品(2)の良否を判定する、請求項4に記載の良否判定方法。
- 前記音声信号から複数の周波数帯域ごとの時系列スペクトルを算出するステップ(S103)をさらに有し、
前記第1及び前記第2の判定ステップ(S104)は、少なくとも前記複数の周波数帯域ごとの時系列スペクトルに基づいて良否判定を行う、請求項4に記載の良否判定方法。
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