JP4635154B2 - 微粒子化合火薬類の微粒子生成装置、微粒子化合火薬類の製造装置および微粒子化合火薬類の製造方法 - Google Patents
微粒子化合火薬類の微粒子生成装置、微粒子化合火薬類の製造装置および微粒子化合火薬類の製造方法 Download PDFInfo
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Description
「火薬と発破」(須藤秀治、大久保正八郎、田中一三共著、オーム社、pp19〜)によると、化合火薬類の威力、例えば動的効果を評価するにあたって、爆ごう圧力Pは爆ごう速度(爆速)Dおよび化合火薬類の充填密度ρ0を用いてP=(1/4)ρ0D2と概算できる。そして、爆ごう理論から、爆ごう圧力は、化合火薬類の充填密度の影響を受け、化合火薬類を充填する際に死圧現象が起こらない範囲で充填密度を高くすることができれば、化合火薬類の威力を向上させることができる。
したがって、化合火薬類を高密度に充填するためには、大小の粒子径の化合火薬類を混ぜ合わせて充填すれば、大粒子間の空隙に小粒子が詰まることで、高密度に充填することができ、その際、粒子形状が球状の化合火薬類粒子を用いることにより、さらに高密度に充填することができる。
出発成分をその成分を溶解しうる溶媒に溶解し、その後攪拌して得られた溶液を、エジェクターに供給し、エジェクターに供給される溶媒および水蒸気をディフューザ中で蒸発させるようにし、溶媒中に溶解した爆薬成分を結晶化し、または沈殿させ、その後サイクロン中で結晶成分を溶媒から分離し、溶媒は凝縮後再使用する微粒子化結晶質爆発性物質の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、製造方法の観点から再結晶後にろ過、洗浄、乾燥工程などの煩雑な工程が必要となり、これらの工程を経るにしたがって、化合火薬類微粒子の粒子形状や粒子径などの品質への影響も問題となる。
上記問題点から、近年、超臨界二酸化炭素を用いた化合火薬類の微粒子粉末製造方法が検討されている。二酸化炭素は不活性のガスであるため、不活性雰囲気下で化合火薬類の微粒子粉末製造を行うことができ、機械的粉砕のような微粒子粉末製造時の発火、爆発の危険性を排除することができる。また、二酸化炭素は、無毒性で減圧すれば容易に気化し、分離・回収・リサイクルが可能であるため、環境への負荷を低減することができるばかりか、製造時に出される廃棄物を低減することができる上に、廃棄物の処理に要する労力を低減することができる。
これらの微粒子粉末製造方法は、GAS(Gas Anti-Solvent)法により行われており、従来の再結晶化法で発生する結晶中の空隙(ボイド)をなくすこと、不純物を含まない結晶性爆薬を得ることを主眼としているが、二酸化炭素を所望の圧力まで添加するための添加速度と保持時間の管理が煩雑で、粒子形状や粒子サイズの制御が難しいという問題がある。
しかし、RESS法は、超臨界二酸化炭素に化合火薬類が溶解しないと、適用するのが困難な微粒子粉末製造方法であり、報告されている化合火薬類、例えばTNTの結晶は針状のような形状となり、衝撃・摩擦に対して感度が増大する問題があり、また、微粒子化合火薬類の製造において、噴霧と同時に微粒子粉末は乾燥してしまい、粉塵爆発の虞が予測される。
これに対して、粒子形成容器内の温度および圧力を制御するための手段と、そして粒子形成容器中に、少なくとも一種の物質をビヒクルに溶かしまたは懸濁させた溶液または懸濁液と超臨界流体とを同時導入するための導入手段とを含んで成る粒状生成物を形成するための装置であって、導入手段が、超臨界流体を導入するための第一通路と、溶液または懸濁液を導入するための第二通路とを含み、第一通路および第二通路並びにこれらの各出口の相対配置が、使用の際、第一通路から導入される超臨界流体と第二通路から導入される溶液または懸濁液とが共に粒子形成容器に同一地点で流入し、その地点が超臨界流体と溶液または懸濁液とが接する地点と実質的に同一となり、そして超臨界流体の流れによって、超臨界流体と溶液または懸濁液とが接し、かつ粒子形成容器に流入する地点において、溶液または懸濁液を分散させることができるような配置とした粒子生成装置およびこの装置を用いた粒子生成方法が開示されている(例えば、特許文献6参照)。
同軸ノズルは、超臨界流体の流れによって粒子生成容器内に溶液を分散させるための手段であり、容器内へのビヒクルの分散と同時に超臨界流体にビヒクルを抽出して溶液中の物質の粒子を析出せしめる。
また、超臨界二酸化炭素を用いた微粒子粉末製造方法は、二酸化炭素が不活性のガスであるという特徴を活かして、製造時の発火・爆発の危険性を排除でき、微粒子粉末製造後に出される廃棄物の量を低減できる良い方法ではあるが、化合火薬類微粒子の粒子形状および粒子径を制御するのが困難であった。
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の微粒子化合火薬類の微粒子生成装置において、単一流路の長さは、5mm〜200mmである。
請求項4に係る発明は、請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の微粒子化合火薬類の微粒子生成装置と、前記第二の導管の出口端部に連結する微粒子回収容器と、前記微粒子回収容器の出口側に連絡し、前記微粒子回収容器内の圧力を調整する圧力調整弁と、前記第一の導管に連絡し、前記化合火薬類を有機溶剤に溶解した溶解液を送液ポンプにより供給する溶解液供給装置と、前記第二の導管に連絡し、前記超臨界二酸化炭素を供給する超臨界二酸化炭素供給装置とを備え、前記超臨界二酸化炭素供給装置は、二酸化炭素を冷却・液化する冷却器と、冷却・液化した二酸化炭素を昇圧する昇圧ポンプと、前記昇圧ポンプから導入する二酸化炭素を超臨界二酸化炭素にする熱交換器とを有する。
請求項7に係る発明は、請求項5または請求項6に記載の微粒子化合火薬類の製造方法において、溶解液導入時の第二の導管内の圧力は、12.7MPa〜29.4MPaである。
超臨界状態の二酸化炭素の好適な圧力としては、12.7MPa〜29.4MPa、好ましくは12.7MPa〜19.6MPa、より好ましくは13.7MPa〜19.6MPaとすることができる。
超臨界二酸化炭素の温度が150℃を超えた場合、再結晶化された化合火薬類が熱により発火・爆発する危険性があり、または再結晶化された化合火薬類が熱により分解する可能性があるため、好ましくない。
微粒子生成装置に導入される超臨界二酸化炭素と溶解液は、超臨界二酸化炭素/溶解液の質量流量比率として30〜200、好ましくは50〜150として導入するのが良い。
超臨界二酸化炭素/溶解液の質量流量比率を30未満とすると、得られる粒子形状が不規則形状となり、好ましくない。また、超臨界二酸化炭素/溶解液の質量流量比率が200を超えた場合は、粒子形状が30〜200の範囲内と同等の球状体となるので、必要以上に高くする意味がない。
超臨界CO2/溶解液の質量流量比率[−]=(超臨界CO2質量流量[kg/hr]*1000[g/kg]/60[min/hr])/溶解液質量流量[g/min]
例えば、超臨界二酸化炭素の質量流量を1.0kg/hrとした場合、質量流量比率30〜200の範囲内で、上記計算式から溶解液の質量流量は、略0.08〜0.5g/minの範囲となり任意に選定することができる。
・例示2:(1.0×1000÷60)÷200[比率]=0.083g/min
また、化合火薬類は、例えば、トリメチレントリニトラミン(RDX)、シクロテトラメチレンテトラニトラミン(HMX)、ペンタエリスリトールテトラナイトレート(PETN)、ヘキサニトロスチルベン(HNS)、およびヘキサニトロヘキサアザイソウルチタン(CL−20)をはじめとする化合火薬類のうち、少なくとも1種の化合火薬類を用いることができる。
また、本発明においては、粒子形状を「球状体」或いは「不規則形状体」と明記しているが、ここでは次のような意味で用いている。
「不規則形状体」とは、板状、棒状、片状(鱗片、薄片など)、針状などの形状をいう。また、これらの混在をいう。
また、本発明によれば、不活性ガスである二酸化炭素の雰囲気下で再結晶化が行われるため、安全性の高い製造方法を提供することができる。しかも、製造時に用いる二酸化炭素や有機溶剤を回収して再利用することができるため、製造後に出される廃棄物の量、および廃棄物の処理に要する労力を低減することができる。
また、本発明により得られた微粒子粉状化合火薬類を原料として製造した火薬類は、その燃焼特性または爆発特性およびそれらの物性が向上し、微粒子粉末の製造時および製造した微粒子化合火薬類を取り扱う際の衝撃や摩擦による発火・爆発の危険性を低減できる。
図1は、本発明の一実施形態に係る微粒子化合火薬類の微粒子生成装置10を示す(請求項1,2,3に対応する)。
本実施形態に係る微粒子生成装置10は、内径の大きな第二の導管12の内側に内径の小さな第一の導管11を同軸方向に装着し、第一の導管11および第二の導管12内の一部に超臨界二酸化炭素と溶解液とを導入して互いに接触することがない同軸流路13を形成し、同軸流路13の下流に連続して単一流路14を形成し、単一流路14においては、同軸流路13を構成する第一の導管11の出口端部11aが第二の導管12の出口端部12aよりも上流に配置されている。
第一の導管11は、例えば、材質にシリカを用い、その内径は0.05mm〜0.8mm、好ましくは0.07mm〜0.2mmが良い。第一の導管11の外径は、第二の導管12内に装着した際に構成される同軸流路13において、第二の導管12の内径/第一の導管11の外径の比率が1.5〜4.0、好ましくは、1.6〜2.1とするのが良い。
第一の導管11の出口端部11aは、第二の導管12の出口端部12aよりも上流に配置する。この相対位置は、例えば、5mm〜200mmの範囲に配置される。200mmを超えた場合は、粒子形状が5mm〜200mmの範囲内と同等の球状体となるので、相対位置を必要以上に長くする意味がない。5mm未満になると粒子形状が不規則形状となる。すなわち、5mm未満になると、超臨界二酸化炭素と溶解液との接触から化合火薬類の再結晶化にいたる物質移動プロセスが微粒子生成装置10の外で行われ、後述する微粒子回収容器内に溶解液が分散された後、または実質的に分散と同時に化合火薬類の再結晶化が起こるが、再結晶の過程で分散された微小液滴が互いに凝集して再結晶化されたり、超臨界二酸化炭素への有機溶剤の抽出が十分に行われずに微粒子回収容器内に滞留し、生成粒子の結晶成長が起こるために得られる化合火薬類の粒子形状が不規則形状となる。
同軸流路13から単一流路14内に連続して導入される超臨界二酸化炭素の所定流量の流れの中に所定流量で溶解液を導入する。その際、超臨界二酸化炭素は所定圧力の状態にある。これにより、両者を接触させて溶解液を単一流路14内に分散し、この単一流路14内で、超臨界二酸化炭素と溶解液との混合、超臨界二酸化炭素への有機溶剤の抽出、および溶解液中の化合火薬類の再結晶が行なわれ、10μm以下の球状に制御された微粒子化合火薬類を析出する。
図2は、本発明の一実施形態に係る微粒子化合火薬類の製造装置100の概要を示す。
微粒子生成装置10は、微粒子回収容器20の上面部に配置される。
微粒子生成装置10の第一の導管11には、溶解液導入管42が配置されている。溶解液導入管42は、バルブ40、送液ポンプ39を介して化合火薬類を有機溶剤に溶解した溶解液を収容する収納容器38内に連絡している。また、溶解液導入管42は、溶解液導入管42を加温する温度調節器41を備えている。
本実施形態において、微粒子生成装置10に導入する二酸化炭素は、熱交換器36により予め好適な温度される。微粒子生成装置10に導入される超臨界二酸化炭素が、好適な温度として導入されないと、得られる化合火薬類微粒子の粒子形状が不規則形状となり好ましくない。
熱交換器36および微粒子回収容器20を予め好適な温度に加温する。熱交換器36および微粒子回収容器20の温度は、好ましくは実質的に同じ、または熱交換器36の温度を幾分高めにするのが良い。
二酸化炭素ボンベ30からの二酸化炭素を冷却器31を通して冷却・液化して昇圧ポンプ33に導入する。昇圧ポンプ33に導入する前に二酸化炭素を冷却・液化しないと、昇圧ポンプ33内に気泡が入り、昇圧ポンプ33以降への二酸化炭素の導入が困難となったり、導入される二酸化炭素の流量が低下するため好ましくない。
微粒子回収容器20内が好適な圧力まで昇圧されると、その圧力を保持するように圧力調整弁22が作用する。この際、昇圧ポンプ33による二酸化炭素の導入を継続して行うと圧力を保持しつつ、圧力調整弁22の排出口より二酸化炭素が排出される。
導入される超臨界二酸化炭素が、好適な温度、圧力、および質量流量に制御されたところに、送液ポンプ39を用いて予め化合火薬類を有機溶剤に溶解した溶解液を好適な流量で溶解液導入管42から微粒子生成装置10の第一の導管11に導入する。その際、溶解液中の化合火薬類が、溶解液導入管42内および微粒子生成装置10の第二の導管12内で析出するのを防ぐために、温度調節器41を用いて予め溶解液導入管42を加温しておく。さらに、溶解液を導入する前に化合火薬類を含まない有機溶剤のみを導入してから溶解液を導入したほうが良い。
ステンレス鋼チューブとしては、例えば、外径1/4インチ、内径5mmのSUS316チューブを用いることができる。
以上のように、本実施形態によれば、超臨界二酸化炭素と溶解液の接触を単一流路14内で行い、かつ溶解液の分散が行われるだけでなく、超臨界二酸化炭素の連続した流れにより、分散された溶解液の微小液滴が互いに凝集することが防がれるとともに溶解液との混合性が高まり、有機溶剤の抽出が効率的に行われて溶解液中の化合火薬類の核生成に続いて起こる結晶成長が抑制され、球状に制御された微粒子化合火薬類を得ることができる。所望の球状に制御された微粒子化合火薬類は、取扱い感度を低減することができるだけでなく、このような化合火薬類微粒子は高密度に充填することができるため、燃焼特性を向上することができる。
このようにして得られた球状体の乾燥した微粒子化合火薬類は、更なる粉砕や洗浄、および乾燥の工程などを経ずに、直接、微粒子粉末の製品として用いることができる。
また、球状体の乾燥した微粒子化合火薬類を貯蔵、保管するために適度な水分を加えることもできる。
実施例において用いた測定方法などは、以下の通りである。
(粒度分布測定)
界面活性剤(分散媒)の約1%水溶液の5〜10mlを試験管に準備し、これにRDX微粒子粉末を約0.1g加え、数分間超音波により分散させる。分散させた微粒子粉末試料を下記の測定条件に従って、粒度分布測定を行った。
・測定原理(レーザ回折および散乱法)
・光源(半導体レーザ(波長670nm/最大出力2mW))
・検出器(49素子半円型シリコンフォト・ダイオードおよび6素子前方・後方シリコンフォト・ダイオード)
・分散方法(スターラおよび超音波)
(粒度分布図の説明)
図3および図4に示した粒度分布図には、頻度分布図と粒度累積曲線が示されている。
粒度累積曲線とは、図中、曲線として描かれており、相対頻度を累積した相対累積頻度(図中縦軸左q3[%])を計算して縦軸にとり、横軸に粒子径を取ることで描かれる。
図3に示した粒度分布図は、実施例1において得られたRDX微粒子粉末の粒度分布を示している。頻度分布図から、対称分布に近い分布を示しており、粒度累積曲線から求めた平均粒子径は、2.8μmであった。
(実施例1)
乾燥したRDX(平均粒子径 61μm)2.4gを20gのシクロヘキサノンに加え、50℃に加温、撹拌してRDXを完全に溶解した溶液を用意した。
熱交換器36および微粒子回収容器20を50℃に加温し、微粒子回収容器20の圧力を13.7MPa、二酸化炭素の質量流量を約1.0kg/hrに制御した。
再結晶終了後、超臨界二酸化炭素のみを約1.0kg/hrの質量流量で約1時間以上流して、残留するシクロヘキサノンを除去した。微粒子回収容器20内の二酸化炭素を排出して圧力を下げた後、微粒子回収容器20内および捕集手段21より白色のRDX微粒子粉末を回収した。
図3に示すように、得られたRDX微粒子粉末は、粒度分布の幅が狭い微粒子粉末であり、平均粒子径は2.8μmであった。図5に示すように、得られたRDX微粒子粉末は、球状になっていることが分かった。
製造直後、および常温にて1ヶ月経過後のRDX微粒子粉末の平均粒子径の変化がなく、本実施例により得られたRDX微粒子粉末は、凝集性の少ない微粒子であることが分かった。
乾燥したRDX(平均粒子径61μm)1.6gを20gのアセトンに加え、40℃に加温、撹拌してRDXを完全に溶解した溶解液を用意した。
RDXを溶解する有機溶剤をアセトンに代えた以外は、実施例1と同様の方法で微粒子粉末製造を行った。
図4に示すように、得られたRDX微粒子粉末は、粒度分布の幅が狭い微粒子粉末であり、平均粒子径は2.7μmであった。
図6に示すように、得られたRDX微粒子粉末は、球状になっていることが分かった。
製造直後、および常温にて1ヶ月経過後のRDX微粒子粉末の平均粒子径の変化がなく、本実施例により得られたRDX微粒子粉末は、凝集性の少ない微粒子であることが分かった。
微粒子生成装置10の第二の導管12の出口端部12aと第一の導管11の出口端部11aとの相対位置が、得られるRDX微粒子粉末の粒子形状、および平均粒子径に及ぼす影響を検討した。
微粒子生成装置10は、外径0.2mm、内径0.1mmから成る第一の導管11(材質シリカ)を、外径0.45mm、内径0.32mmから成る第二の導管12(材質シリカ)に装着し、第一の導管11の出口端部11aを第二の導管12の出口端部12aより上流に5〜200mmの位置における実施例1と同様の方法で微粒子粉末製造を行った。
上記結果より、第一の導管11の出口端部11aが第二の導管12の出口端部12aより上流に5〜200mmの位置に配置されると、得られるRDX微粒子粉末の粒子形状が球状に制御され、かつ平均粒子径3μm以下のRDX微粒子粉末を得ることができる。
超臨界二酸化炭素の質量流量が、得られるRDX微粒子粉末の粒子形状および平均粒子径に及ぼす影響を検討した。
二酸化炭素の質量流量を0.4kg/hr〜1.2kg/hrの範囲とし、超臨界二酸化炭素の質量流量/溶解液の質量流量比率33〜100[−]における実施例1と同様の方法で微粒子粉末製造を行った。
上記の結果より、超臨界二酸化炭素の質量流量を遅くすると、得られるRDX微粒子粉末の粒子径が大きくなり、超臨界二酸化炭素の質量流量を速くすると、得られるRDX微粒子粉末の粒子径が小さくなる。超臨界二酸化炭素の質量流量を制御することにより、得られるRDX微粒子粉末の粒子形状を球状に維持しつつ、所望の平均粒子径に制御することができる。
微粒子生成装置10の第一の導管11に導入する溶解液の流量が、得られるRDX微粒子粉末の粒子形状および平均粒子径に及ぼす影響を検討した。
超臨界二酸化炭素の質量流量を0.8kg/hr、溶解液の流量を0.1〜0.3g/minの範囲とし、超臨界二酸化炭素の質量流量/溶解液の質量流量比率44〜133[−]における実施例1と同様の方法で微粒子粉末製造を行った。
微粒子生成装置10に導入される超臨界二酸化炭素および溶解液の流量のバランスを調整することで、所望の球状に制御されたRDX微粒子粉末を製造することができる。
(実施例6)(圧力の影響)
超臨界二酸化炭素の圧力が、得られるRDX微粒子粉末の粒子形状および平均粒子径に及ぼす影響を検討した。
得られたRDX微粒子粉末の粒子径を、実施例1と同様に粒度分布測定により測定した結果を表1に示す。
(実施例7)(温度の影響)
熱交換器36および微粒子回収容器20の温度が、得られるRDX微粒子粉末の粒子形状および平均粒子径に及ぼす影響を検討した。
得られたRDX微粒子粉末の粒子径を、粒度分布測定により測定した結果を表1に示す。また、それぞれの温度で得られたRDX微粒子粉末の粒子形状写真を図5および図12〜図15に示す。
(実施例8)(第二の導管内径、第一の導管外径および第一の導管内径の影響)
微粒子生成装置10を構成する第二の導管12の内径、第一の導管11の外径および第一の導管11の内径が、得られるRDX微粒子粉末の粒子形状および平均粒子径に及ぼす影響を検討した。
得られたRDX微粒子粉末の粒子径を、粒度分布測定により測定した結果を表1に示す。
微粒子生成装置10の第二の導管12の出口端部12aと第一の導管11の出口端部11aの相対位置が、得られるRDX微粒子粉末の粒子形状および平均粒子径に及ぼす影響を検討した。
得られたRDX微粒子粉末の粒子径を粒度分布測定により測定した結果を表2に示すとともに、第一の導管11の出口端部11aが第二の導管12の出口端部12aより上流に1mmの位置において得られたRDX微粒子粉末の粒子形状写真を図16に示す。
(比較例2)(溶解液流量の影響)
微粒子生成装置10の第一の導管11に導入する溶解液の流量が、得られるRDX微粒子粉末の粒子形状および平均粒子径に及ぼす影響を検討した。
得られたRDX微粒子粉末の粒子径を、粒度分布測定により測定した結果を表2に示す。
(比較例3)(圧力の影響)
超臨界二酸化炭素の圧力が、得られるRDX微粒子粉末の粒子形状および平均粒子径に及ぼす影響を検討した。
得られたRDX微粒子粉末の粒子径を、粒度分布測定により測定した結果を表2に示す。
(比較例4)(温度の影響)
熱交換器36および微粒子回収容器20の温度が、得られるRDX微粒子粉末の平均粒子径に及ぼす影響を検討した。
得られたRDX微粒子粉末の粒子径を、粒度分布測定により測定した結果を表2に示す。また、それぞれの温度で得られたRDX微粒子粉末の粒子形状写真をそれぞれ図17と図18に示す。
11 第一の導管
11a 出口端部
12 第二の導管
12a 出口端部
13 同軸流路
14 単一流路
15 外部流路
20 微粒子回収容器
21 捕集手段
22 圧力調整弁
23 分離容器
24 流量計
25 温度調節器
26 圧力計
30 二酸化炭素ボンベ
31 冷却器
32 バルブ
33 昇圧ポンプ
34 バルブ
35 温度調節器
36 熱交換器
37 二酸化炭素導入管
38 溶解液の収納容器
39 送液ポンプ
40 バルブ
41 温度調節器
42 溶解液導入管
100 微粒子化合火薬類の製造装置
Claims (7)
- 化合火薬類を有機溶剤に溶解した溶解液を導入する第一の導管と、
前記第一の導管を囲繞して前記第一の導管と同軸上に配設され、超臨界二酸化炭素を導入する第二の導管と
を備え、
前記第二の導管は、出口端部を前記第一の導管の出口端部より少なくとも5mm以上長くして、前記超臨界二酸化炭素と前記溶解液とが接触し前記化合火薬類の再結晶を行うための単一流路を形成して成る
ことを特徴とする微粒子化合火薬類の微粒子生成装置。 - 請求項1に記載の微粒子化合火薬類の微粒子生成装置において、前記単一流路における前記第二の導管の内径は、前記第二の導管の内径と同じであることを特徴とする微粒子化合火薬類の微粒子生成装置。
- 請求項1または請求項2に記載の微粒子化合火薬類の微粒子生成装置において、前記単一流路の長さは、5mm〜200mmであることを特徴とする微粒子化合火薬類の微粒子生成装置。
- 請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の微粒子化合火薬類の微粒子生成装置と、
前記第二の導管の出口端部に連結する微粒子回収容器と、
前記微粒子回収容器の出口側に連絡し、前記微粒子回収容器内の圧力を調整する圧力調整弁と、
前記第一の導管に連絡し、前記化合火薬類を有機溶剤に溶解した溶解液を送液ポンプにより供給する溶解液供給装置と、
前記第二の導管に連絡し、前記超臨界二酸化炭素を供給する超臨界二酸化炭素供給装置と
を備え、
前記超臨界二酸化炭素供給装置は、二酸化炭素を冷却・液化する冷却器と、冷却・液化した二酸化炭素を昇圧する昇圧ポンプと、前記昇圧ポンプから導入する二酸化炭素を超臨界二酸化炭素にする熱交換器とを有する
ことを特徴とする微粒子化合火薬類の製造装置。 - 請求項4項に記載の微粒子化合火薬類の製造装置を用いて微粒子化合火薬類に再結晶化する方法において、
前記超臨界二酸化炭素を前記第二の導管内に導入中に前記第二の導管内の圧力が所定圧力に達したときに、前記溶解液を前記第一の導管内に導入し、前記単一流路において前記超臨界二酸化炭素と前記溶解液とを所定の流量で接触させて球状体の微粒子化合火薬類に再結晶化させ、前記再結晶化した微粒子化合火薬類を前記粒子回収容器に回収することを特徴とする微粒子化合火薬類の製造方法。 - 請求項5に記載の微粒子化合火薬類の製造方法において、前記溶解液流量に対する前記超臨界二酸化炭素の流量比率は、30〜200であることを特徴とする微粒子化合火薬類の製造方法。
- 請求項5または請求項6に記載の微粒子化合火薬類の製造方法において、前記溶解液導入時の前記第二の導管内の圧力は、12.7MPa〜29.4MPaであることを特徴とする微粒子化合火薬類の製造方法。
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