JP4634536B1 - 電池シミュレータ - Google Patents

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Abstract

【課題】電池駆動機器200の電源として用いられる実電池ユニットの電気特性を模擬する電池シミュレータ100−1であって、実電池ユニットの製作や評価にかかる作業負担およびコスト負担を低減させつつ、実電池ユニットの特性と実質同等の電池特性を再現し得るものを提供する。
【解決手段】電池シミュレータ100−1に、実電池ユニットが有する複数個の実電池セルのうちの一部である少なくとも1個の実電池セルと共通する電気特性を有する少なくとも1個の基準電池セル101−1と、基準電池セルに直列接続され、その基準電池セルに蓄積される電気エネルギーとは別の電気エネルギーを用いて作動する第1模擬電源部102と、基準電池セルの電圧を検出し、その電圧検出値に基づいて第1模擬電源部を制御する制御部とを設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、電池駆動機器の電源として用いられる実電池ユニットを模擬する電池シミュレータに関するものであり、特に、その実電池ユニットが、電池セルが複数接続されて成る電池セル群を有する場合に好適な電池シミュレータに関するものである。
電池によって駆動される電池駆動機器として、ノートパソコンや電動工具、電気自動車などが既に存在する。
二次電池で駆動する電気機器、すなわち、例えば、ノートパソコンや電動工具は、電池技術、特にリチウムイオン電池技術の進歩と共にその性能が飛躍的に向上した。近年、内燃機関を用いず、電動モータの電池駆動によって走行性能を実用レベルまで近づけた電気自動車が市場に投入され始めているが、これも、そのリチウムイオン電池技術の進歩の延長線上に他ならない。
電気自動車を駆動する電池駆動システムは、主に、複数の電池セルが接続されて成る電池ユニットから供給される電力で動く電動モータと、それら電池ユニットと電動モータとの間に介在するインバータ等の制御回路(充電回路を含む)とによって構成される。電気自動車に求められる駆動性能を実現するための電気エネルギー量は、従来のノートパソコンや電動工具とは比較にならないほど多い。
ノートパソコンや電動工具等のような電気機器に用いられる電池ユニットについては、例えば、小型リチウムイオン電池を機器1台あたり10セル程度用いた電池ユニットが市場に普及している。これに対し、電気自動車に用いられる電池ユニットについては、前記小型リチウムイオン電池の10倍以上の容量を有する大型リチウムイオン電池を用いた場合、自動車1台あたり少なくとも100セル程度の個数が必要になるか、または、前記小型リチウムイオン電池をそのまま用いた場合、少なくとも1000セル以上の個数が必要になる。
電気自動車の開発段階において、それの電池駆動システムの評価を行う際、前述のように、自動車1台あたりの電池ユニットに必要な電池セルが多数である上に、開発する電池ユニット、電動モータ、および、制御回路のそれぞれの仕様の組み合わせは複数に及ぶ。その上、それらの評価条件などが多岐に渡ると、開発段階で必要となる電池ユニットの数は増え、また、それに必要な電池セルの個数は膨大になる。
さらに、それら多数の電池セルを実際に使用できるように、複数の電池セルを接続して各電池ユニットを製作し、さらに、各電池ユニットの状態を各種試験条件に合わせる負担も極めて大きい。
このような開発負担を軽減することを目的とした従来の電池シミュレータが特許文献1および特許文献2に開示されている。
特開2008−076204号公報 特開2009−106059号公報
特許文献1および特許文献2に開示されている従来の電池シミュレータを用いる場合には、電気自動車の試験・評価に先立ち、その電気自動車で用いられる実電池ユニットの充放電特性をデータとして記憶し、そのデータに基づき、実電池ユニットではない別の電源によって実電池ユニットの特性を模擬した入出力を行う。ここで、「実電池ユニット」とは、実物の複数の電池セルによって構成される実物の電池ユニットを意味する。
特許文献1および特許文献2には、それらに開示された従来技術によれば、試験前に実電池ユニットの充放電等を実際に行って残容量調整するような手間を省くことができ、また、実電池ユニットの状態が寿命進行などにより逐次変化することに伴う試験の再現性低下を防ぐことができると述べている。
しかし、評価すべき電気自動車の電池駆動システムの仕様が複数ある場合、例えば、電動モータおよび制御回路の入力電圧につき、前記大型リチウムイオン電池の直列接続数が80セル、100セル、120セルであるというように、複数の直流電圧仕様がある場合、前記従来の電池シミュレータを用いたのでは、それら複数の実電池ユニットを製作することが必要であるし、それぞれの仕様の実電池ユニットについて個々に実際に充放電を行って特性をデータ化するために作業およびコストの負担が増す。
また、実電池ユニットに用いる電池セルの仕様について、例えば、その電池セル内部に使用される正極材料としてスピネル型マンガン酸リチウムやオリビン型リン酸鉄リチウムなどを選択するように、諸特性の異なる複数の仕様を対象とすると、前述の特性をデータ化するための作業およびコストの負担がさらに増す。
さらにまた、各実電池ユニットを、仕様毎に、電動モータ、制御回路等に接続して所定の条件に従った充放電を繰り返し、その実電池ユニットの寿命進行に伴う電池駆動システムの走行性能の変化などを評価するサイクル特性試験を行う場合がある。この場合、その実電池ユニットの製作や試験にかかる作業およびコストの負担は、最終的には、膨大なものとなる。なぜなら、前記所定の条件の最終的な数が、温度条件の数、制御回路仕様に伴う充電条件の数、制御回路仕様や走行条件に伴う放電条件の数などの積に等しい数であるからである。
従来の電池シミュレータの中には、電池の寿命進行に伴う電池特性の変化を補正係数または補正関数としてデータ化する方法を用いるものがある。しかし、寿命進行に伴う電池特性の変化は、その電池仕様や充放電条件などによって様々である。
そのため、この種の従来の電池シミュレータを用いる場合には、電池特性の正確なデータ化のために、前述の多くの充放電条件について実電池ユニットの仕様毎に測定する必要があり、その作業負担およびコスト負担は膨大である。また、前記補正係数または補正関数を簡素化し、データ化の作業負担を軽減すれば、その電池シミュレータの入出力特性は実電池ユニットの入出力特性から乖離するものとなり、電池特性の高い再現性が求められる電池シミュレータとしての機能を果たすことができない。
以上の事情を背景にして、本発明は、電池駆動機器の電源として用いられる実電池ユニットの電気特性を模擬する電池シミュレータであって、実電池ユニットの製作や評価にかかる作業負担およびコスト負担を低減させつつ、実電池ユニットの特性と実質同等の電池特性を再現し得るものを提供することを課題としてなされたものである。
その課題を解決するために、本発明の一側面によれば、電池駆動される機器の電源として用いられる実電池ユニットの電気特性を模擬する電池シミュレータであって、
前記実電池ユニットが有する複数個の実電池セルのうちの一部である少なくとも1個の実電池セルと共通する電気特性を有する少なくとも1個の基準電池セルと、
その少なくとも1個の基準電池セルに直列接続され、前記少なくとも1個の基準電池セルに蓄積される電気エネルギーとは別の電気エネルギーを用いて作動する第1模擬電源部と、
前記少なくとも1個の基準電池セルの電圧を検出し、その電圧検出値に基づいて前記第1模擬電源部を制御する制御部と
を含む電池シミュレータが提供される。
この電池シミュレータの一実施態様は、さらに、前記少なくとも1個の基準電池セルに並列接続され、前記少なくとも1個の基準電池セルに蓄積される電気エネルギーとは別の電気エネルギーを用いて作動する第2模擬電源部を含み、前記制御部は、当該電池シミュレータと前記機器との間に流れる電流を検出し、その電流検出値に基づき、前記第2模擬電源部を制御する電池シミュレータである。
本発明の別の側面によれば、電池駆動される機器の電源として用いられる実電池ユニットの電気特性を模擬する電池シミュレータであって、
前記実電池ユニットは、複数個の実電池セルが互いに直列に接続された電池セル群を少なくとも有し、
当該電池シミュレータは、
前記電池セル群に属する複数個の実電池セルのうちの一部を、それと共通する電気特性を有する実電池セルを用いて再現する少なくとも1個の基準電池セルと、
前記実電池ユニットのうち、前記電池セル群に属する複数個の実電池セルのうちの残りの部分を少なくとも含む部分の電気特性を、その部分と同種の電気回路構成を用いることなく、模擬するために、前記少なくとも1個の基準電池セルに直列接続された第1模擬電源部であって、前記少なくとも1個の基準電池セルに蓄積されている電池エネルギーとは別の電池エネルギーを用いて作動するものと、
前記少なくとも1個の基準電池セルの電圧を検出し、その電圧検出値に基づき、前記第1模擬電源部の電圧を、当該電池シミュレータが前記実電池ユニットの電気特性を実質的に再現するように制御する制御部と
を含む電池シミュレータが提供される。
この電池シミュレータの一実施態様は、前記実電池ユニットは、前記電池セル群に加えて、その電池セル群のうちの前記一部の電池セルに並列接続された少なくとも1個の電池セルを有し、
当該電池シミュレータは、さらに、
前記並列接続された少なくとも1個の電池セルを、それと同種の電気回路構成を用いることなく、模擬するために、前記少なくとも1個の基準電池セルに並列接続された第2模擬電源部であって、前記少なくとも1個の基準電池セルに蓄積されている電池エネルギーとは別の電池エネルギーを用いて作動するものを含み、
前記制御部は、当該電池シミュレータと前記機器との間に流れる電流を検出し、その電流検出値に基づき、前記第2模擬電源部に流れる電流を、当該電池シミュレータが前記実電池ユニットの電気特性を実質的に再現するように制御する電池シミュレータである。
本発明によれば、実電池ユニットの一部についてのみ、それと共通の電気特性を有する電池セルを用いる一方で、実電池ユニットの残りの部分のうちの少なくとも一部については、その部分を、それと同種の電気回路構成を用いることなく、模擬する模擬電源部を用いるように電池シミュレータが構成される。
この電池シミュレータにおいては、模擬電源部が、実電池セルの電気特性(電圧特性や電流特性、劣化に伴う特性変化等)に基づき、当該電池シミュレータが実電池ユニットの電気特性を実質的に再現するように制御される。
したがって、本発明によれば、実電池ユニットについての測定と模擬出力のための電池特性の事前データ化とが不要となり、作業負担および作業効率が向上する。
さらに、本発明によれば、電池シミュレータが、実電池ユニットの一部と電気特性が同じものを用いるため、実電池ユニットの一部の実際の特性変化を評価することが可能となる。
さらにまた、本発明によれば、実電池ユニットの一部の実際の特性変化が反映されるように模擬電源部が制御され、それにより、実電池ユニットの諸特性と実質同等の模擬出力が再現される、その結果、前述の電池駆動機器のうちの電池駆動システム(例えば、放電を行う負荷(例えば、電動モータ)、充電を行う装置など)の評価を精度よく行うことが可能となる。
本発明の第1実施形態に従う電池シミュレータを示す機能ブロック図である。 図1に示す電池シミュレータの作動原理を説明するための模式図である。 図1に示す電池シミュレータの制御の流れを概念的に表すフローチャートである。 本発明の第2実施形態に従う電池シミュレータを示す機能ブロック図である。 図4に示す電池シミュレータの作動原理を説明するための模式図である。 図4に示す電池シミュレータの制御の流れを概念的に表すフローチャートである。
以下、本発明のさらに具体的な実施形態のうちのいくつかを図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に従う電池シミュレータ100−1を示す機能ブロック図である。
図1に示すように、電池シミュレータ100−1においては、1セルの電池セル101−1(前記「少なくとも1個の基準電池セル」の一例)と電源部102(同項における「第1模擬電源部」の一例)が互いに直列接続され、それらの直列回路は、端子103に接続される。
この端子103には、電池シミュレータ100−1によって模擬される実電池ユニット210(図2(b)に示すように、仕様を共通にする複数個の電池セルが直列接続された電池セル群を含む)を電源とする電池駆動機器200(ただし、実電池ユニット210は搭載されていない)が接続される。電池セル101−1は、実電池ユニット210における複数個の電池セルのうちの一つと同じである。
電池駆動機器200の一例は、電気自動車であり、その電池自動車のうち、電動モータと、その電動モータを駆動・制御する部分とが互いに共同して、前述の電池駆動システムを構成する。
電池セル101−1は、電池シミュレータ100−1に対して着脱可能であり、また、リチウムイオン電池に代表されるように、電圧の入出力が可能な二次電池を、種類の如何を問わず、広く包含する。電池セル101−1は、電圧V1を出力する。
これに対し、電源部102は、電池セル101−1に蓄えられた電気エネルギーを主電源として用いて作動するのではなく、その電気エネルギーとは別の電気エネルギーを出力する商用電源400(別の電池電源でも可)を主電源として用いて作動する。電源部102は、電圧V2を出力する。
電源部102は、外部からの電圧指示信号(前記「第1指示信号」の一例)に応じた電圧を出力する可変電源部として作用する。ただし、電源部102に流れる電流は、電池セル101−1に流れる電流と同じである。
第1電源部102は、電流・電圧ともに両極性の印加が可能であり、電気エネルギーを吐き出す状態と、電気エネルギーを吸い込む状態とに選択的に切り換わる。具体的には、電源部102は、電源部102から電池駆動機器200に向かう方向へ電流を流す際には、商用電源400の交流電圧を入力し、その交流電圧を直流電圧に変換し、さらに、その直流電圧を電圧指示信号に応じた直流電圧となるように調整しながら出力を行う。
一方、電源部102は、電池駆動機器200から電源部102に向かう方向へ電流を流す際には、電池駆動機器200から流れ込んだ電流を消費する負荷装置として作用し、その際の負荷電圧、すなわち、電源部102の電圧を電圧指示信号に応じた直流電圧となるように調整して消費を行う。
電源部102の一例は、後述の第1電源部111および第2電源部112と同様に、バイポーラ電源である。バイポーラ電源の従来例が、特開平6−335176号公報および特開2009−142109号公報に開示されており、それらは、全体的に、引用によって本明細書に合体させられる。
制御部104は、電池セル101−1の電圧を検知するための電圧信号が入力される電圧検知部105と、電源部102へ所定の出力電圧値を指示するための電圧指示信号を出力する出力指示部106とを有する。
この制御部104は、電圧検知部105に入力された電圧信号に基づいて電池セル101−1の電圧を検知し、その検知結果に基づき、前記電圧指示信号を生成する。さらに、この制御部104は、その生成された電圧指示信号を電源部102に出力することによって電源部102を制御し、その結果、端子103から模擬電圧Vout(=V1+V2)を電池駆動機器200に出力する。このことは、後に図2および図3を参照して詳述する。
制御部104にデータ入力部107−1が接続されており、そのデータ入力部107−1は、制御部104が電源部102を制御するために必要なデータを制御部104に入力する。
ここに、「入力するデータ」は、例えば、次のデータを含む。
(1)電池シミュレータ100−1に接続される電池セル101−1の直列数(本実施形態においては、「1」である)を表すデータ
(2)模擬電圧Voutが出力される実電池ユニット210が有する電池セル101−1の直列数(本実施形態においては、図2(b)に示すように、「100」である)を表すデータ
このことは、後に図2および図3を参照して詳述する。
それらデータの入力方法は、電池シミュレータ100−1が収容されるケースと一体化された操作パネルを用いてユーザが入力する方法、電池シミュレータ100−1の外部に接続された情報機器、例えば、コンピュータよりユーザが入力する方法などがあるが、それらに限定されない。また、入力されたデータの記憶は、制御部104または前記情報機器のいずれで行っても良い。また、データ入力部107−1と同じ機能を制御部104において実現することにより、データ入力部107−1を省略しても良い。それらの代替案は、後述の第2実施形態においても適用可能である。
出力指示部106から電源部102への指示方法については、制御部104と電源部102の間で、同じ信号についてのそれぞれの意味が互いに関連付けられる限り、その信号の送受信の方式が、有線方式であるか無線方式であるかを問わず、さらに、信号の種類は、アナログ信号であるかデジタル信号であるかを問わない。それらの代替案は、後述の第2実施形態においても適用可能である。
図2は、電池シミュレータ100−1の作動原理を説明するための模式図である。図2(a)は、電池シミュレータ100−1に接続される実際の1セルの電池セル101−1が電圧V1を出力する状態を示しているのに対し、図2(b)は、実電池ユニット210の電圧に相当する模擬電圧Vout(=V1+V2)が端子103から出力される状態を示している。実電池ユニット210は、実際の100セルの電池セル101−1を直列接続したものに相当する。
したがって、電池シミュレータ100−1によれば、実際の100セルの電池セル101−1で構成される実電池ユニット210を用いることなく、1セルの電池セル101−1のみ用いて、実電池ユニット210の特性を再現することが可能となる。
その特性の再現方法については、後に図3を参照して詳述するが、概略的に説明すれば、電池シミュレータ100−1によれば、この電池シミュレータ100−1に端子103を介して接続された電池駆動機器200(例えば、放電用負荷または充電用電源)の特性変化に伴って放電電流または充電電流が変化すると、端子103から出力される模擬電圧Voutが、実電池ユニット210の電圧と同等の変化をし、さらに、電池シミュレータ100−1に接続された実際の1セルの電池セル101−1に流れる電流が、実電池ユニット210のうちの少なくとも1セルの電池セルに流れる電流と同等の変化をする。
本発明者は、本発明に先立ち、電池セル101−1に、それの電圧を所定の電圧に昇圧する昇圧コンバータを並列に接続し、その昇圧コンバータにより、入力された電圧を100倍にして出力する技術を提案した。この技術においては、その昇圧コンバータから出力される電圧については、100倍という前述の固定比で出力状態が保持される限り、実電池ユニット210の電圧特性の再現性がある。
しかし、昇圧コンバータは、昇圧トランスの一次側に入力される電力と二次側から出力される電力とが実質的に互いに等しいため、昇圧トランスの二次側の電圧を高くするために昇圧トランスの一次側の電流を多くする必要があるという、電力の入出力関係に関し、昇圧トランスと共通する。
そのため、昇圧コンバータを用いる場合には、電池セル101−1には、昇圧コンバータに接続された負荷が必要とする負荷電流の100倍以上が流れる。そのため、電池シミュレータ100−1に接続された実際の1セルの電池セル101−1に流れる電流は、実電池ユニット210のうちの少なくとも1セルの電池セルに流れる電流と明らかに異なる。一方、電池セル101−1は、それに流れる電流が多いほど、劣化が速い。
そのため、この技術では、実電池ユニット210が有する電池セルの挙動(劣化を含む)を精度よく再現することが困難である。
具体的には、例えば、実電池ユニット210を電池駆動機器200に接続し、実電池ユニット210の充放電を繰り返して、その実電池ユニット210が有する電池セルの劣化状態と電池駆動機器200の特性変化とを共に評価するサイクル特性試験について、前述の昇圧コンバータを実電池ユニット210の代わりに用いる場合を想定する。
この場合、その昇圧コンバータに接続された電池セル101−1に流れる充放電電流が、実電池ユニット210が有する電池セルに流れる電流の100倍以上となるため、その電池セル101−1の劣化は顕著なものとなる。また、その顕著に劣化した電池セル101−1の電圧を昇圧コンバータで昇圧した電圧が入力された電池駆動機器200の特性は、実際のものと異なる。そのため、この技術では、サイクル特性試験の再現性を高めることは困難である。
また、特許文献1および特許文献2に開示される従来の電池シミュレータを用いる場合、評価対象である実電池ユニット210の特性を予め測定しデータ化する必要がある。この作業は、実電池ユニット210の仕様変更、例えば、リチウムイオン電池の仕様変更、電池セルの直列接続数などの仕様変更などのたびに必要となり、そのためにかかる作業負担およびコスト負担は非常に大きい。
さらに、その従来の電池シミュレータを用いる場合、例えば、様々な条件下のサイクル特性試験など、電池の状態が様々な要因によって複雑に変化するような特性まで、その再現性を高めるためには、予め、より多くのデータ化のための測定を必要とし、作業負担およびコスト負担がさらに大きくなる。
これに対し、本実施形態に従う電池シミュレータ100−1を用いる場合、実電池ユニット210の代わりに電池シミュレータ100−1を電池駆動機器200に接続し、サイクル特性試験を行うことができる。電池シミュレータ100−1に接続される実際の電池セル101−1に流れる電流は、実電池ユニット210が有する実際の電池セルに流れるものと実質同等である。
したがって、本実施形態によれば、電池セル101−1の劣化状態も、実電池ユニット210が有する実際の電池セルと実質同等に再現できる。
また、本実施形態に従う電池シミュレータ100−1を用いる場合、電池駆動機器200は、充放電の繰り返しに伴い特性が劣化する実電池ユニット210が電池駆動機器200に接続された場合と同等の挙動、例えば、実際の電動モータの回転数やトルクの低下などを実質同等に再現できる。
したがって、本実施形態によれば、実電池ユニット210を用いることなく、その実電池ユニット210が有する複数個の実際の電池セルのうちの一部である少なくとも1セルの実際の電池セル101−1だけを用いて、電池駆動機器200のサイクル特性評価と実電池ユニット210が有する電池セルのサイクル特性評価とを行うことができる。
以上の説明から明らかなように、本実施形態に従う電池シミュレータ100−1によれば、評価対象である実際の電池セルを少なくとも1セル用意するだけで良いため、例えば、異なる仕様のリチウムイオン電池をそれぞれ用いて実電池ユニット210を製作して、異なる仕様間で相対評価する際の作業負担およびコスト負担、実電池ユニット210における電池セルの直列接続数の複数のバリエーションについて検討および評価する際の作業負担およびコスト負担、また、従来の電池シミュレータで必要とした特性の事前データ化のための膨大な作業およびコスト負担などを大幅に削減しつつ、実電池ユニット210の特性について高い再現性を得ることができる。
さらに、本実施形態に従う電池シミュレータ100−1によれば、例えば、電気自動車において、異なる環境温度や、電気自動車用の電池駆動機器200(実際のシステムでも模擬的なシステムでも良い)の走行条件等の組合せに対してサイクル特性試験等を行う際、その全ての試験条件の組合せに対して、実電池ユニット210と、試験用の大型設備などを用意することが不要となり、評価に際しての作業負担およびコスト負担を大幅に削減しつつ、実電池ユニット210の特性について高い再現性を得ることができる。
ここで、図3のフローチャートを参照することにより、本実施形態に従う電池シミュレータ100−1の制御の流れを詳細に説明する。この制御は、制御部104内においてプロセッサ(図示しない)がメモリ(図示しない)を利用しつつ所定のプログラムを実行することによって実行される。
まず、ステップS101において、電池シミュレータ100−1の制御部104が、電圧検知部105を介して電池セル101−1の電圧V1を検知する。
次に、ステップS102において、制御部104が、検知した電圧V1に基づき、電圧V2(図1に示すように、電源部102の電圧を意味する)を算出する。
電池シミュレータ100−1は、図2に示すように、実際の1セルの電池セル101−1を用いて、その電池セル101−1と同じ電池セルが100セル直列に接続された電池セル群の出力を模擬電圧Voutとして再現するため、予め、データ入力部107−1に、前述のデータが入力されている。
したがって、電池シミュレータ100−1が、電池セル101−1と電源部102を直列接続して模擬電圧Voutを端子103から出力するため、制御部104は、その電源部102が出力すべき電圧V2を、V1×99として算出する。
なお、本実施形態においては、説明の便宜上、電池シミュレータ100−1に接続する実際の電池セル101−1の個数を1セルとした上で、その電池セル101−1が100セル直列に接続された状態を模擬して電池シミュレータ100−1が出力する例が採用されているが、別の例を採用することが可能である。
一例においては、電池シミュレータ100−1に接続する電池セルの個数が4セルであり、よって、電圧V1が、前記4セルが直列接続された電池セル群の電圧として検知され、さらに、その電池セルが40セル直列に接続された状態を模擬して電池シミュレータ100−1が出力する。この例においては、電源部102が出力すべき電圧V2は、V1×9として算出され、その結果として、模擬電圧Voutは、V1×10として出力される。
続いて、ステップS103において、制御部104が、前記算出された電圧V2の高さを表す電圧指示信号を出力指示部106を介して電源部102に出力する。
その後、ステップS104において、電源部102が、制御部104から指示された電圧V2を出力する。
続いて、ステップS105において、電池セル101−1の電圧V1と電源部102から出力された電圧V2との和が、電池セル101−1と同じ電池セルが100セル直列に接続されたものと同等の模擬電圧Voutとして端子103から出力される。その後、ステップS101へ帰還する。
端子103から出力された模擬電圧Voutは、例えば、電池シミュレータ100−1に接続された電気自動車の電池駆動機器200に入力される。その電池駆動機器200は、入力された模擬電圧Voutに基づき、電動モータの駆動制御を行う。その際、電動モータの回転数やトルクなどに応じた負荷電流が必要となり、電池シミュレータ100−1から電池駆動機器200へその負荷電流が流れる。
その際、電池セル101−1にも前記負荷電流が流れ、電池シミュレータ100−1に接続された1セルの電池セル101−1の電圧V1に、その負荷電流に応じた電圧変化が生じる。ステップS101でその電圧V1の変化が検知され、それに伴い、ステップS102以降の処理により、模擬電圧Voutも変化する。
その結果、電池シミュレータ100−1は、電池セル101−1と同じ電池セルが100セル直列に接続された実電池ユニット210と同等の電圧変化を再現できる。
以上の説明から明らかなように、本実施形態によれば、実電池ユニット210や、その実電池ユニット210を搭載する電池駆動機器200を駆動する電池駆動システムの仕様増加、評価条件の増加にかかわらず、実電池ユニット210の製作や評価にかかる作業負担およびコスト負担を低減し、かつ、充放電特性やサイクル特性など幅広い評価用途において、実電池ユニット210の特性と実質同等の電池特性を再現し得る電池シミュレータ100−1が実現される。
次に、本発明の第2実施形態に従う電池シミュレータを説明する。ただし、第1実施形態と共通する要素については、同一の符号または名称を使用して引用することにより、重複した説明を省略する。
図4は、本実施形態に従う電池シミュレータ100−2を示す機能ブロック図である。
図4に示すように、電池シミュレータ100−2においては、5セルの電池セルの直列接続体、すなわち、電池セル群101−2と、第1電源部111(前記「第2模擬電源部」の一例)とが互いに並列接続され、さらに、その並列接続体と、第2電源部112(前記「第1模擬電源部」の一例)とが互いに直列接続されている。それらの回路が端子113に接続される。本実施形態においては、端子113を流れる電流が、電池セル群101−2と、第2電源部112とに分配される。
この端子113には、電池シミュレータ100−2によって模擬される実電池ユニット310(図5(b)に示すように、仕様を互いに共通にする複数個の電池セルが直列・並列接続された電池セル群を含む)を電源とする電池駆動機器300(ただし、実電池ユニット310は搭載されていない)が接続される。電池セル群101−2における各電池セルは、実電池ユニット310における複数個の電池セルのうちの一つと同じである。電池駆動機器300の一例は、電気自動車であり、その電池自動車のうち、電動モータと、その電動モータを駆動・制御する部分とが互いに共同して、前述の電池駆動システムを構成する。
電池セル群101−2は、電池シミュレータ100−2に対して着脱可能である。これに対し、第1電源部111および第2電源部112はいずれも、電池セル群101−2に蓄えられた電気エネルギーを主電源として用いて作動するのではなく、その電気エネルギーとは別の電気エネルギーを出力する商用電源400(別の電池電源でも可)を主電源として用いて作動する。
第1電源部111は、外部からの電流指示信号(前記「第2指示信号」の一例)に応じた電流が流れる可変電源部として作用する。ただし、第1電源部111の電圧は、電池セル群101−2の電圧と同じである。これに対し、第2電源部112は、第1実施形態における電源部102と同様に、外部からの電圧指示信号(前記「第1指示信号」の一例)に応じた電圧を出力する可変電源部として作用する。ただし、第2電源部112に流れる電流は、電池駆動機器300に流れる電流と同じである。
電源部101と同様に、第1電源部111は、電流・電圧ともに両極性の印加が可能であり、電気エネルギーを吐き出す状態と、電気エネルギーを吸い込む状態とに選択的に切り換わる。具体的には、第1電源部111は、第1電源部111から電池駆動機器300に向かう方向へ電流を流す際には、商用電源400の交流電圧を入力し、その交流電圧を直流電圧に変換し、さらに、その直流電圧を調整し、電流指示信号に応じた電流となるように出力を行う。
一方、第1電源部111は、電池駆動機器300から第1電源部111に向かう方向へ電流を流す際には、電池駆動機器300から流れ込んだ電流を消費する負荷装置として作用し、その際の負荷電流、すなわち、第1電源部111の電流を電流指示信号に応じた直流電流となるように調整して消費を行う。第1電源部111の一例は、バイポーラ電源である。
電源部101および第1電源部111と同様に、第2電源部112は、電流・電圧ともに両極性の印加が可能であり、電気エネルギーを吐き出す状態と、電気エネルギーを吸い込む状態とに選択的に切り換わる。具体的には、第2電源部112は、第2電源部112から電池駆動機器300に向かう方向へ電流を流す際には、商用電源400の交流電圧を入力し、その交流電圧を直流電圧に変換し、さらに、その直流電圧を電圧指示信号に応じた直流電圧となるように調整しながら出力を行う。
一方、第2電源部112は、電池駆動機器300から第2電源部112に向かう方向へ電流を流す際には、電池駆動機器300から流れ込んだ電流を消費する負荷装置として作用し、その際の負荷電圧、すなわち、第2電源部112の電圧を電圧指示信号に応じた直流電圧となるように調整して消費を行う。第2電源部112の一例も、バイポーラ電源である。
制御部114は、電池セル群101−2の電圧を検知するための電圧信号が入力される電圧検知部115と、端子113を介して流れる電流を検知するための電流信号が入力される電流検知部116と、第1電源部111へ所定の出力電流値を指示するための電流指示信号を出力する第1出力指示部117と、第2電源部112へ所定の出力電圧値を指示するための電圧指示信号を出力する第2出力指示部118とを有する。
なお、本実施形態においては、第1電源部111につき、電流が直接的に制御されるが、同じ目標電流を実現するように電圧を直接的に制御し、それにより、電流を間接的に制御してもよい。
この制御部114は、電圧検知部115に入力された電圧信号に基づいて電池セル群101−2の電圧(直列電圧)を検知し、さらに、電流検知部116に入力された電流信号に基づき、端子113に流れる電流を検知し、それらの検知結果に基づき、前記電流指示信号および電圧指示信号を生成する。
さらに、この制御部114は、それら生成された電流指示信号および電圧指示信号をそれぞれ、第1および第2電源部111,112に出力することによってそれら第1および第2電源部111,112を用いて所定の制御を行い、その結果、端子113から模擬電圧Voutを電池駆動機器300に出力する。このことは、後に図5および図6を参照して詳述する。
制御部114にデータ入力部107−2が接続されており、そのデータ入力部107−2は、制御部104が第1および第2電源部111,112を制御するために必要なデータを制御部114に入力する。
ここに、「入力するデータ」は、例えば、次のデータを含む。
(1)電池シミュレータ100−2に接続される電池セル群101−2における電池セルの直列数(本実施形態においては、「5」である)を表すデータ
(2)模擬電圧Voutが出力される実電池ユニット310が有する電池セル101−1の直列数(本実施形態においては、図5(b)に示すように、「100」(2個の電池モジュールが直列接続されている電池セルの直列数に相当))を表すデータ
(3)電池セルを収容する電池モジュールが有する放電制御用FET(電界効果トランジスタ)121の諸特性(ドレイン・ソース間オン抵抗Rds(後述)や、寄生ダイオード順電圧Vsd(後述)を含む)を表すデータ
このことは、後に図5および図6を参照して詳述する。
図4に示す第1電源部111、第2電源部112および電池セル群101−2の結線方法は、あくまでも一例である。別の例においては、電池セル群101−2と第1電源部111との直列接続体に、第2電源部112が並列接続される。この例においても、端子113を流れる電流が、電池セル群101−2と、第2電源部112とに分配され、この意味において、後者の例においても、電池セル群101−2と第2電源部112とが互いに並列接続されていると表現できる。本明細書の全体を通じて「並列接続」なる用語は、上述の2つの代表例を包含するように広く解釈することを意図している。
また、第1電源部111、第2電源部112および電池セル群101−2の結線は、電池シミュレータ100−2から電池駆動機器300等へ出力される模擬電圧、および、電池シミュレータ100−2に接続される電池セルまたは電池セル群に流れる電流が、再現対象とする実電池ユニット310のそれらと実質同じになるように行うと良い。
図5は、電池シミュレータ100−2の原理を説明するための模式図である。図5(a)は、電池シミュレータ100−2に接続される実際の5セルの電池セルを直列接続した電池セル群101−2が電圧V1を出力する状態を示しているのに対し、図5(b)は、実電池ユニット310の電圧に相当する模擬電圧Voutが端子113から出力される状態を示している。
実電池ユニット310は、図5(b)に示すように、実際の50セルの電池セル(電池セル群101−2の10倍の個数に相当)と放電制御用FET121を直列接続して電池モジュール120を成し、その電池モジュール120を3個並列接続し、さらにそれら3個の電池モジュール120を2段に直列接続したものに相当する。
したがって、電池シミュレータ100−2によれば、実電池ユニット310、すなわち、実際の300セルの電池セルで構成される6個の電池モジュール120を用いることなく、実際の5セルの電池セルのみを用いて、実電池ユニット310の特性を再現することが可能となる。その挙動の再現方法については、第1実施形態と共通し、後に図6を参照して詳述する。
図5においては、一例として、各電池モジュール120が、その放電および放電停止を制御するための放電用FET121を有している。各電池モジュール120内に配置されるFET121等の通電遮断素子の仕様や使用個数、また、それらFET121等の通電遮断を行うための制御方法など、その組合せは様々である。
そのため、従来技術においては、その組合せの内容が変わるごとに、そのFET121等の通電遮断素子およびそれら通電遮断素子を駆動するための素子駆動回路を実際に用意する必要があった。
これに対し、本実施形態に従う電池シミュレータ100−2によれば、上述の素子駆動回路を実際に用いることなく、データ入力部107−2に、回路に関する仕様を表すデータを入力することで、容易に対応できる。回路に関する仕様の取り扱い方法については、後に図6を参照して詳述する。
ここで、図6のフローチャートを参照することにより、本実施形態に従う電池シミュレータ100−2の制御の流れを詳細に説明する。この制御は、制御部114内においてプロセッサ(図示しない)がメモリ(図示しない)を利用しつつ所定のプログラムを実行することによって実行される。
まず、ステップS201において、電池シミュレータ100−2の制御部114が、電圧検知部115を介して電池セル群101−2の電圧(直列電圧)V1を検知する。
次に、ステップS202において、制御部114が、電流検知部116を介して、第2電源部112を流れる電流Iを検知する。電流Iは、端子113に流れる電流と同じである。
続いて、ステップS203において、制御部114が、検知された電流Iの正負を判定する。電流Iが正である場合には、ステップS204へ進むが、電流Iが負である場合には、ステップS205へ進む。
ここで、電流Iが正である場合は、端子113から第2電源部112に向かう方向に電流が流れている状態、すなわち、電池セル101−2が充電されている状態を示し、一方、電流Iが負である場合は、端子113から電池シミュレータ100−2に接続される電気自動車の電池駆動機器300等に向かう方向に電流が流れている状態、すなわち、電池セル101−2が放電している状態を示す。
充電中に実行されるステップS204においては、制御部114が、検知された電圧V1に基づき、第2電源部112の目標電圧V2を算出する。以下、このことを具体的に説明する。
図5に示すように、電池シミュレータ100−2が模擬する実電池ユニット310は、実際の電池セル群101−2で用いられるものと同じ電池セルを50セル直列接続し、FET121と接続して電池モジュール120を構成し、さらに、その電池モジュール120を3個並列接続し、さらに、それら並列接続体を2段に直列接続して構成される。
電池シミュレータ100−2は、このように構成された実電池ユニット310の出力を模擬電圧Voutとして再現するため、データ入力部107−2に、実電池ユニット310の電気的構成を表すデータが予め入力されている。したがって、電池シミュレータ100−2が、電池セル群101−2(電池セル5個直列分)、第2電源部112および2個のFET121を直列接続してVout(電池セル100個直列分およびFET2個分)を端子113に出力するようにするため、その第2電源部112が出力すべきV2は、
V2=V1×19+2×Vsd
となる。
ここに、「Vsd」は、FET121が有する寄生ダイオードの順電圧であり、電流Iが正である際、すなわち、充電電流が流れる際に発生する電圧である。
これに対し、放電中に実行されるステップS205においては、制御部114が、検知された電圧V1および電流Iに基づき、第2電源部112が出力すべき電圧V2を、
V2=V1×19+2×Rds×I/3
として算出する。
ここに、「Rds」は、FET121が有するドレイン・ソース間オン抵抗である。したがって、電流Iが負である際、すなわち、放電電流が流れる際に、2個のFET121の両端に、Rdsに電流I/3(電池モジュール120が3個並列接続されているうちの1個の電流に相当)を乗じた値に相当する電圧降下が発生する。
なお、ステップS204およびS205における電圧V2の計算は、電池シミュレータ100−2が再現対象とする実電池ユニットが有する電池セルおよび/または電池モジュールの直列および/または並列接続数、また、通電経路に介在する通電遮断素子等の個数や特性などに応じて、適宜計算することができる。
いずれの場合にも、その後、ステップS206において、制御部114が、第2出力指示部118を介して第2電源部112へ、ステップS204またはS205で算出された電圧V2に相当する電圧を出力することを指示する電圧指示信号を出力する。
続いて、ステップS207において、第2電源部112が、制御部114から指示された電圧V2を出力する。
その後、ステップS208において、制御部114が、第2電源部112に流れる電流Iの検知値に基づき、第1電源111に流れる目標電流I1を算出する。
ここに、電池シミュレータ100−2は、図5に示すように、各段の電池モジュール120の並列接続個数が3個であるものを再現対象としている。したがって、電池シミュレータ100−2は、実際の電池セル群101−2に流すべき電流を、電流Iから、電池セル群101−2が含まれない他の電池モジュール120に流れる電流I1を差し引いたものに調整する。その電流I1は、第1電源部111に流すべき電流であり、
I1=I×2/3
となる。
続いて、ステップS209において、制御部114が、第1出力指示部117を介して第1電源部111へ、ステップS208で算出された電流I1に相当する電流が流れるように出力することを指示する電流指示信号を出力する。
その後、ステップS210において、第1電源部111が、制御部114から指示された電流I1を出力する。その結果として、電池セル群101−2には、電流Iから電流I1を差し引いた電流値(I×1/3)が流れる。
なお、ステップS210における目標電流I1の計算は、電池シミュレータ100−2が再現対象とする実電池ユニット310が有する電池セルおよび/または各段の電池モジュール120の並列接続数などに応じて、適宜計算することができる。
図5に示すように、再現対象とする実電池ユニット310においては、各電池モジュール120が、FET121を有し、さらに、そのFET121を制御するための図示しないモジュールコントローラを有する。そのモジュールコントローラは、内蔵する電池セル群の電圧、電流、温度などの状態を検知し、その検知結果に基づき、電池モジュール内の通電経路をFET121によって通電または遮断する。ステップS211およびS212は、それらの制御を電池シミュレータ100−2で再現するためのステップである。
続いて、ステップS211において、制御部114が、「前記モジュールコントローラが、電池モジュール120が有する電池セル群の直列電圧(V1×10)が過充電状態や過放電状態ではない許容範囲内にあると判定した」ことを認識すれば、ステップS212へ進み、そうでなければ、ステップS214へ進む。
その後、ステップS212において、制御部114が、「前記モジュールコントローラが電池モジュール120が有する電池セル群に流れる電流(I×1/3)が過電流充電状態や過負荷放電状態ではない所定値未満にあると判定した」ことを認識すれば、ステップS213へ進み、そうでなければ、ステップS214へ進む。
ステップS214においては、制御部114が、第2電源部112へ通電状態を遮断するように指示し、それを受けて、第2電源部112は通電遮断を実行する。第2電源部112は、端子113と電池セル群101−2との間に介在しているため、前記通電遮断の実行により、電池セル群101−2の通電状態も停止される。
その結果として、ステップS215に示すように、電池シミュレータ100−2の模擬電圧Voutの出力が停止状態となる。これにより、実電池ユニット310が有する電池モジュール120のモジュールコントローラが、充放電を許可しないと判断した際に、その実電池ユニット310の出力を停止する状態を再現することができる。
なお、別の一例においては、ステップS214およびS215において、制御部114が、実電池ユニット310の模擬電圧Voutを停止せず、出力状態を維持したまま、制御部114から電池シミュレータ100−2に接続された電池駆動機器300等の外部機器へ、電池セル群101−2が充電または放電を許容しない状態にあることを警告する信号を送信しても良い。
ステップS213においては、ステップS211およびS212において、電池セル群101−2が充電または放電を許容する状態にあると判定されたため、模擬電圧Vout、すなわち、電池セル群101−2の電圧V1(第1電源部111の電圧と同じ電圧)と第2電源部112の電圧V2との総和が端子113から出力される。その後、ステップS201へ帰還する。
端子113から出力された模擬電圧Voutは、例えば、電池シミュレータ100−2に接続された電気自動車の電池駆動機器300に入力され、その電池駆動機器300は、入力されたVoutに基づき、電動モータの駆動制御を行う。その際、電動モータの回転数やトルクなどに応じた負荷電流Iが必要となり、電池シミュレータ100−2から電池駆動機器300へその負荷電流Iが流れる。
この時、第2電源部112も同じ負荷電流Iが流れ、さらに、第1電源部111によって、電池セル群101−2と第1電源部111の負荷電流が、再現対象とする実電池ユニット310のモジュール数に合わせて分流され、電池セル群101−2にはI×1/3の負荷電流が流れる。電池セル群101−2の電圧V1には、そのI×1/3の負荷電流に応じた電圧変化が生じる。ステップS201でその電圧V1の変化が検知され、ステップS202以降の処理により、模擬電圧Voutも変化する。
その結果、図5(b)に示すように、電池セル群101−2に含まれる電池セルと同じ電池セルを50セルとFET121を用いて電池モジュール120を構成し、その電池モジュール120を6個用いて3並列および2直列に接続した実電池ユニット310と同等の電圧変化を再現できる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、前記[発明の概要]の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
100−1:本発明の第1実施形態に従う電池シミュレータ
100−2:本発明の第2実施形態に従う電池シミュレータ
101−1:電池シミュレータ100−1に接続される実電池セル
101−2:電池シミュレータ100−2に接続される実電池セル群
102:電源部
103:端子
104:制御部
105:電圧検知部
106:出力指示部
111:第1電源部
112:第2電源部
113:端子
114:制御部
115:電圧検知部
116:電流検知部
117:第1出力指示部
118:第2出力指示部
120:電池モジュール
121:放電用FET
200:電池駆動機器
210:実電池ユニット
300:電池駆動機器
310:実電池ユニット
400:商用電源

Claims (2)

  1. 電池駆動される機器の電源として用いられる実電池ユニットの電気特性を模擬する電池シミュレータであって、
    前記実電池ユニットが有する複数個の実電池セルのうちの一部である少なくとも1個の実電池セルと共通する電気特性を有する少なくとも1個の基準電池セルと、
    その少なくとも1個の基準電池セルに直列接続され、前記少なくとも1個の基準電池セルに蓄積される電気エネルギーとは別の電気エネルギーを用いて作動する第1模擬電源部と、
    前記少なくとも1個の基準電池セルの電圧を検出し、その電圧検出値に基づいて前記第1模擬電源部を制御する制御部と
    を含む電池シミュレータ。
  2. さらに、
    前記少なくとも1個の基準電池セルに並列接続され、前記少なくとも1個の基準電池セルに蓄積される電気エネルギーとは別の電気エネルギーを用いて作動する第2模擬電源部を含み、
    前記制御部は、当該電池シミュレータと前記機器との間に流れる電流を検出し、その電流検出値に基づき、前記第2模擬電源部を制御する請求項1に記載の電池シミュレータ。
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