JP2009296699A - 充電制御回路、電源装置、及び充電制御方法 - Google Patents

充電制御回路、電源装置、及び充電制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】SOCの変化に対して端子電圧の変化が小さい二次電池に対する充電制御の精度を向上することができる充電制御回路、電源装置、及び充電制御方法を提供する。
【解決手段】組電池14の端子電圧を検出する電圧検出回路15と、組電池14の充電中に当該充電を停止させると共に当該充電の停止中において電圧検出回路15により検出される端子電圧から当該端子電圧の所定時間あたりの低下量を示す電圧傾き情報を取得する傾き情報取得処理を行う傾き取得部213と、傾き取得部213により取得された電圧傾き情報に基づいて、組電池14の充電を終了すべきか否かを判定する判定処理を実行する充電終了判定部214とを備えた。
【選択図】図1

Description

本発明は、二次電池の充電を制御する充電制御回路、電源装置、及び充電制御方法に関する。
近年、二次電池は、太陽電池や発電装置と組み合わされ、電源システムとして広く利用されている。発電装置は、風力や水力といった自然エネルギーや内燃機関等の人工的な動力によって駆動される。このような二次電池を組み合わせた電源システムは、余剰な電力を二次電池に蓄積し、負荷装置が必要な時に二次電池から電力を供給することによって、エネルギー効率の向上を図っている。
このようなシステムの一例としては、太陽光発電システムが挙げられる。太陽光発電システムは、太陽光による発電量が、負荷装置の電力消費量に比べて大きい場合には、余剰電力で二次電池に充電を行う。逆に、発電量が負荷装置の消費電力より小さい場合には、不足の電力を補うために二次電池から出力して、負荷装置を駆動する。
このように、太陽光発電システムにおいては、従来利用されていなかった余剰電力を二次電池に蓄積できるため、二次電池を用いない電源システムに比べて、エネルギー効率を高めることができる。
このような太陽光発電システムにおいては、二次電池が満充電になってしまうと余剰電力を充電できなくなって、損失が生じる。そこで、余剰電力を効率よく二次電池に充電するため、二次電池の充電状態(以下、SOC:State Of Charge)が100%とならないように、充電制御が行われている。また、必要なときに負荷装置を駆動できるように、SOCが0(ゼロ)%とならないようにも充電制御が行われている。具体的には、通常、二次電池においては、SOCが20%〜80%の範囲で推移するように充電制御が行われている。
また、エンジンとモータとを用いたハイブリット自動車(HEV;Hybrid Electric Vehicle)もこのような原理を利用している。HEVは、走行に必要な動力に対してエンジンからの出力が大きい場合には、余剰のエンジン出力で発電機を駆動し、二次電池を充電する。また、HEVは、車両の制動や減速時には、モータを発電機として利用することによって二次電池を充電する。
さらに、夜間電力の有効活用をした負荷平準化電源やプラグインハイブリット車も最近注目されている。負荷平準化電源は、電力消費が少なく、電力料金が安い夜間に二次電池に電力を貯蔵し、電力消費がピークとなる日中に、貯蔵した電力を活用するシステムである。電力の消費量を平滑化することにより、電力の発電量を一定にし、電力設備の効率的運用や設備投資の削減に貢献することを目的としている。
また、プラグインハイブリット車は夜間電力を活用し、燃費が悪い市街地走行時には二次電池から電力を供給するEV走行が主体に、長距離走行時には、エンジンとモータを活用したHEV走行を行うことにより、トータルのCOの排出量の削減を目的としている。
ところで、二次電池は使用するにつれて劣化し、容量が減少する。その二次電池のSOCを正確に把握することが重要である。例えば、二次電池のSOCを正確に把握できずに、二次電池が過充電されると、二次電池の寿命などの長期信頼性が損なわれることがある。そのため、使用している二次電池のSOC、特に二次電池が満充電に近いか否かを精度よく判定し、充電制御を行うことが必要となる。
図7は、二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)のSOCと端子電圧との関係を示すグラフである。図7の横軸はSOC、縦軸は二次電池の無負荷時の端子電圧、すなわちOCV(Open Circuit Voltage)を示している。二次電池の端子電圧は、図7のグラフG1で示すように、一般的には充電が進んでSOCが増大するにつれて二次電池の端子電圧が上昇する。
そこで、従来、グラフG1に示すような性質を利用して、二次電池の端子電圧をSOCに換算することにより、SOCを検出していた(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の技術は、二次電池の分極特性を考慮して補正した端子電圧を、SOCに換算することにより、SOCの検出精度を向上するようにしている。
特開平11−7984号公報
しかしながら、二次電池の中には、例えば図7のグラフG2で示すように、SOCの変化に対して端子電圧の変化が小さく、平坦な電圧特性を有するものがある。このようにSOCの変化に対して端子電圧の変化が平坦な二次電池の場合、SOCの変化に対して端子電圧が緩やかに変化するため、端子電圧に基づいてSOCを検出すると、SOCの検出精度が低下する。そして、精度の低いSOCに基づいて充電制御を行うと、二次電池を適切に充電できないという、問題があった。
例えば、実際のSOCが20%であるのに80%と誤検知したりすることもありうる。このような場合、放電が進んでSOCが小さくなっているにもかかわらず、SOCが誤認されて充電が行われないため、充電不足になってしまい、放電可能な時間が短くなって、電池の性能を十分に発揮できない。逆に実際のSOCが80%であるのに20%と誤検知して、充電の必要がないのに充電してしまうおそれもある。この場合、満充電を超えて余分に充電が行われ、過充電する可能性もある。そうすると、電池の寿命や信頼性が損なわれるおそれがある。
本発明は、このような事情に鑑みて為された発明であり、SOCの変化に対して端子電圧の変化が小さい二次電池に対する充電制御の精度を向上することができる充電制御回路、電源装置、及び充電制御方法を提供することを目的とする。
本発明に係る充電制御回路は、二次電池の充電を制御する充電制御回路であって、前記二次電池の端子電圧を検出する電圧検出部と、前記二次電池の充電中に当該充電を停止させると共に当該充電の停止中において前記電圧検出部により検出される端子電圧から当該端子電圧の所定時間あたりの低下量を示す電圧傾き情報を取得する傾き情報取得処理を行う傾き取得部と、前記傾き取得部により取得された前記電圧傾き情報に基づいて、前記二次電池の充電を終了すべきか否かを判定する判定処理を実行する充電終了判定部とを備える。
この構成によれば、傾き取得部によって、二次電池の充電中に当該充電が停止され、さらに当該充電の停止中において電圧検出部により検出される二次電池の端子電圧から当該端子電圧の所定時間あたりの低下量を示す電圧傾き情報が取得される。充電停止後における端子電圧の所定時間あたりの低下量と二次電池のSOCとは相関関係がある。そこで、充電終了判定部によって、傾き取得部により取得された電圧傾き情報に基づいて、二次電池の充電を終了すべきか否かが判定される。この場合、SOCの変化に対して端子電圧の変化が小さい二次電池を用いた場合であっても、電圧傾き情報に基づいて充電を終了するか否かを判定することにより、背景技術のような端子電圧から直接換算されたSOCに基づく充電制御よりも、充電制御の精度を向上することができる。
また、前記二次電池は、充電を停止した後における端子電圧の所定時間あたりの低下量が、SOCが大きくなるほど大きくなるものであることが好ましい。
この構成によれば、充電終了判定部は、二次電池が満充電に近づくと、電圧傾き情報で示される低下量が増大するので、充電停止後における端子電圧の所定時間あたりの低下量と二次電池のSOCとの相関関係が単純化される結果、電圧傾き情報に基づき二次電池の充電を終了すべきか否かを判定することが容易である。
また、前記二次電池は、正極活物質として、オリビン系リチウム複合リン酸塩を用いたリチウムイオン二次電池であることが好ましい。
正極活物質として、オリビン系リチウム複合リン酸塩を用いたリチウムイオン二次電池は、充電を停止したときに生じる端子電圧の低下量が、SOCが大きくなるほど大きくなるので、上述の二次電池として好適である。
また、前記正極活物質は、LiPO(Aは、Me、Fe、Mn、Co、Ni、Cuのうち少なくとも一種、Bは、Mg、Ca、Sr、Sc、Y、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、W、Ag、Zn、In、Sn、Sbのうち少なくとも一種、0<X≦1、0.9≦Y≦1、0≦Z≦0.1)であることが好ましい。
正極活物質として、LiPO(Aは、Me、Fe、Mn、Co、Ni、Cuのうち少なくとも一種、Bは、Mg、Ca、Sr、Sc、Y、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、W、Ag、Zn、In、Sn、Sbのうち少なくとも一種、0<X≦1、0.9≦Y≦1、0≦Z≦0.1)を用いたリチウムイオン二次電池は、充電を停止したときに生じる端子電圧の低下量が、SOCが大きくなるほど大きくなるので、上述の二次電池として好適である。
また、前記充電終了判定部は、前記判定処理において、前記傾き取得部により取得された前記電圧傾き情報で示される低下量が、予め設定された終了判定値以上である場合、前記二次電池の充電を終了すべきであると判定することが好ましい。
この構成によれば、充電を停止したときに生じる端子電圧の低下量が、SOCが大きくなるほど大きくなるので、SOCが大きくなるほど電圧傾き情報で示される低下量が大きくなる。そこで、電圧傾き情報で示される低下量が、終了判定値以上である場合に二次電池の充電を終了すべきであると判定することで、端子電圧を直接SOCに換算する場合よりも、充電制御の精度を向上することができる。
また、前記二次電池が満充電であるときに、充電を停止した後における端子電圧の所定時間あたりの低下量が、前記終了判定値として設定されていることが好ましい。
この構成によれば、充電終了判定部によって、二次電池が満充電になったときに、二次電池の充電を終了すべきであると判定されるので、充電終了判定部による判定結果に基づき充電を制御することで、二次電池が満充電を超えて過充電されるおそれを低減することが容易となる。
また、前記傾き取得部は、前記充電の停止直後に前記電圧傾き情報を取得することが好ましい。
この構成によれば、充電終了判定部は、充電の停止直後に傾き取得部により取得された電圧傾き情報に基づいて、判定処理を実行することができるので、判定時間を短縮することが容易である。
また、前記傾き取得部は、前記充電の停止から予め設定された設定時間経過したときに前記電圧傾き情報を取得するようにしてもよい。
この構成によれば、傾き取得部は、充電の停止から予め設定された設定時間経過したときのみ、電圧傾き情報を取得すればよいので、電圧傾き情報の取得処理、例えば端子電圧の低下量を所定時間あたりに換算する演算処理等の実行頻度を減少させて、傾き取得部の処理量を減少させることが容易となる。
また、前記充電終了判定部は、前記判定処理において、前記傾き取得部により取得される電圧傾き情報が予め設定された基準値と等しくなったときの、前記充電の停止からの経過時間に基づいて、前記二次電池の充電を終了すべきか否かを判定するようにしてもよい。
充電を停止したときに生じる所定時間あたりの端子電圧の低下量が変化すれば、当該低下量が基準値と等しくなるまでにかかる経過時間も変化する。従って、充電終了判定部は、傾き取得部により取得される電圧傾き情報が基準値と等しくなったときの、充電の停止からの経過時間に基づいて、二次電池の充電を終了すべきか否かを判定することができる。
また、前記充電終了判定部は、前記判定処理において、前記充電の停止直後に前記傾き取得部により取得された前記電圧傾き情報、前記充電の停止から予め設定された設定時間経過したときに前記傾き取得部により取得された前記電圧傾き情報、及び前記傾き取得部により取得される電圧傾き情報が予め設定された基準値と等しくなったときの、前記充電の停止からの経過時間のうち、少なくとも二つに基づいて、前記二次電池の充電を終了すべきか否かを判定することが好ましい。
この構成によれば、充電の停止直後に傾き取得部により取得された電圧傾き情報、充電の停止から予め設定された設定時間経過したときに傾き取得部により取得された電圧傾き情報、及び傾き取得部により取得される電圧傾き情報が予め設定された基準値と等しくなったときの、充電の停止からの経過時間のうち、少なくとも二つの情報に基づいて、充電終了判定部による二次電池の充電を終了すべきか否かの判定が行われるので、一つの情報のみに基づいて判定を行う場合よりも、判定精度を向上させることが可能となる。
また、前記傾き取得部は、前記電圧検出部によって検出された端子電圧が、予め設定された基準電圧を超えた場合、前記傾き情報取得処理を行うことが好ましい。
電圧検出部によって検出された端子電圧は、精度は低いもののSOCと相関関係がある。そこで、傾き取得部は、電圧検出部によって検出された端子電圧が基準電圧を超え、有る程度SOCが大きくなったと考えられるときに傾き情報取得処理を実行することで、傾き情報取得処理における充電停止の実行頻度を減少させることができる。
また、前記二次電池は、複数のセルを含む電池ブロックが複数直列接続された組電池であり、前記電圧検出部は、前記各電池ブロックの端子電圧を検出する複数の電圧測定部を備え、前記傾き取得部は、前記各電圧測定部により検出される端子電圧から当該端子電圧の所定時間あたりの低下量を示す電圧傾き情報をそれぞれ取得することが好ましい。
この構成によれば、複数のセルを含む電池ブロックが複数直列接続された組電池において、各電池ブロックの充電状態に応じて充電を終了すべきか否かを判定することが可能となる。また、各電池ブロックの端子電圧を複数の電圧測定部によって同時に検出することが可能となるので、各電池ブロックの端子電圧の検出時間を短縮することが容易である。
また、前記二次電池は、複数のセルを含む電池ブロックが複数直列接続された組電池であり、前記電圧検出部は、前記各電池ブロックの端子電圧を検出する一つの電圧測定部と、前記電圧測定部と前記各電池ブロックとの接続関係を切り換えて、前記電圧測定部により前記各電池ブロックの端子電圧をそれぞれ検出させる切換部とを備え、前記傾き取得部は、前記電圧測定部により検出される前記各電池ブロックの端子電圧から当該端子電圧の所定時間あたりの低下量を示す電圧傾き情報を、電池ブロック毎に取得するようにしてもよい。
この構成によれば、複数のセルを含む電池ブロックが複数直列接続された組電池において、各電池ブロックの充電状態に応じて充電を終了すべきか否かを判定することが可能となる。また、電圧測定部を一つ設けるだけで、各電池ブロックの端子電圧を検出できるので、省スペース化や低コスト化が容易となる。
また、前記充電終了判定部によって、前記傾き取得部により取得された電池ブロック毎の電圧傾き情報のうち一つ以上について前記二次電池の充電を終了すべきと判定された場合、当該充電を終了させ、前記充電終了判定部によって、前記傾き取得部により取得された電池ブロック毎の電圧傾き情報の全てについて、前記二次電池の充電を終了すべきでないと判定された場合、前記二次電池の充電を再開させる充電制御部をさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、充電終了判定部によって、傾き取得部により取得された電池ブロック毎の電圧傾き情報のうち一つ以上について充電を終了すべきと判定された場合、まだ充電できる余地のある電池ブロックがあったとしても、充電制御部によって当該充電が終了されるので、充電を終了すべき状態の電池ブロックが過充電されるおそれが低減される。また、充電終了判定部によって、傾き取得部により取得された電池ブロック毎の電圧傾き情報の全てについて、充電を終了すべきでないと判定された場合、充電制御部によって充電が再開されるので、各電池ブロックの過充電のおそれを低減しつつ、組電池の充電深度を高めることが可能となる。
また、本発明に係る電源装置は、上述の充電制御回路と、前記二次電池とを備える。
この構成によれば、SOCの変化に対して端子電圧の変化が小さい二次電池を備えた電源装置において、充電制御の精度を向上することができる。
また、本発明に係る充電方法は、二次電池の充電を制御する充電制御方法であって、電圧検出部が、前記二次電池の端子電圧を検出するステップと、傾き取得部が、前記二次電池の充電中に当該充電を停止させると共に当該充電の停止中において前記電圧検出部により検出される端子電圧から当該端子電圧の所定時間あたりの低下量を示す電圧傾き情報を取得する傾き情報取得処理を行うステップと、充電終了判定部が、前記傾き取得部により取得された前記電圧傾き情報に基づいて、前記二次電池の充電を終了すべきか否かを判定する判定処理を実行するステップとを含む。
この構成によれば、SOCの変化に対して端子電圧の変化が小さい二次電池に対する充電制御の精度を向上することができる。
このような構成の充電制御回路、及び充電制御方法は、SOCの変化に対して端子電圧の変化が小さい二次電池を用いた場合であっても、電圧傾き情報に基づいて充電を終了するか否かを判定することにより、背景技術のような端子電圧から直接換算されたSOCに基づく充電制御よりも、充電制御の精度を向上することができる。
また、このような構成の電源装置によれば、SOCの変化に対して端子電圧の変化が小さい二次電池を備えた電源装置において、充電制御の精度を向上することができる。
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。図1は、本発明の一実施形態に係る充電制御方法を用いた充電制御回路、及びこの充電制御回路を備えた電池パック、充電システムの構成の一例を示すブロック図である。
図1に示す充電システム1は、電池パック2と充電装置3(充電部)とが組み合わされて構成されている。この場合、電池パック2は、電源装置の一例に相当している。
なお、この充電システム1は、電池パック2から給電が行われる図示しない負荷装置をさらに含めて、携帯型パーソナルコンピュータやデジタルカメラ、携帯電話機等の電子機器、電気自動車やハイブリッドカー等の車両、等の電池搭載機器システムとして構成されてもよい。その場合、電池パック2は、図1では充電装置3から充電が行われるけれども、該電池パック2が前記負荷装置に装着されて、負荷装置を通して充電が行われてもよい。
電池パック2は、接続端子11,12,13、組電池14(二次電池)、電流検出抵抗16、充電制御回路4、通信部203、及びスイッチング素子Q1,Q2を備えている。また、充電制御回路4は、制御部202、電圧検出回路15(電圧検出部)、及び温度センサ17を備えている。
なお、充電システム1は、必ずしも電池パック2と充電装置3とに分離可能に構成されるものに限られず、充電システム1全体で一つの充電制御回路4が構成されていてもよい。また、充電制御回路4を、電池パック2と充電装置3とで分担して備えてもよく、充電装置3が充電制御回路4を備えていてもよい。また、組電池14は、電池パックにされている必要はなく、例えば充電制御回路4が、車載用のECU(Electric Control Unit)として構成されていてもよい。
充電装置3は、接続端子31,32,33、制御IC34、及び充電電流供給部35を備えている。制御IC34は、通信部36と制御部37とを備えている。充電電流供給部35は、制御部37からの制御信号に応じた電流を、接続端子31,32を介して電池パック2へ供給する電源回路である。制御部37は、例えばマイクロコンピュータを用いて構成された制御回路である。
電池パック2及び充電装置3は、給電を行う直流ハイ側の接続端子11,31と、通信信号用の接続端子13,33と、給電および通信信号のための接続端子12,32とによって相互に接続される。通信部203,36は、接続端子13,33を介して互いにデータ送受信可能に構成された通信インターフェイス回路である。
電池パック2では、接続端子11は、充電用のスイッチング素子Q2と放電用のスイッチング素子Q1とを介して組電池14の正極に接続されている。スイッチング素子Q1,Q2としては、例えばpチャネルのFET(Field Effect Transistor)が用いられる。スイッチング素子Q1は、寄生ダイオードのカソードが組電池14の方向にされている。また、スイッチング素子Q2は、寄生ダイオードのカソードが接続端子11の方向にされている。
また、接続端子12は、電流検出抵抗16を介して組電池14の負極に接続されており、接続端子11からスイッチング素子Q2,Q1、組電池14、及び電流検出抵抗16を介して接続端子12に至る電流経路が構成されている。電流検出抵抗16は、組電池14の充電電流および放電電流を電圧に変換する。
組電池14は、複数、例えばN個の電池ブロック(二次電池)B1、B2、・・・、BNが直列接続されて構成されている。また、電池ブロックB1、B2、・・・、BNは、それぞれ複数、例えばM個の二次電池141が直列接続されて構成されている。なお、組電池14は、例えば単電池であってもよく、例えば複数の二次電池が並列接続された組電池であってもよく、直列と並列とが組み合わされて接続された組電池であってもよい。
二次電池141は、例えば正極活物質として、オリビン系リチウム複合リン酸塩の一例であるLiFePOを用いたリチウムイオン二次電池である。なお、正極活物質は、例えば、LiPO(Aは、Me、Fe、Mn、Co、Ni、Cuのうち少なくとも一種、Bは、Mg、Ca、Sr、Sc、Y、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、W、Ag、Zn、In、Sn、Sbのうち少なくとも一種、0<X≦1、0.9≦Y≦1、0≦Z≦0.1)であってもよく、より好ましくはLixFePO(0<x≦1)であってもよい。
正極活物質としてLiFePOを用いたリチウムイオン二次電池は、例えば図7のグラフG2に示すように、広い領域でSOCの変化に対して端子電圧の変化が小さく平坦である。例えば、二次電池141として、SOCが10%から95%まで変化した場合における端子電圧の変化量が、0.01V以上、0.3V未満となる二次電池を用いることができる。
また、本願発明者らは、図2に示すように、正極活物質としてLiFePOを用いたリチウムイオン二次電池は、充電を停止した後における端子電圧の所定時間あたりの低下量が、SOCが大きくなるほど大きくなる性質を有することを、実験的に見出した。
図2は、二次電池141に充電電流を流した後、充電電流をゼロにしたときの、端子電圧の変化を説明するための説明図である。図2に示すように、正極活物質としてLiFePOを用いた二次電池141は、充電電流が流れると、徐々に端子電圧が上昇する。そして、充電電流がゼロになると端子電圧が徐々に低下し、時間tw1又はtw2の経過後に、端子電圧が一定の電圧になって、安定する。
このとき、本願発明者らは、充電電流がゼロになった後の端子電圧の低下カーブの傾き、すなわち充電を停止した後における端子電圧の所定時間あたりの低下量は、図2に示すように、二次電池141のSOCが小さいときよりも、二次電池141が満充電のときの方が、大きくなることを、実験的に見出した。
温度センサ17は、組電池14の温度を検出する温度センサである。組電池14の温度は温度センサ17によって検出され、制御部202に入力される。また、電池ブロックB1、B2、・・・、BNの各端子電圧V1、V2、・・・、VNは、電圧検出回路15によってそれぞれ検出され、制御部202に入力される。さらにまた、電流検出抵抗16によって、電圧に変換されて検出された充放電電流Icの電流値も、制御部202に入力される。
図3は、図1に示す電圧検出回路15の構成の一例を示すブロック図である。図3に示す電圧検出回路15は、例えば、アナログデジタルコンバータ151(電圧測定部)と、切換回路152(切換部)とを備えている。なお、電圧測定部は、アナログデジタルコンバータに限られず、例えばコンパレータ等の電圧検出回路であってもよい。
切換回路152は、例えば複数のスイッチング素子を用いて構成されている。そして、切換回路152は、制御部202からの制御信号に応じて複数のスイッチング素子をオン、オフすることにより、電池ブロックB1、B2、・・・、BNの各端子電圧V1、V2、・・・、VNのうち、いずれか一つを選択し、アナログデジタルコンバータ151へ出力する。
アナログデジタルコンバータ151は、切換回路152から出力された電圧をデジタル値に変換して制御部202へ出力する。
これにより、制御部202は、切換回路152によって、端子電圧V1、V2、・・・、VNを順次選択させることにより、端子電圧V1、V2、・・・、VNをアナログデジタルコンバータ151によってデジタル値に変換させて、端子電圧V1、V2、・・・、VNを示すデータを取得するようにされている。
これにより、電池ブロックの数に関わりなくアナログデジタルコンバータ151等の電圧測定部を一つ設けるだけでよいので、省スペース化や低コスト化が容易となる。
なお、例えば図4に示すように、電圧検出回路15aを、端子電圧V1、V2、・・・、VNをそれぞれ検出するN個の電圧測定部153によって、構成してもよい。この場合、端子電圧V1、V2、・・・、VNを同時に検出することができるので、端子電圧V1、V2、・・・、VNの検出時間を短縮することができる。
制御部202は、例えば所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、所定の制御プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)と、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、タイマ回路215と、電流検出抵抗16や温度センサ17で得られた電圧をデジタル値に変換するアナログデジタル変換器と、これらの周辺回路等とを備えて構成されている。
そして、制御部202は、ROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、保護制御部211、充電制御部212、傾き取得部213、及び充電終了判定部214として機能する。
保護制御部211は、電圧検出回路15、電流検出抵抗16、及び温度センサ17の各検出値から、接続端子11,12間の短絡及び充電装置3からの異常電流などの電池パック2の外部における異常や、組電池14の異常な温度上昇等の異常を検出する。
具体的には、例えば、電流検出抵抗16によって検出された電流値が、予め設定された異常電流判定閾値を超えると、接続端子11,12間の短絡や充電装置3からの異常電流に基づく異常が生じたと判定し、例えば温度センサ17によって検出された組電池14の温度が予め設定された異常温度判定閾値を超えると、組電池14の異常が生じたと判定する。そして、保護制御部211は、このような異常を検出した場合、スイッチング素子Q1,Q2をオフさせて、過電流や過熱等の異常から、組電池14を保護する保護動作を行う。
傾き取得部213は、組電池14の充電中に当該充電を停止させ、当該充電の停止中において、電圧検出回路15により検出される電池ブロックB1、B2、・・・、BNの端子電圧から当該端子電圧の所定時間、例えば単位時間あたりの低下量を示す電圧傾き情報を取得する。
充電終了判定部214は、充電の停止直後において傾き取得部213により取得された電圧傾き情報、充電の停止から予め設定された設定時間経過したときに傾き取得部213により取得された電圧傾き情報、及び傾き取得部213により取得される電圧傾き情報が予め設定された基準値と等しくなったときの、充電の停止からの経過時間に基づいて、組電池14の充電を終了すべきか否かを判定する。
充電制御部212は、例えば、組電池14を充電するための電圧、及び電流を要求する要求信号を充電装置3へ出力し、充電装置3によって、組電池14を充電させる。また、充電制御部212は、充電終了判定部214によって、傾き取得部213により取得された電池ブロック毎の電圧傾き情報のうち一つでも組電池14の充電を終了すべきと判定された場合、充電停止要求を充電装置3へ出力して充電を終了させる。
また、充電制御部212は、充電終了判定部214によって、傾き取得部213により取得された電池ブロック毎の電圧傾き情報の全てについて、組電池14の充電を終了すべきでないと判定された場合、組電池14の充電を再開させる。
なお、充電制御部212は、例えばスイッチング素子Q2をオフすることにより、充電を終了させるようにしてもよい。
充電装置3では、制御部202からの要求を、制御IC34において、通信部36で受信し、制御部37が充電電流供給部35を制御して、制御部202からの要求に応じた電圧値、及び電流値で、充電電流供給部35から充電電流を出力させる。充電電流供給部35は、AC−DCコンバータやDC−DCコンバータ等のスイッチング電源回路を用いて構成され、例えば商用交流電源電圧から、制御部37で指示された充電電圧及び充電電流を生成し、接続端子31,11;32,12を介して電池パック2へ供給する。
なお、充電装置3は、制御部202からの要求に応じて充電電流を出力する例に限らない。充電装置3は、例えば太陽光発電システムやHEV等の余剰電力を電池パック2へ供給したり、電力が不足したときに電池パック2から電力供給を受けたりする充放電制御回路であってもよい。
次に、図1に示す充電システム1の動作について説明する。図5、図6は、図1に示す充電システム1の動作の一例を示すフローチャートである。まず、充電装置3から組電池14へ充電電流が供給されて、組電池14の充電が開始される(ステップS1)。
次に、充電制御部212からの制御信号に応じて、切換回路152によって、検出対象の端子電圧が順次切り替えられることで、電圧検出回路15によって、電池ブロックB1、B2、・・・、BNの各端子電圧V1、V2、・・・、VNが検出される(ステップS2)。なお、電圧検出回路15aによって、端子電圧V1、V2、・・・、VNが同時に検出されるようにしてもよい。
次に、傾き取得部213によって、端子電圧V1、V2、・・・、VNが予め設定された基準電圧αと比較される(ステップS3)。そして、端子電圧V1、V2、・・・、VNがすべて基準電圧αに満たなければステップS2へ戻って端子電圧V1、V2、・・・、VNの検出を繰り返す(ステップS3でNO)。一方、端子電圧V1、V2、・・・、VNのうち、いずれか一つでも基準電圧α以上であれば、ステップS4へ移行して、傾き情報取得処理を実行する(ステップS3でYES)。
基準電圧αは、電池ブロックB1、B2、・・・、BNの端子電圧を、例えば図7のグラフG2を用いてSOCに換算した場合の誤差を考慮してもなおSOCが100%(満充電)になるおそれのない範囲で、可能な限り高い電圧値が設定されている。基準電圧αとしては、例えば3.5Vに各電池ブロック内の直列セル数Mを乗じた電圧値を用いることができる。
ステップS3の処理により、電池ブロックB1、B2、・・・、BNが満充電になっているおそれが有る場合にのみ、精度の高い満充電の判定を行うべく傾き情報取得処理が実行されることになるので、傾き情報取得処理の実行頻度を減少させることが可能となる。そして、傾き情報取得処理では、ステップS4において充電が停止されるので、傾き情報取得処理の実行頻度が減少すれば、充電が停止される機会が減少する結果、本来組電池14に充電されるべき電力が、ステップS4の充電停止によって充電されず、損失となってしまうおそれが低減される。
ここで、電池ブロックB1、B2、・・・、BNの端子電圧V1、V2、・・・、VNのうちどれか一つでも基準電圧α以上のときに、ステップS4へ移行して、精度の高い満充電の判定を行うことで、二次電池141が満充電を超えて過充電されて劣化するおそれが低減される。
次に、ステップS4において、傾き取得部213は、組電池14の充電を停止する(ステップS4)。傾き取得部213は、例えばスイッチング素子Q2をオフすることにより充電を停止してもよく、充電装置3へ充電電流をゼロにする要求信号を送信することにより充電を停止してもよい。
次に、傾き取得部213は、タイマ回路215による計時を開始させて、充電の停止からの経過時間を計時させる(ステップS5)。
次に、傾き取得部213は、端子電圧V1、V2、・・・、VNそれぞれについて、充電停止直後における単位時間あたりの電圧変化量dV/dtを、電圧変化量dV/dtの初期値として算出する(ステップS6)。この場合、例えば、充電停止時の端子電圧V1、V2、・・・、VNと、充電停止から60秒経過後の端子電圧V1、V2、・・・、VNとの差を、60秒で除算することにより、端子電圧V1、V2、・・・、VNそれぞれについての電圧変化量dV/dtの初期値を算出することができる。
次に、充電終了判定部214は、端子電圧V1、V2、・・・、VNそれぞれについて得られた電圧変化量dV/dtの初期値を、予め設定された初期値判定用の終了判定値β1と比較する(ステップS7)。
ここで、二次電池141は、充電を停止した後における端子電圧の単位時間あたりの電圧変化量dV/dtが、SOCが大きくなるほど大きくなる性質を有している。従って、例えば電池ブロックB1、B2、・・・、BNを満充電にした状態で、充電を停止した直後における端子電圧V1、V2、・・・、VNの単位時間あたりの低下量を予め測定し、終了判定値β1として設定しておくことにより、電池ブロックB1、B2、・・・、BNが満充電であるか否かを判定することが可能となる。終了判定値β1としては、例えば0.03を用いることができる。
そして、各電圧変化量dV/dtの初期値のうち、いずれか一つでも終了判定値β1以上であった場合(ステップS7でYES)、充電終了判定部214によって当該電池ブロックは満充電に達していると判定されて、充電制御部212よって、充電処理が終了される(ステップS8)。一つでも満充電になっていると判定された電池ブロックがある場合、充電が継続されると過充電になって当該電池ブロックが劣化する。そこで、一つでも満充電になっていると判定された電池ブロックがある場合、充電を終了することで、過充電が生じるおそれが低減される。
ここで、ステップS4〜S7の処理によれば、充電を停止した後における端子電圧の単位時間あたりの電圧変化量dV/dtに基づいて、満充電の判定が行われ、組電池14の充電終了の判定が行われるので、SOCの変化に対して端子電圧の変化が小さい二次電池に対する充電制御の精度を向上することができる。
一方、各電圧変化量dV/dtの初期値の全てが終了判定値β1に満たない場合(ステップS7でNO)、満充電になっている電池ブロックはないと判定されて、さらに満充電の判定精度を向上するべくステップS11及びステップS21へ移行する。
また、ステップS6における電圧変化量dV/dtの初期値の算出時間は、充電停止から60秒間に限らない。電圧変化量dV/dtは、任意の時間において求めることができる。また、充電停止から複数回、例えば5回、電圧変化量dV/dtを算出し、その平均値を電圧変化量dV/dtの初期値として用いてもよい。また、この平均する回数も任意に決めることができる。
図6において、ステップS11〜S14と、ステップS21〜S25とは、並列して実行されている。まず、ステップS11において、タイマ回路215のタイマ値T、すなわち充電を停止してからの経過時間が、予め設定された設定時間γ1以上になったとき(ステップS11でYES)、電圧検出回路15で新たに検出された端子電圧V1、V2、・・・、VNに基づいて、傾き取得部213によって、各端子電圧について電圧変化量dV/dtが算出される(ステップS12)。
設定時間γ1は、充電停止から端子電圧V1、V2、・・・、VNが安定に達するまでの時間より短い時間が、予め設定されている。設定時間γ1としては、例えば100秒を用いることができる。
次に、ステップS12で得られた、充電停止から設定時間γ1経過した時点での各電圧変化量dV/dtのうち、いずれか一つでも終了判定値β2以上であった場合(ステップS13でYES)、充電終了判定部214によって当該電池ブロックは満充電に達していると判定されて、充電制御部212よって、充電が終了される(ステップS14)。
ここで、ステップS4、S5、S11〜S13の処理によれば、充電を停止した後における端子電圧の単位時間あたりの電圧変化量dV/dtに基づいて、満充電の判定が行われ、組電池14の充電終了の判定が行われるので、SOCの変化に対して端子電圧の変化が小さい二次電池に対する充電制御の精度を向上することができる。
一方、各電圧変化量dV/dtの全てが終了判定値β2に満たない場合(ステップS13でNO)、まだ満充電になっている電池ブロックはないと判定されて、ステップS25へ移行する。
ここで、二次電池141は、充電を停止した後における端子電圧の単位時間あたりの低下量が、SOCが大きくなるほど大きくなる性質を有している。そのため、充電停止から設定時間γ1経過した時点での各電圧変化量dV/dtも、満充電に近づくほど大きくなる。従って、例えば電池ブロックB1、B2、・・・、BNを満充電にした状態で、充電停止から設定時間γ1経過した時点での各電圧変化量dV/dtを予め測定し、終了判定値β2として設定しておくことにより、電池ブロックB1、B2、・・・、BNが満充電であるか否かを判定することが可能となる。終了判定値β2としては、例えば0.005を用いることができる。
一方、ステップS21において、電圧検出回路15により新たに検出された端子電圧V1、V2、・・・、VNに基づき、傾き取得部213によって、各端子電圧について1秒毎に電圧変化量dV/dtが算出される(ステップS21)。
そして、充電終了判定部214によって、傾き取得部213で算出された各電圧変化量dV/dtが予め設定された終了判定値β3(基準値)と比較される(ステップS22)。そして、各電圧変化量dV/dtのうちいずれかが予め設定された終了判定値β3以下になると(ステップS22でYES)、充電終了判定部214によって、タイマ回路215のタイマ値T、すなわち充電を停止してからの経過時間が、予め設定された終了判定時間γ2と比較される(ステップS23)。
ここで、二次電池141は、充電を停止した後における端子電圧の単位時間あたりの電圧変化量dV/dtが、SOCが大きくなるほど大きくなる性質を有している。また、電圧変化量dV/dtは、充電停止後徐々に小さくなる。そうすると、充電停止後に電圧変化量dV/dtが終了判定値β3になるまでの時間は、SOCが大きいほど長くなる。
従って、例えば電池ブロックB1、B2、・・・、BNを満充電にした状態で、充電停止から電圧変化量dV/dtが終了判定値β3になるまでの時間を予め測定し、終了判定時間γ2として設定しておくことにより、電池ブロックB1、B2、・・・、BNが満充電であるか否かを判定することが可能となる。
そして、各電圧変化量dV/dtが終了判定値β3以下になったときのタイマ値Tの、いずれか一つでも終了判定時間γ2以上であった場合(ステップS23でYES)、充電終了判定部214によって当該電池ブロックは満充電に達していると判定されて、充電制御部212よって、充電処理が終了される(ステップS24)。
ここで、ステップS4、S5、S21〜S23の処理によれば、充電を停止した後における端子電圧の単位時間あたりの電圧変化量dV/dtに基づいて、満充電の判定が行われ、組電池14の充電終了の判定が行われるので、SOCの変化に対して端子電圧の変化が小さい二次電池に対する充電制御の精度を向上することができる。
一方、各電圧変化量dV/dtが終了判定値β3以下になったときのタイマ値Tの全てが終了判定時間γ2に満たない場合(ステップS23でNO)、充電終了判定部214によって、まだ満充電になっている電池ブロックはないと判定されて、ステップS25へ移行する。
ステップS25においては、ステップS13でNOと判定され、かつステップS23でNOと判定された場合、すなわち、ステップS11〜S13、及びステップS21〜S23のいずれにおいてもまだ満充電になっている電池ブロックはないと判定された場合、充電を継続しても電池ブロックB1、B2、・・・、BNか過充電になるおそれはないから、ステップS1へ移行して、充電制御部212によって組電池14の充電が再開される。以降、再びステップS1〜S25の処理が繰り返される。
なお、ステップS21〜S24の処理は、ステップS6〜S8の処理と並行して実行してもよい。ステップS21〜S24では、1秒毎の電圧変化量dV/dtに基づき、満充電の判定を行うため、他の満充電判定処理と並行して実行することが容易である。
以上、ステップS1〜S25の処理によれば、電圧変化量dV/dtに基づく3通りの異なる判定方法によって、電池ブロックB1、B2、・・・、BNの満充電の判定を行うことができるので、満充電を検出する確実性を向上させることができる。
なお、ステップS1〜S7のみを用いて、ステップS7でNOの場合にステップS1へ移行するようにしてもよい。この場合、充電停止直後の電圧変化量dV/dtの初期値に基づき、各電池ブロックが満充電か否かを判定するため、判定時間を短縮することが可能となる。
また、ステップS1〜S5、S11〜S14のみを用いて、ステップS13でNOの場合にステップS1へ移行するようにしてもよい。この場合、充電停止から設定時間γ1経過後での電圧変化量dV/dtにより満充電か否かを判定しているため、設定時間γ1経過後でのみ電圧変化量dV/dtを計算すればよく、電圧変化量dV/dtの算出頻度を減少させて、傾き取得部213の処理量を減少させることができる。
また、ステップS1〜S5、S21〜S24のみを用いて、ステップS23でNOの場合にステップS1へ移行するようにしてもよい。
また、充電終了判定部214は、電池ブロックB1、B2、・・・、BNが満充電になったか否かの判定を、充電終了の判定として用いる例を示したが、必ずしも満充電を充電終了の基準として用いる例に限らない。例えば、SOC80%に相当する終了判定値β1,β2,β3、設定時間γ1、及び終了判定時間γ2を用いることで、SOCが80%の条件で、充電を終了させるようにしてもよい。
本発明は、携帯型パーソナルコンピュータやデジタルカメラ、携帯電話機等の電子機器、電気自動車やハイブリッドカー等の車両、太陽電池や発電装置と二次電池とを組み合わされた電源システム等の電池搭載装置において、二次電池の充電を制御する充電制御回路、充電制御回路、電源装置、及び充電制御方法として好適に利用することができる。
本発明の一実施形態に係る充電制御方法を用いた充電制御回路、及びこの充電制御回路を備えた電池パック、及び充電システムの構成の一例を示すブロック図である。 二次電池に充電電流を流した後、充電電流をゼロにしたときの、端子電圧の変化を説明するための説明図である。 図1に示す電圧検出回路の構成の一例を示すブロック図である。 図1に示す電圧検出回路の構成の他の一例を示すブロック図である。 図1に示す充電システムの動作の一例を示すフローチャートである。 図1に示す充電システムの動作の一例を示すフローチャートである。 二次電池のSOCと端子電圧との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 充電システム
2 電池パック
3 充電装置
4 充電制御回路
14 組電池
15,15a 電圧検出回路
16 電流検出抵抗
17 温度センサ
141 二次電池
151 アナログデジタルコンバータ
152 切換回路
153 電圧測定部
202 制御部
211 保護制御部
212 充電制御部
213 傾き取得部
214 充電終了判定部
215 タイマ回路
B1、B2、・・・、BN 電池ブロック
Q1,Q2 スイッチング素子
α 基準電圧
β1 終了判定値
β2 終了判定値
β3 終了判定値
γ1 設定時間
γ2 終了判定時間

Claims (16)

  1. 二次電池の充電を制御する充電制御回路であって、
    前記二次電池の端子電圧を検出する電圧検出部と、
    前記二次電池の充電中に当該充電を停止させると共に当該充電の停止中において前記電圧検出部により検出される端子電圧から当該端子電圧の所定時間あたりの低下量を示す電圧傾き情報を取得する傾き情報取得処理を行う傾き取得部と、
    前記傾き取得部により取得された前記電圧傾き情報に基づいて、前記二次電池の充電を終了すべきか否かを判定する判定処理を実行する充電終了判定部と
    を備えることを特徴とする充電制御回路。
  2. 前記二次電池は、
    充電を停止した後における端子電圧の所定時間あたりの低下量が、SOCが大きくなるほど大きくなるものであること
    を特徴とする請求項1記載の充電制御回路。
  3. 前記二次電池は、
    正極活物質として、オリビン系リチウム複合リン酸塩を用いたリチウムイオン二次電池であること
    を特徴とする請求項2記載の充電制御回路。
  4. 前記正極活物質は、
    LiPO
    (Aは、Me、Fe、Mn、Co、Ni、Cuのうち少なくとも一種、
    Bは、Mg、Ca、Sr、Sc、Y、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、W、Ag、Zn、In、Sn、Sbのうち少なくとも一種、0<X≦1、0.9≦Y≦1、0≦Z≦0.1)であること
    を特徴とする請求項3記載の充電制御回路。
  5. 前記充電終了判定部は、
    前記判定処理において、前記傾き取得部により取得された前記電圧傾き情報で示される低下量が、予め設定された終了判定値以上である場合、前記二次電池の充電を終了すべきであると判定すること
    を特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の充電制御回路。
  6. 前記二次電池が満充電であるときに、充電を停止した後における端子電圧の所定時間あたりの低下量が、前記終了判定値として設定されていること
    を特徴とする請求項5記載の充電制御回路。
  7. 前記傾き取得部は、
    前記充電の停止直後に前記電圧傾き情報を取得すること
    を特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の充電制御回路。
  8. 前記傾き取得部は、
    前記充電の停止から予め設定された設定時間経過したときに前記電圧傾き情報を取得すること
    を特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の充電制御回路。
  9. 前記充電終了判定部は、
    前記判定処理において、前記傾き取得部により取得される電圧傾き情報が予め設定された基準値と等しくなったときの、前記充電の停止からの経過時間に基づいて、前記二次電池の充電を終了すべきか否かを判定すること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の充電制御回路。
  10. 前記充電終了判定部は、
    前記判定処理において、前記充電の停止直後に前記傾き取得部により取得された前記電圧傾き情報、前記充電の停止から予め設定された設定時間経過したときに前記傾き取得部により取得された前記電圧傾き情報、及び前記傾き取得部により取得される電圧傾き情報が予め設定された基準値と等しくなったときの、前記充電の停止からの経過時間のうち、少なくとも二つに基づいて、前記二次電池の充電を終了すべきか否かを判定すること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の充電制御回路。
  11. 前記傾き取得部は、
    前記電圧検出部によって検出された端子電圧が、予め設定された基準電圧を超えた場合、前記傾き情報取得処理を行うこと
    を特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の充電制御回路。
  12. 前記二次電池は、
    複数のセルを含む電池ブロックが複数直列接続された組電池であり、
    前記電圧検出部は、
    前記各電池ブロックの端子電圧を検出する複数の電圧測定部を備え、
    前記傾き取得部は、
    前記各電圧測定部により検出される端子電圧から当該端子電圧の所定時間あたりの低下量を示す電圧傾き情報をそれぞれ取得すること
    を特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の充電制御回路。
  13. 前記二次電池は、
    複数のセルを含む電池ブロックが複数直列接続された組電池であり、
    前記電圧検出部は、
    前記各電池ブロックの端子電圧を検出する一つの電圧測定部と、
    前記電圧測定部と前記各電池ブロックとの接続関係を切り換えて、前記電圧測定部により前記各電池ブロックの端子電圧をそれぞれ検出させる切換部とを備え、
    前記傾き取得部は、
    前記電圧測定部により検出される前記各電池ブロックの端子電圧から当該端子電圧の所定時間あたりの低下量を示す電圧傾き情報を、電池ブロック毎に取得すること
    を特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の充電制御回路。
  14. 前記充電終了判定部によって、前記傾き取得部により取得された電池ブロック毎の電圧傾き情報のうち一つ以上について前記二次電池の充電を終了すべきと判定された場合、当該充電を終了させ、前記充電終了判定部によって、前記傾き取得部により取得された電池ブロック毎の電圧傾き情報の全てについて、前記二次電池の充電を終了すべきでないと判定された場合、前記二次電池の充電を再開させる充電制御部をさらに備えること
    を特徴とする請求項12又は13記載の充電制御回路。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の充電制御回路と、
    前記二次電池と
    を備えることを特徴とする電源装置。
  16. 二次電池の充電を制御する充電制御方法であって、
    電圧検出部が、前記二次電池の端子電圧を検出するステップと、
    傾き取得部が、前記二次電池の充電中に当該充電を停止させると共に当該充電の停止中において前記電圧検出部により検出される端子電圧から当該端子電圧の所定時間あたりの低下量を示す電圧傾き情報を取得する傾き情報取得処理を行うステップと、
    充電終了判定部が、前記傾き取得部により取得された前記電圧傾き情報に基づいて、前記二次電池の充電を終了すべきか否かを判定する判定処理を実行するステップと
    を含むことを特徴とする充電制御方法。
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