JP4634518B1 - 燃料集合体の衝撃吸収装置および燃料集合体収納容器 - Google Patents

燃料集合体の衝撃吸収装置および燃料集合体収納容器 Download PDF

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Abstract

【課題】容器の大型化や加重を抑えつつ、簡素な構成にて、落下事象および熱的環境事象での健全性を担保する衝撃吸収機構および圧力吸収機能を得ること。
【解決手段】燃料集合体収納容器200内が水Wに浸された状態で燃料集合体収納容器200内に収納された燃料集合体100に与えられる衝撃を抑制する衝撃吸収装置1であって、水Wに浸されつつ燃料集合体100の少なくとも一方の端部に対し配置され、密閉空間3aを内部に有すると共に、衝撃により変形して密閉空間3aを開放する緩衝体3を備える。燃料集合体収納容器200が落下した場合、この落下の衝撃を緩衝体3が変形して吸収する。しかも、緩衝体3が変形して密閉空間3aを開放することで、密閉空間3a内の領域が空気層Aとなって燃料集合体収納容器200内のボイド率が向上され、熱的環境事象において、水Wの膨張による内部空間201aの圧力(内圧)の上昇が抑制される。
【選択図】図7

Description

本発明は、原子炉で使用される燃料集合体の輸送などの際、燃料集合体への衝撃を吸収する燃料集合体の衝撃吸収装置および燃料集合体収納容器に関する。
原子力発電所などで用いられる核燃料棒の集合体を燃料集合体という。原子炉に装荷されて所定の期間燃焼された後に原子炉から取り出された燃料集合体は、通常、原子力発電所などの冷却ピットで所定期間冷却される。その後、燃料集合体は、放射線の遮蔽機能を有する燃料集合体収納容器に収納され、車両または船舶で再処理施設に輸送され再処理される、もしくは中間貯蔵施設に輸送され、再処理を行うまで貯蔵される。
通常、燃料集合体収納容器は、上部が開口した有底の容器本体と、この容器本体内に配置されるバスケットとを有している。燃料集合体は、バスケットに対して長手方向(軸方向)に挿入された形態で容器本体内に配置される。容器本体の上部開口は、容器の用途に応じた仕様において一重の蓋や、または一次蓋,二次蓋の二重の蓋など複数の蓋を有する蓋部材によって閉塞される。
この種の燃料集合体収納容器は、国際原子力機関(IAEA:International Atomic Energy Agency)の安全基準、放射性物質安全輸送規則2005年版において、事故時の輸送条件に耐える能力を有している必要がある。この事故時の輸送条件に耐える能力を実証するための試験では、落下試験として、高さ9mからの落下事象(落下試験I)や、高さ1mから直立した直径15(±0.5)cmの丸棒上への落下事象(落下試験II)が課せられている。
落下事象において、燃料集合体収納容器は、燃料集合体とバスケットとの間の径方向での隙間、および燃料集合体と蓋部材との間の軸方向の隙間を有するため、燃料集合体がバスケットや蓋部材や容器本体と衝突することで、燃料集合体に大きな衝撃荷重が作用するおそれがある。そこで、従来では、燃料集合体とバスケットとの間の径方向での隙間、および燃料集合体と蓋部材との間の軸方向の隙間に緩衝部材を配置した燃料集合体収納容器(金属密閉容器)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、燃料集合体収納容器は、国際原子力機関(IAEA:International Atomic Energy Agency)の安全基準、放射性物質安全輸送規則2005年版において、耐火試験として、38℃の周囲温度で、所定の太陽放射入熱があり、また、輸送物内で放射性収納物から設計上最大の内部発熱率があるという条件の下で、熱的平衡状態になければならない、とされ、800℃の平均温度を与える熱的環境条件に30分間さらされる事象が課せられている。
熱的環境事象においては、燃料集合体収納容器が、燃料集合体の除熱および遮蔽のために内部に水を有する湿式容器の場合、容器の内部温度の上昇に伴う水の膨張により容器の内部圧力が上昇して内圧が高圧力になることから、蓋部材の密封性能に影響を与えるおそれがある。このため、耐火試験の条件に準じて容器内部の内圧を抑えることが望まれ、従来では、圧力変化を吸収できるように、開閉弁を有して空気が蓄えられる圧力調整箱を容器の内部に設けた燃料集合体収納容器(使用済核燃料集合体の輸送容器)が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特許第3600551号公報 特開昭55−57192号公報
落下事象および熱的環境事象での健全性を担保するには、特許文献1における緩衝部材と、特許文献2の圧力調整箱とを備える必要がある。しかし、これでは、容器の大型化および加重が懸念されると共に、圧力調整箱に開閉弁などの複雑な機構を付与しなければならない。
本発明は上述した課題を解決するものであり、容器の大型化や加重を抑えつつ、簡素な構成にて、落下事象および熱的環境事象での健全性を担保する衝撃吸収機構および圧力吸収機能を得ることのできる燃料集合体の衝撃吸収装置および燃料集合体収納容器を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するために、本発明の燃料集合体の衝撃吸収装置では、水に浸した状態で燃料集合体を収納する密封容器を有した燃料集合体収納容器に用いられ、前記燃料集合体に与えられる衝撃を抑制する緩衝体を備える燃料集合体の衝撃吸収装置において、前記緩衝体は、密閉空間を内部に有して構成され、所定の高温を超えた条件で変形して前記密閉空間を開放する熱変形部、または所定の圧力を超えた条件で変形して前記密閉空間を開放する圧力変形部を有し、前記燃料集合体の上部ノズルの凹部の底面に沿う支持体の上面に接合されており、かつ前記支持体および前記緩衝体は、前記燃料集合体を搬送するための燃料取扱工具のフックが嵌合する態様で前記上部ノズルに設けられた嵌合部との間で、前記フックを前記嵌合部に至らせる領域を確保しつつ前記燃料集合体に配置されることを特徴とする。
この燃料集合体の衝撃吸収装置によれば、密封容器が落下した場合、この落下の衝撃を緩衝体が変形して吸収する。このため、落下事象において、燃料集合体の変形を抑制できる。しかも、衝撃により緩衝体が変形して密閉空間を開放することで、密閉空間内の領域が空気層となってボイド率が向上する。このため、熱的環境事象において、水の膨張による密封容器内の内部空間の圧力(内圧)の上昇を抑制できる。このように、落下時の衝撃を吸収する緩衝体を、圧力上昇を抑制するバッファタンクとしたことで、密封容器の大型化や加重を抑えつつ、簡素な構成にて、落下事象および熱的環境事象での健全性を担保する衝撃吸収機構および圧力吸収機能を得ることができる。さらに、この燃料集合体の衝撃吸収装置によれば、所定の高温を超えた条件で変形して密閉空間を開放することで、密封容器の内部空間のボイド率が向上するので、水の膨張による内部空間の圧力(内圧)の上昇を抑制できる。さらにまた、この燃料集合体の衝撃吸収装置によれば、所定の圧力を超えた条件で変形して密閉空間を開放することで、密封容器の内部空間のボイド率が向上するので、水の膨張による内部空間の圧力(内圧)の上昇を抑制できる。
また、本発明の燃料集合体の衝撃吸収装置では、水に浸した状態で燃料集合体を収納する密封容器を有した燃料集合体収納容器に用いられ、前記燃料集合体に与えられる衝撃を抑制する緩衝体を備える燃料集合体の衝撃吸収装置において、前記緩衝体は、密閉空間を内部に有して構成され、所定の高温を超えた条件で変形して前記密閉空間を開放する熱変形部、または所定の圧力を超えた条件で変形して前記密閉空間を開放する圧力変形部を有しており、かつ前記緩衝体は、前記燃料集合体の上部ノズルの凹部から挿入する可燃性毒物棒と前記燃料集合体の上部ノズルの上方に配置される保持部とを有する可燃性毒物棒組立体を、前記燃料集合体に配置した状態で、前記保持部の上方に配置されるカバー部から前記燃料集合体の上部ノズルの凹部に向けて延在しつつ前記保持部の側部に配置されることを特徴とする。
この燃料集合体の衝撃吸収装置によれば、密封容器が落下した場合、この落下の衝撃を緩衝体が変形して吸収する。このため、落下事象において、燃料集合体の変形を抑制できる。しかも、衝撃により緩衝体が変形して密閉空間を開放することで、密閉空間内の領域が空気層となってボイド率が向上する。このため、熱的環境事象において、水の膨張による密封容器内の内部空間の圧力(内圧)の上昇を抑制できる。このように、落下時の衝撃を吸収する緩衝体を、圧力上昇を抑制するバッファタンクとしたことで、密封容器の大型化や加重を抑えつつ、簡素な構成にて、落下事象および熱的環境事象での健全性を担保する衝撃吸収機構および圧力吸収機能を得ることができる。さらに、この燃料集合体の衝撃吸収装置によれば、所定の高温を超えた条件で変形して密閉空間を開放することで、密封容器の内部空間のボイド率が向上するので、水の膨張による内部空間の圧力(内圧)の上昇を抑制できる。さらにまた、この燃料集合体の衝撃吸収装置によれば、所定の圧力を超えた条件で変形して密閉空間を開放することで、密封容器の内部空間のボイド率が向上するので、水の膨張による内部空間の圧力(内圧)の上昇を抑制できる。
また、上述の目的を達成するために、本発明の燃料集合体収納容器では、水に浸した状態で燃料集合体を収納する密封容器をなし、かつ上記のいずれか一つに記載の衝撃吸収装置を適用したことを特徴とする。
この燃料集合体収納容器によれば、落下時の衝撃を緩衝体が変形して吸収するため、落下事象において、燃料集合体の変形を抑制できる。しかも、緩衝体が変形して密閉空間を開放することで、密閉空間内の領域が空気層となってボイド率が向上するため、熱的環境事象において、水の膨張による密封容器内の内部空間の圧力(内圧)の上昇を抑制できる。このように、落下時の衝撃を吸収する緩衝体を、圧力上昇を抑制するバッファタンクとしたことで、容器の大型化や加重を抑えつつ、簡素な構成にて、落下事象および熱的環境事象での健全性を担保する衝撃吸収機構および圧力吸収機能を得ることができる。
本発明によれば、容器の大型化や加重を抑えつつ、簡素な構成にて、落下事象および熱的環境事象での健全性を担保する衝撃吸収機構および圧力吸収機能が得られる。
図1は、燃料集合体の斜視図である。 図2は、燃料集合体収納容器の斜視図である。 図3は、水(軽水)の物性値を示す図表である。 図4は、各ボイド率に対して燃料集合体収納容器における内部空間内の水が200℃となった場合の内部空間の内圧を評価する図表である。 図5−1は、燃料集合体収納容器が垂直落下する状態を示す図である。 図5−2は、通常時におけるノズルの形状を示す模式図である。 図5−3は、燃料集合体収納容器が垂直落下した場合におけるノズルの形状を示す模式図である。 図6は、実施の形態1に係る衝撃吸収装置の説明図である。 図7は、実施の形態1に係る衝撃吸収装置の説明図である。 図8は、衝撃吸収装置の作用の説明図である。 図9は、衝撃吸収装置を燃料集合体収納容器に取り付けた例を示す図である。 図10−1は、緩衝体支持部材に複数の衝撃吸収装置を配置した例を示す図である。 図10−2は、緩衝体支持部材に複数の衝撃吸収装置を配置した例を示す図である。 図11−1は、衝撃吸収装置をバスケットに取り付けた例を示す図である。 図11−2は、衝撃吸収装置をバスケットに取り付けた例を示す図である。 図12−1は、実施の形態1に係る衝撃吸収装置の変形例を示す図である。 図12−2は、実施の形態1に係る衝撃吸収装置の変形例を示す図である。 図12−3は、実施の形態1に係る衝撃吸収装置の変形例を示す図である。 図12−4は、実施の形態1に係る衝撃吸収装置の変形例を示す図である。 図13は、熱変形部を示す図である。 図14は、圧力変形部を示す図である。 図15は、実施の形態2に係る衝撃吸収装置の斜視図である。 図16は、図15に示す衝撃吸収装置を燃料集合体に配置した平面図である。 図17は、図15に示す衝撃吸収装置を配置した燃料集合体を燃料集合体収納容器に収納した側面図である。 図18は、図15に示す衝撃吸収装置に弾性部を設けた側面図である。 図19は、図15に示す衝撃吸収装置を配置した燃料集合体を燃料集合体収納容器に収納する状態の側面図である。 図20は、実施の形態2に係る衝撃吸収装置の変形例を示す斜視図である。 図21は、図20に示す衝撃吸収装置を燃料集合体に配置した側面図である。 図22は、図20に示す衝撃吸収装置を燃料集合体に配置した平面図である。 図23は、図20に示す衝撃吸収装置を配置した燃料集合体を燃料集合体収納容器に収納した側面図である。 図24は、図20に示す衝撃吸収装置に弾性部を設けた側面図である。 図25は、図20に示す衝撃吸収装置を配置した燃料集合体を燃料集合体収納容器に収納する状態の側面図である。 図26は、可燃性毒物棒組立体の斜視図である。 図27は、燃料集合体に可燃性毒物棒組立体を配置した平面図である。 図28は、燃料集合体に可燃性毒物棒組立体を配置した側面図である。 図29は、実施の形態3に係る衝撃吸収装置の斜視図である。 図30は、図29に示す衝撃吸収装置を燃料集合体に配置した平面図である。 図31は、図29に示す衝撃吸収装置を燃料集合体に配置した側面図である。 図32は、衝撃吸収装置を設置するための取扱工具を示す側面図である。 図33は、緩衝体の側面図である。 図34は、緩衝体の側面図である。 図35は、実施の形態3に係る衝撃吸収装置の変形例を示す斜視図である。 図36は、図35に示す衝撃吸収装置を燃料集合体に配置した平面図である。 図37は、図35に示す衝撃吸収装置を燃料集合体に配置した側面図である。
以下に、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
なお、以下に説明する燃料集合体の衝撃吸収装置は、加圧水型原子力プラント(PWR:Pressurized Water Reactor)に対して好適に用いられるが、沸騰水型原子力プラント(BWR:Boiling Water Reactor)などの原子力プラント全般への適用を除外するものではない。また、以下に説明する燃料集合体収納容器は、特に燃料集合体の輸送時において好適であるが、貯蔵時の適用が排除されるものではない。さらに、燃料集合体収納容器は、原子炉から取り出された燃料集合体の輸送のみならず、新しく製造されて原子炉に装荷される燃料集合体の輸送に適用してもよい。
図1に示すように、燃料集合体100は、長手状に形成された複数の燃料棒101を、複数の支持格子102で束ねて構成されている。燃料棒101の両方の端部には、それぞれノズル103が配置されている。このノズル103が燃料集合体100の端部となる。また、燃料集合体100は、燃料棒101と平行に配置され、各ノズル103に連結されつつノズル103の外部に開口する管状の案内管104が設けられている(図17参照)。
図2に示すように、燃料集合体収納容器200は、主に原子炉から取り出した燃料集合体100を複数収納し、この燃料集合体100の輸送および貯蔵に用いられるものである。燃料集合体収納容器200は、上部が開口された有底の容器本体201と、容器本体201の外側に取り付けられる中性子遮蔽体202と、容器本体201の開口を閉塞する蓋部材203とを備えている。
容器本体201は、筒状の胴部と、胴部の下端に設けられる底部とで構成されており、胴部と底部とで形成される内部空間(キャビティともいう)201aが、燃料集合体100を収納する領域となる。内部空間201aには、バスケット204が配置される。バスケット204は、格子状に区画された複数のセル204aを有する。セル204aは、例えば、断面外形および断面内形が矩形状(略正方形状)の角パイプ2041が、束に複数組み合わせて構成されたもので、角パイプ2041の中空の内部がセル204aとなる。そして、バスケット204は、内部空間201aに配置されると共に、各セル204aの内部に個々の燃料集合体100を格納する。
容器本体201は、内部空間201aへ収納した燃料集合体100からのγ線を遮蔽する機能を有する。また、中性子遮蔽体202は、中性子を遮蔽するための中性子遮蔽物が内部に設けられている。また、容器本体201の内部空間201aには、容器本体201の内周壁とバスケット204との間に介在するスペーサ205が配置されている。スペーサ205は、バスケット204に格納された燃料集合体100からの崩壊熱を容器本体201へ伝える。この崩壊熱は、容器本体201および中性子遮蔽体202を介して大気中へ放出される。
蓋部材203は、一次蓋203aと二次蓋203bとを有している。一次蓋203aは、容器本体201の内部空間201aに配置されたバスケット204に燃料集合体100を格納した後、容器本体201の上部の開口部201bに取り付けられるものである。二次蓋203bは、一次蓋203aの外側を覆うように容器本体201の開口部201bに取り付けられるものである。そして、蓋部材203は、一次蓋203aおよび二次蓋203bにより、容器本体201の内部空間201aを密封する。すなわち、燃料集合体収納容器200は、密封容器として構成されている。なお、図には明示しないが、蓋部材203は、仕様により、二次蓋203bの外側を覆う三次蓋を有することもある。
なお、燃料集合体収納容器200に収納された燃料集合体100は、その上端のノズル103が、蓋部材203である一次蓋203aの内壁面に向く上部ノズル103Aをなし、下端のノズル103が、容器本体201の底部(内部空間201aにおける底面)に向く下部ノズル103Bをなす。
この燃料集合体収納容器200は、収納された燃料集合体100の除熱および遮蔽のため、内部空間201aにて燃料集合体100を水W(図7および図8参照)に浸す湿式容器として構成されている。この湿式容器の場合、熱的環境事象において、内部空間201aの温度上昇に伴い、水Wの膨張により内部空間201aの圧力(内圧)が上昇して高圧力になる。そこで、内部空間201a内の水Wを、あらかじめ水Wの膨張による圧力上昇を考慮したある設定量を抜いて空気層A(図7および図8参照)を形成することで、内部空間201aの圧力(内圧)の上昇を抑制する。
ここで、熱解析の結果、38℃の周囲温度で、所定の太陽放射入熱があり、また、輸送物内で放射性収納物から設計上最大の内部発熱率があるという一般試験条件の下で、湿式の燃料集合体収納容器200に最大内圧を生じる崩壊熱量は54kWであった。このときの内部空間201aの圧力の計算を以下に示す。なお、水の相変化および化学的分解は起こらないので考慮しない。また、放射線分解により発生する気体による圧力上昇は小さいため無視する。また、燃料棒101は、特別な試験条件下において破損しないため、燃料棒101の破損による圧力上昇は生じないこととする。
まず、燃料集合体100を収納した内部空間201aの空間容積Vc[m]は、内部空間201aの全空間容積V[m]、燃料集合体100の体積Vf[m]との関係により、次式(1)であらわされる。なお、Vc、VおよびVfは、燃料集合体収納容器200へ注水時の初期温度20[℃](293[K])とした各体積を示している。
Vc=V−Vf・・・(1)
つぎに、内部空間201a内の水を一部抜いた後の空気体積Va[m]は、水抜き後の内部空間201a内の水体積Vw[m]との関係により、次式(2)であらわされる。なお、VaおよびVwは、Vc、VおよびVfと同じく初期温度20[℃](293[K])とした各体積を示している。
Va=Vc−Vw・・・(2)
つぎに、一般試験条件下における内部空間201a内の水温(平均温度)をt[℃]とし、20[℃](293[K])での水の密度をρ20[kg/m](図3参照)、t[℃]での水の密度をρt[kg/m](図3参照)としたときのt[℃]での内部空間201a内の水体積Vwt[m]は、次式(3)であらわされる。
Vwt=Vw×ρ20/ρt・・・(3)
これにより、t[℃]での内部空間201a内の空気体積Vat[m]は、次式(4)であらわされる。
Vat=Vc−Vwt・・・(4)
また、初期圧力(大気圧(絶対圧)0.1013[MPa])をP[MPa]、初期温度T20(293[K])、Tt=t+273[K]としたとき、t[℃]での空気圧力(絶対圧)P[MPa]は、次式(5)であらわされる。
=P×Va/Vat×Tt/T20・・・(5)
また、t[℃]での飽和蒸気圧(絶対圧)をPs[MPa](図3参照)としたときの内部空間201aの圧力(絶対圧)P[MPa]は、次式(6)であらわされる。
P=P+Ps・・・(6)
そして、上記式(1)〜(6)により、内部空間201a内の水温tが200[℃]となった場合において、空間容積Vcに対する内部空間201a内の空気体積の比である各ボイド率α(0.13,0.14,0.15,0.16,0.18,0.20)での、内部空間201aの圧力(絶対圧)P[MPa]の評価を図4に示す。この図4において、内部空間201a内の水を一部抜いた後の空気体積Va[m]は、次式(7)であらわされ、水抜き後の内部空間201a内の水体積Vw[m]は、次式(8)であらわされる。
Va=Vc×α・・・(7)
Vw=Vc×(1−α)・・・(8)
すなわち、全空間体積Vを5[m]とし燃料集合体100の体積Vfを1[m]と設定した場合の評価において、ボイド率αが0.13の場合は、内部空間201aの圧力(ゲージ圧)P=−3.683となり、膨張した水が内部空間201aの体積を超えているため、蓋部材203の密封性能に影響を与えるおそれがあり好ましくない。また、ボイド率αが0.14の場合は、初期圧力P=0.1013に対して内部空間201aの圧力(ゲージ圧)P=4.546となり、圧力が上がりすぎるため、蓋部材203の密封性能に影響を与えるおそれがあり好ましくない。一方、ボイド率αを上げすぎると、水体積Vwが減ってしまい、燃料集合体100の除熱および遮蔽の効果が低下することになる。そこで、燃料集合体100を水W(図7および図8参照)に浸すと共に、水Wが膨張した際の圧力上昇を抑えるには、前記設定においては、ボイド率αを0.15〜0.20の範囲となるように燃料集合体収納容器200の内部空間201a内から水Wを抜いて空気層A(図7および図8参照)を設けることが好ましい。ただし、収納する燃料集合体100の仕様、および密封容器としての燃料集合体収納容器200の設計により、各体積値や温度条件は変わるため、適正のボイド率を適時設定する必要がある。
ところで、図5−1に示すように、燃料集合体収納容器200が、容器本体201の底部または蓋部材203を鉛直下方向(図5−1に矢印Gで示す方向)に向けて地面GLに落下する形態を、垂直落下という。垂直落下の場合、燃料集合体100の長手方向と略平行な方向(図1の矢印gで示す方向)の衝撃荷重が燃料集合体100に作用する。
落下する以前のノズル103は、図5−2に示すように、変形のない状態となる。ノズル103は、平面視が略正方形であり、4個の角部にそれぞれ設けられた複数本の脚部(具体的には4本)1031で燃料集合体100を支持する構成である。従って、4本の脚部で囲まれる部分には、凹部1032が形成される。
このため、燃料集合体収納容器200が垂直落下して、燃料集合体100の長手方向と略平行な方向の衝撃力が燃料集合体100に作用した場合、図5−3に示すように、下方に向くノズル103は、中央部が落下方向に撓むおそれがある。ノズル103が撓むと、これに追従する形で図1に示す燃料棒101が変形するおそれがある。このため、本実施の形態では、燃料集合体の衝撃吸収装置(以下衝撃吸収装置という)をノズル103に取り付けて、ノズル103の撓み(変形)を抑制するとともに、落下により発生して燃料集合体100に作用する衝撃力を低減する。
[実施の形態1]
実施の形態1の衝撃吸収装置1は、図6に示すように、ノズル支持体2と、緩衝体3とを含んで構成される。ノズル支持体2は、ノズル103の凹部1032に取り付けられる。緩衝体3は、燃料集合体100の長手方向外側でノズル支持体2と組み合わされている。そして、緩衝体3は、中空とされた密閉空間3aを内部に有しており、変形に際して密閉空間3aを開放するように構成されている。なお、密閉空間3a内は、大気圧同等または真空としておく。また、緩衝体3は、燃料集合体100を構成する燃料棒101の長手方向における剛性が、ノズル支持体2以下であることが好ましい。ここでいう剛性は、ノズル支持体2および緩衝体3を含む衝撃吸収装置1全体としての圧縮剛性である。すなわち、ノズル支持体2および緩衝体3が、燃料棒101の長手方向と平行な圧縮力を受けた場合、同じ圧縮力であれば、緩衝体3は、ノズル支持体2と同等、またはノズル支持体2よりも大きく変形する。
このような構成により、衝撃吸収装置1は、ノズル支持体2でノズル103を支持して、落下による衝撃力に起因するノズル103の撓みを抑制する。また、燃料集合体100に作用する衝撃力は、緩衝体3によって吸収する。これによって、落下に起因するノズル103の変形を抑制できるので、当該変形に起因する燃料棒101の変形が抑制される。また、緩衝体3によって、燃料集合体100に作用する衝撃力が緩和される。この結果、燃料集合体100の変形がより低減されるので、安全性が向上する。
しかも、衝撃吸収装置1は、緩衝体3が中空とされた密閉空間3aを内部に有し、燃料集合体100に作用する衝撃力を緩衝体3により吸収する際、衝撃により緩衝体3が変形して密閉空間3aを開放する。具体的には、図7に示すように、燃料集合体収納容器200の内部空間201aでは、除熱および遮蔽のための水Wにより燃料集合体100が浸されている。さらに、内部空間201aでは、温度上昇に伴う水Wの膨張により内部空間201aの圧力(内圧)が上昇する事態を抑制するための空気層Aが設けられている。そして、図8に示すように、例えば、燃料集合体収納容器200が、容器本体201の底部を鉛直下方向(矢印Gで示す方向)に向けて地面GLに垂直落下した場合、この落下の衝撃により緩衝体3が変形して密閉空間3aを開放することで、密閉空間3a内の領域が、空気層Aに含まれ、空気層Aの体積が増してボイド率が向上することになる。この結果、熱的環境事象において、水Wの膨張による内部空間201aの圧力(内圧)の上昇がさらに抑制されるので、安全性が向上する。しかも、密閉空間3aを有する緩衝体3を備えることで、熱的環境事象になる以前では、水Wにより燃料集合体100を浸す体積を多くしてボイド率を抑えておくことが可能であることから、燃料集合体100の除熱および遮蔽の効率が良くなるので、安全性が向上する。
なお、燃料集合体100の両端のノズル103であって、上部ノズル103Aおよび下部ノズル103Bの両方に、衝撃吸収装置1が設けられていれば、燃料集合体収納容器200の落下時に、容器本体201の底部を鉛直下方向に向けて垂直落下した場合、または蓋部材203を鉛直下方向に向けて垂直落下した場合であっても、下部ノズル103Bまたは上部ノズル103Aに設けられた何れかの衝撃吸収装置1の緩衝体3により、燃料集合体100に作用する衝撃力を緩和でき、かつ密閉空間3aの開放に伴う空気層Aの体積増加による内部空間201aの圧力(内圧)の上昇抑制効果を顕著に得ることが可能である。
また、燃料集合体100の両端のノズル103であって、上部ノズル103Aおよび下部ノズル103Bの両方に、衝撃吸収装置1が設けられていれば、燃料集合体収納容器200に収納された燃料集合体100の長手方向において、燃料集合体収納容器200とのクリアランスを小さくできる。このため、燃料集合体100の長手方向への動きが抑制されるので、落下時に燃料集合体収納容器200が接地した場合、燃料集合体100が地面に向かう動きを抑制できる。この結果、燃料集合体100に作用する衝撃力をより緩和できる。
また、燃料集合体収納容器200が、蓋部材203を鉛直下方向に向けて落下した場合、上部ノズル103Aから一次蓋203aへ落下の衝撃力が伝達される。本実施の形態では、上部ノズル103Aに衝撃吸収装置1を設けるので、上部ノズル103Aから伝達される衝撃力を衝撃吸収装置1によって緩和して、一次蓋203aの密封を維持できる。上部ノズル103Aから一次蓋203aへ伝達される衝撃力をより緩和する観点において、上部ノズル103Aに設けられる衝撃吸収装置1の緩衝体3は、下部ノズル103Bに設けられる緩衝体3と比較して、より大きい衝撃エネルギを吸収できることが好ましい。
また、空気層Aを設けた容器本体201の内部空間201a内では、蓋部材203側を上方とした形態において、燃料集合体100の蓋部材203側である上部ノズル103Aに設けられた衝撃吸収装置1は、水Wに浸されていないことになる。そして、水Wに浸されていない衝撃吸収装置1における緩衝体3の密閉空間3aは、空気層Aの体積を減少させるものである。さらに、燃料集合体収納容器200の垂直落下事象では、容器本体201の底部を鉛直下方向に向けた場合、または蓋部材203を鉛直下方向に向けた場合の何れかであり、通常、容器本体201の底部を鉛直下方向に向けた落下が多い。従って、燃料集合体100の少なくとも一方の端部のノズル103であって、水Wに浸されると共に、落下時に鉛直下方向に向く容器本体201の底部側である下部ノズル103Bに、本実施の形態の衝撃吸収装置1を設け、蓋部材203側である上部ノズル103Aには、ノズル支持体2と、密閉空間3aを有さない緩衝体とを備える衝撃吸収装置を設けるようにしてもよい。
ところで、衝撃吸収装置1を構成するノズル支持体2は、ノズル103の脚部1031と干渉しないように設けることが好ましい。また、ノズル支持体2は、垂直落下による荷重が入力される方向(ノズル支持体2の上下面と直交する方向)における圧縮剛性が、できる限り高いことが好ましい。このため、ノズル支持体2は、圧縮に強い材料を用いたり、圧縮に強い構造としたり、両者を組み合わせたりして構成される。ノズル支持体2は、例えば、ステンレス鋼、鉄、アルミニウム、アルミニウム合金、鉛、コンクリートなどが用いられる。これらの材料を用いる場合、ノズル支持体2は、中実とすることが好ましい。これによって、ノズル支持体2は、より高い圧縮剛性を確保できる。また、ノズル支持体2に鉄、ボロン(B10)を含有したアルミニウム合金やステンレス鋼、鉛、コンクリートのように放射線の遮蔽機能を有する材料を用いれば、燃料集合体100から放出されるγ線や中性子を遮蔽できるので、より好ましい。また、図には明示しないが、ノズル支持体2は、角盤状や円盤状などに形成されていてもよいし、平面視が十字形状に形成されていてもよい。また、図には明示しないが、ノズル支持体2は、上下の平板間に平面視が十字形状のリブを挟持したものであってもよく、このような構造で圧縮剛性を向上させることで、ノズル支持体2を構成する材料が少なくて済むため、材料コストの低減および軽量化を図ることができる。
衝撃吸収装置1を構成する緩衝体3は、ノズル103の形状に合わせて平面視が四角形(正方形)の形状とすることが、ノズル103から伝達される衝撃力を緩和する観点において好ましいが、例えば、平面視が円形状など四角形に限定されるものではない。また、緩衝体3の形態は、密閉空間3aを備えれば、ハニカム構造、積層構造、発泡体などで形成されるものであってもよく、複数を組み合わせることも可能である。また、緩衝体3は、密閉空間3aを備えれば、例えば、樹脂、木材、金属から一つを用いるか、あるいはこれらのうち少なくとも二つを組み合わせて構成できる。
また、衝撃吸収装置1は、ノズル103に限らず、燃料集合体収納容器200に取り付けてもよい。図9に示す例では、ノズル支持体2を省略した緩衝体3が燃料集合体収納容器200における容器本体201の底部や蓋部材203(一次蓋203a)に配置されている。容器本体201の底部に衝撃吸収装置1を配置する場合、図2に示すバスケット204を容器本体201の内部空間201aに配置する前に、予め容器本体201の底部へ衝撃吸収装置1を敷設しておく。衝撃吸収装置1を配置する位置は、バスケット204を構成するセル204aの位置に合わせる。これによって、燃料集合体100をバスケット204に装荷するだけで、衝撃吸収装置1を燃料集合体100の下部ノズル103Bに組み合わせることができる。蓋部材203に衝撃吸収装置1を配置する場合、衝撃吸収装置1を配置する位置は、バスケット204を構成するセル204aの位置に合わせる。これによって、燃料集合体100をバスケット204に装荷した後、一次蓋203aを容器本体201に取り付けるだけで、衝撃吸収装置1を燃料集合体100の上部ノズル103Aに組み合わせることができる。なお、ノズル支持体2を、緩衝体3とは別に燃料集合体100のノズル103に取り付けてもよい。
また、図10−1および図10−2では、容器本体201の内部空間201aに配置できる緩衝体支持部材4に、ノズル支持体2を図示省略した緩衝体3が取り付けられている。緩衝体支持部材4は、図10−1に示すように、円筒状の容器本体201に合わせて円盤状に形成されている。そして、この緩衝体支持部材4を、燃料集合体収納容器200における容器本体201の底部に配置したり、一次蓋203aに取り付けたりする。このようにすれば、複数の衝撃吸収装置1をまとめて取り扱えるので、燃料集合体収納容器200への衝撃吸収装置1の設置作業が容易になる。なお、ノズル支持体2を、緩衝体3とは別に燃料集合体100のノズル103に取り付けてもよい。
また、図11−1および図11−2では、衝撃吸収装置1が、図1に示すバスケット204に取り付けられている。より具体的には、バスケット204のセル204aを構成する角パイプ2041における燃料集合体収納容器200の底部側の端部に、衝撃吸収装置1を取り付ける。この場合、緩衝体3と角パイプ2041とが連結部材51を介して連結されることにより、衝撃吸収装置1が角パイプ2041に取り付けられる。連結部材51は、緩衝体3と角パイプ2041とに対し、ボルトや溶接などによって結合される。図11−1に示す構成では、角パイプ2041の外周に緩衝体3が張り出すが、角パイプ2041同士の距離をある程度必要とする場合には、張り出した部分をスペーサとして利用できるので、バスケット204の組み立てが容易になる。角パイプ2041同士の距離がある程度必要な場合としては、例えば、中性子遮蔽体や、中性子を遮蔽する構造体などを配置する場合がある。
図11−2に示す構成は、角パイプ2041における燃料集合体収納容器200の底部側の端部に、衝撃吸収装置1を取り付ける点では、図11−1に示す構成と同様であるが、衝撃吸収装置1の緩衝体3の外形形状および寸法を、角パイプ2041の外形形状および寸法と略同一、好ましくは同一とするか、あるいは緩衝体3の方を小さくする。緩衝体3と角パイプ2041とは、連結部材52を介して連結されて衝撃吸収装置1が角パイプ2041に取り付けられる。この図11−2に示す構成では、緩衝体3が角パイプ2041の外周に張り出さないので、角パイプ2041同士の距離を接近させたい場合に有利である。
このように、燃料集合体100を収納するバスケット204に衝撃吸収装置1を取り付けることにより、バスケット204に燃料集合体100を装荷するだけで、衝撃吸収装置1を燃料集合体100の下部ノズル103Bに組み合わせることができる。これによって、燃料集合体100をバスケット204に装荷する前に燃料集合体100の下部ノズル103Bへ衝撃吸収装置1を取り付ける必要はないので、作業形態によっては、燃料集合体100をバスケット204に装荷する作業が容易になる。
また、図12−1〜図12−4に示す構成は、衝撃吸収装置1の変形例を示す。ノズル103と衝撃吸収装置1との接合時の取り合いは、実際にはノズル103の脚部1031が緩衝体3と接触するように設計することが考えられる。この状態で燃料集合体収納容器200が落下した場合、緩衝体3の材料特性が弾性体の変形挙動を示すと、緩衝体3の変形が緩衝体3の全範囲において一様となり、ノズル103とノズル支持体2とが接触せず、ノズル103の変形を十分には抑制できないおそれがある。
そこで、図12−1〜図12−4に示すように、緩衝体3の形態を変更したり、材料に工夫をしたりすることで、衝撃エネルギの吸収、および緩衝体3の変形が最適となるようにする。図12−1に示す衝撃吸収装置1は、緩衝体3を、第一緩衝体3Aと第二緩衝体3Bとで構成する。この場合、第一緩衝体3Aに凹部を形成し、前記凹部内に第二緩衝体3Bを配置する。そして、第一緩衝体3Aとノズル103(下部ノズル103Bまたは上部ノズル103A)とを接触させ、第二緩衝体3Bとノズル支持体2とを接触させる。これによって、ノズル103の脚部1031と接触する第一緩衝体3Aの変形と、ノズル支持体2と接触する第二緩衝体3Bの変形とのタイミングを異ならせる。すなわち、ノズル103とノズル支持体2との隙間が埋まるまで脚部1031と接触する第一緩衝体3Aが変形し、前記隙間が埋まるタイミングで、緩衝体3、すなわち第一緩衝体3Aおよび第二緩衝体3Bの両方が変形を開始する。
図12−2に示す衝撃吸収装置1は、図12−1に示す衝撃吸収装置1と略同様の構成であり、緩衝体3を、第一緩衝体3Cと第二緩衝体3Dとで構成する。この場合、第一緩衝体3Cにおける凹部の側壁と第二緩衝体3Dの側壁との間に隙間を設ける。このような構成により、ノズル103(下部ノズル103Bまたは上部ノズル103A)の脚部1031と接触する第一緩衝体3Cの変形と、ノズル支持体2と接触する第二緩衝体3Dの変形とのタイミングを異ならせる。すなわち、ノズル103とノズル支持体2との隙間が埋まるまで脚部1031と接触する第一緩衝体3Cが変形し、前記隙間が埋まるタイミングで、緩衝体3、すなわち第一緩衝体3Cおよび第二緩衝体3Dの両方が変形を開始する。
図12−3に示す衝撃吸収装置1は、緩衝体3を、第一緩衝体3Eと第二緩衝体3Fとで構成する。この場合、第一緩衝体3Eの圧縮方向における剛性を第二緩衝体3Fの圧縮方向における剛性よりも低くするとともに、第一緩衝体3Eとノズル103(下部ノズル103Bまたは上部ノズル103A)の脚部1031とを接触させ、第二緩衝体3Fとノズル支持体2とを接触させる。このとき、第二緩衝体3Fに凸部を形成してノズル支持体2と接触させ、前記凸部の周囲に第一緩衝体3Eを配置してノズル103の脚部1031と接触させる。これによって、ノズル103の脚部1031と接触する第一緩衝体3Eの変形と、ノズル支持体2と接触する第二緩衝体3Fの変形とのタイミングを異ならせる。すなわち、ノズル103とノズル支持体2との隙間が埋まるまで脚部1031と接触する第一緩衝体3Eが変形し、前記隙間が埋まるタイミングで、緩衝体3、すなわち第一緩衝体3Eおよび第二緩衝体3Fの両方が変形を開始する。
なお、ノズル支持体2と緩衝体3との接触面を平面で構成すると、ノズル103の脚部1031と接する緩衝体3への荷重分布と、ノズル支持体2と接する緩衝体3への荷重分布とに変化が生ずるので、緩衝能力は維持できてもノズル103の変形抑制能力が十分に発揮できないおそれがある。そこで、図12−4に示す衝撃吸収装置1のように、緩衝体3の厚みを最適化する、またはノズル103(下部ノズル103Bまたは上部ノズル103A)の脚部1031に接する緩衝体3の部分と、ノズル支持体2と接する緩衝体3の部分との間で緩衝能力を最適化(例えば、両者を異なる材料とする等)することで、緩衝能力とノズル103の変形を抑制する能力とをバランスさせる。
ところで、図13に示す構成は、緩衝体3に熱変形部6が設けられている。熱変形部6は、緩衝体3の壁の一部を形成する。この熱変形部6は、緩衝体3の壁を塞いで密閉空間3aを閉塞しており、所定の高温を超えた条件で変形して密閉空間3aを開放する。すなわち、熱変形部6は、燃料集合体収納容器200における内部空間201a内の水Wが膨張して内部空間201aの圧力(内圧)が上昇するような温度条件に至った場合、その熱によって変形して密閉空間3aを開放する材質で形成されている。このように、緩衝体3に熱変形部6を備えた衝撃吸収装置1によれば、燃料集合体100に作用する衝撃力を緩衝体3の変形によって吸収して密閉空間3aを開放するとき以外に、所定の高温を超えた条件で変形して密閉空間3aを開放することで、燃料集合体収納容器200の内部空間201aに設けられた空気層Aの体積を増加させるので、水Wの膨張による内部空間201aの圧力(内圧)の上昇を抑制できる。
また、図14に示す構成は、緩衝体3に圧力変形部7が設けられている。圧力変形部7は、緩衝体3の壁の一部を形成する。この圧力変形部7は、緩衝体3の壁を塞いで密閉空間3aを閉塞しており、所定の圧力を超えた条件で変形して密閉空間3aを開放する。すなわち、圧力変形部7は、燃料集合体収納容器200における内部空間201a内の水Wが膨張して内部空間201aの圧力(内圧)が上昇するような条件に至った場合、その圧力によって変形して密閉空間3aを開放する材質で形成されている。このように、緩衝体3に圧力変形部7を備えた衝撃吸収装置1によれば、燃料集合体100に作用する衝撃力を緩衝体3の変形によって吸収して密閉空間3aを開放するとき以外に、所定の圧力を超えた条件で変形して密閉空間3aを開放することで、燃料集合体収納容器200の内部空間201aに設けられた空気層Aの体積を増加させるので、水Wの膨張による内部空間201aの圧力(内圧)の上昇を抑制できる。
以上、実施の形態1の衝撃吸収装置1によれば、燃料集合体収納容器200の密封容器内が水Wに浸された状態で密封容器内に収納された燃料集合体100に与えられる衝撃を抑制する燃料集合体100の衝撃吸収装置1であって、水Wに浸されつつ燃料集合体100の少なくとも一方の端部に対し配置され、密閉空間3aを内部に有すると共に、衝撃により変形して密閉空間3aを開放する緩衝体3を備える。これにより、燃料集合体収納容器200が垂直落下した場合、この落下の衝撃を緩衝体3が変形して吸収する。このため、落下事象において、燃料集合体100の変形が抑制され、安全性が向上する。しかも、燃料集合体収納容器200の落下の衝撃により緩衝体3が変形して密閉空間3aを開放することで、密閉空間3a内の領域が空気層Aとなってボイド率が向上する。このため、熱的環境事象において、水Wの膨張による内部空間201aの圧力(内圧)の上昇が抑制され、安全性が向上する。このように、落下時の衝撃を吸収する緩衝体3を、圧力上昇を抑制するバッファタンクとしたことで、密封容器としての燃料集合体収納容器200の大型化や加重を抑えつつ、簡素な構成にて、落下事象および熱的環境事象での健全性を担保する衝撃吸収機構および圧力吸収機能を得ることが可能になる。
また、実施の形態1の燃料集合体収納容器200によれば、水Wに浸した状態で燃料集合体100を収納する密封容器をなし、上記衝撃吸収装置1を適用したことにより、容器の大型化や加重を抑えつつ、簡素な構成にて、落下事象および熱的環境事象での健全性を担保する衝撃吸収機構および圧力吸収機能を得ることが可能になる。
[実施の形態2]
実施の形態2の衝撃吸収装置11は、図15〜図17に示すように、燃料集合体100の上部ノズル103Aに設置されるもので、ノズル支持体12と、緩衝体13とを備えている。
ノズル支持体12は、上部ノズル103Aの凹部103b内に配置されるもので、嵌合部103cの位置を避け、上部ノズル103Aの嵌合部103cとの間に所定の領域を確保するように嵌合部103cの下方位置に設けられると共に、上部ノズル103Aにおいて燃料集合体100の上面となる凹部103bの底面に沿って配置される板状に形成されている。このノズル支持体12は、例えば、ステンレス鋼、鉄、アルミニウム、アルミニウム合金、鉛、コンクリートなどで構成されている。なお、図には明示しないが、ノズル支持体12は、冷却水を流通させるため上下に貫通する貫通孔を有する構造でもよい。
緩衝体13は、ノズル支持体12の上面に接合されたもので、衝撃吸収装置11が燃料集合体100に配置された状態で、ノズル支持体12と共に、上部ノズル103Aの嵌合部103cとの間に所定の領域を確保するように燃料集合体100の上下方向の中心軸S上で中心軸Sに沿って配置されるものである。緩衝体13は、中空とされた密閉空間13aを内部に有しており、変形に際して密閉空間13aを開放するように構成されている。なお、密閉空間13a内は、大気圧同等または真空としておく。この緩衝体13は、燃料集合体100の燃料棒101の長手方向に対する剛性がノズル支持体12以下に形成され、例えば、樹脂、木材、金属のうちの少なくとも一つで構成されている。また、緩衝体3は、筒体、ハニカム構造、積層構造、発泡体などで形成されるものであって、これらの形態を複数組み合わせることも可能である。本実施の形態では、緩衝体13は、両端部が閉塞された円筒形状に形成されている。この緩衝体13は、図17に示すように、衝撃吸収装置11が配置された燃料集合体100を燃料集合体収納容器200に収納した状態で、上端側を燃料集合体収納容器200の蓋部材203に向けて設けられる。
また、本実施の形態の衝撃吸収装置11は、ノズル支持体12において、上部ノズル103Aの凹部103bの底面に沿って配置される下面に、差込部材14が設けられていることが好ましい。差込部材14は、ノズル支持体12の下面に吊り下げられた形態で複数固定され、衝撃吸収装置11が燃料集合体100に配置された状態で、燃料集合体100の各案内管104に挿通される棒状のものである(図17参照)。この差込部材14は、少なくとも2つ設けられていればよい。
また、本実施の形態の衝撃吸収装置11は、図18に示すように、緩衝体13と燃料集合体収納容器200との間で上下方向に弾性を有する弾性部15が設けられていることが好ましい。弾性部15は、緩衝体13の上端にて上方に突出して設けられたバネ材として構成されている。この弾性部15は、衝撃吸収装置11が配置された燃料集合体100を燃料集合体収納容器200に収納した状態で、燃料集合体収納容器200の蓋部材203に弾性力を伴って当接する。
このような衝撃吸収装置11は、上述したように燃料集合体100に配置される。この際、ノズル支持体12の下面に設けられた差込部材14が、燃料集合体100の案内管104に挿入されることで、燃料集合体100に位置決めして配置される。また、図には明示しないが、燃料集合体100の下端側の下部ノズル103B側には、上述した実施の形態1の衝撃吸収装置1が配置される。
そして、衝撃吸収装置11が配置された燃料集合体100は、図19に示すように、把持機構をなす燃料取扱工具8により把持されつつ搬送されて燃料集合体収納容器200に収納される。この燃料取扱工具8は、従前から燃料集合体100を搬送するために適用されている既存のもので、上部ノズル103Aの対向する嵌合部103cに嵌合する一式のフック8aと、フック8aの先端を相互に接近または離隔させる駆動部8bとを備えている。この燃料取扱工具8は、フック8aが嵌合部103cと対向する位置に下降された後、各フック8aの先端を離隔させることで、先端が嵌合部103cに嵌合する。そして、上昇に伴い、フック8aに嵌合した燃料集合体100が吊り下げられた形態で搬送される。
燃料取扱工具8により燃料集合体100を搬送する際、燃料取扱工具8は、衝撃吸収装置11が燃料集合体100に配置された状態で、ノズル支持体12および緩衝体13と嵌合部103cとの間の領域にフック8aが受け入れられつつ、ノズル支持体12および緩衝体13に接触することなく嵌合部103cにフック8aが嵌合する。このため、衝撃吸収装置11が燃料集合体100に配置された状態であっても、燃料取扱工具8により燃料集合体100を搬送することが可能である。
その後、燃料集合体収納容器200に蓋部材203が設置された場合、蓋部材203と緩衝体13との間に存在する弾性部15の弾性力により、衝撃吸収装置11全体が下方に押圧されることで、衝撃吸収装置11が燃料集合体100の上端(上部ノズル103Aの上面)に押し付けられる。
そして、燃料集合体100に配置された衝撃吸収装置11は、例えば燃料集合体収納容器200が蓋部材203側を鉛直下方向に向けて垂直落下し、燃料集合体100の中心軸Sに平行な荷重を受けた場合、ノズル支持体12で上部ノズル103Aを支持して、落下による衝撃力に起因する上部ノズル103Aの撓みを抑制する。また、燃料集合体100に作用する衝撃力は、緩衝体13によって吸収する。これによって、落下に起因する上部ノズル103Aの変形を抑制できるので、当該変形に起因する燃料棒101の変形が抑制される。また、緩衝体13によって、燃料集合体100に作用する衝撃力が緩和される。この結果、燃料集合体100の変形がより低減されるので、安全性が向上する。
しかも、衝撃吸収装置11は、緩衝体13が中空とされた密閉空間13aを内部に有し、燃料集合体100に作用する衝撃力を緩衝体13により吸収する際、衝撃により緩衝体13が変形して密閉空間13aを開放する。図7を参照すると、燃料集合体収納容器200の内部空間201aでは、除熱および遮蔽のための水Wにより燃料集合体100が浸されている。さらに、内部空間201aでは、温度上昇に伴う水Wの膨張により内部空間201aの圧力(内圧)が上昇する事態を抑制するための空気層Aが設けられている。そして、燃料集合体収納容器200が蓋部材203側を鉛直下方向に向けて垂直落下した場合、この落下の衝撃により緩衝体13が変形して密閉空間13aを開放することで、密閉空間13a内の領域が、空気層Aに含まれ、空気層Aの体積が増してボイド率が向上することになる。この結果、熱的環境事象において、水Wの膨張による内部空間201aの圧力(内圧)の上昇がさらに抑制されるので、安全性が向上する。しかも、密閉空間13aを有する緩衝体13を備えることで、熱的環境事象になる以前では、水Wにより燃料集合体100を浸す体積を多くしてボイド率を抑えておくことが可能であることから、燃料集合体100の除熱および遮蔽の効率が良くなるので、安全性が向上する。
また、本実施の形態の衝撃吸収装置11では、燃料集合体100の上部ノズル103Aにおける嵌合部103cの下方位置であって上部ノズル103Aの上面に沿って配置される板状のノズル支持体12と、ノズル支持体12と共に嵌合部103cとの間に燃料取扱工具8を受け入れる所定の領域を確保しつつノズル支持体12の上面に接合された緩衝体13とを備えている。これにより、燃料集合体100を保持する既存の燃料取扱工具8は、ノズル支持体12および緩衝体13と、嵌合部103cとの間の領域に受け入れられつつ、ノズル支持体12および緩衝体13に接触することなく嵌合部103cに嵌合して燃料集合体100を保持することが可能になる。この結果、燃料取扱工具を新たに設計することでコストが嵩む事態を防ぐことができる。さらに、衝撃吸収装置11を搬送する専用の取扱工具を設計し、既存の燃料取扱工具8により燃料集合体100を燃料集合体収納容器200に搬送した後、衝撃吸収装置11を専用の取扱工具により燃料集合体100に設置するような、コストが嵩み、かつ作業効率が低下する事態を防ぐことができる。
また、本実施の形態の衝撃吸収装置11では、ノズル支持体12の下面に、燃料集合体100の案内管104に挿入される差込部材14をさらに備える。これによって、衝撃吸収装置11を燃料集合体100に配置した際、差込部材14が案内管104に挿入されることで、燃料集合体100に位置決めして配置される。この結果、既存の燃料取扱工具8が干渉しない適した位置にノズル支持体12および緩衝体13を配置することが可能になる。
また、本実施の形態の衝撃吸収装置11では、緩衝体13と燃料集合体収納容器200の蓋部材203との間で上下方向に弾性を有する弾性部15をさらに備える。このため、弾性部15の弾性力により、燃料集合体収納容器200(蓋部材203)との間で衝撃吸収装置11全体が下方に押圧されて、衝撃吸収装置11が燃料集合体100の上端(上部ノズル103Aの上面)に向けて押し付けられる。この結果、衝撃吸収装置11がガタついて微動する事態を防ぎ、燃料集合体100に作用する衝撃荷重を抑制する効果を顕著に得ることが可能になる。
また、本実施の形態の燃料集合体収納容器200では、複数の燃料棒101を組み合わせた上下端部にノズル103を有し、かつ上端側の上部ノズル103Aの周囲に既存の燃料取扱工具8を嵌合する嵌合部103cが設けられた燃料集合体100を収納した状態で、燃料集合体100に対して与えられる衝撃を抑制するもので、上記の衝撃吸収装置11が適用されている。
燃料集合体100を保持する既存の燃料取扱工具8は、ノズル支持体12および緩衝体13と、嵌合部103cとの間の領域に受け入れられつつ、ノズル支持体12および緩衝体13に接触することなく嵌合部103cに嵌合する。このような衝撃吸収装置11を適用した燃料集合体収納容器200は、燃料集合体100を保持する既存の燃料取扱工具8に干渉することなく燃料集合体100を収納することができる。この結果、燃料取扱工具を新たに設計することでコストが嵩む事態を防ぐことができる。さらに、衝撃吸収装置11を搬送する専用の取扱工具を設計し、既存の燃料取扱工具8により燃料集合体100を燃料集合体収納容器200に搬送した後、衝撃吸収装置11を専用の取扱工具により燃料集合体100に設置するような、コストが嵩み、かつ作業効率が低下する事態を防ぐことができる。
図20〜図25に示す構成は、上述した衝撃吸収装置11に対し、ハンドル部材16をさらに備えている。
ハンドル部材16は、緩衝体13の上端に設けられており、上部ノズル103Aの嵌合部103cとの間に燃料取扱工具8を受け入れる所定の領域を確保しつつ水平方向で相反する方向に延在する両腕部16aを有している。このハンドル部材16は、図21に示すように、燃料集合体100における上部ノズル103Aの上側に配置される部材である衝撃吸収装置11(衝撃吸収装置11以外の部材も含む)を搬送するための既存の搬送取扱工具9に嵌合するものである。
搬送取扱工具9は、把持部9aと、駆動部9bとを備えている。把持部9aは、筒状に形成された下端部において、ハンドル部材16の各腕部16aを上方から挿通するように上下方向に延在して設けられた挿通溝9cと、把持部9aの水平方向への回転により各腕部16aに嵌合するように挿通溝9cの上端から水平方向に延在して設けられた嵌合溝9dとを有している。駆動部9bは、把持部9aを昇降させ、かつ水平方向に回転させるものである。そして、この搬送取扱工具9により把持部9aの嵌合溝9dに嵌合した衝撃吸収装置11が吊り下げられた形態で、燃料集合体100の位置に搬送され、図23に示すように、燃料集合体100の上部ノズル103Aに配置される。
また、ハンドル部材16を備えた衝撃吸収装置11では、図24に示すように、弾性部15が、ハンドル部材16の上端にて上方に突出して設けられたバネ材として構成されている。この弾性部15は、衝撃吸収装置11が配置された燃料集合体100を燃料集合体収納容器200に収納した状態で、燃料集合体収納容器200の蓋部材203に弾性力を伴って当接する。
このように、ハンドル部材16を備えた衝撃吸収装置11であっても、図25に示すように、燃料取扱工具8により燃料集合体100を搬送する際、燃料取扱工具8は、衝撃吸収装置11が燃料集合体100に配置された状態で、ノズル支持体12および緩衝体13と嵌合部103cとの間の領域、およびハンドル部材16と嵌合部103cとの間の領域にフック8aが受け入れられつつ、ノズル支持体12、緩衝体13およびハンドル部材16に接触することなく嵌合部103cにフック8aが嵌合する。このため、衝撃吸収装置11が燃料集合体100に配置された状態であっても、燃料取扱工具8により燃料集合体100を搬送することが可能である。その後、燃料集合体収納容器200に蓋部材203が設置された場合、蓋部材203とハンドル部材16との間に存在する弾性部15の弾性力により、衝撃吸収装置11全体が下方に押圧されることで、衝撃吸収装置11が燃料集合体100の上端(上部ノズル103Aの上面)に押し付けられる。
ところで、図には明示しないが、本実施の形態の衝撃吸収装置11では、上述した実施の形態1と同様に、緩衝体13に熱変形部が設けられている。熱変形部は、緩衝体13の壁の一部を形成する。この熱変形部は、緩衝体13の壁を塞いで密閉空間13aを閉塞しており、所定の高温を超えた条件で変形して密閉空間13aを開放する。すなわち、熱変形部は、燃料集合体収納容器200における内部空間201a内の水Wが膨張して内部空間201aの圧力(内圧)が上昇するような温度条件に至った場合、その熱によって変形して密閉空間13aを開放する材質で形成されている。このように、緩衝体13に熱変形部を備えた衝撃吸収装置11によれば、燃料集合体100に作用する衝撃力を緩衝体13の変形によって吸収して密閉空間13aを開放するとき以外に、所定の高温を超えた条件で変形して密閉空間13aを開放することで、燃料集合体収納容器200の内部空間201aに設けられた空気層Aの体積を増加させるので、水Wの膨張による内部空間201aの圧力(内圧)の上昇を抑制できる。
また、図には明示しないが、本実施の形態の衝撃吸収装置11では、上述した実施の形態1と同様に、緩衝体13に圧力変形部が設けられている。圧力変形部は、緩衝体13の壁の一部を形成する。この圧力変形部は、緩衝体13の壁を塞いで密閉空間13aを閉塞しており、所定の圧力を超えた条件で変形して密閉空間13aを開放する。すなわち、圧力変形部は、燃料集合体収納容器200における内部空間201a内の水Wが膨張して内部空間201aの圧力(内圧)が上昇するような条件に至った場合、その圧力によって変形して密閉空間13aを開放する材質で形成されている。このように、緩衝体13に圧力変形部を備えた衝撃吸収装置11によれば、燃料集合体100に作用する衝撃力を緩衝体13の変形によって吸収して密閉空間13aを開放するとき以外に、所定の圧力を超えた条件で変形して密閉空間13aを開放することで、燃料集合体収納容器200の内部空間201aに設けられた空気層Aの体積を増加させるので、水Wの膨張による内部空間201aの圧力(内圧)の上昇を抑制できる。
以上、実施の形態2の衝撃吸収装置11によれば、燃料集合体収納容器200の密封容器内が水Wに浸された状態で密封容器内に収納された燃料集合体100に与えられる衝撃を抑制する燃料集合体100の衝撃吸収装置11であって、水Wに浸されつつ燃料集合体100の少なくとも一方の端部に対し配置され、密閉空間13aを内部に有すると共に、衝撃により変形して密閉空間13aを開放する緩衝体13を備える。これにより、燃料集合体収納容器200が垂直落下した場合、この落下の衝撃を緩衝体13が変形して吸収する。このため、落下事象において、燃料集合体100の変形が抑制され、安全性が向上する。しかも、燃料集合体収納容器200の落下の衝撃により緩衝体13が変形して密閉空間13aを開放することで、密閉空間13a内の領域が空気層Aとなってボイド率が向上する。このため、熱的環境事象において、水Wの膨張による内部空間201aの圧力(内圧)の上昇が抑制され、安全性が向上する。このように、落下時の衝撃を吸収する緩衝体13を、圧力上昇を抑制するバッファタンクとしたことで、密封容器としての燃料集合体収納容器200の大型化や加重を抑えつつ、簡素な構成にて、落下事象および熱的環境事象での健全性を担保する衝撃吸収機構および圧力吸収機能を得ることが可能になる。
また、実施の形態2の燃料集合体収納容器200によれば、水Wに浸した状態で燃料集合体100を収納する密封容器をなし、上記衝撃吸収装置11を適用したことにより、容器の大型化や加重を抑えつつ、簡素な構成にて、落下事象および熱的環境事象での健全性を担保する衝撃吸収機構および圧力吸収機能を得ることが可能になる。
[実施の形態3]
実施の形態2の衝撃吸収装置21は、可燃性毒物棒組立体300を配置した燃料集合体100に配置されるものである。図26〜図28に示すように、可燃性毒物棒組立体300は、燃料集合体100の案内管104に、可燃性毒物棒301を挿入するためのものである。可燃性毒物棒組立体300は、複数の可燃性毒物棒301と、支持板302と、保持部303とを備えている。
可燃性毒物棒301は、燃料集合体収納容器200に収納された場合の燃料集合体100の上部ノズル103Aを貫通するように、燃料集合体100の案内管104に挿通される棒状のものである。
支持板302は、複数の可燃性毒物棒301を吊り下げた形態で固定するもので、各可燃性毒物棒301の上端に接合されている。この支持板302は、可燃性毒物棒301を燃料集合体100に挿通した状態で、上部ノズル103Aの上面に沿うように配置される。また、支持板302には、冷却水を流通させるための通水孔302aが上下方向に貫通して設けられている。
保持部303は、支持板302の上面中央に取り付けられ、可燃性毒物棒301を燃料集合体100に挿通する際、支持板302と共に可燃性毒物棒301を保持するためのものである。保持部303は、支持板302に立設して固定されたパイプ303aの周囲に、コイル状のバネ部材303bが配置され、このバネ部材303bにより弾性支持する態様でパイプ303aの上端側にハンドル部材303cが設けられたものである。そして、可燃性毒物棒301を燃料集合体100に挿通する際には、上述した実施の形態2における搬送取扱工具9によりハンドル部材303cが掴まれることで、支持板302と共に可燃性毒物棒301が保持される。
図27および図28に示すように、燃料集合体100が燃料集合体収納容器200に収納された状態で、燃料集合体100に可燃性毒物棒組立体300を配置した状態において、可燃性毒物棒組立体300は、可燃性毒物棒301が燃料集合体100の案内管104に挿入され、支持板302が燃料集合体100の上部ノズル103Aの上面に対向し、かつ保持部303が上部ノズル103Aの上方に突出して配置される。また、この状態において、保持部303のパイプ303aの下端が、支持板302の下面から突出しており、燃料集合体100の上部ノズル103Aの上面に当接することで、上部ノズル103Aの上面と支持板302の下面との間に隙間Hが生じている。
このように、燃料集合体100に可燃性毒物棒組立体300を配置した状態では、可燃性毒物棒組立体300の保持部303が上部ノズル103Aの上方に突出して配置されていることから、燃料集合体収納容器200の蓋部材203と上部ノズル103Aとの間に衝撃吸収装置を配置することが困難である。
そこで、本実施の形態では、燃料集合体収納容器200に収納された燃料集合体100に、可燃性毒物棒組立体300が配置された状態において、例えば燃料集合体収納容器200が落下した場合であっても、燃料集合体100に対して与えられる衝撃を吸収できる燃料集合体の衝撃吸収装置21を提供する。
図29〜図31に示すように、実施の形態3の衝撃吸収装置21は、カバー部22と、緩衝体23とを備えている。カバー部22は、燃料集合体収納容器200に収納された燃料集合体100に、可燃性毒物棒組立体300が配置された状態で、燃料集合体収納容器200の蓋部材203と、可燃性毒物棒組立体300における保持部303のハンドル部材303cとの間に介在される厚さを有して板状に形成されている。このカバー部22は、衝撃吸収装置21が燃料集合体100に配置された状態で、蓋部材203と保持部303との間で、保持部303(ハンドル部材303c)の上方にてほぼ水平に配置される。さらに、カバー部22は、衝撃吸収装置21が燃料集合体100に配置された状態で、保持部303の存在しない部位であって燃料集合体100の上部ノズル103Aの上方の部位に至り水平方向に延在するように短冊状に形成されている。なお、カバー部22は、排水などのために貫通孔が設けられていてもよい。
また、カバー部22は、図31に示すように、上下方向に弾性を有する弾性部材24が上方に突出して設けられたバネ材として構成されている。この弾性部材24は、衝撃吸収装置21が燃料集合体100に配置された状態で、燃料集合体収納容器200の蓋部材203に弾性力を伴って当接する。
また、カバー部22は、衝撃吸収装置21が燃料集合体100に配置された状態で、可燃性毒物棒組立体300における保持部303のハンドル部材303cに嵌合する嵌合部25が設けられている。嵌合部25は、カバー部22の下面に設けられて下方に延在する突起であり、ハンドル部材303cの一部を両側部から挟むように対をなして設けられている。また、嵌合部25は、下方に向けて一式の突起の間隔が広がるように、ハンドル部材303cの側部に向く側部にテーパ面25aが設けられている。この嵌合部25は、ハンドル部材303cの複数箇所に対応して設けられていることが好ましく、本実施の形態では2箇所に設けられている。
緩衝体23は、カバー部22に取り付けられている。緩衝体23のカバー部22への具体的な取り付け位置は、衝撃吸収装置21が燃料集合体100に配置された状態で、カバー部22が保持部303の存在しない部位に延在した部位に取り付けられている。また、緩衝体23は、カバー部22から燃料集合体100の上端であって上部ノズル103Aの上面に向けて延在して設けられている。このため、緩衝体23は、衝撃吸収装置21が燃料集合体100に配置された状態で、保持部303の側部に配置される。また、緩衝体23は、中空とされた密閉空間23aを内部に有しており、変形に際して密閉空間23aを開放するように構成されている。なお、密閉空間23a内は、大気圧同等または真空としておく。この緩衝体23は、樹脂、木材、金属のうちの少なくとも一つで構成されている。また、緩衝体13は、筒体、ハニカム構造、積層構造、発泡体などで形成されるものであって、これらの形態を複数組み合わせることも可能である。本実施の形態では、緩衝体23は、両端部が閉塞された円筒形状に形成されている。このような緩衝体23は、複数(本実施の形態では2つ)設けられ、燃料棒101の延在方向に沿う燃料集合体100における中心軸Sを基準とした水平方向の対象位置に配置されている。
緩衝体23の下端側には、脚部材26が設けられている。緩衝体23の下端には、円筒状の穴を塞ぐ円板状のスペーサ27が設けられ、脚部材26は、このスペーサ27の下面に固定されている。この脚部材26は、可燃性毒物棒組立体300の支持板302に設けられた通水孔302aに挿通される形状に形成されたブロックとして形成されている。このため、脚部材26は、衝撃吸収装置21が燃料集合体100に配置された状態で、通水孔302aに挿通されることにより、燃料集合体100の上端(上部ノズル103Aの上面)に向きつつ、燃料集合体100の上端(上部ノズル103Aの上面)に当接する。また、脚部材26の側部には、燃料集合体100に向けて細径となるテーパ面26aが設けられている。
上述した衝撃吸収装置21は、図32に示すように、把持機構をなす取扱工具10により把持されて燃料集合体100に配置される。この取扱工具10は、燃料集合体100を燃料集合体収納容器200に収納する取扱工具や、可燃性毒物棒組立体300を燃料集合体100に挿入する取扱工具と共通化されていることが好ましい。取扱工具を搬送する対象物で共通化すれば、対象物ごとに取扱工具を用意する必要がなく、また、取扱作業性も向上する。
燃料集合体100に配置される衝撃吸収装置21は、可燃性毒物棒組立体300における保持部303のハンドル部材303cに嵌合部25が嵌合することで、緩衝体23や脚部材26が位置決めされる。また、嵌合部25のテーパ面25aにより、嵌合部25がハンドル部材303cに嵌合し易いように案内される。また、燃料集合体100に配置される衝撃吸収装置21は、可燃性毒物棒組立体300における支持板302の通水孔302aに脚部材26が挿入されるが、この際、脚部材26のテーパ面26aにより、脚部材26が通水孔302aに挿入され易いように案内される。
燃料集合体100に配置された衝撃吸収装置21は、カバー部22が可燃性毒物棒組立体300の保持部303の上方に配置され、緩衝体23がカバー部22から燃料集合体100の上端に向けて延在しつつ保持部303の側部に配置される。この状態では、カバー部22は、脚部材26が通水孔302aを挿通して燃料集合体100の上端(上部ノズル103Aの上面)に当接しているため、可燃性毒物棒組立体300における保持部303のハンドル部材303cの上面に接触しない。また、図には明示しないが、燃料集合体100の下方である下端側の下部ノズル103B側には、上述した実施の形態1の衝撃吸収装置1が配置される。
その後、燃料集合体収納容器200に蓋部材203が設置された場合、蓋部材203とカバー部22との間に存在する弾性部材24の弾性力により、衝撃吸収装置21全体が下方に押圧されることで、衝撃吸収装置21が燃料集合体100の上端(上部ノズル103Aの上面)に押し付けられる。
そして、燃料集合体100に配置された衝撃吸収装置21は、例えば燃料集合体収納容器200が蓋部材203側を鉛直下方向に向けて垂直落下し、燃料集合体100の中心軸Sに平行な荷重を受けた場合、燃料集合体100に作用する衝撃力を、緩衝体23によって吸収する。これによって、落下に起因する上部ノズル103Aの変形を抑制できるので、当該変形に起因する燃料棒101の変形が抑制される。また、緩衝体23によって、燃料集合体100に作用する衝撃力が緩和される。この結果、燃料集合体100の変形がより低減されるので、安全性が向上する。
しかも、衝撃吸収装置21は、緩衝体23が中空とされた密閉空間23aを内部に有し、燃料集合体100に作用する衝撃力を緩衝体23により吸収する際、衝撃により緩衝体23が変形して密閉空間23aを開放する。図7を参照すると、燃料集合体収納容器200の内部空間201aでは、除熱および遮蔽のための水Wにより燃料集合体100が浸されている。さらに、内部空間201aでは、温度上昇に伴う水Wの膨張により内部空間201aの圧力(内圧)が上昇する事態を抑制するための空気層Aが設けられている。そして、燃料集合体収納容器200が蓋部材203側を鉛直下方向に向けて垂直落下した場合、この落下の衝撃により緩衝体23が変形して密閉空間23aを開放することで、密閉空間23a内の領域が、空気層Aに含まれ、空気層Aの体積が増してボイド率が向上することになる。この結果、熱的環境事象において、水Wの膨張による内部空間201aの圧力(内圧)の上昇がさらに抑制されるので、安全性が向上する。しかも、密閉空間23aを有する緩衝体23を備えることで、熱的環境事象になる以前では、水Wにより燃料集合体100を浸す体積を多くしてボイド率を抑えておくことが可能であることから、燃料集合体100の除熱および遮蔽の効率が良くなるので、安全性が向上する。
また、本実施の形態の衝撃吸収装置21では、燃料集合体100を燃料集合体収納容器200に収納すると共に、可燃性毒物棒組立体300が、燃料集合体100の上端側から可燃性毒物棒301を挿入され保持部303を燃料集合体100の上方に配置された状態で、燃料集合体100に対して与えられる衝撃を抑制するものであって、保持部303の上方に配置されるカバー部22と、カバー部22から燃料集合体100の上端に向けて延在しつつ保持部303の側部に配置される緩衝体23とを備える。このため、可燃性毒物棒301を挿入された燃料集合体100に配置することができ、燃料集合体100に作用する衝撃荷重を抑制することが可能になる。
また、本実施の形態の衝撃吸収装置21では、緩衝体23は、可燃性毒物棒組立体300における支持板302の通水孔302aに挿通されて燃料集合体100の上端に当接する脚部材26をさらに備える。このため、脚部材26が燃料集合体100に当接することで、燃料集合体100に作用する衝撃荷重を緩衝体23に直接伝えるため、燃料集合体100に作用する衝撃荷重を抑制する効果を顕著に得ることが可能になる。また、緩衝体23が変形することで、燃料集合体100の上部ノズル103Aの変形を抑制する効果を顕著に得ることが可能になる。
また、本実施の形態の衝撃吸収装置21では、脚部材26は、燃料集合体100に向けて細径となるテーパ面26aを側部に有している。このため、テーパ面26aが脚部材26の通水孔302aへの挿通を案内するので、脚部材26を通水孔302aに確実に挿通させることが可能になり、衝撃吸収装置21の燃料集合体100への配置ミスを防ぐことが可能になる。
また、本実施の形態の衝撃吸収装置21では、緩衝体23は、燃料棒101の延在方向に沿う燃料集合体100における中心軸Sを基準とした水平方向の対象位置に配置されている。このため、例えば燃料集合体収納容器200が落下し、燃料集合体100の中心軸Sに平行な荷重を受けた場合、中心軸Sを基準とした水平方向の対象位置で、燃料集合体100の燃料棒101に作用する荷重を均等に軽減する。この結果、燃料集合体100の一部に荷重が集中する事態を防ぐことが可能になる。
また、本実施の形態の衝撃吸収装置21では、カバー部22は、燃料集合体収納容器200との間で上下方向に弾性を有する弾性部材24が上方に突出して設けられている。このため、弾性部材24の弾性力により、燃料集合体収納容器200(蓋部材203)との間で衝撃吸収装置21全体が下方に押圧されて、衝撃吸収装置21が燃料集合体100の上端(上部ノズル103Aの上面)に向けて押し付けられる。この結果、衝撃吸収装置21がガタついて微動する事態を防ぎ、燃料集合体100に作用する衝撃荷重を抑制する効果を顕著に得ることが可能になる。
また、本実施の形態の衝撃吸収装置21では、カバー部22は、可燃性毒物棒組立体300における保持部303のハンドル部材303cに嵌合する嵌合部25をさらに備える。このため、ハンドル部材303cへの嵌合部25の嵌合により、衝撃吸収装置21が位置決めされる。この結果、衝撃吸収装置21の燃料集合体100への配置ミスを防ぐことが可能になる。なお、嵌合部25のテーパ面25aにより、嵌合部25がハンドル部材303cに嵌合し易いように案内されるので、衝撃吸収装置21の燃料集合体100への配置ミスをさらに防ぐことが可能になる。
また、本実施の形態の衝撃吸収装置21では、緩衝体23は、図33および図34に示すように、衝撃吸収装置21が燃料集合体100に配置された状態で、燃料集合体100の中心軸Sに平行な荷重を受けた場合、変形の起点となる変形起点部23bが側部に設けられている。図33では、変形起点部23bが緩衝体23の下端側の側部で湾曲して設けられて、緩衝体23の下端が先細りに形成されている。また、図34では、変形起点部23bが緩衝体23の中程の側部で湾曲して設けられて、緩衝体23の中程がくびれて形成されている。この衝撃吸収装置21によれば、燃料集合体100の中心軸Sに平行な荷重を受けた場合、変形起点部23bにより変形の起点が定められていることで、変形初期の段階で燃料集合体100に作用するピーク荷重を下げるため、燃料集合体100に作用する衝撃荷重をさらに抑制することが可能になる。なお、変形起点部23bは、湾曲に限らず屈曲により形成されていてもよい。また、この変形起点部23bは、上述した実施の形態1の緩衝体3や実施の形態2の緩衝体13に設けられていてもよい。
なお、本実施の形態の衝撃吸収装置21は、緩衝体23に脚部材26を設けた構成であるが、脚部材26やスペーサ27を設けず、緩衝体23が支持板302の上面に接触するように構成されていてもよい。
図35〜図37に示す構成は、上述した衝撃吸収装置21に対し、カバー部22の形状と、緩衝体23の数(ここでは、4つ)が異なるものであり、上述した衝撃吸収装置21と同等部分には、同一の符号を付して説明を省略する。この図35〜図37に示す構成であっても、上述した衝撃吸収装置21と同様の効果を得ることが可能である。
ところで、図には明示しないが、本実施の形態の衝撃吸収装置21では、上述した実施の形態1と同様に、緩衝体23に熱変形部が設けられている。熱変形部は、緩衝体23の壁の一部を形成する。この熱変形部は、緩衝体23の壁を塞いで密閉空間23aを閉塞しており、所定の高温を超えた条件で変形して密閉空間23aを開放する。すなわち、熱変形部は、燃料集合体収納容器200における内部空間201a内の水Wが膨張して内部空間201aの圧力(内圧)が上昇するような温度条件に至った場合、その熱によって変形して密閉空間23aを開放する材質で形成されている。このように、緩衝体23に熱変形部を備えた衝撃吸収装置21によれば、燃料集合体100に作用する衝撃力を緩衝体23の変形によって吸収して密閉空間23aを開放するとき以外に、所定の高温を超えた条件で変形して密閉空間23aを開放することで、燃料集合体収納容器200の内部空間201aに設けられた空気層Aの体積を増加させるので、水Wの膨張による内部空間201aの圧力(内圧)の上昇を抑制できる。
また、図には明示しないが、本実施の形態の衝撃吸収装置21では、上述した実施の形態1と同様に、緩衝体23に圧力変形部が設けられている。圧力変形部は、緩衝体23の壁の一部を形成する。この圧力変形部は、緩衝体23の壁を塞いで密閉空間23aを閉塞しており、所定の圧力を超えた条件で変形して密閉空間23aを開放する。すなわち、圧力変形部は、燃料集合体収納容器200における内部空間201a内の水Wが膨張して内部空間201aの圧力(内圧)が上昇するような条件に至った場合、その圧力によって変形して密閉空間23aを開放する材質で形成されている。このように、緩衝体23に圧力変形部を備えた衝撃吸収装置21によれば、燃料集合体100に作用する衝撃力を緩衝体23の変形によって吸収して密閉空間23aを開放するとき以外に、所定の圧力を超えた条件で変形して密閉空間23aを開放することで、燃料集合体収納容器200の内部空間201aに設けられた空気層Aの体積を増加させるので、水Wの膨張による内部空間201aの圧力(内圧)の上昇を抑制できる。
以上、実施の形態3の衝撃吸収装置21によれば、燃料集合体収納容器200の密封容器内が水Wに浸された状態で密封容器内に収納された燃料集合体100に与えられる衝撃を抑制する燃料集合体100の衝撃吸収装置21であって、水Wに浸されつつ燃料集合体100の少なくとも一方の端部に対し配置され、密閉空間23aを内部に有すると共に、衝撃により変形して密閉空間23aを開放する緩衝体23を備える。これにより、燃料集合体収納容器200が垂直落下した場合、この落下の衝撃を緩衝体23が変形して吸収する。このため、落下事象において、燃料集合体100の変形が抑制され、安全性が向上する。しかも、燃料集合体収納容器200の落下の衝撃により緩衝体23が変形して密閉空間23aを開放することで、密閉空間23a内の領域が空気層Aとなってボイド率が向上する。このため、熱的環境事象において、水Wの膨張による内部空間201aの圧力(内圧)の上昇が抑制され、安全性が向上する。このように、落下時の衝撃を吸収する緩衝体13を、圧力上昇を抑制するバッファタンクとしたことで、密封容器としての燃料集合体収納容器200の大型化や加重を抑えつつ、簡素な構成にて、落下事象および熱的環境事象での健全性を担保する衝撃吸収機構および圧力吸収機能を得ることが可能になる。
また、実施の形態3の燃料集合体収納容器200によれば、水Wに浸した状態で燃料集合体100を収納する密封容器をなし、上記衝撃吸収装置21を適用したことにより、容器の大型化や加重を抑えつつ、簡素な構成にて、落下事象および熱的環境事象での健全性を担保する衝撃吸収機構および圧力吸収機能を得ることが可能になる。
以上のように、本発明に係る燃料集合体の衝撃吸収装置および燃料集合体収納容器は、容器の大型化や加重を抑えつつ、簡素な構成にて、落下事象および熱的環境事象での健全性を担保する衝撃吸収機構および圧力吸収機能を得ることに適している。
1 衝撃吸収装置
2 ノズル支持体
3(3A,3B,3C,3D,3E,3F) 緩衝体
3a 密閉空間
4 緩衝体支持部材
6 熱変形部
7 圧力変形部
11 衝撃吸収装置
12 ノズル支持体
13 緩衝体
13a 密閉空間
14 差込部材
15 弾性部
16 ハンドル部材
21 衝撃吸収装置
22 カバー部
23 緩衝体
23a 密閉空間
24 弾性部材
25 嵌合部
25a テーパ面
26 脚部材
26a テーパ面
27 スペーサ
100 燃料集合体
101 燃料棒
102 支持格子
103(103A,103B) ノズル
1031 脚部
1032 凹部
104 案内管
200 燃料集合体収納容器
201 容器本体
201a 内部空間
201b 開口部
202 中性子遮蔽体
203(203a、203b) 蓋部材
204 バスケット
2041 角パイプ
204a セル
205 スペーサ
300 可燃性毒物棒組立体
301 可燃性毒物棒
302 支持板
303 保持部
A 空気層
W 水

Claims (3)

  1. 水に浸した状態で燃料集合体を収納する密封容器を有した燃料集合体収納容器に用いられ、前記燃料集合体に与えられる衝撃を抑制する緩衝体を備える燃料集合体の衝撃吸収装置において、
    前記緩衝体は、密閉空間を内部に有して構成され、所定の高温を超えた条件で変形して前記密閉空間を開放する熱変形部、または所定の圧力を超えた条件で変形して前記密閉空間を開放する圧力変形部を有し、前記燃料集合体の上部ノズルの凹部の底面に沿う支持体の上面に接合されており、
    かつ前記支持体および前記緩衝体は、前記燃料集合体を搬送するための燃料取扱工具のフックが嵌合する態様で前記上部ノズルに設けられた嵌合部との間で、前記フックを前記嵌合部に至らせる領域を確保しつつ前記燃料集合体に配置されることを特徴とする燃料集合体の衝撃吸収装置。
  2. 水に浸した状態で燃料集合体を収納する密封容器を有した燃料集合体収納容器に用いられ、前記燃料集合体に与えられる衝撃を抑制する緩衝体を備える燃料集合体の衝撃吸収装置において、
    前記緩衝体は、密閉空間を内部に有して構成され、所定の高温を超えた条件で変形して前記密閉空間を開放する熱変形部、または所定の圧力を超えた条件で変形して前記密閉空間を開放する圧力変形部を有しており、
    かつ前記緩衝体は、前記燃料集合体の上部ノズルの凹部から挿入する可燃性毒物棒と前記燃料集合体の上部ノズルの上方に配置される保持部とを有する可燃性毒物棒組立体を、前記燃料集合体に配置した状態で、前記保持部の上方に配置されるカバー部から前記燃料集合体の上部ノズルの凹部に向けて延在しつつ前記保持部の側部に配置されることを特徴とする燃料集合体の衝撃吸収装置。
  3. 水に浸した状態で燃料集合体を収納する密封容器をなし、かつ請求項1または2に記載の衝撃吸収装置を適用したことを特徴とする燃料集合体収納容器。
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