JP4633661B2 - セルフピアスリベットの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、セルフピアスリベットに関し、より詳細には、硬さ、延性、靭性、および耐遅れ破壊性に優れるセルフピアスリベットに関する。
現在、金属板材を締結する手段として、重ね合わせた被接合材、例えば、鋼板やアルミニウム板にセルフピアスリベットを打ち込むことで機械的に接合する手段が知られている。
近年では、CO排出量の低減、衝突時の安全性の確保などを目的として、自動車分野では、板厚が低減された高強度鋼板を用いる試みが成されている。このように自動車分野において高強度鋼板に対するニーズが高まるとともに、セルフピアスリベットなどの締結部材に対しても車体の振動等による動的条件下であっても締結部位の高い強度と安定性を維持することができるニーズが高まっている。
セルフピアスリベットは、図3に模式断面図を示すように、リベット頭部301と、前記リベット頭部301に連なって開放した中空のリベット脚部302と、からなる形状を有する。セルフピアスリベットによる締結は、重ね合わせた被接合材の上側被接合材を中空のリベット脚部が穿孔し、被接合材の下側に設置された金型により下側被接合材においてリベット脚部が貫通せずに拡径されることにより行われる。このように、セルフピアスリベットによる締結は、被接合材に予め穴明けをしたり、締結する際に熱を発生させたりする必要がないなどの利点がある。
セルフピアスリベットの製造方法としては、S35C、SCM435、SCM440等の少なくとも炭素を0.1〜0.35質量%含む素材の鋼線材を、後工程の冷間鍛造を容易に行うための焼鈍を施した後に、冷間鍛造することにより所望のリベット形状に成形し、次いで、焼入れおよび焼戻しをする方法が用いられている。
上述の通り、セルフピアスリベットは締結する際に上側被接合材を穿孔するため、所定の硬さを有している必要がある。セルフピアスリベットの硬さがHV330程度と低い場合、被接合材の打ち込みに際し、セルフピアスリベットが被接合材上に座屈して打ち込むことができない恐れがある。そこで、製造時の焼入れおよび焼戻しを調整して硬さを向上させると、セルフピアスリベットの延性および靭性が低下し、下側被接合材において拡径されたリベット脚部にひび割れが発生する恐れがある。セルフピアスリベットにひび割れが生じると、ひび割れた部位を起点としての水素脆性を主とする遅れ破壊の危険性が高くなる他、締結力が弱くなってしまうという問題を招く。
そこで、特許文献1では、セルフピアスリベットの製造に用いられる鋼線材において炭素含有量を0.35〜0.60質量%と高めることによりセルフピアスリベットの硬さを向上させるとともに、表面に脱炭層を設けることによりセルフピアスリベットの靭性や耐遅れ破壊性の低下を抑制する手段が開示されている。このようにして得られた従来のセルフピアスリベットは、マルテンサイトおよびセメンタイトが無秩序に分散し、これらの結晶粒径が大きい金属組織を有している。
特開2004−340321号公報
セルフピアスリベットには、被接合材に打ち込む際に耐えられる硬さ、打ち込んだ後にリベット脚部を拡径するための延性および靭性、ならびに、打ち込み後の変形による大きな応力に対しての耐遅れ破壊性に優れることが必要である。
近年、自動車分野では衝突安全性の基準がさらに厳しくなり、鋼板の強度のさらなる向上が所望されている。しかしながら、従来のセルフピアスリベットでは、鋼板などの被接合材の硬さが590MPa程度になると打ち込みが困難となり、また、被接合材の厚さも1.6mm程度が限界であり打ち込みが困難となる。また、鋼線材において0.35〜0.60質量%として単に炭素含有量を高めることにより硬さを向上させただけでは、脱炭層を設けたとしても得られるセルフピアスリベットの延性、靭性、耐遅れ破壊性などが十分ではない恐れがある。従って、高い硬さを有するだけでなく、延性、靭性、および耐遅れ破壊性にも優れるセルフピアスリベットの実現が依然として所望されている。
そこで、本発明は、硬さ、延性、靭性、および耐遅れ破壊性に優れるセルフピアスリベットの製造方法を提供することを目的とする。
セルフピアスリベットの硬さ、延性、靭性、および耐遅れ破壊性を向上させるには、セルフピアスリベットの製造の際に用いられる鋼素材における化学組成を最適化することが重要であり、かような点に鑑み鋭意検討した結果、本発明をするに至った。
すなわち、本発明は、鋼素材を、Ac1点以下で温間鍛造することによりセルフピアスリベット前駆体とし、前記セルフピアスリベット前駆体を焼入れおよび焼戻しする工程を有するセルフピアスリベットの製造方法において、
前記鋼素材が、C:0.30〜0.70質量%、Si:0.01〜2.50質量%、Mn:0.10〜1.00質量%、さらにCr:0.01〜3.00質量%および/またはNi:0.10〜3.00質量%を基本成分として含有し、さらに、Mo、W、V、Ti、およびNbからなる群から選択される一種または二種以上を合計で0.002〜1.50質量%を含有し、残部はFe及び不純物からなり、前記不純物中のPは0.01質量%以下、Sは0.01質量%以下であるセルフピアスリベットの製造方法により上記課題を解決する。
本発明の方法によれば硬さに優れるだけでなく、延性、靭性、および耐遅れ破壊性にも優れるセルフピアスリベットを提供することが可能となる。前記セルフピアスリベットは、590MPa以上の硬さを有する被締結部材であっても打ち込みが可能となり、高い締結力を発揮することができる。
本発明は、鋼素材を、Ac1点以下で温間鍛造することによりセルフピアスリベット前駆体とし、前記セルフピアスリベット前駆体を焼入れおよび焼戻しする工程を有するセルフピアスリベットの製造方法において、
前記鋼素材が、C:0.30〜0.70質量%、Si:0.01〜2.50質量%、Mn:0.10〜1.00質量%、さらにCr:0.01〜3.00質量%および/またはNi:0.10〜3.00質量%を基本成分として含有し、さらに、Mo、W、V、Ti、およびNbからなる群から選択される一種または二種以上を合計で0.002〜1.50質量%を含有し、残部はFe及び不純物からなり、前記不純物中のPは0.01質量%以下、Sは0.01質量%以下であるセルフピアスリベット(単に「リベット」ともいう)の製造方法である。
本発明では、CおよびSiなどを添加することによりリベットの硬さを向上させるが、上述の通り、単に硬さを向上させただけでは得られるリベットの延性および靭性が低下して脆くなる。そこで、従来、リベットの焼入れ性などを向上させるために用いられていたMo、W、V、Ti、およびNbの金属元素の含有量を高めることにより、これらの金属元素が焼き戻しする際にセメンタイトの析出とともに微細な金属炭化物となって析出して、焼戻軟化抵抗が高まるとともに水素トラップとして機能することが可能となる。
従って、本発明の方法により得られるリベットは、図1にその金属組織を模式的に示すように、旧オーステナイト粒101の(好ましくは平均結晶粒径が1〜30μmの)マルテンサイト組織および/またはベイナイトからなる基地組織を有し、(前記基地組織表面にMoなどの前記金属元素を含む)炭化物粒子102(好ましくは平均粒子径が1μm以下である)が均一に分散された金属組織100を有する。上記炭化物粒子は、リベットの成分組成の1つまたは2以上の金属の炭化物(明細書中、単に合金炭化物とも称する)、例えば、Mo、W、V、Ti、およびNbよりなる群から選択される少なくとも1種の金属の炭化物である。さらに、各組織や合金炭化物は微細化されており、リベットの延性および靭性を向上させることができる。
本発明の方法によれば、得られるリベットが硬さに優れるだけでなく、組織の微細化により優れた硬さを確保したまま延性および靭性を向上させることができ、また、微細な球状合金炭化物が均一に分散されることにより延性および靭性をさらに向上させることが可能となる。従って、本発明の方法によれば、硬さ、延性、靭性、および耐遅れ破壊性に優れるセルフピアスリベットを提供することが可能となるのである。
なお、図1は、本発明の方法により得られたリベットにおける金属組織を模式的に示した図であり、説明の都合上、各組織などを誇張して記載しており、本発明によるリベットにおける金属組織が図1に示す金属組織に限定されるわけではない。以下、本発明をより詳細に説明する。
(鋼素材成分)
まず、本発明において、鋼素材の成分組成を上記の範囲に限定した理由について説明する。
C:0.30〜0.70質量%
Cは、リベットの硬さの向上に最も有効な成分である。しかしながら、優れた硬さを得るためには0.30質量%未満では満足できない恐れがある。一方、0.70質量%を超えるとリベットの延性および靭性の低下を招く。従って、Cは、0.30〜0.70質量%、好ましくは0.4〜0.6質量%とする。
Si:0.01〜2.50質量%
Siは、脱酸およびリベットの硬さの向上に有効な成分である。0.01質量%未満ではSiによる十分な効果が得られない恐れがあり、2.50質量%を超えると延性および靭性の低下を招く恐れがある。従って、Siは、0.01〜2.50質量%、好ましくは0.20〜2.00質量%とする。
Mn:0.10〜1.00質量%
Mnは、オーステナイト化温度を低下させ、オーステナイトの微細化に有効であるとともに、焼入れ性および焼戻軟化抵抗の向上に有効な元素である。0.10質量%未満ではMnによる十分な効果が得られない恐れがあり、1.00質量%を超えると延性および靭性の低下を招く恐れがある。従って、Mnは、0.10〜1.00質量%、好ましくは0.10〜0.50質量%とする。
本発明のリベットでは、上記したC、Si、およびMnを含む他、さらにCrおよび/またはNiを所定量含む。
Cr:0.01〜3.00質量%
Crは、焼入れ性向上に有効な元素であるとともに、セメンタイト中に固溶して焼戻しによる軟化を遅滞させる作用が強い元素である。0.01質量%未満ではCrによる十分な効果が得られない恐れがあり、3.00質量%を超えると延性および靭性の低下を招く恐れがある。従って、Crは、0.01〜3.00質量%、好ましくは0.50〜2.20質量%とする。
Ni:0.10〜3.00質量%
Niは、オーステナイト化温度を低下させ、オーステナイトの微細化に有効であるとともに、耐食性の向上に有効な元素である。0.10質量%未満ではNiによる十分な効果が得られない恐れがあり、3.00質量%を超えると効果が飽和して添加による効果の向上が得られない恐れがある。従って、Niは、0.10〜3.00質量%、好ましくは0.50〜2.00質量%とする。
P:0.01質量%以下、S:0.01質量%以下
PおよびSは、本発明のリベットでは不純物であり、リベットの特性を考慮した場合、低い方が好ましい。従って、Pは0.01質量%以下、Sは0.01質量%以下とする。
以上では、基本成分について説明したが、本発明ではその他にも以下に述べる元素を添加することにより、リベットの延性および靭性の向上を図る。すなわち、本発明のリベットは、さらに、Mo、W、V、Ti、およびNbからなる群から選択される一種または二種以上を合計で0.002〜1.50質量%含む。
Mo、W、V、Ti、およびNbの元素は、焼入れ性の向上および水素の置換に有効であるほか、上記した所定量とすることにより合金炭化物を形成して結晶粒の微細化に有効な元素である。0.002質量%未満では、球状合金炭化物として析出することができない恐れがあり、1.50質量%を超えると金属間化合物として偏析する恐れがある。
本発明のリベットにおいて、延性および靭性をさらに向上させるためには、Mo、W、V、Ti、およびNbを元素ごとに適切な量として含むのが好ましい。具体的には、リベットにおいて、前記Mo:0.20〜1.50質量%、前記W:0.20〜1.50質量%、前記V:0.002〜1.50質量%、前記Ti:0.002〜1.50質量%、および前記Nb:0.005〜1.50質量%の一種または二種以上を合計で0.002〜1.50質量%とするのが好ましい。
このとき、延性および靭性をさらに向上させるためには、Mo、W、V、Ti、およびNbのより好ましい含有量は、前記Mo:0.50〜1.20質量%、前記W:0.50〜1.20質量%、前記V:0.02〜0.10質量%、前記Ti:0.02〜0.10質量%、および前記Nb:0.02〜0.10質量%の一種または二種以上を合計で0.002〜1.50質量%とするのが好ましい。
Mo、W、V、Ti、およびNbの一種または二種以上を合計で0.002〜1.50質量%とするのが好ましいが、延性および靭性をさらに向上させるためには、0.02〜1.20質量%とするのがより好ましい。
また、Mo、W、V、Ti、およびNbの一種または二種以上を上記質量比で含有するのが好ましいが、なかでも、高い延性および靭性の向上効果が得られることから、Moおよび/またはWを合計0.20〜1.50質量%、特に0.50〜1.20質量%として少なくとも含有するのが好ましい。
なお、本発明において鋼素材の成分組成(化学組成)は、鋼素材を発光分析などをすることにより測定することができる。
また、鋼素材は、上記組成範囲を有している以外は特に制限はないが、鍛造する際の加工容易性から、所定の直径を有する鋼線材として用いるのが好ましい。
(温間鍛造)
まず、上記組成を有する鋼素材を、Ac1点以下で温間鍛造することによりオーステナイト組織を形成させるとともに、所望の形状を有するリベット前駆体とする。従来では焼鈍し工程および冷間鍛造工程は別々に行われていたが、本発明では一工程でこれらを行うことが可能となる。
前記鋼素材として鋼線材を用いた場合には、温間鍛造を施す前に前記鋼線材を所定の長さに切断してもよい。
前記鋼素材を温間鍛造する際の温度は、Ac1点以下であれば特に制限されないが、好ましくは600℃以上Ac1変態点以下とするのがよい。温間鍛造の温度が、600℃未満では十分な変形抵抗の低下が図れない恐れがある。また、Ac1変態点を超えると変態する恐れがある。
また、600℃以上Ac1変態点以下となった状態を10〜60分程度維持するのが好ましい。
温間鍛造することにより所望の形状を有するリベット前駆体とするには、従来公知の方法を適宜参照して用いればよく、特に制限されない。
本発明の方法では、Ac1点以下で温間鍛造することにより得られたリベット前駆体は、微細フェライト、球状炭化物などの金属組織を有している。前記リベット前駆体においては、旧オーステナイトの平均結晶粒径を、好ましくは1〜30μmとするのがよい。前記リベット前駆体において、旧オーステナイトの平均結晶粒径を1〜30μmとすることにより、得られるリベットにおいてマルテンサイト組織および/またはベイナイト組織からなる基地組織を微細化することができ、延性および靭性の向上が図れる。
なお、リベット前駆体における旧オーステナイトの平均結晶粒径の測定は、リベット前駆体を走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡等を用いて1000倍以上、好ましくは5000倍以上の倍率で5視野以上の観察を行い、画像解析装置により測定し、旧オーステナイトの平均結晶粒径を求める。詳しくは、リベット前駆体を電子顕微鏡により、1000倍(1視野の面積:100μm×100μm)から10000倍(1視野の面積:50μm×50μm)で、各位置毎に視野観察し、画像解析装置により平均結晶粒径を測定することにより行う。このとき、結晶が伸長組織であった場合には、短軸の長さを結晶の粒径とする。
また、本発明の方法では、温間鍛造を行った後、得られたリベット前駆体にさらに冷間鍛造を行ってもよい。
(焼入れ)
次に、得られたリベット前駆体を焼入れする。前記焼入れする温度は、特に制限されないが、好ましくは850〜950℃とするのがよい。焼入れする時間は、30〜60分程度でよい。また、焼入れする際の雰囲気は、特に制限されないが、0.1atm未満の窒素減圧雰囲気下で行われるのがよい。
また、前記焼入れ温度で所定時間保持した後は、30℃/s以上の冷却速度で200℃以下まで急冷するのが好ましい。
(焼戻し)
次に、焼入れしたリベット前駆体を焼戻しすることにより、マルテンサイト等の組織中に固溶しきれなくなった成分が、旧オーステナイト粒界にそって球状セメンタイト、さらにはMoなどの金属元素が球状合金炭化物として析出し、かつ、これらがピン止め効果を発揮することにより微細化されたマルテンサイト組織および/またはベイナイト組織が得られる。
前記焼戻しする温度は、特に制限されないが、好ましくは400℃以上、より好ましくは500〜650℃とするのがよい。焼戻し温度を450℃以上とすることにより、球状セメンタイトおよび球状合金炭化物を十分に高分散析出させることができる。
前記焼戻しする時間は、30〜60分程度でよい。また、前記焼戻しは、特に制限されないが、1atmの大気圧下で行われるのが好ましい。
また、前記焼戻し温度で所定時間保持した後は、30℃/s以上の冷却速度で200℃以下まで徐冷するのが好ましい。
上記の通りにして得られた本発明によるリベットは、外装または錆防止のためのメッキ処理加工、リベット表面に酸化膜を形成するための不動態化処理など、従来一般的に行われている表面処理をさらに行ってもよい。
上記した本発明の方法により得られるリベットは、上記した成分組成範囲を有することにより特定の金属組織が形成されている。すなわち、本発明のリベットは、上述した組成を有することにより、旧オーステナイト粒界にそって球状セメンタイトが析出したマルテンサイト組織および/またはベイナイト組織からなる基地組織となり、かつ、前記基地組織表面に球状合金炭化物が析出した金属組織を有する。さらに、各組織や球状合金炭化物は微細化されており、優れた硬さを維持したまま、リベットの延性および靭性を向上させることができる。
本発明のリベットにおいて、基地組織は、マルテンサイト組織および/またはベイナイト組織を含有する。このとき、基地組織は、マルテンサイト組織のみまたはベイナイト組織のみからなってもよく、マルテンサイト組織およびベイナイト組織の混合組織からなってもよい。
本発明のリベットにおいて、セメンタイトおよび合金炭化物の微細分散によりマルテンサイト組織および/またはベイナイト組織の粗大化が抑制されて微細となる。具体的には、未固溶炭化物のピーニング効果によって旧オーステナイト粒の平均結晶粒径を、30μm以下、好ましくは1〜30μm、さらに好ましくは1〜10μm、特に1〜5μmとすることが可能となる。このように前記マルテンサイト組織および/または前記ベイナイト組織の旧オーステナイトの平均粒径が微細となることで、得られるリベットが硬くても優れた靭性および延性が得られる。
さらに、本発明のリベットでは、炭化物の平均粒子径を、1μm以下、さらに0.1μm以下、特に0.01〜0.05μmとすることができる。炭化物の平均粒子径が1μm以下であれば優れた靭性及び延性を発揮することができる。
なお、本発明において、炭化物、セメンタイトの各平均結晶粒径の測定は、電子顕微鏡により、1000倍(1視野の面積:100μm×100μm)から10000倍(1視野の面積:50μm×50μm)で、各位置ごとに1視野観察し、画像解析装置により平均結晶粒径を測定することにより行う。
本発明のリベットでは、前記基地組織表面に前記球状合金炭化物が分散して析出している。前記球状合金炭化物は、優れたピン止め効果が得られることから、Mo、W、V、Ti、およびNbよりなる群から選択される少なくとも一種の金属の炭化物であるのが好ましい。特に優れたピン止め効果が得られることから、前記球状合金炭化物は、Moおよび/またはWの炭化物であるのが好ましい。
前記合金炭化物の平均粒子径は、1μm以下、好ましくは0.01〜0.10μm、より好ましくは0.01〜0.03μmである。これにより、高いピン止め効果が得られる。
また、前記合金炭化物は、高いピン止め効果が得られるためには基地組織表面に均一に高分散されているのがよく、リベット表面の50μmあたり、好ましくは1000〜2000個含んでいるのが好ましい。
なお、本発明において、前記合金炭化物の平均粒子径の測定は、電子顕微鏡により、1000倍(1視野の面積:100μm×100μm)から2000倍(1視野の面積:50μ×50μ)で、各位置毎に1視野観察し、画像解析装置により平均粒子径を測定することにより行う。このとき、光学顕微鏡により測定することにより前記合金炭化物の1mmあたりの個数を測定できる。
本発明の方法により得られるリベットは、上記した組成成分を有することにより優れた硬さを有する。具体的には、内部硬さが、好ましくはHv500〜Hv650、より好ましくはHv600〜Hv650である。
また、本発明のリベットは、上記成分組成およびこれにより得られる金属組織によって、塑性変形などによる降伏応力を超える負荷がかかったとしても破壊にいたる恐れは極めて小さい。すなわち、本発明のリベットは、高い降伏比を有する。具体的には、本発明のリベットは、降伏比が、好ましくは0.8〜1.0、より好ましくは0.9〜1.0である。
なお、前記降伏比とは、引張強さに対する降伏点(耐力)の比率である。前記引張強さは、JIS Z 2241(1998)で定まる方法により測定することができ、前記降伏点は、JIS Z 2241(1998)で定まる方法により測定できる。また、リベットの内部硬さはJIS Z 2244(2003)で定まる方法により測定できる。
本発明によるリベットは、上述した成分組成を有することにより、優れた硬さを有する。従って、従来のリベットでは打ち込みが困難であった590MPa、さらに1700MPa以上、特に2000MPaの内部硬さを有する被締結部材へ打ち込むことができるだけでなく、高い締結力を発揮することができる。
従って、本発明によるリベットは、安全性などの観点から高強度の鋼板が用いられる自動車、船舶、海洋構造物、建設機械、建築構造物、橋梁、タンク、パイプライン、ペンストックなどにおける締結部材として好ましく用いられる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されることはない。
(実施例1)
表1に示す成分組成を有する鋼線材(5.4mmΦ、硬さHv246)を600℃に所定の金型を用いて図2に示す形状に温間鍛造した後に水冷することによりリベット前駆体を得た。次に、前記リベット前駆体を920℃にして20分間保持した後に水冷することにより焼入れを行った後、570℃で60分保持することで焼戻しを行った。
(実施例2〜6、および、比較例1〜2)
表1に示す成分組成および表2に示す硬さを有する鋼線材を用いた以外は、実施例1と同様にしてリベットを作製した。
Figure 0004633661
(評価方法)
上記各実施例および比較例でそれぞれ作製した脚部深さが異なるリベット(脚部深さ5mm、6mm及び7mmの3種)の外観を観察して、目視できる程度の亀裂が発生しなかったものを「○」とし、目視できる程度の亀裂が発生したものを×として、それぞれ表2の脚部深さの欄に結果を示した。
次に、上記各実施例および比較例で作製したリベット(いずれも脚部深さが5mmのもの)の打ち込み性を下記方法に準じて評価した。
被締結部材(強度980MPa、厚さ1.6mm)二枚を用い、これらを上側被締結部材および下側被締結部材として重ねて、リベットを打ち込んだ。このとき、打ち込めたものを○とし、打ち込めなかったものを×として表2に示す。
また、被締結部材(強度980MPa、厚さ1.6mm)にリベットを打ち込んだ後の亀裂発生の有無、および、遅れ破壊の有無を評価し、結果を表2に示す。
亀裂発生の有無は、目視できる程度の亀裂が発生しなかったものを「○」とし、目視できる程度の亀裂が発生したものを×として表2に示した。
遅れ破壊の有無は、希釈した塩酸水溶液中で、リベットを打ち込んだ締結部材を負荷を掛けたまま放置し、亀裂発生の有無を確認することにより行った。このとき、亀裂発生の有無は、目視できる程度の亀裂が発生しなかったものを「○」とし、目視できる程度の亀裂が発生したものを×として表2に示した。
Figure 0004633661
なお、比較例1、2では、打ち込めたリベットがなかったので、打ち込み後の亀裂及び遅れ破壊の評価は行わなかった。
本発明のリベットが有する金属組織の模式図である。 実施例において作製したリベットの切断模式図である。 従来一般的なリベットの断面模式図を示す。
符号の説明
100 リベットの金属組織、
101 微細なマルテンサイト組織ないしベイナイト組織を基地組織とする旧オーステナイト粒、
102 炭化物粒子、
300 セルフピアスリベット、
301 リベット頭部、
302 リベット脚部。

Claims (5)

  1. 鋼素材を、Ac1点以下で温間鍛造することによりセルフピアスリベット前駆体とし、前記セルフピアスリベット前駆体を焼入れおよび焼戻しする工程を有するセルフピアスリベットの製造方法において、
    前記鋼素材が、
    C:0.30〜0.70質量%、
    Si:0.01〜2.50質量%、
    Mn:0.10〜1.00質量%、並びに
    Cr:0.01〜3.00質量%および/またはNi:0.10〜3.00質量%
    を基本成分として含有し、さらに、
    Mo、W、V、Ti、およびNbからなる群から選択される一種または二種以上を合計で0.002〜1.50質量%を含有し、
    残部はFe及び不純物からなり、
    前記不純物中のPは0.01質量%以下、Sは0.01質量%以下であるセルフピアスリベットの製造方法。
  2. 前記鋼素材が、
    C:0.30〜0.70質量%、
    Si:0.01〜2.50質量%、
    Mn:0.10〜1.00質量%、並びに
    Cr:0.01〜3.00質量%および/またはNi:0.10〜3.00質量%
    を基本成分として含有し、さらに、
    Mo:0.20〜1.50質量%、
    W:0.20〜1.50質量%、
    V:0.002〜1.50質量%、
    Ti:0.002〜1.50質量%、および
    Nb:0.005〜1.50質量%の一種または二種以上を合計で0.002〜1.50質量%を含有し、
    残部はFe及び不純物からなり、
    前記不純物中のPは0.01質量%以下、Sは0.01質量%以下である請求項1記載のセルフピアスリベットの製造方法。
  3. 前記セルフピアスリベット前駆体は、旧オーステナイトの平均粒径が1〜30μmである請求項3または4記載のセルフピアスリベットの製造方法。
  4. 前記温間鍛造は、600℃以上Ac1変態点以下で行われる請求項1〜3のいずれかに記載のセルフピアスリベットの製造方法。
  5. 請求項1〜4に記載の製造方法により得られるセルフピアスリベット。
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