JP4629784B2 - 臨床診断支援システム - Google Patents

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Description

本発明は、医療情報や医学書情報としての疾患情報、症候情報、臨床検査情報を、臨床医師に対して確定診断に必要かつ十分な情報量として体系的に提供する確定診断用の臨床診断支援システムに関する。
1)診療業務
医療現場における診療業務は、臨床診断業務と治療業務からなる。臨床診断業務では、医師は、疾患を特定するために問診・医療面接、身体診察、臨床検査等を利用して、最終的な疾患を確定診断する。また、治療業務では、医師は、確定診断により特定した疾患に対応して最適な治療方針を設定し、設定した治療方針に沿った治療行為を開始する。したがって、臨床診断で的確な診断を行うことが最適な治療方針選択のために必須である。
2)臨床診断業務
確定診断で的確な診断を行うためには、一般に、患者の症候(主訴、所見)から予想される病名(候補疾患名)を列挙し、候補疾患に対応する生化学検査や画像検査等の複数の臨床検査を組み立てて実行し、それらの検査結果を解読して候補疾患群の中から疾患を特定することが必要となる。即ち、一般的な臨床診断は、(1)病名列挙、(2)検査組立、及び、(3)検査結果の解読という3つの手順からなる。特に、検査結果の解読では、検査結果の変動内容(以下、単に「検査変動」ということがある。)を候補疾患の各々が発病時に呈する固有の検査変動と照合して、検査陰性となった疾患は除外すると共に、検査陽性となった疾患の中から特定の疾患を選出する。したがって、臨床診断では、病名列挙で列挙した候補疾患の全てについて、確定診断に必要となる検査を漏らすことなく把握して検査を組立て、実施した各検査の検査変動を各候補疾患の固有の検査変動と漏れなく照合することが的確な診断につながり、ひいては、最適な治療法選択につながる。
ここで、臨床医師は、臨床診断において、自己が有する医学知識や経験に基づき上記3つの手順を実行するが、一人の医師が多岐にわたる医療分野ごとの知識を全て具有することは困難であるため、必要に応じて、医学書の該当事項を参照し、また、医学書だけで判明しない事項については、医学書の記載等を手がかりに医学専門書等のその他の医学情報源を参照することが必要になる。しかし、医師が、臨床診断業務中の短時間で、医学書から医学専門書等にわたって末広がりとなる情報を的確に取得することは事実上困難である。一方、このような診断業務を自動的に行う自動診断システムが各種提案されているが、いずれも、いまだ実用的なレベルには達していない。
3)従来の臨床診断支援システム
上記診断業務を支援するためのシステムとして、例えば、以下のものが提案されている。
特開2001−331581号公報 特開2000−123096号公報
特許文献1には、専門外の分野であっても高度な診断・治療を実現することができる自動診断システムが開示されている。この自動診断システムは、コンピュータ(クライアントサーバーシステム)を用いて患者の疾患を診断するものであり、患者に発現する複数の症候と、この症候に基づいて可能性があると考えられる複数の疾患とを対応づけて記憶した症候−疾患データベースと、症候−疾患データベースの疾患に対応づけられ、疾患に関連する臨床検査項目が格納された臨床検査データベースとを格納したデータ記憶部を有し、ユーザーから提供された症候を症候−疾患データベースから読み出し、当該読み出された症候に対応づけられた疾患に基づいて、当該疾患に関連する臨床検査項目を読み出し、診断手段による診断結果を表示する。
特許文献2には、「一連の医療行為を構成する検診、検査、診断及び治療を最新の医療技術の成果を取り入れたプロセスに従って誤りなく行われるよう補助支援」する医療診断システムの提供、及び、「データ入力等の操作が簡単且つ容易で、医療現場においてリアルタイムに利用可能なキ−ワード解析に基づく検診支援システム、診断支援システム、診療支援システム」の提供を課題とし(同文献の段落0013)、「病名と症候との関連データを記憶する第1の記憶手段と、疾患の部位、性別、年齢、病歴等の情報を記憶する第2の記憶手段と、前記病名と対応して病名に関して検査すべき項目、確認すべき所見等の関連データを記憶する第3の記憶手段と、病名と該病名に対する治療方法との関連データを記憶する第4の記憶手段と、1若しくは2以上の症候及び当該症候に関する種々のデータをキーワード入力するための入力手段と、前記入力手段によって入力された入力データに基づいて、前記第1の記憶手段と前記第2の記憶手段にアクセスし、該当する1若しくは2以上の病名を検索すると共に、前記第3の記憶手段にアクセスして当該病気に対する治療方法を検索する検索手段と、前記検索手段によって検索された病名を可能性の高い順に列記し、必要に応じて、検索された各病気に関して検査すべき項目、確認すべき所見等の関連情報を表示すると共に、当該病気に対する前記治療方法を表示する表示手段と、を具備する」システムが記載されている(同段落0014)。
また、引用文献2には、発明の実施の形態として、「1若しくは複数の症候データが入力手段によって入力されると、症候対応病名のリレーショナル・データベースの共通集合演算をとることにより、それら複数の症候を顕わす病名を検索出力する」点と(同段落0027)、「病名と症候との関連データのみならず、疾患の部位、所見される事項、性別、年齢、病歴等の個別的入力情報と、病名と対応して病名に関して検査すべき項目、確認すべき所見等の関連データを関係データベースとしてシステム内に予め構築しておき、複数の症候に基づいて検索された病名を、前記個別的入力情報等に基づいて総合的に判断して、個々の患者の症候をベースにして考えられる病名を可能性の高い順に表示出力する」点と(同段落0031)、「担当の医師が可能性のある病名の中から特定の疾患を最終的に診断するために行わなければならない最低限必要な検査項目、最終的に確認すべき検査試験成績その他の所見等の関連データを、掲げられた病名毎に列記するように構成し、これにより、診断の誤りを防止するとともに、迅速で最新の医療技術等の成果を反映させた検診及び診断行為の側面的支援を実現」する点と(同段落0032)が記載されている。
4)従来の臨床診断支援システムの問題点(発症条件及び随伴固有変動の非考慮)
しかし、後述するように、いかなる検査法(いかなる検査変動)を使用しても全疾患の1割前後で確定診断することができないのが現状である。したがって、上記特許文献1及び2を含め、従来の臨床診断支援システムは、既存の全検査項目を網羅する構成であったとしても、やはり、確定診断に適用することは困難であり、特に、自動診断システムにより確定診断を行うことはできない。また、検査変動が固定固有変動と随伴固有変動とに区分可能で、かつ、それらが異なる観点から臨床診断に利用可能である点(固定固有変動は疾患選出・同定に、随伴固有変動は疾患選出・同定に加えて発症条件同定に使用可能である点)は本発明者の知見によるものであり、従来は特に認識されることなく検査が行われていた。特に、臨床検査は、疾患を同定するために固定固有変動型検査に相当する検査項目を利用して行われており、随伴固有変動型検査については、その疾患について固有併発症が発症した場合等、特定の発症条件を確認してから別個の検査として実施されている。したがって、特に随伴固有変動は、現在の医療現場で臨床診断に活用されていないのが現状であり、全固有変動のうち随伴固有変動に相当する8割前後の固有変動が臨床診断で有効に活用されていないことになる。当然、上記特許文献1及び2を含め、従来の臨床診断支援システムも、診断対象の疾患自体については考察しているものの、その発症条件や随伴固有変動については全く考慮しておらず、やはり、全固有変動のうち随伴固有変動に相当する8割前後の固有変動を利用していないことになる。
この点を詳細に説明すると、上記特許文献1及び2を含め、従来の臨床診断支援システムでは、各疾患に1以上の検査項目を対応付け、検査項目の検査結果(本発明の固有変動に対応)に応じて当該疾患の存在を判定するものの、各疾患に対応付けた検査項目の固有変動は、上記のような疾患ごとの発症条件までも考慮したものではない。即ち、特許文献1及び2を含め発明者が知っている過去の文献のいずれにも、臨床検査を特異的検査、非特異的検査及び中間的検査に区別して検査組立すると共に、臨床検査の検査変動を固定固有変動と随伴固有変動とに二分して解読作業を可能にする点については全く開示も示唆もしていない。特許文献1及び2を含めた従来の臨床診断システムが使用する検査項目の検査変動を本発明の固有変動に対応させて解釈した場合でも、従来の臨床診断支援システムでは、本発明者が知見した固有変動中、上記固定固有変動に相当する検査結果のみを疾患に関連付けて自動診断等を行っている可能性が高い。例えば、特許文献2の技術では、複数の症候の各々に重複して関連付けられた病名を抽出し、当該病名を個別的入力情報(疾患部位、所見、性別、年齢、病歴等)に基づき総合的に判断して可能性の高い順に表示出力し、必要に応じて、表示された病名の中から特定の疾患を最終的に診断するために行わなければならない最低限必要な検査項目や最終的に確認すべき検査試験成績その他の所見等の関連データを、表示された病名ごとに列記するシステムを開示しているものの、その開示内容を詳細に見ても、各疾患に関連付けた検査項目の検査結果は、あくまで上記固定固有変動に相当する検査結果に過ぎず、疾患についての発症条件までも考慮した検査結果(上記随伴固有変動に相当するもの)についての示唆は全くない。したがって、特許文献2の技術は、検診(健康診断)のような簡易的な診断に適用する場合はともかく、確定診断で最終的に一つの原因疾患を特定する必要がある臨床診断に適用できる構成、即ち、臨床診断に必要な十分かつ詳細な医療情報を効率的かつ体系的に提供するための構成については、当業者(医療業界及びIT業界の技術者)が発明を特定できる程度に開示または示唆しておらず、実際の臨床診断に適用できるものではない。
そこで、本発明は、特に急激進行疾患や重篤疾患の見逃し防止等のため、臨床診断の確定診断に必要となる全ての症候、全ての疾患、全ての検査項目に関する医療情報を網羅し、臨床診断で症候に応じた候補疾患の情報を網羅的に提供できると共に、候補疾患から原因疾患への絞込んで確定診断を行うために必要となる検査項目の情報を網羅的に提供することできる一方で、検査項目の固有変動情報を候補疾患と関連付けて複数項目比較検討が可能な態様で体系的に提供することにより、専門医以外の医師であっても実際の臨床診断で要求される短時間での検査組立及び検査結果の解読作業を可能にし、実用的な確定診断用の臨床診断支援システムを提供することを課題とする。
請求項1に係る臨床診断支援システムは、データベースシステムとしてコンピュータ装置の記憶装置に格納され、前記コンピュータ装置のハードウエアを前記機能実現手段として機能させることで所定の機能を実現する臨床診断支援システムであって、前記機能実現手段は、固有変動格納手段及び検査配列表示手段を備える。前記固有変動格納手段は、各疾患に対して、その疾患が発病したときには必ず同一の検査結果となることを利用してその疾患自体の発病を確認するために使用可能な検査項目である固定固有変動型検査の検査項目名と、その疾患が発病したときの当該固定固有変動型検査の検査結果の変動内容を示す表現である固定固有変動とを当該疾患に関連付けてコンピュータ装置の第1の記憶領域に格納すると共に、その疾患が発病したときに必ずしも同一の検査結果とはならない一方でその疾患に固有の発症条件が発症したときには必ず同一の検査結果となることを利用してその疾患に固有の発症条件を確認するために使用可能な検査項目である随伴固有変動型検査の検査項目名と、その疾患に固有の発症条件が発症したときの当該随伴固有変動型検査の検査結果の変動内容を示す表現である随伴固有変動とを当該疾患に関連付けて前記第1の記憶領域に格納する。また、前記固有変動格納手段は、前記固定固有変動及び前記随伴固有変動として、いずれも、対応する検査項目の検査結果の変動内容を最小単位となるよう細分化して表現したものを前記第1の記憶領域に格納すると共に、前記固定固有変動に対応する疾患の疾患名を当該固定固有変動に関連付けて前記第1の記憶領域に格納し、かつ、前記随伴固有変動に対応する疾患の疾患名と対応する発症条件の発症条件名とを結合した結合疾患名を当該随伴固有変動に関連付けて前記第1の記憶領域に格納する。一方、前記検査配列表示手段は、各疾患について、前記第1の記憶領域から、その疾患に関連付けた全ての前記固定固有変動型検査の検査項目名とその固定固有変動、並びに、その疾患に関連付けた全ての前記随伴固有変動型検査の検査項目名とその随伴固有変動とを抽出し、各疾患について当該疾患に関連付けた全ての固定固有変動型検査の検査項目名及び全ての随伴固有変動型検査の検査項目名を、当該疾患と対応付けて検査配列表示部に順に列挙表示すると共に、各固定固有変動型検査の検査項目名にはその固定固有変動を対応付けて前記検査配列表示部に表示し、かつ、各随伴固有変動型検査の検査項目名にはその随伴固有変動を対応付けて前記検査配列表示部に表示すると共に、前記固定固有変動には、当該固定固有変動が関連付けられた疾患名のみを対応付けて表示し、かつ、前記随伴固有変動には、当該随伴固有変動が関連付けられた(疾患の疾患名に対して当該随伴固有変動が該当する疾患に固有の発症条件を結合して表す)結合疾患名を対応付けて表示する。検査配列表示手段は、更に、一の疾患について少なくとも2以上の前記固定固有変動を前記第1の記憶領域から抽出して前記検査配列表示部に列挙表示することで、当該一の疾患について前記2以上の固定固有変動を相互に比較検討して診断する複数項目比較検討を可能とする。
なお、本臨床診断支援システムは、病名(疾患名)、対応する検査項目及びその固有変動については、漏れのないよう、あらゆる病名、対応する検査項目及びその固有変動を網羅して格納する(即ち、全ての疾患についての全ての対応する検査項目とその全ての対応する固有変動とを格納する)が、特定分野に限定した病名及び対応する検査項目とその固有変動のみを格納し、特定分野用途とすることは可能である。また、各病名について診断時に使用される可能性のある全ての検査項目の項目名が当該病名に関連付けられて格納されるが、検査項目については、病名との関係で漏れをなくすよう、各病名について頻用でないものや特殊なものでも除外することなく格納する。
また、検査配列表示部は、実施例では、モニタ画面のユーザーインタフェース(GUI)上にグラフィック表示され、一の疾患に対して関連する項目名と動向とを対応表示する表形式の検査配列表として具体化されているが、表形式以外の形式として具体化することも可能である。
また、検査配列表示部における固定固有変動型検査の検査項目及び対応する固定固有変動の表示は、好ましくは、複数項目比較検討しやすい順にそれらが表示されるよう構成される。即ち、例えば、各疾患に関連付けた固定固有変動型検査には、それぞれ、複数項目比較検討業務において関連度の高い順番(複数項目比較検討しやすい順番)である表示順位を表す順位IDを関連付け、当該順位IDを参照して、検査配列表に、一の疾患について、固定固有変動型検査を上から表示順位の高い順番で表示することができる。
請求項2に係る臨床診断支援システムは、請求項1の構成において、更に、症候を前記コンピュータ装置の第2の記憶領域に格納する症候格納手段と、前記症候格納手段に格納した症候ごとに、その症候が発症したときに発病が疑われる疾患である候補疾患を当該症候に関連付けて前記コンピュータ装置の第3の記憶領域に格納する疾患群格納手段と、前記第2の記憶領域に格納した症候のうちの特定の症候を指定する症候指定手段と、前記症候指定手段により特定の症候が指定されたときに、当該指定された症候に関連付けた前記候補疾患を前記前記第3の記憶領域から抽出する候補疾患抽出手段と、前記症候指定手段により特定の症候が指定されたときに、前記候補疾患抽出手段が抽出した候補疾患の各々に関連付けた前記固定固有変動型検査項目の検査項目名及びその固定固有変動と、当該候補疾患の各々に関連付けた前記随伴固有変動型検査の検査項目名及びその随伴固有変動とを、それぞれ、前記第1の記憶領域から抽出する固有変動抽出手段とを備える。そして、前記検査配列表示手段は、前記固有変動抽出手段を含み、前記症候指定手段により特定の症候が指定されたとき、前記固有変動抽出手段は、前記第1の記憶領域から、前記候補疾患抽出手段が抽出した前記候補疾患の各々について、前記候補疾患の各々に関連付けた前記固定固有変動型検査項目の検査項目名及びその固定固有変動を少なくとも2以上抽出すると共に、前記候補疾患の各々に関連付けた前記随伴変動型検査項目の検査項目名及びその随伴固有変動を抽出し、前記検査配列表示手段は、前記検査配列表示部としての検査配列表の左側(実施の形態における検査項目欄)に、前記固有変動抽出手段が抽出した全ての前記検査項目名を上から下へと順に列挙表示すると共に、前記検査配列表の右側(実施の形態における検査動向欄)に、前記検査配列表に列挙表示した前記検査項目名の各々に対応して前記固定固有変動及び前記随伴固有変動を上から下へと列挙表示し、前記検査配列表示手段は、更に、前記検査配列表に列挙表示した前記固定固有変動に対して当該固定固有変動が該当する疾患の疾患名のみを対応付けて表示すると共に、前記検査配列表に列挙表示した前記随伴固有変動に対して当該随伴固有変動が該当する(当該疾患の疾患名に当該随伴固有変動の発症条件を結合して表す)前記結合疾患名を対応付けて表示する。
請求項3に係る臨床診断支援システムは、請求項1の構成において、更に、前記第1の記憶領域に格納した疾患ごとに、当該疾患と鑑別関係にある疾患であり、かつ、前記第1の記憶領域に格納した疾患でもある鑑別疾患を、当該疾患に関連付けて前記コンピュータ装置の第2の記憶領域に格納する鑑別疾患格納手段と、前記第1の記憶領域に格納した疾患のうちの特定の疾患を指定する疾患指定手段と、前記疾患指定手段により特定の疾患が指定されたときに、当該指定された疾患に関連付けた前記鑑別疾患を前記第2の記憶領域から抽出する鑑別疾患抽出手段と、前記疾患指定手段により特定の疾患が指定されたときに、当該指定された疾患に関連付けた前記固定固有変動型検査項目の検査項目名及びその固定固有変動と、当該指定された疾患に関連付けた前記随伴固有変動型検査の検査項目名及びその随伴固有変動とを、それぞれ、前記第1の記憶領域から抽出することに加え、前記鑑別疾患抽出手段が抽出した鑑別疾患の各々に関連付けた前記固定固有変動型検査項目の検査項目名及びその固定固有変動と、当該鑑別疾患の各々に関連付けた前記随伴固有変動型検査の検査項目名及びその随伴固有変動とを、それぞれ、前記第1の記憶領域から抽出する固有変動抽出手段とを備える。そして、前記検査配列表示手段は、前記固有変動抽出手段を含み、前記疾患指定手段により特定の疾患が指定されたとき、前記固有変動抽出手段は、前記第1の記憶領域から、前記指定された疾患について、当該疾患に関連付けた少なくとも2以上の前記固定固有変動型検査項目の検査項目名及びその固定固有変動を抽出すると共に、当該指定された疾患に関連付けた前記随伴変動型検査項目の検査項目名及びその随伴固有変動を抽出することに加え、前記鑑別疾患抽出手段が抽出した前記鑑別疾患の各々について、前記鑑別疾患の各々に関連付けた前記固定固有変動型検査項目の検査項目名及びその固定固有変動を(1以上)抽出し(このとき、好ましくは、前記鑑別疾患の各々に関連付けた前記随伴変動型検査項目の検査項目名及びその随伴固有変動は抽出しない)、前記検査配列表示手段は、前記検査配列表示部としての検査配列表の左側(実施の形態の検査項目欄)に、前記固有変動抽出手段が抽出した全ての前記検査項目名を集合化して(実施の形態では上から下へと)順に列挙表示すると共に、前記検査配列表の右側(実施の形態の検査動向欄)に、前記検査配列表に列挙表示した前記検査項目名の各々に対応して前記固定固有変動及び前記随伴固有変動を集合化して(実施の形態では上から下へと)列挙表示する一方、前記指定された疾患について抽出した前記固定固有変動(通常は、そのうちの代表的なもの、即ち、定型検査乃至初動検査に関する固定固有変動のうちの特に肯定用検査)を集合化して(好ましくは最上段に)列挙表示し、かつ、前記指定された疾患について抽出した前記随伴固有変動(好ましくは、上記同様、代表的なもの)を(好ましくは前記固定固有変動の次段に)集合化して列挙表示すると共に、前記鑑別疾患について抽出した前記固定固有変動(実施の形態の否定用検査)を(好ましくは前記指定された疾患について表示した随伴固有変動の次段に)集合化して表示する。前記検査配列表示手段は、更に、前記検査配列表に列挙表示した前記固定固有変動に対して当該固定固有変動が該当する疾患の疾患名のみを対応付けて表示すると共に、前記検査配列表に列挙表示した前記随伴固有変動に対して当該随伴固有変動が該当する(当該疾患の疾患名に当該随伴固有変動の発症条件を結合して表す)前記結合疾患名を対応付けて表示する。
請求項4に係る臨床診断支援システムは、請求項1の構成において、更に、前記第1の記憶領域に格納した疾患ごとに、前記固定固有変動型検査の検査項目名及びその固定固有変動、並びに、前記随伴固有変動型検査の検査項目名及びその随伴固有変動をそれぞれ関連付けてコンピュータ装置の第2の記憶領域に格納する臨床データ格納手段と、前記第2の記憶領域に格納した疾患のうちの特定の疾患を指定する疾患指定手段と、前記疾患指定手段により特定の疾患が指定されたときに、当該指定された疾患に関連付けた前記固定固有変動型検査項目の検査項目名及びその固定固有変動と、当該指定された疾患に関連付けた前記随伴固有変動型検査の検査項目名及びその随伴固有変動とを、それぞれ、前記第2の記憶領域から抽出する固有変動抽出手段とを備える。そして、前記臨床データ格納手段は、前記第1の記憶領域において疾患ごとに関連付けられた前記固定固有変動型検査の検査項目名を、その疾患自体の発病を確認するための肯定用検査の検査項目名として当該疾患に関連付けて前記第2の記憶領域に格納することに加え、前記第1の記憶領域においてその疾患の鑑別疾患となる疾患に関連付けられた前記固定固有変動型検査の検査項目名をも、当該鑑別疾患の発病を確認することで当該疾患自体の発病を否定するための否定用検査として当該疾患に関連付けて前記第2の記憶領域に格納する。前記臨床データ格納手段は、更に、前記第1の記憶領域において疾患ごとに関連付けられた前記固定固有変動型検査の固定固有変動であって前記肯定用検査となる検査の固定固有変動を、その疾患の疾患名及び当該肯定用検査の検査項目名にそれぞれ関連付けて前記第2の記憶領域に格納することに加え、前記第1の記憶領域においてその疾患の鑑別疾患となる疾患に関連付けられた前記固定固有変動型検査の固定固有変動であって前記否定用検査となる検査の固定固有変動をも、その疾患の疾患名及び当該否定用検査の検査項目名及び当該鑑別疾患の疾患名にそれぞれ関連付けて前記第2の記憶領域に格納する。前記疾患指定手段により特定の疾患が指定されたとき、前記固有変動抽出手段は、前記指定された疾患について、当該疾患に関連付けた少なくとも2以上の前記肯定用検査項目の検査項目名及びその固定固有変動を前記第2の記憶領域から抽出すると共に、当該指定された疾患に関連付けた前記随伴変動型検査項目の検査項目名及びその随伴固有変動を前記第2の記憶領域から抽出することに加え、当該疾患に関連付けた前記否定用検査項目(通常はこれらに加えて全身用検査項目)の検査項目名及びその固定固有変動を前記第2の記憶領域から抽出し、前記検査配列表示手段は、前記検査配列表示部としての検査配列表の左側(実施の形態の検査項目欄)に、前記固有変動抽出手段が抽出した全ての前記検査項目名を上から下へと順に列挙表示すると共に、前記検査配列表の右側(実施の形態の検査動向欄)に、前記検査配列表に列挙表示した前記検査項目名の各々に対応して前記固定固有変動及び前記随伴固有変動を上から下へと列挙表示する一方、前記指定された疾患について抽出した前記肯定用検査の固定固有変動(通常は、そのうちの代表的なもの、即ち、定型検査乃至初動検査に関する固定固有変動のうちの特に肯定用検査)を(好ましくは最上段に)集合化して表示し、かつ、前記指定された疾患について抽出した前記随伴固有変動(好ましくは、上記同様、代表的なもの)を(好ましくは前記最上段の固定固有変動の次段に)集合化して表示すると共に、前記指定した疾患について抽出した前記否定用検査を(好ましくは前記指定された疾患について表示した随伴固有変動の次段に)集合化して表示する。前記検査配列表表示手段は、更に、当該検査配列表において前記肯定用検査の検査項目名には当該肯定用検査であることを示す肯定検査用種別記号を、前記否定用検査には当該否定用検査であることを示す否定検査用種別記号をそれぞれ付して表示する。
好ましくは、臨床データ格納手段は、格納する検査として、指定疾患に関連付けた当該指定疾患自体の発病を確認するための固定固有変動型検査からなる肯定用検査、指定疾患の鑑別疾患に関連付けた当該鑑別疾患自体の固定固有変動型検査からなる否定用検査に加え、当該肯定用検査及び否定用検査項目以外の検査項目を全身用検査項目として格納している。即ち、全身用検査の検査項目名を対応する疾患に関連付けて格納し、また、その固有変動を当該検査項目及び当該疾患にそれぞれ関連付けて格納している。また、前記臨床データ格納手段は、更に、前記固有変動表において疾患ごとに関連付けられた前記固定固有変動型検査の固定固有変動であって前記肯定用検査となる検査の固定固有変動に関連付けた当該疾患の疾患名を、その疾患の疾患名及び当該肯定用検査の検査項目名にそれぞれ関連付けて格納することに加え、前記固有変動表においてその疾患の鑑別疾患となる疾患に関連付けられた前記固定固有変動型検査の固定固有変動であって前記否定用検査となる検査の固定固有変動をも、その疾患の疾患名及び当該否定用検査の検査項目名にそれぞれ関連付けて格納している。そして、検査配列表示手段が、臨床データ格納手段から、指定疾患に関連付けた検査項目及び固有変動を抽出し、そのまま検査配列表に表示する。
請求項5に係る臨床診断支援システムは、請求項4の構成において、前記固有変動抽出手段は、指定した疾患が除外診断法により診断されるものである場合は、当該疾患の鑑別疾患の各々に関連付けた前記否定用検査項目とその固定固有変動(通常は、これに加えて全身用検査項目とその固有変動)とを前記第2の記憶領域から抽出し、前記検査配列表表示手段は、前記固有変動抽出手段が抽出した前記否定用検査項目を前記検査配列表に列挙して表示する。即ち、この場合、好ましくは、前記固有変動抽出手段は、指定した疾患が除外診断法により診断されるものである場合は、当該疾患の鑑別疾患の各々に関連付けた前記否定用検査項目及び全身用検査項目とそれらの各々の固定固有変動のみを抽出し、前記検査配列表表示手段は、前記固有変動抽出手段が抽出した検査項目のみを前記検査配列表に列挙して表示する。即ち、疾患について肯定用検査項目がない場合は、除外診断法によりその疾患を診断するが、このとき、前記肯定用検査項目以外の検査項目である否定用検査項目及び/または全身用検査項目を使用する。なお、このときの検査項目としては、否定用検査項目としての生化学検査を多用してできるだけ全疾患の否定を網羅できるようにすることが好ましいが、生化学検査だけで全疾患の否定を網羅することは困難であるため、不足分については全身用検査で補うようにする。ここで、ユーザーは、否定用検査項目及び/または全身用検査項目の全てが陰性となり、当該否定用検査項目及び/または全身用検査項目が陽性となった場合に診断される疾患(候補疾患の鑑別疾患)を全て否定することで、残った唯一の疾患の存在を推定する(除外診断法)。
請求項6に係る臨床診断支援システムでは、請求項4または5の構成において、更に、症候を前記コンピュータ装置の第3の記憶領域に格納する症候格納手段と、前記症候格納手段に格納した症候ごとに、その症候が発症したときに発病が疑われる疾患である候補疾患を当該症候に関連付けて前記コンピュータ装置の第4の記憶領域に格納する疾患群格納手段と、前記第3の記憶領域に格納した症候のうちの特定の症候を指定する症候指定手段と、前記症候指定手段により特定の症候が指定されたときに、当該指定された症候に関連付けた前記候補疾患を前記第4の記憶領域から抽出する候補疾患抽出手段とを備える。そして、前記臨床データ格納手段は、更に、前記検査項目として、現存する全ての検査項目の項目名と当該検査項目を一意に識別する項目IDとを関連付けて前記第2の記憶領域に格納すると共に、前記検査項目のうち、生化学検査からなる(特定の生化学検査を主要構成検査とする)汎用検査項目を特定の前記項目IDと関連付けて前記第2の記憶領域に格納する一方、前記汎用検査項目の特定の項目IDを当該汎用検査項目により検出可能な特定の疾患の疾患名と関連付けて前記第2の記憶領域に格納する。更に、前記症候指定手段により特定の症候を指定することにより、当該指定された症候と関連付けた全ての疾患を前記第4の記憶領域から抽出した後、当該抽出した疾患のうち、前記汎用検査項目の特定の項目IDと関連付けられた前記特定の疾患以外の疾患のみを抽出して当該疾患を前記検査配列表に列挙表示する見逃疾患抽出表示手段が設けられる。即ち、前記臨床データ格納手段は、更に、現存する全ての検査項目の項目名と当該検査項目を一意に識別する項目IDとを関連付けて格納すると共に、前記検査項目の一部を構成する特定の生化学検査を中心とする汎用検査項目を特定の前記項目IDと関連付けて格納する一方、前記汎用検査項目の特定の項目IDを当該汎用検査項目により検出可能な特定の疾患と関連付けて格納する。更に、見逃疾患抽出表示手段は、特定の症候を指定することにより、当該症候と関連付けた全ての疾患を抽出すると共に、当該抽出した疾患のうち前記汎用検査項目の特定の項目IDと関連付けられた疾患以外の疾患を抽出して列挙表示する。なお、汎用検査項目とは、特有疾患だけで陽性化する(異常値となる)特異的検査以外の検査であって、主に、安価で頻用される生化学検査からなる全身状態把握用の検査のことをいう。そして、臨床診断支援システムは、症候を指定することにより、見逃疾患抽出手段により、当該症候と関連付けた全ての候補疾患(当該症候が発生したときに存在が推定される全ての疾患)を抽出すると共に、当該抽出した疾患のうち前記汎用検査項目と関連付けられた疾患以外の疾患を抽出して列挙して出力する。
ここで、検査配列表示部としての検査配列表では、疾患と共に発症条件を表現する結合疾患名を使用して、疾患ごと及びその発症条件ごとの検査変動を表現する検査動向が、疾患ごとの各検査項目に関連付けて表示される。このとき、好ましくは、発症条件に関する詳細情報を提供して利用者の理解を補完するために、疾患概要表示手段が、検査配列表に表示する疾患の固有併発症や当該疾患に固有の罹患臓器の種類や発症時点から末期までの経緯等の発症条件の具体的記載(医学書や専門書に記載された程度の記載)を、検査配列表の表示のために指定した症候(症候検査)や疾患(一般検査)ごとに、その症候IDや疾患IDを参照して図示しない疾患テーブル(疾患ごと及び症候ごとに、その疾患概要説明文を関連付けて格納するテーブル)から抽出し、検査配列表の近傍(上方位置等)に疾患概要として表示する。
なお、本発明は、上記各格納手段として、病名マスタファイル、臨床マスタファイル、疾患群マスタファイル等のマスタファイルを備え、これらは、後述する実施の形態の(リレーショナルデータベースにおける)病名マスタテーブル、臨床マスタテーブル、疾患群マスタテーブ等に対応するものではあるが、リレーショナルデータベースに限定することなく、階層データベース、ネットワークデータベース等の他の形式のデータベースに具体化することも無論可能である。
請求項1に係る臨床診断支援システムは、疾患自体の確認用としては従来は使用されていない(疾患に関連した合併症や罹患臓器の確認等に使用されている)随伴固有変動型検査を、その検査変動である随伴固有変動と共に疾患に関連付けて抽出・表示することができる。その結果、固定固有変動型検査及び随伴固有変動型検査の固定固有変動により疾患名を確定診断することができることに加え、随伴固有変動型検査の随伴固有変動を確認することにより当該疾患の発症条件を確認することができ、確認した発症条件に基づいて当該疾患についての有効な治療法を選択することができる。特に、上記1−3)の構成により、検査項目・疾患名・発症条件の3要素からなる三次元構造のデータを、疾患名及び発症条件の2要素を一次元化することで二次元構造(表形式)のデータとして固有変動表に格納し、かつ、検査配列表に表示することができる。また、検査項目ごとに、各疾患の固定固有変動のみならず随伴固有変動まで関連付けて格納し、指定された症候に属する候補疾患群の全ての疾患についてそれらの固定固有変動及び随伴固有変動を候補疾患に関連付けて列挙表示するため、特に急激進行疾患や重篤疾患の見逃し防止等のため、臨床診断の確定診断に必要となる全ての症候、全ての疾患、全ての検査項目に関する医療情報を詳細な単位で網羅し、臨床診断で症候に応じた候補疾患の情報を詳細な単位で網羅的に提供できる。また、候補疾患から原因疾患へ絞込んで確定診断を行うために必要となる検査項目の情報を網羅的に提供することできる一方で、検査項目の固有変動情報を候補疾患と関連付けて複数項目比較検討が可能な態様で体系的に提供することができ、専門医以外の医師であっても実際の臨床診断で要求される短時間での検査組立及び検査結果の解読作業を可能にし、実用的な確定診断用の臨床診断支援システムとなる。即ち、厳格かつ緻密な思考判断過程を要する臨床診断の手順において、患者の生命にかかわる急激進行疾患や重篤疾患の可能性が考えられる場合等においてその見逃しを防止するために、一般医でも、各症候について考えうる全ての候補疾患を可能性の低いものも含めて漏らすことなく全て想定することができ、かつ、それら全ての候補疾患の各々の当否を判断するために使用可能な検査項目を使用頻度の低いものも含めて漏らすことなく全て想定することができるよう、臨床診断における医師の確定診断用の医療情報となる症候情報や疾患情報や検査項目情報を、理解容易な態様で効率的かつ体系的に提供することができる。
ここで、本発明の中心的特徴の一つである随伴固有変動の活用に関する理解を補充するため、発症条件について追加的に説明する。
まず、発症条件について、同じ一つの疾患でありながら、障害を受ける主臓器が患者ごとに異なり、病気の時期によって検査結果が変化し、患者の年齢によって発病してくる主症状自体も変動する、等々、発症条件によって必要な検査項目が大きく異なると共に、検査結果も異なった動向となる。一疾患の一検査項目だけでも複数の発症条件が存在することが多い。結果的に、極めて多数の発症条件が存在することになってこのままではシステムが複雑化し、疾患名と検査名とをIDとして使用しただけでは、必要な情報を取得するシステムを構築することが困難である。しかし、疾患ごとの最小単位の発症条件と疾患名とを結合した結合疾患名を基本単位(最大限細分化した表現単位)として各検査変動を作成・表現して固有変動表に格納したため、随伴固有変動を含めると膨大な数となる疾患ごとの検査変動を、容易に固有変動表から抽出して加工・表示等の電算操作を行うことができる。
また、発症条件について、疾患の発症条件としては、その疾患が併発しやすい臓器を表す発症臓器名(固有併発症)が過半を占める。発症臓器名については、疾患ごとに併発しやすい臓器名が医学書に明記されており、これに基づき、疾患と発症臓器名との関係を調査して漏らすことなく網羅することができる。また、臓器ごとに必要な検査項目も臨床で既定されている。したがって、これら疾患ごとの発症臓器名(固有併発症)とその発症臓器名が発症したことを検査するための検査項目(随伴固有変動型検査)との関係も、医学書や専門書等を調査して漏らすことなく網羅することができる。同様に、他の発症条件についても、当該発症条件自体を医学書や専門書等で調査して漏らすことなく網羅することができる。ただし、それらの検査項目が当該疾患の検査項目として使用可能である点は従来の知見ではなく、発明者独自の知見であり、当該発症条件と疾患名から結合疾患名を作成し、当該結合疾患名により当該発症条件が発症したときの当該疾患の検査結果の変動内容である随伴固有変動を当該疾患に関連付けて、当該疾患の発症条件の特定に使用することも、従来の知見ではなく、発明者独自の知見である。即ち、従来の医療界には、結合疾患名ごとに検査変動(随伴固有変動)を関連付けるという発想乃至知見は全くなく、よって、固有変動表に格納されて検査配列表に表示可能な固有変動の数は、そのうちの主要割合を占めることになる随伴固有変動の追加により、従来の医学書及び専門書等の従来の医学情報源には見られない桁違いの数となっている。
また、発症条件について、例えば、関節リウマチの場合、関節(関節痛)、筋(こわばり)、肺(呼吸困難)、心(胸部苦悶)、腎(慢性腎炎)、頚椎(項部痛)、皮膚(潰瘍)、皮下(腫瘤)、脊椎(直腸膀胱麻痺)、その他種々の臓器で発病する。また、それぞれが全て出現するのではなく、単独でも発症するため、同一疾患でも症例によって検査動向が多様な結果となる。更に、特に併発しやすい固有併発症でも検査動向が容易に変化するなど、種々の発症条件で疾患ごとの検査動向は容易に変動する。このように、同一疾患でも、症例によって種々の病状として発症するのが臨床医療の一般的な病像であるため、従来のように、疾患名を単位として(疾患名のみに基づき)必要な検査項目を選定し、その検査結果を確認しただけでは、診断名の特定はできるものの、その疾患の発症条件についてはまったく特定することができず、治療に必要となる発症条件ごとの治療方針の決定を行うことができない。従来は、固有併発症等の発症条件が発症したとき、例えば、固有の臓器に固有併発症が発症したときに、初めて、その固有併発症(その病名)にもとづいてその発症条件を確認するための検査項目を選定している。これに対し、本発明は、各疾患についてそれ自体の発病を確認する(診断名を特定する)ための固定固有変動が関連付けられることに加え、その疾患の発症条件を確認する(固有併発症等も特定できる)ための随伴固有変動が関連付けられて、同一の検査配列中に表示されるため、その検査配列表から診断名及び発症条件を一度に確認できる検査を組み立てることが可能となり、一度の検査で、診断名と発症条件とを特定して有効な治療方針の決定を行うことができる。
また、発症条件について、同じ一疾患でも、病期で変動(例:検査値が初期で上昇、進行期で下降等)、特異的な固有併発症の発病で変動(例:心炎・肝炎・腎炎・溶血等)、多臓器に発症し、臓器ごとに変動(例:肺結核・結核性胸膜炎・腎結核・腸結核等)、病因によって変動(例:菌の種類により種々の肺炎等)、病型(亜型)によって変動(例:欠損酵素の種類によって種々の先天性酵素欠損症)、経由してきた原疾患の種類で変動(例:過粘稠度症候群等、2段、3段の疾患を発病することで発症する疾患)等、一つの疾患でも、発症条件によって固有変動が容易に変動する。しかも、単なる臓器等の特定だけでは不十分で、多くの場合、更なる細分化が必要となる。例えば、同じ心臓の炎症でも、心臓外面の膜、内面の膜、筋肉、それらの複数等、炎症部位の差だけで検査法も治療法も全く異なるため、心外膜炎・心内膜炎・心筋炎・心炎等、一の疾患を発症条件ごとに作成した結合疾患名で最小単位まで細分化して特定し、固有変動表に格納している。
また、発症条件を疾患名と結合してなる結合疾患名について、本発明では、発症条件・疾患名・検査項目の3種類のデータ項目を常に関連付けながら検査動向を表現するため、発症条件と疾患名とを結合した前記結合疾患名を使用して全体のシステム構成を簡略化している。そして、固有変動表に格納し、また、検査配列表に表示する「検査動向」の表現としては、「"結合疾患名"が"**の固有変動"」といった表現を使用している。即ち、「"結合疾患名"が"**の固有変動"」といった文章表現を1つのデータ(1つのフィールド)として、固有変動表の「検査動向」の欄(データ項目)に対応する疾患名及び検査項目とそれぞれ関連付けて格納している。この場合、疾患名+検査項目名+検査動向が1レコードとなる。そして、検査動向を、そのままの形で、検査配列表の検査動向欄に表示するようにしている。しかし、検査動向の"結合疾患名"と"**の固有変動"とを分割したデータとしてもよい。即ち、"結合疾患名"部分を1つのデータ(1つのフィールド)とすると共に、"**の固有変動"(検査変動乃至固有変動)部分を1つのデータ(1つのフィールド)とし、それぞれに一意の識別子(結合疾患名ID及び固有変動ID)を付与して、対応する疾患名及び検査項目にそれぞれ関連付けて格納することもできる。
また、結合疾患名について、結合疾患名の表現は、例えば、疾患名を「**」とすると、発症条件がない(無条件の)場合は単なる「**」とし、固有併発症を介する(発症条件のある)疾患の場合は、**心炎、**腎不全、**胆道炎等、病名「**」の後に固有併発症を併記し、多臓器に発症する結核等の疾患の場合は、「肺結核」、「結核性胸膜炎」、「腎結核」等、病名「**」の前後に臓器名を付記し、病因によって検査変動が異なる肺炎等の疾患の場合は、「肺炎球菌性肺炎」、「黄色ブドウ球菌性肺炎」等のように起炎菌名と病名「**」とを「性」という語で連結して表現し、病型によって検査変動が異なる先天性酵素欠損症等の疾患の場合は、「糖原病(全型)」、「糖原病(筋型)」、「糖原病(肝、全身型)」等、病名「**」の後に病型を連結して型別に分けて表現し、経由原疾患が複数段にわたる過粘稠度症候群等の疾患の場合は、「クリオグロブリン血症(肝炎ウイルス・伝染性単核球症肝炎・肝炎ウイルス性急速進行性腎炎・肺腎梗塞併発感染性心内膜炎性)」等、病名「**」の後に括弧書き「(・・・性)」を介して経由疾患の病名を連結して表現する。この経由原疾患が複数段にわたる疾患の場合、「(・・・性)」の後の病名が2段となる場合もあり、この場合は3段の疾患を介して発症していることを表す。
請求項2に係る臨床診断支援システムは、請求項1の効果に加え、各疾患が2以上の検査項目に関連付けて表示されるため、各疾患に関連付けた固有変動も対応する2以上の検査項目に関連付けて表示されることになり、結果として、各疾患とその固有変動とが、2以上の検査項目に関連付けて表示されることになる。したがって、表示された2以上の検査項目について各疾患の固有変動を確認することができ、各疾患について複数項目比較検討を容易に行うことができる。詳細には、請求項2の構成により、候補疾患の各々について、その疾患に関連付けた固定固有変動型検査項目の検査項目名及びその固定固有変動が少なくとも2以上抽出されて、当該2以上の固定固有変動型検査項目の検査項目名及びその固定固有変動が検査配列表に表示されることになる。また、このとき、各固定固有変動に対して当該候補疾患の疾患名が対応付けて表示される。したがって、同一の候補疾患の疾患名が、検査配列表の固定固有変動の表示部分において、少なくとも2箇所以上で当該固定固有変動に対応付けて表示されることになる。加えて、候補疾患の各々について、その疾患に関連付けた随伴変動型検査項目の検査項目名及びその固定固有変動も抽出されて、当該随伴固有変動型検査項目の検査項目名及びその随伴固有変動も検査配列表に表示されることになる。また、このとき、当該候補疾患の疾患名と当該随伴固有変動の発症条件とを結合した結合疾患名が各随伴固有変動に対応付けて表示される。したがって、同一の候補疾患の疾患名が、検査配列表の随伴固有変動の表示部分においても当該随伴固有変動に対応付けて表示されることになる。したがって、検査配列表の2箇所以上で、同一の疾患について、当該疾患の固定固有変動に対応付けて表示した疾患名を確認することができ、複数項目比較検討を確実に行うことができること加え、同一の疾患について、一般に固定固有変動より多数となる随伴固有変動に対応付けて表示した結合疾患名中の疾患名部分を確認することができ、当該疾患の見逃しを確実に防止することができる。
請求項3に係る臨床診断支援システムは、請求項1または2の効果に加え、上記検査配列表表示手段により表示された固有変動を参照して指定症候についての候補疾患を絞り込んだ後に、更に、発病の可能性が高いと判断した特定の疾患を指定することにより、その間別疾患が抽出して表示されると共に、指定疾患及びその鑑別疾患の各々についても、検査項目ごとに、固定固有変動及び随伴固有変動が、前記指定疾患と鑑別疾患とを対比する表示態様で表示される。したがって、指定疾患の固有変動と鑑別疾患の固有変動との対比が容易となり、症候から絞り込んだ複数の疾患から最終的に原疾患を確定診断することが容易となる。詳細には、請求項3の構成により、指定疾患について、その疾患に関連付けた固定固有変動型検査項目の検査項目名及びその固定固有変動が少なくとも2以上抽出されて、当該2以上の固定固有変動型検査項目の検査項目名及びその固定固有変動が検査配列表に表示されることになる。また、このとき、各固定固有変動に対して当該疾患の疾患名が対応付けて表示される。したがって、指定疾患の疾患名が、検査配列表の固定固有変動の表示部分において、少なくとも2箇所以上で当該固定固有変動に対応付けて表示されることになる。加えて、指定疾患について、その疾患に関連付けた随伴変動型検査項目の検査項目名及びその固定固有変動も抽出されて、当該随伴固有変動型検査項目の検査項目名及びその随伴固有変動も検査配列表に表示されることになる。また、このとき、当該疾患の疾患名と当該随伴固有変動の発症条件とを結合した結合疾患名が各随伴固有変動に対応付けて表示される。したがって、同一の指定疾患の疾患名が、検査配列表の随伴固有変動の表示部分においても当該随伴固有変動に対応付けて表示されることになる。したがって、検査配列表の2箇所以上で、同一の疾患について、当該疾患の固定固有変動に対応付けて表示した疾患名を確認することができ、複数項目比較検討を確実に行うことができること加え、同一の疾患について、一般に固定固有変動より多数となる随伴固有変動に対応付けて表示した結合疾患名中の疾患名部分を確認することができ、当該疾患の見逃しを確実に防止することができる。更に、検査配列表には、指定疾患の鑑別疾患についての固定固有変動が表示されるため、指定疾患の固定固有変動についての検査結果が陰性となった場合に当該指定疾患を診断名とすることができない場合でも、各鑑別疾患の固定固有変動についての検査結果を確認することで、検査結果が陽性となった鑑別疾患を診断名として即座に診断を是正することができる。
なお、前記指定された疾患について抽出した前記固定固有変動(通常は、そのうちの代表的なもの、即ち、定型検査乃至初動検査に関する固定固有変動のうちの特に肯定用検査)を最上段に表示し、かつ、前記指定された疾患について抽出した前記随伴固有変動(上記同様、代表的なもの)を前記最上段の固定固有変動の次段に表示すると共に、前記鑑別疾患について抽出した前記固定固有変動(否定用検査)を前記指定された疾患について表示した随伴固有変動の次段に表示することが視覚的・体系的な把握を容易にする等の観点から好ましい。
請求項4に係る臨床診断支援システムは、請求項3の効果に加え、確認したい疾患について肯定用検査項目がある場合は、その肯定用検査項目の固有変動を確認することで、当該疾患の存在を容易に確認することができる。また、確認したい疾患について、否定用検査項目がある場合は、否定用検査項目の固有変動により他の疾患の存在を肯定することで、当該疾患の存在を否定することができる。更に、これらの確認に加え、性作用検査項目の固有変動をも確認することで、更に確度の高い診断を行うことができる。
請求項5に係る臨床診断支援システムは、請求項4の効果に加え、表示する検査項目ごとの固有変動情報を、除外診断法による診断に適した臨床診断情報として体系的に列挙表示することができる。
請求項6に係る臨床診断支援システムは、請求項4または5の効果に加え、安価な汎用検査では見逃す可能性のある疾患を列挙表示して、確度の高い診断を行うことができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態という)を説明する。なお、各実施の形態を通じ、同一の部材、要素または部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
1.臨床診断に関する発明者の独自の知見
本発明者は、臨床診断について鋭意研究を重ねた結果、以下の知見を獲得し、この知見に基づいて本発明の臨床診断支援システムを完成した。
1)検査変動の把握・細分化・活用
本発明者は、上記診断業務における3つの手順(病名列挙、検査組立、検査結果解読)を臨床診断における短時間で医師が円滑かつ的確に進めることができるよう、医学書に記載の医学情報を網羅的かつ体系的に臨床現場の医師に提供できる電算システム(即ち、臨床診断支援システム)を開発すべく、疾患と症候との関係や疾患と検査項目との関係等について鋭意調査研究した。特に、上記のとおり、臨床診断において各検査の検査変動を各候補疾患の固有の検査変動と照合することが的確な診断につながることから、本発明者は、かかる検査変動の重要性に着目し、現在の臨床医学で知られている疾患ごとの全検査項目について、それぞれ、疾患ごとに検査項目の検査結果がどのように変動するか(どのような検査変動を呈するか)を網羅的かつ個別的に調査・検証し、疾患ごと及び検査項目ごとに検査変動がどのような動向を有するか(以下、この検査変動の動向を単に「検査動向」ということがある。)を特定することにより、診断・疾患の特定を向上させることを可能にした。
この検証過程で、本発明者は、医学書に記載の臨床検査の内容を電算処理できるようにするためには、分担執筆のために大半で抽象的表現からなっている現在の医学書の記載表現(例えば、腎障害・心不全・肝機能異常等の用語)を、重複なくかつ漏れもない最小単位の検査項目ごとに検査変動を特定し、疾患ごとの検査動向として表現しなおす必要があることに想到した。また、この検証過程で、本発明者は、検査変動として2種類の検査変動が存在することを発見した。即ち、検査変動には、ある疾患に対して使用可能な検査項目について、当該疾患が発病した場合は必ず同一かつ固有の変動内容となる検査変動(以下、単に「固定固有変動」ということがある。)が存在する一方、当該疾患が発病した場合に常には同一かつ固有の変動内容とはならず、当該疾患の固有併発症の発症や病期等の当該疾患の発病に付随する条件(以下、単に「発症条件」ということがある。)に応じて同一かつ固有の変動内容となる検査変動(以下、単に「随伴固有変動」ということがある。)が存在する点に着目した。そして、本発明者は、これらの知見に基づき、既存の全ての疾患(病名)の検査変動を固定固有変動と随伴固有変動とに区分し、更に、随伴固有変動を疾患の発症条件ごとに最小単位となるよう細分化して特定した。その結果、本発明者は、発病時の検査変動は、約17000種類以上も存在することが判明した。これら最小単位の検査変動を格納したものが後述する固有変動表である。
したがって、検査変動を実際の臨床診断の現場で活用することが重要であるが、本発明者の知見によれば、これら膨大な数の検査変動を全て利用したとしても、全く確定診断のできない疾患が全体の疾患数の約1割前後もあるため、かかる現状に鑑みれば、従来の自動診断システムのように自動診断で確定診断を行うことは実際上不可能である。
そこで、本発明者は、最初から自動診断を図るのではなく、上記膨大な数の検査変動を電算処理により有効に活用し、臨床現場の医師が列挙した候補疾患の各々についての検査変動に関する情報を、漏れがなくかつ重複がないよう、体系的かつ視覚的に医師に提示することができる臨床診断支援システムを開発した。こうして、最終判断は体系的かつ視覚的に提示した各種検査変動に基づいて医師が判断できるようにすることで、本件臨床診断支援システムによる診断率の格段の向上が期待でき、また、本件臨床診断支援システムを臨床診断業務の簡略化にも応用できる可能性がある。
2)固有変動の数及び種類
2−1)固有変動の数(最小単位の検査変動)
現在、全疾患について使用可能な臨床検査の検査項目数は約1000項目あることが確認されている。また、各検査項目の検査結果の変動内容(検査変動)は、疾患ごとに固有の変動を呈する固有変動となるが、1個の検査項目の検査結果が複数の疾患で種々の変動を呈する(同様の変動内容を呈したり異なる変動内容を呈したりする)ため、全疾患に対する全検査項目の全固有変動数は、上記のとおり、合計で約17000個あることを本発明者は確認している。即ち、臨床診断で使用する検査項目の検査変動は、全体で約17000個の最小単位に区分することができる点を本発明者は想到した。
2−2)固有変動の種類
更に、検査項目の固有変動は、上記のとおり、「固定固有変動」と「随伴固有変動」とに二分することができることに本発明者は想到した。このうち、固定固有変動は、ある検査項目について、特定の疾患が発病したときにはその疾患の発症条件とは無関係に常に固有の(同一の)変動内容となる固有変動であり、その疾患自体によってその変動内容を解釈することができるものである。一方、随伴固有変動は、ある検査項目について、特定の疾患が発病しても固有の(同一の)変動内容となることなく、その疾患について固有のある発症条件が発生したときにはじめて(その発症条件に随伴して)固有の(同一の)変動内容となる固有変動である。したがって、固定固有変動は、対応する疾患が発病したときは常に同一の変動内容となることから、検査結果が変動したことを確認することで直ちに当該疾患の同定に使用することができる。一方、随伴固有変動は、対応する疾患が発病したときに常に同一の変動内容となることがない(発症条件が発現して初めて同一の変動内容となる)ものの、変動することに変わりはことから、やはり、検査結果の変動したことを確認することで対応する疾患の同定に使用することができる。
なお、疾患の発症条件は、ある疾患についての病期、固有併発症、発症臓器、発症部位、病因、病型、経由原疾患、絶食、医薬の内服中断、低免疫能等からなる。例えば、ある疾患について、病期が初期又は進行期の場合にのみある検査項目について随伴固有変動が発現したり、固有併発症が発生した場合にのみある検査項目について随伴固有変動が発現したり、発症臓器が特定の臓器である場合にのみある検査項目について随伴固有変動が発現したり、発症部位が特定の部位である場合にのみある検査項目について随伴固有変動が発現したり、疾患の原因菌(病因)ごとに異なる変動内容の随伴固有変動が発現したり、病型がある亜型の場合にのみある検査項目について随伴固有変動が発現したり、特定の原疾患を経由してきた場合にのみある検査項目について随伴固有変動が発現したり、患者が絶食している場合にのみある検査項目について随伴固有変動が発現したり、患者が医薬を内服中断している場合にのみある検査項目について随伴固有変動が発現したり、患者が低免疫能の場合にのみある検査項目について随伴固有変動が発現したりすることが確認されている。
2−3)固定固有変動と随伴固有変動の割合
また、本発明者が全検査項目の全固有変動について上記固定固有変動と随伴固有変動のいずれに該当するかを確認したところ、全検査項目の全固有変動中、随伴固有変動が約3/4〜4/5(全固有変動数の約77%)を占めることを確認している。
3)臨床診断における全ての固有変動の活用
3−1)発症条件の考察
臨床診断の特徴として、確定診断で診断名を1疾患名(正式病名)に絞るだけでは有効な治療法を選択することができないことが多い。即ち、同じ1疾患でも、発症条件により治療法が異なる。例えば、ある原因疾患について、症例により腎炎・肝炎・心不全・肺炎・髄膜炎・貧血等、その原因疾患に特有で異なった種々の臓器障害のいずれかを主症状として発症してくるのが一般的な発病経過となる。また、そのうち、どの臓器疾患を主症状として発症するかは症例ごとの発症条件によって異なる。しかも、複数の障害臓器が合併して発症する例が多いのみならず、1臓器といっても、例えば血液では赤血球・白血球・血小板・蛋白成分等、障害臓器が更に部位ごとに細分化される。このように、これら疾患に固有の臓器障害や固有併発症等、上記した発症条件は、疾患ごとに異なるが、障害を受ける臓器や部位等によって治療法が大きく異なるため、疾患名よりも臓器障害名や固有併発症等の発症条件の方が治療法選択のためには重要な場合が多い。したがって、実際は、診断名と各種発症条件の双方を同時に確定しない限り十分な臨床診断になりえない。加えて、通常は、1つの原因疾患に対して複数の鑑別疾患が存在し、これら鑑別疾患群の中から原因疾患以外の疾患を除外し、最終的に1つの原因疾患に絞り込むのが確定診断であるが、これら鑑別疾患も、疾患ごとに原因疾患と似た複数の臓器障害や固有併発症等の発症条件を呈してくるのが一般的である。したがって、臨床診断では、鑑別疾患自体の考察も不可避であるのに加え、鑑別疾患の発症条件についての考察も不可避となる。
3−2)随伴固有変動の活用
このように、臨床診断では疾患ごとに各種発症条件を考慮した考察が必須となるため、検査組立においても、固定固有変動のみならず随伴固有変動も含めた検査組立を行うことが必須となる。即ち、検査組立において、病名列挙した候補疾患の各々について、その固定固有変動のみならず随伴固有変動も確認できる検査項目を選定する必要がある。また、検査結果解読においても、選定した検査項目の固定固有変動と随伴固有変動とを、明確に区別した形で体系的・視覚的に情報提供する必要がある。前記固有変動表に格納した固定固有変動及び随伴固有変動に基づき、かかる体系的・視覚的な情報提供を行うのが後述する検査配列表である。
4)複数項目比較検討
臨床診断においては、単一の検査結果の変動内容を確認するだけで目的の疾患を確定診断できることは少なく、一つの疾患の発病を確認するためには複数の検査項目についての検査変動を比較検討すること(以下、この複数の検査変動の比較検討を単に「複数項目比較検討」ということがある。)が有用であり、それら複数の検査結果がそれぞれ特有の変動内容となったときにその疾患が発病したと判断することができる。現在の医療現場でも、かかる複数項目比較検討が漠然と使用されてはいるが、意図して使用されることはなく、また、「複数項目比較検討」という用語すらない。即ち、現在の医療現場では、複数項目比較検討について体系的に複数項目比較検討できる体制は整っておらず、確実性の点で満足できる仕組みが提供されていない。そこで、本発明者は、本件臨床診断支援システムに複数項目比較検討を意図的に導入し、固有変動表の固定固有変動を電算処理して前記検査配列表に複数項目比較検討可能な態様で表示できるような構成としている(詳細は後述)。
5)臨床検査の種類
後に詳述するように、前記固有変動表には正式病名(疾患名)、検査項目及び検査動向を互いに関連付けて格納するが、このうち、検査項目(臨床検査)は、一定数の検査で陽性化する高価な特異的検査と、多数の検査で陽性化する安価な非特異的検査(生化学検査が大半)と、それら特異的検査及び非特異的検査のどちらとも決めがたい中間型検査の3種類に三大分類することができる。
5−1)特異的検査
特異的検査は、一定数の検査変動が臨床所見と合致すれば確定診断することができる有用な検査である。即ち、特異的検査は、一定数の検査項目で診断名の特定(確定診断)が可能となる有用な検査である。一方、特異的検査は、高価なため、予想した疾患が間違っていた場合に高額な費用が無駄になることが多いため、検査組立の際には厳選して使用する必要がある。また、本発明者の知見によれば、特異的検査のある疾患の割合は全体の約20%程度であり、特に、成人では有用性のある検査項目が半減する(疾患全体の約10%程度となる)ため、殆どの場合、特異的検査だけを使用した検査組立は困難である。なお、特異的検査は、対応する疾患について常に固有の(同一の)検査変動(即ち、固定固有変動)を呈する固定固有変動型の特異的検査と、対応する疾患について特定の発症条件が発現したときにのみ固有の(同一の)検査変動を呈する随伴固有変動型の特異的検査とに二分することができる。
5−2)非特異的検査
非特異的検査は、短時間で結果が判明する安価な生化学検査が大半を占めることから、初回の検査組立で多くの数を使用することができる。一方、非特異的検査(特に生化学検査)は、多数の疾患で陽性化する検査が多いことから、非特異的検査は、該当疾患を漏らすことなく拾い上げるのには有用である。また、非特異的検査の場合、多数の疾患で陽性化する検査が多いため、複数の検査項目の検査変動を比較検討すること(固定固有変動の複数項目比較検討)により、拾い上げた多数の疾患数から少数の候補疾患へと絞り込むことが必須となる。即ち、非特異的検査は、特定の疾患について特異的な検査変動を呈するものではないため、複数項目比較検討を使用しない限り、疾患の特定には限界がある。更に、非特異的検査が呈する検査変動は、特異的検査と同様、対応する疾患について常に固有の(同一の)検査変動(即ち、固定固有変動)を呈する固定固有変動型の特異的検査と、対応する疾患について特定の発症条件が発現したときにのみ固有の(同一の)検査変動を呈する随伴固有変動型の特異的検査とに二分することができるが、前記固定固有変動型の非特異的検査よりも、前記随伴固有変動型の非特異的検査の方が遥かに数が多い。このうち、随伴固有変動型の非特異的検査は、対応する疾患の発症条件が多種多様となるため、複数項目比較検討には適さない。したがって、特異的検査を併用せずに非特異的検査だけで実用性のある検査組立を行うことは不可能に近い。
ここで、特異的検査及び非特異的検査のいずれも、随伴固有変動型の非特異的検査は、固有併発症や罹患臓器等の発症条件の同定に使用されるが、更に、固定固有変動の非特異的検査と同様、対応する疾患名の同定や選出にも使用される。特に、患者は、固定固有変動が変化する比較的早期では受診せず、随伴固有変動が変化する進行期で初めて受診する例が多いため、実際に随伴固有変動型の検査が変化して初めて疾患名が同定されることが少なくない。なお、随伴固有変動型の非特異的検査は、上記のとおり、対応する疾患の発症条件が多種多様となるため、複数項目比較検討による疾患名の同定には適さない。
5−3)中間的検査
中間的検査は、患者の全身状態や特定の臓器の状態について所見を得るのに有用な検査である。肺炎、尿路感染症、糖尿病、腎炎等、中間的検査だけで確定診断できる疾患もある。これらの中間的検査は、対応する疾患についての特異的検査ということができる。また、中間的検査は、特異的検査や非特異的検査と同様、対応する疾患について常に固有の(同一の)検査変動(即ち、固定固有変動)を呈する固定固有変動型の中間的検査と、対応する疾患について特定の発症条件が発現したときにのみ固有の(同一の)検査変動を呈する随伴固有変動型の中間的検査とに二分することができる。中間的検査の例としては、画像診断(レントゲン、CT等)、赤沈(血沈とも呼び、単に赤血球が沈みこむ速度のことをいう。慢性の重症炎症性疾患で亢進するが、疾患特異性は皆無に近い)、検尿(尿のテープ検査や顕微鏡検査)、心電図等が代表的なものである。
特異的検査のない疾患の同定については、固定固有変動型の非特異的検査の複数項目比較検討や中間的検査の複数項目比較検討による診断が必要となる。
5−4)随伴固有変動の割合
前記特異的検査の固有変動、中間的検査のいずれも固定固有変動型の検査と随伴固有変動型の検査とに二分することができるが、随伴固有変動型の検査が大半を占めている。
5−5)随伴固有変動の割合
現状では、前記特異的検査により検査可能な疾患の数は全疾患中の約20%程度であり、多くの疾患では単一の特異的検査による確定診断をすることができない。
6)臨床検査の検査組立
上記のとおり、特異的検査は、一定数の疾患でのみ陽性化するため、少数の特異的検査を使用するだけで特定の疾患の確定診断が可能となる。したがって、全ての疾患について特異的検査が存在すれば、少数の特異的検査の各検査変動から検査結果を解読することにより診断名の特定が可能となる。しかし、現状では、特異的検査が網羅する疾患は、全疾患中の約20%程度であり、全疾患について特異的検査のみで検査組立を行うことはできない。即ち、現状では、非特異的検査を活用しない限り臨床診断を行うことができない。一方、非特異的検査の多くは、多数の疾患で陽性化するため、疾患の特定のためには、ある程度の数の固定固有変動型の非特異的検査の検査変動を相互に比較して検討すること(複数項目比較検討)が必要となる。例えば、検査項目をA,B,Cとし、診断名を甲、乙、丙とすると、「A低下・B正常・C増加なら甲」、「A陽性・B増加・C低下なら乙」、「A低下・B増加・C正常なら丙」というように複数の検査項目の検査変動を相互に比較して検討し、検査結果を解読して疾患を特定する必要がある。この場合、有用な検査結果を得るためには、疾患に応じた十分な数(通常、20個以上)の非特異的検査を使用する必要がある。同時に、有用な検査結果を得るためには、疾患に応じて必要な数の中間的検査も使用する必要がある。即ち、特異的検査の数が十分でない現状の臨床診断では、有用な検査結果を得るためには、できる限り少数の特異的検査、十分な数の非特異的検査及び中間的検査を使用して検査を組み立てる必要がある。
7)臨床診断法
臨床診断法としては、臨床所見から診断名の見当をつけた上で、当該疾患と当該疾患の類似疾患(鑑別疾患)について確認する検査を行い、その検査結果から鑑別疾患を除外していく「鑑別検査」による診断法と、一定の症候(症状・徴候)を呈する疾患群を網羅する検査を一括して行い、その検査結果から該当疾患を探し出す「症候検査」による診断法とがある。鑑別検査は、心筋梗塞や肺炎等の急速発症する疾患で頻用されることが多く、症候検査は、緩徐発症する一般疾患で頻用されることが多いが、双方を併用することも少なくない。即ち、鑑別検査による診断法及び症候検査による診断法の双方とも、臨床診断の正確性を高め、疾患の見逃しを予防するために不可欠の臨床診断法である。
8)臨床診断法における検査組立
8−1)生化学検査
上記のように、前記特異的検査は、1個または数個の検査項目のみで診断名の特定が可能な有用な検査であるが、前記非特異的検査としての生化学検査は、非常に多くの疾患で陽性化することもあって、鑑別診断の一部を除き、特異的検査と同様にして少数の検査項目で疾患を特定することは困難である。しかしながら、生化学検査は、多数の検査項目の固有変動を複数項目比較検討することにより、疾患の鑑別や絞込みが可能となる有用な検査である(固定固有変動型の場合)。また、生化学検査は、安価で患者への侵襲度(患者に苦痛を与える程度)が低いため、鑑別検査及び症候検査のいずれの検査組立でも、安価な生化学検査が日常検査の70%以上を占めるほど頻用される。よって、生化学検査は、非特異的検査として、考えうる疾患名の選出(同定)に有用であると共に、複数項目比較検討による疾患の絞込みにも好適な検査となる。
8−2)生化学検査による疾患の絞り込み・鑑別
一方、生化学検査による複数項目比較検討により検査結果を解読する場合、生化学検査の検査結果の固定固有変動を複数項目比較検討して疾患の鑑別や絞込みをすることになる。即ち、この場合、複数の生化学検査の検査結果がある疾患に特有の固定固有変動を呈する場合(例えば、上記説明の検査変動「A低下・B正常・C増加」の場合)、その固定固有変動を呈する疾患(上記説明の疾患「甲」)の存在を推定できる。このように、固定固有変動確認用の生化学検査の検査結果を複数項目比較検討することにより疾患の鑑別・絞込みを行うことができる。そして、絞り込んだ各疾患の発症条件の発現を確認するために随伴固有変動確認用の検査項目(主に生化学検査)の検査結果を解読することにより各疾患についての固有併発症や臓器障害等を確認することができる。ここで、上記のように、生化学検査の固有変動は、前記随伴固有変動が約70%を占め、やはり、固定固有変動の割合が少ないことが確認されている。しかし、生化学検査自体の数が非常に多く、また、生化学検査は各々が数十個以上の疾患で陽性化する検査であるため、その固定固有変動数も相当なものとなり、複数項目比較検討による疾患の鑑別・絞込みに十分な数の固定固有変動が存在する。その一方、生化学検査を含む非特異的検査の随伴固有変動を使用して複数項目比較検討して疾患を絞り込んだり鑑別したりすることは、一部の非特異的検査の場合は可能であるが、上記のとおり、大部分の非特異的検査の場合は逆に煩雑な解読作業となる。したがって、非特異的検査の複数項目比較検討は、主に、その固定固有変動によって(即ち、非特異的検査のうちの固定固有変動型検査によって)疾患自体の発病を確認するため(疾患名を選出または同定するため)に使用し、疾患の発症条件の確認は、特異的検査や非特異的検査や中間的検査のそれぞれの随伴固有変動を個別に確認して(即ち、随伴固有変動型の特異的検査、非特異的検査及び必要な中間的検査によって)行うことが必要となる。
8−3)検査組立
このことから、鑑別検査及び症候検査のいずれの検査組立においても、数個の特異的検査と一定数の非特異的検査と必要な中間的検査とを組み合わせて、できる限り目的疾患の全体を選出した上で、それらのうちの固定固有変動型検査の固定固有変動を複数項目比較検討することにより、それぞれの疾患を鑑別することが有用である。
具体的には、症候検査(症候に基づく臨床診断)の場合、特異的検査及び非特異的検査を使用して、病名列挙では、1つの症侯に対し一般的に10〜30前後の疾患を候補疾患として列挙する。次に、検査組立では、列挙した全ての候補疾患の各々について、その存在の有無を判断できる検査項目を選択する。次に、検査結果の解読では、各検査項目の検査結果の変動(検査変動)を複数項目比較検討によって解読し、候補疾患を数疾患に絞り込む。通常は、この初回の検査組立及び検査結果解読により、候補疾患を数疾患まで絞り込むことができ、臨書所見の差だけで診断確定できることが多い。
一方、鑑別検査(鑑別に基づく臨床診断)の場合、病名列挙では5個前後の疾患を候補疾患として列挙する(予想した疾患の病名(診断名)及びその鑑別疾患の病名(鑑別病名)を列挙)。次に、検査組立では、列挙した全ての候補疾患の各々について、その存在の有無を判断できる検査項目を選択する。次に、検査結果の解読では、各検査項目の検査変動を複数項目比較検討によって解読し、予想した診断名が正しい場合はその診断名で診断確定し、予想した診断名が間違っている場合(予想した疾患の検査変動が陰性となった場合)でも、いずれかの鑑別疾患についての検査変動が必ず陽性となることから当該疾患が目的疾患であるとしてその場で是正することができる。即ち、鑑別検査では、1回の検査組立及び検査結果解読で確定診断または診断名の是正が可能となる。
本発明のシステムにおいて、症候検査では、症候ごとの疾患数によっても異なるが、多くの場合、5個以上の特異的検査を含むよう検査が組み立てられる。これにより、一回の症候検査で少なくとも数個の疾患数まで疾患を絞り込むことができる。一方、鑑別検査では、やはり疾患ごとの疾患数によって異なるが、多くの場合、数個の特異的検査を含むよう検査が組み立てられる。これにより、上記のとおり、一回の鑑別検査で予想した疾患名(診断名)の確定診断または診断名の是正が可能となる。
2.発明の特徴
上記の知見に基づき、本発明者は以下の構成A〜Dを備える臨床診断支援システムを発明した。
A:固有変動格納手段(固有変動表)
Aa:固定固有変動・随伴固有変動・結合疾患名
Aa−1)固有変動の区分格納
固有変動格納手段(固有変動表)は、正式病名からなる疾患名と、臨床検査の検査項目と、検査項目の検査結果の変動内容を示す検査変動とを、それぞれ、互いに関連付けて格納する。また、固有変動格納手段は、全検査項目の各々について、対応する1以上の疾患が発病した場合にその検査項目が呈する1以上の検査変動を、固定固有変動と随伴固有変動とに区分してその検査項目に関連付けて格納する。
Aa−2)固定固有変動
検査項目の固定固有変動は、当該検査項目について、特定の疾患が発病したときにはその疾患の発症条件とは無関係に常に同一の変動内容となる固有変動である。
したがって、当該検査項目は、対応する疾患自体の発病を確認するための検査、即ち、固定固有変動を呈する検査(固定固有変動型検査)として使用される。
Aa−3)随伴固有変動
検査項目の随伴固有変動は、当該検査項目について、特定の疾患が発病しても固有の変動内容となることなく、当該疾患について特有の発症条件が1つまたは複数発生したときにはじめて固有の変動内容となる固有変動、即ち、当該疾患について特有の発症条件が1つまたは複数発生するまでは変動内容が一定とならない固有変動である。
検査項目が随伴固有変動を呈する疾患の発症条件としては、疾患の病期、疾患の合併症(固有併発症)、疾患の発症臓器(罹患臓器)、疾患の発症部位、疾患の病因、疾患の病型、疾患の経由原疾患、絶食、内服中断、低免疫能等がある。
したがって、当該検査項目は、対応する疾患の発症条件を確認するための検査、即ち、随伴固有変動を呈する検査(随伴固有変動型検査)として使用される。
Aa−4)随伴固有変動による発症条件を考慮した臨床診断の実現
前記随伴固有変動型検査は、その疾患自体の発病を確認する検査項目ではないため、従来、臨床診断において当該疾患用の検査として使用されるものではなく、本発明者の上記の知見に基づきその疾患に関連付けられた検査である。
したがって、本発明では、1疾患に対し、当該疾患用の検査項目である固定固有変動を呈する検査(固定固有変動型検査)に加えて、別個の疾患用の検査項目であるが当該疾患の発症条件に対応して使用すべき検査項目である随伴固有変動を呈する検査(随伴固有変動型検査)が関連付けられて固有変動表に格納され、必要時に後述する検査配列表に表示されることになる。
その結果、臨床診断時の短時間であっても、臨床医師は、固定固有変動型検査により該当疾患の発病を判断することができることに加え、随伴固有変動型検査により発病した疾患の発症条件までも判断することができ、その場で有効な治療法を選択することが可能となる。
Aa−5)結合疾患名による三次元データ構造の二次元化
固有変動表では、一つの疾患に対して、前記固定固有変動型検査の検査項目名とその固定固有変動とがそれぞれ関連付けて格納されることに加え、前記随伴固有変動型検査の検査項目名とその随伴固有変動とがそれぞれ関連付けて格納される。
この随伴固有変動は、対応する疾患名とその1以上の発症条件とを表す造語である結合疾患名を、その発症条件が発現したときにその検査項目が呈する固有の検査変動の内容に関連付けたものである(即ち、結合疾患名+検査変動内容からなる説明文形式となっている)。また、結合疾患名は、疾患名及び発症条件の2つの要素(データ項目)を1つの要素(データ項目)として一体化したものである。
ここで、随伴固有変動型検査の随伴固有変動は、検査項目(検査項目名)、疾患名及び発症条件の3種類の要素(データ項目)からなる三次元構造のデータであるが、随伴固有変動に結合疾患名を使用することで、疾患名(病名)及び発症条件の2種類の要素(データ項目)からなる二次元構造のデータを一次元化することにより(即ち、病名と発症条件とを一体化・結合して結合疾患名とすることにより)、上記三次元データ構造の随伴固有変動を二次元構造(表形式)のデータとして固有変動表に格納し、かつ、検査配列表に表形式で表示することができる。
更に、発症条件を別の観点から考察すると、病期、食事の有無(食事歴)、誘発疾患、年齢、運動の有無(運動歴)、罹患臓器名、起炎菌名等、相互に関連性の低い諸条件から発症条件がなっている。しかも、複数の発症条件をand表現またはor表現で結合して一つの発症条件として表現することが多く、疾患名や検査項目名と異なり、発症条件は系統的分類が困難であり、特定の識別子によりデータベース化して系統的に抽出する構成とすることは不可能に近い。即ち、発症条件は、経時的変動(病期等の時間軸での変動)やその他の諸条件でも変動するため、疾患名、検査項目名及び発症条件の3項目を単純な三次元構造として電算処理することはできず、電算処理のためには種々の条件式の追加・導入が必要となる。しかし、発症条件の多様性から、必要な全ての条件を事前に選択して条件式を事前に設定することは困難であり、条件式を設定したとしても、発症条件の抽出漏れを生じ易くなる。一方、本発明のように結合疾患名を使用して発症条件を予め疾患名と結合しておくことで、疾患名、検査項目名及び発症条件の3項目を画一的に二次元化して処理することができ、条件式設定の場合のような発症条件の抽出漏れを防止することができる。また、検査配列表では、特定の検査項目から対応する疾患の検査変動を任意に抽出することができることに加え、結合疾患名が疾患名(正式病名)を含む構成のため、疾患名からも当該疾患の検査変動を任意に抽出することができる。即ち、検査配列表では、臨床診断に必要となる疾患名または検査項目名のいずれからも、漏れなく目的項目(臨床診断用で使用した任意の検査変動)を抽出することができる。
即ち、疾患名と発症条件を結合した結合疾患名を使って、3次元構造の内容を保ったまま、2次元処理の出来るようになったのが、本件の固有変動表の特徴である。これにより、(A)三次元データ構造である、疾患名ID(a1・a2・)・疾患名+発症条件ID(b1・b2・)・発症条件+検査項目ID(c1・c2・)・検査項目名を、(B)二次元データ構造である、疾患名ID(a1・a2・)・結合疾患名+検査項目ID(b1・b2・)・検査項目名に変更できた。疾患名が結合疾患名に変っただけで、a,b,cの3つのIDを要していた(A)のデータ構造(三次元データ構造)から、a,bの2つのIDのみを必要とする(B)のデータ構造(二次元データ構造)として、同じ3次元業務を行うことが可能となった。3次元データ形式のままでは必要な発症条件ごとに抽出操作を更に追加する必要があるが、発症条件のデータベース化が困難のため、漏れの少ない抽出操作が困難であった。これで各段の簡略化が図れるようになった。なお、この場合、結合疾患名(発症条件がないものは単なる疾患名のみ)には一意の疾患名ID(病名ID)が識別子として関連付けられるが、(発症条件がある場合は)発症条件は結合疾患名に含まれるため、検査項目ごとの疾患の発症条件である当該疾患の固有変動(検査変動)は、病名IDと対応する検査項目の項目IDとの複合IDにより一意に識別可能である。
Aa−6)二次元データ構造の固定固有変動
固定固有変動型検査について、固定固有変動は、対応する疾患名のみ(発症条件のない疾患名)を、当該疾患が発病したときにその検査項目が常に呈する固有の検査変動の内容に関連付けたものである(即ち、疾患名+検査変動内容からなる表現(説明文形式)となっている)。
Ab:随伴固有変動と結合疾患名
Ab−1)臨床診断における疾患の発症条件情報の取得困難性
上述したように、臨床診断では、疾患名を確定する必要に加え、確定した疾患の発症条件を確認しないと、有効な治療法を選択することができないという特有の事情がある。即ち、1疾患に特異的な固有病状だけで全経過を経緯する疾患は少なく、同一疾患でありながら、発症する主臓器が症例ごとに異なったり、その疾患に頻発する特有な種々の合併症(固有併発症)も症例ごとに異なることが多い。従って、1疾患でありながら、症例ごとに状況に応じて多彩な病像となるため、必要検査や検査動向も大きく変動してくる。この点は、発症条件および随伴固有変動に関して説明したとおりである。
一方、臨床診断の根拠となる知識を提供するものとして、一般に医学書が使用される。この医学書では、疾患に特異的な固有病状や検査結果が詳細に記載されている。即ち、医学書には、疾患自体の発現を確認するための検査とその検査変動(上記固定固有変動に相当する検査変動)のみが記載されている。しかし、症例ごとに異なる臓器名や固有併発症については、そのまま臓器名や固有併発症名を使って記載され、検査動向も"腎障害"や"肝機能異常"などの抽象的表現で表現されることが多い。即ち、ある疾患の罹患臓器名や固有併発症等の発症条件に関して、臨床診断で必要となる検査項目や検査動向を具体的に知るには、それらが記載されている専門書を探し、其々専門の記載分野に幾段も戻って調べ直す孫引き操作が必要となり、これらの情報を体系的に取得することは非常に困難であった。特に、臨床診断は非常に短時間で各種の業務を遂行する必要があるため、臨床医師が該当疾患を特定したとしても、その発症条件に関して臨床に必要な情報を短時間で取得することは事実上不可能であった。
Ab−2)結合疾患名を利用した固有変動表・検査配列表
ここで、疾患ごとの固有併発症や臓器名の種類は、その疾患の既定の病態であり、関与する検査項目や検査動向も、孫引き操作が必要であるものの既定項目として医学的に既に決定されている。
そこで、本発明は、疾患ごとの病態のうち、疾患の本来の病態を確認するための検査項目(即ち、発症条件に左右されることなくその疾患が発病したときには常に同一の検査変動を呈する検査項目)、及び、当該疾患が発病したときのその検査項目の検査変動については、当該疾患の固定固有変動として、その検査項目名と共に当該疾患に関連付けて固有変動表に格納する。即ち、一つの疾患名に対して、全ての固有変動型検査の検査項目名と固定固有変動とが関連付けて格納される。
加えて、本発明は、疾患の固有併発症や臓器名等の発症条件を最小単位まで細分化して特定すると共に、当該疾患について各発症条件が発現したときに固有の(常に同一の)検査変動を呈する検査項目を全て特定する一方、その検査変動を随伴固有変動として検査項目名に関連付ける。このとき、随伴固有変動は、発症条件を疾患名と結合して作成した結合疾患名を当該検査項目が呈する検査変動と関連付けた説明文として作成される。そして、各疾患に対して、全ての随伴固有変動をその検査項目名と共に関連付けて固有変動表に格納する。即ち、一つの疾患に対して、その結合疾患名の数と同一数の検査項目名と随伴固有変動とが関連付けて格納される。
このように、本発明は、各疾患の病態説明または病像説明を、疾患自体の確認用の固定固有変動及び発症条件確認用の随意固有変動からなる2種類の固有変動として、同一の固有変動表に格納している。
Ab−3)最小単位の検査変動の格納
固有変動表に格納する検査項目名は、全科的に共通して使用でき、重複することなく、しかもそれ以上細分化する必要のない最小単位の項目からなっている。医学書で多く見られる専門的特殊用語を避け、基礎医学用語などを使って全科的に応用可能な用語で統一されるよう配慮され、若しくは、統一性に疑問がある場合は注釈が挿入されている。
また、各疾患に関連付けた検査項目名は医学的に決定されて変動しない(常に同一の検査項目名である)が、その検査変動は、疾患ごと及び疾患の発症条件ごと(結合疾患名ごと)に異なった内容からなる。即ち、各検査項目の検査変動は、ある疾患では固定固有変動となり、別の疾患では当該疾患のある発症条件(ある結合疾患名)に対応した随伴固有変動となり、更に、当該疾患についても発症条件が異なる場合はその発症条件(別の結合疾患名)に対応した随伴固有変動となる。
更に、随伴固有変動型検査の随伴固有変動において、各疾患の発症条件は最小単位に細分化したものが使用され、かかる最小単位の1以上の発症条件が疾患名と結合されて結合疾患名を構成している。即ち、疾患の発症条件は1つのみならず複数が相伴って発現することもあるため、結合疾患名は1つの発症条件を結合したもの(疾患名+発症条件)、2つの発症条件を結合したもの(疾患名+発症条件+発症条件)、3つの発症条件を結合したもの(疾患名+発症条件+発症条件+発症条件)という構成となる。このとき、結合疾患名は、単に疾患名と発症条件を順に結合したものではなく、発症条件に応じて最適な形態となるよう作成されている。
即ち、固有変動表では、同一の検査項目が複数の疾患の固定固有変動型検査として格納されることに加え、結合疾患名に対応する数の随伴固有変動型検査として格納されている。即ち、検査項目名が同一であっても、その検査変動は、固定固有変動と随伴固有変動とに区分されて別個格納されると共に、疾患の最小単位の発症条件(結合疾患名)に対応して細分化されて格納される。その結果、検査配列表では一つの検査項目に対応して複数の検査変動が表示されることになり、また、固有変動表でも一つの検査項目に対応して複数の検査変動が格納されることになる。なお、検査配列表では、発症条件の有無やその数にかかわらず、1疾患に対応して1つの検査項目が表示される。例えば、検査変動中の結合疾患名の表現について、「コクサッキー心炎,肝炎で上昇」(コクサッキー感染症で心炎や肝炎を併発するときに検査値が上昇することを表す表現)中の「コクサッキー心炎,肝炎」、「熱中症,MOFで↑」(熱中症だけでも検査値が上昇することを表す表現)中の「熱中症,MOF」、「熱中症MOFで上昇」(熱中症だけでは検査値が上昇しないが、MOFを合併すると検査値が上昇することを表す表現)中の「熱中症MOF」、「TSH欠乏シモンズで上昇」(TSHホルモン不足によるシモンズ病で検査値が上昇することを表す表現)中の「TSF欠乏シモンズ」、「心不全(心炎・心筋梗塞)で上昇」(心炎や心筋梗塞による心不全で上昇することを表す表現)中の「心不全(心炎・心筋梗塞)」等、種々の型で結合疾患名が作成され、全ての発症条件で結合疾患名が作成されている。また、複数段の発症条件では、「PHTrP産生異所性ホルモン産生腫瘍性Ca血症膵炎で上昇」(PHTrPを産生する異所性ホルモン産生腫瘍で、高Ca血症による膵炎を発症すると上昇することを表す表現)中の「PHTrP産生異所性ホルモン産生腫瘍性Ca血症膵炎」のように発症条件が表現される場合もある。
結合疾患名の具体例としては、コクサッキー心炎,肝炎で上昇(上向き矢印のマーク)(コクサッキー感染症で心炎や肝炎を併発すると上昇、の意味)、熱中症,MOFで上昇(上向き矢印のマーク)(熱中症だけでも上昇するが、MOFを合併すると更に上昇する、の意味)、熱中症MOFで上昇(上向き矢印のマーク)(熱中症だけでは上昇しないが、MOFを合併すると上昇する、の意味)、(このように、「,」の有無で内容が全く異なる)、TSH欠乏シモンズで上昇(上向き矢印のマーク)(TSHホルモン不足によるシモンズ病で上昇、の意味)、心不全(心炎・心筋梗塞性)で上昇(上向き矢印のマーク)(心炎や心筋梗塞による心不全で上昇、の意味)等、諸発症条件を360度可変のジョイントのように使って色々な形式で簡略に連結する。複数段の発症条件となる例も多く、PTHrP産生異所性ホルモン産生腫瘍性高Ca血症膵炎で上昇(上向き矢印のマーク)(PTHrPを産生する異所性ホルモン産生腫瘍で、高Ca血症による膵炎を発症すると上昇,の意味)等もある。
Ab−4)固定固有変動内の疾患名
固有変動表では、各疾患の固定固有変動型検査については、一つの疾患に対して、固定固有変動型検査の検査項目名とその固定固有変動とがそれぞれ関連付けて格納されるが、この固定固有変動は、対応する疾患名のみ(発症条件のない疾患名)を、当該疾患が発病したときにその検査項目が常に呈する固有の検査変動の内容に関連付けたものである(即ち、疾患名+検査変動内容からなる説明文形式となっている)。即ち、固定固有変動型検査の場合も、その検査変動で使用する疾患名は、発症条件をゼロとした結合疾患名と考えることができる。
Ab−5)あらゆる固有変動の格納
上記のように、固有変動表では、随意の1疾患の病態・病像説明に関して、固有併発症など発現率の低い随伴固有変動も固定固有変動と同格の因子として格納されている。即ち、固有変動表は、ありうる全ての最小単位の検査項目を格納すると共に、其々の具体的な検査動向(検査変動)も(発症条件のない)疾患名及び結合疾患名に対応して格納している。結果的に、医学書でみられる総ての固有変動が、極めて稀な事項まで固有変動表に含まれている。
1疾患に特異的に陽性化する特殊検査(陽性ならその疾患であると診断可能)が全疾患の2割にも満たず、検査項目を全て使っても確診法のない疾患が1割前後存在する現状(本件では特殊な除外診断法で診断可能)では、あらゆる随伴固有変動も活用できる機構が臨床診断で不可欠である。本件では如何なる些細な随意固有変動でも、全て同格の固有変動として活用できる機構になっている。
固有変動表は各疾患で関与しうる全ての検査項目を含むが、全科に共通する検査項目名と用語で表現されていること以外に、結合疾患名を導入したことで、複雑な発症条件を考慮することなく種々の抽出や集約などの電算操作が可能となった。即ち、複数の疾患であっても、一回の操作であらゆる検査項目名や検査動向を比較検討することが可能となった。1疾患で関与しうる全ての検査動向を具体的に表現している医学書すら存在しない現状で、複数疾患について抽出・集約などの電算操作が簡単に出来ることは、極めて画期的な業績である(鑑別疾患マスターファイルを使った鑑別検査や、症候群マスターファイルを使った症候検査など)。なお、検査動向が3次元構造からなるため、結合疾患名に相当する機構を導入しないまま2次元的操作で随意固有変動を比較検討することは不可能である。発症条件を使って3次元操作で追加抽出するのも困難であることを前述した。
Ab−6)一元的データ処理
随伴固有変動は、固有変動表中の全固有変動の77%を占めることを発明者は確認している。即ち、随伴固有変動型検査が固有変動表中の検査の77%を占めている。したがって、上記の通り、随伴固有変動を活用しない限り効果的な臨床診断を行うことができない。
一方、随伴固有変動は、検査項目・疾患名・発症条件の3因子で変動する(いずれかの因子が異なれば別個の変動となる)三次元データ構造を有している。したがって、三次元データ構造のままで随伴固有変動を電算表示しようとすれば、三次元構造の表示形態が必要となる。
また、固定固有変動は、検査項目・疾患名の2因子で変動する(いずれかの因子が異なれば別個の変動となる)二次元データ構造を有しているが、随伴固有変動とあわせた全固有変動を一元的に固有変動表に格納し、かつ、検査配列表に表示するには、固定固有変動も上記のように発症条件なしとして同じ3次元構造で扱うことが必要となる。即ち、随伴固有変動の「特定の検査項目・特定の疾患名・特定の発症条件」という三次元データ構造と同様、固定固有変動も「検査項目・特定の疾患名・発症条件なし」という三次元データ構造として処理する必要がある。
そこで、固有変動表では、検査動向に格納する検査変動に疾患名と発症条件を結合した結合疾患名を導入することで、3次元データ構造の内容を保ったまま、2次元的データ処理が出来るようにしている。
これにより、随伴固有変動に関しては疾患名を(発症条件を結合して)結合疾患名に変更するだけで、検査項目ID、(疾患名のみに対応する)疾患名ID、発症条件IDの3個のIDを要する三次元データ構造から、検査項目ID及び(発症条件付疾患名である結合疾患名に対応する)疾患名IDの2個のIDを要する二次元データ構造へとデータ構造を変更して、三次元データ構造の場合と同様のデータ処理を行うことが可能となる。
なお、固定固有変動に関しても、検査項目ID及び(発症条件なしとした疾患名に対応する)疾患名IDの2個のIDを要する二次元データ構造として一元的なデータ処理を行うことが可能となる。
Ab−7)発症条件に基づくデータ抽出処理の困難性
ここで、発症条件は分類法によっても大きく異なるが、種類が少なくとも数百を超えて、疾患数や検査項目数よりはるかに多い。しかも病期・誘発疾患名・罹患臓器名・食事摂取時間など、検査項目と違って、無数に近い無関係な異種要素からなり、また、相互に重複することも多いため、電算化用にデータベース化するのが極めて困難な因子である。即ち、単に発症条件を画一的に格納しても有効な検索を行うことができず、また、有効な検索を行うための識別子(ID)等を付与しようとしても、数百以上の識別子が必要となり現実的なデータベースを構成することができない。
また、上記のように、随伴固有変動に関しては、検査項目・疾患名・発症条件の3因子で変動する三次元データ構造を有しているため、かかる三次元データ構造のままで二次元配列の検査配列表に疾患名と検査項目名と検査変動とを関連付けてデータ表示するには、必要な発症条件ごとのデータ抽出処理を追加し、抽出した発症条件を疾患名と関連付けて表示する必要がある。
しかし、上記のように発症条件のデータベース化が困難であるため、漏れの少ない抽出操作は困難である。
なお、全疾患・全検査項目に通用する結合疾患名の作成は、臓器名や固有併発症ごとの詳細な検査変動などに精通した医師が行わない限り不可能であり、人工知能等によって電算的に作成することは非常に困難である。
本発明では、かかる特質を有する発症条件については、医師が予め疾患ごとの発症条件を把握して結合疾患名を作成し、その結合疾患名を固有変動表に格納している。
Ab−8)結合疾患名による発症条件抽出処理の省略
これに対して、本発明は、上記のように本来は三次元構造であるデータを、結合疾患名を導入することで二次元データ構造として固有変動表に予め格納するようにしたため、三次元データ構造の場合のような発症条件に応じた抽出処理を行う必要がなく、必要な疾患ごとの検査項目と検査変動を1回の抽出処理で固有変動表から抽出して検査配列表に表示することができ、疾患ごとに目的とする検査項目の全てを漏らすことなく抽出することが可能である。
これにより、検査項目・疾患名・発症条件からなる三次元データ構造のままで疾患ごとの必要な検査項目及び検査変動を抽出する場合と比較して、システム構成を各段に簡略化することができると共に、後述するように、従来にない極めて有用な効果を種々発揮することができる。
Ac:鑑別検査用の検査種別(肯定用検査・否定用検査・全身用検査)
固有変動表には、疾患ごとの各検査項目に対して、その検査が当該疾患を肯定できる肯定用検査であることを示す識別子(例えば、「肯定」または「1」等)と、その検査が当該疾患の鑑別疾患を肯定することにより当該疾患を否定できる否定用検査であることを示す識別子(例えば、「否定」または「3」等)と、その検査が肯定用検査でも否定用検査でもない(主に当該疾患の発症条件に応じた随伴固有変動を確認するための検査である)ことを示す識別子(例えば、「全身」または「2」等)とが関連付けて格納されている。
ここで、肯定用検査は、その検査動向に対応する疾患(例えば、疾患A)の固定固有変動が格納されており、その固定固有変動を確認することにより疾患Aの存在を肯定できる検査である。
一方、否定用検査は、その検査動向に対応する疾患の鑑別疾患(例えば、疾患Aの鑑別疾患B)の固定固有変動が格納されており、その固定固有変動を確認することにより鑑別疾患Bの存在を肯定することで、疾患Aの存在を否定できる検査である。
また、全身用検査は、肯定用検査にも否定用検査にも分類できない検査で、その検査動向に格納されるのは、疾患の随伴固有変動が大半であり、その随伴固有変動を確認することにより疾患の発症条件を特定して治療法の選択に寄与することができる検査である。なお、全身用検査の検査動向には固定固有変動も格納されることがあるが、全身用検査は主に随伴固有変動型検査からなる。また、実施の問題の多い遺伝子検査、侵襲性の高い検査、その検査を実施しなくても他の検査で確定診断できる検査等を、通常時の実施を避ける目的で全身用検査として格納している。したがって、全身用検査は、他の検査で確定診断できないときに限り使用することになる検査である。
即ち、本発明の固有変動表では、各疾患に対して、これらの肯定用検査、全身用検査及び否定用検査が関連付けて格納されている。
これらの肯定用検査、全身用検査及び否定用検査からなる検査種別は、後述する鑑別検査処理で検査項目に関連付けて抽出され、検査配列表に表示される。
一方、後述する症候検査処理では、検査種別は必要ないため、抽出されない。
Ad:固有変動表(固有変動マスタファイル)の代表例
上記で説明した固有変動表の代表例を図1に示す。固有変動表中、「疾患」の項目欄(データ列)には、全ての疾患(正式病名)が格納され、各疾患に対応する全ての検査項目が「検査項目」の項目欄(データ列)に関連付けて格納され、各行の疾患及び検査項目の対に対応する検査動向が「検査動向」の項目欄(データ列)に関連付けて格納されている。下記の固有変動表は、説明の便宜上、そのうちの一部(疾患A及び疾患Bに相当する部分)のみを表示している。また、説明の便宜上、疾患Aの後に疾患Aの鑑別疾患である疾患Bを表示しているが、固有変動表はリレーショナルデータベースのテーブルとして実現可能であるため、通常のリレーショナルデータベースにおけるテーブル(表)と同様、疾患の並び順は任意である。また、「種別」の項目欄(データ列)には、前記鑑別検査で検査配列表に指定した疾患(想定した診断名)に対応して表示する検査項目を前記肯定用検査、否定用検査及び全身用検査のいずれかに区別及び整列すると共に、肯定用検査、否定用検査及び全身用検査のそれぞれを表す記号を付して表示するためのデータ(以下、「検査種類データ」ということがある。)が、疾患と検査項目との各対に対応して格納されている。また、「検査動向」の項目欄(データ列)には、疾患と検査項目との各対に対応する検査変動の内容が説明文形式で格納されている。なお、下記固有変動表の例では、説明の便宜上、括弧書き部分(「本疾患」、「(疾患Aの固定固有変動の説明文)」等の注記)を記載しているが、実際の固有変動表ではこれらの注記はなく、また、疾患Bの検査動向中の「(疾患Aの鑑別疾患)」)といった注記も、疾患Bが疾患Aの鑑別疾患であることを説明するために記載したものであり、実際の固有変動表ではこれらの注記はない。各疾患についての鑑別疾患については後記鑑別疾患マスタファイルを使用して一連の鑑別疾患群を抽出・整列できるため、このような注記は必要ない。
なお、同一の検査項目(下記固有変動表中の検査1、検査7)が複数の疾患(疾患A、疾患B)の検査として使用されるが、例えば、診断名として疾患Aを想定して鑑別検査をする場合、検査1〜3の肯定用検査の検査結果を複数項目比較検討し、それらが陽性となれば当初の診断名(疾患A)を肯定することになり、それらの検査結果が陰性となれば当初の診断名(疾患A)を否定することになる。この場合、検査7が陽性となれば疾患Bが目的疾患、検査8が陽性となれば疾患Cが目的疾患、検査9が陽性となれば疾患Dが目的疾患であるとして診断名を是正することができる。(cより修正後移動)
また、各疾患の否定用検査の検査動向には、鑑別疾患の固定固有変動の説明文が格納されることに加え、「本疾患及び他の鑑別疾患では特異的変動なし」のように、当該疾患及び他の鑑別疾患で特異的に変動しないことを説明する説明文が格納される。これにより、その否定用検査の検査動向を確認して、該当する鑑別疾患を肯定すると共に、本疾患及び他の鑑別疾患の存在を明確に否定することができる。(cより移動)
更に、固有変動表には、各疾患の全検査項目中で初回から実施することが望ましい検査項目(以下、「初動検査」ということがある。)に対して、初動検査であることを表すデータを関連付けて格納し、それらの検査項目については初動検査であることを示す記号を付して検査配列表に表示するようにしてもよい(例えば、「初動検査」の項目欄(データ列)を追加して「1(初動検査)」、「0(初動検査以外)」といったデータを格納することができる)。
Ae:定型検査
症候検査では、後述する症候群マスタファイルを使用して症候ごとにその症候を呈する全ての疾患(疾患群)を収集すると共に、収集した疾患ごとに対応する検査項目を固有変動表から収集し、これらの検査項目を定型検査として使用する。なお、症候検査では、鑑別検査のように、検査項目を肯定用検査等に区分して抽出することはない。また、固有変動表から収集した疾患ごとの検査項目についての検査動向は、そのままでは1症候について相当の数となり、検査配列表にそのまま表示すると逆に確認が煩雑となるため、後述する臨床マスタファイルにおいて検査項目ごとに集約して表現し直した後、対応する疾患に関連付けて格納している。
更に、症候検査では、症候ごとに収集した疾患群(ある症候を呈する疾患群)について、上述した少数の特異的検査、十分な数の非特異的検査、及び中間的検査を予め特定し、初回から実施することが望ましい検査(初動検査)として選別しておき、検査配列表では初動検査であることを表す記号を付して表示する。初動検査は、生化学検査を中心とする安価で侵襲性の低い検査項目が主体となる。したがって、症候検査時の検査配列表では、指定した症候に属する疾患を診断するための全検査項目のうち、初動検査となる検査項目に対応する記号が付して表示され、それらの検査を実施しておけば、初回検査で1〜数疾患に絞り込むことが安価にできるようになっている。また、検査配列表には初動検査以外の検査項目も全て表示されるが、これらの検査は、再確認したり1疾患に絞り込む場合等、必要性に応じて2回目以降の検査で使用する検査項目に相当し、高価な検査項目や侵襲性の高い検査項目が主体となっている。
なお、鑑別検査においても、症候検査と同様、鑑別疾患群(診断名及びその鑑別疾患)ごとに、少数の特異的検査、十分な数の非特異的検査、及び中間的検査を予め特定し、初回から実施することが望ましい検査(初動検査)として選別しておき、検査配列表では初動検査であることを表す記号を付して表示する。したがって、鑑別検査時の検査配列表でも、指定した症候に属する疾患を診断するための全検査項目のうち、初動検査となる検査項目に対応する記号が付して表示されるようになっている。
B:症候対応疾患群格納手段(症候群マスタファイルに相当)
B−1)症候ごとの疾患群の格納
症候対応疾患群格納手段は、ある症候が発症したときに発病が想定される全ての疾患を当該症候対応の疾患群として当該症候に関連付けて格納する。
症候群マスタファイルは、症候ごとにその症候を呈する全ての疾患を関連付けて格納するが、症候ごとに、更に、「疾患概要」として当該症候に属する疾患ごとの発症条件を中心とした説明文(従来の医学書において当該症候及び疾患群について記載されているものと同様の説明文)が関連付けて明記して格納される。また、症候検査において指定した症候の全疾患の検査項目及び検査変動を検査配列表に表示するときに、検査配列表の近傍に、当該症候の疾患概要を表示する疾患概要表示欄が合わせて表示される。同時に、検査配列表の検査動向の欄にも、各検査項目ごとの検査変動が結合疾患名を使用して表示されるため、利用者である医師等が、検査配列表の検査変動の説明文と疾患概要表示欄の疾患概要の説明文とを合せて確認することで、診断時の理解を助けるようになっている。
即ち、本発明では、症候群マスタファイルの各症候に関連付けて当該症候の疾患概要を格納するようになっている。(例えば、症候群マスタファイルに「疾患概要」の項目欄(データ列)を設ける。)
B−2)症候対応疾患群格納手段の例
症候対応疾患群格納手段としての症候群マスタファイルの代表例を図2に示す。なお、上記のとおり、本発明では、通常は1疾患が複数の症候に属する構成としているため、下記症候群マスタファイルのように、例えば、疾患A及び疾患Bが症候イ及び症候ロに関連付けて格納されることになる。
C:鑑別疾患格納手段(鑑別疾患マスタファイルに相当)
C−1)疾患ごとの鑑別疾患の格納
鑑別疾患格納手段は、各疾患についての鑑別疾患を当該疾患対応の鑑別疾患群として当該疾患に関連付けて格納する。
C−2)鑑別疾患格納手段の例
鑑別疾患格納手段としての鑑別疾患マスタファイルの代表例を図3に示す。
D:臨床マスタファイル
D−1)検査変動の整理・統合
本発明では、上記のように、症候検査及び鑑別検査のいずれでも、固有変動表の検査動向データをそのまま抽出して検査配列表に表示するのではなく、固有変動表の検査動向データを整理統合して臨床マスタファイルに格納している。即ち、症候検査において、各症候には同一の検査項目であっても疾患ごとに異なる検査変動(「検査動向」欄の説明文)が関連付けて格納されているため、このまま固有変動から症候に関連付けられる検査変動を抽出すると、上記のとおり、1症候について相当数の検査変動が検査配列表に表示されて逆に煩雑となるため、1検査項目に属する全ての検査変動を当該検査項目に関連付けて臨床マスタテーブルの「検査動向」の項目欄(データ列)に当該症候と関連付けて1データとして格納している。また、鑑別検査においても、肺炎のような複合疾患(複数の原疾患が発症する疾患)は、同一の検査項目であっても原疾患ごとに異なる検査変動が関連付けて格納されているため、このまま固有変動から症候に関連付けられる検査変動を抽出すると、上記のとおり、1症候について相当数の検査変動が検査配列表に表示されて逆に煩雑となるため、やはり、1検査項目に属する全ての検査変動を当該検査項目に関連付けて臨床マスタテーブルの「検査動向」の項目欄(データ列)に当該疾患(複合疾患)と関連付けて1データとして格納している。そして、症候検査で指定した症候の疾患群または鑑別検査で指定した疾患の鑑別疾患群に関するデータ(検査項目名、検査動向等)を臨床マスタファイルから抽出して、それらを検査配列表に列挙表示するようにしている。
これにより、検査配列表に表示した1検査項目の検査動向欄中に複数の検査変動が一連に表示されることになり、それらの検査変動を比較検討(複数項目比較検討)することが容易となる。
D−2)臨床マスタファイルの代表例
臨床マスタファイルの代表例を図4に示す。なお、下記の臨床マスタファイル中、「疾患(症候)」の項目欄(データ列)には、全ての疾患(正式病名)または症候(症候名)が格納され、各疾患に対応する全ての検査項目または各症候に属する全ての検査項目が「検査項目」の項目欄(データ列)に関連付けて格納され、各行の疾患(症候)及び検査項目の対に対応する検査動向が「検査動向」の項目欄(データ列)に関連付けて格納されている。下記の固有変動表は、説明の便宜上、そのうちの一部(疾患A、疾患(複合疾患)X、症候イに相当する部分)のみを表示している。また、説明の便宜上、疾患Aの後に疾患(複合疾患)X、症候イを表示しているが、上記のとおり、疾患や症候の並び順は任意である。また、鑑別検査用の検査項目には、「種別」の項目欄(データ列)に、前記肯定用検査、否定用検査及び全身用検査のいずれかの検査種類データが、疾患と検査項目との各対に対応して格納されている。なお、症候検査また、「検査動向」の項目欄(データ列)には、疾患または症候と検査項目との各対に対応する検査変動の内容が説明文形式で格納されているが、この検査変動の内容は、上記のとおり、症候については1検査項目に属する複数の検査変動を整理統合した説明文形式であり、複合疾患についても1検査項目に属する複数の検査変動を整理統合した説明文形式である。なお、下記固有変動表の例では、説明の便宜上、括弧書き部分(「(原疾患)」、「(疾患Aの固定固有変動の説明文)」等の注記)を記載しているが、実際の固有変動表ではこれらの注記はない。
E:検査項目別固有変動抽出表示手段(検査配列表に相当)
Ea:表形式による病態説明
医学書で最も主要な部分に当る疾患の病態説明を、医学書が一般的な説明文形式で表現するのに対して、本発明は、固有変動表を利用して、下記の検査配列表による検査変動(検査動向)の一覧表として表現する。
検査配列表は、抽出した疾患用の検査項目について、その検査項目名を表示する「項目名」の表示欄と、その検査変動を表示する「検査動向」の表示欄とを備えている。
なお、上記のとおり、随伴固有変動が固定固有変動の数倍の数(約3倍以上)存在し、実際に検査配列表にもその割合で表示されている。したがって、随伴固有変動は本システムで非常に重要な役割を担い、特に、入院検査や重症疾患の臨床業務では、詳細な鑑別検査や確認検査が主目的のため、実際に随伴固有変動を活用することが多い。しかし、以下の説明における鑑別検査や症候検査では、単なる診断を目的としているので、固定固有変動の比較検討で間に合う場合が多い。したがって、定型検査では主に固定固有変動だけで説明されている。
Eb:症候検査と鑑別検査
Eb1)症候検査の場合
Eb1−1)検査変動(固定固有変動及び随伴固有変動)の抽出
検査項目別固有変動抽出表示手段は、前記症候対応疾患群格納手段に格納した症候のいずれかが指定されたときは、前記症候対応疾患群格納手段から当該指定に係る症候に関連付けた前記症候関連の疾患群(全ての病名)を抽出する。また、抽出した疾患群の各疾患名に基づき、前記固有変動格納手段から、当該疾患群の各疾患に関連付けた検査項目(全ての検査項目名)を抽出し、かつ、抽出した検査項目の各々に関連付けた検査変動としての固定固有変動及び随伴固有変動(各固有変動の説明文)を抽出する。
Eb1−2)検査項目に対応付けた検査変動(固定固有変動・随伴固有変動)の一括表示
そして、検査項目別固有変動抽出表示手段は、抽出した検査項目を列挙表示すると共に、列挙表示した各検査項目に対応付けて、当該各検査項目について抽出した全ての前記固定固有変動及び前記随伴固有変動を一括表示する。
このとき、各検査項目について抽出した1以上の固定固有変動は、それぞれ、当該検査項目が各固定固有変動を発現したときに発病が推定される1つの疾患名(前記疾患群中の疾患名)と対応付けて当該疾患名と共に「検査動向」欄に表示される。
これに加え、各検査項目について抽出した各随伴固有変動が、当該検査項目が各随伴固有変動を発現したときに発生が推定される1つの疾患名の1つ以上の発症条件(前記疾患群中の疾患の発症条件)と対応付けて当該疾患名及び当該発症条件と共に「検査動向」欄に表示される。
これにより、列挙表示した各検査項目の固定固有変動を確認することにより、指定した症候に係る疾患群から発病が想定される疾患名を特定することができることに加え、列挙表示した各検査項目の随伴固有変動を確認することにより、発病が想定された疾患名についての発症条件をも同時に特定することができ、発症条件に応じた治療法の選択が可能となる。
Eb1−3)同一疾患名の複数の検査項目での表示
更に、症候検査で一つの症候を指定すると当該症候に関連付けた全ての疾患が抽出される一方、抽出した疾患の各々について、当該疾患に関連付けた2個以上の定型検査としての固定固有変動型検査が抽出され、これら2個以上の定型検査としての固定固有変動型検査が検査配列表に一覧表示される。即ち、指定した症候に属する疾患の各々について、当該疾患に関連付けた検査項目名と検査変動とが検査配列表に列挙表示される(検査項目名が「項目名」欄に、検査変動が「検査動向」欄にそれぞれ表示される)。
このとき、各疾患について2個以上の検査項目が抽出されることになるため、検査配列表では、2個以上の検査項目の検査変動中に同一の疾患名がその検査変動(固定固有変動)と共に表示されることになる。
これにより、症候検査で定型検査のみを検査実施した場合であっても、指定した症候に属する疾患の各々について、複数の固定固有変動型検査の検査変動(固定固有変動)を確認して当該疾患の発病を判断することができ、検査変動により発見すべき疾患の見落としを効果的に防止することができる。また、同一疾患について複数の検査項目(固定固有変動型検査)の検査変動を比較検討することができ、疾患によってはその場でその疾患であるかどうか確定診断することも可能となる。
Eb1−4)同一検査項目での複数疾患(鑑別疾患)の異なる検査変動の表示
また、症候検査で一つの症候を指定すると当該症候に関連付けた全ての疾患が抽出される一方、抽出した疾患において、同一の検査項目によって鑑別可能な全ての疾患(鑑別疾患群)とその検査変動とが当該検査項目に関連付けて表示される(検査項目名が「項目名」欄に、検査変動が「検査動向」欄にそれぞれ表示される)。即ち、検査配列表の一つの検査項目の「検査動向」欄中に、当該検査によって相互に鑑別可能な複数の疾患の検査変動が表示される。
換言すれば、一つの検査項目において、特定の検査変動を呈する一つ以上の疾患の疾患名が当該検査変動に関連付けて「検査動向」欄に表示される一方、当該特定の検査変動と異なる検査変動を呈する他の疾患の疾患名が当該異なる検査変動と関連付けて「検査動向」欄に表示される。
これにより、前記特定の検査変動に関連付けて表示される疾患と、前記異なる検査変動と関連付けて表示される疾患とは、その検査項目の検査結果を「検査動向」欄の検査変動と比較することによって鑑別可能となる。
例えば、同一検査項目で、1以上の疾患(第1の疾患または第1の疾患群)が第1の検査変動(検査値上昇等)を呈する一方、他の1以上の疾患(第2の疾患または第2の疾患群)が第1の検査変動と異なる第2の検査変動(検査値下降等)を呈する場合、それら2種類の検査変動が同一検査項目の検査変動として表示される。例えば、「疾患Aは***の検査変動(検査値上昇等)、疾患B,Cは***の検査変動(検査値下降等)」との表示が検査動向の欄になされる。この場合、その検査項目の検査結果が第1の検査変動となるか第2の検査変動となるかを確認することにより、該当疾患が第1の疾患(第1の疾患群)に属するか第2の疾患(第2の疾患群)に属するかを鑑別することができる。
したがって、同一検査項目の検査変動を確認することで、似て間違いやすい複数の疾患をそれぞれの検査変動により鑑別して絞込むことができる。また、同一疾患名が複数の検査項目の検査変動中に表示されることとあいまって、複数の検査項目にわたって似て間違いやすい複数の疾患間での鑑別作業を行うことができ、鑑別の精度を高めることができる。
また、このとき、複数の疾患が同一の検査変動を呈するときは、これら複数の疾患については、同一の検査変動が関連付けて表示される。例えば、「疾患A,B,Cは***の検査変動(検査値上昇等)」との表示が検査動向の欄になされる。
更に、このとき、同一検査項目で、1以上の疾患(第1の疾患または第1の疾患群)が第1の検査変動(検査値上昇等)を呈する一方、他の1以上の疾患(第2の疾患または第2の疾患群)が特有の検査変動を呈しない場合(即ち、特異的な検査変動がない場合)、前記第1の検査変動に加えて、他の疾患が特異的な検査変動を呈しない点も表示される。例えば、「疾患A,B,Cは***の検査変動(検査値上昇等)、疾患D,E,Fには特異的変動なし。」、または、「疾患A,B,Cは***の検査変動(検査値上昇等)、その他の疾患(疾患A,B,C以外の全ての疾患)には特異的変動なし。」との表示が検査動向の欄になされる。
このように、第1の疾患または第1の疾患群については特異的な第1の検査変動を呈するとの表示をする一方で、第2の疾患または第2の疾患群(或いは、その他の全ての疾患)については特異的な変動がないことを表示することで、前記第1の疾患または第1の疾患群が発病に係る疾患であることを即座に特定することができる。
Eb1−5)検査変動(固有変動)の種別に応じた表示配置
症候検査では、検査配列表に表示される症候対応の検査項目は、その検査変動の種別に応じて、検査配列表の上から下へと、固定固有変動型検査及び随伴固有変動型検査の順に並ぶように表示される。
Eb1−5−1)固定固有変動型検査
まず、検査配列表の一番上から下へと、抽出疾患の固定固有変動を確認してその発病を判断するための一連の固定固有変動型検査が表示される。この最初に表示される一連の固定固有変動型検査は、抽出した各疾患についての固定固有変動を複数項目比較検討できるよう表示される。即ち、抽出した疾患の一つ(例えば、疾患A)についての一連の検査項目名とその固定固有変動とが、検査配列表の上から下へと連続的に列挙表示される。
したがって、集合化して列挙表示された一連の検査項目の検査変動(固定固有変動)を複数項目比較検討して、疾患Aについて診断を行うことができる。
また、このとき、上記のように、一つの検査項目について複数の疾患が同一の検査変動を呈するときは、当該検査項目については、当該複数の疾患が同一の検査変動を呈するものとして検査動向欄に表示される(例えば、「疾患A,B,Cは検査値上昇」との表示がされる)。
更に、このとき、同一の検査項目について複数の疾患が異なる検査変動を呈するときは、当該検査項目については、当該複数の疾患が異なる検査変動を呈するものとして検査動向欄に表示される(例えば、「疾患A,B,Cは検査値上昇、疾患D,E,Fは検査値下降」との表示がされる)。
更にまた、このとき、同一の検査項目について第1の疾患が特異的な検査変動を呈する一方で、その他の疾患が特異的な検査変動を呈しないときは、その他の疾患が特異的な変動を呈しないとの表示がされる(例えば、「疾患A,B,Cは検査値上昇、その他の疾患では特異的な変動なし」との表示がされる)。
したがって、集合化して列挙表示された一連の検査項目の検査変動を複数項目比較検討して、各疾患について判断することができる。
Eb1−5−2)随伴固有変動型検査
また、一連の固定固有変動型検査に続いて、抽出疾患の随伴固有変動を確認してその発症条件を判断するための一連の随伴固有変動型検査が上から下へと表示される。この随伴固有変動型用検査については、抽出疾患についての一連の検査項目名とその随伴固有変動とが、検査配列表の上から下へと連続的に列挙表示される。
したがって、集合化して列挙表示された一連の検査項目の検査変動(抽出疾患の随伴固有変動)を確認して、抽出疾患の発症条件(罹患臓器、固有併発症等)について判断を行うことができる。
Eb1−6)検査配列表の例
上記で説明した症候検査で表示する検査配列表の代表例を図5に示す。
なお、該当疾患が固定固有変動型検査、随伴固有変動型検査のいずれであるかを示す識別子(「固定」、「随伴」または「1」、「2」等)を設けて「種別」の欄に表示してもよいが、実際のシステムでは係る識別子は設けていない(検査配列表への表示もされない)。これは、随伴固有変動は発症条件を付した結合疾患名として表示されるため、固定固有変動と簡単に区別することができ、あえて固定固有変動と随伴固有変動を区別して格納する必要がないためである。ただし、固定固有変動と随伴固有変動を識別してデータ抽出する等の必要性が生じれば、それらに識別子を付して区別して格納することも可能である。
Eb2)鑑別検査の場合
Eb2−1)検査変動(固定固有変動及び随伴固有変動)の抽出
一方、検査項目別固有変動抽出手段は、前記固有変動格納手段に格納した疾患のいずれかが指定されたときは、前記鑑別疾患格納手段から当該指定に係る疾患に関連付けた当該疾患関連の鑑別疾患群を抽出すると共に、前記固有変動格納手段から、前記指定に係る疾患に関連付けた検査項目を抽出し、かつ、抽出した検査項目の各々に関連付けた検査変動としての固定固有変動及び随伴固有変動を抽出する一方で、前記鑑別疾患群の各疾患に関連付けた検査項目を抽出し、かつ、抽出した検査項目の各々に関連付けた検査変動としての固定固有変動及び随伴固有変動を抽出する。
Eb2−2)検査項目に対応付けた検査変動の一括表示
そして、検査項目別固有変動抽出手段は、抽出した検査項目を列挙表示すると共に、列挙表示した各検査項目に対応付けて、当該各検査項目について抽出した全ての前記固定固有変動及び前記随伴固有変動を一括表示する。
このとき、抽出した検査項目のうち、前記指定に係る疾患名に関連付けた各検査項目の固定固有変動は、当該検査項目がその固定固有変動を発現したときに当該指定に係る疾患の発病が推定されるとして、当該指定に係る疾患名と対応付けて当該疾患名と共に表示される。また、前記指定に係る疾患名に関連付けた各検査項目の随伴固有変動は、当該検査項目が各随伴固有変動を発現したときに当該指定に係る疾患について対応する発症条件の発生が推定されるとして、当該指定に係る疾患名の当該発症条件と対応付けて当該疾患名及び当該発症条件と共に表示される。
これにより、列挙表示した各検査項目の固定固有変動のうち前記指定に係る疾患の固定固有変動を確認することにより、指定に係る疾患が発病したか否かを特定することができ、また、列挙表示した各検査項目の随伴固有変動のうち前記指定に係る疾患の随伴固有変動を確認することにより、発病が想定された前記指定に係る疾患名についての発症条件を特定することができ、発症条件に応じた治療法の選択が可能となる。
また、抽出した検査項目のうち、前記鑑別疾患群の各疾患(指定疾患の鑑別疾患)に関連付けた検査項目の各固定固有変動は、当該検査項目がその固定固有変動を発現したときに当該疾患の発病が推定されるとして、当該鑑別疾患名と対応付けて当該鑑別疾患名と共に表示される。一方、前記鑑別疾患群の各疾患(指定疾患の鑑別疾患)に関連付けた検査項目の各随伴固有変動は、当該検査項目が各随伴固有変動を発現したときに当該疾患について対応する発症条件の発生が推定されるとして、当該鑑別疾患名の当該発症条件と対応付けて当該鑑別疾患名及び当該発症条件と共に表示される。
そして、列挙表示した各検査項目に対応付けて表示する検査変動には、前記指定に係る疾患名の検査変動とその鑑別疾患の検査変動とを並列表示する。これにより、同一検査項目の検査変動を確認することで、指定した疾患とその鑑別疾患とをそれぞれの検査変動により鑑別して、鑑別診断を除外していくことにより指定した疾患の発病を最終的に確認して確定診断まで進むことが可能となる。
一方、検査変動の確認により指定した疾患が除外される場合は、その鑑別疾患群の各鑑別疾患の検査変動を確認していくことで、特定の鑑別疾患の発病を最終的に確認してその場で正しい診断名に是正することができる。
Eb2−3)同一疾患名の複数の検査項目での表示
更に、鑑別検査で一つの疾患を指定すると当該疾患が抽出されると共に当該疾患に関連付けた全ての鑑別疾患が抽出される一方、抽出した疾患(指定疾患及びその鑑別疾患)の各々について、当該疾患に関連付けた2個以上の定型検査としての固定固有変動型検査が抽出され、これら2個以上の定型検査としての固定固有変動型検査が検査配列表に集合化して表示される(この固定固有変動型検査として、平均すると数個程度の特異的検査と、それより多くの非特異的検査が表示される)。即ち、指定した疾患とその鑑別疾患の各々について、当該疾患に関連付けた検査項目名と検査変動とが検査配列表に列挙表示される(検査項目名が「項目名」欄に、検査変動が「検査動向」欄にそれぞれ表示される)。
このとき、各疾患について2個以上の検査項目が抽出されることになるため、検査配列表では、2個以上の検査項目の検査変動中に同一の疾患名(指定疾患及びその鑑別疾患)がその検査変動(固定固有変動)と共に表示されることになる。
これにより、鑑別検査では、指定した疾患について、複数の固定固有変動型検査の検査変動(固定固有変動)を複数項目比較検討により確認して当該疾患の発病を判断することができ、検査変動により発見すべき疾患の見落としを効果的に防止することができる。即ち、指定疾患(診断名)について複数の検査項目(固定固有変動型検査)の検査変動を比較検討することができ、指定疾患が正しいかどうかその場で確定診断することができ、また、指定疾患が間違っている場合は、上記のように、その場で正しい診断名に是正できる。
Eb2−4)同一検査項目での鑑別疾患名・検査変動の表示
また、鑑別検査で一つの疾患を指定すると当該疾患が抽出されると共に当該疾患に関連付けた全ての鑑別疾患が抽出される一方、抽出した指定疾患及びその鑑別疾患において、同一の検査項目によって鑑別可能な全ての疾患(鑑別疾患群)とその検査変動とが当該検査項目に関連付けてその検査変動中に表示される(検査項目名が「項目名」欄に、検査変動が「検査動向」欄にそれぞれ表示される)。即ち、検査配列表の一つの検査項目の「検査動向」欄中に、指定疾患と共に当該検査によって鑑別可能な鑑別疾患の検査変動が表示される。
換言すれば、一つの検査項目において、指定疾患と同一の検査変動を呈する一つ以上の鑑別疾患の疾患名が指定疾患の疾患名と共に当該検査変動に関連付けて「検査動向」欄に表示される一方、当該検査変動と異なる検査変動を呈する他の鑑別疾患の疾患名が当該異なる検査変動と関連付けて「検査動向」欄に表示される。
これにより、指定疾患とその鑑別疾患とは、その検査項目の検査結果を「検査動向」欄の検査変動と比較することによって鑑別可能となる。
例えば、同一検査項目で、指定疾患が第1の検査変動(検査値上昇等)を呈する一方、他の1以上の疾患が第1の検査変動と異なる第2の検査変動(検査値下降等)を呈する場合、それら2種類の検査変動が同一検査項目の検査変動として表示される。例えば、「本疾患Aは***の検査変動(検査値上昇等)、疾患B,Cは***の検査変動(検査値下降等)」との表示が検査動向の欄になされる。この場合、その検査項目の検査結果が第1の検査変動となるか第2の検査変動となるかを確認することにより、該当疾患が指定疾患であるか鑑別疾患であるかを判断することができる。
したがって、同一検査項目の検査変動を確認することで、指定疾患と似て間違いやすい鑑別疾患とをそれぞれの検査変動により鑑別することができる。また、指定疾患及びその鑑別疾患の疾患名が、それぞれ、複数の検査項目の検査変動中に表示されることとあいまって、複数の検査項目にわたって指定疾患と似て間違いやすい鑑別疾患との間での鑑別作業を行うことができ、鑑別の精度を高めることができる。
また、このとき、指定疾患と鑑別疾患とが同一の検査変動を呈するときは、これらの疾患については、同一の検査変動が関連付けて表示される。例えば、「本疾患Aと疾患B,Cとは***の検査変動(検査値上昇等)」との表示が検査動向の欄になされる。
更に、このとき、同一検査項目で、指定疾患を含む1以上の疾患(第1の疾患または第1の疾患群)が第1の検査変動(検査値上昇等)を呈する一方、他の1以上の疾患(第2の疾患または第2の疾患群)が特有の検査変動を呈しない場合(即ち、特異的な検査変動がない場合)、前記第1の検査変動に加えて、他の疾患が特異的な検査変動を呈しない点も表示される。例えば、「本疾患A及び疾患B,Cは***の検査変動(検査値上昇等)、疾患D,E,Fには特異的変動なし。」、または、「本疾患A及び疾患B,Cは***の検査変動(検査値上昇等)、その他の疾患(疾患A,B,C以外の全ての疾患)には特異的変動なし。」との表示が検査動向の欄になされる。
このように、指定疾患を含む第1の疾患または第1の疾患群については特異的な第1の検査変動を呈するとの表示をする一方で、指定疾患を含まない第2の疾患または第2の疾患群(或いは、その他の全ての疾患)については特異的な変動がないことを表示することで、指定疾患を含む第1の疾患または第1の疾患群が発病に係る疾患であることを即座に特定することができる。
逆に、同一検査項目で、本指定疾患を含まない1以上の疾患(第1の疾患または第1の疾患群)が第1の検査変動(検査値上昇等)を呈する一方、本疾患を含む他の1以上の疾患(第2の疾患または第2の疾患群)が特有の検査変動を呈しない場合(即ち、特異的な検査変動がない場合)、前記第1の検査変動に加えて、他の疾患が特異的な検査変動を呈しない点も表示される。例えば、「疾患D,E,Fは***の検査変動(検査値上昇等)、本疾患A及び疾患B.Cには特異的変動なし。」、または、「疾患D,E,Fは***の検査変動(検査値上昇等)、本疾患A及びその他の疾患(疾患E,D,R以外の全ての鑑別疾患)には特異的変動なし。」との表示が検査動向の欄になされる。
このように、指定疾患を含まない第1の疾患または第1の疾患群については特異的な第1の検査変動を呈するとの表示をする一方で、指定疾患を含む第2の疾患または第2の疾患群(或いは、その他の全ての疾患)については特異的な変動がないことを表示することで、指定疾患が該当疾患でない(診断が間違っており他の疾患が該当疾患である)と推定することができる。
Eb2−5)検査変動(固有変動)の種別に応じた表示配置
鑑別検査では、検査配列表に表示される検査項目は、その検査変動の種別に応じて、検査配列表の上から下へと、肯定用検査、全身用検査及び否定用検査の順に並ぶように表示される。
Eb2−5−1)肯定用検査(指定疾患の固定固有変動型検査)
まず、検査配列表の一番上から下へと、指定疾患の固定固有変動を確認してその発病を判断するための一連の肯定用検査が表示される。この最初に表示される一連の肯定用検査は固定固有変動型検査からなり、抽出した指定疾患についての固定固有変動を複数項目比較検討できるよう表示される。即ち、指定した疾患についての一連の検査項目名とその固定固有変動とが、検査配列表の上から下へと連続的に列挙表示される。
したがって、集合化して列挙表示された一連の検査項目の検査変動(指定疾患の固定固有変動)を複数項目比較検討して、指定疾患について確定診断を行うことができる。
このとき、一つの検査項目について指定疾患の鑑別疾患が同一の検査変動(固定固有変動)を呈するときは、当該検査項目については、当該鑑別疾患が同一の検査変動を呈するものとして検査動向欄に表示される(例えば、「本疾患A及び疾患B,Cは検査値上昇」との表示がされる)。
また、このとき、同一の検査項目について指定疾患と鑑別疾患とが異なる検査変動(固定固有変動)を呈するときは、当該検査項目については、指定疾患と鑑別疾患とが異なる検査変動を呈するものとして検査動向欄に表示される(例えば、「本疾患Aは検査値上昇、疾患B,C,D,Eは検査値下降」との表示がされる)。
更に、このとき、同一の検査項目について指定疾患が特異的な検査変動(固定固有変動)を呈する一方で、鑑別疾患が特異的な検査変動(固定固有変動)を呈しないときは、鑑別疾患が特異的な変動を呈しないとの表示がされる(例えば、「本疾患Aは検査値上昇、その他の疾患では特異的な変動なし」との表示がされる)。
したがって、集合化して列挙表示された一連の検査項目の検査変動を複数項目比較検討して、本疾患と鑑別疾患とについての鑑別を行うことができる。
Eb2−5−2)全身用検査(指定疾患の随伴固有変動型検査)
また、一連の肯定用検査に続いて、指定疾患の随伴固有変動を確認してその発症条件を判断するための一連の全身用検査が上から下へと表示される。この全身用検査は随伴固有変動型検査からなり、指定した疾患についての一連の検査項目名とその随伴固有変動とが、検査配列表の上から下へと連続的に列挙表示される。なお、上記のように、全身用検査には一部固定固有変動型検査もある。
したがって、集合化して列挙表示された一連の検査項目の検査変動(指定疾患の随伴固有変動)を確認して、指定疾患の発症条件(罹患臓器、固有併発症等)について判断を行うことができる。
ただし、全身用検査は、上記のように、遺伝子検査や侵襲性の高い検査等が主体となるため、必要性ある場合のみ使用することになる。
Eb2−5−3)否定用検査(鑑別疾患の固定固有変動型検査)
更に、一連の全身用検査に続いて、鑑別疾患の固定固有変動を確認してその発病を判断することにより、指定疾患の非発病を判断するための一連の否定用検査が表示される。この一連の否定用検査は固定固有変動型検査からなる。即ち、各鑑別疾患についての検査項目名とその固定固有変動とが、検査配列表の上から下へと連続的に列挙表示される。
したがって、列挙表示された一連の検査項目の検査変動(鑑別疾患の固定固有変動)を検討して、各鑑別疾患について発病しているか否かを即座に判断することができる(発病している場合は、診断名を是正)。
このとき、一つの検査項目について複数の鑑別疾患が同一の検査変動(固定固有変動)を呈するときは、当該検査項目については、当該複数の鑑別疾患が同一の検査変動を呈するものとして検査動向欄に表示される(例えば、「疾患B,Cは検査値上昇」との表示がされる)。
また、このとき、同一の検査項目について複数の鑑別疾患が異なる検査変動(固定固有変動)を呈するときは、当該検査項目については、複数の鑑別疾患が異なる検査変動を呈するものとして検査動向欄に表示される(例えば、「疾患Bは検査値上昇、疾患C,D,Eは検査値下降」との表示がされる)。
更に、このとき、同一の検査項目について特定の鑑別疾患が特異的な検査変動(固定固有変動)を呈する一方で、指定疾患及び他の鑑別疾患が特異的な検査変動(固定固有変動)を呈しないときは、指定疾患及び他の鑑別疾患が特異的な変動を呈しないとの表示がされる(例えば、「疾患Bは検査値上昇、本疾患A及びその他の疾患では特異的な変動なし」との表示がされる)。
Eb2−6)検査配列表の例
上記で説明した鑑別検査で表示する検査配列表の代表例を図6に示す。
なお、上記固有変動表を「検査項目」と「疾患名」と「発症条件」との対比付けで説明すると、図7に示すように、各検査項目について対応する疾患名ごと及び各疾患の発症条件ごとに、それぞれ、特有の固有変動がデータとして存在する三次元構造の表になる。なお、発症条件は、疾患ごとに無数に存在するわけではなく、疾患に応じた種類の(各疾患に固有の)発症条件が存在し、固有の疾患に特異的に近いほど発症しやすい(固有の疾患に特異的に近いほど発症条件の症状が出現しやすい)という性質がある。このように、本固有変動格納手段では、各検査動向について常に疾患ごとの発症条件を考慮して操作するために、「固有変動」を「固定固有変動」と「随伴固有変動」とに区分(二分)して、各検査動向に対応する疾患ごとに関連付けて表現して格納している。即ち、「固定固有変動」とは、原疾患(一疾患名)で特異的に変動する(常に変動する)固有変動のことをいう。「随伴固有変動」とは、原疾患の発症条件に応じて、即ち、発症条件が発生してはじめて変動する固有変動のことをいう。このように、本システムは、固有変動表を応用することで、各種症候検査・鑑別検査として関連しうる全ての検査動向の表示(立方体のデータ構造)が可能となり、従来の医学書等を参照した孫引き操作が不要となり、また、複数項目比較検討項目の表示も可能となる(関与する固定固有変動にチェックを入れて検査配列表の先頭に表示する)。更に、定型検査の組立、統括表を使った7種検索(全疾患・全検査項目に関する固定固有変動の検索)等の電算処理が可能となる。
3.発明の要旨
1)発明の特徴及び特有の作用効果
上記のように、本件発明に係る臨床診断支援システムは、従来の臨床診断支援システムでは疾患ごとの診断が主目的であるのに対して、随伴固有変動、発症条件、結合疾患名、固有変動表、検査配列表、複数項目比較検討、症候検査、鑑別検査、定型検査、症候群マスタファイル、臨床マスタファイル等、過去の臨床診断支援システムに使用されたことのない数々の新規な構成を採用している。要するに、本発明に係る臨床診断支援システムは、その要旨として、下記の特徴A〜Dを備え、これにより、特有の効果Eを発揮する。
A:固有変動表
固有変動表は、各疾患に対して、その疾患自体の発病を確認するための検査項目である固定固有変動型検査の検査項目名とその検査変動(検査結果の変動内容)である固定固有変動を関連付けて格納することに加え、その疾患の発症条件を確認するための検査項目である(従来はその疾患自体の同定用には使用されていない)随伴固有変動型検査の検査項目名とその検査変動である随伴固有変動をも当該疾患に関連付けて格納する。なお、固定固有変動及び随伴固有変動は、いずれも、対応する検査項目の検査結果の変動内容を最小単位となるよう細分化して表現したものである。
B:検査配列表
検査配列表は、各疾患について当該疾患に関連付けた全ての固定固有変動型検査の検査項目名及び全ての随伴固有変動型検査の検査項目名を当該疾患と対応付けて順に表示すると共に、各固定固有変動型検査の検査項目名にその固定固有変動を関連付けて表示し、かつ、各随伴固有変動型検査の検査項目名にその随伴固有変動を関連付けて表示する。なお、検査配列表は、当該疾患に関連付けた固有変動表の固有変動をそのまま抽出して表示するのではなく、当該疾患に関連付けた固有変動表の固有変動を集約して表現した一連の固有変動(集約化固有変動)を格納する臨床マスタから当該疾患の集約化固有変動を抽出して表示する。
C:結合疾患名による検査・疾患・発症条件の三次元データ構造の二次元化
このとき、検査配列表は、随伴固有変動には該当する疾患名とその発症条件とを表す結合疾患名を関連付けて表示し、固定固有変動には該当する疾患名のみ(発症条件のない結合疾患名)を関連付けて表示する。
D:複数項目比較検討
また、このとき、検査配列表は、一疾患について少なくとも2以上の固定固有変動を抽出して表示することで、一疾患について2以上の固定固有変動を相互に比較検討して診断すること(複数項目比較検討)を可能とする。
E:特有の効果
上記A〜Dの構成により、疾患自体の確認用としては従来は使用されていない(疾患に関連した合併症や罹患臓器の確認等に使用されている)随伴固有変動型検査を、その検査変動である随伴固有変動と共に疾患に関連付けて抽出・表示することができる。その結果、固定固有変動型検査及び随伴固有変動型検査の固定固有変動により疾患名を確定診断することができることに加え、随伴固有変動型検査の随伴固有変動を確認することにより当該疾患の発症条件を確認することができ、確認した発症条件に基づいて当該疾患についての有効な治療法を選択することができる。
特に、上記Cの構成により、検査項目・疾患名・発症条件の3要素からなる三次元構造のデータを、疾患名及び発症条件の2要素を一次元化することで二次元構造(表形式)のデータとして固有変動表に格納し、かつ、検査配列表に表示することができる。
2)特徴のまとめ
従来の臨床検査システムの大半が当初から自動診断を目的としてきたのに対し、本発明では、種々の変動因子をそれ以上分類できない単位まで細分化・単一化したまま、それを再び臨床に合うよう再構築して、医学業務に基本的な電算化応用を導入したものである(保険業務などを含まない)。細分化した変動因子(ID項目)は、主単位である疾患名(病名IDで一意に識別される)、検査項目(項目IDで一意に識別される)、検査動向乃至固有変動(疾患ごとに異なる変動内容であって、病名IDと項目IDの複合IDで識別される)の3種である。病状変化や検査変化が発症条件ごとに異なるため、発症条件を単位として再分化しており、前記固有変動表による立方体のデータ構造に基づいている。他に、臨床医学で症候検査や鑑別検査など、避けられない診断手法が種々ある症候マスタファイルに症候IDと、後述する統括表の検索用に上下ID(異常値ID)を追加している。これら発症条件や固有変動の表現としては、現医療界の記述をそのまま使っているため、本発明は即座に臨床応用可能であるとともに、電算化が望まれる臨床医学の大半が本発明により実現可能となった。電算機械が計算してくるデータの多さと発症条件の細分化・精度などについて誰も経験しておらず、本発明で10個を超える業務(一般検査、症候検査、見逃検索等)がすべて新規と言っても過言ではない。なお、疾患名が決まることで、望ましい検査組立を診察前から元来決められるため、複数疾患からなる鑑別検査、症候検査でも定型検査の設定が事前に可能であり、本件で初めて定型検査を組むことが出来た。結果的に、臨床業務の極めて広い分野で即座の本件応用が可能であり、予想されなかった価値高い新業務も沢山生まれて、其々が数秒で完了できるなど、医療電算化に広く応用できる新技術に該当する。
なお、本発明では、後述する統括表の「一般検査ボタン」で扱うのが鑑別検査、「症候検査ボタン」で扱うのが症候検査となっているが、症候検査、鑑別検査ともに、本発明に特異的な定型検査の使用を勧めている。ここで、定型検査とは、其々の検査配列表で「チェック」マークが表示されてくる検査項目に相当する。定型検査だけを実施しておけば、鑑別検査の初回検査でほぼ診断確定、若しくは診断名が修正されて確定する。また、症候検査の定型検査をしておけば、数十疾患もの膨大な候補疾患の中から大半で数疾患に絞ってきて、臨床所見も参考にすれば、診断近い例も少なくない。
また、検査配列表は、随意の疾患・症候に関して、総ての検査項目・該当疾患・発症条件・検査動向が、結合疾患名を使って3次元の内容を保ったまま表現されており、非常に多くの業務を担っている。検査配列表は、図7の立方体(三次元)データ構造の内容をそのまま表化しているため、これまで専門分野の記載に移っては臨床医学に関する追加調査・勉学を行ってきた扇型かつ無限に近い孫引き操作の対象項目が全てこの中に含まれている。従って、孫引き操作が不要となり、代ってひとつの検査配列表内を種々用語で電算検索するだけで直ちに孫引き操作を解決出来ることが可能となった。極めて大きな時間の節約に繋がる。更に、デフォルトで各項目の先頭にチェックマークが表示されている定型検査を行っておけば、一般医・専門医にかかわらず専門医に近い精度で検査がなされ(現医療界を考えると避けられない重要な事項)、5日前後で揃ってくる検査結果の異常値検査動向をみるだけで、その検査動向の欄に診断名と罹患臓器や合併併発症など発症条件まで表示されてくる。即ち、自動診断に近い、若しくはそれ以上の機能を発揮する。また、検査配列表では、肯定検査、否定検査、全身検査の分類が明記され、「肯定」検査が先頭に並んで表示されるので、一般的に「肯定」検査を使って行う複数項目比較検討が容易に可能となり、著名な診断精度や診断速度の向上が期待される。なお、検査変動に「肯定」検査のリストすらないのが医学界の現状である。そして、複数項目比較検討こそ、除外診断も活用することで、現在の非常に少ない特異的検査数に拘わらず全疾患を診断可能にしている根源となっている。なお、診断名の決定だけなら上記肯定検査だけで可能だが、検査配列表内の診断名を検索するだけで、該当疾患のみならず鑑別疾患も含めて固有併発症や罹患臓器名など臨床診断に必要な各種発症条件も同時に判断出来る。以上、検査配列表は過去に全く見られなかった有用な業務の集合からなっている。
更に、本発明は、統括表による3項目検索、症候検索(見逃検索)、症候検索(複合検索)等の特徴も備えている。即ち、3項目検索では、固定固有変動のうち頻用する検査項目だけでID(上下ID)を使って該当疾患の抽出を行う。固定固有変動だけを扱うため、発症条件で出現するような疾患を含まず、曖昧検出としての診断名検出がないのを特徴とする。臨床で渇望される検索であるとともに、固定固有変動を使って初めて可能となる機構のため、類比をみない厳密な機構になっている。なお、単疾患、関連疾患、限定疾患は、それぞれ3条件のうち、1、2、3条件を満たす疾患を対象とする。また、統括表による症候検索(見逃検索、統括表の上段欄のみ使用)では、本発明で使う症候のうち、生化学検査だけでは検出できず、結果的に簡単な検査だけでは見落とし易くなる疾患を検出する(当初から種々条件を考え十分な内容で開始すべき検査)。更に、統括表による症候検索(実施検索、統括表の上段欄・下段欄使用)では、本発明で使う症候のうち、上記3項目検索で使った上下IDが異常値をとる疾患を検出する(主症状の主な異常検査値から診断名を予想するのは臨床で渇望されるが、それを可能とする検索)。以上、統括表の表示は、本件で二次的に新しく発生した極めて有用な業務。本件の電算化の利点を活用できる業務であり、後記する実施例の説明で詳述する。
4.具体的構成
次に、上記の特徴を有する本システムの具体的構成について説明する。
[全体構成]
本臨床診断支援システムでは、上記のように、全ての固有変動を格納した固有変動表に基づき臨床マスタファイルを作成し、この臨床マスタファイルを基幹ファイルとして、更に、検査項目マスタファイル、症候マスタファイル、病名マスタファイル、疾患群マスタファイル、鑑別疾患マスタファイルを使用し、後述するコンピュータによる処理手順により、最終的に、臨床診断に必要かつ十分な医療情報としての固有変動情報を体型的に表示する検査配列表を加工して画面表示する。かかる臨床診断支援システムの概略的な全体構成を、図8及び図9に基づいて説明する。図8は本臨床診断支援システムによる症候検査処理用の各機能実現手段の全体構成を示し、図9は本臨床診断支援システムによる一般検査処理用の各機能実現手段の全体構成を示す。なお、下記各手段(機能実現手段)は、パーソナルコンピュータ(PC)等のコンピュータ装置のハードウエア(CPU,ROM,RAM,HDD等)を使用してその機能を実現し、各種処理(手順)をコンピュータに実行させる。
図8及び図9に示すように、臨床診断支援システムは、医療情報管理手段10を備えている。医療情報管理手段10は、前記固有変動表に対応する固有変動マスタファイル11、前記臨床マスタファイルに対応する臨床マスタファイル12、前記検査項目マスタファイルに対応する検査項目マスタファイル13、前記症候マスタファイルに対応する症候マスタファイル14、前記病名マスタファイルに対応する病名マスタファイル15、前記疾患群マスタファイルに対応する疾患群マスタファイル16、前記鑑別疾患マスタファイルに対応する鑑別疾患マスタファイル17を備えている。固有変動マスタファイル11及び/または臨床マスタファイル12は本発明の固有変動格納手段を構成し、検査項目マスタファイル13は本発明の検査項目格納手段を構成し、症候マスタファイル14は本発明の症候格納手段を構成し、病名マスタファイル15は本発明の病名格納手段を構成し、疾患群マスタファイル16はホン発明の疾患群格納手段を構成し、鑑別疾患マスタファイル17は本発明の鑑別疾患格納手段を構成する。臨床診断支援システムは、更に、固有変動マスタファイル11に各検査項目について疾患ごと及びその発症条件ごとに固有変動を登録・編集・削除するための機能を実現する固有変動登録・編集手段21を備えている。固有変動マスタファイル11に対して、特定の検査項目について追加・削除・修正すべき固定固有変動や随伴固有変動がある場合、固有変動登録・編集手段21により、対応する検査項目の固有変動データを追加登録・削除・修正することができる。また、臨床診断支援システムは、更に、医療情報登録・編集手段22を備えている。前記検査項目マスタファイル13、症候マスタファイル14、病名マスタファイル15、疾患群マスタファイル16及び鑑別疾患マスタファイル17の各々について、追加・削除・修正すべきデータ(検査項目、症候、病名等)がある場合、医療情報登録・編集手段22により、対応するデータを追加登録・削除・修正することができる。ここで、臨床マスタファイル12の各データは、固有変動マスタファイル11の対応するデータを参照して抽出・格納されるが、このとき、検査項目や病名に追加・削除・修正があった場合、検査項目マスタファイル13や病名マスタファイル15を参照して、対応する検査項目や病名を自動的に追加・削除・修正するプログラムを追加してもよい。こうすると、各マスタファイル間でのデータの整合性をとることができる。
更に、臨床診断支援システムは、症候検査用の症候対応候補疾患抽出手段31、症候検査用の症候概要説明抽出手段32、症候検査及び一般検査用の検査動向抽出手段33を備えている。症候対応候補疾患抽出手段31は、操作画面に表示した図示しない症候指定手段により、ある症候が指定されたときに、疾患群マスタファイル16を参照し、指定された症候に関連付けた全ての候補疾患を前記疾患群マスタファイル16(または病名マスタファイル15)から抽出して取得し、候補疾患ファイル31aに格納する。このとき、症候概要説明抽出手段32が、症候マスタファイル14(または疾患群マスタファイル16)を参照し、指定された症候に関連付けた症候概要説明を症候マスタファイル14(または疾患群マスタファイル16)から抽出して取得し、疾患概要説明ファイル32aに格納する。また、このとき、検査動向抽出手段33が、臨床マスタファイル12を参照し、候補疾患の各々が関連付けられた全ての検査項目の検査動向(固定固有変動及び随伴固有変動)を臨床マスタファイル12から抽出して取得し、検査動向ファイル33aに格納する。なお、このとき、検査動向抽出手段33が、固有変動マスタファイル11を参照し、候補疾患の各々が関連付けられた全ての検査項目の検査動向(固定固有変動及び随伴固有変動)を固有変動マスタファイル11から抽出して取得し、検査動向ファイル33aに格納するようにすることも可能である。なお、このとき、指定された症候の症候ID及び候補疾患の病名IDに基づき、抽出した候補疾患と症候概要説明と検査動向との間で照合処理を行ない、エラーチェックを行うこともできる。
また、臨床診断支援システムは、検査格納手段としての検査保管表41及び病名格納手段としての病名保管表42を備えている。操作画面に表示した図示しない保管検査指定手段により、前記検査動向ファイル33aに格納した検査項目のうち、保管対象として1以上の検査項目が指定されたときに、検査動向抽出手段33が指定された検査項目を検査保管表41に出力して格納する。また、操作画面に表示した図示しない保管病名指定手段により、前記候補疾患ファイル31aに格納した候補疾患のうち、保管対象として1以上の病名が指定されたときに、症候対応候補疾患抽出手段31が指定された病名を病名保管表42に出力して格納する。
また、臨床診断支援システムは、医療情報画面加工表示手段50を備えている。医療情報画面加工表示手段50は、症候検査用に、候補疾患リスト加工表示手段51、症候概要説明加工表示手段52、検査配列表加工表示手段53を備えている。候補疾患リスト加工表示手段51は、ある症候が指定されたときに、前記候補疾患ファイル31aに格納された候補疾患を全て取得し、リスト表示形式に加工して、その候補疾患リストをモニタ画面60の所定領域に候補疾患リスト61として表示する。また、症候概要説明加工表示手段52は、ある症候が指定されたときに、前記疾患概要説明ファイル32aに格納された疾患概要説明を取得し、モニタ画面60の所定領域に疾患概要説明62として表示する。検査配列表加工表示手段53は、ある症候が指定されたときに、前記検査動向ファイル33aに格納された検査項目と対応する疾患及び発症条件ごとの固有変動とを取得し、モニタ画面60の所定領域に症候検査用の検査配列表63として表示する。
また、臨床診断支援システムは、前記検査動向抽出手段33に加え、一般検査用の疾患対応鑑別疾患抽出手段34、一般検査用の疾患概要説明抽出手段35を備えている。疾患対応鑑別疾患抽出手段34は、操作画面に表示した図示しない疾患指定手段により、ある疾患が指定されたときに、鑑別疾患マスタファイル17を参照し、指定された疾患に関連付けた全ての鑑別疾患を前記鑑別疾患マスタファイル17から抽出して取得し、鑑別疾患ファイル34aに格納する。このとき、疾患概要説明抽出手段32が、病名マスタファイル15を参照し、指定された疾患に関連付けた疾患概要説明を病名マスタファイル15から抽出して取得し、疾患概要説明ファイル35aに格納する。また、このとき、検査動向抽出手段33が、臨床マスタファイル12を参照し、指定した疾患及び抽出した鑑別疾患の各々(鑑別疾患群の各疾患)が関連付けられた全ての検査項目の検査動向(固定固有変動及び随伴固有変動)を臨床マスタファイル12から抽出して取得し、検査動向ファイル33aに格納する。なお、上記症候検査の場合と同様、固有変動マスタファイル11を参照してデータを取得し、検査動向ファイル33aに格納するようにすることも可能である。なお、このとき、指定された疾患の病名ID及び鑑別疾患の病名IDに基づき、指定疾患及び抽出した鑑別疾患と疾患概要説明と検査動向との間で照合処理を行ない、エラーチェックを行うこともできる。また、このとき、上記症候検査の場合と同様、指定された検査項目を検査保管表41に出力して格納したり指定された病名を病名保管表42に出力して格納することもできる。
また、医療情報画面加工表示手段50は、一般検査用に、前記検査配列表加工表示手段53に加え、鑑別疾患リスト加工表示手段54及び疾患概要説明加工表示手段55を備えている。鑑別疾患リスト加工表示手段54は、ある疾患が指定されたときに、前記鑑別疾患ファイル34aに格納された鑑別疾患を全て取得し、指定疾患と対比する形式でリスト表示形式に加工して、その鑑別疾患リストをモニタ画面60の所定領域に鑑別疾患リスト64として表示する。また、疾患概要説明加工表示手段55は、ある疾患が指定されたときに、前記疾患概要説明ファイル32aに格納された疾患概要説明を取得し、モニタ画面60の所定領域に疾患概要説明65として表示する。検査配列表加工表示手段53は、ある疾患が指定されたときに、前記検査動向ファイル33aに格納された検査項目と対応する疾患(指定疾患及び鑑別疾患)及び発症条件ごとの固有変動とを取得し、モニタ画面60の所定領域に一般検査用の検査配列表63として表示する。
[症候検査]
症候検査の場合、上記のように、固有変動マスタファイル11または臨床マスタファイル12から、指定された症候に関連付けた全ての候補疾患ごとに、関連付けた各検査項目の固定固有変動及び随伴固有変動を全て抽出するが、このとき、当該一群の候補疾患群のについての固有変動表が(上記したとおり図7に示すような立方体のデータ構造で)作成され、検査動向ファイル33aに格納されることになる。そして、この検査動向ファイル33aに基づき作成した検査配列表63は、検査動向抽出手段33が臨床マスタファイル12から固有変動データを取得する場合は、図5に示すようなものとなる。
[一般検査]
一般検査の場合、上記のように、固有変動マスタファイル11または臨床マスタファイル12から、指定された疾患及び同疾患に関連付けた全ての鑑別疾患ごとに、関連付けた各検査項目の固定固有変動及び随伴固有変動を全て抽出するが、このとき、当該一群の鑑別疾患群についての固有変動表が作成され、検査動向ファイル33aに格納されることになる。そして、この検査動向ファイル33aに基づき作成した検査配列表63は、検査動向抽出手段33が臨床マスタファイル12から固有変動データを取得する場合は、図6に示すようなものとなる。ここで、この検査配列表63に表示されるデータ項目「種類」(「肯定用」、「否定用」、「全身用」)は、固有変動マスタファイル11及び臨床マスタファイル12に追加のデータ項目として各検査項目に関連付けて格納することにより、検査配列表63に各検査に対応付けて表示することができる。なお、「肯定用」とは、当該検査項目の固有変動が確認できれば当該固有変動に対応する疾患や発症条件の存在が肯定できるものをいい、「否定用」とは、当該検査項目の固有変動が確認できれば当該固有変動に対応する疾患の存在が否定できるものをいう。また、「全身用」とは、前記肯定用検査項目及び否定用検査項目以外の検査項目であり、患者の全身状態を観察(チェック)するための検査項目である。また、該当する全ての疾患の動向を表示する建前から、「本症に特異的事項なし」や「その他の鑑別疾患に特異的事項なし」等の内容が原則的に全ての項目に記載されている。なお、「特異的事項なし」とは、検査結果がほぼ変動しないことをいう。
上記のように、検査配列表63によれば、一般検査の場合には、指定疾患とその鑑別疾患群についての固有変動を、指定疾患を中心として、検査項目及び同じタイプ(発症条件等)の固有変動ごとにまとめて体系的に一覧表示する。特に、一般検査の場合、指定疾患と鑑別疾患とが、検査項目ごとに、互いの固有変動(固定固有変動及び随伴固有変動)を対比する表示態様で、検査配列表63に表示される。
[検索手段]
本臨床診断支援システムは、更に、図示しない検索手段を備えている。上記症候検査及び一般検査のいずれでも、検索手段によって所望の疾患名を指定することにより、検査配列表63内の所望の疾患及びその固有変動を検索して抽出・表示することができる。これにより、複数項目比較検討を行う際に、検索手段により検査配列表63中の特定の疾患名を指定して検索することで、関連する全ての疾患名や検査項目の内容(固有変動等)を短時間で確認したり、指定した疾患に関連する複数の固有変動を一覧表示等によりまとめて確認することができ、特定の疾患を診断するための検査配列表63を利用した複数項目比較検討を簡単に行うことができる。
[検査配列表と症候・疾患概要説明]
また、検査配列表63は、検査項目ごとに発症条件別の結合疾患名や其の固有変動を表示して、複数項目比較検討等による確定診断に必要な情報を表示するが、ユーザーが確認したい疾患情報について、ユーザーに対してより詳細で理解容易な情報を提供すべく、固有併発症、固有の罹患臓器の種類、発症時点から末期までの経緯等の情報を、疾患や症候ごとに検査配列表63の近傍(上方位置等)に疾患概要説明65または症候概要説明62として表示する。これにより、ユーザーが、確認したい疾患について、検査配列表63による検査項目の種類や検査動向(疾患の固有変動)と共に、同疾患概要説明65または症候概要説明62による追加情報を合わせて確認することができ、当該疾患についての医療情報の全容を容易に想定することができる。
次に、上記構成を備える臨床診断支援システムをより具体的に構成して実施する場合の一実施例について説明する。
1.ユーザーインターフェース(GUI)を参照した処理の説明
図10乃至図13は、本発明の一実施例に係る臨床診断支援システムのユーザインタフェースを使用して、各種検査及び各種検索を行った場合の画面構成を示す。図10〜図13に示すように、本実施例の臨床診断支援システムとしての医療情報データベース装置(以下、単に「医療情報DB」と表記することがある。)は、ユーザーが、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を使用して、必要な項目を段階的に選択するだけで、コンピュータに所望の医療情報の提供処理を実行させるようになっている。ここで、本医療情報DBは、図示はしないが、通常のコンピュータ用アプリケーションシステムやデータベースシステムと同様、パーソナルコンピュータ等のコンピュータ装置のハードウエア(CPU,ROM,RAM,HDD等)を各種機能実現手段(ウインドウ内のイベント駆動ボタン等に対応するロジック事項手段等)として各種機能を実現させ、後述する各種処理(処理)をコンピュータに実行させる。即ち、医療情報DBは、通常は、後述する処理用のソフトウエアプログラム(アプリケーションプログラム)を実装したデータベースシステムとして、コンピュータ装置のハードディスク(HDD)等の外部記憶装置に格納され、使用時に外部記憶装置から呼出すことにより、CPU,RAM等のハードウエアを利用して各種機能実現手段により対応する各種機能を実現する。無論、本医療情報DBの機能の一部を、ソフトウエアプログラムとしてではなくハードウエアロジックにより実現することも可能である。
1)統括表
詳細には、本医療情報DBを起動した操作画面では、まず、図10に示す各種ウインドウのうち、統括表ウインドウ110のみが最初に画面表示される。統括表ウインドウ110は、一般検査ボタン111、症候検査ボタン112、上下3段に配置されたプルダウンメニューからなる第1乃至第3の異常値選択ボックス113〜115、単疾患ボタン116、関連疾患ボタン117、限定疾患ボタン118、プルダウンメニューからなる症候選択ボックス119、プルダウンメニューからなる異常値選択ボックス120、実施ボタン121、見逃ボタン122、用語入力ボックス123、実施ボタン124、病名入力ボックス125、検索ボタン126、消去ボタン127及び中止ボタン128を上から順に配置している。統括表ウインドウ110は、以下に述べるように、病名分類や症候分類からの病名や検査項目の検査、異常値(=異常検査値)や症侯からの病名や検査項目の検索等、種々の検査や検索に使用され、常時画面表示されている。
2)一般検査処理時ウインドウ(画面構成)
図10は本実施例の医療情報DBによる一般検査処理時の画面構成を示す。なお、以降で述べる各処理の詳細については、フローチャート及びデータ構造と共に後述する。まず、図10に示すように、統括表ウインドウ110の一般検査ボタン111をクリック等して選択実行することにより、一般検査処理(上記鑑別検査の処理)が実行される。なお、図10は、一般検査ボタン111をクリックした状態を示す。一般検査処理では、まず、病名分類情報提供処理が実行され、病名分類ウインドウ130が画面表示される。病名分類ウインドウ130は、病名分類の全てを(固有変動表、臨床マスタファイル等の対応マスタファイルから)データ抽出して病名分類表131内に列挙してリスト表示するものである。病名分類とは、病名の大まかな分類をいい、例えば、呼吸器、循環器、血液疾患等の分類がある。次に、病名分類ウインドウ130の病名分類表131内の各行はクリック等により選択実行自在となっており、選択実行自在であることを示すために特定の異色(例えば黄色)で塗りつぶし表示されている(図中では斜線表示)。そして、病名分類ウインドウ130の病名分類表131内のいずれかの行(いずれかの病名分類)をクリック等して選択実行することにより、病名目次情報提供処理が実行され、病名目次ウインドウ140が画面表示される。なお、図10では、病名分類表131の特定の病名分類である「全身」をクリックした状態を示す。病名目次ウインドウ140は、病名分類表131で選択した病名分類に属する全ての病名を(固有変動表、臨床マスタファイル等の対応マスタファイルから)データ抽出して病名目次としての病名一覧表141内に列挙してリスト表示するものである。図10は、病名分類表131で「全身」を選択した場合に、病名一覧表141に対応する病名(「糖原病」等)がリスト表示された状態を示す。
次に、病名目次ウインドウ140の病名一覧表141内の各行はクリック等により選択実行自在となっており、選択実行自在であることを示すために特定の異色(例えば黄色)で塗りつぶし表示されている(図中では斜線表示)。そして、病名目次ウインドウ140の病名一覧表141内のいずれかの行(いずれかの病名)をクリック等して選択実行することにより、検査項目情報の提供処理(検査目次情報の提供処理及び検査概要情報の提供処理)、疾患概要情報の提供処理及び鑑別疾患情報の提供処理(鑑別病名目次情報の提供処理及び鑑別疾患概要情報の提供処理)が実行される。即ち、図10に示すように、病名目次ウインドウ140の病名一覧表141内のいずれかの病名を選択実行することにより、検査配列表ウインドウ150、疾患概要ウインドウ160及び鑑別疾患目次ウインドウ170が同時に画面表示される。検査配列表ウインドウ150は、検査項目欄151、検査動向表示欄152及びチェック欄153を表形式で表示するものである。検査項目欄151は、病名一覧表141で選択した病名に対応する(当該病名の疾患について使用される全ての)検査項目を(固有変動表、臨床マスタファイル等の対応マスタファイルから)データ抽出して列挙してリスト表示する。また、検査動向表示欄152は、左欄の検査項目欄151の検査項目に対応して、その検査動向の説明文をそれぞれ(固有変動表、臨床マスタファイル等の対応マスタファイルから)データ抽出して列挙してリスト表示する。即ち、検査配列表ウインドウ150は、1疾患ごとに有意義な検査の種類とその検査動向を、検査項目ごとの表にしたものである。そして、検査配列表ウインドウ150は、基本的に、疾患を鑑別疾患(≒相似疾患)と対比しながら記載しており、後述する対応データ構造とともに、本医療情報DBにおける基幹的構成要素である。なお、図10では、病名一覧表141の特定の病名である「糖原病」をクリックした状態を示す。チェック欄154には、それぞれ、チェックボックスが配置され、チェックボックスにチェックを入れたり外したりすることにより、右欄の検査項目欄151の対応する検査項目について後述する保存処理の対象とするか否かを選択できるようになっている。なお、初期設定(デフォルト)では、検査項目欄151には、病名ウインドウ140から選択した病名ごとに、固有の複数の検査項目がリスト表示され、当該検査項目のうち後述する初動検査項目(前述の定型検査に相当)となる検査項目について、チェック欄153のチェックボックスに予めチェックが入れられている。また、ユーザーは、チェック欄153のチェックボックスのチェックを、初動検査項目のチェックを含めて自由に入れたり外したりすることができるようになっている。図10は、病名一覧表141で「糖原病」を選択した場合に、検査項目欄151に、当該「糖原病」の検査で使用可能な全ての検査項目(「*CBC」等)をリスト表示し、検査動向表示欄152には、それらの検査動向の説明文をそれぞれ表示した状態を示す。このとき、初動検査項目(*CBC」等)に対応するチェック欄153のチェックボックスは予めチェックされている。
ここで、検査配列表ウインドウ150の検査項目欄151には、前記検査項目のほか、当該検査項目の先頭(左側)に、検査種別を示す3種類の種別記号のいずれかが付加して表示される。即ち、本医療情報DBは、検査項目を、肯定用検査項目、否定用検査項目及び精査用検査項目(前述の全身用検査に相当)の3種類の検査項目に分類して格納している。肯定用検査項目は、当該検査項目が陽性となったときに、対応する疾患(病名目次ウインドウ140で選択した病名の疾患)の存在が肯定される検査項目である。一方、否定用検査項目は、当該検査項目が陽性となったときに、当該検査項目により肯定される疾患の存在が推定され、その結果、検査前の候補疾患(病名目次ウインドウ140で選択した病名の疾患)の存在が否定される検査項目である。なお、精査用検査項目は、前記肯定用検査項目及び否定用検査項目以外の検査項目であり、患者の全身状態を観察(チェック)するための検査項目である。この精査用検査は、全ての検査項目の中でも非常に重要な検査項目を含んでいる。即ち、精査用検査項目には、候補疾患を主に各鑑別疾患と区別するために汎用されて、高額かつ検査価値の高い検査が多く含まれている。例えば、前記特異的検査としての特異的血液検査以外に、画像検査、生理学的検査、病理学的検査、細菌検査、内視鏡検査、アイソトープ検査等が精査用検査に相当する。また、同一疾患でも、亜型や状況によって検査値が種々に変動するため、病状に応じての必要検査も精査用検査に含まれている。そして、本医療情報DBは、検査項目の種別記号として、図10に示すように、肯定用検査項目には「*(花丸印状の記号)」を、否定用検査項目には「−(太字のマイナス記号)」を付加すると共に、精査用検査項目には空白(スペース)記号を付加している(即ち、表示上は何も付加しない)。なお、検査配列表ウインドウ150の検査項目欄151等の上端には、当該マークの説明文(・・・「*」は肯定用、「−」は否定用、「 」は本疾患による精査用・・・)を表示する表示欄が配置されている。
検査配列表ウインドウ150の下端部には、チェック解除ボタン154及び保存ボタン155が配置されている。チェック解除ボタン154をクリック等して選択実行することにより、チェック欄153内のチェックボックスのチェックが全て解除される(外される)ようになっている。また、チェック欄153の各チェックボックスのマウス等により選択して個別にチェックを入れたり外したりすることもできるようになっている。
疾患概要ウインドウ160は、前記疾患概要情報の提供処理が実行されたときに、病名目次ウインドウ140の近傍の側方(右側等)に画面表示され、病名表示欄161及び疾患概要表示欄162を上下に配置して表示するものである。このとき、病名表示欄161は、選択された病名を(固有変動表、臨床マスタファイル、病名マスタファイル(図示略)等の対応マスタファイルから)データ抽出して表示する。また、疾患概要表示欄162は、病名表示欄161に表示した病名の疾患概要を(病名マスタファイル(図示略)等、疾患にその疾患固有の医学書記載事項(疾患概要)を関連付けて格納した対応マスタファイルから)データ抽出して表示するようになっている。疾患概要は、疾患の病状を説明したもので、一般の医学書に記載される疾患概要に相当する。図10は、病名一覧表141で「糖原病」を選択した場合に、病名表示欄161に同病名が、疾患概要表示欄162にその疾患概要の説明文が表示された状態を示す。更に、疾患概要ウインドウ160の上端部には、病名メモボタン163が配置されている。鑑別疾患目次ウインドウ170は、前記病名目次ウインドウ150の病名一覧表151で任意の病名を選択したときに、前記鑑別疾患情報の提供処理が実行されて、病名目次ウインドウ140の近傍下方に画面表示されるものである。このとき、鑑別疾患目次ウインドウ170は、病名一覧表141で選択した病名に関連する(同一鑑別疾患群に属する)全ての鑑別病名を(鑑別マスタファイル等の対応マスタファイルから)データ抽出して鑑別病名一覧表171内に列挙してリスト表示する。即ち、鑑別疾患目次ウインドウ170は、病名目次ウインドウ140で1疾患を選択するたびに、似て間違いやすい疾患を一覧表として表示する。図10は、病名一覧表141で「糖原病」を選択した場合に、鑑別病名一覧表171内に当該疾患の鑑別疾患(「インスリン産生腫瘍」等)が表示された状態を示す。
次に、検査配列表ウインドウ150の検査項目欄151内の各行はクリック等により選択実行自在となっており、選択実行自在であることを示すために特定の異色(例えば黄色)で塗りつぶし表示されている(図中では斜線表示)。そして、図10に示すように、検査配列表ウインドウ150の検査項目欄151のいずれかの行(いずれかの検査項目)をクリック等して選択実行することにより、前記検査概要情報の提供処理が実行されて、検査配列表ウインドウ150の近傍(例えば右側)に検査概要ウインドウ180が画面表示される。検査概要ウインドウ180は、検査項目表示欄181及び検査概要表示欄182を上下に配置して表示するものである。このとき、検査項目表示欄181は、(検査マスタファイル(図示略)等、検査項目にその検査項目固有の医学書記載事項(検査概要)を関連付けて格納した対応マスタファイルから、)検査項目欄151で選択された検査項目名をデータ抽出して表示すると共に、検査概要表示欄182は、当該検査項目表示欄181の検査項目名の検査内容の概要(説明文)をデータ抽出して表示するようになっている。即ち、検査概要ウインドウ180は、検査配列表ウインドウ150のいずれかの検査項目(検査名)をクリック等すると、その検査の目的や対象疾患、検査値の動向等を説明文として表示するものであり、主に、血液検査が対象となる。図10は、検査項目欄151で「Ca」をクリックした状態を示し、検査項目表示欄181内に当該検査項目名が、検査概要表示欄182にその検査概要の説明文が表示されている。
また、鑑別疾患目次ウインドウ170の鑑別病名一覧表171内の各行はクリック等により選択実行自在となっており、選択実行自在であることを示すために特定の異色(例えば黄色)で塗りつぶし表示されている(図中では斜線表示)。そして、図10に示すように、鑑別疾患目次ウインドウ170の鑑別病名一覧表171内のいずれかの行(いずれかの鑑別病名)をクリック等して選択実行することにより、鑑別疾患概要ウインドウ190が画面表示される。鑑別疾患概要ウインドウ190は、前記鑑別疾患概要情報提供処理が実行されたときに、鑑別病名表示欄191及び鑑別疾患概要表示欄192を上下に配置して表示するものである。このとき、鑑別病名表示欄191は、(病名マスタファイル(図示略)等、疾患にその疾患固有の医学書記載事項(疾患概要)を関連付けて格納した対応マスタファイルから、)当該選択に係る鑑別病名(即ち、マスタファイル中の病名)をデータ抽出して表示すると共に、鑑別疾患概要表示欄192は、当該鑑別病名表示欄191の鑑別病名の鑑別疾患概要(即ち、マスタファイル中の対応する疾患概要)をデータ抽出して表示するようになっている。図10は、鑑別病名一覧表191で「インスリン産生腫瘍」を選択した場合に、鑑別病名表示欄191に同病名が、鑑別疾患概要表示欄192にその疾患概要の説明文が表示された状態を示す。更に、鑑別疾患概要ウインドウ190の上端部には、病名メモボタン193が配置されている。このように、鑑別疾患概要ウインドウ190は疾患概要ウインドウ160と同様の構成である。
次に、上記のように、前記検査配列表ウインドウ150のチェック欄153のいずれか1以上のチェックボックスにチェックを入れた図10の状態で、前記保存ボタン155をクリック等して選択実行することにより、検査項目の一時保管処理(検査項目保管処理)が実行され、チェックした検査項目が一時的に対応メモリにデータ保存されると共に、検査保管表ウインドウ200が画面表示される。このとき、検査保管表ウインドウ200は、保存された全ての検査項目を対応メモリからデータ抽出し、保管検査項目一覧表201に列挙してリスト表示する。また、検査保管表ウインドウ200は、下端部に消去ボタン202を配置している。消去ボタン202をクリック等して選択実行することにより、保存検査項目が全てデータ消去されると共に、検査保管表ウインドウ200が閉じられる。図10は、「糖原病」についての検査項目のうち、チェック欄53にチェックが付いている検査項目(通常は初動検査項目)を一時保管し、保管検査項目一覧表201に一覧表示した状態を示す。
一方、図10に示すように、前記疾患概要ウインドウ160の病名メモボタン163をクリック等して選択実行することにより、病名の一時保管処理(病名保管処理)が実行され、当該病名が対応メモリにデータ保存されると共に、病名保管表ウインドウ210が画面表示される。このとき、病名保管表ウインドウ210は、保存された全ての病名を対応メモリからデータ抽出し、保管病名一覧表211に列挙してリスト表示する。また、病名保管表ウインドウ210は、下端部に消去ウインドウ212を配置している。消去ウインドウ212をクリック等して選択実行することにより、保存病名が全てデータ消去されると共に、病名保管表ウインドウ210が閉じられる。図10は、疾患概要ウインドウ160の「糖原病」及び鑑別疾患概要ウインドウ190の「インスリン産生腫瘍」を一時保管し、保管病名一覧表211に一覧表示した状態を示す。更に、病名保管表ウインドウ210の保管病名一覧表211内の各行はクリック等により選択実行自在となっており、選択実行自在であることを示すために特定の異色(例えば黄色)で塗りつぶし表示されている(図中では斜線表示)。そして、病名保管表ウインドウ210の保管病名一覧表211内のいずれかの行(いずれかの病名)をクリック等して選択実行することにより、前記病名分類ウインドウ130、病名目次ウインドウ140、検査配列表ウインドウ150、疾患概要ウインドウ160、鑑別疾患目次ウインドウ170、検査概要ウインドウ180及び鑑別疾患概要ウインドウ190が全て閉じられてそれらの内容がデータ消去され、保管病名一覧表211内で選択された病名に対応して、新たに、前記検査項目情報の提供処理、疾患概要情報の提供処理及び鑑別疾患情報の提供処理が実行され、新たに選択した病名に対応した検査配列表ウインドウ150、疾患概要ウインドウ160及び鑑別疾患目次ウインドウ170が同時に画面表示される。
なお、図10は、上記各ウインドウを全て画面に表示しているが、上記のとおり、初期画面では統括表110のみが表示され、その他のウインドウは上記操作(処理)に応じてその都度表示される。
一方、図10の状態から、病名分類表130の別の病名分類をクリック等して選択実行すると、それまで表示されていた病名目次ウインドウ140以降の全てのウインドウが閉じられる。例えば、図10の場合、病名分類「全身」について表示された病名目次ウインドウ140、検査配列表ウインドウ150、疾患概要ウインドウ160、鑑別疾患目次ウインドウ170、検査概要ウインドウ180及び鑑別疾患概要ウインドウ190が全て閉じられる。なお、検査保管表ウインドウ200及び病名保管表ウインドウ210は閉じられず、表示継続される。そして、新たに選択した病名分類について、上記と同様の処理により、新たな病名目次ウインドウ140が画面表示される。病名分類として新たに「内分泌」をクリックした場合、病名目次ウインドウ140には、病名分類「内分泌」に属する全ての病名が一覧表示される。また、病名目次ウインドウ140の任意の病名をクリック等して選択実行すると、上記と同様の処理により、選択した病名について、検査配列表ウインドウ150、疾患概要ウインドウ160及び鑑別疾患目次ウインドウ170が同時に画面表示される。例えば、病名目次ウインドウ140で病名「成長ホルモン分泌不全症」をクリックした場合、各ウインドウ150,160,170にはその病名に固有の内容が表示される。次に、疾患概要ウインドウ160の病名メモボタン163を押すと、病名保管表ウインドウ210に、新たに、その病名が追加される。
次に、病名保管表ウインドウ210の任意の病名をクリック等して選択実行すると、上記病名目次ウインドウ140の病名をクリックしたときと同様の処理により、検査配列表ウインドウ150、疾患概要ウインドウ160及び鑑別疾患目次ウインドウ170が同時に画面表示される。例えば、病名保管表ウインドウ210で病名「インスリン産生腫瘍」をクリックした場合、各ウインドウ150,160,170にはその病名に固有の内容が表示される。更に、検査配列表150の保存ボタン155を押すと、検査保管表ウインドウ200には、その状態で検査配列表150に表示された全検査項目が追加される。更に、検査保管表ウインドウ200の消去ボタン202を押すと、それまでの検査保管表ウインドウ200の保管内容(保管検査項目)が全て消去され、検査保管表ウインドウ200も閉じられる。同様に、病名保管表ウインドウ210の消去ボタン212を押すと、それまでの病名保管表ウインドウ210の保管内容(保管病名)が全て消去され、病名保管表ウインドウ210も閉じられる。
3)症候検査処理時ウインドウ(画面構成)
図11は本実施例の医療情報DBによる症候検査処理時の画面構成を示す。図11に示すように、統括表ウインドウ110の症候検査ボタン112をクリック等して選択実行することにより、症候検査処理が実行される。この症候検査処理は、画面に統括表ウインドウ110のみが表示される初期状態、前記一般検査処理の各種ウインドウが表示された状態等、任意のタイミングで実行可能である。例えば、図11に示すように、統括表ウインドウ110の症候検査ボタン112を選択実行すると、症候検査処理において、まず、症候分類情報提供処理が実行され、統括表ウインドウ110を除いて、それまでに表示されていた全てのウインドウ(病名目次ウインドウ140、検査保管表ウインドウ150等)が閉じられ、図11に示すように、新たに症候分類ウインドウ230が画面表示される。なお、検査保管表ウインドウ200または病名保管表ウインドウ210が表示されている場合は、当該検査保管表ウインドウ200及び病名保管表ウインドウ210は、閉じられることなく表示継続される。症候分類ウインドウ230は、症候分類の全てを(症候マスタファイル等の対応マスタファイルから)データ抽出して症候分類表231内に列挙して階層的にリスト表示するものである。症候分類は、症候の大まかな分類であり、例えば、意識障害、肝機能異常、貧血等である。また、症候分類ウインドウ230は、症候分類として、通常の症候以外に、異常値(特定の検査項目の異常値であって、検査値が上下(上昇または下降)した場合に陽性となるもの)も、対応マスタファイルから抽出して、症候の一つとして列挙して症候分類表231にリスト表示する。即ち、本医療情報DBは、異常値も重要な症侯の一つとして、症侯と同様に検査できるようしている。
次に、症候分類ウインドウ230の症候分類表231内の各行はクリック等により選択実行自在となっており、選択実行自在であることを示すために特定の異色(例えば黄色)で塗りつぶし表示されている(図中では斜線表示)。そして、図11に示すように、症候分類ウインドウ230の症候分類表231内のいずれかの行(いずれかの分類項目)をクリック等して選択実行することにより、症候目次ウインドウ240が画面表示される。症候目次ウインドウ240は、症候分類一覧表231で選択した症候分類の症候が該当する全ての疾患(病名)を(症候群マスタファイル等の対応マスタファイルから)データ抽出して症候病名一覧表241内に列挙してリスト表示するものである。ここで、症候病名一覧表241は、選択された症候が該当する全ての病名を病名目次としてリスト表示すると共に、それらの病名群の上側(最上行)に当該病名群が属する症候を「[基]症候」として表示する。同様に、症候病名一覧表241は、異常値(異常に係る検査項目)についても、選択された異常値が該当する全ての病名を病名目次としてリスト表示すると共に、それらの病名群の上側(最上行)に当該病名群が属する異常値を「[基]異常値」として表示する。即ち、病名一覧表241では、1症侯または1異常値を来す病名が一覧表となっており、1症候について平均で数十疾患程度がリスト表示され、1異常値についてはこれよりも多い疾患数がリスト表示される場合も多い。なお、図11は、症候分類表231で「眩暈」を選択した場合に、症候病名一覧表241に、選択された症候([基]症候としての「[基]眩暈」)と当該症候に属する病名群、及び、選択された症候(「眩暈」)の下位の症候([基]症候としての「[基]低血糖」、「[基]貧血」等)と当該症候に属する病名群とがリスト表示された状態を示す。
次に、症候目次ウインドウ240の症候病名一覧表241内の各行はクリック等により選択実行自在となっており、選択実行自在であることを示すために特定の異色(例えば黄色)で塗りつぶし表示されている(図中では斜線表示)。そして、症候目次ウインドウ240の症候病名一覧表241内のいずれかの行([基]症候または病名)をクリック等して選択実行することにより、前記病名目次ウインドウ140の場合と同様の検査項目情報の提供処理、症候・疾患概要情報の提供処理及び(病名目次ウインドウ140の場合と若干異なる)鑑別疾患情報の提供処理が実行され、図11に示すように、前記検査配列表ウインドウ150、疾患概要ウインドウ160及び鑑別疾患目次ウインドウ170が同時に画面表示される。ここで、症候・疾患概要情報の提供処理は、上記一般検査処理の疾患概要情報の提供処理に対応する処理であり(詳細は後述)、疾患概要ウインドウ160を症候目次ウインドウ240の近傍の側方(右側等)に画面表示するものである。このとき、症候目次ウインドウ240の症候病名一覧表241において先頭に[基]の付いた項目である症候または異常値(最上位位置)をクリック等すると、疾患概要ウインドウ160の疾患概要表示欄162には、当該症候または異常値に関する全疾患(当該症候または異常値の下位に列挙した病名の疾患)の概要や検査注意事項が、(病名マスタファイル、症候マスタファイル等、症候にその症候やその症候に属する疾患群固有の医学書記載事項(疾患概要)を関連付けて格納した対応マスタファイルからデータ抽出して)表示される。また、このとき同時に、疾患概要ウインドウ160の下方には、検査配列表ウインドウ150が表示されるが、この検査配列表ウインドウ150の検査項目欄151等には、当該全疾患を考慮した検査項目等が、(臨床マスタファイル等の対応マスタファイルから抽出して)列挙してリスト表示される。また、症候目次ウインドウ240の症候病名一覧表241において(症候または異常値の下位に列挙した)いずれかの病名をクリックすると、一般検査処理の疾患概要情報の提供処理と同様にして、当該病名用の検査項目が検査配列表ウインドウ150に表示され、当該病名の疾患概要が疾患概要ウインドウ160に表示され、当該病名の鑑別疾患が鑑別疾患目次ウインドウ170に表示される。
図11は、症候病名一覧表241で「[基]眩暈」を選択した場合に、検査配列表ウインドウ150の検査項目欄151に対応する検査項目(「CBC」等)がリスト表示され、検査動向表示欄152に対応する検査動向の説明文が表示された状態を示す。このとき、初動検査項目(「CBC」等)に対応するチェック欄153のチェックボックスは予めチェックされている。また、図11は、症候病名一覧表241で「[基]眩暈」を選択した場合に、疾患概要ウインドウ160の病名表示欄161に同症候名が、疾患概要表示欄162にその症候についての疾患概要説明が表示された状態を示す。なお、図11に示すように、症候病名一覧表241で「[基]眩暈」等の症候を選択した場合、当該症候「[基]眩暈」の後に列挙される疾患が鑑別疾患に相当するため、鑑別疾患目次ウインドウ170には選択肢が表示されず、「上記疾患群」の表示がなされる。次に、上記一般検査処理の場合と同様、前記検査配列表ウインドウ150のチェック欄153のいずれか1以上のチェックボックスにチェックを入れた状態で、図11に示すように、保存ボタン155をクリック等して選択実行することにより、検査項目の一時保管処理(検査項目保管処理)が実行され、チェックした検査項目が一時的にデータ保存されると共に、検査保管表ウインドウ200が画面表示される。なお、この他の処理としては、上記一般検査処理の項で説明したように、検査概要ウインドウ180の表示処理、病名保管表ウインドウ210の表示処理等を実行自在である。
一方、図11の状態で、症候分類表230の別の症候分類をクリック等して選択実行すると、それまで表示されていた症候目次ウインドウ240以降の全てのウインドウが閉じられる。例えば、病名分類「眩暈」について表示された図11の症候目次ウインドウ240、検査配列表ウインドウ150、疾患概要ウインドウ160及び鑑別疾患目次ウインドウ170が全て閉じられる。なお、このとき、検査保管表ウインドウ200が表示されている場合は、一般検査処理の場合と同様、検査保管表ウインドウ200は閉じられず、表示継続される。また、病名保管表ウインドウ210が表示されている場合も、病名保管表ウインドウ210は表示継続される。そして、新たに選択した症候分類について、上記と同様の処理により、新たな症候目次ウインドウ240が画面表示される。
4)3項目検索処理の単疾患検索処理時ウインドウ(画面構成)
本実施例の医療情報DBによる3項目検索処理について説明する。図12に示すように、第1〜第3の異常値選択ボックス113〜115で所定の異常値項目をリスト表示(プルダウン表示)されたものからそれぞれ選択し、単疾患ボタン116、関連疾患ボタン117または限定疾患ボタン118のいずれかをクリック等して選択実行することにより、3項目検索処理の単疾患検索処理、関連疾患検索処理または限定疾患検索処理が実行される。この3項目検索処理は、画面に統括表ウインドウ110のみが表示される初期状態、前記一般検査処理、症候検査処理等の各種ウインドウが表示された状態であっても、任意のタイミングで実行可能である。なお、第1〜第3の異常値選択ボックス113〜115に表示される異常値は、所定の検査項目で正常値(または正常値範囲)を超える異常値(上向き矢印「↑」で示す)、正常値(または正常値範囲)未満の異常値(下向き矢印「↓」で示す)、または陽性(プラスマーク「+」で示す)等の検査異常が確認された検査項目である。そして、3項目検索処理では、一般検査処理、症候検査処理等の各種ウインドウが表示された状態で単疾患ボタン116等を選択実行すると、統括表ウインドウ110、検査保管表ウインドウ200及び病名保管表ウインドウ210を除き、それまで表示されていた病名目次ウインドウ140等が全て閉じられ、新たな病名目次ウインドウ140が画面表示される。この新たに表示された病名目次ウインドウ140は、選択した3項目の異常値(単疾患検索では3つの異常値のうちの1つ、関連疾患検索では2つ、限定疾患検索では3つ)が該当したときに存在が推定される全ての病名を(臨床マスタファイル等の対応マスタファイルから)データ抽出して病名一覧表141内に列挙してリスト表示するものである。図12は、統括表ウインドウ110の第1〜第3の異常値選択ボックス113〜115で、それぞれ、「ESR↑」、「TP↑」、「Cr↑」を選択して限定疾患ボタン116を押した場合に、これら3項目の全てが該当する場合に存在が推定される疾患(病名)が全て抽出され、病名目次ウインドウ140の病名一覧表141に、それらの疾患の病名がリスト表示された状態を示す。
次に、3項目検索処理による病名目次ウインドウ140の表示状態、例えば、単疾患検索処理、関連疾患検索処理または限定疾患検索処理の状態で、病名目次ウインドウ140の病名一覧表141内のいずれかの行(いずれかの病名)をクリック等して選択実行することにより、上記と同様にして、前記検査項目の情報提供処理、疾患概要情報の提供処理及び鑑別疾患情報の提供処理が実行される。例えば、限定疾患検索処理の状態で、病名目次ウインドウ140の任意の病名をクリックすると、当該病名に対応する固有内容の前記検査配列表ウインドウ150、疾患概要ウインドウ160及び鑑別疾患目次ウインドウ170が同時に画面表示される。図12は、限定疾患検索処理の状態で、病名目次ウインドウ140の病名一覧表141で「多発性骨髄腫(MM)」を選択した場合に、検査配列表ウインドウ150の検査項目欄151に対応する検査項目(「*CBC」等)がリスト表示され、検査動向表示欄152に対応する検査動向の説明文が表示され、チェック欄153に初動検査項目用のチェックが入れられた状態を示す。同様に、図12は、病名一覧表141で「多発性骨髄腫(MM)」を選択した場合に、疾患概要ウインドウ160の病名表示欄161に同病名が、疾患概要表示欄162にその疾患概要説明が表示された状態を示す。同様に、図12は、病名一覧表141で「多発性骨髄腫(MM)」を選択した場合に、鑑別疾患目次ウインドウ170の鑑別病名一覧表171内に当該疾患の鑑別疾患(「悪性腫瘍性高Ca血症」等)が表示された状態を示す。
なお、上記の例のように、通常、第1〜第3の異常値選択ボックス113〜115の3項目の異常値を選択し、各ボタン116〜118を押して3項目検索処理(単疾患検索処理、関連疾患検索処理、限定疾患検索処理)のそれぞれの処理を実行することが好ましいが、1異常値のみ選択して処理を実行してもよく(この場合、単疾患検索処理が可能)、2異常値のみ選択して処理を実行してもよい(この場合、単疾患検索処理及び関連疾患検索処理が可能)。また、第1〜第3の異常値選択ボックス113〜115の選択肢(異常値)は、全て同一のものである。
5)用語検索処理時ウインドウ(画面構成)
図12に示すように、統括表ウインドウ110の用語入力ボックス123に任意の用語(医学用語)を入力し、実施ボタン124をクリック等して選択実行することにより、用語検索処理が実行される。用語検索処理では、用語検索票ウインドウ250が新たに画面表示される。用語検索票ウインドウ250は、入力した用語を含む疾患概要とその疾患概要を有する病名との組を対応するマスタファイル(病名マスタファイル等)からデータ抽出し、用語欄251にその病名を、用語説明欄252にその疾患概要を表示するものである。入力した用語を含む疾患概要とその病名との組(レコード)が複数ある場合、全ての組の疾患概要及び病名がデータ抽出される。即ち、用語検索票ウインドウ250は、下端部に改ページ部253を配置し、改ページ部253の次へボタン、戻るボタン、最終ページボタン、トップページボタンのいずれかをクリックすることにより、次ページや前ページを開いたり、最終ページやトップページにジャンプしたりできるようになっている。このように、用語検索処理は、診断業務中に、内容の分らない医学用語の説明を検索する処理である。また、用語検索処理は、上記各処理の途中にかかわらず、任意のタイミングで実行可能な処理である。また、用語検索処理では、用語入力ボックス123に入力した用語を含む全疾患の「疾患概要」が用語検索票ウインドウ250に表示されるので、同用語検索ウインドウ250に対する用語検索を行うことで、当該用語の記載部分を簡単に検索可能である。例えば、図12の状態では、候補疾患として「多発性骨髄腫(MM)」を疾患概要ウインドウ160に表示して内容を確認しているが、この場合において、使用者が、当該疾患に関連する用語として、「T細胞」の内容を確認したい場合、統括表ウインドウ110の用語入力ボックスに「T細胞」と入力して実施ボタン124を押す。これにより、「T細胞」という用語を文章中に含む全ての疾患概要とその病名がデータ抽出され、改ページ部253を操作することで用語検索票ウインドウ250に順次表示される。
6)症候検索処理の複合検索処理時ウインドウ(画面構成)
本実施例の医療情報DBによる症候検索処理の複合検索処理について説明する。図13に示すように、統括表ウインドウ110の症候選択ボックス119で所定の症候(症候分類230と同一項目がリスト表示される)を選択すると共に異常値選択ボックス120で異常検査項目(3項目検索の異常値と同一項目がリスト表示される)を選択し、実施ボタン121をクリック等して選択実行することにより、症候検索処理のうちの一つである複合検索処理が実行される。この複合検索処理は、画面に統括表ウインドウ110のみが表示される初期状態、前記一般検査処理、症候検査処理、3項目検索処理等の各種ウインドウが表示された状態であっても、任意のタイミングで実行可能である。そして、複合検索処理では、一般検査処理、症候検査処理、3項目検索処理等の各種ウインドウが表示された状態で実施ボタン121を選択実行すると、統括表ウインドウ110、検査保管表ウインドウ200及び病名保管表ウインドウ210を除き、それまで表示されていた病名目次ウインドウ140等が全て閉じられる。例えば、図12の状態から、症候選択ボックス119で所定の症候を選択すると共に異常値選択ボックス120で異常検査項目を選択して実施ボタン121を選択実行すると、図13に示すように、それまで表示されていた病名目次ウインドウ140等が全て閉じられ、新たな病名目次ウインドウ140が画面表示される。この新たに表示された病名目次ウインドウ140は、選択した症候及び異常値の両者(両条件)が該当したときに存在が推定される全ての病名を(臨床マスタファイル等の対応マスタファイルから)データ抽出して病名一覧表141内に列挙してリスト表示するものである。図13は、統括表ウインドウ110の症候選択ボックス119及び異常値選択ボックス120で、それぞれ、「口渇感」及び「K↓」を選択して実施ボタン121を押した場合に、両条件が該当したときに存在が推定される疾患(病名)が全て抽出され、病名目次ウインドウ140の病名一覧表141に、それらの疾患の病名(「尿細管アシドーシス(RTA)」等)がリスト表示された状態を示す。
次に、複合検索処理による病名目次ウインドウ140の表示状態、例えば、図13の状態で、病名目次ウインドウ140の病名一覧表141内のいずれかの行(いずれかの病名)をクリック等して選択実行することにより、前記検査項目情報の提供処理、疾患概要情報の提供処理及び鑑別疾患情報の提供処理が実行される。例えば、図13に示すように、病名目次ウインドウ140の任意の病名をクリックすると、当該病名に対応する固有内容の前記検査配列表ウインドウ150、疾患概要ウインドウ160及び鑑別疾患目次ウインドウ170が同時に画面表示される。図13は、病名目次ウインドウ140の病名一覧表141で「Bartter症候群」を選択した場合に、検査配列表ウインドウ150の検査項目欄151に対応する検査項目(「*Na・K」等)がリスト表示され、検査動向表示欄152に対応する検査動向の説明文が表示され、チェック欄153に初動検査項目用のチェックが入れられた状態を示す。同様に、図13は、病名一覧表141で「Bartter症候群」を選択した場合に、疾患概要ウインドウ160の病名表示欄161に同病名が、疾患概要表示欄162にその疾患概要説明が表示された状態を示す。同様に、図13は、病名一覧表141で「Bartter症候群」を選択した場合に、鑑別疾患目次ウインドウ170の鑑別病名一覧表171内に当該疾患の鑑別疾患(「原発性アルドステロン症」等)が表示された状態を示す。
7)症候検索処理の見逃検査処理時ウインドウ(画面構成)
本実施例の医療情報DBによる症候検索処理の見逃検索処理について説明する。統括表ウインドウ110の症候選択ボックス119で所定の症候を選択し、見逃ボタン122をクリック等して選択実行することにより、症候検索処理のうちの一つである見逃検査処理が実行される。なお、見逃検査処理では、異常値選択ボックス120での選択は不要である。この見逃検索処理は、画面に統括表ウインドウ110のみが表示される初期状態、前記一般検査処理、症候検査処理、3項目検索処理等の各種ウインドウが表示された状態であっても、任意のタイミングで実行可能である。そして、見逃検索処理では、一般検査処理、症候検査処理、3項目検索処理等の各種ウインドウが表示された状態で実施ボタン121を選択実行すると、統括表ウインドウ110、検査保管表ウインドウ200及び病名保管表ウインドウ210を除き、それまで表示されていた病名目次ウインドウ140等が全て閉じられる。例えば、図13の状態から、症候選択ボックス119で所定の症候を選択して見逃ボタン122を選択実行すると、それまで表示されていた病名目次ウインドウ140等が全て閉じられ、新たな病名目次ウインドウ140が画面表示される。この新たに表示された病名目次ウインドウ140は、選択した症候が該当した場合において生化学検査に異常を認めないときに「異常なし」と判断されやすい(見逃されやすい)全ての疾患(病名)を(臨床マスタファイル等の対応マスタファイルから)データ抽出して病名一覧表141内に列挙してリスト表示するものである。例えば、統括表ウインドウ110の症候選択ボックス119で「口渇感」を選択して見逃ボタン121を押した場合に、当該症候に該当し、かつ、当該症候に関して汎用される検査(本書類中では「汎用検査」と称するが、詳細は見逃検索処理の項で詳述)で異常値が出ない場合に存在が推測される(見逃す可能性がある)疾患(病名)が全て抽出され、病名目次ウインドウ140の病名一覧表141に、それらの疾患の病名(「唾液腺腫大疾患」等)がリスト表示される。
次に、この状態から、病名目次ウインドウ140の病名一覧表141内のいずれかの行(いずれかの病名)をクリック等して選択実行することにより、前記検査項目情報の提供処理、疾患概要情報の提供処理及び鑑別疾患情報の提供処理が実行され、複合検索処理の場合と同様にして、前記検査配列表ウインドウ150、疾患概要ウインドウ160及び鑑別疾患目次ウインドウ170が同時に画面表示される。例えば、病名目次ウインドウ140の病名一覧表141で「尿崩症」を選択した場合に、検査配列表ウインドウ150の検査項目欄151に対応する検査項目(「*Na・K」等)がリスト表示され、検査動向表示欄152に対応する検査動向の説明文が表示され、チェック欄153に初動検査項目用のチェックが入れられる。同様に、例えば、病名一覧表141で「尿崩症」を選択した場合に、疾患概要ウインドウ160の病名表示欄161に同病名が、疾患概要表示欄162にその疾患概要説明が表示される。同様に、例えば、病名一覧表141で「尿崩症」を選択した場合に、鑑別疾患目次ウインドウ170の鑑別病名一覧表171内に当該疾患の鑑別疾患(「尿細管間質性腎炎(TIN)」等)が表示される。
前記一般検査処理、症候検査処理、3項目検索処理の各処理(単疾患検索処理、関連疾患検索処理、限定疾患検索処理)、症候検索処理の各処理(複合検索処理、見逃検索処理)は、いずれも、上記のように、任意のタイミングで実行可能な処理であり、当該処理用のボタンを押すことにより、それ以前の表示ウインドウが閉じられ、当該処理固有のウインドウが新たに表示される。なお、用語検索処理も、上記のように、任意のタイミングで実行可能な処理であるが、この場合、それ以前の表示ウインドウは閉じられることなく、用語検索票ウインドウ250が追加表示される。
次に、上記のように、統括表ウインドウ110の第1乃至第3の異常値選択ボックス113〜115、症候選択ボックス119、異常値選択ボックス120、用語入力ボックス123、病名入力ボックス125のいずれか1以上に、対応するデータを選択または入力して表示した場合において(例えば、図12及び図13参照)、統括表ウインドウ110の消去ボタン127をクリック等して選択実行することにより、当該選択内容及び入力内容の全消去処理が実行される。
ここで、本医療情報DBでは、検査保管表ウインドウ200の消去ボタン202を押す(選択実行する)までは、一般検査処理に引き続いて症候検査処理や3項目検索処理等を実行することにより、以前の検査配列表ウインドウ150等を閉じたとしても、検査保管表ウインドウ200は表示継続され、その保管内容(保存検査項目)は格納保持されて、消去されることはない。一方、前記統括表ウインドウ110の中止ボタン128を押したり、本医療情報DBを終了したりすることにより、検査保管表ウインドウ200の保管内容(保存検査項目)は消去される。よって、検査保管表ウインドウ200の消去ボタン202を押すか、統括表ウインドウ110の中止ボタン128を押すか、或いは、本医療情報DBを終了するまでは、検査配列表ウインドウ150の保存ボタン155を押すことにより、検査項目を随時自由に追加して累積的に格納することができる。同様に、本医療情報DBでは、病名保管表ウインドウ210の消去ボタン212を押す(選択実行する)までは、一般検査処理に引き続いて症候検査処理や単疾患検索処理等を実行することにより、以前の疾患概要ウインドウ160等を閉じたとしても、病名保管表ウインドウ210は表示継続され、その保管内容(保存病名)は格納保持されて、消去されることはない。一方、前記統括表ウインドウ110の中止ボタン128を押したり、本医療情報DBを終了したりすることにより、病名保管表ウインドウ210の保管内容(保存病名)は消去される。よって、検査保管表ウインドウ200の消去ボタン202を押すか、統括表ウインドウ110の中止ボタン128を押すか、或いは、本医療情報DEBを終了するまでは、疾患概要ウインドウ160の病名メモボタン163を押すことにより、病名を随時自由に追加して累積的に格納することができる。
2.本医療情報DBのデータ構造・動作・処理
以下、本実施例の医療情報DBの動作(各処理)について、図14〜図21のフローチャート、及び、図22〜図25のテーブルを参照しながら説明する。まず、本実施例の医療情報DBのデータ構造(テーブル構造)について説明する。
1)医療情報DBのデータ構造
本実施例の医療情報DBは、マスタテーブル(マスタファイル)として、前記検査マスタファイルとしての検査マスタテーブル(検査MT)(図示略)、前記病名マスタファイルとしての病名マスタテーブル(病名MT)(図示略)、前記症候マスタファイルとしての図22の症候マスタテーブル(症候MT)、前記疾患群マスタファイルとしての疾患群マスタテーブル(疾患群MT)、前記臨床マスタファイルとしての臨床マスタテーブル(臨床MT)、前記鑑別マスタファイルとしての鑑別マスタテーブル(鑑別MT)及び図23の異常値マスタテーブル(異常値MT)を備えている。
1−1)検査マスター
検査マスタテーブルは、マスタデータとして、前記検査配列表ウインドウ150の検査項目欄51や検査概要ウインドウ180に表示する検査項目関連データ(レコード)を定義して格納する。検査マスタテーブルは、データ項目(カラム)として、「大分類」、「項目名」、「項目ID」、「検査概要」、「表示順序」等を有し、これらのデータ項目に対応する個々のデータ要素(フィールド)を関連付けて(テーブルの各行に一レコードとして)格納する。このうち、「項目名」は、診断で使用される全ての検査項目名を格納し、「項目ID」は、検査項目を一意に識別する検査項目IDを検査項目名に関連付けて格納する。また、「検査概要」は、各検査項目の検査時の使用目的、注意事項、動向等を説明するための参考文を、各検査項目IDや各検査項目名に関連付けて格納する。そして、前記検査配列表ウインドウ150の検査項目欄151の特定の検査項目をクリックしたときに、当該検査項目について関連付けした「検査概要」の参考文が検査マスタテーブルから抽出され、検査概要ウインドウ180の検査概要表示欄182に表示される。更に、「表示順序」は、検査配列表ウインドウ150における検査項目の表示順序を定義する英数字を検査項目名や項目IDに関連付けて格納し、抽出した検査項目が、この順番にしたがって昇順(降順でも可能)に並べられ、検査配列表ウインドウ150にリスト表示される。検査マスタテーブルには、存在する全ての検査項目についての情報が格納されている。
1−2)病名マスター
病名マスタテーブルは、マスタデータとして、前記病名分類ウインドウ130の病名分類表131に表示する病名分類、病名目次ウインドウ140の病名一覧表141や疾患概要ウインドウ160の病名表示欄161に表示する病名、同疾患概要ウインドウ160の疾患概要表示欄162に表示する疾患概要等の病名関連データ(レコード)を定義して格納する。病名マスタテーブルは、データ項目(カラム)として、「分類ID」、「分類(分類名)」、「疾患順」、「病名ID」、「病名」、「疾患概要」等を有し、これらのデータ項目に対応する個々のデータ要素(フィールド)を関連付けて(テーブルの各行に一レコードとして)格納する。そして、統括表ウインドウ110の一般検査ボタン111をクリックしたときに、この分類IDの順序にしたがって病名分類が昇順(降順でも可能)に並べられ、病名分類ウインドウ130の病名分類表131に全て表示される。更に、「病名」は、診断で使用される全病名を格納し、これらの病名のいずれか1以上が、病名目次ウインドウ140の病名一覧表141等に選択的に表示される。「病名ID」は、病名を一意に識別する英数字であり、病名IDに関連付けて格納される。ここで、「病名」には、病名以外に、前記症候目次ウインドウ240に表示される[基]で始まる症候名、例えば、「[基]貧血」等も格納されている。同様に、「病名」には、病名以外に、前記症候目次ウインドウ240に表示される[基]で始まる異常値、例えば、「[基]WBC↓」等も格納されている。この場合、「病名」に格納する症候名([基]貧血」等)または異常値(「[基]WBC↓」等)には、症候及び異常値用に特に用意した病名IDが関連付けて格納される。即ち、症候及び異常値用の病名IDは、病名用の病名IDと明確に区別した番号(英数字)から開始するよう付番することが好ましい。具体的には、病名の病名IDは、病名数に応じて例えば「1〜3000」の番台とし、[基]症候及び[基]異常値の病名IDは、「6000〜」の番台とする。また、「疾患概要」は、病名の概略を説明する概略文(症候の場合は当該症候と当該症候に属する疾患の概要説目文)を病名IDや病名に関連付けて格納する。そして、前記病名目次ウインドウ140で特定の病名をクリックしたときに、当該病名について関連付けした概略文が病名マスタテーブルから抽出され、前記疾患概要ウインドウ160の疾患概要表示欄162に表示される。同様に、前記鑑別疾患目次ウインドウ170で特定の鑑別病名をクリックしたときにも、当該鑑別病名(即ち、病名)について関連付けした概略文が病名マスタテーブルから抽出され、前記鑑別疾患概要ウインドウ190の鑑別疾患概要表示欄192に表示される。「疾患順」は、「病名」から病名を抽出して病名目次ウインドウ140に表示する際に、その表示順序を定義する英数字であり、この疾患順にしたがって病名が病名目次ウインドウ140に昇順(降順でも可能)に並べてリスト表示される。病名マスタテーブルには、存在する全ての病名についての情報が格納されている。
1−3)症候マスター
図22の症候マスタテーブルは、マスタデータとして、前記症候分類ウインドウ230の症候分類表231等に表示する症候関連データ(レコード)を定義して格納するものである。症候マスタテーブルは、データ項目(カラム)として、「症候ID」、「症候」、「順」を有し、これらのデータ項目に対応する個々のデータ要素(フィールド)を関連付けて(テーブルの各行に一レコードとして)格納する。このうち、「症候」は、診断で使用する全ての症候についての分類であり、「症候」は、上記のように、症候以外に異常値も症候と同様にして検索処理に活用すべく格納する。この症候及び異常値が、症候分類ウインドウ230の症候分類表231に表示される。また、「症候ID」は、症候(症候や異常値)を一意に識別する英数字であり、症候及び異常値に関連付けて格納される。更に、「順」は、前記症候分類ウインドウ230における症候及び異常値の表示順序を定義する英数字を症候及び異常値や症候IDに関連付けて格納する。そして、統括表ウインドウ110の症候検査ボタン112をクリックしたときに、症候マスタテーブルの「順」の表示順序にしたがって「症候」の症候及び異常値が昇順(降順でも可能)に並べられ、前記症候分類ウインドウ230の症候分類表131に全て表示される。症候マスタテーブルには、使用する全ての症候についての情報が格納され、また、異常値については、代表的な検査項目(主に生化学検査)に係る異常値が格納されている。
1−4)疾患群マスター
疾患群マスタテーブルは、マスタデータとして、病名マスタテーブルの病名と図22の症候マスタテーブルの症候または異常値とを互いに関連付けて格納するものであり、病名マスタテーブルの病名関連データと症候マスタテーブルの症候関連データとの関係を定義する。疾患群マスタテーブルは、データ項目(カラム)として、「症候ID」、「症候」、「内順」、「病名ID」及び「病名」を有し、これらのデータ項目に対応する個々のデータ要素(フィールド)を関連付けて(テーブルの各行に一レコードとして)格納する。このうち、「症候ID」及び「症候」は、症候マスタテーブルの「症候ID」及び「症候」に対応し、疾患群マスタテーブルは、症候マスタテーブルの全ての症候及び異常値を症候IDと共に格納する。また、「病名ID」及び「病名」は、病名マスタテーブルの「病名ID」及び「病名」に対応し、疾患群マスタテーブルは、病名マスタテーブルの全ての病名を病名IDと共に格納する。ここで、病名マスタテーブルの項で説明したように、「病名」には、病名以外に、症候及び異常値(前記症候目次ウインドウ240に表示される[基]症候や[基]異常値、例えば、[基]「貧血」や[基]Fe↓等)も格納され、当該症候及び異常値に関連付けて症候及び異常値用の病名IDが格納される。このように、疾患群マスタテーブルは、各症候及び各異常値について、当該症候または異常値が該当したとき、即ち、当該症候や異常値が発生したときに存在が推定される全ての病名関連データ(病名ID、病名)を、当該症候または異常値に関連付けて格納する。そして、前記症候分類ウインドウ230で特定の症候または異常値をクリックしたときに、当該症候または異常値について関連付けて格納した一連の病名(当該症候及び異常値を含む)が、疾患群マスタテーブルの「病名」から抽出され、当該症候([基]症候)または異常値([基]異常値)を先頭として、症候目次ウインドウ240の症候病名一覧表241にリスト表示される。また、「内順」は、同一症候IDを有する症候または異常値の中での病名の表示順序を定義する英数字であり、この内順にしたがって、同一症候または同一異常値について複数の病名([基]症候・[基]異常値及び病名)が症候目次ウインドウ240に昇順(降順でも可能)に並べてリスト表示される。疾患群マスタテーブルには、前記病名マスタテーブルの全病名([基]疾患・[基]異常値を含む)と前記症候マスタテーブルの全ての症候及び異常値との間で考えうる全ての組合せについての情報が格納されている。
1−5)臨床マスター
臨床マスタテーブルは、マスタデータとして、検査マスタテーブルの検査項目関連データと病名マスタテーブルの病名関連データとを互いに関連付けて格納するものであり、検査マスタテーブルの検査項目関連データと病名マスタテーブルの病名関連データとの関係を定義する。臨床マスタテーブルは、データ項目(カラム)として、「病名ID」、「病名」、「級」、「要」、「項目ID」、「項目名」、「検査動向」、「異常値ID」を有し、これらのデータ項目に対応する個々のデータ要素(フィールド)を関連付けて(テーブルの各行に一レコードとして)格納する。このうち、「病名ID」及び「病名」は、病名マスタテーブルの「病名ID」及び「病名」に対応し、臨床マスタテーブルは、病名マスタテーブルの全病名を病名IDと共に格納する。ここで、病名マスタテーブルの項で説明したように、「病名」には、病名以外に、症候及び異常値も格納され、当該症候または異常値に関連付けて症候用の病名IDが格納される。また、「項目ID」及び「項目名」は、検査マスタテーブルの「項目ID」及び「項目名」に対応し、臨床マスタテーブルは、検査マスタテーブルの全検査項目の項目名について、各病名に該当する項目名を全て関連付けて、即ち、各病名の病名IDに該当する項目名の項目IDを全て関連付けて格納する。即ち、臨床マスタテーブルは、各病名について、当該病名に該当する(当該病名の疾患の診断について使用される)全ての項目名や項目IDを、当該病名や病名IDに関連付けて格納する。
また、「級」は、検査配列表ウインドウ150の検査項目欄151において検査項目の左側に付加する種別記号に対応する英数字を、検査項目の項目名や項目IDに関連付けて格納している。即ち、前記肯定検査項目の種別記号(花丸印状の記号「*」)には英数字の「1」を、否定検査項目の種別記号(太字マイナス記号「−」)には英数字の「3」を、精査用検査項目の種別記号(スペース記号「 」)には英数字の「2」を、それぞれ割り当てて格納している。また、「要」は、検査配列表ウインドウ150のチェック欄153のチェックボックスに基本設定状態でチェックを入れるか否か(即ち、対応する検査項目を初動検査項目として設定するか否か)を定義するフラグとしての英数字からなるチェック有無情報を、検査項目の項目名や項目IDに関連付けて格納している。即ち、チェック欄153のチェックボックスにチェックを入れる場合(対応する検査項目のチェックをONする場合)は、英数字の「−1」(TRUE)を、チェック欄153のチェックボックスにチェックを入れない場合(対応する検査項目のチェックをOFFとする場合)は、英数字の「0」(FALSE)を、それぞれ割り当てて格納している。また、「検査動向」は、検査配列表ウインドウ150の検査動向表示欄152に表示される検査動向説明文(結合疾患名を使用した固定固有変動または随伴固有変動の説明文)を、病名・病名ID及び検査項目名・項目IDに関連付けて格納している。そして、病名目次ウインドウ140の病名や症候目次ウインドウ240の症候または病名がクリックされたときに、当該病名または症候について関連付けて格納した一連の検査項目名が、臨床マスタテーブルの「項目名」から抽出され、前記検査配列表ウインドウ150の検査項目欄151に表示される。このとき、当該検査項目に関連付けした「級」の定義(「1」、「2」、「3」)に応じて、検査配列表ウインドウ150の検査項目欄151の検査項目名の先頭に、対応する種別記号(花丸印状の記号、スペース(空白)、マイナス記号)が付加して表示される。また、このとき、当該検査項目に関連付けした検査動向説明文が、臨床マスタテーブルの「検査動向」から抽出され、検査配列表ウインドウ150の検査動向表示欄152に表示される。更に、このとき、当該検査項目のうち「要」の定義(フラグ)が「0」の検査項目(初動検査項目)については、検査配列表ウインドウ150のチェックボックス153のチェックボックスにチェックマークが表示される。
また、臨床マスタテーブルの「異常値ID」は、後述する異常値マスタテーブルの「異常値ID」に対応し、臨床マスタテーブルは、異常値マスタテーブルの異常値IDを検査項目の項目名や項目IDに関連付けて格納する。そして、上記3項目検索処理や症候検索処理で説明したように、前記統括表ウインドウ110のボタン116〜118,121,122のいずれかが押されたときに、異常値選択ボックス113〜115,120で選択した異常値(異常に係る検査項目)に対応して、臨床マスタテーブルにおいて当該選択した異常値の異常値IDを有する検査項目を介して、当該検査項目と関連付けた病名が抽出され、当該抽出された病名が病名目次ウインドウ140にリスト表示される。臨床マスタテーブルには、前記病名マスタテーブルの全病名([基]疾患及び[基]異常値を含む)と前記検査マスタテーブルの全検査項目との間で考えうる全ての組合せについての情報が格納されている。
1−6)鑑別マスター
鑑別マスタテーブルは、マスタデータとして、病名マスタテーブルの病名と当該病名と同一鑑別疾患群に属する鑑別病名(鑑別疾患名)とを互いに関連付けて格納するものである。鑑別マスタテーブルは、データ項目(カラム)として、「病名ID」、「病名」、「鑑別ID」、「鑑別病名」を有し、これらのデータ項目に対応する個々のデータ要素(フィールド)を互いに関連付けて(テーブルの各行に一レコードとして)格納する。このうち、「病名ID」及び「病名」は、病名マスタテーブルの「病名ID」及び「病名」に対応し、鑑別マスタテーブルは、病名マスタテーブルの全病名を病名IDと共に格納する。ここで、病名マスタテーブルの項で説明したように、「病名」には、病名以外に、症候及び異常値も格納され、「病名」の症候または異常値に関連付けて当該症候用の病名IDが格納される。「鑑別病名」は、各病名について同一鑑別疾患群に属する全ての病名(鑑別病名)を格納する。また、「鑑別ID」は、鑑別病名を一意に識別する鑑別IDを鑑別病名に関連付けて格納する。鑑別マスタテーブルは、各病名について、当該病名と同一鑑別疾患群に属する全ての鑑別病名を、当該病名に関連付けて格納する。即ち、鑑別マスタテーブルでは、各病名について、当該病名も含む全ての病名が、鑑別病名として関連付けされている。そして、前記病名目次ウインドウ140で特定の病名をクリックしたときに、当該病名と同一の鑑別疾患群に属する鑑別病名の全て(当該病名を除く)が、鑑別疾患目次ウインドウ170の鑑別病名一覧表171に表示される。鑑別マスタテーブルには、前記病名マスタテーブルの全病名([基]疾患及び[基]異常値を含む)について存在する全ての鑑別病名との組合せについての情報が格納されている。
1−7)異常値マスター
図23の異常値マスタテーブルは、検査マスタテーブルの検査項目名のうち、統括表ウインドウ110の異常値選択ボックス113〜115及び異常値選択ボックス120に表示する異常値(異常に係る検査項目)のみを選択的に格納する。異常値マスタテーブルは、データ項目(カラム)として、「順」、「異常値ID」、「異常値」を有し、これらのデータ項目に対応する個々のデータ要素(フィールド)を互いに関連付けて(テーブルの各行に一レコードとして)格納する。このうち、「異常値」は、検査マスタテーブルに格納した検査項目のうち、異常値選択ボックス113〜115及び異常値選択ボックス120に表示する検査項目を異常値として格納する。また、「異常値ID」は、異常値を一意に識別する英数字であり、各異常値に関連付けて格納される。更に、「順」は、異常値選択ボックス113〜115及び異常値選択ボックス120における異常値の表示順序を定義する英数字を異常値や異常値IDに関連付けて格納する。そして、異常値が「順」の表示順序どおりに昇順(降順も可能)で並べられ、各異常値選択ボックス113〜115や異常値選択ボックス120にリスト表示される。異常値マスタテーブルには、検査マスタテーブルに格納する検査項目のうちの主なもの(即ち、検査価値が高く臨床で頻用される検査項目)だけが、異常検査項目情報(異常値)として格納されている。なお、前記臨床マスタテーブルに格納する異常値IDは、異常値マスタテーブルに格納する異常値IDに対応しており、臨床マスタテーブルの項目IDに関連付けされている。即ち、関連付けした異常値IDの異常値の検査項目名と項目IDの項目名(検査項目名)は同一となる。
2)本医療情報DBの動作・処理
本実施例の医療情報DBは、上記のようなデータ構造(検査マスタテーブル、病名マスタテーブル、症候マスタテーブル、疾患群マスタテーブル、臨床マスタテーブル、鑑別マスタテーブル及び異常値マスタテーブル)を使用して、図14〜図21に示すような各種処理を実行することにより、各種医療情報の提供機能を実現する。詳細には、まず、本医療情報システムでは、コンピュータの電源をオンして、医療情報DBを起動すると、コンピュータの起動画面に統括表ウインドウ110が表示される。この状態から、ユーザーは、STEP101以降の一般検査処理、STEP201以降の症候検査処理、3項目検索処理(フローチャートは図示略)、症候検索処理(複合検索処理、フローチャートは図示略)、STEP421以降の症候検索処理(見逃検索処理)、のいずれかを選択して実行可能である。ユーザーがいずれかの処理を選択して実行すると、各処理に対応して各種ウインドウ(病名分類ウインドウ130等)がそれぞれ画面表示されて医療情報が提供される。そして、一般検査処理、症候検査処理、3項目検索処理、症候検索処理(複合検索処理または見逃検索処理)の各処理で必要な医療情報を得たら、通常は、ユーザーは、次のSTEP30で統括表ウインドウ110の中止ボタン128をクリックする(押す)ことなく、本医療システムを終了することになる。一方、これらの処理で必要な医療情報を得ることができずに再度各処理を最初から実行した場合等、何らかの理由により処理を中止したい場合、ユーザーは、STEP30で統括表ウインドウ110の中止ボタン128を押すと、統括表ウインドウ110以外の画面展開している全てのウインドウが閉じられる。同時に、検査保管表ウインドウ200や病名保管表ウインドウ210の保存内容が全消去されると共に、検査保管表ウインドウ200及び病名保管表ウインドウ210も閉じられる。また、統括表ウインドウ110の入力内容等は全て消去される。この場合、ユーザーは、再度、一般検査処理等を実行することができる。
2−1)一般検査処理
コンピュータの起動画面において一般検査処理を選択した場合について、図14にしたがって説明する。図14に示すように、一般検査処理では、まず、STEP101で統括表ウインドウ110の一般検査ボタン111がクリックされると、STEP102で、病名マスタテーブルから全ての病名分類情報(分類ID、分類)が抽出されてグループ化され、STEP103で、全ての分類(=病名分類)が病名分類ウインドウ130にリスト表示される。そして、STEP103で、抽出された分類名が、分類IDの順番で、病名分類ウインドウ130の病名分類表131にリスト表示される(分類IDは非表示)。次に、STEP104で、病名分類ウインドウ130に表示された病名分類のいずれかをクリックして選択すると、STEP105で、選択された分類に対応する全病名情報(病名ID、病名、疾患順)が病名マスタテーブルから抽出され、STEP106で、病名目次ウインドウ140にリスト表示される。そして、STEP106で、抽出された病名が、所定の順序(疾患順の順番)で、病名目次ウインドウ140の病名一覧表141にリスト表示される。なお、このとき、病名マスタテーブルの「病名」において当該分類IDに関連付けられた症候([基]症候)及び異常値([基]異常値)は、抽出対象から除外される。即ち、病名マスタテーブルにおいて、症候及び異常値は、病名の病名IDと明確に区分した病名IDを有し、例えば、6000番台から病名IDが開始するため、STEP105では、かかる6000番未満の病名IDの病名のみを抽出している。
次に、STEP107で、病名目次ウインドウ140に表示された病名のいずれかをクリックして選択すると、STEP108で、選択した病名に対応する検査項目情報として、当該病名の検査で使用可能な全ての検査項目の項目ID、項目名、表示順序、検査動向等が、検査マスタテーブル及び臨床マスタテーブルから抽出され、当該病名の病名ID及び病名と共に、図示しない作業テーブル(一時記憶領域)としての共通テーブル(共通T)に保存される。その後、選択した病名にしたがって、疾患概要情報の提供処理(STEP110)、鑑別疾患情報の提供処理(STEP130)、検査項目情報の提供処理(STEP150)が実行される。このとき、まず初めに、疾患概要ウインドウ160の表示処理(STEP110の最初の処理)、鑑別疾患目次ウインドウ170の表示処理(STEP130の最初の処理)、検査配列表ウインドウ150の表示処理(STEP150の最初の処理)が同時に実行される。以下、疾患概要情報の提供処理(STEP110)、鑑別疾患情報の提供処理(STEP130)、検査項目情報の提供処理(STEP150)の各処理の詳細についてそれぞれ説明する。
2−1−1)疾患概要情報の提供処理(一般検査処理用)
図14の疾患概要情報の提供処理(STEP110)について、図15にしたがって説明する。図15に示すように、疾患概要情報の提供処理(その1)では、図14のSTEP107で選択された病名の病名IDに基づき、STEP111において、その病名の疾患概要が病名マスタテーブルの「疾患概要」から抽出される。次に、STEP112で、抽出した病名の疾患概要が疾患概要ウインドウ160に表示される。次に、STEP113で、疾患概要ウインドウ160に表示した病名を一時保存する場合(YESの場合)、ユーザーは、STEP114で疾患概要ウインドウ160の病名メモボタン163をクリックする。すると、STEP115で、疾患概要ウインドウ160の病名ID及び病名が、病名用一時格納領域としての病名保管テーブル(病名保管T)に保存され、STEP116で、当該病名用一時格納領域に保存した病名を病名保管表ウインドウ210に表示する。なお、疾患概要ウインドウ160に表示した病名をSTEP113で保存しない場合(NOの場合)、STEP30の中止・終了処理に移行する。次に、STEP117で、病名目次ウインドウ140において選択した前記病名以外に疾患概要を確認したい病名(次候補)がある場合、ユーザーは、STEP118で病名目次ウインドウ140の別の病名をクリックする。すると、処理はSTEP111へ復帰し、STEP112で次候補の病名の疾患概要を新たな疾患概要ウインドウ160に表示し、当該次候補の病名を前記病名保管表ウインドウ210に更に追加表示することが可能となる(STEP113〜STEP116)。よって、ユーザーは、必要な数の病名を病名目次ウインドウ140から選択して、各々の病名の疾患概要を疾患概要ウインドウ160で逐次確認し、必要な病名を病名保管表ウインドウ210に逐次追加して表示することができる。次に、STEP119で、病名保管表ウインドウ210に保管して表示した別の病名について、疾患概要ウインドウ160、鑑別疾患目次ウインドウ170及び検査配列表ウインドウ150を表示して内容を再確認したい場合(STEP119でYESの場合)、STEP120で、病名保管表ウインドウ210から所望の病名をクリックして選択する。すると、処理は、STEP111(疾患概要情報提供処理の最初の処理)、STEP121(鑑別疾患情報提供処理の最初の処理)、STEP131(検査項目情報提供処理の最初の処理)に同時に移行する(図15のB点から同図15のB点、図16のB点、図17のB点へと移行)。一方、ユーザーが、必要な全ての病名を確認及び保存して次候補となる病名がないと判断した場合(STEP119でNOの場合)、STEP30の中止・終了処理に移行する。
2−1−2)鑑別疾患情報の提供処理
図14の鑑別疾患情報の提供処理について、図16にしたがって説明する。図16に示すように、鑑別疾患情報の提供処理では、図14のSTEP107で選択された病名の病名IDに基づき、STEP131において、その病名と同一疾患群に属する全ての鑑別病名やその鑑別ID等(鑑別疾患情報)が、鑑別マスタテーブルから抽出される。なお、このとき、選択した病名(「鉄欠乏性貧血(IDA)」)自体も鑑別疾患群に属するため、この選択した病名が抽出されないよう、選択した病名の病名ID(「1」)と同一の鑑別ID(「1」)を有する鑑別病名は、抽出対象外とされる。即ち、鑑別マスタテーブルに格納した鑑別病名は、病名マスタテーブルに格納した病名と1対1で対応し、同一の鑑別疾患群に属するものが病名マスタテーブルの各病名に関連付けて鑑別マスタテーブルに格納されている。よって、鑑別IDは、鑑別病名が病名と同一の場合、その病名の病名IDと同一の番号となる。
次に、STEP131で抽出した全ての鑑別病名が、STEP132で、鑑別IDの順で鑑別疾患目次ウインドウ170にリスト表示される。次に、STEP133で、鑑別疾患目次ウインドウ170のいずれかの鑑別病名がクリックして選択されると、STEP134で、選択された鑑別病名の鑑別IDに基づいて、当該鑑別IDと同一の病名IDを有する病名の疾患概要が病名マスタテーブルの「概略」から抽出される。そして、STEP135で、抽出した鑑別病名の疾患概要が鑑別疾患概要ウインドウ190に表示される。即ち、鑑別疾患概要ウインドウ190に表示する鑑別病名の疾患概要は、疾患概要ウインドウ160に表示する病名の疾患概要と同一内容である。次に、STEP136で、鑑別疾患概要ウインドウ190に表示した鑑別病名を一時保存する場合(YESの場合)、ユーザーは、STEP137で鑑別疾患概要ウインドウ190の病名メモボタン193をクリックする。すると、STEP138で、鑑別疾患概要ウインドウ190に表示した鑑別病名の鑑別ID(=病名ID)及び鑑別病名(=病名)が、前記病名用一時格納領域としての病名保管テーブルに保存され、STEP139で、当該病名用一時格納領域に保存した病名を病名保管表ウインドウ210に表示する。なお、STEP133〜STEP135の鑑別疾患概要情報の表示処理は、鑑別疾患目次ウインドウ170に表示した全ての鑑別病名について逐次実行可能であり、同一鑑別病名についても何回でも実行可能である。また、STEP133〜STEP135の鑑別疾患概要情報の表示処理は、必須の処理ではなく、ユーザーが任意に実行する処理であるため、省略することもできる。更に、STEP136〜STEP139の鑑別病名保存処理は、各回の鑑別疾患概要情報の表示処理(STEP133〜STEP135)ごとに実行可能である。なお、STEP136で鑑別疾患概要ウインドウ190に表示した鑑別病名を保存しない場合(NOの場合)、STEP30の中止・終了処理に移行する。
2−1−3)検査項目情報の提供処理
図14の検査項目情報の提供処理について、図17にしたがって説明する。図17に示すように、検査項目情報の提供処理では、図14のSTEP108で共通テーブルに保存した全ての検査項目情報が、STEP151において抽出され、STEP152において全ての検査項目情報が、検査配列表ウインドウ150に一覧表示される。選択した病名の病名IDに基づき、STEP151において、選択した病名と対応する全ての検査項目情報が、前記共通テーブルから抽出される。即ち、まず、選択した病名の病名IDをキーとして、共通テーブルに保存している検査項目情報(「級」の検査項目の種別記号、「要」のチェック有無情報、「項目名」の検査項目名、「表示順序」の順番、「検査動向」の検査動向説明文等)が、全ての行(レコード)について抽出される。次に、抽出された各行の検査項目情報は、STEP152において、検査配列表ウインドウ150の表示に供される。即ち、「項目名」の検査項目名は、その項目IDに対応する「表示順序」の順番(昇順)で検査項目欄151に上から順に表示される。また、「級」の検査項目の種別記号(「*」、「−」、「 」)は、検査項目欄51に表示した対応する検査項目名の先頭に付加して表示される。また、「要」のチェック有無情報(「0」、「−1」)にしたがって、検査項目欄151に表示した検査項目名に対応するチェック欄153のチェックマークが表示される(「0」の場合はチェックOFFで「−1」の場合はチェックON)。また、「検査動向」の検査動向説明文は、検査項目欄151に表示した検査項目名に対応して検査動向表示欄152に表示される。
次に、STEP153で、検査配列表ウインドウ150の検査項目欄151に表示したいずれかの検査項目名がクリックして選択されると、STEP154で、選択された検査項目名の項目IDに基づいて、当該項目IDを有する検査項目の検査概要が検査マスタテーブルの「参考」から抽出される。そして、STEP155で、抽出した検査項目の検査概要が検査概要ウインドウ180に表示される。STEP153〜STEP155の検査概要情報の表示処理は、必須の処理ではなく、ユーザーが任意に実行する処理であるため、省略することもできる。一方、STEP156で、検査配列表ウインドウ180に表示した検査項目のうち、チェック欄153のチェックが入れられた検査項目を一時保存する場合(YESの場合)、ユーザーは、STEP157で検査概要ウインドウ180の保存ボタン155をクリックする。この場合、STEP158で、検査配列表ウインドウ150においてチェックの入った検査項目の項目ID及び項目名が、検査用一時格納領域としての検査保管テーブル(検査保管T)に保存され、STEP159で、当該検査用一時格納領域に保存した検査項目を検査保管表ウインドウ200に表示する。なお、STEP156で検査配列表ウインドウ150に表示したいずれの検査項目も保存しない場合(NOの場合)、STEP30の中止・終了処理に移行する。
2−2)症候検査処理
コンピュータの起動画面において症候検査処理を選択した場合について、図18にしたがって説明する。図18に示すように、症候検査処理では、まず、STEP201で統括表ウインドウ210の症候検査ボタン112がクリックされると、STEP202で、症候マスタテーブルから全ての症候情報(症候ID、症候及び異常値)が抽出され、STEP203で、全ての症候が症候分類ウインドウ230にリスト表示される。そして、STEP203で、抽出された症候及び異常値が、「順」の番号順で、症候分類ウインドウ230の症候分類表231にリスト表示される(症候IDは非表示)。次に、STEP204で、症候分類ウインドウ230に表示された症候または異常値のいずれかをクリックして選択すると、STEP205で、選択された症候または異常値に対応する全症候・病名情報(症候ID、症候または異常値、病名ID、病名、疾患順)が病名マスタテーブル及び疾患群マスタテーブルから抽出され、STEP206で、症候目次ウインドウ240にリスト表示される。なお、このときの抽出病名には、当該症候IDの症候([基]症候)または異常値([基]異常値)が含まれる。そして、STEP206で、抽出された全病名が、疾患群マスタテーブルの「内順」を参照して、所定の順序(内順の番号順)で、症候目次ウインドウ240の症候病名一覧表241にリスト表示される。
次に、STEP207で、症候目次ウインドウ240に表示された[基]症候または[基]異常値のいずれかをクリックして選択すると、STEP208で、選択した[基]症候または[基]異常値に対応する検査項目情報として、当該[基]症候または[基]異常値が該当する病名グループ(一連の病名)の検査で使用可能な検査項目のうち、当該[基]症候または[基]異常値用として予め関連付けられた所定の代表的な検査項目の項目ID、項目名、検査動向等が、検査マスタテーブル及び臨床マスタテーブルから抽出され、当該[基]症候または[基]異常値及びその病名IDと共に、前記共通テーブルに保存される。同様に、症候目次ウインドウ240に表示された病名のいずれかをクリックして選択すると、STEP208で、選択した病名に対応する検査項目情報として、当該病名の検査で使用可能な全ての検査項目の項目ID、項目名、検査動向等が、検査マスタテーブル及び臨床マスタテーブルから抽出され、当該病名及びその病名IDと共に、前記共通テーブルに保存される。
その後、選択した病名にしたがって、([基]症候、[基]異常値または病名用の)疾患概要情報の提供処理(STEP210)、前記鑑別疾患情報の提供処理(STEP130)、前記検査項目情報の提供処理(STEP150)が実行される。このとき、まず初めに、疾患概要ウインドウ160の表示処理(STEP210の最初の処理)、鑑別疾患目次ウインドウ170の表示処理(STEP130の最初の処理)、検査配列表ウインドウ150の表示処理(STEP150の最初の処理)が同時に実行される。以下、疾患概要情報の提供処理(STEP210)の詳細について説明する。なお、鑑別疾患情報の提供処理(STEP130)及び検査項目情報の提供処理(STEP150)の各処理は、一般検査処理の場合と同様である。しかし、鑑別疾患情報の提供処理(STEP130)については、症候検査処理では、[基]症候または[基]異常値の全ての鑑別疾患が症候目次ウインドウ240に既に表示されているため、[基]症候または[基]異常値を症候目次ウインドウ240で選択した場合の当該[基]症候または[基]異常値の鑑別疾患は、鑑別疾患目次ウインドウ170に改めて表示されることはなく、例えば、鑑別疾患目次ウインドウ170には「上記疾患群」といった表示がなされる。
2−2−1)疾患概要情報の提供処理その2(症候検査処理用)
図18の疾患概要情報の提供処理(STEP210)について、図19にしたがって説明する。図19に示すように、疾患概要情報の提供処理(その2)では、STEP207で[基]症候が選択された場合を示し、この場合、STEP211からSTEP212に進み、選択された[基]症候の病名IDに基づき、その[基]症候の疾患概要が病名マスタテーブルの「疾患概要」から抽出される。次に、STEP213で、抽出した[基]症候の疾患概要が疾患概要ウインドウ160に表示される。次に、STEP214で、疾患概要ウインドウ160に表示した[基]症候を一時保存する場合(YESの場合)、ユーザーは、STEP215で疾患概要ウインドウ160の病名メモボタン163をクリックする。すると、STEP216で、疾患概要ウインドウ160の病名ID及び[基]症候が、病名用一時格納領域としての病名保管テーブル(病名保管T)に保存され、STEP217で、当該病名用一時格納領域に保存した[基]症候を病名保管表ウインドウ210に表示する。即ち、症候検査処理においては、[基]症候が、一般検査処理における病名の場合と同様にして病名用一時格納領域に保存され、病名保管表ウインドウ210に表示される。なお、疾患概要ウインドウ160に表示した[基]症候をSTEP214で保存しない場合(NOの場合)、STEP30の中止・終了処理に移行する。
次に、STEP218で、症候目次ウインドウ240において選択した前記[基]症候以外に疾患概要を確認したい[基]症候(次候補)がある場合、ユーザーは、STEP219で症候目次ウインドウ240の別の[基]症候をクリックする。すると、処理はSTEP212へ復帰し、STEP213で次候補の[基]症候の疾患概要を新たな疾患概要ウインドウ160に表示し、当該次候補の[基]症候を前記病名保管表ウインドウ210に更に追加表示することが可能となる(STEP214〜STEP217)。よって、ユーザーは、必要な数の[基]症候を症候目次ウインドウ240から選択して、各々の[基]症候の疾患概要を疾患概要ウインドウ160で逐次確認し、必要な[基]症候を病名保管表ウインドウ210に逐次追加して表示することができる。次に、STEP220で、病名保管表ウインドウ210に保管して表示した別の[基]症候について、疾患概要ウインドウ160及び検査配列表ウインドウ150を表示して内容を再確認したい場合(STEP220でYESの場合)、STEP221で、病名保管表ウインドウ210から所望の[基]症候をクリックして選択する。すると、処理は、STEP212(疾患概要情報提供処理の最初の処理)、STEP131(鑑別疾患情報提供処理の最初の処理)、STEP151(検査項目情報提供処理の最初の処理)に同時に移行する(図19の下側のE点から同図19の上側のE点、図16のE点、図17のE点へと移行)。なお、上記のように、鑑別疾患情報の提供処理(STEP130)においては、[基]症候については鑑別疾患目次ウインドウ170には「上記疾患群」といった表示がなされる。よって、鑑別マスタテーブルにおいて、各病名についての「鑑別病名」の欄には当該病名の鑑別病名(当該病名含む)が格納されているが、各[基]症候についての「鑑別病名」の欄には「上記疾患群」といった文章が格納されている。一方、ユーザーが、必要な全ての[基]症候を確認及び保存して次候補となる[基]症候がないと判断した場合(STEP220でNOの場合)、STEP30の中止・終了処理に移行する。
一方、図19のSTEP211において病名が選択された場合、図19のB点から、図15のB点、図16のB点及び図17のB点を経て、一般検査処理の疾患概要情報の提供処理STEP110と、鑑別疾患情報の提供処理STEP130と、検査項目情報の提供処理STEP150とが実行される。そして、一般検査処理の場合と同様にして、選択した病名について、検査配列表ウインドウ150への検査項目情報の表示処理、疾患概要ウインドウ160への疾患概要の表示処理、鑑別病名目次ウインドウ170への鑑別病名の表示処理が実行され、更に、検査概要ウインドウ180への検査概要の表示処理及び鑑別疾患概要ウインドウ190への鑑別疾患概要の表示処理が実行可能となると共に、検査保管表ウインドウ200への検査項目の保管処理及び病名保管ウインドウ210への病名の保管処理が実行可能となる。
疾患概要情報の提供処理では、STEP207で[基]異常値が選択された場合、STEP211から図19のD点及び図20のD点を経てSTEP231に進み、選択された[基]異常値の病名IDに基づき、その[基]異常値の疾患概要が病名マスタテーブルの「疾患概要」から抽出される。次に、STEP232で、抽出した[基]異常値の疾患概要が疾患概要ウインドウ160に表示される。次に、STEP233で、疾患概要ウインドウ160に表示した[基]異常値を一時保存する場合(YESの場合)、ユーザーは、上述の[基]症候の場合と同様にして、STEP234で疾患概要ウインドウ160の病名メモボタン163をクリックする。すると、STEP235で、疾患概要ウインドウ160の病名ID及び[基]異常値が、前記病名保管テーブルに保存され、STEP236で、当該病名保管テーブルに保存した[基]異常値を病名保管表ウインドウ210に表示する。なお、疾患概要ウインドウ160に表示した[基]異常値をSTEP233で保存しない場合(NOの場合)、STEP30の中止・終了処理に移行する。次に、STEP237で、症候目次ウインドウ240において選択した前記[基]異常値以外に疾患概要を確認したい[基]異常値(次候補)がある場合、ユーザーは、STEP238で症候目次ウインドウ240の別の[基]異常値をクリックする。すると、処理はSTEP231へ復帰し、STEP232で次候補の[基]異常値の疾患概要を新たな疾患概要ウインドウ160に表示し、当該次候補の[基]異常値を前記病名保管表ウインドウ210に更に追加表示することが可能となる(STEP233〜STEP236)。よって、ユーザーは、必要な数の[基]異常値を症候目次ウインドウ240から選択して、各々の[基]異常値の疾患概要を疾患概要ウインドウ160で逐次確認し、必要な[基]異常値を病名保管表ウインドウ210に逐次追加して表示することができる。次に、STEP239で、病名保管表ウインドウ210に保管して表示した別の[基]異常値について、疾患概要ウインドウ160及び検査配列表ウインドウ150を表示して内容を再確認したい場合(STEP239でYESの場合)、STEP240で、病名保管表ウインドウ210から所望の[基]異常値をクリックして選択する。すると、処理は、STEP231(疾患概要情報提供処理の最初の処理)、STEP131(鑑別疾患情報提供処理の最初の処理)、STEP151(検査項目情報提供処理の最初の処理)に同時に移行する(図20の下側のF点から同図20の上側のF点、図16のF点、図17のF点へと移行)。なお、上述の[基]症候の場合と同様、鑑別疾患情報の提供処理(STEP130)においては、[基]異常値については鑑別疾患目次ウインドウ170には「上記疾患群」といった表示がなされる。一方、ユーザーが、必要な全ての[基]異常値を確認及び保存して次候補となる[基]異常値がないと判断した場合(STEP239でNOの場合)、STEP30の中止・終了処理に移行する。
2−3)3項目検索処理
統括表ウインドウ110の異常値選択ボックス113〜115で特定の異常値を選択した状態で、統括表ウインドウ110の単疾患ボタン116、関連疾患ボタン117または限定疾患ボタン118のいずれかを押すと、選択した異常値の異常値IDに基づき、選択した異常値が該当する背景疾患の病名IDと病名(単疾患検索の場合は1個の異常値が該当する全ての病名、関連疾患検索の場合は2個の異常値が該当する全ての病名、限定疾患検索の場合は3個の異常値が該当する全ての病名)が、臨床マスタテーブルから全て抽出され、作業テーブル(一時記憶領域)、即ち、3項目検索用格納領域としての3項目検索用病名テーブル(3項目検索用病名T)に保存される。
そして、3項目検索用病名テーブルに格納された病名のうち、選択した異常値の1、2または3つが該当する病名、即ち、同一病名が1個、2個または3個格納されたものが、病名目次ウインドウ140にリスト表示される。次に、病名目次ウインドウ140に表示された病名のいずれかをクリックして選択すると、一般検査処理STEP100のSTEP107以降の処理と同様にして、選択した病名に対応する検査項目情報として、当該病名の検査で使用可能な全ての検査項目の項目ID、項目名、検査動向等が、検査マスタテーブル及び臨床マスタテーブルから抽出され、当該病名の病名ID及び病名と共に、前記共通テーブルに保存される。その後、一般検査処理STEP100の場合と同様にして、選択した病名にしたがって、疾患概要情報の提供処理(STEP110)、鑑別疾患情報の提供処理(STEP130)、検査項目情報の提供処理(STEP150)が実行される。
2−4)複合検索処理
複合検索処理について説明する。統括表ウインドウ110の症候選択ボックス119の症候を選択すると共に、異常値選択ボックス120の異常値を選択した状態で、統括表ウインドウ110の実施ボタン121を押す。すると、選択した症候の症候IDに基づき、選択した症候が該当する疾患の病名IDと病名の組が、疾患群マスタテーブルから全て抽出されると共に(第1の処理)、選択した異常値の異常値IDに基づき、選択した異常値が該当する疾患の病名ID、病名、項目ID及び項目名の組が、臨床マスタテーブルから全て抽出される(第2の処理)。そして、次のSTEP413で、第1の処理で抽出した病名IDと病名の組と、第2の処理で抽出した病名IDと病名の組とがAND条件で比較されて、そのうちの同一の病名IDを有する病名のみが抽出され、選択した症候及び異常値の両者が該当した場合に予想される疾患(候補疾患)として、作業テーブル(一時記憶領域)、即ち、複合検索用格納領域としての複合検索用病名テーブル(複合検索用病名T)に保存される。
そして、抽出されて複合検索用病名テーブルに保存された全ての病名が、候補疾患として、病名目次ウインドウ140の病名一覧表141に所定の順序でリスト表示される(病名IDは非表示)。病名目次ウインドウ140に表示された病名のいずれかをクリックして選択すると、一般検査処理STEP100のSTEP107以降の処理と同様にして、選択した病名に対応する検査項目情報として、当該病名の検査で使用可能な全ての検査項目の項目ID、項目名、検査動向等が、検査マスタテーブル及び臨床マスタテーブルから抽出され、当該病名の病名ID及び病名と共に、前記共通テーブルに保存される。その後、一般検査処理STEP100の場合と同様にして、選択した病名にしたがって、疾患概要情報の提供処理(STEP110)、鑑別疾患情報の提供処理(STEP130)、検査項目情報の提供処理(STEP150)が実行される。
2−5)見逃検索処理
見逃検索処理(STEP420)について、図21のフローチャート、並びに、図24及び図25のテーブルにしたがって説明する。図21に示すように、統括表ウインドウ110の症候選択ボックス119の症候を選択した状態で、STEP421において、統括表ウインドウ110の見逃ボタン122を押す。すると、STEP422で、選択した症候の症候IDに基づき、選択した症候が該当する疾患の病名IDと病名の組が、疾患群マスタテーブルから全て抽出される。次に、STEP423において、抽出した病名IDに基づいて、臨床マスタテーブルにおいて当該抽出した病名ID及び病名の組を参照し、それらの病名(疾患)のうち、特定の安価な生化学検査を中心とする検査(本書類中では「汎用検査」と称している)で診断されるものを選択して抽出する。詳細には、検査マスタテーブルは、検査項目として、血清関連の検査(「血清関連」)、生化学検査I(生化I)、生化学検査II(生化II)、生化学検査III(生化III)等、現存する全ての検査項目を格納している。(なお、本明細書中で使用する「生化I」や「生化II」は、保険で扱う生化Iや生化IIとは内容が異なる。)しかし、これらは、大きく分けて安価な生化学検査と高価な特異的検査に2分することができる。このうち、生化学検査は、安価であるため、初回から検査範囲に含むことが多い検査項目である。一方、特異的検査は、初回から検査に使われる場合も勿論あるが、高額なこともあって、一般的には主に生化学検査の結果を受けて二次検査に多用される性格の検査である。そして、初回の検査には、前記安価な生化学検査を中心とする汎用検査のみが使用される場合も考えられる。
そこで、本医療情報DBでは、かかる安価な生化学検査を中心とする汎用検査を予め特定し、それらを見逃検索処理用の特定検査項目として設定している。具体的には、検査マスタテーブルにおいて、あらかじめ特定した項目IDの生化学検査(「CBC」、「網赤血球」、「血液像」、「Na・K」、「Cl」、「Ca」、「Mg」、「Fe」、「Cu」、項目IDが「1062」の「TP」、項目IDが「1063」の「Alb」、「Cr」、「UA」、「AST」、「ALT」、「ALP」、項目IDが「1064」の「T−Bil」、項目IDが「1065」の「D−Bil」、「ChE」、「γ−GTP」、「LDH」、「CPK」、「AMY」、「T−Chol」、「TG」、「BS」、「乳酸」、「NH3」等を汎用検査として扱っている。
よって、前記STEP423では、まず、上記特定の項目IDの汎用検査で診断可能な全ての病名(疾患)を選択すべく、STEP422で抽出した病名の病名IDをキーとして、臨床マスタテーブルの病名を参照し、当該病名のうち、上記特定の生化学検査の項目IDを有する病名(及び病名ID)を抽出する。この抽出結果は、症候選択ボックス119で「口渇感(症候ID=19)」を選択した場合、図24に示す一時記憶領域としての見逃検索削除用テーブルに示すとおりのデータとなる。なお、図24の見逃検索削除用テーブルは、STEP401で選択した症候ID及び症候と、STEP423で臨床マスタテーブルから抽出した病名ID及び病名と、臨床マスタテーブルにおいて当該抽出した病名IDに関連付けられた項目及び項目IDとを、それぞれ、「症候ID」、「症候」、「病名ID」、「病名」、「項目名」、「項目ID」の各カラムに格納するものである。また、この見逃検索削除用テーブルは、更に、「異常値ID」のカラムを有し、臨床マスタテーブルにおいて前記抽出した病名IDに関連付けられた異常値IDをも格納する。この「異常値ID」は、本見逃検索処理におけるデータ抽出に利用される。即ち、見逃検索処理では、STEP423の処理に先立ち、異常値IDがゼロ以上(異常値ID>0)のレコードが全て臨床マスタテーブルから抽出され、この抽出レコードについて、上記STEP423の処理が実行される。
そして、本医療情報DBは、次のSTEP424において、STEP422で疾患群マスタテーブルから抽出した病名について、当該病名の病名IDを参照して、前記見逃検索削除用テーブルに保存した病名と同一の病名を削除し、残りの病名(及び病名ID)を、図25に示す見逃検索用格納領域としての見逃検索用病名テーブル(一時記憶領域)に格納する。即ち、STEP424で抽出した病名は、上記特定の生化学検査による診断が不可能であるため、上記特定の生化学検査だけでは見逃す可能性が高いものであり、これらの病名を見逃し検索用病名テーブルに格納して、次のSTEP425で病名目次ウインドウ140に見逃す可能性のある病名一覧として表示する。なお、図25の見逃検索用病名テーブルは、カラムとして、「病名ID」、「病名」、「分類ID」、「疾患順」を有し、「病名ID」及び「病名」に、STEP424で削除されずに残った病名ID及び病名を格納している。具体的には、症候選択ボックス119で「口渇感(症候ID=19)」を選択した場合、STEP422で抽出する病名ID及び病名は、疾患群マスタテーブルの症候ID「19」部分に示すとおり(病名ID「11」の「成人T細胞白血病(ATL)」、病名ID「12」の「多発性骨髄腫(MM)」等)となる。そして、ここから、図24の見逃検索削除用テーブルに示す病名IDと同一の病名ID(「11」、「12」等)を有する病名(「成人T細胞白血病(ATL)」、「多発性骨髄腫(MM)」等)を削除すると、図25に示すように、病名IDが「904」の「唾液腺腫大疾患」、病名IDが「151」の「シモンズ症候群」、病名IDが「154」の「尿崩症」、病名IDが「3003」の「口腔乾燥症」、病名IDが「3006」の「口腔カンジダ症」、病名IDが「3007」の「貧血性舌炎」、病名IDが「3008」の「ベーチェット性舌炎」、病名IDが「3010」の「薬剤性口渇感」、病名IDが「3012」の「消化器諸疾患性口渇」、病名IDが「3011」の「心因性多飲症」が残る。よって、これらの病名ID及び病名が、図25の見逃検索用病名テーブルに格納される。
次に、STEP426で、病名目次ウインドウ140に表示された病名のいずれかをクリックして選択すると、STEP427において、一般検査処理STEP100のSTEP107以降の処理と同様にして、選択した病名に対応する検査項目情報として、当該病名の検査で使用可能な全ての検査項目の項目ID、項目名、検査動向等が、検査マスタテーブル及び臨床マスタテーブルから抽出され、当該病名の病名ID及び病名と共に、前記共通テーブルに保存される。その後、一般検査処理STEP100の場合と同様にして、選択した病名にしたがって、疾患概要情報の提供処理(STEP110)、鑑別疾患情報の提供処理(STEP130)、検査項目情報の提供処理(STEP150)が実行される。
3.固有変動表の作成処理
上記臨床診断支援システムにおける固有変動表の作成処理の一例について、以下に実際の具体的なデータを使用して説明する。
1)関節リウマチ
図26は疾患として「関節リウマチ」の発症条件「臓器:心臓」を例にとって固有変動マスタファイルの該当データ部分を作成する場合を示すテーブル図である。図27は疾患として「関節リウマチ」を例にとって全ての固有変動を追加した場合の固有変動マスタファイルの対応部分を示すテーブル図である。
関節リウマチの場合、常時検査結果が変動する検査項目として、RF及びRAPA(いずれも、関節リウマチ等の慢性炎症性疾患で陽性化する血液検査)、骨XP(レントゲン)、ALP(骨代謝に関する生化学検査)、ESR(いわゆる血沈のことで、慢性の炎症性疾患で上昇)、CRP(炎症の程度を表す生化学検査)、Fe(血中鉄濃度)が医学書に記載の一般的な検査項目であり、これらが前記固定固有変動に相当するため、これらを前記固有変動登録・編集手段21により、関節リウマチに関連付けて固有変動マスタファイル11に登録して格納する。一方、固定固有変動以外の固有変動については医学書には一般的に記載がないため、関節リウマチに関して個々の臓器に関する検査結果の変動である随伴固有変動については、個々の臓器ごとの固有変動を取得する。例えば、関節リウマチの場合でも、「心臓」等の発症条件については医学書にも具体的な記載がないため、関節リウマチの随伴固有変動型検査の検査項目が固有変動表から格納漏れすることを防止するため、関節リウマチに関して医学的な決定事項である「腎臓」、「ヘモグロビン血症」、「出欠傾向」等の発症条件に関する検査項目の項目名を調査して、固有変動表の検査項目名のデータ項目に格納しておき、当該検査項目名について発症条件ごとに調査した検査結果を当該発症条件の随伴固有変動として、固有変動表の対応する検査動向のデータ項目に格納する。例えば、臓器「心(胸部苦悶)」の場合、心臓に関する基本的検査とされる、胸画像(胸部レントゲンやCT)、BNP(心不全の程度を測定する血液検査)、心US(新造の超音波検査)、 血ガス(血中の酸素濃度、pH等)、ECG(心電図)の5項目の固有変動(検査動向)を、前記固有変動登録・編集手段21により、関節リウマチの発症条件「心(胸部苦悶)」に関連付けて固有変動マスタファイル11に登録して格納する。図26はこのようにして格納された固有変動データを示す。これにより、これら5つの検査項目についての固有変動が、関節リウマチの随伴固有変動として固有変動マスタファイル11に追加される。このようにして関節リウマチの各発症条件についての随伴固有変動を格納した状態を図11に示す(紙面の制約上、一部のみ図示)。なお、図26及び図27では、疾患名と発症条件とを結合することにより、随伴固有変動を上記結合疾患名として表現している。
上記のように、各疾患について、随伴固有変動を呈する検査項目の方が固定固有変動を呈する検査項目より多数となるが、特に、疾患に特異的とされる特異的検査についても、随伴固有変動を呈する検査項目の方が固定固有変動を呈する検査項目より多数となる。例えば、関節リウマチに特異的とされる検査でも、RAPAのようにその疾患のみで陽性化する完全に特異的な検査は少なく、全疾患のうちの比較的多数の疾患で陽性化するものが多いため、これらの検査は特異的といっても比較的特異であるに過ぎない。また、関節リウマチに関し、他の血液学的な検査についての固定固有変動は、全疾患のうちの数十から100前後の疾患で変動するため、これらの検査項目を単独で使用したとしても、関節リウマチと診断する特異性はほとんどない。ただし、これらの検査項目の固定固有変動がいずれも陰性の場合は、少なくとも関節リウマチではないと判断できるため、複数の固有変動がある疾患の検査動向に一致して変動することを、複数項目比較検討により診断することで、これらの検査項目に変動がないとき(陰性のとき)は、関節リウマチを否定する情報として活用することができる。
固有変動表の作成は、他の疾患についても、上記の関節リウマチの例で示すように、発症条件に関する検査項目を前もって集成した上、固有変動表に追加格納する。即ち、随伴固有変動を全て同じ手法で固有変動表に(対応する結合疾患名及び検査項目名と関連付けて)追加格納して、検査項目の見逃しを予防する。
2)症候(高血糖)
図28は症候「高血糖」に関する固有変動を検査項目「CBC」について固有変動マスタファイルに格納する場合の処理を説明するテーブル図である。固有変動マスタファイル11では、上記のように、同一の検査項目であっても疾患ごとに異なる複数の固有変動が格納され、1つの検査項目について複数行の(疾患ごとに異なる)レコードが存在するため、このまま各行のレコードのデータ内容を抽出して検査配列表63に表示すると、表示行が膨大となってその全容の把握が逆に困難になる可能性がある。したがって、本臨床診断支援システムでは、固有変動マスタファイル11に基づき、ある症候に属する疾患ごとに同一の検査項目について複数行にわたる固有変動のデータ(同一の検査項目について、当該症候に属する疾患ごとに異なる複数の検査変動の説明)を1つのデータ(当該検査項目について当該症候に属する疾患ごとの検査変動をまとめた説明)として臨床マスタファイル12に格納し手いる。即ち、同一の症候について、固有変動表では複数行にわたる1つの検査項目に関する複数の固有変動データを1つのデータに結合して単一のデータとして表現し、当該症候が指定されたときは、同一の検査項目についてはこの単一のデータを臨床マスタファイル12から抽出して検査配列表63に表示するようにしている。なお、このデータ集約処理は、上記で説明したように、前記検査配列表加工表示手段53により、複数行にわたる1つの検査項目のデータを1行に結合して複数の固有変動を単一のデータとして表現し、検査配列表63に表示することができる。
例えば、疾患群マスタファイルを参照して症候「高血糖」についての全疾患(全病名)を抽出すると共に、抽出した全病名について、固有変動マスタファイルを参照して、当該病名に関連付けられた検査項目「CBC」とその固有変動とを抽出すると(これら両ファイルの当該抽出データ部分を結合すると)、図28に示すように、症候「高血糖」に属する疾患群についての検査項目「CBC」に関しては、固有変動マスタファイルには、当該症候「高血糖」に属する疾患群(「褐色細胞種」等)について(合計8個の)個別の固有変動が格納されていることがわかる(図28の下側のテーブル参照)。したがって、本臨床診断支援システムでは、これらの固有変動データを集約して(当該疾患群についての)単一データの固有変動(検査動向)として臨床マスタファイルの「固有変動(検査動向)」のデータ項目の対応レコード部分に格納し(図28の上側のテーブル参照)、症候「高血糖」を指定したときの当該疾患群の当該検査項目「CBC」に関する固有変動としては、この集約した単一データの固有変動を検査配列表63の検査動向欄に表示する。したがって、検査配列表63で単一項目として表示される(本来は8個の固有変動からなる)固有変動データを見るだけで、複数項目比較検討が可能になり、複数行にわたるデータを見て複数項目比較検討をする場合と比較して、作業性が向上する。また、固有変動マスタファイル11の固有変動の内容をそのまま集約して臨床マスタファイル12の固有変動の内容とするため、疾患名や固有変動データの漏れがなくなり、また、正確かつ専門的な構文として表示することが可能となる。
3)肺炎
図29は肺炎に関する固有変動を検査項目「AST」について固有変動マスタファイルに格納する場合の処理を説明するテーブル図である。
肺炎は、肺に親和性を持つ起炎菌により発症するが、本臨床診断支援システムでは、まず、(別症候とする特殊なウイルス性肺炎は除いて)肺炎の起炎菌として18種類の起炎菌を使用して、鑑別マスタファイル17の鑑別病名として格納している。そして、例えば、鑑別マスタファイルを参照して病名「肺炎」についての全鑑別疾患(全鑑別病名)を抽出すると共に、抽出した全病名について、固有変動マスタファイルを参照して、当該病名に関連付けられた検査項目「AST」とその固有変動とを抽出すると(これら両ファイルの当該抽出データ部分を結合すると)、図29に示すように、病名「肺炎」に属する鑑別病名群についての検査項目「AST」に関しては、固有変動マスタファイルには、当該病名「肺炎」に属する鑑別病名群(「マイコプラズマ症」等)について(合計14個の)個別の固有変動が格納されていることがわかる(図29の下側のテーブル参照)。したがって、本臨床診断支援システムでは、これらの固有変動データを集約して(当該鑑別病名群についての)単一データの固有変動(検査動向)として臨床マスタファイルの「固有変動(検査動向)」のデータ項目の対応レコード部分に格納し(図29の上側のテーブル参照)、病名「肺炎」を指定したときの当該鑑別病名群の当該検査項目「AST」に関する固有変動としては、この集約した単一データの固有変動を検査配列表63の検査動向欄に表示する。したがって、検査配列表63で単一項目として表示される(本来は14個の固有変動からなる)固有変動データを見るだけで、鑑別病名の固有変動の比較検討が可能になり、複数行にわたるデータを見てそれらを比較検討をする場合と比較して、作業性が向上する。また、固有変動マスタファイル11の固有変動の内容をそのまま集約して臨床マスタファイル12の固有変動の内容とするため、疾患名や固有変動データの漏れがなくなり、また、正確かつ専門的な構文として表示することが可能となる。
このように、従来の診断法によれば、至適抗生剤選定用の細菌培養検査を行い、その結果がでるまで通常4〜5日を要するが、病初は起炎菌が不明のため、適当な抗生剤で治療が開始されるのに対し、本臨床診断支援システムによれば、一般検査で肺炎を指定すると、(30分程度で測定できる)安価な生化学検査だけでも、その検査結果を検査配列表63の対応する検査項目の固有変動で確認することにより、肺炎を発症する18起炎菌中の16起炎菌を区別して検出することができる。また、重症化して緊急性を帯びるほど随伴固有変動が陽性化することから、結果的に、重症肺炎となるほど治療開始前に起炎菌を同定でき、至適な薬剤を選定することができることになり、救命率の向上を期待することができる。更に、生化学検査以外にも、短時間で結果が判明する特異的検査や、画像検査の特徴等も、それぞれの固有変動として検査配列表63に合わせて表示されるため、初回の簡単な検査を複数項目比較検討するだけで、全疾患を区別して検出することができる。
図1は本発明の一実施の形態に係る臨床診断支援システムで使用する固有変動表の一例を概念的に説明するための表である。 図2は本発明の一実施の形態に係る臨床診断支援システムで使用する疾患群マスタファイルの一例を概念的に説明するための表である。 図3は本発明の一実施の形態に係る臨床診断支援システムで使用する鑑別疾患マスタファイルの一例を概念的に説明するための表である。 図4は本発明の一実施の形態に係る臨床診断支援システムで使用する臨床マスタファイルの一例を概念的に説明するための表である。 図5は本発明の一実施の形態に係る臨床診断支援システムで使用する症候検査時の検査配列表の一例を概念的に説明するための表である。 図6は本発明の一実施の形態に係る臨床診断支援システムで使用する鑑別検査時の検査配列表の一例を概念的に説明するための表である。 図7は本発明の一実施の形態に係る臨床診断支援システムで使用する固有変動表の立方体のデータ構造を概念的に説明するための別の説明図である。 図8は本発明の一実施の形態に係る臨床診断支援システムの全体構成を、症候検査用の機能実現手段として概略的に説明するためのブロック図である。 図9は本発明の一実施の形態に係る臨床診断支援システムの全体構成を、一般検査用の機能実現手段として概略的に説明するためのブロック図である。 図10は本発明の一実施例に係る臨床診断支援システムにおける一般検査(鑑別検査)処理時の画面構成を示す説明図である。 図11は本発明の一実施例に係る臨床診断支援システムにおける症候検査処理時の画面構成を示す説明図である。 図12は本発明の一実施例に係る臨床診断支援システムにおける3項目検索処理時の画面構成を示す説明図である。 図13は本発明の一実施例に係る臨床診断支援システムにおける複合検索処理時の画面構成を示す説明図である。 図14は本発明の一実施例に係る臨床診断支援システムの一般検査処理を示すフローチャートである。 図15は本発明の一実施例に係る臨床診断支援システムの一般検査処理における疾患概要情報提供処理を示すフローチャートである。 図16は本発明の一実施例に係る臨床診断支援システムの鑑別疾患情報提供処理を示すフローチャートである。 図17は本発明の一実施例に係る臨床診断支援システムの検査項目情報提供処理を示すフローチャートである。 図18は本発明の一実施例に係る臨床診断支援システムの症候検査処理を示すフローチャートである。 図19は本発明の一実施例に係る臨床診断支援システムの症候検査処理における症候概要情報提供処理を示すフローチャートである。 図20は図21の続きの処理を示すフローチャートである。 図21は本発明の一実施例に係る臨床診断支援システムの症候検索処理における見逃検査処理を示すフローチャートである。 図22は本発明の一実施例に係る臨床診断支援システムの症候マスタファイルとしての症候マスタテーブルを示す。 図23は本発明の一実施例に係る臨床診断支援システムの異常値マスタファイルとしての異常値マスタテーブルを示す。 図24は本発明の一実施例に係る臨床診断支援システムの一時記憶領域としての見逃検索削除用テーブルを示す。 図25は本発明の一実施例に係る臨床診断支援システムの一時記憶領域としての見逃検索用病名テーブルを示す。 図26は疾患として「関節リウマチ」の発症条件「臓器:心臓」を例にとって固有変動マスタファイルの該当データ部分を作成する場合を示すテーブル図である。 図27は疾患として「関節リウマチ」を例にとって全ての固有変動を追加した場合の固有変動マスタファイルの対応部分を示すテーブル図である。 図28は症候「高血糖」に関する固有変動を検査項目「CBC」について固有変動マスタファイルに格納する場合の処理を説明するテーブル図である。 図29は肺炎に関する固有変動を検査項目「AST」について固有変動マスタファイルに格納する場合の処理を説明するテーブル図である。
110:統括表ウインドウ、130:病名分類ウインドウ
140:病名目次ウインドウ
150:検査配列票ウインドウ、160:疾患概要ウインドウ
170:鑑別疾患目次ウインドウ、180:検査概要ウインドウ
190:鑑別疾患概要ウインドウ、200:検査保管票ウインドウ
210:病名保管票ウインドウ、230:症候分類ウインドウ
240:症候目次ウインドウ、250:用語検索票ウインドウ

Claims (6)

  1. データベースシステムとしてコンピュータ装置の記憶装置に格納され、前記コンピュータ装置のハードウエアを前記機能実現手段として機能させることで所定の機能を実現する臨床診断支援システムであって、
    前記機能実現手段は、固有変動格納手段及び検査配列表示手段を備え、
    前記固有変動格納手段は、
    各疾患に対して、その疾患が発病したときには必ず同一の検査結果となることを利用してその疾患自体の発病を確認するために使用可能な検査項目である固定固有変動型検査の検査項目名と、その疾患が発病したときの当該固定固有変動型検査の検査結果の変動内容を示す表現である固定固有変動とを当該疾患に関連付けてコンピュータ装置の第1の記憶領域に格納すると共に、
    その疾患が発病したときに必ずしも同一の検査結果とはならない一方でその疾患に固有の発症条件が発症したときには必ず同一の検査結果となることを利用してその疾患に固有の発症条件を確認するために使用可能な検査項目である随伴固有変動型検査の検査項目名と、その疾患に固有の発症条件が発症したときの当該随伴固有変動型検査の検査結果の変動内容を示す表現である随伴固有変動とを当該疾患に関連付けて前記第1の記憶領域に格納し、
    前記固定固有変動及び前記随伴固有変動として、いずれも、対応する検査項目の検査結果の変動内容を最小単位となるよう細分化して表現したものを前記第1の記憶領域に格納すると共に、
    前記固定固有変動に対応する疾患の疾患名を当該固定固有変動に関連付けて前記第1の記憶領域に格納し、かつ、前記随伴固有変動に対応する疾患の疾患名と対応する発症条件の発症条件名とを結合した結合疾患名を当該随伴固有変動に関連付けて前記第1の記憶領域に格納し、
    前記検査配列表示手段は、
    各疾患について、前記第1の記憶領域から、その疾患に関連付けた全ての前記固定固有変動型検査の検査項目名とその固定固有変動、並びに、その疾患に関連付けた全ての前記随伴固有変動型検査の検査項目名とその随伴固有変動とを抽出し、各疾患について当該疾患に関連付けた全ての固定固有変動型検査の検査項目名及び全ての随伴固有変動型検査の検査項目名を、当該疾患と対応付けて検査配列表示部に順に列挙表示すると共に、各固定固有変動型検査の検査項目名にはその固定固有変動を対応付けて前記検査配列表示部に表示し、かつ、各随伴固有変動型検査の検査項目名にはその随伴固有変動を対応付けて前記検査配列表示部に表示すると共に、
    前記固定固有変動には、当該固定固有変動が関連付けられた疾患名のみを対応付けて表示し、かつ、前記随伴固有変動には、当該随伴固有変動が関連付けられた結合疾患名を対応付けて表示し、
    更に、一の疾患について少なくとも2以上の前記固定固有変動を前記第1の記憶領域から抽出して前記検査配列表示部に列挙表示することで、当該一の疾患について前記2以上の固定固有変動を相互に比較検討して診断する複数項目比較検討を可能とする
    ことを特徴とする臨床診断支援システム。
  2. 更に、
    症候を前記コンピュータ装置の第2の記憶領域に格納する症候格納手段と、
    前記症候格納手段に格納した症候ごとに、その症候が発症したときに発病が疑われる疾患である候補疾患を当該症候に関連付けて前記コンピュータ装置の第3の記憶領域に格納する疾患群格納手段と、
    前記第2の記憶領域に格納した症候のうちの特定の症候を指定する症候指定手段と、
    前記症候指定手段により特定の症候が指定されたときに、当該指定された症候に関連付けた前記候補疾患を前記前記第3の記憶領域から抽出する候補疾患抽出手段と、
    前記症候指定手段により特定の症候が指定されたときに、前記候補疾患抽出手段が抽出した候補疾患の各々に関連付けた前記固定固有変動型検査項目の検査項目名及びその固定固有変動と、当該候補疾患の各々に関連付けた前記随伴固有変動型検査の検査項目名及びその随伴固有変動とを、それぞれ、前記第1の記憶領域から抽出する固有変動抽出手段とを備え、
    前記検査配列表示手段は、前記固有変動抽出手段を含み、
    前記症候指定手段により特定の症候が指定されたとき、
    前記固有変動抽出手段は、前記第1の記憶領域から、前記候補疾患抽出手段が抽出した前記候補疾患の各々について、前記候補疾患の各々に関連付けた前記固定固有変動型検査項目の検査項目名及びその固定固有変動を少なくとも2以上抽出すると共に、前記候補疾患の各々に関連付けた前記随伴変動型検査項目の検査項目名及びその随伴固有変動を抽出し、
    前記検査配列表示手段は、前記検査配列表示部としての検査配列表の左側に、前記固有変動抽出手段が抽出した全ての前記検査項目名を上から下へと順に列挙表示すると共に、前記検査配列表の右側に、前記検査配列表に列挙表示した前記検査項目名の各々に対応して前記固定固有変動及び前記随伴固有変動を上から下へと列挙表示し、
    前記検査配列表示手段は、更に、前記検査配列表に列挙表示した前記固定固有変動に対して当該固定固有変動が該当する疾患の疾患名のみを対応付けて表示すると共に、前記検査配列表に列挙表示した前記随伴固有変動に対して当該随伴固有変動が該当する前記結合疾患名を対応付けて表示する
    ことを特徴とする請求項1記載の臨床診断支援システム。
  3. 更に、
    前記第1の記憶領域に格納した疾患ごとに、当該疾患と鑑別関係にある疾患であり、かつ、前記第1の記憶領域に格納した疾患でもある鑑別疾患を、当該疾患に関連付けて前記コンピュータ装置の第2の記憶領域に格納する鑑別疾患格納手段と、
    前記第1の記憶領域に格納した疾患のうちの特定の疾患を指定する疾患指定手段と、
    前記疾患指定手段により特定の疾患が指定されたときに、当該指定された疾患に関連付けた前記鑑別疾患を前記第2の記憶領域から抽出する鑑別疾患抽出手段と、
    前記疾患指定手段により特定の疾患が指定されたときに、当該指定された疾患に関連付けた前記固定固有変動型検査項目の検査項目名及びその固定固有変動と、当該指定された疾患に関連付けた前記随伴固有変動型検査の検査項目名及びその随伴固有変動とを、それぞれ、前記第1の記憶領域から抽出することに加え、前記鑑別疾患抽出手段が抽出した鑑別疾患の各々に関連付けた前記固定固有変動型検査項目の検査項目名及びその固定固有変動と、当該鑑別疾患の各々に関連付けた前記随伴固有変動型検査の検査項目名及びその随伴固有変動とを、それぞれ、前記第1の記憶領域から抽出する固有変動抽出手段とを備え、
    前記検査配列表示手段は、前記固有変動抽出手段を含み、
    前記疾患指定手段により特定の疾患が指定されたとき、
    前記固有変動抽出手段は、前記第1の記憶領域から、前記指定された疾患について、当該疾患に関連付けた少なくとも2以上の前記固定固有変動型検査項目の検査項目名及びその固定固有変動を抽出すると共に、当該指定された疾患に関連付けた前記随伴変動型検査項目の検査項目名及びその随伴固有変動を抽出することに加え、前記鑑別疾患抽出手段が抽出した前記鑑別疾患の各々について、前記鑑別疾患の各々に関連付けた前記固定固有変動型検査項目の検査項目名及びその固定固有変動を抽出し、
    前記検査配列表示手段は、前記検査配列表示部としての検査配列表の左側に、前記固有変動抽出手段が抽出した全ての前記検査項目名を集合化して順に列挙表示すると共に、前記検査配列表の右側に、前記検査配列表に列挙表示した前記検査項目名の各々に対応して前記固定固有変動及び前記随伴固有変動を集合化して列挙表示する一方、前記指定された疾患について抽出した前記固定固有変動を集合化して列挙表示し、かつ、前記指定された疾患について抽出した前記随伴固有変動を集合化して列挙表示すると共に、前記鑑別疾患について抽出した前記固定固有変動を集合化して表示し、
    前記検査配列表示手段は、更に、前記検査配列表に列挙表示した前記固定固有変動に対して当該固定固有変動が該当する疾患の疾患名のみを対応付けて表示すると共に、前記検査配列表に列挙表示した前記随伴固有変動に対して当該随伴固有変動が該当する前記結合疾患名を対応付けて表示する
    ことを特徴とする請求項1記載の臨床診断支援システム。
  4. 更に、
    前記第1の記憶領域に格納した疾患ごとに、前記固定固有変動型検査の検査項目名及びその固定固有変動、並びに、前記随伴固有変動型検査の検査項目名及びその随伴固有変動をそれぞれ関連付けてコンピュータ装置の第2の記憶領域に格納する臨床データ格納手段と、
    前記第2の記憶領域に格納した疾患のうちの特定の疾患を指定する疾患指定手段と、
    前記疾患指定手段により特定の疾患が指定されたときに、当該指定された疾患に関連付けた前記固定固有変動型検査項目の検査項目名及びその固定固有変動と、当該指定された疾患に関連付けた前記随伴固有変動型検査の検査項目名及びその随伴固有変動とを、それぞれ、前記第2の記憶領域から抽出する固有変動抽出手段とを備え、
    前記臨床データ格納手段は、前記第1の記憶領域において疾患ごとに関連付けられた前記固定固有変動型検査の検査項目名を、その疾患自体の発病を確認するための肯定用検査の検査項目名として当該疾患に関連付けて前記第2の記憶領域に格納することに加え、前記第1の記憶領域においてその疾患の鑑別疾患となる疾患に関連付けられた前記固定固有変動型検査の検査項目名をも、当該鑑別疾患の発病を確認することで当該疾患自体の発病を否定するための否定用検査として当該疾患に関連付けて前記第2の記憶領域に格納し、
    前記臨床データ格納手段は、更に、前記第1の記憶領域において疾患ごとに関連付けられた前記固定固有変動型検査の固定固有変動であって前記肯定用検査となる検査の固定固有変動を、その疾患の疾患名及び当該肯定用検査の検査項目名にそれぞれ関連付けて前記第2の記憶領域に格納することに加え、前記第1の記憶領域においてその疾患の鑑別疾患となる疾患に関連付けられた前記固定固有変動型検査の固定固有変動であって前記否定用検査となる検査の固定固有変動をも、その疾患の疾患名及び当該否定用検査の検査項目名及び当該鑑別疾患の疾患名にそれぞれ関連付けて前記第2の記憶領域に格納し、
    前記疾患指定手段により特定の疾患が指定されたとき、
    前記固有変動抽出手段は、前記指定された疾患について、当該疾患に関連付けた少なくとも2以上の前記肯定用検査項目の検査項目名及びその固定固有変動を前記第2の記憶領域から抽出すると共に、当該指定された疾患に関連付けた前記随伴変動型検査項目の検査項目名及びその随伴固有変動を前記第2の記憶領域から抽出することに加え、当該疾患に関連付けた前記否定用検査項目の検査項目名及びその固定固有変動を前記第2の記憶領域から抽出し、
    前記検査配列表示手段は、前記検査配列表示部としての検査配列表の左側に、前記固有変動抽出手段が抽出した全ての前記検査項目名を上から下へと順に列挙表示すると共に、前記検査配列表の右側に、前記検査配列表に列挙表示した前記検査項目名の各々に対応して前記固定固有変動及び前記随伴固有変動を上から下へと列挙表示する一方、前記指定された疾患について抽出した前記肯定用検査の固定固有変動を集合化して表示し、かつ、前記指定された疾患について抽出した前記随伴固有変動を集合化して表示すると共に、前記指定した疾患について抽出した前記否定用検査を集合化して表示し、
    前記検査配列表表示手段は、更に、当該検査配列表において前記肯定用検査の検査項目名には当該肯定用検査であることを示す肯定検査用種別記号を、前記否定用検査には当該否定用検査であることを示す否定検査用種別記号をそれぞれ付して表示することを特徴とする請求項1記載の臨床診断支援システム。
  5. 前記固有変動抽出手段は、指定した疾患が除外診断法により診断されるものである場合は、当該疾患の鑑別疾患の各々に関連付けた前記否定用検査項目とその固定固有変動とを前記第2の記憶領域から抽出し、
    前記検査配列表表示手段は、前記固有変動抽出手段が抽出した前記否定用検査項目を前記検査配列表に列挙して表示することを特徴とする請求項4記載の臨床診断支援システム。
  6. 更に、
    症候を前記コンピュータ装置の第3の記憶領域に格納する症候格納手段と、
    前記症候格納手段に格納した症候ごとに、その症候が発症したときに発病が疑われる疾患である候補疾患を当該症候に関連付けて前記コンピュータ装置の第4の記憶領域に格納する疾患群格納手段と、
    前記第3の記憶領域に格納した症候のうちの特定の症候を指定する症候指定手段と、
    前記症候指定手段により特定の症候が指定されたときに、当該指定された症候に関連付けた前記候補疾患を前記第4の記憶領域から抽出する候補疾患抽出手段とを備え、
    前記臨床データ格納手段は、更に、前記検査項目として、現存する全ての検査項目の項目名と当該検査項目を一意に識別する項目IDとを関連付けて前記第2の記憶領域に格納すると共に、前記検査項目のうち、生化学検査からなる汎用検査項目を特定の前記項目IDと関連付けて前記第2の記憶領域に格納する一方、前記汎用検査項目の特定の項目IDを当該汎用検査項目により検出可能な特定の疾患の疾患名と関連付けて前記第2の記憶領域に格納し、
    更に、
    前記症候指定手段により特定の症候を指定することにより、当該指定された症候と関連付けた全ての疾患を前記第4の記憶領域から抽出した後、当該抽出した疾患のうち、前記汎用検査項目の特定の項目IDと関連付けられた前記特定の疾患以外の疾患のみを抽出して当該疾患を前記検査配列表に列挙表示する見逃疾患抽出表示手段を備えることを特徴とする請求項4または5記載の臨床診断支援システム。
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