JP4629603B2 - 分離膜並びに該分離膜を具備する複合膜、加湿エレメント、除湿エレメント、加湿器、除湿器及び調湿システム - Google Patents

分離膜並びに該分離膜を具備する複合膜、加湿エレメント、除湿エレメント、加湿器、除湿器及び調湿システム Download PDF

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本発明は分離膜並びに該分離膜を具備する複合膜、加湿エレメント、除湿エレメント、加湿器、除湿器及び調湿システムに関する。
本発明の目的は、水透過性能に優れるとともに、長期間使用しても水透過性能が低下しない分離膜並びに該分離膜を具備する複合膜、加湿エレメント、除湿エレメント、加湿器、除湿器及び調湿システムを提供することにある。
1)住宅における除湿および加湿に関する従来技術とその問題点
近年、高気密・高断熱工法を採用した住宅が普及している。このような住宅は冷暖房効率が良く省エネルギー化することができる反面、湿気や結露による木材腐朽、シロアリ食害、シックハウス症候群などの問題が表面化している。湿気や結露を防止すること、即ち、除湿により、これらの問題の発生を防ぐことができる。
一方、平成15年7月1日施行の改正建築基準法では、シックハウス症候群の原因の一つと考えられているホルムアルデヒドなどの化学物質対策として、原則、すべての建築物に換気設備の設置が義務付けられ、例えば、住宅の場合、換気回数0.5回/h以上の換気設備の設置が義務付けられている。換気設備の設置が義務付けられたことにより、特に高温多湿となる夏季には、外気の湿気が室内に導入され、この結果、エアコンによる空調に要する電力の増大が予測される。エアコンによる空調では冷却のみならず除湿も電力を消費する要素とされるからである。また、冬季には、低温の乾燥空気が室内に導入されることにより、室内の湿度低下を招く結果となる。室内環境の極度の湿度低下は、皮膚の乾燥、或いは風邪の発生といった健康被害を招くことがある。
このために、家庭用の加湿器などを使用して加湿を行う必要があった。
除湿方法としては冷却凝縮法がよく知られているが、エネルギー消費が大きいといった欠点がある。一方、ランニングコストが安価であり、装置構造が簡単な除湿方法として、膜分離法による除湿方法が知られているが、実用的な除湿性能を有する除湿膜は開発されていない。
膜分離法による除湿方法は分離膜として透湿性膜を使用し、この透湿性膜の一方の面側に除湿する空気を供給すると共に、他方の面側を減圧することによる除湿方法である。
法令で義務付けられた換気の際に膜分離法による除湿を行うことができれば、高温多湿となる夏季において、エアコンによる冷房時の電力消費を抑制することができるとともに、エアコンの熱交換器に付着する水分量を減少して、その結果、凝集水による気流抵抗の増大を防ぎ、電力消費を低下させることができる。
加湿方法としては、加熱気化方式(電熱方式)、水スプレー方式、超音波方式(超音波による水の超微粒子化方式)などが知られている。
一方、エネルギー消費量が少ない加湿方法として、自然蒸発方式による加湿方法が知られている。従来、自然蒸発方式による加湿方法は、加湿効率が低いといった欠点を有していたが、加湿効率を改善する手段として布や不織布の毛細管現象を利用して水を含ませてそこへ空気を強制送気して気化を促進する強制気化方式が行われている。
しかし、加熱気化方式は比較的エネルギー消費が大きいためランニングコストが高くなる欠点を有し、また水スプレー方式と超音波方式は水中のカビや細菌を拡散してしまう等の欠点、強制気化方式は布や不織布に付着して増殖したカビや細菌を拡散を強制拡散してしまう等の欠点を有している。
この従来の加湿方法の問題を解決する手段として、加湿水分を膜に透過することによってカビや細菌を除去でき、常に清浄な水分を供給できる加湿膜法がある。
このように、エネルギー消費量が少ない除湿方法である膜分離方法、およびエネルギー消費量が少ない加湿方法である透湿性膜を用いた自然蒸発方式による加湿方法のいずれにおいても、透湿性膜が用いられている。
即ち、『透湿性能に優れた透湿性膜』を開発することによって、少ないエネルギー消費量で、しかも効率的な加湿及び除湿を行うことができる。
2)自動車の窓の曇りを除去する従来の技術と問題点
厳寒の季節に冷え切った自動車を発進させた後、しばらくするとフロントガラスや周囲の窓が曇るが、これは車内の空気に既に存在する水分と搭乗者の呼吸から吐き出される水分が冷えた窓の表面に結露した結果生じる。
暖気を窓に吹き付けて結露の曇りを消す手段が用いられるが、この手段は温度上昇した車内空気により多くの水蒸気を含んで冷えた窓により多くの結露を生じる場合があり温度上昇だけでは好ましくない結果を生じる。
低温でも吸湿能があり乾燥空気を供給できる手段として、シリカゲルやゼオライトなど吸湿剤による除湿法があるが、大量の除湿空気を供給するのには適しないことや、水分を吸着して効果の無くなった吸着剤を加熱・放湿して吸湿能を再生することが必要で再生中は除湿できないという欠点があるため、この手段は使用されていない。
最近の自動車はエアコンを装備しており、通常はエアコンの冷却除湿モードで窓の曇りを消失することができるが、エアコンの除湿効果が発揮されるまでには時間が掛かり過ぎることに加え、冬季の寒いときは効果がないことや、外気が0℃を下回るような低い気温になるとエアコンそのものが作動しないという問題があった。
前記問題点を解決するために求められるのは、除湿・乾燥空気を必要なときに迅速に供給できること、さらに大量且つ連続的に除湿・乾燥空気を供給することであるが、これを可能とする為には、『透湿性能に優れた透湿性膜』により、少ないエネルギー消費量で、効率的な加湿及び除湿を行うことが必要となる。
3)精密空調装置に用いられる湿度制御技術と問題点
自動車工業、電気電子工業、精密機械工業をはじめ新素材、食品・バイオ関連等のハイテク企業では精度の高い環境条件下での品質管理や性能試験が不可欠である。
機械、民生用電子機器、半導体・液晶、産業用電子機器、精密機器、金属加工・アセンブリ、通信機器、食品・薬品製造業、工業材料・素材基板実装工程、接着工程、精密組み立て工程など各工程の電子機器を最適に動作させるためには質の良い空調環境が要求される。製造品質の向上、歩留の向上、品質テストの信頼性向上のためである。
不適切な環境条件は機器を劣化させ、急激な温度変化は機器の動作に悪影響を与える。
低湿度は静電気放電の可能性を著しく増加させる。静電気はデータや機器を破損させてしまうことがある。そこで近年必要性が高まった精密空調設備は温度、湿度等を制御保持する高度で複雑な技術が要求されるようになった。
現状で行われる精密空調は一般的に空気(外気)の取り込み、冷却、加温、加湿又は除湿、精密空調空気の供給(送風)の順で行われ、設定の温度・湿度に制御した空気を目的の場所に供給する。初段の冷却はコンプレッサー方式を用い、熱交換器で空気を冷却して空気中の湿気を凝縮する。この時、空気の温度は下がり、湿度は100%付近になる。そこで加温して設定の温度に制御する。その後、設定の湿度となるよう加湿や除湿をする。
このような制御フローが一般的に行われている。
水を加熱して水蒸気を発生する(気化)方式による加湿の場合は水に含まれるガスや臭気などが水蒸気と一緒に空気に混入する恐れがあることは否定できない。
水の噴霧による加湿の場合は更に水中の汚染物質が噴霧と共に混入する問題がある。
乾燥空気の添加混合による減湿の場合は乾燥空気を空調機に常にリザーブしておき、これを減湿する空気に正確な量を注入する機構が必要になり、制御機構や機械構成が複雑になる問題がある。シリカゲルやゼオライト等の乾燥剤を用いる除湿のばあいは大量の乾燥剤による水分の吸湿時に吸着熱の発生や、吸着剤の飽和や吸着能の減退による湿度の変動など精密な温度の精密制御に好ましくない問題がある。
前記精密空調設備の問題の解決策として、上述の段落番号〔0006〕に記載のエネルギー消費量が少ない加湿方法である透湿性膜を用いた自然蒸発方式による加湿方法で所定の湿度に制御するためには、該加湿方法に空調空気の一部を分岐して流し、合流する方法があり、分岐量を制御することによって湿度制御をできる。
しかも透湿性膜を用いた加湿は噴霧方式のような空気の汚染を生じない。
段落番号〔0006〕に記載の膜分離方法の除湿方法は膜透過の過程で温度変化が無い特徴があり、温度変化させずに湿度のみを設定値に制御できる唯一の方法である。
これによって前記の制御機構や機械構成が複雑や変動の問題を解決することができる。
これを可能とするには、『透湿性能に優れた透湿性膜』により、少ないエネルギー消費量で、しかも効率的な加湿及び除湿を行うことが必要となる。
4)従来の分離膜(透湿性膜)について
従来の分離膜(透湿性膜)には、吸湿性液体自体が空気中の水分を吸収して体積膨張によって多孔質膜から吸湿性液体が浸出する問題や、透湿性膜を水平状態で保持せずに傾けた状態で保持すると吸湿液体が多孔質膜から脱落する問題があった。また、多孔質膜の特性上、薄膜化が困難という問題があった。
膜分離法に用いられる従来の分離膜(透湿性膜)として、具体的には、
特許文献1に、分離層が再生セルロース層とポリビニルアルコール層の2層からなることを特徴とする水溶性有機物分離膜が開示されているが、親水性付与剤の記載が無い。
ここで透湿性膜は、浸透気化膜法において上流側の水溶性有機液体混合物から水分を選択透過する膜を言い、蒸気透過膜法において、上流側の水蒸気混合気体から水分を選択透過する膜を言う。
特許文献2に、多孔質支持膜上にカルボキシメチルセルロースから形成された第一の緻密質膜と、キトサンから形成された第二の緻密質膜とからなる積層膜を有し、一方の緻密層が他方の緻密層にて被覆されていることを特徴とする水選択透過性浸透気化膜が開示されているが、親水性付与剤の記載がない。
特許文献3には、微細孔を有するセラミックス多孔質膜に、保湿成分を担持させたことを特徴とする除湿膜が開示されている。特許文献3に開示される除湿膜では、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニルなどの保湿成分をセラミックス多孔質膜に担持させている。保湿成分の担持は、焼成して製造したアルミナ多孔質膜を保湿成分の水溶液に浸漬させることにより行われている。
しかしながら、特許文献3には、セラミック多孔質膜に含浸する保湿成分溶液濃度が0.2%〜20%好ましくは0.5%〜10%の記載があるが、膜中の保湿成分含有量の記載がない。
特許文献4には、吸湿性液体を含浸・保持した多孔質膜とこれに隣接して配置された疎水性多孔質膜、疎水性フィルタ、疎水性不織布とよりなる積層構造の膜の、吸湿性液体を保持した多孔質膜側に水蒸気を含む気体を接触させて、前記水蒸気を前記積層構造の膜により減圧部に選択的に透過させ除去することを特徴とする除湿方法が開示されている。
しかしながら、これらはポリエチレングリコール液(分子量400)を含浸させた膜厚35μm、多孔度80%の親水性ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜(A)であり、吸湿性液体の濃度や含有量の記載はない。
特開平04−90833号公報 特開平05−184890号公報 特開2000−189773号公報 特開2000−350918号公報
しかしながら、上記した透湿性膜を使用した除湿方法又は加湿方法は、実用的な方法ではなかった。即ち、上記した透湿性膜はいずれも膜中の空隙に親水性促進剤(保湿成分、吸湿性液体)を含浸したものであるが、透湿性能が劣った。
また、上記した透湿性膜を長期間使用し続けると、透湿性膜自体が空気中の水分を吸収して透湿性促進剤の濃度が低下した。この際、透湿性膜を水平状態で保持せずに、傾けた状態で保持すると、透湿性促進剤が多孔質膜から脱落することがあった。
本発明は上記課題を解決するためになされた発明であって、
請求項1に係る発明は、再生キトサン膜又はキトサン膜と前記再生キトサン膜又はキトサン膜に含浸された透湿性促進剤とからなり、前記透湿性促進剤が、グリセリン、ジグリセリン、DL−ピロリドンカルボン酸ナトリウム、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、水溶性ポリエチレングリコールから選択される一種以上であり、該透湿性促進剤が前記再生キトサン膜又はキトサン膜の1〜300重量%含浸されていることを特徴とする分離膜に関する。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の分離膜の製造方法であって、成膜原液を凝固液中で凝固させて成膜した再生キトサン又はキトサンゲル膜を乾燥させずに直ちに前記透湿性促進剤を溶解した溶液に浸漬することによって、前記透湿性促進剤を前記再生キトサン又はキトサンゲル膜に含浸させることを特徴とする分離膜の製造方法に関する。
請求項3に係る発明は、前記透湿性促進剤を溶解した溶液の透湿性促進剤の濃度が、1〜20重量%であることを特徴とする請求項2に記載の分離膜の製造方法に関する。
請求項4に係る発明は、前記請求項1に記載の分離膜の一方の面に、疎水性有機系高分子から構成される多孔質膜、フィルタ、不織布のいずれかが積層されていることを特徴とする複合膜に関する。
請求項5に係る発明は、前記疎水性有機系高分子が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン;ポリアミド;ポリスチレン若しくは置換されたポリスチレン;ポリ(テトラフルオロエチレン)、フッ化ポリビニリデン(PVDF);ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート;ポリアクリレート及びポリ炭酸エステル;セルロース系ポリマー;並びにポリ塩化ビニル及びポリアクリロニトリルからなる群から選択される一種以上であることを特徴とする請求項4に記載の複合膜に関する。
請求項6に係る発明は、第一の経路と、第二の経路と、前記第一の経路と前記第二の経路とを分離する分離膜とからなり、前記分離膜は前記請求項1に記載の分離膜であることを特徴とする加湿エレメントに関する。
請求項7に係る発明は、前記第一の経路の流方向と前記第二の経路の流方向とが、互いに直交するように形成されていることを特徴とする請求項6に記載の加湿エレメントに関する。
請求項8に係る発明は、給気経路と、減圧経路と、前記給気経路と前記減圧経路とを分離する複合膜とからなり、前記複合膜は前記請求項4又は5に記載の複合膜であり、前記給気経路は前記複合膜の除湿膜と接するように、前記減圧経路は前記複合膜の疎水性の多孔質膜、疎水性のフィルタ、疎水性の不織布のいずれかと接するように設けられてなることを特徴とする除湿エレメントに関する。
請求項9に係る発明は、前記給気経路の流方向と前記減圧経路の流方向とが、互いに直交するように形成されていることを特徴とする請求項8に記載の除湿エレメントに関する。
請求項10に係る発明は、加湿エレメントと、空気送風手段と、水供給手段と、を含む加湿器であって、前記加湿エレメントは前記請求項6又は7に記載の加湿エレメントであり、前記空気送風手段は、前記加湿エレメントの第一の経路に空気を供給するように構成され、前記水供給手段は、前記加湿エレメントの第二の経路に水を供給するように構成され、前記第二の経路に供給された水が前記加湿エレメントの分離膜を透過して、第一の経路に供給された空気を加湿することを特徴とする加湿器に関する。
請求項11に係る発明は、除湿エレメントと、空気送風手段と、減圧手段と、を含む除湿器であって、前記除湿エレメントは前記請求項8又は9に記載の除湿エレメントであり、前記空気送風手段は、前記除湿エレメントの給気経路に連通連結されて、給気経路に除湿する空気を供給するように構成され、前記減圧手段は、前記給気経路に比べて前記減圧経路が減圧されるように前記除湿エレメントの減圧経路に連通連結され、前記給気経路に供給された空気中の水蒸気が除湿エレメントの分離膜を透過することによって、空気を除湿することを特徴とする除湿器に関する。
請求項12に係る発明は、加湿エレメント、空気供給手段、送水手段、除湿エレメントと、空気供給手段、減圧手段と、を含む調湿調温システムであって、前記空気供給手段は、前記加湿エレメントと、前記除湿エレメントの給気経路にそれぞれ個別に空気を供給するように構成され、前記除湿エレメントは前記請求項8又は9に記載の除湿エレメントであり、前記減圧手段は、前記給気経路に比べて前記減圧経路が減圧されるように前記除湿エレメントの減圧経路に連通連結され、空気供給手段によって供給された空気は、前記加湿エレメントによって加湿・冷却された後、前記除湿エレメントによって、供給された空気中の水蒸気が分離膜を透過して空気を除湿することを特徴とする調湿調温システムに関する。
請求項13に係る発明は、空気を供給するための空気供給手段と、第一の除湿エレメントと、加湿エレメントと、第二の除湿エレメントと、減圧手段と、を含み、前記空気供給手段は、前記加湿エレメントと、前記除湿エレメントの給気経路に空気を供給するように構成され、前記第一及び第二の除湿エレメントは前記請求項8又は9に記載の除湿エレメントであり、前記減圧手段は、前記第一及び第二の除湿エレメントの前記給気経路に比べて前記減圧経路が減圧されるように前記除湿エレメントの減圧経路に連通連結され、空気供給手段によって供給された空気は、前記第一の除湿エレメントによって、供給された空気中の水蒸気が分離膜を透過することによって除湿され、前記加湿エレメントによって、前記第一の除湿エレメントを通過した空気が加湿・冷却され、前記第二の除湿エレメントによって前記加湿手段を通過した空気中の水蒸気が分離膜を透過することによって除湿されることを特徴とする調湿調温システムに関する。
本発明の除湿に係る分離膜は大量の透湿性促進剤を含有し、しかも、分離膜中に透湿性促進剤が分子レベルで相溶化されているので、水透過速度が速く、水選択透過性に優れた分離膜である。
また、本発明の除湿に係る分離膜を傾けた状態で保持しても、透湿性促進剤が脱落することはない。
本発明に係る複合膜は前記分離膜を備えているので、水透過速度が速い。
しかも、分離膜の一方の面に疎水性の多孔質膜、疎水性のフィルタ、疎水性の不織布等が積層されているので、長期間使用した場合であっても透湿速度が低下することがない。
本発明に係る加湿エレメントは、前記分離膜を備えているので水透過速度が速く、加湿器の加湿エレメントとして好適に使用することができる。
但し、加湿エレメント、並びに後述する加湿器として使用する場合、本発明の分離膜に含有される透湿性促進剤は水溶性のものでないことが望ましい。
本発明に係る加湿器は、前記分離膜を備えているので水透過速度が速く、従って、供給された空気の加湿を好適に行うことができる。
本発明に係る除湿器は、前記複合膜を備えているので水透過速度が速く、従って、供給された空気の除湿を好適に行うことができる。
本発明に係る調湿システムは、除湿用としても加湿用としても適用可能な前記分離膜と前記複合膜とを備えているので水透過速度が速く、従って、供給された空気の除湿・加湿・調温を好適に行うことができる。
尚、前記分離膜は加湿エレメントとして使用される場合(水溶性の透湿性促進剤を含浸しない場合、若しくは透湿性促進剤を含浸しない場合)、加湿エレメント用分離膜と称することがあり、除湿エレメントとして使用される場合(透湿性促進剤を含浸する場合)、除湿エレメント用分離膜と称することがある。
同様に、前記複合膜についても加湿エレメントとして使用される場合、加湿エレメント用複合膜と称することがあり、除湿エレメントとして使用される場合、除湿エレメント用複合膜と称することがある。
本発明に係る除湿エレメント用分離膜について詳述する。
本発明に係る除湿エレメント用分離膜は、再生キトサン膜又はキトサン膜と透湿性促進剤とから構成される。
前記再生キトサン膜又はキトサン膜は、膜原料の溶解液をTダイのスリットから押出してフィルム状に形成したものであってもよく、また膜原料の溶解液を平板上にキャスティングしてフィルム状に形成したものであっても良い
トサン膜は、他の膜に比べて水選択透過性に優れ、安価に得ることができる。また、再生キトサン膜はアミノ基を有し透水性に優れた分離膜である。
前記透湿性促進剤は、前記再生キトサン膜又はキトサン膜に溶解されて含有されている。本発明に係る分離膜は、透湿性促進剤が多孔質膜の空隙に含浸した状態ではなく、透湿性促進剤が再生キトサン膜又はキトサン膜中の高分子鎖の間に分子レベルで相溶化した状態である。従って、本発明に係る分離膜は水透過速度が速く、水選択性透過膜として好適に使用することができる。また本発明に係る分離膜を傾けた状態で保持したとしても、透湿性促進剤が脱落することがない。
透湿性促進剤の含浸率(重量%)は特に限定されないが、再生キトサン膜又はキトサン膜の1〜300重量%、好ましくは20〜250重量%、より好ましくは50〜200重量%とされる。
透湿性促進剤としては、グリセリン、ジグリセリン、DL−ピロリドンカルボン酸ナトリウム、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、水溶性ポリエチレングリコールから選択される一種以上が使用される
次に、本発明に係る除湿エレメント用分離膜の製造方法について詳述する。
本発明に係る除湿エレメント用分離膜を製造するには、まず、常法に従って、再生キトサン又はキトサンゲル膜を製造する。
再生キトサン又はキトサンゲル膜を製造する方法としては、膜原料の溶解液をTダイのスリットから押出してフィルム状に形成する方法や、膜原料の溶解液を平板上にキャスティングしてフィルム状に形成する方法を例示することができる。
より具体的には、再生キトサン膜又はキトサン膜の原料の溶解液を、Tダイを備えた押出機によってフィルム状に成形した後、これを凝固液に浸漬して再生キトサン又はキトサンゲル膜を製造する方法や、膜原料の溶解液を平板上にキャスティングした後、これを凝固液に浸漬して再生キトサン又はキトサンゲル膜を製造する方法を例示することができる。
次いで、再生キトサン又はキトサンゲル膜を乾燥させずに、透湿性促進剤の溶解液に浸漬させることにより、再生キトサン又はキトサンゲル膜に透湿性促進剤を含浸させる。
再生キトサン又はキトサンゲル膜を乾燥させずに直ちに透湿性促進剤の溶解液に浸漬することによって、再生キトサン又はキトサンゲル膜に大量の透湿性促進剤を含侵させることが可能となる。
透湿性促進剤の溶解液中における透湿性促進剤の濃度は特に限定されないが、1〜20重量%、好ましくは3〜10重量%とされる。
1重量%未満の場合、再生キトサン膜又はキトサン膜に大量の透湿性促進剤を含浸させることが困難になる場合がある。
濃度が20重量%を超える場合、透湿性促進剤の濃度が高くなりすぎて、再生キトサン又はキトサンゲル膜の表面に大量の透湿性促進剤が付着し、大量の余分の透湿性促進剤を拭い取る操作が必要になる。
再生キトサン又はキトサンゲル膜を透湿性促進剤の溶解液に浸漬する時間は特に限定されないが、1分〜15時間、好ましくは1分〜1時間とされる。
最後に、透湿性促進剤が含侵された再生キトサン又はキトサンゲル膜を乾燥することによって、本発明に係る除湿エレメント用分離膜を製造することができる。
本発明に係る分離膜の膜厚は特に限定されないが、1〜50μm、好ましくは3〜10μmとされる。1μm未満の場合、ピンホールなどの欠損が生じやすくなる。一方、50μmを超える場合、透過速度が遅くなり、実用的でない。
次に、本発明に係る除湿エレメント用複合膜について詳述する。
本発明に係る除湿エレメント用複合膜は、水選択透過性の分離膜として好適に使用することができる。
除湿エレメント用複合膜の一方の側には水蒸気を含む気体が供給され、除湿エレメント用複合膜の他方の側は減圧されることにより、除湿エレメント用複合膜の一方の側に供給された気体中に含まれる水が除湿エレメント用複合膜の他方の側に選択的に透過する。
除湿エレメント用複合膜を構成する疎水性の多孔質膜、疎水性のフィルタ、疎水性の不織布としては、分離膜を透過した水蒸気の通過を妨げない程度の貫通孔を有するとともに、透湿性促進剤を吸収しない疎水性の性質を有する膜、フィルタ、不織布等であれば良く、疎水性有機高分子から構成される多孔質膜、フィルタ、不織布などを例示することができる。
疎水性有機系高分子としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン;ポリアミド;ポリスチレン若しくは置換されたポリスチレン;ポリ(テトラフルオロエチレン)、フッ化ポリビニリデン(PVDF)等を含むフッ素化ポリマー;ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン等のポリサルフォン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等を含むポリエステル;ポリアクリレート及びポリ炭酸エステル;セルロース系ポリマー;並びにポリ塩化ビニル及びポリアクリロニトリル等のビニルポリマーなどを例示することができる。
本発明に係る複合膜の製造方法は特に限定されないが、以下に述べる製造方法を例示することができる。
図1は連続製膜装置の概略を示す図である。
本発明に係る複合膜を製造するには、まず、キトサン・酢酸水溶液などの再生キトサン膜又はキトサン膜の原料の溶解液を押出機(E)のホッパー(E1)に投入し、押出機(E)のT−ダイ(E2)によって成型する(成型工程)。
次いで、成型された原料溶液を、水酸化ナトリウム溶液などの凝固液が収納された凝固浴槽(F)に導入して、原料溶液を中和・凝固させて再生キトサン膜又はキトサン膜を調製する(凝固工程)。
再生キトサン膜又はキトサン膜を、純水などの洗浄液を貯留した水洗浴槽(G)へ導入して凝固液を洗浄除去する(洗浄工程)。
洗浄された再生キトサン膜又はキトサン膜は、透湿性促進剤の溶液が収容された透湿性促進剤溶液貯留槽(H)へ導入する(含浸工程)。再生キトサン膜又はキトサン膜を透湿性促進剤の溶液に所要時間浸漬することによって、再生キトサン膜又はキトサン膜に透湿性促進剤を含浸させる。
透湿性促進剤を含浸した再生キトサン膜又はキトサン膜(分離膜)を乾燥機(I)に導入して乾燥させる(乾燥工程)。次いで、疎水性フィルタロール(J)から疎水性フィルタを分離膜の一方の面に供給して、積層機(K)によって分離膜の一方の面に疎水性フィルタを積層して複合膜とする(積層工程)。調製された複合膜は巻取機()に巻き取る(巻取工程)。
或いは透湿性促進剤を含浸し終わった再生キトサン膜又はキトサン膜の一方の面に疎水性フィルタロール(J)を供給して、積層機(K)によって分離膜の一方の面に疎水性フィルタを積層して(積層工程)後に、乾燥機(I)に導入して乾燥させた(乾燥工程)複合膜を巻取機()に巻き取る(巻取工程)。
透湿性促進剤を含浸させた再生キトサン膜又はキトサン膜を巻き取る前に疎水性フィルタを積層することで、巻き取った再生キトサン膜又はキトサン膜同士が付着することを防止することができる。
次に、本発明に係る加湿エレメントについて説明する。
本発明に係る加湿エレメントは、上述した加湿エレメント用分離膜(即ち、透水性促進剤を含まない分離膜)を具備している。
図2は加湿エレメントの概略構成を示す図である。
本発明に係る加湿エレメント(10)は、図2の(イ)に示す通り、隔壁部材(2)と、この隔壁部材(2)の片面若しくは両面に積層された分離膜(1)とから構成される。
分離膜(1)は、上述した分離膜が用いられる。
加湿エレメント(10)は、隔壁部材(2)の片面若しくは両面に分離膜(1)が積層されており、隔壁部材(2)と分離膜(1)との間に形成される空間が第一の経路(A)とされ、第一の経路(A)の分離膜(1)を隔てた反対側の空間が第二の経路(B)とされる。
図2の(ロ)は加湿エレメントにおける別の実施形態の概略構成を示す図である。
図2の(ロ)に示す加湿エレメント(11)では、分離膜(1)と隔壁部材(2)とからなるユニットが複数積層されて形成されている。
図2の(ロ)に示す加湿エレメント(11)では、隔壁部材(2)の流通方向が互いに直交するように積層されていることにより、第一の経路(A)の流通方向と第二の経路(B)の流通方向とが直交するように構成されている。
図3は加湿エレメントにおける別の実施形態の概略構成を示す図である。
図3に示す本発明に係る加湿エレメント(12)は、図3の(イ)に示すように、一方の面に波型の凹凸部が形成された隔壁部材(2)と、分離膜(1)とから構成され、隔壁部材(2)の一方の面(凹凸部が形成された面)に分離膜(1)が積層されている。
分離膜(1)は、上述した分離膜が用いられる。
図3の(イ)に示す加湿エレメント(12)では、隔壁部材(2)の一方の面(凹凸部が形成された面)に分離膜(1)が設けられており、隔壁部材(2)と分離膜(1)とによって形成される空間が第一の経路(A)とされ、第一の経路(A)の分離膜(1)を隔てた反対側の空間が第二の経路(B)とされる。
図3の(ロ)は、図3の(イ)に示した加湿エレメント(12)を複数積層して形成した加湿エレメント(13)の概略構成を示す図である。
図3の(ロ)に示す加湿エレメント(13)では、第一の経路(A)の流通方向と第二の経路(B)の流通方向とが直交するように、加湿エレメント(10)と隔壁部材(2)とが交互に複数積層されて構成されている。
図2に示す加湿エレメントでは、第一の経路(A)又は第二の経路(B)のいずれか一方に水が、他方に乾燥空気が供給される。例えば、図2の(イ)及び(ロ)で示す加湿エレメント(10,11)では、第一の経路(A)のうち、コルゲート型の隔壁部材(2)上に水を供給し、第二の経路(B)のうち、水が供給された第一の経路(A)の分離膜(1)を隔てた反対側の空間に乾燥空気を供給すればよい。
図3に示す加湿エレメントでは、第一の経路(A)に水が供給され、第二の経路(B)に乾燥空気が供給される。
第一の経路(A)に供給された水が分離膜(1)を通過することにより、第二の経路(B)に供給された乾燥空気を加湿することができる。
上述した本発明に係る加湿エレメント(10〜13)は、分離膜(1)として、上述した分離膜を使用しているので、加湿性能に優れた加湿エレメントである。
次に、本発明に係る除湿エレメントについて説明する。
図4は、本発明に係る除湿エレメントの概略構成を示す図である。
本発明に係る除湿エレメントは、隔壁部材(2)と、この隔壁部材(2)の片面又は両面に設けられる複合膜(4)とから構成される。図4に示す隔壁部材(2)はコルゲート形状に形成されている。
複合膜(4)は、上述した複合膜が用いられる。
図4の(イ)に示す除湿エレメント(20)では、隔壁部材(2)の片面又は両面に設けられる複合膜(4)は、隔壁部材(2)と接する側に分離膜(1)が、分離膜(1)の外側に疎水性多孔質膜、疎水性フィルタ、疎水性不織布等(3)が配置するように積層される。
隔壁部材(2)と分離膜(1)の間の空間が給気経路(C)とされ、給気経路(C)の複合膜(4)を隔てた反対側の空間が減圧経路(D)とされる。
一方、図4の(ロ)に示す除湿エレメント(21)では、隔壁部材(2)の片面又は両側に設けられる複合膜(4)は、隔壁部材(2)と接する側に疎水性多孔質膜、疎水性フィルタ、疎水性不織布等(3)が、疎水性多孔質膜、疎水性フィルタ、疎水性不織布等(3)の外側に分離膜(1)が配置するように積層される。
隔壁部材(2)と疎水性多孔質膜、疎水性フィルタ、疎水性不織布等(3)の間の空間が減圧経路(D)とされ、減圧経路(D)の複合膜(4)を隔てた反対側の空間が給気経路(C)とされる。
図5は、本発明に係る除湿エレメントにおける別の実施形態の概略構成を示す図である。
図5に示す除湿エレメント(22)は、一方の面に波型の凹凸部が形成された隔壁部材(2)と、複合膜(4)とから構成される。複合膜(4)は隔壁部材(2)の波型の凹凸部が形成された面に接するように設けられている。
図5に示す除湿エレメント(22)では、隔壁部材(2)と接する面に、分離膜(1)が配置するように、分離膜(1)の外側に疎水性多孔質膜、疎水性フィルタ、疎水性不織布等(3)が配置するように構成されている。隔壁部材(2)と分離膜(1)の間の空間が給気経路(C)とされ、給気経路(C)の複合膜(4)を隔てた反対側の空間が減圧経路(D)とされる。
図4及び5に示した除湿エレメント(20〜22)は、単独で使用することもできるが、複数の除湿エレメント(20〜22)を積層して使用することもできる。
図6は、除湿エレメント(20〜22)を複数積層して形成した除湿エレメントの概略構成を示す斜視図であり、図6の(イ)は図4に示す除湿エレメント(20又は21)を、図6の(ロ)は図5に示す除湿エレメント(22)を複数積層して形成した除湿エレメントである。
図6の(イ)に示した除湿エレメント(23)では、給気経路(C)の流路方向と減圧経路(D)の流路方向とが直交するように、図4に示した除湿エレメント(20又は21)と隔壁部材(2)とを交互に複数積層して構成されている。
図6の(ロ)に示した除湿エレメント(24)では、給気経路(C)の流路方向と減圧経路(D)の流路方向とが直交するように、図5に示した除湿エレメント(22)と隔壁部材(2)とを交互に複数積層して構成されている。
上述した本発明に係る除湿エレメントでは、除湿する空気が給気経路(C)に供給されるとともに、減圧経路(D)は給気経路(C)に比べて減圧される。これによって、給気経路(C)に供給された空気に含まれる水蒸気が、除湿エレメント用分離膜(1)を介して減圧経路(D)側に通過することにより、給気経路(C)に供給された空気を除湿することができる。
本発明に係る除湿エレメントは、分離膜として上述した本発明に係る除湿エレメント用分離膜(1)を使用しているので、水選択透過性に優れ、しかも除湿エレメント用分離膜(1)に疎水性多孔質膜、疎水性フィルタ、疎水性不織布(3)を積層した複合膜(4)を使用しているので、複合膜(4)の一方の側を減圧した場合であっても、除湿エレメント用分離膜(1)に含浸された透湿性促進剤が膜から脱落することがない。従って、本発明に係る除湿エレメントは、除湿エレメント用分離膜(1)の一方の側を他方の側に比べて減圧する条件下で操作される除湿用エレメントとして好適に使用することができる。
尚、上述した加湿エレメント(10〜13)又は除湿エレメント(20〜23)で用いられる隔壁部材(2)と隔壁部材(2)の形態は特に限定されず、上述した形態以外にも、例えば、図7の(イ)に示すような隔壁部材(2)を例示することができる。
図7の(イ)に示す隔壁部材(2)は、鋭角の三角波板(2a)の一方の面側に隔壁部材(2)を積層して中空部(2c)が形成されている。
図7の(イ)に示す隔壁部材(2)を用いる場合、鋭角の三角波板(2a)の他方の面側に分離膜(1)又は複合膜(4)が積層されて加湿エレメント(10〜13)又は除湿エレメント(20〜23)とされる。
図7の(ロ)の隔壁部材(2)は、板状部材の両方の面に交互に突出する断面矩形状の凸部(2d)が複数形成されている。図7の(ロ)に示す隔壁部材(2)を用いる場合、隔壁部材(2)の一方の面側或いは両方の面側に分離膜(1)又は複合膜(4)が積層されて加湿エレメント(10〜13)又は除湿エレメント(20〜23)とされる。
次に、上記した加湿エレメントを具備する加湿器について図面を参照ししつ説明する。
図8の(イ)は本発明に係る加湿器の概略構成を示す図である。
本発明に係る加湿器(100)は、加湿エレメント(120)と、加湿エレメント(120)に加湿する空気を供給するための空気供給手段(110)と、加湿エレメント(120)に、水槽(140)から水を供給するための水供給手段(130)とから構成される。
水槽(140)が加湿エレメントより上方に設置され水が水槽から自然流下する場合には水供給手段(130)は不要である。
加湿エレメント(120)は上述した加湿エレメント(10〜13)を用いることができ、図2の(ロ)や図3の(ロ)に示した加湿エレメント(11、13)を用いることがより好ましい。
空気供給手段(110)は加湿する空気(乾燥空気)を加湿エレメント(120)の第一の経路(A)に供給するように構成される。水供給手段(130)は加湿エレメントの第二の経路(B)に水を供給するように構成される。
加湿エレメント(120)には、分離膜が設けられているので、第二の経路(B)に供給された水が分離膜に溶解・拡散することによって第一の経路(A)側に透過する。第一の経路(A)には、空気供給手段(110)によって乾燥空気が供給されており、これによって、乾燥空気は加湿される。
次に、上記した除湿エレメントを具備する除湿器について説明する。
図8の(ロ)は本発明に係る除湿器(200)の概略構成を示す図である。
本発明に係る除湿器(200)は、除湿エレメント(220)と、除湿エレメント(220)の給気経路(C)に除湿する空気を供給するための空気供給手段(210)と、除湿エレメント(220)の減圧経路(D)を給気経路(C)に比べて減圧するための減圧手段(230)とを具備する。
除湿エレメント(220)としては、上述した除湿エレメント(20〜24)が用いられる。
上述したように、除湿エレメント(220)には分離膜が設けられているとともに、減圧手段(230)によって給気経路(C)に比べて減圧経路(D)が減圧されているので、給気経路(C)に供給された空気中の水蒸気のみが分離膜を選択的に透過する。
これによって、減圧経路(D)に透過することにより、供給された空気を乾燥することができる。
尚、除湿エレメント(220)と減圧手段(230)をつなぐ減圧経路(D)の途中に水蒸気凝縮器を設置することもできる。
次に、上記除湿エレメントを具備する調湿調温システムについて説明する。
図9の(イ)は第一実施形態に係る調湿調温システムの概略構成を示す図である。
第一実施形態に係る調湿調温システム(300)は、供給された空気を加湿することができる加湿手段(310)と、加湿手段(310)と除湿エレメント(330)に空気を供給することができる空気供給手段(320)と、除湿エレメント(330)と、除湿エレメント(330)の減圧経路(D)を、給気経路(C)に比べて減圧することができる減圧手段(340)とから構成される。
空気供給手段(320)は、加湿手段(310)に対して、図9の(イ)において、右方向から矢印の方向(左方向)へと空気を吸い込む駆動力を発生させ、それにより空気は、図の右側から加湿手段(310)を通過し、空気供給手段(320)を経た後、空気供給手段(320)による空気を吹き出す駆動力により、除湿エレメント(330)に供給され、除湿エレメント(330)を通過することとなる。
上記空気供給手段(320)の働きは、以下の図9の(ロ)についても同様である。
尚、図9の(ロ)のように除湿エレメント(330)と減圧手段(340)をつなぐ減圧経路(D)の途中に水蒸気凝縮器(350)を設置することもできる。
第一実施形態に係る調湿調温システム(300)は、供給された温風の温度と湿度を低下させて冷乾風を生成することができる。
加湿手段(310)は、供給された空気の湿度を上昇させることができるものであれば特に限定されず、図7に示す加湿手段(310)としては、水を含浸することができる通気性のベルトコンベアー(311)に水槽(312)から定常的に水を供給するとともに、このベルトコンベアー(311)に空気を通過させることによって、空気を加湿することができるものである。
図9に示す加湿手段(310)の他、図8の(イ)に示す加湿器(100)も好適に使用することができる。
さらに、図9に示す加湿手段(310)の他、地下水のような冷水を供給された空気に噴霧して供給された空気を冷却加湿する方法や、供給された空気を地下水のような冷水中を通過させることによって供給された空気を冷却加湿する方法も例示することができる。この場合、学校、病院、地下街或いはデパートなどのような大空間の空調を省エネルギーで行うことができる。
除湿エレメント(330)は、上述した除湿エレメント(20〜24)のいずれかであり、空気供給手段(320)は除湿エレメント(330)の給気経路(C)に加湿手段(310)を通過した空気を供給する。
除湿エレメント(330)の減圧経路(D)には減圧手段(340)が連通連結されており、減圧経路(D)を給気経路(C)に比べて減圧することができる。
尚、図9に示す調湿調温システム(300)では、減圧経路(D)から減圧ポンプを経て排出される水蒸気は大気圧下で直ちに液化するので、直接その水を水槽(312)に供給するように構成されている。
その他、図9の(ロ)のように除湿エレメント(330)と減圧手段(340)をつなぐ減圧経路(D)の途中に水蒸気を冷却凝縮する凝縮器(350)を設置することもできる。この場合には、凝縮器に溜まった凝縮水を適時間欠的に水槽(312)に供給するよう構成することができる。
第二実施形態に係る調湿調温システム(300)の動作について説明する。
まず、温風が空気供給手段(320)によって加湿手段(310)に供給される。加湿手段(310)を通過した温風は湿度が上昇するととともに、水の気化熱によって熱交換されて気温が低下させられ、冷湿風となる。
次いで、冷湿風は空気供給手段(320)によって除湿エレメント(330)の給気経路(C)に供給される。上述したとおり、除湿エレメント(330)には分離膜が備えられているとともに、給気経路(C)に比べて減圧経路(D)が負圧になっているので、給気経路(C)に供給された空気に含まれる水蒸気のみが選択的に分離膜を透過する。分離膜を透過した水蒸気は、減圧経路(D)から減圧ポンプを経て排出される。水蒸気は大気圧下で直ちに液化するので、直接その水を水槽(312)に供給するように構成され再利用される。
尚、図9の(ロ)のように除湿エレメント(330)と減圧手段(340)をつなぐ減圧経路(D)の途中に水蒸気を冷却凝縮する凝縮器(350)を設置することもできる。この場合、凝縮器に溜まった凝縮水を適時間欠的に水槽(312)に供給するよう構成することができる。除湿エレメント(330)を通過した空気は、当初の空気に比べて低温、低湿度の冷乾風となる。
次に、第二実施形態に係る調湿調温システムについて説明する。図10の()及び()は第二実施形態に係る調湿調温システムの概略構成を示す図である。
第二実施形態に係る調湿調温システム(400)は、高温・高湿の空気を低温・低湿の空気に調湿調温することができるシステムである。
図10の()に示す第二実施形態に係る調湿調温システムは、調湿調温システム(400)に空気を供給することができる空気供給手段(440)と、供給された空気の湿度を低下する第一の除湿エレメント(410)と、第一の除湿エレメント(410)を通過した空気を加湿・冷却することができる加湿手段(420)と、加湿手段(420)を通過した空気の湿度を低下する第二の除湿エレメント(430)と、第一の除湿エレメント(410)及び第二の除湿エレメント(430)の減圧経路(D)を、給気経路(C)に比べて減圧する減圧手段(451、452)とから構成される。
図10の()についてみると、空気供給手段(440)は、除湿エレメント(410)に対して、図の右側から矢印の方向(左方向)へと空気を吸い込む駆動力を発生して空気は除湿エレメント(410)を通過し、その空気は加湿手段(420)を経て、空気供給手段(440)に吸い込まれ、その空気は空気供給手段(440)による吹き出し駆動力によって除湿エレメント(430)に供給されて、除湿エレメント(430)を通過することとなる。
上記空気供給手段(440)の働きは、以下の図10の()、()、()についても同様である。
第一の除湿エレメント(410)は、上述した除湿エレメント(20〜24)のいずれかが用いられる。第一の除湿エレメント(410)の給気経路(C)に空気が供給されるとともに、減圧経路(D)には減圧手段(451)が連結されており、減圧経路(D)は給気経路(C)に比べて減圧されている。
尚、図10に示す調湿調温システム(400)では、第一の調湿エレメント(410)には、第一の除湿エレメント(410)の減圧経路(D)から減圧ポンプを経て排出される水蒸気は大気圧下で直ちに液化するので、直接その水を水槽(422)に供給するように構成され再利用される。
さらに、図10の()のように、第一の除湿エレメント(410)と減圧手段(441)をつなぐ減圧経路(D)の途中に水蒸気を冷却凝縮する凝縮器(450)、を設置することもできる。この場合、凝縮器に溜まった凝縮水を適時間欠的に水槽(422)に供給するように構成することができる。
加湿手段(420)は、供給された空気の湿度を上昇することができるものであれば特に限定されない。図10の()及び()に示す加湿手段(420)は、上述した加湿エレメント(120)を装着した加湿器(100)と同様である。
図10の()は、第二実施形態に係る調湿調温システムにおける別の実施形態の概略構成を示す図であり、図10の()に示すシステムでは、加湿手段(420)として、図9に示す加湿手段(310)と同様のものが用いられている。
第二の除湿エレメント(430)としては、上述した第二実施形態に係る除湿エレメントが用いられる。第二の除湿エレメント(430)の給気経路(C)に空気が供給されるとともに、減圧経路(D)には減圧手段(42)が連結されており、減圧経路(D)は給気経路(C)に比べて減圧されている。
尚、図10に示す調湿調温システム(400)では、第二の除湿エレメント(430)には、第二の除湿エレメント(430)の減圧経路(D)から減圧ポンプを経て排出される水蒸気は大気圧下で直ちに液化するので、直接その水を水槽(422)に供給するように構成され再利用される。
さらに、図10の()のように、除湿エレメント(430)と減圧手段(42)をつなぐ減圧経路(D)の途中に水蒸気を冷却凝縮する凝縮器(45)を設置することもできる。この場合、凝縮器に溜まった凝縮水を適時間欠的に水槽(422)に供給するように構成することができる。
第二実施形態に係る調湿調温システム(400)の動作について説明する。
まず、空気供給手段(440)によって、空気が第一の除湿エレメント(410)の給気経路(C)に供給される。第一の除湿エレメント(410)は、減圧経路(D)が給気経路(C)に比べて減圧されている。また第一の除湿エレメント(410)は、上述した分離膜を備えているので、供給された空気中の水蒸気が選択的に透過する。従って、空気は除湿される。分離膜を透過した水蒸気は減圧経路(D)から減圧ポンプを経て排出されて大気圧下で直ちに液化するので、直接その水を水槽(422)に供給されて、水は循環再利用される。
さらに、図10の()のように、除湿エレメント(410)と減圧手段(441)をつなぐ減圧経路(D)の途中に水蒸気を冷却凝縮する凝縮器(450)を設置することもできる。この場合、凝縮器に溜まった凝縮水を適時間欠的に水槽(422)に供給されて、水は循環再利用される。
次いで、除湿された空気は、加湿エレメント(420)に供給される。加湿エレメント(420)では、供給された除湿空気を加湿するとともに、水の気化熱によって空気を冷却する。
加湿エレメント(420)によって冷却・加湿された空気は、第二の除湿エレメント(430)の給気経路(C)に供給される。第二の除湿エレメント(430)は、減圧経路(D)が給気経路(C)に比べて減圧されている。また第二の除湿エレメント(430)は、上述した分離膜を備えているので、供給された空気中の水蒸気のみが選択的に透過する。分離膜を透過した水蒸気は減圧ポンプを経て排出されて大気圧下で直ちに液化するので、直接その水を水槽(422)に供給されて、水は循環再利用される。
さらに、図10の()のように、除湿エレメント(430)と減圧手段(442)をつなぐ減圧経路(D)の途中に水蒸気を冷却凝縮する凝縮器(45)を設置することもできる。この場合、凝縮器に溜まった凝縮水を適時間欠的に水槽(422)に供給されて、水は循環再利用される。
空気が第二の除湿エレメント(430)の給気経路(C)を通過することによって、空気中の水蒸気のみが分離膜を透過する。従って、空気は除湿された空気となり、冷却・乾燥された空気が生成される。
清浄な加湿を行うためには、加湿エレメント(420)に清浄な水を供給する必要がある。第二実施形態に係る調湿調温システム(400)では、第一の除湿エレメント(410)又は第二の除湿エレメント(430)で回収された水を加湿エレメント(420)に供給している。第一の除湿エレメント(410)又は第二の除湿エレメント(430)で回収された水は純度が高いので、加湿エレメント(420)に純度の高い水を手軽に供給することができ、細菌やカビの発生を抑制することができる。
次に、上記した分離膜並びに該分離膜を具備する複合膜、加湿エレメント、除湿エレメント、加湿器、除湿器及び調湿システムを、真空ポンプに適用させる実施態様について説明する。
〔専用真空ポンプにおける除湿膜システムの問題点〕
除湿膜を透過した水蒸気は専用の真空ポンプで吸引して排出するのが理想的実施形態である。
しかしながら、水蒸気を大量に吸引できる真空ポンプは水封型真空ポンプに限られ、水封型真空ポンプは冷却水の補給が必要である。少量の水蒸気であれば吸引が許容される真空ポンプはあるが、大量の透過水蒸気を直接吸引して排出するシステムに使用できない。
〔真空ポンプの問題を解決する実施の形態〕
水蒸気を大量に吸入できる真空ポンプは市販されていない現状である。
そこで次善の策として除湿膜を透過した水蒸気を真空ポンプで吸引する前に冷却・凝縮して液化又は氷結(固化)してから吸引することによって真空ポンプが吸引する水蒸気量を真空ポンプの水蒸気吸引許容量以下にする方法を採ることができる。
即ち、図13の冷却・凝縮と図24の透過側圧力制御を組み合わせた実施の形態を表す除湿膜システムを図27に示す。
ここで、除湿膜(d)を備えた除湿膜モジュール(c)の一次側に、所定の温度・湿度の空気を送り、除湿膜モジュール(c)の二次側は真空ポンプ(g)によって減圧するとともに、除湿膜モジュール(c)と真空ポンプ(g)の間に冷却・凝縮デバイス(e)と圧力コントローラー(f)を備える。除湿膜モジュール(c)の二次側の圧力を所定圧力に制御されて、除湿膜(d)を透過した水蒸気は液化又は氷結して冷却・凝縮デバイス(e)に補足される。ここで、冷却・凝縮デバイス(e)は2列並列に除湿膜モジュール(c)と圧力コントローラー(f)に備え、一方の冷却・凝縮デバイス(e)を透過水蒸気の冷却・凝縮過程に、もう一方の冷却・凝縮デバイス(e)では透過水蒸気を凝縮液化した水をドレイン排出、又は透過水蒸気の氷結を融解した後にドレイン排出する過程とする。
冷却・凝縮デバイス(e)の上下に空気導入口とドレインを備えて、冷却・凝縮過程では空気導入口とドレインを閉じて減圧経路を開け、ドレイン排出又は融解・ドレイン排出過程では空気導入口とドレインを開けて減圧経路を閉じる。
二つの過程を交互に繰り返して除湿システムを運転し、圧力コントローラーによって所定圧力に制御することによって除湿膜モジュール(c)の一次側を通過する空気の温度に変化を与えずに湿度のみを制御して温度・湿度制御空間に所定の温度と湿度の空気を連続的に送ることができる。この実施形態は例えば恒温・恒湿チャンバーの湿度の精密制御を効果的に行うことができる。
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[試料1:0.5%キトサン溶液の調製]
脱アセチル化度96%のキトサン粉末5.71gにイオン交換水を加えて全重量を900gにした。約30分後、酢酸5.11gとイオン交換水を加えて全重量を1000gとし、一昼夜攪拌した。この溶液を、A100ガラス繊維フィルタを通して吸引ろ過することによって、0.5%キトサン溶液を調製した。
[比較例1:キトサン膜の調製]
ビニールテープで囲いをつけた樹脂板(200mm×200mm×15mm)上に試料1で調製したキトサン溶液96gを流して覆い、水平に保持して空気清浄機で浄化したクリーンエア気流中で水を蒸発させて、樹脂板上にキトサン酢酸塩固形膜を形成した。このキトサン酢酸塩膜を樹脂板ごと1N−NaOH水溶液に30分〜40分浸漬して再生キトサン膜とした。この再生キトサン膜を樹脂板ごとイオン交換水に浸漬して、イオン交換水を5回以上交換して十分に洗浄した(1時間以上)。ビニールテープを剥がし、セロファンテープでキトサン膜を樹脂板に付け直し、前記と同様にクリーンエア気流中で乾燥して、キトサン膜を調製した。
[比較例2:グリセリン処理キトサン膜の調製]
グリセリン30gをイオン交換水に溶解して全量を1kgとしたグリセリン水溶液に、比較例1で調製したキトサン膜を15分間浸漬した。このグリセリン処理キトサン膜を樹脂板に固定してクリーンエア気流中で乾燥した後、グリセリン処理キトサン膜を樹脂板から剥がしとった。
[比較例3:エチレングリコール処理キトサン膜の調製]
エチレングリコール30gをイオン交換水に溶解して全量を1kgとしたエチレングリコール水溶液に、比較例1で調製したキトサン膜を15分間浸浸した。このエチレングリコール処理キトサン膜を樹脂板に固定してクリーンエア気流中で乾燥した後、エチレングリコール処理キトサン膜を樹脂板から剥がしとった。
[試料2:4%キトサン溶液の調製]
脱アセチル化度96%のキトサン粉末4.48gにイオン交換水を加えて全重量を80gとした。約30分経過した後、酢酸2.24gとイオン交換水を加えて全重量を100gとし、一昼夜攪拌して4%キトサン溶液を調製した。
[比較例4:加熱時間15分のキトサン膜]
試料2の4%のキトサン溶液7.64gを、ガラス板(300mm×200mm×3mm)上にアプリケーターで均一な厚さにキャスティング(流延)した。このキャスティング液をガラス板ごと80℃に設定した定温乾燥器中で水平に設置して15分間加熱乾燥した。乾燥器からガラス板を取り出し、1N−NaOH水溶液に30分浸漬した後、イオン交換水で十分に洗浄した。ガラス板がぬれた状態でキトサン膜を剥がし、アクリル樹脂板(200mm×200mm×15mm)上にセロファンテープで固定してクリーンエア気流中で乾燥した。
[比較例5:加熱時間3分のキトサン膜]
試料2で調製した4%のキトサン溶液7.64gを、ガラス板(300mm×200mm×3mm)上にアプリケーターで均一な厚さにキャスティング(流延)した。このキャスティング液をガラス板ごと80℃に設定した定温乾燥器中で水平に設置して3分加熱乾燥した。乾燥器からガラス板を取り出し、1N−NaOH水溶液に30分浸漬した後、イオン交換水で十分に洗浄した。ガラス板がぬれた状態でキトサン膜を剥がし、アクリル樹脂板(200mm×200mm×15mm)上にセロファンテープで固定してクリーンエア気流中で乾燥した。
[比較例6:加熱時間0分のキトサン膜]
試料2で調製した4%のキトサン溶液7.64gを、ガラス板(300mm×200mm×3mm)上にアプリケーターで均一な厚さにキャスティング(流延)した。このガラス板を、1N−NaOH水溶液に30分間浸漬した後、イオン交換水で十分に洗浄した。ガラス板がぬれた状態でキトサン膜を剥がし、アクリル樹脂板(200mm×200mm×15mm)上にセロファンテープで固定してクリーンエア気流中で乾燥した。
[試料3:4.5%キトサン溶液の調製]
試料2と同様にキトサン4.48gにイオン交換水を加えて全量90gとして30分間放置した。酢酸2.05gとイオン交換水を加えて全量100gとし、一昼夜攪拌してキトサン溶液を調製した。
[実施例1:加熱時間15分のグリセリン含浸キトサン膜の調製]
試料3で調製した4%キトサン溶液7.64gを、ガラス板(300mm×200mm×3mm)上に均一な厚さにキャスティング(流延)した。このガラス板を80℃に設定した定温乾燥器中で15分間加熱乾燥した。乾燥器からガラス板を取り出し、1N−NaOH水溶液中に2時間浸漬処理した後、イオン交換水で5回以上十分洗浄した。水洗後の未乾燥キトサン膜を10重量%のグリセリン水溶液に1時間浸漬し、余分なグリセリンをふき取って、直径10cmの円形フレームに固定して、クリーンエア気流中で乾燥した。
[実施例2:加熱時間3分のグリセリン含浸キトサン膜の調製]
試料3で調製した4%キトサン溶液7.64gを、ガラス板(300mm×200mm×3mm)上に均一な厚さにキャスティング(流延)した。このガラス板を80℃に設定した定温乾燥器中で3分間加熱乾燥した。乾燥器からガラス板を取り出し、1N−NaOH水溶液中に2時間浸漬処理した後、イオン交換水で5回以上十分洗浄した。水洗後の未乾燥のキトサン膜を10重量%のグリセリン水溶液に1時間浸漬し、余分なグリセリンをふき取って、直径10cmの円形フレームに固定して、クリーンエア気流中で乾燥した。
[実施例3:加熱時間0分のグリセリン含浸キトサン膜の調製]
試料3で調製した4%キトサン溶液7.64gを、ガラス板(300mm×200mm×3mm)上に均一な厚さにキャスティング(流延)した。このガラス板を1N−NaOH水溶液中に30分間浸漬処理した後、イオン交換水で5回以上十分洗浄した。水洗後の未乾燥のキトサン膜を10重量%のグリセリン水溶液に1時間浸漬し、余分なグリセリンをふき取って、直径10cmの円形フレームに固定して、クリーンエア気流中で乾燥した。
[試料4:キトサン溶液の調製]
キトサン4.48gにイオン交換水を加えて全量を約90gとした。30分間放置した後、酢酸2.20gとイオン交換水を加えて全量を100gとし、一昼夜攪拌した。粘度の大きいキトサン溶液を調製した。
[実施例4:水酸化ナトリウム水溶液処理、未乾燥キトサン膜のグリセリン処理]
試料4のキトサン溶液を、ガラス板(300mm×200mm×3mm)上にキャスティング(流延)し、アプリケーターで均一に延ばした。これを1N−NaOH水溶液に1時間浸漬し、イオン交換水で繰り返し洗浄した。このキトサン膜をグリセリン水溶液(10重量%)に1時間浸漬した。膜を金属ケースに張り、クリーンエア気流中で乾燥させた。
[実施例5:水酸化ナトリウム水溶液処理、未乾燥キトサン膜のジグリセリン処理]
試料4のキトサン溶液を、ガラス板(300mm×200mm×3mm)にキャスティング(流延)し、アプリケーターで均一に延ばした。これを1N−NaOH水溶液に1時間浸漬し、イオン交換水で繰り返し洗浄した。このキトサン膜をジグリセリン水溶液(10重量%)に1時間浸漬した。膜を金属ケースに張り、クリーンエア気流中で乾燥させた。
[実施例6:水酸化ナトリウム水溶液処理、未乾燥キトサン膜のポリエチレングリコール処理]
試料4のキトサン水溶液を、ガラス板(300mm×200mm×3mm)にキャスティング(流延)し、アプリケーターで均一に延ばした。これを1N−NaOH水溶液に1時間浸漬し、イオン交換水で繰り返し洗浄した。このキトサン膜をポリエチレングリコール水溶液(10重量%)に1時間浸漬した。膜を金属ケースに張り、クリーンエア気流中で乾燥させた。
[実施例7:水酸化ナトリウム水溶液処理、未乾燥キトサン膜のトリエチレングリコール処理]
試料4のキトサン水溶液を、ガラス板(300mm×200mm×3mm)にキャスティング(流延)し、アプリケーターで均一に延ばした。これを1N−NaOH水溶液に1時間浸漬し、イオン交換水で繰り返し洗浄した。このキトサン膜をトリエチレングリコール水溶液(10重量%)に1時間浸漬した。膜を金属ケースに張り、クリーンエア気流中で乾燥させた。
[実施例8:水酸化ナトリウム水溶液処理、未乾燥キトサン膜のトリエチレングリコール処理]
試料4のキトサン水溶液をガラス板(300mm×200mm×3mm)にキャスティング(流延)し、アプリケーターで均一に延ばした。これを1N−NaOH水溶液に1時間浸漬し、イオン交換水で繰り返し洗浄した。このキトサン膜をトリエチレングリコール水溶液(10重量%)に1晩(約15時間)浸漬した。膜を金属ケースに張り、クリーンエア気流中で乾燥させた。
[実施例9:水酸化ナトリウム水溶液処理、未乾燥キトサン膜のトリエチレングリコール処理]
試料4のキトサン水溶液をガラス板(300mm×200mm×3mm)にキャスティング(流延)し、アプリケーターで均一に延ばした。これを1N−NaOH水溶液に1時間浸漬し、イオン交換水で繰り返し洗浄した。このキトサン膜をトリエチレングリコール水溶液(10重量%)に5分間浸漬した。膜を金属ケースに張り、クリーンエア気流中で乾燥させた。
[実施例10:水酸化ナトリウム水溶液処理、未乾燥キトサン膜のトリエチレングリコール処理]
試料4のキトサン水溶液をガラス板(300mm×200mm×3mm)にキャスティング(流延)し、アプリケーターで均一に延ばした。これを1N−NaOH水溶液に1時間浸漬し、イオン交換水で繰り返し洗浄した。このキトサン膜をトリエチレングリコール水溶液(5重量%)に5分間浸漬した。膜を金属ケースに張り、クリーンエア気流中で乾燥させた。
[実施例11:水酸化ナトリウム水溶液処理、未乾燥キトサン膜のトリエチレングリコール処理]
試料4のキトサン水溶液をガラス板(300mm×200mm×3mm)にキャスティング(流延)し、アプリケーターで均一に延ばした。これを1N−NaOH水溶液に1時間浸漬し、イオン交換水で繰り返し洗浄した。このキトサン膜をトリエチレングリコール水溶液(3重量%)に5分間浸漬した。膜を金属ケースに張り、クリーンエア気流中で乾燥させた。
[実施例12:水酸化ナトリウム水溶液処理、未乾燥キトサン膜のトリエチレングリコール処理]
試料4のキトサン水溶液をガラス板(300mm×200mm×3mm)にキャスティング(流延)し、アプリケーターで均一に延ばした。これを1N−NaOH水溶液に1時間浸漬し、イオン交換水で繰り返し洗浄した。このキトサン膜をトリエチレングリコール水溶液(1重量%)に5分間浸漬した。膜を金属ケースに張り、クリーンエア気流中で乾燥させた。
[比較例7〜9:キトサン膜と濾紙とからなる複合膜]
比較例1、6、4のキトサン膜と、濾紙NO.2(ADVANTEC社製)とを物理的に張り合わせることによって、比較例7〜9の複合膜を、それぞれ調製した。
[比較例10〜11:キトサン膜と濾紙とからなる複合膜]
比較例2、3のキトサン膜と、濾紙NO.2(ADVANTEC社製)とを物理的に張り合わせることによって、比較例10〜11の複合膜をそれぞれ調製した。
[実施例13〜15:グリセリン含浸キトサン膜と濾紙とからなる複合膜]
実施例1〜3のグリセリン含浸キトサン膜と、濾紙No.2(ADVANTEC社製)とを物理的にり合わせることによって、実施例13〜15の複合膜をそれぞれ調製した。
[実施例16〜19:透湿性促進剤含浸処理キトサン膜と濾紙とからなる複合膜]
実施例4のグリセリン、実施例5のジグリセリン、実施例6のポリエチレングリコール、実施例7のトリエチレングリコール含浸処理キトサン膜と濾紙No.2(ADVANTEC社製)とを物理的にり合わせることによって、実施例16〜19の複合膜をそれぞれ調製した。
[実施例20〜24:透湿性促進剤含浸処理キトサン膜とPTFE製濾紙とからなる複合膜]
実施例4のグリセリン、実施例5のジグリセリン、実施例6のポリエチレングリコール、実施例7と8のトリエチレングリコール含浸処理キトサン膜とポリフロンフィルタPF−50(ADVANTEC社製)とを物理的にり合わせることによって、実施例20〜24の複合膜をそれぞれ調製した。
[実施例25〜30:透湿性促進剤含浸処理キトサン膜とポリプロピレン不織布とからなる複合膜]
実施例4、7、9〜12で得た透湿性促進剤含浸処理キトサン膜とポリプロピレン不織布とを物理的にり合わせることによって、実施例25〜30の複合膜をそれぞれ調製した。
[比較例12:ポリビニルアルコール・キトサン複合膜の調製]
ポリビニルアルコール(重合度2.000)2.50gを300mlビーカーにいれ、脱気イオン交換水を加えて全重量を250.30gとした。この懸濁液を約80℃に加熱し、攪拌して溶解した。この溶液の温度が下がらないうちに吸引ろ過して得たポリビニルアルコール水溶液と、試料1で調製したキトサン溶液を4:6の割合で混合して透明な溶液を調製した。この溶液を樹脂板(200mm×200mm×15mm)に96gキャスティング(流延)して、空気清浄機を取り付けた簡易型クリーンブース中で乾燥させた。完全に乾燥したところで、ビニールテープを取り、膜を樹脂版からはがした。
[比較例13:ポリビニルアルコール膜の調製]
比較例12で調製したポリビニルアルコール水溶液を樹脂板(200mm×200mm×15mm)に50gキャスティング(流延)して、空気清浄機を取り付けた簡易型クリーンブース中で乾燥させた。完全に乾燥したところで、ビニールテープを取り、膜を樹脂版からはがした。
[実施例31:水蒸気試験用除湿膜のモジュール化]
図11に水蒸気透過試験用膜モジュール(M)の断面図を示す。
比較例7〜11及び実施例13〜30で調製した、膜(1)1枚と疎水性多孔質膜、疎水性フィルタ、疎水性不織布(3)1枚を積層した複合膜(4)を、表面に幅3mmの溝を3mm間隔で形成したアクリル樹脂型枠(K)で挟持固定して、水蒸気透過試験用膜モジュール(M)(透過面積8.66cm)を作製した。
尚、複合膜(4)と型枠(K)との間には、厚さ0.6mmのシリコーンラバー(L)を配置した。
[実施例32:トリエチレングリコール含有連続キトサン膜の調製]
図1に示す連続製膜装置を用いて、試料2のトリエチレングリコール含有連続キトサン膜を調製した。
即ち、4%キトサン・酢酸水溶液を押出機(E)のホッパー(E1)に投入し、押出機(E)のT−ダイ(E2)から成形されたキトサン水溶液を、凝固水溶液として1N−NaOHが収納された凝固浴槽(F)に導入して、中和・凝固させてキトサン薄膜を調製した。
このキトサン薄膜を、純水を貯留した水洗浴槽(G)へ導入してNaOHを除去した。次いで、10%トリエチレングリコール水溶液貯留槽(H)へ導入することにより、キトサン薄膜にトリエチレングリコールを含浸させた。最後に、トリエチレングリコール含有連続キトサン膜を乾燥機(I)に導入した後、巻取機()に巻き取った。
[実施例33:除湿用膜モジュールの製作]
実施例32で調製した分離膜を用いて、除湿用膜モジュールを作成した。
まず、図12の(イ)に示すように、実施例32で調製した分離膜(1)にポリプロピレン不織布からなる疎水性フィルタ(3)を物理的に積層して複合膜(4)とした。この複合膜(4)をコルゲート型の隔壁部材(2)の一方の面側に、隔壁部材(2)と疎水性フィルタ(3)とが接するように接着して、除湿エレメント(21)を調製した。
図12の(ロ)に示すように、この除湿エレメント(21)を、コルゲート型の隔壁部材(2)の流路方向が互いに直交するように複数個(図では4つ)積層して、複合除湿エレメント(23)を作成した。これを、図12の(ハ)に示すケーシング部材(50)に収納して、図12の(ニ)に示すような除湿用膜モジュール(25)を調製した。
尚、図12の(ハ)に示すケーシング部材(50)は、複合除湿エレメント(23)を収納することができる開口部(51)が設けられ、この開口方向が複合除湿エレメント(23)の給気通路(C)の流通方向とされる。またケーシング部材(50)の開口方向と直交する方向が複合除湿エレメント(23)の排気通路(D)の流通方向とされ、排気通路(D)の一方はエポキシ樹脂によって閉鎖され、他方はケーシング部材の排気口(52)に連結される。
[試験例1:水蒸気透過試験]
図13に示す水蒸気透過試験装置を用いて、水蒸気透過試験を行った。尚、図13中、aはシリカゲルカラムであり、bは空気送りポンプ(ローラーポンプ)であり、cはバブリングボトルであり、fは除湿膜モジュールであり、gは分離膜であり、dは一次側(input)の温度・湿度計であり、eは一次側(output)の温度・湿度計であり、iは空気流速計であり、hは恒温槽であり、jはコールドトラップであり、kはビラニ真空計であり、lは真空ポンプである。
即ち、恒温槽(h)によって30.0℃〜31.1℃に調節した除湿膜(g)を備えた除湿膜モジュール(f)(透過面積8.66cm)の一次側に、空気送りポンプ(b)によって湿度78〜82%の空気を9.7m/mh〜36.6m/m hの速度で送った。
除湿膜モジュール(f)の二次側は真空ポンプ(l)によって減圧した。
除湿膜モジュール(f)の一次側input直前の温度・湿度を温度・湿度計(d)によって測定するとともに、一次側output直後の温度・湿度を温度・湿度計(e)によって測定した。
除湿膜モジュール(f)の二次側で所定時間毎に、液体窒素を用いたコールドトラップ(j)で透過水蒸気を冷却捕集することによって、透過水蒸気の重量を測定した。
結果を表1に示す。
Figure 0004629603
図14に、分離膜として比較例1、実施例4〜7の膜を使用し、濾紙No.2(ADVANTEC社製)を積層した比較例7、実施例16、17、19の複合膜における水蒸気透過試験の結果を示す。
図14に示すように、実施例16、17、19の透湿性促進剤を含浸するキトサン膜は、透湿性促進剤を含浸しない比較例7のキトサン膜に比べて水蒸気透過性能が優れることが分かる。
更に比較例7は、実施例16、17、19と比較して膜厚が薄いが透湿速度が小さく、除湿性能も低い。
尚、(例えば、表1、図15、16及び17における)透過度(kg/m・day)と、(例えば、図14における)透湿速度(kg/m・day)とは同義語の関係にある。
実施例16、実施例20及び実施例25について、試験例1と同様の条件で透湿試験を繰り返し行った場合の透湿速度変化を図15に示す。
透湿速度試験を繰り返し行ったところ、濾紙と複合した膜は透湿速度が次第に減少する傾向を示したが、PTFE製濾紙及びポリプロピレン不織布と複合した膜は初期の透湿速度を維持した。
濾紙は親水性のセルロース繊維で構成されているので、透湿性促進剤との親和性が高い。キトサン膜に含浸したグリセリンがセルロース繊維に浸透して移行し、キトサン膜のグリセリン含浸量が減少し、その影響で透湿速度が減少したものと考えられる。
一方、PTFE製濾紙とポリプロピレン不織布は疎水性の繊維で構成されているために、透湿性促進剤との親和性が低い。キトサン膜に含浸したグリセリンはキトサン膜に保持されたままであり、透湿速度は一定に保たれた。
実施例19、実施例23及び実施例26について、試験例1と同様の条件で透湿試験を繰り返し行った場合の透湿速度の結果を図16に示す。
透湿速度試験を繰り返し行ったところ、濾紙と複合した膜は透湿速度が次第に減少する傾向を示した。一方、PTFE製濾紙及びポリプロピレン不織布と複合した膜は初期の透湿速度を維持した。
濾紙は親水性のセルロース繊維で構成されているのでトリエチレングリコール(「TEG」と称す場合がある)と親和性が高い。このため、キトサン膜に含浸したトリエチレングリコールがセルロース繊維に浸透して移行し、キトサン膜のトリエチレングリコール含浸量が減少し、その影響で透湿速度が減少したものと考えられる。
一方、PTFE製濾紙とポリプロピレン不織布は疎水性の繊維で構成されているために、トリエチレングリコールとの親和性が低い。このため、キトサン膜に含浸したトリエチレングリコールはキトサン膜に保持されたままであり、透湿速度は一定に保持された。
実施例27〜30で調製したトリエチレングリコール含浸処理キトサン膜と、ポリプロピレン不織布とからなる複合膜のトリエチレン含有率及び透湿速度とトリエチレングリコール水溶液処理濃度の関係を図17に示す。
図17中、棒グラフは、トリエチレングリコール水溶液の各濃度におけるトリエチレングリコール含浸量を示し、折れ線グラフはトリエチレングリコール水溶液の各濃度における透湿速度を示す。
トリエチレン含有率はトリエチレングリコール水溶液濃度10%以上においても増加する可能性があるが、トリエチレングリコール水溶液処理濃度3%から10%では透湿速度は殆ど一定であることから、適当な処理濃度は10%以下である。
表1に示された結果の中で、実施例20、実施例24、実施例22の結果のうち、気体流速が約36m/mhである場合についてみると、気温30℃、相対湿度約80%の空気は36%から40%に乾燥されることがわかる。
そこで、本実施例除湿膜で気温30℃、相対湿度80%の外気を相対湿度30%〜40%に除湿乾燥して気温25℃の室内に導入すると、下記の絶対湿度との関係から、温度30℃、相対湿度36%から40%の空気は25℃において相対湿度は50%〜60%になることがわかる。
相対湿度80%、温度30℃(絶対湿度24.269g/m
相対湿度40%、温度30℃(絶対湿度12.134g/m
相対湿度30%、温度30℃(絶対湿度9.101g/m
相対湿度50%、温度25℃(絶対湿度11.513g/m
相対湿度60%、温度25℃(絶対湿度12.13.815g/m
住宅の居室には換気回数0.5回以上の換気量を持つ換気設備を設置することが建築基準法令で義務づけられている。例えば、換気回数が0.5回/h、0.7回/hの場合、6畳の居室の必要換気計算は下記のとおりである。
6畳(約10m、天井高2.4m)の場合の必要換気量は、0.5回/hの場合:0.5×10×2.4=12m/hとなり、0.7回/hの場合:0.7×10×2.4=17m/hとなる。
従って、上記の必要換気量において、必要な除湿膜の面積は、0.5回/hの場合:12÷36=0.33mとなり、0.7回/hの場合:17÷36=0.47mとなる。
即ち、6畳(約10m、天井高2.4m)の場合の換気で必要な除湿膜の面積は1m未満でよいことが分かる。
[試験例2:水蒸気透過係数及び透過速度測定]
試験例1は供給空気が膜モジュールの一次側を通過する間に除湿され、inとoutの湿度が異なる非平衡状態における透湿速度試験結果である。本試験例はできるだけinとoutの湿度が近接した平衡状態における透湿速度試験を行った結果である。
ガス透過率・透湿度測定装置(GTR−20XFPS型、ヤナコ分析工業株式会社)を用いて、膜面積0.785cm又は0.283cm、含湿窒素ガス(相対湿度80%)の流速17.58〜180.38m/mhで、20℃または30℃における透湿速度、透湿係数を、表2に記載の膜を用いて測定した。
水蒸気透過係数及び透過速度測定の測定結果を表2に示す。
表2の実施例22の透湿速度測定におけるクロマトグラフの1例を図18に示す。
ピーク位置を示すクロマトグラフの保持時間は、水分のピークが1.65min、窒素のピークが0.65min、酸素のピークが0.44minであり、窒素及び酸素の保持時間にピークは検出されなかったことから、水分を選択透過して空気(窒素、酸素)を透過しない膜であることがわかる。
尚、表2における「透過度」の単位は『cc/m・24h・atm』、「透湿度」の単位は『g/m・24h・atm』、「透過係数」の単位は『cc・cm/cm・sec・cmHg』である。
Figure 0004629603
[試験例3:含浸率測定]
室温にて、乾燥重量500mg相当(w1)の膜を水に2時間浸漬した後、膜を105℃にて15時間乾燥して絶乾重量(w2)を求めた。次式に従って透湿性促進剤含有率を算出した。
透湿性促進剤含有率(%)=((w1−w2)/w2)×100
その結果、実施例5及び実施例7で調製した膜の透湿性促進剤含有率はそれぞれ251%、229%であった。
[試験例4:含浸率測定2(TG測定)]
サンプル約10mgをサンプルパンに採り、熱重量測定装置(8120型、理化学器械(株))を用いて、昇温速度5℃/minで室温から500℃まで昇温したときの重量減少を検出し、そのデータからサンプル重量と保湿剤重量を読みとり、保湿剤の含浸率を算出した。
[試験例5:抗菌性試験]
脱アセチル化度75%及び85%のキトサン粉末5.71gにイオン交換水を加えて全重量を900gにして約30分後、酢酸5.11gとイオン交換水を加えて全重量を1000gとし、一昼夜攪拌してキトサン溶液を調製した。次に、ビニールテープで囲いをつけた樹脂板(200mm×200mm×15mm)上にキトサン溶液96gを流して覆い、水平に保持して空気清浄機で浄化したクリーンエア気流中で水を蒸発し、樹脂板上にキトサン酢酸塩固形膜を形成した。このキトサン酢酸塩膜を樹脂板ごと1N−NaOH水溶液に30分〜40分浸漬して再生キトサン膜とした。
このキトサン膜を樹脂板ごとイオン交換水に浸漬して、イオン交換水を5回以上交換して十分に洗浄した(1時間以上)。ビニールテープを剥がし、セロファンテープでキトサン膜を樹脂板に付け直し、前記と同様にクリーンエア気流中で乾燥した。
このようにして調製した脱アセチル化度75%キトサン膜、脱アセチル化度85%キトサン膜及び対照としてセロファンをそれぞれ7cm×5cmの切片を作り、これらの切片を板紙の上に並べて、室温にて相対湿度99%における菌類の付着状況を2ヶ月間観察した。菌の発生誘因剤として市販の食パンを等量だけそれぞれの膜の近接に置いた。
図19に示されるように、約2ヶ月後にはセロファンに菌の付着が認められたが、キトサン膜は両方とも菌の付着はほとんど認められなかった。
このようにキトサンはセロファンより明らかに菌類(カビなど)が付着しにくい。このことは高湿度で使用される除湿膜にとってキトサンは好ましい膜材料である。
[試験例6:水蒸気透過試験]
図13に示す水蒸気透過試験装置を用いて、実施例14の膜の水蒸気透過試験を行った。
即ち、恒温槽(h)によって30.0℃〜31.1℃に調節した除湿膜(g)を備えた除湿膜モジュール(f)(透過面積8.66cm)の一次側に、空気送りポンプ(b)によって相対湿度を20%〜85%に徐々に増加した空気を6.93m/mh〜7.62m/mh(100ml/min〜110ml/minを膜の単位面積で1時間当たりのm単位体積に換算した)の速度で送った。
除湿膜モジュール(f)の二次側は真空ポンプ(l)によって87Paに減圧した。
除湿膜モジュール(f)の一次側input直前の温度・湿度を温度・湿度計(d)によって測定するとともに、一次側output直後の温度・湿度を温度・湿度計(e)によって測定した。得られた結果について一次側input直前の湿度と一次側output直後の湿度の関係を図20に示す。84%から20%に除湿され、高湿度ほど除湿効果が大きい。
[試験例7:加湿試験]
図21に示す加湿測定装置を用いて、比較例6の膜の加湿試験を行った。図21中、aは空気送りポンプ(ローラーポンプ)であり、bはシリカゲルカラムであり、cはバブリングボトルであり、dは除湿膜モジュール(実施例31の水蒸気透過試験用膜モジュール)であり、eは分離膜であり、fは一次側(input)の温度・湿度計であり、gは一次側(output)の温度・湿度計であり、hは空気流速計であり、iは恒温槽であり、jは送液ローラーポンプであり、kは水リザーバーであり、lは熱交換チューブであり、mは恒温水槽である。
即ち、恒温槽(i)によって30℃に調節した除湿膜(e)を備えた除湿膜モジュール(d)(透過面積8.66cm)の一次側に、空気送りポンプ(a)によって相対湿度を11%に調整した空気を100ml/min〜500ml/minの速度で送った。結果を表3に示す。
Figure 0004629603
[試験例8:透過側の圧力と透湿速度の関係を示す水蒸気透過試験]
比較例7でキトサンの膜厚が3.0μmと6.6μm、実施例14でキトサンの膜厚が12.0μm、実施例15でキトサンの膜厚が9.4μmの膜を調製し、図13に示す水蒸気透過試験装置のlとjの間に圧力コントローラーを設置して透過側の圧力を調整し、それぞれの膜の透湿速度と透過側の圧力との関係を調べた結果、図22が得られた。
いずれの膜も圧力の増加に従い透湿速度は減少した。従って同一の膜で高い透湿速度を得るためには透過側圧力は0に近いほど良い。一方、膜厚については膜厚が厚いほど圧力が0Pa〜10000Paの範囲で透湿速度の減少が大きいので、膜厚が薄いほど透過側圧力の増加による透湿速度の急激な減少を避けることができる。
[試験例9:水蒸気透過試験]
図13に示す水蒸気透過試験装置を用いて、水蒸気透過試験を行った。
尚、図13中、aはシリカゲルカラムであり、bは空気送りポンプ(ローラーポンプ)であり、cはバブリングボトルであり、fは除湿膜モジュール(実施例48の水蒸気透過試験用膜モジュール)であり、gは分離膜であり、dは一次側(input)の温度・湿度計であり、eは一次側(output)の温度・湿度計であり、iは空気流速計であり、hは恒温槽であり、jはコールドトラップであり、kはビラニ真空計であり、lは真空ポンプである。
即ち、恒温槽(h)によって25℃に調節した除湿膜(g)を備えた除湿膜モジュール(f)(透過面積8.66cm)の一次側に、空気送りポンプ(b)によって湿度83%の空気を20.79m/mhの速度で送った。除湿膜モジュール(f)の二次側は真空ポンプ(l)によって140Paに減圧した。除湿膜モジュール(f)の一次側input直前の温度・湿度を温度・湿度計(d)によって測定するとともに、一次側output直後の温度・湿度を温度・湿度計(e)によって測定した。
減圧開始から10分間経過までの一次側input直前の温度・湿度と一次側output直後の温度・湿度の経時変化を図23に示す。
二次側圧力が減圧開始時の大気圧から140Paに到達する時間は約5秒であった。
これは減圧開始から一次側outputの湿度は急激に減少して、5分で相対湿度30%、10分以内に最小の相対湿度約30%に達しており、迅速な除湿が行われていることを示している。
[試験例10:水蒸気透過試験]
図24に示す水蒸気透過試験装置を用いて、実施例28で調製した膜の水蒸気透過試験を行った。即ち、恒温槽(h)によって30.0℃に調節した除湿膜(g)を備えた除湿膜モジュール(f)(透過面積8.66cm)の一次側に、シリカゲルカラム(a)で除湿した乾燥空気と加湿ボトル(c)で加湿した空気を空気送りポンプ(b)によって相対湿度を69%〜70%に調整した空気を20.3m/mhの速度で送った。
除湿膜モジュール(f)の二次側はダイヤフラム型真空ポンプ(k)によって減圧し、真空度を圧力コントローラー(j)で制御した。除湿膜モジュール(f)の一次側input直前の温度・湿度を温度・湿度計(d)によって5秒間隔で測定するとともに、一次側output直後の温度・湿度を温度・湿度計(e)によって5秒間隔で測定した。
表4は、試験例10において「二次側圧力と一次側output直後の湿度との関係」を示したものである。
透過側圧力によってOutletの相対湿度を変化させることができることがわかる。
Figure 0004629603
試験例10の水蒸気透過試験において、図25は透過側圧力を大気圧から1kPaに減圧し、その後徐々に圧力を上昇させたときのinlet温度、inlet湿度、outlet温度、outlet湿度及び透過側圧力の関係を5秒毎の経時変化で示す。圧力はデジタル設定で階段状に変化させると、その変化に応じてoutlet湿度も階段状に迅速に変化することがわかる。このことから透過側圧力を制御するだけで湿度を制御できることを示しており、しかも温度はまったく変化しない。このような湿度制御特性を持った湿度制御方法は他にない。本除湿膜は湿度を精密に制御した空気を供給する精密空調設備、精密空調装置の湿度制御に最も適した方法であることが理解される。
大量の水蒸気を吸引して排出する真空ポンプは現状では商品として出回っていないが、湿度数パーセント内外の限定された湿度範囲の湿度制御の場合、真空ポンプが吸引する水蒸気の量は少なくなり、真空ポンプへの負担が軽くなると考えられる。また、図25の圧力制御はデジタル設定で階段状に非連続的に圧力を変えているが、真空ポンプによる圧力制御の方法には、ポンプの回転速度を可変することによって排気速度を連続変化してなめらかに連続的に圧力を変えることができる。この場合、湿度を任意に設定の湿度に正確に制御することが可能である。さらに、outletの湿度信号を真空ポンプの減圧システムにフィードバックすることによってさらに正確に湿度を制御することが可能である。
図26はinlet温度、inlet湿度、outlet温度、outlet湿度と透過側圧力を大気圧から1kPaに減圧した5秒毎の経時変化を示す。透過側圧力を大気圧から1kPaに減圧してから10分間の経過を示す。約5分ほどでほとんど除湿が完結しており除湿膜は湿った空気を急速に乾燥することに適していることを示す。試験例9と試験例10の結果から、自動車のフロントガラスの湿気による曇りを効果的に消す用途に好ましい性質であると考えられる。
[実施例3:トリエチレングリコール含浸キトサン・ポリプロピレン不織布複合膜の調製]
脱アセチル化度83%のキトサン粉末(Lot CTA0411208、片倉チッカリン(株)製)11gと水484gを混合して1時間キトサン粉末を膨潤後、酢酸5gを加えて一昼夜(20時間)攪拌してキトサン溶液を調製した。このキトサン溶液をフィルムアプリケーター(Sheen S960275、テスター産業(株)製)を用いてガラス板に1mmの厚さに塗布した後、直ちに1N−NaOH水溶液に浸漬してガラス板上のキトサンフィルムを凝固した。そのまま10分間凝固してから凝固したキトサンフィルムをガラス板から離し、その凝固キトサンフィルムを水洗してNaOHを除去してから、5%トリエチレングリコール水溶液に10分間浸漬処理した。凝固キトサンフィルムの表面に凹凸を形成するためにトリエチレングリコール処理をしたキトサンフィルムを2枚のポリプロピレン不織布で挟んで積層し、それを適度な圧力で圧締して積層状態のまま板紙に固定して一昼夜クリーンエア中で風乾した。ポリプロピレン不織布の片方を剥がして複合膜を完成した。
[試験例11:水蒸気透過試験]
図24に示す水蒸気透過試験装置を用いて、実施例31で調製した複合膜の水蒸気透過試験を下記の条件で行った。即ち、恒温槽(h)によって25℃に調節した除湿膜(g)を備えた除湿膜モジュール(f)(透過面積33cm)の一次側に、空気送りポンプ(b)によって相対湿度を77%〜79%に制御した空気を5.51m/mh(303ml/minを膜の単位面積で1時間当たりのm単位体積に換算した)の速度で送った。除湿膜モジュール(f)の二次側は真空ポンプ(k)によって減圧し、真空度を圧力コントローラー(j)で制御した。除湿膜モジュール(f)の一次側input直前の温度・湿度を温度・湿度計(d)によって5秒間隔で測定するとともに、一次側output直後の温度・湿度を温度・湿度計(e)によって5秒間隔で測定した。除湿膜モジュール(f)の一次側input直前の温度・湿度を温度・湿度計(d)によって測定するとともに、一次側output直後の温度・湿度を温度・湿度計(e)によって測定した。
結果を「一次側input直前の温度と湿度と一次側output直後の温度と湿度及び二次側圧力の関係」を表5に示す。二次側圧力が7kPaから20kPaまでoutlet湿度は14%で一定であるが、14kPa付近は湿度センサーの測定限界に近いため実際には14kPa以下でも14%以下を表示しなかったと推察する。実際には7kPaや10kPaではoutlet湿度は14kPa以下に減少したことが推測できる。二次側圧力70kPaではinlet湿度79%がoutlet湿度38%に、80kPaではinlet湿度79%がoutlet湿度46%になった。以上の結果から水封式ポンプ、ブローアー(吸引用として)或いは水蒸気を吸入できる真空ポンプ等による二次側減圧よって、25℃における空調制御に必要な除湿が可能であることがわかる。
Figure 0004629603
[試験例12:水蒸気透過試験]
図24に示す水蒸気透過試験装置を用いて、実施例31で調製した複合膜の水蒸気透過試験を下記の条件で行った。即ち、恒温槽(h)によって19.5℃に調節した除湿膜(g)を備えた除湿膜モジュール(f)(透過面積33cm)の一次側に、空気送りポンプ(b)によって相対湿度を85%に制御した空気を43.3m/mhの速度で送った。除湿膜モジュール(f)の二次側は真空ポンプ(k)によって減圧し、真空度を圧力コントローラー(j)で制御した。除湿膜モジュール(f)の一次側input直前の温度・湿度を温度・湿度計(d)によって5秒間隔で測定するとともに、一次側output直後の温度・湿度を温度・湿度計(e)によって5秒間隔で測定した。除湿膜モジュール(f)の一次側input直前の温度・湿度を温度・湿度計(d)によって測定するとともに、一次側output直後の温度・湿度を温度・湿度計(e)によって測定した。
結果として「一次側input直前の温度と湿度と一次側output直後の温度と湿度及び二次側圧力の関係」を表6に示す。
空気温度20℃、送風速度43.3m/mh(1039.2m/mday)という条件は、一般の一戸建て住宅の計画換気量(3182m/day)の約三分の一相当であるから、3mの膜面積を有するモジュールで二次側圧力を50kPa以下に保持すれば相対湿度約80%の高湿度の外気であっても,それを60%以下に除湿した新鮮な空気を必要計画換気量分だけ充分まかなえる勘定である。以上の結果から水封式ポンプ、ブローアー(吸引用として)或いは水蒸気を吸入できる真空ポンプ等による二次側減圧によって必要な除湿換気が可能であることがわかる。
Figure 0004629603
本発明に係る複合膜の製造工程を示す図である。 本発明に係る加湿エレメントの概略構成を示す図である。(イ)は本発明に係る加湿エレメントの概略構成を示す分解斜視図であり、(ロ)は(イ)に示す加湿エレメントと隔壁部材とが交互に複数積層されて形成された加湿エレメントの概略構成を示す斜視図である。 本発明に係る加湿エレメントにおける別の実施形態の概略構成を示す図である。(イ)は加湿エレメントの概略構成を示す分解斜視図であり、(ロ)は(イ)に示す加湿エレメントと隔壁部材とが交互に複数積層されて形成された加湿エレメントの概略構成を示す斜視図である。 本発明に係る除湿エレメントの概略構成を示す分解斜視図である。 (イ)は隔壁部材の両面に設けられている複合膜について、隔壁部材と接する側に分離膜を配置した除湿エレメントを、(ロ)は隔壁部材の両側に設けられる複合膜について、隔壁部材と接する側に疎水性多孔質膜、疎水性フィルタ、疎水性不織布のいずれかを配置した除湿エレメントを表したものである。 本発明に係る除湿エレメントの概略構成を示す分解斜視図である。 本発明に係る除湿エレメントにおける別の実施形態の概略構成を示す図である。(イ)は本発明に係る除湿エレメントと隔壁部材とが交互に複数積層されて形成された除湿エレメントの概略構成を示す斜視図であり、(ロ)は本発明に係る除湿エレメントと隔壁部材とが交互に複数積層されて形成された除湿エレメントの概略構成を示す斜視図である。 本発明に係る除湿エレメントで用いられる隔壁部材の別の実施形態を示す斜視図である。(イ)に示す隔壁部材は、鋭角三角波板の一方の面側に隔壁部材を積層して中空部(2c)を形成したものであり、(ロ)に示す隔壁部材は、板状部材の両面に交互に突出する断面矩形状の凸部を複数形成したものである。 (イ)は本発明に係る加湿器の概略構成を示す図である。(ロ)は本発明に係る除湿器の概略構成を示す図である。 (イ)は第一実施形態に係る調湿調温システムの概略構成を示す図である。(ロ)は除湿エレメントと減圧手段をつなぐ減圧経路の途中に水蒸気凝縮器を設置した調湿調温システムを示した図である。 第二実施形態に係る調湿調温システムの概略構成を示す図である。 実施例31で用いた水蒸気透過試験用膜モジュールの概略構成を示す断面図である。 実施例のモジュール体を調製する工程の概略を示した図である。(イ)はコルゲート型の隔壁部材に疎水性フィルタ及び分離膜を積層して除湿エレメントを調製する工程の概略を示す図であり、(ロ)は(イ)の除湿エレメントを4つ積層した除湿エレメントの概略を示す図であり、(ハ)はケーシング部材の概略を示す図であり、(ニ)は(ハ)のケーシング部材に(ロ)の除湿エレメントを収納して作成した除湿用膜モジュールの概略構成を示す図である。 試験例1で使用した水蒸気透過試験装置の概略構成を示す図である。 比較例7、実施例16、17及び19の複合膜における水蒸気透過試験の結果を示すグラフである。 実施例16、実施例20及び実施例25の複合膜における水蒸気透過試験の結果を示すグラフである。 実施例19、実施例23及び実施例26の複合膜における水蒸気透過試験の結果を示すグラフである。 実施例27〜30の複合膜におけるトリエチレングリコール水溶液の濃度と、含浸率、透過速度との関係を示すグラフである。 試験例2における実施例22の結果を示すクロマトグラフである。 試験例5の結果を示す写真である。図19中、(A)は脱アセチル化度75%キトサン膜であり、(B)は脱アセチル化度85%キトサン膜であり、(C)はセロファンである。 試験例6の結果を示すグラフである。 試験例7で使用した加湿測定装置の概略構成を示す図である。 試験例8の結果を示すグラフである。 減圧開始から10分間経過までの一次側input直前の温度・湿度と一次側output直後の温度・湿度の経時変化を示す図である。 水蒸気透過試験装置を示す図である。 Inlet温度、Inlet湿度、Outlet温度、Outlet湿度及び透過側圧力の5秒毎の経時変化を示す図である。 Inlet温度、Inlet湿度、Outlet温度、Outlet湿度の透過側圧力を大気圧から1kPaに減圧した場合の5秒毎の経時変化を示す図である。 除湿膜モジュールの二次側に冷却・凝縮デバイス、圧力コントローラー及び真空ポンプを備えた除湿膜システムを示す図である。
符号の説明
10〜13 加湿エレメント
1 分離膜
2 隔壁部材
3 疎水性多孔質膜、疎水性フィルタ、疎水性不織布
4 複合膜
A 第一の経路
B 第二の経路
C 給気経路
D 減圧経路
20〜24 除湿エレメント
25 モジュール体
100 加湿器
110 空気供給手段
120 加湿エレメント
130 水供給手段
140 水槽
200 除湿器
210 空気供給手段
220 除湿エレメント
230 減圧手段
300 第一実施形態に係る調湿調温システム
310 加湿手段
311 通気性ベルトコンベアー
312 水槽
320 空気供給手段
330 除湿エレメント
340 減圧手段
350 水蒸気凝縮器
400 第二実施形態に係る調湿調温システム
410 第一の除湿エレメント
420 加湿エレメント
421 水供給手段
422 水槽
430 第二の除湿エレメント
440 空気供給手段
441 減圧手段
442 減圧手段
451 減圧手段
452 減圧手段
450 水蒸気凝縮器
45 水蒸気凝縮器

Claims (13)

  1. 再生キトサン膜又はキトサン膜と前記再生キトサン膜又はキトサン膜に含浸された透湿性促進剤とからなり、前記透湿性促進剤が、グリセリン、ジグリセリン、DL−ピロリドンカルボン酸ナトリウム、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、水溶性ポリエチレングリコールから選択される一種以上であり、該透湿性促進剤が前記再生キトサン膜又はキトサン膜の1〜300重量%含浸されていることを特徴とする分離膜。
  2. 請求項1に記載の分離膜の製造方法であって、成膜原液を凝固液中で凝固させて成膜した再生キトサン又はキトサンゲル膜を乾燥させずに直ちに前記透湿性促進剤を溶解した溶液に浸漬することによって、前記透湿性促進剤を前記再生キトサン又はキトサンゲル膜に含浸させることを特徴とする分離膜の製造方法。
  3. 前記透湿性促進剤を溶解した溶液の透湿性促進剤の濃度が、1〜20重量%であることを特徴とする請求項2に記載の分離膜の製造方法。
  4. 前記請求項1に記載の分離膜の一方の面に、疎水性有機系高分子から構成される多孔質膜、フィルタ、不織布のいずれかが積層されていることを特徴とする複合膜。
  5. 前記疎水性有機系高分子が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン;ポリアミド;ポリスチレン若しくは置換されたポリスチレン;ポリ(テトラフルオロエチレン)、フッ化ポリビニリデン(PVDF);ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート;ポリアクリレート及びポリ炭酸エステル;セルロース系ポリマー;並びにポリ塩化ビニル及びポリアクリロニトリルからなる群から選択される一種以上であることを特徴とする請求項4に記載の複合膜。
  6. 第一の経路と、第二の経路と、前記第一の経路と前記第二の経路とを分離する分離膜とからなり、前記分離膜は前記請求項1に記載の分離膜であることを特徴とする加湿エレメント。
  7. 前記第一の経路の流方向と前記第二の経路の流方向とが、互いに直交するように形成されていることを特徴とする請求項6に記載の加湿エレメント。
  8. 給気経路と、減圧経路と、前記給気経路と前記減圧経路とを分離する複合膜とからなり、前記複合膜は前記請求項4又は5に記載の複合膜であり、前記給気経路は前記複合膜の除湿膜と接するように、前記減圧経路は前記複合膜の疎水性の多孔質膜、疎水性のフィルタ、疎水性の不織布のいずれかと接するように設けられてなることを特徴とする除湿エレメント。
  9. 前記給気経路の流方向と前記減圧経路の流方向とが、互いに直交するように形成されていることを特徴とする請求項8に記載の除湿エレメント。
  10. 加湿エレメントと、空気送風手段と、水供給手段と、を含む加湿器であって、前記加湿エレメントは前記請求項6又は7に記載の加湿エレメントであり、前記空気送風手段は、前記加湿エレメントの第一の経路に空気を供給するように構成され、前記水供給手段は、前記加湿エレメントの第二の経路に水を供給するように構成され、前記第二の経路に供給された水が前記加湿エレメントの分離膜を透過して、第一の経路に供給された空気を加湿することを特徴とする加湿器。
  11. 除湿エレメントと、空気送風手段と、減圧手段と、を含む除湿器であって、前記除湿エレメントは前記請求項8又は9に記載の除湿エレメントであり、前記空気送風手段は、前記除湿エレメントの給気経路に連通連結されて、給気経路に除湿する空気を供給するように構成され、前記減圧手段は、前記給気経路に比べて前記減圧経路が減圧されるように前記除湿エレメントの減圧経路に連通連結され、前記給気経路に供給された空気中の水蒸気が除湿エレメントの分離膜を透過することによって、空気を除湿することを特徴とする除湿器。
  12. 加湿エレメント、空気供給手段、送水手段、除湿エレメントと、空気供給手段、減圧手段と、を含む調湿調温システムであって、前記空気供給手段は、前記加湿エレメントと、前記除湿エレメントの給気経路にそれぞれ個別に空気を供給するように構成され、前記除湿エレメントは前記請求項8又は9に記載の除湿エレメントであり、前記減圧手段は、前記給気経路に比べて前記減圧経路が減圧されるように前記除湿エレメントの減圧経路に連通連結され、空気供給手段によって供給された空気は、前記加湿エレメントによって加湿・冷却された後、前記除湿エレメントによって、供給された空気中の水蒸気が分離膜を透過して空気を除湿することを特徴とする調湿調温システム。
  13. 空気を供給するための空気供給手段と、第一の除湿エレメントと、加湿エレメントと、第二の除湿エレメント除湿エレメントと、減圧手段と、を含み、前記空気供給手段は、前記加湿エレメントと、前記除湿エレメントの給気経路に空気を供給するように構成され、前記第一及び第二の除湿エレメントは前記請求項8又は9に記載の除湿エレメントであり、前記減圧手段は、前記第一及び第二の除湿エレメントの前記給気経路に比べて前記減圧経路が減圧されるように前記除湿エレメントの減圧経路に連通連結され、空気供給手段によって供給された空気は、前記第一の除湿エレメントによって、供給された空気中の水蒸気が分離膜を透過することによって除湿され、前記加湿エレメントによって、前記第一の除湿エレメントを通過した空気を加湿・冷却され、前記第二の除湿エレメントによって前記加湿手段を通過した空気中の水蒸気が分離膜を透過することによって除湿されることを特徴とする調湿調温システム。
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