JP4625908B2 - 偏光変調型イメージング・エリプソメータ - Google Patents

偏光変調型イメージング・エリプソメータ Download PDF

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Description

本発明は、偏光変調法に基づくイメージング・エリプソメータに関する。
無機化合物や金属などの無機系物質の薄膜、生体物質や有機化合物などの有機系物質の薄膜など、薄膜の物性や厚さに関する様々な測定技術が開発され、多くの技術分野で利用されている。
エリプソメトリは、平坦な基板上に形成された薄膜に光ビームを照射することにより、薄膜の屈折率などの光学的性質や薄膜の厚さを測定することが可能な方法である。また、エリプソメトリは、真空や空気中の測定に加え、専用の容器を用いることにより水や有機溶媒などの媒質中においても測定を行うことができる。また、紫外・可視光から赤外光に及ぶ広い領域で、光源にレーザ光のほか、ハロゲンランプやキセノンランプの光を用いることができることなど測定条件の選択範囲が広い。そのため、無機系物質を始め、有機系物質の測定にも用いることができるので、広範囲の産業分野・技術分野で採用されている。
エリプソメータには、測定に際する試料の配置によって反射型と透過型があり、前者では試料に照射した測定光のうち、試料を反射した光を解析し、後者では透過した光を解析する。以下では、簡単のため、反射型のエリプソメータに関して説明を行うが、透過型の場合にも当てはまることは言うまでもない。
エリプソメトリにおける測定では、通常、入射光の偏光状態をp成分(入射面に平行に振動する成分)とs成分(入射面に垂直に振動する成分)とに分ける。入射光は、薄膜試料の表面における反射の前後で、薄膜試料の特性に応じて偏光状態に変化が生じる。この偏光状態の変化は、式(1)に示すΨと式(2)に示すΔの2つの偏光解析パラメータで表される。
Ψ=tan−1(|r|/|r|) (1)
Δ=δrp−δrs (2)
ここで、|r|はp成分の反射率の絶対値、|r|はs成分の反射率の絶対値、δrpはp成分の位相の変化、δrsはs成分の位相の変化を意味する。つまり、Ψは入射光が試料表面で反射する際に起こる光の強度の変化、Δは同じく位相の変化を表している。これらの測定によって求めたパラメータから、フィッティングや、理論的な変換式、あるいは実験やシミュレーションにより求めた校正曲線を用いて、試料の膜厚や屈折率を決定することができる。
エリプソメータの全体の配置には、例えばPCSA型、PSCA型などがあり、前者は、所定の座標軸に対して一定の角度(以下方位角)を有する偏光成分のみを透過し、ランダムな偏光を特定の直線偏光に変える第1の偏光子Pと、偏光の位相をそれと垂直な方位角の偏光に対して90度遅らせ、直線偏光を楕円偏光に変える補償子C(1/4波長板)とが入射光学部の入射光の経路に沿って配列され、試料Sを反射した光のうち特定の方位角を有する偏光成分のみを透過する第2の偏光子A(以下、検光子と記す)と、射出光を検出する光電子増倍管やフォトダイオードなどの検出器が射出光学部内の射出光の経路に沿って配列されている。一方、後者のPSCA型は、補償子Cと検光子Aと検出器とが射出光学部内の射出経路に沿って配列されている。
上記の例に見られるように、通常のエリプソメータは、一定の断面積を有する光束を試料に照射する入射光学部と、射出光を検出する光電子増倍管やフォトダイオードなどの検出器を有する射出光学部によって構成されていた。したがって、測定によって求められる試料の光学的性質や厚さは、光束が照射された領域における平均的な値であった。
しかしながら、測定する薄膜試料は通常一定の表面積を有しており、また光学的性質や厚さは一般に面内の位置によって異なる。したがって、目的によっては、それらの平均値ではなく、場所ごとにおける正確な値や分布の仕方が重要となる場合がある。例えば、半導体の製作工程においては、フォトリソグラフィーを用いてシリコンウエハ上に薄膜の微細なパターンを作製するので、各工程においてパターン各部の組成や厚さを検査することが重要である。また、最近では、種々の電子デバイス、光学デバイスなどを製造するため、金属、半導体、誘電体などの固体表面上に、有機化合物からなる二次元結晶を構築することが研究されており、光学的性質や厚さを二次元的に測定することがますます重要になっている。また、発ガンの抑制などの生体現象にかかわる遺伝子やタンパク質の同定を迅速に行うため、平面基板上に多数の種類のDNAや抗体を配列したマイクロアレイを用いて、試料に含まれるDNAやタンパク質を高効率で解析する技術が注目を集めている。試料の中に含まれるDNAやタンパク質は、基板上に固定化されたDNAやタンパク質との間の特異的な相互作用によって基板上に吸着するが、この基板上に吸着されたDNAやタンパク質を二次元的に計測する技術が不可欠である。
エリプソメータによる二次元的な測定については、いくつかの報告例がある。例えば、下記特許文献1には、偏光子及び補償板を一定の方位角に設定し、検光子を回転させ、0度、45度、−45度および90度の4点の方位角において反射光をCCDカメラで測定し、偏光子、検光子および補償板の方位角から算術的にρおよびΔを求める回転検光子型のイメージング・エリプソメータが開示されている。
また、下記非特許文献1には、偏光子及び検光子を一定の方位角に設定し、補償板を回転させることにより、入射光のs成分に対するp成分の位相差δを一定間隔ごとに変化させ、それぞれのδにおいてCCDカメラにより反射光を測定し、得られた複数の反射光強度から算術的にΨ及びΔ(以下、ΨとΔを偏光解析パラメータと呼ぶ)を求めるイメージング・エリプソメータが開示されている。
しかしながら、これらの装置は、単一の検出器を用いた通常の測定と比べ、精度が1桁以上劣ること、および測定時間が長くかかることが問題となっている。
特に、高精度の測定が可能な偏光変調型エリプソメータと比較すると、精度の差は3桁以上に上る。偏光変調型エリプソメータにおいては、測定に用いる光の偏光状態を数10kHz〜数100kHzの周波数で周期的に変化させ、検出器で測定される光強度の時間変化を周波数解析することによって、偏光解析パラメータを決定する。光信号の特定の周波数成分のみを選択的に検出すること、および光学素子を機械的に駆動しないことにより、S/N比の高い結果が得られる特徴がある。また、偏光解析パラメータの取得に必要な時間が数msと短く、測定時間を長くすることにより容易にノイズを減少させることができる。最初に発表された装置ではロックインアンプを用いて特定の周波数成分を検出した(下記非特許文献2参照)が、その後高速でアナログ・デジタル変換した信号をフーリエ変換する方法が提案された(下記非特許文献3参照)。これらの装置では、偏光解析パラメータΨおよびΔが通常それぞれ10−3度および10−2度の精度で測定でき、測定時間を10秒程度とした場合、さらに10−2程度改善するとしている。
一方、CCDの検出速度は高々ビデオレート(約10〜数100Hz)であるため、そのままでは数10KHz〜数100kHzで変調された光信号を検出することはできない。そこで、位相変調子の動作と同じ基本周波数で、試料に照射する測定光の強度を周期的に変化させることにより、単一検出器の場合と同様にロックイン検出を実現する方法が開発された(下記非特許文献4参照)。例えば、測定光を周期的に遮断し連続パルス光とした場合、測定光を照射している間だけ光信号を検出するため、CCD撮像素子の各画素に対応する微小センサのそれぞれで、速度の速い現象の周波数解析が可能になる。位相変調子の駆動信号の周期を基準としてONおよびOFFの間隔を設定することにより、出力信号の直流成分、位相変調子の駆動信号と同位相の成分(正弦波成分)、および90度の位相差を有する成分(余弦波成分)を抽出することができる。また、三角関数の性質を利用して、正弦波および有限個の高調波を含む信号で測定光に振幅変調を行うことにより、特定の高調波成分を抽出することも可能である。
この測定光の振幅変調による並列同期検出は、その後、光干渉顕微鏡などに適用され、それらの精度向上や機能拡大に役立てられた(下記非特許文献5、6参照)。
一方、CCDのゲートを外部信号で制御できるようにした時間相関イメージセンサが開発され、光の楕円率と偏光方向をリアルタイムで測定する方法が考案された(下記非特許文献7、8、9参照)。
米国特許5076696号公報 Rev. Sci. Instrum., 59, 2557(1988) Rev. Sci. Instrum., 40, 761(1969) Rev. Sci. Instrum., 53, 969(1982) J. Optics, 26, 251(1995) Opt. Lett., 24, 309(1999) Opt. Lett., 28, 816(2003) IEEE Trans. Electron Devices, 50, 2059 (2003) 平成15年度春季応用物理学関係連合講演会講演要旨集,29p-YS-6, 2003 Proc. 20th Sensor Symp., pp241-244, Tokyo, 2003 Rev. Sci. Instrum., 60, 65(1989) Appl. Opt., 29, 959(1990)
しかし、測定光の振幅変調による並列同期検出のイメージング・エリプソメータへの応用はまだ実現されていない。光干渉顕微鏡などでは、測定信号の相対値に再現性があれば目的とする測定が十分行えるが、エリプソメータの場合、正確な偏光解析パラメータを測定するためには、測定信号に含まれる装置特性を厳密に校正することが必要である。単一の検出器を用いるエリプソメータの場合では、装置特性の校正を行うため、標準試料を用いた測定を行い、ロックインアンプなどで得られた特定の周波数成分から、装置特性に依存する信号成分を決定する方法が公知である(上記非特許文献2、3参照)。しかし、CCDを検出器に用いた並列同期検出によって、装置特性を校正するとともに測定を行い、正確な偏光解析パラメータを得る方法は知られていない。
また、上記非特許文献7〜9に開示された方法に関しては、素子は研究段階である上に、回路構成が複雑なために、原理的に素子数を大きくするには限界がある。
本発明は、上記課題を解決するために、光弾性位相変調子を用いて数10kHz〜数100kHzの周波数で測定光に変調をかけて測定を行い、また事前に求めた装置特性の校正値を用いることにより、試料表面の各点に対応する画像の各画素における偏光解析パラメータΨおよびΔを高精度且つ高速に決定することができる偏光変調型イメージング・エリプソメータを提供することを目的とする。
本発明の目的は、以下の手段によって達成される。
即ち、本発明に係る偏光変調型イメージング・エリプソメータ(1)は、
所定の周波数で振幅が周期的に変化する光を放射する光源部と、
試料を設置する試料設置部と、
コリメータ、偏光子、及び前記光源部からの光を変調し、該光のp偏光およびs偏光の位相差を正弦関数的に変化させて前記試料設置部に設置された試料の測定面に照射する光弾性位相変調子を有する入射光学部と、
前記試料を反射または透過した光の偏光状態を検出する検光子、及び該検光子からの光を電気信号に変換して出力する二次元検出器を有する射出光学部と、
前記光源部及び前記光弾性位相変調子を、数10kHz〜数100kHzの範囲内の同じ周波数で動作するように制御し、前記二次元検出器からの出力信号が入力される制御・解析部とを備え、
前記偏光子、前記光弾性位相変調子、前記試料及び前記検光子の配置が、前記偏光子、前記光弾性位相変調子、前記試料、前記検光子の順に光路上に配置されるPMSA型の配置であり、
前記光源部が、前記光弾性位相変調子の動作クロックに対して所定の時間遅れを有する測定光を逐次発生し、
前記制御・解析部が、前記二次元検出器で観測する前記試料表面の二次元画像の各画素における偏光解析パラメータΨ及びΔを、前記二次元検出器の出力信号を用いて、次の条件(1)〜(3)の下で、
(1)前記光弾性位相変調子を通過した光の、時間的に変化するp偏光およびs偏光の位相差の振幅強度をα、該振幅強度αを因数とするm次(mは0以上の整数)の第1種ベッセル関数をJ(α)、mが奇数次のJ(α)を含む因子をJS、及びmが偶数次のJ(α)を含む因子をJCで表す:
(2)前記検出器によって検出される光の強度の直流成分をIDC、正弦波成分の振幅強度をI、及び余弦波成分の振幅強度をIで表し、前記偏光子、前記光弾性位相変調子および前記検光子の方位角をそれぞれP、M、およびAとして、前記IDC、前記Iおよび前記Iが、
DC=(1−cos2Ψcos2A)
+cos2(P−M)cos2M(cos2A−cos2Ψ)
+sin2AcosΔcos2(P−M)sin2Ψsin2M
S=sin2(P−M)sin2Asin2ΨsinΔ
C=sin2(P−M)[(cos2Ψ−cos2A)sin2M
+sin2Acos2Msin2ΨcosΔ]
で表される:
(3)前記二次元検出器の出力信号の正弦波成分をS、余弦波成分をS、及び直流成分をSDCで表し、R=S/SDC、及びR=S/SDCとする:
前記光弾性位相変調子が理想的であるとき、
Figure 0004625908

に基づき計算し、
前記光弾性位相変調子が静的位相差δ0を有するとき、
Figure 0004625908

に基づき計算することを特徴としている。
また、本発明に係る偏光変調型イメージング・エリプソメータ(2)は、所定の周波数で振幅が周期的に変化する光を放射する光源部と、
試料を設置する試料設置部と、
コリメータ及び偏光子を有する入射光学部と、
前記試料を反射または透過した光を変調し、該光のp偏光およびs偏光の位相差を正弦関数的に変化させる光弾性位相変調子、該光弾性位相変調子を透過した光の偏光状態を検出する検光子、及び該検光子からの光を電気信号に変換して出力する二次元検出器を有する射出光学部と、
前記光源部及び前記光弾性位相変調子を、数10kHz〜数100kHzの範囲内の同じ周波数で動作するように制御し、前記二次元検出器からの出力信号が入力される制御・解析部とを備え、
前記偏光子、前記試料、前記光弾性位相変調子及び前記検光子の配置が、前記偏光子、前記試料、前記光弾性位相変調子、前記検光子の順に光路上に配置されるPSMA型の配置であり、
前記光源部が、前記光弾性位相変調子の動作クロックに対して所定の時間遅れを有する測定光を逐次発生し、
前記制御・解析部が、前記二次元検出器で観測する前記試料表面の二次元画像の各画素における偏光解析パラメータΨ及びΔを、前記二次元検出器の出力信号を用いて、次の条件(1)〜(3)の下で、
(1)前記光弾性位相変調子を通過した光の、時間的に変化するp偏光およびs偏光の位相差の振幅強度をα、該振幅強度αを因数とするm次(mは0以上の整数)の第1種ベッセル関数をJ(α)、mが奇数次のJ(α)を含む因子をJS、及びmが偶数次のJ(α)を含む因子をJCで表す:
(2)前記検出器によって検出される光の強度の直流成分をIDC、正弦波成分の振幅強度をI、及び余弦波成分の振幅強度をIで表し、前記偏光子、前記光弾性位相変調子および前記検光子の方位角をそれぞれP、M、およびAとして、前記IDC、前記Iおよび前記Iが、
DC=(1−cos2Ψcos2P)
+cos2(A−M)cos2M(cos2P−cos2Ψ)
+sin2PcosΔcos2(A−M)sin2Ψsin2M
S=sin2(A−M)sin2Psin2ΨsinΔ
C=sin2(A−M)[(cos2Ψ−cos2P)sin2M
+sin2Pcos2Msin2ΨcosΔ]
で表される:
(3)前記二次元検出器の出力信号の正弦波成分をS、余弦波成分をS、及び直流成分をSDCで表し、R=S/SDC、及びR=S/SDCとする:
前記光弾性位相変調子が理想的であるとき、
Figure 0004625908

に基づき計算し、
前記光弾性位相変調子が静的位相差δ0を有するとき、
Figure 0004625908

に基づき計算することを特徴としている。
また、本発明に係る偏光変調型イメージング・エリプソメータ(3)は、上記の偏光変調型イメージング・エリプソメータ(1)又は(2)において、前記光源部が、前記光弾性位相変調子の動作クロックに対して、ONの間隔1/4周期である矩形波であり、0、1/4、1/2、及び3/4周期の時間遅れを有する4種類の測定光を逐次発生し、
前記制御・解析部が、4種類の前記測定光の逐次発生によって得られる前記二次元検出器の出力信号を取得してそれぞれS、S、S、およびSとし、前記S、前記Sおよび前記SDCの値をそれぞれ
=S−S
=S−S+S−S
DC=S+S+S+S
によって求めることを特徴としている。
また、本発明に係る偏光変調型イメージング・エリプソメータ(4)は、上記の偏光変調型イメージング・エリプソメータ(1)又は(2)において、前記光源部が、前記光弾性位相変調子の動作クロックに対して、ONの間隔が1/2周期である矩形波であり、時間遅れをそれぞれ0および1/2周期とする2種類の測定光を逐次発生し、
前記制御・解析部が、2種類の前記測定光の逐次発生によって得られる前記二次元検出器の出力信号を取得してそれぞれSおよびSとし、前記S及び前記SDCの値を
=S−S
DC=S+S
によって求め、
前記光源部が、ONの間隔を1/4周期とする第1測定光と、この第1測定光と位相が逆でONの間隔を3/4周期とする第2測定光を逐次発生し、
前記制御・解析部が、前記第1測定光及び第2測定光の逐次発生によって得られる前記二次元検出器の出力信号を取得してそれぞれSおよびSとし、前記S及び前記SDCの値を
=(3S−S)/2
DC=S+S
によって求めることを特徴としている。
また、本発明に係る偏光変調型イメージング・エリプソメータ(5)は、上記の偏光変調型イメージング・エリプソメータ(1)又は(2)において、前記光源部が、前記光弾性位相変調子の動作クロックの周波数をfとし、角周波数をωとし、pを0以上3以下の何れかの整数値として、振幅Mが時間tの関数
(t)=4+2cos[ω(t+p/4f)−π/2]+2cos[2ω(t+p/4f)]
で表される4種類の測定光を逐次発生し、
前記制御・解析部が、4種類の前記測定光の逐次発生によって得られる前記二次元検出器の出力信号を取得して、前記pが0、1、2、及び3のそれぞれである場合の前記出力信号をS、S、S、およびSとし、前記S、前記Sおよび前記SDCの値をそれぞれ
=S−S
=S−S+S−S
DC=S+S+S+S
によって求めることを特徴としている。
また、本発明に係る偏光変調型イメージング・エリプソメータ(6)は、上記の偏光変調型イメージング・エリプソメータ(1)又は(2)において、前記光源部が、前記光弾性位相変調子の動作クロックの角周波数をωとし、pを0又は1として、振幅M1p、M2pが時間tの関数
1p(t)=2+2cos[ω(t+p/2f)−π/2] および
2p(t)=2+2cos[2ω(t+p/4f)]
で表される4種類の測定光を逐次発生し、
前記制御・解析部が、4種類の前記測定光の逐次発生によって得られる前記二次元検出器の出力信号を取得し、
前記pが0又は1の場合に前記M1pに対応する前記出力信号をそれぞれS10、S11とし、前記pが0又は1の場合に前記M2pに対応する前記出力信号をS20、S21として、前記S及びSの値を、SS=S10−S11、SC=S20−S21によって求め、前記SDCの値を、SDC=S10+S11、又はSDC=S20+S21によって求めることを特徴としている。
また、本発明に係る偏光変調型イメージング・エリプソメータ(7)は、上記の偏光変調型イメージング・エリプソメータ(1)〜(4)の何れかにおいて、前記偏光子、前記光弾性位相変調子および前記検光子の目盛り上の方位角をそれぞれP’、M’およびA’とし、
前記制御・解析部が、前記P、前記Mおよび前記Aを、
P=P’−P0
M=M’−M0
A=A’−A0
で表される式により校正し、
前記M0及び前記A0が、
偏光解析パラメータΨ及びΔの値が、30°<Ψ<60°または120°<Ψ<150°、かつ70°<Δ<110°である試料を用い、P’=45°と設定した場合に、前記Sと前記Sの前記光弾性位相変調子の開口部におけるそれぞれの平均値がどちらも0になるときの前記M’及び前記A’の値であり、
前記P0が、
偏光解析パラメータΨ及びΔの値が、30°<Ψ<60°または120°<Ψ<150°、かつ70°<Δ<110°である前記試料を用い、M’=0°+M0かつA’=45°+A0と設定した場合に、前記Sと前記Sの前記開口部におけるそれぞれの平均値がどちらも0になるときの前記P’の値であることを特徴としている。
また、本発明に係る偏光変調型イメージング・エリプソメータ(8)は、上記の偏光変調型イメージング・エリプソメータ(1)〜(7)の何れかにおいて、前記αが、J(α)=0となるときの値である137.8°であり、
このαの値より前記Jおよび前記Jを算出することを特徴としている。
また、本発明に係る偏光変調型イメージング・エリプソメータ(9)は、上記の偏光変調型イメージング・エリプソメータ(1)〜(8)の何れかにおいて、前記制御・解析部が、前記光弾性位相変調子が静的位相差δ0を有するとき、該光弾性位相変調子の振幅強度99%以上の開口径を直径とする円と同心であり、前記開口径の80%以下の直径の円形領域内を使用し、偏光解析パラメータΨ及びΔが既知である標準試料を用いて測定を行い、
前記制御・解析部が、既知の前記偏光解析パラメータΨ及びΔを代入して計算した前記IDC、前記Iおよび前記Iの値をIDC cal、I calおよびI calとし、前記標準試料を用いて測定された前記Rおよび前記Rの前記開口径を直径とする円形領域内におけるそれぞれの校正値の平均値を求めてRS cal,av及びRC cal,avとし、
Figure 0004625908

を用いて開口径内におけるδ0の平均値を求める処理を、測定を行う必要のある波長ごとに行うことを特徴としている。
また、本発明に係る偏光変調型イメージング・エリプソメータ(10)は、上記の偏光変調型イメージング・エリプソメータ(1)〜(9)の何れかにおいて、前記制御・解析部が、前記光弾性位相変調子の振幅強度99%以上の開口径を直径とする円と同心であり、前記開口径の80%以下の直径の円形領域内を使用して得られた測定結果を用い、振幅強度を前記円形領域内で均一と仮定して、前記偏光解析パラメータΨ及びΔの計算を行うことを特徴としている。
また、本発明に係る偏光変調型イメージング・エリプソメータ(11)は、上記の偏光変調型イメージング・エリプソメータ(1)〜(9)の何れかにおいて、偏光解析パラメータΨ及びΔが既知である標準試料の偏光解析パラメータΨ及びΔを代入して計算した前記IDC、前記Iおよび前記Iの値をIDC cal、I calおよびI calとし、該標準試料を用いて測定された前記Rおよび前記Rの値をRS cal及びRC calとするとき、前記制御・解析部が、異なる偏光解析パラメータΨ及びΔを有する少なくとも2種類の標準試料を用いて測定を行い、
前記制御・解析部が、
前記光弾性位相変調子が理想的であるとき、
Figure 0004625908

又は、前記光弾性位相変調子が静的位相差δ0を有するとき、
Figure 0004625908

の形式で与えられる2種類の式を少なくとも2通り求め、
これら少なくとも計4個の式から前記J(α)の値を決定し、
前記αと前記J(α)の関係をあらかじめ計算で求めておいた対応表であるルックアップテーブルによって、前記光弾性位相変調子の開口内の各点において、振幅強度αを決定することを特徴としている。
また、本発明に係る偏光変調型イメージング・エリプソメータ(12)は、上記の偏光変調型イメージング・エリプソメータ(11)において、前記制御・解析部が、
前記光弾性位相変調子が正八角形にカットされた素子板である場合、中心の位置を(x、y)、中心でのαの値をα、α=0となる中心からの距離をrとし、前記開口内の各点において測定した前記振幅強度αを用い、
Figure 0004625908
で表される式に対してフィッティングを行い、3個の未知パラメータx、y、rを決定し、
前記光弾性位相変調子が矩形の素子板である場合、短軸方向の中心の高さをy、中心でのαの値をα、α=0となる中心からの距離をrとし、前記開口内の各点において振幅強度αを測定し、異なる高さy毎に横方向の位置xが異なる値を平均した前記振幅強度αを用いて、
Figure 0004625908
で表される式に対してフィッティングを行い、2個の未知パラメータy、rを決定し、
前記開口内の各点における振幅強度αの校正値を決定することを特徴としている。
また、本発明に係る偏光変調型イメージング・エリプソメータ(13)は、上記の偏光変調型イメージング・エリプソメータ(1)〜(10)及び(12)のうちの何れかにおいて、前記光源部が、前記光弾性位相変調子の動作クロックに対して、ONの間隔を1/4周期とし、時間遅れをそれぞれ1/4および3/4周期とする2種類の測定光を逐次発生し、
前記制御・解析部が、時間遅れを1/4および3/4周期とする2種類の前記測定光の逐次発生によって得られる前記二次元検出器の出力信号を取得してそれぞれSおよびSとし、前記Sの値を
=S−S
によって求め、これをSS1とし、
前記光源部が、ONの間隔を1/2周期とし、時間遅れをそれぞれ0および1/2周期とする2種類の測定光を逐次発生し、
前記制御・解析部が、時間遅れを0および1/2周期とする2種類の前記測定光の逐次発生によって得られる前記二次元検出器の出力信号を取得してそれぞれSおよびSとし、前記Sの値を
=S−S
によって求め、これをSS2とし、
前記制御・解析部が、これら2種類の正弦波成分値SS1及びSS2の比であるS S1 /S S2 の実測値を求め、
Figure 0004625908

で表される関係式を用いて、あらかじめ計算で求めておいた対応表であるルックアップテーブルによって前記J、前記Jおよび前記J(α)を決定することを特徴としている。
また、本発明に係る偏光変調型イメージング・エリプソメータ(14)は、上記の偏光変調型イメージング・エリプソメータ(1)〜(10)及び(12)のうちの何れかにおいて、前記光源部が、前記光弾性位相変調子の動作クロックの角周波数をωとし、pを0又は1として、振幅M3pが時間tの関数
3p(t)=2+2cos[3ω(t+p/6f)−π/2]
で表される2種類の測定光をさらに逐次発生し、
前記制御・解析部が、4種類の前記測定光の逐次発生によって得られる前記二次元検出器の出力信号を取得し、
前記pが0又は1の場合に前記M3pに対応する前記出力信号をそれぞれS30、S31として、S S3 をS S3 =S30−S31により求め、
前記SsをS S1 として、
前記制御・解析部が、これら2種類の正弦波成分値S S1 及びS S3 の比であるS S1 /S S3 の実測値を求め、
S1 /S S3 =J1(α)/J3(α)
で表される関係式を用いて、あらかじめ計算で求めておいた対応表であるルックアップテーブルによって前記J、前記Jおよび前記J(α)を決定することを特徴としている。
また、本発明に係る偏光変調型イメージング・エリプソメータ(15)は、上記の偏光変調型イメージング・エリプソメータ(1)〜(14)の何れかにおいて、前記光源部が、連続的に光を放射する光源と、該光源から入射される光を所定周波数で変調し、透過光として出力する振幅変調素子とをさらに備えることを特徴としている。
また、本発明に係る偏光変調型イメージング・エリプソメータ(16)は、上記の偏光変調型イメージング・エリプソメータ(15)において、前記振幅変調素子が音響光学素子又は電気光学素子又は液晶フィルタであることを特徴としている。
また、本発明に係る偏光変調型イメージング・エリプソメータ(17)は、上記の偏光変調型イメージング・エリプソメータ(15)又は(16)において、前記光源が白色光源であり、
該白色光源から入射される光を分光し、所定の波長の光を前記振幅変調素子に入力するモノクロメータまたは狭帯域フィルタをさらに備えることを特徴としている。
また、本発明に係る偏光変調型イメージング・エリプソメータ(18)は、上記の偏光変調型イメージング・エリプソメータ(1)〜(14)の何れかにおいて、前記光源部が、発光ダイオードまたはダイオードレーザーと、出力電圧を周期的に変化させることができる電源とを備え、
前記電源が前記発光ダイオードまたはダイオードレーザーを所定の周波数で駆動することを特徴としている。
また、本発明に係る偏光変調型イメージング・エリプソメータ(19)は、上記の偏光変調型イメージング・エリプソメータ(1)〜(18)の何れかにおいて、前記二次元検出器が、CCDセンサまたはCMOSイメージセンサを用いた撮像素子であることを特徴としている。
本発明に係る偏光変調型イメージング・エリプソメータによれば、偏光解析パラメータを二次元的に、かつ迅速に計測することが可能であり、計測値を解析することによって、薄膜試料の厚さや光学的性質を二次元画像として得ることができる。また、解析結果を基に、定性的な二次元画像に限らず、定量的な二次元画像を得ることもできる。
また、測定光の波長を自由に選ぶことができる構成とした場合、薄膜試料が複数の層からなるとき、波長を変化させることによって得た複数の偏光解析パラメータを用いて、それぞれの層の屈折率及び膜厚を同時に決定することができる。
また、本発明に係る偏光変調型イメージング・エリプソメータによれば、Δが−180〜180゜の広い範囲で、且つ高い精度で測定することができる。
また、射出光学部に倍率が数10程度の対物レンズを追加することにより、試料表面の数100μm角程度の範囲を拡大し、サブμm程度の分解能で微細なパターンの光学的性質や膜厚を観測することが可能である。
また、光源部からの光を直接入射光学部に導くことができるが、光ファイバを用いると、構成を単純化することができ迷光の影響を抑制することが可能である。
以下、本発明の実施の形態に関して説明するが、まず理論的説明を行った後、具体的な偏光変調型イメージング・エリプソメータについて説明する。
(1)偏光変調法の原理
偏光変調型エリプソメータは、PCSA型またはPSCA型配置において、補償子Cの代わりに、透過する光の位相を時刻とともに変化させる光弾性位相変調子(以下、位相変調子と略記する)を用いる。単一の検出器で測定した出力信号を、位相変調子の動作に同期させたロックインアンプなどを用いて処理することにより、基本波成分、第二高調波成分などを抽出し、それらの振幅強度から偏光解析パラメータであるΨおよびΔを決定できる。
図1は、偏光子P、位相変調子M、試料S、検光子Aの順に配置したPMSA型のエリプソメータの構成を示すブロック図である。Lは光源、Dは検出器を表す。図1の構成を用いた場合、検出器Dによって検出される光強度I(t)は次式で表される。
I(t)=I{IDC+ISsin[δ(t)]+ICcos[δ(t)]} (3)
ここで、tは時間、Iは試料の反射率または透過率、および光学素子の透過率に依存する係数、δ(t)は位相差である。
なお、試料Sの偏光解析パラメータのΨおよびΔ、ならびに偏光子P、位相変調子Mおよび検光子Aのそれぞれの方位角P、MおよびAは、いずれも−180°〜180°で定義する。ただし、差の絶対値が180°である2つの角度における偏光解析パラメータは、三角関数の性質より、値が等しく符号が逆の関係にある。そのため、以下では上記の角度が0°〜180°の範囲にある場合について説明するが、−180°〜0°の範囲の場合にも容易に適用できることは言うまでもない。
また、IDC、IS、およびICはそれぞれ光強度の直流成分、正弦波成分の振幅強度、および余弦波成分の振幅強度であり、次式(4a)〜(4c)で表される。
DC=(1−cos2Ψcos2A)
+cos2(P−M)cos2M(cos2A−cos2Ψ)
+sin2AcosΔcos2(P−M)sin2Ψsin2M (4a)
S=sin2(P−M)sin2Asin2ΨsinΔ (4b)
C=sin2(P−M)[(cos2Ψ−cos2A)sin2M
+sin2Acos2Msin2ΨcosΔ] (4c)
なお、光源Lと検出器Dとの間に、偏光子P、試料S、位相変調子M、検光子Aの順に配置したPSMA型の構成も用いることができ、その場合、検出器によって検出される光強度は式(4a)〜(4c)においてPとAとを入れ替えた式、及び式(3)によって表される。以下では、簡単のため、PMSA型の場合についてのみ説明するが、この関係を用いることによりPSMA型の場合にも適用される。
偏光変調法による測定において、位相変調子M、偏光子Pおよび検光子Aの方位角は、予想される試料の偏光特性に適合して最も高精度が得られるように設定する。位相変調子Mの方位角は、通常、0°、または45°または90°の倍数となるように設定する。これにより、IDC、IS、およびICを表す式の形が簡単になり、解析が容易になる。一方、偏光子Pと検光子Aの方位角は試料によっては中間的な値が最適となる場合がある。
M=0°、90°、180°の場合、
Figure 0004625908

ここで、(±)は、方位角Mが0°および180°の場合は“+1”、90°の場合は“−1”である。
M=45°、135°の場合、
Figure 0004625908

ここで、(±)は、方位角Mが45°の場合は“1”、135°の場合は“1”である。
位相変調子Mを透過した光は、p偏光とs偏光の位相差が時間的に変化する。いま、この変化が時間の純粋な正弦関数、即ち次式で表されるとする。
δ(t)=αsinωt (7)
ここで、ωは角周波数である。また、最大位相差を表す振幅強度αは位相変調子Mの駆動電圧と光の波長の関数である。このとき、式(3)に含まれるδ(t)の余弦および正弦関数はベッセル関数を含む無限級数で、それぞれ次式(8)、(9)のように展開できる。
Figure 0004625908
ここで、J(α)はαを数とするm次の第1種ベッセル関数である。式(8)および(9)を式(3)に代入すると、次式が得られる。
Figure 0004625908
単一の検出器を用いた通常の測定では、位相変調子の振動に同期させたロックインアンプなどを用いて、式(10)で表される検出器の出力信号から直流成分、基本波成分、第二高調波成分などを抽出し、それらの大きさから偏光解析パラメータであるΨおよびΔを決定できる。
(2)偏光変調型イメージング・エリプソメータにおける並列同期検出法
前述のように、CCDを検出器に用いる場合、位相変調子の動作と同じ周波数で、試料に照射する測定光を断続することにより、信号からΨおよびΔを含む項を抽出し、単一検出器の場合と同様にロックイン検出を実現することができる。
1)基本原理
前記の通り、位相変調子を透過した光はp偏光とs偏光の位相差が時間的に変化する光となり、その強度は式(10)のように表される。これはベッセル関数を含む因子を係数とするフーリエ級数とみなすことができ、次式(11)のように書き直すことができる。
Figure 0004625908
ここで、a0=I0[IDC+IC0(α)]、mが1以上の奇数のときam=I0Sm(α)およびφm=−π/2、mが2以上の偶数のときam=I0Cm(α)およびφm=0である。
この時、被測定信号と基本周波数が同じフーリエ級数からなる、次式(12)で表される変調信号によって測定光に振幅変調を施す。
Figure 0004625908
ここで振幅変調を行う際、変調信号の位相を基本周期の2の倍数分の1ずつ1周期にわたって変化させる。これによって、検出器に到達する光信号IM(t)は、元の信号I(t)と上記位相差を有する変調信号M(t+p/2Pf)の積として次式(13)で表される。
M(t)=I(t)M(t+p/2Pf) (13)
ここで、大文字のPは整数であり、また、小文字のpは0から2P−1までの整数、fは周波数である。異なる位相差に対応する2P種類の変調を受けた信号IM(t)は、逐次CCDに電荷として蓄積され、出力信号として読み出される。CCDの蓄積時間は位相変調子の動作よりも十分に長いので、この出力信号は信号IM(t)を上記蓄積時間にわたって積分した値に等しい。したがって、次式(14)で表されるCCDの出力信号Spが得られる。
Figure 0004625908
ここで、T0は位相変調子の基本周期、KはCCDの蓄積時間内における周期数である。
式(14)で表される検出器の出力信号を用いて、測定光に含まれる直流成分、正弦波成分、および余弦波成分を抽出し、それらの大きさから偏光解析パラメータであるΨおよびΔを決定できる。
2)測定光の断続による検出法1
まず、位相変調子の動作と同じ周波数で試料に照射する測定光を断続することにより、測定光に前記振幅変調を施し、偏光解析パラメータ(Ψ、Δ)を求める方法に関して説明する。図2の下段に示したように、ONの間隔を1/4周期(デューティ比25%)として測定光の断続を行う。図2の上段には、測定光のON、OFFに伴う出力信号波形を示す。この操作は位相変調子Mを透過した信号光を次式で表わされる矩形波M(t)で変調することと等価である。
Figure 0004625908
このとき図3に示したように、測定光の断続に、位相変調子Mの動作クロックに対し、0、1/4、1/2、および3/4周期の4種類の時間遅れを設ける。すなわち、検出器Dに入射する測定光I(t)は、これらの位相差を有する矩形波M(t+p/4f)によって、次式のように逐次変調を受ける。
(t)=I(t)M(t+p/4f) (16)
ここで、pは0から3までの整数、fは周波数である。異なる位相差に対応する4種類の変調を受けた測定光I(t)は、逐次CCDに電荷として蓄積され、出力信号として読み出される。CCDの蓄積サイクルは位相変調子の動作よりも十分に長いので、この出力信号はI(t)の時間平均に等しい。したがって、次式で表されるCCDの出力信号S(p=0、1、2、3)が得られる。
Figure 0004625908
ΨおよびΔを含む項を抽出するために、これら出力信号の線形結合を計算すると、次式(18)〜(20)の結果を得る。
=S−S=KT (18)
=S−S+S−S=KT (19)
DC=S+S+S+S=KT[IDC+I(α)] (20)
ここで、S、S、およびSDCはそれぞれCCDの出力信号の正弦波成分、余弦波成分、および直流成分と考えることができる。また、J、Jは、それぞれ次式(21)、(22)で定義する。
Figure 0004625908
従って、以上の式(18)〜(22)を用いて、次式(23)、(24)のように、CCDの蓄積時間KT0、ならびに試料Sの反射率または透過率、および光学素子の透過率に関係する係数Iを消去した式を得ることができる。
Figure 0004625908
これらの式(23)、(24)は、位相変調子Mの振幅強度であるαを数とする0次のベッセル関数および1次以上のベッセル関数を含む無限級数を含んでいるが、後述するように、これらを校正することができる。IDC、IS、およびICは式(4)〜(6)で表されるように、偏光解析パラメータであるΨおよびΔの関数である。したがって、2個の未知数を含む連立方程式が成立し、これを解くことによりΨおよびΔを決定することができる。このように、位相変調子の動作に同期して測定光を断続させることにより、CCDの出力信号から偏光解析パラメータであるΨおよびΔを決定できる。
3)測定光の断続による検出法2
前記と同様に測定光の断続によって測定光に前記振幅変調を施し、正弦波・余弦波成分を検出するが、前記のように一括して検出するのではなく、個別に検出したあとデータを統合することにより、偏光解析パラメータ(Ψ、Δ)を求める方法に関して説明する。
まず正弦波成分を検出するため、ONの間隔を1/2周期(デューティ比50%)として測定光の断続を行う。この場合、変調光は次式(25)で表わされる。
Figure 0004625908
測定光の断続において、位相変調子Mの動作クロックに対し、0および1/2周期の2種類の時間遅れを設けると、検出器に入射する測定光I(t)は次式で表される。
(t)=I(t)M(t+p/2f) (26)
ここで、pは0または1である。異なる位相差に対応する2種類の変調を受けた測定光I(t)に応じた電荷は、交互にCCDに蓄積され、出力信号として読み出され、次式で表されるCCDの出力信号S(p=0、1)が得られる。
Figure 0004625908
出力信号の線形結合は次式(28)、(29)のようになる。
=S−S=KT (28)
DC=S+S=KT[IDC+I(α)] (29)
ここで、Jを次式で定義する。
Figure 0004625908
したがって、式(28)〜(30)から次式を得ることができる。
Figure 0004625908
次に余弦波成分を検出するため、ONの間隔を1/4周期とする測定光と、それと位相が逆でONの間隔を3/4周期とする測定光を逐次発生することにより測定を行う。すなわち、ONの間隔を1/4周期(デューティ比25%)とする場合の変調光は式(15)で表わされ、それと位相が逆でONの間隔を3/4周期(デューティ比75%)とする場合の変調光は次式で表わされる。
Figure 0004625908
前記デューティ比25%および75%の変調光をそれぞれM(t)およびM(t)とおくと、検出器に入射する測定光I(t)は次式で表される。
(t)=I(t)M(t) (33)
ここで、pは0または1である。異なるデューティ比に対応する2種類の変調を受けた測定光I(t)に応じた電荷は、交互にCCDに蓄積され、出力信号として読み出され、次式で表されるCCDの出力信号SおよびSが得られる。
Figure 0004625908
出力信号の線形結合は次式(36)、(37)のようになる。
=(3S−S)/2=KT (36)
DC=S+S=KT[IDC+I(α)] (37)
ここで、Jを次式で定義する。
Figure 0004625908
したがって、式(28)〜(30)から次式を得ることができる。
Figure 0004625908
このようにして、CCDの出力信号の正弦波成分および余弦波成分を個別に検出することにより、それぞれに対応する値であるRおよびRが式(31)および式(39)として求められた。これらの式は、前記正弦波・余弦波成分の一括検出で導かれた式(23)および(24)と、同形である。したがって、これらの式よりΨおよびΔを決定することができる。また、異なる測定光の組み合わせによって、正弦波成分および余弦波成分は個別に検出されるが、これらを繰り返し連続で行うことにより、正弦波成分および余弦波成分の両方を同時にリアルタイムで測定できる。
また、正弦波または余弦波成分のどちらか一方の測定を連続して行うことも有効である。試料SのΨおよびΔのどちらか一方が既知であるとき、他方のパラメータを式(31)または式(39)を用いて求めることができる。また、試料SのΨおよびΔのどちらか一方を一定とみなすことができるとき、他方のパラメータの相対的な変化を式(31)または式(39)を用いて求めることができる。この方法によれば測定に用いる光は2種類であるため、正弦波・余弦波成分を一括して検出する4種類の光を用いる場合に比べて、2倍の速度で測定を行うことができる。
4)アナログ信号を用いた測定光の振幅変調による検出法
位相変調子の動作と同じ基本周波数を有するアナログ信号を用い、試料に照射する測定光を振幅変調することにより、測定光の断続を行う場合と同様に、CCDの出力信号からΨおよびΔを含む項を抽出し、単一検出器の場合と同様にロックイン検出を実現することができる。
この場合、被測定信号と基本周波数が同じで、高調波の最大次数がQであるフーリエ級数からなる、次式(40)で表される変調信号を用いる。
Figure 0004625908

この振幅変調は、透過率を高速で変化させることができる液晶フィルタを用い、測定光の強度を変化させることにより実現することができる。また、発光ダイオードまたはダイオード・レーザーを光源とし、これをアナログ信号で駆動することによっても実現することができる。
ここで振幅変調を行う際、変調信号の位相を基本周期の2の倍数分の1ずつ1周期にわたって変化させる。これによって、検出器に到達する光信号IM(t)は、元の信号I(t)と上記位相差を有する変調信号M(t+p/2Pf)の積として次式(41)で表される。
M(t)=I(t)M(t+p/2Pf) (41)
ここで、大文字のPは整数であり、変調信号に含まれる最高高調波の次数Qと等しいかまたはそれよりも大きくなければならない。また、小文字のpは0から2P−1までの整数、fは周波数である。異なる位相差に対応する2P種類の変調を受けた信号IM(t)は、逐次CCDに電荷として蓄積され、出力信号として読み出される。CCDの蓄積時間は位相変調子の動作よりも十分に長いので、この出力信号は信号IM(t)を上記蓄積時間にわたって積分した値に等しい。したがって、次式(42)で表されるCCDの出力信号Spが得られる。
Figure 0004625908
なお、出力信号に含まれる最高高調波の次数は、変調信号に含まれる最高高調波に等しい。これは周波数の異なる正弦波同士の積が積分により0となり、元の信号に含まれていた高次の高調波成分が除去されるためである。さらに、シャノンの標本化定理によれば、目的の信号に含まれる最高高調波の次数をQとし、PをQと等しいかそれより大なる整数とするとき、基本波の1周期にわたり等間隔で2P個以上の信号値を採取することにより、その信号を完全に再現することができる。したがって、位相が基本周期の1周期にわたって等間隔でシフトした変調信号に基づく2P種類の上記出力信号Spから、信号IM(t)に含まれる直流成分の強度、基本波の強度及び位相、並びに全ての高調波の強度及び位相を求めることができる。すなわち、式(43)及び式(44)に示す離散的フーリエ変換を行えば良い。
Figure 0004625908
計算の結果は次のようになる。
r=0 X0=a000=0 (45)
r<P Xr=arrcos(φr−Ψr) Yr=arrsin(φr−Ψr) (46)
r=P XP=2aPPcos(φr−Ψr) YP=0 (47)
位相変調子を透過した光は、式(11)で表すように高次の高調波を含んでいるが、位相は、基本波および奇数次の高調波の場合は−π/2、偶数次の高調波の場合は0と、一定である。また、偏光解析パラメータを求める目的では、直流成分、基本波および第2高調波の成分の強度を求めることができれば十分である。そのため、目的の信号に含まれる最高高調波の次数と等しいかそれより大なる整数をPとするとき、位相をシフトさせた2P種類以上の変調信号を用いて測定を行い、離散的フーリエ変換を用いて数値処理を行う上記の手法は、以下に示すように簡略化される。
まず、変調信号として次式で示す位相変調子と同一の基本周波数を有する基本波および第2高調波を合成した信号を用いる場合の例を示す。具体的には位相を基本波の4分の1波長ずつ遅らせた次式(48)で示す計4種類を用いる。
(t)=4+2cos[ω(t+p/4f)−π/2]+2cos[2ω(t+p/4f)] (48)
ここで、pは0から3までの整数である。その結果、CCDの出力信号Spは次式(49
)のようになる。
pKT00+2KT0[a1cos(πp/2)+a2cos(πp)] (49)
偏光解析パラメータを求めるため、これら出力信号の線形結合を計算すると、次式(50)〜(52)の結果を得る。
S=S0−S2=4KT01=4KT00S1(α) (50)
C=S0−S1+S2−S3=8KT02=8KT00C2(α) (51)
DC=S0+S1+S2+S316KT0016KT00[IDC+IC0(α)] (52)
ここで、SS、SC、およびSDCはそれぞれCCDの出力信号の正弦波成分、余弦波成分、および直流成分である。これらの式は、CCDの蓄積時間KT0を含む前置因子を除けば、単一の検出器を用いて測定を行い、ロックインアンプなどを用いて検出・データ処理した場合と同じである。したがって、周知の方法により、上記で表される直流成分、基本波成分および第2高調波成分から偏光解析パラメータであるΨおよびΔを決定できる。
ここで、 1 (α)=4J S および 2 (α)=2J C とおけば、上式は次のように変形される。
S16KT00S (53)
C16KT00C (54)
DC16KT00[IDC+IC0(α)] (55)
これらの式は、測定光を断続することにより振幅変調を施した場合と、前置因子が16倍となっている点を除けば同一である。さらに、前置因子、および試料Sの反射率または透過率、および光学素子の透過率に関係する係数I0を消去した次式(56)および(57)を得ることができる。
Figure 0004625908

一方、変調信号として位相変調子と同一の基本周波数を有する基本波と第2高調波に基づき、それぞれ位相を分の1波長遅らせた次式で示す計4種類の信号を用いることもできる。
1p(t)=2+2cos[ω(t+p/2f)−π/2] (58)
2p(t)=2+2cos[2ω(t+p/4f)] (59)
ここで、pは0または1である。その結果、CCDの出力信号Spは次のようになる。
1pKT00+2KT01cos(πp) (60)
2pKT00+2KT02cos(πp) (61)
偏光解析パラメータを求めるため、これら出力信号の線形結合を計算すると、次式(62)〜(65)の結果を得る。
S=S10−S11=4KT01=4KT00S1(α) (62)
DC=S10+S11KT00KT00[IDC+IC0(α)] (63)
C=S20 21=4KT02=4KT00C2(α) (64)
DC=S20+S21KT00KT00[IDC+IC0(α)] (65)
ここで、SS、SC、およびSDCはそれぞれCCDの出力信号の正弦波成分、余弦波成分、および直流成分であり、上記の場合と同様に、CCDの蓄積時間KT0を含む前置因子を除けば、単一の検出器およびロックインアンプなどを用いて測定・データ処理した場合と同一である。また、JS =J 1(α)およびJC =J 2(α)とおけば、上式は次のように変形される。
SKT00S (66)
CKT00C (67)
DCKT00[IDC+IC0(α)] (68)
さらに、上記の場合と同様に、式(56)および(57)を得ることができる。
5)位相変調子の静的位相差の影響
以上では、位相変調子Mによって引き起こされる測定光の位相差は式(7)に示したように純粋な正弦関数によって表されると仮定してきた。しかしながら、位相変調子は印加電圧を与えないときにも透過光にわずかな位相差(静的位相差)δを引き起こす場合がある。このような位相変調子を用いる場合、測定光の位相差は印加電圧がある時、次式のように表される。
δ(t)=αsinωt+δ (69)
式(3)および(7)に含まれるδ(t)の正弦および余弦関数は、δ<<1よりcosδ≒1を用いると、次式(70)、(71)のように変形される。
sin[δ(t)]=sin(αsinωt+δ)
=sin(αsinωt)+cos(αsinωt)sinδ (70)
cos[δ(t)]=cos(αsinωt+δ)
=cos(αsinωt)−sin(αsinωt)sinδ (71)
したがって、検出器における光強度は一般に次式のようになる。
I(t)=I{IDC+(I−Isinδ)sin(αsinωt)
+(I+Isinδ)cos(αsinωt)} (72)
並列同期検出法によって正弦波・余弦波成分の検出を行うため、上記したのと同様に、位相変調子Mと同一の基本周波数を有する矩形波、または正弦波とその高調波の合成波を用い、位相変調子Mの動作クロックに対し所定の時間遅れを設けて逐次変調を加え、それぞれに対応するCCDの出力信号を計算処理することにより、CCDの出力信号の正弦波成分S、余弦波成分S、および直流成分SDCが次のように求められる。
=A(I−Isinδ)J (73)
=A(I+Isinδ)J (74)
DC=S+S=ADC[IDC+(I+Isinδ)J(α)] (75)
ここで、A、A、およびADCは前置因子であり、CCDの蓄積時間KT0と上記したそれぞれの手法によって異なる所定の整数との積である。こうして、式(23)、(24)、または式(31)、(39)に対応して、次式(76)、(77)を得ることができる。
Figure 0004625908
(3)偏光変調型イメージング・エリプソメータにおける装置特性の校正
1) 校正上の留意点
ロックインアンプなどを用いて単一検出器からの信号を解析する場合に類似して、検出器にCCDを用いる場合でも、その出力信号から正弦波成分、余弦波成分、および直流成分をリアルタイムで抽出することができ、さらにそれらの比をとることにより、装置の特性に起因する因子をある程度消去することができる。しかしながら、これらの式にはまだ位相変調子の振幅強度を因数とする0次ベッセル関数、1次以上のベッセル関数を含む無限級数因子、位相変調子の静的位相差が含まれている。試料の有する偏光解析パラメータをリアルタイムで測定するためには、試料を用いた測定を行う前にこれらの因子を校正する必要がある。
上記は、位相変調子の特性に関わる、偏光変調型エリプソメータに固有の問題であるが、他の型式のエリプソメータと共通する問題がある。すなわち、光学素子の方位と光学素子を保持するホルダーに記された目盛りの不一致に起因する、光学素子の方位角の誤差である。単一検出器を用いる偏光変調型エリプソメータでは、これらの校正方法は確立されている(上記非特許文献2、3参照)。一方、市販の光学測定用偏光子の消光比は通常非常に大きく、偏光子および検光子の特性は理想的とみなしてよい。なお、エリプソメータで特性の不完全さが問題になる光学素子は補償子であるが、偏光変調型エリプソメータでは通常これを用いない。
一定の面積を有する平行光が試料に照射され、試料表面各点から反射または透過した光が2次元データの各画素に相当するCCDの微小センサ(2次元配列された各フォトダイオード)によって検出される。位相変調子Mは一定の面積を有する開口部を有しており、一般にその特性は開口部全体に均一ではない。特に、位相変調子Mの振幅強度については、中央部における値からのずれは、開口部の中心からの距離にしたがって大きくなることが知られている。
位相変調子の専門メーカーである米ハインズ社のデータに拠れば、有効開口径が16mmの素子で、振幅強度90%以上の開口径は16mmであり、99%以上の開口径は9mmとされている。したがって、9mm以下の開口径を測定に使用する場合、観測範囲における振幅強度はほぼ一定と考えてよいが、これよりも大きい開口径を測定に使用する場合、開口部の各点に対応するCCDの微小センサからの出力信号について、それぞれ前記因子の校正を行う必要がある。
装置特性の校正は、一般に、光学系を回転させて入射光学部と射出光学部とを直線状に配置した直線型配置(入射角90°)によって行う。そのため、実際の測定と校正との間で、入射角が大きく変化する。また、試料の配置が反射型である場合、位相変調子を透過した測定光は試料表面で反射する際に左右が反転する。しかしながら、試料表面が巨視的に平坦であれば、上記左右の反転を除き、測定光の断面の形状は反射の前後で変化しない。そのため、測定光が反射する試料表面の位置を一定に保つことにより、実際の測定と校正との間で、位相変調子の開口部内の位置とCCDの測定面の位置との対応関係をほぼ一定とすることができる。
校正の際に用いる標準試料は、その偏光解析パラメータが安定かつ試料面内でほぼ一様である。そのため、実際の測定と校正との間で、位相変調子の開口部内の位置とCCDの測定面の位置との対応関係がほぼ一定であれば、2次元データの各画素において、校正実験で得られた値を用いて測定値の校正を行うことができる。
また、位相変調子の振幅強度を数とする0次ベッセル関数、1次以上のベッセル関数を含む無限級数因子、位相変調子の静的位相差は、位相変調子M、偏光子Pおよび検光子Aといった光学素子の定数や設定値とは理論上無関係である。したがって、校正と実際の測定において、これらの光学素子の設定は異なっていても良い。前記のように、偏光子Pと検光子Aの方位角は中間的な値を用いる場合があるが、校正においては解析を容易にするため、偏光子Pと検光子Aの方位角も0°、または45°または90°の倍数としたほうが良い。
なお、エリプソメータに特有の装置特性の校正を行う前に、まず光学系を構成するすべての要素の位置の校正、すなわち、光源からの光束の中心が光学系を構成するコリメータ、偏光子、位相変調子および検光子の中心を通るように調節を行うことは言うまでもない。
2)光学素子の方位角の校正
偏光変調型イメージング・エリプソメータにおいて方位角設定の誤差を校正する方法について説明する。この方法は、静的位相差のない理想的な位相変調子の場合にも、静的位相差を有する位相変調子の場合にも適用できる。
偏光子、位相変調子および検光子の真の方位角をそれぞれP、MおよびAとし、素子のホルダーに記された目盛り上の方位角の表示値をP’、M’およびA’とする。素子方位角の校正を実施するため、偏光解析パラメータが〔Ψ、Δ〕=〔45°(135°)、90°〕にできるだけ近い試料を用いる。ただし、正確な値は不明でよく、30°<Ψ<60°または120°<Ψ<150°、かつ70°<Δ<110°であればよく、40°<Ψ<50°または130°<Ψ<140°、かつ80°<Δ<100°であればさらに好ましい。
まず、M=0°とA=0°の校正を行うため、P’=45°と設定する。CCDの出力信号の正弦波成分Sと余弦波成分Sの開口部におけるそれぞれの平均値がどちらも0になるように、M’とA’を繰り返し調節する。次に、P=0°の校正を行うため、M’=0°+M0かつA’=45°+A0と設定し、CCDの出力信号の正弦波成分Sと余弦波成分Sの開口部におけるそれぞれの平均値がどちらも0になるように、P’を調節する。
静的位相差δを有する位相変調子の場合、Sは式(73)で表され、光強度の正弦波成分I〔式(4b)〕に対し0次依存(すなわち、直接の)関係にあり、余弦波成分I〔式(4c)〕に対し1次依存(すなわち、δを係数とする比例)関係にある。一方、Sは式(74)で表され、IおよびIに対しそれぞれ0次および1次の依存関係にある。そのため、上記のように、MとAの調節は同時に繰り返し行う必要があり、しかもSおよびSを0にする調節を同時に繰り返し行うことにより、度の高い校正が可能である。
一方、静的位相差のない理想的な位相変調子の場合、Sが式(18)または(28)で、Sが式(19)または(36)で表され、それぞれIおよびIに対し個別の0次依存関係にあるため、どちらも独立に調節することができる。
こうして、偏光子、位相変調子および検光子の真の方位角はそれぞれ次のように表される。
P=P’−P0 (78a)
M=M’−M0 (78b)
A=A’−A0 (78c)
ここで、P0、M0およびA0は、上記の校正で求められた、それぞれの素子の真の方位角0°における表示値である。
3)位相変調子の振幅強度の設定と静的位相差の校正
位相変調子Mの振幅強度αは駆動電圧と光の波長の関数であるが、市販の位相変調子では、この関係があらかじめ求められており、振幅強度と波長を入力すると、適切な駆動電圧が自動的に設定されるのが一般的である。この時、α=137.8°と設定すると、0次ベッセル関数の値は、J(α)=0となる。1次以上のベッセル関数や、前記JおよびJがベッセル関数を含む無限級数因子である場合も、これらをαの値を用いて容易に算出できる。なお、0次ベッセル関数の値を上記のように調整すると、並列同期検出法によって求められる正弦波成分、余弦波成分、および直流成分の間のクロストークをある程度抑制することができるため、度を向上させることができる。
静的位相差δを有する位相変調子の場合、これを校正する必要がある。そのため、市販の位相変調子には振幅強度99%以上の開口径φが記載されているが、ここでは、使用する開口径をφの80%程度以下とし、開口径φの円形領域と同心の円形領域を使用する。使用する開口径を十分小さくしているので、J(α)、JおよびJの値は開口径全体にわたって均一である。次に、位相変調子Mと検光子Aの間に標準試料SとしてΨおよびΔのわかった試料を用いて測定を行う。上記の式(76)および(77)は前記の関係J(α)=0により次のように簡略化される。
Figure 0004625908

ここで、R、R、IDC、IS、およびICの上付き添え字calは校正値であることを表し、R、Rの上付き添え字avは開口径全体の平均値であることを表す。上記の通り、前記JおよびJは設定した振幅強度αから算出できるので、標準試料Sを用いて測定を行い、式(79)または(80)を用いることにより静的位相差δを決定することができる。静的位相差δは開口径内で均一と考えてよく、校正値として開口径内における平均値を用いるのが妥当である。また、複数の波長で測定を行う必要のある場合には、その波長ごとに上記校正を行う。
ここで、よく用いられる標準試料とその場合のIDC、ISおよびICを記載する。なお、以下の例では、光学系はすべて直線型配置である。また、計算は式(4)に基づいて行っているが、式(5)または(6)に基づいて行っても良い。
試料なし(Ψ=45°、Δ=0°):
DC=1+cos2(P−M)cos2Mcos2A
+sin2Acos2(P−M)sin2M (81a)
S=0 (81b)
C=−sin2(P−M) +sin2Acos2Msin2ΨcosΔ−cos2Asin2M (81c)
補償子(1/4波長板)、方位角90°(Ψ=45°、Δ=90°):
DC=1 (82a)
S=sin2(P−M)sin2A (82b)
C=−sin2(P−M)cos2Asin2M (82c)
偏光子、方位角0°(Ψ=0°、Δ=0°)
DC=(1−cos2A)+cos2(P−M)cos2M(cos2A−1) (83a)
S=0 (83b)
C=sin2(P−M)(1−cos2A)sin2M (83c)
偏光子、方位角90°(Ψ=90°、Δ=0°)
DC=1+cos2(P−M)cos2Mcos2A
+sin2Acos2(P−M)sin2M (84a)
S=0 (84b)
C=−sin2(P−M)(1+cos2A)sin2M (84c)
4)位相変調子の振幅強度の校正
市販の位相変調子に記載されている振幅強度99%以上の開口径において測定を行う場合は、位相変調子の振幅強度は開口径内で均一と考えてよく、設定した振幅強度を基に測定を行うことができる。しかしながら、測定光と位相変調子の中心を完全に一致させるのは難しいので、使用する開口径をこの80%程度以下とする必要がある。もっと大きな開口径を用いる必要がある場合や、振幅強度99%以上の高度の測定が必要である場合は、測定を行う開口径内の各点において、位相変調子の振幅強度の校正を行う。
そのため、位相変調子の静的位相差の校正の場合と同様に、位相変調子Mと検光子Aの間に標準試料SとしてΨおよびΔのわかった試料を設置して測定を行う。静的位相差を有しない理想的な位相変調子の場合、次の関係が成り立つ。
Figure 0004625908
静的位相差を有する位相変調子の場合、次の関係が成り立つ。
Figure 0004625908

DC cal、IS cal、およびIC calの算出法は静的位相差の校正の場合と同様である。
上記の式(85)および(86)、または式(87)および(88)にはJ、J、およびJ(α)の3個の未知数が存在する。この中からJ(α)を決定するためには、標準試料SとしてΨおよびΔの異なる試料を用いて少なくとも2回の上記測定を行えばよい。上記の式(85)および(86)、または式(87)および(88)でそれぞれ表されるR calおよびR calは1回の測定で同時に求められるから、2回の測定で合計4個の式が求められ、未知数であるJおよびJを消去し、J(α) を決定することができる。一方、0次ベッセル関数J(α)は振幅強度αの単調減少関数であるから、これらの間の関係をあらかじめ計算によって求めたルックアップテーブルを用い、J(α)からαを容易に求めることができる。したがって、開口径の各点において、振幅強度αの測定値を求めることができる。
前記のように、位相変調子の振幅強度は中心付近ではほぼ均一であるが、中心からの距離が大きくなるとともに減少する。
正八角形にカットされた素子板を用いた位相変調子の場合、中心の位置を(x、y)、中心でのαの値をα、α=0となる中心からの距離をrとすると、振幅強度αは、開口内の位置(x、y)の関数として、次の式で表される。
Figure 0004625908
矩形にカットされた素子板を用いた位相変調子の場合、短軸方向の中心の高さをy、中心でのαの値をα、α=0となる中心からの距離をrすると、振幅強度αは、縦方向の高さyの関数として、次の式で表される。
Figure 0004625908
市販の位相変調子には振幅強度99%以上および90%以上の開口径が記載されており、中心からの距離と振幅強度の関係は素子ごとにばらつきがあると考えられるが、それについてのデータは添付されないのが通常である。
実際の測定におけるノイズを低減させるためには、開口径を直径とする円形領域内における振幅強度の校正値が合理的で滑らかな分布を有することが望ましい。そこで、上記で調整したα=137.8°と、上記によって求めた開口径を直径とする円形領域内の各点における振幅強度αの値を用い、式(89)または(90)へのフィッティングを行う。式(89)の場合、αの値を用いて2次元データのフィッティングを行い、3個の未知パラメータx、y、rを決定する。式(90)の場合、同じ高さyにおけるx方向のαの分布を平均することによって得られたデータを用いて、1次元のフィッティングを行うことにより2個の未知パラメータy、rを決定する。このようにして、開口部の各点における振幅強度αの校正値を決定する。
(4)位相変調子振幅強度変動の実時間補正
以上では、位相変調子Mの振幅強度には経時変化などがなく、測定を行っている間、校正のときに決定したJ、JやJ(α)の値は一定と考えてきた。しかし、振幅強度は測定を行う光の波長や温度によって変化することが知られている。温度依存性については、素子の温度を精密に制御することにより、ある程度抑制することはできるが完全ではない。
単一検出器を用いる場合、ロックインアンプなどを用いて、直流成分、基本波成分、及び第二高調波成分に加え、第三高調波成分を測定することにより、位相変調子の振幅強度の変動をリアルタイムで補正することができることが知られている(上記非特許文献10参照)。式(10)から明らかなように、第三高調波成分は基本波成分と同一の係数“2I”を有するため、それらの比は一次のベッセル関数と三次のベッセル関数の比J(α)/J(α)に等しい。この値は位相変調子の振幅強度αの関数であり、試料の偏光解析パラメータとは無関係である。通常、振幅強度αは、J(α)=0の関係が成り立つ137.8°に調整する。このαの値においては、αの1°の変化で、J(α)/J(α)は約2.3%変動する。この変化は通常容易に検出することができ、αの変化による無限級数因子やJ(α)の値の変動を補正することができる。
CCDを用いて並列同期検出を行う前記手法のうち、測定光の断続によって振幅変調を施すとき、ONの間隔が1/4周期で時間遅れがそれぞれ0、1/4、1/2、および3/4周期の4種類の光を用いた場合、CCDの出力信号は式(13)で表され、ONの間隔が1/2周期で時間遅れがそれぞれ0および1/2周期の2種類の光を用いた場合、CCDの出力信号は式(27)で表される。この2つの式において、CCDの時間平均出力の正弦波成分の係数が異なることを利用し、αの変化による変動を補正することができる。
まず、ONの間隔が1/4周期で時間遅れがそれぞれ1/4および3/4周期の2種類の光を用いて測定を行い、式(18)で表される第1の正弦波成分値SS1を求める。続いて、ONの間隔が1/2周期で時間遅れがそれぞれ0および1/2周期の2種類の光を用い測定を行い、式(28)で表される第2の正弦波成分値SS2を求める。こうして、これら2種類の正弦波成分値の比を次式で計算できる。
Figure 0004625908
αの値が137.8°のとき、αが1°変化するとSS1/SS2は約0.65%変動する。この変化は通常容易に検出できる大きさであり、αの変化による無限級数因子やJ(α)の値の変動を補正することができる。
次に、実際の測定における操作手順について説明する。偏光解析パラメータを決定するためには、ONの間隔が1/4周期で時間遅れがそれぞれ0、1/4、1/2、および3/4周期の4種類の光を用い、式(18)〜(20)で表されるCCDの出力信号を取得する。または、ONの間隔が1/2周期で時間遅れがそれぞれ0および1/2周期の2種類の光を用い、式(28)および(29)で表されるCCDの出力信号を取得する。そのため、通常の測定により、前者では第1の正弦波成分値SS1が求められ、後者では第2の正弦波成分値SS2が求められる。したがって、αの変化による無限級数因子やJ(α)の値のリアルタイム補正を行うためには、前者では、通常の測定に続いて、ONの間隔が1/2周期で時間遅れがそれぞれ0および1/2周期の2種類の光を用い測定を行い、第2の正弦波成分値SS2を求めるとよい。一方、後者では、通常の測定に続いて、ONの間隔が1/4周期で時間遅れがそれぞれ1/4および3/4周期の2種類の光を用い測定を行い、第1の正弦波成分値SS1を求めるとよい。
なお、第2の正弦波成分値SS2については、計算に用いる式(27)が正弦波成分の他には直流成分のみを含んでいる。そのため、ONの間隔が1/2周期で時間遅れが0または1/2周期のどちらか1種類の光を用いて測定を行い、CCDの平均信号を求め、通常の測定(上記、前者の場合)によって得られた、式(16)で表される直流成分値SDCを差し引くことにより、SS2が求められる。測定に用いる光の種類が計5種類であるため、より速い速度での測定が可能である。
S1/SS2は振幅強度αの単調減少関数であるため、SS1/SS2と無限級数因子JおよびJ、およびJ(α)の関係は、あらかじめ計算で求めることができる。例えば、あらかじめ計算で求めておいた対応表であるルックアップテーブルによって、測定によって得られたSS1/SS2の値からJ、J、およびJ(α)を高速に決定することができる。
さらに、αの値の時間的変動の補正は、位相変調子の開口径全体にわたって行う必要はなく、例えばその中心付近で、画素数が全体の1%〜5%程度を占める領域においてSS1/SS2の値を測定し、その平均値を補正値として用いてもよい。αの値が開口径内で均一と考えてよい場合は、その平均値を開口径全体における補正値として用い、開口径内におけるαの分布を求める必要のある場合には、その平均値とフィッティングによって得られた前記パラメータを用い、開口部の各点におけるαの補正値を計算することが望ましい。
一方、アナログ信号を用いて測定光を振幅変調することによる並列同期検出法では、各高調波成分を抽出することが可能であるため、単一検出器およびロックインアンプなどを用いる通常の同期検出法の場合と同様に、実時間補正を行うことができる。
実際の測定における操作手順について説明する。前記の通り、変調信号として位相変調子と同一の基本周波数を有する基本波および第2高調波を合成した信号を用いることにより、またはこれらを単独で用いることにより、直流成分、基本波成分、及び第二高調波成分を求めることができる。さらに、第3高調波成分を求めるためには、これらの手順に加えて、変調信号として位相変調子と同一の基本周波数を有する第3高調波に基づき、位相を基本波の6分の1波長遅らせた次式で示す計2種類の信号を用いる。
3p(t)=+2cos[3ω(t+p/6f)−π/2] (92)
ここで、pは0または1である。CCDの出力信号Spは次のようになる。
3pKT00+2KT03cos(pπ) (93)
これら出力信号の線形結合は次のようになる。
S3=S30−S31=4KT03=4KT00S3(α) (94)
DC=S30+S31KT00KT00[IDC+I0(α)] (95)
第3高調波成分は基本波成分と同じ係数“4KT00S”を有するため、単一検出器を用いる場合と同様に、それらの比は一次のベッセル関数と三次のベッセル関数の比J1(α)/J3(α)に等しい。すなわち、次式の関係が成り立つ。
S1/SS3=J1(α)/J3(α)
この値は試料の偏光解析パラメータとは無関係な位相変調子の振幅強度αの関数であり、振幅強度αが137.8°のとき、αの1°の変化で、J1(α)/J3(α)は約2.3%変動する。この変化は通常容易に検出することができ、αの変化による無限級数因子やJ0(α)の値の変動を補正することができる。J1(α)/J3(α)は振幅強度αの単調減少関数であるため、あらかじめ計算で求めておいた関係を対応表であるルックアップテーブルとして用意しておくことにより、測定によって得られたSS1/SS3の値からJ0(α)、J1(α)、およびJ2(α)を高速に決定することができる。
上記のように、振幅強度αは光の波長にも依存するため、校正は異なる波長ごとに行う必要がある。単一検出器を用いる場合、複数の波長での測定を効率よく行うため、J 0 (α)=0となる印加電圧と波長の関係を実験的に求め、三次多項式で近似し、測定波長に合わせて自動的に印加電圧を調整する方法(上記非特許文献11)、J1(α)/J(α)の値をモニターすることにより、振幅強度αが一定となるように自動的に印加電圧を調整する方法(上記非特許文献10)などが提案されている。CCDを用いて並列同期検出を行うときは、振幅強度αの時間的な変動を補正する場合と同様に、測定光の断続を行うことによって得られるSS1/SS2の値、またはアナログ信号を用いて測定光を振幅変調することによって得られるSS1/SS3の値をモニターすることにより、測定波長の変化に起因する無限級数因子やJ0(α)の値の変動を補正することができる。市販の位相変調子は印加電圧を波長によって自動的に調節できるものが多いが、特定用途のエリプソメータに組み込む位相変調子として市販のものが使えない場合に有用である。
(5)偏光変調型イメージング・エリプソメータ
本発明の実施の形態に係る偏光変調型イメージング・エリプソメータは、図4に示すように、光源部1と、試料設置部2と、入射光学部3と、射出光学部4と、制御・解析部5と、支持手段6と、光源部1からの光を入射光学部3に伝送する光ファイバ7と、射出光学部4の出力である電気信号を制御・解析部5に伝送する信号ケーブル8とを備えて構成されている。装置構成としては、図4に示した縦型に限定されず、図5に示した横型であってもよい。
光源部1は、連続的に光を放射する光源、および測定光の断続を行う場合は、透過光を数10kHz〜数100kHz程度の任意の周波数で断続することのできる音響光学素子または電気光学素子(いずれも図示せず)を備え、アナログ信号を用いて測定光を振幅変調する場合は、入力光を数10kHz〜数100kHz程度の任意の周波数で変調し、透過光として出力することができる素子(液晶フィルタなど)を備えて構成されている。これらの振幅変調素子は、有効開口径数mm〜数cmで光源からの光をそのまま、若しくはレンズで集光して透過させる。光源部1を発光ダイオードまたはダイオードレーザーと、出力電圧を周期的に変化させることができる電源とで構成し、この電源で発光ダイオードまたはダイオードレーザーを数10kHz〜数100kHzの周波数で駆動してもよい。また、白色光源からの光をモノクロメータまたは狭帯域フィルタで分光し、測定光が波長可変の構成としても良い。
入射光学部3は、コリメータ、偏光子及び位相変調子(いずれも図示せず)を備えて構成される。光源部1からの光は位相変調子により変調を受け、そのp偏光とs偏光の位相差が正弦関数的に変化する。前記の測定光の断続または点滅は、位相変調子の動作と周波数および位相を同期させる。このように変調を受けた測定光は、試料設置部2に設置された試料Sの測定面に照射される。
射出光学部4は検光子、及びCCDなどの二次元検出器(いずれも図示せず)を備えて構成され、試料を反射または透過した光は、射出光学部4によって偏光状態が検査され、電気信号となって制御・解析部5に送られる。
制御・解析部5は、音響光学素子、電気光学素子、液晶フィルタなどの振幅変調素子、または周期的電圧発生装置、および位相変調子を制御し、それらを同一の周波数で規則的な位相差を設けて駆動する。また制御・解析部5は、CCDの出力信号を解析し、CCDで観測している試料表面の各点に対応する画像の各画素における偏光解析パラメータを高速で計算する。試料設置部2は試料Sを支持固定し、その傾きを設定する。支持手段6は、試料設置部2と入射光学部3と射出光学部4とを支持し、入射光学部3および射出光学部4が所定の角度になるように手動または自動で設定するとともに、入射光が試料設置部2に設置した試料Sの表面を反射または透過し、試料から射出された光が射出光学部4に射出されるように調節する。
図6は、制御・解析部5による制御および測定信号の流れを示すブロック図である。なお、ここでは測定光の断続を行い、ONの間隔を1/4周期として正弦波・余弦波成分の一括検出を行う場合について述べるが、正弦波・余弦波成分の個別検出を行う場合、およびアナログ信号を用いて測定光を振幅変調する場合にも当てはまることは言うまでもない。射出光学部4の位相変調子は数10kHz〜数100kHzの周波数で駆動するが、そのドライバが発生するクロックをシステム全体のマスタークロックとして用いる。時間遅延部でマスタークロックと同期したON時間が1/4周期幅の矩形波を発生させる。このとき、制御・解析部5からの制御により、その位相差を順次0、1/4、1/2および3/4周期と変化させる。この矩形波を用いて音響光学素子または電気光学素子、もしくは発光ダイオードまたはレーザーダイオードを駆動し、測定光を周期的に断続または点滅させる。測定光は一定の周波数および位相で動作する位相変調子により変調を受けたあと、試料表面で反射し検光子を経てCCDで検出される。このようにして、位相差の種類に対応する4枚の画像を取得する。
図7は、4種類の位相を設けた測定光のパルス列と、CCDでの信号光蓄積およびデータ転送との時間関係を示すタイミングチャートである。CCDをゲート開放とし、測定光のパルス列を発生させ、信号光に応じた電荷をCCDに蓄積する。所定の蓄積時間(20ミリ秒〜1秒程度)経過後、電荷(データ)を解析部に一括転送する。こうして、1/4周期ずつ位相の異なる測定光のパルス列に対応する4種類の画像が得られる。そして、上記した数式に従って、得られたこれらの画像の各画素データ間の演算を行うにより各画素に関する偏光解析パラメータを得ることができ、従って偏光解析パラメータを二次元画像として決定することができる。
このとき使用する計算式は、理想的な位相変調子Mを仮定する場合、式(23)及び(24)、又は(31)及び(39)を使用し、静的位相差δを有する位相変調子の場合、式(23)及び(24)を使用する。偏光子、位相変調子および検光子の方位角は、CCDの出力信号の正弦波成分と余弦波成分を調節することにより校正する。位相変調子の振幅強度αは、0次ベッセル関数J(α)=0となる、137.8°に設定し、1次以上のベッセル関数を含む無限級数因子JおよびJの値を算出する。位相変調子の静的位相差は、ΨおよびΔのわかった標準試料を用いて測定を行い、式(79)または(80)を用いて決定する。位相変調子の開口径内での振幅強度を校正する場合は、2種類以上の標準試料を用いて測定を行い、式(85)及び(86)を使用し、静的位相差δを有する位相変調子の場合、式(87)及び(88)を使用する。または、上記の測定で求められた結果を、位相変調子の開口径内の位置と振幅強度の関係式(89)または(90)にフィッティングを行った値を校正値として使用する。
汎用CCDを用いた場合、外部トリガにより1フィールドの画像を取得するのに、CCDでの積算時間に加え転送・その他処理に10ミリ秒程度の時間を要する。一方、積算するパルス数を1000個とすると積算時間は20ミリ秒となり、エリプソメトリの係数ΨおよびΔの決定に必要な4枚の画像を取得するために、必要な最短の測定時間は120ミリ秒となる。また、高速のCCDを用いた場合、転送・その他処理に必要な最短の時間は0.1ミリ秒以下となり、同じ積算パルス数または積算時間で、測定時間をさらに短縮することができる。さらに、高感度のCCDを用いた場合、少ない積算パルス数または積算時間で大きな出力信号が得られるので、測定時間がさらに短縮できる。
PMSA型のエリプソメータの構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態に係る偏光変調型イメージング・エリプソメータで使用する測定光を断続する方法を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の実施の形態に係る偏光変調型イメージング・エリプソメータで使用する測定光を断続するときに時間遅延させる方法を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の実施の形態に係る縦型の偏光変調型イメージング・エリプソメータを示す正面図である。 本発明の実施の形態に係る横型の偏光変調型イメージング・エリプソメータを示す正面図である。 本発明の実施の形態に係る制御・解析部による制御および測定信号の流れを示すブロック図である。 本発明の実施の形態に係る、4種類の位相を設けた測定光のパルス列と、CCDでの信号光蓄積およびデータ転送との時間関係を示すタイミングチャートである。
符号の説明
L 光源
P 偏光子
M 光弾性位相変調子(位相変調子)
S 試料
A 検光子
D 検出器
1 光源部
2 試料設置部
3 入射光学部
4 射出光学部
5 制御・解析部
6 支持手段
7 光ファイバ
8 信号ケーブル

Claims (19)

  1. 所定の周波数で振幅が周期的に変化する光を放射する光源部と、
    試料を設置する試料設置部と、
    コリメータ、偏光子、及び前記光源部からの光を変調し、該光のp偏光およびs偏光の位相差を正弦関数的に変化させて前記試料設置部に設置された試料の測定面に照射する光弾性位相変調子を有する入射光学部と、
    前記試料を反射または透過した光の偏光状態を検出する検光子、及び該検光子からの光を電気信号に変換して出力する二次元検出器を有する射出光学部と、
    前記光源部及び前記光弾性位相変調子を、数10kHz〜数100kHzの範囲内の同じ周波数で動作するように制御し、前記二次元検出器からの出力信号が入力される制御・解析部とを備え、
    前記偏光子、前記光弾性位相変調子、前記試料及び前記検光子の配置が、前記偏光子、前記光弾性位相変調子、前記試料、前記検光子の順に光路上に配置されるPMSA型の配置であり、
    前記光源部が、前記光弾性位相変調子の動作クロックに対して所定の時間遅れを有する測定光を逐次発生し、
    前記制御・解析部が、前記二次元検出器で観測する前記試料表面の二次元画像の各画素における偏光解析パラメータΨ及びΔを、前記二次元検出器の出力信号を用いて、次の条件(1)〜(3)の下で、
    (1)前記光弾性位相変調子を通過した光の、時間的に変化するp偏光およびs偏光の位相差の振幅強度をα、該振幅強度αを因数とするm次(mは0以上の整数)の第1種ベッセル関数をJ(α)、mが奇数次のJ(α)を含む因子をJS、及びmが偶数次のJ(α)を含む因子をJCで表す:
    (2)前記検出器によって検出される光の強度の直流成分をIDC、正弦波成分の振幅強度をI、及び余弦波成分の振幅強度をIで表し、前記偏光子、前記光弾性位相変調子および前記検光子の方位角をそれぞれP、M、およびAとして、前記IDC、前記Iおよび前記Iが、
    DC=(1−cos2Ψcos2A)
    +cos2(P−M)cos2M(cos2A−cos2Ψ)
    +sin2AcosΔcos2(P−M)sin2Ψsin2M
    S=sin2(P−M)sin2Asin2ΨsinΔ
    C=sin2(P−M)[(cos2Ψ−cos2A)sin2M
    +sin2Acos2Msin2ΨcosΔ]
    で表される:
    (3)前記二次元検出器の出力信号の正弦波成分をS、余弦波成分をS、及び直流成分をSDCで表し、R=S/SDC、及びR=S/SDCとする:
    前記光弾性位相変調子が理想的であるとき、
    Figure 0004625908

    に基づき計算し、
    前記光弾性位相変調子が静的位相差δ0を有するとき、
    Figure 0004625908

    に基づき計算することを特徴とする偏光変調型イメージング・エリプソメータ。
  2. 所定の周波数で振幅が周期的に変化する光を放射する光源部と、
    試料を設置する試料設置部と、
    コリメータ及び偏光子を有する入射光学部と、
    前記試料を反射または透過した光を変調し、該光のp偏光およびs偏光の位相差を正弦関数的に変化させる光弾性位相変調子、該光弾性位相変調子を透過した光の偏光状態を検出する検光子、及び該検光子からの光を電気信号に変換して出力する二次元検出器を有する射出光学部と、
    前記光源部及び前記光弾性位相変調子を、数10kHz〜数100kHzの範囲内の同じ周波数で動作するように制御し、前記二次元検出器からの出力信号が入力される制御・解析部とを備え、
    前記偏光子、前記試料、前記光弾性位相変調子及び前記検光子の配置が、前記偏光子、前記試料、前記光弾性位相変調子、前記検光子の順に光路上に配置されるPSMA型の配置であり、
    前記光源部が、前記光弾性位相変調子の動作クロックに対して所定の時間遅れを有する測定光を逐次発生し、
    前記制御・解析部が、前記二次元検出器で観測する前記試料表面の二次元画像の各画素における偏光解析パラメータΨ及びΔを、前記二次元検出器の出力信号を用いて、次の条件(1)〜(3)の下で、
    (1)前記光弾性位相変調子を通過した光の、時間的に変化するp偏光およびs偏光の位相差の振幅強度をα、該振幅強度αを因数とするm次(mは0以上の整数)の第1種ベッセル関数をJ(α)、mが奇数次のJ(α)を含む因子をJS、及びmが偶数次のJ(α)を含む因子をJCで表す:
    (2)前記検出器によって検出される光の強度の直流成分をIDC、正弦波成分の振幅強度をI、及び余弦波成分の振幅強度をIで表し、前記偏光子、前記光弾性位相変調子および前記検光子の方位角をそれぞれP、M、およびAとして、前記IDC、前記Iおよび前記Iが、
    DC=(1−cos2Ψcos2P)
    +cos2(A−M)cos2M(cos2P−cos2Ψ)
    +sin2PcosΔcos2(A−M)sin2Ψsin2M
    S=sin2(A−M)sin2Psin2ΨsinΔ
    C=sin2(A−M)[(cos2Ψ−cos2P)sin2M
    +sin2Pcos2Msin2ΨcosΔ]
    で表される:
    (3)前記二次元検出器の出力信号の正弦波成分をS、余弦波成分をS、及び直流成分をSDCで表し、R=S/SDC、及びR=S/SDCとする:
    前記光弾性位相変調子が理想的であるとき、
    Figure 0004625908

    に基づき計算し、
    前記光弾性位相変調子が静的位相差δ0を有するとき、
    Figure 0004625908

    に基づき計算することを特徴とする偏光変調型イメージング・エリプソメータ。
  3. 前記光源部が、前記光弾性位相変調子の動作クロックに対して、ONの間隔が1/4周期である矩形波であり、0、1/4、1/2、及び3/4周期の時間遅れを有する4種類の測定光を逐次発生し、
    前記制御・解析部が、4種類の前記測定光の逐次発生によって得られる前記二次元検出器の出力信号を取得してそれぞれS、S、S、およびSとし、前記S、前記Sおよび前記SDCの値をそれぞれ
    =S−S
    =S−S+S−S
    DC=S+S+S+S
    によって求めることを特徴とする請求項1又は2に記載の偏光変調型イメージング・エリプソメータ。
  4. 前記光源部が、前記光弾性位相変調子の動作クロックに対して、ONの間隔が1/2周期である矩形波であり、時間遅れをそれぞれ0および1/2周期とする2種類の測定光を逐次発生し、
    前記制御・解析部が、2種類の前記測定光の逐次発生によって得られる前記二次元検出器の出力信号を取得してそれぞれSおよびSとし、前記S及び前記SDCの値を
    =S−S
    DC=S+S
    によって求め、
    前記光源部が、ONの間隔を1/4周期とする第1測定光と、この第1測定光と位相が逆でONの間隔を3/4周期とする第2測定光を逐次発生し、
    前記制御・解析部が、前記第1測定光及び第2測定光の逐次発生によって得られる前記二次元検出器の出力信号を取得してそれぞれSおよびSとし、前記S及び前記SDCの値を
    =(3S−S)/2
    DC=S+S
    によって求めることを特徴とする請求項1又は2に記載の偏光変調型イメージング・エリプソメータ。
  5. 前記光源部が、前記光弾性位相変調子の動作クロックの周波数をfとし、角周波数をωとし、pを0以上3以下の何れかの整数値として、振幅Mが時間tの関数
    (t)=4+2cos[ω(t+p/4f)−π/2]+2cos[2ω(t+p/4f)]
    で表される4種類の測定光を逐次発生し、
    前記制御・解析部が、4種類の前記測定光の逐次発生によって得られる前記二次元検出器の出力信号を取得して、前記pが0、1、2、及び3のそれぞれである場合の前記出力信号をS、S、S、およびSとし、前記S、前記Sおよび前記SDCの値をそれぞれ
    =S−S
    =S−S+S−S
    DC=S+S+S+S
    によって求めることを特徴とする請求項1又は2に記載の偏光変調型イメージング・エリプソメータ。
  6. 前記光源部が、前記光弾性位相変調子の動作クロックの角周波数をωとし、pを0又は1として、振幅M1p、M2pが時間tの関数
    1p(t)=2+2cos[ω(t+p/2f)−π/2] および
    2p(t)=2+2cos[2ω(t+p/4f)]
    で表される4種類の測定光を逐次発生し、
    前記制御・解析部が、4種類の前記測定光の逐次発生によって得られる前記二次元検出器の出力信号を取得し、
    前記pが0又は1の場合に前記M1pに対応する前記出力信号をそれぞれS10、S11とし、前記pが0又は1の場合に前記M2pに対応する前記出力信号をS20、S21として、前記S及びSの値を、SS=S10−S11、SC=S20−S21によって求め、前記SDCの値を、SDC=S10+S11、又はSDC=S20+S21によって求めることを特徴とする請求項1又は2に記載の偏光変調型イメージング・エリプソメータ。
  7. 前記偏光子、前記光弾性位相変調子および前記検光子の目盛り上の方位角をそれぞれP’、M’およびA’とし、
    前記制御・解析部が、前記P、前記Mおよび前記Aを、
    P=P’−P0
    M=M’−M0
    A=A’−A0
    で表される式により校正し、
    前記M0及び前記A0が、
    偏光解析パラメータΨ及びΔの値が、30°<Ψ<60°または120°<Ψ<150°、かつ70°<Δ<110°である試料を用い、P’=45°と設定した場合に、前記Sと前記Sの前記光弾性位相変調子の開口部におけるそれぞれの平均値がどちらも0になるときの前記M’及び前記A’の値であり、
    前記P0が、
    偏光解析パラメータΨ及びΔの値が、30°<Ψ<60°または120°<Ψ<150°、かつ70°<Δ<110°である前記試料を用い、M’=0°+M0かつA’=45°+A0と設定した場合に、前記Sと前記Sの前記開口部におけるそれぞれの平均値がどちらも0になるときの前記P’の値であることを特徴とする請求項1〜4の何れかの項に記載の偏光変調型イメージング・エリプソメータ。
  8. 前記αが、J(α)=0となるときの値である137.8°であり、
    このαの値より前記Jおよび前記Jを算出することを特徴とする請求項1〜7の何れかの項に記載の偏光変調型イメージング・エリプソメータ。
  9. 前記制御・解析部が、前記光弾性位相変調子が静的位相差δ0を有するとき、該光弾性位相変調子の振幅強度99%以上の開口径を直径とする円と同心であり、前記開口径の80%以下の直径の円形領域内を使用し、偏光解析パラメータΨ及びΔが既知である標準試料を用いて測定を行い、
    前記制御・解析部が、既知の前記偏光解析パラメータΨ及びΔを代入して計算した前記IDC、前記Iおよび前記Iの値をIDC cal、I calおよびI calとし、前記標準試料を用いて測定された前記Rおよび前記Rの前記開口径を直径とする円形領域内におけるそれぞれの校正値の平均値を求めてRS cal,av及びRC cal,avとし、
    Figure 0004625908

    を用いて開口径内におけるδ0の平均値を求める処理を、測定を行う必要のある波長ごとに行うことを特徴とする請求項1〜8の何れかの項に記載の偏光変調型イメージング・エリプソメータ。
  10. 前記制御・解析部が、前記光弾性位相変調子の振幅強度99%以上の開口径を直径とする円と同心であり、前記開口径の80%以下の直径の円形領域内を使用して得られた測定結果を用い、振幅強度を前記円形領域内で均一と仮定して、前記偏光解析パラメータΨ及びΔの計算を行うことを特徴とする請求項1〜9の何れかの項に記載の偏光変調型イメージング・エリプソメータ。
  11. 偏光解析パラメータΨ及びΔが既知である標準試料の偏光解析パラメータΨ及びΔを代入して計算した前記IDC、前記Iおよび前記Iの値をIDC cal、I calおよびI calとし、該標準試料を用いて測定された前記Rおよび前記Rの値をRS cal及びRC calとするとき、前記制御・解析部が、異なる偏光解析パラメータΨ及びΔを有する少なくとも2種類の標準試料を用いて測定を行い、
    前記制御・解析部が、
    前記光弾性位相変調子が理想的であるとき、
    Figure 0004625908

    又は、前記光弾性位相変調子が静的位相差δ0を有するとき、
    Figure 0004625908

    の形式で与えられる2種類の式を少なくとも2通り求め、
    これら少なくとも計4個の式から前記J(α)の値を決定し、
    前記αと前記J(α)の関係をあらかじめ計算で求めておいた対応表であるルックアップテーブルによって、前記光弾性位相変調子の開口内の各点において、振幅強度αを決定することを特徴とする請求項1〜9の何れかの項に記載の偏光変調型イメージング・エリプソメータ。
  12. 前記制御・解析部が、
    前記光弾性位相変調子が正八角形にカットされた素子板である場合、中心の位置を(x、y)、中心でのαの値をα、α=0となる中心からの距離をrとし、前記開口内の各点において測定した前記振幅強度αを用い、
    Figure 0004625908

    で表される式に対してフィッティングを行い、3個の未知パラメータx、y、rを決定し、
    前記光弾性位相変調子が矩形の素子板である場合、短軸方向の中心の高さをy、中心でのαの値をα、α=0となる中心からの距離をrとし、前記開口内の各点において振幅強度αを測定し、異なる高さy毎に横方向の位置xが異なる値を平均した前記振幅強度αを用いて、
    Figure 0004625908

    で表される式に対してフィッティングを行い、2個の未知パラメータy、rを決定し、
    前記開口内の各点における振幅強度αの校正値を決定することを特徴とする請求項11に記載の偏光変調型イメージング・エリプソメータ。
  13. 前記光源部が、前記光弾性位相変調子の動作クロックに対して、ONの間隔を1/4周期とし、時間遅れをそれぞれ1/4および3/4周期とする2種類の測定光を逐次発生し、
    前記制御・解析部が、時間遅れを1/4および3/4周期とする2種類の前記測定光の逐次発生によって得られる前記二次元検出器の出力信号を取得してそれぞれSおよびSとし、前記Sの値を
    =S−S
    によって求め、これをSS1とし、
    前記光源部が、ONの間隔を1/2周期とし、時間遅れをそれぞれ0および1/2周期とする2種類の測定光を逐次発生し、
    前記制御・解析部が、時間遅れを0および1/2周期とする2種類の前記測定光の逐次発生によって得られる前記二次元検出器の出力信号を取得してそれぞれSおよびSとし、前記Sの値を
    =S−S
    によって求め、これをSS2とし、
    前記制御・解析部が、これら2種類の正弦波成分値SS1及びSS2の比であるS S1 /S S2 の実測値を求め、
    Figure 0004625908

    で表される関係式を用いて、あらかじめ計算で求めておいた対応表であるルックアップテーブルによって前記J、前記Jおよび前記J(α)を決定することを特徴とする請求項1〜10および12のうちの何れか1項に記載の偏光変調型イメージング・エリプソメータ。
  14. 前記光源部が、前記光弾性位相変調子の動作クロックの角周波数をωとし、pを0又は1として、振幅M3pが時間tの関数
    3p(t)=2+2cos[3ω(t+p/6f)−π/2]
    で表される2種類の測定光をさらに逐次発生し、
    前記制御・解析部が、4種類の前記測定光の逐次発生によって得られる前記二次元検出器の出力信号を取得し、
    前記pが0又は1の場合に前記M3pに対応する前記出力信号をそれぞれS30、S31として、S S3 をS S3 =S30−S31により求め、
    前記SsをS S1 として、
    前記制御・解析部が、これら2種類の正弦波成分値S S1 及びS S3 の比であるS S1 /S S3 の実測値を求め、
    S1 /S S3 =J1(α)/J3(α)
    で表される関係式を用いて、あらかじめ計算で求めておいた対応表であるルックアップテーブルによって前記J、前記Jおよび前記J(α)を決定することを特徴とする請求項1〜10および12のうちの何れか1項に記載の偏光変調型イメージング・エリプソメータ。
  15. 前記光源部が、連続的に光を放射する光源と、該光源から入射される光を所定周波数で変調し、透過光として出力する振幅変調素子とをさらに備えることを特徴とする請求項1〜14の何れか1項に記載の偏光変調型イメージング・エリプソメータ。
  16. 前記振幅変調素子が音響光学素子又は電気光学素子又は液晶フィルタであることを特徴とする請求項15に記載の偏光変調型イメージング・エリプソメータ。
  17. 前記光源が白色光源であり、
    該白色光源から入射される光を分光し、所定の波長の光を前記振幅変調素子に入力するモノクロメータまたは狭帯域フィルタをさらに備えることを特徴とする請求項15又は16に記載の偏光変調型イメージング・エリプソメータ。
  18. 前記光源部が、発光ダイオードまたはダイオードレーザーと、出力電圧を周期的に変化させることができる電源とを備え、
    前記電源が前記発光ダイオードまたはダイオードレーザーを所定の周波数で駆動することを特徴とする請求項1〜14の何れか1項に記載の偏光変調型イメージング・エリプソメータ。
  19. 前記二次元検出器が、CCDセンサまたはCMOSイメージセンサを用いた撮像素子であることを特徴とする請求項1〜18の何れかの項に記載の偏光変調型イメージング・エリプソメータ。
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