JP4625526B2 - 掃気管制弁装置を備えた内燃機関 - Google Patents
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Description
図14は、かかるユニフロー掃気式2サイクル大型ディーゼル機関における、掃気孔の開口面積A1、排気弁の開口面積A4及び該掃気孔及び排気弁の合成通路面積即ち有効換算面積A5をクランク角に対応して示す掃、排気面積線図である。
前記特許文献1の技術は、ユニフロー掃気式2サイクル大型ディーゼル機関において、掃気孔の上側に周方向にそって複数の副掃気孔を開設するとともに、シリンダライナの外側に、該シリンダライナの外面に沿って軸方向に移動可能にされて、前記副掃気孔を開閉する掃気管制弁を設け、該掃気管制弁を軸方向に移動させることにより、燃焼室内への掃気通路開口面積を変化せしめるように構成されている。
また、かかる従来技術にあっては、掃気孔がピストンの下降中である下死点前に開口しているため、掃気孔の開口から下死点までは、ピストンの下降運動が燃焼室の上部側に向かう掃気の流入運動に対して逆方向に作用し、燃焼室内の掃気作用が阻害され易く、高い掃気効率を維持でき難い。
このため、かかる従来技術にあっては、掃気通路の開口面積変化を目標とする開口面積パターンに正確に制御するのは困難となるとともに、掃気通路を通しての作動ガスの吹き返しが発生して、ピストンリング、シリンダライナの耐久性が低下するとともに、シリンダ注油用の潤滑油消費率も増大し易い、等の問題点を有している。
このように構成すれば、シリンダ内のガスが侵入し易い掃気管制弁とシリンダライナの摺動部の潤滑が十分になされ、掃気管制弁の作動性を良好に保持するとともに、焼き付きの発生を防止できる。
このように構成すれば、掃気管制弁の耐摩耗性を高く保持して耐久性を向上できる。
また、かかる発明において好ましくは、前記シリンダライナの内側に位置する掃気管制弁が、シリンダライナ外側に配設された駆動系により、該シリンダライナの内面に沿って周方向に往復回動可能に構成された内燃機関の場合に、前記駆動系と掃気管制弁とを連結する伝導機構が、掃気管制弁により封止可能な位置に開口されたシリンダライナ開口部より駆動系側に延在されているように構成してもよく、また前記掃気管制弁を周方向に回動可能に構成するガイド部が、シリンダライナ内面側に設けられているのもよい。
これにより、掃気通路の開口面積変化を目標とする開口面積パターンに正確に制御することができる。
前記駆動系と掃気管制弁とを連結する伝導機構が、掃気管制弁により封止可能な位置に開口されたシリンダライナ開口部より駆動系側に延在されているように構成すれば、掃気孔下方のシリンダライナに駆動リンク取出開口部を設けて該リンクをシリンダライナ外周に取り出す事で、管制弁高さと重量を最小とすることができ、これにより運動部である管制弁の質量が最小と成り制御性が向上するとともに、高強度材料によって作られる管制弁の重量が最小となりコストを下げる事が出来且つ全体をコンパクトに出来る。
また前記掃気管制弁を周方向に往復回動可能に構成するガイド部が、シリンダライナ内面側に設けられることにより、精度よく掃気管制弁を往復動させることができる。
12は前記シリンダライナ10の下部に複数開設された掃気孔で、前記掃気室23内の掃気(空気)が該掃気孔12群を通って前記燃焼室14内に供給されるようになっている。
一方、該過給機19のタービン19aと同軸駆動されるコンプレッサ19bにより圧縮された空気(掃気)は給気管22を通って空気冷却器21に入り、該空気冷却器21において冷却、降温された後、掃気室23に溜められ、前記掃気孔12群の開孔により燃焼室14内に流入して、該燃焼室14内の残留燃焼ガスを排気弁16側へ押し出す。
以上の基本構成は、従来のユニフロー掃気式2サイクル大型ディーゼル機関と同様である。
本発明は、前記シリンダライナ10の掃気孔及び該掃気孔を開閉する掃気管制弁装置に関するものである。
図2に示されるように、前記回動式掃気管制弁1は、その円周方向に沿って管制弁開口部1aが開口されている。該管制弁開口部1aは前記掃気孔12と同一形状かつ同一ピッチで形成され、図2のように、該管制弁開口部1aが各掃気孔12の間にあるときに各掃気孔12が全閉となり、この位置から該管制弁開口部1aが円周方向に移動するに従い掃気孔12の開口面積が増大し、各管制弁開口部1aと各掃気孔12とが重なったとき各掃気孔12が全開となって掃気孔開口面積が最大となるように構成されている。
さらに、該回動式掃気管制弁1は、ステンレス系鋼材等の前記シリンダライナ10よりも高い強度を有する母材の前記管制弁内面1bつまり該シリンダライナ10との摺接面に窒化、浸炭等の表面硬化処理を施した材料を用いて、耐摩耗性を高く保持している。
3は油圧シリンダで、前記管制弁サポート4の外面に図示しない複数のボルトによって固定されている。2は該油圧シリンダ3の出力軸であるピストンロッド3eと前記回動式掃気管制弁1の下部(前記下端つば部1c)とを連結する駆動リンクで、前記油圧シリンダ3のピストンロッド3eが図2のX矢方向に往復動すると、前記回動式掃気管制弁1が前記下端つば部1cにおいてスライドすることにより、円周方向(X1矢方向)に往復動するようになっている。
60は注油装置で、前記シリンダライナ10の外面10bに図示しない複数のボルトによって固定された環状のケース63の内周に前記油孔61に連通される油溝64が刻設され、該ケース63に穿孔された油孔65が該油溝64に連通するように構成されている。
66は注油管であり、図示しないシリンダ注油装置からの潤滑油(他の系統からの潤滑油でもよい)が該注油管66を通して供給され、前記油孔65から油溝64を経て前記シリンダライナ10の各油孔61に入り、各油孔61から前記油溝62を通して前記回動式掃気管制弁1とシリンダライナ10との摺接部1fを潤滑するようになっている。
前記注油装置60を設けたことにより、燃焼室14内のガスが侵入し易い回動式掃気管制弁1とシリンダライナ10との摺接部1fの潤滑が十分になされ、該回動式掃気管制弁1の作動性を良好に保持するとともに、前記摺接部1f焼き付きの発生を防止できる。
前記クランク角検出器52からのクランク角の検出信号、前記回転数検出器53からの機関回転数の検出信号、及び前記負荷検出器54からの機関負荷(機関出力)の検出信号は前記弁開閉制御装置51に入力されるようになっている。
前記弁開閉制御装置51は、前記クランク角検出器52からのクランク角の検出信号、回転数検出器53からの機関回転数の検出信号、及び負荷検出器54からの機関負荷(機関出力)の検出信号に基づき、前記電磁弁50の開閉時期及び開弁期間を制御し、該電磁弁50は前記油圧シリンダ3への作動油管50b、50cと作動油供給管50aとの接続、遮断を行う。
従って、前記のように回動式掃気管制弁1が各掃気孔12を全開としているときには、燃焼行程においてピストン11が下降し、図8のAにおいてピストンの肩部が前記回動式掃気管制弁1の各管制弁開口部1aを開口した後、ピストン11が下死点Cから上昇し、Eにおいてピストンの肩部が各管制弁開口部1aを閉じるまでは、掃気通路の開口面積は図8のA1のように変化する。
かかる掃気通路の開口面積が全閉の状態において、前記クランク角の検出信号により、ピストンの位置が下死点C後のDにきたことが前記弁開閉制御装置51に入力されると、該弁開閉制御装置51は、電磁弁50を切り換えて前記油圧シリンダ3への作動油管50b、50cと作動油供給管50aとの接続を切り換え、該油圧シリンダ3によって前記回動式掃気管制弁1を前記全閉の状態から円周方向(図2のX1矢方向)に移動させ、該回動式掃気管制弁1を開き始める。
然るに、かかる実施例においては、前記回動式掃気管制弁1の全閉状態から弁開度の増大と同時に、ピストン11が下死点Cから上昇して前記ピストンの肩部により該各管制弁開口部1aを軸方向において閉じて行き、該管制弁開口部1aの軸方向における開口高さが減少していくため、前記掃気通路の実際の開口面積は図8のA3のようになり、後述するように、前記Fよりも早期のEにて前記排気弁16と同時に閉じることとなる。
そして、かかる実施例においては、前記弁開閉制御装置51は、前記掃気通路の実際の開口面積A3と前記排気弁の開口面積A4とが同一クランク角においてゼロになる、即ち下死点C後の掃気通路の閉時期を排気弁16の閉弁時期と同一時期(図8のE)になるように、前記回動式掃気管制弁1を開閉制御する。
前記回動式掃気管制弁1の開閉時期は、前記回転数検出器53にて検出される機関回転数及び負荷検出器54にて検出される機関負荷(機関出力)によって変化せしめることが可能である。
尚、図9におけるA、B、C、D、Eの符号は図8の符号に対応している。
また、機関回転数、機関負荷(機関出力)等の機関運転状態を検出して前記弁開閉制御装置51に入力し、該弁開閉制御装置51により、機関運転状態によって前記回動式掃気管制弁1を駆動するので、機関の運転状態に最適な掃気通路の開口面積変化を得ることが可能となり、NOxの発生を抑制しつつ機関の熱効率を高く維持する運転が可能となる。
また、前記のように回動式掃気管制弁1とシリンダライナ10との摺接部1fのシール性を良好に保持して掃気通路を完全に閉塞することが可能となるので、掃気通路側からの作動ガスの吹き返しをゼロとすることができ、これによりピストンリング13、シリンダライナ10の耐久性が向上する。
即ち、図3〜4において、5は往復式掃気管制弁で、前記シリンダライナ10の内面10a側に、該シリンダライナ10の軸方向に往復動可能に嵌合されている。該往復式掃気管制弁5の内面、即ち前記ピストンリング13と摺接する管制弁内面5bは前記シリンダライナ10の内面10aと同一面(同一径)に形成される。
8は圧縮ばね或いは圧縮空気からなるスプリングで、前記往復式掃気管制弁5の下端つば部5cと前記管制弁サポート6の下端支持部6aとの間に介装されて、前記往復式掃気管制弁5を上方に押し上げ、前記各掃気孔12を閉じる方向に付勢されている。
前記油圧シリンダ7及びスプリング8、シリンダライナ10の円周方向に沿って複数個設置されている。
従って、往復式掃気管制弁5が各掃気孔12を全開としているときには、燃焼行程においてピストン11が下降し、図8のAにおいてピストンの肩部が掃気孔12群を開口した後、ピストン11が下死点Cから上昇し、Eにおいてピストンの肩部が各掃気孔12を閉じるまでは、掃気通路の開口面積は図8のA1のように変化する。
かかる掃気通路の開口面積が全閉の状態において、前記クランク角の検出信号により、第1段のピストンリング13の位置が下死点C後のDにきたことが前記弁開閉制御装置51に入力されると、該弁開閉制御装置51は、前記電磁弁50及び弁開閉制御装置51を介して前記往復式掃気管制弁5を前記全閉の状態から軸方向下方(図3のY矢方向)に移動させ、該往復式掃気管制弁5を開き始める。
然るに、かかる実施例においては、前記往復式掃気管制弁1の全閉状態から弁開度の増大と同時に、ピストン11が下死点Cから上昇して前記第1段のピストンリング13により掃気孔12群を閉じて行き、該掃気孔12の軸方向における開口高さが減少するため、前記掃気通路の実際の開口面積は図8のA3のように小さくなり、前記Fよりも早期のEにて閉じることとなる。
そして、かかる第2実施例においては前記第1実施例と同様に、前記弁開閉制御装置51は、前記掃気通路の実際の開口面積A3と前記排気弁の開口面積A4とが同一クランク角においてゼロになる、即ち下死点C後の掃気通路の閉時期を排気弁16の閉弁時期と同一時期(図8のE)になるように、前記回動式掃気管制弁1を開閉制御する。
従って前記掃気通路の閉止と同時に排気弁16も閉じることとなり、従来技術のように掃気孔が閉じた後も排気弁が開いて燃焼室14内の新気が排気管18側に吹き抜けて該ガスの流出損失が発生することはない。
即ち図6において、1Aは回動式掃気管制弁で、前記シリンダライナ10の内面10aに、該シリンダライナ10の周方向に所定弧状角度往復回動可能に嵌合されている。
前記回動式掃気管制弁1Aは、その円周方向に沿って管制弁開口部65が前記掃気孔12と同一形状かつ同一ピッチで形成され、図6(B)に示すように、該管制弁開口群65が各掃気孔12群の間にあるときに各掃気孔12が全閉となり、この位置から該管制弁開口部65が円周方向に移動するに従い掃気孔12群の開口面積が増大し、各管制弁開口部65と各掃気孔12とが重なったとき各掃気孔12が全開となって掃気孔開口面積が最大となるように構成されている。
また前記掃気管制弁1Aは前記駆動リンク取出開口部73Aを気密シール可能に塞ぐように該開口部73A下端側より僅かに下方に延在させて蓋部1Abとなすとともに、該蓋部下端と掃気管制弁1A上端がライナ周方向に摺動可能に平行に形成するとともに、該摺動域のシリンダライナ10側を凹設し、その凹設端面を摺動ガイド10cとなす。
尚、前記油圧シリンダ71Aの駆動系を構成する電磁弁50、弁開閉制御装置51等の構成は前記第1実施例と同様である。
即ち、5Aは往復式掃気管制弁で、前記シリンダライナ10の内面10a側に、該シリンダライナ10の軸方向に往復動可能に嵌合されている。該往復式掃気管制弁5Aの内面、即ち前記ピストンリング13と摺接する管制弁内面5bは前記シリンダライナ10の内面10aと同一面(同一径)に形成される。
そして前記管制弁制御部5Aaの下側5Abは櫛歯状に垂下されており、該櫛歯部5Abはシリンダライナに設けた凹設したスライド溝101と軸方向に摺動自在に嵌合し、管制弁5Aが軸方向に往復動する際の揺動を防止している。
尚、櫛歯部の歯幅は管制弁制御部5Aaの幅と同等か僅かに小に設定するとともに、シリンダライナ10側のスライド溝101に容易に侵入できるように、先端U字状に形成する。
シリンダライナ10側のスライド溝101を形成する岸部102も先端U字状に形成するとともに、往復式掃気管制弁がシリンダライナ10の内面に沿って軸方向に往復動可能なストローク位置に形成する。
1a 管制弁開口部
2 駆動リンク
3、7、41 油圧シリンダ
5A、40 往復式掃気管制弁
8 スプリング
10 シリンダライナ
10a シリンダライナの内面
11 ピストン
12 掃気孔
13 ピストンリング
14 燃焼室
16 排気弁
19 過給機
23 掃気室
50 電磁弁
51 弁開閉制御装置
52 クランク角検出器
53 回転数検出器
54 負荷検出器
60 注油装置
72A、72B 駆動リンク
73A、73B 駆動リンク取出開口部
Claims (6)
- 燃焼室内に掃気を供給する掃気孔がシリンダライナの下部に周方向に沿って複数開設されるとともに、シリンダカバーに排気弁を備えた内燃機関において、
前記シリンダライナの内側に、該シリンダライナの内面に沿ってシリンダライナの周方向に往復回動可能に設けられて前記掃気孔を開閉し前記燃焼室内への掃気通路の開口面積を変化せしめる回動式掃気管制弁と、機関のクランク角に対応して前記掃気管制弁を駆動する弁作動装置とを備え、前記クランク角の変化に対応して前記回動式掃気管制弁を移動させることにより、前記掃気通路の開口面積を変化せしめるように構成されたことを特徴とする掃気管制弁装置を備えた内燃機関。 - 前記回動式掃気管制弁とシリンダライナとの摺動面に潤滑油を強制注油する注油装置を設けてなることを特徴とする請求項1記載の掃気管制弁装置を備えた内燃機関。
- 前記回動式掃気管制弁は、前記シリンダライナよりも高い強度を有する母材の該シリンダライナとの摺接面に窒化等の表面硬化処理を施した材料からなることを特徴とする請求項1記載の掃気管制弁装置を備えた内燃機関。
- 前記回動式掃気管制弁のシリンダライナ軸方向高さ(H 2 )を、第1段ピストンリング上面から最下段ピストンリング下面までの高さ(H 1 )よりも小さく形成したことを特徴とする請求項1記載の掃気管制弁装置を備えた内燃機関。
- 前記シリンダライナの内側に位置する回動式掃気管制弁が、シリンダライナ外側に配設された駆動系により、該シリンダライナの内面に沿って周方向に往復回動可能に構成され、前記駆動系と掃気管制弁とを連結する伝導機構が、掃気管制弁により封止可能な位置に開口されたシリンダライナ開口部より駆動系側に延在されていることを特徴とする請求項1記載の掃気管制弁装置を備えた内燃機関。
- 前記シリンダライナの内側に位置する回動式掃気管制弁が、シリンダライナ外側に配設された駆動系により、該シリンダライナの内面に沿って周方向に往復回動可能に構成され、前記回動式掃気管制弁を周方向に往復回動可能に構成するガイド部が、シリンダライナ内面側に設けられていることを特徴とする請求項1記載の掃気管制弁装置を備えた内燃機関。
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