JP4624567B2 - 遠心分離機の遠心ロータ用の駆動ユニット - Google Patents
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Description
発明の背景および従来技術
本発明は、遠心ロータを支持するように配置され、少なくとも1つの第1の支持部材内で回転軸周りを回転可能に支持された駆動シャフトと、駆動シャフトおよび支持部材のための内部空間を形成するケーシングと、ケーシングの外側に設けられ、ケーシング内の通路を通って延びる伝達部材によって駆動シャフトに連結された駆動モータとを含む、遠心分離機の遠心ロータ用の駆動ユニットに関する。
【0002】
このような駆動ユニットにおいて駆動シャフトを支持している軸受を冷却するために、軸受およびケーシングによって形成されている内部空間を通るオイルミストを、オイル液滴を添加することによって形成する空気流を再循環させることが公知である。このような駆動ユニットは、駆動モータの回転を遠心ロータの駆動シャフトに伝達する駆動ベルトを備えていることが多い。駆動モータがケーシングの外側に位置している場合には、駆動ベルトはケーシングの下で駆動シャフトに係合するか、あるいはケーシングの開口を通って延びている。後者の場合には、オイルが周囲に拡がって駆動ベルトに接触するのを防ぐために、開口を駆動ベルトに対して密閉する必要がある。このような有効な密閉を行うのが困難であることがわかっている。他の解決策によれば、駆動モータをケーシングの内側に設けてもよい。しかし、この解決策では、オイルが駆動モータ内に入り込んで駆動モータを壊してしまうのを防ぐような、駆動モータの囲いが必要である。
【0003】
これに関連する他の問題は、遠心ロータの駆動シャフトを支持する軸受をオイルミストが通過する間に、このオイルミストによって吸収された熱を除去することである。
【0004】
発明の概要
本発明の目的は、上述の問題を解消し、ケーシングの内部空間を周囲に対して十分に密閉できるようにし、さらにケーシングの内部空間内で再循環するオイルミストを効果的に冷却できるようにする駆動ユニットを提供することである。
【0005】
この目的は、伝達部材の、ケーシングの内側に位置する部分が内部空間から遮蔽されるようにケーシングの内側に遮蔽部材が設けられていることを特徴とする、冒頭に定義された駆動ユニットによって達成される。したがって、伝達部材の一部がケーシングの内側に位置しているにもかかわらず、たとえば駆動ベルトの形態の伝達部材全体は、ケーシングによって形成された内部空間から隔離されていることになる。そのため、伝達部材の密閉は必要とされない。さらに、このような密閉部材によって、周囲の空気によって様々な駆動構成部品を効果的に冷却することができる。この遮蔽部材は、ケーシングの内部空間内を延びる比較的大きな冷却面も形成し、したがって、ケーシングの内部空間内を再循環するオイルミストを冷却することに寄与する。有利なことに、遮蔽部材は、ケーシングを通って延び、ケーシングの内部空間から遮蔽された流路を形成している。
【0006】
本発明の一実施態様によれば、遮蔽部材は上側開口および下側開口を備えており、駆動シャフトはこれらの開口を介して遮蔽部材を貫通して延びている。そのため、駆動シャフトと上記の開口との間に密閉部材を設けてもよい。それにより、ケーシングの内部を周囲から容易に密閉することができ、オイルが周囲および駆動ベルトに到達するのを防ぐことができる。
【0007】
本発明の他の実施態様によれば、ケーシングは、第1の通路と直径方向に向かい合う第2の通路を備えており、遮蔽部材は、ケーシングを貫通して延びケーシングの内部空間から遮蔽された流路が、駆動ユニットを横切る流れを生じ、それによってケーシングの内部空間内のオイルミストを有効に冷却することを可能にするように形成されるように、2つの通路の間を延びている。
【0008】
本発明の他の実施態様によれば、遮蔽部材は、上記の通路の周りに延びている連結部によってケーシングに連結されている。さらに、遮蔽部材は、回転軸に対して実質的に半径方向に延びている長手方向軸を含む細長い形状を有していてもよい。遮蔽部材は、ケーシングを通って回転軸に対して実質的に直径方向に延びていることが有利である。
【0009】
本発明の他の実施態様によれば、伝達部材は、駆動シャフト上に設けられ、したがって遮蔽部材の内部に位置するベルトプーリを介して駆動シャフトに係合する駆動ベルトを含んでいる。このような駆動ベルトは、上記の流路を通る空気流の形成に寄与し、それによって冷却をより効率的にする。そのため、流路が2つの部分流路に分割され、駆動ベルトが一方の部分流路内を内向きに走行し他方の部分流路内を外向きに走行することができるように、壁部材が流路のほぼ中央に設けられることが有利である。このように、周囲からの第1の空気流は一方の部分流路内を内側に流れ、第2の空気流は他方の部分流路を通って上向きに流れる。壁部材は、回転軸に対して実質的に軸方向かつ半径方向の平面内で、ベルトプーリに近接した領域から通路に近接した領域まで延びていることが有利である。駆動シャフトは、駆動ベルトの半径方向内側に位置する少なくとも1つの支持部材内に回転可能に支持することができる。
【0010】
発明の種々の実施形態の詳細な説明
図1は、部分的に示された遠心ロータ2用の駆動ユニットを示している。駆動ユニット1と遠心ロータ2は共に、遠心分離機の必須の構成部材を形成している。駆動ユニット1は、遠心ロータ2を支持し、回転軸zの周りで回転することができ、第1の上側支持部材4および第2の下側支持部材5(図2参照)によって支えられた駆動シャフト3を含んでいる。さらに、駆動ユニット1は、内部空間を形成するケーシング6を含んでいる。内部空間は、駆動シャフト3、第1の支持部材4、および第2の部材5が位置している上側空間7と、油溜めとして構成されある量の液体オイルを貯蔵するように配置された下側空間8とで構成されている。駆動ユニット1は、ベルトプーリ9に連結された駆動モータ(不図示)も含んでいる。駆動モータおよびベルトプーリ9は、ケーシング6の外側に設けられており、ケーシング6内の通路12を通って延びている駆動ベルト11の形態の伝達部材によって、駆動シャフト3上に固定されて設けられたベルトプーリ10に連結されている。駆動ベルト11は、2つの軸受を介して駆動モータおよび駆動シャフト3と動力を伝えるように係合する駆動シャフトに置き換えてもよいことに留意されたい。
【0011】
上側支持部材4、いわゆるネックベアリングは、支持ハウジング13によって支持されている。支持ハウジング13は、上側支持部材4から外側に、好ましくは実質的に半径方向外側に、ケーシング6の内壁の方へ延びている少なくとも1つの遮蔽部分を含んでいる第1の遮蔽部材14に連結されている。支持ハウジング13および遮蔽部材14は、図示されている例では、それ自体は公知の減衰要素(不図示)を収容するようになっている空間15を形成するように構成されている。上側支持部材4は、支持ハウジング13、減衰要素、および第1の遮蔽部材14を介してケーシング6に連結されている。
【0012】
第2の遮蔽部材16が、駆動シャフト3とケーシング6の内壁との間に環状通路17が形成されるように、駆動シャフト3とケーシング6の内壁との間を第1の遮蔽部材14の半径方向外側縁部から実質的に軸方向下向きに延びている。第2の遮蔽部材16は、図示されている例では、駆動シャフト3の周りに、かつ第2の遮蔽部材16の下縁部と下側空間8内のオイルとの間に比較的小さい隙間が形成される距離だけ下向きに延びている。
【0013】
図示されている例では、駆動シャフト3(図2参照)は、上側空間7を通って下向きに下側空間8内のオイルの中まで延びている。さらに、駆動シャフト3は、下側空間8内の少なくとも1つのオリフィスと、上側空間7内の、ベルトプーリ10よりも上で上側支持部材4よりも下にある空間内の複数のオリフィス19とを有する内部流路18を有している。駆動シャフト3は、オイルが、遠心分離機の動作時に内部流路18を通って移送され、上側のオリフィス19のオイルの少なくとも出口で小さいオイル液滴を形成するように構成されている。
【0014】
さらに、駆動ユニット1は、駆動シャフト3上の、図示されている例では上側支持部材4よりも上に固定されて設けられたファンホイール20を備えている。ファンホイール20は、上側支持部材4を冷却し潤滑する、上側支持部材4を通って流れるオイルミストを形成する空気とオイル液滴の流れを生じさせるように配置されている。さらに、ファンホイール20は、上側支持部材4の出口からの上記の流れを、半径方向外側にケーシング6の内壁の方に、かつ軸方向下向きに、ケーシング6の内壁と第2の遮蔽部材16との間の通路17を通って、下側空間8内のオイルのすぐ上、すなわち、第2の遮蔽部材16と下側空間8内のオイルとの間の隙間まで押しやるように配置されている。それによって、上記の流れ中に存在するオイルの一部が、下側空間8内のオイルに回収され、別の一部が、以下に詳しく説明するように下側支持部材5をも冷却し潤滑するように、上記の空気流れによって上向きに下側支持部材5を通ってさらに移送される。オイルミストは、下側支持部材5の出口から、ベルトプーリ10を通って延びているいくつかの流路21を通って、上側支持部材4の入口までさらに移送される。したがって、オイル液滴を含む空気流は、オイルミストとして、ケーシング6によって形成されている内部空間7,8内の経路であって、2つの支持部材4,5と、オイルミストがその熱を放出しケーシング6の内壁と接触することによって冷却される通路17とを通って延びている経路内を循環する。オイルミストの冷却を高めるために、ケーシング6の外壁上にフランジ22またはこれに類似する任意の表面積増大部材を設けてもよい。図1では、一例としてそのような1つのフランジ22のみが示されている。このような複数のフランジ(不図示)またはこれに類似する任意の複数の表面積増大部材を、ケーシング6の内壁および/または第2の遮蔽部材16の上に設けることも可能である。
【0015】
通路17を多数の異なる方法で実現できることに留意されたい。たとえば、その通路は、ケーシング6の上部および下部の開口によってケーシング6の外側に実質的に垂直に延びているパイプ導管で形成することができる。このような外側のパイプ導管は、周囲の空気によって効率的に冷却することができる。この通路は、ケーシング6の壁の中をケーシング6の上部から下部まで実質的に垂直に延びる流路によって形成することもできる。これらの実施形態では、第2の軸方向の遮蔽部材16を省略することができる。通路6は、ケーシング6の内壁の内側を実質的に垂直に延びるいくつかの別個の流路として構成することもできる。このような実施形態では、第2の遮蔽部材16は、複数の遮蔽部材、たとえばこのような別個の各流路ごとの別個の遮蔽部材によって形成することができる。
【0016】
さらに、駆動ユニット1は、そのようなケーシング6内に設けられ、駆動ベルト11がケーシング6の内部空間7,8から遮蔽されるように、駆動ベルト11の、ケーシング6の内部に延びている部分を収納するように配置された遮蔽部材23を備えている。遮蔽部材23は、上述の通路12およびそれに直径方向に向かい合う通路24の周りに延びているそれぞれの連結部によって、直径方向両側でケーシング6の内壁に連結されている。したがって、遮蔽部材23は、回転軸zに対して実質的に直径方向にケーシング6の内部空間7,8を通って延びており、この空間7,8から遮蔽されている流路25を形成している。さらに、遮蔽部材23は、細長い箱のような形状を有しており、すなわち、図2に示されている断面図で見るとほぼ長方形であり、互いにほぼ平行な上側区画壁および下側区画壁と、2つのほぼ平行な横側区画壁とを有している。遮蔽部材23は長方形とは別の断面形状を有していてもよいことに留意すべきであり、遮蔽部材23はたとえば長円形であってもよい。
【0017】
さらに、遮蔽部材23は、上側区画壁を通って延びている上側開口26と、下側区画壁を通って延びている下側開口27とを有している。駆動シャフト3は、これらの開口26,27を通って遮蔽部材23を貫通して延びており、上側開口26はまた、ベルトプーリ10の上部を収容するように配置されている。図2に示されているように、ギャップシール28、たとえばラビリンスシールが、ベルトプーリ10と遮蔽部材23の上側区画壁との間に設けられている。遮蔽部材23の下側区画壁は、下側開口27を形成する円筒状部分29を有している。円筒状部分29は、図2を見るとわかるように、下側支持部材5を支えている。さらに、円筒状部分29はベルトプーリ10の円筒状凹部30内に延びている。円筒状部分29の外面と円筒状凹部30の内面との間にギャップシール31が設けられている。さらに、図2を見るとわかるように、駆動ベルト11は下側支持部材5のほぼ半径方向外側でベルトプーリ10に当接している。
【0018】
したがって、オイルミストを含んで再循環する空気流は、下側開口27から遮蔽部材23を通過し、下側支持部材5を通り、ベルトプーリ10の上部の流路21を通って外に出る。しかしながら、シール部28および31により、オイルミストを含む空気流が、遮蔽部材23によって形成されている流路25内に流入することはない。しかし、駆動ユニット1の周囲の空気からの空気流は、通路12および24ならびに流路25を通過することができる。このようにして、オイルミストをさらに冷却することができ、同時に、下側支持部材5をより冷却することができる。
【0019】
そのため、図示された駆動ベルト11は、ポンプ部材として働き、このような空気流を流路25を通して押しやる働きをする。それにより、駆動ベルト11の、流路25内を内向きに走行する部分は空気流を流路25内に導入し、駆動ベルトの、流路25内を外向きに走行する部分は空気流を流路25から排出する。流路25を通る空気の流れをよりよくするために、流路25が2つの部分流路に分割されるように、壁部材32が流路25内のほぼ中央に設けられている。壁部材32は、実質的に回転軸zに対して軸方向かつ半径方向の平面内を、ベルトプーリ10に近接した領域から通路12に近接した領域まで延びている。したがって、駆動ベルト11は、一方の部分流路内を内向きに走行し、他方の部分流路内を外向きに走行する。
【0020】
流路25は、ケーシング6によって形成されている内部空間7,8を横切って延びることは必ずしも必要でなく、すなわち、必要なのは通路12および24の一方だけであることに留意されたい。流路25を通る空気流れを増大させるように配置されたファン部材により遮蔽部材23によって冷却効果を高めることも可能である。さらに、遮蔽部材23も、流路25および/またはケーシング6によって形成されている内部空間7,8内に延びる複数のフランジまたはこれに類似する複数の表面積増大部材を備えていてもよい。
【0021】
本発明は、開示された実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲内で変形し修正することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 遠心分離機の遠心ロータ用の駆動ユニットの、部分的に断面を示す概略斜視図である。
【図2】 図1の駆動ユニットの下側部分の断面図である。
Claims (11)
- 遠心ロータ(2)を支持するように配置され、回転軸(z)の周りを回転可能に支持された駆動シャフト(3)と、該駆動シャフト(3)のための内部空間を形成するケーシング(6)と、該ケーシング(6)の外側に設けられ、前記ケーシング(6)内の第1の通路(12)を通って延びている伝達部材(11)によって前記駆動シャフト(3)に連結された駆動モータ(9)とを含む、遠心分離機の遠心ロータ(2)用の駆動ユニット(1)において、
前記伝達部材(11)の、前記ケーシング(6)の内側に位置する部分が前記内部空間から遮蔽されるように前記ケーシング(6)の内側に少なくとも1つの遮蔽部材(23)が設けられており、該遮蔽部材(23)は前記ケーシング(6)を通って延び、前記ケーシング(6)の前記内部空間から遮蔽されている流路(25)を形成していることを特徴とする、遠心分離機の遠心ロータ用の駆動ユニット。 - 前記遮蔽部材(23)は上側開口(26)および下側開口(27)を有しており、前記駆動シャフト(3)はこれらの開口(26,27)を通って前記遮蔽部材(23)を貫通して延びていることを特徴とする、請求項1に記載の駆動ユニット。
- シール部材(28,31)が前記駆動シャフト(3)と前記開口(26,27)との間に設けられていることを特徴とする、請求項2に記載の駆動ユニット。
- 前記ケーシング(6)は、前記第1の通路(12)と直径方向に向かい合う第2の通路(24)を前記ケーシング(6)内に有しており、前記遮蔽部材(23)は、前記ケーシング(6)を通って延び前記ケーシング(6)の前記内部空間から遮蔽された流路(25)が形成されるように2つの前記通路(12,24)の間に延びていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
- 前記遮蔽部材は、前記第1の通路(12)の周りに延びている連結部によって前記ケーシング(6)に連結されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
- 前記遮蔽部材(23)は、前記回転軸(z)に対して実質的に半径方向に延びている、長手方向軸を含む細長い形状を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
- 前記遮蔽部材(23)は、前記ケーシング(6)を通って前記回転軸(z)に対して実質的に直径方向に延びていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
- 前記伝達部材は、前記駆動シャフト上に設けられ、したがって前記遮蔽部材(23)の内側に位置するベルトプーリ(10)を介して前記駆動シャフト(3)に係合する駆動ベルト(11)を備えていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
- 前記流路(25)が2つの部分流路に分割され、前記駆動ベルト(11)が一方の部分流路内を内向きに走行し他方の部分流路内を外向きに走行するように前記流路(25)の実質的に中央に設けられた壁部材(32)を有することを特徴とする、請求項8に記載の駆動ユニット。
- 前記壁部材(32)は、前記回転軸(z)に対して実質的に軸方向かつ半径方向の平面内で、前記ベルトプーリ(10)に近接した領域から前記第1の通路(12)に近接した領域まで延びていることを特徴とする、請求項9に記載の駆動ユニット。
- 前記駆動シャフト(3)は、前記駆動ベルト(11)の半径方向内側に位置する少なくとも1つの支持部材(5)内に回転可能に支持されていることを特徴とする、請求項8から10のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
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