しかしながら、上記のような従来の方向性結合器において結合度3dBというような大きな結合を実現しようとすると、結合孔3a,3bの開口の大きさを大きくする必要があり、ポートCへ向かう電磁波を逆位相合成によって完全に打ち消すことができず、方向性が小さくなってしまうと同時に、各ポートA,B,C,Dのリターンロスが小さくなってしまうという問題があった。また、結合孔3a,3bの開口の大きさを小さくすると、結合孔3a,3bの数を増やして多段にする必要が生じ、絶対的な長さが必要となり、方向性結合器が大型化してしまうという問題があった。
本発明は以上のような改善が望まれる問題点を解決すべく案出されたものであり、その目的は、方向性とリターンロスが大きく、かつ結合度が大きな小型の方向性結合器を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記本発明の方向性結合器を用いた高性能な高周波送受信器および高性能なレーダ装置ならびにそれを搭載したレーダ装置搭載車両およびレーダ装置搭載小型船舶を提供することにある。
本発明の方向性結合器の製造方法は、互いに隣接して配置された導波管の間の管壁に、両導波管を結合する結合孔を複数個設けた方向性結合器の製造方法であって、前記導波管と同じ断面形状で前記結合孔が設けられていない第1の伝送係数測定用導波管を用いて管内波長λgと伝送係数の位相角p1を求める工程と、前記導波管と同じ断面形状で前記結合孔が1個設けられた第2の伝送係数測定用導波管を用いて伝送係数の位相角p2を求める工程と、△p=p2−p1(rad)から、中心間隔を{(2n−1)/4+△p/π}λg(nは正の整数)として前記管壁に複数の前記結合孔を形成する工程と、を具備したことを特徴とするものである。
また、本発明の第1の高周波送受信器は、高周波信号を発生する高周波発振器と、この高周波発振器に接続され、前記高周波信号を分岐して一方の出力ポートと他方の出力ポートとに出力する分岐器と、第1,第2および第3ポートを有し、前記第1ポートが前記分岐器の前記一方の出力ポートに接続され、前記第1ポートから前記第2ポートに前記高周波信号を送信用高周波信号として通過させ、前記第2ポートから前記第3ポートに高周波信号を通過させるハイブリッドまたはサーキュレータと、このハイブリッドまたはサーキュレータの前記第2ポートに接続され、前記高周波信号を放射するとともに、探知対象物によって反射された高周波信号を受信する送受信アンテナと、前記分岐器の前記他方の出力ポートと前記ハイブリッドまたはサーキュレータの前記第3ポートとがそれぞれ接続され、前記他方の出力ポートに分岐された前記高周波信号と前記送受信アンテナで受信した高周波信号とを混合して中間周波信号を出力するミキサーとを具備する高周波送受信器において、前記ハイブリッド,前記サーキュレータ,前記ミキサーおよび前記分岐器の少なくとも一つに上記本発明の方向性結合器を用いたことを特徴とするものである。
本発明の第2の高周波送受信器は、高周波信号を発生する高周波発振器と、この高周波発振器に接続され、前記高周波信号を分岐して一方の出力ポートと他方の出力ポートとに出力する分岐器と、前記一方の出力ポートに接続された送信アンテナと、この送信アンテナから放射されて探知対象物によって反射された高周波信号を受信する受信アンテナと、前記分岐器の前記他方の出力ポートと前記受信アンテナとがそれぞれ接続され、前記他方の出力ポートに分岐された前記高周波信号と前記受信アンテナで受信した高周波信号とを混合して中間周波信号を出力するミキサーとを具備する高周波送受信器において、前記ミキサーおよび前記分岐器の少なくとも一つに上記本発明の方向性結合器を用いたことを特徴とするものである。
本発明の第3の高周波送受信器は、高周波信号を発生する高周波発振器と、この高周波発振器に接続され、一方の出力端に送信用高周波信号として出力するかまたは他方の出力端にローカル信号として出力するかを切り替える第1の切替えスイッチと、入力端,出力端および入出力端を有し、前記入力端が前記第1の切換えスイッチの前記一方の出力端に接続され、前記入力端と前記入出力端とのまたは前記出力端と前記入出力端との接続を切り替える第2の切替えスイッチと、この第2の切替えスイッチの前記入出力端に接続され、前記高周波信号を放射するとともに、探知対象物によって反射された高周波信号を受信する送受信アンテナと、前記第1の切替えスイッチの前記他方の出力端と前記第2の切替えスイッチの前記出力端とがそれぞれ接続され、前記第1の切換えスイッチの前記他方の出力端に出力されたローカル信号と前記送受信アンテナで受信した高周波信号とを混合して中間周波信号を出力するミキサーとを具備する高周波送受信器において、前記ミキサーに上記本発明の方向性結合器を用いたことを特徴とするものである。
本発明の第4の高周波送受信器は、高周波信号を発生する高周波発振器と、この高周波発振器に接続され、一方の出力端に送信用高周波信号として出力するかまたは他方の出力端にローカル信号として出力するかを切り替える切替えスイッチと、前記一方の出力端に接続された送信アンテナと、この送信アンテナから放射されて探知対象物によって反射された高周波信号を受信する受信アンテナと、前記切替えスイッチの前記他方の出力端と前記受信アンテナとがそれぞれ接続され、前記他方の出力端に出力されたローカル信号と前記受信アンテナで受信した高周波信号とを混合して中間周波信号を出力するミキサーとを具備する高周波送受信器において、前記ミキサーに上記本発明の方向性結合器を用いたことを特徴とするものである。
また、本発明のレーダ装置は、上記本発明の第1乃至第4のいずれかの高周波送受信器と、この高周波送受信器から出力される前記中間周波信号を処理して前記探知対象物までの距離情報を検出する距離情報検出器とを具備することを特徴とするものである。
また、本発明のレーダ装置搭載車両は、上記本発明のレーダ装置が検出する前記探知対象物の情報を運動状態の制御に用いることを特徴とするものである。
また、本発明のレーダ装置搭載小型船舶は、上記本発明のレーダ装置を備え、このレーダ装置が検出する前記探知対象物の情報を運動状態の制御に用いることを特徴とするものである。
本発明の方向性結合器によれば、互いに隣接して配置された導波管の間の管壁に、両導波管を結合する結合孔を複数個設けた方向性結合器において、結合孔が設けられていない部分の導波管の管内波長がλg、伝送係数の位相角がp1であり、1個の結合孔が設けられた部分の導波管の伝送係数の位相角がp2であって、△p=p2−p1(rad)としたとき、複数の結合孔の中心間隔を{(2n−1)/4+△p/π}λg(nは正の整数)としたことから、一方の導波管から複数の結合孔によって結合された他方の導波管へ漏れ出る電磁波の位相のずれを補正することができ、他方の導波管の逆位相波を充分に打ち消すことができ、方向性とリターンロスが大きい方向性結合器となる。また、結合孔を大きくできることから、開口の数を最低限に抑えることができ、小型の方向性結合器となる。
本発明の第1の高周波送受信器によれば、高周波信号を発生する高周波発振器と、この高周波発振器に接続され、高周波信号を分岐して一方の出力ポートと他方の出力ポートとに出力する分岐器と、第1,第2および第3ポートを有し、第1ポートが分岐器の一方の出力ポートに接続され、第1ポートから第2ポートに高周波信号を送信用高周波信号として通過させ、第2ポートから第3ポートに高周波信号を通過させるハイブリッドまたはサーキュレータと、このハイブリッドまたはサーキュレータの第2ポートに接続され、高周波信号を放射するとともに、探知対象物によって反射された高周波信号を受信する送受信アンテナと、分岐器の他方の出力ポートとハイブリッドまたはサーキュレータの第3ポートとがそれぞれ接続され、他方の出力ポートに分岐された高周波信号と送受信アンテナで受信した高周波信号とを混合して中間周波信号を出力するミキサーとを具備する高周波送受信器において、ハイブリッド,サーキュレータ,ミキサーおよび分岐器の少なくとも一つに上記本発明の方向性結合器を用いたことから、方向性結合器での方向性とリターンロスが大きいために、ミキサーの中間周波信号出力が大きく、したがって受信感度の高い高性能な高周波送受信器となる。また、分岐器に本発明の方向性結合器を用いた場合、分岐器での損失が小さいため、送受信アンテナからの送信出力が大きいとともに、高周波発振器への反射が小さいため、ばらつきの少ない送信特性を持つ安定した高性能な高周波送受信器となる。
本発明の第2の高周波送受信器によれば、高周波信号を発生する高周波発振器と、この高周波発振器に接続され、高周波信号を分岐して一方の出力ポートと他方の出力ポートとに出力する分岐器と、前記一方の出力ポートに接続された送信アンテナと、この送信アンテナから放射されて探知対象物によって反射された高周波信号を受信する受信アンテナと、分岐器の他方の出力ポートと受信アンテナとがそれぞれ接続され、前記他方の出力ポートに分岐された高周波信号と受信アンテナで受信した高周波信号とを混合して中間周波信号を出力するミキサーとを具備する高周波送受信器において、ミキサーおよび分岐器の少なくとも一つに上記本発明の方向性結合器を用いたことから、方向性結合器での方向性とリターンロスが大きいために、ミキサーの中間周波信号出力が大きく、したがって受信感度の高い高性能な高周波送受信器となる。また、分岐器に本発明の方向性結合器を用いた場合、分岐器での損失が小さいため、送信アンテナからの送信出力が大きいとともに、高周波発振器への反射が小さいため、ばらつきの少ない送信特性を持つ安定した高性能な高周波送受信器となる。
本発明の第3の高周波送受信器によれば、高周波信号を発生する高周波発振器と、この高周波発振器に接続され、一方の出力端に送信用高周波信号として出力するかまたは他方の出力端にローカル信号として出力するかを切り替える第1の切替えスイッチと、入力端,出力端および入出力端を有し、入力端が第1の切換えスイッチの一方の出力端に接続され、入力端と入出力端とのまたは出力端と入出力端との接続を切り替える第2の切替えスイッチと、この第2の切替えスイッチの入出力端に接続され、高周波信号を放射するとともに、探知対象物によって反射された高周波信号を受信する送受信アンテナと、第1の切替えスイッチの他方の出力端と第2の切替えスイッチの出力端とがそれぞれ接続され、第1の切換えスイッチの他方の出力端に出力されたローカル信号と送受信アンテナで受信した高周波信号とを混合して中間周波信号を出力するミキサーとを具備する高周波送受信器において、ミキサーに上記本発明の方向性結合器を用いたことから、方向性結合器での方向性とリターンロスが大きいために、ミキサーの中間周波信号出力が大きく、したがって受信感度の高い高性能な高周波送受信器となる。
本発明の第4の高周波送受信器によれば、高周波信号を発生する高周波発振器と、この高周波発振器に接続され、一方の出力端に送信用高周波信号として出力するかまたは他方の出力端にローカル信号として出力するかを切り替える切替えスイッチと、一方の出力端に接続された送信アンテナと、この送信アンテナから放射されて探知対象物によって反射された高周波信号を受信する受信アンテナと、切替えスイッチの他方の出力端と受信アンテナとがそれぞれ接続され、他方の出力端に出力されたローカル信号と受信アンテナで受信した高周波信号とを混合して中間周波信号を出力するミキサーとを具備する高周波送受信器において、ミキサーに上記本発明の方向性結合器を用いたことから、方向性結合器での方向性とリターンロスが大きいために、ミキサーの中間周波信号出力が大きく、したがって受信感度の高い高性能な高周波送受信器となる。
また、本発明のレーダ装置によれば、上記本発明の第1乃至第4のいずれかの高周波送受信器と、この高周波送受信器から出力される中間周波信号を処理して探知対象物までの距離情報を検出する距離情報検出器とを具備することから、高周波送受信器の送信出力が大きく、中間周波信号出力が大きいことから、遠方の探知対象物を探知することができるレーダ装置となる。
また、本発明のレーダ装置搭載車両によれば、上記本発明のレーダ装置が検出する探知対象物の情報を運動状態の制御に用いることから、レーダ装置が遠方の探知対象物を探知することができるため、探知対象物が接近する前に余裕を持って車両の運動状態を制御することができ、車両の適切な制御や運転者への適切な警告を発することができるレーダ装置搭載車両となる。
また、本発明のレーダ装置搭載船舶によれば、上記本発明のレーダ装置が検出する探知対象物の情報を運動状態の制御に用いることから、レーダ装置が遠方の探知対象物を探知することができるため、探知対象物が接近する前に余裕を持って小型船舶の運動状態を制御することができ、小型船舶の適切な制御や操縦者への適切な警告を発することができるレーダ装置搭載船舶となる。
本発明の方向性結合器、それを用いた第1〜第4の高周波送受信器およびレーダ装置ならびにそれを搭載したレーダ装置搭載車両およびレーダ装置搭載小型船舶について、以下に詳細に説明する。
図1は本発明の方向性結合器の実施の形態の一例を模式的に示す断面図である。図2〜図5はそれぞれ本発明の第1〜第4の高周波送受信器の実施の形態の一例を模式的に示すブロック回路図である。
図1において、1は一方の導波管、2は他方の導波管、3は結合孔(3aは一方の結合孔、3bは他方の結合孔)、Lは隣り合う一方および他方の結合孔3a,3bの中心間隔である。図2〜図5において、11は高周波発振器、12は分岐器、14はハイブリッドまたはサーキュレータ、15は送受信アンテナ、16はミキサー、18は切替えスイッチ(RFスイッチ)、18'は第1の切換えスイッチ(RFスイッチ)、18''は第2の切換えスイッチ(RFスイッチ)、19は送信アンテナ、20は受信アンテナである。
図1に示す本発明の方向性結合器の実施の形態の一例は、互いに隣接して配置された2つの平行する導波管1,2の間の管壁に、両導波管1,2を結合する結合孔3(3a,3b)を複数個設けた方向結合器において、結合孔3が設けられていない部分の導波管の管内波長がλg、伝送係数の位相角がp1であり、1個の結合孔3が設けられた部分の導波管の伝送係数の位相角がp2であって、△p=p2−p1(単位はrad:radian)としたとき、複数の結合孔3の中心間隔、すなわち一方の結合孔3aの中心と他方の結合孔3bの中心との間の距離Lを{(2n−1)/4+△p/π}λg(nは正の整数)とした構成である。
図1に示す方向性結合器は、一例として、断面矩形のTE10モード導波管の側壁を共通にさせて隣接配置された同じ断面の導波管1,2を上面から見た場合を示す。上記構成において、導波管1,2は金属板で囲まれる中空導波管、または内部を誘電体で充填した誘電体導波管である。あるいは特開1998−75108号公報に開示されているような誘電体基板に導体層とバイアホール群を形成した誘電体導波管でもよい。
結合孔3の開口の大きさは所望の結合度になるように決められる。大きな結合度を得るためには、より大きな開口の結合孔3が必要となる。複数の結合孔3の形状、大きさは同じであることが望ましい。結合孔3の開口形状は、四角形、円形、楕円形などどのような形状でもよいが、例えば管壁の側壁を上から下まで繰り抜いた四角形状が、最も結合効率がよく小型化できるため望ましい。
誘電体基板に導体層とバイアホール群を形成した誘電体導波管の場合には、結合孔3の形状は、管壁の側壁を上から下までバイアホールを省略して形成した四角形とするのが望ましく、次のように作製するとよい。すなわち、電磁波の伝送方向における結合孔3の長さは、所望の結合度となるようにバイアホールの間隔を長く設定し、隣接する誘電体導波管同士を結合させない部分におけるバイアホール群の間隔より長く設定する。これらバイアホールの間にはバイアホールまたは導体層は設けない。
結合孔3同士の中心間隔Lは、結合孔3が設けられていない同じ断面形状の導波管の管内波長をλg、伝送係数をp1とし、1個の結合孔3を設けたときの同じ断面形状の導波管の伝送係数をp2として、伝送係数の変化量△p(rad)をp2とp1との差としたとき、{(2n−1)/4+△p/π}λg(nは正の整数)とする。すなわち、n=1とする場合は、一方の結合孔3aの中心および他方の結合孔3bの中心の間隔Lは、λgに4分の1を掛けた値と、λgに位相差△pをπで除した値を掛けた値とを加えた距離とする。
伝送係数とは導波管に入射される電磁波の入射電圧に対する導波管中を伝送される電磁波の電圧(伝送電圧)の比(伝送電圧/入射電圧)であって、複素数で表される係数である。この伝送係数をR+jXで表わしたとき、位相角はarctan(X/R)で表される。そして、結合孔3が一つも無い導波管および一つだけ形成した導波管における伝送係数を求め、上記式によって計算することによって結合孔3同士の中心間隔を求めることができる。
複数の結合孔3の中心間隔Lは隣り合う結合孔3の形状および大きさが同じ場合は各々の結合孔3の同一箇所同士の間隔とし、隣り合う結合孔3の形状および大きさが相互に異なる場合はそれぞれの結合孔3の重心の間隔とする。
従来の方向性結合器における複数の結合孔3の間隔Lは、結合孔3のない管内波長をλgとするとき、{(2n−1)/4}λg(nは正の整数)、すなわちλg/4の奇数倍としていた。これは、ポートAから入射した電磁波(図中一点鎖線で示す)が一方の結合孔3aを通ってポートCへ向かう電磁波(図中点線で示す)の位相と、他方の結合孔3bを通ってポートCへ向かう電磁波の位相との差が±π(rad)となることによって、結合孔3を通過したそれぞれの電磁波が互いに打ち消されるようにするためである。しかし、厳密には結合孔3が存在する部分の管内波長は、結合孔3がない部分の管内波長λgとは異なるため、上記のポートAから入射した波が一方の結合孔3aを通ってポートCへ向かう電磁波の位相と、他方の結合孔3bを通ってポートCへ向かう電磁波の位相との差は±π(rad)からずれてしまう。これによって、それぞれの電磁波が完全に打ち消されずにポートCへも出力されてしまい、その結果方向性が小さくなってしまう。
そこで、本発明の方向性結合器において、ポートCへ出力されないようにするためには、結合孔3を設けたことによる伝送係数の位相角の変化を把握して、その分を補正すればよいということを見出した。その補正すべき結合孔3の間の距離は、以下のように考えればよい。すなわち、結合孔3が設けられていない導波管の伝送係数の位相角に対して、1個の結合孔3を設けたことによる伝送係数の位相角の変化を△p(rad)とするとき、結合孔3がある導波管部分の通過1回について補正すべき距離はλg・(△p/2π)となる。ポートAから入射した電磁波が一方の結合孔3aを通ってポートCへ向かう電磁波の位相と、他方の結合孔3bを通ってポートCへ向かう電磁波の位相との差を考えるときは、他方の結合孔3bを通過する電磁波は結合孔3がある導波管部分を2回通過するので、補正すべき長さは2・λg・(△p/2π)となる。したがって、一方の結合孔3aと他方の結合孔3bとの間の距離Lは{(2n−1)/4}λg+2・λg・(△p/2π)={(2n−1)/4+△p/π}λg(nは正の整数)とすればよいことになる。
また、従来の方向性結合器における複数の結合孔3の間隔Lは、結合孔3のない管内波長をλgとするとき、{(2n−1)/4}λg(nは正の整数)、すなわちλg/4の奇数倍としていた。これによって、ポートAから入射した電磁波(図中一点鎖線で示す)が一方の結合孔3aの部分で反射してポートAへ戻る電磁波の位相と、他方の結合孔3bの部分で反射してポートAへ戻る電磁波の位相との差が±π(rad)となることによって、結合孔3で反射したそれぞれの電磁波が互いに打ち消される。しかし、厳密には結合孔3が存在する部分の管内波長は、結合孔3がない部分の管内波長λgとは異なるため、上記のポートAから入射した波が一方の結合孔3aの部分で反射してポートAへ戻る電磁波の位相と、他方の結合孔3bの部分で反射してポートAへ戻る電磁波の位相との差は±π(rad)からずれてしまう。これによって、それぞれの電磁波が完全に打ち消されずにポートAへ出力されてしまい、その結果リターンロスが小さくなってしまう。
しかし、本発明の方向性結合器においては、上記方向性についての説明と同様に、一方の結合孔3aと他方の結合孔3bとの間の距離Lが{(2n−1)/4+△p/π}λg(nは正の整数)とされているので、各ポートへの入射波に対する反射波が小さなものとなり、各ポートにおけるリターンロスが大きなものとなる。
なお、リターンロスとは、あるポートにおける反射係数の大きさをρとしたとき-20log10(ρ)で定義されるもので、方向性とは、ポートCに現れる電力をPC、ポートDに現れる電力をPDとすると、10log10(PD/PC)で定義されるものをいう。
ここで、△pは次のようにして求めればよい。すなわち、2つの互いに隣接して平行に配置された導波管の間に結合孔3を1個設けた一つの導波管の両端をネットワークアナライザの測定ポートに接続して伝送係数を測定する(その伝送係数の位相角をp1とする)。また、それと同じ長さで結合孔3を設けない導波管の両端をネットワークアナライザの測定ポートに接続して伝送係数を測定する(その伝送係数の位相角をp2とする)。これら測定結果から、△p=p1−p2を計算で求める。
誘電体基板に導体層とバイアホール群を形成した誘電体導波管の場合には、隣接する結合孔3の中心間隔Lは次のように設定するとよい。すなわち、上記のようにして決めた中心間隔をL、結合孔3の電磁波の伝送方向の長さをLHとすると、結合孔3aの結合孔3b側の端のバイアホールから隣り合う結合孔3bの結合孔3a側の端のバイアホールの間の長さをL−LHに設定し、その間は遮断波長以下の間隔でバイアホールを設け、導体層も設ける。
本発明の方向性結合器において、誘電体基板に導体層とバイアホール群を形成した誘電体導波管を用いて、結合度約3dBの方向性結合器を作る場合の特性を電磁界解析を用いて示す。
誘電体導波管は次のように構成されたものとした。すなわち、比誘電率9.1、厚さ0.15mmの誘電体層を3層積層した誘電体の両主面に導体層が被着され、積層体内に直径0.1mmのバイアホールを0.2mm間隔で直線状に並べたバイアホール群2列を1mm隔てて配置することによって、上下主面の導体層間を接続する。各誘電体層表面には、バイアホール群に沿って、バイアホールの直径に等しい幅(0.1mm)の副導体層が直線状に形成されている。このようにして、上下両主面の導体層と左右2列のバイアホール群によって、幅0.9mm×高さ0.45mmの断面を有する誘電体導波管とした。この誘電体導波管の76.5GHzにおける管内波長λgは1.80mm、導波管長さ4mmのときの伝送係数の位相角は−79.1°となる。
さらに、左右のバイアホール群のうち、一方のバイアホール群を共有するように上記の誘電体導波管を二つ並べて配置し、共有するバイアホール群の途中にバイアホールと副導体層とがない部分を設けることで結合孔3を形成した。結合孔3の開口形状は、電磁波の伝送方向の長さにおいて0.82mm×導波管の高さ0.45mmに等しい高さを持つ長方形状とした。
上記の結合孔3を1個設けた導波管長さ4mmの伝送係数の位相角は−102.0°であった。すなわち位相角の変化は△p=−0.40(rad)と求められた。
そこで、式中のn=2とし、結合孔3同士の中心間隔を計算して、(3/4+△p/π)λg=1.18mmで配置した方向性結合器とした。解析の結果、この本発明の方向性結合器の特性は、方向性が18dB、リターンロスが20dB(76.5GHz)であった。
一方、従来の方向性結合器を次の条件として解析した結果は以下のようになった。すなわち、バイアホール群の途中に、結合孔3の電磁波の伝送方向の長さ0.82mmにわたってバイアホールおよび副導体層がない部分を設け、長さ0.82mm×高さ0.45mmの結合孔3を形成する。そして、この結合孔3を中心間隔3λg/4=1.35mmで配置した。この従来の方向性結合器の特性は、方向性、リターンロスともに10dB(76.5GHz)であった。
すなわち、本発明の方向性結合器によれば、従来の方向性結合器に対して方向性が8dB大きく、リターンロスが10dB大きいものとすることができることが分かった。
次に、本発明の高周波送受信器について説明する。
本発明の高周波送受信器の第1の実施の形態の一例は、図2に示すように、高周波信号を発生する高周波発振器11と、この高周波発振器11に接続され、高周波信号を分岐して一方の出力ポート12bと他方の出力ポート12cとに出力する分岐器12と、第1,第2および第3ポート14a,14b,14cを有し、第1ポート14aが分岐器12の一方の出力ポート12bに接続され、第1ポート14aから第2ポート14bに高周波信号を送信用高周波信号として通過させ、第2ポート14bから第3ポート14cに高周波信号を通過させるハイブリッド14またはサーキュレータ14と、このハイブリッド14またはサーキュレータ14の第2ポート14bに接続され、高周波信号を放射するとともに、探知対象物(図示せず)によって反射された高周波信号を受信する送受信アンテナ15と、分岐器12の他方の出力ポート12cとハイブリッド14またはサーキュレータ14の第3ポート14cとがそれぞれ接続され、他方の出力ポート12cに分岐された高周波信号と送受信アンテナ15で受信した高周波信号とを混合して中間周波信号を出力するミキサー16とを具備する高周波送受信器において、ハイブリッド14,サーキュレータ14,ミキサー16および分岐器12の少なくとも一つに上記本発明の方向性結合器を用いたものである。
上記構成において、分岐器12は、第1ポート12aから入力された高周波信号を第2ポート12bと第3ポート12cに分岐するもので、図1に示す本発明の方向性結合器を用いるのが好ましい。図1に示す本発明の方向性結合器を用いる場合、入力ポート12aを本発明の方向性結合器のポートAに対応させ、一方の出力ポート12bをポートBに、他方の出力ポート12cをポートDに、または、一方の出力ポート12bをポートDに、他方の出力ポート12cをポートBに対応させて用いることができる。ポートCはインピーダンスマッチングされた終端抵抗で終端させることが望ましい。
分岐器12に本発明の方向性結合器を用いた場合、分岐器12での損失が小さいため、送受信アンテナ15からの送信出力が大きいとともに、高周波発振器11への反射が小さいため、ばらつきの少ない送信特性を持つ安定した高性能な高周波送受信器となる。なお、分岐器12の損失は、1−|S21|−|S31|で表される。
ハイブリッド14またはサーキュレータ14は、第1ポート14aから入力された高周波信号を第2ポート14bへ出力し、第2ポート14bから入力された高周波信号を第3ポート14cに出力するもので、図1に示す本発明の方向性結合器を用いるのが好ましい。図1に示す本発明の方向性結合器を用いる場合、第1ポート14aをポートAに対応させ、第2ポート14bをポートBに対応させ、第3ポート14cをポートCに対応させて用いることができる。ポートDはインピーダンスマッチングされた終端抵抗で終端させることが望ましい。
サーキュレータ14は、3端子素子であって、第1ポート14aから入力された高周波信号をすべて第2ポート14bへ出力し、第2ポート14bから入力された高周波信号をすべて第3ポート14cに出力する。一方、ハイブリッド14は4端子素子であって、一つの端子は終端させる必要がある。ハイブリッドを用いると、原理的に3dBの損失を生じるので、損失の観点からはサーキュレータを用いるほうが好ましいが、サーキュレータは高価なため、ハイブリッド14を用いてもよい。
ミキサー16は、高周波発振器11から出力され、分岐器12で第3ポート12cから出力されるローカル信号と、ハイブリッド14またはサーキュレータ14を通過してその第3ポート14cから出力された探知対象物で反射して帰ってきた高周波信号とを混合して中間周波信号を出力するもので、図1に示す本発明の方向性結合器を用いるのが好ましい。図1に示す本発明の方向性結合器を用いる場合、分岐器12の他方の出力ポート12cをポートAに接続し、ハイブリッド14またはサーキュレータ14の第3ポート14cをポートCに接続し、ポートBおよびポートDの一方または両方に検波器(ショットキーバリアダイオード等)を結合させた構成とされる。
本発明の高周波送受信器の第2の実施の形態の一例は、図3に示すように、高周波信号を発生する高周波発振器11と、この高周波発振器11に接続され、高周波信号を分岐して一方の出力ポート12bと他方の出力ポート12cとに出力する分岐器12と、一方の出力ポート12bに接続された送信アンテナ19と、この送信アンテナ19から放射されて探知対象物(図示せず)によって反射された高周波信号を受信する受信アンテナ20と、分岐器12の他方の出力ポート12cと受信アンテナ20とがそれぞれ接続され、他方の出力ポート12cに分岐された高周波信号と受信アンテナ19で受信した高周波信号とを混合して中間周波信号を出力するミキサー16とを具備する高周波送受信器において、ミキサー16および分岐器12の少なくとも一つに上記本発明の方向性結合器を用いたものである。
上記構成において、分岐器12は、図1に示す本発明の方向性結合器を用いるのが好ましい。図1に示す本発明の方向性結合器を用いる場合、本発明の高周波発振器の第1の実施形態例と同様に接続すればよく、入力端12aをポートAに対応させ、一方の出力ポート12bをポートBに、他方の出力ポート12cをポートDに、または、一方の出力ポート12bをポートDに、他方の出力ポート12cをポートBに対応させて用いることができる。ポートCはインピーダンスマッチングされた終端抵抗で終端させることが望ましい。
ミキサー16は、図1に示す本発明の方向性結合器を用いるのが好ましい。図1に示す本発明の方向性結合器を用いる場合、本発明の高周波発振器の第1の実施形態例と同様に接続すればよく、分岐器12の他方の出力ポート12cをポートAに接続し、受信アンテナ20をポートCに接続し、ポートBおよびポートDの一方または両方に検波器(ショットキーバリアダイオード等)を結合させた構成とされる。
本発明の高周波送受信器の第3の実施の形態の一例は、図4に示すように、高周波信号を発生する高周波発振器11と、この高周波発振器11に接続され、一方の出力端18'bに送信用高周波信号として出力するかまたは他方の出力端18'cにローカル信号として出力するかを切り替える単極2方向切り替え型の第1の切替えスイッチ18'と、入力端18''b,出力端18''cおよび入出力端18''aを有し、入力端18''aが第1の切換えスイッチ18'の一方の出力端18'bに接続され、入力端18''bと入出力端18''aとのまたは出力端18''cと入出力端18''aとの接続を切り替える単極2方向切り替え型の第2の切替えスイッチ18''と、この第2の切替えスイッチ18''の入出力端18''aに接続され、高周波信号を放射するとともに、探知対象物(図示せず)によって反射された高周波信号を受信する送受信アンテナ15と、第1の切替えスイッチ18'の他方の出力端18'cと第2の切替えスイッチ18''の出力端18''cとがそれぞれ接続され、第1の切換えスイッチ18'の他方の出力端18'cに出力されたローカル信号と前記送受信アンテナ15で受信した高周波信号とを混合して中間周波信号を出力するミキサー16とを具備する高周波送受信器において、前記ミキサー16に上記本発明の方向性結合器を用いたものである。
上記構成において、ミキサー16は、図1に示す本発明の方向性結合器を用いており、本発明の高周波発振器の第1の実施形態例と同様に、第1の切替えスイッチ18'の他方の出力端18'cをポートAに接続し、第2の切替えスイッチ18''の出力端18''cをポートCに接続し、ポートBおよびポートDの一方または両方に検波器(ショットキーバリアダイオード等)を結合させた構成とされる。
本発明の高周波送受信器の第4の実施の形態の一例は、図5に示すように、高周波信号を発生する高周波発振器11と、この高周波発振器11に接続され、一方の出力端18bに送信用高周波信号として出力するかまたは他方の出力端18cにローカル信号として出力するかを切り替える単極2方向切り替え型の切替えスイッチ18と、一方の出力端18bに接続された送信アンテナ19と、この送信アンテナ19から放射されて探知対象物(図示せず)によって反射された高周波信号を受信する受信アンテナ20と、切替えスイッチ18の他方の出力端18cと受信アンテナ20とがそれぞれ接続され、他方の出力端18cに出力されたローカル信号と受信アンテナ20で受信した高周波信号とを混合して中間周波信号を出力するミキサー16とを具備する高周波送受信器において、ミキサー16に上記本発明の方向性結合器を用いたものである。
上記構成において、ミキサー16は、図1に示す本発明の方向性結合器を用いており、本発明の高周波発振器の第1の実施形態例と同様に、切替えスイッチ18の他方の出力端18cをポートAに接続し、受信アンテナ20をポートCに接続し、ポートBおよびポートDの一方または両方に検波器(ショットキーバリアダイオード等)を結合させた構成とされる。
なお、本発明の方向性結合器を上記本発明の高周波送受信器の第1乃至第4の実施形態例に示すミキサー16に用いる場合であって、ポートBとポートDの両方に検波器(ショットキーバリアダイオード等)を結合させるバランスミキサーの場合、方向性結合器の結合度を3dBとするのが望ましい。ポートBとポートDの一方に検波器(ショットキーバリアダイオード等)を結合させるシングルミキサーの場合は、その変換損失がローカル信号のパワーによって飽和するように方向性結合器の結合度を設定することが望ましい。また、シングルミキサーの場合、検波器を結合させない側のポートはインピーダンスマッチングされた終端抵抗で終端させることが望ましい。
また、本発明の方向性結合器を上記本発明の高周波送受信器の第1乃至第4の実施形態例に示す分岐器12に用いる場合も、方向性結合器の結合度は、ミキサー16の変換損失がローカル信号のパワーによって飽和するように設定することが望ましい。
そして、本発明の第1乃至第4の実施形態例の高周波送受信器は、高周波発振機11に発振させた高周波信号を送受信アンテナ15または送信アンテナ19から放射し、この高周波信号が探知対象物に反射されて戻ってくる高周波信号を送受信アンテナ15または受信アンテナ20によって受信する。受信した高周波信号は、ミキサー16によって高周波発振機11から分岐させたローカル信号と混合することにより、ビートを発生し、このビート信号を中間周波出力として出力する。本発明の第1乃至第4の実施形態例に示す高周波送受信器によれば、本発明の方向性結合器を用いたことにより、不要な反射や信号出力がないため、安定した発振特性が得られるとともに、高い出力が得られることからS/N比の高い高性能な高周波送受信器となる。
次に、本発明の高周波送受信器を用いたレーダ装置ならびにそれを搭載したレーダ装置搭載車両およびレーダ装置搭載小型船舶について説明する。
本発明のレーダ装置の実施の形態の一例は、上記本発明の第1乃至第4のいずれかの高周波送受信器と、この高周波送受信器から出力される中間周波信号を処理して探知対象物までの距離情報を検出する距離情報検出器とを備えている。
上記構成において、距離情報検出器は、本発明の高周波送受信器から出力される中間周波信号を信号処理することによって、このレーダ装置から探知対象物までの距離および方向を含む距離情報を出力するためのものである。例えば、FM−CW方式のレーダでは、探知対象物までの距離をR、探知対象物との相対速度をVとしたとき、中間周波信号の周波数fbはfb=(4・△f・fm・R)/c±2・f0・V/cで表わされる。ここで△fは変調幅、fmは変調周波数、cは光速、f0は送信中心周波数である。距離情報検出器は、中間周波信号の周波数fbを読み取り、その周波数から前出の式によって探知対象物までの距離Rと探知対象物との相対速度Vを求めることができる。
このような本発明のレーダ装置の実施の形態の一例によれば、本発明の第1乃至第4のいずれかの高周波送受信器を用いており、安定した発振特性が得られるとともに、高い出力が得られることからS/N比の高い高性能な高周波送受信器であるため、遠方の探知対象物を感度よく探知することができる。なお、本発明の高周波送受信器は、レーダ装置の他にも、例えば、無線LANで使用される無線装置のRF送受信モジュールとして用いてもよい。
また、本発明のレーダ装置搭載車両は、上記本発明のレーダ装置を備え、このレーダ装置が検出する探知対象物の情報を車両の運動状態の制御に用いるものである。
また、本発明のレーダ装置搭載小型船舶は、上記本発明のレーダ装置を備え、このレーダ装置が検出する探知対象物の情報を小型船舶の運動状態の制御に用いるものである。
本発明のレーダ装置搭載車両またはレーダ装置搭載小型船舶は、従来のレーダ装置搭載車両と同様に、例えば、レーダ装置で検出された探知対象物の位置情報に基づいて車両や小型船舶の速度を制御したり、運転者に路上の障害物や他の車両または船舶等を探知したことを音,光もしくは振動で警告したりすることができるが、本発明のレーダ装置搭載車両またはレーダ装置搭載小型船舶においては、探知対象物である路上の障害物、他の車両または他の船舶等をより遠距離からレーダ装置によって探知できるため、探知対象物が接近する前に余裕を持って速度を落としたり、ハンドル操作を行なうことによって、急激な挙動を車両に起こさせることなく、車両を適切に制御したり、運転者へ警告したりすることができる。
なお、本発明のレーダ装置搭載車両は、具体的には、汽車,電車,自動車等旅客や貨物を輸送するための車はもちろんのこと、自転車,原動機付き自転車,遊園地の乗り物,ゴルフ場のカート等にも用いることができる。
また、本発明のレーダ装置搭載小型船舶は、具体的には、小型船舶の免許もしくは免許なしで操縦することができる船舶であって、総トン数20トン未満の船舶である手漕ぎボート,ディンギー,水上オートバイ,船外機搭載の小型バスボート,船外機搭載のインフレータブルボート(ゴムボート),漁船,遊漁船,作業船,屋形船,トーイングボート,スポーツボート,フィッシングボート,ヨット,外洋ヨット,クルーザーまたは総トン数20トン以上のプレジャーボートに用いることができる。
なお、本発明は上記実施の形態の例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を施すことは何等差し支えない。